(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129223
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】車両用シート空調装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20230907BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20230907BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20230907BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B60H1/34 671Z
B60H1/00 101G
B60H1/34 651A
B60H1/00 101Q
B60H1/00 101X
B60H1/00 102V
A47C7/74 Z
B60N2/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156381
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2022031508
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】前田 好彦
(72)【発明者】
【氏名】牧田 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】井上 健彦
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 健
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3L211
【Fターム(参考)】
3B084JA03
3B084JA06
3B087DE10
3L211BA08
3L211DA53
3L211EA03
3L211EA25
3L211FB05
3L211GA53
(57)【要約】
【課題】コストの向上を抑制しつつ且つシートに着座している人に対して快適な空調環境を提供する。
【解決手段】車両用シート空調装置100は、第1通風路110から第3通風路130に導かれる空気の流量と、第2通風路120から第3通風路130に導かれる空気の流量との比率を調整するために、第1通風路110と第3通風路130とをつなぐ第1接続口と、第2通風路120と第3通風路130とをつなぐ第2接続口とのそれぞれの開度を調整することで比率を調整する調整部170と、第1通風路110内の温度を示す第1温度、第2通風路120内の温度を示す第2温度、及び、第3通風路130内の温度を示す第3温度に基づいて調整部170を制御して当該開度を調整することで、当該比率を調整する制御部192と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配置され、シートバック及びシートクッションを有するシートに用いられる車両用シート空調装置であって、
前記シートに内蔵される送風機と、
前記シートに着座する人側に位置する面である前記シートの表面に設けられる第1吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第1通風路と、
前記第1吸気口と異なる吸気口であり、前記シートにおける前記シートの表面以外の個所に設けられる第2吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第2通風路と、
前記第1通風路及び前記第2通風路の少なくとも一方から導かれた空気を、前記シートに着座する前記人側に位置する面である前記シートバックの表面に設けられる吐出口まで導く第3通風路と、
前記第1通風路から前記第3通風路に導かれる空気の流量と、前記第2通風路から前記第3通風路に導かれる空気の流量との比率を調整するために、前記第1通風路と前記第3通風路とをつなぐ第1接続口と、前記第2通風路と前記第3通風路とをつなぐ第2接続口とのそれぞれの開度を調整することで前記比率を調整する調整部と、
前記送風機及び前記調整部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1通風路内の温度である第1温度、前記第2通風路内の温度である第2温度、及び、前記第3通風路内の温度である第3温度に基づいて前記調整部を制御して前記開度を調整することで、前記比率を調整する
車両用シート空調装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1温度をaとし、前記第2温度をbとし、前記第3温度をcとした場合に、下記の式(1)により算出されるxに基づいて、前記比率を調整し、
前記式(1)は、x=(c-b)/(a-b)である
請求項1に記載の車両用シート空調装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記xと目標値との差の絶対値が第1閾値以上である場合、前記xと前記開度との相関関係を示す温度関係情報に基づいて、前記xが前記目標値になるように前記開度を第1変化量変更するように調整する
請求項2に記載の車両用シート空調装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記絶対値が前記第1閾値未満である場合、
前記絶対値が第2閾値以上であるとき、前記温度関係情報に基づいて、前記xが前記目標値になるように前記開度を前記第1変化量より小さい第2変化量変更するように前記調整部を制御し、
前記絶対値が前記第2閾値未満であるとき、前記開度を変更しないように前記調整部を制御する
請求項3に記載の車両用シート空調装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記シートに前記人が着座しているか否かを検出するための人感センサの検出結果を取得し、
前記xに基づいて、前記シートに前記人が着座しているか否かを判定し、
前記xに基づく前記シートに前記人が着座しているか否かの判定結果と前記検出結果とが一致しない場合、前記判定結果と前記検出結果とが一致しない旨を示す情報を出力する
請求項2~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記xに基づいて、前記シートに前記人が着座しているか否かを判定し、
前記シートに前記人が着座していると判定した場合、所定の回転数となるように前記送風機の回転数を調整し、
前記シートに前記人が着座していないと判定した場合、前記所定の回転数より少ない回転数となるように前記送風機の回転数を調整する
請求項2~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記xが第3閾値以上である場合、前記シートに前記人が着座していないと判定し、
前記xが前記第3閾値未満である場合、前記シートに前記人が着座していると判定する
請求項5に記載の車両用シート空調装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記送風機を制御することで、前記送風機の回転数を調整する
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記送風機の回転数と前記開度との相関関係を示す出力関係情報に基づいて、前記送風機の回転数を調整する
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項10】
前記第3温度を検出する第3温度センサは、前記第3通風路内に設けられる
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項11】
前記第1温度を検出する第1温度センサは、前記第1通風路内に設けられる
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記車両の車室内に配置され、当該車室内の温度を検出する車室温度センサにより検出された温度を前記第1温度として用いる
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項13】
前記第2温度を検出する第2温度センサは、前記第2通風路内に設けられる
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記車両に配置された車両空調機器が吹き出す空気の温度を示す空調温度情報を前記第2温度として用いる
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態、または、前記シートに所定の人が着座した状態における、前記第1温度と、前記第2温度と、前記第3温度とに基づいて、前記温度関係情報を補正する
請求項3又は4に記載の車両用シート空調装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態、または、前記シートに所定の人が着座した状態における、前記第1温度と、前記第2温度と、前記第3温度とに基づいて、前記出力関係情報を補正する
請求項9に記載の車両用シート空調装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態における、前記第1温度、前記第2温度、及び、前記第3温度に基づいて前記xを算出し、
算出した前記xが前記第3閾値より低い第4閾値以下である場合、前記シートが目詰まりを起こしている旨を示す情報を通知機器に通知させる
請求項7に記載の車両用シート空調装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態における、前記第1温度、前記第2温度、及び、前記第3温度に基づいて前記xを算出し、
算出した前記xが前記第3閾値と異なる場合、前記第3閾値を算出した前記xに変更する
請求項7に記載の車両用シート空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シートに着座している人に送風する車両用シート空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両等に配置されるシート(椅子)に着座している人に対して快適な空調環境を提供することが求められている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、シートに配置された圧力センサ及びシートに着座する人の状態を撮像することにより、当該人の体格及び姿勢を検出してシートへの空調の制御を行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シートに着座している人の体格及び姿勢を検出するために用いられる圧力センサ及びカメラ等の装置は高価である。そこで、コストの向上を抑制しつつ且つシートに着座している人に対して快適な空調環境を提供できる装置が望まれている。
【0006】
本開示は、コストの向上を抑制しつつ且つシートに着座している人に対して快適な空調環境を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る車両用シート空調装置は、車両に配置され、シートバック及びシートクッションを有するシートに用いられる車両用シート空調装置であって、前記シートに内蔵される送風機と、前記シートに着座する人側に位置する面である前記シートの表面に設けられる第1吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第1通風路と、前記第1吸気口と異なる吸気口であり、前記シートにおける前記シートの表面以外の個所に設けられる第2吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第2通風路と、前記第1通風路及び前記第2通風路の少なくとも一方から導かれた空気を、前記シートに着座する前記人側に位置する面である前記シートバックの表面に設けられる吐出口まで導く第3通風路と、前記第1通風路から前記第3通風路に導かれる空気の流量と、前記第2通風路から前記第3通風路に導かれる空気の流量との比率を調整するために、前記第1通風路と前記第3通風路とをつなぐ第1接続口と、前記第2通風路と前記第3通風路とをつなぐ第2接続口とのそれぞれの開度を調整することで前記比率を調整する調整部と、前記送風機及び前記調整部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1通風路内の温度である第1温度、前記第2通風路内の温度である第2温度、及び、前記第3通風路内の温度である第3温度に基づいて前記調整部を制御して前記開度を調整することで、前記比率を調整する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る車両用シート空調装置によれば、コストの向上を抑制しつつ且つシートに着座している人に対して快適な空調環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るシートを示す外観斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るシートの内部構成を説明するための図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る車両用シート空調装置のハードウェア構成の具体例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る車両用シート空調装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る温度関係情報を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る出力関係情報を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る車両用シート空調装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る温度関係情報の補正を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る出力関係情報の補正を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の概要)
本開示の一態様に係る車両用シート空調装置は、車両に配置され、シートバック及びシートクッションを有するシートに用いられる車両用シート空調装置であって、前記シートに内蔵される送風機と、前記シートに着座する人側に位置する面である前記シートの表面に設けられる第1吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第1通風路と、前記第1吸気口と異なる吸気口であり、前記シートにおける前記シートの表面以外の個所に設けられる第2吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第2通風路と、前記第1通風路及び前記第2通風路の少なくとも一方から導かれた空気を、前記シートに着座する前記人側に位置する面である前記シートバックの表面に設けられる吐出口まで導く第3通風路と、前記第1通風路から前記第3通風路に導かれる空気の流量と、前記第2通風路から前記第3通風路に導かれる空気の流量との比率を調整するために、前記第1通風路と前記第3通風路とをつなぐ第1接続口と、前記第2通風路と前記第3通風路とをつなぐ第2接続口とのそれぞれの開度を調整することで前記比率を調整する調整部と、前記送風機及び前記調整部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1通風路内の温度である第1温度、前記第2通風路内の温度である第2温度、及び、前記第3通風路内の温度である第3温度に基づいて前記調整部を制御して前記開度を調整することで、前記比率を調整する。
【0011】
これによれば、制御部は、第1通風路内、第2通風路内、及び、第3通風路内の温度に基づいて調整部を制御することで、シートに着座している人に対して吹き付ける空気の温度を調整できる。そのため、コストの向上を抑制しつつ且つシートに着座している人に対して快適な空調環境を提供できる。
【0012】
また、例えば、前記制御部は、前記第1温度をaとし、前記第2温度をbとし、前記第3温度をcとした場合に、下記の式(1)により算出されるxに基づいて、前記比率を調整し、前記式(1)は、x=(c-b)/(a-b)である。
【0013】
これによれば、制御部は、第1通風路内、第2通風路内、及び、第3通風路内の温度を用いて、シートに着座している人が快適と感じるように当該比率を適切に調整できる。
【0014】
また、例えば、前記制御部は、前記xと目標値との差の絶対値が第1閾値以上である場合、前記xと前記開度との相関関係を示す温度関係情報に基づいて、前記xが前記目標値になるように前記開度を第1変化量変更するように調整する。
【0015】
これによれば、制御部は、シートに着座している人に対して吹き付ける空気の温度がシートに着座している人が快適と感じると想定される温度と異なる場合に、シートに着座している人が快適と感じるように当該比率を適切に調整できる。
【0016】
また、例えば、前記制御部は、前記絶対値が前記第1閾値未満である場合、前記絶対値が第2閾値以上であるとき、前記温度関係情報に基づいて、前記xが前記目標値になるように前記開度を前記第1変化量より小さい第2変化量変更するように前記調整部を制御し、前記絶対値が前記第2閾値未満であるとき、前記開度を変更しないように前記調整部を制御する。
【0017】
これによれば、制御部は、シートに着座している人に対して吹き付ける空気の温度とシートに着座している人が快適と感じると想定される温度との差に応じて、シートに着座している人に対して吹き付ける空気の温度の変更前と変更後との変化量を適切に調整できる。
【0018】
また、例えば、前記制御部は、前記シートに前記人が着座しているか否かを検出するための人感センサの検出結果を取得し、前記xに基づいて、前記シートに前記人が着座しているか否かを判定し、前記xに基づく前記シートに前記人が着座しているか否かの判定結果と前記検出結果とが一致しない場合、前記判定結果と前記検出結果とが一致しない旨を示す情報を出力する。
【0019】
判定結果と検出結果とが異なる場合には、第1吸気口が人ではなくゴミ等により塞がれるような不具合が発生していることが想定される。これによれば、このような不具合が発生したことを人に報知できる。
【0020】
また、例えば、前記制御部は、前記xに基づいて、前記シートに前記人が着座しているか否かを判定し、前記シートに前記人が着座していると判定した場合、所定の回転数となるように前記送風機の回転数を調整し、前記シートに前記人が着座していないと判定した場合、前記所定の回転数より少ない回転数となるように前記送風機の回転数を調整する。
【0021】
これによれば、人がシートに着座していない場合には送風機の回転数を下げることで、送風機を不要に動作させることを抑制できる。
【0022】
また、例えば、前記制御部は、前記xが第3閾値以上である場合、前記シートに前記人が着座していないと判定し、前記xが前記第3閾値未満である場合、前記シートに前記人が着座していると判定する。
【0023】
これによれば、制御部は、人がシートに着座しているか否かをxを用いて適切に判定できる。
【0024】
また、例えば、前記制御部は、前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記送風機を制御することで、前記送風機の回転数を調整する。
【0025】
これによれば、制御部は、第1通風路内、第2通風路内、及び、第3通風路内の温度に基づいて送風機を制御することで、シートに着座している人に対して吹き付ける空気の流量を調整できる。そのため、コストの向上を抑制しつつ且つシートに着座している人に対してさらに快適な空調環境を提供できる。
【0026】
また、例えば、前記制御部は、前記送風機の回転数と前記開度との相関関係を示す出力関係情報に基づいて、前記送風機の回転数を調整する。
【0027】
これによれば、送風機の回転数を適切に調整できる。
【0028】
また、例えば、前記第3温度を検出する第3温度センサは、前記第3通風路内に設けられる。
【0029】
これによれば、第3温度が適切に設定され得る。
【0030】
また、例えば、前記第1温度を検出する第1温度センサは、前記第1通風路内に設けられる。
【0031】
これによれば、第1温度が適切に設定され得る。
【0032】
また、例えば、前記制御部は、前記車両の車室内に配置され、当該車室内の温度を検出する車室温度センサにより検出された温度を前記第1温度として用いる。
【0033】
これによれば、例えば、車両に予め車室温度センサが備えられているような場合には、別途温度センサを設けることなく、第3温度が適切に設定され得る。
【0034】
また、例えば、前記第2温度を検出する第2温度センサは、前記第2通風路内に設けられる。
【0035】
これによれば、第2温度が適切に設定され得る。
【0036】
また、例えば、前記制御部は、前記車両に配置された車両空調機器が吹き出す空気の温度を示す空調温度情報を前記第2温度として用いる。
【0037】
これによれば、例えば、ユーザが温度設定可能な車両空調機器が予め車両に備えられているような場合には、ユーザが設定した温度、又は、車両空調機器に設けられた温度センサ等から得られる温度を第2温度と設定することで、別途温度センサを設けることなく、第2温度が適切に設定され得る。
【0038】
また、例えば、前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態、または、前記シートに所定の人が着座した状態における、前記第1温度と、前記第2温度と、前記第3温度とに基づいて、前記温度関係情報を補正する。
【0039】
例えば、シートに人が着座していない状態などのように同じ環境下で、且つ、開度および送風機の回転数が同じ条件であれば、xは、特定の値になる。ここで、シートの目詰まりなどによって第1吸気口の一部がふさがれると、開度および送風機の回転数が同じ条件であっても、xが特定の値とは異なる値となる。そこで、シートに人が着座していない状態、または、シートに所定の人が着座した状態における第1温度、第2温度、及び、第3温度を用いてxを算出し、算出結果に基づいて温度関係情報を補正する。これによれば、例えばシートの目詰まりなどにより第1吸気口の一部がふさがれるなどによりシートの状態が変化されても、適切な温度の空気を吐出口が吐出させることができる。そのため、シートの状態が変化されても、シートに着座している人に対して快適な空調環境を提供できる。
【0040】
また、例えば、前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態、または、前記シートに所定の人が着座した状態における、前記第1温度と、前記第2温度と、前記第3温度とに基づいて、前記出力関係情報を補正する。
【0041】
これによれば、例えばシートの目詰まりなどにより第1吸気口の一部がふさがれるなどによりシートの状態が変化されても、適切な流量の空気を吐出口が吐出させることができる。そのため、シートの状態が変化されても、シートに着座している人に対して快適な空調環境を提供できる。
【0042】
また、例えば、前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態における、前記第1温度、前記第2温度、及び、前記第3温度に基づいて前記xを算出し、算出した前記xが前記第3閾値より低い第4閾値以下である場合、前記シートが目詰まりを起こしている旨を示す情報を通知機器に通知させる。
【0043】
これによれば、シートの目詰まりなどによって第1吸気口のふさがれる範囲が広くなるほど、xが小さくなる。そこで、例えば、算出されたxが第4閾値より低い場合には、シートが目詰まりを起こしている旨を示す情報を車両のドライバなどに通知する。これにより、第1吸気口がふさがれることに対する補正により送風機の回転数が上がること、並びに、送風機の回転数の上昇による消費電力の増加及び騒音などの不具合の発生が抑制される。
【0044】
また、例えば、前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態における、前記第1温度、前記第2温度、及び、前記第3温度に基づいて前記xを算出し、算出した前記xが前記第3閾値と異なる場合、前記第3閾値を算出した前記xに変更する。
【0045】
これによれば、シートの目詰まりなどによって第1吸気口の一部がふさがれても適切な値に第3閾値が変更される。
【0046】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0047】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0048】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0049】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0050】
また、以下の説明において、シートの前後方向をX軸方向と称し、シートの上下方向をZ軸方向と称す。さらに、シートの左右方向、すなわちX軸方向及びZ軸方向のそれぞれに垂直な方向をY軸方向と称す。また、X軸方向における、シートの前側を正方向側と称し、シートの後ろ側を負方向側と称す。また、シートに着座した人から見て左側をY軸正方向側と称し、その反対側をY軸負方向側と称す。具体的には、右方向とは、シートに人が着座したとき、車両の進行方向に対して人の右方向であり、Y軸負方向である。また、左側とは、シートに人が着座したとき、車両の進行方向に対して人の左方向であり、Y軸正方向である。また、Z軸方向における、シートの上側を正方向側と称し、シートの下側を負方向側と称す。
【0051】
また、以下で説明する「以上」及び「未満」等の表現は、閾値等を境に比較する意味で用いており、「より大きい」及び「以下」等で置き換えられて用いられてもよい。
【0052】
(実施の形態)
[構成]
図1は、実施の形態に係るシート10を示す外観斜視図である。
図2は、実施の形態に係るシート10の内部構成を説明するための図である。具体的には、
図2は、シート10の断面を模式的に示す断面図である。
図3は、実施の形態に係る車両用シート空調装置100のハードウェア構成の具体例を模式的に示す図である。
【0053】
なお、
図1、
図2及び
図3では、気流を太線矢印で示している。また、
図1では、第1通風路110、第2通風路120、及び、第3通風路130等の通風路を太線で示している。また、
図3では、ECU190Aとアクチュエータ172等の各装置とを接続する制御線を破線で示している。また、
図1及び
図2においては、ECU190A及びアクチュエータ172等の車両用シート空調装置100が備える構成要素の一部の図示を省略している。
【0054】
車両用シート空調装置100は、シート10(より具体的には、シートクッション20)に着座している人に空気を吹き付ける空調装置である。例えば、車両用シート空調装置100は、自動車等の車両に配置されるシート10の内部に配置され、シート10に着座している人の臀部及び大腿部に対応する個所に設けられた第1吸気口111から空気を吸い込むことで気流を発生させ、シート10に着座している人の頭部、首、肩峰、背部及び腰部等に、シート10に設けられた吐出口131からこの空気をシート10に着座している人の上半身に吹き付ける。
【0055】
これにより、車両用シート空調装置100は、例えば、シート10に着座している人の臀部及び大腿部に対応する個所から空気を吸い込むことで、臀部及び大腿部とシート10との間の蒸れを抑制できる。また、車両用シート空調装置100は、例えば、シート10に着座している人に空気を吹き付けることで、シート10に着座する人を冷やしたり暖めたりできる。
【0056】
シート10は、車両用シート空調装置100が配置され、人が着座する椅子である。つまり、車両用シート空調装置100は、シート10が配置される車両内に配置される。シート10は、シートクッション20と、シートバック30と、ヘッドレスト40と、を備える。
【0057】
シートクッション20は、人が着座する座部である。シートクッション20は、座面21を有し、座面21に人が着座する。本実施の形態では、座面21に第1吸気口111が設けられている。また、本実施の形態では、シートクッション20における座面21とは反対側の面である下面22には、第2吸気口121が設けられている。
【0058】
なお、図示しないが、本実施の形態では、第2吸気口121には、シート10が配置される車両が備える空調機器である車両空調機器230(
図4参照)から放出される空気が流れる配管等の流路が接続されている。これにより、第2吸気口121には、車両空調機器230から放出された空気が流入される。
【0059】
シートバック30は、シート10に着座している人が、当該人の背中をもたせ掛ける背もたれ部(背面部)である。シートバック30は、前面31を有する。シート10に着座した人は、当該人の背中が前面31に接触するように、当該人の背中をもたせ掛ける。シートバック30は、Z軸方向に沿って長尺であり、シートクッション20に対して立上るように配置される。本実施の形態では、前面31に吐出口131が設けられている。
【0060】
車両用シート空調装置100は、第1吸気口111から吸い込んだ空気と第2吸気口121から吸い込んだ空気とを混合し、混合した空気を吐出口131から吹き出す(言い換えると、吐出する)。例えば、第2吸気口121から車内の空気より温度が低い冷気を吸い込むことにより、吐出口131から冷風を吹き出す、つまり、車内の冷房を実行できる。或いは、例えば、第2吸気口121から車内の空気より温度が高い熱気を吸い込むことにより、吐出口131から温風を吹き出す、つまり、車内の暖房を実行できる。
【0061】
ヘッドレスト40は、シート10に着座している人の頭部を支える頭あて部である。ヘッドレスト40は、シートバック30のZ軸正方向側の端部に固定されている。
【0062】
例えば、シート10の内部には、
図3に示す車両用シート空調装置100の構成が配置される。
【0063】
図3に示すように、例えば、第1通風路110内には、第1温度センサ140が配置され、第2通風路120内には、第2温度センサ150が配置され、第3通風路130内には、第3温度センサ160が配置される。第1通風路110と第3通風路130とは、第1接続口112を介して空気が移動可能に接続され、第2通風路120と第3通風路130とは、第2接続口122を介して空気が移動可能に接続される。ECU190Aは、第1温度センサ140、第2温度センサ150、及び、第3温度センサ160のそれぞれで検出された温度に基づいて、アクチュエータ172を制御するコンピュータ(Electronic Control Unit)である。具体的には、ECU190Aは、ドア171の位置及び/又は姿勢(角度)等を調整するためのアクチュエータ172を制御することで、第1接続口112及び第2接続口122それぞれの開度(以下、単にドア開度ともいう)を調整する。これにより、ECU190Aは、第1通風路110から第3通風路130に流れる空気の流量と、第2通風路120から第3通風路130に流れる空気の流量とを調整する。さらに、ECU190Aは、第3通風路130に設けられた送風機180を制御することにより、吐出口131から放出される空気の流量を制御する。本実施の形態では、第1接続口112及び第2接続口122の一方の開度が大きくなる(つまり、開口が広くなる)と、他方の開度が小さくなる(つまり、開口が狭くなる)ように構成されている。
【0064】
図4は、実施の形態に係る車両用シート空調装置100の構成を示すブロック図である。
【0065】
車両用シート空調装置100は、上記した通り、車両に配置され、シートバック30及びシートクッション20を有するシート10に用いられる空調装置である。車両用シート空調装置100は、シート10の周囲に対流する空気を吸気し、吸気した空気を後ろから人に吹き付けることで、送風を実行する。
【0066】
車両用シート空調装置100は、第1通風路110と、第2通風路120と、第3通風路130と、第1温度センサ140と、第2温度センサ150と、第3温度センサ160と、調整部170と、送風機180と、情報処理部190と、を備える。
【0067】
第1通風路110は、シート10において、シート10に着座する人側に位置する面であるシート10の表面に設けられる第1吸気口111から送風機180によって吸い込まれた空気が通る流路である。第1通風路110は、シート10(本実施の形態では、シートクッション20)に内蔵されている。
【0068】
なお、シート10の表面とは、例えば、座面21及び前面31を含む面である。本実施の形態では、第1吸気口111が設けられる面は、座面21であるが、前面31等であってもよい。
【0069】
第1吸気口111は、シート10の表面に設けられ、第1通風路110と空気が移動可能に接続される開口である。第1吸気口111は、例えば、車室内(ベンチレーション)に向けて開口しており、車室内の空気を吸引する。第1吸気口111は、シート10におけるシート10に着座している人と対向する面に設けられる。本実施の形態では、第1吸気口111は、座面21に複数設けられている。
【0070】
第1吸気口111から吸い込まれ第1通風路110を通過した空気は、第1接続口112を介して第3通風路130に流れる。
【0071】
第2通風路120は、第1吸気口111と異なる吸気口であり、シート10におけるシート10の表面以外の個所、つまり、座面21及び前面31以外のシート10の面に設けられる第2吸気口121から送風機180によって吸い込まれた空気が通る流路である。第2通風路120は、第1通風路110とは異なる通風路であり、シート10(本実施の形態では、シートクッション20)に内蔵されている。
【0072】
なお、シート10の表面以外の箇所とは、例えば、下面22及び後面32を含む面である。本実施の形態では、第2吸気口121が設けられる面は、下面22であるが、後面32等であってもよい。
【0073】
また、上記した通り、第2吸気口121には、シート10が配置される車両が備える空調機器である車両空調機器230から放出される空気が流れる配管等の流路が接続されている。第2吸気口121は、例えば、シート10に着座している人と対向しない面に設けられる。
【0074】
なお、第2吸気口121は、第1吸気口111と同様に車室内に向けて開口していてもよい。
【0075】
第3通風路130は、第1通風路110及び第2通風路120の少なくとも一方から導かれた空気を、シート10に着座する人側に位置する面であるシートバック30の表面(本実施の形態では、前面31)に設けられる吐出口131まで導く流路である。第3通風路130は、第1通風路110及び第2通風路120とは異なる通風路であり、シート10に内蔵されている。本実施の形態では、第3通風路130の一部は、シート10の内部に配置され、第3通風路130の他部は、シートバック30の内部に配置されている。
【0076】
吐出口131は、前面31に設けられ、第3通風路130と空気が移動可能に接続される開口である。つまり、吐出口131は、車室内に向けて開口している。本実施の形態では、吐出口131は、前面31に複数設けられている。例えば、吐出口131は、前面31における上方側に設けられる。
【0077】
なお、吐出口131は、ヘッドレスト40に設けられてもよい。つまり、第3通風路130の一部がヘッドレスト40に設けられていてもよい。
【0078】
第1通風路110、第2通風路120、及び、第3通風路130は、例えば、内部を空気が通過する通気ダクトである。
【0079】
第1温度センサ140は、第1通風路110内の温度(第1温度ともいう)を検出するサーミスタ等の温度センサである。例えば、第1温度センサ140は、第1通風路110内に設けられる。
【0080】
第2温度センサ150は、第2通風路120内の温度(第2温度ともいう)を検出するサーミスタ等の温度センサである。例えば、第2温度センサ150は、第2通風路120内に設けられる。
【0081】
第3温度センサ160は、第3通風路130内の温度(第3温度ともいう)を検出するサーミスタ等の温度センサである。例えば、第3温度センサ160は、第3通風路130内に設けられる。
【0082】
調整部170は、第1通風路110から第3通風路130に導かれる空気の流量(第1流量ともいう)と、第2通風路120から第3通風路130に導かれる空気の流量(第2流量ともいう)との比率(以下、単に流量比率ともいう)を調整するために、第1通風路110と第3通風路130とをつなぐ第1接続口112と、第2通風路120と第3通風路130とをつなぐ第2接続口122とのそれぞれの開度を調整することで、第1流量と第2流量との比率を調整する。例えば、調整部170は、第1通風路110から第3通風路130に空気が導かれるように、及び/又は、第2通風路120から第3通風路130に空気が導かれるように、第3通風路130への空気の流路が第1通風路110と第2通風路120とで切り替え可能な切替部(通風路切替部)となっている。本実施の形態では、調整部170は、ドア171とアクチュエータ172とにより実現される。
【0083】
ドア171は、第1通風路110から第3通風路130に導かれる空気の移動を規制し、且つ、第2通風路120から第3通風路130に導かれる空気の移動を規制する部材である。ドア171は、例えば、ダンパであって、アクチュエータ172によって位置及び/又は姿勢が変更されることで、第1接続口112の開度(つまり、第1接続口112の広さ)と第2接続口122の開度(つまり、第2接続口122の広さ)とを調整する。例えば、ドア171は、送風機180よりも上流側である第1吸気口111及び第2吸気口121側に設けられている。
【0084】
アクチュエータ172は、ドア171の位置及び/又は姿勢を変更するための駆動部である。アクチュエータ172は、例えば、モータ等により実現される。
【0085】
調整部170によって、第1通風路110だけから導かれた空気、第2通風路120だけから導かれた空気、並びに、第1通風路110及び第2通風路120の両方から導かれた空気のいずれかが、選択的に第3通風路130に導かれる。また、調整部170によって、第1流量と第2流量とが調整されて、第1通風路110から第3通風路130に導かれる空気と、第2通風路120から第3通風路130に導かれる空気とが混合された空気が第3通風路130に導かれる。
【0086】
送風機180は、シート10に内蔵され、空気を移動させる送風機である。具体的には、送風機180は、情報処理部190と電気的に接続され、情報処理部190に駆動制御されることで、第1吸気口111及び第2吸気口121の少なくとも一方から空気を吸気し、吸気した空気を、第1通風路110及び第2通風路120の少なくとも一方を通過させて、さらに、第3通風路130を通過させて吐出口131から吐出させる。送風機180は、例えば、第1通風路110、第2通風路120、及び、第3通風路130を含む通風路における調整部170よりも下流側に配置される。本実施の形態では、送風機180は、第3通風路130に配置され、第3通風路130内の空気を第1吸気口111及び第2吸気口121から吐出口131に向けて空気が流れるように送風する。
【0087】
車両用シート空調装置100では、第1吸気口111、第2吸気口121及び吐出口131はシート10に設けられ、且つ、第1通風路110、第2通風路120、第3通風路130、送風機180及び調整部170はシート10に内蔵されている。つまり、シート10に着座した人を包み込む気流を生み出す構成要素の全てがシート10に設けられているため、車両用シート空調装置100の構成は、簡素化され得る。
【0088】
なお、第1吸気口111及び第2吸気口121の少なくとも一方から調整部170に空気が流れ、且つ、調整部170から吐出口131に空気が流れればよく、送風機180の配置位置は、特に限定されない。
【0089】
また、送風機180は、例えば、第1通風路110と第2通風路120とに配置されてもよい。或いは、送風機180は、例えば、第1通風路110と第2通風路120と第3通風路130とに配置されてもよい。これらのように、送風機180の数は、特に限定されない。なお、本実施の形態では、送風機180は、第3通風路130に1つ配置されているとして以下説明する。
【0090】
情報処理部190は、車両用シート空調装置100が備える調整部170及び送風機180等の各装置を制御する制御装置である。情報処理部190は、例えば、調整部170等の車両用シート空調装置100が備える各装置及び車両空調機器230等の外部機器と接続された制御線等が接続されるインターフェース、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、並びに、プログラムを実行するプロセッサ等を備えるコンピュータで実現される。
【0091】
情報処理部190は、取得部191と、制御部192と、出力部193と、記憶部194と、を備える。
【0092】
取得部191は、制御部192が処理に用いる各種情報を取得する処理部である。取得部191は、例えば、第1温度センサ140、第2温度センサ150、及び、第3温度センサ160のそれぞれから、それぞれの検出結果(温度情報)を取得する。
【0093】
なお、例えば、取得部191は、人感センサ220等の外部センサ及び/又は車両空調機器230等の外部機器から、情報処理部190が備えるインターフェース(通信インターフェース)を介して各種情報を取得してもよい。例えば、取得部191は、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等の入力装置から、設定温度及び又は風量等の情報を取得してもよい。制御部192は、例えば、このように受け付けた情報に基づいて、調整部170及び送風機180等を制御してもよい。
【0094】
制御部192は、送風機180及び調整部170等の車両用シート空調装置100が備える各装置を制御する処理部である。
【0095】
制御部192は、第1通風路110内の温度である第1温度、第2通風路120内の温度である第2温度、及び、第3通風路130内の温度である第3温度に基づいて調整部170を制御して第1接続口112及び第2接続口122それぞれの開度を調整することで、第1通風路110から第3通風路130に導かれる空気の流量と、第2通風路120から第3通風路130に導かれる空気の流量との比率を調整する。つまり、制御部192は、上記各温度情報に基づいて、第1流量と第2流量との流量比率を調整する。これにより、制御部192は、第3温度、つまり、吐出口131から吐出される空気の温度を調整する。具体的には、制御部192は、第1温度をaとし、第2温度をbとし、第3温度をcとした場合に、下記の式(1)により算出されるx(以下、xを配風比(第1通風路110側の配風比)ともいう)に基づいて、流量比率を調整する。
【0096】
x=(c-b)/(a-b) 式(1)
【0097】
なお、a>bである。a、b、及び、cの単位は、互いに同じであればよく、℃でもよいし、Kでもよい。また、上記式(1)は、空気の重量での配風比を算出するためのものであり、空気の体積の比率を算出する場合には、上記式(1)で算出される値とは少し異なる。つまり、上記式(1)によって算出されるxを空気の体積の比率とすると、厳密な値ではなく誤差を含むが、実用上は問題とならない程度の誤差である。
【0098】
例えば、制御部192は、xと目標値との差の絶対値が第1閾値以上である場合、xとドア開度との相関関係を示す温度関係情報に基づいて、xが目標値になるようにドア開度を第1変化量変更するように調整する。
【0099】
図5は、実施の形態に係る温度関係情報を説明するための図である。具体的には、
図5は、所定の体格(標準体型ともいう)の人がシート10に着座した場合に、所定の温度にするための配風比(上記x)に対するドア開度を示すグラフである。例えば、ドア開度が0%とは、ドア171が第2接続口122を閉じている状態であって、第1接続口112が完全に開いており、且つ、第2接続口122が完全に閉じている状態である。また、例えば、ドア開度が100%とは、ドア171が第1接続口112を閉じている状態であって、第1接続口112が完全に閉じており、且つ、第2接続口122が完全に開いている状態である。また、例えば、ドア開度が50%とは、ドア171が第1接続口112及び第2接続口122をいずれも同程度に開いている状態であって、第1接続口112及び第2接続口122のそれぞれが開いている状態である。
【0100】
例えば、標準体型の人がシート10に着座し、ドア開度が50%であるとする。この場合に、a=33℃であり、b=25℃であり、c=29℃であったとする。この場合、配風比は、x=(29-25)/(33-25)=0.5と算出される。
【0101】
次に、標準体型より体格が大きい人がシート10に着座し、ドア開度が50%であるとする。この場合に、a=33℃、b=25℃、c=27℃となったとする。この場合、配風比は、x=0.25となる。
【0102】
ここで、制御部192は、例えば、
図5に示すグラフの情報を用いて、つまり、温度関係情報に基づいて調整部170を制御することで、配風比を0.25から0.5にするように、ドア開度を50%から40%に調整する。つまり、制御部192は、例えば、ドア開度を第1変化量である10%変更する。これにより、制御部192は、吐出口131から吐出される空気の温度を所定の温度にすることができる。
【0103】
例えば、記憶部194には、温度毎の(例えば、・・、24℃、25℃、26℃、・・・等のそれぞれの温度(所定の温度)に対応する)、当該温度にするための配風比に対するドア開度を示すグラフ又はテーブル等の温度関係情報が記憶されている。
【0104】
また、例えば、制御部192は、上記絶対値が第1閾値未満である場合、当該絶対値が第2閾値以上であるとき、温度関係情報に基づいて、xが目標値になるようにドア開度を第1変化量より小さい第2変化量変更するように調整部170を制御する。第1閾値は、第2閾値より大きい値である。制御部192は、例えば、当該絶対値が小さい場合には、言い換えると、配風比が目標値に近い場合には、さらに言い換えると、吐出口131から吐出される空気の温度が所望の温度に近い場合には、ドア開度を少しずつ変更させる。例えば、制御部192は、配風比と目標値とが大きく異なる場合には、ドア開度を一度に大きく(例えば、10%)変更し、配風比と目標値とがあまり変わらない場合には、ドア開度を一度に小さく(例えば、1%)変更する。制御部192は、例えば、このような変更を数秒又は数十秒おき等に実行することで、配風比が目標値に近付くように調整する。
【0105】
なお、第1閾値等の閾値、及び、第1変化量等のドア開度の変化量(調整量)は、任意に設定されてよい。これらの情報は、例えば、記憶部194に予め記憶される。
【0106】
また、制御部192は、上記絶対値が第2閾値未満であるとき、ドア開度を変更しない、つまり、現在のドア開度を維持するように調整部170を制御してもよい。
【0107】
また、制御部192は、例えば、第1温度、第2温度及び第3温度に基づいて、送風機180を制御することで、送風機180の回転数を調整する。つまり、例えば、制御部192は、各温度情報に基づいて、吐出口131から吐出させる空気の流量(第3流量ともいう)を調整する。例えば、制御部192は、送風機180の回転数とドア開度との相関関係を示す出力関係情報に基づいて、送風機180の回転数を調整する。
【0108】
図6は、実施の形態に係る出力関係情報を説明するための図である。具体的には、
図6は、標準体型の人がシート10に着座した場合に、吐出口131から吐出される空気の量を所定量にするためのドア開度に対する送風機180の出力(duty指令、以下、単に送風機出力ともいう)を示すグラフである。例えば、送風機出力が50%とは、送風機180が備える送風するためのファンが取付けられるモータの単位時間当たりの回転数(以下、単に送風機180の回転数ともいう)を、送風機180が実行可能な最大回転数の50%の回転数で駆動させることを意味する。また、例えば、送風機出力が100%とは、当該回転数を、送風機180が実行可能な最大回転数で駆動させることを意味する。
【0109】
例えば、
図5を用いて上記説明したように、制御部192が、標準体型の人よりも体格が大きい人がシート10に着座したためにドア開度を50%から40%に調整したとする。この場合、例えば、制御部192は、標準体型の人がシート10に着座した場合と同じ流量の空気(風量)が吐出口131から吐出されるようにするために、送風機出力を50%から70%に変化させる。これにより、制御部192は、吐出口131から吐出される空気の流量を所定の流量(所定風量)にすることができる。
【0110】
例えば、記憶部194には、風量毎の、当該風量にするためのドア開度に対する送風機出力を示すグラフ又はテーブル等の出力関係情報が記憶されている。
【0111】
なお、制御部192は、配風比に基づいて、送風機出力、つまり、送風機180の回転数を調整してもよい。例えば、制御部192は、xに基づいて、所定の回転数となるように送風機180の回転数を調整する。具体的には、制御部192は、xに基づいて、シート10に人が着座しているか否かを判定し、判定結果に応じて送風機180の回転数を調整してもよい。例えば、制御部192は、xに基づいて、シート10に人が着座しているか否かを判定し、シート10に人が着座していると判定した場合、所定の回転数となるように送風機の回転数を調整し、シート10に人が着座していないと判定した場合、当該所定の回転数より少ない回転数となるように送風機180の回転数を調整する。例えば、制御部192は、xが第3閾値以上である場合、シート10に人が着座していないと判定する。一方、例えば、制御部192は、xが第3閾値未満である場合、シート10に人が着座していると判定する。つまり、例えば、制御部192は、xが第3閾値未満の場合、所定の回転数となるように送風機180の回転数を調整する。一方、例えば、制御部192は、xが第3閾値以上の場合、所定の回転数より少ない回転数となるように送風機180の回転数を調整する。例えば、本実施の形態では、シート10に着座した人に冷風を送ることができるように、第2通風路120が冷風を送る車両空調機器230と接続されることで、第2通風路120を流れる空気が、第1通風路110を流れる空気よりも温度が低く設定されている。このような場合に、シート10に人が着座していない状態だと、シート10に人が着座している場合と比較して、配風比が高くなる。そこで、例えば、制御部192は、xが大きい場合、例えば
図5に示す例ではxが0.8以上であればシート10に人が着座していないと判定し、シート10に人が着座している場合と比較して送風機180の回転数を少なくする。
【0112】
なお、送風機180の回転数及び第3閾値は、任意に設定されてよい。これらの情報は、例えば、記憶部194に予め記憶される。
【0113】
出力部193は、制御部192で算出された情報等を出力する処理部である。出力部193は、例えば、制御部192で算出されたx、xに応じて予め定められる吐出口131から吐出される空気の温度、送風機180の出力、第1温度、第2温度、及び、第3温度等の情報を通知機器210に出力することで、通知機器210を介してユーザにこれらの情報を通知する。
【0114】
記憶部194は、上記した閾値等の条件を示す情報等を記憶する記憶装置である。記憶部194は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等により実現される。
【0115】
なお、情報処理部190は、通知機器210、人感センサ220、車両空調機器230、及び、車室温度センサ240等の外部機器と通信可能に接続されていてもよい。
【0116】
通知機器210は、音及び/又は画像等を用いてユーザに情報を通知する装置である。通知機器210は、例えば情報処理部190から情報を取得し、取得した情報に応じた音及び/画像等を出力する。通知機器210は、アンプ及びスピーカ、並びに/又は、ディスプレイ等により実現される。
【0117】
人感センサ220は、シート10に着座している人の存在を検知するセンサである。つまり、人感センサ220は、シート10に人が着座しているか否かを検出するためのセンサである。取得部191は、例えば、人感センサ220の検出結果を人感センサ220から取得する。制御部192は、当該検出結果を取得し、さらに、上記した通り、xに基づいて、シート10に人が着座しているか否かを判定する。上記した通り、例えば、制御部192は、xが第3閾値以上である場合、シート10に人が着座していないと判定する。一方、例えば、制御部192は、xが第3閾値未満である場合、シート10に人が着座していると判定する。制御部192は、xに基づくシート10に人が着座しているか否かの判定結果と、人感センサ220の検出結果とが一致しない場合、判定結果と検出結果とが一致しない旨を示す情報を出力する。出力部193は、例えば、当該情報を通知機器210に出力することで、当該情報を通知機器210によってユーザに通知する。
【0118】
人感センサ220は、例えば、赤外線センサ等によって実現されるが、カメラ等の任意の構成要素によって実現されてよい。
【0119】
車両空調機器230は、車両内の空調を制御するシステム(HVAC/Heating、Ventilation and Air Conditioning)である。車両空調機器230は、例えば、第2通風路120と接続されており、第2通風路120の第2吸気口121に空気(本実施の形態では、車室内の空気より温度の低い冷気)を送る。
【0120】
また、車両空調機器230は、例えば、ユーザの操作を受け付ける操作部を備える。操作部は、車両に搭載された入力インターフェースであり、人の操作入力を受け付けることで、例えば車両空調機器230の温度及び風量等の設定指示を受け付け、受け付けた設定指示を示す情報を情報処理部190に出力する。例えば、操作部は、人の操作入力を受け付けることで、車室内の設定温度、及び、車両空調機器230が吹き出す空気の温度を情報処理部190に出力することができる。つまり、情報処理部190は、車両空調機器230から第2通風路120に供給する空気の温度を示す情報を取得してもよい。このように、例えば、制御部192は、車両に配置された車両空調機器230が吹き出す空気の温度を示す空調温度情報を第2温度として用いてもよい。
【0121】
なお、この場合、例えば、車両用シート空調装置100は、第2温度センサ150を備えなくてもよい。
【0122】
また、操作部は、車両に配置されるタッチパネルディスプレイ等により実現されてもよいし、スマートフォン又はタブレット端末等により実現されてもよい。
【0123】
車室温度センサ240は、車両の車室内の温度を検知するセンサ(いわゆるインカセンサ)である。このように、車両用シート空調装置100が配置される車両には、車両の車室内の温度を検知するセンサが予め配置されている場合がある。このような場合、制御部192は、例えば、車両の車室内に配置され、当該車室内の温度を検出する車室温度センサ240により検出された温度を第1温度として用いてもよい。
【0124】
なお、この場合、例えば、車両用シート空調装置100は、第1温度センサ140を備えなくてもよい。
【0125】
なお、図示しないが、情報処理部190等を介して、送風機180及び調整部170等の車両用シート空調装置100が備える各装置に電力を供給する電源回路等を有する電源部を備えてもよい。例えば、電源部は、図示しないバッテリから供給される直流電源である。また、例えば、電源部は、情報処理部190によって制御されることで、送風機180及び調整部170に供給する電流を調節する。
【0126】
また、例えば、情報処理部190は、RTC(Real Time Clock)等の計時部を有してもよい。
【0127】
[処理手順]
続いて、車両用シート空調装置100が実行する処理手順について説明する。
【0128】
<概要>
図7は、実施の形態に係る車両用シート空調装置100の処理手順を示すフローチャートである。
【0129】
まず、制御部192は、車両用シート空調装置100が稼働中であるか否かを判定する(S110)。例えば、制御部192は、調整部170及び送風機180を駆動させているか否かを判定する。
【0130】
制御部192は、車両用シート空調装置100が稼働中ではないと判定した場合(S110でNo)、標準モードで動作を開始する(S120)。標準モードとは、例えば、制御部192が調整部170及び送風機180を、シートクッション20に標準体型の人が着座した場合に所定の温度及び所定の風量の空気を吐出口131から当該人に吹き付けるように制御するモードである。
【0131】
ステップS120の次に、又は、ステップS110で制御部192が、車両用シート空調装置100が稼働中であると判定した場合(S110でYes)、取得部191は、第1通風路110内、第2通風路120内、及び、第3通風路130内の温度、つまり、第1温度、第2温度、及び、第3温度を取得する(S130)。取得部191は、例えば、第1温度センサ140から第1温度を示す温度情報を取得し、第2温度センサ150から第2温度を示す温度情報を取得し、第3温度センサ160から第3温度を示す温度情報を取得する。取得部191は、車室温度センサ240から第1温度を示す温度情報を取得し、車両空調機器230から第2温度を示す温度情報を取得してもよい。
【0132】
次に、制御部192は、第1温度、第2温度、及び、第3温度に基づいて、配風比(つまり、上記したx)を算出する(S140)。
【0133】
次に、制御部192は、xがT1未満であるか否かを判定する(S150)。T1は、上記した第3閾値の一例である。つまり、制御部192は、xが第3閾値以上であるか否かを判定する。
【0134】
制御部192は、xがT1未満ではないと判定した場合(S150でNo)、つまり、シート10に人が着座していないと判定した場合、省エネモードで送風機180を動作させる(S160)。省エネモードとは、送風機180を低い出力で動作させるモードである。制御部192は、例えば省エネモードでは、送風機180を制御することで、上記した所定の回転数より少ない回転数となるように送風機180の回転数を調整する。
【0135】
制御部192は、xがT1未満であると判定した場合(S150でYes)、つまり、シート10に人が着座していると判定した場合、xとT2との差分の絶対値がTh1未満であるか否かを判定する(S170)。T2は、上記した目標値の一例であり、Th1は、上記した第1閾値の一例である。つまり、制御部192は、xと目標値との差分の絶対値が、第1閾値以上であるか否かを判定する。
【0136】
制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh1未満ではないと判定した場合(S170でNo)、つまり、xと目標値との差分の絶対値が第1閾値以上であると判定した場合、xが目標値となるドア開度を算出する(S180)。制御部192は、例えば、xと温度関係情報とに基づいて、ドア開度を算出する。例えば、制御部192は、調整前のドア開度を10%、20%、又は、30%等のように10%刻みで変更した場合に、xが目標値となるドア開度に最も近くなるドア開度を算出する。
【0137】
次に、制御部192は、調整部170を制御することで、算出したドア開度となるように、ドア開度を調整する(S190)。
【0138】
次に、制御部192は、送風機180を制御することで、吐出口131から吐出される風量が目標風量になるように送風機180の出力(例えば、回転数)を調整する(S200)。
【0139】
一方、制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh1未満であると判定した場合(S170でYes)、xとT2との差分の絶対値がTh2未満であるか否かを判定する(S210)。Th2は、上記した第2閾値の一例である。つまり、制御部192は、xと目標値との差分の絶対値が第2閾値以上であるか否かを判定する。
【0140】
制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh2未満ではないと判定した場合(S210でNo)、つまり、xと目標値との差分の絶対値が第1閾値未満であり第2閾値以上であると判定した場合、xが目標値となるドア開度を算出する(S220)。制御部192は、例えば、xと温度関係情報とに基づいて、ドア開度を算出する。例えば、制御部192は、調整前のドア開度を1%、2%、又は、3%等のように1%刻みで変更した場合に、xが目標値となるドア開度に最も近くなるドア開度を算出する。次に、制御部192は、調整部170を制御することで、算出したドア開度となるように、ドア開度を調整する(S230)。
【0141】
なお、制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh2未満ではないと判定した場合、送風機180の出力を調整しなくてもよい。
【0142】
一方、制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh2未満であると判定した場合(S210でYes)、処理を終了し、現在の状態を維持するように調整部170及び送風機180を制御する。
【0143】
車両用シート空調装置100は、例えば、上記した処理を10秒おき等定期的に実行することで、所定の温度及び所定の風量の空気を吐出口131から吐出させるように調整部170及び送風機180を制御する。
【0144】
<具体例>
続いて、
図7に示すフローチャートを用いて、車両用シート空調装置100の具体的な処理手順について説明する。なお、以下で説明する具体例で示す数値は、あくまで一例であって、実際に用いられる数値とは異なり得る。本実施の形態で用いられる数値は、任意に設定されてもよい。
【0145】
以下で説明する具体例では、シート10の人の着座の有無を判定するための閾値であるT1を0.8として説明する。また、配風比の目標値であるT2を0.5として説明する。また、現在の配風比と目標値との乖離が大きいと判定するための閾値であるTh1を0.1として説明する。また、現在の配風比が目標値に到達したと判定するための閾値であるTh2を0.01として説明する。
【0146】
まず、車両用シート空調装置100が稼働する前に、標準体型より体格の大きい人がシート10に着座したとする。このときに、例えば、当該人が、図示しない入力装置等に、車両用シート空調装置100を稼働させる指示を入力したとする。車両用シート空調装置100は、例えば、当該指示を取得した場合に、ステップS110においてNoと判定し、ステップS120において標準モードで動作を開始する。ここでは、制御部192は、ドア開度が50%且つ送風機出力が50%となるように、調整部170及び送風機180を制御したとする。
【0147】
なお、送風機180を稼働させた直後は、第1通風路110内、第2通風路120内、及び、第3通風路130内の空気の温度が安定しない可能性があるため、情報処理部190は、ステップS120を実行してからステップS130を実行するまで、数十秒等の所定の時間待機してもよい。このような時間を示す時間情報は、任意に定められてよく、例えば記憶部194に予め記憶される。
【0148】
次に、取得部191が、ステップS130において、第1温度(上記したa)が33℃であり、第2温度(上記したb)が25℃であり、第3温度(上記したc)が29℃である温度情報を取得したとする。この場合、制御部192は、ステップS140において、xを0.25と算出する。
【0149】
次に、制御部192は、xがT1より小さい(x=0.25<T1=0.8)ため、ステップS150においてYesと判定する。
【0150】
次に、制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh1より大きい(|x-T2|=0.25>Th1=0.1)ため、ステップS170においてNoと判定する。
【0151】
次に、制御部192は、ステップS180~ステップS200において、算出したxと、
図5に示す温度関係情報と、
図6に示す出力関係情報とに基づいて、調整部170を制御することでドア開度を50%から40%に調整し、且つ、送風機180を制御することで送風機出力を50%から70%に調整する。
【0152】
次に、車両用シート空調装置100は、例えば10秒後に、ステップS110から処理を再度開始する。
【0153】
制御部192は、車両用シート空調装置100が既に稼働中であるため、ステップS110においてYesと判定する。
【0154】
次に、取得部191が、ステップS130において、第1温度が33℃であり、第2温度が25℃であり、第3温度が28.5℃である温度情報を取得したとする。この場合、制御部192は、ステップS140において、xを0.43と算出する。
【0155】
次に、制御部192は、xがT1より小さい(x=0.43<T1=0.8)ため、ステップS150においてYesと判定する。
【0156】
次に、制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh1より小さい(|x-T2|=0.07<Th1=0.1)ため、ステップS170においてYesと判定する。
【0157】
次に、制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh2より大きい(|x-T2|=0.07>Th2=0.01)ため、ステップS210においてNoと判定する。
【0158】
次に、制御部192は、ステップS220~ステップS230において、算出したxと、
図5に示す温度関係情報とに基づいて、調整部170を制御することでドア開度を40%から39%に調整する。また、制御部192は、送風機出力を70%で維持する。
【0159】
次に、車両用シート空調装置100は、例えばさらに10秒後に、ステップS110から処理を再度開始する。
【0160】
制御部192は、車両用シート空調装置100が既に稼働中であるため、ステップS110においてYesと判定する。
【0161】
次に、取得部191が、ステップS130において、第1温度が33℃であり、第2温度が25℃であり、第3温度が29℃である温度情報を取得したとする。この場合、制御部192は、ステップS140において、xを0.5と算出する。
【0162】
次に、制御部192は、xがT1より小さい(x=0.5<T1=0.8)ため、ステップS150においてYesと判定する。
【0163】
次に、制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh1より小さい(|x-T2|=0<Th1=0.1)ため、ステップS170においてYesと判定する。
【0164】
次に、制御部192は、xとT2との差分の絶対値がTh2より小さい(|x-T2|=0>Th2=0.01)ため、ステップS210においてYesと判定する。この場合、制御部192は、ドア開度を39%に維持し、且つ、送風機出力を70%で維持する。
【0165】
なお、制御部192は、所定の条件を満たす場合に、温度関係情報及び出力関係情報を第1温度、第2温度、及び、第3温度に基づいて補正してもよい。
【0166】
シート10に人が着座していない状態であれば、ドア開度50%及び送風機出力50%等のように、ドア開度及び送風機出力を特定の条件であれば、xの値は特定の値(例えば、第3閾値であり、本実施の形態では0.8)になる。
【0167】
しかしながら、シート10に目詰まりなどによって第1吸気口111の一部がふさがれると、当該特定の条件であっても、xが特定の値とは異なる値となる。
【0168】
そこで、例えば、シート10に人が着座していない状態のxを算出して、当該xに基づいて、温度関係情報及び出力関係情報を補正する。
【0169】
図8は、実施の形態に係る温度関係情報の補正を説明するための図である。なお、
図8にグラフで示す実線は
図5に示す温度関係情報と同じ補正前の温度関係情報であり、
図8にグラフで示す一点鎖線は補正前の温度関係情報を補正した温度関係情報(補正後の温度関係情報)である。
【0170】
まず、制御部192は、所定の条件を満たすか否かを判定し、当該所定の条件を満たすと判定した場合、温度関係情報及び出力関係情報を補正する処理(補正処理)を開始する。
【0171】
所定の条件を満たす場合とは、例えば、シート10に人が着座していない状態である場合、または、シート10に所定の人が着座した状態である場合である。
【0172】
制御部192は、例えば、車両のイグニッション(電源)のオフを検出し、車両のドアの開閉を検出し、さらに、車両のドアの施錠が検出された場合に、車両に乗員が載っていない、つまり、シート10に人が着座していないと判定する。車両は、これらの検出を行う各種センサを備え、取得部191は、当該各種センサからこれらの検出結果を取得してもよい。
【0173】
あるいは、シート10に人が着座しているか否かは、人感センサ220の検出結果に基づいて判定されてもよい。
【0174】
所定の人は、予め任意に定められてよく、特に限定されない。所定の人は、例えば、正常時(具体的には、目詰まりなどによって第1吸気口111の一部がふさがれていない場合)の、特定の条件におけるxの値が予め分かっている人である。例えば、取得部191は、カメラで撮影された所定の人の画像を取得し、記憶部194に記憶させる。制御部192は、例えば、当該画像と、シート10に着座している人を撮影するカメラの撮影結果とに基づいて、シート10に所定の人が着座しているか否かを判定してもよい。あるいは、取得部191は、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等の入力装置から、所定の人が着座している旨を示す情報を取得してもよい。
【0175】
また、当該入力装置を介してユーザから温度関係情報及び/又は出力関係情報を補正する処理を開始する指示を受け付けた場合、制御部192は、所定の条件を満たすと判定して補正処理を開始してもよい。
【0176】
制御部192は、所定の条件を満たすと判定した場合、ドア開度及び送風機出力が特定の条件となるように、調整部170及び送風機180を制御する。
【0177】
なお、特定の条件は、予め任意に定められてよく、特に限定されない。本実施の形態では、特定の条件は、ドア開度50%及び送風機出力50%である。当該特定の条件を示す情報は、例えば、記憶部194に予め記憶されている。
【0178】
取得部191は、当該特定の条件となるように調整部170及び送風機180が制御されている状態における、第1温度、第2温度、及び、第3温度を、第1温度センサ140、第2温度センサ150、及び、第3温度センサ160から取得する。制御部192は、取得された第1温度、第2温度、及び、第3温度に基づいてxを算出する。
【0179】
ここで、シート10に特に目詰まり等がない状態でxが算出された場合、例えば、
図8の実線で示す補正前の温度関係情報の「着座なし」のように、x(配風比)が0.8であるとする。一方、例えば、制御部192が、所定の条件を満たす場合に算出したxが0.7だったとする。
【0180】
この場合、例えば、制御部192は、補正前の温度関係情報においてxが0.8の場合のドア開度(
図8に示す例では70%)と、xが0.7の場合に同じドア開度(つまり、70%)となるように、温度関係情報を補正する。例えば、制御部192は、
図8に実線で示す温度関係情報を、
図8に一点鎖線で示す温度関係情報となるように補正する。
【0181】
これにより、例えば、xが0.5の場合、補正前の温度関係情報が用いられるとドア開度が50%と算出されるところが、補正後の温度関係情報が用いられるとドア開度が57%と算出される。また、例えば、xが0.25の場合、補正前の温度関係情報が用いられるとドア開度が40%と算出されるところが、補正後の温度関係情報が用いられるとドア開度が47%と算出される。つまり、補正前より補正後の方が第1吸気口111に対して第2吸気口121から空気が多く吸い込まれる。
【0182】
図9は、実施の形態に係る出力関係情報の補正を説明するための図である。なお、
図9にグラフで示す実線は
図6に示す出力関係情報と同じ補正前の出力関係情報であり、
図9にグラフで示す一点鎖線は補正前の出力関係情報を補正した出力関係情報(補正後の出力関係情報)である。
【0183】
制御部192は、特定の条件となるように調整部170及び送風機180が制御されている状態における、第1温度、第2温度、及び、第3温度を用いて算出したxに基づいて、出力関係情報を補正する。具体的には、制御部192は、算出したxに基づいて決定される補正後の温度関係情報に基づいて、出力関係情報を補正する。
【0184】
例えば、制御部192は、補正前の出力関係情報においてはドア開度が50%で送風機出力が50%と算出されるところを、補正後の出力関係情報においてはドア開度が57%で送風機出力が50%と算出されるように、出力関係情報を補正する。また、例えば、制御部192は、補正前の出力関係情報においてはドア開度が40%で送風機出力が70%と算出されるところを、補正後の出力関係情報においてはドア開度が47%で送風機出力が70%と算出されるように、出力関係情報を補正する。また、つまり、算出されるxについて、補正前の温度関係情報に基づくドア開度に対応する送風機出力と、補正後の温度関係情報に基づくドア開度に対応する送風機出力と、が同じになるように出力関係情報を補正する。
【0185】
以上のように、例えば、制御部192は、シート10に人が着座していない状態、または、シート10に所定の人が着座した状態における、第1温度と、第2温度と、第3温度とに基づいて、温度関係情報を補正する。また、例えば、制御部192は、シート10に人が着座していない状態、または、シートに所定の人が着座した状態における、第1温度と、第2温度と、第3温度とに基づいて、出力関係情報を補正する。
【0186】
制御部192は、例えば、第1温度と、第2温度と、第3温度とに基づいて、算出したxと開度との相関関係が互いに異なる複数の温度関係情報の中から1つの温度関係情報を選択することで、温度関係情報を補正する。また、例えば、制御部192は、第1温度と、第2温度と、第3温度とに基づいて、送風機180の回転数(送風機出力)と開度(ドア開度)との相関関係が互いに異なる複数の出力関係情報の中から1つの出力関係情報を選択することで、出力関係情報を補正する。複数の温度関係情報及び複数の出力関係情報は、例えば、xの値と紐付けられて記憶部194に予め記憶されている。
【0187】
なお、制御部192は、xの値に応じて予め定められた算出方法によって、記憶部194に記憶されている温度関係情報及び出力関係情報を変更してもよい。
【0188】
また、制御部192は、シート10に人が着座していない状態における、第1温度、第2温度、及び、第3温度に基づいてxを算出し、算出したxが第3閾値より低い第4閾値以下である場合、第1吸気口111が目詰まりを起こしている旨を示す情報を通知機器210に通知させてもよい。
【0189】
算出されるxがあまりにも小さい場合、シート10(具体的には、座面21)において目詰まりが多く状態が悪いことが考えられる。そこで、このような場合には、制御部192は、例えば、シート10が目詰まりを起こしている旨を示す情報を通知機器210によってユーザに通知させることで、ユーザにシート10の目詰まりの状態の改善を促す。
【0190】
なお、第4閾値は、予め任意に定められてよく、特に限定されない。例えば、第4閾値は、0.7のように定められる。第4閾値は、第3閾値-所定の値のように定められてもよい。
【0191】
また、例えば、制御部192は、シート10に人が着座していない状態における、第1温度、第2温度、及び、第3温度に基づいてxを算出し、算出したxが第3閾値(例えば、記憶部194に記憶されている0.8等の第3閾値)と異なる場合、当該第3閾値を算出したxに変更してもよい。これによれば、シート10に人が着座しているか否かの判定に第3閾値が用いられる際に、例えばシート10に目詰まり等があっても適切な値が第3閾値に設定される。
【0192】
[効果等]
以上説明したように、実施の形態に係る車両用シート空調装置100は、車両に配置されるシート10に用いられる空調装置であって、シート10に着座する人側に位置する面であるシート10の表面(本実施の形態では、座面21)に設けられる第1吸気口111から送風機180によって吸い込まれた空気が通る第1通風路110を備える。シート10におけるシート10の表面以外の個所(本実施の形態では、下面22)に設けられる第2吸気口121から送風機180によって吸い込まれた空気が通る第2通風路120と、第1通風路110及び第2通風路120の少なくとも一方から導かれた空気を、シート10に着座する人側に位置する面であるシートバック30の表面(本実施の形態では、前面31)に設けられる吐出口131まで導く第3通風路130と、を備える。
【0193】
このような構造では、シート10に着座した人の座り方又は体格等によって、第1吸気口111の塞がり方が異なる。そのため、第1吸気口111から吸い込まれた空気と第2吸気口121から吸い込まれた空気とが混合されることで温度が調整されて空気が吐出口131から吐出される構造では、シート10に着座した人の座り方又は体格等によって、吐出口131から吐出される空気の温度が異なる。例えば、標準体型の人に対して体格の大きな人がシート10に着座した場合、第1吸気口111からの風量が減少するため、配風比が変わる。
【0194】
そこで、車両用シート空調装置100は、第1接続口112の開度と第2接続口122の開度(つまり、上記したドア開度)を調整することで、流量比率を調整する調整部170と、制御部192とを備える。制御部192は、第1温度、第2温度、及び、第3温度に基づいて調整部170を制御してドア開度を調整することで、流量比率を調整する。
【0195】
これによれば、制御部192は、調整部170を制御することで、カメラ等を用いてシート10に着座した人の座り方又は体格等を検出することなく、且つ、シート10に着座した人の座り方又は体格等によらず、シート10に着座している人に対して吹き付ける空気の温度を適切な温度に調整できる。そのため、車両用シート空調装置100によれば、コストの向上を抑制しつつ且つシート10に着座している人に対して快適な空調環境を提供できる。
【0196】
例えば、様々な体格の人がシート10に着座した場合の配風比をテーブル化又は近似関数化し、そこから配風比を元に戻すためのドア171の開口部(第1接続口112及び第2接続口122)の変更量のデータと、風量を元に戻すための送風機180の回転数の変更量のデータとを予め取得しておく。制御部192は、このように取得されたデータを参照し、ドア171の角度と送風機180の回転数とを変更することで、当初と同じ風量と配風比にすることができる。
【0197】
なお、目標となる配風比とするために、ドア171の開閉量をフィードバック制御するという手法が採用されてもよい。
【0198】
これにより、シート10に着座した人には、当該人の体型に関わらず快適な温冷感を得ることが可能となる。
【0199】
また、上記した通り、第1吸気口111から吸い込まれる空気の量は、シート10に着座した人の体格によって変わりやすいと想定される。一方、第2吸気口121から吸い込まれる空気の量、及び、吐出口131から吐出される空気の量は、シート10に着座した人の体格によって変わりにくいと想定される。そこで、シート10に人が着座していない状態、及び、標準体型の人がシート10に着座した状態での配風比を示すデータを予め取得しておく。これにより、制御部192は、実際の配風比を算出した場合にシート10に着座した人の体型又は着座状態を判定し、取得したデータを用いて送風機180の回転数及びドア開度を変更することで、第1吸気口111から吸い込まれる空気の量及び温度、並びに、吐出口131から吐出される空気の量及び温度を適切な状態に保ち、快適性を確保する。例えば、本実施の形態のように、車両空調機器230が吹き出す空気のように第2吸気口121から吸い込まれる空気の温度が調整できるような場合には、吐出口131から吐出させる空気の温度を適切な状態に維持できる。
【0200】
また、例えば、制御部192は、xと目標値と温度関係情報とに基づいて、ドア開度を調整する。本実施の形態では、制御部192は、xと目標値との差の絶対値が第1閾値以上である場合、ドア開度を第1変化量変更するように調整し、当該絶対値が第1閾値未満である場合、当該絶対値が第2閾値以上であるとき、ドア開度を第1変化量より小さい第2変化量変更するように調整部170を制御する。
【0201】
xと目標値との差が非常に大きい場合、ドア開度を一度に大きく変更すると、アクチュエータ172の性能によってはドア171の位置が適切な位置とならず所望のドア開度からずれる懸念がある。また、xと目標値との差が非常に大きい場合、ドア開度を大きく変更すると、吐出口131から吐出される空気の温度が急激に変化してシート10に着座している人が不快に感じることが懸念される。そこで、制御部192は、絶対値の大きさ、つまり、xと目標値との差の大きさに応じて、10%刻み又は1%刻み等のようにドア開度の調整量とすることで、適切にドア開度を調整しつつ、且つ、吐出口131から吐出される空気の温度が急激に変化してシート10に着座している人が不快に感じることを抑制できる。
【0202】
また、例えば、制御部192は、第1温度、第2温度、及び、第3温度に基づいて、送風機180の回転数を調整する。例えば、制御部192は、xが第3閾値以上の場合、シート10に人が着座していないと判定して、省エネモードに移行し送風機180の回転数を少なくする。
【0203】
これによれば、例えば、車室内の空気を循環させる等の目的で吐出口131から吐出させる空気の風量があまり必要ない場合に、不要に回転数を増やして消費電力が高くなることを抑制できる。
【0204】
なお、このような場合には、制御部192は、送風機180を停止させてもよい。
【0205】
また、制御部192は、人感センサ220の検出結果と、xに基づくシート10に人が着座しているか否かの判定結果とが一致しない場合、一致しない旨を示す情報を出力してもよい。
【0206】
人感センサ220の検出結果と、制御部192による判定結果とが一致しない場合、具体的には、人感センサ220が非着座(つまり、シート10に人が着座していない)と判定したのにも関わらず、制御部192の配風比に基づく着座判定では着座(つまり、シート10に人が着座している)と判定された場合、例えば、第1吸気口111がゴミ等により目詰まりしていて、第1吸気口111から適切に空気を吸い込むことができていない可能性がある。このような状態である場合、ドア開度が調整されても吐出口131から吐出される空気の温度及び風量は、適切な状態とならない可能性がある。そこで、例えば、出力部193は、一致しない旨を示す情報として第1吸気口111が目詰まりしている可能性がある等の情報を通知機器210によってユーザに通知する。これによれば、ユーザに吐出口131の掃除等を促すことができるため、吐出口131から吐出される空気の温度及び風量は、適切な状態とならないことを抑制でき得る。
【0207】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0208】
例えば、第1吸気口111及び第2吸気口121の少なくとも一方は、シートバック30に形成されていてもよい。また、第2吸気口121は、HVACの吐出口(例えば、センターコンソール内のダクト)に対向するように設けられていてもよい。
【0209】
また、例えば、第2吸気口121は、第1吸気口111と同様に車室内に向けて開口していてもよい。また、例えば、第1吸気口111は、車両空調機器230と接続されていてもよい。
【0210】
また、例えば、第1吸気口111、第2吸気口121、及び、吐出口131のそれぞれの数は、1つでもよいし複数でもよく、任意でよい。
【0211】
また、例えば、調整部170は、第1接続口112の開度を調整するためのドアと、第2接続口122の開度を調整するためのドアとを、それぞれ個別に備えてもよい。また、例えば、第1接続口112の開度と第2接続口122の開度とを調整するための機構は、ドア等の板体等でなく、絞り弁等であってもよい。これらによれば、第1接続口112及び第2接続口122の一方の開度が変更されても他方の開度が変更されないため、それぞれの開度の調整を精度よく変更しやすくできる。
【0212】
また、例えば、第2吸気口121は、シートバック30の前面31とは反対側の面である後面32、又は、ヘッドレスト40においてシート10に着座している人の頭部が接触しない面等に設けられてもよい。
【0213】
また、例えば、車両用シート空調装置100は、
図4に示す全ての構成要素を必ずしも備えなくてもよい。例えば、車両用シート空調装置100は、第1温度センサ140を備えなくてもよい。また、例えば、車両用シート空調装置100は、第2温度センサ150を備えなくてもよい。
【0214】
また、例えば、車両用シート空調装置100は、送風機180の風量を調節する機能を有していてもよい。この場合、制御部192は、冷房時の際、送風機の風量を「強」にした場合、吐出口131から吐出させる空気の目標温度(目標吐出温度)を低い温度に補正してもよく、送風機180の風量を「弱」にした場合、目標吐出温度を高い温度に補正してもよい。
【0215】
また、例えば、暖房及び冷房を実行できるエアコンディショナ等の空調装置が別途搭載されていてもよい。また、車両用シート空調装置100は、当該の空調装置から吹き出された空調空気を直接的に吸気することができてもよい。
【0216】
また、例えば、シート10には、シートヒータが備えられていてもよい。シートヒータは、車両等のシートクッション20及びシートバック30の少なくとも一方に設けられ、発熱して加熱することで、人の背部、腰部、臀部、大腿部及び等を温める。シートヒータは、加熱設定によりシート10を加熱し、非加熱設定によりシート10を加熱しない。シートヒータは、基材と、ヒータ線とを有していてもよい。基材は、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によって形成された不織布、布状のウレタン等の発泡性樹脂等であってもよい。ヒータ線は、ヒータ線に供給する電力を制御するための制御部192等と電気的に接続され、制御部192で制御された電源部からの電力によって、発熱する導電線であってもよい。制御部192は、ヒータ線に流す電流をオンオフしたり、電流値を変更することでヒータ線の発熱量を制御したりすることができてもよい。
【0217】
また、例えば、第1温度より第2温度の方が、温度が高くてもよい。例えば、車両空調機器230は、第2通風路120に、車室内よりも温度が高い空気を送ってよい。
【0218】
また、第3温度センサ160は、送風機180に対して吐出口131側にあってもよいし、第1吸気口111及び第2吸気口121側にあってもよい。
【0219】
また、例えば、車両用シート空調装置100が備える制御部192等の各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0220】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0221】
なお、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0222】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、上記実施の形態で例示された数字に限定されない。
【0223】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0224】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0225】
また、上記した制御部192が実行する方法は、1以上の任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0226】
その他、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0227】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0228】
<技術1>
車両に配置され、シートバック及びシートクッションを有するシートに用いられる車両用シート空調装置であって、
前記シートに内蔵される送風機と、
前記シートに着座する人側に位置する面である前記シートの表面に設けられる第1吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第1通風路と、
前記第1吸気口と異なる吸気口であり、前記シートにおける前記シートの表面以外の個所に設けられる第2吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第2通風路と、
前記第1通風路及び前記第2通風路の少なくとも一方から導かれた空気を、前記シートに着座する前記人側に位置する面である前記シートバックの表面に設けられる吐出口まで導く第3通風路と、
前記第1通風路から前記第3通風路に導かれる空気の流量と、前記第2通風路から前記第3通風路に導かれる空気の流量との比率を調整するために、前記第1通風路と前記第3通風路とをつなぐ第1接続口と、前記第2通風路と前記第3通風路とをつなぐ第2接続口とのそれぞれの開度を調整することで前記比率を調整する調整部と、
前記送風機及び前記調整部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1通風路内の温度である第1温度、前記第2通風路内の温度である第2温度、及び、前記第3通風路内の温度である第3温度に基づいて前記調整部を制御して前記開度を調整することで、前記比率を調整する
車両用シート空調装置。
【0229】
<技術2>
前記制御部は、前記第1温度をaとし、前記第2温度をbとし、前記第3温度をcとした場合に、下記の式(1)により算出されるxに基づいて、前記比率を調整し、
前記式(1)は、x=(c-b)/(a-b)である
技術1に記載の車両用シート空調装置。
【0230】
<技術3>
前記制御部は、前記xと目標値との差の絶対値が第1閾値以上である場合、前記xと前記開度との相関関係を示す温度関係情報に基づいて、前記xが前記目標値になるように前記開度を第1変化量変更するように調整する
技術2に記載の車両用シート空調装置。
【0231】
<技術4>
前記制御部は、前記絶対値が前記第1閾値未満である場合、
前記絶対値が第2閾値以上であるとき、前記温度関係情報に基づいて、前記xが前記目標値になるように前記開度を前記第1変化量より小さい第2変化量変更するように前記調整部を制御し、
前記絶対値が前記第2閾値未満であるとき、前記開度を変更しないように前記調整部を制御する
技術3に記載の車両用シート空調装置。
【0232】
<技術5>
前記制御部は、
前記シートに前記人が着座しているか否かを検出するための人感センサの検出結果を取得し、
前記xに基づいて、前記シートに前記人が着座しているか否かを判定し、
前記xに基づく前記シートに前記人が着座しているか否かの判定結果と前記検出結果とが一致しない場合、前記判定結果と前記検出結果とが一致しない旨を示す情報を出力する
技術2~4のいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【0233】
<技術6>
前記制御部は、
前記xに基づいて、前記シートに前記人が着座しているか否かを判定し、
前記シートに前記人が着座していると判定した場合、所定の回転数となるように前記送風機の回転数を調整し、
前記シートに前記人が着座していないと判定した場合、前記所定の回転数より少ない回転数となるように前記送風機の回転数を調整する
技術2~5のいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【0234】
<技術7>
前記制御部は、
前記xが第3閾値以上である場合、前記シートに前記人が着座していないと判定し、
前記xが前記第3閾値未満である場合、前記シートに前記人が着座していると判定する
技術5又は6に記載の車両用シート空調装置。
【0235】
<技術8>
前記制御部は、前記第1温度、前記第2温度及び前記第3温度に基づいて、前記送風機を制御することで、前記送風機の回転数を調整する
技術1~7のいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【0236】
<技術9>
前記制御部は、前記送風機の回転数と前記開度との相関関係を示す出力関係情報に基づいて、前記送風機の回転数を調整する
技術1~8のいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【0237】
<技術10>
前記第3温度を検出する第3温度センサは、前記第3通風路内に設けられる
技術1~9のいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【0238】
<技術11>
前記第1温度を検出する第1温度センサは、前記第1通風路内に設けられる
技術1~10のいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【0239】
<技術12>
前記制御部は、前記車両の車室内に配置され、当該車室内の温度を検出する車室温度センサにより検出された温度を前記第1温度として用いる
技術1~11のいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【0240】
<技術13>
前記第2温度を検出する第2温度センサは、前記第2通風路内に設けられる
技術1~12のいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【0241】
<技術14>
前記制御部は、前記車両に配置された車両空調機器が吹き出す空気の温度を示す空調温度情報を前記第2温度として用いる
技術1~13のいずれか1つに記載の車両用シート空調装置。
【0242】
<技術15>
前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態、または、前記シートに所定の人が着座した状態における、前記第1温度と、前記第2温度と、前記第3温度とに基づいて、前記温度関係情報を補正する
技術3又は4に記載の車両用シート空調装置。
【0243】
<技術16>
前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態、または、前記シートに所定の人が着座した状態における、前記第1温度と、前記第2温度と、前記第3温度とに基づいて、前記出力関係情報を補正する
技術9に記載の車両用シート空調装置。
【0244】
<技術17>
前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態における、前記第1温度、前記第2温度、及び、前記第3温度に基づいて前記xを算出し、
算出した前記xが前記第3閾値より低い第4閾値以下である場合、前記第1吸気口が目詰まりを起こしている旨を示す情報を通知部に通知させる
技術7に記載の車両用シート空調装置。
【0245】
<技術18>
前記制御部は、前記シートに前記人が着座していない状態における、前記第1温度、前記第2温度、及び、前記第3温度に基づいて前記xを算出し、
算出した前記xが前記第3閾値と異なる場合、前記第3閾値を算出した前記xに変更する
技術7に記載の車両用シート空調装置。
【産業上の利用可能性】
【0246】
本開示は、例えば車両に配置されるシートに着座した人に対する空調を制御する装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0247】
10 シート
20 シートクッション
21 座面
22 下面
30 シートバック
31 前面
32 後面
40 ヘッドレスト
100 車両用シート空調装置
110 第1通風路
111 第1吸気口
112 第1接続口
120 第2通風路
121 第2吸気口
122 第2接続口
130 第3通風路
131 吐出口
140 第1温度センサ
150 第2温度センサ
160 第3温度センサ
170 調整部
171 ドア
172 アクチュエータ
180 送風機
190 情報処理部
190A ECU
191 取得部
192 制御部
193 出力部
194 記憶部
210 通知機器
220 人感センサ
230 車両空調機器
240 車室温度センサ