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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129061
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】ファンイン/ファンアウトデバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/32 20060101AFI20230907BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G02B6/32
G02B6/02 461
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033826
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】392017004
【氏名又は名称】湖北工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 勝博
(72)【発明者】
【氏名】桐山 智晶
【テーマコード(参考)】
2H137
2H250
【Fターム(参考)】
2H137BA15
2H137BA18
2H137BA20
2H137BC03
2H137BC04
2H137BC08
2H137BC12
2H137DB09
2H137HA11
2H250AB03
2H250AC64
2H250AC93
2H250AC94
2H250AC95
2H250AC96
(57)【要約】
【課題】 ビームウェスト径が変化したりビームウェスト径にばらつきが生じたりする場合であっても光結合損失の増大を抑制する。
【解決手段】 FIFOデバイス10は、MCF20と、MCFの中心軸線と平行な第1光軸を有する第1レンズ30と、第1光軸と平行な第2光軸を有する第2レンズ41乃至44を複数有する第2レンズ群40と、シングルコア光ファイバ51乃至54を第2レンズと同数だけ備えるシングルコア光ファイバ群50とを備える。第1レンズと各第2レンズとの間のレンズ間距離がビームウェスト距離和と等しい場合のビームウェスト距離和の最大値を距離和最大値と規定すると、レンズ間距離を距離和最大値に設定した場合、ビームウェスト距離和が距離和最大値の91.5%以上となるようにMCF20、第1レンズ30、第2レンズ群40及びシングルコア光ファイバ群50が配置されている。
【選択図】 図11C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状であり、軸線方向に沿って延在している複数の第1コア(C1乃至C4)と、前記複数の第1コアを取り囲む共通のクラッド(CL)と、を備えるマルチコア光ファイバ(20)と、
前記マルチコア光ファイバ(20)の中心軸線と平行な第1光軸を有し、前記マルチコア光ファイバに対応して設けられる第1レンズ(30)と、
前記第1光軸と平行な第2光軸を有する第2レンズ(41乃至44)を複数有する第2レンズ群(40)と、
柱状であり、前記第2光軸と平行な中心軸線に沿って延在している1つの第2コア(C)と、前記第2コア(C)を取り囲むクラッド(CLs)と、を有するシングルコア光ファイバ(51乃至54)を前記第2レンズ(41乃至44)と同数だけ備えるシングルコア光ファイバ群(50)と、
を備え、前記マルチコア光ファイバ(20)の各前記第1コア(C1乃至C4)から出射され、前記第1レンズ(30)及び各前記第1コアに対応する前記第2レンズ(41乃至44)を経由して前記第2レンズに対応する前記シングルコア光ファイバ(51乃至54)の前記第2コア(C)上で収束する光線の進行方向である第1進行方向と、各前記第2コアから出射され、対応する前記第2レンズ及び前記第1レンズを経由して前記第2レンズに対応する各前記第1コア上で収束する光線の進行方向である第2進行方向と、の何れか一方の方向に光線が伝播するように構成されたファンイン/ファンアウトデバイス(10)において、
光線が前記第1進行方向に伝播すると仮定した場合において前記第1レンズ(30)から出射された各光線のビームウェスト径を第1ビームウェスト径(2Ω1)と規定し、当該各光線の主光線の進行方向における前記第1レンズからビームウェスト位置までの距離を第1ビームウェスト距離(D1)と規定し、
光線が前記第2進行方向に伝播すると仮定した場合において各前記第2レンズ(41乃至44)から出射された光線のビームウェスト径を第2ビームウェスト径(2Ω2)と規定し、当該光線の主光線の進行方向における前記第2レンズからビームウェスト位置までの距離を第2ビームウェスト距離(D2)と規定し、
光線の主光線の進行方向における前記第1レンズ(30)と各前記第2レンズ(41乃至44)との間の距離であるレンズ間距離(Z)が、前記第1ビームウェスト径(2Ω1)と前記第2ビームウェスト径(2Ω2)とが一致するときの前記第1ビームウェスト距離(D1)と前記第2ビームウェスト距離(D2)との和であるビームウェスト距離和(D1+D2)と等しい場合における前記ビームウェスト距離和の最大値を距離和最大値(D1+D2_max)と規定すると、
前記レンズ間距離(Z)が前記距離和最大値(D1+D2_max)に実質的に等しく、且つ、前記ビームウェスト距離和(D1+D2)が前記距離和最大値の91.5%以上となるように前記マルチコア光ファイバ(20)、前記第1レンズ(30)、前記第2レンズ群(40)、及び、前記シングルコア光ファイバ群(50)が配置されている、
ファンイン/ファンアウトデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のファンイン/ファンアウトデバイスにおいて、
前記マルチコア光ファイバ(20p)の端面(20ap)は、その中心軸線と直交する面に対して所定の傾斜方向に所定の研磨角度だけ傾斜するように斜研磨され、これにより、光線の主光線の進行方向における各前記第1コア(C1乃至C4)と前記第1レンズ(30)との間の距離(d1(1)乃至d1(4))にn通りのバリエーションが生じるとともに各前記第1コアからの光線の前記第1ビームウェスト径(2Ω1)にn通りのバリエーションが生じ、
各前記シングルコア光ファイバ(51乃至54)は、対応する各前記第2レンズ(41乃至44)に対して、各前記シングルコア光ファイバに対応する光線の前記第2ビームウェスト径(2Ω2)が、対応する前記第1ビームウェスト径(2Ω1)と一致するような位置に配置されており、
前記レンズ間距離(Z)が前記距離和最大値(D1+D2_max)に実質的に等しく、且つ、n通りの前記第1及び前記第2ビームウェスト径(2Ω1=2Ω2)に対応するn通りの前記ビームウェスト距離和(D1+D2)は、何れも前記距離和最大値(D1+D2_max)の91.5%以上である、
ファンイン/ファンアウトデバイス。
【請求項3】
柱状であり、軸線方向に沿って延在している複数の第1コア(C1乃至C4)と、前記複数の第1コアを取り囲む共通のクラッド(CL)と、を備えるマルチコア光ファイバ(20p)と、
前記マルチコア光ファイバ(20p)の中心軸線と平行な第1光軸を有し、前記マルチコア光ファイバに対応して設けられる第1レンズ(30)と、
前記第1光軸と平行な第2光軸を有する第2レンズ(41乃至44)を複数有する第2レンズ群(40)と、
柱状であり、前記第2光軸と平行な中心軸線に沿って延在している1つの第2コア(C)と、前記第2コア(C)を取り囲むクラッド(CLs)と、を有するシングルコア光ファイバ(51乃至54)を前記第2レンズ(41乃至44)と同数だけ備えるシングルコア光ファイバ群(50)と、
を備え、前記マルチコア光ファイバ(20p)の各前記第1コア(C1乃至C4)から出射され、前記第1レンズ(30)及び各前記第1コアに対応する前記第2レンズ(41乃至44)を経由して前記第2レンズに対応する前記シングルコア光ファイバ(51乃至54)の前記第2コア(C)上で収束する光線の進行方向である第1進行方向と、各前記第2コアから出射され、対応する前記第2レンズ及び前記第1レンズを経由して前記第2レンズに対応する各前記第1コア上で収束する光線の進行方向である第2進行方向と、の何れか一方の方向に光線が伝播するように構成されたファンイン/ファンアウトデバイス(10)において、
光線が前記第1進行方向に伝播すると仮定した場合において前記第1レンズ(30)から出射された各光線のビームウェスト径を第1ビームウェスト径(2Ω1)と規定し、前記各光線の主光線の進行方向における前記第1レンズからビームウェスト位置までの距離を第1ビームウェスト距離(D1)と規定し、
光線が前記第2進行方向に伝播すると仮定した場合において各前記第2レンズ(41乃至44)から出射された光線のビームウェスト径を第2ビームウェスト径(2Ω2)と規定し、前記光線の主光線の進行方向における前記第2レンズからビームウェスト位置までの距離を第2ビームウェスト距離(D2)と規定し、
前記光線の主光線の進行方向における前記第1レンズ(30)と各前記第2レンズ(41乃至44)との間の距離であるレンズ間距離(Z)が、前記第1ビームウェスト径(2Ω1)と前記第2ビームウェスト径(2Ω2)とが一致するときの前記第1ビームウェスト距離(D1)と前記第2ビームウェスト距離(D2)との和であるビームウェスト距離和(D1+D2)と等しい場合における前記ビームウェスト距離和の最大値を距離和最大値(D1+D2_max)と規定すると、
前記マルチコア光ファイバ(20p)の端面(20ap)は、その中心軸線と直交する面に対して所定の傾斜方向に所定の研磨角度だけ傾斜するように斜研磨され、これにより、光線の進行方向における各前記第1コア(C1乃至C4)と前記第1レンズ(30)との間の距離(d1(1)乃至d1(4))にn通りのバリエーションが生じるとともに各前記第1コアからの光線の前記第1ビームウェスト径(2Ω1)にはn通りのバリエーションが生じ、
各前記シングルコア光ファイバ(51乃至54)は、対応する各前記第2レンズ(41乃至44)に対して、各前記シングルコア光ファイバに対応する光線の前記第2ビームウェスト径(2Ω2)が、対応する前記第1ビームウェスト径(2Ω1)と一致するような位置に配置されており、
更に、前記ビームウェスト距離和(D1+D2)が前記距離和最大値(D1+D2_max)であるときの前記第1及び前記第2ビームウェスト径(2Ω1=2Ω2)を距離最大時ビームウェスト径(Ω_Dmax)と規定し、n通りの前記第1及び前記第2ビームウェスト径の最大値及び最小値をそれぞれビームウェスト最大径(2Ωmax)及びビームウェスト最小径(2Ωmin)と規定すると、
前記マルチコア光ファイバ(20p)は、前記第1レンズ(30)に対して、前記ビームウェスト最大径(2Ωmax)が前記距離最大時ビームウェスト径(Ω_Dmax)よりも大きく、且つ、前記ビームウェスト最小径(2Ωmin)が前記距離最大時ビームウェスト径よりも小さくなるような位置に配置されている、
ファンイン/ファンアウトデバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のファンイン/ファンアウトデバイスにおいて、
前記レンズ間距離(Z)は、前記距離和最大値(D1+D2_max)に実質的に等しい、
ファンイン/ファンアウトデバイス。
【請求項5】
請求項3に記載のファンイン/ファンアウトデバイスにおいて、
前記第1及び前記第2ビームウェスト径(2Ω1=2Ω2)と光結合損失との関係を規定した曲線は、前記レンズ間距離(Z)が前記距離和最大値(D1+D2_max)未満の場合、前記光結合損失がゼロとなる2つの極小点と、前記2つの極小点の間に位置する1つの極大点と、を有しており、
前記2つの極小点の前記第1及び前記第2ビームウェスト径を大きいほうから順に極小点第1ビームウェスト径(2Ωmin1)、及び、極小点第2ビームウェスト径(2Ωmin2)と規定すると、前記極小点第1ビームウェスト径と前記極小点第2ビームウェスト径との差分は、前記レンズ間距離(Z)が減少するにつれて増加し、
n=2である場合、
前記レンズ間距離(Z)は、前記差分が、前記ビームウェスト最大径(2Ωmax)と前記ビームウェスト最小径(2Ωmin)との分離量に実質的に等しくなるように設定されており、且つ、
前記マルチコア光ファイバ(20p)は、前記第1レンズ(30)に対して、前記ビームウェスト最大径(2Ωmax)が前記極小点第1ビームウェスト径(2Ωmin1)と略一致し、前記ビームウェスト最小径(2Ωmin)が前記極小点第2ビームウェスト径(2Ωmin2)と略一致するような位置に配置されている、
ファンイン/ファンアウトデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンイン/ファンアウトデバイスに関する。特に、マルチコア光ファイバと複数のシングルコア光ファイバとを備え、両者を光学的に結合する空間結合型のファンイン/ファンアウトデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットによる通信トラフィック需要は年々増加しており、光通信の更なる高速大容量化が望まれている。従来から、その需要に応えるために、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)技術及びデジタルコヒーレント技術等により伝送容量の増大が進められてきた。
【0003】
近年、新たな多重化技術として、マルチコア光ファイバを用いた空間分割多重(SDM:Space Division Multiplexing)技術が注目されている。SDM技術によれば、更に高速大容量化できるとされている。SDM技術の研究開発の進展に伴い、ファンイン/ファンアウト(Fan-in/Fan-out。以下、「FIFO」とも称する。)デバイスの需要が高まっている。FIFOデバイスは、マルチコア光ファイバと複数のシングルコア光ファイバとを備え、両者を光学的に結合する光学デバイスである。
【0004】
FIFOデバイスとして、例えば、空間結合型、ファイババンドル型、及び、溶融延伸型のデバイスが挙げられる。空間結合型のFIFOデバイスは、レンズ(ガラスブロック等を含む)を用いてマルチコア光ファイバとシングルコア光ファイバとを光学的に結合することを特徴としている(特許文献1参照)。以下では、空間結合型のFIFOデバイスを、単に「FIFOデバイス」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6554891号
【発明の概要】
【0006】
FIFOデバイスは、マルチコア光ファイバ側に設けられた第1レンズと、複数のシングルコア光ファイバ側に設けられた複数の第2レンズと、を備える。FIFOデバイスでは、マルチコア光ファイバとシングルコア光ファイバのうちの一方から出射された光線が、第1レンズ及び第2レンズを経由して、マルチコア光ファイバとシングルコア光ファイバのうちの他方に入射する。光結合損失は、他方の光ファイバの端面における光線のビーム径である入射端面ビーム径が、当該光ファイバのモードフィールド径に一致する場合にゼロとなる。
【0007】
ここで、マルチコア光ファイバと第1レンズとの間の第1距離、又は、シングルコア光ファイバと対応する第2レンズとの間の第2距離に誤差が生じると、光線のビームウェスト径(及びビームウェスト位置)が変化するため、入射端面ビーム径がモードフィールド径に一致しなくなり、光結合損失の増大を引き起こす。このため、FIFOデバイスを製造する際は、第1距離及び第2距離に極力誤差が生じないようにすることが望ましい。
【0008】
しかしながら、製造過程において第1距離及び第2距離に微小な誤差が生じてしまうことは避け難いため、これらの誤差によりビームウェスト径が変化しても光結合損失の増大を抑制できる(光結合損失が増大し難い)FIFOデバイスの開発が求められている。
【0009】
また、FIFOデバイスでは、反射戻り光を低減するためにマルチコア光ファイバの端面を斜研磨する場合がある。この場合、マルチコア光ファイバのコア数又はコア配置等に応じて第1距離にばらつき(バリエーション)が生じるため、結果として、ビームウェスト径にばらつきが生じる。例えば、マルチコア光ファイバの端面の斜研磨により第1距離に2通りのバリエーションが生じる場合、ビームウェスト径は2通りの値をとることになり、ばらつきが生じる。ビームウェスト径のばらつきは、光結合損失の増大につながる。このため、製造上の誤差によりビームウェスト径が変化するときだけでなく、マルチコア光ファイバの端面の斜研磨によりビームウェスト径にばらつきが生じる場合においても光結合損失の増大を抑制できることが望ましい。
【0010】
本発明は、上述した問題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、ビームウェスト径が変化したりビームウェスト径にばらつきが生じたりする場合であっても光結合損失の増大を抑制することが可能な技術を提供することにある。
【0011】
本発明によるファンイン/ファンアウトデバイス(10)は、
柱状であり、軸線方向に沿って延在している複数の第1コア(C1乃至C4)と、前記複数の第1コアを取り囲む共通のクラッド(CL)と、を備えるマルチコア光ファイバ(20)と、
前記マルチコア光ファイバ(20)の中心軸線と平行な第1光軸を有し、前記マルチコア光ファイバに対応して設けられる第1レンズ(30)と、
前記第1光軸と平行な第2光軸を有する第2レンズ(41乃至44)を複数有する第2レンズ群(40)と、
柱状であり、前記第2光軸と平行な中心軸線に沿って延在している1つの第2コア(C)と、前記第2コア(C)を取り囲むクラッド(CLs)と、を有するシングルコア光ファイバ(51乃至54)を前記第2レンズ(41乃至44)と同数だけ備えるシングルコア光ファイバ群(50)と、
を備え、前記マルチコア光ファイバ(20)の各前記第1コア(C1乃至C4)から出射され、前記第1レンズ(30)及び各前記第1コアに対応する前記第2レンズ(41乃至44)を経由して前記第2レンズに対応する前記シングルコア光ファイバ(51乃至54)の前記第2コア(C)上で収束する光線の進行方向である第1進行方向と、各前記第2コアから出射され、対応する前記第2レンズ及び前記第1レンズを経由して前記第2レンズに対応する各前記第1コア上で収束する光線の進行方向である第2進行方向と、の何れか一方の方向に光線が伝播するように構成されている。
光線が前記第1進行方向に伝播すると仮定した場合において前記第1レンズ(30)から出射された各光線のビームウェスト径を第1ビームウェスト径(2Ω1)と規定し、当該各光線の主光線の進行方向における前記第1レンズからビームウェスト位置までの距離を第1ビームウェスト距離(D1)と規定し、
光線が前記第2進行方向に伝播すると仮定した場合において各前記第2レンズ(41乃至44)から出射された光線のビームウェスト径を第2ビームウェスト径(2Ω2)と規定し、当該光線の主光線の進行方向における前記第2レンズからビームウェスト位置までの距離を第2ビームウェスト距離(D2)と規定し、
光線の主光線の進行方向における前記第1レンズ(30)と各前記第2レンズ(41乃至44)との間の距離であるレンズ間距離(Z)が、前記第1ビームウェスト径(2Ω1)と前記第2ビームウェスト径(2Ω2)とが一致するときの前記第1ビームウェスト距離(D1)と前記第2ビームウェスト距離(D2)との和であるビームウェスト距離和(D1+D2)と等しい場合における前記ビームウェスト距離和の最大値を距離和最大値(D1+D2_max)と規定すると、
前記レンズ間距離(Z)が前記距離和最大値(D1+D2_max)に実質的に等しく、且つ、前記ビームウェスト距離和(D1+D2)が前記距離和最大値の91.5%以上となるように前記マルチコア光ファイバ(20)、前記第1レンズ(30)、前記第2レンズ群(40)、及び、前記シングルコア光ファイバ群(50)が配置されている。
【0012】
また、本発明による別のファンイン/ファンアウトデバイスは、
柱状であり、軸線方向に沿って延在している複数の第1コア(C1乃至C4)と、前記複数の第1コアを取り囲む共通のクラッド(CL)と、を備えるマルチコア光ファイバ(20p)と、
前記マルチコア光ファイバ(20p)の中心軸線と平行な第1光軸を有し、前記マルチコア光ファイバに対応して設けられる第1レンズ(30)と、
前記第1光軸と平行な第2光軸を有する第2レンズ(41乃至44)を複数有する第2レンズ群(40)と、
柱状であり、前記第2光軸と平行な中心軸線に沿って延在している1つの第2コア(C)と、前記第2コア(C)を取り囲むクラッド(CLs)と、を有するシングルコア光ファイバ(51乃至54)を前記第2レンズ(41乃至44)と同数だけ備えるシングルコア光ファイバ群(50)と、
を備え、前記マルチコア光ファイバ(20p)の各前記第1コア(C1乃至C4)から出射され、前記第1レンズ(30)及び各前記第1コアに対応する前記第2レンズ(41乃至44)を経由して前記第2レンズに対応する前記シングルコア光ファイバ(51乃至54)の前記第2コア(C)上で収束する光線の進行方向である第1進行方向と、各前記第2コアから出射され、対応する前記第2レンズ及び前記第1レンズを経由して前記第2レンズに対応する各前記第1コア上で収束する光線の進行方向である第2進行方向と、の何れか一方の方向に光線が伝播するように構成されている。
光線が前記第1進行方向に伝播すると仮定した場合において前記第1レンズ(30)から出射された各光線のビームウェスト径を第1ビームウェスト径(2Ω1)と規定し、当該各光線の主光線の進行方向における前記第1レンズからビームウェスト位置までの距離を第1ビームウェスト距離(D1)と規定し、
光線が前記第2進行方向に伝播すると仮定した場合において各前記第2レンズ(41乃至44)から出射された光線のビームウェスト径を第2ビームウェスト径(2Ω2)と規定し、当該光線の主光線の進行方向における前記第2レンズからビームウェスト位置までの距離を第2ビームウェスト距離(D2)と規定し、
光線の主光線の進行方向における前記第1レンズ(30)と各前記第2レンズ(41乃至44)との間の距離であるレンズ間距離(Z)が、前記第1ビームウェスト径(2Ω1)と前記第2ビームウェスト径(2Ω2)とが一致するときの前記第1ビームウェスト距離(D1)と前記第2ビームウェスト距離(D2)との和であるビームウェスト距離和(D1+D2)と等しい場合における前記ビームウェスト距離和の最大値を距離和最大値(D1+D2_max)と規定すると、
前記マルチコア光ファイバ(20p)の端面(20ap)は、その中心軸線と直交する面に対して所定の傾斜方向に所定の研磨角度だけ傾斜するように斜研磨され、これにより、光線の進行方向における各前記第1コア(C1乃至C4)と前記第1レンズ(30)との間の距離(d1(1)乃至d1(4))にn通りのバリエーションが生じるとともに各前記第1コアからの光線の前記第1ビームウェスト径(2Ω1)にはn通りのバリエーションが生じ、
各前記シングルコア光ファイバ(51乃至54)は、対応する各前記第2レンズ(41乃至44)に対して、各前記シングルコア光ファイバに対応する光線の前記第2ビームウェスト径(2Ω2)が、対応する前記第1ビームウェスト径(2Ω1)と一致するような位置に配置されており、
更に、前記ビームウェスト距離和(D1+D2)が前記距離和最大値(D1+D2_max)であるときの前記第1及び前記第2ビームウェスト径(2Ω1=2Ω2)を距離最大時ビームウェスト径(Ω_Dmax)と規定し、n通りの前記第1及び前記第2ビームウェスト径の最大値及び最小値をそれぞれビームウェスト最大径(2Ωmax)及びビームウェスト最小径(2Ωmin)と規定すると、
前記マルチコア光ファイバ(20p)は、前記第1レンズ(30)に対して、前記ビームウェスト最大径(2Ωmax)が前記距離最大時ビームウェスト径(Ω_Dmax)よりも大きく、且つ、前記ビームウェスト最小径(2Ωmin)が前記距離最大時ビームウェスト径よりも小さくなるような位置に配置されている。
【0013】
本発明によれば、ビームウェスト径が変化したりビームウェスト径にばらつきが生じたりする場合であっても光結合損失の増大を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係るFIFOデバイスを示す斜視図である。
図2】FIFOデバイスの側面図である。
図3】FIFOデバイスが備えるマルチコア光ファイバの端面を示す図である。
図4】マルチコア光ファイバの或るコアからの出射光の主光線が対応する第2レンズを透過する様子を示す図である。
図5】FIFOデバイスが備えるシングルコア光ファイバの端面を示す図である。
図6】第1ビームウェスト径2Ω1及び第1ビームウェスト距離D1について説明するための図である。
図7】第2ビームウェスト径2Ω2及び第2ビームウェスト距離D2について説明するための図である。
図8A】シングルコア光ファイバから対応する第2レンズまでの距離d2と、第2ビームウェスト距離D2と、の関係を規定したグラフである。
図8B】距離d2と第2ビームウェスト半径Ω2との関係を規定したグラフである。
図9】FIFOデバイスの結合損失がゼロの場合の構成要素の位置関係を示す図である。
図10】2Ω1=2Ω2が成立しているときのビームウェスト半径Ω1=Ω2と、ビームウェスト距離和D1+D2との関係を規定したグラフである。
図11A】レンズ間距離Z=60mmのときの結合損失について説明するためのグラフである。
図11B】Z=70mmのときの結合損失について説明するためのグラフである。
図11C】Z=80.89mmのときの結合損失について説明するためのグラフである。
図12A】第2レンズを焦点距離の異なる別のレンズに変更した場合の図11Cに対応するグラフである。
図12B】第2レンズを焦点距離の異なる更に別のレンズに変更した場合の図11Cに対応するグラフである。
図13】結合損失を0.15dB以下に抑制し得るビームウェスト距離和D1+D2を検討するために規格化されたグラフである。
図14】本発明の変形例に係るFIFOデバイスのうち斜研磨されたマルチコア光ファイバ及び第1レンズのみを示す側面図である。
図15】マルチコア光ファイバの中心から第1レンズまでの距離d1とΩ1との関係をコアからの光線毎に規定したグラフである。
図16】2通りのバリエーションを有するΩ1同士の関係を規定したグラフである。
図17】結合損失を0.15dB以下に抑制し得るビームウェスト距離和D1+D2について説明するためのグラフである。
図18】本発明の第2実施形態に係るFIFOデバイスについて、2通りのバリエーションを有するΩ1の組み合わせが満たす条件を説明するためのグラフである。
図19】2通りのバリエーションを有するΩ1同士の関係を規定したグラフである。
図20】本発明の第3実施形態に係るFIFOデバイスの比較例のグラフである。
図21A】Z=80mmのときの結合損失について説明するためのグラフであり、2通りのバリエーションを有するΩ1の組み合わせが満たす条件を説明するためのグラフである。
図21B】Z=79mmのときの結合損失について説明するためのグラフである。
図21C】Z=78mmのときの結合損失について説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るFIFOデバイス10について図面を参照して説明する。以下では、「FIFOデバイス」を単に「デバイス」とも称する。
【0016】
図1は、デバイス10の斜視図であり、図2は、デバイス10の側面図である。図1及び図2に示すように、デバイス10は、マルチコア光ファイバ20と、第1レンズ30と、第2レンズ群40と、シングルコア光ファイバ群50と、を備える。これらの部材は、軸線A1に沿って上記の順に配置されている。デバイス10には、直交座標系が設定されている。z軸は、マルチコア光ファイバ20から第1レンズ30に向かう方向が正方向となるように軸線A1と平行に延びている。y軸は、z軸と直交しており、紙面上方向が正方向となるように延びている。x軸は、z軸及びy軸と直交している。以下、マルチコア光ファイバ及びシングルコア光ファイバをそれぞれ「MCF」及び「SCF」とも称する。なお、本明細書では、図を見易くするために、特定の部材(例えば、MCF20及びSCF群50)の寸法及び光線の角度等を変更して図示している。
【0017】
MCF20は円柱状であり、少なくともその+z軸方向の端部における中心軸線は、軸線A1と一致している。MCF20の端面20a(図2参照)は、軸線A1と直交する面(xy平面)と平行である。図3は、MCF20の中心軸線に沿って端面20aを見たときの図である。図3に示すように、MCF20は、4つのコアC1乃至C4と、これらのコアC1乃至C4を取り囲む共通のクラッドCLと、を備える。コアC1乃至C4は、端面20aの中心を中心とした正方形の頂点に位置しており、軸線方向に沿って延在している。隣接するコア間の距離(コアピッチp1)は50μmである。コアC1乃至C4並びにクラッドCLは、何れも石英を主成分とするガラスにより形成されている。コアC1乃至C4の屈折率は、クラッドCLの屈折率よりも大きい。MCF20は、シングルモードの光線が伝播する光ファイバである。なお、コアC1乃至C4並びにクラッドCLの材質は石英を主成分とするガラスに限られず、他の材料により形成されてもよい。また、本明細書において、円柱には、軸線が湾曲しているものも含まれる。
【0018】
図1及び図2に示すように、MCF20の+z軸方向の端部は、円筒状のフェルール22に挿通されて保持されている。フェルール22の端面22aは、MCF20の端面20aと同一平面上に位置している。これは、MCF20の端面20aは、フェルール22に挿通された状態でその端面22aとともに一括して研磨されるためである。図2では、フェルール22内のMCF20を破線で示しているが、コアC1乃至C4の図示は省略している。
【0019】
MCF20の各コアC1乃至C4を伝播してきた光線は、端面20aから第1レンズ30に向けて出射される。即ち、MCF20は出射部材として機能する。図1では、各コアC1乃至C4(図3参照)から出射される光線の主光線B1乃至B4のみをそれぞれ図示しており、図2では、コアC2及びC3から出射される光線の主光線B2及びB3のみを図示している。各コアC1乃至C4からの出射光の主光線は互いに平行であるが、各出射光は進行するにつれて発散する発散光である(後述)。本実施形態では1.55μmの波長を有する光線が用いられるが、波長の値はこれに限られない。
【0020】
第1レンズ30は、焦点距離df1が1.3mmのコリメートレンズであり、より詳細には、回転対称な曲面を有する非球面レンズである。第1レンズ30は、各コアC1乃至C4から出射されて発散する光線をコリメート(平行化)する。第1レンズ30の光軸は、MCF20の中心軸線上(即ち、軸線A1上)に位置している。第1レンズ30は、各コアC1乃至C4から出射される、主光線B1乃至B4が互いに平行である光線を偏向して出射する。別言すれば、第1レンズ30は、各コアC1乃至C4からの光線を焦点f1にて集光する。即ち、第1レンズ30は、マルチコア光ファイバに対応して設けられたレンズである。なお、第1レンズ30の曲面は、各コアC1乃至C4からの光線を偏向するように出射可能であれば、非回転対称であってもよい。また、第1レンズ30は、球面レンズ又はGRINレンズであってもよいし、片面が平坦なレンズであってもよい。
【0021】
第2レンズ群40は、MCF20のコア数(本例では、4つ)と同数の第2レンズ41乃至44を有する(図1参照)。第2レンズ41乃至44は、何れも焦点距離df2が2.5mmのコリメートレンズであり、より詳細には、回転対称な曲面を有する非球面レンズである。以下では、第2レンズ41乃至44を、単に「レンズ41乃至44」と称する。各レンズ41乃至44の光軸は、第1レンズ30の光軸と平行である。また、レンズ41乃至44の主点は同一平面上に位置しており、当該平面は軸線A1と直交している。図2では、レンズ41乃至44のうち、主光線B2及びB3が入射するレンズ42及び43のみを図示している。
【0022】
図4は、コアC3からの出射光の主光線B3が対応するレンズ43を透過する様子を示す図である。図1図2及び図4に示すように、第1レンズ30から出射されるMCF20のコアC3からの光線は、焦点f1を通過する。焦点f1を通過した光線の主光線B3は、直進してレンズ43の焦点f2(図4参照)を通過し、レンズ43の位置Ps3に所定の入射角度(本例では、約1.6°)で入射する。位置Ps3に入射した主光線B3は、レンズ43の光軸As3(図4参照)と平行な光線としてレンズ43から出射する。
【0023】
同様に、図1に示すように、焦点f1を通過した光線の主光線B1、B2及びB4は、直進してレンズ41、42及び44の焦点f2(図示省略)をそれぞれ通過し、レンズ41、42及び44の位置Ps1、Ps2及びPs4に所定の入射角度(本例では、約1.6°)で入射する。位置Ps1、Ps2及びPs4に入射した主光線B1、B2及びB4は、レンズ41、42及び44の光軸と平行な光線としてレンズ41、42及び44からそれぞれ出射する。
【0024】
図1及び図2に示すように、第2レンズ群40は、第1レンズ30から出射された各コアC1乃至C4からの光線を、対応するレンズ41乃至44によりそれぞれ収束する(図1及び図2では主光線のみ図示)。なお、各レンズ41乃至44の曲面は、対応する各コアC1乃至C4からの光線を偏向するように出射可能であれば、非回転対称であってもよい。また、各レンズ41乃至44は、球面レンズ又はGRINレンズであってもよいし、片面が平坦なレンズであってもよい。
【0025】
SCF群50は、レンズ41乃至44と同数(本例では、4つ)のSCF51乃至54を有する(図1参照)。SCF51乃至54は、何れもシングルモードの光線が伝播する光ファイバである。SCF51乃至54は、互いに同一の構成を有するため、以下ではSCF53の構成を説明する。SCF53は円柱状であり、少なくともその-z軸方向の端部における中心軸線は、対応するレンズ43の光軸As3(図4参照)と平行である。また、SCF53は、第1レンズ30の光軸から離間した位置に位置している。SCF53の端面53aは、xy平面と平行である。図5は、SCF53の中心軸線に沿って端面53aを見たときの図である。図5に示すように、SCF53は、その中心軸線に沿って延在している1つのコアCと、当該コアCを取り囲むクラッドCLsと、を備える。SCF51乃至54の各コアCは、軸線A1を中心とした正方形の頂点に位置している。本実施形態では、隣接するコア間のピッチp2は約3.1mmとなるようにデバイス10が設計されている。コアC及びクラッドCLsは、何れも石英を主成分とするガラスにより形成されている。コアCの屈折率は、クラッドCLsの屈折率よりも大きい。なお、コアC及びクラッドCLsの材質は石英を主成分とするガラスに限られず、他の材料により形成されてもよい。
【0026】
図1及び図2に示すように、SCF53の-z軸方向の端部は、円筒状のフェルール63に挿通されて保持されている。SCF53の端面53aは、フェルール63に挿通された状態でその端面63aとともに一括して研磨されている。これにより、SCF53の端面53aとフェルール63の端面63aは、同一平面(xy平面)上に位置している。図2では、フェルール63内のSCF53を破線で示している。
【0027】
SCF53の端面53aは、レンズ43から出射されたコアC3からの光線が、コアC上(より厳密には、コアCの中心上)で収束する位置に配置されている。即ち、SCF53は、主光線B3がコアCの中心に入射するように配置されている。こ
【0028】
同様に、SCF51、52及び54は、第1レンズ30の光軸から離間した位置に位置しており、それらの端面51a、52a及び54a(図1参照)は、レンズ41、42及び44から出射されたコアC1、C2及びC4からの光線が、コアC上(より厳密には、コアCの中心上)でそれぞれ収束する位置に配置されている。即ち、SCF51、52及び54は、主光線B1、B2及びB4がコアCの中心にそれぞれ入射するように配置されている。これにより、コアC1、C2及びC4からの出射光は、SCF51、52及び54のコアCに低損失で入射する。
【0029】
このように、第1レンズ30及び第2レンズ群40は、MCF20とSCF群50とを光学的に結合している。以下では、上述した光線の進行方向を「第1進行方向」とも称する。光線が第1進行方向に進行する場合、デバイス10は「ファンアウト(FO)デバイス」として機能する。ここで、光の進路は可逆的であるため、デバイス10では、光線は第1進行方向とは反対方向に伝播し得る。即ち、デバイス10は、光線が、SCF51乃至54の各コアCから出射され、レンズ41乃至44及び第1レンズ30を経由してMCF20のコアC1乃至C4上で収束するような進行方向に伝播するように構成することもできる。以下では、この進行方向(第1進行方向とは反対方向)を「第2進行方向」とも称する。光線が第2進行方向に進行する場合、デバイス10は「ファンイン(FI)デバイス」として機能する。
【0030】
続いて、デバイス10が備える各部材20、30、40及び50の位置関係と、光線の光結合損失との関係について説明する。本明細書では、光線の伝播はガウシアンビームモデルに従うものとする。ガウシアンビームとは、光線の進行方向(伝播方向)と直交する断面における光強度分布がガウス関数に従う光線である。なお、光結合損失は挿入損失と同義であり、以下では、単に「結合損失」と称する場合もある。
【0031】
図6は、MCF20のコアC2から出射され、第1レンズ30により偏向された光線(即ち、第1進行方向に進む光線)のみを抜粋して示す図である。B2は当該光線の主光線を表す。上述したように、コアC2から出射された光線は第1レンズ30によりコリメートされるが、厳密には、第1レンズ30から所定の距離だけ離間した位置である第1ビームウェスト位置において収束し、第1ビームウェスト位置からレンズ42に向かって発散している。光線の径(以下、「ビーム径」とも称する。)は第1ビームウェスト位置において最小となる。第1ビームウェスト位置におけるビーム径及びビーム半径は、それぞれ「第1ビームウェスト径2Ω1」及び「第1ビームウェスト半径Ω1」と称される。
【0032】
主光線B2の進行方向における、第1レンズ30から第1ビームウェスト位置までの距離(別言すれば、第1レンズ30から第1ビームウェスト位置までの主光線B2の長さ)は、「第1ビームウェスト距離D1」と称される。
第1レンズ30の光軸の延在方向を「光軸方向」と規定すると、第1ビームウェスト距離D1、及び、第1ビームウェスト径2Ω1は、MCF20の端面20aにおけるビーム径2ω1と、第1レンズ30の焦点距離df1(=1.3mm)と、光軸方向におけるMCF20の端面20aと第1レンズ30との間の距離d1と、に依存する。MCF20及び第1レンズ30を変更しない場合、第1ビームウェスト距離D1及び第1ビームウェスト径2Ω1は、実質的には距離d1に依存する(後述)。なお、ビーム径2ω1は、MCF20のモードフィールド径に等しく、本実施形態では8μmとされている。上記の説明は、コアC1、C3及びC4から出射される光線についても該当する。
【0033】
図7は、SCF52のコアCから出射され、レンズ42により偏向された光線(即ち、第2進行方向に進む光線)を示す図である。図7のSCF52は、デバイス10に用いられたSCF52と同一部材であるが、光線が第2進行方向に進むケースを説明するためにx軸方向、y軸方向及びz軸方向のそれぞれに沿って反転して図示されている。コアCから出射された光線はレンズ42によりコリメートされるが、厳密には、レンズ42から所定の距離だけ離間した位置である第2ビームウェスト位置において収束し、第2ビームウェスト位置から第1レンズ30に向かって発散している。光線のビーム径は第2ビームウェスト位置において最小となる。第2ビームウェスト位置におけるビーム径及びビーム半径は、それぞれ「第2ビームウェスト径2Ω2」及び「第2ビームウェスト半径Ω2」と称される。
【0034】
レンズ42から出射された光線の主光線の進行方向における、レンズ42から第2ビームウェスト位置までの距離(別言すれば、レンズ42から第2ビームウェスト位置までの当該主光線の長さ)は、「第2ビームウェスト距離D2」と称される。
第2ビームウェスト距離D2、及び、第2ビームウェスト径2Ω2は、SCF52の端面52aにおけるビーム径2ω2と、レンズ42の焦点距離df2(=2.5mm)と、光軸方向におけるSCF52の端面52aとレンズ42との間の距離d2と、に依存する。SCF52及びレンズ42を変更しない場合、第2ビームウェスト距離D2及び第2ビームウェスト径2Ω2は、実質的には距離d2に依存する。なお、ビーム径2ω2は、SCF52のモードフィールド径に等しく、本実施形態では10.4μmとされている。上記の説明は、SCF51、53及び54から出射される光線についても該当する。
【0035】
図8Aは、図7の構成における距離d2と第2ビームウェスト距離D2との関係を規定したグラフであり、図8Bは、図7の構成における距離d2と第2ビームウェスト半径Ω2との関係を規定したグラフである。図8Aによれば、第2ビームウェスト距離D2は、距離d2がレンズ42の焦点距離df2(=2.5mm)に等しいときは2.5mmとなり、距離d2が焦点距離df2より僅かに大きいときに最大となる。図8Bによれば、第2ビームウェスト半径Ω2は、距離d2が焦点距離df2に等しいときに最大となり、距離d2が増加するにつれて小さくなる。上記傾向は、図6の構成における距離d1と、第1ビームウェスト距離D1及び第1ビームウェスト半径Ω1との関係についても該当する。本実施形態では、距離d1がd1>df1を満たすようにMCF20が第1レンズ30に対して配置され、距離d2がd2>df2を満たすようにSCF群50が第2レンズ群40に対して配置される。
【0036】
なお、図7では、SCF52のコアCから出射された光線がレンズ42を経由して第2進行方向に進む例を示したが、上述したように、光の進路は可逆的である。このため、MCF20のコアC2から出射された光線が第1レンズ30及びレンズ42を経由してSCF52のコアCに向かって第1進行方向に進む場合の光線の進路は、図7に示す進路と一致する。従って、各パラメータ2Ω2(Ω2)、D2、2ω2及びd2は、光線が第1進行方向に進む場合においても使用することができる。
【0037】
図9は、デバイス10の結合損失がゼロである場合の各部材20、30、40及び50の位置関係を示す図である。図9では、MCF20のコアC2から出射される光線と、これに対応するレンズ42及びSCF52のみを抜粋して示している。図9に示すように、理論上の結合損失は、以下の2つの条件が成立する場合にゼロとなる。
(条件1)第1ビームウェスト径2Ω1と第2ビームウェスト径2Ω2が等しい(2Ω1=2Ω2)。
(条件2)第1レンズ30から出射される光線の主光線の進行方向における、第1レンズ30と、対応する各レンズ41乃至44と、の距離であるレンズ間距離Zが、第1ビームウェスト距離D1と第2ビームウェスト距離D2との和に等しい(Z=D1+D2)。
【0038】
別言すれば、SCF51乃至54の端面51a乃至54aにおける入射光線のビーム径2ω2がSCF51乃至54のモードフィールド径と一致する場合は結合損失がゼロとなり、ビーム径2ω2が当該モードフィールド径と一致しない場合は結合損失が発生する。例えば、図9の例においてレンズ42を+z軸方向にシフトすると、ビーム径2ω2がSCF51乃至54のモードフィールド径と一致しなくなるため、結合損失が発生する。以下では、条件1が成立している場合、第1ビームウェスト径2Ω1(又は半径Ω1)及び第2ビームウェスト径2Ω2(又は半径Ω2)を、「ビームウェスト径2Ω1=2Ω2」又は「ビームウェスト半径Ω1=Ω2」と称する。また、条件1が成立しているときの第1ビームウェスト距離D1と第2ビームウェスト距離D2との和を「ビームウェスト距離和D1+D2」とも称する。
【0039】
図10は、条件1が成立しているときのビームウェスト半径Ω1=Ω2と、ビームウェスト距離和D1+D2との関係を規定したグラフである。曲線L1によれば、D1+D2は、Ω1=Ω2が増加するにつれて増加していき、最大値を経由して減少に転じている。図10によれば、レンズ間距離Zを曲線L1上のビームウェスト距離和D1+D2に一致させることにより、結合損失をゼロにできることが分かる。
【0040】
ところで、デバイス10の製造工程では、距離d1及び距離d2等に誤差が生じる場合がある。距離d1に誤差が生じると第1ビームウェスト径2Ω1及び第1ビームウェスト距離D1が変化する。距離d2に誤差が生じると第2ビームウェスト径2Ω2及び第2ビームウェスト距離D2が変化する。この場合、条件1及び条件2が成立しなくなり、結合損失が増大してしまう可能性がある。このため、距離d1及び/又は距離d2に製造上の誤差(ばらつき)が生じても結合損失が増大し難いデバイス(別言すれば、第1及び第2ビームウェスト径2Ω1及び2Ω2が変化しても結合損失が変動し難いデバイス)の開発が望まれている。
【0041】
この点について検討するため、本願発明者らは、シミュレーションによりレンズ間距離Zを変更して結合損失の挙動を調べた。図11A乃至図11Cは、何れも、ビームウェスト半径Ω1=Ω2とビームウェスト距離和D1+D2との関係(曲線L1参照)、及び、ビームウェスト半径Ω1=Ω2と結合損失との関係(曲線L2、L3及びL4参照)を規定したグラフである。図11Aではレンズ間距離Zは60mmに設定されており、図11Bではレンズ間距離Zは70mmに設定されており、図11Cではレンズ間距離Zは80.89mmに設定されている。
【0042】
図11Aの例では、条件2を満たすビームウェスト距離和D1+D2は60mmであり、このときのビームウェスト半径Ω1=Ω2は76μmであった。図11Bの例では、条件2を満たすビームウェスト距離和D1+D2は70mmであり、このときのビームウェスト半径Ω1=Ω2は94μmであった。図11Cの例では、条件2を満たすビームウェスト距離和D1+D2は80.89mmであり、このときのビームウェスト半径Ω1=Ω2は133μmであった。図11A乃至図11Cによれば、レンズ間距離Zが増加するにつれて、ビームウェスト半径Ω1=Ω2が変化しても結合損失が変動し難くなることが分かる。従って、デバイス10を製造する際は、レンズ間距離Zがビームウェスト距離和の最大値に実質的に等しくなるようにZを制御することが望ましい。以下では、Z=D1+D2を満たすD1+D2の最大値を「距離和最大値D1+D2_max」とも称する。本実施形態では、距離和最大値D1+D2_maxは80.89mmである。
【0043】
レンズ間距離Zを距離和最大値D1+D2_maxに設定することにより、距離d1及び/又は距離d2に製造上の誤差が生じても結合損失が増大し難いデバイスを実現できる。ここで、現状のFIFOデバイス(厳密には、FIデバイス又はFOデバイス)の結合損失の最小値は0.15dBである。このため、本願発明者らは、結合損失を0.15dB以下に抑制し得るビームウェスト距離和D1+D2の範囲についてシミュレーションに基づいて検討した。なお、ここでいう結合損失とは、各コアC1乃至C4(即ち、対応する各SCF51乃至54のコアC)についての結合損失(挿入損失)を意味している。このため、各コアC1乃至C4についての結合損失の最大値を0.15dB以下に抑制するべく検討を行った。
【0044】
図12Aは、レンズ41乃至44を、焦点距離df2=1.8mmのレンズに変更した場合の図11C(df2=2.5mm)に対応するグラフである。曲線L5はΩ1=Ω2とD1+D2との関係を示しており、曲線L6はレンズ間距離Zが距離和最大値D1+D2_maxの場合におけるΩ1=Ω2と結合損失との関係を示している。図12Bは、レンズ41乃至44を、焦点距離df2=3.5mmのレンズに変更した場合の図11Cに対応するグラフである。曲線L7はΩ1=Ω2とD1+D2との関係を示しており、曲線L8はレンズ間距離Zが距離和最大値D1+D2_maxの場合におけるΩ1=Ω2と結合損失との関係を示している。図12A図11C及び図12Bによれば、距離和最大値D1+D2_maxは、焦点距離df2が増加するにつれて大きくなっている。一方、焦点距離df2が減少するにつれて、ビームウェスト半径Ω1=Ω2が変化しても結合損失が変動し難くなっている。
【0045】
図13は、規格化ビームウェスト半径Ω1=Ω2_normと規格化ビームウェスト距離和D1+D2_normとの関係、及び、規格化ビームウェスト半径Ω1=Ω2_normと結合損失との関係をそれぞれ規定したグラフである。曲線Ln5、Ln1及びLn7は、それぞれ、曲線L5(図12A参照)、曲線L1(図11C参照)及び曲線L7(図12B参照)を規格化した曲線に相当する。曲線Ln6、Ln4及びLn8は、それぞれ、曲線L6(図12A参照)、曲線L4(図11C参照)及び曲線L8(図12B参照)を規格化した曲線に相当する。点P6、P4及びP8は、それぞれ、結合損失=0.15dBを示す直線と曲線Ln6、Ln4及びLn8との交点である。なお、交点はもう1つずつ存在するが、これらの交点は検討に影響しないため考慮していない。
【0046】
規格化ビームウェスト半径Ω1=Ω2_normの値は、点P6において0.752であり、点P4において0.759であり、点P8において0.792であった。Ω1=Ω2_norm=0.752のときの曲線Ln5のD1+D2_normは0.906であり、Ω1=Ω2_norm=0.759のときの曲線Ln1のD1+D2_normは0.905であり、Ω1=Ω2_norm=0.792のときの曲線Ln7のD1+D2_normは0.913であった。これは、レンズ間距離Zが距離和最大値D1+D2_maxに設定されている場合において第2レンズ群40に焦点距離df2が3.5mm以下のレンズを用いるときは、D1+D2_normが0.913以上であれば結合損失を0.15dB以下に抑制できることを意味している。このシミュレーションに基づいて、本願発明者らは、レンズ間距離Zが距離和最大値D1+D2_maxに実質的に等しい場合は、ビームウェスト距離和D1+D2を距離和最大値D1+D2_maxの91.5%以上となるようにデバイス10の各部材20、30、40及び50を配置すれば、結合損失を0.15dB以下に抑制できるという知見を得た。
【0047】
デバイス10は、このようにして得られた知見に基づき設計されている。この構成によれば、Z≒D1+D2_maxが成立している場合において距離d1及び/又は距離d2に製造上の誤差が生じても、ビームウェスト距離和D1+D2が距離和最大値D1+D2_maxの91.5%以上であれば、結合損失を0.15dB以下に抑制できる。
加えて、ビームウェスト径2Ω1=2Ω2が変化したときの結合損失の挙動は、Zが増加するにつれて緩やかになる(図11A乃至図11C参照)ため、ZをD1+D2_maxと実質的に等しくなるように設定することにより、ZがD1+D2_maxよりも大幅に短い構成(図11A及び図11B参照)と比較して、ビームウェスト径2Ω1=2Ω2の変化に対して結合損失がロバストなデバイス10を実現できる。
【0048】
特に、本実施形態では、焦点距離df2=2.5mmの場合、レンズ間距離Zが80.89mmとなりSCF51乃至54のピッチp2(図1参照)が約3.1mmとなった。ピッチp2は、デバイス10の外形を決定する主要なパラメータであり、ピッチp2を小さくすることによりデバイス10を小型化することが望まれている。その一方で、ピッチp2を小さくし過ぎるとフェルール61乃至64(又はレンズ41乃至44)が干渉する等の問題がある。このため、一般に、ピッチp2の目標最小値は3mm程度とされている。ピッチp2は、焦点距離df1、df2及びレンズ間距離Zに依存する。本実施形態によれば、df1=1.3mm、df2=2.5mm、Z=80.89mmのときのピッチp2が目標最小値と略等しい値となったため、製造上の誤差に起因して結合損失が変動し難いという効果に加えて、デバイス10を(径方向に)小型化できるという効果も奏することができる。
【0049】
なお、MCFのコアの数は4個に限られず、例えば、5個又は7個であってもよい。MCFのコアの数が5個の場合、コアは、正方形の頂点及び中心にそれぞれ配置され得る。MCFのコアの数が7個の場合、コアは、正六角形の頂点及び中心にそれぞれ配置され得る。これは、後述する変形例、第2実施形態及び第3実施形態についても同様である。
【0050】
(変形例)
次に、本発明の変形例に係るFIFOデバイスについて説明する。図14は、FIFOデバイスのうちMCF20p及び第1レンズ30のみを示す図である。このFIFOデバイスは、MCF20がMCF20pに置き換えられている点でデバイス10と相違している。図14に示すように、MCF20pは、端面20apがその中心軸線と直交する面(xy平面)に対して所定の傾斜方向に所定の研磨角度α(本例では、8°)だけ傾斜するように斜研磨されている。より具体的には、MCF20pの斜研磨方向は+y軸方向である。ここで、斜研磨方向とは、斜研磨により楕円形状を呈する端面20apの長軸の両端のうち、第1レンズ30からより離間している一端(遠位端)からより近接している他端(近位端)に向かう方向をMCF20pの中心軸線に沿って見たときの方向である。
【0051】
MCF20pの端面20apは、フェルール22pの端面22apとともに一括して斜研磨されている。MCF20pを斜研磨することにより、MCF20pの端面20apにおける反射光に起因した反射戻り光を低減している。なお、MCF20pのコア数及びコア配置は、MCF20と同様である。
【0052】
MCF20pを+y軸方向に斜研磨すると、その端面20apから出射される各コアC1乃至C4(図示省略)からの光線の主光線(本変形例では、主光線B2及びB3のみを図示)は、yz平面内において、軸線に対して所定の角度θだけ傾斜する。主光線の進行方向における各コアC1乃至C4と第1レンズ30との間の距離dt(別言すれば、各コアC1乃至C4と第1レンズ30との間の主光線B1乃至B4の長さ)をそれぞれd1(1)、d1(2)、d1(3)及びd1(4)と規定すると、これらの距離の間には、d1(1)=d1(2)<d1(3)=d1(4)の関係が成立している。即ち、距離dtには2通り(d1(1)=d1(2)又はd1(3)=d1(4))のバリエーションが生じている。なお、MCF20pは、第1レンズ30の光軸(図示省略)に対して所定の距離だけ-y軸方向にシフトされている。これにより、第1レンズ30から出射される各コアC1乃至C4からの光線の主光線B1乃至B4の光線角度が互いに等しくなるようにしている。
【0053】
MCF20pの端面20apの中心と第1レンズ30との間の光軸方向における距離を距離d1と規定する。この場合、主光線の進行方向に沿って端面20apの中心から第1レンズ30まで延びている仮想線B0の長さd1(0)は、d1(0)=d1/cosθと表される。また、主光線B2及びB3と、仮想線B0と、は同一平面上には位置していないものの、これらは何れもyz平面上に存在するため、MCF20pの側面視においてはこれらが同一平面上に位置していると見做すことができる。このため、距離d1(1)乃至d1(4)は、以下のように表すことができる。
d1(1)=d1(2)=d1(0)-Δda+Δdb
d1(3)=d1(4)=d1(0)+Δda-Δdb
ここで、Δdaは、MCF20pの側面視において、例えば、「コアC3」から「端面20apの中心から主光線B3に下ろした垂線の足」までの主光線の進行方向における距離であり、Δda=p1sin(α+θ)/(2cosα)と表すことができる。Δdbは、MCF20pの側面視において、例えば、「仮想線B0と第1レンズ30との交点」から「主光線B3と第1レンズ30との交点から仮想線B0に下ろした垂線の足」までの主光線の進行方向における距離であり、Δdb=(p1cos(α+θ)tanθ)/(2cosα)と表すことができる。
【0054】
図15は、図14の構成において距離d1と第1ビームウェスト半径Ω1との関係をコアC1乃至C4からの光線毎に規定したグラフである。曲線L9は、コアC1及びC2からの光線の挙動を示し、曲線L10は、コアC3及びC4からの光線の挙動を示す。図15に示すように、任意の距離d1に対応する第1ビームウェスト半径Ω1の値は、コアC1及びC2からの光線(曲線L9)と、コアC3及びC4からの光線(曲線L10)とで相違している。即ち、第1ビームウェスト半径Ω1には、距離dtに2通りのバリエーションが生じることに起因して、2通りのバリエーションが生じる(図示は省略しているが、第1ビームウェスト距離D1にも2通りのバリエーションが生じる。)。
本変形例では、長さd1(0)(=d1/cosθ)がd1(0)>df1(=1.3mm)を満たすようにMCF20pが第1レンズ30に対して配置され、距離d2がd2>df2を満たすようにSCF群50が第2レンズ群40に対して配置される(第2実施形態及び第3実施形態についても同様である。)。このため、図15のグラフにおいてd1≦1.3cosθmmの領域は考慮していない。図15によれば、コアC1及びC2からの光線のΩ1のほうが、コアC3及びC4からの光線のΩ1よりも大きい。これは、距離d1(1)=d1(2)のほうが距離d1(3)=d1(4)より短いためである。
【0055】
図16は、図15の曲線L9及びL10に基づいて、コアC1及びC2からの光線の第1ビームウェスト半径Ω1(以下、「Ω1(C1,C2)」とも称する。)と、コアC3及びC4からの光線の第1ビームウェスト半径Ω1(以下、「Ω1(C3,C4)」とも称する。)と、の関係を規定したグラフである。図16によれば、2通りのバリエーションを有する第1ビームウェスト半径Ω1のうち、一方の半径Ω1が決定されると、他方の半径Ω1が一義的に決定されることが分かる。
【0056】
本変形例では、SCF51乃至54は、対応するレンズ41乃至44に対して、第2ビームウェスト径2Ω2が、対応する第1ビームウェスト径2Ω1と一致するように配置されている(第2実施形態及び第3実施形態についても同様である。)。このため、条件1(第1実施形態参照)が成立している。例えば、Ω1(C1,C2)=146μm、且つ、Ω1(C3,C4)=133μmの場合、SCF51及び52に対応する第2ビームウェスト半径Ω2がΩ2=146μmとなるようにSCF51及び52とレンズ41及び42間の距離d2(図9参照)が調整され、SCF53及び54に対応する第2ビームウェスト半径Ω2がΩ2=133μmとなるようにSCF53及び54とレンズ43及び44間の距離d2が調整される。即ち、第2ビームウェスト半径Ω2にも、距離dtに2通りのバリエーションが生じることに起因して2通りのバリエーションが生じる。
【0057】
このように、ビームウェスト半径Ω1=Ω2に2通りのバリエーションが生じると、ビームウェスト距離和D1+D2にも2通りのバリエーションが生じ、その結果、結合損失にも2通りのバリエーションが生じる。低結合損失を実現するためには、結合損失を何れも0.15dB以下に抑制することが望まれる。本願発明者らは、レンズ間距離Zが距離和最大値D1+D2_maxに実質的に等しい場合は、2通りのビームウェスト距離和D1+D2が何れも距離和最大値D1+D2_maxの91.5%以上であれば、結合損失を何れも0.15dB以下に抑制できるという知見を得た。
【0058】
図17は、図11Cの結合損失のスケールを変更したグラフ(即ち、Z=D1+D2_max=80.89mm)に、点P11、P12、P11L及びP12Lをプロットしたものである。点P11は、Ω1(C1,C2)=146μmのときのビームウェスト距離和D1+D2を示し、その値は、距離和最大値D1+D2_maxの91.5%以上となっている。点P11Lは、Ω1(C1,C2)=146μmのときの結合損失を示し、その値は、2.7×10-3dB(≦0.15dB)である。一方、点P12は、Ω1(C3,C4)=133μmのときのビームウェスト距離和D1+D2を示し、その値は、距離和最大値D1+D2_maxに等しい。点P12Lは、Ω1(C3,C4)=133μmのときの結合損失を示し、その値はゼロ(≦0.15dB)である。
【0059】
図17の例によれば、Z=D1+D2_maxの場合、2通りのビームウェスト距離和D1+D2が何れも距離和最大値D1+D2_maxの91.5%以上となるように距離d1及びd2を調整することにより、結合損失を何れも0.15dB以下に抑制できることが確認された。
以上より、変形例の構成によれば、MCF20pの斜研磨に起因してビームウェスト半径Ω1=Ω2に2通りのバリエーションが生じても、ZをD1+D2_maxに実質的に等しくなるように設定し、D1+D2をD1+D2_maxの91.5%以上となるように距離d1及び距離d2を調整することにより、結合損失を何れも0.15dB以下に抑制できる。なお、D1+D2がD1+D2_maxの91.5%以上である限り、Ω1(C1,C2)とΩ1(C3,C4)との組み合わせは上記の組み合わせに限られず、図16に基づいて他の組み合わせが採用され得る。ZをD1+D2_maxと実質的に等しくなるように設定することにより、ビームウェスト径2Ω1=2Ω2の変化に対して結合損失がロバストなデバイスを実現できる。
【0060】
なお、コア数の増加又はコア配置の変更に起因して距離dtにn通りのバリエーションが生じる場合についても上記知見を活用できる。即ち、レンズ間距離Zが距離和最大値D1+D2_maxに実質的に等しい場合は、n通りのビームウェスト距離和D1+D2が何れも距離和最大値D1+D2_maxの91.5%以上であれば、結合損失を何れも0.15dB以下に抑制することができる。
【0061】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係るFIFOデバイスについて説明する。本実施形態のFIFOデバイスは、変形例のFIFOデバイスと同一である。但し、2通りのビームウェスト半径Ω1=Ω2の組み合わせの選択方法が変形例と相違している。以下では、ビームウェスト距離和D1+D2が距離和最大値D1+D2_maxであるときのビームウェスト半径を「距離最大時ビームウェスト半径Ω_Dmax」と規定する。
【0062】
本実施形態では、Z=D1+D2_maxの場合において、Ω1(C1,C2)及びΩ1(C3,C4)がΩ1(C3,C4)<Ω_Dmax<Ω1(C1,C2)を満たすように距離d1及びd2が調整されていることを特徴としている。図18は、図17のグラフ(即ち、Z=D1+D2_max=80.89mm)に、点P11、P12、P11L及びP12Lの代わりに、点P21、P22、P21L及びP22Lをプロットしたグラフである。点P21は、Ω1(C1,C2)=139μm(図16参照)のときのビームウェスト距離和D1+D2を示す。点P21Lは、Ω1(C1,C2)=139μmのときの結合損失を示し、その値は、1.2×10-4dBである。一方、点P22は、Ω1(C3,C4)=126μm(図16参照)のときのビームウェスト距離和D1+D2を示す。点P22Lは、Ω1(C3,C4)=126μmのときの結合損失を示し、その値は、2.0×10-4dBである。
【0063】
図18の例によれば、Z=D1+D2_maxの場合、2通りの第1ビームウェスト半径Ω1であるΩ1(C1,C2)及びΩ1(C3,C4)がΩ1(C3,C4)<Ω_Dmax<Ω1(C1,C2)を満たすように距離d1及びd2を調整することにより、図17の例と比較して、結合損失を更に低減できることが確認された。
以上より、第2実施形態の構成によれば、MCF20pの斜研磨に起因してビームウェスト半径Ω1=Ω2に2通りのバリエーションが生じても、ZをD1+D2_maxに実質的に等しくなるように設定し、Ω1(C3,C4)<Ω_Dmax<Ω1(C1,C2)を満たすように距離d1及びd2を調整することにより、結合損失を更に低減できる。なお、本実施形態では、Ω1(C1,C2)=139μmのときのD1+D2、及び、Ω1(C3,C4)=126μmのときのD1+D2は、何れも距離和最大値D1+D2_maxの91.5%以上となっている。しかしながら、Ω1(C3,C4)<Ω_Dmax<Ω1(C1,C2)が成立している限り、Ω1(C1,C2)に対応するD1+D2、及び、Ω1(C3,C4)に対応するD1+D2は、必ずしも距離和最大値D1+D2_maxの91.5%以上である必要はない。また、上記関係式が成立している限り、Ω1(C1,C2)とΩ1(C3,C4)との組み合わせは上記の組み合わせに限られず、図16に基づいて他の組み合わせが採用され得る。ZをD1+D2_maxと実質的に等しくなるように設定することにより、ビームウェスト径2Ω1=2Ω2の変化に対して結合損失がロバストなデバイスを実現できる。
【0064】
なお、コア数の増加又はコア配置の変更に起因して距離dtにn通りのバリエーションが生じる場合についても上記知見を活用できる。即ち、n通りの第1ビームウェスト半径Ω1の最大値及び最小値を「ビームウェスト最大半径Ωmax」及び「ビームウェスト最小半径Ωmin」と規定すると、レンズ間距離Zが距離和最大値D1+D2_maxに実質的に等しい場合、Ωmin<Ω_Dmax<Ωmaxが成立するように距離d1及びd2を調整することにより、n通りの結合損失を何れも抑制することができる。これは、Z=D1+D2_maxの場合においてΩmin<Ω_Dmax<Ωmaxが成立するときは、Ωmin<Ω1<Ωmaxを満たす任意のΩ1における結合損失は、Ωminにおける結合損失及びΩmaxにおける結合損失よりも必ず小さい値となるからである。
【0065】
(第3実施形態)
次いで、本発明の第2実施形態に係るFIFOデバイスについて説明する。本実施形態では、MCF20pの代わりにMCFp(図示省略)が用いられる点、及び、バリエーションの数が2つである点で、第2実施形態と相違している。MCFpは、正方形の頂点に配置された4つのコアC11乃至C14を有しており、コアピッチp1は80μmとされている。即ち、MCFpのコアピッチp1は、MCF20pのコアピッチp1(=50μm)よりも大きくなっている。
【0066】
第1ビームウェスト半径Ω1が2通りのバリエーションを有する場合、それらの分離量は、コアピッチp1に依存する。このため、本実施形態における2通りのΩ1の分離量は、第2実施形態の2通りのΩ1の分離量よりも大きい。図19は、コアC11及びC12からの光線の第1ビームウェスト半径Ω1(Ω1(C11,C12))と、コアC13及びC14からの光線の第1ビームウェスト半径Ω1(Ω1(C13,C14))と、の関係を規定したグラフである。図19によれば、Ω1の分離量(ΔΩ1=143-122=21μm)は、図16のΩ1の分離量(ΔΩ1=146-133=13μm)と比べて大きくなっている。
【0067】
第2実施形態のFIFOデバイスは、レンズ間距離Zが距離和最大値D1+D2_maxに実質的に等しい場合において、ビームウェスト最大半径Ωmax及びビームウェスト最小半径Ωminが、Ωmin<Ω_Dmax<Ωmaxの関係(バリエーションが2通りの場合は、Ω1(C3,C4)<Ω_Dmax<Ω1(C1,C2)の関係)を満たすような値となるように距離d1及び距離d2が調整される。この構成は、ΩmaxとΩminの分離量が比較的に小さい場合には有用であるが、当該分離量が増大するにつれてΩmaxにおける結合損失及びΩminにおける結合損失がそれぞれ増大するため、結合損失を適切に抑制できない可能性がある。
【0068】
図20は、本実施形態のFIFOデバイス(即ち、p1=80μm)を用いてΩ1(C13,C14)<Ω_Dmax<Ω1(C11,C12)の関係が成立するように距離d1及び距離d2を調整した比較例としてのグラフであり、図18に対応している(即ち、Z=D1+D2_max)。点P31は、Ω1(C11,C12)=143μm(図19参照)のときのビームウェスト距離和D1+D2を示す。点P31Lは、Ω1(C11,C12)=143μmのときの結合損失を示し、その値は、9.3×10-4dBである。一方、点P32は、Ω1(C13,C14)=122μm(図19参照)のときのビームウェスト距離和D1+D2を示す。点P32Lは、Ω1(C13,C14)=122μmのときの結合損失を示し、その値は、1.3×10-3dBである。図20によれば、図18と比較してΩ1の分離量が増大したことにより結合損失が増大している。このため、コアピッチp1の増加に起因してΩ1の分離量が増大した場合においても、結合損失を適切に抑制できる技術の開発が望まれている。
【0069】
そこで、本願発明者らは、レンズ間距離Zを距離和最大値D1+D2_maxから意図的に減少させることにより、上記課題を解決できるという知見を得た。図21A乃至図21Cを参照して具体的に説明する。図21A乃至図21Cは、何れも、ビームウェスト半径Ω1=Ω2とビームウェスト距離和D1+D2との関係(曲線L1参照)、及び、ビームウェスト半径Ω1=Ω2と結合損失との関係(曲線L11、L12及びL13参照)を規定したグラフである。図21Aではレンズ間距離Zは80mmに設定されており、図21Bではレンズ間距離Zは79mmに設定されており、図21Cではレンズ間距離Zは78mmに設定されている。
【0070】
図21A乃至図21Cによれば、結合損失の挙動は、レンズ間距離Zに依存していることが分かる。より詳細には、Z<D1+D2_max(=80.89mm)である場合、曲線L11乃至L13は、何れも、結合損失がゼロとなる2つの極小点と、これら2つの極小点の間に位置する1つの極大点と、を有している。2つの極小点のビームウェスト半径Ω1=Ω2を大きいほうから順に「極小点第1ビームウェスト半径Ωmin1」及び「極小点第2ビームウェスト半径Ωmin2」と規定すると、Ωmin1とΩmin2との差分は、Zが減少するにつれて増加している。また、極大値は、Zが減少するにつれて増加している。
【0071】
上述したように、2通りのバリエーションを有する第1ビームウェスト半径Ω1の分離量ΔΩ1(=Ω1(C11,C12)-Ω1(C13,C14))は、コアピッチp1に依存するため、コアピッチp1が不変である場合、分離量ΔΩ1も略一定である。本実施形態では、レンズ間距離Zは、Ωmin1とΩmin2との差分が分離量ΔΩ1に実質的に等しくなるように設定されている。加えて、Ω1(C11,C12)及びΩ1(C13,C14)(別言すれば、バリエーションの数が2つであるときのビームウェスト最大半径Ωmax及びビームウェスト最小半径Ωmin)が、Ω1(C11,C12)≒Ωmin1、且つ、Ω1(C13,C14)≒Ωmin2を満たすように距離d1が調整されている。
【0072】
図21Aの例では、Zは、Ωmin1とΩmin2との差分が分離量ΔΩ1に等しくなるように設定されている。加えて、Ω1(C11,C12)≒Ωmin1、且つ、Ω1(C13,C14)≒Ωmin2を満たすように距離d1が調整されている。点P131Lは、Ω1(C11,C12)=143μmのときの結合損失を示し、その値は、6.6×10-5dBである。一方、点P132Lは、Ω1(C13,C14)=122μmのときの結合損失を示し、その値は、3.4×10-5dBである。
【0073】
図21Aの例によれば、上記の通りにZ及びd1を設定(調整)することにより、図20の例と比較して、結合損失を格段に低減できることが確認された。なお、本実施形態においても、ΔΩ1≒Ωmin1-Ωmin2、Ω1(C11,C12)≒Ωmin1、且つ、Ω1(C13,C14)≒Ωmin2の関係式が成立している限り、Ω1(C11,C12)に対応するD1+D2、及び、Ω1(C13,C14)に対応するD1+D2は、必ずしも距離和最大値D1+D2_maxの91.5%以上である必要はない。
【0074】
これに対し、図21Bの例(Z=79mm)では、Ω1(C11,C12)=143μmのときの結合損失は2.9×10-4dBであり(点P231L参照)、Ω1(C13,C14)=122μmのときの結合損失は8.2×10-4dBであった(点P232L参照)。また、図21Cの例(Z=78mm)では、Ω1(C11,C12)=143μmのときの結合損失は1.8×10-3dBであり(点P331L参照)、Ω1(C13,C14)=122μmのときの結合損失は4.0×10-3dBであった(点P332L参照)。このように、結合損失は、Zが減少し過ぎると増大していく。
【0075】
以上より、本実施形態によれば、コアピッチp1の増加に起因してΩ1の分離量が増大した場合においても、レンズ間距離Zを意図的に減少させるとともに距離d1を調整することにより、結合損失を適切に抑制できる。また、極小点付近の結合損失の挙動は、Zが増加するにつれて緩やかになる(図11A乃至図11C及び図21A乃至図21C参照)。このため、ビームウェスト径2Ω1=2Ω2の変化に対して結合損失がロバストなデバイスを実現できる。
【0076】
なお、本願発明者らは、MCF20pを備えるFIFOデバイス(即ち、p1=50μm)についても同様のシミュレーションを行った。Ω1(C1,C2)及びΩ1(C3,C4)には、Ω1(C1,C2)=141μm及びΩ1(C3,C4)=128μmの組み合わせを採用した。まず、比較例として、Z=D1+D2_max(=80.89mm)の場合の結合損失は、Ω1(C1,C2)=141μmのときに3.8×10-4dBとなり、Ω1(C3,C4)=128μmのときに5.0×10-5dBとなり、平均値は2.2×10-4dBとなった。これに対し、Z=80.45mmの場合の結合損失は、Ω1(C1,C2)=141μmのときに6.7×10-5dBとなり、Ω1(C3,C4)=128μmのときに4.6×10-5dBとなり、平均値は5.6×10-5dBとなった。Z=80.00mmの場合の結合損失は、Ω1(C1,C2)=141μmのときに1.2×10-5dBとなり、Ω1(C3,C4)=128μmのときに4.4×10-4dBとなり、平均値は2.2×10-4dBとなった。平均値で比較すると、Z=80.45mmのときに結合損失を最も低減できることが分かった。
【0077】
以上、実施形態及び変形例に係るFIFOデバイスについて説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
【0078】
例えば、シングルモードのシングルコア光ファイバ群の代わりに、マルチモードに対応したシングルコア光ファイバを複数備えるシングルコア光ファイバ群が用いられてもよい。0次モードの光線について上記条件1及び条件2が成立するようにFIFOデバイスが設計されていれば、マルチモードの光線が伝播する場合においても結合損失を低減することができる。
【0079】
また、MCFのコア配置は対称性を有していなくてもよい。コア配置が非対称であっても、第1レンズ30から出射される各コアからの光線に対応した位置に第2レンズ群40を配置することにより、第1レンズ30及び第2レンズ群40はFIFOデバイスとして適切に機能し得る。
【0080】
更に、SCF及びMCFは、円柱状に限られず、軸線と直交する断面が任意の形状(例えば、楕円又は多角形)を有する柱状であってもよい。
【0081】
更に、SCF51乃至54の端面51a乃至54aが斜研磨されていてもよい。この場合、光結合損失を低減するためには端面51a乃至54aに入射する光線の主光線をレンズ41乃至44の光軸に対して所定の角度だけ傾斜させる必要がある。このため、図4とは異なり、レンズ41乃至44に入射する光線の主光線は、焦点f2から所定の距離だけシフトした位置を通過するように設計される。
【0082】
更に、上記実施形態及び変形例のFIFOデバイスは、光線が第2進行方向に伝播するデバイスとしても機能し得る。
【符号の説明】
【0083】
10:FIFOデバイス、20:マルチコア光ファイバ、20a:端面、30:第1レンズ、40:第2レンズ群、41,42,43,44:第2レンズ、50:シングルコア光ファイバ群、51,52,53,54:シングルコア光ファイバ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C