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特開2023-12894無線センサ端末及び無線センサシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012894
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】無線センサ端末及び無線センサシステム
(51)【国際特許分類】
   G08C 19/00 20060101AFI20230119BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20230119BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20230119BHJP
【FI】
G08C19/00 J
G08C19/00 G
H04W4/38
H04W28/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116640
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 知紀
【テーマコード(参考)】
2F073
5K067
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA28
2F073AB01
2F073AB05
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE08
2F073EE11
2F073FF01
2F073FG01
2F073GG01
2F073GG04
2F073GG08
5K067AA21
5K067BB27
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067FF02
5K067HH22
5K067LL05
(57)【要約】
【課題】検出データの誤認識を抑制すること。
【解決手段】無線センサ端末は、センサと、センサの検出データを含むパケットを生成するパケット生成部と、パケットのヘッダに付与される乱数を発生する乱数発生部と、ヘッダに乱数が付与されたパケットを送信する送信部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、
前記センサの検出データを含むパケットを生成するパケット生成部と、
前記パケットのヘッダに付与される乱数を発生する乱数発生部と、
前記ヘッダに乱数が付与された前記パケットを送信する送信部と、を備える、
無線センサ端末。
【請求項2】
前記パケット生成部は、同一の検出データを含む複数のパケットを生成し、複数の前記パケットのヘッダのそれぞれに同一の乱数を付与する、
請求項1に記載の無線センサ端末。
【請求項3】
環境発電部と、
前記環境発電部が発電した電力を蓄える蓄電器と、を備え、
前記送信部は、前記蓄電器から放電された電力に基づいて、前記パケットを一定の時間間隔で送信する、
請求項1又は請求項2に記載の無線センサ端末。
【請求項4】
前記環境発電部は、熱電発電モジュールを含む、
請求項3に記載の無線センサ端末。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の無線センサ端末と、
前記無線センサ端末から送信された前記パケットを受信する管理コンピュータと、を備え、
前記管理コンピュータは、前記乱数に基づいて、前記パケットを判別する、
無線センサシステム。
【請求項6】
前記管理コンピュータは、規定時間内に受信した複数のパケットを前記乱数に基づいて判別する、
請求項5に記載の無線センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線センサ端末及び無線センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の対象を識別する場合、対象に識別データが付与される場合がある。特許文献1には、乱数に基づいて空気圧センサにIDを設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-017909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線センサ端末から管理コンピュータに検出データを送信する場合がある。無線センサ端末から管理コンピュータに検出データを送信する場合、管理コンピュータによる検出データの誤認識を抑制する技術が要望される。
【0005】
本開示は、検出データの誤認識を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、センサと、センサの検出データを含むパケットを生成するパケット生成部と、パケットのヘッダに付与される乱数を発生する乱数発生部と、ヘッダに乱数が付与されたパケットを送信する送信部と、を備える、無線センサ端末が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、検出データの誤認識が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る無線センサシステムを模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る無線センサ端末を模式的に示す図である。
図3図3は、実施形態に係る熱電発電モジュールを模式的に示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る無線センサ端末を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係るパケットを模式的に示す図である。
図6図6は、実施形態に係る無線センサシステムの動作を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る無線センサシステムの動作を示す模式図である。
図8図8は、実施形態に係る無線センサシステムの動作を示す模式図である。
図9図9は、実施形態に係る無線センサシステムの動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[無線センサシステム]
図1は、実施形態に係る無線センサシステム1を模式的に示す図である。無線センサシステム1は、無線センサ端末2と、管理コンピュータ3とを備える。無線センサ端末2は、複数設けられる。管理コンピュータ3は、通信システム4を介して複数の無線センサ端末2のそれぞれと無線通信する。
【0011】
実施形態において、無線センサ端末2は、油圧機器5に設置される。無線センサ端末2は、油圧機器5の作動油を検出する。図1に示す例において、無線センサ端末2は、複数の油圧機器5のそれぞれに1つずつ設けられる。なお、1つの油圧機器5に複数の無線センサ端末2が設けられてもよい。
【0012】
[無線センサ端末]
図2は、実施形態に係る無線センサ端末2を模式的に示す図である。図2に示すように、無線センサ端末2は、ハウジング6と、環境発電部7と、光学センサ8と、コントローラ10とを有する。
【0013】
ハウジング6は、環境発電部7、及びコントローラ10を収容する。ハウジング6は、油圧機器5に接触するように配置される。ハウジング6は、受熱部6Aと放熱部6Bとを有する。受熱部6Aは、油圧機器5の表面に接触する。
【0014】
環境発電部7は、無線センサ端末2の電源として機能する。環境発電部7は、環境発電部7が配置される環境の変化に基づいて発電する。実施形態において、環境発電部7は、熱電発電モジュールである。熱電発電モジュールは、油圧機器5が発する熱に基づいて発電する。以下の説明において、環境発電部7を適宜、熱電発電モジュール7、と称する。
【0015】
熱電発電モジュール7は、ゼーベック効果を利用して発電する。油圧機器5は、熱電発電モジュール7の熱源として機能する。熱電発電モジュール7は、受熱部6Aと放熱部6Bとの間に配置される。熱電発電モジュール7の一方の端面が加熱されると、熱電発電モジュール7の一方の端面と他方の端面との間に温度差が与えられる。熱電発電モジュール7の一方の端面と他方の端面との間に温度差が与えられることによって、熱電発電モジュール7が発電する。実施形態において、熱電発電モジュール7の一方の端面は、伝熱部材6Cを介して受熱部6Aに接続される。熱電発電モジュール7の他方の端面は、放熱部6Bに接続される。受熱部6Aは、油圧機器5から熱を受ける。受熱部6Aの熱は、伝熱部材6Cを介して熱電発電モジュール7に伝達される。放熱部6Bは、熱電発電モジュール7からの熱を受ける。放熱部6Bの熱は、無線センサ端末2の周囲の大気空間に放出される。
【0016】
光学センサ8は、油圧機器5の作動油を検出する。光学センサ8は、熱電発電モジュール7が発生する電力により駆動する。光学センサ8は、ハウジング6の外側に配置される。光学センサ8は、油圧機器5の少なくとも一部に支持される。光学センサ8とコントローラ10とは、ケーブルを介して接続される。
【0017】
実施形態において、光学センサ8は、作動油の劣化状態を検出する。光学センサ8は、検出光を射出する射出部と、作動油で反射した検出光を受光する受光部とを有する。作動油が劣化すると、作動油の色が黒色に近付く。作動油が劣化していない場合、受光部で受光される検出光の光量が高くなる。作動油が劣化している場合、受光部で受光される検出光の光量が低くなる。
【0018】
コントローラ10は、無線センサ端末2を制御する。コントローラ10は、回路基板11と、回路基板11に実装されたマイクロコンピュータ12と、回路基板11に実装された無線通信機13とを含む。回路基板11は、支持部材14を介してハウジング6に支持される。
【0019】
マイクロコンピュータ12及び無線通信機13のそれぞれは、熱電発電モジュール7が発生する電力により駆動する。無線通信機13は、管理コンピュータ3と通信する。実施形態において、無線センサ端末2と管理コンピュータ3とは、無線(OTA:Over The Air)技術に基づいて通信する。
【0020】
[熱電発電モジュール]
図3は、実施形態に係る熱電発電モジュール7を模式的に示す斜視図である。熱電発電モジュール7は、p型熱電半導体素子7Pと、n型熱電半導体素子7Nと、第1電極71と、第2電極72と、第1基板73と、第2基板74とを有する。第1基板73の表面と平行な面内において、p型熱電半導体素子7Pとn型熱電半導体素子7Nとは、交互に配置される。第1電極71は、p型熱電半導体素子7P及びn型熱電半導体素子7Nのそれぞれに接続される。第2電極72は、p型熱電半導体素子7P及びn型熱電半導体素子7Nのそれぞれに接続される。p型熱電半導体素子7Pの一方の端面及びn型熱電半導体素子7Nの一方の端面は、第1電極71に接続される。p型熱電半導体素子7Pの他方の端面及びn型熱電半導体素子7Nの他方の端面は、第2電極72に接続される。第1電極71は、第1基板73に接続される。第2電極72は、第2基板74に接続される。
【0021】
p型熱電半導体素子7P及びn型熱電半導体素子7Nのそれぞれは、例えばBiTe系熱電材料を含む。第1基板73及び第2基板74のそれぞれは、セラミックス又はポリイミドのような電気絶縁材料によって形成される。
【0022】
第1基板73が加熱されることによって、p型熱電半導体素子7P及びn型熱電半導体素子7Nのそれぞれの一方の端部と他方の端部との間に温度差が与えられる。p型熱電半導体素子7Pの一方の端部と他方の端部との間に温度差が与えられると、p型熱電半導体素子7Pにおいて正孔が移動する。n型熱電半導体素子7Nの他方の端部と一方の端部との間に温度差が与えられると、n型熱電半導体素子7Nにおいて電子が移動する。p型熱電半導体素子7Pとn型熱電半導体素子7Nとは第1電極71及び第2電極72を介して接続される。正孔と電子とによって第1電極71と第2電極72との間に電位差が発生する。第1電極71と第2電極72との間に電位差が発生することにより、熱電発電モジュール7は電力を発生する。第1電極71にリード線75が接続される。熱電発電モジュール7は、リード線75を介して電力を出力する。
【0023】
[コントローラ]
図4は、実施形態に係る無線センサ端末2を示すブロック図である。無線センサ端末2は、熱電発電モジュール7と、蓄電器70と、光学センサ8と、コントローラ10と、無線通信機13とを有する。
【0024】
コントローラ10は、駆動部15と、取得部16と、パケット生成部17と、乱数発生部18とを有する。無線通信機13は、送信部21を有する。
【0025】
蓄電器70は、熱電発電モジュール7が発電した電力を蓄える。蓄電器70の蓄電量が予め定められている規定値以上になった場合、蓄電器70から電力が放出される。蓄電器70から放出された電力は、光学センサ8、コントローラ10、及び無線通信機13のそれぞれに消費される。すなわち、蓄電器70から放出された電力は、光学センサ8、コントローラ10、及び無線通信機13のそれぞれの駆動に使用される。蓄電器70から電力が放出された後、蓄電器70は、熱電発電モジュール7が発電した電力を再び蓄える。
【0026】
実施形態において、熱電発電モジュール7が発電した電力が蓄電器70に蓄えられる蓄電状態と、蓄電器70に蓄えられた電力が光学センサ8、コントローラ10、及び無線通信機13のそれぞれに消費される消費状態とが繰り返される。蓄電器70は、間欠的に蓄電する。光学センサ8、コントローラ10、及び無線通信機13のそれぞれは、間欠的に駆動する。
【0027】
駆動部15は、光学センサ8を駆動する。駆動部15は、熱電発電モジュール7から供給される電力に基づいて光学センサ8を駆動する駆動回路を含む。なお、駆動部15は、マイクロコンピュータ12の少なくとも一部により構成されてもよい。
【0028】
取得部16は、光学センサ8の検出データを取得する。上述のように、実施形態において、光学センサ8は、間欠的に駆動される。取得部16は、光学センサ8の1回の駆動期間において光学センサ8から出力される検出データを取得する。取得部16は、光学センサ8の検出データを取得する検出回路を含む。なお、取得部16が、マイクロコンピュータ12の少なくとも一部により構成されてもよい。
【0029】
パケット生成部17は、光学センサ8の検出データを含むパケットを生成する。上述のように、光学センサ8及びコントローラ10のそれぞれは、間欠的に駆動される。パケット生成部17は、1回の駆動期間において光学センサ8から出力される検出データにより、1つのパケットを生成する。パケット生成部17は、マイクロコンピュータ12の少なくとも一部により構成される。
【0030】
乱数発生部18は、パケットのヘッダに付与される乱数を発生する。乱数発生部18により発生された乱数は、パケット生成部17に供給される。パケット生成部17は、乱数発生部18により発生された乱数をパケットのヘッダに付与する。乱数発生部18は、マイクロコンピュータ12の少なくとも一部により構成される。
【0031】
図5は、実施形態に係るパケット30を模式的に示す図である。パケット30は、データ部31とヘッダ32とを有する。データ部31は、光学センサ8の検出データを含む。ヘッダ32は、乱数を含む。実施形態において、乱数は、4桁で表される。乱数は、16進数で表される。
【0032】
上述のように、光学センサ8及びコントローラ10は、間欠的に駆動される。パケット生成部17は、蓄電器70から放出された電力に基づいて、パケット30を一定の時間間隔ΔTで生成する。図5に示す例において、検出データA、検出データB、及び検出データCが間欠的に取得される。検出データA,B,Cは、異なるタイミングで取得される。異なるタイミングで取得された検出データA,B,Cのそれぞれに、異なる乱数が付与される。
【0033】
送信部21は、ヘッダ32に乱数が付与されたパケット30を管理コンピュータ3に無線送信することができる。上述のように、無線通信機13は、間欠的に駆動される。送信部21は、蓄電器70から放出された電力に基づいて、パケット30を一定の時間間隔ΔTで送信する。
【0034】
管理コンピュータ3は、無線センサ端末2の送信部21から送信されたパケット30を受信する。管理コンピュータ3は、パケット30のヘッダ32に付与されている乱数に基づいて、パケット30を判別する。管理コンピュータ3は、規定時間Ts内に受信した複数のパケット30を乱数に基づいて判別する。
【0035】
[無線センサシステムの動作]
図6は、実施形態に係る無線センサシステム1の動作を示すフローチャートである。油圧機器5が駆動され、熱電発電モジュール7の一方の端面と他方の端面との間に温度差が与えられると、熱電発電モジュール7が発電する。熱電発電モジュール7が発電した電力は、蓄電器70に蓄えられる。蓄電器70の蓄電量が予め定められている規定値以上になった場合、蓄電器70から電力が放出される。光学センサ8、コントローラ10、及び無線通信機13のそれぞれは、蓄電器70から放出された電力に基づいて駆動する。
【0036】
駆動部15は、蓄電器70から供給される電力に基づいて、光学センサ8の駆動を開始する。光学センサ8の検出データは、取得部16により取得される(ステップS1)。
【0037】
パケット生成部17は、光学センサ8の検出データを含むパケット30を生成する(ステップS2)。
【0038】
乱数発生部18は、パケット30のヘッダ32に付与される乱数を発生する。乱数発生部18により発生された乱数は、パケット生成部17に供給される。パケット生成部17は、乱数発生部18により発生された乱数をパケット30のヘッダ32に付与する(ステップS3)。
【0039】
送信部21は、ヘッダ32に乱数が付与されたパケット30を管理コンピュータ3に送信する(ステップS4)。
【0040】
上述のステップS1からステップS4の処理が、一定の時間間隔ΔTで実施される。時間間隔ΔTは、例えば1秒以上10秒以下である。
【0041】
図7は、実施形態に係る無線センサシステム1の動作を示す模式図である。図7に示す例において、通信システム4は、第1中継器4Aと第2中継器4Bとを含む。1つのパケット30が無線センサ端末2から管理コンピュータ3に送信された場合、通信システム4において同一のパケット30が複数発生する可能性がある。例えば検出データAを含む1つのパケット30が無線センサ端末2から送信された場合、第1中継器4A及び第2中継器4Bを経由して管理コンピュータ3に受信されるパケット30と、第1中継器4Aを経由せずに第2中継器4Bを経由して管理コンピュータ3に受信されるパケット30とが発生する可能性がある。この場合、管理コンピュータ3は、同一のパケット30を2つ同時に受信することとなる。
【0042】
実施形態においては、同一のパケット30が管理コンピュータ3に複数受信された場合、管理コンピュータ3は、乱数に基づいて、パケット30を判別することができる。同一のパケット30のヘッダ32のそれぞれには、同一の乱数が付与される。そのため、管理コンピュータ3は、乱数に基づいて、同時に受信した複数のパケット30が同一のパケット30であるか否かを判別することができる。同一のパケット30を複数受信した場合、管理コンピュータ3は、複数のパケット30のうち1つを選択して、他のパケット30を削除することができる。これにより、管理コンピュータ3が同一の検出データAを複数取り込んでしまうことが抑制される。管理コンピュータ3は、光学センサ8の検出データを適正に管理することができる。
【0043】
図8は、実施形態に係る無線センサシステム1の動作を示す模式図である。図8に示す例において、第1のパケット301に含まれる検出データDが取得されたタイミングと、第2のパケット302に含まれる検出データDが取得されたタイミングとは、異なる。また、第1のパケット301が管理コンピュータ3に送信されるタイミングと、第2のパケット302が管理コンピュータ3に送信されるタイミングとは、異なる。第1のパケット301に含まれる検出データDと第2のパケット302に含まれる検出データDとが偶然に同一でも、2つの検出データDが取得されたタイミングが異なるので、第1のパケット301のヘッダ32に付与される乱数と第2のパケット302のヘッダ32に付与される乱数とは、異なる。したがって、管理コンピュータ3は、第1のパケット301に含まれる検出データDと第2のパケット302に含まれる検出データDとが異なる検出データであることを認識することができる。
【0044】
図8に示す例において、仮にヘッダ32に乱数が付与されていない場合、管理コンピュータ3は、第1のパケット301の検出データDと第2のパケット302の検出データDとが同一のタイミングで取得された検出データなのか異なるタイミングで取得された検出データなのかを認識することが困難となる。実施形態によれば、ヘッダ32に乱数が付与されるので、第1のパケット301の検出データDと第2のパケット302の検出データDとが同一である場合、管理コンピュータ3は、乱数に基づいて、第1のパケット301の検出データDと第2のパケット302の検出データDとが同一のタイミングで取得された検出データなのか異なるタイミングで取得された検出データなのかを認識することができる。
【0045】
管理コンピュータ3は、規定時間Ts内に受信した複数のパケット30を乱数に基づいて判別する。規定時間Tsは、例えば30分以上60分以下である。乱数発生部18は、相互に異なる乱数を順次発生するものの、乱数を発生する期間が長くなると、過去に発生した乱数と同一の乱数を発生する可能性がある。規定時間Tsが長過ぎる場合、異なるタイミングで取得された2つの検出データに同一の乱数が偶然に付与されてしまう可能性がある。規定時間Tsが短く設定されることにより、同一の乱数が付与された異なるパケット30を管理コンピュータ3が受信してしまうことが抑制される。
【0046】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、無線センサ端末2は、光学センサ8と、光学センサ8の検出データを含むパケット30を生成するパケット生成部17と、パケット30のヘッダ32に付与される乱数を発生する乱数発生部18と、ヘッダ32に乱数が付与されたパケット30を管理コンピュータ3に送信する送信部21と、を備える。パケット30に識別データとして乱数が付与されることにより、管理コンピュータ3は、乱数に基づいて、複数のパケット30を識別することができる。したがって、管理コンピュータ3による検出データの誤認識が抑制される。図7を参照して説明したように、同一のタイミングで取得された同一の検出データAを含む複数のパケット30が管理コンピュータ3に受信された場合、管理コンピュータ3は、複数のパケット30のうち1つを選択して、他のパケット30を削除することができる。図8を参照して説明したように、異なるタイミングで取得された同一の検出データDを含む複数のパケット30が管理コンピュータ3に受信された場合、管理コンピュータ3は、複数のパケット30を取り込むことができる。管理コンピュータ3は、光学センサ8の検出データを適正に管理することができる。
【0047】
実施形態において、無線センサ端末2の電源は、環境発電部7である。環境発電部7が発電した電力は、蓄電器70に蓄えらえる。パケット生成部17は、蓄電器70から放出された電力に基づいて、パケット30を一定の時間間隔ΔTで生成する。送信部21は、蓄電器70から放出された電力に基づいて、パケット30を一定の時間間隔ΔTで送信する。無線センサ端末2において蓄電状態と消費状態とが交互に繰り返される。コントローラ10は、間欠的に駆動される。そのため、パケット30に識別データとして例えば通し番号を付与することが困難である。実施形態によれば、パケット30の識別データとして乱数が使用されるので、コントローラ10が間欠的に駆動されても、複数のパケット30のそれぞれに適正な識別データを付与することができる。
【0048】
管理コンピュータ3は、規定時間Ts内に受信した複数のパケット30を乱数に基づいて判別する。規定時間Tsが長過ぎる場合又は規定時間Tsが設定されない場合、異なるタイミングで取得された2つの検出データに同一の乱数が偶然に付与されてしまう可能性がある。規定時間Tsが設定されることにより、同一の乱数が付与された異なるパケット30を管理コンピュータ3が受信してしまうことが抑制される。
【0049】
[その他の実施形態]
図9は、実施形態に係る無線センサシステム1の動作を示す模式図である。図9に示すように、パケット生成部17は、同一の検出データを含む複数のパケット30を生成してもよい。パケット生成部17は、同一の検出データを含む複数のパケット30のヘッダ32のそれぞれに同一の乱数を付与してもよい。
【0050】
図9に示す例において、パケット生成部17は、1つの検出データAについて複数のパケット30Aを生成する。パケット生成部17は、検出データAを含む複数のパケット30Aのヘッダ32のそれぞれに同一の乱数を付与する。送信部21は、複数のパケット30Aを管理コンピュータ3に同時に送信する。
【0051】
パケット生成部17は、パケット30Aを生成してから一定の時間間隔ΔT後に、1つの検出データBについて複数のパケット30Bを生成する。パケット生成部17は、検出データBを含む複数のパケット30Bのヘッダ32のそれぞれに同一の乱数を付与する。送信部21は、パケット30Aを送信してから一定の時間間隔ΔT後に、複数のパケット30Bを管理コンピュータ3に同時に送信する。
【0052】
パケット生成部17は、パケット30Bを生成してから一定の時間間隔ΔT後に、1つの検出データCについて複数のパケット30Cを生成する。パケット生成部17は、検出データCを含む複数のパケット30Cのヘッダ32のそれぞれに同一の乱数を付与する。送信部21は、パケット30Bを送信してから一定の時間間隔ΔT後に、複数のパケット30Cを管理コンピュータ3に同時に送信する。
【0053】
同一の検出データAを含む複数のパケット30Aが送信部21から管理コンピュータ3に送信されることにより、例えば1つのパケット30Aの通信不良が発生しても、管理コンピュータ3が他のパケット30Aを受信できる確率が高くなる。図7を参照して説明したように、同一のパケット30が管理コンピュータ3に複数受信された場合、管理コンピュータ3は、乱数に基づいて、同時に受信した複数のパケット30Aが同一のパケット30Aであるか否かを判定することができる。同一のパケット30Aを複数受信した場合、管理コンピュータ3は、複数のパケット30Aのうち1つを選択して、他のパケット30Aを削除することができる。パケット30B及びパケット30Cについても同様である。
【0054】
上述の実施形態において、無線センサ端末2は、センサとして光学センサ8を有することとした。無線センサ端末2は、センサとして振動センサを有してもよい。振動センサは、油圧機器5の振動を検出することができる。なお、振動センサは、油圧機器とは異なる機器の振動を検出してもよい。油圧機器とは異なる機器として、モータ又は発電機が例示される。
【0055】
上述の実施形態において、環境発電部7は、例えば太陽光発電、振動発電、又は電磁波発電でもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…無線センサシステム、2…無線センサ端末、3…管理コンピュータ、4…通信システム、4A…第1中継器、4B…第2中継器、5…油圧機器、6…ハウジング、6A…受熱部、6B…放熱部、7…熱電発電モジュール(環境発電部)、7N…n型熱電半導体素子、7P…p型熱電半導体素子、8…光学センサ、10…コントローラ、11…回路基板、12…マイクロコンピュータ、13…無線通信機、14…支持部材、15…駆動部、16…取得部、17…パケット生成部、18…乱数発生部、21…送信部、30…パケット、31…データ部、32…ヘッダ、70…蓄電器、71…第1電極、72…第2電極、73…第1基板、74…第2基板、75…リード線。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9