(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129019
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】成形品処理システム
(51)【国際特許分類】
B30B 11/08 20060101AFI20230907BHJP
A61J 3/06 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B30B11/08 Z
A61J3/06 R
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033757
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000141543
【氏名又は名称】株式会社菊水製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047LL19
(57)【要約】
【課題】成形品の側面から突出する異物をも検出できる検査装置を提供する。
【解決手段】所定の形状に成形される成形品Pを撮影した画像を基に当該成形品Pの良否を検査する検査装置である外面検査装置C3を、成形品Pの撮影画像における、想定される正常な成形品Pの輪郭よりも内側にある第1の検査領域R1内に異物が存在するか否かを判定する第1異物判定部C32と、成形品Pの撮影画像における、想定される正常な成形品Pの輪郭よりも外側にある第2の検査領域R2内に異物が存在するか否かを判定する第2異物判定部C34とを有するものとする。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に成形される成形品を撮影した画像を基に当該成形品の良否を検査するものであって、
成形品の撮影画像における、想定される正常な成形品の輪郭よりも内側にある第1の検査領域内に異物が存在するか否かを判定する第1異物判定部と、
成形品の撮影画像における、想定される正常な成形品の輪郭よりも外側にある第2の検査領域内に異物が存在するか否かを判定する第2異物判定部と
を有する成形品の検査装置。
【請求項2】
前記第2異物判定部は、前記第2の検査領域内における背景の色と相違する色を示す部分の比率が所定以上である場合に異物が存在すると判定する請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記成形品の画像を撮影するためのカメラと、成形品に対して前記カメラと同じ側に配した光源とを利用して構成され、前記第2の検査領域の背景が黒色又は黒色に近い色である請求項2記載の検査装置。
【請求項4】
前記成形品の画像を取得するためのカメラと、成形品に対して前記カメラと反対側に配した光源とを利用して構成されている請求項2記載の検査装置。
【請求項5】
前記第2の検査領域の背景が白色又は白色に近い色である請求項2又は4記載の検査装置。
【請求項6】
粉体を圧縮して前記所定の形状に成形する粉体圧縮成形機に接続され、当該粉体圧縮成形機により成形された成形品を検査する請求項1、2、3、4又は5記載の検査装置が設けられた成形品処理システム。
【請求項7】
前記粉体圧縮成形機に連結され、当該粉体圧縮成形機により成形された成形品を順番を維持したままで搬送するとともに、前記検査装置が設けられたモジュールを具備する請求項6記載の成形品処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の形状に成形された成形品の表面に存在する異物等を検出する為の検査装置、及びこのような検査装置を備えた成形品処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉体圧縮成形機により粉体を圧縮して成形品を成形し、成形品処理システムにより成形された成形品を移送することは広く行われてきている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このような成形品処理システムにおいて、成形品の表面部に存在する異物、黒点、色ムラ等を検出するための外観検査装置が多く用いられている。外観検査装置による検査は、従来、成形品の外縁から所定距離以上内側についてのみ行われてきている。これは、成形品のエッジ部に発生した微細な欠損等を異物と誤判定するのを避けるためである。
【0004】
ところが、上述したように成形品の外縁から所定距離以上内側についてのみ検査を行った場合、成形品の側面から突出する異物を検出できないという不具合が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上に着目してなされたもので、成形品の側面から突出する異物をも検出できる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち請求項1の発明に係る検査装置は、所定の形状に成形される成形品を撮影した画像を基に当該成形品の良否を検査するものであって、成形品の撮影画像における、想定される正常な成形品の輪郭よりも内側にある第1の検査領域内に異物が存在するか否かを判定する第1異物判定部と、成形品の撮影画像における、想定される正常な成形品の輪郭よりも外側にある第2の検査領域内に異物が存在するか否かを判定する第2異物判定部とを有するものである。
【0008】
なお、本発明において「異物」とは、成形品の成分をなす粉体等以外の物体に限らず、黒点や色ムラ等を含む概念である。
【0009】
このようなものであれば、第1の検査領域の画像内に加え、第2の検査領域の画像内にも異物が存在するか否かを判定するので、特に第2の検査領域の画像に基づき、成形品の側面から突出する異物をも検出できるようになる。
【0010】
特に、第2異物判定部が、前記第2の検査領域内における背景の色と相違する色を示す部分の比率が所定以上である場合に異物が存在すると判定するものであれば、他にセンサ等を用いることなく異物の存在を判定できる。
【0011】
なお、本発明において「背景」とは、成形品を撮影した画像における成形品の外側の部分を示す概念である。
【0012】
白色等明るい色の異物を容易に検出できるようにするための構成として、前記成形品の画像を撮影するためのカメラと、成形品に対して前記カメラと同じ側に配した光源とを利用して構成され、前記第2の検査領域の背景が黒色又は黒色に近い色であるものが挙げられる。なお、「黒色又は黒色に近い色」とは、黒色の画素値を(R,G,B)=(0,0,0)、白色の画素値を(R,G,B)=(255,255,255)とした場合に画素値のR、G、Bの値がいずれも所定の閾値(例えば15)以下である色を示す概念である。
【0013】
黒色等暗い色の異物を容易に検出できるようにするための構成として、前記成形品の画像を撮影するためのカメラと、成形品に対して前記カメラと反対側に配した光源とを利用して構成されているものや、前記第2の検査領域の背景が白色又は白色に近い色であるものが挙げられる。なお、「白色又は白色に近い色」とは、黒色の画素値を(R,G,B)=(0,0,0)、白色の画素値を(R,G,B)=(255,255,255)とした場合に画素値のR、G、Bの値がいずれも所定の閾値(例えば240)以上である色を示す概念である。
【0014】
このような検査装置を好適に用いることができるシステムの一例として、粉体を圧縮して前記所定の形状に成形する粉体圧縮成形機に接続され、当該粉体圧縮成形機により成形された成形品を検査する請求項1、2、3、4又は5記載の検査装置が設けられた成形品処理システムが挙げられる。なお、粉体とは、微小個体の集合体であり、いわゆる顆粒などの粒体の集合体と、粒体より小なる形状の粉末の集合体とを包含する概念である。粉体の具体例として、主薬を含む粉体の他、賦形剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、保存剤等が挙げられる。二種類以上の粉体を混合した粉体も本発明にいう粉体の一種であり、主薬を含む粉体にステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を混交したものもまた粉体に該当する。
【0015】
このような成形品処理システムのさらに好適な一例として、前記粉体圧縮成形機に連結され、当該粉体圧縮成形機により成形された成形品を順番を維持したままで搬送するとともに、前記検査装置が設けられたモジュールを具備するものが挙げられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、成形品の側面から突出する異物をも検出できる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態の回転式粉体圧縮成形機の縦断面図。
【
図2】同実施形態の粉体圧縮成形機及び成形品取出装置の要部平面図。
【
図7】同実施形態の取出装置及び粉塵除去装置の要部縦断面図。
【
図10】同実施形態の搬送装置及び処理装置の要部縦断面図。
【
図11】同実施形態の搬送装置及び処理装置の要部縦断面図。
【
図12】同実施形態の成形品搬送装置の要部平面図。
【
図14】同実施形態の搬送装置及び処理装置の要部縦断面図。
【
図15】同実施形態の搬送装置及び排除装置の要部縦断面図。
【
図16】同実施形態の粉体圧縮成形機、取出装置及び搬送装置の平面図。
【
図17】同実施形態の粉体圧縮成形機、取出装置及び搬送装置の縦断面図。
【
図18】同実施形態の粉体圧縮成形機、取出装置及び搬送装置の平面図。
【
図19】同実施形態の粉体圧縮成形機、取出装置及び搬送装置の縦断面図。
【
図20】同実施形態の外面検査装置の機能ブロック図。
【
図21】同実施形態のカメラが撮影した画像の例を示す図。
【
図22】同実施形態の外面検査装置が行う処理を示すフローチャート。
【
図23】同実施形態の搬送装置の移送体及び検査装置を上方から見た斜視図。
【
図24】同実施形態の搬送装置の移送体及び検査装置を下方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。はじめに、本実施形態における回転式粉体圧縮成形機(以下「成形機」という)Aの全体概要を述べる。この成形機Aは、粉体を圧縮することにより、例えば医薬品の錠剤等の圧縮成形品Pを成形するものである。
図1に示すように、本成形機Aのフレーム1内には、回転軸となる立シャフト2を設立し、その立シャフト2の上部に接続部を介して回転盤3を取り付けている。
【0019】
回転盤3は、立シャフト2の軸回りに水平回転、即ち自転する。回転盤3は、テーブル(臼ディスク)31と、上杵保持部32と、下杵保持部33とからなる。
図2に示すように、テーブル31は、回転盤3の回転軸の方向即ち上下方向から見た平面視において略円板状をなしている。そして、その外周部に、回転方向(周方向)に沿って所定間隔で複数の臼孔4を設けてある。臼孔4は、テーブル31を上下方向に貫通している。テーブル31は、複数のプレートに分割するものでもよい。また、テーブル31自体に直接臼孔4を穿ち形成するのではなく、テーブル31とは別体をなしテーブル31に対して着脱可能な複数個の臼部材をテーブル31に装着し、それら臼部材の各々に上下方向に貫通した臼孔を穿っている構成としてもよい。
【0020】
各臼孔4の上下には、上杵5及び下杵6を配置する。上杵5及び下杵6は、上杵保持部32及び下杵保持部33により、それぞれが個別に臼孔4に対して上下方向に摺動可能であるように保持させる。上杵5の杵先53は、臼孔4に対して出入りする。下杵6の杵先63は、常時臼孔4に挿入してある。上杵5及び下杵6は、回転盤3及び臼孔4とともに立シャフト2の軸回りに水平回転、即ち公転する。
【0021】
立シャフト2の下端側には、ウォームホイール7を取り付けている。ウォームホイール7には、ウォームギア10が噛合する。ウォームギア10は、モータ8により駆動されるギア軸9に固定している。モータ8が出力する駆動力は、ベルト11によってギア軸9に伝わり、ウォームギア10、ウォームホイール7を介して立シャフト2ひいては回転盤3及び杵5、6を回転駆動する。
【0022】
成形品Pの構成材料となる粉体は、フィードシューXから臼孔4に充填する。フィードシューXの種類には、攪拌フィードシューとオープンフィードシューがあり、そのうちの何れを採用しても構わない。フィードシューXへの粉体の供給には、粉体供給装置を使用する。その粉体供給装置に対する粉体の供給は、ホッパ19から行う。ホッパ19は、成形機Aに対して着脱することができる。
【0023】
図2及び
図3に示すように、杵5、6の立シャフト2の軸回りの公転軌道上には、杵5、6を挟むようにして上下に対をなす予圧上ロール12及び予圧下ロール13、本圧上ロール14及び本圧下ロール15がある。予圧上ロール12及び予圧下ロール13、並びに本圧上ロール14及び本圧下ロール15は、臼孔4内に充填された粉体を杵先53、63の先端面を以て上下から圧縮するべく、上下両杵5、6を互いに接近させる方向に付勢する。
【0024】
上杵5、下杵6はそれぞれ、ロール12、13、14、15によって押圧される頭部51、61と、この頭部51、61よりも細径な胴部52、62とを有する。回転盤3の上杵保持部32は、上杵5の胴部52を上下に摺動可能に保持し、下杵保持部33は、下杵6の胴部62を上下に摺動可能に保持する。胴部52、62の先端部位即ち杵先53、63は、臼孔4内に挿入可能であるように、それ以外の部位と比べて一層細く、臼孔4の内径に略等しい直径である。杵5、6の公転により、ロール12、13、14、15は杵5、6の頭部51、61に接近し、頭部51、61に乗り上げるようにして接触する。さらに、ロール12、13、14、15は上杵5を下方に押し下げ、下杵6を上方に押し上げる。ロール12、13、14、15が杵5、6上の平坦面に接している期間は、杵5、6が臼孔4内の粉体に対して一定の圧力を加え続ける。
【0025】
本圧上ロール14及び本圧下ロール15による加圧位置から、回転盤3及び杵5、6の回転方向に沿って先に進んだ位置に、成形品Pの受け渡し位置16が存在する。受け渡し位置16までに、下杵6の杵先63の上端面が臼孔4の上端即ちテーブル31の上面と略同じ高さとなるまで下杵6が上昇し、臼孔4内にある成形品Pを臼孔4から押し出す。臼孔4から押し出された成形品Pは、受け渡し位置16において成形機Aに連結した成形品処理システム(以下「処理システム」という)Sに移送される。
【0026】
本実施形態の成形機A及び処理システムS(の各モジュールB、C、D)の制御を司る制御装置は、プロセッサ、記憶デバイスであるメインメモリ及び補助記憶デバイス(例えば、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等)、入出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステム、パーソナルコンピュータ又はワークステーション、あるいはプログラマブルコントローラである。この制御装置は、予め補助記憶デバイスに格納されているプログラムをメモリを介してプロセッサに読み込み、プロセッサにおいて解読して、成形機A及び処理システムSの制御を遂行する。
【0027】
図2、
図4、
図8及び
図12に示すように、本実施形態において成形機Aに付帯する処理システムSは、成形品Pに対する何らかの後工程の処理を実施するためのモジュールB、C、Dを複数配列したものである。
【0028】
成形機Aの下流に直結するモジュールBは、成形機Aにおいて成形品Pを成形した順番を維持したままで成形機Aから成形品Pを順次取り出す取出装置B1を有している。取出装置B1は、成形品Pを受け渡し位置16にて取り出し、成形品Pに対して次の工程を実施する処理装置B2に向けて搬送する。
図2、
図4ないし
図7に示すように、取出装置B1は、成形機Aの回転盤3及びテーブル31と同期して垂直軸回りに水平回転する移送体たる回転体17と、回転体17の直下にあって回転体17と対向する保持体18と、回転体17の外周部における保持体18と対向する下面から保持体18に向かって下方に突出する複数の突起171と、回転体17の外周部に近接し突起171と突起171との間の空隙を外側方から閉鎖する外側のガイド20と、回転体17の外周部よりも内方にあって突起171と突起171との間の空隙を内側方から閉鎖する内側のガイド21とを主たる構成要素とする。
【0029】
回転体17は、図中反時計回りに回転するテーブル31に対して、図中時計回りに回転する。テーブル31の回転と回転体17の回転とを同期させるためには、回転体17を回転させるモータ40をサーボモータ又はステッピングモータとし、かつロータリエンコーダ等の角位置センサを用いて回転盤3及び回転体17の各々の回転角度及び回転速度を検出して、両者の回転が同期するようにモータ40の回転速度をフィードバック制御する。あるいは、回転盤3と回転体17とを、歯車伝動機構や巻掛伝動機構等を介して機械的に接続して連動させるようにしてもよい。
【0030】
回転体17は、当該回転体17の回転軸43の方向即ち上下方向から見た平面視において略円板状をなしている。この回転体17に設けた複数の突起171は、回転体17の外周縁に沿って、即ち回転体17の回転軸43回りの周方向に沿って、所定の間隔を隔てて間欠的に配置されている。これらの突起171は、回転体17と一体となって回転することは言うまでもない。成形機Aが成形した成形品Pは、回転体17の突起171に捕捉され、突起171と突起171との間の空隙に収容された状態で移送される。
【0031】
周方向に沿って隣り合う突起171と突起171との間の空隙の大きさWは、成形機Aが成形する成形品Pの最も長い外寸よりも大きい。ここに言う最も長い外寸とは、平面視において成形品Pの外縁(輪郭)上のある点から当該成形品Pの重心又は幾何中心に向かって伸び、同重心又は幾何中心を通過して成形品Pの外縁上の別の点に到達する線分の長さのうち、最も大きいものを指す。成形品Pが平面視楕円形状をなす場合には、その長軸又は長径が最も長い外寸に該当する。
【0032】
図5に示すように、回転体17の下面と、保持体18の上面とは、上下方向に沿って所定距離を隔てて対向している。回転体17の下面は、成形機Aのテーブル31の上面よりも高位置にある。その上で、回転体17の外周部の一部が、成形機Aのテーブル31に上方から重なる。回転体17の下面から突出する突起171の先端は、保持体18の上面及びテーブル31の上面に極近接する。テーブル31及び回転体17の同期回転に伴い、各臼孔4と、各突起171間の空隙とは、成形品Pの受け渡し位置16において一時的に重なり合う。
【0033】
回転体17と異なり、保持体18は回転せず、回転体17の外周部に下方から重なるように配置される。保持体18は、成形機Aのテーブル31に隣接し、その上面がテーブル31の上面と略等しい高さにある。回転体17の突起171間の空隙内に捕捉された成形品は、突起171とともに水平回転しながら、この保持体18の上面を摺動又は滑走する。つまり、保持体18は、移送される成形品を下方から支持する。テーブル31との干渉を避けるべく、保持体18における、テーブル31と回転体17とが平面視重なり合う受け渡し位置16に対応する部位は、テーブル31の外周縁に沿って円弧状に切り欠いてある。保持体18の当該部位の端縁は、テーブル31の外周縁に極近接しており、成形品Pが成形機Aのテーブル31の上面から取出装置B1の保持体18の上面に円滑に移乗することができる。
【0034】
回転体17の下面と保持体18の上面との離間距離Hは、成形機Aが成形する成形品Pの上下方向に沿った厚みと同程度又はこれよりも大きく、なおかつ成形品Pの最も短い外寸よりも小さく設定する。ここに言う最も短い外寸とは、平面視において成形品Pの外縁上のある点から当該成形品Pの重心又は幾何中心に向かって伸び、同重心又は幾何中心を通過して成形品Pの外縁上の別の点に到達する線分の長さのうち、最も小さいものを指す。成形品Pが平面視楕円形状をなす場合には、その短軸又は短径が最も短い外寸に該当する。成形品Pの厚みは、成形機Aにおいて臼孔4内に充填された粉体の圧縮が完了するときの上杵5の杵先53と下杵6の杵先63との上下方向に沿った距離に略等しい。
【0035】
外側のガイド20は、回転体17の外周縁に隣接し、平面視回転体17を取り巻く略円弧状をなすように拡張している。このガイド20は、回転体17の回転軸43と直交する径方向に沿った外側方に開口している突起171間の空隙を外側方より閉塞し、成形品Pが遠心力により空隙から外側方に飛び出すことを抑止する。外側のガイド20の始端部201は、成形機Aのテーブル31に向かって突き出し、テーブル31に上方から重なるようにして臼孔4の水平回転の軌跡の直上に位置しており、テーブル31の上面まで押し出された成形品Pを受け渡し位置16において掻き取り取出装置B1に取り込むダンパ(又は、スクレーパ)としての役割を担う。
【0036】
また、内側のガイド21は、回転体17の突起171の径方向に沿った内側方の端縁に隣接し、回転体17の外周部の内側で平面視略円弧状をなすように拡張している。このガイド21は、回転体17の径方向に沿った内側方に開口している空隙を内側方より閉塞し、成形品が意図せず内側方に変位することを抑止する。内側のガイド21は、保持体18に対して固定され、又は保持体18と一体化していることがある。なお、回転体17における、内側のガイド21の上面が面する部位の下面は、回転体17の外周部の空隙に面する(即ち、突起171を設けていない箇所の)下面よりも若干上方に凹んでいる。そして、内側のガイド21の上面は、後述する粉塵除去装置B2が設けられている区域を除き、回転体17の外周部の空隙に面する下面よりも若干ながら高い位置にある。これにより、成形品Pが回転体17の下面と内側のガイド21の上面との間隙に入り込むことを防止する。
【0037】
既に述べた通り、成形機Aにおいては、成形品Pを包有する臼孔4が受け渡し位置16に至るまでの間に、下杵6が上昇して成形品Pを臼孔4から押し出す。押し出された成形品Pは、受け渡し位置16においてテーブル31の回転に伴って外側のガイド20に当接し、外側のガイド20に沿って移動して、テーブル31上から保持体18上へと遷移する。このとき、成形品Pは、回転体17から下方に突出している突起171により捕捉され、回転体17と保持体18との間の領域における、突起171と突起171との間の空隙に入り込む。成形品Pは、一つ一つの空隙に一個ずつ収容される。これにより、成形機Aのテーブル31の臼孔4が並ぶ順番に、換言すれば成形機Aにおいて成形品Pを圧縮成形した順番を崩さずに、各空隙に一個ずつ成形品Pを順番に並べて収容することができる。しかも、成形機Aのテーブル31からモジュールBの取出装置B1の回転体17への成形品Pの受け渡しの過程で、成形品Pの上面と下面とが裏返ることがない。
【0038】
突起171間の空隙内に捕捉された成形品Pは、回転体17の回転方向に沿って後方にある突起171と当接し、この突起171に押されながら、突起171の回転の軌跡に沿って、保持体18上を摺動又は滑走しつつ移送される。各成形品Pは、各空隙内において、突起171に対する相対位置が略一定となる。成形品Pは、回転体17の回転により遠心力の作用を受け、空隙内で回転体17の径方向に沿った内側方から外側方へと変位する。だが、その成形品Pは、外側のガイド20の内側方の縁辺に当接してそれ以上の変位が阻まれ、空隙から外側方に飛び出すことはない。また、空隙の上方は回転体17により閉塞されているので、空隙内に捕捉した成形品Pが不意に跳ねて空隙から脱出してしまうこともない。
【0039】
回転体17の突起171に捕捉された成形品Pは、その移送の終端位置である受け渡し位置23まで移送される。保持体18における、受け渡し位置23に対応する部位は、後述する搬送装置C1の回転体24との干渉を避けるべく、回転体24の外周縁に沿って円弧状に切り欠いてある。即ち、受け渡し位置23では、回転体17の外周部と保持体18とが平面視重なり合わない。従って、受け渡し位置23に到達した各成形品Pは、保持体18による下方からの支持を失い、突起171間の空隙から脱落して、モジュールBの下流に直結するモジュールCの搬送装置C1にその順番を崩すことなく受け渡される。
【0040】
回転体17の外周部における、受け渡し位置16から受け渡し位置23までの成形品Pの搬送区間内の一部の区域には、モジュールBにおける処理装置として、成形品Pに付着している粉塵を除去する粉塵除去装置B2を設置している。
【0041】
回転体17には予め、突起171間の空隙を外部に連通せしめる連通孔172が穿たれている。連通孔172は、各空隙よりも回転体17の径方向に沿って内側方に所在し、回転体17を上下方向に沿って貫通し、回転体17の周方向に沿って拡張した長孔である。連通孔172の数は、空隙の数と同数である。粉塵除去装置B2は、連通孔172、突起171間の空隙、及び回転体17と外側のガイド20との境界部位に上方から覆い被さっており、回転体17の周方向に沿って拡張している。
【0042】
図7に示すように、粉塵除去装置B2は、連通孔172の直上に位置しており図示しないポンプから供給される圧縮空気Kを連通孔172に向けて下方に噴出させる噴出ノズル221と、回転体17と外側のガイド20との境界部位の直上に位置しており図示しないポンプにより空気Kを上方に吸引する集塵口222とを具備している。圧縮空気Kは、予め除電器によりイオン化されていてもよく、またパルス状に噴出させてもよい。噴出ノズル221から供給される圧縮空気Kは、回転体17の下面と内側のガイド21の上面との間隙を通じて突起171間の空隙内に至り、この空隙に収容されている成形品Pの外面に吹き付けられて、成形品Pの外面に付着している粉塵を成形品Pから吹き飛ばして除去する。成形品Pに吹き当たった後の粉塵を含む空気Kは、回転体17と外側のガイド20との間隙から上方に漏出し、集塵口222に吸引される。
【0043】
モジュールBに後続するモジュールCの搬送装置C1は、成形品Pの受け渡し位置23にて取出装置B1から成形品Pを受け取り、成形品Pに対して次の工程を実施する処理装置C2、C3に向けて搬送する。取出装置B1と搬送装置C1との間で成形品Pを受け渡しする際にも、成形機Aにおいて成形品Pを成形した順番は依然として維持される。
図8ないし
図11に示すように、搬送装置C1は、取出装置B1の回転体17と同期して垂直軸回りに水平回転する移送体たる回転体24を主体とする。
【0044】
回転体24は、図中時計回りに回転する回転体17に対して、図中反時計回りに回転する。回転体17の回転と回転体24の回転とを同期させるためには、例えば、
図17及び
図19に示すように、回転体17の回転軸43と回転体24の回転軸44とを、歯車伝動機構41又は巻掛伝動機構等を介して機械的に接続して連動させるようにする。あるいは、回転体24を回転させるモータをサーボモータ又はステッピングモータとし、かつロータリエンコーダ等の角位置センサを用いて回転体17及び回転体24の各々の回転角度及び回転速度を検出して、両者の回転が同期するようにモータの回転速度をフィードバック制御することとしてもよい。
【0045】
回転体24は、当該回転体24の回転軸44の方向即ち上下方向から見た平面視において略円板状をなす。より具体的には、この回転体24は、外径の大きさの異なる二枚の円板体240、241を、外径がより小さい円板体240を外径がより大きい円板体241の上に重ね合わせ、両者240、241を剛結し一体化することによって構成される。従って、当該回転体24の基部即ち上方の円板体240の外周縁から、下方の円板体241の外周部242が、回転体24の回転軸44と直交する径方向に沿って外側方に張り出す。この外周部242が、当該回転体24のフランジとなる。
【0046】
回転体24の基部240の外周面には、径方向に沿って内側方に凹みかつ外側方に開口するポケット243を形成している。基部240の外周縁は、概ね円形状をなしつつも、ポケット243の部分だけ回転体24の回転軸44に近づく方向に凹む。そして、フランジ242における、回転軸44の方向に沿った一方側即ち下方からポケット243に臨む位置に、周縁の閉じた吸着孔244を開設している。回転体24を上下方向から見て、吸着孔244は、その少なくとも一部がポケット243と重なり合い、ポケット243に向けて上方に開口する。平面視において、吸着孔244の内側方の周縁は、ポケット243の内壁面に沿っている。また、吸着孔244は、フランジ242を上下方向に貫通している。
【0047】
ポケット243及び吸着孔244は、回転体24の外に沿って、即ち回転体24の回転軸44回りの周方向に沿って、所定の間隔を隔てて間欠的に配置されている。これらポケット243及び吸着孔244は、回転体24と一体となって回転することは言うまでもない。モジュールBの取出装置B1からモジュールCの搬送装置C1に受け渡される成形品Pは、回転体24のポケット243及び吸着孔244に係合し、吸着孔244に捕捉された状態で移送される。
【0048】
図9に示すように、搬送装置C1の回転体24の外周部のフランジ242の上面は、モジュールBの取出装置B1の回転体17の下面よりも低位置にあり、保持体18の上面と略等しい高さ位置にある。そして、回転体24の基部240の外周及びポケット243が、回転体17の突起171間の空隙と水平方向に対向するようにこれと略等しい高さ位置にある。その上で、平面視回転体24のフランジ242の一部が回転体17の一部に下方から重なり、両者が上下方向に対向する。回転体17の下面から突出する突起171の先端は、保持体18の上面及びフランジ242の上面に極接近する。回転体17及び回転体24の同期回転に伴い、各突起171間の空隙と、吸着孔244とは、受け渡し位置23において一時的に重なり合う。
【0049】
回転体24のフランジ242との干渉を避けるべく、保持体18における、フランジ242と回転体17とが平面視重なり合う受け渡し位置23に対応する部位は、フランジ242の外周縁に沿って円弧状に切り欠いてある。保持体18の当該部位の端縁は、フランジ242の外周縁に極近接しており、成形品Pが取出装置B1の保持体18の上面から搬送装置C1の回転体24のフランジ242の上面に円滑に移乗することができる。
【0050】
受け渡し位置23では、回転体17の突起171間の空隙内に収容され突起171に押されながら移送されていた成形品Pが、回転体17の回転に伴って、保持体18上から回転体24のフランジ242上へと遷移する。このとき、成形品Pは、回転体24に形成されているポケット243に入り込み、かつ吸着孔244に捕捉される。成形品Pは、一つ一つの吸着孔244に一個ずつ収容される。これにより、取出装置B1の回転体17の突起171間の空隙が並ぶ順番に、換言すれば成形機Aにおいて成形品Pを圧縮成形した順番を崩さずに、各吸着孔244に一個ずつ成形品Pを順番に係合させることができる。取出装置B1の回転体17から搬送装置C1の回転体24への成形品Pの受け渡しの過程で、成形品Pの上面と下面とが裏返ることはない。
【0051】
吸着孔244に捕捉された成形品Pは、回転体24の回転に伴い、吸着孔244の回転の軌跡に沿って移送される。各成形品Pは、各吸着孔244内において、回転体24及び吸着孔244に対する相対位置が略一定となる。成形品Pは、回転体24の回転により遠心力の作用を受けるが、吸着孔244に吸着してその変位が阻まれ、外側方に飛び出さない。また、成形品Pの移送の過程で、成形品Pの上面と下面とが裏返らない。
【0052】
最終的に、吸着孔244に捕捉された成形品Pは、その移送の終端位置である受け渡し位置27まで移送される。受け渡し位置27に到達した成形品Pは、モジュールCの搬送装置C1から、当該モジュールCの下流に直結するモジュールDの搬送装置D1に受け渡される。
【0053】
以降、回転体24のポケット243及び吸着孔244に成形品Pを吸着する機構について述べる。ポケット243内及び吸着孔244内にはそれぞれ負圧が供給され、これにより成形品Pをポケット243及び吸着孔244に吸着することができる。
図8ないし
図11に示すように、回転体24には予め、ポケット243内に負圧を供給するための吸引通路2451、2452が穿たれている。吸引通路2451、2452は、その始端がポケット243の内壁面における最も内側方の箇所に開口し、そこから回転体24の内部を回転体24の回転軸44に向かって内側方に伸長する内部通路2451と、内部通路2451の終端に向けて回転体24をその下面から上方に掘削することで内部通路2451を回転体24の下面側に開通させる吸引孔2452とを有する。詳細には、内部通路2451は、回転体24の基部である上方の円板体240の下面に形成した下方に開口する溝である。この溝245は、円板体240の下面に接合する円板体241によって下方から閉塞される。そして、吸引口2452は、下方の円板体241における内部通路2451の終端の直下に位置する部位を上下方向に貫通している貫通孔である。この吸引通路2451、2452により、ポケット243内が、回転体24の下面におけるポケット243よりも内側方に偏倚した吸引口2452の位置に連通することとなる。吸引通路2451、2452の数は、ポケット243及び吸着孔244の組の数と同数である。
【0054】
ポケット243内に負圧を供給するためには、吸引口2452から内部通路2451及びポケット243内の雰囲気を吸引すればよい。回転体24の下方には、平面視回転体24の外周に沿って半円弧状をなすように拡張した、負圧供給用のダクト25を設置している。ダクト25は、回転体24の下面に極近接する頂壁251と、頂壁251の内側端及び外側端からそれぞれ垂下する側壁252と、それら側壁252の下端同士を連接する底壁253とで、その内部空間を囲繞している筒状体である。このダクト25の内部空間は、図示しないポンプにより吸引されて負圧化している。
【0055】
ダクト25の頂壁251における、吸引口2452の直下に位置する部位には、平面視回転体24の回転軸44を中心とした部分円弧状をなす二つのスロット孔254、256を形成してある。スロット孔254、256は何れも、頂壁251を上下方向に貫通している。各スロット孔254、256は、回転体24の回転に伴い各吸込口2452が移動する軌跡に沿って拡張している。前者のスロット孔254の拡張範囲は、回転体24の回転方向に沿って、取出装置B1から成形品Pを受け取る受け渡し位置23よりも上流側から、同受け渡し位置23の下流の所定位置までの範囲に亘る。後者のスロット孔254の拡張範囲は、回転体24の回転方向に沿って、取出装置D1に成形品Pを受け渡す受け渡し位置27よりも上流側から、同受け渡し位置27の直前の位置までの範囲に亘る。
【0056】
ポケット243内に負圧が供給される、即ちポケット243内が吸引されるのは、ポケット243と接続している吸引通路2451、2452の吸引口2452が何れかのスロット孔254、256の直上に所在している時期、即ち負圧化したダクト25の内部空間とポケット243内とが連通している時期に限られる。吸引口2452がスロット孔254、256の存在しない位置にあるときには、ダクト25の内部空間と吸引口2452との間に頂壁251が介在し、ダクト25の内部空間とポケット243とが隔絶されて、ポケット243内が吸引されない。
【0057】
そして、ダクト25は、吸着孔244内に負圧を供給する役割をも担っている。ダクト25の頂壁251における、吸着孔244の直下に位置する部位には、平面視回転体24の回転軸44を中心とした部分円弧状をなすスロット孔255を形成してある。スロット孔255もまた、頂壁251を上下方向に貫通している。スロット孔255は、回転体24の回転に伴い各吸着孔244が移動する軌跡に沿って拡張している。スロット孔255の拡張範囲は、回転体24の回転方向に沿って、取出装置B1から成形品Pを受け取る受け渡し位置23の直後の位置から、取出装置D1に成形品Pを受け渡す受け渡し位置27の直前の位置までの範囲に亘る。
【0058】
吸着孔244内に負圧が供給される、即ち吸着孔244内が吸引されるのは、吸着孔244がスロット孔255の直上に所在している時期、即ち負圧化したダクト25の内部空間と吸着孔244内とが連通している時期に限られる。吸着孔244がスロット孔255の存在しない位置にあるときには、頂壁251によりダクト25の内部空間と吸着孔244とが隔絶されて、吸着孔244内が吸引されない。
【0059】
搬送装置C1の回転体24のポケット243及び吸着孔244の組に、取出装置B1の回転体17の突起171間の空隙に捕捉された成形品Pを受け渡す過程では、まず、受け渡し位置23の上流にあって成形品Pを保持していないポケット243及び吸着孔244の組が受け渡し位置23に向かって移動する。そして、これらが受け渡し位置23の直前の位置に至った時点で、そのポケット243と内部通路2451を介して接続している吸引口2452がスロット孔254の直上に到達し、負圧供給用のダクト25による当該ポケット243内の吸引が開始される。この時点で、当該ポケット243と組になっている吸着孔244は未だスロット孔255の直上には到達しておらず、吸着孔244内は吸引されない。
【0060】
成形品Pの受け渡し位置23に至ったポケット243及び吸着孔244の組のうち、ポケット243内は吸引されているが、吸着孔244内は吸引されていない。従って、回転体17の突起171間の空隙に捕捉されて受け渡し位置23に到着した成形品Pは、ポケット243に向かって、回転体24の回転軸44に接近する内側方に吸引されて、ポケット243に係合する。これにより、当該成形品Pが、吸着孔244に対して一定の相対位置に位置決めされる。
【0061】
成形品Pを吸着したポケット243及びこれと組となる吸着孔244が、受け渡し位置23から下流に移動すると、その吸着孔244がスロット孔255の直上に到達し、負圧供給用のダクト25による当該吸着孔244内の吸引が開始される。結果、ポケット243に吸着している成形品Pが、吸着孔244にも吸着する状態となる。この時点では、ポケット243と内部通路2451を介して接続している吸引口2452が依然としてスロット孔254の直上に位置しており、ポケット243及び吸着孔244の双方に負圧が供給されている。
【0062】
回転体24が回転し、成形品Pを吸着したポケット243及び吸着孔244がさらに下流に移動すると、当該ポケット243と内部通路2451を介して接続している吸引口2452がスロット孔254の直上から離脱するため、ポケット243内は吸引されなくなり、よって成形品Pはポケット243には吸着しなくなる。一方で、成形品Pを吸着している吸着孔244は依然としてスロット孔255の直上に位置しているので、成形品Pは当該吸着孔244に吸着しながら捕捉され続ける。
【0063】
成形品Pを吸着した吸着孔244が下流に移動して、取出装置D1に成形品Pを受け渡す受け渡し位置27に近づくと、当該吸着孔244と組となっているポケット243と内部通路2451を介して接続している吸引口2452がスロット孔256の直上に到達し、負圧供給用のダクト25による当該ポケット243内の吸引が開始され、一時的ではあるが成形品Pが当該ポケット243にも吸着する状態となる。
【0064】
その後、成形品Pを吸着したポケット243及び吸着孔244が受け渡し位置27の直前の位置に至った時点で、その吸着孔244がスロット孔255の直上から離脱し、吸着孔244内が吸引されなくなり、成形品Pは吸着孔244に吸着しなくなる。そして、それと略同時ないしその直後の時点で、成形品Pを吸着したポケット243と内部通路2451を介して接続している吸引口2452がスロット孔256の直上から離脱し、ポケット243内が吸引されなくなり、成形品Pはポケット243にも吸着しなくなる。この状態で、搬送装置C1の回転体24から搬送装置D1の回転体28への成形品Pの受け渡しが行われる。
【0065】
回転体24の外周部における、受け渡し位置23から受け渡し位置27までの成形品Pの搬送区間内の一部の区域には、モジュールCにおける処理装置として、成形品Pへの異物の混入の有無を検査する異物検査装置(金属探知機であることがある)C2、若しくは成形品Pの含有成分その他の品質を検査する品質検査装置C2、並びに成形品Pの外面の状態を検査する検査装置であり本発明の検査装置である外面検査装置C3を設置している。
【0066】
図10に示すように、異物検査装置若しくは品質検査装置C2は、搬送装置C1が搬送する成形品Pの移動の軌跡と平面視重なり合う位置に設置した光源261、及び受光素子であるセンサ262を要素とする。光源261及びセンサ262は、成形品P及び成形品Pを搬送する回転体24を挟んで、回転体24の回転軸44の方向である上下方向に沿って対向するように配置される。そして、光源261から放たれた光又は電磁波Lのうち成形品Pを透過した透過光Lを信号光としてセンサ262に入射させ、その信号光Lを分析することで、成形品Pに異物が混入していないか、及び/又は、成形品Pの成分その他の品質が適正であるか否を検査する。この装置C2は、近赤外分光分析を行うものであったり、X線検査(X線透視又は透過測定)を行うものであったりする。
【0067】
図11に示すように、外面検査装置C3は、吸着孔244に捕捉されて移送される各成形品Pの所定の面、例えば上面を撮影し、その画像を取得するカメラC30を有する。取得した画像は、成形品Pの外面の状態の検査に使用することができる。即ち、撮影した画像を解析し、又は正常な成形品Pの画像と比較する等して、成形品Pの外面の状態が正常であるか不良であるかを判定することができる。
【0068】
ここで、外面検査装置C3は、成形品の画像を撮影するためのカメラC30と、前述した図示しない制御装置とを用いて形成されたものである。また、この外面検査装置C3は、前記制御装置のプロセッサが補助記憶デバイスの所定領域に記憶した異物判定プログラムを読み込み実行することにより、カメラC30と前記制御装置とが協働し、機能ブロック図である
図20に示すように、成形品Pの撮影画像における、想定される正常な成形品Pの輪郭よりも内側にある第1の検査領域R1内に異物が存在するか否かを判定する第1異物判定部C32、及び成形品Pの撮影画像における、想定される正常な成形品Pの輪郭よりも外側にある第2の検査領域内に異物が存在するか否かを判定する第2異物判定部C34として機能する。本実施形態では、第1の検査領域R1は、想定される正常な成形品Pの輪郭よりも第1の所定距離d1以上内側の領域に設定している。また、第2の検査領域R2は、想定される正常な成形品Pの輪郭よりも第2の所定距離d2以上外側かつ第3の所定距離d3以内の内側の領域に設定している。なお、第1異物判定部C32及び第2異物判定部C34が判定する「異物」は、成形品Pに混入した異物に限らず、黒点、色むらといった成形物Pの外観の異常全般を含む概念である。なお、本実施形態では、カメラC30により撮影される画像は、黒色(又は黒色に近い色)を呈する背景部分中に白色(又は白色に近い色)を呈する成形品Pを配した状態となるようにしている。また、成形品Pに対して、カメラC30及び図示しない光源は同じ側に配している。
図21には、カメラC30が撮影した画像の例を示している。
図21に示す例では、成形品Pの上面に異物P1が露出しているとともに成形品Pの側面から紐状の異物P2が突出している。
【0069】
第1異物判定部C32は、カメラC30が撮影した成形品Pの画像に基づき、第1の検査領域R1に異物P1が存在するか否かを判定する。具体的には、第1の検査領域R1の画像内に成形品Pと異なる色すなわち白色以外の色を呈する部分の割合が所定以上である場合に異物P1が存在すると判定する。
【0070】
第2異物判定部C34は、カメラC30が撮影した成形品Pの画像に基づき、第2の検査領域R2に異物P1が存在するか否かを判定する。具体的には、第2の検査領域R2の画像内に背景と異なる色すなわち黒色以外の色を呈する部分の割合が所定以上である場合に異物が存在すると判定する。
【0071】
そして、第1異物判定部C32又は第2異物判定部C34により異物が存在すると判定された場合には、当該成形品Pに異物が存在することを示す情報を関連付けて保存する。
【0072】
この外面検査装置C3が行う処理の流れを、フローチャートである
図22を参照しつつ以下に示す。
【0073】
まず、カメラにより成形品Pの画像を撮影する(ステップS1)。次いで、ステップS1で撮影した画像に基づき第1の検査領域R1内に異物が存在するか否かを判定する(ステップS2)。第1の検査領域R1内に異物が存在する場合は、当該成形品Pに異物が存在することを示す情報を関連付けて保存し(ステップS4)、この異物判定プログラムの処理を終了する。第1の検査領域R1内に異物が存在しない場合は、ステップS1で撮影した画像に基づき第2の検査領域R2内に異物が存在するか否かを判定する(ステップS3)。第2の検査領域R2内に異物が存在する場合は、当該成形品Pに異物が存在することを示す情報を関連付けて保存し(ステップS4)、この異物判定プログラムの処理を終了する。第2の検査領域R2内にも異物が存在しない場合は、そのままこの異物判定プログラムの処理を終了する。
【0074】
外面検査装置C3のカメラC30は、成形品Pの上面を撮影するに限らず、成形品Pの下面をも撮影するようにしてもよい。成形品Pの上面/下面を撮影した画像を解析し、成形品Pの幅、長さ、直径、面積等を測定することもできる。また、成形品Pの側面を撮影し、その状態が正常であるか不良であるかを判定することもできる。成形品Pの側面を撮影した画像を解析し、成形品Pの高さ(厚さ)を測定することもできる。あるいは、外面検査装置C3に光切断法による3次元測定装置を採用すれば、成形品Pの3次元データを取得することができ、取得したデータを解析し、成形品Pの外面の状態が正常であるか不良であるかを判定することができる。外面検査装置C3における処理は、これらのうち何れかひとつを採用するに限らず、複数の処理を併合するようにしてもよい。
【0075】
成形品Pを捕捉する吸着孔244は、回転体24のフランジ242を上下に貫通しており、光源261とセンサ262とのうちの一方がフランジ242の直上に、他方がフランジ242の直下に位置している。さらに、上下方向から見た平面視において、吸着孔244の周縁は一周連続して閉じており、その周縁がこれに吸着される成形品Pの外縁よりも内に収まる寸法及び形状をなしている。その上で、成形品Pを捕捉する吸着孔244が異物検査装置若しくは品質検査装置C2、並びに外面検査装置C3の所在する区域を通過するときには、当該吸着孔244の内にダクト25から負圧が供給されていることから、成形品Pが当該吸着孔244にぴったりと付着して、吸着孔244の周縁と成形品Pの外縁との間に隙間が生じない。
【0076】
このため、異物検査装置若しくは品質検査装置C2においては、成形品Pを透過した信号光Lが吸着孔244を通じて適切にセンサ262に入射する一方、信号光L以外の迷光即ち成形品Pを透過しなかった光は回転体24及びフランジ242によって遮蔽され、センサ262に入射することが抑制される。吸着孔244に吸着されて保定された成形品Pは、回転体24の回転方向に沿って搬送されながらも、回転体24及び吸着孔244に対する相対的な位置が一定化する。このことは、成形品Pに光又は電磁波Lを照射して成形品Pを透過した信号光Lを分析する処理や、成形品Pをカメラで撮影して外面検査をする処理等のために有効である。
【0077】
成形機Aのテーブル31、モジュールBの取出装置B1の回転体17、モジュールCの搬送装置C1の回転体24は、互いに同期して回転する。本実施形態の成形機A及び処理システムSの制御装置は、成形機Aの回転盤3、取出装置B1の回転体17又は搬送装置C1の回転体24に付随する角位置センサ(ロータリエンコーダ等)が出力する信号を参照することで、回転体24の回転軸44回りの周方向に沿って配列されている吸着孔244の各々が現在どの位置にあるのかを知得することができる。さらに言えば、成形機Aのテーブル31における何番目の臼孔4内で圧縮成形された成形品Pが、現在モジュールC内のどの位置にあるのかを知得することができる。これは、今異物検査装置若しくは品質検査装置C2のセンサ262の前を通過した、あるいは今外面検査装置C3のカメラの前を通過した成形品Pが、つまりは異物検査、品質検査又は外面検査を行った成形品Pが、何番目の臼孔4内で成形されたものであるのかが分かるということを意味する。制御装置は、異物検査装置若しくは品質検査装置C2、あるいは外面検査装置C3を介して成形品Pの外面検査を行った結果に係る情報(対象の成形品Pに異物が混入していないかどうか、対象の成形品Pの品質に異常がないか、対象の成形品Pの外面の状態が正常であるか不良であるか等の判定結果)を、その対象の成形品Pが何番目の臼孔4で成形されたのかを示すID番号に関連づけて、記憶デバイスに記憶保持する。
【0078】
モジュールCに後続するモジュールDの搬送装置D1は、成形品Pの受け渡し位置27にて搬送装置C1から成形品Pを受け取り、成形品Pに対して次の工程を実施する処理装置D2に向けて搬送する。搬送装置C1と搬送装置S1との間で成形品Pを受け渡しする際にも、成形機Aにおいて成形品Pを成形した順番は依然として維持される。
図12ないし
図15に示すように、搬送装置D1は、搬送装置C1の回転体28と同期して垂直軸回りに水平回転する移送体たる回転体28を主体とする。
【0079】
回転体28は、図中反時計回りに回転する回転体28に対して、図中時計回りに回転する。回転体24の回転と回転体28の回転とを同期させるためには、例えば、
図17及び
図19に示すように、回転体24の回転軸44と回転体28の回転軸45とを、歯車伝動機構42又は巻掛伝動機構等を介して機械的に接続して連動させるようにする。あるいは、回転体28を回転させるモータをサーボモータ又はステッピングモータとし、かつロータリエンコーダ等の角位置センサを用いて回転体24及び回転体28の各々の回転角度及び回転速度を検出して、両者の回転が同期するようにモータの回転速度をフィードバック制御することとしてもよい。
【0080】
回転体28は、当該回転体28の回転軸45の方向即ち上下方向から見た平面視において略円板状をなす。より具体的には、この回転体28は、外径の大きさの異なる二枚の円板体280、281を、外径がより大きい円板体281を外径がより小さい円板体280の上に重ね合わせ、両者280、281を剛結し一体化することによって構成される。従って、当該回転体28の基部即ち下方の円板体280の外周縁から、上方の円板体281の外周部282が、回転体28の回転軸45と直交する径方向に沿って外側方に張り出す。この外周部282が、当該回転体28のフランジとなる。
【0081】
回転体28の基部280の外周面には、径方向に沿って内側方に凹みかつ外側方に開口するポケット283を形成している。基部280の外周縁は、概ね円形状をなしつつも、ポケット283の部分だけ回転体28の回転軸45に近づく方向に凹む。そして、フランジ282における、回転軸45の方向に沿った他方側即ち上方からポケット283に臨む位置に、周縁の閉じた吸着孔284を開設している。回転体28を上下方向から見て、吸着孔284は、その少なくとも一部がポケット283と重なり合い、ポケット283に向けて下方に開口する。平面視において、吸着孔284の内側方の周縁は、ポケット283の内壁面に沿っている。また、吸着孔284は、フランジ282を上下方向に貫通している。
【0082】
ポケット283及び吸着孔284は、回転体28の外に沿って、即ち回転体28の回転軸45回りの周方向に沿って、所定の間隔を隔てて間欠的に配置されている。これらポケット283及び吸着孔284は、回転体28と一体となって回転することは言うまでもない。モジュールCの搬送装置C1からモジュールDの搬送装置D1に受け渡される成形品Pは、回転体28のポケット283及び吸着孔284に係合し、吸着孔284に捕捉された状態で移送される。
【0083】
図13に示すように、搬送装置D1の回転体28の外周部のフランジ282の下面は、モジュールCの搬送装置C1の回転体24の外周部のフランジ242の上面よりも高位置にある。そして、回転体28の基部280の外周及びポケット283が、回転体24の基部240及びポケット243と水平方向に対向するようにこれと略等しい高さ位置にある。その上で、平面視回転体28のフランジ282の一部が回転体24のフランジ242の一部に上方から重なり、両者が上下方向に対向する。回転体24及び回転体28の同期回転に伴い、吸着孔244と吸着孔284とは、受け渡し位置27において一時的に重なり合う。回転体24の基部240の上面は回転体28のフランジ282の下面よりも若干低く、回転体24のフランジ242の上面は回転体28の基部280の下面よりも若干低いため、回転体24と回転体28とは干渉し合わない。
【0084】
受け渡し位置27では、回転体24の吸着孔244に捕捉されて移送されていた成形品Pが、回転体24のフランジ242上から回転体28のフランジ282の直下へと遷移する。このとき、成形品Pは、回転体28に形成されているポケット283に入り込み、かつ吸着孔284に捕捉される。成形品Pは、一つ一つの吸着孔284に一個ずつ収容される。これにより、搬送装置C1の回転体24の吸着孔244が並ぶ順番に、換言すれば成形機Aにおいて成形品Pを圧縮成形した順番を崩さずに、各吸着孔284に一個ずつ成形品Pを順番に係合させることができる。搬送装置C1の回転体24から搬送装置D1の回転体28への成形品Pの受け渡しの過程で、成形品Pの上面と下面とが裏返ることはない。
【0085】
吸着孔284に捕捉された成形品Pは、回転体28の回転に伴い、吸着孔284の回転の軌跡に沿って移送される。各成形品Pは、各吸着孔284内において、回転体28及び吸着孔284に対する相対位置が略一定となる。成形品Pは、回転体28の回転により遠心力の作用を受けるが、吸着孔284に吸着してその変位が阻まれ、外側方に飛び出さず、かつ吸着孔284から落下しない。また、成形品Pの移送の過程で、成形品Pの上面と下面とが裏返らない。
【0086】
最終的に、吸着孔284に捕捉された成形品Pは、後述する排除装置D3によって排除されない限り、搬送装置D1による移送の終端位置Eまで移送される。そして、この終端位置Eにて回転体28の吸着孔284から離脱し、成形品Pに対して次の工程を実施する装置に受け渡され、あるいは成形品Pを回収する容器等に向けて流下することとなる。
【0087】
以降、回転体28のポケット283及び吸着孔284に成形品Pを吸着する機構について述べる。ポケット283内及び吸着孔284内にはそれぞれ負圧が供給され、これにより成形品Pをポケット283及び吸着孔284に吸着することができる。
図12ないし
図15に示すように、回転体28には予め、ポケット283内に負圧を供給するための吸引通路2851、2852が穿たれている。吸引通路2851、2852は、その始端がポケット283の内壁面における最も内側方の箇所に開口し、そこから回転体28の内部を回転体28の回転軸45に向かって内側方に伸長する内部通路2851と、内部通路2851の終端に向けて回転体28をその上面から下方に掘削することで内部通路2851を回転体28の上面側に開通させる吸引孔2852とを有する。詳細には、内部通路2851は、回転体28の基部である下方の円板体280の上面に形成した上方に開口する溝である。この溝285は、回転体280の上面に接合する円板体281によって上方から閉塞される。そして、吸引口2852は、上方の円板体281における内部通路2851の終端の直上に位置する部位を上下方向に貫通している貫通孔である。この吸引通路2851、2852により、ポケット283内が、回転体28の上面におけるポケット283よりも内側方に偏倚した吸引口2852の位置に連通することとなる。吸引通路2851、2852の数は、ポケット283及び吸着孔284の組の数と同数である。
【0088】
ポケット283内に負圧を供給するためには、吸引口2852から内部通路2851及びポケット283内の雰囲気を吸引すればよい。回転体28の上方には、平面視回転体28の外周に沿って半円弧状をなすように拡張した、負圧供給用のダクト29を設置している。ダクト29は、回転体28の上面に極近接する底壁291と、底壁291の内側端及び外側端からそれぞれ起立する側壁292と、それら側壁292の上端同士を連接する頂壁293とで、その内部空間を囲繞している筒状体である。このダクト29の内部空間は、図示しないポンプにより吸引されて負圧化している。
【0089】
ダクト29の底壁291における、吸引口2852の直上に位置する部位には、平面視回転体28の回転軸45を中心とした部分円弧状をなすスロット孔294を形成してある。スロット孔294は、底壁291を上下方向に貫通している。スロット孔は、回転体28の回転に伴い各吸込口2852が移動する軌跡に沿って拡張している。スロット孔294の拡張範囲は、回転体28の回転方向に沿って、搬送装置C1から成形品Pを受け取る受け渡し位置27よりも上流側から、同受け渡し位置27の下流の所定位置までの範囲に亘る。
【0090】
ポケット283内に負圧が供給される、即ちポケット283内が吸引されるのは、ポケット283と接続している吸引通路2851、2852の吸引口2852がスロット孔294の直下に所在している時期、即ち負圧化したダクト29の内部空間とポケット283内とが連通している時期に限られる。吸引口2852がスロット孔294の存在しない位置にあるときには、ダクト29の内部空間と吸引口2852との間に底壁291が介在し、ダクト29の内部空間とポケット283とが隔絶されて、ポケット283内が吸引されない。
【0091】
そして、ダクト29は、吸着孔284内に負圧を供給する役割をも担っている。ダクト29の底壁291における、吸着孔284の直上に位置する部位には、平面視回転体28の回転軸45を中心とした部分円弧状をなすスロット孔295を形成してある。スロット孔295もまた、底壁291を上下方向に貫通している。スロット孔295は、回転体28の回転に伴い各吸着孔284が移動する軌跡に沿って拡張している。スロット孔295の拡張範囲は、回転体28の回転方向に沿って、搬送装置C1から成形品Pを受け取る受け渡し位置27から、搬送装置D1による成形品Pの搬送の終端位置Eの直前の位置までの範囲に亘る。
【0092】
吸着孔284内に負圧が供給される、即ち吸着孔284内が吸引されるのは、吸着孔284がスロット孔295の直下に所在している時期、即ち負圧化したダクト29の内部空間と吸着孔284内とが連通している時期に限られる。吸着孔284がスロット孔295の存在しない位置にあるときには、底壁291によりダクト29の内部空間と吸着孔284とが隔絶されて、吸着孔284内が吸引されない。
【0093】
搬送装置D1の回転体28のポケット283及び吸着孔284の組に、搬送装置C1の回転体24のポケット243及び吸着孔244に捕捉された成形品Pを受け渡す過程では、まず、受け渡し位置27の上流にあって成形品Pを保持していないポケット283及び吸着孔284の組が受け渡し27に向かって移動する。そして、これらが受け渡し位置27の直前の位置に至った時点で、そのポケット283と内部通路2851を介して接続している吸引口2852がスロット孔294の直下に到達し、負圧供給用のダクト29による当該ポケット283内の吸引が開始される。この時点で、当該ポケット283と組になっている吸着孔284は未だスロット孔295の直下には到達しておらず、吸着孔284内は吸引されない。
【0094】
他方、搬送装置C1においては、受け渡し位置27の上流にあって成形品Pを保持しているポケット243及び吸着孔244の組が受け渡し27に向かって移動する。そして、これらが受け渡し位置27の直前の位置に至った時点で、その吸着孔244がダクト25のスロット孔255の直上から離脱し、吸着孔244内が吸引されなくなり、成形品Pは吸着孔244に吸着しなくなる。さらに、それと略同時ないしその直後の時点で、成形品Pを吸着したポケット243と吸引通路2451、2452を介して接続している吸引口2452がスロット孔256の直上から離脱して、ポケット243内が吸引されなくなり、成形品Pはポケット243にも吸着しなくなる。従って、受け渡し位置27に到着した成形品Pは、搬送装置C1の回転体24のフランジ242に載せ置かれただけの、ポケット243にも吸着孔244にも拘束されていない状態となっている。
【0095】
搬送装置D1において、成形品Pを保持していないポケット283及び吸着孔284の組が成形品Pの受け渡し位置27に至った時点で、その吸着孔284がスロット孔295の直下に到達し、負圧供給用のダクト29による当該吸着孔284内の吸引が開始される。この時点では、ポケット283と内部通路2851を介して接続している吸引口2852が依然としてスロット孔294の直下に位置しており、ポケット283及び吸着孔284の双方に負圧が供給される。結果、受け渡し位置27にて、搬送装置C1の回転体24のフランジ242上の成形品Pが、搬送装置D1の回転体28のポケット283に向かって、回転体28の回転軸45に接近する内側方に吸引されてフランジ284下に遷移し、ポケット283に係合する。これにより、当該成形品Pが、吸着孔284に対して一定の相対位置に位置決めされる。さらには、この成形品Pが、ポケット283だけでなく吸着孔284にも吸着する状態となる。
【0096】
回転体28が回転し、成形品Pを吸着したポケット283及び吸着孔284の組が受け渡し位置27から一定以上下流に移動すると、当該ポケット283と内部通路2851を介して接続している吸引口2852がスロット孔294の直下から離脱するため、ポケット283内は吸引されなくなり、よって成形品Pはポケット283には吸着しなくなる。一方で、成形品Pを吸着している吸着孔284は依然としてスロット孔295の直下に位置しているので、成形品Pは当該吸着孔284に吸着しながら捕捉され続ける。
【0097】
その後、成形品Pを吸着した吸着孔284が終端位置Eの直前の位置に至った時点で、その吸着孔284がスロット孔295の直下から離脱し、吸着孔284内が吸引されなくなり、成形品Pは吸着孔284に吸着しなくなる。従って、成形品Pが回転体28の吸着孔284から離脱してフランジ282から落下し、成形品Pに対して次の工程を実施する装置に受け渡され、あるいは成形品Pを回収する容器等に向けて流下する。
【0098】
回転体28の外周部における、受け渡し位置27から終端位置Eまでの成形品Pの搬送区間内の一部の区域には、モジュールDにおける処理装置として、成形品Pの外面の状態を検査する外面検査装置D2を設置している。
【0099】
図14に示すように、外面検査装置D2は、吸着孔284に捕捉されて移送される各成形品Pの所定の面、例えば下面を撮影し、その画像を取得するカメラを有する。取得した画像は、成形品Pの外面の状態の検査に使用することができる。即ち、撮影した画像を解析し、又は正常な成形品Pの画像と比較する等して、成形品Pの外面の状態が正常であるか不良であるかを判定することができる。
【0100】
外観検査装置D2のカメラは、成形品Pの下面を撮影するに限らず、成形品Pの上面をも撮影するようにしてもよい。成形品Pの上面/下面を撮影した画像を解析し、成形品Pの幅、長さ、直径、面積等を測定することもできる。また、成形品Pの側面を撮影し、その状態が正常であるか不良であるかを判定することもできる。成形品Pの側面を撮影した画像を解析し、成形品Pの高さ(厚さ)を測定することもできる。あるいは、外観検査装置D2に光切断法による3次元測定装置を採用すれば、成形品Pの3次元データを取得することができ、取得したデータを解析し、成形品Pの外面の状態が正常であるか不良であるかを判定することができる。外観検査装置D2における処理は、これらのうち何れかひとつを採用するに限らず、複数の処理を併合するようにしてもよい。
【0101】
上下方向から見た平面視において、吸着孔284の周縁は一周連続して閉じており、その周縁がこれに吸着される成形品Pの外縁よりも内に収まる寸法及び形状をなしている。その上で、成形品Pを捕捉する吸着孔284が外面検査装置D2の所在する区域を通過するときには、当該吸着孔284の内にダクト29から負圧が供給されていることから、成形品Pが当該吸着孔284にぴったりと付着して、吸着孔284の周縁と成形品Pの外縁との間に隙間が生じない。吸着孔284に吸着されて保定された成形品Pは、回転体28の回転方向に沿って搬送されながらも、回転体28及び吸着孔284に対する相対的な位置が一定化する。このことは、成形品Pをカメラで撮影して外面検査をする処理等のために有効である。
【0102】
成形機Aのテーブル31、モジュールBの取出装置B1の回転体17、モジュールCの搬送装置C1の回転体24、そしてモジュールDの搬送装置の回転体28は、互いに同期して回転する。成形機A及び処理システムSの制御装置は、成形機Aの回転盤3、取出装置B1の回転体17、搬送装置C1の回転体24又は搬送装置D1の回転体28に付随する角位置センサ(ロータリエンコーダ等)が出力する信号を参照することで、回転体28の回転軸45回りの周方向に沿って配列されている吸着孔284の各々が現在どの位置にあるのかを知得することができる。さらに言えば、成形機Aのテーブル31における何番目の臼孔4内で圧縮成形された成形品Pが、現在モジュールD内のどの位置にあるのかを知得することができる。これは、今外面検査装置D2のカメラの前を通過した成形品Pが、つまりは外面検査を行った成形品Pが、何番目の臼孔4内で成形されたものであるのかが分かるということを意味する。制御装置は、外面検査装置D2を介して成形品Pの外面検査を行った結果に係る情報(対象の成形品Pの外面の状態が正常であるか不良であるか等の判定結果)を、その対象の成形品Pが何番目の臼孔4で成形されたのかを示すID番号に関連づけて、記憶デバイスに記憶保持する。
【0103】
搬送装置D1の回転体28の吸着孔284に捕捉された成形品Pは、通常、その移送の終端位置Eまで移送される。しかしながら、特定の成形品P、例えば不良品やサンプリング品を、終端位置Eまで移送する成形品P群から選り分けて排除又は回収したいという要望も存在する。
【0104】
そこで、
図12及び
図15に示すように、モジュールDの搬送装置D1における、終端位置Eへと至る吸着孔284及び成形品Pの回転移動の軌跡の中途に、特定の成形品Pを排除するための排除装置D3を設置しておくことも好ましい。排除装置D3は、吸着孔284に係合している成形品Pに向けて圧縮空気Kを噴射する噴射ノズル301と、圧縮空気Kによって吹き飛ばされた成形品Pが落とし込まれるシュート302とを要素とする。噴射ノズル301及びシュート302は、成形品Pを吸着している吸着孔284を挟んで上下に対向するように配置されており、噴射ノズル301から噴射した圧縮空気Kにより吸着孔284に保持された成形品Pを吸着孔284から脱離させ、回転体28のフランジ282から剥落する当該成形品Pをシュート302で受けて回収する。この圧縮空気Kの噴射量(単位時間あたりの流量)及び噴射圧力は、僅かでよい。なお、噴射ノズル301の回転体28に対する相対的な位置や、噴射ノズル301から圧縮空気Kを噴射する向きは、成形品Pをフランジ282から剥落させることができる限りにおいて任意である。
【0105】
成形機A及び処理システムSの制御装置は、回転体28の各吸着孔284に係合している成形品Pが、成形機Aにおける何番目の臼孔4内で成形されたものであるのかを把握している。そして、制御装置は、成形品Pに対する各種の検査の結果、即ち圧縮成形時の圧縮圧力の異常の有無、異物の混入の有無、品質の異常の有無、成形品Pの外面の異常の有無等の情報を、各成形品P毎に、当該成形品Pが成形機Aにおける何番目の臼孔4で成形されたのかを示すID番号に関連づけて記憶している。従って、制御装置は、回転体28の各吸着孔284に係合している成形品Pがそれそれ正常品であるか不良品であるかを認識しており、不良の成形品Pが係合している吸着孔284の現在位置を知得することができる。
【0106】
制御装置は、不良の成形品Pを捕捉した吸着孔284が噴射ノズル301の近傍を通過するときに、圧縮空気Kの流通を制御するバルブ(噴射ノズル301に内蔵されていることがある)を開弁する制御信号を与え、噴射ノズル301から不良の成形品Pに向けて圧縮空気Kを噴射し、当該成形品Pを回転体28から脱落させて排除する。シュート302に落ちた成形品Pは、終端位置Eには到達することができない。
【0107】
吸着孔284に吸着している成形品Pは、回転体28の回転方向に沿って搬送されながらも、回転体28及び吸着孔284に対する相対的な位置が一定化する。このことは、特定の吸着孔284に係合する成形品Pに圧縮空気Kを噴射してこれを排除又は抽出する処理のためにも有効である。
【0108】
本実施形態において、取出装置B1の回転体17の回転軸43、搬送装置C1の回転体24の回転軸44、及び搬送装置D1の回転体28の回転軸45は、歯車伝動機構41、42を介して接続されており、これらは同期して回転する。回転体17、24、28を回転駆動するモータ40は一基存在し、このモータ40は取出装置B1の回転体17の回転軸43に直結している。モータ40が出力する駆動力は、取出装置B1の回転体17を回転させるとともに、歯車伝動機構41、42を介して搬送装置C1、D1の回転体24、28の回転軸44、45にも伝達されて、回転体24、28を回転させる。
【0109】
成形品Pを移送するモジュールC、Dでは、個々の成形品Pに対して光学的な検査を実施する。モジュールC、Dにおける外面検査装置C3、D2は、照明光源から放射され、回転体24、28の吸着孔244、284に捕捉されている成形品Pの表層で反射した照明光若しくは電磁波Lを受光するカメラセンサを備える。これに対し、モジュールCにおける異物検査装置若しくは品質検査装置C2は、光源261から放射され、回転体24の
吸着孔244に捕捉されている成形品Pを透過した透過光若しくは電磁波Lを受光するセンサ262を備える。これら検査装置C2、C3、D2による検査の精度を高めるためには、成形品Pの反射光L又は透過光L以外の光、特に回転体24、28に当たって乱反射した光が、検査装置C2、C3、D2のセンサ262に入射することを抑制することが要求される。
【0110】
そこで、本実施形態では、モジュールC、Dの搬送装置C1、D1の要素である回転体24、28における、少なくとも吸着孔244、284の周囲の部位の表面(特に、吸着孔244、284の内周面及びその開口縁に連なる円板体241、281の上下面、吸着孔244、284に臨むポケット243、283の内周面、ポケット243の周辺に位置する円板体240の上面、ポケット283の周辺に位置する円板体280の下面)に、光若しくは電磁波の反射を抑制する反射防止層40を設けている。
【0111】
反射防止層40は、例えば、回転体24、28を構成する部材である円板体240、241、280、281の表面に、光若しくは電磁波を吸収しその反射を低減する既知の反射防止効果のある塗料又は染料を塗布する(あるいは、円板体240、241、280、281を反射防止剤でコーティングする)ことで形成できる。ここで、塗布とは、円板体240、241、280、281の一部又は全部を反射防止塗料又は染料の溶解液中に浸漬することを含む。
図23及び
図24に示すように、円板体240、241、280、281の略全体に反射防止塗料又は染料を塗布して、回転体24、28の略全域に反射防止層40を設けることも好ましい。
【0112】
円板体240、241、280、281の素材がアルミニウム又はアルミニウム合金である場合、その表面に反射防止層40を形成する処理は黒色アルマイト処理であることがある。周知の通り、アルマイト処理は、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面を陽極酸化処理して酸化皮膜を生成するもので、その皮膜には無数の微細な孔が形成される。この皮膜に反射防止塗料又は染料を塗布することで、皮膜の表面のみならず微細孔の内にも反射防止効果のある着色剤(色素、顔料又は染料)が入り込んで付着する。このようなアルマイト着色では、塗料又は染料の塗布のみでは皮膜の微細孔の口が開いたままである可能性があるので、その孔を閉塞する封孔処理を別途施すことが好ましい。
【0113】
無論、反射防止塗料又は染料を塗布する代わりに、既知の反射防止フィルム又はシートを円板体240、241、280、281の表面に貼付して反射防止層40を形成しても構わない。反射防止塗料、反射防止染料、反射防止フィルム又はシートは通常、黒色であるので、反射防止層40を設けた回転体24、28の外表面は黒色(又は黒色に近い色)となる。加えて、反射防止層40の表面は、光若しくは電磁波の鏡面反射が抑制されて光沢のない、いわゆる艶消し状態となる。
【0114】
反射防止層40を設けていない回転体24、28(の円板体240、241、280、281)の表面と比較して、反射防止層40は、外面検査装置C3、D2の照明光源から放射される照明光Lの属する波長帯の光の反射率を低減し、並びに、異物検査装置若しくは品質検査装置C2の光源261から放射される光Lの属する波長帯の光の反射率を低減する。要するに、反射防止層40は、可視光及び/又は赤外光の反射率を小さくする。反射防止層40は、検査装置C2、C3、D2の光源261から放たれる光L以外の環境光を吸収してその反射を抑制する働きもする。
【0115】
回転体17及び保持体18を含む取出装置B1、回転体24、28及び吸引ダクト25、29を含む搬送装置C1、D1、取出装置B1及び搬送装置C1、D1の駆動源となるモータ40、粉塵除去装置B2、異物検査装置若しくは品質検査装置C2、外面検査装置C3、D2、並びに排除装置D3は、
図17及び
図19に示すように、単一の支持体511に支持されて一個のユニット51を構成している。そして、このユニット51が、スライドレール機構52を介して架台50に支持されている。架台50の下方には、床面に接地して転動するキャスタ503を装着しており、ユニット51とともに架台50を容易に移動させることができる。要するに、モジュールB、モジュールC及びモジュールDがユニット51及び架台50を介して一体化され、これらモジュールB、C、Dが一体となって成形機Aに対して着脱される。
【0116】
図18に示しているように、成形機Aは、封じ込め(コンテインメント)容器F1内に収められている。また、処理システムSの各モジュールB、C、Dも、封じ込め容器F2に収容されている。成形機Aの封じ込め容器F1とモジュールB、C、Dの封じ込め容器F2とは、ジョイントJを介して接続する。このジョイントJは、成形機Aを収容する封じ込め容器F1の内部空間と、モジュールB、C、Dを収容する封じ込め容器F2の内部空間とを連通させるとともに、前者の封じ込め容器F1と後者の封じ込め容器F2とを任意に着脱することができるものとなっている。成形機Aのテーブル31と取出機構B1の回転体17とが平面視重なり合う成形品取出位置16及びその周辺部位は、ジョイントJ内に収容される。
【0117】
封じ込め容器F1、F2及びジョイントJは、成形機A及び各モジュールB、C、Dを収容している内部空間の雰囲気の封じ込め容器F1、F2外への意図せざる漏洩を抑止する。成形品Pの成形、成形機AとモジュールBとの間及び各モジュールB、C、D間での成形品Pの受け渡し、並びに成形品Pに対する後工程の処理、例えば成形品Pに付着した粉塵の除去や成形品Pの検査等は、おしなべて封じ込め容器F1、F2内で実施される。後工程の処理の実施のために、成形品Pを系外排出する必要はない。従って、粉体を含む雰囲気が外部に漏出しない封じ込め環境を実現することができ、特に高薬理活性物質を含有する成形品Pの生産において有用となる。また、成形品Pへの汚染(コンタミネーション)も抑制することができる。
【0118】
なお、
図16に示しているように、モジュールB、C、Dをメンテナンスするとき等に、ユニット51を退避位置に変位させることで、少なくともその一部を封じ込め容器F2の外部に持ち出すことができる。
【0119】
以上に述べたように、本実施形態の検査装置たる外面検査装置C3によれば、第1の検査領域R1の画像内に加え、第2の検査領域R2の画像内にも異物が存在するか否かを判定するので、特に第2の検査領域R2の画像に基づき、成形品Pの側面から突出する異物をも検出できるようになる。
【0120】
また、第2異物判定部C33は、第2の検査領域R2内における背景と相違する色すなわち黒色以外の色を示す部分の比率が所定以上である場合に異物が存在すると判定するので、他にセンサ等を用いることなく異物の存在を判定できる。
【0121】
また、本実施形態では、成形品Pを捕捉する捕捉部たる吸着孔244、284を有しその吸着孔244、284を変位させる運動を通じて成形品Pを移送する移送体たる回転体24、28と、前記回転体24、28の捕捉部244、284に捕捉されて移送される成形品Pの移動の軌跡の近傍に配置され成形品Pの表層で反射した光若しくは電磁波L又は成形品Pを透過した光若しくは電磁波Lを受光する光学的なセンサ(外面検査装置C3のカメラC30、外面検査装置D2のカメラセンサ、異物検査装置若しくは品質検査装置C2のセンサ262)と、前記回転体24、28における少なくとも前記捕捉部244、284の周囲の部位の表面に設けられ光若しくは電磁波の反射を抑制する反射防止層40とを具備する成形品搬送モジュールC、Dを構成した。
【0122】
本実施形態によれば、成形品Pを搬送しながら光学的な検査を実施するモジュールC、Dにおいて、成形品Pの反射光L又は透過光L以外の光が検査装置C2、C3、D2のセンサ262に入射することを抑制することができる。従って、検査装置C2、C3、D2による成形品Pの検査の精度がより一層向上する。
【0123】
特に本実施形態では、反射防止層40を設けた回転体24、28の外表面がカメラC30、カメラセンサにより撮影される画像の背景となし、その外表面が黒色(又は黒色に近い色)であるので、白色等明るい色の異物P2を容易に検出することができる。
【0124】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0125】
例えば、上述した実施形態では成形品に対してカメラと光源とを同じ側に配し、背景色を黒色(又は黒色に近い色)として明るい色の異物を容易に検出できるようにしているが、黒色等暗い色の異物を容易に検出できるようにすべく、成形品に対してカメラと光源とを反対側に配する構成を採用してもよい。より具体的には、上述した実施形態における検査装置の一つである外面検査装置D2に本発明を採用してもよい。また、背景色を白色又は白色に近い色とする構成を採用してもよい。
【0126】
さらに、成形品処理システムに本発明の検査装置を複数設けてもよい。その場合、例えばカメラと光源とを同じ側に配し、背景色を黒色又は黒色に近い色とする検査装置と、カメラと光源とを反対側に配し、背景色を白色又は白色に近い色とする検査装置とをそれぞれ設けるようにすれば、白色等明るい色の異物及び黒色等暗い色の異物をそれぞれ検出できる。
【0127】
加えて、回転圧縮成形機を用いるものに限らず、所定の形状に成形された成形品を製造する装置を用いるシステム全般に本発明の検査装置を採用してもよい。
【0128】
成形品の形状も、円形状に限らず、楕円形状や、多角形状等、種々の形状を採用してもよい。
【0129】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0130】
A…粉体圧縮成形機
S…成形品処理システム
B、C、D…モジュール
C3…検査装置(外面検査装置)
C30…カメラ
C32…第1異物判定部
C34…第2異物判定部
P…成形品
P1、P2…異物
R1…第1の検査領域
R2…第2の検査領域
【手続補正書】
【提出日】2023-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に成形される成形品を撮影した画像を基に当該成形品の良否を検査するものであって、
成形品を捕捉して移送するものであり少なくとも成形品を捕捉する捕捉部の周囲の部位の表面に光又は電磁波の反射を抑制する反射防止層を設けた移送体を有する搬送装置と、
前記移送体により移送される成形品を撮影した画像における想定される正常な成形品の輪郭よりも内側にある第1の検査領域内に異物が存在するか否かを判定する第1異物判定部、及び、前記移送体により移送される成形品を撮影した画像における想定される正常な成形品の輪郭よりも外側にある第2の検査領域内に異物が存在するか否かを判定する第2異物判定部を有する検査装置と
を具備する成形品処理システム。
【請求項2】
前記第2異物判定部は、前記第2の検査領域内における背景の色と相違する色を示す部分の比率が所定以上である場合に異物が存在すると判定する請求項1記載の成形品処理システム。
【請求項3】
前記成形品の画像を撮影するためのカメラと、成形品に対して前記カメラと同じ側に配した光源とを利用して構成され、前記第2の検査領域の背景が黒色又は黒色に近い色である請求項2記載の成形品処理システム。
【請求項4】
粉体を圧縮して前記所定の形状に成形する粉体圧縮成形機に接続され、当該粉体圧縮成形機により成形された成形品を検査する請求項1、2又は3記載の成形品処理システム。
【請求項5】
前記粉体圧縮成形機に連結され、当該粉体圧縮成形機により成形された成形品を順番を維持したままで搬送する前記搬送装置及び前記検査装置を含むモジュールを具備する請求項4記載の成形品処理システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、所定の形状に成形された成形品の表面に存在する異物等を検出する為の検査装置を備えた成形品処理システムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
すなわち請求項1の発明に係る成形品処理システムは、所定の形状に成形される成形品を撮影した画像を基に当該成形品の良否を検査するものであって、成形品を捕捉して移送するものであり少なくとも成形品を捕捉する捕捉部の周囲の部位の表面に光又は電磁波の反射を抑制する反射防止層を設けた移送体を有する搬送装置と、前記移送体により移送される成形品を撮影した画像における想定される正常な成形品の輪郭よりも内側にある第1の検査領域内に異物が存在するか否かを判定する第1異物判定部、及び、前記移送体により移送される成形品を撮影した画像における想定される正常な成形品の輪郭よりも外側にある第2の検査領域内に異物が存在するか否かを判定する第2異物判定部を有する検査装置とを具備する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
このような検査装置を好適に用いることができるシステムの一例として、粉体を圧縮して前記所定の形状に成形する粉体圧縮成形機に接続され、当該粉体圧縮成形機により成形された成形品を検査する請求項1、2又は3記載の成形品処理システムが挙げられる。なお、粉体とは、微小個体の集合体であり、いわゆる顆粒などの粒体の集合体と、粒体より小なる形状の粉末の集合体とを包含する概念である。粉体の具体例として、主薬を含む粉体の他、賦形剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、保存剤等が挙げられる。二種類以上の粉体を混合した粉体も本発明にいう粉体の一種であり、主薬を含む粉体にステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を混交したものもまた粉体に該当する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
このような成形品処理システムのさらに好適な一例として、前記粉体圧縮成形機に連結され、当該粉体圧縮成形機により成形された成形品を順番を維持したままで搬送する前記搬送装置及び前記検査装置を含むモジュールを具備するものが挙げられる。