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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129042
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20230907BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G07G1/12 331B
G07G1/00 331A
G07G1/12 321K
G07G1/12 321D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033799
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】森本 大介
(72)【発明者】
【氏名】金川 正幸
(72)【発明者】
【氏名】岩井 佑達
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142AA03
3E142BA02
3E142DA07
3E142FA22
3E142FA42
3E142GA24
3E142GA41
3E142KA02
3E142KA16
(57)【要約】
【課題】顧客による操作部への操作を有効としないようにすることを低廉に実現することができる貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】ユーザによる操作を受け付ける操作部113と、店員が精算処理を行うことを可能とする有人モードと、顧客が精算処理を行うことを可能とするセルフモードとを切り替える運用モード切替部127と、有人モードでは操作部113への操作を受け付け、セルフモードでは操作部113への操作を受け付けないよう制御する操作制御部124と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作を受け付ける操作部と、
店員が精算処理を行うことを可能とする第1モードと、顧客が当該精算処理を行うことを可能とする第2モードとを切り替える運用モード切替部と、
前記第1モードでは前記操作部への操作を受け付け、前記第2モードでは前記操作部への操作を受け付けないよう制御する操作制御部と、
を備える貨幣処理装置。
【請求項2】
管理者が管理することを可能とする管理モードに切り替える管理モード切替部を備え、
前記操作制御部は、前記第2モードである場合であっても前記管理モードである場合には、前記操作部への操作を受け付けるよう制御する、
請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
情報を表示する表示部と、
前記第1モードでは前記表示部に情報を表示させ、前記第2モードでは前記表示部に情報を表示させないよう制御する表示制御部と、
をさらに備える請求項1又は2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、異常が発生した場合に、異常が発生したことを、前記第1モードと前記第2モードとで異なる態様で前記表示部に表示させる、
請求項3に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第1モードと前記第2モードとで異なる態様で入金及び出金の少なくともいずれかに関するガイダンスを前記表示部に表示させる、
請求項3又は4に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、入金又は出金のいずれか一方のガイダンスを、前記第1モードと前記第2モードとで異なる態様で前記表示部に表示させ、他方のガイダンスを前記第1モードと前記第2モードとで同じ態様で前記表示部に表示させる、
請求項3又は4に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の商業施設において、顧客自身が貨幣処理装置で商品のバーコードを読み取って精算処理まで行うセルフレジシステムや、商業施設の店員がバーコード読取機で商品のバーコードを読み取り、顧客が精算機で精算処理を行うセミセルフレジシステムが導入されている。そして、これらセルフレジシステムやセミセルフレジシステムに用いられるセルフレジと、店員が商品のバーコードの読み取りから精算処理まで行う有人レジとの両方で使用することができる貨幣処理装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された貨幣処理装置は、貨幣を投入するための入金部と、前記入金部に投入された貨幣を搬送する搬送部と、前記入金部に投入された貨幣を識別して計数する識別計数部と、前記搬送部で搬送された貨幣を収納する収納部と、少なくとも、待機中に前記入金部から投入された貨幣を前記識別計数部で識別して計数する第1の処理モード又は待機中に該入金部に投入された貨幣を強制的に返却する第2の処理モードで前記貨幣処理装置を制御する制御部と、を備え、前記第1の処理モードと前記第2の処理モードとの間で切り替え可能となっている。さらに、特許文献1に記載された貨幣処理装置は、前記第1の処理モードにおいて第一の表示態様で表示を行い、前記第2の処理モードにおいて該第一の表示態様と異なる第二の表示態様で表示を行う表示部をさらに備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-161414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、セルフレジとして使用する場合も有人レジとして使用する場合も操作部への操作は有効であるため、セルフレジとして使用する場合には、顧客が操作部を操作できないようにするための手段を設けなければならない。操作部を操作できないようにするための手段として、例えば操作部を覆うカバーを設けることが考えられるが、カバーを設けると製品コストが高くなってしまう。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、セルフレジやセミセルフレジとして使用する場合に顧客による操作部への操作を有効としないようにすることを低廉に実現することができる貨幣処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的のもと完成させた本発明は、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、店員が精算処理を行うことを可能とする第1モードと、顧客が当該精算処理を行うことを可能とする第2モードとを切り替える運用モード切替部と、前記第1モードでは前記操作部への操作を受け付け、前記第2モードでは前記操作部への操作を受け付けないよう制御する操作制御部と、を備える貨幣処理装置である。
ここで、管理者が管理することを可能とする管理モードに切り替える管理モード切替部を備え、前記操作制御部は、前記第2モードである場合であっても前記管理モードである場合には、前記操作部への操作を受け付けるよう制御しても良い。
また、情報を表示する表示部と、前記第1モードでは前記表示部に情報を表示させ、前記第2モードでは前記表示部に情報を表示させないよう制御する表示制御部と、をさらに備えても良い。
また、前記表示制御部は、異常が発生した場合に、異常が発生したことを、前記第1モードと前記第2モードとで異なる態様で前記表示部に表示させても良い。
また、前記表示制御部は、前記第1モードと前記第2モードとで異なる態様で入金及び出金の少なくともいずれかに関するガイダンスを前記表示部に表示させても良い。
また、前記表示制御部は、入金又は出金のいずれか一方のガイダンスを、前記第1モードと前記第2モードとで異なる態様で前記表示部に表示させ、他方のガイダンスを前記第1モードと前記第2モードとで同じ態様で前記表示部に表示させても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、セルフレジやセミセルフレジとして使用する場合に顧客による操作部への操作を有効としないようにすることを低廉に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る貨幣処理システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】貨幣処理装置の概略構成の一例を示す図である。
図3】貨幣処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】(a)は、有人モード時の待機画面の一例を示す図である。(b)は、セルフモード時の待機画面の一例を示す図である。
図5】(a)は、有人モード時の入金画面の一例を示す図である。(b)は、セルフモード時の入金画面の一例を示す図である。
図6】(a)は、有人モード時の出金画面の一例を示す図である。(b)は、セルフモード時の出金画面の一例を示す図である。
図7】(a)は、有人モード時の異常報知画面の一例を示す図である。(b)は、セルフモード時の異常報知画面の一例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る貨幣処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図9】(a)は、有人モード時の出金画面の一例を示す図である。(b)は、セルフモード時の出金画面の一例を示す図である。
図10】第3実施形態に係る貨幣処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図11】(a)は、有人モード時の出金画面の一例を示す図である。(b)は、セルフモード時の出金画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る貨幣処理システム1(以下、単に「システム1」と称する場合がある。)の概略構成の一例を示す図である。
図2は、貨幣処理装置10の概略構成の一例を示す図である。
図3は、貨幣処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
システム1は、貨幣処理装置10と、端末装置20とを備えている。
【0010】
端末装置20は、ユーザが操作する操作部、貨幣処理装置10における貨幣の処理状況等を表示する表示部、レシートを発行する印字部等を有するPOSレジ等の固定型の端末を例示することができる。また、端末装置20は、固定型に限定されず、タブレット端末、タブレットPC、携帯情報端末(PDA)、ノートPC、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)等の可搬型の端末であっても良い。
貨幣処理装置10及び端末装置20は、商業施設や飲食店のチェックアウトカウンターに設置されていることを例示することができる。
【0011】
貨幣処理装置10と端末装置20とは、ネットワーク30を介して互いに通信を行うことが可能となっている。ネットワーク30は、装置間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)であることを例示することができる。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。無線LANは、例えばWiFi(登録商標)やブルートゥース(登録商標)であることを例示することができる。
【0012】
ここで、顧客が商業施設で商品を購入する際、チェックアウトカウンターで精算処理が行われる。精算処理には、顧客が購入する各商品の価格及び数量から、商業施設と顧客との間で行われる取引の金額を算出する処理と、商業施設が取引の金額分の貨幣を顧客から受け取る処理とが含まれる。また、精算処理には、商業施設が顧客から受け取った貨幣の金額が取引の金額を超える場合には、受け取った貨幣の金額から取引の金額を差し引いた差額分の貨幣を商業施設が顧客に釣銭として返す処理が含まれる。
【0013】
商業施設の店員が商品のバーコードの読み取りから精算処理までを行う場合には、貨幣処理装置10及び端末装置20は有人レジとして機能する。他方、顧客自身が商品のバーコードの読み取りから精算処理まで行う場合には、貨幣処理装置10及び端末装置20はセルフレジとして機能する。商業施設の店員が商品のバーコードを読み取り、顧客が精算処理を行う場合には、貨幣処理装置10及び端末装置20はセミセルフレジとして機能する。
【0014】
一方、飲食店においては、店員が商品の選択から精算処理までを行う場合には、貨幣処理装置10及び端末装置20は有人レジとして機能する。他方、顧客自身が商品の選択から精算処理まで行う場合には、貨幣処理装置10及び端末装置20はセルフレジとして機能する。飲食店の店員が商品の選択を行い、顧客が精算処理を行う場合には、貨幣処理装置10及び端末装置20はセミセルフレジとして機能する。
【0015】
精算処理時、貨幣処理装置10は、釣銭機として機能する。具体的には、貨幣処理装置10は、顧客が支払う貨幣の入金処理を実行して取引の金額以上の貨幣を装置内に収納する。入金金額が取引の金額を超える場合、貨幣処理装置10は出金処理を実行し、入金金額から取引の金額を差し引いた差額分の貨幣を釣銭として払い出す。
【0016】
そして、貨幣処理装置10は、貨幣処理装置10及び端末装置20が有人レジとして機能する場合に商業施設や飲食店の店員が精算処理を行うことを可能とする有人モードと、貨幣処理装置10及び端末装置20がセルフレジ又はセミセルフレジとして機能する場合に顧客自身が精算処理を行うことを可能とするセルフモードとに切り替わることが可能である。
【0017】
次に、貨幣処理装置10の構成について詳述する。
貨幣処理装置10は、硬貨の入出金処理を行う硬貨処理機100と、紙幣の入出金処理を行う紙幣処理機200とを備えている。硬貨処理機100及び紙幣処理機200には、顧客から預かった硬貨や紙幣がそれぞれ入金されるとともに、硬貨処理機100及び紙幣処理機200から釣銭としての硬貨や紙幣がそれぞれ出金される。硬貨処理機100及び紙幣処理機200は、図1に示すように、横に並べて配置されていることを例示することができる。ただし、硬貨処理機100及び紙幣処理機200は、縦に並べて配置されていても良い。
【0018】
《硬貨処理機100》
硬貨処理機100は、硬貨を受け入れる硬貨受入部101と、硬貨を払い出す硬貨払出部102とを有している。硬貨受入部101及び硬貨払出部102は、筐体110の前部に設けられている。
また、硬貨処理機100は、硬貨受入部101により筐体110内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103と、入金搬送部103の途中に設けられて、硬貨を識別する硬貨識別部104とを有している。
また、硬貨処理機100は、硬貨を金種別に収納する硬貨収納部106と、硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部102へ搬送する出金搬送部108とを有している。
【0019】
また、硬貨処理機100は、入金搬送部103の途中に、硬貨識別部104による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部102から払い出すべき硬貨を出金搬送部108へ案内する分岐部105を有している。分岐部105は、正常な硬貨を硬貨収納部106に案内する。
【0020】
硬貨受入部101、硬貨払出部102、入金搬送部103、硬貨識別部104、分岐部105、硬貨収納部106及び出金搬送部108等は硬貨処理ユニット115を構成しており、硬貨処理ユニット115は、筐体110に対して、前方に引き出し可能に構成されている。
【0021】
また、硬貨処理機100は、筐体110の前上部に、絵や文字等の情報を表示する表示部112を有している。表示部112は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであることを例示することができる。
【0022】
また、硬貨処理機100は、ユーザからの操作を受け付ける操作部113を有している。操作部113は、押すことによってスイッチがONとなる押しボタンを有している。本実施形態においては、図1に示すように、操作部113は、左から1番目にある第1操作ボタン113aと、左から2番目にある第2操作ボタン113bと、左から3番目にある第3操作ボタン113cと、左から4番目にある第4操作ボタン113dと、左から5番目にある第5操作ボタン113eと、左から6番目にある第6操作ボタン113fとを有している。以下、第1操作ボタン113a、第2操作ボタン113b、第3操作ボタン113c、第4操作ボタン113d、第5操作ボタン113e、第6操作ボタン113fを区別する必要がない場合には、これらをまとめて「操作ボタン113z」と称する場合がある。操作ボタン113zが押されると、後述する操作制御部124が、操作ボタン113zが押されたことを検知する。
【0023】
また、硬貨処理機100は、硬貨処理ユニット115の引き出しを不可能にするロック機構117を有している。ロック機構117に鍵118が挿入されて予め定められた解除位置まで回されるとロックが解除し、ユーザが硬貨処理ユニット115を引き出し可能な状態となる。また、ロック機構117に鍵118が挿入されて予め定められた管理位置まで回されると、硬貨処理機100は、後述する管理モードとなる。
【0024】
また、硬貨処理機100は、硬貨受入部101、硬貨払出部102、入金搬送部103、硬貨収納部106、出金搬送部108等を制御する硬貨制御部120を有している。
硬貨制御部120は、CPU(不図示)、ROM(不図示)、RAM(不図示)により構成される。ROMには、CPUにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアに使用し、ROMから読み出したアプリケーションプログラムを実行する。
【0025】
硬貨制御部120は、後述する紙幣制御部220から送信されてきた情報を受信する硬貨受信部121と、紙幣制御部220に対して情報を送信する硬貨送信部122とを有している。また、硬貨制御部120は、表示部112を制御する表示制御部123と、操作部113への操作を受け付けるか否かを制御する操作制御部124とを有している。また、硬貨制御部120は、入金処理、出金処理、回収処理、補充処理、両替処理、精査処理等の各種処理を実行する処理制御部125を有している。また、硬貨制御部120は、硬貨受入部101、硬貨払出部102、入金搬送部103、硬貨収納部106、出金搬送部108等の状態を把握する硬貨把握部126を有している。また、硬貨制御部120は、貨幣処理装置10の運用モードを、有人モードとセルフモードとに切り替える運用モード切替部127と、貨幣処理装置10を、管理者が管理することを可能とする管理モードに切り替える管理モード切替部128とを有している。
【0026】
硬貨把握部126には、硬貨処理機100に設けられた、硬貨詰まりを検出する硬貨詰まりセンサ111等の各種センサからの信号が入力される。硬貨詰まりセンサ111は、例えば、入金搬送部103や出金搬送部108等に設けられて、硬貨詰まりを検出する。これにより、硬貨把握部126は、硬貨詰まりが発生していること、及び、筐体110内のどの部位に硬貨詰まりが発生しているかを把握する。また、硬貨把握部126には、各種センサが汚れている旨の信号が入力される。これにより、硬貨把握部126は、どのセンサが汚れているのかを把握する。硬貨把握部126は、硬貨詰まりが発生していることや各種センサが汚れていることを把握した場合には、その旨を表示制御部123に出力する。
【0027】
運用モード切替部127は、ROMに予め記憶された有人モードかセルフモードかの設定を読み込み、貨幣処理装置10の運用モードを有人モードかセルフモードかに設定する。ROMには、例えば、貨幣処理装置10を商業施設や飲食店に設置する前に、使用形態に応じて有人モードかセルフモードかの設定が記憶されることを例示することができる。
なお、貨幣処理装置10に、有人モードとセルフモードとを物理的に切り替え可能な切替スイッチを設け、運用モード切替部127は、切替スイッチの状態に応じて有人モードかセルフモードかを切り替えても良い。
【0028】
管理モード切替部128は、鍵118がロック機構117に挿入されて、鍵118が予め定められた管理位置まで回転されたことを検知した場合には、管理モードではない非管理モードから管理モードに切り替える。管理モード切替部128は、管理モードに切り替えた旨を、表示制御部123や操作制御部124に出力する。また、管理モード切替部128は、RAMに設けられた、管理モードか非管理モードかを記憶するために予め定められた記憶領域に、管理モードである旨を記憶する。なお、管理モード切替部128は、鍵118が管理位置又は解除位置まで回転されていない場合には、管理モードか非管理モードかを記憶するために設けられた記憶領域に、非管理モードである旨を記憶する。
【0029】
《紙幣処理機200》
紙幣処理機200は、紙幣を受け入れる紙幣受入部201と、紙幣を払い出す紙幣払出部202とを有している。紙幣受入部201及び紙幣払出部202は、筐体210の前部に設けられている。
また、紙幣処理機200は、筐体210内の略中央部に設けられて、紙幣受入部201により筐体210内に取り込まれた紙幣を搬送する環状の周回搬送部203を有している。また、紙幣処理機200は、周回搬送部203の途中に設けられて、紙幣を識別する紙幣識別部204と、紙幣を金種別に収納する3つの紙幣収納部206とを有している。また、紙幣処理機200は、出金リジェクト部207と、紙幣回収カセット208とを有している。また、紙幣処理機200は、紙幣受入部201、紙幣払出部202、紙幣収納部206、出金リジェクト部207、及び紙幣回収カセット208と、周回搬送部203との間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部209を有している。また、紙幣処理機200は、周回搬送部203と各接続搬送部209との間に設けられて、紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(不図示)を有している。
【0030】
紙幣受入部201、紙幣払出部202、出金リジェクト部207及び紙幣回収カセット208は、筐体210の前部に設けられている。また、紙幣受入部201、紙幣払出部202、周回搬送部203、紙幣収納部206、出金リジェクト部207、紙幣回収カセット208及び接続搬送部209等は紙幣処理ユニット215を構成しており、紙幣処理ユニット215は、筐体210に対して、前方に引き出し可能に構成されている。また、紙幣回収カセット208は、筐体210に対して着脱可能に装着されている。
【0031】
紙幣受入部201は、紙幣受入口201aに挿入された入金紙幣を取り込んで、周回搬送部203側へ1枚ずつ繰り出す。各紙幣収納部206は、紙幣識別部204の識別結果に基づいた紙幣を金種別に収納する。紙幣払出部202は、各紙幣収納部206から周回搬送部203に繰り出された紙幣を紙幣取出口202aより筐体210外へ出す。
【0032】
出金リジェクト部207は、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等により紙幣識別部204で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。紙幣受入部201から筐体210内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部204で識別することができない紙幣は、入金リジェクト紙幣として紙幣払出部202に返却される。
【0033】
また、紙幣処理機200は、紙幣処理ユニット215の引き出しを不可能にするロック機構217を有している。ロック機構217に鍵218が挿入されて予め定められた解除位置まで回されるとロックが解除し、ユーザが紙幣処理ユニット215を引き出し可能な状態となる。
【0034】
また、紙幣処理機200は、紙幣受入部201、紙幣払出部202、周回搬送部203、紙幣収納部206、接続搬送部209等を制御する紙幣制御部220を有している。
紙幣制御部220は、CPU(不図示)、ROM(不図示)、RAM(不図示)により構成される。ROMには、CPUにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアに使用し、ROMから読み出したアプリケーションプログラムを実行する。
【0035】
紙幣制御部220は、端末装置20から送信されてきた情報を受信する紙幣受信部221と、硬貨制御部120及び端末装置20に対して情報を送信する紙幣送信部222とを有している。また、紙幣制御部220は、入金処理、出金処理、回収処理、補充処理、両替処理、精査処理等の各種処理を実行する処理制御部225を有している。また、紙幣制御部220は、紙幣受入部201、紙幣払出部202、周回搬送部203、紙幣収納部206、接続搬送部209等の状態を把握する紙幣把握部226を有している。
【0036】
紙幣送信部222は、硬貨制御部120の硬貨送信部122から送られてきた硬貨処理機100の状態等を、端末装置20に対して送信する。また、紙幣送信部222は、端末装置20から送られてきた情報を、硬貨制御部120の硬貨受信部121に対して送信する。
【0037】
紙幣把握部226には、紙幣処理機200に設けられた、紙幣詰まりを検出する紙幣詰まりセンサ211等の各種センサ(不図示)からの信号が入力される。紙幣詰まりセンサ211は、例えば、周回搬送部203や接続搬送部209等に設けられて、紙幣詰まりを検出する。これにより、紙幣把握部226は、紙幣詰まりが発生したこと、及び、筐体210内のどの部位に紙幣詰まりが発生しているかを把握する。また、紙幣把握部226には、各種センサが汚れている旨の信号が入力される。これにより、紙幣把握部226は、どのセンサが汚れているのかを把握する。紙幣把握部226は、紙幣詰まりが発生していることや各種センサが汚れていることを把握した場合には、その旨を、紙幣送信部222や硬貨受信部121を介して、表示制御部123に出力する。
【0038】
[非管理モード時の処理]
《表示制御部123》
以下に、貨幣処理装置10が非管理モードである場合に表示制御部123が行う制御について説明する。
表示制御部123は、端末装置20からのコマンドの受信を待っている待機時には待機画面Gを表示部112に表示させる。
図4(a)は、有人モード時の待機画面Gwmの一例を示す図である。図4(b)は、セルフモード時の待機画面Gwsの一例を示す図である。
貨幣処理装置10の運用モードが有人モードである場合、言い換えれば、運用モード切替部127が有人モードに切り替えている場合であって、端末装置20からのコマンドの受信を待っている待機時には、表示制御部123は、図4(a)に示す待機画面Gwmを表示部112に表示させる。
【0039】
表示制御部123は、待機画面Gwmに、硬貨処理機100や紙幣処理機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高を表示させる。
また、表示制御部123は、待機画面Gwmにおける操作部113が設けられた側の端部に、操作部113の操作ボタン113zが押された場合の処理内容を示す文言を表示する。例えば、表示制御部123は、左右方向における、第1操作ボタン113aに対応する位置(例えば、前後方向に重なる位置)に、「払い出し」との文言を表示させ、第2操作ボタン113bに対応する位置に、「両替」との文言を表示させ、第3操作ボタン113cに対応する位置に、「回収」との文言を表示させる。また、表示制御部123は、左右方向における、第4操作ボタン113dに対応する位置に、「つり銭機」との文言を表示させ、第5操作ボタン113eに対応する位置に、「精査」との文言を表示させ、第6操作ボタン113fに対応する位置に、「補充」との文言を表示させる。
【0040】
一方、貨幣処理装置10の運用モードがセルフモードである場合、言い換えれば、運用モード切替部127がセルフモードに切り替えている場合であって、待機時には、表示制御部123は、図4(b)に示すように、表示部112に何も表示させない。ゆえに、表示部112に何も表示されていない状態が待機画面Gwsとなる。このように、待機画面Gwsに何も表示しないようにすることで、表示部112を覆うカバーを設ける必要がなくなる。また、表示制御部123は、表示部112の電源をOFFにして待機画面Gwsに何も表示しないようにすることで、消費電力を削減することができる。
【0041】
図5(a)は、有人モード時の入金画面Gimの一例を示す図である。図5(b)は、セルフモード時の入金画面Gisの一例を示す図である。
表示制御部123は、貨幣処理装置10が有人モードである場合であって、端末装置20からのコマンドの受信した後、コマンドに含まれる精算額以上のお金の投入を促すとともに投入されたお金を計数する入金処理を実行する場合には、店員向けの入金のガイダンスを表示する入金画面Gimを表示部112に表示させる。
【0042】
例えば、図5(a)に示すように、表示制御部123は、入金画面Gimに、「預かり金計数中です」との文言を表示するとともに、硬貨や紙幣の金種別に、投入された枚数を表示する。また、投入された硬貨や紙幣の合計金額を、「預かり金金額」として表示する。
【0043】
一方、表示制御部123は、貨幣処理装置10がセルフモードである場合であって、入金処理を実行する場合には、顧客向けの入金のガイダンスを表示する入金画面Gisを表示部112に表示させる。
例えば、図5(b)に示すように、表示制御部123は、入金画面Gisに、顧客にお金の投入を促すべく、「お金を入れてください」との文言を表示部112に表示させる。また、表示制御部123は、入金画面Gisに、「このような紙幣や異物は入れないでください」との文言とともに、投入すべきではない紙幣や異物の絵や文字を表示部112に表示させる。なお、顧客が端末装置20を見ることができるように設置されている場合であって、端末装置20に投入すべきではない紙幣や異物の絵や文字が表示される場合には、表示制御部123は、表示部112に何も表示させないようにしても良い。
【0044】
図6(a)は、有人モード時の出金画面Gomの一例を示す図である。図6(b)は、セルフモード時の出金画面Gosの一例を示す図である。
表示制御部123は、貨幣処理装置10が有人モードである場合であって、投入された硬貨や紙幣の合計金額が精算額を超えたときにお釣を返却する出金処理を実行する場合には、店員向けの出金のガイダンスを表示する出金画面Gomを表示部112に表示させる。
【0045】
例えば、図6(a)に示すように、表示制御部123は、出金画面Gomに、「出金中です」との文言を表示させるとともに、金種別に、返却する枚数を表示する。また、返却するお金の合計金額を、「出金金額」として表示する。
なお、貨幣処理装置10が有人モードである場合には、端末装置20からつり銭の払い出し指示を受け付けた場合、あるいは、第1操作ボタン113aが押された場合に出金処理が実行されることを例示することができる。
【0046】
一方、表示制御部123は、貨幣処理装置10がセルフモードである場合であって、出金処理を実行する場合には、顧客向けの出金のガイダンスを表示する出金画面Gosを表示部112に表示させる。
例えば、図6(b)に示すように、表示制御部123は、出金画面Gosに、「おつりのお取り忘れにご注意ください」との文言を表示させるとともに、お釣として返却される硬貨や紙幣が返却される位置を示す絵を表示させる。
【0047】
なお、貨幣処理装置10がセルフモードである場合には、投入された硬貨や紙幣の合計金額が精算額を超えたときに入金が確定したとして、自動的に出金処理が実行されることを例示することができる。あるいは、端末装置20が、顧客が操作可能に設置されている場合には、端末装置20からつり銭の払い出し指示を受け付けた場合に入金が確定したとして出金処理が実行されることを例示することができる。
また、顧客が端末装置20を見ることができるように設置されている場合であって、端末装置20に「おつりのお取り忘れにご注意ください」との文言が表示される場合には、表示制御部123は、表示部112に何も表示させないようにしても良い。
【0048】
なお、表示制御部123は、貨幣処理装置10が有人モードである場合であって、お釣として返却した硬貨や紙幣が抜き取られた場合には、待機画面Gwmを表示部112に表示させる。同様に、表示制御部123は、貨幣処理装置10がセルフモードである場合であって、お釣として返却した硬貨や紙幣が抜き取られた場合には、待機画面Gwsを表示部112に表示させる。
【0049】
図7(a)は、有人モード時の異常報知画面Gemの一例を示す図である。図7(b)は、セルフモード時の異常報知画面Gesの一例を示す図である。
表示制御部123は、貨幣処理装置10が有人モードである場合であって、入金処理時や出金処理時に異常が発生した場合には、店員向けの異常報知画面Gemを表示部112に表示させる。
例えば、図7(a)に示すように、表示制御部123は、異常報知画面Gemに、異常の内容、異常が生じた箇所、異常の解消方法等を報知する絵や文字を表示部112に表示させる。図7(a)には、硬貨処理機100の入金搬送部103に硬貨詰まり等の異常が生じた場合の異常報知画面Gemを例示している。
【0050】
一方、表示制御部123は、貨幣処理装置10がセルフモードである場合であって、入金処理時や出金処理時に異常が発生した場合には、顧客向けの異常報知画面Gesを表示部112に表示させる。
例えば、図7(b)に示すように、表示制御部123は、異常報知画面Gesに、顧客に係員を呼ぶことを促すべく、「休止中」との文言や、「係員をお呼びください」との文言を表示部112に表示させる。
【0051】
上述したように、表示制御部123は、貨幣処理装置10が非管理モードである場合には、有人モードとセルフモードとで、表示部112への表示態様を異ならせる。
【0052】
《操作制御部124》
以下に、貨幣処理装置10が非管理モードである場合に操作制御部124が行う制御について説明する。
(有人モード)
操作制御部124は、貨幣処理装置10が有人モードである場合には、操作部113の操作を受け付ける。そして、操作制御部124は、例えば待機時に操作ボタン113zが押されたことを検知した場合には、操作ボタン113zが押された旨を、表示制御部123、処理制御部125に対して出力する。また、操作制御部124は、操作ボタン113zが押された旨を、硬貨送信部122や紙幣受信部221を介して、処理制御部225に対して出力する。
【0053】
例えば、待機時に第2操作ボタン113bが押された場合には、操作制御部124は、第2操作ボタン113bが押された旨を、表示制御部123に対して出力する。そして、表示制御部123は、第2操作ボタン113bが押された旨の出力を取得した場合には、待機画面Gwmに代えて、両替用の画面(不図示)を表示部112に表示させる。処理制御部125及び処理制御部225の少なくともいずれかは、表示部112に両替用の画面が表示されているときに押された操作ボタン113zに対応する両替処理を実行する。例えば、処理制御部225は、両替を指示する操作ボタン113zが押された旨の出力を取得して5千円の投入を受け付けた場合には、投入された5千円の紙幣に代えて、千円の紙幣を5枚払い出す。
【0054】
また、例えば、待機時に第5操作ボタン113eが押された場合には、操作制御部124は、第5操作ボタン113eが押された旨を、表示制御部123に対して出力する。そして、表示制御部123は、第5操作ボタン113eが押された旨の出力を取得した場合には、待機画面Gwmに代えて、精査用の画面(不図示)を表示部112に表示させる。処理制御部125及び処理制御部225の少なくともいずれかは、表示部112に精査用の画面が表示されているときに押された操作ボタン113zに対応する精査処理を実行する。例えば、処理制御部225は、一万円の紙幣の精査を指示する操作ボタン113zが押された旨の出力を取得した場合には、紙幣収納部206に収納された一万円の紙幣の精査を実行する。
【0055】
また、例えば、待機時に第6操作ボタン113fが押された場合には、操作制御部124は、第6操作ボタン113fが押された旨を、表示制御部123に対して出力する。そして、表示制御部123は、第6操作ボタン113fが押された旨の出力を取得した場合には、待機画面Gwmに代えて、補充用の画面(不図示)を表示部112に表示させる。処理制御部125及び処理制御部225の少なくともいずれかは、表示部112に補充用の画面が表示されているときに押された操作ボタン113zに対応する補充処理を実行する。例えば、処理制御部125は、十円の硬貨の補充を指示する操作ボタン113zが押された旨の出力を取得した場合には、投入された十円を、硬貨収納部106に収納する。
【0056】
また、例えば、待機時に第4操作ボタン113dが押された場合には、操作制御部124は、第4操作ボタン113dが押された旨を、表示制御部123に対して出力する。表示制御部123は、第4操作ボタン113dが押された旨の出力を取得した場合には、待機画面Gwmに代えて、貨幣処理装置10の設定変更や履歴を確認可能とする画面を表示部112に表示させる。なお、設定変更については後述する管理モードである場合にのみ行うことができるようにしても良い。
【0057】
また、例えば処理制御部125及び処理制御部225の少なくともいずれかが入金処理を行った後に、第1操作ボタン113aが押された場合には、操作制御部124は、第1操作ボタン113aが押された旨を、表示制御部123、処理制御部125、処理制御部225に対して出力する。そして、表示制御部123は、第1操作ボタン113aが押された旨の出力を取得した場合には、出金画面Gomを表示部112に表示させる。処理制御部125及び処理制御部225の少なくともいずれかは、出金処理を実行する。
【0058】
なお、非管理モードである場合には、操作制御部124は、待機時に、回収処理に対応する第3操作ボタン113cが押されたとしても、第3操作ボタン113cの操作を受け付けないようにする。言い換えれば、操作制御部124は、第3操作ボタン113cの操作を無効とする。管理者でなければ貨幣処理装置10に回収処理を行わせることができないようにするためである。
【0059】
(セルフモード)
操作制御部124は、貨幣処理装置10がセルフモードである場合には、操作部113の操作を受け付けない。つまり、操作制御部124は、例えば待機時に操作ボタン113zが押されたことを検知したとしても、操作ボタン113zが押された旨を、表示制御部123、処理制御部125、処理制御部225等に対して出力しない。ゆえに、例えば、表示制御部123は、第3操作ボタン113cが押されたことを契機として、上述した回収用の画面を表示部112に表示させない。また、処理制御部125及び処理制御部225は、第3操作ボタン113cが押されたことを契機として回収処理を実行しない。
【0060】
また、例えば処理制御部125及び処理制御部225の少なくともいずれかが入金処理を行った後に、第1操作ボタン113aが押されたとしても、操作制御部124は、第1操作ボタン113aが押された旨を、表示制御部123、処理制御部125、処理制御部225に対して出力しない。ゆえに、処理制御部125及び処理制御部225の少なくともいずれかは、第1操作ボタン113aが押されたことを契機として出金処理を実行しない。
【0061】
《処理制御部125及び処理制御部225》
貨幣処理装置10が管理モードであるか非管理モードであるかに拘らず、また、貨幣処理装置10が有人モードであるかセルフモードであるかに拘らず、処理制御部125が、入金搬送部103、硬貨収納部106、出金搬送部108等を制御し、処理制御部225が、周回搬送部203、紙幣収納部206、接続搬送部209等を制御することにより、入金処理、出金処理等の各種処理を実行する。
【0062】
加えて、貨幣処理装置10が非管理モードであってセルフモードである場合には、処理制御部125は、以下の処理を行う。
例えば、処理制御部125は、入金処理時に硬貨受入部101の繰出ベルトを間欠駆動させる。これにより、硬貨受入部101に投入された硬貨が滞留することを抑制する。
【0063】
また、処理制御部125は、硬貨受入部101へ硬貨が投入されたことを検知するセンサ(不図示)から、待機時に、硬貨受入部101へ硬貨が投入されたことを検知した旨の出力を取得した場合には、投入された硬貨を硬貨払出部102へ強制的に払い出すべく、入金搬送部103、分岐部105及び出金搬送部108を作動させる。これにより、セルフモードである場合に、顧客により誤って投入された硬貨を、例えば管理者の手を煩わせることなく、顧客に返却することが可能となる。また、硬貨を返却することに加え、硬貨が投入されたことを端末装置20に通知する。これにより、端末装置20から顧客に対して誤投入であることを通知することができる。
【0064】
また、処理制御部125は、投入された硬貨や紙幣の合計金額が精算額を超える等して入金が確定した後に、さらに投入された硬貨を硬貨払出部102へ強制的に払い出すべく、入金搬送部103、分岐部105及び出金搬送部108を作動させる。また、処理制御部225は、入金が確定した後に、さらに投入された紙幣を紙幣取出口202aへ強制的に払い出すべく、紙幣払出部202及び周回搬送部203を作動させる。これにより、セルフモードである場合に、顧客が不必要に投入した貨幣を、例えば管理者の手を煩わせることなく、顧客に返却することが可能となる。
【0065】
[管理モード時の処理]
貨幣処理装置10は、セルフモードである場合であっても、鍵118がロック機構117に挿入されて、鍵118が管理位置まで回転された場合には、管理者が管理することを可能とする管理モードに切り替わる。言い換えれば、運用モード切替部127が貨幣処理装置10の運用モードをセルフモードに切り替えている場合であっても、管理モード切替部128が管理モードに切り替えた場合には、貨幣処理装置10が管理モードに切り替わる。
【0066】
表示制御部123は、貨幣処理装置10がセルフモードである場合であっても、管理モードに切り替わった場合には、表示部112に、有人モードである場合の画面を表示させる。例えば、表示制御部123は、セルフモードであり、かつ、管理モードである場合には、待機時に、有人モード時の待機画面Gwmを表示させ、入金処理時に、有人モード時の入金画面Gimを表示させ、出金処理時に、有人モード時の出金画面Gomを表示させ、異常時に、有人モード時の異常報知画面Gemを表示させる。
【0067】
操作制御部124は、貨幣処理装置10がセルフモードである場合であっても、管理モードに切り替わった場合には、有人モードである場合と同様に、操作部113の操作を受け付ける。そして、操作ボタン113zが押されたことを操作制御部124が検知した場合の、操作制御部124、表示制御部123、処理制御部125、処理制御部225が行う処理は、上述した有人モードである場合の処理と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0068】
なお、貨幣処理装置10は、有人モードである場合であっても、鍵118が管理位置まで回転された場合には、管理モードに切り替わる。言い換えれば、運用モード切替部127が貨幣処理装置10の運用モードを有人モードに切り替えている場合であっても、管理モード切替部128が管理モードに切り替えた場合には、貨幣処理装置10が管理モードに切り替わる。
【0069】
表示制御部123は、貨幣処理装置10が有人モードである場合に管理モードに切り替わった場合には、表示部112に、有人モードであり、かつ、管理モードである場合の画面を表示させる。有人モードであり、かつ、管理モードである場合の画面は、上述した有人モードであり、かつ、非管理モードである場合の画面と同様であることを例示することができる。また、操作ボタン113zが押されたことを操作制御部124が検知した場合の、操作制御部124、表示制御部123、処理制御部125、処理制御部225が行う処理は、有人モードである場合の処理に加え、回収処理を受け付ける。例えば、管理モードである場合には、待機時に第3操作ボタン113cが押された場合には、操作制御部124は、第3操作ボタン113cが押された旨を、表示制御部123に対して出力する。そして、表示制御部123は、第3操作ボタン113cが押された旨の出力を取得した場合には、待機画面Gwmに代えて、回収用の画面(不図示)を表示部112に表示させる。処理制御部125及び処理制御部225の少なくともいずれかは、表示部112に回収用の画面が表示されているときに押された操作ボタン113zに対応する回収処理を実行する。例えば、処理制御部125は、百円の硬貨の回収を指示する操作ボタン113zが押された旨の出力を取得した場合には、硬貨収納部106に収納された百円の硬貨を全て払い出す。
【0070】
なお、例えば、表示制御部123は、有人モードでありかつ管理モードである場合であって、待機時には、上述した、有人モード時の待機画面Gwmを表示部112に表示させ、有人モードでありかつ非管理モードである場合には、有人モード時の待機画面Gwmを簡略化した画面を表示部112に表示させるようにしても良い。
【0071】
以上、説明したように、貨幣処理装置10は、ユーザによる操作を受け付ける操作部113と、店員が精算処理を行うことを可能とする第1モードの一例としての有人モードと顧客が精算処理を行うことを可能とする第2モードの一例としてのセルフモードとを切り替える運用モード切替部127と、を備える。また、貨幣処理装置10は、有人モードでは操作部113への操作を受け付け、セルフモードでは操作部113への操作を受け付けないよう制御する操作制御部124を備える。
【0072】
このように構成された貨幣処理装置10によれば、セルフレジとして運用するセルフモードである場合に操作部113への操作をできないようにするために操作部113を覆うカバーを設ける必要がない。それゆえ、顧客による操作部113への操作を有効としないようにすることを低廉に実現することができる。
【0073】
また、貨幣処理装置10は、管理者が管理することを可能とする管理モードに切り替える管理モード切替部128を備え、操作制御部124は、セルフモードである場合であっても管理モードである場合には、操作部113への操作を受け付けるよう制御する。これにより、貨幣処理装置10がセルフモードに設定されているとしても、管理者は、ロック機構117に鍵118を挿入して管理位置まで鍵118を回転することで、回収処理、補充処理、両替処理、精査処理等の各種処理を実行することが可能となる。
【0074】
また、貨幣処理装置10は、情報を表示する表示部112と、有人モードでは表示部112に情報を表示させ、セルフモードでは表示部112に情報を表示させないよう制御する表示制御部123と、をさらに備える。貨幣処理装置10が非管理モードである場合であってセルフモードである場合に、例えばセルフモード時の待機画面Gwsに表示部112に何も表示させないようにすることで、有人モード時の待機画面Gwmに表示されるような操作ボタン113zに対応する文言が表示されないので、顧客に操作部113を操作させないようにすることが可能となる。
【0075】
また、表示制御部123は、異常が発生した場合に、異常が発生したことを、有人モードとセルフモードとで異なる態様で表示部112に表示させる(図7の異常報知画面Gem及び異常報知画面Ges参照)。これにより、各モードに応じた適切な表示を行うことができる。
【0076】
また、表示制御部123は、有人モードとセルフモードとで異なる態様で入金及び出金の少なくともいずれかに関するガイダンスを表示部112に表示させる。これにより、各モードに応じた適切な表示を実現できる。
【0077】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る貨幣処理装置40の機能構成の一例を示すブロック図である。
第2実施形態に係る貨幣処理装置40は、第1実施形態に係る貨幣処理装置10に対して、表示制御部123に相当する表示制御部423が異なる。第1実施形態と第2実施形態とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0078】
図9(a)は、有人モード時の出金画面Gom2の一例を示す図である。図9(b)は、セルフモード時の出金画面Gos2の一例を示す図である。
表示制御部423は、非管理モードである場合であって出金処理を実行する場合に表示部112に表示させる画面を、有人モードとセルフモードとで同じとする点が、表示制御部123と異なる。
【0079】
より具体的には、表示制御部423は、非管理モードである場合であって出金処理を実行する場合には、有人モード時の出金画面Gom2として、表示制御部123が表示させる出金画面Gomと同様の画面を表示部112に表示させる。また、表示制御部423は、非管理モードである場合であって出金処理を実行する場合には、セルフモード時の出金画面Gos2として、出金画面Gom2と同様の画面を表示部112に表示させる。つまり、表示制御部423は、セルフモード時の出金画面Gos2に、「出金中です」との文言を表示させるとともに、金種別に、返却する枚数を表示させ、返却するお金の合計金額を、「出金金額」として表示する。
【0080】
以上、説明したように、第2実施形態に係る貨幣処理装置40においては、表示制御部423は、入金のガイダンスを、有人モードとセルフモードとで異なる態様で表示部112に表示させ、出金のガイダンスを有人モードとセルフモードとで同じ態様で表示部112に表示させる。これにより、顧客に、お釣として、どのような金種を、どれくらいの量、硬貨払出部102又は紙幣払出部202から取る必要があるかを把握し易くすることができる。
【0081】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態に係る貨幣処理装置50の機能構成の一例を示すブロック図である。
第3実施形態に係る貨幣処理装置50は、第1実施形態に係る貨幣処理装置10に対して、表示制御部123に相当する表示制御部523が異なる。第1実施形態と第2実施形態とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0082】
図11(a)は、有人モード時の入金画面Gim2の一例を示す図である。図11(b)は、セルフモード時の入金画面Gis2の一例を示す図である。
表示制御部523は、非管理モードである場合であって入金処理を実行する場合に表示部112に表示させる画面を、有人モードとセルフモードとで同じとする点が、表示制御部123と異なる。
【0083】
より具体的には、表示制御部523は、非管理モードである場合であって入金処理を実行する場合には、有人モード時の入金画面Gim2として、表示制御部123が表示させる入金画面Gimと同様の画面を表示部112に表示させる。また、表示制御部523は、非管理モードである場合であって入金処理を実行する場合には、セルフモード時の入金画面Gis2として、入金画面Gimと同様の画面を表示部112に表示させる。つまり、表示制御部523は、セルフモード時の入金画面Gim2に、「預かり金計数中です」との文言を表示するとともに、硬貨や紙幣の金種別に、投入された枚数を表示する。また、投入された硬貨や紙幣の合計金額を、「預かり金金額」として表示する。
【0084】
以上、説明したように、第3実施形態に係る貨幣処理装置50においては、表示制御部523は、出金のガイダンスを、有人モードとセルフモードとで異なる態様で表示部112に表示させ、入金のガイダンスを有人モードとセルフモードとで同じ態様で表示部112に表示させる。これにより、顧客に、どのような金種を、どれくらいの量、硬貨受入部101又は紙幣受入部201に投入したかを把握し易くすることができる。
【0085】
なお、表示制御部523は、第2実施形態の表示制御部423と同様に、非管理モードである場合であって出金処理を実行する場合に表示部112に表示させる画面を、有人モードとセルフモードとで同じとしても良い。つまり、表示制御部523は、待機時及び異常発生時に表示部112に表示させる画面を有人モードとセルフモードとで異ならせ、入金及び出金時に表示部112に表示させる画面を、有人モードとセルフモードとで同じにしても良い。
【符号の説明】
【0086】
1…貨幣処理システム、10…貨幣処理装置、20…端末装置、100…硬貨処理機、112…表示部、113…操作部、120…硬貨制御部、123…表示制御部、124…操作制御部、127…運用モード切替部、128…管理モード切替部、200…紙幣処理機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11