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  • 特開-棒状ハンガー 図1
  • 特開-棒状ハンガー 図2
  • 特開-棒状ハンガー 図3
  • 特開-棒状ハンガー 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128962
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】棒状ハンガー
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/04 20060101AFI20230907BHJP
   D06F 57/00 20060101ALI20230907BHJP
   A47G 29/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A47K10/04 N
D06F57/00 310E
A47G29/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033669
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】303020347
【氏名又は名称】梅野 薫
(72)【発明者】
【氏名】梅野 薫
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA04
3K100AC10
3K100AD05
3K100AD07
3K100AE01
3K100AE11
3K100AF03
3K100AG03
3K100AH09
3K100AJ05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鉄板などの磁性体をコーティングした浴室壁面において、同一壁面及び直行する壁面に対してタオルなどの物品を掛けることのできる棒状ハンガーであって、容易に壁面に着脱ができ、また体が当たっても怪我をしないことを課題としている。
【解決手段】本発明である棒状ハンガー1aはタオルなどを掛けることのできる棒状体10aの両端に柔軟性を有する軟性継手20aが設けられており、軟性継手の他端には磁石30aが取り付けられている。軟性継手が曲がり磁石をさまざまな角度に調整することができるため、同一壁面でも直行する壁面でも棒状体を保持することができる。また、軟性継手を有しているので身体が本体に当たった際に柔軟継手が曲がって衝撃を緩衝する機能をもつために、怪我をしにくい構造となっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状体と、
前記棒状体の両端に設けられた柔軟性を有する軟性継手と、
前記軟性継手の端部に設けられた磁石を有することを特徴とする棒状ハンガー。
【請求項2】
前記軟性継手と前記磁石の間に支持板を有することを特徴とする請求項1に記載の棒状ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
棒状体の両端に軟性継手を設け、その軟性継手に磁石を設け、浴室などの磁着することのできる壁面に対して磁石を磁着させ、一つの壁面にあるいは2つの壁面にまたいだコーナーに取り付けることのできる棒状ハンガーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タオルや小物などを吊るすために用いる棒状体において、壁面に対して平行に棒状体を取り付ける方法として、伸縮する棒状体の両端に吸盤を用い、壁面に吸盤を吸着することで棒状体を支持するものがあった(例えば特許文献1)。
また、棒状体をコーナー部に取り付けるに際して、棒状体の両端に回動自在の吸盤を設けコーナー壁面の両側に吸盤を吸着させることで棒状体を壁面に取り付けるコナーハンガーがあった(例えば特許文献2)
更に、棒状体をコーナー部に取り付けるに際して、棒状体の両端に回動自在のゴム板を設けそのゴム板に粘着部材を備えることで、棒状体の両端がコーナーの両壁面に粘着しコーナー部壁面間に棒状体を取り付ける壁面取付け棒状体があった(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3150925号
【特許文献2】公開実用昭和63-85175
【特許文献3】特開2015-73886
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2に記載の棒状ハンガーは、吸盤にて壁面に取り付けられている。吸盤は壁面に着脱できて、場所の付け替えがしやすい反面、凹凸のある壁面にとりつけることができない。また、吸盤は次第に形状変化或いは硬化して吸着力が次第に低下し、棒状ハンガーが自然に落下したり、少しの衝撃で吸盤が外れて落下することがあるという問題があった。
特許文献3に記載の棒状ハンガーは壁面に対し両面テープ粘着剤にて取り付けている。この場合、一度貼着すると取り外しが難しく、外して再貼着するためには両面テープなどの粘着剤を再度貼着したり、壁面に付いた糊跡を剥がしたりする必要があり、特に糊跡の問題は深刻で賃貸住宅では現状復帰を懸念して粘着剤で貼着するタイプの棒状のハンガーは使用が難しかった。
【0005】
特に浴室での使用において、特許文献1および特許文献2に記載の棒状ハンガーに用いる吸盤について温度変化・湿度が大きいので吸盤の劣化が早く、吸盤の吸着力が低下し棒状ハンガーが使えなくなることが多くあった。
また、壁面に洗剤の残りや垢の残りがある場合も吸盤の吸着力を低下させ、吸盤が付きにくく棒状ハンガーがすぐに落下することがあった。
また、近年の浴室のパネル壁面は凹凸のある仕様も多くあり、吸盤の使用できない壁面も多い。
【0006】
浴室での使用の場合、特許文献3にある粘着剤による取りつけにおいても、近年の凹凸のあるパネルの壁面については粘着力が十分に発揮できず、早期に棒状ハンガーが落下するという問題があった。
【0007】
また、浴室では使用者が裸であるため、不注意で固い支持棒に接触した場合、衝撃が直接、身体に伝わるために怪我をする可能性があった。
【0008】
また、特許文献1乃至特許文献3にある棒状ハンガーは、壁面に対して平行に支持棒を支持する機能とともに、直行する壁面をまたいで取り付けるコーナーハンガーとして機能という、2つの機能を同時に満足することができなかった。
【0009】
本発明である棒状ハンガーは、高温多湿な環境になる浴室において落下することなく安定的・継続的に壁面に取り付けることができ、壁面に対して平行に取り付けることができるとともに壁面のコーナーにおいても取り付けることができ、使途に応じて何度でも容易に場所を付け替えが容易にでき、体が当たっても怪我の危険性が低いということを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の棒状ハンガーは、棒状体の両端に柔軟性のある軟性継手を有しており、軟性継手の先端には磁石を有している。
柔軟性のある軟性継手の先端にある磁石面が棒状体に対して平行になるまで粘性継手が曲がるように、軟性継手の柔軟性・太さ・および長さが調整されている。
そのため、磁石を同一壁面上に水平に磁着させてタオル等を吊るすハンガーとして使用することができる。また、直行する壁面に対してそれぞれの磁石を磁着させることで、コーナーハンガーとして使用することができる。
【0011】
磁石と軟性継手をつなげるに際して磁石と軟性継手の間に支持板を介しても良い。支持板を設けると磁石を軟性継手に取り付ける際に接着のみならず、螺子や突起による機械的な取付けが行いやすくなり、磁石の取付けを容易にしたり強固に取付けを行うという利点がある。
【0012】
棒状体は伸縮できない1本の棒やパイプであっても構わないが、例えば径の異なる2本のパイプでできており、一方のパイプが他方のパイプの内部にスライドして収まることができ、棒状体の長さを調整し伸縮することができるようにしても良い。尚、棒状体の形状や機能に関してはこれらに限らない。
【発明の効果】
【0013】
近年の浴室に用いる壁面パネルは鉄などの磁石が磁着する磁性体を樹脂等でコーティングしているものが多く、浴室の壁面に磁石を磁着することのできる浴室が多くなっている。
本発明はこのような磁着することのできる壁面パネルの場合、壁面の表面にエンボスデザインがなされて凹凸があっても、磁石が壁面に磁着することができる棒状ハンガーであり、吸盤による吸着や粘着剤による粘着による棒状ハンガーと比べて、壁面に着く強度が安定しているという特徴がある。
【0014】
また、吸盤による吸着や粘着剤による粘着の場合は、一定の強度の衝撃が加わると吸盤や粘着部が外れて棒状ハンガーが落下してしまうが、本発明の磁着の場合は衝撃で位置がずれることはあっても壁面から外れにくく、更に磁石と棒状体の間に軟性継手があるために衝撃を緩衝することができ棒状ハンガーが外れて落下することが少ないという特徴がある。また、軟性継手の柔軟性があることにより磁石を壁面に近づけると、磁力により軟性継手を曲げながら最も強度の高い磁石の位置に自然に導いてくれるため、取付けが容易である。
【0015】
特に本発明の棒状ハンガーを浴室で使用した場合、使用者は裸であり、不注意で棒状ハンガーに体の一部が強く接触した場合でも、柔軟性を有する軟性継手がクッションの役目を担い、接触した際の衝撃を和らげてくれるため、接触による怪我に対する危険性が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明第一の実施形態の斜視図
図2】本発明第一の実施形態の使用状況を表す斜視図1
図3】本発明第一の実施形態の使用状況を表す斜視図2
図4】本発明第二の実施形態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一実施形態)
図1に示すとおり、本発明の第一の実施形態である棒状ハンガー1aは、棒状体10aの両端に柔軟性を有する軟性継手20aが設けられており、軟性継手20aの他端には磁石30aが設けられている。
【0018】
(棒状体)
棒状体10aは、濡れたタオル50を掛けても曲がらない強度を有している。本発明の第一の実施形態である棒状ハンガー1aの棒状体10aは2本のパイプで構成されており、1本のパイプの内部に他方のパイプがおさまり2本のパイプが摺動することで棒状体10aが伸縮する機能を有している。棒状体10aの長さの調節により、棒状体10aにかける物品の大きさに適した長さにすることができる。また、取る着ける位置に伴う調整にも便利である。
尚、棒状体10aは1本の棒やパイプにて構成して伸縮する機能を持たなくても良く、使用する目的に応じて伸縮性の有無、形状、素材を定めればよい。
【0019】
(軟性継手)
軟性継手20aは柔軟性を有している。軟性継手20aの素材として例えば、EVAやポリ塩化ビニル、合成ゴム、生ゴム、シリコンゴムなどの素材でできている。
【0020】
(磁石)
軟性継手20aの先端には磁石30aが設けられている。磁石30aは棒状体10aに掛ける物品の重量や用途によって適宜その形状や大きさや強さを設定する。軟性継手20aに磁石30aを取り付ける方法は例えば接着による取り付け方があるが、取り付け方は接着に限らず穴あきの磁石を用いて螺子を使って軟性継手20と磁石30aを機械的に取り付けるなど、取り付け方は接着に限らない。
【0021】
(軟性継手2)
壁面40は磁着することのできる素材でできている。
本発明である棒状ハンガー1aは図2に示すように壁面40に対し棒状体10aを平行にした状態で取り付けることができるように、軟性継手20aの柔軟性により磁石30aの磁着面と棒状体1aが少なくとも平行になるまで軟性継手20aは曲がることができる。
磁石30aを壁面40に磁着させた際に、軟性継手20aの復元力で磁石30aが壁面40から外れることが無く、目標重量の物品を棒状体10aに掛けても壁面40から外れないように柔軟継手10aの太さ・長さ・柔軟性及び磁石30aの大きさ・磁力が調整されている。
【0022】
(直行する2つの壁面への使用)
壁面40及び壁面41は磁着することのできる素材でできている。
図2に示す通り、棒状ハンガー1aは軟性継手20aを曲げて棒状ハンガー1a両端の磁石30aを同一の壁面40に磁着させてタオル50を掛けることのできるハンガーとして機能している。
更に本発明である棒状ハンガー1aは図3に示すとおり、棒状ハンガー1aの一端の磁石30aを壁面40に磁着させ、その壁面40と直行する壁面41に棒状ハンガー1aの他端の磁石30aを磁着させる。柔軟性を有する軟性継手20aは壁面と磁石で引き合う力により粘性継手20aは曲げられて、自然に最適な位置に磁石30aが壁面に磁着するため、使用者が特に軟性継手20aの曲がりを調整しなくても容易に2つの磁石30aを直行する壁面に取り付けることができ、棒状ハンガー1aはコーナーハンガーとして機能することができる。
尚、2つの壁面は直行している壁面でなくても棒状ハンガー1aの届く距離の壁面であれば壁面が交わる角度は問わない。更に2つの壁面は交わらず距離を隔てていても、棒状ハンガー1aが届く距離に配置されていれば、棒状ハンガー1aは2つの壁面を渡したハンガーとして機能することができる。
【0023】
(第二実施形態)
本発明の第二の実施形態である棒状ハンガー1bは図4に示すとおり、軟性継手20bと磁石30bの取付けを仲介する支持板31bを設けても良い。
軟性継手と磁石のそれぞれの素材によって双方を直接取り付けることが難しい場合がある。支持板31bは軟性継手20bの太さよりも面積が広く、接着や溶着による支持板31bと軟性継手20bの取り付け、或いはピンや突起物などによる機械的な方法で支持板31bと軟性継手20bを取り付けることができる。取付け方法は軟性継手20bと支持板31bの材質・形状によって適宜設定する。
支持板31bは軟性継手20bの太さより面積が広いため、広い面性を有する強い磁石30bを取り付けやすい。接着や溶着に限らず、ピンや螺子や突起物などによる機械的な方法で支持板31bと磁石30bを取り付けることができる。
軟性継手20bと磁石30bの取付けについて、支持板31bを介することで軟性継手20bと磁石30bの取付け方法の選択肢が増え、使用する材質や求める強度による取り付け方の選択肢が増える。例えば軟性継手20bと支持板31bは溶着し、支持板31bと磁石30bは螺着する方法もある。
尚、軟性継手20bの先端に支持板31bにあたる部分を一体的に設けても良い。例えば軟性継手20bを成形する際に支持板31bを一緒に成型して設けることもできる。
【実施例0024】
棒状体10bを径の異なる約30cmの2本のパイプ(外径12mmと外径10mm)で構成し、2本のパイプが摺動することで棒状体10bの伸縮を可能とした。
棒状体10bの両端に設けられた軟性継手20bは素材として直径7mmのEVAを用い、軟性継手20bの一端を棒状体10bの内部に挿し入れシリコン系接着剤とピンで固定した。支持板31bは塩化ビニル素材で厚さ4mm直径20mmの円盤形状とし、軟性継手20bの一端と支持板31bの一方の面をシリコン系接着剤にて接着した。
支持板31bのもう一方の面に直径20mmで穴あきの磁石30bを螺子にて取り付けた。磁石30bは磁力の強いネオジウム系の磁石とした。
図3に示す要領で、磁性体を含む壁面をもつ浴室内において浴室の直行する壁面に棒状体ハンガー1bの両端の磁石30bをそれぞれ磁着させると、棒状ハンガー1bは浴槽60の上方にコーナーハンガーとして機能させ、タオル50を掛けることができた。
その棒状ハンガー1bにおいて試験者が入浴の際、棒状ハンガー1bに接触しても棒状ハンガー1bの軟性継手20bが接触時の衝撃を緩衝し、試験者は接触した身体部位を痛めることがなかった。また、棒状ハンガー1bにおいては、磁石20bの位置が壁面上を少しずれただけでハンガーが壁面より落下することがなかった。
試験者は、一旦棒状ハンガー1bを壁面から取り外し、人体が接触しにくくするため10cmほど高い位置に取り付けたが、磁着なので棒状ハンガー1bは容易に着脱ができた。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は軟性継手を有し、磁着により棒状体を支持することから、磁着を可能とする様々な場所に取り付けることができ、例えば、洗濯機の前面や側面に取り付けることができるし、システムキッチンの扉や冷蔵庫の側面、電子レンジの側面にも取り付けることができる。
磁着なので吸盤のように吸着力が落ちて落下する心配がなく、また粘着テープを用いた時のように糊跡が残ることもないので、取付けの際の不安要素が少ない。
【0026】
また、軟性継手が柔軟性を有しておりフレキシブルに可動することと、強力な磁石を用いると磁石が小さくできることから、キッチンペーパーの芯の空洞に磁石側から挿し凍てれて棒状体を通し、2つの磁石を例えば冷蔵庫の壁面に取り付けることで、冷蔵庫の壁面にキッチンペーパーのような筒状のものを保持することができる。先行技術文献にある棒状ハンガーの吸盤や粘着板は棒状体を支持するためにどうしても部材が大きくなるためキッチンペーパーなどの筒内を通してかつ重量のあるキッチンペーパーを保持することはできなかった。
【0027】
本発明は人が棒状ハンガーにぶつかった場合においても軟性継手が衝撃を和らげるために、人が当たりそうな狭い場所や裸で当たる可能性のある浴室への使用は特に有効である。
【符号の説明】
【0028】
1a 棒状ハンガー
1b 棒状ハンガー
10a 棒状体
10b 棒状体
20a 軟性継手
20b 軟性継手
30a 磁石
30b 磁石
31b 支持板
40 壁面
41 壁面
50 タオル
60 浴槽
図1
図2
図3
図4