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特開2023-128966処理装置、処理システム、処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128966
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】処理装置、処理システム、処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20230907BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033674
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】本田 晃大
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】個人の座席を固定しない職場において、目標の職場環境を実現することのできる処理装置を提供する。
【解決手段】処理装置は、社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音に基づいて、前記社員間の会話回数を記録する記録手段と、複数のランダムな座席表を生成する生成手段と、前記社員間の会話回数に基づいて、前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する特定手段と、を備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音に基づいて、
前記社員間の会話回数を記録する
記録手段と、
複数のランダムな座席表を生成する
生成手段と、
前記社員間の会話回数に基づいて、
前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する
特定手段と、
を備える処理装置。
【請求項2】
前記社員間の会話回数を前記複数のランダムな座席表それぞれに適用することにより評価値を算出する
算出手段を更に備え、
前記特定手段は、
前記評価値に基づいて、
前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記評価値は、
前記社員間の会話回数が多くなるにつれて大きな値となり、
前記社員間の会話回数が少なくなるにつれて小さな値となる、
請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記特定手段は、
社員同士が活発なコミュニケーションをとる職場を目標とする場合、
前記複数のランダムな座席表の中から最も大きな前記評価値を有する座席表を特定する、
請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記特定手段は、
静かな職場を目標とする場合、
前記複数のランダムな座席表の中から最も小さな前記評価値を有する座席表を特定する、
請求項3に記載の処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の処理装置と、
前記処理装置へマイクにより検出した音を送信する電話機と、
を備える処理システム。
【請求項7】
社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音に基づいて、
前記社員間の会話回数を記録し、
複数のランダムな座席表を生成し、
前記社員間の会話回数に基づいて、
前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する、
処理装置の処理方法。
【請求項8】
前記社員間の会話回数を前記複数のランダムな座席表それぞれに適用することにより評価値を算出し、
前記評価値に基づいて、
前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する、
請求項7に記載の処理装置の処理方法。
【請求項9】
前記評価値は、
前記社員間の会話回数が多くなるにつれて大きな値となり、
前記社員間の会話回数が少なくなるにつれて小さな値となる、
請求項8に記載の処理装置の処理方法。
【請求項10】
社員同士が活発なコミュニケーションをとる職場を目標とする場合、
前記複数のランダムな座席表の中から最も大きな前記評価値を有する座席表を特定する、
請求項9に記載の処理装置の処理方法。
【請求項11】
静かな職場を目標とする場合、
前記複数のランダムな座席表の中から最も小さな前記評価値を有する座席表を特定する、
請求項9に記載の処理装置の処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
請求項7から請求項11の何れか一項に記載の処理装置の処理方法
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、処理システム、処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスの中で固定席を持たずに、ノートパソコンなどを活用することで自分の好きな席で働くワークスタイルとして、フリーアドレスがある。特許文献1には、関連する技術として、フリーアドレスオフィスの管理システムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-038552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、個人の座席を固定しない職場において、コミュニケーションが活発に行われる職場や、静かで仕事に集中できる職場など、目標の職場環境を実現することのできる技術が求められている。
【0005】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできる処理装置、処理システム、処理方法およびプログラムを提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、処理装置は、社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音に基づいて、前記社員間の会話回数を記録する記録手段と、複数のランダムな座席表を生成する生成手段と、前記社員間の会話回数に基づいて、前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する特定手段と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、処理システムは、上記処理装置と、前記処理装置へマイクにより検出した音を送信する電話機と、を備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、処理装置の処理方法は、社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音に基づいて、前記社員間の会話回数を記録し、複数のランダムな座席表を生成し、前記社員間の会話回数に基づいて、前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、上記の処理装置の処理方法を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の各態様によれば、個人の座席を固定しない職場において、目標の職場環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態による座席決定システムの構成の一例を示す図である。
図2】本開示の一実施形態における情報INF1の一例を示す図である。
図3】本開示の一実施形態における情報INF2の一例を示す図である。
図4】本開示の一実施形態による座席管理装置が特定する社員の一例を示す図である。
図5】本開示の一実施形態におけるデータテーブルの一例を示す図である。
図6】本開示の一実施形態による座席決定システムの処理フローの第1の例を示す図である。
図7】本開示の一実施形態による座席決定システムの処理フローの第2の例を示す図である。
図8】本開示の一実施形態による座席決定システムの処理フローの第3の例を示す図である。
図9】本開示の一実施形態による座席決定システムの処理フローの第4の例を示す図である。
図10】本開示の一実施形態における社員ごとの会話回数の記録の一例を示す図である。
図11】本開示の一実施形態による座席管理装置が生成したランダムな座席表の一例を示す図である。
図12】本開示の別の実施形態による座席決定システムの構成の一例を示す図である。
図13】本開示の実施形態による処理装置の最小構成を示す図である。
図14】本開示の実施形態による最小構成の処理装置の処理フローの一例を示す図である。
図15】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<実施形態>
図1は、本開示の一実施形態による座席決定システム1の構成の一例を示す図である。座席決定システム1(処理システムの一例)は、図1に示すように、多機能電話機10a、10b、10c、10d、10e、10f(電話機の一例)、電話交換機の主装置20(以下、「主装置20と記載」)、音量確認装置30、座席管理装置40(記録手段、生成手段、特定手段、算出手段を備える処理装置の一例)、ハブ50、モジュラーケーブル60、LAN(Local Area Network)ケーブル70を備える。多機能電話機10a、10b、10c、10d、10e、10fを総称して多機能電話機10という。
【0013】
多機能電話機10のそれぞれは、マイク101を備える。多機能電話機10に対して、集音の開始を指示する指令(すなわち、音量確認の開始の通知)である場合、多機能電話機10のマイク101は、音(音声を含む)を検出し、記録する。すなわちマイク101は、集音する。多機能電話機10のそれぞれは、モジュラーケーブル60を介して主装置20に接続される。多機能電話機10は、集音した音を主装置20に送信する。
【0014】
主装置20は、多機能電話機10を電話回線に接続するための装置である。また、主装置20は、多機能電話機10を、音量確認装置30および座席管理装置40に接続するための装置である。主装置20は、LANケーブル70を介してハブ50に接続される。主装置20は、多機能電話機10から受信した音を、LANケーブル70およびハブ50を介して音量確認装置30に送信する。後述するように、音量確認装置30および座席管理装置40のそれぞれは、LANケーブル70を介してハブ50に接続される。そのため、主装置20、音量確認装置30および座席管理装置40は、互いに通信可能である。
【0015】
音量確認装置30は、LANケーブル70を介してハブ50に接続される。音量確認装置30は、主装置20から受信した音の音量を特定し、特定した音量がしきい値を超えた場合に、その音とともに、その音を送信した多機能電話機10の内線番号を、LANケーブル70およびハブ50を介して座席管理装置40に送信する。音量確認装置30は、例えば、サーバである。
【0016】
座席管理装置40は、多機能電話機10それぞれの配置(すなわち、多機能電話機10それぞれが置かれている座席)と内線番号との関係を示す情報INF1を記憶し、各社員と各社員の当日の座席との関係を示す情報INF2を記憶している。座席管理装置40は、音量確認装置30から受信した内線番号について、対応する社員を特定する。座席管理装置40は、例えば、サーバである。
【0017】
例えば、座席管理装置40は、音量確認装置30から受信した内線番号を、情報INF1において特定する。座席管理装置40は、特定した内線番号に関連付けられている座席を、情報INF1において特定する。座席管理装置40は、特定した座席を、情報INF2において特定する。そして、座席管理装置40は、特定した座席に関連付けられている社員を、情報INF2において特定する。図2は、本開示の一実施形態における情報INF1の一例を示す図である。図3は、本開示の一実施形態における情報INF2の一例を示す図である。図4は、本開示の一実施形態による座席管理装置40が特定する社員の一例を示す図である。座席管理装置40は、音量確認装置30から内線番号1を受信した場合、図2に示す情報INF1において、内線番号1を特定し、その内線番号1に関連付けられている座席SAを特定する。座席管理装置40は、図3に示す情報INF2において、特定した座席SAを特定し、その座席SAに関連付けられている社員Aを特定する。なお、情報INF1が図2に示す情報であり、情報INF2が図3に示す情報である場合、座席管理装置40は、多機能電話機10aが置かれている座席SAに社員Aを特定した上述と同様の方法により、多機能電話機10bが置かれている座席SBに社員B、多機能電話機10cが置かれている座席SCに社員C、多機能電話機10dが置かれている座席SDに社員D、多機能電話機10eが置かれている座席SEに社員E、多機能電話機10fが置かれている座席SFに社員Fを特定する。
【0018】
また、座席管理装置40は、音および内線番号を受信し、社員を特定する度に、その音を特定した社員の1回の会話として会話回数に加算する。また、座席管理装置40は、その社員の座席に隣接する座席に置かれている多機能電話機10がその音から所定時間内にしきい値以上の音を検出した場合、その多機能電話機10が置かれている座席の社員が会話の相手であるものとして、会話回数に加算する。
【0019】
図5は、本開示の一実施形態におけるデータテーブルTBL1の一例を示す図である。例えば、図4に示すように、各社員の座席が決まり、音量確認装置30が、多機能電話機10bについてしきい値以上の音を検出し、座席SBに隣接する座席SA、SC、SEのうち、座席SEの多機能電話機10eについて、多機能電話機10bの音から所定時間内にしきい値以上の音を検出した場合、座席管理装置40は、図5のデータテーブルTBL1に示すように、その日付(図5では10月1日)における社員Bの社員Eとの会話回数を1回増加させる(すなわち、社員間の会話回数を記録する)。なお、ここで示す例では座席SBに隣接する座席としては、座席SDと座席SFを除外しているが、座席SBに隣接する座席として座席SDと座席SFを含むものであってもよい。
【0020】
また、座席管理装置40は、データテーブルTBL1に基づいて、新たな座席表を生成する。新たな座席表の生成の詳細については後述する。
【0021】
ハブ50は、LANケーブル70を介して接続される装置どうしを通信可能にする装置である。モジュラーケーブル60は、電話機を電話回線につなぐためのケーブル(いわゆる、電話線)である。LANケーブル70は、通信ネットワークに接続するためのケーブルである。
【0022】
次に、本開示の一実施形態による座席決定システム1が行う処理について説明する。図6は、本開示の一実施形態による座席決定システム1の処理フローの第1の例を示す図である。図7は、本開示の一実施形態による座席決定システム1の処理フローの第2の例を示す図である。図8は、本開示の一実施形態による座席決定システム1の処理フローの第3の例を示す図である。図9は、本開示の一実施形態による座席決定システム1の処理フローの第4の例を示す図である。ここでは、座席決定システム1が行う会話回数を記録する処理、および新たな座席表を生成する処理について説明する。
【0023】
まず、図6図8を参照して、座席決定システム1が行う会話回数を記録する処理について説明する。図6に示すステップS101~ステップS106は、座席決定システム1の多機能電話機10が行う処理である。ある社員が座席の多機能電話機10は、何らかの命令や着信を受信した、またはオフフックやボタンの押下等の操作が行われたか否かを判定する(ステップS101)。多機能電話機10は、何らかの命令や着信を受信した、またはオフフックやボタンの押下等の操作が行われていないと判定した場合(ステップS101においてNO)、ステップS101の処理に戻す。また、多機能電話機10は、何らかの命令や着信を受信した、またはオフフックやボタンの押下等の操作が行われたと判定した場合(ステップS101においてYES)、それが集音の開始を指示する指令(すなわち、音量確認の開始の通知)であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0024】
多機能電話機10は、それが集音の開始を指示する指令であると判定した場合(ステップS102においてYES)、多機能電話機10のマイク101による集音を開始し、音量確認装置30へ音を送信し続ける(ステップS103)。この送信は、集音の終了を指示する指令を受信するまで継続する。
【0025】
多機能電話機10は、集音の終了を指示する指令(すなわち、音量確認の終了の通知)であるか否かを判定する(ステップS104)。多機能電話機10は、集音の終了を指示する指令であると判定した場合(ステップS104においてYES)、マイク101による集音を中断し、音量確認装置30への音の送信を終了する(ステップS105)。また、多機能電話機10は、集音の終了を指示する指令でないと判定した場合(ステップS104においてNO)、受信した内容に応じた処理を行う(ステップS106)。
【0026】
図7に示すステップS201~ステップS204は、座席決定システム1の音量確認装置30が行う処理である。音量確認装置30は、多機能電話機10のそれぞれから音を示す情報を受信する(ステップS201)。音量確認装置30は、受信した音がしきい値を超えているか否かを判定する(ステップS202)。音量確認装置30は、受信した音がしきい値を超えていないと判定した場合(ステップS202においてNO)、処理を中断し、ステップS201の処理に戻す。また、音量確認装置30は、受信した音がしきい値を超えていると判定した場合(ステップS202においてYES)、その音が事前に登録された環境音(例えば、電車や踏切、チャイムなどの音)であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0027】
音量確認装置30は、その音が環境音であると判定した場合(ステップS203においてYES)、ステップS201の処理に戻す。また、音量確認装置30は、その音が環境音ではないと判定した場合(ステップS203においてNO)、内線番号を座席管理装置40に送信する(ステップS204)。
【0028】
図8に示すステップS301~ステップS305は、座席決定システム1の座席管理装置40が行う処理である。なお、ここで行う処理の説明では、図4に示すように、多機能電話機10bを使用する社員Bの音(すなわち、音声)がしきい値を超え、隣接する座席SAには多機能電話機10aが、隣接する座席SCには多機能電話機10cが、隣接する座席SEには多機能電話機10eがそれぞれ置かれているものと仮定する。
【0029】
座席管理装置40は、内線番号を受信したか否かを判定する(ステップS301)。座席管理装置40は、内線番号を受信しないと判定した場合(ステップS301においてNO)、ステップS301の処理に戻す。また、座席管理装置40は、内線番号を受信したと判定した場合(ステップS301においてYES)、社員Bの音、すなわち、多機能電話機10bと同じタイミングで多機能電話機10b以外の多機能電話機10がしきい値を超える音を検出したか否かを判定する(ステップS302)。なお、社員Bの声が大きく、社員Bの座席SBに隣接する座席に置かれた多機能電話機10a、10c、10eの何れかのマイク101がしきい値を超える社員Bの声を検出する可能性があり、各社員の会話回数を誤ってカウントする可能性がある。ステップS302から次に説明するステップS305までの処理は、各社員の会話回数を誤ってカウントすることを防止する処理である。
【0030】
座席管理装置40は、多機能電話機10bと同じタイミングで多機能電話機10b以外の多機能電話機10がしきい値を超える音を検出したと判定した場合(ステップS302においてYES)、多機能電話機10bを含めた多機能電話機10のうち最大の音量を検出した多機能電話機を特定する(ステップS303)。そして、座席管理装置40は、特定した多機能電話機10が置かれている座席に隣接する座席の多機能電話機10のうち所定時間内にしきい値以上の音を検出した多機能電話機を会話相手の多機能電話機10として会話回数を1増加させる(ステップS304)。なお、このステップS304においても、接する座席の多機能電話機10のうち所定時間内にしきい値以上の音を検出した多機能電話機を、会話相手の多機能電話機10と特定するものであってもよい。
【0031】
また、座席管理装置40は、多機能電話機10bと同じタイミングで多機能電話機10b以外の多機能電話機10がしきい値を超える音を検出しないと判定した場合(ステップS302においてNO)、最大の音量を検出した多機能電話機を多機能電話機10bと特定する(ステップS305)。そして、座席管理装置40は、ステップS304の処理に進める。座席管理装置40は、ステップS304の処理を行うことにより、例えば、図5に示すデータテーブルTBL1のように、各社員について、会話相手ごとの会話回数を記録する。
【0032】
図9に示すステップS401~ステップS406は、座席決定システム1の座席管理装置40が行う処理である。座席管理装置40は、全社員について、ステップS304の処理において会話回数を増加させた社員(すなわち、会話相手)ごとの所定期間における(例えば、1日あたりの)平均会話回数を算出する(ステップS401)。座席管理装置40は、このステップS401の処理を全社員のすべての会話相手に対して実行する。
【0033】
図10は、本開示の一実施形態における社員ごとの会話回数の記録の一例を示す図である。図10に示す例は、社員Bについての会話回数の記録の一例である。座席管理装置40は、10月1日から10月7日までの1週間において、ステップS304の処理により、例えば図10に示すように、会話回数を記録した場合、会話相手ごとの会話回数の総和を、座席が隣接する座席になった日にちで除算することにより、所定期間における(この場合1日あたりの)平均会話回数を、算出する。具体的には、例えば図10に示すように、会話回数を記録した場合、座席管理装置40は、社員Bが社員Aに話しかけた1日当たりの平均会話回数を図10の(a)の部分に示されている会話回数の総和22回を、図10の(b)の部分に示されている座席が隣接した日数3日で除算した7.33(回/日)と算出する。同様に、座席管理装置40は、図10の(c)の部分に示すように、社員Bが社員Cに話しかけた1日当たりの平均会話回数を、会話回数の総和18回を座席が隣接した日数4日で除算した4.25(回/日)、社員Bが社員Dに話しかけた1日当たりの平均会話回数を、会話回数の総和7回を座席が隣接した日数2日で除算した3.50(回/日)、社員Bが社員Eに話しかけた1日当たりの平均会話回数を、会話回数の総和24回を座席が隣接した日数3日で除算した8.00(回/日)、社員Bが社員Fに話しかけた1日当たりの平均会話回数を、会話回数の総和12回を座席が隣接した日数2日で除算した6.00(回/日)と算出する。
【0034】
座席管理装置40は、全社員についてランダムな座席表を生成する(ステップS402)。座席管理装置40は、生成したランダムな座席表に対してステップS401の処理において算出した所定期間における平均会話回数を当てはめることにより、社員間でどの程度の頻度で会話が発生するのかを算出する(ステップS403)。図11は、本開示の一実施形態による座席管理装置40が生成したランダムな座席表の一例を示す図である。図11に示す例では、社員Bの座席は、社員A、社員C、社員Eの座席と隣り合っており、図11の座席表に対して座席管理装置40は、予測する会話回数を、隣接する座席の会話相手に話しかけた図10について説明した方法で算出する所定期間における平均会話回数の総和19.58(=7.33+4.25+8.00)(回/日)と算出する。
【0035】
座席管理装置40は、ステップS403の処理を全社員に対して行う。そして、座席管理装置40は、ステップS403の処理で算出した全社員の会話の予測回数の総和を算出することにより、その座席表に対する評価値を算出する(ステップS404)。なお、この評価値は、値が大きくなるにつれて会話が多くなることを示し、値が小さくなるにつれて会話が少なくなることを示す。
【0036】
座席管理装置40は、ステップS402~ステップS404の処理を所定回数行ったか否かを判定する(ステップS405)。座席管理装置40は、ステップS402~ステップS404の処理を所定回数行っていないと判定した場合(ステップS405においてNO)、ステップS402の処理に戻す。また、座席管理装置40は、ステップS402~ステップS404の処理を所定回数行ったと判定した場合(ステップS405においてYES)、複数生成した座席表のうち最も適した評価値の座席表を特定し、翌日の座席表として使用する(ステップS406)。最も適した評価値の座席表とは、会話が多くコミュニケーションが活発な職場にする(目標の一例)場合、複数作成された座席表のうち、最も大きな評価値を有する座席表であり、静かで集中できる職場にする(目標の一例)場合、複数作成された座席表のうち、最も小さな評価値を有する座席表である。
【0037】
なお、ステップS405の所定回数を少なくすることにより、会話が多い社員の組み合わせまたは会話が少ない社員の組み合わせが連続する確率を低くすることが可能になる。これにより、運用初期のデータ収集を目的とした場合や、ある程度のランダム性を持たせた座席の生成を実行することができる。また、ステップS405の所定回数を多くすることにより、会話が多い社員の組み合わせまたは会話が少ない社員の組み合わせが連続する確率を高くすることが可能になる。また、ステップS405の処理をすべての座席の組み合わせに対して行うことにより、座席表における各社員の座席のランダム正を軽減することが可能になる。
【0038】
以上、本開示の一実施形態による座席決定システム1について説明した。座席決定システム1において、座席管理装置40(記録手段の一例)は、社員ごとの座席に置かれる多機能電話機10のマイク101により検出された音に基づいて、前記社員間の会話回数を記録する。座席管理装置40(生成手段の一例)は、複数のランダムな座席表を生成する。座席管理装置40(特定手段の一例)は、前記社員間の会話回数に基づいて、前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する。こうすることにより、個人の座席を固定しない職場において、目標の職場環境を実現することができる。
【0039】
なお、本開示の別の実施形態による座席決定システム1では、音量確認装置30および座席管理装置40は、1つの装置(例えば、1つのサーバ)により実現されるものであってもよい。図12は、本開示の別の実施形態による座席決定システム1の構成の一例を示す図である。例えば、本開示の別の実施形態による座席決定システム1は、本開示の一実施形態による座席決定システム1の音量確認装置30および座席管理装置40に代わって、処理装置100を備え、処理装置100が音量確認装置30が行う処理と座席管理装置40が行う処理の両方を実行するものであってもよい。処理装置100は、例えば、サーバである。
【0040】
図13は、本開示の実施形態による処理装置100の最小構成を示す図である。処理装置100は、図13に示すように、記録部1001(記録手段の一例)、生成部1002(生成手段の一例)、および特定部1003(特定手段の一例)を備える。
【0041】
記録部1001は、社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音に基づいて、前記社員間の会話回数を記録する。生成部1002は、複数のランダムな座席表を生成する。特定部1003は、前記社員間の会話回数に基づいて、前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する。
【0042】
図14は、本開示の実施形態による最小構成の処理装置100の処理フローの一例を示す図である。次に、本開示の実施形態による最小構成の処理装置100の処理について図14を参照して説明する。
【0043】
記録部1001は、社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音に基づいて、前記社員間の会話回数を記録する(ステップS501)。生成部1002は、複数のランダムな座席表を生成する(ステップS502)。特定部1003は、前記社員間の会話回数に基づいて、前記複数のランダムな座席表の中から1つの座席表を特定する(ステップS503)。
【0044】
以上、本開示の実施形態による最小構成の処理装置100について説明した。この処理装置100により、個人の座席を固定しない職場において、目標の職場環境を実現することができる。
【0045】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0046】
本開示の実施形態について説明したが、上述の座席決定システム1、電話交換機の主装置20、音量確認装置30、座席管理装置40、処理装置100、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図15は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、図15に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の座席決定システム1、電話交換機の主装置20、音量確認装置30、座席管理装置40、処理装置100、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0047】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0048】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0050】
1・・・座席決定システム
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・多機能電話機
20・・・電話交換機の主装置
30・・・音量確認装置
40・・・座席管理装置
50・・・ハブ
60・・・モジュラーケーブル
70・・・LANケーブル
100・・・処理装置
101・・・マイク
1001・・・記録部
1002・・・生成部
1003・・・特定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音の音量がしきい値を超える回数に基づいて、
前記社員間の会話回数を記録する
記録手段と、
前記電話機が置かれている座席と前記社員のそれぞれとをランダムに関連付けることにより
複数のランダムな座席表を生成する
生成手段と、
前記社員間の会話回数を前記複数のランダムな座席表それぞれに適用し、
前記社員間の会話回数が多くなるにつれて大きな値となり、
前記社員間の会話回数が少なくなるにつれて小さな値となる、
評価値を算出する
算出手段と、
社員同士が活発なコミュニケーションをとる職場を目標とする場合、
前記複数のランダムな座席表の中から最も大きな前記評価値を有する座席表を特定する
特定手段と、
を備える処理装置。
【請求項2】
前記特定手段は、
静かで集中できる職場を目標とする場合、
前記複数のランダムな座席表の中から最も小さな前記評価値を有する座席表を特定する、
請求項に記載の処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の処理装置と、
前記処理装置へマイクにより検出した音を送信する電話機と、
を備える処理システム。
【請求項4】
処理装置のコンピュータが、
社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音の音量がしきい値を超える回数に基づいて、
前記社員間の会話回数を記録し、
前記電話機が置かれている座席と前記社員のそれぞれとをランダムに関連付けることにより
複数のランダムな座席表を生成し、
前記社員間の会話回数を前記複数のランダムな座席表それぞれに適用し、
前記社員間の会話回数が多くなるにつれて大きな値となり、
前記社員間の会話回数が少なくなるにつれて小さな値となる、
評価値を算出し、
社員同士が活発なコミュニケーションをとる職場を目標とする場合、
前記複数のランダムな座席表の中から最も大きな前記評価値を有する座席表を特定する
理方法。
【請求項5】
静かで集中できる職場を目標とする場合、
前記複数のランダムな座席表の中から最も小さな前記評価値を有する座席表を特定する、
請求項に記載の処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
請求項4又は5に記載の処理方法
を実行させるプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、処理装置は、社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音の音量がしきい値を超える回数に基づいて、前記社員間の会話回数を記録する記録手段と、前記電話機が置かれている座席と前記社員のそれぞれとをランダムに関連付けることにより複数のランダムな座席表を生成する生成手段と、前記社員間の会話回数を前記複数のランダムな座席表それぞれに適用し、前記社員間の会話回数が多くなるにつれて大きな値となり、前記社員間の会話回数が少なくなるにつれて小さな値となる、評価値を算出する算出手段と、社員同士が活発なコミュニケーションをとる職場を目標とする場合、前記複数のランダムな座席表の中から最も大きな前記評価値を有する座席表を特定する特定手段と、を備える
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、処理方法は、処理装置のコンピュータが、社員ごとの座席に置かれる電話機のマイクにより検出された音の音量がしきい値を超える回数に基づいて、前記社員間の会話回数を記録し、前記電話機が置かれている座席と前記社員のそれぞれとをランダムに関連付けることにより複数のランダムな座席表を生成し、前記社員間の会話回数を前記複数のランダムな座席表それぞれに適用し、前記社員間の会話回数が多くなるにつれて大きな値となり、前記社員間の会話回数が少なくなるにつれて小さな値となる、評価値を算出し、社員同士が活発なコミュニケーションをとる職場を目標とする場合、前記複数のランダムな座席表の中から最も大きな前記評価値を有する座席表を特定する処理方法である
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、上記の処理方法を実行させる。