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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129070
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/00 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
B65D17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033841
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 邦一
【テーマコード(参考)】
3E093
【Fターム(参考)】
3E093AA04
3E093BB01
3E093BB02
3E093BB05
3E093DD01
3E093DD05
(57)【要約】
【課題】使用者の安全性を向上しつつも、円滑な開封作業を実現する蓋付き容器を提供すること。
【解決手段】容器本体20の容器口部21に装着される蓋支持枠30と金属蓋40との間の熱溶着箇所を剥離させて開封する蓋付き容器10であって、金属蓋40の開封用タブ43には、金属蓋40を構成する板材をその厚み方向に曲げて成る横断曲げ部43iが、容器周方向における開封用タブ43の一方の側縁から他方の側縁に亘って延びるように形成されている蓋付き容器10。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体の容器口部に装着される蓋支持枠と、前記蓋支持枠に剥離可能に熱溶着される金属蓋とを備え、前記蓋支持枠と前記金属蓋との間の熱溶着箇所を剥離させて開封する蓋付き容器であって、
前記金属蓋は、前記蓋支持枠に剥離可能に熱溶着されるヒートシール部と、前記ヒートシール部の内周側に形成された密閉蓋部と、前記ヒートシール部の外周縁の一部領域に連続して形成された開封用タブとを有し、
前記開封用タブには、前記金属蓋を構成する板材をその厚み方向に曲げて成る横断曲げ部が、容器周方向における前記開封用タブの一方の側縁から他方の側縁に亘って延びるように形成されていることを特徴とする蓋付き容器。
【請求項2】
前記開封用タブは、容器開封時に使用者によって操作される部位であるタブ操作部と、前記ヒートシール部および前記タブ操作部を連結するタブ連結部とを有し、
前記横断曲げ部は、容器周方向における前記タブ連結部の一方の側縁から他方の側縁に亘って延びるように前記タブ連結部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記横断曲げ部は、容器周方向における内周側に向かうに従って下方に寄るように曲げられた部位であることを特徴とする請求項1または請求項2の蓋付き容器。
【請求項4】
前記蓋支持枠は、前記ヒートシール部が熱溶着される被ヒートシール部を有し、
前記被ヒートシール部は、平坦部と、容器周方向における前記平坦部の内周側に隣接して形成された湾曲部とを有し、
前記湾曲部は、容器周方向における内周側に向かうに従って下方に寄るように湾曲した部位であり、
前記横断曲げ部は、上下方向に見た場合に、前記被ヒートシール部の前記湾曲部に、少なくとも部分的に重なるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓋付き容器。
【請求項5】
前記開封用タブは、容器開封時に使用者によって操作される部位であるタブ操作部と、前記ヒートシール部および前記タブ操作部を連結するタブ連結部とを有し、
前記タブ連結部には、前記タブ操作部が前記密閉蓋部の上方側にくるように、前記開封用タブを外側に向けて折り曲げた部位であるタブ折曲部が形成され、
容器径方向における前記タブ折曲部と前記ヒートシール部との間には、前記蓋支持枠に上下方向に対向して配置されて前記蓋支持枠に熱溶着されていない部位である未シール部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の蓋付き容器。
【請求項6】
前記蓋支持枠は、前記ヒートシール部が熱溶着される被ヒートシール部を有し、
前記被ヒートシール部は、平坦部と、容器周方向における前記平坦部の内周側に隣接して形成された湾曲部とを有し、
前記湾曲部は、容器周方向における内周側に向かうに従って下方に寄るように湾曲した部位であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の蓋付き容器。
【請求項7】
前記開封用タブは、容器開封時に使用者によって操作される部位であるタブ操作部を有し、
前記タブ操作部には、その厚み方向に貫通した操作孔が形成され、
前記操作孔の内周縁には、前記操作孔の内周縁部を丸めた形状の内縁側カール部が形成され、
前記開封用タブは、前記開封用タブと前記密閉蓋部との間に介在して設けられた固着材によって、前記密閉蓋部に対して剥離可能に固着され、
前記固着材は、その少なくとも一部が、前記操作孔の径方向において前記内縁側カール部と前記開封用タブの外縁部との間の領域に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の蓋付き容器。
【請求項8】
前記タブ操作部の外縁には、前記タブ操作部の外縁部を丸めた形状の外縁側カール部が形成され、
前記固着材は、その少なくとも一部が、前記操作孔の径方向において前記内縁側カール部と前記外縁側カール部との間の領域に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に装着された蓋支持枠と金属蓋との間の熱溶着箇所を剥離させて開封する蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、缶切を使用することなく開封可能な容器として、イージーオープンエンド(EOE)缶が主流であるが、このイージーオープンエンド缶には、開封用タブを起こして容器上方に引き上げながら金属蓋をスコア加工した溝に沿って切り剥がすのに際してかなりの力を要し、また、容器開封後の金属蓋の外周端縁等で使用者の指が傷つけられる恐れがあるといった問題もある。
【0003】
そこで、近年、上述した問題を回避するために、ペットフード用缶やツナ缶等で、アルミ箔等の金属層にPP(ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂を積層して金属蓋を形成し、この金属蓋を、容器本体に装着された蓋支持枠に剥離可能に熱溶着し、容器開封時には、蓋支持枠と金属蓋との間の熱溶着箇所を剥離させて開封する蓋付き容器が採用されるケースが増えつつある(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
このように、金属蓋を剥離させて容器を開封する態様を採用することにより、イージーオープンエンド缶の場合と比較して、金属蓋を柔軟に形成することが可能であるため、容器開封後に、金属蓋の外周端縁等で、使用者の指が傷つけられてしまうといった事態を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6645640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に開示されるような蓋付き容器では、上述したように金属蓋を柔軟に形成することで使用者の安全性を向上させることができるものの、金属蓋に形成された開封用タブを引き上げて容器を開封しようとした時に、開封用タブに捻れ等の不測の変形が生じ易く、蓋支持枠と金属蓋との間の熱溶着箇所に対して適切に剥離の力を加えることができず、その結果、密閉蓋部が破れる等、開封作業を円滑に行うことができない場合があるといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、使用者の安全性を向上しつつも、円滑な開封作業を実現する蓋付き容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、容器本体と、前記容器本体の容器口部に装着される蓋支持枠と、前記蓋支持枠に剥離可能に熱溶着される金属蓋とを備え、前記蓋支持枠と前記金属蓋との間の熱溶着箇所を剥離させて開封する蓋付き容器であって、前記金属蓋は、前記蓋支持枠に剥離可能に熱溶着されるヒートシール部と、前記ヒートシール部の内周側に形成された密閉蓋部と、前記ヒートシール部の外周縁の一部領域に連続して形成された開封用タブとを有し、前記開封用タブには、前記金属蓋を構成する板材をその厚み方向に曲げて成る横断曲げ部が、容器周方向における前記開封用タブの一方の側縁から他方の側縁に亘って延びるように形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本請求項1に係る発明によれば、容器本体の容器口部に装着された蓋支持枠と金属蓋との間の熱溶着箇所を剥離させて開封する容器態様を採用することにより、容器開封時における使用者の安全性の向上を図りつつも、開封用タブに、金属蓋を構成する板材をその厚み方向に曲げて成る横断曲げ部を、容器周方向における開封用タブの一方の側縁から他方の側縁に亘って延びるように形成することにより、容器開封時に、使用者が開封用タブを引き上げる際に、開封用タブに捻れ等の不測の変形が生じることを抑制できるため、ヒートシール部に対して適切に剥離の力を加え、円滑な開封作業を実現することができる。
【0010】
本請求項2に係る発明によれば、金属蓋を構成する板材をその厚み方向に曲げて成る横断曲げ部を、容器周方向におけるタブ連結部の一方の側縁から他方の側縁に亘って延びるように形成することにより、開封用タブの根本側であるタブ連結部において開封用タブに捻れ等の変形が生じることを抑制できる。
本請求項3に係る発明によれば、横断曲げ部は、容器周方向における内周側に向かうに従って下方に寄るように曲げられた部位であることにより、金属蓋の密閉蓋部に対して開封用タブが浮き上がった状態となることを抑制できるため、開封用タブに対して周辺物等が引っかかることを抑制し、当該周辺物等に引っかかることに起因して、容器の不測の開封や金属蓋の損傷等が生じることを抑制できる。
本請求項4に係る発明によれば、ヒートシール部が熱溶着される被ヒートシール部が、内周側に向かうに従って下方に寄るように湾曲した部位である湾曲部を有していることにより、容器内の内圧によってヒートシール部が剥がれることに抵抗するヒートシール部の耐圧性を向上させることができるばかりでなく、容器周方向における内周側に向かうに従って下方に寄るように曲げられた部位である横断曲げ部が、上下方向に見た場合に、被ヒートシール部の湾曲部に少なくとも部分的に重なるように形成されていることにより、容器製造時に、蓋支持枠の材料および金属蓋の材料を上下に重ねてこれらを曲げる加工を施すことで、被ヒートシール部の湾曲部と横断曲げ部とをまとめて形成することも可能であるため、加工負担を低減することもできる。
本請求項5に係る発明によれば、容器径方向におけるタブ折曲部とヒートシール部との間に、蓋支持枠に対向して配置されて蓋支持枠に熱溶着されていない部位である未シール部が形成されていることにより、タブ折曲部の内周側にヒートシール部が隣接して形成された場合、すなわち、上記未シール部が形成されていない場合に生じがちな、容器周方向におけるタブ折曲部の両端部付近を起点とした金属蓋の破断の発生を抑制することができる。
本請求項6に係る発明によれば、ヒートシール部が熱溶着される被ヒートシール部が、内周側に向かうに従って下方に寄るように湾曲した部位である湾曲部を有していることにより、容器内の内圧によってヒートシール部が剥がれることに抵抗するヒートシール部の耐圧性を向上させることができる。
本請求項7に係る発明によれば、操作孔の内周縁に内縁側カール部を形成することで、使用者の手等の安全性を向上させることができるばかりでなく、固着材が操作孔の内周側にはみ出てしまうことを抑制できるため、蓋付き容器の美観性を維持できるとともに、操作孔の内周縁の内周側にはみ出た固着材によって、使用者による開封用タブの操作が阻害されることを抑制できる。
本請求項8に係る発明によれば、外縁側カール部の形成によって、使用者の手等の安全性を向上させることができるばかりでなく、固着材がタブ操作部の外縁の外周側にはみ出てしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る蓋付き容器を示す写真。
図2】蓋付き容器を上方から見て示す写真。
図3】蓋付き容器を示す断面図。
図4】開封用タブ付近を中心として示す説明図。
図5】ヒートシール部付近を中心として示す説明図。
図6】開封用タブの構造を示す説明図。
図7】開封用タブの構造を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態である蓋付き容器10について、図面に基づいて説明する。
【0013】
蓋付き容器10は、図1に示すように、容器本体20と、容器本体20の容器口部21に装着される蓋支持枠30と、蓋支持枠30に剥離可能に熱溶着される金属蓋40とを備え、蓋支持枠30と金属蓋40との間の熱溶着箇所(具体的には、蓋支持枠30の後述する被ヒートシール部32と金属蓋40の後述するヒートシール部41との間の熱溶着箇所)を剥離させて開封するものとして構成されている。
【0014】
以下に、蓋付き容器10の各部構成について、具体的に説明する。
【0015】
まず、容器本体20は、アルミやスチール等の金属や合成樹脂等から構成され、図1図3に示すように、上方に開口したカップ状に形成されたものであり、その開口部側に筒状(本実施形態では円筒状)に形成された容器口部21を有している。
【0016】
蓋支持枠30は、図3に示すように、アルミ等から成る金属層30aと金属層30aの上面側(金属蓋40が熱溶着される側)に形成されたPP(ポリプロピレン)、または熱可塑性樹脂等を含有する塗料層30bとを有した板材から構成されている。
【0017】
蓋支持枠30は、図3に示すように、容器口部21に装着(固定)される外周側装着部31と、外周側装着部31の内周側に形成され、その上面に金属蓋40が熱溶着される被ヒートシール部32と、被ヒートシール部32の内周側に隣接して形成された内縁側カール部33とを有している。
なお、本実施形態では、これら各部31、32、33は、図4に示すように、環状(更に具体的には円環状またはほぼ円環状)に形成されている。
【0018】
外周側装着部31は、図3に示すように、容器口部21に巻き締めされることで、容器口部21に装着(固定)される部位として形成され、具体的には、蓋支持枠30を構成する板材の外周部分を外周側に向けて丸めた形状で形成されている。
【0019】
被ヒートシール部32は、図5に示すように、平坦部32aと、容器周方向における平坦部32aの内周側に隣接して形成された湾曲部32bとを有している。
平坦部32aは、金属蓋40が熱溶着される上面が、図5に示すように、容器本体20の上下方向に直交する水平面(言い替えると、容器口部21の上端縁を含む水平面)に平行になるように平坦状に(言い替えると、断面視した場合に直線状に延びるように)形成されている。なお、平坦部32aの下面(および全体形状)についても、その上面と同様に平坦状に形成されている。
湾曲部32bは、金属蓋40が熱溶着される上面が、図5に示すように、内周側に向かうに従って下方に寄るように傾斜するように、内周側に凸状になるように湾曲している。なお、平坦部32aの下面(および全体形状)についても、その上面と同様に湾曲して形成されている。
なお、本実施形態では、被ヒートシール部32の上面の全域に亘って金属蓋40が熱溶着されるが、被ヒートシール部32の上面の一部領域のみに金属蓋40を熱溶着してもよい。
【0020】
内縁側カール部33は、図3に示すように、蓋支持枠30を構成する板材の内周側部分(であって下方側に向かう部分)を内周側に向けて丸めた形状で形成されている。
内縁側カール部33の上面は、図3に示すように、被ヒートシール部32(の平坦部32aおよび湾曲部32b)の上面よりも下側に位置しており、内縁側カール部33の上面には、金属蓋40が熱溶着されていない。
この内縁側カール部33は、蓋支持枠30の内周側の強度を向上させるとともに、開封後において使用者の手等の安全性を向上させる機能を発揮する。
【0021】
金属蓋40は、図3に示すように、アルミ等から成る金属箔状の金属層40aと、金属層40aの下面側(蓋支持枠30に熱溶着される側)に形成されたPP(ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂から成る樹脂層40bと、金属層40aの上面側に形成されたPET(ポリエチレンテレフタレート)等から成る樹脂層40cとを積層した板材から構成されている。
【0022】
金属蓋40は、図3に示すように、蓋支持枠30の被ヒートシール部32に剥離可能に熱溶着される環状のヒートシール部41と、ヒートシール部41の内周側に形成され容器本体20内を密閉するための平板状(更に具体的には円板状)の密閉蓋部42と、ヒートシール部41の外周縁の一部領域から容器径方向外側に向けて突出して形成された開封用タブ43とを有している。
【0023】
ヒートシール部41は、図5に示すように、蓋支持枠30の被ヒートシール部32の平坦部32aに熱溶着される環状の平坦部41aと、容器周方向における平坦部41aの内周側に隣接して形成され、被ヒートシール部32の湾曲部32bに熱溶着される環状の湾曲部41bとを有している。
【0024】
平坦部41aは、蓋支持枠30が熱溶着される下面が、図5に示すように、容器本体20の上下方向に直交する水平面に平行になるように平坦状に形成されている。なお、平坦部41aの上面(および全体形状)についても、その下面と同様に平坦状に形成されている。
平坦部41aは、上下方向に見た場合に、容器周方向における内周縁が円形状に形成されている。また、平坦部41aは、容器周方向における外周縁が、後述する未シール部43gを形成した部分を除いて円形状に形成され、後述する未シール部43gを形成した部分については直線状(具体的には、容器径方向に対して直交するように延びる直線状)に形成されている。なお、被ヒートシール部32の平坦部32aの内周縁および外周縁も、平坦部41aと同様に形成されている。
【0025】
湾曲部41bは、蓋支持枠30が熱溶着される下面が、図5に示すように、内周側に向かうに従って下方に寄るように傾斜するように、内周側に凸状になるように湾曲している。なお、湾曲部41bの上面(および全体形状)についても、その下面と同様に湾曲して形成されている。
湾曲部41bは、上下方向に見た場合に、容器周方向における内周縁および外周縁が円形状に形成されている。なお、被ヒートシール部32の湾曲部32bの内周縁および外周縁も、湾曲部41bと同様に形成されている。
【0026】
密閉蓋部42は、図3図5から分かるように、ヒートシール部41の湾曲部41bの内周縁の内周側に隣接して形成され、ヒートシール部41の平坦部41aよりも、上下方向に下がった位置に形成されている。
【0027】
開封用タブ43は、図4図6に示すように、容器開封時に使用者の指によって操作される(使用者の指によって持たれる)部位であるタブ操作部43aと、ヒートシール部41の外周縁の一部領域から容器径方向外側に向けて突出して形成され、ヒートシール部41(の平坦部41a)およびタブ操作部43aを連結するタブ連結部43eとを有している。
【0028】
タブ操作部43aは、図1図4図6に示すように、密閉蓋部42の上方に配置され、容器開封時に使用者の指によって引き上げられる部位であり、このタブ操作部43aを引き上げることにより、蓋支持枠30の被ヒートシール部32と金属蓋40のヒートシール部41との間の熱溶着箇所が剥離して、蓋付き容器10が開封される。
【0029】
タブ操作部43aには、図1図4図6に示すように、タブ操作部43aの厚み方向に貫通して形成され、使用者の指を入れるための操作孔43bが形成されている。
操作孔43bの内周縁の少なくとも一部領域(本実施形態では全域、図4において塗り潰しで表した領域)には、図7に示すように、操作孔43bの内周縁部を下方側に向けて丸めた形状の内縁側カール部43cが形成されている。
また、タブ操作部43aの外縁の少なくとも一部領域(図4において塗り潰しで表した領域)には、図7に示すように、タブ操作部43aの外縁部を上方側に向けて丸めた形状の外縁側カール部43dが形成されている。
これら内縁側カール部43cおよび外縁側カール部43dは、タブ操作部43aの強度を向上させるとともに、開封前後において使用者の手等の安全性を向上させる機能を発揮する。
【0030】
開封用タブ43は、蓋付き容器10の未開封状態における開封用タブ43の浮き上がりを阻止する目的で、図4図7に示すように、開封用タブ43(本実施形態ではタブ操作部43a)と密閉蓋部42との間に介在して設けられた固着材44によって密閉蓋部42に対して剥離可能に固着されている。
固着材44は、ホットメルト等の熱可塑性樹脂や接着材等から成り、開封用タブ43の一部と密閉蓋部42の一部とを剥離可能に固着する(くっつける)ものであり、容器開封時には、使用者がタブ操作部43aを引き上げた際に、固着材44による密閉蓋部42に対する開封用タブ43の固着が剥離(解除)される(具体的には、固着材44が密閉蓋部42または開封用タブ43から剥がれる)ようになっている。
固着材44は、図4図7に示すように、その少なくとも一部(本実施形態では全部)が、操作孔43bの径方向において内縁側カール部43c(の下側頂点部43c-1)と開封用タブ43(本実施形態ではタブ操作部43a)の外縁部との間の領域に配置され、更に具体的には、操作孔43bの径方向において内縁側カール部43c(の下側頂点部43c-1)と外縁側カール部43d(の下側頂点部43d-1)との間の領域に配置されている。
なお、図4に示す例では、固着材44が、タブ操作部43aの先端側(タブ操作部43aのうち、最も容器径方向の内周側に位置する部位)に設けられているが、固着材44の具体的な形成位置は、上記に限定されず、開封用タブ43の一部を密閉蓋部42に固着する位置であれば、如何なるものでもよく、例えば、タブ操作部43aのうち前記先端側以外の部位を密閉蓋部42に固着する位置や、タブ連結部43eの一部を密閉蓋部42に固着する位置に、固着材44を設けてもよい。
【0031】
タブ連結部43eは、図4図6に示すように、タブ操作部43aが密閉蓋部42の上方側にくるように、開封用タブ43を外側に向けて折り曲げた部位であるタブ折曲部43fと、容器径方向におけるヒートシール部41とタブ折曲部43fとの間に形成された未シール部43gと、タブ折曲部43fとタブ操作部43aとの間の領域である連結片43hとを有している。
【0032】
タブ折曲部43fは、図4に示すように、上下方向に見た場合に、容器径方向の外周側の外縁43f-1が、容器径方向に対して直交するように直線状に延びている。
未シール部43gは、図4図5に示すように、ヒートシール部41(の平坦部41a)の外周側およびタブ折曲部43fの内周側に隣接して形成され、蓋支持枠30に上下方向に対向して配置されて蓋支持枠30に熱溶着されていない部位である。
未シール部43gは、図4に示すように、容器周方向においてタブ折曲部43fの外縁43f-1よりも外側に位置した両端部43g-1を有している。
また、未シール部43gは、図4に示すように、上下方向に見た場合に、容器周方向における内周縁および外周縁が、直線状(具体的には、容器径方向に対して直交するように延びる直線状)に形成されている。
なお、図4においては、被ヒートシール部32およびヒートシール部41を塗り潰しで表し、未シール部43gを塗り潰し無しで表している。
このように、容器径方向におけるタブ折曲部43fとヒートシール部41との間に、蓋支持枠30に上下方向に対向して配置されて蓋支持枠30に熱溶着されていない部位である未シール部43gが形成されていることにより、タブ折曲部43fの内周側にヒートシール部41が隣接して形成された場合(未シール部43gが形成されていない場合)に生じがちな、容器周方向におけるタブ折曲部43fの両端部付近(図4のP箇所)を起点とした金属蓋40の破断の発生を抑制することができる。
【0033】
開封用タブ43(のタブ連結部43eの連結片43h)には、図4図6に示すように、
金属蓋40を構成する板材をその厚み方向に曲げて成る横断曲げ部43iが、容器周方向における開封用タブ43(のタブ連結部43eの連結片43h)の一方の側縁から他方の側縁に亘って横断して延びるように形成されている。
横断曲げ部43iは、図4に示すように、上下方向に見た場合に、容器径方向に対して直交するように、容器周方向に沿って湾曲して(円弧状に)形成されている。
横断曲げ部43iは、図6に示すように、上下方向に見た場合に、被ヒートシール部32の湾曲部32bおよびヒートシール部41の湾曲部41bの一部区間に、少なくとも部分的に重なる(本実施形態では、全体的またはほぼ全体的に重なる)ように形成されている。
横断曲げ部43iは、図6に示すように、金属蓋40の内周側に向かうに従って下方に寄るように傾斜するように、内周側に凸状になるように湾曲した部位として形成されている。このように、横断曲げ部43iが湾曲して形成されていることにより、開封用タブ43のうち、横断曲げ部43iよりも容器径方向の内周側に位置する部位については、図6に示すように、後述する外周側部分43h-1よりも、密閉蓋部42側に寄った位置(上下方向に下がった位置)に位置することになる。
【0034】
連結片43hのうち、容器径方向における横断曲げ部43iの外周側部分43h-1および内周側部分43h-2は、図6に示すように、平坦状に形成され、具体的には、容器本体20の上下方向に直交する水平面に平行になるように平坦状に形成されている。
【0035】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記または下記の実施形態や変形例の各構成を任意に組み合わせて蓋付き容器10を構成する等、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0036】
例えば、容器本体20の材料は、アルミやスチール等から成る金属層に、PET(ポリエチレンテレフタラート)等の樹脂ラミネート層を形成したもの等、如何なるものでもよい。
また、上述した実施形態では、蓋支持枠30が、金属層30aおよび塗料層30bとを積層した板材から構成されているものとして説明したが、蓋支持枠30の具体的態様は、上記構成に限定されず、容器口部21に装着可能であるとともに被ヒートシール部に金属蓋40を熱溶着可能なものであれば、如何なるものでもよく、例えば、金属材料のみや樹脂材料のみから蓋支持枠30を形成してもよい。
また、上述した実施形態では、金属蓋40が、金属層40aと樹脂層40b、40cとを積層した板材から構成されているものとして説明したが、金属蓋40の具体的態様は、上記構成に限定されず、金属層40aと蓋支持枠30に熱溶着可能な熱可塑性樹脂から成る樹脂層40bとを有するものであれば、如何なるものでもよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、蓋支持枠30の外周側装着部31が、巻き締めによって容器口部21に装着されるものとして説明したが、巻き締め以外の手法によって容器口部21に装着される部位として外周側装着部31を形成してもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、容器本体20、蓋支持枠30、および、金属蓋40が、上下方向に見た場合に、円形状(またはほぼ円形状)の外周縁を有した形状で形成されているものとして説明したが、部材20、30、40の形状は、例えば上下方向に見た場合に矩形状(またはほぼ矩形状)の外周縁を有したもの等、如何なるものでもよい。また、部材20、30、40の各部の形状についても、同様に、上述した実施形態で説明したものに限定されない。
【0039】
また、上述した実施形態では、タブ操作部43aの内縁側カール部43cが、操作孔43bの内周縁部を下方側に向けて丸めた形状であるものとして説明したが、反対に、操作孔43bの内周縁部を上方側に向けて丸めた形状で、内縁側カール部43cを形成してもよい。
また、同様に、上述した実施形態では、タブ操作部43aの外縁側カール部43dが、タブ操作部43aの外縁部を上方側に向けて丸めた形状であるものとして説明したが、反対に、タブ操作部43aの外縁部を下方側に向けて丸めた形状で、外縁側カール部43dを形成してもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、容器開封時に使用者によって持たれる操作される部位であるタブ操作部43aに、操作孔43bが形成されているものとして説明したが、タブ操作部43aの具体的態様は、操作孔43bが形成されたものに限定されず、使用者の指によって操作可能なもの(使用者の指によって持ったり引っ掛けたりして引き上げることが可能なもの)であれば、如何なるものでもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 ・・・ 蓋付き容器
20 ・・・ 容器本体
21 ・・・ 容器口部
30 ・・・ 蓋支持枠
30a ・・・ 金属層
30b ・・・ 塗料層
31 ・・・ 外周側装着部
32 ・・・ 被ヒートシール部
32a ・・・ 平坦部
32b ・・・ 湾曲部
33 ・・・ 内縁側カール部
40 ・・・ 金属蓋
40a ・・・ 金属層
40b ・・・ 樹脂層
40c ・・・ 樹脂層
41 ・・・ ヒートシール部
41a ・・・ 平坦部
41b ・・・ 湾曲部
42 ・・・ 密閉蓋部
43 ・・・ 開封用タブ
43a ・・・ タブ操作部
43b ・・・ 操作孔
43c ・・・ 内縁側カール部
43c-1 ・・・ 下側頂点部
43d ・・・ 外縁側カール部
43d-1 ・・・ 下側頂点部
43e ・・・ タブ連結部
43f ・・・ タブ折曲部
43g ・・・ 未シール部
43g-1 ・・・ 両端部
43h ・・・ 連結片
43h-1 ・・・ 外周側部分
43h-2 ・・・ 内周側部分
43i ・・・ 横断曲げ部
44 ・・・ 固着剤

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7