(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129097
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
B60K20/02 Z
B60K20/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033885
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰典
(72)【発明者】
【氏名】水野 弘規
(72)【発明者】
【氏名】山村 敬博
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA03
3D040AA10
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC01
3D040AC07
3D040AC17
3D040AC36
3D040AD15
(57)【要約】
【課題】回転体と検出体との接続構造の自由度を大きくする。
【解決手段】シフト装置10では、レバー16が回動されて、回転体12が回転されることで、リンク18が回転されて、検出軸20が回転される。さらに、磁気センサ24Aが検出軸20の回転位置を検出する。ここで、回転体12の回転軸方向と検出軸20の回転軸方向とが非平行にされており、リンク18が回転体12から検出軸20に回転を伝達する。このため、回転体12と検出軸20とをリンク18を介して接続でき、回転体12と検出軸20との接続構造の自由度を大きくできる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、
前記シフト体が移動されて回転される回転体と、
回転軸方向が前記回転体の回転軸方向と非平行にされ、回転位置が検出される検出体と、
前記回転体から前記検出体に回転を伝達する伝達体と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記伝達体と前記回転体及び前記検出体の一方とがリンク機構を構成して接続されると共に、前記伝達体と前記回転体及び前記検出体の他方とがギア機構を構成して接続される請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記伝達体の前記回転体との接続位置と前記伝達体の前記検出体との接続位置とが前記伝達体の回転軸方向において相違される請求項1又は請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
前記伝達体が前記回転体の回転に対し前記検出体の回転を増幅させる請求項1~請求項3の何れか1項記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト体が移動されてシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のリモートシフトスイッチング装置では、ロータリノブが回転されて、ロータリブロック(ロータリトランスファドライビングパートを含む)が回転されると共に、ロータリブロックが回転されて、ロータリトランスファシャフト(ロータリトランスファドリブンパートを含む)が回転される。さらに、ロータリトランスファシャフトの回転位置が検出される。
【0003】
ここで、このリモートシフトスイッチング装置では、ロータリブロックの回転軸方向とロータリトランスファシャフトの回転軸方向とが非平行にされており、ロータリブロックのロータリトランスファドライビングパートとロータリトランスファシャフトのロータリトランスファドリブンパートとがギア機構を構成して接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0292064号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、回転体と検出体との接続構造の自由度を大きくできるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、移動されてシフト位置が変更されるシフト体と、前記シフト体が移動されて回転される回転体と、回転軸方向が前記回転体の回転軸方向と非平行にされ、回転位置が検出される検出体と、前記回転体から前記検出体に回転を伝達する伝達体と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記伝達体と前記回転体及び前記検出体の一方とがリンク機構を構成して接続されると共に、前記伝達体と前記回転体及び前記検出体の他方とがギア機構を構成して接続される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記伝達体の前記回転体との接続位置と前記伝達体の前記検出体との接続位置とが前記伝達体の回転軸方向において相違される。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記伝達体が前記回転体の回転に対し前記検出体の回転を増幅させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1態様のシフト装置では、シフト体が移動されて、シフト位置が変更される。また、シフト体が移動されて、回転体が回転されると共に、回転体から検出体に伝達体が回転を伝達する。さらに、検出体の回転位置が検出される。
【0011】
ここで、回転体の回転軸方向と検出体の回転軸方向とが非平行にされており、伝達体が回転体から検出体に回転を伝達する。このため、回転体と検出体とを伝達体を介して接続でき、回転体と検出体との接続構造の自由度を大きくできる。
【0012】
本発明の第2態様のシフト装置では、伝達体と回転体及び検出体の一方とがリンク機構を構成して接続されると共に、伝達体と回転体及び検出体の他方とがギア機構を構成して接続される。このため、伝達体が回転体と検出体とを接続できる。
【0013】
本発明の第3態様のシフト装置では、伝達体の回転体との接続位置と伝達体の検出体との接続位置とが伝達体の回転軸方向において相違される。このため、回転体と検出体との相対位置の自由度を大きくできる。
【0014】
本発明の第4態様のシフト装置では、伝達体が回転体の回転に対し検出体の回転を増幅させる。このため、シフト体の移動量に対する検出体の回転量を大きくでき、検出体の回転位置に基づきシフト体の移動位置を検出する精度を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置を示す図であり、(A)は、左斜め後方から見た斜視図であり、(B)は、上斜め右方から見た斜視図である。
【
図2】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置の主要部を示す図であり、(A)は、左斜め後方から見た斜視図であり、(B)は、左斜め前方から見た斜視図である。
【
図3】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置の回転体及びリンクを示す下斜め前方から見た斜視図であり、(B)は、回転体の固定枠を示す下斜め前方から見た斜視図であり、(C)は、回転体のピースを示す下斜め後方から見た斜視図であり、(D)は、リンクを示す上斜め後方から見た斜視図である。
【
図4】(A)~(D)は、本発明の実施形態に係るシフト装置においてレバーが「H」位置に配置される際を示す図であり、(A)は、後方から見た後面図であり、(B)は、左斜め後方から見た斜視図であり、(C)は、上方から見た上面図であり、(D)は、下方から見た下面図である。
【
図5】(A)~(D)は、本発明の実施形態に係るシフト装置においてレバーが「R」位置に配置される際を示す図であり、(A)は、後方から見た後面図であり、(B)は、左斜め後方から見た斜視図であり、(C)は、上方から見た上面図であり、(D)は、下方から見た下面図である。
【
図6】(A)~(D)は、本発明の実施形態に係るシフト装置においてレバーが「D」位置に配置される際を示す図であり、(A)は、後方から見た後面図であり、(B)は、左斜め後方から見た斜視図であり、(C)は、上方から見た上面図であり、(D)は、下方から見た下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1(A)には、本発明の実施形態に係るシフト装置10が左斜め後方から見た斜視図にて示されており、
図1(B)には、シフト装置10が上斜め右方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の右方を矢印RHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0017】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)のステアリングコラム(図示省略)に設置されており、シフト装置10の前方、右方及び上方は、それぞれ車両の前側、右方及び上側に向けられている。
【0018】
図1の(A)及び(B)に示す如く、シフト装置10には、回転体12(
図2の(A)及び(B)参照)が設けられており、回転体12の前部には、円柱状の回転軸12Aが設けられている。回転軸12Aの軸方向は、前後方向にされており、回転体12は、回転軸12Aを中心軸として回転可能に支持されている。回転軸12Aの前側には、U字形状の固定枠12B(
図3(B)参照)が一体に設けられており、固定枠12B内は、上下方向に開放されている。
【0019】
回転体12の固定枠12Bには、第1接続部としての断面略E字状のピース14(
図3の(A)及び(C)参照)が取付けられており、ピース14の上壁は、固定枠12Bの上側に配置されて、固定枠12Bに対する下側への移動が係止されている。ピース14の中央部は、ピース14の上壁から下方に延出されると共に、矩形柱状にされており、ピース14の中央部は、固定枠12B内に嵌入されて、固定枠12Bに対する前後方向及び左右方向への移動が係止されている。ピース14の左部及び右部は、ピース14の上壁から下方に延出されると共に、下端部に引掛部が設けられており、ピース14の左部及び右部の引掛部は、それぞれ固定枠12Bの左部及び右部に引掛けられて、固定枠12Bに対する上側への移動が係止されている。これにより、ピース14が、固定枠12Bに固定されて、回転体12と一体回転される。また、ピース14の中央部の下側には、球状の接続球14Aが一体に設けられている。
【0020】
回転体12の後部には、シフト体としての略棒状のレバー16の基端部(前端部)が連結されており、レバー16は、回転体12と一体に回転軸12Aを中心軸として回動(移動)可能にされている。レバー16の中間部は、右側へ向かうに従い後側へ向かう方向に延出されており、レバー16の先端側部分(前側部分)は、右側に延出されている。レバー16の先端部には、把持部としての略円柱状のノブ16Aが設けられており、ノブ16Aは、車室内に配置されている。レバー16は、ノブ16Aにおいて車両の乗員(特に運転手)が上側及び下側に回動操作可能にされており、レバー16が上側に回動されて、回転体12が矢印A方向(
図2の(A)及び(B)等参照)に回転されると共に、レバー16が下側に回動されて、回転体12が矢印B方向(
図2の(A)及び(B)等参照)に回転される。
【0021】
レバー16は、シフト位置としての「H」位置(ホーム位置)に配置されており(
図4(A)参照)、レバー16は、「H」位置から上側に回動されて、シフト位置としての「R」位置(リバース位置)に配置される(
図5(A)参照)と共に、「H」位置から下側に回動されて、シフト位置としての「D」位置(ドライブ位置)に配置される(
図6(A)参照)。レバー16は、「R」位置及び「D」位置から「H」位置側に付勢されており、レバー16が「H」位置以外の位置に操作された状態で、レバー16への操作力の作用が解除された際には、レバー16が付勢力により「H」位置に回動(復帰)される。
【0022】
回転体12の前側には、伝達体としてのリンク18(
図3の(A)及び(D)参照)が設けられており、リンク18には、伝達軸としての略円柱状のリンク軸18Aが設けられている。リンク軸18Aの軸方向は、上下方向にされており、リンク18は、リンク軸18Aを中心軸として回転可能に支持されている。
【0023】
リンク軸18Aの下端には、第1被接続部としての略矩形枠状のリンク枠18Bが一体に設けられており、リンク枠18Bは、後側に突出されると共に、内部が上下方向に開放されている。リンク枠18B内には、上側から、回転体12(ピース14)の接続球14Aが挿入されており、接続球14Aは、リンク枠18B内に左右方向において嵌合されると共に、リンク枠18B内に対し前後方向に相対移動可能にされている。回転体12が矢印A方向に回転される際には、接続球14Aの回転によってリンク枠18Bが右側に回転されて、リンク18が矢印C方向(
図2の(A)及び(B)等参照)に回転される。回転体12が矢印B方向に回転される際には、接続球14Aの回転によってリンク枠18Bが左側に回転されて、リンク18が矢印D方向(
図2の(A)及び(B)等参照)に回転される。リンク枠18Bの接続球14Aとの接触位置における回転半径は、接続球14Aのリンク枠18Bとの接触位置における回転半径に比し小さくされており、リンク18の回転(回転角度)は、回転体12の回転(回転角度)に対し増幅される。
【0024】
リンク軸18Aの上下方向中間部には、第2接続部としての略扇形板状のリンクギア18C(平歯車)が一体に設けられており、リンクギア18Cは、前側に突出されると共に、上下方向に垂直に配置されている。
【0025】
リンク18の前側には、検出体としての略円柱状の検出軸20(
図2の(A)及び(B)参照)が設けられており、検出軸20は、軸方向が上下方向にされて、回転可能に支持されている。検出軸20の上端部には、第2被接続部としての検出ギア20A(平歯車)が同軸上に設けられており、検出ギア20Aには、リンク18のリンクギア18Cが噛合されている。リンク18が矢印C方向に回転される際には、リンクギア18Cの回転によって検出ギア20Aが回転されて、検出軸20が矢印E方向(
図2の(A)及び(B)等参照)に回転される。リンク18が矢印D方向に回転される際には、リンクギア18Cの回転によって検出ギア20Aが回転されて、検出軸20が矢印F方向(
図2の(A)及び(B)等参照)に回転される。検出ギア20Aのリンクギア18Cとの噛合位置における回転半径は、リンクギア18Cの検出ギア20Aとの噛合位置における回転半径に比し小さくされており、検出軸20の回転(回転角度)は、リンク18の回転(回転角度)に対し増幅される。
【0026】
検出軸20の下端部には、被検出部としての円板状のマグネット22(
図4(D)参照)が同軸上に設けられており、マグネット22は、検出軸20内に挿入された状態で固定されている。
【0027】
検出軸20の下側には、検出装置としての検出基板24(
図2の(A)及び(B)参照)が設けられており、検出基板24は、上下方向に垂直に配置されている。検出基板24の上面には、検出部としての略矩形板状の磁気センサ24Aが固定されており、磁気センサ24Aは、検出軸20のマグネット22の直下に配置されると共に、上面がマグネット22と平行に配置されている。磁気センサ24Aには、検出面(図示省略)が設けられており、磁気センサ24Aは、マグネット22が発生する磁場の方向を検出面において検出することで、マグネット22の回転位置を検出して、検出軸20の回転位置を検出する。検出面は、磁気センサ24Aの上面と平行に配置されて、マグネット22と平行に配置されており、これにより、磁気センサ24Aによるマグネット22の回転位置の検出精度が高くされて、検出軸20の回転位置の検出精度が高くされている。
【0028】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0029】
以上の構成のシフト装置10では、レバー16が回動されて、レバー16のシフト位置が変更される。また、レバー16が回動されて、回転体12が回転されることで、リンク18が回転されて、検出軸20が回転される(
図4の(A)~(D)、
図5の(A)~(D)及び
図6の(A)~(D)参照)。さらに、検出基板24の磁気センサ24Aが検出軸20(マグネット22)の回転位置を検出することで、リンク18の回転位置、回転体12の回転位置及びレバー16の回動位置が検出されて、レバー16のシフト位置が検出される。
【0030】
ここで、回転体12の回転軸方向と検出軸20の回転軸方向とが非平行にされており、リンク18が回転体12から検出軸20に回転を伝達する。このため、回転体12と検出軸20とをリンク18を介して接続でき、回転体12と検出軸20とを直接接続する必要をなくすことができて、回転体12と検出軸20との接続構造の自由度を大きくできる。
【0031】
また、回転体12(ピース14)とリンク18(リンク枠18B)とがリンク機構を構成して接続されると共に、リンク18(リンクギア18C)と検出軸20(検出ギア20A)とがギア機構を構成して接続されている。このため、リンク18が回転体12から検出軸20に回転を伝達できる。しかも、回転体12と検出軸20とがウォームホイールとウォームとを構成して直接接続される場合とは異なり、回転体12と検出軸20との接続構造を小型化できる。
【0032】
さらに、リンク18の回転体12との接続位置(リンク枠18Bの位置)とリンク18の検出軸20との接続位置(リンクギア18Cの位置)とが、リンク18の回転軸方向において相違されている。このため、回転体12におけるピース14の接続球14Aと検出軸20の検出ギア20Aとの相対位置の自由度を大きくでき、回転体12と検出軸20との相対位置の自由度を大きくできる。
【0033】
また、回転体12の回転に対しリンク18の回転が増幅されると共に、リンク18の回転に対し検出軸20の回転が増幅される。このため、レバー16の回動量に対する検出軸20の回転量を大きくでき、磁気センサ24Aによる検出軸20(マグネット22)の回転位置の検出に基づくレバー16の回動位置の検出精度を高くできて、レバー16のシフト位置の検出精度を高くできる。
【0034】
なお、本実施形態では、回転体12の回転に対しリンク18の回転が増幅されると共に、リンク18の回転に対し検出軸20の回転が増幅される。しかしながら、回転体12の回転に対するリンク18の回転及びリンク18の回転に対する検出軸20の回転の少なくとも一方が増幅されればよい。
【0035】
また、本実施形態では、回転体12とリンク18とがリンク機構を構成して接続される。しかしながら、回転体12とリンク18とがギア機構を構成して接続されてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態では、リンク18と検出軸20とがギア機構を構成して接続される。しかしながら、リンク18と検出軸20とがリンク機構を構成して接続されてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、レバー16が「H」位置側に付勢される。しかしながら、レバー16が各シフト位置側に付勢されてもよい。
【0038】
さらに、本実施形態では、レバー16(シフト体)が回動される。しかしながら、シフト体が中心軸線周りに回転又はスライド(移動)されてもよい。また、シフト体がスライドされる場合には、シフト体と回転体12とがラックとピニオンとを構成することで、シフト体がスライドされて、回転体12が回転されてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、シフト装置10がステアリングコラムに設置される。しかしながら、シフト装置10が車両の他の部分(インストルメントパネル又はコンソール等)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10・・・シフト装置、12・・・回転体、16・・・レバー(シフト体)、18・・・リンク(伝達体)、20・・・検出軸(検出体)