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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128919
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】発電装置、及び、発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H02N2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033607
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】上野 敏幸
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA06
5H681BB08
5H681DD30
5H681EE10
5H681GG18
(57)【要約】
【課題】発電量が大きい発電装置などを提供する。
【解決手段】発電装置1は、自由端部F1を含むフレーム21、及び、フレーム21に設けられフレーム21への加振によって変形する発電素子32を有する発電部材10と、平面上で蛇行する蛇行部mを有する長尺形状のバネ部材22と、を備え、バネ部材22の一端は、自由端部F1に設けられる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由端部を含むフレーム、及び、前記フレームに設けられ前記フレームへの加振によって変形する発電素子を有する発電部材と、
平面上で蛇行する蛇行部を有する長尺形状のバネ部材と、を備え、
前記バネ部材の一端は、前記自由端部に設けられる
発電装置。
【請求項2】
前記バネ部材は、S字バネである
請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記フレームと前記バネ部材とは、一体物である
請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記バネ部材に設けられる磁性体、第1板部材又は1個以上の錘を備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項5】
前記フレームの形状は、U字形状であり、
前記U字形状の曲がり部と前記自由端部との間に前記発電素子が設けられている
請求項1~4のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項6】
複数の前記バネ部材を備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項7】
前記発電部材は、第1発電部材及び第2発電部材を含み、
前記バネ部材の前記一端は、前記第1発電部材が有する前記フレームが含む前記自由端部に設けられ、
前記バネ部材の他端は、前記第2発電部材が有する前記フレームが含む前記自由端部に設けられる
請求項1~5のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項8】
請求項7に記載の発電装置を複数備え、
前記複数の発電装置のそれぞれが備える前記バネ部材が有する前記蛇行部が蛇行する前記平面は、面一であり、
前記複数の蛇行部が蛇行して延びる方向は同一である
発電システム。
【請求項9】
前記複数のバネ部材に載置される第2板部材を備える
請求項8に記載の発電システム。
【請求項10】
前記複数の発電装置のそれぞれが備える前記バネ部材の変形を制限する制限部材を備える
請求項9に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置、及び、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身近な振動を電力に変換する技術の開発が盛んに行われている。例えば、特許文献1には、発電素子に直接外力を加えることで発電素子(発電モジュール)を変形させて電力を得る発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-250520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、振動を電力に変換する発電装置においては、発電素子の変形量が大きいほど、より大きな電力が得られることが一般的に知られている。
【0005】
特許文献1に開示される発電装置においては、発電素子の上方に位置する可動板が人に踏まれることで生じた外力が、発電素子に与えられて発電素子が変形することで、発電素子が発電する。この外力の大きさは、人に踏まれることで可動板が撓む量に対応する。
【0006】
なお、可動板は、人に踏まれることに対する耐久性が求められるため、ある程度の硬さが必要となる。この硬さのため可動板が撓む量を大きくすることは困難であり、つまりは外力を大きくすることは容易ではない。
【0007】
よって、この外力による発電素子の変形量を大きくすることは困難であり、ひいては、このような発電装置は、発電量が小さいという課題がある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、発電量が大きい発電装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る発電装置は、自由端部を含むフレーム、及び、前記フレームに設けられ前記フレームへの加振によって変形する発電素子を有する発電部材と、平面上で蛇行する蛇行部を有する長尺形状のバネ部材と、を備え、前記バネ部材の一端は、前記自由端部に設けられる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る発電システムは、上記記載の発電装置を複数備え、前記複数の発電装置のそれぞれが備える前記バネ部材が有する前記蛇行部が蛇行する前記平面は、面一であり、前記複数の蛇行部が蛇行して延びる方向は同一である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発電量が大きい発電装置などを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、従来例に係る発電装置の平面図である。
図2図2は、従来例に係る発電装置の側面図である。
図3図3は、従来例に係る発電装置に外力が与えられた第1例を説明する側面図である。
図4図4は、従来例に係る発電装置が第1例において振動する様子を示す側面図である。
図5図5は、従来例に係る発電装置に外力が与えられた第2例を説明する平面図である。
図6図6は、第2例における外力を説明する側面図である。
図7図7は、従来例に係る発電装置が第2例において振動する様子を示す側面図である。
図8図8は、実施の形態に係る発電装置の平面図である。
図9図9は、実施の形態に係る発電装置の側面図である。
図10図10は、実施の形態に係る発電装置に外力が与えられた第3例を説明する側面図である。
図11図11は、実施の形態に係る発電装置に外力が与えられた第4例を説明する平面図である。
図12図12は、第4例における外力を説明する側面図である。
図13図13は、実施の形態の変形例1に係る発電装置の平面図である。
図14図14は、実施の形態の変形例1に係る発電装置の側面図である。
図15図15は、実施の形態の変形例1に係る発電装置が振動する様子を示す側面図である。
図16図16は、実施の形態の変形例2に係る発電装置の側面図である。
図17図17は、実施の形態の変形例2に係る発電装置の製造方法を説明するための平面図である。
図18図18は、実施の形態の変形例2に係る発電装置が振動する様子を示す側面図である。
図19図19は、実施の形態の変形例3に係る発電装置の平面図である。
図20図20は、実施の形態の変形例4に係る発電システムの平面図である。
図21図21は、実施の形態の変形例4に係る発電システムの側面図である。
図22図22は、実施の形態の変形例4に係る第2板部材が人に踏みつけられたときの起電力を説明する図である。
図23図23は、実施の形態の変形例4に係るバネ部材が指で弾かれたときの起電力を説明する図である。
図24図24は、実施の形態の変形例5に係る発電装置の平面図である。
図25図25は、実施の形態の変形例5に係る発電装置の側面図である。
図26図26は、実施の形態の変形例6に係る発電装置の平面図である。
図27図27は、実施の形態の変形例7に係る発電装置の平面図である。
図28図28は、実施の形態の変形例8に係る発電装置の平面図である。
図29図29は、実施の形態の変形例9に係る発電装置の側面図である。
図30図30は、実施の形態の変形例10に係る発電装置の平面図である。
図31図31は、実施の形態に係るバネ部材の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の基礎となった知見)
まず、本発明の基礎となった知見について説明する。まずは、発電素子32xの変形量が制限されてしまう例として、従来例に係る発電装置1xの構成について図1及び図2を用いて説明する。
【0014】
図1は、従来例に係る発電装置1xの平面図である。図2は、従来例に係る発電装置1xの側面図である。
【0015】
図1及び図2が示すように、従来例に係る発電装置1xは、発電部材10xと、端部板22xとを備える。
【0016】
発電部材10xは、フレーム21xと、発電素子32xを含む発電部30xとを有する部材である。
【0017】
フレーム21xは、自由端部F1x及び固定端部F2xを有する。自由端部F1xは、自由振動する端部である。また、フレーム21xは、曲がり部Bxを有する。フレーム21xの形状はU字形状であり、より具体的には、フレーム21xの形状は、側面視において、U字形状である。
【0018】
また、フレーム21xは、1枚の平板形状の部材がU字形状となるように、屈曲されて形成されている。また、フレーム21xの全体にわたって、フレーム21xの厚みは略均等である。
【0019】
フレーム21xは、曲がり部Bxを挟んで一方の端部が固定端部F2x、他方の端部が自由端部F1xになるような状態、いわゆる片持ち梁の状態で固定支持される。なお、発電装置1xでは、フレーム21xが有する固定端部F2xが支持台2に固定されて設置されている。
【0020】
自由端部F1xが自由振動する場合には、自由端部F1xが固定端部F2xから離れる方向又は固定端部F2xに近づく方向に動き、フレーム21x自体も振動(変形)する。
【0021】
このとき、自由端部F1xが固定端部F2xから離れるように自由端部F1xが動いた状態(開状態)、及び、自由端部F1xが固定端部F2xに近づくように自由端部F1xが動いた状態(閉状態)が繰り返される。換言すると、自由端部F1xと固定端部F2xとのギャップが大きくなる状態(開状態)、及び、当該ギャップが小さくなる状態(閉状態)が繰り返される。
【0022】
フレーム21xには発電部30xが含む発電素子32x及び発電用磁石33xが設けられており、フレーム21xは、これらの構成要素を支持する部材である。フレーム21xを構成する材料は、特に限られないが、例えば、弾性を有する材料で構成されているとよい。
【0023】
U字形状のフレーム21xは、図2が示すように、互いに向かい合う第1内側面211x及び第2内側面212xと、第1外側面213x及び第2外側面214xとを有している。
【0024】
また、自由端部F1xは、平板形状を有している。
【0025】
続いて、発電部30xについて説明する。発電部30xは、コイル31x、発電素子32x及び発電用磁石33xを含む。
【0026】
発電素子32xは、フレーム21xに設けられフレーム21xへの加振によって変形する部材である。本実施の形態においては、発電素子32xは、磁歪素子である。ここでは、発電素子32xは、曲がり部Bxと自由端部F1xとの間の、第1外側面213xに設けられ接合されて設けられている。
【0027】
発電素子32xの形状は、特に限られないが平板形状である。従来例においては、フレーム21xに接合される発電素子32xの平面であって、発電装置1xが振動していない場合の当該平面と平行な面がxy平面である。また、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を示しており、xy平面に直交する方向をz軸としている。
【0028】
発電素子32xは、磁歪材料によって構成されている。磁歪材料は、一例として、鉄ガリウム合金である。
【0029】
発電素子32xは、フレーム21xへの加振によって変形する素子である。本実施の形態においては、発電素子32xは、フレーム21xに接合されているためフレーム21xが振動すると、発電素子32xは変形する。
【0030】
コイル31xは、フレーム21xが有する第1内側面211x及び第1外側面213xと発電素子32xとに巻かれている。コイル31xは、電磁誘導の法則により発電素子32xを通る磁力線の時間的変化に比例して電圧を発生させる。
【0031】
コイル31xの材質は、一例として、銅であるが、特に限定されない。
【0032】
発電用磁石33xは、フレーム21xの第2内側面212xに設けられている。発電用磁石33xは、一例として、永久磁石である。発電用磁石33xからの磁力線が発電素子32xを通過する。
【0033】
続いて、端部板22xについて説明する。
【0034】
端部板22xは、フレーム21xの自由端部F1xに設けられている部材である。また、端部板22xは、第1外側面213xに取り付けられている部材でもある。端部板22xの形状は、平板形状であり、図1及び図2が示すように端部板22xの2つの主面はいずれもxy平面と平行な面である。
【0035】
また、ここでは、端部板22xには外力P1が与えられる。この外力P1によってフレーム21xが変形し、振動する。
【0036】
端部板22xは、リジッドな部材である。このため、端部板22xに外力P1が与えられても、端部板22x自身の変形量は非常に小さく、より具体的には端部板22x自身は実質的には変形しない。
【0037】
フレーム21xの自由端部F1xに取り付けられる端部板22xが設けられることで、てこの原理により、外力P1が小さい場合でもフレーム21xが振動することができる。
【0038】
例えば、外力P1が与えられることで、フレーム21xが振動する。このとき、フレーム21xにおいて開状態と閉状態とが繰り返されて振動する場合には、フレーム21xに接合される発電素子32xには引張応力と圧縮応力とが交互に発生し、発電素子32xは伸長し又は収縮して変形する。
【0039】
このように、フレーム21xが振動すると、発電素子32xの磁力線は逆磁歪効果により増加又は減少し、コイル31xを貫く磁束密度も増加又は減少する。この磁束密度の時間的変化により、コイル31xに誘導電圧(又は誘導電流)が発生する。このように、発電部30xは、フレーム21xの振動により発電することができる。
【0040】
ここで、従来例に係る発電装置1xに外力P1が与えられた例である第1例及び第2例について、図1及び図2に加えて、図3図7を用いて説明する。
【0041】
図3は、従来例に係る発電装置1xに外力P1が与えられた第1例を説明する側面図である。図4は、従来例に係る発電装置1xが第1例において振動する様子を示す側面図である。図5は、従来例に係る発電装置1xに外力P1が与えられた第2例を説明する平面図である。
【0042】
図6は、第2例における外力P1を説明する側面図である。図6は、端部板22xをx軸正方向から見た側面図であり、簡単のため、端部板22x以外の構成要素は図示が省略されている。図7は、従来例に係る発電装置1xが第2例において振動する様子を示す側面図である。
【0043】
まずは外力P1について説明する。
【0044】
第1例においては、図1が示すように、端部板22xのy軸方向の幅の中央付近に外力P1が与えられる。より具体的には、第1例においては外力P1は、z軸に沿ってつまりはz軸と平行に、z軸負方向に端部板22xに与えられる。
【0045】
一方で、第2例においては、図5が示すように、端部板22xのy軸方向の幅の中央付近よりもy軸負側に外力P1が与えられる。より具体的には、第2例においては、図6の(a)が示すように、外力P1がz軸に沿ってつまりはz軸と平行にz軸負方向に端部板22xに与えられる場合がある。また、第2例においては、図6の(b)が示すように、外力P1がz軸負方向、かつ、y軸負方向に向かって端部板22xに与えられる場合がある。
【0046】
次に、発電装置1xが振動する様子について説明する。
【0047】
第1例においては、上記のように外力P1が端部板22xに与えられるため、端部板22xが取り付けられたフレーム21xは、図4が示す白抜きの両矢印の向きに、つまりは、z軸方向に沿って変形して振動する。
【0048】
図4には、フレーム21xが振動する前の発電装置1xが実線で、フレーム21xが振動している発電装置1xが二点鎖線で示されている。このときフレーム21xが捻じれて振動することはない。
【0049】
一方で、第2例においては、上記のように外力P1が端部板22xに与えられるため、端部板22xが取り付けられたフレーム21xは、図6及び図7が示す白抜きの矢印の向きに向かって捻じれながら変形する。この白抜きの矢印の向きは、x軸を回転軸の中心として、図6が示すように反時計回りに回転する向きである。
【0050】
このようにフレーム21xに捻じれが発生するため、第2例においては、第1例に比べて、フレーム21xのz軸方向に沿った変形量が小さくなる。特に図6の(b)が示すように外力P1が与えられると捻じれが大きくなるため、フレーム21xのz軸方向に沿った変形量がより小さくなる。
【0051】
このように、従来例に係る発電装置1xでは、第2例が示すような外力P1が与えられた場合には、フレーム21xの変形量を大きくすることは容易ではない。よって、発電素子32xの変形量を大きくすることは困難であり、このような発電装置1xは、発電量が小さいことが予想される。
【0052】
さらには、従来例に係る発電装置1xでは、第2例が示すような外力P1が与えられた場合には、フレーム21xの振動に捻じれ成分が含まれる。このねじれ成分は、発電装置1xの発電量が低減させる。
【0053】
なお、従来例においては、外力P1はてこの原理により増強されて、発電素子32xが変形される。このため、特許文献1のように可動板の撓みから発生する外力による発電素子の変形量よりも、従来例における発電素子32xの変形量の方が大きくなることが期待される。しかしながら、従来例における発電素子32xの変形量も、未だ十分では無い。
【0054】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0055】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的、又は、具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0056】
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。実施の形態では、蛇行部が蛇行する平面をxy平面とし、xy平面と直行する方向をz軸としている。また、以下の実施の形態において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではない。
【0057】
「上方」はz軸正側を、「下方」はz軸負側を意味する。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。
【0058】
また、本明細書において、「平面視」とは、発電装置をz軸正方向から見たときのことであり、このときの図を平面図という。また、「側面視」とは、発電装置をy軸負方向又はx軸正方向から見たときのことであり、このときの図を側面図という。
【0059】
また、本明細書において、発電装置としての動作に必須あるいは特性の改善に有効であるが、本発明の説明に不要な要素については省略している。また、各図面はあくまで概念を示す図であり、縮尺、形状等は一切考慮に入れていない。
【0060】
したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0061】
また、本明細書において、等しいなどの要素間の関係性を示す用語、及び、U字形状などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0062】
(実施の形態1)
[構成]
本実施の形態に係る発電装置1の構成例について図8及び図9を用いて説明する。
【0063】
図8は、本実施の形態に係る発電装置1の平面図である。図9は、本実施の形態に係る発電装置1の側面図である。
【0064】
例えば、本実施の形態に係る発電装置1は、支持台2の上方に設けられている。
【0065】
発電装置1は、図8及び図9が示すように、発電部材10と、バネ部材22と、ボルト40とを備える。
【0066】
発電部材10は、フレーム21と、発電素子32を含む発電部30とを有する部材である。
【0067】
フレーム21は、自由端部F1及び固定端部F2を有する。自由端部F1は、自由振動する端部である。また、フレーム21は、曲がり部Bを有する。フレーム21の形状はU字形状であり、より具体的には、フレーム21の形状は、側面視において、U字形状である。また、フレーム21は、1枚の平板形状の部材がU字形状となるように、屈曲されて形成されている。
【0068】
また、フレーム21の全体にわたって、フレーム21の厚みは略均等であり、本実施の形態においては、1.6mmであるが、これに限られない。
【0069】
なお、図示されないが、フレーム21の形状はV字形状であってもよく、この場合には、フレーム21の形状は、側面視において、V字形状であるとよい。また、フレーム21は、1枚の平板形状の部材がV字形状となるように、屈曲されて形成されている。
【0070】
フレーム21は、長尺形状の部材である。本実施の形態においては、フレーム21は、x軸方向に長細い形状を有している。フレーム21は、曲がり部Bを挟んで一方の端部が固定端部F2、他方の端部が自由端部F1になるような状態、いわゆる片持ち梁の状態で固定支持される。なお、発電装置1では、フレーム21が有する固定端部F2が支持台2に固定されて設置されている。
【0071】
自由端部F1が自由振動する場合には、自由端部F1が固定端部F2から離れる方向又は固定端部F2に近づく方向に動き、フレーム21自体も振動(変形)する。
【0072】
このとき、自由端部F1が固定端部F2から離れるように自由端部F1が動いた状態(開状態)、及び、自由端部F1が固定端部F2に近づくように自由端部F1が動いた状態(閉状態)が繰り返される。換言すると、自由端部F1と固定端部F2とのギャップが大きくなる状態(開状態)、及び、当該ギャップが小さくなる状態(閉状態)が繰り返される。
【0073】
フレーム21には発電部30が含む発電素子32及び発電用磁石33が設けられており、フレーム21は、これらの構成要素を支持する部材である。
【0074】
フレーム21を構成する材料は、特に限られないが、例えば、弾性を有する材料で構成されているとよい。また、フレーム21を構成する材料は、例えば、鉄を含む材料で構成されているとよい。フレーム21は、例えば、バネ鋼(ベーナイト鋼)、冷間圧延鋼帯(SPCC:Steel Plate Cold Commercial)などによって構成される。
【0075】
U字形状のフレーム21は、図9が示すように、互いに向かい合う第1内側面211及び第2内側面212と、第1外側面213及び第2外側面214とを有している。
【0076】
また、自由端部F1は、平板形状を有している。自由端部F1の平板形状における、z軸正側の主面及びz軸負側の主面とは、いずれもxy平面と平行である。
【0077】
続いて、発電部30について説明する。発電部30は、コイル31、発電素子32及び発電用磁石33を含む。
【0078】
発電素子32は、フレーム21に設けられフレーム21への加振によって変形する部材である。本実施の形態においては、発電素子32は、磁歪素子である。ここでは、発電素子32は、曲がり部Bと自由端部F1との間の、第1外側面213に接合されて設けられている。
【0079】
発電素子32の形状は、特に限られないが平板形状であり、発電素子32の大きさは、例えば、90mm(x軸方向)×24mm(y軸方向)×3mm(z軸方向)程度であるがこれに限られない。なお、本実施の形態においては、フレーム21に接合される発電素子32の平面であって、発電装置1が振動していない場合の当該平面と平行な面がxy平面である。
【0080】
発電素子32は、磁歪材料によって構成されている。磁歪材料は、一例として、鉄ガリウム合金であるが、これに限られず、例えば、鉄アルミ合金であってもよいし、その他の材料であってもよい。
【0081】
発電素子32は、フレーム21への加振によって変形する素子である。本実施の形態においては、発電素子32は、フレーム21に接合されているためフレーム21が振動すると、発電素子32は変形する。
【0082】
コイル31は、フレーム21が有する第1内側面211及び第1外側面213と発電素子32とに巻かれている。コイル31は、電磁誘導の法則により発電素子32を通る磁力線の時間的変化に比例して電圧を発生させる。
【0083】
コイル31の材質は、一例として、銅であるが、特に限定されない。また、コイル31の巻き数を変更することで、電圧の大きさを調整することができる。例えば、本実施の形態に係るコイル31の巻き数は、3000回である。
【0084】
発電用磁石33は、フレーム21の第2内側面212に設けられている。発電用磁石33は、一例として、永久磁石であるが、これに限られず電磁石であってもよい。発電用磁石33からの磁力線が発電素子32を通過する。
【0085】
続いて、バネ部材22について説明する。
【0086】
バネ部材22は、蛇行する蛇行部mを有している。バネ部材22は、長尺形状の部材であり、本実施の形態においては、蛇行部mが蛇行して延びる方向は、x軸方向である。図8が示すように、蛇行部mは、複数の湾曲領域Aを有している。蛇行部mは、平面上で蛇行しており、より具体的には、xy平面上で蛇行している。
【0087】
また隣り合う2つの湾曲領域Aの間の距離は例えば数mm以上十数cm以下である。複数の湾曲領域Aは、x軸方向において等間隔(つまり同一ピッチ)で構成されており、当該ピッチは、例えば、数cm以上十数cm以下である。
【0088】
さらに具体的には、本実施の形態に係るバネ部材22は、所謂S字バネである。S字バネは、Sバネ、Sスプリングなどとも呼称される。
【0089】
長尺形状のバネ部材22の一端は、フレーム21の自由端部F1に設けられている。ここでは、バネ部材22のx軸負側の一端と、フレーム21の自由端部F1とが、ボルト40によって固定されて取り付けられている。
【0090】
また、バネ部材22が有する蛇行部mは上記の通り平面上で蛇行しており、当該平面と、自由端部F1における平板形状の主面(ここでは、z軸正側の主面)とは、平行であり、より具体的には、xy平面と平行である。
【0091】
また、バネ部材22には外力P1が与えられる。この外力P1によってフレーム21が変形し、振動する。
【0092】
バネ部材22は、例えば、バネ鋼材によって構成されている。バネ部材22は、線状のバネ鋼材がS字バネの形状となるように、湾曲されて製造されている。例えば、バネ部材22における直径は、例えば数mmであり、本実施の形態においては、3.4mmであるがこれに限られない。また、バネ部材22のx軸方向の長さは、例えば数十cmであり、本実施の形態においては、45cmである。
【0093】
フレーム21の自由端部F1に取り付けられるバネ部材22が設けられることで、てこの原理により、外力P1が小さい場合でもフレーム21が振動することができる。
【0094】
さらに、ボルト40について説明する。
【0095】
上記の通り、ボルト40は、フレーム21の自由端部F1とバネ部材22とを固定する部材である。
【0096】
フレーム21の自由端部F1には、z軸方向に貫通する貫通孔が設けられている。ボルト40は、当該貫通孔に挿通されている。また、ボルト40にバネ部材22の一端が掛止されることで、ボルト40がフレーム21の自由端部F1とバネ部材22とを固定する。
【0097】
なお、バネ部材22の一端は、他の手段で、自由端部F1に設けられていてもよい。例えば、複数のボルト40によって当該一端と自由端部F1とが固定されてもよく、接着剤などで当該一端と自由端部F1とが接着されてもよい。
【0098】
例えば、外力P1が与えられることで、フレーム21が振動する。このとき、フレーム21において開状態と閉状態とが繰り返されて振動する場合には、フレーム21に接合される発電素子32には引張応力と圧縮応力とが交互に発生し、発電素子32は伸長し又は収縮して変形する。
【0099】
このように、フレーム21が振動すると、発電素子32の磁力線は逆磁歪効果により増加又は減少し、コイル31を貫く磁束密度も増加又は減少する。この磁束密度の時間的変化により、コイル31に誘導電圧(又は誘導電流)が発生する。このように、発電部30は、フレーム21の振動により発電することができる。
【0100】
ここで、本実施の形態に係る発電装置1に外力P1が与えられた例である第3例及び第4例について、図8及び図9に加えて、図10図12を用いて説明する。
【0101】
図10は、本実施の形態に係る発電装置1に外力P1が与えられた第3例を説明する側面図である。図11は、本実施の形態に係る発電装置1に外力P1が与えられた第4例を説明する平面図である。図12は、第4例における外力P1を説明する側面図である。
【0102】
まずは本実施の形態に係る外力P1について説明する。
【0103】
第3例においては、図8が示すように、バネ部材22のy軸方向の幅の中央付近に外力P1が与えられる。より具体的には、第3例においては外力P1は、z軸に沿ってつまりはz軸と平行に、バネ部材22に与えられる。つまり、第3例における外力P1は、第1例に係る外力P1に相当する。
【0104】
一方で、第4例においては、図11が示すように、バネ部材22のy軸方向の幅の中央付近よりもy軸負側に外力P1が与えられる。より具体的には、第4例においては、外力P1がz軸に沿ってつまりはz軸と平行にバネ部材22に与えられる。つまり、第4例における外力P1は、図6の(a)が示す第2例に係る外力P1に相当する。
【0105】
次に、発電装置1が振動する様子について説明する。
【0106】
第3例においては、上記のように外力P1がバネ部材22に与えられるため、バネ部材22が取り付けられたフレーム21は、図10が示す白抜きの両矢印の向きに、つまりは、z軸方向に沿って変形して振動する。このときフレーム21が捻じれて振動することはなく、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。
【0107】
一方で、第4例においては、上記のように外力P1がバネ部材22に与えられる。このとき、蛇行部mを有する長尺形状のバネ部材22自身が図12が示す白抜きの矢印の向きに向かって捻じれながら変形する。このため、上記の従来例に係る発電装置1xとは異なり、フレーム21が捻じれることが抑制される。換言すると、第4例の外力P1の方向がバネ部材22の変形で緩和される。よって、第4例に係る外力P1が与えられる場合においても、フレーム21のz軸方向に沿った変形量が小さくなることが抑制され、つまりは、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。
【0108】
このように、本実施の形態に係る発電装置1は、第3例及び第4例に係る外力P1が与えられた場合でも、フレーム21の変形量を大きくすることができる。従って発電素子32の変形量を大きくすることができ、発電量が大きい発電装置1が実現される。
【0109】
さらには、本実施の形態に係る発電装置1では、第4例が示すような外力P1が与えられた場合でも、フレーム21の振動に捻じれ成分が含まれ難い。このため、従来例に係る発電装置1xとは異なり、ねじれ成分による発電装置1の発電量を低減が起こりにくく、つまり、発電量が大きい発電装置1が実現される。
【0110】
また、バネ部材22に外力P1が与えられると、バネ部材22に弾性エネルギーが蓄積される。この蓄積された弾性エネルギーは、フレーム21を振動させ、発電装置1が発電する。よって、特許文献1に開示される発電装置に比べて、弾性エネルギーを蓄積することができるバネ部材22を備える発電装置1は、発電量が大きくなる。
【0111】
さらに、本実施の形態においては、外力P1はてこの原理により増強されて、発電素子32が変形される。さらに上記の通り、フレーム21が捻じれることが抑制されるため、z軸方向におけるフレーム21の変形量を大きく、つまりは、発電素子32の変形量を大きくすることができる。このため、特許文献1のように可動板の撓みから発生する外力による発電素子の変形量よりも、本実施の形態に係る発電素子32の変形量の方がはるかに大きくなることが期待され、発電量が大きい発電装置1が実現される。
【0112】
[効果など]
実施の形態をまとめると以下の通りである。本実施の形態に係る発電装置1は、発電部材10と、バネ部材22と、を備える。発電部材10は、自由端部F1を含むフレーム21、及び、フレーム21に設けられフレーム21への加振によって変形する発電素子32を有する。バネ部材22は、平面上で蛇行する蛇行部mを有する長尺形状の部材である。バネ部材22の一端は、自由端部F1に設けられる。
【0113】
第3例及び図8で示したように、バネ部材22のy軸方向の幅の中央付近に外力P1が与えられた場合には、バネ部材22が取り付けられたフレーム21は、図10が示す白抜きの両矢印の向きに、つまりは、z軸方向に沿って変形して振動する。このときフレーム21が捻じれて振動することはなく、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。
【0114】
同様に、第4例及び図11で示したように、バネ部材22のy軸方向の幅の中央付近よりもy軸負側に外力P1が与えられた場合でも、蛇行部mを有する長尺形状のバネ部材22自身が図12が示す白抜きの矢印の向きに向かって捻じれながら変形する。このため、上記の従来例に係る発電装置1xとは異なり、フレーム21が捻じれることが抑制される。換言すると、第4例の外力P1の方向がバネ部材22の変形で緩和される。よって、第4例に係る外力P1が与えられる場合においても、フレーム21のz軸方向に沿った変形量が小さくなることが抑制され、つまりは、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。
【0115】
このように、本実施の形態に係る発電装置1は、第3例及び第4例に係る外力P1が与えられた場合でも、フレーム21の変形量を大きくすることができる。従って、発電素子32の変形量を大きくすることができ、発電量が大きい発電装置1が実現される。
【0116】
さらには、本実施の形態に係る発電装置1では、第4例が示すような外力P1が与えられた場合でも、フレーム21の振動に捻じれ成分が含まれ難い。このため、従来例に係る発電装置1xとは異なり、ねじれ成分による発電装置1の発電量を低減が起こりにくく、つまり、発電量が大きい発電装置1が実現される。
【0117】
また、バネ部材22に外力P1が与えられると、バネ部材22に弾性エネルギーが蓄積される。この蓄積された弾性エネルギーは、フレーム21を振動させ、発電装置1が発電する。よって、特許文献1に開示される発電装置に比べて、弾性エネルギーを蓄積することができるバネ部材22を備える発電装置1は、発電量が大きくなる。
【0118】
本実施の形態においては、バネ部材22は、S字バネである。
【0119】
これにより、外力P1が与えられた場合に、S字バネであるバネ部材22自身が捻じれやすくなるため、フレーム21が捻じれることがより抑制される。つまりは、バネ部材22がS字バネであることで、第4例の外力P1の方向がバネ部材22の変形でより緩和されやすくなる。このため、フレーム21のz軸方向における変形量をより大きくすることができ、発電素子32の変形量をより大きくすることができる。従って、より発電量が大きい発電装置1が実現される。
【0120】
さらには、バネ部材22がS字バネであることで、第4例が示すような外力P1が与えられた場合でも、フレーム21の振動に捻じれ成分がより含まれ難い。このため、従来例に係る発電装置1xとは異なり、ねじれ成分による発電装置1の発電量を低減がより起こりにくく、つまり、より発電量が大きい発電装置1が実現される。
【0121】
また、バネ部材22がS字バネであることで、バネ部材22に外力P1が与えられると、バネ部材22により大きな弾性エネルギーが蓄積される。この蓄積された弾性エネルギーは、フレーム21を振動させ、発電装置1が発電する。よって、特許文献1に開示される発電装置に比べて、より大きな弾性エネルギーを蓄積することができるS字バネであるバネ部材22を備える発電装置1は、発電量が大きくなる。
【0122】
本実施の形態においては、フレーム21の形状は、U字形状である。U字形状の曲がり部Bと自由端部F1との間に発電素子32が設けられている。
【0123】
これにより、バネ部材22に与えられた外力P1によってフレーム21がより振動し易くなり、発電素子32もより振動し易くなる。よって、発電量がより大きい発電装置1が実現される。
【0124】
(実施の形態の変形例1)
次に、実施の形態の変形例1について説明する。実施の形態の変形例1では、主に、磁性体50が設けられる点が、実施の形態と相違する。以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0125】
[構成]
実施の形態の変形例1に係る発電装置101の構成例について図13及び図14を用いて説明する。
【0126】
図13は、本実施の形態の変形例1に係る発電装置101の平面図である。図14は、本実施の形態の変形例1に係る発電装置101の側面図である。より具体的には、図14は、磁性体50と外部磁石60との間に発生している外力P1(引力)を説明するための図でもある。
【0127】
発電装置101は、磁性体50を備える点を除いて、本実施の形態に係る発電装置1と同じ構成を備える。つまり、発電装置101は、発電部材10と、バネ部材22と、ボルト40と、磁性体50とを備える。
【0128】
磁性体50は、バネ部材22に設けられる部材である。より具体的には、磁性体50は、自由端部F1に設けられたバネ部材22の一端とは異なる他端、つまりは、バネ部材22のx軸正側の端部に設けられる部材である。磁性体50は、一例として、鉄で構成された平板部材であるが、これに限られない。
【0129】
なお、本実施の形態においては、発電装置101は、1個の磁性体50を備えているが、これに限られず、複数の磁性体50を備えていてもよい。また、磁性体50が設けられる位置は、バネ部材22のx軸正側の端部に限られず、バネ部材22の中央付近であってもよい。
【0130】
磁性体50は、バネ部材22の他端に固定されている。磁性体50とバネ部材22の他端とは、例えばボルト40によって固定されてもよく、例えば接着剤によって接着されてもよい。フレーム21が振動しているときに、磁性体50がバネ部材22から脱離しなければよい。
【0131】
外部磁石60は、磁性体50との間で引力を発生させるための磁石である。外部磁石60は、一例として、永久磁石であるが、これに限られず電磁石であってもよい。
【0132】
ここで、本変形例に係る発電装置101が発電する際の挙動について説明する。
【0133】
まず、外部磁石60が磁性体50の近傍に近づけられると、外部磁石60と磁性体50との間で外力P1(引力)が発生し、磁性体50が外部磁石60に吸着される。さらに、外部磁石60が例えばz軸正側に引き上げられると、発電装置101は、図14が示す状態、つまりは、本変形例に係るフレーム21は、自由端部F1と固定端部F2とのギャップが大きくなる状態(開状態)となる。
【0134】
なお、外部磁石60は、z軸方向と平行な方向に引き上げられる(つまりは真上に引き上げられる)場合と、z軸方向と平行でない方向に引き上げられる場合がある。z軸方向と平行でない方向に引き上げられる場合とは、例えば、外部磁石60が、フレーム21よりも、平面視で、x軸正側若しくは負側、又は、y軸正側若しくは負側の位置に引き上げられる場合を意味する。
【0135】
図14が示すようにフレーム21が変形した状態において、外部磁石60がさらにz軸正側に引き上げられることで、磁性体50が外部磁石60から脱離する。そうすると、フレーム21が振動する。図15は、本実施の形態の変形例1に係る発電装置101が振動する様子を示す側面図である。
【0136】
フレーム21は、図15が示す白抜きの両矢印の向きに、つまりは、z軸方向に沿って変形して振動する。図15には、フレーム21が振動する前の発電装置101が実線で、フレーム21が振動している発電装置101が二点鎖線で示されている。フレーム21において開状態と閉状態とが繰り返されて振動すると、発電素子32は伸長し又は収縮して変形する。
【0137】
ここで、外部磁石60がz軸方向と平行な方向に引き上げられる(つまりは真上に引き上げられる)場合には、フレーム21が捻じれて振動することはなく、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。
【0138】
さらに、外部磁石60がz軸方向と平行でない方向に引き上げられる場合でも、蛇行部mを有する長尺形状のバネ部材22自身が捻じれながら変形する。換言すると、この場合に与えられる外力P1の方向がバネ部材22の変形で緩和される。このため、フレーム21が捻じれることが抑制される。つまりは、フレーム21のz軸方向に沿った変形量が小さくなることが抑制され、つまりは、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。
【0139】
このように、外部磁石60が引き上げられる方向によらず、z軸方向におけるフレーム21の変形量を大きく、つまりは、発電素子32の変形量を大きくすることができる。よって、本変形例においても、発電量が大きい発電装置101が実現される。
【0140】
[効果など]
実施の形態の変形例1をまとめると以下の通りである。変形例1に係る発電装置101は、バネ部材22に設けられる磁性体50を備える。
【0141】
これにより、外部磁石60と磁性体50との間に引力(外力P1)が発生する。この外力P1の方向がバネ部材22の変形で緩和される。このため、外部磁石60が引き上げられる方向によらず、z軸方向におけるフレーム21の変形量を大きく、つまりは、発電素子32の変形量を大きくすることができる。よって、本変形例においても、発電量が大きい発電装置101が実現される。
【0142】
(実施の形態の変形例2)
次に、実施の形態の変形例2について説明する。実施の形態の変形例2では、主に、バネ部材222が垂直に折り曲げられている点が、実施の形態の変形例1と相違する。以下では、実施の形態の変形例1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0143】
実施の形態の変形例1に係る発電装置201の構成例について図16及び図17を用いて説明する。
【0144】
図16は、本実施の形態の変形例2に係る発電装置201の側面図である。より具体的には、図16は、磁性体50と外部磁石60との間に発生している外力P1(引力)を説明するための図でもある。図17は、本実施の形態の変形例2に係る発電装置201の製造方法を説明するための平面図である。
【0145】
発電装置201は、バネ部材22にかえてバネ部材222を備える点を除いて、本実施の形態の変形例1に係る発電装置101と同じ構成を備える。つまり、発電装置201は、発電部材10と、バネ部材222と、ボルト40と、磁性体50とを備える。
【0146】
バネ部材222について説明する。
【0147】
バネ部材222は、2箇所が垂直に折り曲げられている点を除いて、バネ部材22と同じ構成を有する。より具体的には、変形例1に係るバネ部材22が折り曲げられることで、変形例2に係るバネ部材222となる。発電装置101のバネ部材22が、図17が示す2個の一点鎖線によって垂直に折り曲げられることで、バネ部材222となり、発電装置201が得られる。
【0148】
図18は、本実施の形態の変形例2に係る発電装置201が振動する様子を示す側面図である。図18には、フレーム21が振動する前の発電装置201が実線で、フレーム21が振動している発電装置201が二点鎖線で示されている。
【0149】
本実施の形態の変形例1で説明したように、外部磁石60が磁性体50の近傍に近づけられz軸正側に引き上げられることで、磁性体50と外部磁石60との間の外力P1(引力)の発生及び消滅する。この結果、フレーム21において開状態と閉状態とが繰り返されて振動すると、発電素子32は伸長し又は収縮して変形する。
【0150】
本変形例においても、外部磁石60が引き上げられる方向によらず、z軸方向におけるフレーム21の変形量を大きく、つまりは、発電素子32の変形量を大きくすることができる。よって、発電量が大きい発電装置201が実現される。
【0151】
(実施の形態の変形例3)
次に、実施の形態の変形例3について説明する。実施の形態の変形例3では、第1発電部材及び第2発電部材を含む発電部材を備える発電装置500について説明する。以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0152】
[構成]
実施の形態の変形例3に係る発電装置500の構成例について図19を用いて説明する。
【0153】
図19は、本実施の形態の変形例3に係る発電装置500の平面図である。図19が示すように、発電装置500は、第1発電部材10a及び第2発電部材10bを含む発電部材と、バネ部材22と、2個のボルト40a及び40bと、を備える。例えば、発電装置500は、支持台(不図示)に取り付けられている。
【0154】
まず、第1発電部材10a及び第2発電部材10bについて説明する。
【0155】
第1発電部材10a及び第2発電部材10bは、それぞれ実施の形態に係る発電部材10と同じ構成を有する部材である。
【0156】
つまり、第1発電部材10aが有する発電部30a及びフレーム21aはそれぞれ、実施の形態に係る発電部材10が有する発電部30及びフレーム21と同じ構成を有する。同様に、第2発電部材10bが有する発電部30b及びフレーム21bはそれぞれ、実施の形態に係る発電部材10が有する発電部30及びフレーム21と同じ構成を有する。つまり、本変形例に係る発電装置500は、2個の発電部材10を備えるとも言える。
【0157】
第1発電部材10a及び第2発電部材10bは、互いに向かい合って配置されている。第1発電部材10a及び第2発電部材10bは1対となって配置されているとも言える。
【0158】
なお、フレーム21a及びフレーム21bは、フレーム21と同様に長尺形状の部材である。ここでは、フレーム21a及びフレーム21bは、x軸方向に細長く、x軸方向に直線形状となるように配置されている。
【0159】
また、図19が示すように、曲がり部Baと曲がり部Bbとの距離が、自由端部F1aと自由端部F1bとの距離よりも大きくなるように配置されている。自由端部F1aと自由端部F1bとの距離は、特に限定されるものではないが、例えば、数mm以上数十cm以下である。
【0160】
続いて、バネ部材22について説明する。
【0161】
本変形例に係るバネ部材22は、当該バネ部材22の一端と他端とが設けられる位置を除いて、図8などが示す実施の形態に係るバネ部材22と同じ構成を有する。
【0162】
図19が示すように、バネ部材22の一端(より具体的には、x軸負側の一端)は、第1発電部材10aが有するフレーム21aが含む自由端部F1aに設けられる。また、バネ部材22の他端(より具体的には、x軸正側の一端)は、第2発電部材10bが有するフレーム21bが含む自由端部F1bに設けられる。
【0163】
バネ部材22、フレーム21a及びフレーム21bは、長尺形状の部材である。本変形例においては、バネ部材22、フレーム21a及びフレーム21bは、x軸方向に直線形状となるように配置されている。
【0164】
2個のボルト40a及び40bは、それぞれボルト40と同じ構成を有する部材である。
【0165】
本変形例に係る発電装置500は、接触センサとして利用されることができる。例えば、バネ部材22に、被検知体600が接触した場合について、以下説明する。
【0166】
なお、被検知体600は、接触センサとして利用される発電装置500によって、検知される物体であり、例えば、ボール又は岩などである。
【0167】
バネ部材22に被検知体600が接触すると、バネ部材22に外力P1が与えられる。
【0168】
外力P1がz軸方向と平行な方向に発生した場合には、フレーム21が捻じれて振動することはなく、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。
【0169】
さらに、図19が示すように、外力P1がz軸方向と平行でない方向に発生した場合には、蛇行部mを有する長尺形状のバネ部材22自身が捻じれながら変形する。このため、第1発電部材10a及び第2発電部材10bのフレーム21a及びフレーム21bが捻じれることが抑制される。換言すると、外力P1の方向がバネ部材22の変形で緩和される。つまりは、フレーム21a及びフレーム21bのz軸方向に沿った変形量が小さくなることが抑制され、つまりは、z軸方向におけるフレーム21a及びフレーム21bの変形量は十分に大きくなる。
【0170】
このように、バネ部材22に被検知体600が接触する方向によらず、つまりは、外力P1が発生する方向によらず、z軸方向におけるフレーム21a及びフレーム21bの変形量を大きくすることができる。換言すると、第1発電部材10a及び第2発電部材10bのそれぞれの発電素子の変形量を大きくすることができる。よって、本変形例においても、発電量が大きい発電装置500が実現される。
【0171】
従って、電力が生じた場合とは、バネ部材22に被検知体600が接触した場合を意味するため、発電装置500を接触センサとして利用することができる。さらに、発電装置500の発電量が大きいため、接触による外力P1が十分に小さい場合でも発電装置500が発電することができる。このため、発電装置500は、感度の高い接触センサとして利用することができる。
【0172】
[効果など]
本変形例においては、発電部材は、第1発電部材10a及び第2発電部材10bを含む。バネ部材22の一端は、第1発電部材10aが有するフレーム21aが含む自由端部F1aに設けられる。バネ部材22の他端は、第2発電部材10bが有するフレーム21bが含む自由端部F1bに設けられる。
【0173】
これにより、2個の発電部材(つまりは、第1発電部材10a及び第2発電部材10b)によって発電する発電装置500が実現される。また、このような発電装置500は接触センサとしても利用することができる。
【0174】
(実施の形態の変形例4)
次に、実施の形態の変形例4について説明する。実施の形態の変形例4では、第1発電部材及び第2発電部材を含む発電部材を備える発電装置が2個設けられた発電システムについて説明する。以下では、実施の形態の変形例3との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0175】
[構成]
実施の形態の変形例4に係る発電システム1000の構成例について図20及び21を用いて説明する。
【0176】
図20は、本実施の形態の変形例4に係る発電システム1000の平面図である。図21は、本実施の形態の変形例4に係る発電システム1000の側面図である。
【0177】
図20及び図21が示すように、発電システム1000は、発電装置500aと、発電装置500bと、第2板部材700と、スペーサ800と、を備える。例えば、発電システム1000は、支持台2の上方に設けられている。
【0178】
発電システム1000は、外力P1が与えられることにより発電するシステムである。発電システム1000は、例えば、人が歩く又は走ることにより、第2板部材700が踏みつけられ下方に移動することを利用して発電するシステムとして利用されることができる。換言すると、発電システム1000は、床発電として利用されることができる。発電システム1000は、例えば、人が歩く床などに埋め込まれて利用される。
【0179】
発電装置500a及び発電装置500bは、それぞれ実施の形態の変形例3に係る発電装置500と同じ構成を有する装置である。つまり、発電システム1000は、上記の発電装置500を2個備えるとも言える。
【0180】
発電装置500a及び発電装置500bは隣り合って配置されている。なお、発電システム1000は、3個以上の発電装置500を備えていてもよい。
【0181】
ここで、発電装置500a及び発電装置500bにおける蛇行部mについて説明する。
【0182】
発電装置500aが備えるバネ部材22が有する蛇行部mが蛇行する平面と、発電装置500bが備えるバネ部材22が有する蛇行部mが蛇行する平面とは、面一である。ここでは、当該2つの平面はxy平面と平行である。当該2つの平面のそれぞれの支持台2からの高さは、同一である。
【0183】
さらに、発電装置500aにおける蛇行部mが蛇行して延びる方向と、及び発電装置500bにおける蛇行部mが蛇行して延びる方向とは、同一であり、x軸方向である。
【0184】
さらに、第2板部材700について説明する。
【0185】
第2板部材700は、発電装置500a及び発電装置500bのそれぞれにおけるバネ部材22に載置される部材である。本変形例においては、第2板部材700は、人に踏みつけられて、これによる外力P1を受ける部材であり、より具体的には、適度な柔軟性を有する床部材であるとよい。
【0186】
第2板部材700は、2個のバネ部材22の上方に固定されている。第2板部材700と、2個のバネ部材22のそれぞれとは、ボルト40によって固定されてもよく、例えば接着剤によって接着されてもよい。2個のバネ部材22が振動しているときに、第2板部材700が2個のバネ部材22から脱離しなければよい。
【0187】
第2板部材700の形状は、一例として、平板形状であり、図20及び図21が示すように第2板部材700の2つの主面はいずれもxy平面と平行な面である。第2板部材700は、人に踏みつけられるため柔軟性を有するとよい。これにより、第2板部材700は、踏みつけられたことによる外力P1を、ロスすることなくバネ部材22に伝えることができる。
【0188】
続いて、スペーサ800について説明する。
【0189】
スペーサ800は、発電装置500a及び発電装置500bのそれぞれが備えるバネ部材22の変形を制限する制限部材の一例である。より具体的には、スペーサ800は、支持台2と第2板部材700との間に設けられる部材である。
【0190】
また、本変形例においては、図21が示すように、スペーサ800は、フレーム21aが有する固定端部F2aと、フレーム21bが有する固定端部F2bとの間に設置されている。スペーサ800は、柔軟性を有する部材であるとよく、例えば、ゴム材料又はウレタン樹脂などによって構成されているとよい。
【0191】
本変形例においては、外力P1によって2個のバネ部材22、2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bが変形する。仮に外力P1が大きすぎる場合には、2個のバネ部材22、2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bの変形量が大きくなりすぎる。このため、2個のバネ部材22、2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bが破壊される可能性がある。
【0192】
スペーサ800が設けられることで、仮に外力P1が大きすぎる場合でも、2個のバネ部材22、2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bの変形量が大きくなりすぎることが抑制される。このため、2個のバネ部材22、2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bの破壊が抑制される。
【0193】
第2板部材700が例えば人に踏みつけられると、第2板部材700及び2個のバネ部材22に外力P1が与えられる。
【0194】
図21が示すように、外力P1がz軸方向と平行な方向に発生した場合には、フレーム21が捻じれて振動することはなく、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。
【0195】
さらに、外力P1がz軸方向と平行でない方向に発生した場合には、蛇行部mを有する長尺形状のバネ部材22自身が捻じれながら変形する。このため、発電装置500a及び発電装置500bにおける2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bが捻じれることが抑制される。
【0196】
つまりは、2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bのz軸方向に沿った変形量が小さくなることが抑制され、つまりは、z軸方向における2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bの変形量は十分に大きくなる。
【0197】
このように、第2板部材700が人に踏みつけられる方向によらず、つまりは、外力P1が発生する方向によらず、z軸方向における2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bの変形量を大きくすることができる。換言すると、2個の第1発電部材10a及び2個の第2発電部材10bのそれぞれの発電素子の変形量を大きくすることができる。よって、本変形例においては、発電量が大きい発電システム1000が実現される。
【0198】
なお、本変形例においては、第2板部材700は、人に踏みつけられる部材であったがこれに限られない。例えば、第2板部材700は、自動車のタイヤによって外力P1が与えられる部材であってもよく、この場合、発電システム1000は、例えば、車が通る道路などに埋め込まれて利用される。
【0199】
さらに、実施の形態の変形例4に係る発電システム1000から得られる発電量について図22及び図23を用いて説明する。
【0200】
図22は、本実施の形態の変形例4に係る第2板部材700が人に踏みつけられたときの起電力を説明する図である。図23は、本実施の形態の変形例4に係るバネ部材22が指で弾かれたときの起電力を説明する図である。
【0201】
図22においては、発電システム1000から得られた起電力と経時変化とが示されており、第2板部材700が人に踏みつけられたタイミングが黒矢印で示されている。ここでは、人が、約1秒周期で第2板部材700の中央付近を踏み、2個のバネ部材22を変形させた。このように踏み込まれることで、第2板部材700が10mm以上15mm程度変形した。
【0202】
図22が示すように、人が第2板部材700を踏むごとに、約3Vの電圧が発生したことが確認された。例えば、負荷として抵抗のジュール損を仮定すると、人が第2板部材700を踏むごとに、15mW以上20mW以下もの大電力が発生すると推定される。
【0203】
図23においては、バネ部材22が1回だけ指で弾かれることで得られた起電力と、経時変化が示されている。つまり図23においては、発電システム1000が自由振動している。指で弾かれた直後には、20V以上30V以下もの十分に大きな電圧が発生したことが確認された。
【0204】
[効果など]
本変形例においては、発電システム1000は、上記の発電装置500を複数備える。より具体的には、発電システム1000は、発電装置500a及び発電装置500bを備える。2個の発電装置500(つまりは発電装置500a及び発電装置500b)のそれぞれが備えるバネ部材22が有する蛇行部mが蛇行する平面は、面一である。複数(ここでは2個)の蛇行部mが蛇行して延びる方向は同一である。
【0205】
これにより、2個の発電装置500によって発電する発電システム1000が実現される。また、例えば発電システム1000が第2板部材700を備える場合には、第2板部材700を2個のバネ部材22に載置されやすくなる。
【0206】
また、本変形例に係る発電システム1000は、複数(ここでは2個)のバネ部材22に載置される第2板部材700を備える。
【0207】
これにより、第2板部材700が床部材として利用されることができるため、発電システム1000を床発電として利用することができる。
【0208】
また、本変形例に係る発電システム1000は、複数の発電装置(より具体的には、発電装置500a及び発電装置500b)のそれぞれが備えるバネ部材22の変形を制限する制限部材(スペーサ800)を備える。
【0209】
これにより、発電システム1000が床発電として利用された場合に、仮に外力P1が大きすぎる場合でも、2個のバネ部材22、2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bの変形量が大きくなりすぎることが抑制される。つまりは、2個のバネ部材22、2個のフレーム21a及び2個のフレーム21bの破壊が抑制される。
【0210】
(実施の形態の変形例5)
次に、実施の形態の変形例5について説明する。実施の形態の変形例5では、主に、フレーム21とバネ部材22aとが一体物である点が、実施の形態と相違する。以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0211】
[構成]
実施の形態の変形例5に係る発電装置301の構成例について図24及び図25を用いて説明する。
【0212】
図24は、本実施の形態の変形例5に係る発電装置301の平面図である。図25は、本実施の形態の変形例5に係る発電装置301の側面図である。
【0213】
発電装置301は、フレーム21とバネ部材22aとが一体物である点及びボルト40を備えない点を除いて、本実施の形態に係る発電装置1と同じ構成を備える。つまり、発電装置301は、発電部材10と、バネ部材22aとを備える。
【0214】
ここで、バネ部材22aについて説明する。
【0215】
バネ部材22aは、蛇行する蛇行部mを有している。バネ部材22aは、長尺形状の部材であり、本実施の形態においては、蛇行部mが蛇行して延びる方向は、x軸方向である。図24が示すように、蛇行部mは、複数の屈曲領域A1を有する。複数の屈曲領域A1は、蛇行部mにおいて90°に屈曲する領域である。
【0216】
また、y軸方向の蛇行部mの幅を幅d1とし、x軸方向の蛇行部mの幅を幅d2とする。本変形例においては、幅d1と幅d2とは同じ大きさである。
【0217】
長尺形状のバネ部材22aの一端は、フレーム21の自由端部F1に設けられている。ここでは、フレーム21とバネ部材22aとが一体物であるため、バネ部材22aのx軸負側の一端と、フレーム21の自由端部F1との間には、継ぎ目がない。このため、本変形例においては、発電装置301は、ボルト40を備えていない。
【0218】
フレーム21とバネ部材22aとが一体物であり、バネ部材22aはフレーム21と同じ材料によって構成されている。このようなバネ部材22a及びフレーム21は、一体形成されて構成されている。よって、バネ部材22a及びフレーム21を容易に製造することができる。
【0219】
また、バネ部材22aが有する蛇行部mは上記の通り平面上で蛇行しており、当該平面と、自由端部F1における平板形状の主面(ここでは、z軸正側の主面)とは、平行であり、より具体的には、xy平面と平行である。
【0220】
また、バネ部材22aには、実施の形態で示したような第3例及び第4例に係る外力P1が与えられる。この外力P1によってフレーム21が変形し、振動する。
【0221】
フレーム21の自由端部F1に取り付けられるバネ部材22aが設けられることで、てこの原理により、外力P1が小さい場合でもフレーム21が振動することができる。
【0222】
このような発電装置301は、実施の形態に係る発電装置101と同様に発電量が大きい。つまり、実施の形態で示したような第3例及び第4例に係る外力P1が発電装置301に与えられた場合でも、フレーム21の変形量を大きくすることができる。従って、発電素子32の変形量を大きくすることができ、発電量が大きい発電装置301が実現される。
【0223】
[効果など]
本変形例においては、フレーム21とバネ部材22aとは、一体物である。
【0224】
これにより、バネ部材22a及びフレーム21を容易に製造することができる。
【0225】
(実施の形態の変形例6)
次に、実施の形態の変形例6について説明する。実施の形態の変形例6では、主に、蛇行部mの太さが、実施の形態の変形例5と相違する。以下では、実施の形態の変形例5との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0226】
実施の形態の変形例6に係る発電装置401の構成例について図26を用いて説明する。
【0227】
図26は、本実施の形態の変形例6に係る発電装置401の平面図である。
【0228】
発電装置401は、バネ部材22aのかわりにバネ部材22bを備える点を除いて、実施の形態の変形例5に係る発電装置301と同じ構成を備える。つまり、発電装置401は、発電部材10と、バネ部材22bとを備える。
【0229】
バネ部材22bは、幅d1と幅d2との関係を除いて、バネ部材22aと同じ構成を有する。変形例5に係るバネ部材22aにおいては、y軸方向の蛇行部mの幅d1と、x軸方向の蛇行部mの幅d2とは、同じ大きさであった。
【0230】
しかしながら、本変形例においては、y軸方向の蛇行部mの幅d1と、x軸方向の蛇行部mの幅d2とは、異なる値であり、より具体的には、幅d1は、幅d2よりも小さい。
【0231】
つまりは、本変形例に係るバネ部材22bにおいては、蛇行部mの一部と、蛇行部mの他部との太さが異なる。
【0232】
このようなバネ部材22bは、例えば、実施の形態の第4例の外力P1が与えられると、実施の形態の変形例5に係るバネ部材22aに比べて、変形し易くなる。換言すると、バネ部材22bは、外力P1の方向をより緩和し易くなる。よって、第4例に係る外力P1が与えられる場合においても、フレーム21のz軸方向に沿った変形量が小さくなることが抑制され、つまりは、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。このため、発電量が大きい発電装置401が実現される。
【0233】
(実施の形態の変形例7)
次に、実施の形態の変形例7について説明する。実施の形態の変形例7では、主に、磁性体50が設けられる点が、実施の形態の変形例5と相違する。以下では、実施の形態の変形例5との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0234】
実施の形態の変形例7に係る発電装置501の構成例について図27を用いて説明する。
【0235】
図27は、本実施の形態の変形例7に係る発電装置501の平面図である。
【0236】
発電装置501は、磁性体50を備える点を除いて、実施の形態の変形例5に係る発電装置301と同じ構成を備える。つまり、発電装置501は、発電部材10と、バネ部材22aと、磁性体50とを備える。
【0237】
磁性体50は、実施の形態の変形例1と同じく、バネ部材22aに設けられる部材である。より具体的には、磁性体50は、自由端部F1に設けられたバネ部材22aの一端とは異なる他端、つまりは、バネ部材22aのx軸正側の端部に設けられる部材である。なお、磁性体50は、磁性材料によって構成される板形状の部材であるとよい。
【0238】
このような発電装置501は、実施の形態の変形例1に係る発電装置101と同様の挙動を示す。つまりは、発電量が大きい発電装置501が実現される。
【0239】
(実施の形態の変形例8)
次に、実施の形態の変形例8について説明する。実施の形態の変形例8では、主に、複数の錘70が設けられる点が、実施の形態の変形例5と相違する。以下では、実施の形態の変形例5との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0240】
[構成]
実施の形態の変形例8に係る発電装置601の構成例について図28を用いて説明する。
【0241】
図28は、本実施の形態の変形例8に係る発電装置601の平面図である。
【0242】
発電装置601は、複数の錘70を備える点を除いて、実施の形態の変形例5に係る発電装置301と同じ構成を備える。つまり、発電装置601は、発電部材10と、バネ部材22aと、複数の錘70とを備える。
【0243】
錘70は、バネ部材22aに設けられる部材である。複数の錘70は、バネ部材22aのz軸正側に設けられているが、これに限られない。1個の錘70は、自由端部F1に設けられたバネ部材22aの一端とは異なる他端、つまりは、バネ部材22aのx軸正側の端部に設けられる。また、他の2個の錘70は、バネ部材22aの蛇行部mに設けられる。
【0244】
なお、本変形例においては、発電装置601は、3個の錘70を備えているが、これに限られず、1個、2個又は4個以上の錘70を備えていてもよい。
【0245】
錘70とバネ部材22aとは、例えばボルトによって固定されてもよく、例えば接着剤によって接着されてもよい。フレーム21が振動しているときに、複数の錘70がバネ部材22aから脱離しなければよい。
【0246】
[効果など]
本変形例においては、発電装置601は、バネ部材22aに設けられる1個以上の錘70を備える。
【0247】
これにより、バネ部材22a及びフレーム21は、1個以上の錘70のそれぞれに応じた振動モードで振動する。つまりは、錘70を備えていない場合と比べ、発電装置601が発電する際に利用できる振動モードが増加する。このため、発電装置601の発電量を大きくすることができる。
【0248】
(実施の形態の変形例9)
次に、実施の形態の変形例9について説明する。実施の形態の変形例9では、主に、複数のバネ部材が設けられる点が、実施の形態の変形例5と相違する。以下では、実施の形態の変形例5との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0249】
[構成]
実施の形態の変形例9に係る発電装置701の構成例について図29を用いて説明する。
【0250】
図29は、本実施の形態の変形例9に係る発電装置701の側面図である。
【0251】
発電装置701は、複数のバネ部材を備える点及びボルト40を備える点を除いて、実施の形態の変形例5に係る発電装置301と同じ構成を備える。つまり、発電装置701は、発電部材10と、複数のバネ部材(ここでは、2個のバネ部材22a及びバネ部材22c)と、ボルト40とを備える。
【0252】
バネ部材22aは、蛇行する蛇行部mを有している。バネ部材22aにおいては、蛇行部mが蛇行して延びる方向は、x軸方向である。
【0253】
バネ部材22cは、1箇所が垂直に折り曲げられている点を除いて、バネ部材22と同じ構成を有する。バネ部材22cにおいては、蛇行部mが蛇行して延びる方向は、z軸方向である。
【0254】
なお、本変形例においては、バネ部材22a及びバネ部材22cのそれぞれにおいて、蛇行部mが蛇行して延びる方向は上記に限られない。
【0255】
また、バネ部材22aが有する蛇行部mは平面上で蛇行しており、当該平面と、自由端部F1における平板形状の主面(ここでは、z軸正側の主面)とは、平行であり、より具体的には、xy平面と平行である。
【0256】
バネ部材22cが有する蛇行部mは平面上で蛇行しており、当該平面は、yz平面と平行である。
【0257】
また、2個のバネ部材22a及びバネ部材22cの少なくとも一方に、実施の形態で示したような第3例及び第4例に係る外力P1が与えられる。この外力P1によってフレーム21が変形し、振動する。
【0258】
フレーム21の自由端部F1に取り付けられる2個のバネ部材22a及びバネ部材22cが設けられることで、てこの原理により、外力P1が小さい場合でもフレーム21が振動することができる。
【0259】
このような発電装置701は、実施の形態に係る発電装置101と同様に発電量が大きい。つまり、実施の形態で示したような第3例及び第4例に係る外力P1が発電装置701に与えられた場合でも、フレーム21の変形量を大きくすることができる。従って発電素子32の変形量を大きくすることができ、発電量が大きい発電装置701が実現される。
【0260】
[効果など]
本変形例においては、発電装置701は、複数のバネ部材(ここでは、バネ部材22a及びバネ部材22c)を備える。
【0261】
これにより、外力P1が与えられる面積が増えるため、発電装置701は外力P1を受ける機会が増える。このため、発電装置701はより発電し易くなる。
【0262】
(実施の形態の変形例10)
次に、実施の形態の変形例10について説明する。実施の形態の変形例10では、主に、固定端部バネ部材が設けられる点が、実施の形態の変形例6と相違する。以下では、実施の形態の変形例6との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0263】
[構成]
実施の形態の変形例10に係る発電装置801の構成例について図30を用いて説明する。
【0264】
図30は、本実施の形態の変形例10に係る発電装置801の平面図である。
【0265】
発電装置801は、固定端部バネ部材22dを備える点を除いて、実施の形態の変形例6に係る発電装置401と同じ構成を備える。つまり、発電装置801は、発電部材10と、バネ部材22bと、固定端部バネ部材22dとを備える。
【0266】
固定端部バネ部材22dは、固定端部バネ部材22dの一端が固定端部F2に設けられる点を除いて、バネ部材22bと同じ構成を有する。本変形例においては、固定端部バネ部材22dの他端が、支持台に固定されるとよい。固定端部バネ部材22dの他端とは、図30において一点鎖線の矩形で示される領域Rである。
【0267】
このような発電装置801においては、外力が与えられても、当該外力の方向がバネ部材22b及び固定端部バネ部材22dの変形によって緩和される。よって、例えば、実施の形態の第4例に係る外力P1が与えられる場合においても、フレーム21のz軸方向に沿った変形量が小さくなることが抑制され、つまりは、z軸方向におけるフレーム21の変形量は十分に大きくなる。
【0268】
このように、本実施の形態に係る発電装置801は、第3例及び第4例に係る外力P1が与えられた場合でも、フレーム21の変形量を大きくすることができる。従って、発電素子32の変形量を大きくすることができ、発電量が大きい発電装置801が実現される。
【0269】
なお、本変形例においては、固定端部バネ部材22dは、固定端部バネ部材22dの一端が固定端部F2に設けられる点を除いて、バネ部材22bと同じ構成を有したが、これに限られない。例えば、固定端部バネ部材22dは、固定端部バネ部材22dの一端が固定端部F2に設けられる点を除いて、バネ部材22又はバネ部材22aと同じ構成を有してもよい。
【0270】
(その他の実施の形態)
以上、本発明に係る発電装置等について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲に含まれる。
【0271】
実施の形態及び変形例においては、バネ部材22における蛇行部mは、複数の湾曲領域Aなどを有していたがこれに限られない。バネ部材22の他の例について図31を用いて説明する。
【0272】
図31は、本実施の形態に係るバネ部材22の他の例を示す平面図である。
【0273】
図31は、バネ部材22における蛇行部mは、屈曲領域A2を有する。屈曲領域A2は、蛇行部mにおいて60°に屈曲された領域である。
【0274】
図31が示すように、バネ部材22は、湾曲領域Aを有していなくてもよく、S字バネでなくてもよい。
【0275】
フレーム21、フレーム21a及びフレーム21bの形状は、U字形状に限られず、例えば、直線形状であってもよい。この場合、直線形状であるフレーム21、フレーム21a及びフレーム21bの一端が所定の支持台2に固定され、他端にはバネ部材22が取り付けられているとよい。
【0276】
また、実施の形態及び変形例においては発電素子32は、一例として、磁歪素子であったが、これに限られない。例えば、発電素子32として圧電素子などが用いられてもよい。この場合、圧電素子に接続される電極が設けられるとよい。また、フレーム21、フレーム21a及びフレーム21bは、例えば、リン青銅、超弾性材料などによって構成されるとよい。
【0277】
また、実施の形態の変形例7においては、発電装置501は、磁性体50を備えたが、これに限られず、発電装置501は、磁性体50のかわりに、錘70を備えてもよい。
【0278】
また、実施の形態の変形例7においては、発電装置501は、磁性体50を備えたが、これに限られず、発電装置501は、磁性体50のかわりに、第1板部材を備えてもよい。
【0279】
第1板部材は、バネ部材22aに載置される部材である。ここでは、第1板部材は、外力を受ける部材である。第1板部材の形状は、一例として、平板形状であり、第1板部材の2つの主面はいずれもxy平面と平行な面である。
【0280】
このような第1板部材が設けられることで、バネ部材22aに直接外力が与えられることが抑制され、バネ部材22aが破壊され難くなる。
【0281】
第1板部材は、バネ部材22aの上方に固定されている。第1板部材と、バネ部材22aとは、ボルトによって固定されてもよく、例えば接着剤によって接着されてもよい。バネ部材22aが振動しているときに、第1板部材がバネ部材22aから脱離しなければよい。
【0282】
このように、例えば、発電装置501が磁性体50のかわりに、第1板部材を備えてもよい。つまりこの場合の発電装置501は、発電部材10と、バネ部材22aと、第1板部材とを備える。
【0283】
これにより、第1板部材に外力が与えられると、バネ部材22aに直接外力が与えられることが抑制される。よって、バネ部材22aが破壊され難くなる。つまりは、耐久性の高い発電装置501が実現される。
【0284】
また、上記の実施の形態は、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0285】
本発明は、例えば床発電などに利用することができる。
【符号の説明】
【0286】
1、1x、101、201、500、500a、500b、301、401、501、601、701、801 発電装置
2 支持台
10、10x 発電部材
10a 第1発電部材
10b 第2発電部材
21、21a、21b、21x フレーム
22、22a、22b、22c、222 バネ部材
22d 固定端部バネ部材
22x 端部板
30、30a、30b、30x 発電部
31、31x コイル
32、32x 発電素子
33、33x 発電用磁石
40、40a、40b ボルト
50 磁性体
60 外部磁石
70 錘
211、211x 第1内側面
212、212x 第2内側面
213、213x 第1外側面
214、214x 第2外側面
600 被検知体
700 第2板部材
800 スペーサ
1000 発電システム
A 湾曲領域
B、Ba、Bb、Bx 曲がり部
A1、A2 屈曲領域
F1、F1a、F1b、F1x 自由端部
F2、F2a、F2b、F2x 固定端部
P1 外力
m 蛇行部
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