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特開2023-128939固体撮像素子パッケージ及び固体撮像素子パッケージ製造方法
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  • 特開-固体撮像素子パッケージ及び固体撮像素子パッケージ製造方法 図1
  • 特開-固体撮像素子パッケージ及び固体撮像素子パッケージ製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128939
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】固体撮像素子パッケージ及び固体撮像素子パッケージ製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033633
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】堀 充啓
(72)【発明者】
【氏名】藤原 雅大
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AB01
4M118BA14
4M118HA02
4M118HA05
4M118HA25
4M118HA30
4M118HA31
(57)【要約】
【課題】基板に対してフレームを正確に位置決した固体撮像素子パッケージを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る固体撮像素子パッケージ1は、実装基板10と、前記実装基板10に実装される固体撮像素子20と、前記固体撮像素子20を囲むよう前記実装基板10に接着される枠状のフレーム30と、前記フレーム30の開口部を覆う透明基板40と、前記実装基板10と前記フレーム30とを接着する接着剤層50と、を備え、前記実装基板10は、前記フレームに対向する複数の基板窪み11を有し、前記フレーム30は、前記基板窪み11と嵌合することにより、当該フレーム30を前記実装基板10の面方向及び法線方向に位置決めする複数のフレーム突起31を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、
前記実装基板に実装される固体撮像素子と、
前記固体撮像素子を囲むよう前記実装基板に接着される枠状のフレームと、
前記フレームの開口部を覆う透明基板と、
前記実装基板と前記フレームとを接着する接着剤層と、
を備え、
前記実装基板は、前記フレームに対向する複数の基板窪み又は基板突起を有し、
前記フレームは、前記基板窪み又は前記基板突起と嵌合することにより、当該フレームを前記実装基板の面方向及び法線方向に位置決めする複数のフレーム突起又はフレーム窪みを有する、固体撮像素子パッケージ。
【請求項2】
前記基板突起又は前記フレーム突起は、半球状又は半楕円球状である、請求項1に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項3】
前記フレームは、熱硬化性樹脂から形成される、請求項1又は2に記載の固体撮像素子パッケージ。
【請求項4】
一方の主面に複数の基板窪み又は基板突起を有する実装基板を形成する工程と、
前記実装基板に固体撮像素子を実装する工程と、
透明基板の一方の主面に樹脂成形により、前記基板窪み又は前記基板突起と嵌合し得る複数のフレーム突起又はフレーム窪みを有する枠状のフレームを形成する工程と、
前記フレームを前記実装基板に接着剤により接着する工程と、
を備え、
前記接着する工程において、前記基板窪み又は前記基板突起と前記フレーム突起又は前記フレーム窪みとの嵌合によって、前記フレームを前記実装基板に対して面方向及び法線方向に位置決めする、固体撮像素子パッケージ製造方法。
【請求項5】
前記フレームは、熱硬化性樹脂のトランスファ成形により形成される、請求項4に記載の固体撮像素子パッケージ製造方法。
【請求項6】
前記固体撮像素子を実装する工程において、前記実装基板に複数の前記固体撮像素子を実装し、
前記接着する工程の後に、前記実装基板、前記フレーム及び前記透明基板の積層体をダイシングすることにより複数の個片に切り分ける工程をさらに備える、請求項4又は5に記載の固体撮像素子パッケージ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子パッケージ及び固体撮像素子パッケージ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子を実装した基板に固体撮像素子を取り囲む枠状のフレームを接着し、フレームの開口をガラス板で覆った固体撮像素子パッケージが利用されている。固体撮像素子とフレームとガラスの相対位置がずれると、フレームの内周面やガラス面での反射光が固体撮像素子に入り込む等の問題が生じる可能性がある。このような位置ずれを防ぐために、高精度な接着作業を行う場合は、人手によるマニュアル作業もしくは画像認識によるアライメント作業を行う必要があり、非常にコストのかかるものであった。また、フレームの位置ずれは、例えばフレームを基板に接着するための接着剤の硬化時の収縮等により生じ得る。そのため、接着剤の硬化時に被着体同士が動かないように固定する必要があり、工程に時間が掛かっていた。
【0003】
基板に対するフレームの位置決めを行うために、フレームに基板側に突出する突起を設け、基板に突起が貫通する貫通孔を形成する技術も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3084092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フレームに設けた突起を基板に設けた貫通孔に挿入してフレームを位置決めし、接着剤により基板とフレームを接着する場合、接着剤の塗布量のバラツキや硬化時の収縮等により、基板とフレームとの距離や固定位置に誤差が生じ、その結果、固体撮像素子に対してフレームが光軸方向に位置ずれしたり、フレームの軸が固体撮像素子の光軸に対して僅かに傾斜したりするおそれがある。
【0006】
このため、本発明は、基板に対してフレームを正確に位置決した固体撮像素子パッケージ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る固体撮像素子パッケージは、実装基板と、前記実装基板に実装される固体撮像素子と、前記固体撮像素子を囲むよう前記実装基板に接着される枠状のフレームと、前記フレームの開口部を覆う透明基板と、前記実装基板と前記フレームとを接着する接着剤層と、を備え、前記実装基板は、前記フレームに対向する複数の基板窪み又は基板突起を有し、前記フレームは、前記基板窪み又は前記基板突起と嵌合することにより、当該フレームを前記実装基板の面方向及び法線方向に位置決めする複数のフレーム突起又はフレーム窪みを有する。
【0008】
上述の固体撮像素子パッケージにおいて、前記基板突起又は前記フレーム突起は、半球状又は半楕円球状であってもよい。
【0009】
上述の固体撮像素子パッケージにおいて、前記フレームは、熱硬化性樹脂から形成されてもよい。
【0010】
本発明の別の態様に係る固体撮像素子パッケージ製造方法は、一方の主面に複数の基板窪み又は基板突起を有する実装基板を形成する工程と、前記実装基板に固体撮像素子を実装する工程と、透明基板の一方の主面に樹脂成形により、前記基板窪み又は前記基板突起と嵌合し得る複数のフレーム突起又はフレーム窪みを有する枠状のフレームを形成する工程と、前記フレームを前記実装基板に接着剤により接着する工程と、を備え、前記接着する工程において、前記基板窪み又は前記基板突起と前記フレーム突起又は前記フレーム窪みとの嵌合によって、前記フレームを前記実装基板に対して面方向及び法線方向に位置決めする。
【0011】
上述の固体撮像素子パッケージ製造方法において、前記フレームは、熱硬化性樹脂のトランスファ成形により形成されてもよい。
【0012】
上述の固体撮像素子パッケージ製造方法において、前記固体撮像素子を実装する工程において、前記実装基板に複数の前記固体撮像素子を実装し、前記接着する工程の後に、前記実装基板、前記フレーム及び前記透明基板の積層体をダイシングすることにより複数の個片に切り分ける工程をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板に対してフレームを正確に位置決めした固体撮像素子パッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子パッケージの構成を示す模式断面図である。
図2図1の固体撮像素子パッケージの製造方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子パッケージ1の構成を示す模式断面図である。
【0016】
固体撮像素子パッケージ1は、実装基板10と、実装基板10に実装される固体撮像素子20と、固体撮像素子20を囲むよう実装基板10に接着される枠状のフレーム30と、フレーム30の開口部を覆う透明基板40と、実装基板10とフレーム30とを接着する接着剤層50と、を備える。
【0017】
実装基板10は、固体撮像素子20及びフレーム30を支持する構造部材である。このため、実装基板10は、十分な剛性を有する材料から形成される。実装基板10は、単なる支持体であってもよいが、固体撮像素子20に電力を供給し、固体撮像素子20から信号を取り出す回路が形成された回路基板であることが好ましい。
【0018】
実装基板10は、固体撮像素子20が実装される側の主面にフレーム30に対向するよう形成され、フレーム30を位置決めするための複数の基板窪み11を有する。基板窪み11は、実装基板10に対するフレーム30の傾斜を防止するために、3つ以上形成されることが好ましい。また、実装基板10は、固体撮像素子20を実装する実装凹部12を有してもよい。
【0019】
基板窪み11は、球状、楕円球状、円柱状又は円錐状に形成され得る。基板窪み11の深さとしては、例えば0.3mm以上3.0mm以下とされ得る。また、基板窪み11の開口径としては、例えば0.5mm以上5.0mm以下とされ得る。後述するフレーム30の構成にもよるが、このような形状の基板窪み11を設けることにより、実装基板10の面方向及び法線方向にフレーム30を正確に位置決めすることができる。
【0020】
実装基板10としては、例えばポリイミド、ポリエステル、セラミック、エポキシ、ビスマレイミドトリアジン、フェノール樹脂等の有機物や、紙やガラス繊維不織布などに前記の有機物を含侵させて加熱硬化させた構造物、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化ケイ素などのセラミック、金属基板などが挙げられる。この中で好ましいものとしてはガラスエポキシ基板、セラミック基板が挙げられる。これら絶縁基板の表面または内部に、金属配線パターンや金属バンプを有する回路を形成することができる。
【0021】
固体撮像素子20は、実装基板10のフレーム30に対向する側に、例えば実装凹部12に実装され得る。固体撮像素子20は、撮像面が実装基板10の主面と平行になるよう、つまり光軸が実装基板10の法線方向と平行になるよう実装される。固体撮像素子20としては、例えばCMOSイメージセンサ等の2次元撮像素子が用いられ得る。固体撮像素子20の実装方法としては、特に限定されず、例えばワイヤボンディング、フリップチップボンディング等の周知の実装技術を採用することができる。
【0022】
フレーム30は、実装基板10及び透明基板40と共に固体撮像素子20を封入する密閉空間を形成する。また、フレーム30は、固体撮像素子20に側方から光が入射することを防止できるよう、黒色の材料、つまり黒色顔料を含有する材料から形成されることが好ましい。さらに、フレーム30は、内周面での反射光が固体撮像素子20に入射することを抑制するために、内周面が透明基板40側に向かって縮径する逆テーパ状に形成されることが好ましく、例えば階段状又はドーム状に透明基板40側で内周面の縮径率がより大きくなるような形状とされることがより好ましい。
【0023】
フレーム30は、耐熱性を有する熱硬化性樹脂から形成されることが好ましい。好ましい熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂(付加型シリコーン樹脂、縮合型シリコーン樹脂、シロキサン結合含有硬化性樹脂)、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0024】
付加型シリコーン樹脂としては、例えば分子内に炭素-炭素二重結合を平均1個以上含む鎖状ポリオルガノシロキサン、ラダー状のポリオルガノシロキサンまたはポリオルガノシルセスキオキサン、かご状のポリオルガノシロキサンまたはポリオルガノシルセスキオキサン、環状シロキサンなど、または分子内にSiH基を平均1個以上含む鎖状ポリオルガノシロキサン、ラダー状のポリオルガノシロキサンまたはポリオルガノシルセスキオキサン、かご状のポリオルガノシロキサンまたはポリオルガノシルセスキオキサン、環状シロキサンなどを少なくとも1種類用いたものが挙げられる。これらのシリコーン成分は、炭素-炭素二重結合を平均1個以上含む分子とSiH基を平均1個以上含む分子の両方に用いることも可能であり、また一般的な炭素-炭素二重結合を平均1個以上含む有機化合物やSiH基を平均1個以上含む化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0025】
縮合型シリコーン樹脂としては、例えば分子内に[Si(R)-](式中Rは炭素数1~50の一価の有機基または水素原子を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。有機基としては炭素数1~50の炭化水素基、アルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。)で表される官能基を平均1個以上含む鎖状ポリオルガノシロキサン、ラダー状のポリオルガノシロキサンまたはポリオルガノシルセスキオキサン、かご状のポリオルガノシロキサンまたはポリオルガノシルセスキオキサン、環状シロキサンなどが挙げられる。
【0026】
シロキサン結合含有樹脂としては特開2005-146191号公報に記載されるように、(A)SiH基と反応性を有する炭素-炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分として含有する硬化性樹脂組成物の硬化物を挙げることができる。
【0027】
(A)成分としては、耐熱性および耐候性に優れる観点から、下記一般式(1)(式中R1は炭素数1~50の一価の有機基または水素原子を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物を用いることができる。
【0028】
【化1】
【0029】
これらの具体的なものとしては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。これらのSiH基と反応性を有する炭素-炭素二重結合を1分子中に2個以上含有する化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートを用いることがより好ましく、基材に対する接着性の観点からジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートがさらに好ましい。
【0030】
(B)成分としては、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に制限は無く、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましい。鎖状ポリオルガノシロキサンの例としては、下記一般式(2)(式中、それぞれのR2、R3は、水素あるいは炭素数1~50の一価の有機基を表し、それぞれのR2、R3は異なっていても同一であってもよいが、少なくとも2個は水素である。nは1~1000の数を表す。)で表される化合物が挙げられる。
【0031】
【化2】
【0032】
R2、R3としては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1~20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1~15の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1~10の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいR2、R3の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、メトキシ基、エトキシ基、ビニル基、アリル基、グリシジル基等が挙げられる。
【0033】
環状ポリオルガノシロキサンの例としては、下記一般式(3)(式中、R4は水素あるいは炭素数1~6の有機基を表し、それぞれのR4は異なっていても同一であってもよいが、少なくとも2個は水素である。nは2~10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
【0034】
【化3】
【0035】
一般式(3)で表される化合物としては、1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられ、入手容易性の観点からは、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0036】
(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。このような材料を使用することによって、高い耐光性および耐熱性を有するフレーム30の形成が容易となる。
【0037】
熱硬化性樹脂には顔料または染料を含むことが好ましく、特に黒色の顔料または染料が好ましい。ここで使用される黒色顔料または染料としては、例えば無機黒色顔料、有機黒色顔料、有機染料などが挙げられる。無機黒色顔料としては、例えばカーボンブラック、黒色低次酸窒化チタン、クロム酸塩系黒色顔料、鉄黒などが挙げられる。黒色有機顔料としては、例えばアントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、アゾ系黒色顔料、ラクタム系黒色顔料等が挙げられる。有機染料としては、例えばアニリンブラックなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。また2種以上の有彩色の顔料を、得られる混合物が黒色となるように、すなわち可視光領域の波長の光を広く吸収するように配合した混色顔料を用いてもよい。
【0038】
フレーム30は、実装基板10の基板窪み11にそれぞれ嵌合する複数のフレーム突起31を有する。フレーム突起31は、基板窪み11に嵌合することにより、フレーム30を実装基板10の面方向及び法線方向に位置決めする。
【0039】
フレーム突起31は、半球状、半楕円球状、円柱状又は円錐状に形成されることが好ましい。半球状又は半楕円球状のフレーム突起31は、精度よく形成することができ、比較的強度が高くなるので、基板窪み11に当接して正確にフレーム30を位置決めできる。接着剤の精度良い塗布、及び、工程時間短縮のためには、フレーム突起31の突出長さは、基板窪み11の深さよりも大きいことが好ましい。これにより、一定の厚みの接着剤層50を形成しつつ、フレーム突起31の先端が基板窪み11の奥部に当接してフレーム30の各部を実装基板10の法線方向に位置決めできる。また、基板窪み11から接着剤を押し出してフレーム突起31と基板窪み11とを当接させることが容易となるよう、フレーム突起31の曲率は基板窪み11の曲率よりも大きいことが好ましい。具体的には、フレーム突起31の突出長さと基板窪み11の深さとの差としては、例えば10μm以上500μm以下とされ得る。また、フレーム突起31の基端部の径と基板窪み11の開口径の差としては、例えば0.1mm以上5.0mm以下とされ得る。突起部の最大直径は窪みの開口径に対し同等か小さいことが好ましく、80~100%であることが特に好ましい。透明基板40と実装基板10のチルト角(透明基板と実装基板の平行度を制御する相対角度)制御のためには、フレーム突起31の突出長さは、基板窪み11の深さよりも浅いことが好ましい。このとき、接着剤により硬化する間は治具等により押し当て続ける必要はあるが、フレーム30と実装基板10の接触する面が大きくなることから、法線方向の精度は高まる。
【0040】
透明基板40は、実装基板10に光が入射することを可能にする。透明基板40は、ガラスやサファイヤなどの透明セラミック、アクリル樹脂やポリカーボネート等の透明プラスチックを用いることができ、信頼性の観点から透明セラミックが好ましい。汎用性の観点から、ガラスが用いられることが好ましい。ガラスの種類は特に限定されないが、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。透明基板40は、フレーム30に接着剤により接着されてもよいが、透明基板40の一方の面に一体成型されることが好ましい。
【0041】
接着剤層50は、フレーム突起31の周囲の実装基板10とフレーム30との隙間に連続して配置されることが好ましい。接着剤層50としては、例えばエポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤等を用いることができる。
【0042】
以上の構成を備える固体撮像素子パッケージ1は、フレーム突起31が基板窪み11に嵌合することにより、実装基板10に対してフレーム30を平行且つ正確な平面位置及び平面角度で接着したものとなる。このため、フレーム30により画定される光路に対する固体撮像素子20の配置が一定となるため、予定しない光の映り込みによるフレア等を防止できる。
【0043】
固体撮像素子パッケージ1は、図2に示す固体撮像素子パッケージ製造方法によって製造できる。図2の固体撮像素子パッケージ製造方法、本発明に係る固体撮像素子パッケージ製造方法の一実施形態である。
【0044】
図2の固体撮像素子パッケージ製造方法は、一方の主面に複数の基板窪み11を有する実装基板10を形成する工程(ステップS1:実装基板形成工程)と、実装基板10に固体撮像素子20を実装する工程(ステップS2:撮像素子実装工程)と、透明基板40の一方の主面に樹脂成形により、基板窪み11と嵌合し得る複数のフレーム突起31を有する枠状のフレーム30を形成する工程(ステップS3:フレーム形成工程)と、フレーム30を実装基板10に接着剤により接着する工程(ステップS4:接着工程)と、接着工程の後に、実装基板10、フレーム30及び透明基板40の積層体をダイシングすることにより複数の固体撮像素子パッケージ1の個片に切り分ける工程(ステップS5:ダイシング工程)と、を備える。
【0045】
ステップS1の実装基板形成工程では、縦横に並んで配置され、それぞれ基板窪み11及び実装凹部12を有する複数の実装基板10を一体化してなり、複数の実装基板10に切り分け可能な実装基板10の連接体を形成することが好ましい。実装基板は銅貼り積層板やセラミクス基板を用いた回路基板から作製できる。また、回路基板形成後にエンドミルやドリル、レーザー加工によって所定の形状の切削加工を行うことでも作製可能である。
【0046】
ステップS2の撮像素子実装工程では、実装基板10の連接体に複数の固体撮像素子20を、具体的には各実装凹部12にそれぞれ固体撮像素子を実装する。
【0047】
ステップS3のフレーム形成工程では、実装基板10の連接体に対応する大判の透明基板40(透明基板40の連接体)に、樹脂成形により複数のフレーム30の連接体を形成する。これによって、複数の固体撮像素子パッケージ1を効率よく製造できると共に、製造誤差も低減できる。
【0048】
フレーム30の間は、樹脂を分配するためのランナ等に対応する枝状の樹脂で部分的に接続されてもよいが、最終的に得られる個片におけるフレーム30の隙間全体に樹脂が充填されることが好ましい。これにより、固体撮像素子パッケージ1の外周に段差が形成されず、実装基板10とフレーム30との剥離等を防止できる。
【0049】
フレーム30は、熱可塑性樹脂を用いる射出成形により形成されてもよいが、耐熱性を向上できる点で、熱硬化性樹脂を用いるトランスファ成形若しくは圧縮成形、熱可塑性及びより高温での熱硬化性を有する樹脂の金型の加熱を伴う射出成形により形成されることが好ましく、中でもバリが発生し難いトランスファ成形や射出成形により形成されることが好ましく、材料の調整及び工程管理が容易なトランスファ成形により形成されることが特に好ましい。
【0050】
フレーム形成工程において、透明基板40とフレーム30との密着性を向上するために、透明基板40の主面に、例えばプラズマ処理、プライマ処理、粗面化処理等の前処理を行ってもよい。
【0051】
ステップS4の接着工程では、基板窪み11とフレーム突起31との嵌合によって、フレーム30を実装基板10に対して面方向及び法線方向に位置決めする。基板窪み11とフレーム突起31との間にも接着剤が入り込み得るが、基板窪み11とフレーム突起31との間に応力が集中して接着剤を押し出すことができるので、基板窪み11とフレーム突起31とを当接させられ、フレーム30の位置決めが阻害されない。
【0052】
接着工程では、実装基板10とフレーム30との隙間全体に接着剤層50を配置するために、フレーム30に接着剤を塗布してから実装基板10に対する接着を行うことが好ましい。接着剤の塗布方法としては、接着剤を薄く塗布した膜にフレーム30を押し当てて接着剤を転写するスタンプ法が好適に採用される。この場合、フレーム30にフレーム突起31が形成されていることにより、接着剤の塗布量を一定にできる効果が得られる。
【0053】
ステップS5のダイシング工程では、実装基板10、接着剤層50、フレーム30及び透明基板40の積層体を周知のダイシング装置を用いて複数の固体撮像素子パッケージ1の個片に分割する。
【0054】
以上のように、本実施形態の固体撮像素子パッケージ製造方法によれば、基板窪み11とフレーム突起31との嵌合によって、実装基板10の対してフレーム30を面方向及び法線方向に位置決めできるため、製造誤差が小さく高性能な固体撮像素子パッケージ1を比較的容易に製造できる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。
【0056】
例として、本発明に係る固体撮像素子パッケージ及び固体撮像素子パッケージ製造方法において、実装基板にフレームに向かって突出する基板突起を形成し、フレームに基板突起が嵌合するフレーム窪みを形成してもよい。基板突起の構成は上述のフレーム突起の構成と同様とすることが好ましくは、フレーム窪みの構成は上述の基板窪みの構成と同様とすることが好ましい。
【0057】
本発明に係る固体撮像素子パッケージ製造方法は、接着工程後にダイシングする方法に限られず、予め個片の大きさの実装基板及び透明基板をダイシングなどにより個片化したものを用意し、個別に実装、フレーム形成及び接着を行うことで固体撮像素子パッケージの個片を得る方法とされてもよい。一方、接着後にダイシングにより複数の撮像素子パッケージに分割する場合、全ての個片に基板窪み又は基板突起とフレーム突起又はフレーム窪みとの嵌合構造を設ける必要はなく、ダイシング前の積層体において少なくとも3つの嵌合構造を設ければよい。
【符号の説明】
【0058】
1 固体撮像素子パッケージ
10 実装基板
11 基板窪み
12 実装凹部
20 固体撮像素子
30 フレーム
31 フレーム突起
40 透明基板
50 接着剤層
図1
図2