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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129208
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】マスク補助具
(51)【国際特許分類】
   A62B 23/06 20060101AFI20230907BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A62B23/06
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125680
(22)【出願日】2022-08-05
(62)【分割の表示】P 2022540918の分割
【原出願日】2022-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】522263482
【氏名又は名称】酒井 和典
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】酒井 和典
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA08
2E185BA07
2E185CB18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特別な操作を要することなく且つマスクの種類に拘わらず、マスク本来の異物の出入抑制機能を維持しつつ、使用時の快適性の向上を図ることができるマスク補助具を提供する。
【解決手段】顔4とマスクとの間に配置されるマスク補助具2は、鼻10の鼻孔10aから排出される呼気を受ける容器状の鼻呼気受け部12と、該鼻呼気受け部12の底面に連通するノズル部材20と、ノズル部材20を覆うように上端部を鼻呼気受け部12の底面に気密状態で固定された軟質の筒状の呼気案内部14と、呼気案内部14の下端部に連通して外部に露出するフィルタ部16とを有しており、ノズル部材20には鼻10からの呼気の流速で開閉するチェックバルブが設けられている。呼気はノズル部材20内で加速されて吐出され、その流動圧でフィルタ部16に押し込まれて外部に排出される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔とマスクとの間に配置されるマスク補助具であって、
鼻からの呼気を受ける鼻呼気受け部と、
前記鼻呼気受け部に連通し、鼻からの呼気を案内する呼気案内部と、
前記呼気案内部の先端側に連通し、少なくとも一部が顔とマスクとの間から外部に露出するフィルタ部と、
前記フィルタ部よりも上流側に設けられ、鼻からの呼気の流速で開閉して逆流を遮断するバルブ機構と、
を有していることを特徴とするマスク補助具。
【請求項2】
前記呼気案内部が、前記マスクの装着力で変形可能な軟質材料で筒状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマスク補助具。
【請求項3】
前記鼻呼気受け部が剛性を有する材料で底面に穴が開いた容器状に形成され、前記呼気案内部内には前記フィルタ部側へ延びるノズル部材が前記穴に連通して配置され、前記ノズル部材内に前記バルブ機構が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のマスク補助具。
【請求項4】
前記鼻呼気受け部が鼻を覆う形状を有していることを特徴とする請求項3に記載のマスク補助具。
【請求項5】
前記ノズル部材が前記フィルタ部側へ向かって内径が漸減する形状を有していることを特徴とする請求項3又は4に記載のマスク補助具。
【請求項6】
前記穴及び前記ノズル部材が、鼻孔に個別に対応して2つずつ設けられていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一つに記載のマスク補助具。
【請求項7】
前記フィルタ部が顔の下側から外部に露出するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載にマスク補助具。
【請求項8】
前記フィルタ部がマスクと同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載にマスク補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク内方の雰囲気改善のためにマスクの内側に配置して用いられるマスク補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活の中で、花粉やゴミ、微粒子やウイルス等の異物の体内への侵入を予防する目的でマスクが用いられている。マスクをしている状態では、マスクを通して入った外気(吸気)と、鼻や口から排出された呼気とが顔とマスクとの間のほぼ閉じた空間内で混ざり合って滞留する。呼気は温度が高く水分や二酸化炭素、臭気を含んでいるため、使用時間が長くなるにつれて酸素濃度の低下やマスクの目詰まり等により息苦しさや臭いによる不快感が増すのを避けられない。これらの要因によるマスク内の雰囲気(環境)の悪化による皮膚炎の増加や呼吸器系の疾患の報告もなされている。
【0003】
一方、新型コロナウイルス等の感染症対策が叫ばれている状況下では、マスクは有効であることが種々の医学的データやスーパーコンピュータによるシミュレーションからも裏付けられており、特に感染した人の呼気からウイルスが外部へ排出されるのを抑制する効果が高いとされている。このため、マスク本来の異物の出入抑制機能を維持しつつ、使用時の不快感の低減(快適性の向上)が強く望まれている。
【0004】
このような要望に応えるべく、特許文献1には、鼻からの呼気をマスク内の空間から遮断した状態でマスク外部へろ過(フィルタ処理)して排出する構成の鼻孔マスクが提案されている。この鼻孔マスクは、マスクの内側に鼻孔挿入管を一体に備えた管状の鼻孔ヘッダを配置しており、鼻孔ヘッダの両側にはマスク内に流入した外気をろ過する吸気フィルタが設けられている。鼻孔ヘッダのマスク対向側における中央部にはマスクの一部分をフィルタとして利用する、逆止弁を備えた呼気排出構成が設けられている。逆止弁は鼻孔ヘッダに連通して顔の外側へ突出する円筒形の呼気フランジ内に設けられており、呼気フランジの先端がマスクの内側に密接してシールされることにより、呼気フランジの先端に対応するマスク部分が呼気フィルタとして機能するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-184781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の鼻孔マスクは、呼気フランジの先端とマスクが密接することによるシール性によって呼気がマスク内に逆流することを防止する構成であるが、マスクの装着力(呼気フランジの先端に対するマスクの押圧力)のみでシール性が確実に得られるとは限らない。例えばプリーツタイプのマスクでは、折り目による段差があるため呼気フランジの先端との間に隙間が生じやすく、強い保形性を有する立体型のマスクではシール性は困難となる。このような危惧を想定して、特許文献1では呼気フランジの外周面に固定リングでマスクを止めてシール性を向上させることが記載されている。しかしながら、マスクを交換する毎にシール性を向上させるための特別な操作が面倒となるばかりでなく、マスクが円筒形状に突出することによりあたかも防毒マスクのような外観形状となることで、ユーザーによってはその使用をためらう懸念を否定できない。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、特別な操作を要することなく且つマスクの種類に拘わらず、マスク本来の異物の出入抑制機能を維持しつつ、使用時の快適性の向上を図ることができるマスク補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のマスク補助具(2)は、顔(4)とマスク(6)との間に配置されるマスク補助具であって、鼻(10)からの呼気(22)を受ける鼻呼気受け部(12)と、鼻呼気受け部(12)に連通し、鼻(10)からの呼気(22)を案内する呼気案内部(14)と、呼気案内部(14)の先端側に連通し、少なくとも一部が顔(4)とマスク(6)との間から外部に露出するフィルタ部(16)と、フィルタ部(16)よりも上流側に設けられ、鼻(10)からの呼気(22)の流速で開閉して逆流を遮断するバルブ機構(18)と、を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るマスク補助具によれば、マスクの種類や形状の違いに拘わらず、且つマスク側に何らの対応構成を必要とすることなく、また特別な操作を要することなくマスクの本来の異物出入抑制機能を維持しつつ、マスク内の雰囲気の悪化を改善でき、マスク使用時の快適性の向上を図ることができる。
【0010】
また、上記マスク補助具(2)では、呼気案内部(14)が、マスク(6)の装着力で変形可能な軟質材料で筒状に形成されていることを特徴とする。これによれば、顔とマスクとの間の気密性を通常のマスク装着時と変わらない状態でフィルタ部から呼気をろ過して外部に排出することができる。
【0011】
また、上記マスク補助具(2)では、鼻呼気受け部(12)が剛性を有する材料で底面(12a)に穴(12b)が開いた容器状に形成され、呼気案内部内(14)にはフィルタ部(16)側へ延びるノズル部材(20)が穴(12b)に連通して配置され、ノズル部材(20)内にバルブ機構(18)が設けられていることを特徴とする。これによれば、ノズル部材で鼻からの呼気を加速させてフィルタ部から鼻呼吸のタイミングと同時的に排出させることができる。
【0012】
また、上記マスク補助具(2)では、鼻呼気受け部(12)が鼻(10)を覆う形状を有していることを特徴とする。これによれば、鼻からの呼気を効率的にフィルタ部を通して外部に排出することができ、マスク内の雰囲気の悪化を迅速に改善することができる。
【0013】
また、上記マスク補助具(2)では、ノズル部材(20)がフィルタ部(16)側へ向かって内径が漸減する形状を有していることを特徴とする。これによれば、ノズル部材で鼻からの呼気を効率的に加速させてフィルタ部から鼻呼吸のタイミングと同時的に排出させることができる。
【0014】
また、上記マスク補助具(2)では、穴(12b)及びノズル部材(20)が、鼻孔(10a)に個別に対応して2つずつ設けられていることを特徴とする。これによれば、各鼻孔からの呼気を効率的且つ迅速に呼気案内部へ移動させることができる。
【0015】
また、上記マスク補助具(2)では、フィルタ部(16)が顔(4)の下側から外部に露出するように構成されていることを特徴とする。これによれば、フィルタ部が外部に露出することによるマスク装着に係る外観の見劣りを低減することができる。
【0016】
また、上記マスク補助具(2)では、フィルタ部(16)がマスク(6)と同じ材料で形成されていることを特徴とする。これによれば、通常のマスク装着時と変わらない異物出入抑制機能を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、特別な操作を要することなく且つマスクの種類に拘わらず、マスク本来の異物の出入抑制機能を維持しつつ、使用時の快適性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るマスク補助具の使用状態を示す側面図である。
図2図1で示したマスク補助具の拡大斜視図である。
図3図2のX-X線での概要断面図である。
図4図3の一点鎖線円の部位の動作説明を兼ねる拡大図である。
図5図1の要部拡大図である。
図6】第2実施形態におけるマスク補助具の要部を示す図である。
図7】第3実施形態におけるマスク補助具の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るマスク補助具2の使用状態を示している。マスク補助具2は、顔4とマスク6との間に配置され、マスク6の装着力で落下しないように保持されている。マスク6の装着力とは、耳掛け紐6bを耳8に掛けてマスク本体部6aを湾曲した状態で顔4に密着させる通常使用における顔4に対するマスク本体部6aの押圧力をいう。
【0021】
マスク補助具2は、図2に示すように、鼻10からの呼気を受ける鼻呼気受け部12と、鼻呼気受け部12に連通し、鼻10からの呼気を案内する呼気案内部14と、呼気案内部14の先端側(図中下端側)に連通し、少なくとも一部が顔4とマスク6との間から外部に露出するフィルタ部16と、フィルタ部16よりも上流側(鼻呼気受け部12側)に設けられ、鼻10からの呼気の流速で開閉して逆流を遮断するバルブ機構としてのチェックバルブ18等を有している。
【0022】
鼻呼気受け部12は、剛性を有する材料で矩形の容器状に形成され、その底面12aには、鼻10の各鼻孔10a(図1参照)に個別に対応して、且つ各鼻孔10aの位置に対応して2つの穴12bが形成され、これらの穴12bの下面にはノズル部材20がそれぞれ固定されている。鼻呼気受け部12の剛性は、マスク6の装着力で変形しない程度の硬さで、本実施形態では薄肉のプラスチックで形成されている。鼻呼気受け部12の内側面12cは、鼻10の下側の部位に密着できるように、凹状に湾曲形成されている。各ノズル部材20は、フィルタ部16側へ向かって、すなわち下方に向かって内径が漸減するテーパ形状を有しており、各ノズル部材20内にチェックバルブ18が設けられている。
【0023】
呼気案内部14は、マスク6の装着力で容易に変形可能な軟質材料(ここでは薄肉のビニールシート)で筒状に形成されている。図3に示すように、呼気案内部14の上端部は鼻呼気受け部12の下端部の外周縁に気密状態に固定されており、下方側は容積を狭められてフィルタ部16の上端部の外周縁に気密状態に固定されている。フィルタ部16は、マスク6と同じ材料(ここでは不織布)で上端側が開口した袋状に形成されている。呼気案内部14の内部は、鼻呼気受け部12とフィルタ部16との間において、マスク6内の空間から遮断された静圧空間23としてなる。換言すれば、呼気案内部14の内部はチェックバルブ18が閉じている状態ではフィルタ部16を介してのみ外部と通気可能となっている。
【0024】
呼気案内部14におけるノズル部材20とフィルタ部16との間の圧縮可能部14aは、マスク本体部6aの下端縁6c(図1参照)が当接することにより、顔4とマスク6との間に殆ど隙間を形成しない薄肉状態に圧縮される。これにより、図1に示すように、マスク6の通常の装着による気密状態を維持した状態でフィルタ部16を外部に露出させることができる。
【0025】
図4に示すように、各チェックバルブ18は、ノズル部材20内に固定されたベース24と、ベース24の下面に一端部(ここでは図中右側端部)を固定して配置された円板状の弁26とを有している。ベース24は中央部に呼気22を通過させる円形の穴24aを有しており、弁26は穴24aを塞ぐように配置されている。弁26はウレタンゴム等の弾性を有する材料で形成されており、呼気22の流速(運動エネルギー)で変形して開き、呼気22の流速が消失したときは、その弾性により鎖線で示す位置、すなわち穴24aを塞ぐ位置に復帰する。弁26の材質や厚みは、呼気22の流速で開閉する動作が確実に得られる範囲で適宜に設定することができる。
【0026】
図3に示すように、鼻10の2つの鼻孔10aから出た呼気22は、鼻呼気受け部12に入り、主にそれぞれに対応する底面の穴12bを通って各ノズル部材20に入る。その後呼気22はその流速で弁26をその弾性力に抗して開き、チェックバルブ18を通過する。ノズル部材20の内径はフィルタ部16に向かって狭くなっており、且つノズル部材20の先端部(下端部)がフィルタ部16側に近づくように延びているので、呼気22はノズル部材20内で加速されてノズル部材20の先端から吐出される。吐出された呼気22はその流動圧でフィルタ部16内に押し込まれ、ろ過処理されて鼻10の呼吸タイミングと同時的に外部に排出される。
【0027】
ノズル部材20の先端から吐出された呼気22の一部はその流動圧でフィルタ部16に押し込まれずに静圧空間23内に滞留するが、鼻10から呼気22が断続的に排出されると、静圧空間23内の圧力が大気圧よりも大きくなり、フィルタ部16から呼気22が外部に排出される。フィルタ部16はマスク6と同じ材料で形成されているので、マスク6を通して排出されるフィルタ処理と変わりがない。すなわち、新型コロナウイルス感染症等に感染した人が普通にマスク6をしているのと等価なウイルス拡散抑制機能が得られる。
【0028】
図5に示すように、マスク6を装着するとマスク補助具2の鼻呼気受け部12が装着力により顔4に押圧され、これにより鼻呼気受け部12の内側面12cが顔4の鼻10の下側の部位4aに当接し、外側面12dはマスク本体部6aの内面に当接する。これらの当接による摩擦によってマスク補助具2は位置ずれをすることなく保持される。マスク補助具2の位置ずれを一層確実にするために、鼻呼気受け部12の外側面12dに突起を設けるなど粗面化したり、マスク本体部6aの生地に絡む面状ファスナを設けてマスク6との密着を向上させる構成としてもよい。
【0029】
マスク6を装着するとマスク本体部6aの下端縁6cによって呼気案内部14の圧縮可能部14aは顎4bとの間で圧縮されて扁平状に潰され、これによりマスク6内の呼気が外部に漏れる度合いは、マスク6の通常の装着時と殆ど変わらない。圧縮可能部14aが扁平状に潰された状態でも、呼気案内部14の静圧空間23の圧力が高まると、マスク本体部6aの下端縁6cによる押圧力を押しのけて呼気22がフィルタ部16に移動し、フィルタ部16から外部に排出される。この呼気22の移動によるマスク本体部6aの下端縁6cの変位は僅かであり、マスク6の本来の気密機能(異物出入抑制機能)を殆ど阻害しない。本実施形態ではフィルタ部16の全体が外部に露出する構成としたが、フィルタ部16の厚みも小さいので、少なくともその一部が顔4とマスク6の間から外部に露出する配置構成としてもよい。
【0030】
水分や二酸化炭素、臭気を含み、体温で温められた鼻10からの呼気22が断続的に外部にろ過されて排出されるので、吸気によって外部からマスク6内に取り入れられる清浄な空気が増えることになり、マスク6内の雰囲気の悪化が抑制される。すなわち、酸素濃度の低下、マスク6の目詰まりによる息苦しさや臭気による不快感が低減される。換言すればマスク使用時の快適性の向上を図ることができる。マスク6内の雰囲気の悪化が抑制されることにより、皮膚炎の増加や呼吸器系の疾患の抑制にも寄与する。
【0031】
普通にマスク6を装着し、話をしない状態では、マスク6内に滞留する呼気は鼻10からの呼気22が殆どであるが、口28(図5参照)からの呼気も存在する。このため、本実施形態に係るマスク補助具2は、鼻10からの呼気22のみに限定した構成とはしていない。上述のように、マスク補助具2の鼻呼気受け部12は上面が開口されており、鼻10の下側との間に隙間を有する状態に配置される。これにより、図3に示すように、口28から排出されてマスク6内で滞留する呼気30や、鼻10から排出されて鼻呼気受け部12から漏れた呼気22が、鼻10からの呼気22の流速による負圧によって鼻呼気受け部12に引き込まれ、フィルタ部16から外部に排出されるろ過処理ルートを辿る。
【0032】
上記のように、鼻呼気受け部12は鼻孔挿入管等を有さず、単に鼻10からの呼気22を受ける開放型の容器形状となっているので、鼻孔挿入管を鼻孔に挿入した場合等の圧迫感や拘束感を感じることもない。このため、マスク補助具2の使用時における装着感(違和感)を低減することができる。
【0033】
上記のように、本実施形態に係るマスク補助具2は、その装着においても呼気のろ過処理においても、マスク6側に何らの対応構成を求めていない。このため、マスク6の種類や形状の種別に拘わらず、上述したマスク6内の呼気の滞留による雰囲気の悪化を抑制して、マスク使用時の快適性を向上させることができる。また、マスク6の交換においても何ら特別な操作は要しない。新型コロナウイルス等の感染症対策や花粉症等の対策においても、通常のマスク装着時と変わらない抑制機能を維持しつつ、快適性の向上を図ることができる。
【0034】
[第2実施形態]
図6を参照して第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同一部分は同一符号で示し、既にした構成上及び機能上の説明は適宜省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
【0035】
第1実施形態では鼻呼気受け部12の下側に2つの鼻孔10aに対応して個別に2つのノズル部材20を設ける構成としたが、本実施形態では底面が開放された鼻呼気受け部32の底面に連通して単一のノズル部材34を一体に設け、ノズル部材34内にチェックバルブ18と同様の構成のチェックバルブ36を設けている。各鼻孔10aから出た呼気22はノズル部材34で合流してチェックバルブ36を通過し、静圧空間23に入る。
【0036】
[第3実施形態]
図7を参照して第3実施形態を説明する。上述のように、上記各実施形態では呼気の処理に関して鼻10からの呼気22に限定していないが、鼻10からの呼気22に限定する構成としてもよく、この場合鼻10からの呼気22を漏れなくろ過処理することができるので、マスク6内の雰囲気の悪化を一層改善することができる。本実施形態では鼻呼気受け部12の上部に、鼻10を覆う鼻覆い部38を一体に又は増設して設けている。鼻覆い部38は例えばシリコンゴム等の軟質合成樹脂で鼻10の周囲に密接して鼻10を覆う立体形状に形成されている。
【0037】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、ノズル部材20を設けずにチェックバルブ18を鼻呼気受け部12の底面に直に設けてもよい。フィルタ部16の材質は新型コロナウイスル等を一般的なマスク生地よりも高精度にろ過処理できる材質であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7