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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128923
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】バランスボード
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/16 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A63B22/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033612
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】505414920
【氏名又は名称】栢野 忠夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】栢野 忠夫
(57)【要約】
【課題】平衡感覚を鍛えるにあたり、不要な力みを伴わず、体軸を適切な位置に保った状態で、トレーニングを行うことができるバランスボードを提供する。
【解決手段】バランスボード1は、トレーニング者の身体と当接可能な載置面11を含む板状の身体載置部10と、基準部位Cを中心にその周囲を、湾曲面21で形成された湾曲部20と、を有し、湾曲部20が載置面11の反対側に配されたバランスボードにおいて、身体載置部10を載せて支える基台30を備え、基台30は、身体載置部10を載せた状態で、湾曲部20と当接可能な支持部31を有すること、支持部31は、身体載置部10から支持部31を介して伝達される荷重に対し、その抗力を、身体載置部10より上方で、かつ基準部位C側に向けた反力を作用させる面として、第2の曲面で形成された支持面32を有してなる。身体載置部10は、支持部31により揺動可能な状態で、基台30に載置されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーニング者の身体と当接可能な載置面を含む板状の身体載置部と、基準部位を中心にその周囲を、第1の曲面で形成された湾曲部と、を有し、該湾曲部が該載置面の反対側に配されたバランスボードにおいて、
前記身体載置部を載せて支える基台を備え、
前記基台は、前記身体載置部を載せた状態の下、前記湾曲部と当接可能な支持部を有すること、
前記支持部は、前記身体載置部から前記支持部を介して伝達される荷重に対し、その抗力を、前記身体載置部より上方で、かつ前記基準部位側に向けた反力を作用させる面として、第2の曲面で形成された支持面を有してなること、
前記身体載置部は、前記支持部により、揺動可能な状態で、前記基台に載置されていること、
を特徴とするバランスボード。
【請求項2】
請求項1に記載するバランスボードにおいて、
前記支持部は、球状に形成され、前記基準部位を通る軸心を中心に、その周囲にある少なくとも3箇所で、前記基台と相対的に回動可能に配設されており、
前記支持面は、前記支持部の球面であること、
を特徴とするバランスボード。
【請求項3】
請求項1に記載するバランスボードにおいて、
前記支持部は、円柱状に形成され、前記基準部位を通る軸心を挟む両側に、前記基台と相対的に回動可能に配設されており、
前記支持面は、前記支持部の外周面であること、
を特徴とするバランスボード。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載するバランスボードにおいて、
前記基台は、前記支持部上に載置した前記身体載置部の傾きを規制する規制面を有すること、
を特徴とするバランスボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平衡感覚を鍛えるバランストレーニングに用いるバランスボードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康意識の高まりから、フィットネス・トレーニングを実践する人が増えており、平衡感覚を鍛えるのに用いる様々な道具が開発されている。その道具の一種に、磁気センサ、電気制御回路等の電装部品や、伝導ギヤセット等の機械ユニットを具備した高機能なトレーニング機器が、特許文献1に例示されている。その他、機械的要素だけで構成された簡易的なトレーニング具(以下、「バランスボード」と称する)も、一般的な道具として普及しており、特に自宅等でも手軽に使用できるため、多くの人の間で幅広く愛用されている。
【0003】
図12は、従来技術に係るバランスボードの概略を示す説明図であり、図12に示すバランスボードを用いてトレーニングを行っている様子を、図13に示す。図12に示すように、一般的に使用されている従来のバランスボード101は、載せた足と当接する載置面111を有する身体載置部110と、載置面111の反対側で、この身体載置部110と連結すると共に、球面(略球面を含む)状の曲面121で形成された接地支持部120を有している。この曲面121は、トレーニング場の床面FLとの当接面になっている。
【0004】
従来のバランスボード101では、図13に示すように、トレーニング者HMが、身体載置部110の載置面111に載った載置状態になると、当該バランスボード101の自重と共に、その者HMの荷重が、接地支持部120の曲面121のうち、床面FLと一箇所で局部的に当接した接地部位Qに作用する。このとき、載置面111上に載るトレーニング者HMの体勢は、非常に不安定な状態である。それ故に、トレーニング者HMは、載置状態を維持し続けようと、身体載置部110の傾きに応じて、自身の体勢(バランス)を常にコントロールしながら調整することで、平衡感覚を鍛えることができるとされている。
【0005】
なお、このような従来技術に係るバランスボード101については、公然実施されている技術であるため、先行技術文献は開示しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-133227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のバランスボード101では、平衡感覚を鍛える上で、阻害要因となる不要な力みを伴い易いという問題があり、この問題は、以下の通り、従来のバランスボード101の構造に起因して生じていた。
【0008】
ここで、説明の便宜上、図13中、左右方向を、床面FLに沿った水平方向HZとし、上下方向を、床面FLと垂直な鉛直方向VTとした上で、載置状態にあるトレーニング者HMの挙動を、鉛直方向VTに沿う直立状態を挟み、左右に振れる二次元的な動作の下で、以下、この問題の発生理由について、説明する。
【0009】
図13に示すように、接地部位Qにおける曲面121の法線は、トレーニング者HMの体軸に相当する仮想軸線AXである。従来のバランスボード101では、トレーニング者HMが載置状態にあるとき、トレーニング者HMが直立状態S0の場合、トレーニング者HMの重心G0は、接地部位Q0の真上で、鉛直方向VTに沿う仮想軸線AX上に位置する。ところが、トレーニング者HMが、左側寄り傾斜状態S1の場合、接地支持部120が、直立状態S0の位置から反時計周り方向に回転することにより、接地部位Q1は、接地部位Q0より左側に移動して、仮想軸線AXも左側に傾き、トレーニング者HMの重心G1の位置は、直立状態S0の重心G0から変化する。同様に、トレーニング者HMが、右側寄り傾斜状態S2の場合、接地支持部120が、直立状態S0の位置から時計周り方向に回転することにより、接地部位Q2は、接地部位Q0より右側に移動して、仮想軸線AXも右側に傾き、トレーニング者HMの重心G2の位置は、直立状態S0の重心G0から変化する。
【0010】
このように、トレーニング者HMが、直立状態S0から、そのまま左右何れかの傾斜状態S1またはS2になると、トレーニング者HMの重心Gは、水平方向HZに対し、直立状態S0の重心G0位置より離れた外側に移動する。このとき、傾斜した仮想軸線AX上に自身の重心Gを置いた状態で、トレーニング者HMが傾斜すれば、トレーニング者HMは、非常に不安定な体勢となって、転倒してしまう虞がある。そのため、トレーニング者HMは、転倒を回避するため、意識的にコントロールして自身の体勢(バランス)を整えようと、特に上体を、直立状態S0の位置に近付けて調整しようとすることから、平衡感覚を鍛える目的以外に、不要な力みを伴うことになる。
【0011】
前述したように、従来のバランスボード101の接地支持部120では、トレーニング者HMは、床面FLに対し、球面状の曲面121内にある接地部位Qで支えられているため、載置状態にあるトレーニング者HMの体勢の変化によって、トレーニング者HMの仮想軸線AXは傾く。すなわち、仮想軸線AXに傾斜を伴った接地支持部120の動きは、床面FLより下方に位置する点Mを中心とした揺動運動となっている。そのため、接地支持部120の挙動が、このような揺動運動になっていることから、トレーニング者HMは、傾斜した仮想軸線AX上に重心Gを置き、転倒を避けて体勢を整えることが困難となる。それ故に、トレーニング者HMは、平衡感覚を鍛えるのにあたり、既述したように、必然的に不要な力みを生んでしまい、体軸(仮想軸線AX)を適切な位置に保った状態で、平衡感覚を鍛えるトレーニングを実施することができていない虞があった。
【0012】
特許文献1は、複雑な構造であるにも関わらず、動作の自由度も限定されたトレーニング機器であるため、体軸を適切な位置に保った状態で、身体を鍛えるトレーニングの用途に適していない。
【0013】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、平衡感覚を鍛えるにあたり、不要な力みを伴わず、体軸を適切な位置に保った状態で、トレーニングを行うことができるバランスボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様におけるバランスボードは、トレーニング者の身体と当接可能な載置面を含む板状の身体載置部と、基準部位を中心にその周囲を、第1の曲面で形成された湾曲部と、を有し、該湾曲部が該載置面の反対側に配されたバランスボードにおいて、前記身体載置部を載せて支える基台を備え、前記基台は、前記身体載置部を載せた状態の下、前記湾曲部と当接可能な支持部を有すること、前記支持部は、前記身体載置部から前記支持部を介して伝達される荷重に対し、その抗力を、前記身体載置部より上方で、かつ前記基準部位側に向けた反力を作用させる面として、第2の曲面で形成された支持面を有してなること、前記身体載置部は、前記支持部により、揺動可能な状態で、前記基台に載置されていること、を特徴とする。
【0015】
この態様によれば、トレーニング者が、本発明のバランスボードを使用してトレーニングを行う場合、身体載置部は、載置面に対し、トレーニング者の立ち位置により、トレーニング者の重心の近傍を中心とした円弧状の揺動運動を行う。このとき、載置面に立つトレーニング者では、身体載置部がたとえ支持部上で傾斜しても、トレーニング者による荷重の反力が、トレーニング者側に作用する。これにより、トレーニング者の重心位置は、水平方向に対し、支持部より内側の範囲内の下で、直立状態の位置から大きく変化しない。そのため、トレーニング者は、身体載置部の載置面上に立っていても、大きな重心移動を伴わず、重心位置を保持し易い状態にあり、自身の体軸を保ちながら、そのままの状態で載置面を強く踏み込むことができるため、自身のバランスを維持して、身体載置部の載置面上に、自然体の姿勢で立ち続けることができる。従って、トレーニングは、身体載置部の載置面上に立っていても、自然体の姿勢を維持することが可能になっていることから、不要な力みの発生を抑制して、バランストレーニングを行うことができる。ひいては、トレーニング者は、本発明のバランスボードの使用により、自身の身体に不要な力みを生じさせず、自然な骨格運動を誘発し、平衡感覚を鍛え、運動機能を向上させることができる。
【0016】
上記の態様において、前記支持部は、球状に形成され、前記基準部位を通る軸心を中心に、その周囲にある少なくとも3箇所で、前記基台と相対的に回動可能に配設されており、前記支持面は、前記支持部の球面であること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、身体載置部では、基準部位を中心とした360度全方位に、制限なく傾斜した揺動運動が可能となる。そのため、身体載置部の載置面上に立つトレーニング者は、左右方向・前後方向をはじめ、あらゆる方向に自身の体勢(バランス)を自在にコントロールしながら、平衡感覚を鍛えるトレーニングを実施することができる。
【0018】
上記の態様において、前記支持部は、円柱状に形成され、前記基準部位を通る軸心を挟む両側に、前記基台と相対的に回動可能に配設されており、前記支持面は、前記支持部の外周面であること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、身体載置部では、シーソーのように、基準部位を支点に、一方向に定めた水平方向と鉛直方向で合成した一方向の揺動運動が可能となる。そのため、身体載置部の載置面上に立つトレーニング者は、例えば、自身の左右方向、または自身の前後方向等のように、自身の体勢(バランス)を一方向にコントロールしながら、自身で強化したい方向の平衡感覚を鍛えるトレーニングを実施することができる。
【0020】
上記の態様において、前記基台は、前記支持部上に載置した前記身体載置部の傾きを規制する規制面を有すること、が好ましい。
【0021】
この態様によれば、トレーニング者が載置面に載っても、身体載置部が必要以上に過度に傾かないため、身体載置部が、載置面上のトレーニング者の立ち位置に起因して、基台から落下するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
従って、本発明に係るバランスボードによれば、平衡感覚を鍛えるにあたり、不要な力みを伴わず、体軸を適切な位置に保った状態で、トレーニングを行うことができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態の実施例1に係るバランスボードの正面図である。
図2図1に示すバランスボードの身体載置部を示す図であり、(A)は載置面側から視た平面図、(B)は正面図である。
図3図1に示すバランスボードの基台を示す図であり、(A)は上方から視た平面図、(B)は正面図である。
図4】実施形態の実施例1に係るバランスボードを、基台から身体載置部を離した状態で示す分解斜視図である。
図5図1に示すバランスボードを用いてトレーニングを行っている様子を示す説明図である。
図6】実施形態の実施例1に係るバランスボードの作用を説明する図である。
図7】実施形態の実施例2に係るバランスボードの正面図である。
図8図7に示すバランスボードの身体載置部を示す図であり、(A)は載置面側から視た平面図、(B)は正面図である。
図9図7に示すバランスボードの基台を示す図であり、(A)は上方から視た平面図、(B)は正面図である。
図10】実施形態の実施例2に係るバランスボードを、基台から身体載置部を離した状態で示す分解斜視図である。
図11】実施形態の実施例2に係るバランスボードの作用を説明する図である。
図12】従来技術に係るバランスボードの概略を示す説明図である。
図13図12に示すバランスボードを用いてトレーニングを行っている様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るバランスボードの実施形態の実施例1、2を、図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係るバランスボードは、平衡感覚を鍛えるトレーニングに用いるトレーニング具である。
【0025】
はじめに、実施形態に係るバランスボード1の概要について、図1図5を用いて説明する。図1は、実施形態の実施例1に係るバランスボードの正面図である。図2は、図1に示すバランスボードの身体載置部を示す図であり、(A)は載置面側から視た平面図、(B)は正面図である。図3は、図1に示すバランスボードの基台を示す図であり、(A)は上方から視た平面図、(B)は正面図である。図4は、実施形態の実施例1に係るバランスボードを、基台から身体載置部を離した状態で示す分解斜視図である。図5は、図1に示すバランスボードを用いてトレーニングを行っている様子を示す説明図である。なお、本実施形態では、図1中、左上‐右下方向、かつ紙面を貫通する方向を「水平方向HZ」、上下方向を「鉛直方向VT」として、バランスボード1の方向を定義する。図2以降の各図面も、図1で定義した方向に準じる。
【0026】
図1図4に示すように、バランスボード1は、大別して、身体載置部10と、湾曲部20と、基台30からなる。身体載置部10は、トレーニング者の身体の一部である両足と当接可能な載置面11を含む板状に形成されている。湾曲部20は、身体載置部10の載置面11の反対側に配され、基準部位Cを中心にその周囲を、湾曲面21(第1の曲面)で形成されている。
【0027】
基台30は、図1に示すように、身体載置部10を載せた状態の下、湾曲部20と当接可能な支持部31を有する。支持部31は、参照する図5に示すように、身体載置部10から支持部31を介して伝達される荷重Wに対し、その抗力Nを、身体載置部10より上方で、かつ基準部位C側に向けた反力を作用させる面として、第2の曲面で形成された支持面32を有してなる。バランスボード1では、身体載置部10は、支持部31により、揺動可能な状態で、基台30に載置されている。基台30は、支持部31上に載置した身体載置部10の傾きを規制する上面35(規制面)を有する。
【0028】
次に、実施例1に係るバランスボード1A(1)について、説明する。図1図4に示すように、実施例1に係るバランスボード1Aでは、身体載置部10は、載置面11を円形状の載置面11Aとした身体載置部10Aとなっていると共に、湾曲部20は、身体載置部10Aの載置面11Aの反対側の中央寄りに配した湾曲部20Aとなっている。湾曲部20Aでは、湾曲面21は、基準部位Cを中心にその周囲を、球面状に拡がった湾曲面21Aとなっている。
【0029】
支持部31は、ちょうどボールベアリングのボールのように、球体に形成された支持部31Aである。支持部31Aは、保持具38Aにより、当該基台30A(基台30)の本体と相対的に回動可能に保持されている。支持部31Aは、基台30Aの本体の上面35A(上面35)より低い位置にある取付け面36Aで、基準部位Cを通る軸心Lを中心に、本実施形態では、その周囲の6箇所に配設されている。支持面32は、支持部31Aの球面全体に対応した湾曲面21Aである。実施例1に係るバランスボード1Aでは、湾曲部20Aの湾曲面21Aは、基台30Aの本体の取付け面36Aと、最も接近する近接部位Pでも離間しているが、この近接部位Pの位置は、身体載置部10Aの揺動運動に拘わらず、不動である。
【0030】
次に、実施例2に係るバランスボード1B(1)について、説明する。図7は、実施形態の実施例2に係るバランスボードの正面図である。図8は、図7に示すバランスボードの身体載置部を示す図であり、(A)は載置面側から視た平面図、(B)は正面図である。図9は、図7に示すバランスボードの基台を示す図であり、(A)は上方から視た平面図、(B)は正面図である。図10は、実施形態の実施例2に係るバランスボードを、基台から身体載置部を離した状態で示す分解斜視図である。
【0031】
図7図10に示すように、実施例2に係るバランスボード1Bでは、身体載置部10は、載置面11を、4つのコーナーをR面取りした略矩形状の載置面11Bとした身体載置部10Bとなっていると共に、湾曲部20は、身体載置部10Bの載置面11Bの反対側の中央寄りに配した湾曲部20Bとなっている。湾曲部20Bでは、湾曲面21は、基準部位Cを中心にその周囲を、円柱の外周面の一部をなす円弧状の曲面で形成された湾曲面21Bとなっている。
【0032】
支持部31は、円柱体に形成された支持部31Bである。支持部31Bは、保持具38Bにより、当該基台30B(基台30)の本体と相対的に回転可能に保持されている。支持部31Bは、基台30Bの本体の上面35B(上面35)より低い位置にある取付け面36Bで、基準部位Cを通る軸心Lを挟む両側に、本実施形態では、各1箇所配設されている。支持面32は、支持部31Bの円柱外周面全体に対応した湾曲面21Bである。実施例2に係るバランスボード1Bでも、湾曲部20Bの湾曲面21Bは、基台30Bの本体の取付け面36Bと、最も接近する近接部位Pでも離間しているが、この近接部位Pの位置は、身体載置部10Bの揺動運動に拘わらず、不動である。
【0033】
次に、実施形態に係るバランスボード1を使って、平衡感覚を鍛えるトレーニングを行う要領について、簡単に説明する。
【0034】
はじめに、トレーニングの実施にあたり、載置面11を上方に向けた基台30を、水平なトレーニング場の床面FLに設置し、湾曲部20の湾曲面21と支持部31の支持面32とが互いに当接するよう、この基台30の支持部31に、身体載置部10の湾曲部20を載せて、バランスボード1を床面FLにセットする。次に、図5に示すように、トレーニング者HMは、バランスボード1の載置面11に両足を載せて、身体載置部10上に立つ。このとき、身体載置部10は、支持部31上で、揺動し易く、かつ不安定な状態に置かれているため、トレーニング者HMは、不安定な身体載置部10上でコントロールしながら自身のバランスをとり、平衡感覚を鍛えるのに必要な所作(エクササイズ)をとって、意識的に立ち続ける。
【0035】
次に、本実施形態に係るバランスボード1の作用・効果について、説明する。図6は、実施形態の実施例1に係るバランスボードの作用を、図11は、実施形態の実施例2に係るバランスボードの作用を、それぞれ説明する図である。
【0036】
本実施形態に係るバランスボード1(1A,1B)は、トレーニング者HMの身体と当接可能な載置面11を含む板状の身体載置部10と、基準部位Cを中心にその周囲を、湾曲面21(第1の曲面)で形成された湾曲部20と、を有し、湾曲部20が載置面11の反対側に配されたバランスボードにおいて、身体載置部10を載せて支える基台30を備え、基台30は、身体載置部10を載せた状態で、湾曲部20と当接可能な支持部31を有すること、支持部31は、身体載置部10から支持部31を介して伝達される荷重Wに対し、その抗力Nを、身体載置部10より上方で、かつ基準部位C側に向けた反力を作用させる面として、第2の曲面で形成された支持面32を有してなること、身体載置部10は、支持部31により、揺動可能な状態で、基台30に載置されていること、を特徴とする。
【0037】
この特徴により、図5に示すように、トレーニング者HMが、バランスボード1を使用してトレーニングを行う場合、身体載置部10は、載置面11に対し、トレーニング者HMの立ち位置により、トレーニング者HMの重心Gの近傍を中心とした円弧状の揺動運動を行う。このとき、載置面11に立つトレーニング者HMでは、身体載置部10がたとえ支持部31上で傾斜しても、図6及び図11に示すように、トレーニング者HMによる荷重Wの反力Nが、トレーニング者HM側に作用する。これにより、トレーニング者HMの重心G位置は、水平方向HZに対し、支持部31より内側の範囲内の下で、直立状態の位置から大きく変化しない。そのため、トレーニング者HMは、身体載置部10の載置面11上に立っていても、大きな重心G移動を伴わず、重心G位置を保持し易い状態にあり、自身の体軸を保ちながら、そのままの状態で載置面11を強く踏み込むことができるため、自身のバランスを維持して、身体載置部10の載置面11上に、自然体の姿勢で立ち続けることができる。従って、トレーニング者HMは、身体載置部10の載置面11上に立っていても、自然体の姿勢を維持することが可能になっていることから、不要な力みの発生を抑制して、トレーニングを行うことができる。
【0038】
ひいては、トレーニング者HMは、バランスボード1の使用により、自身の身体に不要な力みを生じさせず、自然な骨格運動を誘発し、平衡感覚を鍛え、運動機能を向上させることができる。
【0039】
従って、本実施形態に係るバランスボード1によれば、平衡感覚を鍛えるにあたり、不要な力みを伴わず、体軸を適切な位置に保った状態で、トレーニングを行うことができる、という優れた効果を奏する。
【0040】
また、本実施形態に係るバランスボード1A(1)では、支持部31A(支持部31)は、球状に形成され、基準部位Cを通る軸心Lを中心に、その周囲にある合計6箇所で、基台30A(基台30)と相対的に回動可能に配設されており、支持面32A(支持面32)は、支持部31Aの球面であること、を特徴とする。
【0041】
この特徴により、身体載置部10A(10)では、基準部位Cを中心とした360度全方位に、制限なく傾斜した揺動運動が可能となる。そのため、身体載置部10Aの載置面11A(11)上に立つトレーニング者HMは、左右方向・前後方向をはじめ、あらゆる方向に自身の体勢(バランス)を自在にコントロールしながら、平衡感覚を鍛えるトレーニングを実施することができる。
【0042】
また、本実施形態に係るバランスボード1B(1)では、支持部31B(支持部31)は、円柱状に形成され、基準部位Cを通る軸心Lを挟む両側に、基台30B(基台30)と相対的に回動可能に配設されており、支持面32B(支持面32)は、支持部31Bの外周面であること、を特徴とする。
【0043】
この特徴により、身体載置部10B(10)では、シーソーのように、基準部位Cを支点に、一方向に定めた水平方向HZと鉛直方向VTで合成した一方向の揺動運動が可能となる。そのため、身体載置部10Bの載置面11B(11)上に立つトレーニング者HMは、例えば、自身の左右方向、または自身の前後方向等のように、自身の体勢(バランス)を一方向にコントロールしながら、自身で強化したい方向の平衡感覚を鍛えるトレーニングを実施することができる。
【0044】
また、本実施形態に係るバランスボード1では、基台30は、支持部31上に載置した身体載置部10の傾きを規制する上面35を有すること、を特徴とする。
【0045】
この特徴により、トレーニング者HMが載置面11に載っても、身体載置部10が必要以上に過度に傾かないため、身体載置部10が、載置面11上のトレーニング者HMの立ち位置に起因して、基台30から落下するのを防止することができる。
【0046】
以上において、本発明に係るバランスボードを、実施形態に即して説明したが、本発明に係るバランスボードは、実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0047】
例えば、実施形態の実施例1では、支持部を、合計6箇所に配したバランスボードを挙げたが、球状に形成された支持部の場合、支持部は、3箇所以上であれば、実施形態に限定されることなく、種々変更可能である。
【0048】
また、実施形態の実施例1,2では、図5及び図11に示すように、用いるバランスボード1(1A,1B)を1セットとした前提の下、トレーニング者HMは、その身体載置部10の載置面11上に両足を載せて、平衡感覚を鍛えるバランストレーニングを行う様子を紹介した。しかしながら、本発明に係るバランスボードは、2セット併用することにより、トレーニング者の平衡感覚を鍛えるバランストレーニングを行うこともできる。具体的には、トレーニング者は、片側の足を、一のバランスボードの身体載置部の載置面上に載せると共に、反対側の足を、他のバランスボードの身体載置部の載置面上に載せた状態で、平衡感覚を鍛えるトレーニングを実施する。
【0049】
また、実施形態の実施例1,2では、トレーニング者HMは、バランスボード1(1A,1B)の身体載置部10の載置面11上に両足で立って、平衡感覚を鍛えるバランストレーニングを行う様子を紹介した。その他にも、トレーニング者は、床に置いた椅子に座った状態で、この床に配置した、本発明に係るバランスボードの身体載置部の載置面上に、足を載せながら動かす使い方で、エクササイズを実施することにより、本発明に係るバランスボードは、トレーニング者の平衡感覚を鍛えて運動機能を向上させ、運動不足を解消するのに貢献することもできる。
【0050】
また、トレーニング者は、このように椅子に座った状態で、本発明に係るバランスボードを使ってエクササイズを行うとき、補助具である1本の棒材を併用して、エクササイズを実施することもできる。具体的には、本発明に係るバランスボードの身体載置部の載置面上に、棒材を横たわらせた状態の下、トレーニング者は、片側の足を、棒材の一方の端部に係留させると共に、反対側の足を、棒材の他方の端部に係留させる。そして、椅子に座ったトレーニング者は、棒材を載置面上に当接させた状態で、両足により、この棒材を介して、身体載置部を押圧して、基準部位を支点とした360度全方位に傾斜させながら、揺動運動を行うエクササイズである。
【符号の説明】
【0051】
1,1A,1B バランスボード
10 身体載置部
11 載置面
20 湾曲部
21 湾曲面(第1の曲面)
30,30A,30B 基台
31 支持部
31A 支持部(球状の支持部)
31B 支持部(円柱状の支持部)
32 支持面(第2の曲面、支持面)
32A 支持面(支持面)
32B 支持面(支持面)
35,35A,35B (規制面)
C 基準部位
W 荷重
N 抗力、反力
HM トレーニング者
図1
図2
図3
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図5
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図13