(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129043
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】部品の検査方法、検査装置及び部品実装装置
(51)【国際特許分類】
G01B 21/20 20060101AFI20230907BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20230907BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G01B21/20 Z
H05K13/08 K
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033800
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル パウルス シホンビン
【テーマコード(参考)】
2F069
5E353
【Fターム(参考)】
2F069AA01
2F069AA04
2F069AA54
2F069BB14
2F069GG07
2F069NN17
5E353BB02
5E353EE26
5E353EE28
5E353EE29
5E353EE53
5E353HH51
5E353KK01
5E353KK11
5E353KK21
5E353MM02
5E353MM08
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】リード(端子)の平坦度(コプラナリティ)の良否判定をより正確に行う。
【解決手段】部品50が備える複数のリード52の接合部52aの平坦度を検査する方法は、各リード52の接合部52aの三次元座標を検出する工程と、三次元座標のデータに基づき、最小二乗平面からなる基準平面50Lを設定する工程と、この基準平面50Lに基づき平坦度の良否を判定する平坦度良否判定工程とを含む。平坦度良否判定工程は、基準平面50Lと各リード52の接合部との高低差に基づき平坦度の良否を判定する第1モード(S11~S13)と、互いに離間した2つのリード52について、基準平面50L上の両リード52に対応する位置の高低差に基づき平坦度の良否を判定する第2モード(S15~S25)と、を併用して、平坦度の良否を最終的に判定する(S27、S29)。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に接合される接合部を各々有する複数の端子を備えた部品の前記接合部の平坦度を検査する方法であって、
前記複数の端子各々の前記接合部の位置を検出する位置検出工程と、
前記位置検出工程で検出した位置データから前記接合部の最小二乗平面を求め、この最小二乗平面を基準平面として設定する基準平面設定工程と、
前記基準平面と各端子の前記接合部との高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第1モードと、予め定められた互いに離間する2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第2モードと、を併用して、前記平坦度の良否を最終的に判定する平坦度良否判定工程と、を含むことを特徴とする部品の検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の部品の検査方法において
前記第2モードにおける前記互いに離間した2つの端子の前記接合部の高低差として、前記基準平面上における当該2つの端子に各々対応する位置の高低差を用いる、ことを特徴とする部品の検査方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の部品の検査方法において
前記平坦度良否判定工程では、前記第1モード又は前記第2モードの何れか一方のモードを実行し、当該一方のモードにおいて前記平坦度が良好と判定した場合にのみ、他方のモードを実行する、ことを特徴とする部品の検査方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の部品の検査方法において、
前記部品は、平面視矩形の部品本体を有し、この部品本体の互いに対向する側面に沿って各々前記複数の端子が並んだパッケージ部品であり、
前記第2モードは、前記複数の端子のうち、端子並び方向に互いに離間した前記2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第1判定ステップを含む、ことを特徴とする部品の検査方法。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の部品の検査方法において、
前記部品は、平面視矩形の部品本体を有し、この部品本体の互いに対向する側面に沿って各々前記複数の端子が並んだパッケージ部品であり、
前記第2モードは、前記部品本体を挟んで互いに反対側に配置された前記2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第2判定ステップを含む、ことを特徴とする部品の検査方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の部品の検査方法において、
前記平坦度良否判定工程では、前記第1モード及び前記第2モードの双方のモードにおいて平坦度が良好と判定した場合にのみ、前記平坦度が良好と最終的に判定する、ことを特徴とする部品の検査方法。
【請求項7】
基板に接合される接合部を各々有する複数の端子を備えた部品の前記接合部の平坦度を検査する検査装置であって、
前記複数の端子各々の前記接合部の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部が検出した位置データに基づき、前記平坦度の良否を判定する判定部と、を備え、
前記判定部は、
前記位置データに基づき前記接合部の最小二乗平面を求め、この最小二乗平面を基準平面として設定する基準平面設定処理と、
前記基準平面と各端子の前記接合部との高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第1モードと、予め定められた互いに離間する2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第2モードと、を併用して、前記平坦度の良否を最終的に判定する平坦度判定処理と、を実行する、ことを特徴とする部品の検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の部品の検査装置において
前記第2モードにおける前記互いに離間した2つの端子の前記接合部の高低差は、前記基準平面上における当該2つの端子に各々対応する位置の高低差である、ことを特徴とする部品の検査装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の部品の検査装置において
前記判定部は、前記平坦度判定処理において、前記第1モード又は前記第2モードの何れか一方のモードを実行し、当該一方のモードにおいて前記平坦度が良好と判定した場合にのみ、他方のモードを実行する、ことを特徴とする部品の検査装置。
【請求項10】
請求項7乃至9の何れか一項に記載の部品の検査装置において、
前記部品は、平面視矩形の部品本体を有し、この部品本体の互いに対向する側面に沿って各々前記複数の端子が並んだパッケージ部品であり、
前記第2モードは、前記複数の端子のうち、端子並び方向に互いに離間した前記2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第1判定ステップを含む、ことを特徴とする部品の検査装置。
【請求項11】
請求項7乃至9の何れか一項に記載の部品の検査装置において、
前記部品は、平面視矩形の部品本体を有し、この部品本体の互いに対向する側面に沿って各々前記複数の端子が並んだパッケージ部品であり、
前記第2モードは、前記部品本体を挟んで互いに反対側に配置された前記2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第2判定ステップを含む、ことを特徴とする部品の検査装置。
【請求項12】
請求項7乃至11の何れか一項に記載の部品の検査装置において、
前記判定部は、前記平坦度判定処理では、前記第1モード及び前記第2モードの双方のモードにおいて平坦度が良好と判定した場合にのみ、前記平坦度が良好と最終的に判定する、ことを特徴とする部品の検査装置。
【請求項13】
移動可能なヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に搬送し、当該基板に前記部品を実装する部品実装装置であって、
前記部品は、基板に接合される接合部を各々有する複数の端子を備えた部品であり、
当該部品実装装置は、前記ヘッドが前記部品供給部から取り出した前記部品の前記接合部の平坦度を検査する装置として、請求項7乃至12の何れか一項に記載の検査装置を備えている、ことを特徴とする部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリード(端子)を備えたパッケージ部品などの部品の検査方法、検査装置、及びこの検査装置を備えた部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板等の基板上に電子部品等の部品を実装(搭載)する処理を行う部品実装装置が公知である。電子部品には、例えばSOP(Small Outline Package)やQFP(Quad Flat Package)等、多数のリードを備えたパッケージ部品が含まれる。この種のパッケージ部品(以下、単に部品と称す)において、接合部(基板に接合される、リードの先端部分)の高さにばらつきがあると、基板とリードとの接触不良、ひいては不良基板の生産を招く。そのため、部品実装装置では、基板への部品実装前に、部品の接合部の平坦度(コプラナリティ)を検査し、平坦度が良好な部品のみが基板に実装される。
【0003】
特許文献1には、部品の接合部の平坦度(以下、単に平坦度と称する場合がある)を検査する装置を備えた部品実装装置が開示されている。この部品実装装置では、部品搬送用のヘッドに吸着保持された部品が、基板への実装前にカメラで撮像され、その画像に基づき平坦度の良否判定が行われる。具体的には、部品本体(パッケージ)の下面に付された複数のマークの三次元座標が検出される。これら三次元座標から最小二乗平面が求められ、これが基準平面として設定される。つまり、部品本体(パッケージ)の下面が基準平面として設定される。そして、各リードの接合部の三次元座標がさらに検出され、基準平面に対する接合部の高低差に基づき平坦度の良否が判定される。詳しくは、基準平面から接合部までの高さの最大値と最小値との差が求められ、その差と閾値とが比較されることにより、平坦度の良否が判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の部品実装装置では、平坦度の検査の前提として、部品本体の下面に複数のマークが必要であり、マークが付されていない部品につては平坦度の検査が困難となる。
【0006】
そのため、マークが付されていない部品については、各リードの接合部の三次元座標に基づき最小二乗平面を求め(つまり、接合部の最小二乗平面を求め)、この最小二乗平面を基準平面として、前記最大値と最小値との差を求めることで、平坦度の良否を判定することが行われている。
【0007】
しかし、接合部の最小二乗平面を基準平面とする場合には次のような課題がある。すなわち、一部のリードの接合部にのみ浮きが生じている場合には、浮きが生じた接合部と基準平面との高低差が顕著になる。そのため、この場合には、比較的正確に平坦度が不良であると判定することができる。これに対して、SOPの両側の複数のリード(接合部)の高さが、リード並び方向における一端側から他端側に向かって線形的に変化するようなリードの変形が生じている場合や、SOPの片側の全てのリード(接合部)の高さが他側のリードに対して一定量だけ浮いているような場合には、平坦度が不良であっても、良好と判定されてしまう場合が考えられる。これは、接合部の最小二乗平面を基準平面とする場合には、基準平面が接合部に沿って傾くため、接合部と基準平面とに高低差が生じないか、生じても高低差が総じて小さくなるためである。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、複数のリード(端子)を備えたパッケージ部品などの部品について、接合部の平坦度の良否判定をより正確に行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一局面に係る部品の検査方法は、基板に接合される接合部を各々有する複数の端子を備えた部品の前記接合部の平坦度を検査する方法であって、前記複数の端子各々の前記接合部の位置を検出する位置検出工程と、前記位置検出工程で検出した位置データから前記接合部の最小二乗平面を求め、この最小二乗平面を基準平面として設定する基準平面設定工程と、前記基準平面と各端子の前記接合部との高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第1モードと、予め定められた互いに離間する2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第2モードと、を併用して、前記平坦度の良否を最終的に判定する平坦度良否判定工程と、を含むことを特徴とする。なお、既述の記載において「併用」とは、第1モード及び第2モードの双方のモードを実行可能に準備しておき、判定の過程で第1モード及び第2モードの少なくとも一方のモードを実行することにより、その結果に基づき、平坦度の最終的な良否判定を行うことを意味する。
【0010】
この検査方法によれば、平坦度良否判定工程において、第1モードと第2モードとが併用されるので、より正確に平坦度の良否を判定することが可能となる。すなわち、第1モードは、複数の端子各々の接合部の位置から求められた基準平面(最小二乗平面)と接合部との高低差に基づき平坦度を判定するモードである。よって、一部の端子の接合部に浮きが生じているような場合には、この第1モードによって、従来と同様に、平坦度が不良であることを判定することが可能となる。
【0011】
一方、第2モードは、互いに離間した2つの端子の接合部の高低差に基づき平坦度の良否を判定するモードである。例えば、複数の端子(接合部)の高さが、端子並び方向における一端側から他端側に向かって線形的に変化するような端子の変形が生じている場合には、互いに離間した2つの端子の接合部同士の高低差が顕著になる。よって、予め定められた互いに離間した2つの端子の接合部の高低差に基づき平坦度の良否を判定する第2モードによれば、第1モードでは不良判定が難しい既述のような端子の変形を伴う部品について、平坦度の不良を判定することが可能となる。
【0012】
従って、第1モードと第2モードとを併用する上記検査方法によれば、より正確に平坦度の良否を判定することが可能となる。
【0013】
この場合、前記第2モードにおける前記互いに離間した2つの端子の前記接合部の高低差として、前記基準平面上における当該2つの端子に各々対応する位置の高低差を用いるのが好適である。
【0014】
この方法によれば、2つの端子の接合部の高低差に基準平面の勾配が反映されるため、接合部の高さが端子並び方向における一端側から他端側に向かって線形的に変化するような端子の変形が生じている場合や、片側の全ての端子の高さが他側の端子に対して一定量だけ浮いているような場合の平坦度の不良をより確実に判定することが可能となる。
【0015】
なお、前記平坦度良否判定工程では、前記第1モード又は前記第2モードの何れか一方のモードを実行し、当該一方のモードにおいて前記平坦度が良好と判定した場合にのみ、他方のモードを実行するようにしてもよい。この方法によれば、平坦度の良否をより正確に判定しながら、当該判定を効率的に行うことが可能となる。
【0016】
また、上記の検査方法において、前記部品が、平面視矩形の部品本体を有し、この部品本体の互いに対向する側面に沿って各々前記複数の端子が並んだパッケージ部品である場合には、前記第2モードは、前記複数の端子のうち、端子並び方向に互いに離間した前記2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第1判定ステップを含むのが好適である。
【0017】
この方法によれば、部品本体の側面に並ぶ複数の端子(接合部)の高さが、端子並び方向における一端側から他端側に向かって線形的に変化するような部品について、当該部品の平坦度の不良を判定することが可能となる。
【0018】
また、前記部品が上記のようなパッケージ部品である場合には、前記第2モードは、前記部品本体を挟んで互いに反対側に配置された前記2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第2判定ステップを含むのが好適である。
【0019】
この方法によれば、部品本体の片側の全端子(接合部)の高さが他側の端子に対して一定量だけ浮いているような部品について、当該部品の平坦度の不良を判定することが可能となる。
【0020】
上記の検査方法において、前記平坦度良否判定工程では、前記第1モード及び前記第2モードの双方のモードにおいて平坦度が良好と判定した場合にのみ、前記平坦度が良好と最終的に判定するのが好適である。この方法によれば、平坦度を良好と判定した部品について、その判定の信頼性が向上する。
【0021】
一方、本発明の一局面に係る部品の検査装置は、基板に接合される接合部を各々有する複数の端子を備えた部品の前記接合部の平坦度を検査する検査装置であって、前記複数の端子各々の前記接合部の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部が検出した位置データに基づき、前記平坦度の良否を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記位置データに基づき前記接合部の最小二乗平面を求め、この最小二乗平面を基準平面として設定する基準平面設定処理と、前記基準平面と各端子の前記接合部との高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第1モードと、予め定められた互いに離間する2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第2モードと、を併用して、前記平坦度の良否を最終的に判定する平坦度判定処理と、を実行することを特徴とする。
【0022】
この検査装置によると、既述のような検査方法に基づく部品の平坦度の検査を自動化することが可能となる。すなわち、この検査装置では、位置検出部が前記複数の端子各々の接合部の位置を検出し、その位置データに基づき、判定部が、基準平面設定処理と平坦度判定処理とを実行することにより前記平坦度の良否を判定する。この場合、判定部は、平坦度判定処理において、第1モードと第2モードとを併用して平坦度の良否を最終的に判定する。そのため、既述のような検査方法を自動化して、平坦度の良否を正確に判定することが可能となる。
【0023】
より具体的には、前記第2モードにおける前記互いに離間した2つの端子の前記接合部の高低差は、前記基準平面上における当該2つの端子に各々対応する位置の高低差である。
【0024】
また、前記判定部は、前記平坦度判定処理において、前記第1モード又は前記第2モードの何れか一方のモードを実行し、当該一方のモードにおいて前記平坦度が良好と判定した場合にのみ、他方のモードを実行するように構成される。
【0025】
また、前記部品が、平面視矩形の部品本体を有し、この部品本体の互いに対向する側面に沿って各々前記複数の端子が並んだパッケージ部品である場合には、前記第2モードは、前記複数の端子のうち、端子並び方向に互いに離間した前記2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第1判定ステップを含む。
【0026】
また、前記部品が前記パッケージ部品である場合、前記第2モードは、前記部品本体を挟んで互いに反対側に配置された前記2つの端子の前記接合部の高低差に基づき、前記平坦度の良否を判定する第2判定ステップを含む。
【0027】
また、前記判定部は、前記平坦度判定処理では、前記第1モード及び前記第2モードの双方のモードにおいて平坦度が良好と判定した場合にのみ、前記平坦度が良好と最終的に判定するように構成される。
【0028】
さらに、本発明の一局面に係る部品実装装置は、移動可能なヘッドにより部品供給部から部品を取り出して基板上に搬送し、当該基板に前記部品を実装する部品実装装置であって、前記部品は、基板に接合される接合部を各々有する複数の端子を備えた部品であり、当該部品実装装置は、前記ヘッドが前記部品供給部から取り出した前記部品の前記接合部の平坦度を検査する装置として、上記何れかに記載の検査装置を備えていることを特徴とする。
【0029】
この部品実装装置では、前記部品供給部から前記ヘッドが取り出した部品の前記接合部の平坦度が検査装置により検査される。この検査装置は、既述のように、第1モードと第2モードとを併用して平坦度の良否を最終的に判定する平坦度判定処理を実行する。そのため、平坦度の良否を正確に判定すること、ひいては、平坦度が不良の部品が基板に実装されることをより高度に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明した本発明によれば、複数のリード(端子)を備えたパッケージ部品などの部品について、接合部の平坦度の良否判定をより正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係る部品実装装置の装置本体を示す模式図である。
【
図4】部品実装装置の制御系を示すブロック図である。
【
図5】平坦度検査処理の制御を示すフローチャートである。
【
図6】
図5のステップS7の処理(平坦度良否判定処理)のフローチャート(サブルーチン)である。
【
図7】部品のリードと基準平面(最小二乗平面)の説明図である。
【
図8】リードに浮きが生じている部品の側面図である。
【
図9】
図8に示した部品と判定モードの適否を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
[部品実装装置1の装置本体2の構成]
図1は、本発明に係る部品実装装置1の装置本体2を示す模式図である。
図1では、XYZ直交座標を用いて方向関係が示されている。
図1の紙面に直交する方向がX方向、紙面の左右方向がY方向、紙面の上下方向がZ方向である。
【0034】
部品実装装置1は、プリント配線基板等の基板P上に部品が実装(搭載)された部品実装基板を生産する装置であり、装置本体2と制御部4(
図4参照)とを含む。
【0035】
装置本体2は、搭載ベースである図外の基台と、この基台上に備えられる、基板搬送機構10、部品供給部12、ヘッド15、ヘッド駆動機構16(
図4参照)及び部品撮像カメラ18とを備える。
【0036】
基板搬送機構10は、例えばX方向に延びるベルト式のコンベア11を備える。基板Pは、コンベア11により、機外から所定の作業位置に搬入され、実装作業後、作業位置から機外へ搬出される。コンベア11には、クランプ機構(図略)が備えられており、実装作業中、基板Pはこのクランプ機構により作業位置に保持される。
【0037】
部品供給部12は、基板搬送機構10の側方(Y方向側)に配置されている。部品供給部12には、実装部品を供給する部品供給装置が配置されており、当例では、トレイフィーダ13が配置されている。トレイフィーダ13は、トレイ13a上に部品50を載置した状態で供給するタイプの部品供給装置である。トレイ13aとは、上向きに開口した皿形の部品収納用の容器である。このトレイフィーダ13により、SOPやQFP等のいわゆるパッケージ部品やコネクタ等の部品50が供給される。なお、部品供給部12には、小型の表面実装部品(チップ部品)を供給するテープフィーダやスティックフィーダ等、トレイフィーダ13以外の部品供給装置も配置され得る。
【0038】
図3は、トレイフィーダ13により供給される部品50の一つであるSOPの斜視図である。SOPは、平面視長方形の部品本体(パッケージ)51と、その側面、具体的には長辺側の二側面から各々延出する複数のリード(端子)52とを備えている。すなわち、SOPは、部品本体51の互いに対向する二側面に、各々、複数のリード52が一列に並んだリード列(第1リード列L1、第2リード列L2)を備えている。リード52はクランク状に屈曲した形状を有し、その先端に、基板Pに接合される接合部52aを備えている。接合部52aが基板Pの回路に半田で接合されることにより、基板Pに対してSOPが電気的に接合される。なお、以下の説明では、特に言及する場合を除き、部品50は、
図3に示したSOPを指す。
【0039】
ヘッド15は、部品供給部12(トレイフィーダ13)から部品50をピッキングして作業位置へ移動し、当該部品を基板Pに対して実装するツールである。ヘッド15の先端には、ノズル15aが備えられている。このノズル15aに負圧及び正圧が選択的に供給されることにより、ヘッド15による部品50の吸着保持及び基板P上への部品50のリリースが行われる。
【0040】
ヘッド駆動機構16は、ヘッド15を部品供給部12と作業位置の基板Pとの間の上方空間を、X、Y、Z及びR方向に移動させるための機構である。R方向の移動とは、鉛直軸回りのヘッド15の回転である。ヘッド駆動機構16は、モータの駆動によりヘッド15を各方向に移動させる。
【0041】
部品撮像カメラ18は、部品供給部12と基板搬送機構10との間に上向きに配置されている。部品撮像カメラ18は、ヘッド15によりトレイフィーダ13からピッキングされた部品50を、その下側から撮像する照明付きのカメラである。部品撮像カメラ18は、部品50の三次元画像を撮影可能な3Dカメラであり、当例では、部品50を2角度ステレオ撮像する、
図2に示すようなステレオカメラが適用されている。
【0042】
図2は、部品撮像カメラ18の模式図である。
図2に示すように、部品撮像カメラ18は、第1照明部20、第1カメラ本体部22、第2照明部24、第2カメラ本体部26及びミラー28を備えている。
【0043】
第1照明部20及び第2照明部24は、各々、複数のLED、屈折レンズ及びディフューザを備えて構成されている。第1照明部20は、部品撮像カメラ18の上方の所定の部品撮像位置PIに鉛直下方から照明光を照射するように配置され、第2照明部24は、部品撮像位置PIに対して斜め下方から照明光を照射するように配置されている。部品50は、その下面、すなわち部品本体51の下面がこの部品撮像位置PIを通るようにヘッド15によってZ方向の位置が調整される。
【0044】
第1カメラ本体部22及び第2カメラ本体部26は、何れも、複数のCCD素子もしくはCMOS素子がX方向に沿って並んだラインセンサである。第1カメラ本体部22は、第1照明部20の下方に配置されており、第2カメラ本体部26は、部品50(部品撮像位置PI)を挟んで第2照明部24の反対側であって第1カメラ本体部22の下方に配置されている。
【0045】
第1照明部20から部品撮像位置PIに照射された光は、部品50で下方に反射し、第1照明部20に設けられた透光部(開口部)を通じて第1カメラ本体部22で受光される。また、第2照明部24から部品撮像位置PIに照射された光は、部品50で反対側に正反射し、さらにミラー28で反射して第2カメラ本体部26で受光される。そして、部品撮像位置PIを部品50がY方向に通過することにより、第1カメラ本体部22及び第2カメラ本体部26により、互いに角度の異なる部品50の全体画像が撮像される。すなわち、部品撮像カメラ18は、部品50を鉛直方向の真下から撮像した画像(鉛直画像という)と、部品50を斜め下方から撮像した画像(斜め画像という)とを撮像する。
【0046】
当例では、部品50が部品撮像位置PIをY方向に移動することにより、部品50を撮像するように部品撮像カメラ18が設けられているが、部品撮像カメラ18は、部品50がX方向に移動することにより当該部品50を撮像するように設けられていてもよい。
【0047】
この部品実装装置1では、次のような部品実装処理が実行される。すなわち、基板Pが作業位置に搬入されると、ヘッド15が部品供給部12と基板Pとの間を往復しながら、トレイフィーダ13(トレイ13a)から部品50をピッキングして基板P上に搬送し、当該部品50を基板P上の所定位置に実装する。この際、ピッキング後の部品50が部品撮像位置PIを経由するようにヘッド15が移動することで、部品撮像カメラ18により部品50が撮像される。この画像に基づき部品50の外観検査やヘッド15による吸着状態の認識が行われる。外観検査において不良部品と判定された部品50は、基板Pに実装されることなく、所定の廃棄エリアにリリースされる。
【0048】
[部品実装装置1の制御系の構成]
図4は、部品実装装置1の制御系を示すブロック図である。部品実装装置1は、既述の通り制御部4を備える。制御部4は、CPU、ROM、RAM及び周辺回路等を備えて構成されている。制御部4は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、装置本体2の各構成要素の動作を制御する。制御部4は、主たる機能構成として、実装制御部30、搬送制御部32、画像処理部34、及び記憶部36等を含む。
【0049】
実装制御部30は、装置本体2による部品実装処理の動作を統括的に制御するとともに、当該制御に伴う各種演算処理を実行する。部品実装処理には、既述のような部品50の外観検査や部品50の吸着状態の認識などの処理も含まれる。部品50が
図3に示すSOPである場合、前記外観検査には、部品50の接合部52aの平坦度(コプラナリティ)検査が含まれる。この平坦度検査については後に詳述する。
【0050】
搬送制御部32は、基板搬送機構10(コンベア11)による基板Pの搬送動作、すなわち、機外から作業位置への基板Pの搬入、作業位置から機外への基板Pの搬出、前記クランプ機構による基板Pの保持及びその解除等の動作を制御する。
【0051】
画像処理部34は、部品撮像カメラ18から出力される画像信号に基づいて部品50のデジタル画像を生成する。詳しくは、第1カメラ本体部22から出力される画像信号に基づいて部品50の鉛直画像を生成するとともに、第2カメラ本体部26から出力される画像信号に基づいて部品50の斜め画像を生成する。実装制御部30は、これらの画像に基づき部品50の外観検査や吸着状態の認識などの処理を実行する。
【0052】
記憶部36には、実装制御部30や搬送制御部32により実行される各種のプログラムや、当該プログラムの実行に際して参照される各種データが記憶されている。
【0053】
なお、当例では、部品撮像カメラ18及び制御部4が本発明の「検査装置」に相当する。また、部品撮像カメラ18及び制御部4は、本発明の「位置検出部」に相当し、制御部4(主に実装制御部30)は、本発明の「判定部」に相当する。
【0054】
[部品50の平坦度検査処理]
部品50では、リード52の変形によって接合部52aの高さにばらつきが生じている場合がある。接合部52aの高さのばらつきが大きいと、基板P(回路)と接合部52aとの接触不良、ひいては不良基板の生産に繋がる。そのため、部品実装装置1では、基板Pへの部品50の実装前に、外観検査の一項目として、接合部52aの高さのばらつき、つまり接合部52aの平坦度(コプラナリティ)検査が制御部4により実行される。
【0055】
図5は、平坦度検査処理の制御を示すフローチャートである。この平坦度検査処理は、ヘッド15による部品50のピッキング動作完了と同時に開始される。このフローチャートがスタートすると、実装制御部30は、部品撮像カメラ18が部品50を撮像したか否かを判断する(ステップS1)。ここで、Yesの場合には、実装制御部30は、取得した画像から各リード52の接合部52aの三次元座標を検出する(ステップS3)。
【0056】
詳しくは、まず、実装制御部30は、部品50の鉛直画像に基づき、各リード52の接合部52aのXY座標を検出する。この場合、接合部52aの接合面(基板Pに当接する面)の中心を検出点としてXY座標を検出する。接合面の形状が矩形の場合には、例えば、当該接合面の対角線が交わる位置を検出点として、当該検出点のXY座標を検出する。以下、接合部52aの座標とは、この検出点の座標を指す。
【0057】
次に、実装制御部30は、部品50の斜め画像に基づき、各リード52の接合部52aのXY座標を検出し、鉛直画像に基づき検出した接合部52aのXY座標と、斜め画像に基づき検出した接合部52aのXY座標との差に基づき各リード52の接合部52aのZ座標を算出する。具体的には、両画像における接合部52aのXY座標のずれ量と、第1、第2カメラ本体部22、26の相対角度とに基づく周知の演算式に基づき各リード52の接合部52aのZ座標を算出する。これにより、各リード52の接合部52aの三次元座標(XYZ座標)を取得する。
【0058】
次に、実装制御部30は、ステップS3で取得した各接合部52aのXYZ座標から、基準平面50Lを算出する(ステップS5)。具体的には、各リード52の接合部52aのXYZ座標から仮想平面である最小二乗平面を算出し、この最小二乗平面を基準平面50Lとして設定する。
【0059】
図7は、部品50の各リード52と基準平面50L(最小二乗平面)の一例を模式的に示している。同図では変形を伴うリード52が柱体で示されており、変形が無い場合の接合部52a(接合面)の高さを「0」として、上向きに延びる柱体は、上向きに変形したリード52(リード浮きが生じたリード52)を、下向きに延びる柱体は、下向きに変形したリード52(リード沈みが生じたリード52)を各々示している。各柱体の先端が接合部52a(接合面)である。
【0060】
実装制御部30は、この基準平面50Lに基づき、接合部52aの平坦度良否判定処理を実行する(ステップS7)。
図6は、平坦度良否判定処理の制御を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【0061】
平坦度良否判定処理では、まず、実装制御部30は、以下のステップS11、ステップS13の処理からなる第1モードを実行する。すなわち、実装制御部30は、リード52毎に、基準平面50Lに対する接合部52aの高低差(Z方向の距離)を算出し、
図7に示すように、その最大値と最小値との差Z1を算出する(ステップS11)。当例では、接合部52aが基準平面50Lよりも上側に位置する場合には-(マイナス)、下側に位置する場合には+(プラス)として高低差を求め、当該高低差の最大値と最小値との差Z1(Z1=|最大値-最小値|)を算出する。要するに、最もマイナス側に位置する接合部52aと最もプラス側に位置する接合部52aとの高低差Z1を算出する。
【0062】
そして、ステップS11で算出した高低差Z1に基づき平坦度の良否を判定する。具体的には、ステップS11で算出した高低差Z1が閾値Zt未満か否かを判断し(ステップS13)、ここでNoの場合には、実装制御部30は、部品50の平坦度は不良と判定し(ステップS29)、当該平坦度良否判定処理を終了する。
【0063】
なお、閾値Ztは、例えば、各リード52の接合部52aが基板Pに接触することが可能な接合部52a同士の高低差の最大値又は当該最大値に近い値であって、基板P上に塗布される半田の厚みを踏まえて設定されている。閾値Ztは、前記各種データとして前記記憶部36に記憶されている。
【0064】
ステップS13でYesと判断した場合、すなわち、第1モードで平坦度が良好であると判定した場合には、実装制御部30は、さらに、以下のステップS15~ステップS25の処理からなる第2モードを実行する。
【0065】
第2モードでは、実装制御部30は、予め設定された互いに離間する2つのリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2を算出し、この高低差Z2に基づき平坦度の良否を判定する。この場合、実装制御部30は、2つのリード52を一組とする3組のリード52について、第2モードを実行する。
【0066】
具体的には、まず、実装制御部30は、第1リード列L1の両端に位置するリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2を、下記式1に基づき算出する。
【0067】
Z2=b(X2―X1)+c(Y2-Y1)・・・(1)
ここで、X1、Y1は、第1リード列L1の一端に位置するリード52のXY座標で、X2、Y2は、他端に位置するリード52のXY座標である。なお、基準平面50L(最小二乗平面)は、平面方程式aX+bY+cZ+d=0で示される。この式は、基準平面50Lの高さを求める式Z=a+bX+cYに変形することができ、上記式1はこの式に基づく。
【0068】
そして、ステップS15で算出した高低差Z2(区別のため、以下、高低差Z2aとする)が前記閾値Zt未満か否かを判断し(ステップS17)、ここでNoの場合には、実装制御部30は、部品50の平坦度は不良と判定して(ステップS29)、当該平坦度良否判定処理を終了する。
【0069】
ステップS17でYesの場合、つまり、第1リード列L1の両端のリード52に着目した場合の平坦度が良好と判定した場合には、実装制御部30は、次に、第2リード列L2の両端に位置するリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2(以下、Z2bとする)を算出する(ステップS19)。この場合、実装制御部30は、上記式1に基づき、第2リード列L2の一端に位置するリード52のXY座標を(X1、Y1)、他端に位置するリード52のXY座標を(X2、Y2)として高低差Z2bを算出する。
【0070】
そして、ステップS19で算出した高低差Z2bが前記閾値Zt未満か否かを判断し(ステップS21)、ここでNoの場合には、実装制御部30は、部品50の平坦度は不良と判定して(ステップS29)、当該平坦度良否判定処理を終了する。
【0071】
ステップS21でYesの場合、つまり、第2リード列L2の両端のリード52に着目した平坦度が良好と判定した場合には、実装制御部30は、さらに、部品本体51を挟んで互いに向かい合う、第1、第2のリード列L1、L2の特定の2つ(一組)のリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2cを算出する(ステップS23)。例えば、実装制御部30は、第1リード列L1の第1番リード52と、第2リード列L2の第1番リード52とについて、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2cを算出する。
【0072】
この場合、実装制御部30は、上記式1に基づき、第1リード列L1のリード52のXY座標を(X1、Y1)、第2リード列L2のリード52のXY座標を(X2,Y2)として高低差Z2cを算出する。
【0073】
そして、ステップS23で算出した高低差Z2cが前記閾値Zt未満か否かを判断し(ステップS25)、ここでNoの場合には、実装制御部30は、部品50の平坦度は不良と判定して(ステップS29)、当該平坦度良否判定処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS25でYesの場合、つまり、第1リード列L1及び第2リード列L2の互いに向かい合う2つのリード52に着目した平坦度が良好と判定した場合には、実装制御部30は、最終的に部品50の接合部52aの平坦度は良好である、と判定する(ステップS27)。
【0075】
こうして第1モード及び第2モードを含む平坦度良否判定処理(ステップS11~S29)が終了すると、実装制御部30は、平坦度の検査処理を終了する。そして、ステップS29の処理で最終的に平坦度が不良と判定した場合には、実装制御部30は、当該部品50を不良部品として所定の廃棄エリアにリリースする。この場合、当該部品50を部品供給部12に戻す、もしくはリペアステーションに搬送るようにしてもよい。部品供給部12又はリペアステーションに搬送された部品50は、必要に応じて手直しされた後に最使用される。 なお、当例では、ステップS15、S17及びステップS19、S21の処理が、各々、本発明の「第1判定ステップ」に相当し、ステップS23、S25の処理が、本発明の「第2判定ステップ」に相当する。
【0076】
[効果]
上記部品実装装置1では、制御部4の制御により部品50の平坦度を検査する平坦度検査処理が実行される。この平坦度検査処理は、部品撮像カメラ18が撮像した画像基づき、リード52毎の接合部52aのXYZ座標(位置)を検出する工程(ステップS3/位置検出工程)と、検出した各接合部52aのXYZ座標データ(位置データ)から、各接合部52aの最小二乗平面を求め、この最小二乗平面を基準平面50Lとして設定する工程(ステップS5/基準平面設定工程)と、平坦度の良否を判定する工程(ステップS7/平坦度良否判定工程)と、を含む。
【0077】
そして、平坦度の良否を判定する工程(ステップS7)では、基準平面50Lと各接合部52aの高低差、詳しくは、
図7に示すように、基準平面50Lと各接合部52aの高低差の最大値と最小値との差Z1に基づき、各接合部52aの平坦度の良否を判定する第1モード(ステップS11、S13)と、予め設定された互いに離間する2つのリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2(Z2a、Z2b、Z2c)に基づき、前記平坦度の良否を判定する第2モード(ステップS15~S25)とが併用されて平坦度の良否が判定される(ステップS27、S29)。そのため、上記構成(検査方法)によれば、部品50における各接合部52aの平坦度の良否をより正確に判定することが可能となる。以下、この点について具体的に説明する。
【0078】
図8は、平坦度が不良と判定されるべき部品50の一例を示す側面図である。詳しくは、
図8(a)は、第1リード列L1の一部のリード52にのみ変形が生じている部品50の側面図であり、
図8(b)は、リード並び方向における一端側から他端側に向かって接合部52aの高さが線形的に変化するように両リード列L1、L2のリード52が同様に変形した部品50の側面図である。また、
図8(c)は、第2リード列L2の全リード52が一定量だけ上向きに変形した部品50の側面図である。なお、
図8(a)、(b)は、部品50の長辺側(第1リード列L1側)の側面図であり、
図8(c)は、部品50の短辺側の側面図である。
【0079】
図8(a)に示すような部品50の場合、大部分のリード52が正常であり、基準平面50L(最小二乗平面)は、ほぼ部品本体51の下面に沿った平面となる。そのため、変形を伴うリード52の接合部52aと基準平面50Lとの高低差が顕著になり易く、基準平面50Lと接合部52aとの高低差に基づき平坦度の良否を判定する第1モードによれば、当該部品50の平坦度を不良と判定することが可能となる。図示の例では、前記高低差の最大値がhb、最小値がhaであり、よって、Z1=(|hb-ha|)<閾値Ztであれば、平坦度を不良と判定することが可能となる。
【0080】
しかし、
図8(b)に示すような部品50の場合には、同図に示す通り、基準平面50L自体が接合部52aに沿って傾くため、接合部52aと基準平面50Lとの高低差は殆ど無いか、差があってもその値は総じて小さい。そのため、接合部52aと基準平面50Lとの高低差に基づき平坦度の良否を判定する第1モードでは、多くの場合Z1<閾値Ztとなってしまい、平坦度を不良と判定することが困難である。この点は、
図8(c)に示すような部品50の場合も同様である。
【0081】
ところが、
図8(b)に示すような部品50の場合には、リード並び方向両端に位置するリード52の接合部52aに顕著な高低差が生じる。同様に、
図8(c)に示す場合には、部品本体51を挟んで向かい合う2つのリード52の接合部52aに顕著な高低差が生じる。そのため、第1、第2のリード列L1、L2の各々両端のリード52に対応する基準平面50L上の位置の高低差Z2a、Z2bを閾値Ztと比較し、また、部品本体51を挟んで互いに向かい合う2つのリード52に各々対応する基準平面50L上の位置の高低差Z2cを閾値Ztと比較する第2モードによれば、
図8(b)、(c)に示すような部品50の平坦度を不良と判定することが可能となる。
【0082】
なお、
図8(a)に示すような部品50の場合には、既述の通り、基準平面50Lがほぼ部品本体51の下面に沿った平面となり易い。この場合には、第1、第2のリード列L1、L2の各々両端のリード52に対応する基準平面50L上の位置の高低差Z2a、Z2bや、部品本体51を挟んで向かい合う2つのリード52に各々対応する基準平面50L上の位置の高低差Z2cは殆ど無いか、差があってもその値は比較的小さい。よって、Z2a、Z2b、Z2c<閾値Ztとなり易く、第2モードだけで、
図8(a)に示すような部品50について、平坦度が不良であることを判定することは難しい。
【0083】
つまり、
図8(a)~(c)に示す部品50と、それらに適した判定モードの適否は、大凡、
図9に示すような補完関係にあると言える。従って、第1モードと第2モードとを併用して部品50の平坦度の良否判定を行う上記構成(検査方法)によれば、接合部52aの平坦度の良否判定をより正確に行うことが可能になる。その結果、上記部品実装装置1によれば、平坦度が不良の部品が基板Pに実装されることを、より高度に抑制することが可能となる。
【0084】
しかも、前記平坦度良否判定処理(ステップS7)においては、既述の通り、第1モードが実行され、第1モードにおいて平坦度が良好と判定された場合(ステップS13でYesの場合)にのみ、第2モードが実行される。すなわち、第1モードにおいて平坦度が不良と判定された場合(ステップS13でNo)には、第2モードが実行されることなく、最終的に平坦度が不良と判定される(ステップS29)。そのため、平坦度の良否判定をより正確に行いながらも、前記平坦度良否判定処理を効率的に行うことができる。
【0085】
また、前記平坦度判定処理(ステップS7)では、第1モード及び第2モードの双方のモードで平坦度が良好と判定された場合にのみ(ステップS25でYes)、最終的に部品の平坦度が良好と判定される(ステップS27)。そのため、平坦度が良好と判定された部品50の当該判定結果の信頼性が高いという利点もある。
【0086】
また、前記第2モードのステップS15、S19、S25の各処理では、2つのリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2a、Z2b、Z2cを算出し、これらの高低差Z2a、Z2b、Z2cと閾値Ztとを比較するので、
図8(b)、(c)に示すような部品50の平坦度の不良をより確実に判定することができる。すなわち、ステップS15、S19、S23の各処理では、2つのリード52における接合部52aの実際の高低差(つまり、Z座標の高低差)を算出して、当該高低差と閾値Ztとを比較することも可能である。
【0087】
しかし、この場合には、次のような欠点がある。例えば、
図8(b)の部品50において、図中の最も右端のリード52が変形していないと仮定した場合、両端のリード52、つまり、高低差Z2a(Z2b)の算出対象となる2つのリード52の接合部52aには殆ど高低差が無くなる。そのため、接合部52aの実際の高低差を算出して、当該高低差と閾値Ztとを比較する場合には、両端のリード52以外の全てのリード52が変形していても、平坦度が良好と判定されることが考えられる。
【0088】
これに対して、両端のリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2a(Z2b)を算出して、当該高低差Z2a(Z2b)と閾値Ztとを比較する構成(検査方法)によれば、基準平面50Lの勾配が高低差Z2a(Z2b)に反映され、両端以外のリード52の変形(浮き)が実質的に加味される。
【0089】
従って、2つのリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2a、Z2b、Z2cを算出し、これらの高低差Z2a、Z2b、Z2cと閾値Ztとを比較する上記構成(検査方法)によれば、接合部52aの実際の高低差に基づいて平坦度の良否判定を行う場合に比べて、
図8(b)、(c)に示すような部品50の平坦度不良をより確実に判定することができる。
【0090】
[変形例等]
以上説明した部品実装装置1は、本発明の好ましい実施形態の例示であって、具体的な部品の検査方法(検査装置)や部品実装装置1の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、以下のような構成(方法)も適用が可能である。
【0091】
(1)実施形態では、部品50として2方向リード型のパッケージ部品であるSOPを例に、本発明の部品の検査方法(検査装置)について説明した。しかし、本発明は、SOP以外の2方向リード型のパッケージ部品や、4方向リード型のパッケージ部品、例えばQFPの検査にも適用可能である。QFPは、
図10に示すように、平面視正方形の部品本体51の各側面に沿って各々複数のリード52が並んだ部品である。つまり、部品本体51の周囲に第1~第4のリード列L1~L4を備えた部品である。
【0092】
部品50がQFPの場合も、
図5及び
図6に示したフローチャートに準じて平坦度の検査処理行うことができる。この場合には、前記平坦度良否判定処理(ステップS7)の第2モードとして、第1リード列L1の両端のリード52に着目した平坦度の良否判定処理(ステップS15、S17)、及び第2リード列L2の両端のリード52に着目した平坦度の良否判定処理(ステップS19、S21)に加えて、第3リード列L3の両端のリード52に着目した平坦度の良否判定処理と、第4リード列L4の両端のリード52に着目した平坦度の良否判定処理を実行するようにする。さらに、第1リード列L1及び第2リード列L2のうち、部品本体51を挟んで互いに向かい合う2つのリード52に着目した平坦度の良否判定処理(ステップS23、25)に加えて、第3リード列L3及び第4リード列L4のうち、部品本体51を挟んで互いに向かい合う2つのリード52に着目した平坦度の良否判定処理を実行するようにすればよい。
【0093】
(2)実施形態では、部品50の平坦度良否判定処理(ステップS7)において、まず第1モード(ステップS11、S13)を実行し、第1モードで平坦度が良好と判定した場合(ステップS13でYes)に、第2モード(ステップS15~S25)を実行している。しかし、これとは逆に、第2モードを実行し、第2モードで平坦度が良好と判定した場合に、第1モードを実行するようにしてもよい。また、第1モード及び第2モードの双方を実行するようにしてもよい。
【0094】
(3)実施形態では、第2モードのステップS15の処理で、第1リード列L1の両端に位置するリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2aを算出し(ステップS15)、また、ステップS19の処理で、第2リード列L2の両端に位置するリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2bを算出している(ステップS19)。しかし、当該高低差Z2a、Z2bの算出対象となるリード52の位置は、リード並び方向に互いに離間した2つのリード52であれば、必ずしもリード列L1、L2の両端のリード52には限定されない。
【0095】
また、実施形態では、第2モードのステップS23の処理で、第1リード列L1及び第2リード列L2のうち、部品本体51を挟んで互いに向かい合う2つのリード52について、基準平面50L上における両リード52に対応する位置の高低差Z2cを算出している(ステップS23)。しかし、当該高低差Z2cの算出対象となる2つのリード52は、必ずしも部品本体51を挟んで向かい合うリード52には限定されない。部品本体51の互いに反対側に配置されたリード52であれば、2つのリード52は、リード並び方向に互いにずれていても良い。
【0096】
(4)実施形態では、部品50の全リード52を対象として接合部52aの最小二乗平面を算出し(
図5のステップS5)、この最小二乗平面を基準平面50Lとしている。そして、平坦度良品判定処理(
図6)における第2モードのステップS15、S19、S23の処理では、この基準平面50L上における2つのリード52(接合部52a)に対応する位置の高低差Z2(Z2a、Z2b、Z2c)を算出している。しかし、ステップS15、S19の処理では、基準平面50Lとは別に、リード52の接合部52aの最小二乗平面(最小二乗直線)をリード列毎に算出し、この最小二乗平面(最小二乗直線)上における、2つのリード52に対応する位置の高低差(Z2a、Z2b)を算出するようにしてもよい。
【0097】
同様に、部品50が
図10に示した4方向リード型のパッケージ部品(QFP)である場合の、前記第2モードのステップS23の処理では、第1リード列L1及び第2リード列L2について、リード52の接合部52aの最小二乗平面を算出し、この最小二乗平面上における、向かい合う2つのリード52に対応する位置の高低差(Z2c)を算出するとともに、第3リード列L3及び第4リード列L4について、リード52の接合部52aの最小二乗平面を算出し、この最小二乗平面上における、向かい合う2つのリード52に対応する位置の高低差(Z2c)を算出するようにしてもよい。
【0098】
(5)実施形態では、部品撮像カメラ18として、
図2に示したような構成のステレオカメラが適用されているが、部品撮像カメラ18は、部品撮像位置PIに配置される部品50の鉛直画像と斜め画像とを撮像できれば、具体的な構成は、実施形態(
図2)には限定されない、要は、部品50で反射する照明光のうち、鉛直方向の成分を光軸に沿って第1カメラ22で受光でき、また、鉛直方向に対して所定の傾斜角度で正反射した成分を光軸に沿って第2カメラ本体部22で受光できればよい。従って、部品実装装置18は、例えば、第1カメラ本体部22及び第2カメラ本体部26に対して共通の一つの照明部が設けられた構成であってもよい。また、ミラー28は、部品50で正反射した光を、第1カメラ本体部22の下方に配置された第2カメラ本体部に導光するための手段である。従って、レイアウト上、部品50で正反射した光を直接受光できる位置に第1カメラ本体部22を配置できる場合には、当該ミラ-28は省略可能である。
【0099】
(6)実施形態では、ステレオカメラかなる部品撮像カメラ18により部品50を撮像し、その画像から部品50の各リード52の接合部52aの三次元座標を検出しているが、ステレオカメラ以外の3Dカメラにより部品50を撮像するようにしてもよい。また、レーザ式の計測装置などにより各リード52の接合部52aを走査することにより接合部52aの三次元座標を検出するようにしてもよい。
【0100】
(7)実施形態では、
図6のステップS11~ステップS29の全処理を含めて部品50の平坦度良否判定処理と位置づけている。換言すれば、第1モード及び第2モードの双方の処理を含めて平坦度良否判定処理と位置づけている。しかし、ステップS11、S13の処理を平坦度良否判定処理と位置づけ、ステップS13~S25の処理をリード52の傾き良否判定処理と位置づけてもよい。つまり、第1モードにより平坦度の良否判定を行い、第2モードによりリード52の傾きの良否判定を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 部品実装装置
4 制御部
10 搬送機構
13 トレイフィーダ
15 ヘッド
15a ノズル
16 ヘッド駆動機構
18 部品撮像カメラ
30 実装制御部
50 部品
51 部品本体51
52 リード
52a 接合部
L1 第1リード列
L2 第2リード列
P 基板