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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129040
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】鉄塔構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/10 20060101AFI20230907BHJP
   E04H 9/16 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
E04H12/10 A
E04H9/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033797
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000221546
【氏名又は名称】東電設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 浩
(72)【発明者】
【氏名】岩岡 智則
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA03
2E139AC19
2E139DA58
(57)【要約】
【課題】鉄塔に付着した雪や氷等が鉄塔から飛散することを抑制しつつ、鉄塔にかかる負荷の増加を抑制することができる鉄塔構造を提供する。
【解決手段】鉄塔10では、複数の斜材14の下端部14Cが連結されている主柱材12の被連結部12Bにおいて、全ての斜材14が、その下端部14Cが斜材14の長手方向から見て主柱材12と重なるように配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔の一部を構成する複数の主柱材と、
前記鉄塔の一部を構成すると共に前記主柱材に直接又は部材を介して連結された複数の斜材と、
を備え、
前記主柱材における複数の前記斜材の下端部が連結されている所定の箇所において全ての当該下端部が当該斜材の長手方向から見て当該主柱材と重なるように配置された状態で当該斜材が当該主柱材における前記鉄塔の内側の面に対して連結され、
前記斜材は、第1板状部と、当該第1板状部と連続する第2板状部とを含む山形鋼で構成されると共に、
前記斜材は、前記第1板状部が前記鉄塔の高さ方向下側に位置すると共に前記第2板状部が当該鉄塔の外側に位置する状態で配置されている、
鉄塔構造。
【請求項2】
前記主柱材は、山形鋼で構成されている、
請求項1に記載の鉄塔構造。
【請求項3】
前記斜材は、主柱用連結部材を介して前記主柱材に連結されている、
請求項1又は請求項2に記載の鉄塔構造。
【請求項4】
前記複数の斜材には、一対の前記主柱材間において所定の方向に延在しかつ当該所定の方向に連なって配置された第1斜材と第2斜材とが含まれると共に、
前記第1斜材における前記一対の前記主柱材のうちの一方と反対側の第1端部と前記第2斜材における当該一対の当該主柱材のうちの他方と反対側の第2端部とを連結する斜材用連結部材をさらに備え、
前記斜材用連結部材には、前記一対の前記主柱材間に掛け渡されると共に前記第1端部の前記高さ方向上側かつ前記第2端部の当該高さ方向下側を通る水平材が連結されている、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の鉄塔構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄塔構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、鉄塔の落雪防止装置に関する発明が記載されている。この鉄塔の落雪防止装置では、鉄塔の正面もしくは側面にネットを配置することで鉄塔から離れた場所への落雪を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-221686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術では、鉄塔にネットを取り付けることで、このネットの質量やこのネットに作用する風圧等に起因する荷重が、鉄塔に作用することとなる。つまり、上記先行技術は、鉄塔に付着した雪や氷等が鉄塔から飛散することを抑制しつつ、鉄塔にかかる負荷の増加を抑制するという点においては、改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、鉄塔に付着した雪や氷等が鉄塔から飛散することを抑制しつつ、鉄塔にかかる負荷の増加を抑制することができる鉄塔構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る鉄塔構造は、鉄塔の一部を構成する複数の主柱材と、前記鉄塔の一部を構成すると共に前記主柱材に直接又は部材を介して連結された複数の斜材と、を備え、前記主柱材における複数の前記斜材の下端部が連結されている所定の箇所において全ての当該下端部が当該斜材の長手方向から見て当該主柱材と重なるように配置された状態で当該斜材が当該主柱材における前記鉄塔の内側の面に対して連結され、前記斜材は、第1板状部と、当該第1板状部と連続する第2板状部とを含む山形鋼で構成されると共に、前記斜材は、前記第1板状部が前記鉄塔の高さ方向下側に位置すると共に前記第2板状部が当該鉄塔の外側に位置する状態で配置されている。
【0007】
第1の態様に係る鉄塔構造によれば、複数の主柱材と、当該主柱材に直接又は部材を介して連結された複数の斜材とによって鉄塔の一部が構成されている。そして、主柱材における所定の箇所に複数の斜材の下端部が連結されているため、これらの斜材に付着した雪や氷等は、当該所定の箇所に向かって滑り落ちることとなる。
【0008】
ところで、斜材に付着した雪や氷等が当該斜材に沿って滑り落ちるとき、これらの障害となるものがなければ、これらは重力によって加速されて鉄塔から離れた場所に飛散することが考えられる。
【0009】
ここで、本態様では、複数の斜材の下端部が連結されている主柱材の所定の箇所において、全ての斜材が、その下端部が当該斜材の長手方向から見て当該主柱材と重なるように配置されている。そして、これらの斜材は、主柱材における鉄塔の内側の面に対して連結されている。このため、斜材に付着した雪や氷等が当該斜材に沿って滑り落ちるとき、これらは主柱材における鉄塔の内側の面にぶつかり、鉄塔の近傍に落下することとなる。すなわち、本態様では、ネット等を用いることなく鉄塔に付着した雪や氷等を鉄塔敷地内もしくはその近傍に落下させることができる。
【0010】
また、本態様では、斜材が、第1板状部と、当該第1板状部と連続する第2板状部とを含む山形鋼で構成されている。そして、この斜材は、第1板状部が鉄塔の高さ方向下側に位置すると共に第2板状部が当該鉄塔の外側に位置する状態で配置されている。このため、本態様では、第1板状部上に堆積した雪や氷等が当該第1板状部に沿って滑り落ちるとき、これらの鉄塔の外側への飛散が、第2板状部によって制限される。
【0011】
第2の態様に係る鉄塔構造は、第1の態様に係る鉄塔構造において、前記主柱材は、山形鋼で構成されている。
【0012】
第2の態様に係る鉄塔構造によれば、主柱材が山形鋼で構成されているため、本態様では、斜材に付着した雪や氷等が当該斜材に沿って滑り落ちるとき、これらは主柱材における鉄塔の内側の2面のうち少なくとも一方にぶつかることとなる。その結果、本態様では、主柱材が円筒状とされているような構成に比し、斜材に付着した雪や氷等が鉄塔の内側に向かって落下する確度を高めることができる。
【0013】
第3の態様に係る鉄塔構造は、第1の態様又は第2の態様に係る鉄塔構造において、前記斜材は、主柱用連結部材を介して前記主柱材に連結されている。
【0014】
第3の態様に係る鉄塔構造によれば、斜材を主柱用連結部材を介して主柱材に連結することができるため、斜材を直接主柱材に連結するような構成に比し、斜材を連結可能な面の面積を広くし、安定した状態で斜材を固定することができる。
【0015】
第4の態様に係る鉄塔構造は、第1の態様~第3の態様の何れか1態様に係る鉄塔構造において、前記複数の斜材には、一対の前記主柱材間において所定の方向に延在しかつ当該所定の方向に連なって配置された第1斜材と第2斜材とが含まれると共に、前記第1斜材における前記一対の前記主柱材のうちの一方と反対側の第1端部と前記第2斜材における当該一対の当該主柱材のうちの他方と反対側の第2端部とを連結する斜材用連結部材をさらに備え、前記斜材用連結部材には、前記一対の前記主柱材間に掛け渡されると共に前記第1端部の前記高さ方向上側かつ前記第2端部の当該高さ方向下側を通る水平材が連結されている。
【0016】
第4の態様に係る鉄塔構造によれば、一対の主柱材間に、所定の方向に延在する第1斜材及び第2斜材が、当該所定の方向に連なって配置されている。そして、第1斜材における一対の主柱材のうちの一方と反対側の第1端部と、第2斜材における一対の主柱材のうちの他方と反対側の第2端部とが斜材用連結部材で連結されている。このため、一対の主柱材間の間隔が長くても当該主柱材間を鉄塔の高さ方向に対して斜めに連結することができる。
【0017】
ところで、主柱材間の距離が長くなると、これらを連結する斜材も長くなり、斜材に付着した雪や氷等が当該斜材に沿って滑り落ちるとき、これらが主柱材にぶつかる前に落下することが考えられる。
【0018】
ここで、本態様では、斜材用連結部材に、一対の主柱材間に掛け渡された水平材が連結されており、当該水平材は、第1斜材の第1端部における鉄塔の高さ方向上側かつ第2斜材の第2端部の高さ方向下側を通っている。
【0019】
このため、本態様では、第1斜材に沿って滑り落ちる雪や氷等は、主柱材にぶつかって落下し、第2斜材に沿って滑り落ちる雪や氷等は、水平材にぶつかって落下することとなる。このため、本態様では、主柱材間の距離が長くなっても鉄塔に付着した雪や氷等が鉄塔の近傍に落下する確度を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係る鉄塔構造は、鉄塔に付着した雪や氷等が鉄塔から飛散することを抑制しつつ、鉄塔にかかる負荷の増加を抑制するという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る鉄塔の要部の構成を模式的に示す断面図(図3の1-1線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
図2】第1実施形態に係る鉄塔の要部の構成を模式的に示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る鉄塔の構成を模式的に示す鉄塔外側から見た側面図である。
図4】第1実施形態に係る鉄塔の全体構成を模式的に示す正面図である。
図5】第1実施形態の変形例に係る鉄塔の要部の構成を模式的に示す鉄塔内側から見た側面図である。
図6】第2実施形態に係る鉄塔の構成を模式的に示す鉄塔外側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、図1図5を用いて、本発明に係る鉄塔構造の第1実施形態について説明する。図3及び図4に示されるように、本実施形態に係る鉄塔構造が適用された「鉄塔10」は、平地に建設されると共に、一例として四角鉄塔とされており、複数の「主柱材12」、複数の第1斜材としての「斜材14」、複数の第2斜材としての「斜材16」及び複数の「水平材18」を含んで構成されている。
【0023】
なお、以下では、特にことわりのない限り、鉄塔10の高さ方向を単に高さ方向と称し、鉄塔10の内側を鉄塔内側と称し、鉄塔10の外側を鉄塔外側と称することとする。また、本実施形態において、鉄塔10の高さ方向は、鉛直方向と一致しており、各図において高さ方向は、矢印Zで示されている。
【0024】
主柱材12は、平面視において鉄塔10の四隅に配置されると共に、山形鋼で構成されており、図2にも示されるように、一対の板状部12Aを備えている。この主柱材12は、それぞれ高さ方向に延在すると共に、高さ方向から見て角部が鉄塔外側に位置するように配置されている。
【0025】
なお、主柱材12は、平面視で第1方向並びに当該第1方向と直交する第2方向に隣接する主柱材12同士において、隣接する板状部12A同士が同一平面上に位置するように位置決めされている。なお、各図において、第1方向は、矢印Xで示されており、第2方向は、矢印Yで示されている。
【0026】
また、主柱材12は、所定の箇所としての「被連結部12B」を備えており、被連結部12Bにおいて、板状部12Aには、主柱材12の長手方向に沿って複数、具体的には3つの挿通孔部20(図1参照)が形成されている。そして、被連結部12Bには、直接又は部材を介して斜材14及び斜材16が連結されている。なお、被連結部12Bは、主柱材12の長手方向に所定の間隔をあけて複数箇所に設定されている。
【0027】
斜材14は、山形鋼で構成されると共に被連結部12Bから上り勾配となるように延出されている。また、斜材14は、その高さ方向下側の部分を構成する第1板状部としての「板状部14A」と、その鉄塔外側の部分を構成すると共に板状部14Aと連続する第2板状部としての「板状部14B」とを含んで構成されている。
【0028】
そして、図1に示されるように、斜材14の「下端部14C」において、板状部14Bには、1つの挿通孔部30が設けられており、挿通孔部30と、板状部12Aに設けられた3つの挿通孔部20のうち高さ方向中央に位置する挿通孔部20とがボルト等の締結部材を含む締結部22を介して連結されている。なお、斜材14の下端部14Cは、板状部12Aに対して鉄塔内側に配置されている。
【0029】
そして、本実施形態では、被連結部12Bにおいて、上記のように斜材14の下端部14Cが連結されることで、斜材14の長手方向から見て斜材14の下端部14Cが主柱材12と重なるように配置された状態となっている。なお、これは、被連結部12Bに連結された全ての斜材14において同様である。
【0030】
斜材16は、図2及び図3に示されるように、山形鋼で構成されると共に被連結部12Bから下り勾配となるように延出されている。また、斜材16は、その高さ方向下側の部分を構成する第1板状部としての「板状部16A」と、その鉄塔外側の部分を構成すると共に板状部16Aと連続する第2板状部としての「板状部16B」とを含んで構成されている。
【0031】
そして、斜材16の上端部16Cは、主柱用連結部材としての「連結ガセット24」を介して被連結部12Bに連結されており、斜材16の下端部16Dは、斜材用連結部材としての「連結プレート26」を介して斜材14の上端部14Dに連結されている。
【0032】
詳しくは、連結ガセット24は、正面視で長手方向を高さ方向とされた矩形状とされると共に板厚方向を板状部12Aの板厚方向とされた板状とされている。この連結ガセット24は、一部が主柱材12に沿って配置されており、一部が一方の主柱材12からX方向又はY方向に隣接する他方の主柱材12向けて延出された状態となっている。なお、以下では、連結ガセット24における主柱材12に沿って配置された部分を取付部24Aと称し、連結ガセット24における主柱材12から延出された部分を延出部24Bと称することとする。
【0033】
また、取付部24Aには、挿通孔部20に対応する複数の挿通孔部28(図1参照)が設けられており、連結ガセット24は、挿通孔部20と挿通孔部28とが締結部22を介して締結されることで、主柱材12に連結されている。なお、連結ガセット24は、斜材14の下端部14Cと共締めされた状態となっている。
【0034】
一方、延出部24Bの高さ方向下側の部分には、斜材16の延在方向に沿って複数(本実施形態では2つ)の挿通孔部32(図1参照)が設けられている。また、斜材16の上端部16Cにおいて、板状部16Bには、挿通孔部32に対応する2つの挿通孔部34(図1参照)が設けられており、斜材16の上端部16Cは、挿通孔部32と挿通孔部34とが締結部22を介して締結されることで、連結ガセット24に連結されている。なお、斜材16の上端部16Cは、連結ガセット24に対して鉄塔内側に配置されている。
【0035】
そして、本実施形態では、被連結部12Bにおいて、上記のように斜材16の上端部16Cが連結されることで、図1及び図2に示されるように、斜材16の長手方向から見て斜材16の上端部16Cが主柱材12と重なるように配置された状態となっている。なお、これは、被連結部12Bに対して連結された全ての斜材16において同様である。
【0036】
図3に戻り、連結プレート26は、正面視で正方形状とされると共に板厚方向を板状部12Aの板厚方向と同じ方向に設定された板状とされている。そして、連結プレート26の高さ方向上側の部分には、斜材16が連結されており、連結プレート26の高さ方向中央部には、後述するように水平材18が連結されており、連結プレート26の高さ方向下側の部分には、斜材14が連結されている。
【0037】
詳しくは、連結プレート26の四隅には、それぞれ図示しない挿通孔部が設けられている。そして、これらの挿通孔部のうち高さ方向上側の挿通孔部が、それぞれ斜材16の下端部16Dにおいて板状部16Bに設けられた図示しない挿通孔部と締結部22を介して連結されている。なお、板状部16Bは、連結プレート26に鉄塔内側から当接された状態となっている。
【0038】
一方、連結プレート26の四隅の挿通孔部のうち高さ方向下側の挿通孔部は、それぞれ斜材14の上端部14Dにおいて板状部14Bに設けられた図示しない挿通孔部と締結部22を介して連結されている。なお、板状部14Bは、連結プレート26に鉄塔内側から当接された状態となっている。
【0039】
そして、本実施形態では、上述したように連結プレート26に斜材14及び斜材16が連結されることで、第1方向又は第2方向に隣接する主柱材12が、所定の方向に連なって配置された斜材14と斜材16とによって連結された状態となっている。
【0040】
一方、水平材18は、山形鋼で構成されると共に水平方向に延在しており、その高さ方向下側の部分を構成する板状部18Aと、その鉄塔外側の部分を構成すると共に板状部18Aと連続する板状部18Bとを含んで構成されている。
【0041】
そして、水平材18の両端部において、板状部18Bには、図示しない挿通孔部が設けられており、板状部18Bは、主柱材12の板状部12Aにおける隣接する被連結部12B間に位置する被連結部12Cに鉄塔内側から当接された状態となっている。
【0042】
また、被連結部12Cには、水平材18の端部に設けられた挿通孔部に対応する図示しない挿通孔部が設けられており、水平材18の端部の挿通孔部と被連結部12Cの挿通孔部とが締結部22を介して連結されることで、水平材18は、一対の主柱材12間に掛け渡された状態となっている。
【0043】
また、水平材18の中央部において、板状部18Bには、図示しない挿通孔部が水平材18の延在方向に複数(本実施形態では3つ)連なって設けられており、連結プレート26の高さ方向中央部には、当該挿通孔部に対応する複数の挿通孔部が設けられている。そして、板状部18Bが連結プレート26に鉄塔内側から当接された状態で、水平材18の中央部の挿通孔部と、連結プレート26の高さ方向中央部の挿通孔部とが締結部22を介して連結されている。
【0044】
また、水平材18は、上記のように連結プレート26に連結されることで、斜材16の下端部16Dと斜材14の上端部14Dとの間に水平方向に挿通された状態となっている。
【0045】
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0046】
本実施形態では、図3に示されるように、複数の主柱材12と、主柱材12に連結された複数の斜材14とによって鉄塔10の一部が構成されている。そして、図2にも示されるように、主柱材12における被連結部12Bに複数の斜材14の下端部14Cが連結されているため、これらの斜材14に付着した雪や氷等は、被連結部12Bに向かって滑り落ちることとなる。
【0047】
ところで、斜材14に付着した雪や氷等が斜材14に沿って滑り落ちるとき、これらの障害となるものがなければ、これらは重力によって加速されて鉄塔10から離れた場所に飛散することが考えられる。
【0048】
ここで、本実施形態では、図1に示されるように、複数の斜材14の下端部14Cが連結されている主柱材12の被連結部12Bにおいて、全ての斜材14が、その下端部14Cが斜材14の長手方向から見て主柱材12と重なるように配置されている。そして、これらの斜材14は、主柱材12における鉄塔内側の面に対して連結されている。このため、斜材14に付着した雪や氷等が斜材14に沿って滑り落ちるとき、これらは主柱材12における鉄塔内側の面にぶつかり、鉄塔10の近傍に落下することとなる。すなわち、本実施形態では、ネット等を用いることなく鉄塔10に付着した雪や氷等を鉄塔10の敷地内もしくはその近傍に落下させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、斜材14が、板状部14Aと、板状部14Aと連続する板状部14Bとを含む山形鋼で構成されている。そして、この斜材14は、板状部14Aが高さ方向下側に位置すると共に板状部14Bが鉄塔外側に位置する状態で配置されている。このため、本実施形態では、板状部14A上に堆積した雪や氷等が板状部14Aに沿って滑り落ちるとき、これらの鉄塔外側への飛散が、板状部14Bによって制限される。
【0050】
また、本実施形態では、図2に示されるように、主柱材12が山形鋼で構成されているため、斜材14に付着した雪や氷等が斜材14に沿って滑り落ちるとき、これらは主柱材12における鉄塔内側の2面のうち少なくとも一方にぶつかることとなる。その結果、本実施形態では、主柱材12が円筒状とされているような構成に比し、斜材14に付着した雪や氷等が鉄塔内側に向かって落下する確度を高めることができる。
【0051】
また、本実施形態では、図3に示されるように、鉄塔10の一部を構成する斜材16を連結ガセット24を介して主柱材12に連結することができるため、斜材16を直接主柱材12に連結するような構成に比し、斜材16を連結可能な面の面積を広くし、安定した状態で斜材16を固定することができる。
【0052】
加えて、本実施形態では、一対の主柱材12間に、所定の方向に延在する斜材14及び斜材16が、当該所定の方向に連なって配置されている。そして、斜材14における一対の主柱材12のうちの一方と反対側の上端部14Dと、斜材16における一対の主柱材12のうちの他方と反対側の下端部16Dとが連結プレート26で連結されている。このため、一対の主柱材12間の間隔が長くても主柱材12間を高さ方向に対して斜めに連結することができる。
【0053】
ところで、主柱材12間の距離が長くなると、これらを連結する斜材も長くなり、斜材に付着した雪や氷等が当該斜材に沿って滑り落ちるとき、これらが主柱材12にぶつかる前に落下することが考えられる。
【0054】
ここで、本実施形態では、連結プレート26に、一対の主柱材12間に掛け渡された水平材18が連結されており、水平材18は、斜材14の上端部14Dにおける高さ方向上側かつ斜材16の下端部16Dの高さ方向下側を通っている。
【0055】
このため、本実施形態では、斜材14に沿って滑り落ちる雪や氷等は、主柱材12にぶつかって落下し、斜材16に沿って滑り落ちる雪や氷等は、水平材18にぶつかって落下することとなる。このため、本実施形態では、主柱材12間の距離が長くなっても鉄塔10に付着した雪や氷等が鉄塔10の近傍に落下する確度を高めることができる。
【0056】
このように、本実施形態に係る鉄塔構造では、鉄塔10に付着した雪や氷等が鉄塔10から飛散することを抑制しつつ、鉄塔10にかかる負荷の増加を抑制することができる。
【0057】
<第1実施形態の変形例>
次に、図5を用いて、第1実施形態の変形例について説明する。上述した第1実施形態では、斜材16が連結ガセット24を介して主柱材12と連結されていたが、主柱材12に斜材16を連結可能な面を広く確保可能な場合には、斜材16を主柱材12に直接連結する構成としてもよい。
【0058】
このような構成によれば、連結ガセット24を介して斜材16と主柱材12とを連結するような構成に比し、鉄塔10の軽量化を図ることができる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、図6を用いて、本発明の第2実施形態に係る鉄塔構造が適用された「鉄塔50」の構成について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付してその説明を省略する。
【0060】
本実施形態では、「主柱材52」が円筒状の鋼管で構成されており、主柱材52における鉄塔外側の部分において、所定の箇所としての「被連結部52A」に連結ガセット24が溶接等による接合部で接合されている。また、本実施形態では、斜材14の下端部14Cが、締結部22を介して連結ガセット24に連結されている。なお、下端部14Cは、連結ガセット24に対して鉄塔内側に配置されている。
【0061】
さらに、水平材18の両端部が、連結ガセット24と同様の構成とされた連結ガセット54を介して主柱材52に連結されている。なお、水平材18の端部は、連結ガセット54に対して鉄塔内側に配置されている。
【0062】
このような構成によれば、基本的に上述した第1実施形態と同様の作用並びに効果を奏する。
【0063】
また、本実施形態では、斜材14、斜材16及び水平材18が、部材を介して主柱材52に連結されており、主柱材52に直接これらの部材を取り付けるような構成に比し、斜材14、斜材16及び水平材18の交換作業等の簡略化を図ることができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、主柱材52が鋼管で構成されているため、鉄塔50の仕様等に応じて、主柱材52にコンクリート等を充填することができる。
【0065】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、主柱材における斜材の長手方向から見て当該斜材と重なる部分に特に部品等を配置しなかったが、これに限らない。例えば、主柱材における斜材の長手方向から見て当該斜材と重なる部分に、雪や氷を砕くための複数の突起部等を設ける構成としてもよい。
【0066】
(2) また、上述した実施形態では、鉄塔に防錆等のための塗装が施されるが、鉄塔には、その他の目的のために塗装を施してもよい。例えば、斜材の上面や主柱材における斜材の長手方向から見て当該斜材と重なる部分に、パラフィンワックス等を含む撥水性や滑り性を有する塗料を塗布し、鉄塔に雪や氷等が付着しにくくなるようにしてもよい。
【0067】
(3) 加えて、上述した実施形態では、鉄塔が水平材を備えていたが、鉄塔の構成はこれに限らない。例えば、鉄塔の仕様等に応じて、鉄塔に水平材を用いない構成として、鉄塔の構成の簡略化を図ってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 鉄塔
12 主柱材
12B 被連結部(所定の箇所)
14 斜材(第1斜材)
14A 板状部(第1板状部)
14B 板状部(第2板状部)
14C 下端部
16 斜材(第2斜材)
16A 板状部(第1板状部)
16B 板状部(第2板状部)
18 水平材
24 連結ガセット(主柱用連結部材)
26 連結プレート(斜材用連結部材)
50 鉄塔
52 主柱材
52A 被連結部(所定の箇所)
図1
図2
図3
図4
図5
図6