(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012901
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】PC緊張材の接続具
(51)【国際特許分類】
E04C 5/08 20060101AFI20230119BHJP
E04C 5/18 20060101ALI20230119BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
E04C5/08
E04C5/18 102
E04G21/12 104F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116658
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】502107621
【氏名又は名称】株式会社向山工場
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】向山 敦
(72)【発明者】
【氏名】松谷 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】阿部 啓一
(72)【発明者】
【氏名】大和 雅明
(72)【発明者】
【氏名】西野 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】中澤 元宏
(72)【発明者】
【氏名】坂上 教夫
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164AA02
2E164DA26
2E164DA32
(57)【要約】
【課題】接続具の組立、解体が簡便で、作業効率を向上させ、PC部材の製造時間の短縮と製造コストの削減を図れる接続具を提供する。
【解決手段】接続具は、中空部11を備えた筐体部10、筐体部10の両端側に形成した楔体ホルダー部20と、PC緊張材Tを保持する楔体30と、楔体30を押圧するセット治具40から構成される。セット治具40は、両端部に形成された押圧部42、押圧部にはPC緊張材Tを挿通できる馬蹄形空間部41、押圧部間を接続する連結部43、を備える。
開口部12からセット治具40を配置するとき、セット治具40の馬蹄形空間部41でPC緊張材Tを挟んだ状態で装着し、セット治具40の押圧部42で、楔体30が、PC緊張材Tを保持した状態で、楔体ホルダー部20へ押圧可能となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PC緊張材を連結するためのPC緊張材の接続具であって、
前記接続具は、本体を構成する中空部を備えた筐体部と、前記筐体部の一端部側と他端部側の少なくとも一方に楔体を保持する楔体ホルダー部と、前記楔体ホルダー部に配置され前記PC緊張材を保持する前記楔体と、前記楔体を押圧するセット治具とから構成され、
前記筐体部は、前記楔体ホルダー部と連通する前記中空部と、前記中空部の一部に形成される大気に開放された開口部と、前記楔体ホルダー部を装着する楔体ホルダー設置部と、を備え、
前記セット治具は、両端部の少なくとも一端部側に形成された押圧部と、該押圧部には前記PC緊張材を配置できる配置部と、前記押圧部間を接続する連結部と、を備え、
前記筐体部の開口部から前記セット治具を配置するときに、前記セット治具の配置部に前記PC緊張材を位置させて装着し、前記セット治具の前記押圧部によって、前記楔体が、前記PC緊張材を保持した状態で、前記楔体ホルダー部へ押圧可能となっていることを特徴とするPC緊張材の接続具。
【請求項2】
前記PC緊張材は、前記筐体部の一端部側と他端部側で、軸方向が一致している状態で配置されていることを特徴とする請求項1記載のPC緊張材の接続具。
【請求項3】
前記楔体ホルダー部は、前記楔体ホルダー部の一端部側に設けられるPC緊張材挿通孔と、前記楔体ホルダー部の他端部側に設けられる楔体装着孔と、前記PC緊張材挿通孔側に形成された摘み部と、該摘み部に連続して外周部に形成された雄ねじ部と、を備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のPC緊張材の接続具。
【請求項4】
前記楔体は、周方向に分割された複数の分割体と、該分割体の内面に形成された刃形部と、複数の前記分割体で形成される前記PC緊張材を挿通するPC緊張材貫通孔と、前記分割体を一体化する楔体連結具と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のPC緊張材の接続具。
【請求項5】
前記セット治具の前記押圧部には、前記PC緊張材を配置できる配置部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のPC緊張材の接続具。
【請求項6】
前記押圧部は、楔体押圧の面より、自由端側が前記連結部側に向けてテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のPC緊張材の接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PC緊張材の接続具に係り、特に、PC緊張材を用いたPC部材の製造において、緊張装置とPC緊張材の接続や、PC緊張材同士を連結するときに用いられるPC緊張材の接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、PC緊張材の接続具は、PC部材に用いられる緊張用鉄筋や、PC鋼線などのPC緊張材を、軸方向に連結するときの接続金具として使用される。
【0003】
従来からプレテンション方式によってプレストレスが導入されるPC緊張材を用いたPC部材の製造は、PC部材の型枠を利用して製造される。つまり、複数のPC部材を製造するには、型枠に、PC緊張材を所定の本数、所定の位置に掛け渡し、型枠内にコンクリートを打設して形成される。
そこでは、十数メートルから数十メートルの区間の両端に設置した強固な反力体間に、複数の型枠及び所定長のPC緊張材が配置・利用されるが、このときPC緊張材と緊張装置との連結や、PC緊張材同士の連結が必要となる。
【0004】
一般に、複数の型枠によってPC部材を製造するには、列をなして配置した型枠を利用し、この列をなして配置された型枠にPC緊張材を配置することで行われる。配置されるPC緊張材は、端部の一方を反力体に固定し、端部の他方はジャッキで緊張する緊張装置と接続したり、PC緊張材同士の連結は軸方向に整合させて接続することになるが、このときそれぞれの連結(接合)は接続具を介して連結されるようにしている。
【0005】
つまり、PC緊張材の接続具は、例えばPC部材(プレストレストコンクリート)を製造する場合、PC部材を製造する型枠の外側に配置され、PC緊張材を緊張したまま型枠に配置し、その後型枠内にコンクリートを打設し、コンクリートが所定の強度を発現した段階で、PC緊張材の緊張力を開放してPC緊張材の接続具を取り外し、この接続具は再使用される。
【0006】
一般的に使用されているPC緊張材の接続具は、円筒状の金属体の両端に、2~3枚に分離され刃形を設けた円錐状の楔を用いて、PC緊張材の緊張による滑りを通して、PC緊張材に楔の刃形を喰い込ませ、連結する構造である。
【0007】
例えば、特許文献1には、外周の中央に螺結用掴持部を具備し、その左右両端内壁に雌ねじ部を螺設してなる円筒状カップラーと、筒体前部の外周に前記各雌ねじ部と螺合する雄ねじ部を有し、かつ筒状内部に後端へ向けて縮径するテーパー状の嵌入を内有してなる左右一対のチャックボディと、前記各チャックボディの嵌入部に嵌入され、その内壁面でPC鋼より線をグリップしている分割されたウエッジとからなるPC鋼より線接続構造において、前記各チャックボディの右のウエッジ端面と左のウエッジ端面との間に,高強度金属筒体がそれらウエッジの両端面に接触して介設される技術が開示されている。
【0008】
なお、一般的に、PC緊張材には、通常、1本当り数十キロニュ―トンの張力がかかるため、PC緊張材と係合する楔は、その滑りを最小限にし、かつ安全性を確保する必要がある。また、製作時の操作性は、作業効率に大きくかかわるため、楔の刃形の形状や長さなどは、PC緊張材の鋼材径ごとに定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来から使用されているPC緊張材の接続具を高強度鉄筋同士の接続に使用すると、接続具と楔が強固に結合され、接続具に具備された楔に高強度鉄筋が喰い込み状態となり、緊張力を開放した後に高強度鉄筋を取り外す際、取り外しが困難になるという不都合があった。
【0011】
また、従来から使用されているPC緊張材の接続具は、PC緊張材同士を接続する際に、PC緊張材を引張り移動させて接続具に挿入しており、内部が見えない状態の接続具であったため、作業効率が悪かった。また、緊張装置や反力体とPC緊張材の接続を接続具によって行う場合、接続状態の確認が目視できない状態であり、作業効率が悪かった。
このように、接続具から高強度鉄筋を取り外すこと、楔と高強度鉄筋を取り外すことを容易にすることが可能なPC緊張材の接続具が望まれていた。
【0012】
また、接続具を用いて、PC緊張材同士を接続する際に、PC緊張材を引張り移動させずに、効率よく、PC緊張材同士を接続することが可能な接続具の技術が望まれていた。
【0013】
本発明の目的は、緊張装置や反力体とPC緊張材の接続や、PC緊張材同士を接続する場合において、PC緊張材の接続具の組立、解体を簡便に行うことができ、作業効率を向上させ、PC部材の製造時間の短縮と製造コストの削減を図ることが可能なPC緊張材の接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、本発明に係るPC緊張材の接続具によれば、PC緊張材を連結するためのPC緊張材の接続具であって、前記接続具は、本体を構成する中空部を備えた筐体部と、前記筐体部の一端部側と他端部側の少なくとも一方に楔体を保持する楔体ホルダー部と、前記楔体ホルダー部に配置され前記PC緊張材を保持する前記楔体と、前記楔体を押圧するセット治具とから構成され、前記筐体部は、前記楔体ホルダー部と連通する前記中空部と、前記中空部の一部に形成される大気に開放された開口部と、前記楔体ホルダー部を装着する楔体ホルダー設置部と、を備え、前記セット治具は、両端部の少なくとも一端部側に形成された押圧部と、該押圧部には前記PC緊張材を配置できる配置部と、前記押圧部間を接続する連結部と、を備え、前記筐体部の開口部から前記セット治具を配置するときに、前記セット治具の配置部に前記PC緊張材を位置させて装着し、前記セット治具の前記押圧部によって、前記楔体が、前記PC緊張材を保持した状態で、前記楔体ホルダー部へ押圧可能となっていること、により解決される。
【0015】
本発明のPC緊張材の接続具では、接続具の筐体部に大気に開放された開口部が形成されたことによって、PC緊張材や楔体を目視しながら接続具の外部と内部の間で簡単に移動させることができ、接続具の内部において、楔体とPC緊張材と容易に係合させることが可能となる。
【0016】
また、PC緊張材を引張り移動させなくても、接続具自体を移動させて接続具にPC緊張材を保持させることができる。従って、PC部材の製造時に、接続具の組立、解体を簡便に行うことが可能となるため、PC緊張材を用いたPC部材の製造時間の短縮と製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0017】
また、PC緊張材の接続具の構造が極めてシンプルであり、耐久性にも優れているため、部品の交換や管理が容易であると共に、作業効率の向上を図ることができ、PC部材の製造コスト全体の低減を図ることが可能となる。
そして、PC緊張材は、前記筐体部の一端部側と他端部側で、軸方向が一致している状態で配置されていることが好ましい。これにより、軸方向が一致して、接続ができることになり、PC緊張材に加わる緊張を軸方向でズレ等が生じず緊張させることができる。
【0018】
このとき、楔体ホルダー部は、楔体ホルダー部の一端部側に設けられるPC緊張材挿通孔と、楔体ホルダー部の他端部側に設けられる楔体装着孔と、前記PC緊張材挿通孔側に形成された摘み部と、該摘み部に連続して外周部に形成された雄ねじ部と、を備えて構成すると好適である。
【0019】
このように構成すると、楔体ホルダー部は、摘み部を回動することで、摘み部に連続して外周部に形成された雄ねじ部で、筐体部の雌ねじ部に楔体ホルダー部を螺着し、筐体部と一体に組み付けできる。
【0020】
また、前記楔体は、周方向に分割された複数の分割体と、該分割体の内面に形成された刃形部と、複数の分割体で形成されるPC緊張材を挿通するPC緊張材貫通孔と、前記分割体を一体化する楔体連結具と、で構成されると良い。
このように、楔体は、周方向に分割された複数の分割体からなるので、楔体の刃形部がPC緊張材に噛み込んでいても、PC緊張材から各分割体を個別に剥がすことが容易に可能である。
【0021】
さらに、前記セット治具の前記押圧部には、前記PC緊張材を配置できる配置部を備えると好適である。このように、押圧部には、前記PC緊張材を配置できる配置部を備えているので、PC緊張材同士を接続するときにPC緊張材は、両端の押圧部に形成された配置部で規制され、軸方向が一致するように配置することができる。
【0022】
このとき、前記押圧部は、楔体押圧の面より、自由端側が前記連結部側に向けてテーパー状に形成されている。即ち、自由端側(連結部と反対側の位置面)が楔体押圧の面より、前記連結部側に向けてテーパー状に形成されていると好適であり、このような楔体押圧部のテーパー部により、セット治具を楔体間に容易に配置でき、セット治具の連結部をハンマー等で、強制的に楔体押圧面により、楔体を楔体ホルダー部に確実に嵌入でき、楔体と楔体ホルダー部との間の遊びを無くすことができる。
【0023】
セット治具を用いることにより、楔体を筐体部に確実に保持できると共に、PC緊張材を確実に軸方向に直線的に連結することが可能となる。つまり、セット治具の押圧部により、楔体を楔体ホルダー部へ確実に押圧でき、遊びを取り除き、セットロスを減少させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のPC緊張材の接続具によれば、接続具に大気に開放された開口部が形成されたことによって、楔体を接続具の外部と内部の間で簡単に移動させることができ、楔体とPC緊張材を目視しながら、接続具の内部で楔体にPC緊張材を接続することが可能となる。
【0025】
また、PC緊張材を引張り移動させなくても、接続具自体を移動させて、目視しながら接続具に楔体とPC緊張材を係合させることができる。
また、PC部材の製造時に、PC緊張材とPC緊張材の連結や、PC緊張材と螺合ホルダーに取り付けられたねじ鉄筋材との連結、解体が容易になる。また、PC緊張材の接続具の組立、解体を簡便に行うことが可能となるため、接続部の強度を確保しつつPC部材の製造時間の短縮と製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0026】
また、PC緊張材やねじ鉄筋材の接続具の構造が極めてシンプルであり、耐久性にも優れているため、部品の交換や管理が容易であると共に、作業効率の向上を図ることができるため、PC部材の製造コスト全体の低減を図ることが可能となる。
【0027】
また、セット治具により、楔体を筐体部の楔体ホルダー配置部に押圧して容易に装着することが可能となると共に、PC緊張材同士、PC緊張材とねじ鉄筋材を接続するときにPC緊張材、ねじ鉄筋材を軸方向に直線的に連結することが可能となる。
このように、セット治具は、楔体の遊びを取り除き、セットロスを減少させることができるため、製造されるPC部材の品質を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る接続具の一実施形態を説明する斜視図である。
【
図2】本発明に係る接続具の楔体ホルダー部を取り付けた状態の筐体部を説明する平面図である。
【
図5A】(a)は楔体の斜視図、(b)はPC緊張材との係合状況の斜視図である。
【
図5D】
図5AのOリングを示し、(a)は平面図、(b)は(a)の矢印方向の側面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係るセット治具の斜視図である。
【
図6C】(a)は
図6Aのセット治具の装着における説明図、(b)は装着したときの説明図である。
【
図7A】(a)~(d)はPC緊張材接続具の組立状況の説明図である。
【
図7B】(e)~(h)はPC緊張材接続具の組立状況の説明図である。
【
図7C】(i)~(k)はPC緊張材接続具の組立状況の説明図である。
【
図7D】(l)~(m)はPC緊張材接続具の組立状況の説明図である。
【
図8A】PC部材を1つ製造する場合のPC緊張材接続具の使用状況の説明図である。
【
図8B】PC部材を複数製造する場合のPC緊張材接続具の使用状況の説明図である。
【
図9A】(a)~(d)はPC緊張材接続具の解体状況の説明図である。
【
図9B】(e)~(h)はPC緊張材接続具の解体状況の説明図である。
【
図9C】(i)~(l)はPC緊張材接続具の解体状況の説明図である。
【
図10】第2実施形態を示す接続具の説明図である。
【
図11】
図10の接続具とPC緊張材との接続の説明図である。
【
図12】セット治具を装着したときの説明図である。
【
図13】第2実施形態の接続具を使用してPC部材を製造する場合の使用状況の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変できるものであり、以下に記載する寸法については、一例にすぎない。
【0030】
図1及び
図3に示すように、本実施形態のPC緊張材Tの接続具1は、筐体部10と、楔体ホルダー部20と、楔体30と、セット治具40などを主たる構成要素としている。
【0031】
本実施形態の筐体部10は、PC緊張材の接続具1の本体を構成するもので、円筒状に形成され、長手方向の長さが260mm程度であり、外径が65mm~80mm程度である。その材質は、鋼製で構成されている。なお上記筐体部10の寸法、後述する筐体部10以外の構成の各種寸法は、本発明の趣旨に沿ったものである限り、幅をもって各種の値を取ることができるものであり、寸法等を固定・限定するものではない。
そして、
図2に示すように、筐体部10は、中空部11と、開口部12と、楔体ホルダー設置部13、楔体配置台50とを備えている。
【0032】
本実施形態の中空部11は、筐体部10の長手方向の略中央に形成されているが、この中空部11は、筐体部10の両端部側に形成される楔体ホルダー設置部13の間に位置して、楔体ホルダー設置部13と連通している。そして、この中空部11は、後述するセット治具40を装着する空間でもある。
【0033】
中空部11の大きさは、セット治具40を筐体部10に装着可能なように、筐体部10の長手方向の長さが160mm程度であり、長さ方向と直交する横方向が50mm程度であり、筐体部10の底面からの高さ方向が40mm程度である。
本実施形態の開口部12は、中空部11の一部(本例では上部側)を略長方形に切り欠いて構成され、大気に解放されて形成されている。
【0034】
本実施形態の楔体ホルダー設置部13は、
図2及び
図3で示すように、筐体部10の長手方向の両端部側に形成されており、楔体ホルダー部20が装着できるように中空となっている。
すなわち、本実施形態では、楔体ホルダー部20の雄ねじ部24が螺合できるように、楔体ホルダー設置部13の内周には、雌ねじ部13bが螺設されている。この雌ねじ部13bの大きさは、楔体ホルダー部20の雄ねじ部24に合わせて形成されるが、本実施形態では長さが40mm程度であり、内空径が50mm程度である。
【0035】
図2に示すように、楔体配置台50は、楔体嵌入溝50aと、セット治具設置面50bとから構成されている。楔体嵌入溝50aは、筐体部10の底部で、一端部側に形成された楔体嵌入口23aと他端部側に形成された楔体嵌入口23aとの間に位置し、軸方向の長溝によって形成されている。
また、セット治具設置面50bは筐体部10の側方下部側で、上記楔体嵌入溝50aより上方に形成されている。
【0036】
セット治具設置面50bは、後述するセット治具40が連結部(打撃部)43の上部からハンマー等で打撃され、楔体30の間に挿入される際、セット治具40の楔体押圧部42の自由端側端部と当接するものである。
楔体30は、中空部11の位置で、PC緊張材Tと連結された後、楔体嵌入溝50aを滑りながら楔体嵌入口23aまで移動され、テーパー部23bに嵌入される。
楔体嵌入溝50aは、楔体30の大きい方の外径と、ほぼ一致しているが、楔体30が摺動できるように、楔体30の大きい方の外径より、若干大きく形成されている。
【0037】
本実施形態の楔体ホルダー部20は、前述したように、楔体30を保持し、筐体部10の一端部側と他端部側に備えられるものである。この楔体ホルダー部20の材質は、鋼製で構成され、その大きさは、長手方向の長さが60mm程度であり、外径が50mm程度である。
そして、楔体ホルダー部20は、円筒状に形成され、PC緊張材挿通口22から20mm程度の部分は、ねじ切りがされていない摘み部25となっている。
この摘み部25に連続して雄ねじ部24が形成され、この雄ねじ部24が前述した楔体ホルダー設置部13に形成された雌ねじ部13bと螺合できるように構成されている。
【0038】
より詳細には、楔体ホルダー部20には、PC緊張材挿通孔21と、楔体装着孔23と、雄ねじ部24と、摘み部25とが形成されている。摘み部25の端部側には、PC緊張材挿通口22が形成され、このPC緊張材挿通口22の大きさは、PC緊張材Tの太さに応じて形成されるものであるが、本実施形態では、PC緊張材Tに合わせて孔径が16mm程度としている。
それぞれの楔体ホルダー部20は、筐体部10の両端部で楔体ホルダー設置部13と螺着され、楔体ホルダー部20は筐体部10と一体に取着される。
【0039】
楔体ホルダー部20のPC緊張材挿通口22と反対側には、楔体装着孔23が形成されている。楔体装着孔23の大きさは、本実施形態では、楔体30が収容できる長さで形成され、本実施形態では40mm程度である。
そして、楔体装着孔23は、楔体嵌入口23aと、楔体嵌入口23aからPC緊張材挿通口22に向けて縮径するテーパー部23bとなっている。テーパー部23bは、楔体30を嵌合する部分で、楔体装着孔23の内壁面に設けられている。そして、テーパー部23bの内壁形状は、楔体30の外形状と略一致している。
【0040】
上述したように、楔体ホルダー部20の雄ねじ部24は、楔体ホルダー設置部13の雌ねじ部13bと螺合する部分であり、楔体ホルダー部20の摘み部25以外の外周部に形成されている。本例の楔体ホルダー部20の雄ねじ部24は、楔体嵌入口23a側から40mm程度の部分に形成されている。
【0041】
本実施形態の楔体30は、鋼製からなり、
図5Aで示すように、PC緊張材貫通孔33と、楔体連結用Oリング34(楔体連結具)と、Oリング固定溝35とから構成されている。そして、これら3つの分割体30a、30b、30cの内側には、
図5Cで示すように、長手方向に対して垂直方向に一定間隔で連続的な刃形部32が形成されている。
また、Oリング固定溝35は、径の大きいほうの分割体30a、30b、30cの端部側の外周に形成されている。
すなわち、
図5Bに示すように、本実施形態の分割体30a、30b、30cは、楔体30を周方向に3分割したものであり、分割体30a、30b、30cの周方向端面を当接させることにより、楔体30が構成されている。
【0042】
このように、楔体30は、楔体連結用Oリング34により、分割体30a、30b、30cと一体に組付けられる。つまり、
図5Cに示すように、Oリング固定溝35は、分割体30a、30b、30cの拡径側の外周面に形成され、楔体連結用Oリング34の形状に合致するように形成されている。溝幅は3mm、溝深さは2mmである。
図5A(a)に示すように、組み立てた状態(全体)の楔体30は、
図4で示す楔体ホルダー部20のテーパー部23bに整合して、縮径した円錐状に形成されている。
【0043】
また、楔体連結用Oリング34はゴム等の樹脂から構成され、
図5Aの(b)で示すように、PC緊張材Tの挿着により、分割体30a、30b、30cが広がり、内側の刃形部32が楔体連結用Oリング34の締め付けにより、PC緊張材Tに噛み込んで保持する。
なお、本実施形態の楔体30の長手方向の長さは、50mm、拡径部分の外径は、29.8mmである。
【0044】
図5A(b)に示すように、楔体連結用Oリング34により3つの分割体30a、30b、30cが一体化され楔体30が構成された後、楔体30はPC緊張材Tと係合する。そして、楔体ホルダー部20のテーパー部23bにより、刃形部32がPC緊張材Tに強く噛み込み、テーパー部23bに強く嵌め込まれ、PC緊張材TはPC緊張材貫通孔33内の刃形部32で強固に挟持される。
【0045】
図5A(a)に示すように、PC緊張材貫通孔33は、楔体30の内部に形成されるPC緊張材Tの挿通孔である。PC緊張材貫通孔33の大きさは、長さが50mmであり、孔径は、拡径部側が15mm、縮径部側が12mmである。
図5Bに示すように、PC緊張材Tが、楔体30の縮径部側からPC緊張材貫通孔33に挿入され、分割体30a、30b、30cは、楔体連結用Oリング34部分を基点として分離し、PC緊張材貫通孔33が拡径する。
図5A(b)に示すように、PC緊張材貫通孔33が拡径し、3分割体30a、30b、30cの端面には、軸方向に隙間部36が生じる。
【0046】
図5Dに示すように、楔体連結用Oリング34は、円形状であり、楔体30の拡径部の形状に合致している。楔体連結用Oリング34の外径は25mm、内径は20mm、幅は2mmである。
楔体連結用Oリング34は、高強度鉄筋の直径が13mmの楔体連結用Oリング34か、高強度鉄筋の直径が16mmの楔体連結用Oリング34かを区別するために、サイズ別に楔体連結用Oリング34の色分けをするとよい。
【0047】
図6Aに示すように、セット治具40は、全体として概略コ字形をして鋼製で構成され、その大きさは、長手方向が140mm、幅方向が45mmである。セット治具40は、PC緊張材Tを挿通できる挿通部としての馬蹄形空間部41と、楔体押圧部42と、連結部43(打撃部)とを備えている。
本実施形態の馬蹄形空間部41は、セット治具40の一端部側と他端部側(つまり両端部側)に形成されている。
【0048】
両端の馬蹄形空間部41は、楔体押圧部42の中央に形成された切欠き部分であり、この馬蹄形空間部41でPC緊張材Tを挟み、PC緊張材Tを軸方向で規制するものである。
図6Bに示すように、セット治具40が、開口部12から中空部11の所定位置に装着されるとPC緊張材Tは馬蹄形空間部41に規制され、PC緊張材Tは軸方向に直線的に位置される。
【0049】
図6A及び
図6Bに示すように、楔体押圧部42は、セット治具40の両端側に、略四角柱であり、楔体押圧部42は、上述した馬蹄形空間部41と、押圧部42aと、テーパー部42bと、を有している。
楔体押圧部42の大きさは、縦方向が40mmであり、横方向が40mmであり、厚さは、上端部側が17mm、下端部側が10mmである。
【0050】
押圧部42aは、セット治具40により、楔体30が楔体ホルダー部20に嵌入するときに、楔体30を押圧嵌入させる面である。
押圧部42aの大きさは、縦方向が20mmであり、横方向が20mmであり、厚さは17mmである。
【0051】
連結部43(打撃部)は、両端の押圧部42aを連結(即ちセット治具40の一端部と他端部の間に形成)するもので、略四角柱状に形成されている。連結部43(打撃部)の大きさは、長手方向が140mmであり、幅方向が20mm、高さ方向が25mmである。
連結部43(打撃部)は、セット治具40を装着するときに上部から打撃し楔体30を押圧嵌入する際に使用されると共に、セット治具40を移動させる際の持ち手部分(把持部)としても使用される。
【0052】
テーパー部42bは、テーパー状に形成され、押圧部42aが楔体30を押圧嵌合する位置に装着させることを容易にするために、楔体30間に位置できるようにする面である。テーパー部42bの大きさは、縦方向が20mmであり、横方向が20mmであり、厚さは、上端部側が17mm、下端部側が10mmである。
【0053】
なお、図示はしないが、筐体部10を地面等の水平な箇所においたときに、筐体部10の転倒を防止するために、筐体転倒防止部60を筐体部10の下部外周面に設けることができる。筐体転倒防止部60の形状は、半円柱形状や四角柱形状などが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0054】
PC緊張材Tは、例えば、降伏点が590~1275N/mm2の高強度鉄筋(例えば、MK785)が用いられ、高強度鉄筋の直径は13mm、或いは16mmが好適である。高強度鉄筋の直径が13mmであるか、16mmであるか、を区別するために、サイズ別の刻印を行うことが望ましい。
【0055】
図8A、
図8Bに示すように、PC部材を製造する場合のPC緊張材Tの接続具1の使用方法は、所定区間の両端に反力体70が配設され、一方の反力体70側にジャッキ80が設置される。
そして、PC緊張材Tは、反力体70間に掛け渡されて、ジャッキ80が備えられた緊張側の反力体70と、反力受け側の反力体70とに固設される。
【0056】
ジャッキ80は、反力体70間に掛け渡されるPC緊張材Tの本数に応じて備えられる。両端の反力体70間にはPC部材を製造するための型枠90が、PC部材の製造数量に応じて備えられ、型枠90には、PC緊張材貫入孔が設けられる。
この場合に、PC緊張材Tの長さに応じて、PC部材の型枠90の外側の所定位置に所定数量のPC緊張材Tの接続具1が備えられる。そして、対向するPC緊張材Tの端部がPC緊張材Tの接続具1に接続され、PC緊張材Tは軸方向に連結される。
【0057】
次に、上記構成からなるPC緊張材Tの接続具1の使用方法などについて、
図7A(a)~(d)、
図7B(e)~(h)
図7C(i)~(k)、
図7D(l)~(m)、
図9A(a)~(d)、
図9B(e)~(h)、
図9C(i)~(l)を用いて説明する。なお、この例では、対向するPC緊張材Tを接続するPC緊張材Tの接続具1について説明する。
【0058】
先ず、PC緊張材Tの接続具1の組立について説明する。組立方法は、
図7A(a)で示すように、筐体部10の両端部側から楔体ホルダー部20を楔体ホルダー設置部13に螺合する。そして、
図7Aの(b)で示すように、PC緊張材Tを一方側からPC緊張材挿通孔21に挿入させる。
次に、
図7A(c)~(e)で示すように、挿入したPC緊張材Tに、開口部12側から楔体30を装着する(
図7B(c)、(d))。このとき、
図5A(b)のように、楔体30とPC緊張材Tが、組み付け状態となる。そして、楔体30をPC緊張材Tの所定位置に配置したら(
図7B(e))、PC緊張材TをPC緊張材挿通孔21側に引き、楔体装着孔23に挿着する。
【0059】
図7Bの(g)~
図7C(j)で示すように、PC緊張材Tを、他方側からPC緊張材挿通孔21に挿入させる。このとき、
図7C(j)のように、PC緊張材Tは同一軸線上で、楔体装着孔23に挿着される。
次に、セット治具40を開口部12から中空部11へ配置する、このとき、楔体30の間に、押圧部42aが位置し、楔体30を押圧できるように、テーパー部42bが、先に楔体30間に入り、楔体30を押圧する。そして、セット治具40を挿着するときに、連結部43(打撃部)の上部からハンマー等で打撃し楔体30を押圧嵌入する(
図7D(l)(m))。
【0060】
PC緊張材Tの接続具1が使用されてPC緊張材Tが反力体70間に掛け渡された後、緊張側の反力体70側からジャッキ80を使用して、PC緊張材Tに緊張力が導入され、PC緊張材Tが張設される。
PC緊張材Tに緊張力が導入された後、型枠90内にコンクリートが打設され、コンクリートが所定強度を発現した段階で、型枠90を脱型し、緊張力は開放される。
【0061】
PC緊張材Tの接続具1の取り外し方法は、
図9A(a)~(d)、
図9B(e)~(h)、
図9C(i)~(l)で示すように、まず、PC緊張材Tが、筐体部10の一端部側と他端部側の外側で切断された後、セット治具40を、開口部12から抜去する(
図9A(c))。
【0062】
次に、楔体30はテーパー部23bに強く嵌合しており、楔体30をテーパー部23bから取り外すことが困難であることから、他端部側の外側で切断された他方のPC緊張材Tの端部にハンマー等で打撃力が加えられる(
図9A(d)~
図9B(g))。他方のPC緊張材Tを嵌合した他端部側の楔体30は、テーパー部23bから取り外される。
【0063】
次に、楔体30の刃形部32はPC緊張材Tに噛み込んでいるため、楔体30は、楔体連結用Oリング34を取り外し、3つの分割体30a、30b、30cに解体した上で、他方のPC緊張材Tから取り外され、3つの分割体31a、31b、31cとして開口部12から抜去される。次に、他方のPC緊張材Tが、他端部側のPC緊張材挿通口22から引き抜かれる。
その後、一端部側の外側で切断された一方のPC緊張材Tの端部に打撃力が加えられ、一方のPC緊張材Tを嵌合した一端部側の楔体30は、テーパー部23bから取り外される(
図9B(h)~
図9C(l))。
【0064】
次に、楔体30は、楔体連結用Oリング34を取り外し、3つの分割体30a、30b、30cに解体した上で、一方のPC緊張材Tから取り外され、3つの分割体31a、31b、31cとして開口部12から抜去される。次に、一方のPC緊張材Tが、一端部側のPC緊張材挿通口22から引き抜かれる。
そして、PC緊張材Tの接続具1を構成する筐体部10、楔体ホルダー部20、楔体30、セット治具40等は、汚れ落とし等の清掃がなされ、油が塗布される。
【0065】
〈PC緊張材Tの接続具1の別の実施形態〉
次に、PC緊張材Tの接続具1の第2実施形態について、
図10~
図13に基づいて説明する。この実施形態では、PC緊張材の接続具101を構成する筐体部10の一端側に楔体ホルダー部20、他端側に螺合ホルダー部120で構成された例を示すものである。
なお、以下の説明においては、上述した実施形態と同様の内容には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図10に示すように、PC緊張材の接続具101は、筐体部10と、楔体ホルダー部20と、螺合ホルダー部120と、楔体30と、セット治具40などを主たる構成要件としている。
螺合ホルダー部120は、
図10及び
図11で示すように、筐体部10の一端部に形成された楔体ホルダー部20と反対側の端部(他端部)側の螺合ホルダー設置部113に螺着させたものである。そして、螺合ホルダー部120は、筐体部10と一体に取着されており、前記実施形態と異なり、鉄筋材の外周面にねじ加工が施されたねじ鉄筋などを固着するように構成される。
【0067】
より詳細には、螺合ホルダー部120には、ねじ鉄筋挿通孔121と、雄ねじ部24と、摘み部25と、が形成されている。螺合ホルダー部120の両端部側には、ねじ鉄筋挿通口122が形成され、ねじ鉄筋挿通孔121は、螺合ホルダー部120を長手方向で貫通している。そして、ねじ鉄筋挿通孔121の大きさは、ねじ鉄筋材100Tの太さに応じて形成される。
【0068】
ねじ鉄筋挿通孔121は、ねじ鉄筋材100Tを螺合させる部分であり、ねじ鉄筋挿通孔121の内壁面には、雌ねじ部121aが螺設されている。この雌ねじ部121aの大きさは、ねじ鉄筋材100Tの雄ねじ部100Taに合わせて形成されている。
そして、
図11に示すように、ねじ鉄筋材100Tの雄ねじ部100Taは、螺合ホルダー部120の雌ねじ部121aに螺合される。
【0069】
図12に示すように、セット治具40の一端部側は前記した楔体押圧部42が形成され、他端部側に形成された押圧部42aは、ねじ鉄筋材100Tの端部に当接させるために形成されている面となる。そして、セット治具40のねじ鉄筋材100T側の押圧部42aがねじ鉄筋材100Tの端部に当接する。
ねじ鉄筋材100Tは螺合ホルダー部120に螺合されているため、セット治具40が装着されてもねじ鉄筋材100Tの長手方向の位置は変化しない。そして、ねじ鉄筋材100Tと他端部側の押圧部42aとが、一端部側の楔体30を押圧嵌入するための当接面となる。
【0070】
また、ねじ鉄筋材100T側のテーパー部42bは、押圧部42aが前記した当接面の位置に装着されることを容易にするために形成されている面である。
【0071】
また、連結部43(打撃部)は、セット治具40を装着するときに上部から打撃し、押圧部42aが前記した当接面の位置に装着させる際に使用される。
【0072】
次に、
図13に示すように、ねじ鉄筋材100Tの接続具101の使用方法は、所定区間の両側に配設される反力体70の間で、反力体70と、反力体70に最も近接しているPC部材を製造するための型枠90の外側で反力体70寄りの位置で、且つ型枠90と反力体70間の所定位置に、ねじ鉄筋材100Tの接続具101として備えられる。
ねじ鉄筋材100Tの接続具101の反力体70側の螺合ホルダー部120には、ねじ鉄筋材100Tが接続され、ねじ鉄筋材100Tの接続具101の型枠90側の楔体ホルダー部20には、PC緊張材Tが接続される。そして、ねじ鉄筋材100Tと、PC緊張材Tとは、軸方向で連結される。
【0073】
また、ねじ鉄筋材100Tは、ねじ鉄筋、高張力異形鉄筋(ねじ鉄筋)などの使用が可能であるが、これに限定されることなく、適宜のねじ鉄筋材100Tの使用が可能である。
【0074】
図13に示すように、ねじ鉄筋材100Tと反力体70との固定は、反力体70の外側で、ねじ鉄筋材100Tの太さに応じた固定用ナット70aと固定板70bを用いて固定されている。
【0075】
ねじ鉄筋材100Tと反力体70との固定は、固定用ナット70aと固定板70bを用いた固定方法に限定されることはなく、この他にも、例えば、楔金具を使用した固定方法など、適宜の固定方法が可能である。
【0076】
次に、ねじ鉄筋材100Tの接続具101の組立について説明する。
ねじ鉄筋材100Tの接続具101は、反力体70と、反力体70に最も近接している型枠90と、の間に備えられる。ねじ鉄筋材100Tの接続具101の反力体70側にはねじ鉄筋材100Tが接続され、ねじ鉄筋材100Tの接続具101の型枠90側にはPC緊張材Tが接続される。
【0077】
まず、ねじ鉄筋材100Tは、筐体部10の端部側のねじ鉄筋挿通口122から回動して挿入され、ねじ鉄筋挿通孔121の雌ねじ部121aに螺合させる。
【0078】
次に、セット治具40を開口部12から中空部11へ配置する。このとき、端部側のテーパー部42bが押圧部42aよりも先に入り、端部側の押圧部42aは、その反対側の端部側の楔体30を押圧嵌入するための当接面となる。
【0079】
セット治具40の連結部43(打撃部)は、セット治具40を装着するときに上部から打撃し、押圧部42aが前記した当接面の位置に装着させる際に使用される。
【0080】
ねじ鉄筋材100Tと反力体70とは、反力体70の外側で、ねじ鉄筋材100Tの太さに応じた固定用ナット70aと固定板70bを用いて固定される。そして、緊張側の反力体70側からジャッキ80を使用して、ねじ鉄筋材100TとPC緊張材Tに緊張力が導入され、ねじ鉄筋材100TとPC緊張材Tが張設される。
【0081】
次に、ねじ鉄筋材100Tの接続具101の取り外し方法について説明する。
まず、PC緊張材Tが筐体部10の一端部側の外側で切断され、セット治具40を開口部12から抜去する。
その後、反力体70の外側に配設されたねじ鉄筋材100Tの固定用ナット70aと固定板70bを取り外す。
【0082】
その後、筐体部10の螺合ホルダー部120に螺合されたねじ鉄筋材100Tは、螺合ホルダー部120から回動して取り外される。
そして、ねじ鉄筋材100Tは、反力体70の高さ方向の略中央部に形成されたねじ鉄筋材100Tの貫通孔70cを介して、反力体70の外側に引き抜かれる。
【0083】
〈その他の実施形態〉
上記の実施形態では、筐体部10が円筒状の場合について説明したが、筐体部10の形状は円筒状に限定されるものではなく、角柱状など任意の形状が可能である。
【0084】
また、上記の実施形態では、直径が特定の径である高強度鉄筋をPC緊張材Tとして使用した場合で説明したが、直径に合わせて筐体部10の外径に合わせて選定することが可能である。
【0085】
また、上記の実施形態では、開口部12の形状が略長方形に形成された場合について説明したが、開口部12の形状は略長方形に限定されるものではなく、中空部11を露見し、楔体30とPC緊張材Tが目視しながら係合できるものであれば、略楕円形など任意の形状が可能である。
【0086】
また、上記の実施形態では、楔体ホルダー部20と筐体部10とが螺合接合する場合について説明したが、楔体ホルダー部20と筐体部10との接合は螺合接合に限定されるものではなく、嵌合手段、その他の適宜の接合構造が可能である。
【0087】
また、上記の実施形態では、楔体30が3つの分割体30a、30b、30cにより構成される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、楔体30が2つの分割体など、楔体30が複数の分割体により構成することが可能である。
【0088】
また、上記の実施形態では、セット治具40の連結部43(打撃部)の形状が略直方体の場合について説明したが、連結部43(打撃部)の形状は、円柱形状など適宜の形状とすることが可能である。
【0089】
また、上記の実施形態では、PC緊張材Tとして高強度鉄筋を使用することについて説明したが、PC緊張材Tとして、ねじ鉄筋、高張力異形鉄筋(ねじ鉄筋)、高張力鋼、PC撚り線などの適宜のPC緊張材Tの使用が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 接続具
10 筐体部
11 中空部
12 開口部
13 楔体ホルダー設置部
13b 雌ねじ部
20 楔体ホルダー部
21 PC緊張材挿通孔
22 PC緊張材挿通口
23 楔体装着孔
23a 楔体嵌入口
23b テーパー部
24 雄ねじ部
25 摘み部
30 楔体
30a 30b 30c 分割体
32 刃形部
33 PC緊張材貫通孔
34 Oリング
35 Oリング固定溝
36 隙間部
40 セット治具
41 馬蹄形空間部
42 楔体押圧部
42a 押圧部
42b テーパー部
43 連結部(打撃部)
50 楔体配置台
50a 楔体嵌入溝
50b セット治具設置面
60 筐体転倒防止部
70 反力体
70a 固定用ナット
70b 固定板
70c 貫通孔
80 ジャッキ
90 型枠
100T ねじ鉄筋材
100Ta 雄ねじ部
101 接続具
113 螺合ホルダー設置部
120 螺合ホルダー部
121 ねじ鉄筋挿通孔
121a 雌ねじ部
122 ねじ鉄筋挿通口
T PC緊張材