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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128946
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】餅菓子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20230907BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A23L7/10 102
A23G3/34 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033644
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】下岡 千尋
(72)【発明者】
【氏名】小山田 浩規
(72)【発明者】
【氏名】梅田 明宏
【テーマコード(参考)】
4B014
4B023
【Fターム(参考)】
4B014GG03
4B014GG10
4B014GK07
4B014GP04
4B023LC05
4B023LE23
4B023LK15
4B023LL04
(57)【要約】
【課題】気泡安定性が高く、ふわふわしたマシュマロのような食感を十分に有する餅菓子の製造方法を提供する。
【解決手段】乳化剤を含有する起泡剤の存在下で卵白を起泡させて得られる餅生地用メレンゲを餅生地に添加する工程を含むことを特徴とする餅菓子の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤を含有する起泡剤の存在下で卵白を起泡させて得られる餅生地用メレンゲを餅生地に添加する工程を含むことを特徴とする餅菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餅菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大福、団子等の餅菓子は、コンビニや量販店等で多くの種類が販売され、人気を博している。これらの餅菓子は、生地の食感が消費者の人気を左右する重要な要素となっており、近年、特に、ふわふわしたマシュマロのような食感が消費者に好まれている。
【0003】
従来より、餅菓子の食感改善のため、餅生地に起泡剤を添加して餅生地を含気させる方法が行われてきたが、この方法では、餅生地中の気泡が製造工程中(例えば、包餡機による包餡時、冷解凍時等)に破泡してしまう等、気泡の安定性が十分でない場合があり、結果として、ふわふわしたマシュマロのような食感を十分に有していない場合があった。そこで、気泡安定性が高く、ふわふわしたマシュマロのような食感を十分に有する餅菓子を製造する技術が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、気泡安定性が高く、ふわふわしたマシュマロのような食感を十分に有する餅菓子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、餅菓子の製造時に、特定の起泡剤を用いて卵白の起泡物(メレンゲ)を作製し、当該メレンゲを餅生地に添加することで、上記課題を解決できることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
乳化剤を含有する起泡剤の存在下で卵白を起泡させて得られる餅生地用メレンゲを餅生地に添加する工程を含むことを特徴とする餅菓子の製造方法、
からなっている。
【発明の効果】
【0006】
本発明を用いることにより、気泡安定性が高く、ふわふわしたマシュマロのような食感を十分に有する餅菓子を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に用いられる餅生地用メレンゲは、乳化剤を含有する起泡剤の存在下で卵白を起泡させて得られる。
【0008】
上記卵白としては、メレンゲを調整する際に一般的に使用されている卵白であれば特に制限はなく、例えば、生液卵白、殺菌液卵白、凍結卵白、乾燥卵白、濃縮卵白等が挙げられる。
【0009】
上記乳化剤を含有する起泡剤に用いられる乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。ここで、グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸のエステルの他、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が含まれる。これら乳化剤の中でも、グリセリン脂肪酸エステルが好ましい。これら乳化剤は、いずれか1種のみを用いても良いし、2種以上を任意に組み合わせて用いても良い。ただし、餅菓子の風味への影響を考慮した場合、本発明に用いられる起泡剤は、グリセリン脂肪酸エステルを含有し、且つグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤を実質的に含有しないことが好ましい。「グリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤を実質的に含有しない」とは、グリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤を全く含有しないことのみならず、グリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤をわずかに含有するがその含有量が十分に少ないことをも意味する。より具体的には、起泡剤100質量%中のグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤の含有量が通常0.5質量%未満であること、好ましくは0.1質量%未満であることをいう。
【0010】
上記乳化剤を含有する起泡剤としては、例えば、乳化起泡剤、起泡性乳化油脂、流動ショートニング、粉末起泡剤等が挙げられ、乳化起泡剤が好ましい。本発明において乳化起泡剤とは、乳化剤を含有し、且つ油脂を実質的に含有しない乳化組成物である。より具体的には、乳化剤が油相を構成し、水及び/又は多価アルコールが水相として連続相を構成する、ゲル状又はペースト状の乳化組成物である。乳化起泡剤は、乳化剤を水及び/又は多価アルコール中に乳化させることにより調製される。
【0011】
上記乳化起泡剤について「油脂を実質的に含有しない」とは、油脂を全く含有しないことのみならず、油脂をわずかに含有するがその含有量が十分に少ないことをも意味する。より具体的には、乳化起泡剤100質量%中の油脂の含有量が通常3質量%未満であること、好ましくは1質量%未満であることをいう。
【0012】
乳化剤を含有する起泡剤としては、パティグラース-1A(商品名;グリセリン脂肪酸エステルを含有し、且つグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤を実質的に含有しない乳化起泡剤;理研ビタミン社製)、フレンジー100N(商品名;グリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルを含有する乳化起泡剤;理研ビタミン社製)等が商業的に販売されており、餅生地用メレンゲの製造ではこれらを用いることができる。
【0013】
餅生地用メレンゲの製造において、起泡剤の存在下で卵白を起泡させる方法としては、例えば、卵白に起泡剤を添加して撹拌混合する方法等が挙げられる。卵白に対する起泡剤の添加量としては、卵白液100質量部に対し、通常0.5~15質量部、好ましくは5~10質量部である。
【0014】
上記撹拌混合する方法としては特に制限はなく、例えば、卓上ミキサー、縦型ミキサー、ハンドミキサー等の公知の撹拌機を使用する方法等が挙げられる。
【0015】
餅生地用メレンゲの製造において、卵白に起泡剤を添加する際、併せて糖類を添加することもできる。糖類としては特に制限はなく、例えば、砂糖(例えば粉砂糖、グラニュー糖等)、含蜜糖、転化糖、ぶどう糖、果糖、水飴、糖アルコール等が挙げられる。糖類の使用量としては、卵白液100質量部に対し、通常10~80質量部、好ましくは30~60質量部である。
【0016】
餅生地用メレンゲの製造において、卵白に起泡剤を添加する際、本発明の効果を損なわない範囲内で、メレンゲの調整に一般的に用いられる添加物を添加することもできる。該添加物としては、例えば、増粘多糖類・ガム質、ゼラチン、蛋白類、蛋白分解物、果汁、有機酸、無機酸、食物繊維、塩類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、色素、香料等が挙げられる。
【0017】
上記撹拌混合により得られる餅生地用メレンゲの比重としては、通常0.15~0.30、好ましくは0.18~0.22である。
【0018】
本発明の餅菓子の製造方法は、上記した製造方法により得られる餅生地用メレンゲを餅生地に添加する工程を含む。
【0019】
上記餅生地とは、もち米又はうるち米そのもの、あるいはそれらを製粉した米粉(例えば、もち米を製粉した餅粉)や単離したデンプン、あるいはそれらの混合物(以下「餅生地原料」という)に必要に応じて水を加えて蒸煮及び混練等を施して固形化又はゲル化したものをいう。
【0020】
本発明において、餅生地用メレンゲの添加のタイミングに特に制限はないが、例えば、餅生地の調製において、餅生地の蒸練又は蒸し上げ前に添加する方法、蒸練又は蒸し上げ後に添加する方法等が挙げられるが、蒸練又は蒸し上げ後が好ましく、蒸練又は蒸し上げ後、80℃以下に生地温度が下がった後に添加するのがより好ましい。
【0021】
本発明において、餅生地用メレンゲの添加量は、製造される餅菓子の種類、原材料の種類及び配合、製造方法等により異なるため一様ではないが、例えば、餅生地原料100質量部に対して、通常70~150質量部、好ましくは105~130質量部である。
【0022】
本発明における餅菓子とは、餅生地を加工して製造される菓子であれば特に制限はないが、例えば、大福、団子、おはぎ、草もち等が挙げられる。
【0023】
上記餅菓子は、餅生地用メレンゲを餅生地に添加すること以外は、通常の餅菓子と同様の原料を用い、慣用の装置を用いて、常法により製造することができる。
【0024】
以下に本発明を実施例で説明するが、これは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例0025】
[餅生地用メレンゲの製造]
(1)原材料
1)凍結卵白(商品名:凍結卵白(製菓用)500;キユーピータマゴ社製)
2)グラニュー糖(商品名:グラニュ糖;三井製糖社製)
3)起泡剤1(商品名:パティグラース-1A;グリセリン脂肪酸エステルを含有し、且つグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤を実質的に含有しない乳化起泡剤;理研ビタミン社製)
4)起泡剤2(商品名:フレンジー100N;グリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルを含有する乳化起泡剤;理研ビタミン社製)
【0026】
(2)配合量
上記原材料を用いて製造した餅生地用メレンゲ1~3の配合量を表1に示す。なお、餅生地用メレンゲ2につき、起泡剤中の乳化剤の配合量を餅生地用メレンゲ1と統一するため、起泡剤2の配合量を調整した。
【0027】
【表1】
【0028】
(3)製造方法
(3-1)餅生地用メレンゲ1及び2の製造
表1に記載の配合量の4.5倍量の原材料を用いて、解凍した凍結卵白の一部(全量の5分の1)、グラニュー糖、起泡剤1又は2のいずれかを卓上ミキサー(型式:卓上ミキサーN-50;ワイヤーホイッパー装着;ホバート社製)に入れ、低速で撹拌し、起泡剤を均一になるように分散させた。次に、残りの卵白の全量を加え、同ミキサーで均一になるように低速で撹拌混合後、さらに比重0.20以下になるまで撹拌混合して起泡させ、餅生地用メレンゲ1及び2を得た。
【0029】
(3-2)餅生地用メレンゲ3の製造
表1に記載の配合量の4.5倍量の原材料を用いて、解凍した凍結卵白、グラニュー糖を卓上ミキサー(型式:卓上ミキサーN-50;ワイヤーホイッパー装着;ホバート社製)に入れ、比重0.20以下になるまで撹拌混合して起泡させ、餅生地用メレンゲ3を得た。
【0030】
[大福生地の製造]
(1)原材料
1)餅粉(商品名:匠藍糯粉;日の本穀粉社製)
2)水
3)上白糖(商品名:上白糖T.1;東洋精糖社製)
4)β-アミラーゼ(商品名:モチエースBB;理研ビタミン社製)
5)餅生地用メレンゲ1~3
6)起泡剤1(商品名:パティグラース-1A;理研ビタミン社製)
【0031】
(2)配合量
上記原材料を用いて製造した大福生地1~4の配合量を表2に示す。このうち、大福生地1及び2の製造は本発明に係る実施例であり、大福生地3及び4の製造は本発明に係る比較例である。なお、大福生地3につき、餅生地用メレンゲ中の起泡剤以外の成分の配合量を大福生地1及び2と統一するため、餅生地用メレンゲ3の配合量を調整した。
【0032】
【表2】
【0033】
(3)製造方法
(3-1)大福生地1~3の製造
表2に記載の配合量の5倍量の原材料を用いて、餅粉と水を7コート縦型ミキサー(型式:8DML-03-r;フック装着;品川工業所社製)を用いて低速で2分間混合した。次に、該混合物を蒸篭を用いて50分間蒸し上げた。蒸し上がった混合物を同ミキサーを用いて低速で1分間混合した。混合物の温度が80℃まで下がった時点で、β-アミラーゼの全量を倍散した上白糖の一部(全量の6分の1)を加えて、同ミキサーを用いて低速で5分間混合した。次に、残りの上白糖の3分の1の量を加えて同ミキサーを用いて低速で40秒間混合し、この操作をさらに2回繰り返して、残りの上白糖の全量を加えた。最後に、餅生地用メレンゲ1~3のいずれかの4分の1の量を加えて同ミキサーを用いて低速で1分間混合し、この操作をさらに3回繰り返して、餅生地用メレンゲの全量を加え大福生地1~3を得た。
【0034】
(3-2)大福生地4の製造
表2に記載の配合量の5倍量の原材料を用いて、餅粉と水を7コート縦型ミキサー(型式:8DML-03-r;フック装着;品川工業所社製)を用いて低速で2分間混合した。次に、該混合物を蒸篭を用いて50分間蒸し上げた。蒸し上がった混合物を同ミキサーを用いて低速で1分間混合した。混合物の温度が80℃まで下がった時点で、β-アミラーゼの全量を倍散した上白糖の一部(全量の6分の1)、起泡剤1を加えて、同ミキサーを用いて低速で5分間混合した。次に、残りの上白糖の3分の1の量を加えて同ミキサーを用いて低速で40秒間混合し、この操作をさらに2回繰り返して、残りの上白糖の全量を加えた。その後、高速で15分間撹拌して起泡させ、大福生地4を得た。
【0035】
[大福生地の評価試験]
得られた大福生地1~4を、5gずつ分割してポリ容器に入れ、急速凍結機(型式:253FFB;大和冷機工業社製)を用いて-40℃で処理し、冷凍した。冷凍した大福生地を常温で2時間解凍後、冷蔵庫(5℃)に移して3時間保管した。保管後の大福生地を喫食し、食感及び風味について官能評価試験を行った。試験では、表3に示す評価基準に従って5名のパネラーで評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準に従って記号化した。結果を表4に示す。
○:平均点2.5以上
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
結果から明らかなように、大福生地1及び2は、ふわふわしたマシュマロのような食感が十分に感じられた。また大福生地1は風味が良好であった。一方、大福生地3及び4は、ふわふわしたマシュマロのような食感が十分でなかった。
【0039】
[大福の製造]
(1)原材料
1)餅粉(商品名:匠藍糯粉;日の本穀粉社製)
2)水
3)上白糖(商品名:上白糖T.1;東洋精糖社製)
4)β-アミラーゼ(商品名:モチエースBB;理研ビタミン社製)
5)餅生地用メレンゲ1
6)起泡剤1(商品名:パティグラース-1A;理研ビタミン社製)
【0040】
(2)配合量
上記原材料を用いて製造した大福1及び2の配合量を表5に示す。このうち、大福1の製造は本発明に係る実施例であり、大福2の製造は本発明に係る比較例である。
【0041】
【表5】
【0042】
(3)製造方法
(3-1)大福1の製造
表5に記載の配合量の20倍量の原材料を用いて、餅粉と水を30コート縦型ミキサー(型式:HMS型30;フック装着;関東混合機工業社製)を用いて低速で2分間混合した。次に、該混合物を蒸篭を用いて50分間蒸し上げた。蒸し上がった混合物を同ミキサーを用いて低速で2分間混合した。混合物の温度が80℃まで下がった時点で、β-アミラーゼの全量を倍散した上白糖の一部(全量の6分の1)を加えて、同ミキサーを用いて低速で5分間混合した。次に、残りの上白糖の3分の1の量を加えて同ミキサーを用いて低速で1分間混合し、この操作をさらに2回繰り返して、残りの上白糖の全量を加えた。最後に、餅生地用メレンゲ1の4分の1の量を加え、同ミキサーを用いて低速で1分間30秒混合し、この操作をさらに3回繰り返して大福生地を得た。
該生地の比重を測定した後、包餡機(型式:火星人CN-500;レオン自動機社製)に投入し、生地20gで分割し、包餡成型を下記条件にて行い、大福1を得た。なお、大福の中身(フィリング)は何も入れずに製造した。
<包餡機の使用条件>
先端ノズル:φ27LL
固定リング:φ35LL
アジテータ:S-6 速
シャッター:15-R8
【0043】
(3-2)大福2の製造
表5に記載の配合量の40倍量の原材料を用いて、餅粉と水を30コート縦型ミキサー(型式:HMS型30;フック装着;関東混合機工業社製)を用いて低速で2分間混合した。次に、該混合物を蒸篭を用いて50分間蒸し上げた。蒸し上がった混合物を同ミキサーを用いて低速で2分間混合した。混合物が80℃まで下がった時点で、β-アミラーゼの全量を倍散した上白糖の一部(全量の6分の1)、起泡剤1を加えて、同ミキサーを用いて低速で5分間混合した。次に、残りの上白糖の3分の1の量を加えて同ミキサーを用いて低速で1分間混合し、この操作をさらに2回繰り返して、残りの上白糖の全量を加えた。その後、同ミキサーを用いて高速で15分間撹拌して起泡させ、大福生地を得た。該生地の比重を測定した後、大福1の製造における包餡成型と同様の処理を行って、大福2を得た。
【0044】
[大福の評価試験]
(1)食感及び風味の評価
得られた大福1及び2を喫食し、食感及び風味について官能評価試験を行った。試験では、表6に示す評価基準に従って5名のパネラーで評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準に従って記号化した。結果を表7に示す。
○:平均点2.5以上
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0045】
【表6】
【0046】
(2)気泡安定性の評価(包餡前後の生地の比重差の算出)
得られた大福1及び2について、生地の比重を測定し、包餡前後の比重差を算出した。結果を表7に示す。なお、包餡前後の生地の比重の測定については、82mL容プラスチック製タッパーに、隙間のないように適宜変形させながら生地を敷き詰めた後、該生地の質量を測定し、測定された質量(g)を「82」で除して得られる値を比重とした。
【0047】
【表7】
【0048】
結果から明らかなように、実施例品である大福1は、ふわふわしたマシュマロのような食感が十分に感じられた。また風味が良好であった。一方、大福2は、ふわふわしたマシュマロのような食感が十分でなかった。
また、実施例品である大福1は、比較例品である大福2に比べ、比重差が小さく、気泡安定性が高かった。