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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129151
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】車載器及びサーバ
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/72412 20210101AFI20230907BHJP
   H04M 1/72415 20210101ALI20230907BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230907BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H04M1/72412
H04M1/72415
H04M11/00 302
B60R11/02 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033967
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生塩 弘恵
【テーマコード(参考)】
3D020
5K127
5K201
【Fターム(参考)】
3D020BA06
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC01
3D020BD14
3D020BE03
5K127AA36
5K127BA03
5K127BB22
5K127BB33
5K127CA34
5K127CB41
5K127DA13
5K127GA14
5K127GD16
5K127JA14
5K127JA49
5K127KA04
5K201CA04
5K201CB10
5K201CB14
5K201CC04
5K201DC05
5K201EC06
5K201ED04
(57)【要約】
【課題】車室内における使用者の位置を簡易且つ確実に判定し、使用者の位置に応じた制御を提供すること。
【解決手段】車両に搭載された車載器であって、車室内に所在する携帯端末と通信する携帯端末通信部と、前記携帯端末に対して、前記車載器の操作に関するインタフェースを提供する制御部と、を備え、前記制御部は、前記車室内を撮影した車室内画像と前記携帯端末の使用者の顔画像とを比較して判定された前記使用者の着座位置に応じて、前記携帯端末に提供するインタフェースを異ならせる。また、車載器は、表示部をさらに備え、前記制御部は、前記着座位置が前席であれば前記表示部の表示内容を拡張する表示を前記携帯端末に行わせ、前記着座位置が前席以外であれば前記表示部の表示内容と同一の表示を前記携帯端末に行わせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載器であって、
車室内に所在する携帯端末と通信する携帯端末通信部と、
前記携帯端末に対して、前記車載器の操作に関するインタフェースを提供する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記車室内を撮影した車室内画像と前記携帯端末の使用者の顔画像とを比較して判定された前記使用者の着座位置に応じて、前記携帯端末に提供するインタフェースを異ならせることを特徴とする車載器。
【請求項2】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、
前記着座位置が前席であれば前記表示部の表示内容を拡張する表示を前記携帯端末に行わせ、
前記着座位置が前席以外であれば前記表示部の表示内容と同一の表示を前記携帯端末に行わせることを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記車室内画像をサーバに送信するサーバ通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記サーバが前記車室内画像と前記携帯端末の使用者の顔画像とを比較して判定した前記着座位置に応じて、前記携帯端末に提供するインタフェースを異ならせることを特徴とする請求項1に車載器。
【請求項4】
前記制御部は、前記携帯端末から受信した前記使用者の顔画像と前記車室内画像とを比較して前記着座位置を判定することを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項5】
ドライブレコーダーのカメラが撮像した画像を前記車室内画像として用いることを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項6】
前記制御部は、前記使用者の着座位置と、前記使用者に対応付けられた使用者情報とに応じて、前記携帯端末に提供するインタフェースを異ならせることを特徴とする請求項1に記載の車載器。
【請求項7】
車載器及び携帯端末と通信する通信部と、
前記携帯端末から受信した使用者の顔画像に、前記携帯端末の識別情報と前記車載器の識別情報とを対応付けて管理する顔画像管理部と、
前記車載器から車室内画像及び前記車載器の識別情報とを受信した場合に、受信した車載器の識別情報に対応付けて管理された顔画像と前記車室内画像とを用いて顔認識を行う顔認識処理部と、
前記顔認識処理部によって前記車室内画像に含まれる人物の顔と一致する顔画像が特定された場合に、前記車室内画像における位置から着座位置を判定し、前記顔画像に対応付けられた携帯端末の使用者の着座位置とする着座位置判定部とを備えたことを特徴とするサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、特開2019-22012(以下、特許文献1と呼ぶ。)がある。特許文献1では、「携帯情報端末2は超音波を送信する機能を有している。車両Vの車室内に3個以上の超音波センサが配置されており、これらの超音波センサを用いて超音波を受信する超音波受信装置が車両Vに設けられている。位置検出部12は、携帯情報端末2が送信した超音波を各超音波センサが受信した場合における、携帯情報端末2から各超音波センサまでの超音波の伝搬時間を示す情報、又は各超音波センサによる超音波の受信強度を示す情報などを超音波受信装置から取得する。位置検出部12は、伝搬時間又は受信強度などを距離に換算して、いわゆる「三点測位」により携帯情報端末2の位置を検出する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-22012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、三点測位を用いて携帯端末の位置を検出するため、超音波センサ等を車室内に複数配置する必要がある。携帯端末の位置検出のためだけにセンサ等を複数設置するのは、コストの増大を招き、携帯情報端末の位置を検出する機能を後付けすることも困難となる。例えば、携帯端末と車載器を連携させ、車載器に対する操作を携帯端末で受け付ける場合、車載器に直接操作が可能な前席(運転席や助手席等)と、その他の席とで携帯端末のインタフェースを異ならせることが望ましい。しかし、かかる利便性の向上のために多大なコストを要するため、このような技術の市場での普及は進んでいない。そこで、本発明では、車室内における使用者の位置を簡易且つ確実に判定し、使用者の位置に応じた制御を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車載器は、車両に搭載された車載器であって、車室内に所在する携帯端末と通信する携帯端末通信部と、前記携帯端末に対して、前記車載器の操作に関するインタフェースを提供する制御部と、を備える。前記制御部は、前記車室内を撮影した車室内画像と前記携帯端末の使用者の顔画像とを比較して判定された前記使用者の着座位置に応じて、前記携帯端末に提供するインタフェースを異ならせる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車室内における使用者の位置を簡易且つ確実に判定し、使用者の位置に応じた制御を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る車載器制御システムの説明図である。
図2】携帯端末の構成を示す構成図である。
図3】サーバの構成を示す構成図である。
図4】車載器の構成を示す構成図である。
図5】車室内画像の具体例を示す説明図である。
図6】着座位置に基づく制御の説明図である。
図7】携帯端末の処理手順を示すフローチャートである。
図8】サーバの処理手順を示すフローチャートである。
図9】車載器の処理手順を示すフローチャートである。
図10】変形例1の説明図である。
図11】変形例2の説明図である。
図12】変形例3の説明図である。
図13】着座位置と携帯端末の表示についての説明図である。
図14】インタフェース連携の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る車載器制御システムの説明図である。実施形態に係る車載器制御システムは、車両20に搭載された携帯端末30と、車載器40と、サーバ10とを含む。
【0010】
携帯端末30は、例えばスマートフォンであり、近距離無線通信によって車載器40と通信接続し、車載器40の識別情報である車載器IDを取得することができる。携帯端末30は、車室内で所定のアプリケーションを起動した際に、使用者の顔画像を撮像し、サーバ10に顔画像の登録を行う(1)。このとき、携帯端末30は、携帯端末30の識別情報である携帯端末IDと車載器IDを顔画像と共にサーバ10に送信し、サーバ10は、顔画像と携帯端末ID及び車載器IDを顔画像に対応づけて記憶する。
【0011】
車載器40は、車室内画像を取得して、車載器IDとともにサーバ10に送信する(2)。例えば、ドライブレコーダーの記録用に撮像した画像に車室内の像が含まれているならば、その画像を車室内画像として用いることができる。
【0012】
サーバ10は、車載器40から車室内画像及び車載器IDを受信したならば、受信した車載器IDに対応付けて登録された顔画像を抽出する(3)。サーバ10は、抽出した顔画像と車室内画像とを用いて顔認識を行う。車室内画像に含まれる人物の顔と一致する顔画像を特定したならば、サーバ10は、車室内画像における位置から着座位置を判定し、顔画像に対応付けられた携帯端末30の使用者の着座位置とする(4)。サーバ10は、この携帯端末30に着座位置を通知する(5)。
【0013】
携帯端末30は、サーバ10から着座位置の通知を受信し、自端末の使用者の着座位置として記憶する。その後、携帯端末30は、車載器40に対して制御要求を送信する際に、記憶した着座位置を指定することができる(6)。
【0014】
車載器40は、携帯端末30から着座位置を指定した制御要求を受信したならば、指定された着座位置に係る制御を実行する(7)。
【0015】
具体的には、携帯端末30は、使用者の着座位置を指定して音量制御の要求を車載器40に送信することができる。この場合には、車載器40は、指定された着座位置での音量が要求を満たすようにスピーカの制御を行うことになる。
【0016】
着座位置を指定した制御要求は、音量の制御の他、空調制御、座席角度などの制御、施解錠、室内照明の制御などに用いることができる。なお、携帯端末30から車載器40に制御要求を送る場合に、着座位置を指定することは必須ではなく、着座位置の指定が不要な制御要求を送ることを妨げるものではない。
【0017】
このように、図1に示した車載器制御システムでは、サーバ10は、携帯端末30の使用者の顔画像を携帯端末IDに対応付けて記憶し、車室内を撮影した車室内画像と顔画像とを用いた顔認識を実行して使用者の着座位置を判定する。そして、車載器40は、携帯端末30から所定の制御要求を受け付けた場合に、当該携帯端末30の使用者の着座位置に係る制御を実行する。このため、車室内における使用者の位置を簡易且つ確実に判定し、使用者の位置に応じた制御を提供することができる。
【0018】
図2は、携帯端末30の構成を示す構成図である。携帯端末30は、例えばスマートフォンであり、タッチパネルディスプレイ31、携帯端末カメラ32、車載器通信部33、サーバ通信部34、記憶部35及び制御部36を有する。
【0019】
タッチパネルディスプレイ31は、使用者からの入力の受付と表示出力とを行う入出力インタフェースである。携帯端末カメラ32は、本実施形態においては、使用者の顔画像の撮像に用いられる。車載器通信部33は、近距離無線通信によって車載器40と通信接続する通信インタフェースである。近距離無線としては、例えばBluetooth(登録商標)などを用いればよい。サーバ通信部34は、サーバ10と通信接続する通信インタフェースである。
【0020】
記憶部35は、フラッシュメモリなどの記憶デバイスである。記憶部35は、アプリケーションプログラム35a、携帯端末ID35b、車載器ID35c及び着座位置データ35dなどを記憶する。
【0021】
アプリケーションプログラム35aは、制御部36によって実行されることで、各種の機能を実現する。本実施形態では、アプリケーションプログラム35aは、車載器40に制御を要求するリモートコントローラとしての機能を実現し、また、その為に使用者の顔画像の撮像やサーバ10との通信を行うことができる。
【0022】
携帯端末ID35bは、携帯端末30を一意に特定するための識別情報である。車載器ID35cは、車載器40との近距離無線通信が確立したときに車載器40から取得し、記憶したものである。車載器40は、車両20に対して固定されているので、車載器IDは、携帯端末30がどの車両の中にあるかを示すことになる。
【0023】
着座位置データ35dは、サーバ10から受信した着座位置を示すデータである。この着座位置データ35dにより、携帯端末30の使用者が車両内のどの位置に着座しているかを特定することができる。具体的には、運転席、助手席、後部座席右側、後部座席左側などが着座位置として用いられる。
【0024】
なお、使用者が車両を降りて携帯端末30と車載器40との近距離無線通信が切断された場合には、記憶部35から車載器ID35c及び着座位置データ35dを削除することが望ましい。
【0025】
制御部36は、例えばCPU(Central Processing Unit)などであり、アプリケーションプログラム35aを読み出して実行することで、車載器40の遠隔操作機能を実現する。具体的には、アプリケーションプログラム35aの実行により、制御部36は、車載器接続部36a、顔画像送信部36b及びコマンド送信部36cとして動作する。
【0026】
車載器接続部36aは、アプリケーションプログラム35aの起動時に車載器40との通信を確立し、車載器40から車載器IDを取得して、車載器ID35cとして記憶部35に記憶する処理を行う。
【0027】
顔画像送信部36bは、アプリケーションプログラム35aの起動時に車載器IDを取得した後、使用者の顔画像を携帯端末カメラ32により撮像し、携帯端末ID35b及び車載器ID35cとともにサーバ10に送信することで、顔画像の登録を要求する。また、顔画像送信部36bは、サーバ10から着座位置を受信したならば、受信した着座位置を示す着座位置データ35dを記憶部35に格納する。
【0028】
コマンド送信部36cは、使用者からの操作を受け付けて、車載器40に対して送信する制御要求、すなわちコマンドを生成し、車載器40に送信する処理部である。このとき、コマンド送信部36cは、着座位置データ35dをコマンドと共に送信することができる。
【0029】
図3は、サーバ10の構成を示す構成図である。図3に示すように、サーバ10は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。通信部11は、携帯端末30や車載器40と通信接続する通信インタフェースである。
【0030】
記憶部12は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの記憶デバイスであり、顔画像管理データ12aを記憶する。顔画像管理データ12aには、携帯端末30から受信した顔画像、携帯端末ID及び車載器IDが対応付けて登録されている。
【0031】
制御部13は、例えばCPUなどであり、所定のプログラムを実行することで、顔画像管理部13a、顔認識処理部13b及び着座位置判定部13cとして動作する。顔画像管理部13aは、携帯端末30から顔画像、携帯端末ID及び車載器IDを受信した場合に、顔画像に携帯端末ID及び車載器IDを対応付けて顔画像管理データ12aに登録する。
【0032】
顔認識処理部13bは、車載器40から車室内画像及び車載器IDを受信した場合に、受信した車載器IDに対応付けて登録された顔画像を顔画像管理データ12aから抽出し、抽出した顔画像と車室内画像とを用いて顔認識を行う。
【0033】
着座位置判定部13cは、顔認識処理部13bによって車室内画像に含まれる人物の顔と一致する顔画像が特定された場合に、車室内画像における位置から着座位置を判定し、顔画像に対応付けられた携帯端末30の使用者の着座位置とする。着座位置判定部13cは、この携帯端末30に着座位置を通知する。
【0034】
図4は、車載器40の構成を示す構成図である。車載器40は、タッチパネルディスプレイ41、車載器カメラ42、携帯端末通信部43、サーバ通信部44、記憶部45及び制御部46を有する。
【0035】
タッチパネルディスプレイ41は、使用者からの入力の受付と表示出力とを行う入出力インタフェースである。車載器カメラ42は、車室内画像を撮像可能なカメラである。このカメラは、ドライブレコーダーのカメラを用いることが好適である。すなわち、車載器40がドライブレコーダーとしての機能を有していてもよいし、ドライブレコーダーと車載器カメラ42を共用する構成であってもよい。携帯端末通信部43は、近距離無線通信によって携帯端末30と通信接続する通信インタフェースである。サーバ通信部44は、サーバ10と通信接続する通信インタフェースである。
【0036】
記憶部45は、フラッシュメモリなどの記憶デバイスである。記憶部45は、車載器ID45aなどを記憶する。車載器ID45aは、車載器40を一意に特定するための識別情報である。
【0037】
制御部46は、例えばCPUなどであり、所定のプログラムを読み出して実行することで、携帯端末接続部46a、車室内画像送信部46b及びコマンド処理部46cを有する。
【0038】
携帯端末接続部46aは、携帯端末30との通信を確立し、車載器ID45aを携帯端末30に送信する処理を行う。
【0039】
車室内画像送信部46bは、車載器カメラ42により撮像された車室内画像と車載器ID45aをサーバに送信する処理部である。車室内画像の送信は、例えば一定の間隔で定期的に行えばよい。
【0040】
コマンド処理部46cは、携帯端末30から受信したコマンドを実行する処理部である。具体的には、コマンド処理部46cは、音量制御、空調制御、座席角度の制御、施解錠、室内照明の制御に係るコマンドなどを実行することができる。コマンドの実行は、車両20に搭載されたスピーカ、空調器、座席角度調節機構、施錠機構、室内照明器などの動作を制御することで行う。このとき、コマンドと共に着座位置を受信したならば、コマンド処理部46cは、受信した着座位置においてコマンドの指定を満たすように、各種機器の動作を制御する。
【0041】
図5は、車室内画像の具体例を示す説明図である。図5では、車室内画像F1に複数の人物の顔の像が含まれている。車室内画像F1の部分画像F2は、運転席に着座した人物の顔の像を含み、部分画像F3は、助手席に着座した人物の顔の像を含む。同様に、部分画像F4は、後部座席右側に着座した人物の顔の像を含み、部分画像F5は、後部座席左側に着座した人物の顔の像を含む。
【0042】
車載器カメラ42は車両20に固定されているため、部分画像F2~F5の車室内画像F1における位置は着座位置と対応する。したがって、顔認識を用いて車室内画像F1に含まれる人物を特定すれば、その顔の像が車室内画像F1のどの位置にあるかによって、その人物の着座位置を判定することができる。
【0043】
図6は、着座位置に基づく制御の説明図である。図6では、携帯端末30の使用者の着座位置が車両20の後部座席右側である。この状態で、携帯端末30が音量の制御を求めるコマンドを着座位置とともに送信したならば、後部座席右側でコマンドに示された音量となるように車載のスピーカの制御が行われることになる。なお、図6では便宜上、携帯端末30の位置と使用者の着座位置が一致する場合を示したが、携帯端末30が送信するのは使用者の着座位置であるため、携帯端末30の位置と使用者の着座位置が異なったとしても、使用者の着座位置に対して制御を行うことができる。
【0044】
図7は、携帯端末30の処理手順を示すフローチャートである。まず、制御部36がアプリケーションプログラム35aを起動すると、車載器接続部36aが車載器40との通信を確立する(ステップS101)。通信を確立した車載器接続部36aは、車載器40から車載器IDを取得して、車載器ID35cとして記憶部35に記憶する(ステップS102)。
【0045】
車載器IDを取得して記憶した後、顔画像送信部36bは、使用者の顔画像を携帯端末カメラ32により撮像し(ステップS103)、顔画像を携帯端末ID35b及び車載器ID35cとともにサーバ10に送信することで、顔画像の登録を要求する(ステップS104)。顔画像送信部36bは、サーバ10から着座位置を受信したならば(ステップS105)、受信した着座位置を示す着座位置データ35dを記憶部35に格納する(ステップS106)。
【0046】
ステップS106の後、コマンド送信部36cは、コマンドの発生を監視する(ステップS107)。コマンドは、例えば使用者からの操作を受け付けて発生する。コマンドが発生していなければ(ステップS107;No)、コマンド送信部36cは、ステップS107を繰り返す。
【0047】
コマンドが発生したならば(ステップS107;Yes)、コマンド送信部36cは、着座位置に依存するコマンドであるか否かを判定する(ステップS108)。着座位置に依存するコマンドでなければ(ステップS108;No)、コマンド送信部36cは、発生したコマンドを車載器40に送信し(ステップS111)、ステップS107に戻る。
【0048】
着座位置に依存するコマンドであれば(ステップS108;Yes)、コマンド送信部36cは、記憶部35から着座位置データ35dを読み出し(ステップS109)、着座位置データとともにコマンドを車載器40に送信し(ステップS110)、ステップ107に戻る。
【0049】
図8は、サーバ10の処理手順を示すフローチャートである。サーバ10の顔画像管理部13aは、携帯端末30から顔画像を受信したか否かを判定する(ステップS201)。携帯端末30から顔画像を受信したならば(ステップS201;Yes)、顔画像管理部13aは、顔画像とともに受信した携帯端末ID及び車載器IDを対応付けて顔画像管理データ12aに登録する(ステップS202)。
【0050】
ステップS202の後、もしくは顔画像を受信していない場合(ステップS201;No)、顔認識処理部13bは、車載器40から車室内画像を受信したか否かを判定する(ステップS203)。車室内画像を受信していなければ(ステップS203;No)、ステップS201に戻る。
【0051】
車室内画像を受信した場合(ステップS203;Yes)、顔認識処理部13bは、車室内画像とともに受信した車載器IDに対応付けて登録された顔画像を顔画像管理データ12aから抽出し(ステップS204)、抽出した顔画像と車室内画像とを用いて顔認識を行う(ステップS205)。
【0052】
ステップS205の後、着座位置判定部13cは、顔認識により特定された人物の像の車室内画像における位置から着座位置を判定する(ステップS206)。着座位置判定部13cは、顔認識で特定された人物の携帯端末30に着座位置を通知し(ステップS207)、ステップS201に戻る。
【0053】
図9は、車載器40の処理手順を示すフローチャートである。車載器40の携帯端末接続部46aは、まず、携帯端末30との通信を確立して、車載器ID45aを携帯端末30に送信する(ステップS301)。
【0054】
ステップS301の後、車室内画像送信部46bは、車載器カメラ42で車室内画像を撮像し(ステップS302)、車室内画像と車載器ID45aをサーバに送信する(ステップS303)。
【0055】
コマンド処理部46cは、携帯端末30からコマンドを受信したか否かを監視する(ステップS304)。コマンドを受信していなければ(ステップS304;No)、ステップS302に戻る。
【0056】
コマンドを受信したならば(ステップS304;Yes)、コマンド処理部46cは、コマンドと共に着座位置データを受信したか否かを判定する(ステップS305)。コマンドと共に着座位置データを受信したならば(ステップS305;Yes)、コマンド処理部46cは、着座位置に対してコマンドを実行し(ステップS306)、ステップS302に戻る。一方、着座位置データを受信していなければ(ステップS305;No)、コマンド処理部46cは、コマンドを実行し(ステップS307)、ステップS302に戻る。
【0057】
これまでの説明では、サーバが着座位置を判定し、携帯端末30が着座位置を記憶する構成を例示したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、各種変形して実施することができる。
【0058】
(変形例1)
図10は、変形例1の説明図である。変形例1の車載器制御システムでは、サーバ10が判定した着座位置を車載器40に送信し、車載器40が着座位置を記憶している。以下、変形例1の車載器制御システムの動作を説明する。
【0059】
まず、(1)顔画像登録から(4)着座位置判定までの処理は図1と同様である。サーバ10は、着座位置の判定後、顔画像に対応付けられた携帯端末IDと着座位置を車載器40に通知する(5)。通知を受けた車載器40は、着座位置と携帯端末IDを対応付けて記憶する。
【0060】
その後、携帯端末30は、車載器40に対して制御要求を送信する(6)。この制御要求の送信時には、着座位置を直接指定することはできないが、「携帯端末30の使用者の着座位置を制御対象とする」旨の指定は可能である。
【0061】
車載器40は、携帯端末30から制御要求を受信したならば、携帯端末IDに基づいて携帯端末30の着座位置を特定し、指定された制御を実行する(7)。このため、車載器40は、携帯端末30の使用者の着座位置を対象として制御を実行することができる。
【0062】
(変形例2)
図11は、変形例2の説明図である。変形例2の車載器制御システムでは、車載器40が着座位置を判定し、携帯端末30が着座位置を記憶している。以下、変形例2の車載器制御システムの動作を説明する。
【0063】
携帯端末30は、車室内で所定のアプリケーションを起動した際に、使用者の顔画像を撮像し、顔画像を携帯端末IDと共に車載器40に送信することで顔画像の登録を行う(1)。車載器40は、顔画像と携帯端末IDを対応づけて記憶する。
【0064】
車載器40は、定期的に車室内画像を撮像し(2)、記憶した顔画像と車室内画像とを用いて顔認識を行う。車室内画像に含まれる人物の顔と一致する顔画像を特定したならば、車載器40は、車室内画像における位置から着座位置を判定し、顔画像に対応付けられた携帯端末30の使用者の着座位置とする(3)。車載器40は、この携帯端末30に着座位置を通知する(4)。
【0065】
携帯端末30は、車載器40から着座位置の通知を受信し、自端末の使用者の着座位置として記憶する。その後、携帯端末30は、車載器40に対して制御要求を送信する際に、記憶した着座位置を指定することができる(5)。
【0066】
車載器40は、携帯端末30から着座位置を指定した制御要求を受信したならば、指定された着座位置に係る制御を実行する(6)。
【0067】
(変形例3)
図12は、変形例3の説明図である。変形例3の車載器制御システムでは、車載器40が着座位置を判定し、記憶している。以下、変形例3の車載器制御システムの動作を説明する。
【0068】
携帯端末30は、車室内で所定のアプリケーションを起動した際に、使用者の顔画像を撮像し、顔画像を携帯端末IDと共に車載器40に送信することで顔画像の登録を行う(1)。車載器40は、顔画像と携帯端末IDを対応づけて記憶する。
【0069】
車載器40は、定期的に車室内画像を撮像し(2)、記憶した顔画像と車室内画像とを用いて顔認識を行う。車室内画像に含まれる人物の顔と一致する顔画像を特定したならば、車載器40は、車室内画像における位置から着座位置を判定し、顔画像に対応付けられた携帯端末30の使用者の着座位置とする(3)。車載器40は、この携帯端末30の携帯端末IDに着座位置を対応付けて記憶する。
【0070】
その後、携帯端末30は、車載器40に対して制御要求を送信する(4)。この制御要求の送信時には、着座位置を直接指定することはできないが、「携帯端末30の使用者の着座位置を制御対象とする」旨の指定は可能である。
【0071】
車載器40は、携帯端末30から制御要求を受信したならば、携帯端末IDに基づいて携帯端末30の着座位置を特定し、指定された制御を実行する(5)。このため、車載器40は、携帯端末30の使用者の着座位置を対象として制御を実行することができる。
【0072】
(インタフェース連携の具体例)
次に、特定した着座位置を、携帯端末と車載器のインタフェース連携に適用する場合について説明する。
図13は、着座位置と携帯端末の表示についての説明図である。車載器40は、携帯端末30と連携し、車載器40に対する操作を携帯端末30で受け付けることができる。この場合、車載器に直接操作が可能な前席(運転席や助手席等)と、その他の席とで携帯端末のインタフェースを異ならせることが望ましい。
【0073】
図13では、車載器40のタッチパネルディスプレイ41には地図が表示されている。後部座席に所在する携帯端末30cや携帯端末30dは、車載器40と連携したときに、タッチパネルディスプレイ41の表示内容と同一の表示となっている。このため、タッチパネルディスプレイ41を直接操作できない後部座席の乗員であっても、携帯端末30の表示をタッチパネルディスプレイ41の代替として、車載器40に対する操作入力が可能である。このように、タッチパネルディスプレイ41の表示内容と同一の表示を行う処理を、便宜上、「表示内容の複製」という。
【0074】
一方、運転席に所在する携帯端末30aや助手席に所在する携帯端末30bは、車載器40と連携したときに、タッチパネルディスプレイ41の表示内容の複製ではなく、それとは別の関連する追加の表示を行う。これは、前席の乗員は、タッチパネルディスプレイ41を直接操作できるため、それぞれ別の内容が表示されたタッチパネルディスプレイ41に対する操作と携帯端末30a等の操作とを使い分けることができるからである。このようにして前席の乗員における、操作性を向上することができる。このように、タッチパネルディスプレイ41の表示内容と関連する追加の表示を行う処理を、便宜上、「表示内容の拡張」という。
【0075】
ここで、運転席に所在する携帯端末30aは、タッチパネルディスプレイ41の表示内容と関連する追加の表示として「ユーザA地点リスト」を表示している。また、助手席に所在する携帯端末30bは、タッチパネルディスプレイ41の表示内容と関連する追加の表示として「ユーザB地点リスト」を表示している。これらは、例えば、ナビゲーションの目的地を設定するための表示であるが、そこでは使用者ごとに異なる候補地点リストが表示されている。このように、表示の拡張を行う場合には、使用者に対応付けられた情報を利用して、その内容を異ならせることができる。使用者に対応付けられた情報としては、例えば、過去の走行履歴や、使用者により登録・編集された地点などを用いることができる。このため、例えば同一の地図を表示した状態で、行先候補をリスト表示した場合であっても、ユーザAの携帯端末30aにはラーメン屋を優先したリストを表示し、ユーザBの携帯端末30bにはカフェを優先したリストを表示する、といった処理が可能となる。
【0076】
図14は、インタフェース連携の処理手順を示すフローチャートである。まず、車載器40の制御部46は、携帯端末30からインタフェース連携コマンドを受信する(ステップS401)。制御部46は、着座位置を特定する(ステップS402)。着座位置の特定は、携帯端末30から着座位置データを受信してもよいし、サーバ10から受信したデータを参照してもよい。また、車載器40が顔画像と車室内画像の比較によって着座位置を特定してもよい。
【0077】
制御部46は、着座位置が前席であるか否かを判定する(ステップS403)。着座位置が前席であれば(ステップS403;Yes)、制御部46は、タッチパネルディスプレイ41の表示内容を拡張する(ステップS404)。着座位置が前席でなければ(ステップS403;No)、制御部46は、タッチパネルディスプレイ41の表示内容を複製する(ステップS405)。制御部46は、拡張若しくは複製した表示を携帯端末30に提供し、携帯端末30からの操作受付を開始して(ステップS406)、処理を終了する。なお、携帯端末30からの操作受付は、インタフェース連携を終了する操作を受け付けたとき、携帯端末30と車載器40との通信が切れたとき、車載器40の電源がオフになったときなど、所定のタイミングで終了する。
【0078】
上述してきたように、本実施形態によれば、車両20に搭載された車載器40は、車室内に所在する携帯端末30と通信する携帯端末通信部43と、前記携帯端末30に対して、前記車載器40の操作に関するインタフェースを提供する制御部46と、を備える。そして、前記制御部46は、前記車室内を撮影した車室内画像と前記携帯端末30の使用者の顔画像とを比較して判定された前記使用者の着座位置に応じて、前記携帯端末30に提供するインタフェースを異ならせる。
かかる構成及び動作により、車室内における使用者の位置を簡易且つ確実に判定し、使用者の位置に応じた制御を提供することができる。このため、使用者は、着座位置に適したインタフェースを自動的に使用可能となる。
【0079】
また、車載器40は、表示部としてのタッチパネルディスプレイ41をさらに備え、前記制御部46は、前記着座位置が前席であれば前記表示部の表示内容を拡張する表示を前記携帯端末30に行わせ、前記着座位置が前席以外であれば前記表示部の表示内容と同一の表示を前記携帯端末30に行わせる。
このため、前席の使用者は、タッチパネルディスプレイ41の操作と携帯端末30の操作を組合せて使用することができ、前席以外の使用者は、タッチパネルディスプレイ41を操作する代わりに携帯端末30を操作することができる。
【0080】
また、車載器40は、前記車室内画像をサーバ10に送信するサーバ通信部44をさらに備え、前記制御部46は、前記サーバ10が前記車室内画像と前記携帯端末の使用者の顔画像とを比較して判定した前記着座位置に応じて、前記携帯端末に提供するインタフェースを異ならせる構成として実施できる。
この構成では、サーバ10を利用し、車載器40の処理負荷を軽減し、車載器40のコストを下げることができる。
【0081】
また、前記制御部46は、前記携帯端末30から受信した前記使用者の顔画像と前記車室内画像とを比較して前記着座位置を判定することもできる。
この構成では、サーバ10との通信に依存することなく、着座位置を判定する機能を安定して提供できる。
【0082】
また、ドライブレコーダーのカメラが撮像した画像を前記車室内画像として用いることとしてもよい。
かかる構成では、既存の装備を有効に活用し、追加の装備を必要とすることなく低コストで使用者の位置に応じた制御を提供することができる。
【0083】
また、前記制御部46は、前記使用者の着座位置と、前記使用者に対応付けられた使用者情報とに応じて、前記携帯端末30に提供するインタフェースを異ならせることができる。
このため、使用者の履歴、特性、登録情報等を利用し、利便性をさらに向上することができる。
【0084】
また、開示したサーバ10は、車載器40及び携帯端末30と通信する通信部11と、前記携帯端末30から受信した使用者の顔画像に、前記携帯端末の識別情報と前記車載器の識別情報とを対応付けて管理する顔画像管理部13aと、前記車載器40から車室内画像及び前記車載器の識別情報とを受信した場合に、受信した車載器40の識別情報に対応付けて管理された顔画像と前記車室内画像とを用いて顔認識を行う顔認識処理部13bと、前記顔認識処理部13bによって前記車室内画像に含まれる人物の顔と一致する顔画像が特定された場合に、前記車室内画像における位置から着座位置を判定し、前記顔画像に対応付けられた携帯端末の使用者の着座位置とする着座位置判定部13cとを備える。
かかる構成及び動作により、車室内における使用者の位置を簡易且つ確実に判定し、使用者の位置に応じた制御を提供することができる。
【0085】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、構成及び動作を適宜変形して実施することができる。
例えば、実施形態では説明を簡明にするために顔画像を送信し、記憶する構成を例示したが、顔画像から抽出した特徴量を送信及び記憶する構成としてもよい。また、車室内画像の全体を送信するのではなく、着座位置に対応する部分画像などを切り出して送信する構成とすることもできる。
また、後部座席の中央を着座位置の1つとすることも可能であり、後部座席が2列となっていてもよい。
また、車室内画像と着座位置の対応関係を示すデータを車両や車種に応じて生成しておき、車載器40やサーバ10が保持する構成としてもよい。
また、携帯端末30は、使用者の顔写真を予め撮像し、保持していてもよい。
また、車載器40は、ドライブレコーダーの通信機能を用いてサーバ10と通信する構成であってもよい。
また、後部座席用のディスプレイに対するインタフェース連携に適用してもよい。この場合には、前席に対して表示の複製、後部座席に対して表示の拡張を行うことになる。
【符号の説明】
【0086】
10…サーバ、11…通信部、12…記憶部、12a…顔画像管理データ、13…制御部、13a…顔画像管理部、13b…顔認識処理部、13c…着座位置判定部、20…車両、30…携帯端末、31…タッチパネルディスプレイ、32…携帯端末カメラ、33…車載器通信部、34…サーバ通信部、35…記憶部、35a…アプリケーションプログラム、35b…携帯端末ID、35c…車載器ID、35d…着座位置データ、36…制御部、36a…車載器接続部、36b…顔画像送信部、36c…コマンド送信部、40…車載器、41…タッチパネルディスプレイ、42…車載器カメラ、43…携帯端末通信部、44…サーバ通信部、45…記憶部、45a…車載器ID
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14