(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129238
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】パッケージ構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H01L25/08 J
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022183955
(22)【出願日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202210232068.7
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521133551
【氏名又は名称】ズハイ アクセス セミコンダクター シーオー.,エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Zhuhai Access Semiconductor Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】チェン ケンメイ
(72)【発明者】
【氏名】ク キオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フアン ガオ
(72)【発明者】
【氏名】フアン ベンキア
(72)【発明者】
【氏名】リン ウェンジアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】パッケージ構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】パッケージ構造は、硬質板領域100と、折り返し領域200と、ファンアウト領域300とを含む複数のパッケージユニットを含み、パッケージ構造において、パッケージユニットの硬質板領域は積層設置され、ファンアウト領域の一部又は全部にはダイ20がパッケージングされ、ダイがパッケージングされているファンアウト領域の一部又は全部は、折り返し領域を介して曲げられた後、硬質板領域に積層設置される。このように設計すると、各ファンアウト領域を別々にパッケージングしてから、積層してパッケージングすることにより、ダイとダイとの間、ダイと基板との間の相互接続を実現して、パッケージユニット同士が互いに干渉しない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質板領域と、折り返し領域と、ファンアウト領域とを含む複数のパッケージユニットを含み、
前記パッケージユニットの前記硬質板領域は積層設置され、前記ファンアウト領域の一部又は全部にはダイがパッケージングされ、ダイがパッケージングされている前記ファンアウト領域の一部又は全部は、前記折り返し領域を介して曲げられた後、前記硬質板領域に積層設置される、
ことを特徴とするパッケージ構造。
【請求項2】
前記パッケージユニットは、フレキシブル材料で製造されたフレキシブル板であるフレキシブル誘電体層と、前記フレキシブル誘電体層の片側に設置された第1の回路層とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項3】
前記パッケージユニットは、フレキシブル材料で製造されたフレキシブル板であるフレキシブル誘電体層と、前記フレキシブル誘電体層の片側に設置された銅箔層とを含むフレキシブル銅張り積層板を含み、前記第1の回路層は前記銅箔層に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項4】
前記パッケージユニットは、前記硬質板領域に、1つのダイ又は垂直に積層された複数のダイがパッケージングされている、
ことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載のパッケージ構造。
【請求項5】
前記パッケージユニットは、前記ファンアウト領域に、前記1つのダイ又は垂直に積層された複数のダイがパッケージングされている、
ことを特徴とする請求項4に記載のパッケージ構造。
【請求項6】
少なくとも2つの前記ファンアウト領域は、前記硬質板領域にする延在方向が異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項7】
前記パッケージ構造は、前記硬質板領域には積層方向に沿って延在する銅ピラーが設置されていて、かつ、前記硬質板領域の両側には、前記銅ピラーと連通する第2の回路層が設置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ構造。
【請求項8】
前記第2の回路層の外側にはソルダーマスク層及び表面処理層が設置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のパッケージ構造。
【請求項9】
前記折り返し領域及び前記ファンアウト領域において、前記フレキシブル誘電体層の前記第1の回路層から離れた側に補強シートが設置されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のパッケージ構造。
【請求項10】
前記折り返し領域及び前記ファンアウト領域において、前記第1の回路層の前記フレキシブル誘電体層から離れた側に絶縁のためのカバーフィルムが設置されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のパッケージ構造。
【請求項11】
A)硬質板領域と、折り返し領域と、ファンアウト領域とを含むフレキシブル基板を提供するステップと、
B)フレキシブル基板の片側に第1の回路層を形成するステップと、
C)硬質板領域に、複数枚のフレキシブル基板を圧着して粘着させ、多層積層構造を形成するステップと、
D)多層積層構造の硬質板領域に、層間接続のための銅ピラーを製造するステップと、
E)多層積層構造の硬質板領域の両側に、銅ピラーに接続される第2の回路層を製造するステップと、
F)折り返し領域及びファンアウト領域の両側にある多層積層構造の誘電体材料を除去するステップと、
G)ダイをパッケージングし、ファンアウト領域の一部又は全部を、折り返し領域を介して曲げた後、硬質板領域に積層設置するステップと、を含む、
ことを特徴とするパッケージ構造の製造方法。
【請求項12】
前記ステップA及びステップBは、
フレキシブル誘電体層と、フレキシブル誘電体層の両側に位置する銅箔層とを含む複数枚のフレキシブル銅張り積層板を提供するステップと、
第1の回路層を製造しようとする面に感光性エッチング防止フィルムを貼り付け、他方の面にフィルムを貼り付ける必要がないステップと、
感光性エッチング防止フィルムが貼り付けられたフレキシブル基板を片面露光するステップと、
現像によりエッチングしようとする銅箔層を露出させるステップと、
フレキシブル誘電体層の両側に露出した銅箔層をエッチングして第1の回路層を形成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記ステップBは、さらに、
第1の回路層のフレキシブル誘電体層から離れた側全面に絶縁のためのカバーフィルムを圧着するステップと、
折り返し領域及びファンアウト領域にパターン転写の方法でカバーフィルムを保留するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記ステップCは、
積層の順序に従って、粘着する必要のある回路面に粘着シートを予め貼り付けるステップと、
折り返し領域及びファンアウト領域に耐高温剥離型接着剤を予め貼り付けるステップと、
フレキシブル基板の非粘着面に絶縁誘電体層を圧着するステップと、
多層のフレキシブル基板を圧着して粘着させ、多層積層構造を形成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項15】
前記ステップDは、
多層積層構造の硬質板領域に機械的ドリル加工を施して層間導通用のビアホールを形成するステップと、
多層積層構造の表面にシード層を製造するステップと、
感光性めっき防止ドライフィルムを貼り付け、パターン転写の方法により電気めっきで埋め込む必要のある穴を露出させるステップと、
電気めっきで穴を埋め込むステップと、
感光性めっき防止ドライフィルムを貼り付け、パターン転写の方法により銅ピラーを製造する必要のある位置を露出させるステップと、
電気めっきにより銅ピラーを製造するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項16】
前記ステップEは、
パターン転写の方法で第2の回路層を製造するステップと、
第2の回路層の外側にソルダーマスク層及び表面処理層を製造するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、半導体パッケージ技術の分野に関し、特に、パッケージ構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品の微細化は、現在の発展傾向であり、それにより、半導体業界に、集積される機能が拡大し、パッケージ密度が増加する傾向がある。半導体のパッケージングテスト分野において、従来のパッケージ方法では、基板のXY方向に複数のダイ又は素子を設置してパッケージ機能の集積化を向上させるが、この方法は、すなわちXY方向のパッケージ面積が増加して、製品の微細化に不利であるという自体の欠陥を有している。したがって、現在、パッケージ技術の発展方向は、より高度なパッケージ方法を採用してパッケージ面積を小さくすることである。
【0003】
従来のパッケージ技術では、MCP(Multiple Chip Package)マルチダイパッケージとPoP(Package on Package)パッケージオンパッケージ技術で、Z方向における積層を実現でき、それにより、X、Y方向のパッケージ面積を小さくする。
【0004】
MCPパッケージ技術は、1つのプラスチックハウジング内に複数のダイをZ方向に積層して、パッケージの集積化を実現すると同時に、XY方向の微細化を図ることができる。MCPパッケージダイの積層方法は、ピラミッド型積層と、フローティング型積層とに分けられ、ピラミッド型積層は、積層されたダイのサイズ及び積層順序を限定し、フローティング型積層は、同様にダイのサイズを限定するとともに、ダイがフローティングしているため、応力の問題によるダイ、特に薄いダイにクラックが発生しやすく、フローティング位置に配線する必要のある製品は、リスクがより高い。
【0005】
PoPパッケージについて、2つのパッケージ体間の相互接続、通常はBGA(Ball Grid Array,ボールグリッドアレイ)相互接続を実現する必要があるため、相互接続の位置で電気的導通と物理的間接的機能を兼ね備えるが、多くの場合、CTE(coefficient of thermal expansion,熱膨張係数)の違いなどの要因により、パッケージ体間に応力が存在し、その応力によってパッケージ体に反りが発生し、さらにパッケージ体とパッケージ体との間の相互接続、及び下層パッケージ体とマザー基板との間の相互接続が無効になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑みて、本願の実施例の目的は、パッケージ構造及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様において、本願の実施例は、パッケージ構造を提供し、前記パッケージ構造は、硬質板領域と、折り返し領域と、ファンアウト領域とを含む複数のパッケージユニットを含み、
前記パッケージ構造において、前記パッケージユニットの前記硬質板領域は積層設置され、前記ファンアウト領域の一部又は全部にはダイがパッケージングされ、ダイがパッケージングされている前記ファンアウト領域の一部又は全部は、前記折り返し領域を介して曲げられた後、前記硬質板領域に積層設置される。
【0008】
可能な一実施形態において、前記パッケージユニットは、フレキシブル材料で製造されたフレキシブル板であるフレキシブル誘電体層と、前記フレキシブル基板の片側に設置された第1の回路層とを含む。
【0009】
可能な一実施形態において、前記パッケージユニットは、フレキシブル材料で製造されたフレキシブル板であるフレキシブル誘電体層と、前記フレキシブル誘電体層の片側に設置された銅箔層とを含むフレキシブル銅張り積層板を含み、前記第1の回路層は前記銅箔層に位置する。
【0010】
可能な一実施形態において、前記パッケージユニットは、前記硬質板領域に、1つのダイ又は垂直に積層された複数のダイがパッケージングされている。
【0011】
可能な一実施形態において、前記パッケージユニットは、前記ファンアウト領域に、前記1つのダイ又は垂直に積層された複数のダイがパッケージングされている。
【0012】
可能な一実施形態において、前記パッケージ構造において、少なくとも2つの前記ファンアウト領域は、前記硬質板領域にする延在方向が異なる。
【0013】
可能な一実施形態において、前記パッケージ構造は、前記硬質板領域には積層方向に沿って延在する銅ピラーが設置されていて、かつ、前記硬質板領域の両側には、前記銅ピラーと連通する第2の回路層が設置されている。
【0014】
可能な一実施形態において、前記第2の回路層の外側にはソルダーマスク層及び表面処理層が設置されている。
【0015】
可能な一実施形態において、前記折り返し領域及び前記ファンアウト領域において、前記フレキシブル誘電体層の前記第1の回路層から離れた側に補強シートが設置されている。
【0016】
可能な一実施形態において、前記折り返し領域及び前記ファンアウト領域において、前記第1の回路層の前記フレキシブル誘電体層から離れた側に絶縁のためのカバーフィルムが設置されている。
【0017】
第2の態様において、本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造方法は、
A)硬質板領域と、折り返し領域と、ファンアウト領域とを含む複数枚のフレキシブル基板を提供するステップと、
B)フレキシブル基板の片側に第1の回路層を形成するステップと、
C)硬質板領域に、複数枚のフレキシブル基板を圧着して粘着させ、多層積層構造を形成するステップと、
D)多層積層構造の硬質板領域に、層間接続のための銅ピラーを製造するステップと、
E)多層積層構造の硬質板領域の両側に、銅ピラーに接続される第2の回路層を製造するステップと、
F)折り返し領域及びファンアウト領域の両側にある多層積層構造の誘電体材料を除去するステップと、
G)ダイをパッケージングし、ファンアウト領域の一部又は全部を、折り返し領域を介して曲げた後、硬質板領域に積層設置するステップと、を含む。
【0018】
可能な一実施形態では、前記ステップA及びステップBは、
フレキシブル誘電体層と、フレキシブル誘電体層の両側に位置する銅箔層とを含む複数枚のフレキシブル銅張り積層板を提供するステップと、
第1の回路層を製造しようとする面に感光性エッチング防止フィルムを貼り付け、他方の面にフィルムを貼り付ける必要がないステップと、
感光性エッチング防止フィルムが貼り付けられたフレキシブル基板を片面露光するステップと、
現像によりエッチングしようとする銅箔層を露出させるステップと、
フレキシブル誘電体層の両側に露出した銅箔層をエッチングして第1の回路層を形成するステップと、を含む。
【0019】
可能な一実施形態では、前記ステップBは、さらに、
第1の回路層のフレキシブル誘電体層から離れた側全面に絶縁のためのカバーフィルムを圧着するステップと、
折り返し領域及びファンアウト領域にパターン転写の方法でカバーフィルムを保留するステップと、を含む。
【0020】
可能な一実施形態では、前記ステップCは、
積層の順序に従って、粘着する必要のある回路面に粘着シートを予め貼り付けるステップと、
折り返し領域及びファンアウト領域に耐高温剥離型接着剤を予め貼り付けるステップと、
フレキシブル基板の非粘着面に絶縁誘電体層を圧着するステップと、
多層のフレキシブル基板を圧着して粘着させ、多層積層構造を形成するステップと、を含む。
【0021】
可能な一実施形態では、前記ステップDは、
多層積層構造の硬質板領域に機械的ドリル加工を施して層間導通用のビアホールを形成するステップと、
多層積層構造の表面にシード層を製造するステップと、
感光性めっき防止ドライフィルムを貼り付け、パターン転写の方法により電気めっきで埋め込む必要のある穴を露出させるステップと、
電気めっきで穴を埋め込むステップと、
感光性めっき防止ドライフィルムを貼り付け、パターン転写の方法により銅ピラーを製造する必要のある位置を露出させるステップと、
電気めっきにより銅ピラーを製造するステップと、を含む。
【0022】
可能な一実施形態では、前記ステップEは、
パターン転写の方法で第2の回路層を製造するステップと、
第2の回路層の外側にソルダーマスク層及び表面処理層を製造するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本願の実施例又は関連技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例又は関連技術の説明に使用する必要のある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は、本願の1つ以上の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働なしに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1-1】
図1a:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1b:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1c:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1d:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
【
図1-2】
図1e:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1f:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1g:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
【
図1-3】
図1h:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1i:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1j:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
【
図1-4】
図1k:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1l:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1m:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
【
図1-5】
図1n:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1o:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1p:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
【
図1-6】
図1q:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
図1r:本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図である。
【
図2】本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の概略構造図である。
【
図3】本願の実施例にて提供される別のパッケージ構造の概略構造図である。
【
図4】本願の実施例にて提供される別のパッケージ構造の概略構造図である。
【
図5】本願の実施例にて提供される別のパッケージ構造の概略構造図である。
【符号の説明】
【0024】
1…フレキシブル銅張り積層板、2…フレキシブル誘電体層、3…銅箔層、4…感光性エッチング防止ドライフィルム、5…第1の回路層、6…カバーフィルム、7…耐高温剥離型接着剤、8…粘着シート、9…絶縁誘電体層、10…ビアホール、11…シード層、12…第1の感光性めっき防止ドライフィルム、13…第2の感光性めっき防止ドライフィルム、14…銅ピラー層、15…第2の絶縁誘電体層、16…ソルダ…マスク層、17…表面処理層、18…第2の回路層、19…補強シート、20…ダイ。
100…硬質板領域、200…折り返し領域、300…ファンアウト領域。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明するが、明らかに、説明された実施例は、本願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例を基に、当業者が創造的な労働なしに取得した他の実施例は全部本願の保護範囲に属する。
【0026】
図1a~
図1rは、本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の製造プロセスの概略図であり、
図1a~
図1rに示すように、当該パッケージ構造の製造方法は、ステップA~ステップGを含む。
【0027】
図1aに示すように、複数枚のフレキシブル基板を提供する(ステップA)。
【0028】
フレキシブル基板は、フレキシブル材料で製造された板状構造であり、柔軟に曲げることができ、すなわち、外力を受けて曲げることができ、かつ曲げられた後に外力なしには曲げられる前の状態に戻らない。フレキシブル基板は、異なる設計要件に応じて、硬質板領域と、折り返し領域と、ファンアウト領域とに分けられる。
【0029】
いくつかの実施形態において、フレキシブル基板は、フレキシブル誘電体層の片面又は両面に銅箔が接着されているフレキシブル銅張り積層板(Flexible Copper Clad Laminate,FCCL)であってもよい。好ましくは、本実施例におけるフレキシブル銅張り積層板1は、両面に銅箔を有する構造であり、すなわち、フレキシブル銅張り積層板は、フレキシブル誘電体層2と、フレキシブル誘電体層2の両側面に位置する銅箔層3とを含む。
【0030】
次に、
図1cに示すように、フレキシブル基板の片側に第1の回路層を形成する(ステップB)。
【0031】
第1の回路層は、通常、パターン転写の方法によって形成される。例えば、可能な実施形態において、ステップBは、フレキシブル基板上にシード層を施すステップと、シード層上に金属層を施すステップと、金属層上にフォトレジスト層を施すステップと、フォトレジスト層をパターニングして金属層が露出しているパターンを形成するステップと、パターンの下方の金属層及びシード層をエッチングして回路層を形成するステップと、を含む。
【0032】
上記の説明から分かるように、本実施例におけるフレキシブル基板は、両面ともに銅箔層があるフレキシブル銅張り積層板1であるので、ステップBは、フレキシブル銅張り積層板1の一方の面に第1の回路層5を形成し、他方の面の銅を完全にエッチングしてフレキシブル誘電体層2を露出させるステップを含み、具体的な方法は、
図1b及び
図1cに示すように、第1の回路層を製造しようとする面のみに感光性エッチング防止ドライフィルム4を貼り付け、他方の面にフィルムを貼り付ける必要がないステップと、続いて、感光性エッチング防止ドライフィルム4が貼り付けられたフレキシブル基板に対して片面を露光し、他方の面を露光しないステップと、現像によりエッチングしようとする銅を露出させ、酸性エッチングの方法で露出された銅を完全にエッチングするステップと、
図1cに示すように、フィルムを剥がした後に、一方の面に第1の回路層が形成され、他方の面にフレキシブル誘電体層が直接露出している構造を形成するステップとを含む。
【0033】
可能な実施形態において、ステップBは、さらに下記のステップを含む。
【0034】
図1dに示すように、フレキシブル基板の第1の回路層5にカバーフィルム6を圧着する。
【0035】
ここで、フレキシブル基板は、硬質板領域100と、折り返し領域200と、ファンアウト領域とを含む。カバーフィルム6は、回路絶縁の役割を果たし、折り返し領域200及びファンアウト領域300にのみ保留すればよく、具体的な方法は、
折り返し領域200及びファンアウト領域300の全面に1層の感光性カバーフィルム6を圧着し、露光現像の方法により、カバーフィルム6を折り返し領域200及びファンアウト領域300に選択的に保留し、他の部分から現像で全部除去してもよく、非感光性カバーフィルム6を用いて、圧着前にレーザー切断又は機械的スライス加工の方法により、カバーフィルム6上の保留する必要のない部分を除去してもよいステップを含む。
【0036】
次に、硬質板領域に、複数枚のフレキシブル基板を圧着して粘着させ、多層積層構造を形成する(ステップC)。
【0037】
一実施例において、
図1e~
図1gに示すように、ステップCは、
積層の上下順序関係に従って、粘着する必要のある回路面に粘着シート8を予め貼り付け、粘着シート8ン主な役割は、複数枚のフレキシブル基板を一体に貼り合せて、多層積層構造を形成することである。粘着シート8は、機械的ルータ加工又はレーザー切断の方法により事前に製造されてもよく、粘着する必要のない部分を切断して除去し、粘着する必要のある部分を保留するステップと、
折り返し領域及びファンアウト領域に耐高温剥離型接着剤7を予め貼り付け、耐高温剥離型接着剤7を設置する目的は、両側の誘電体層を分離することであり、耐高温剥離型接着剤7を剥離することで両側の誘電体層を分離することができるステップと、
多層フレキシブル基板の積み重ね板の順序関係に従って、フレキシブル基板の非粘着面に第1の絶縁誘電体層9を圧着し、第1の絶縁誘電体層9には、プリプレグ(PP)又はABF(Ajinomoto Build-up Film substrate)系材料を用いることができるステップと、
続いて、多層のフレキシブル基板を圧着して粘着させ、
図1gに示すような多層積層構造を形成するステップと、を含む。
【0038】
次に、
図1oに示すように、多層積層構造の硬質板領域に、層間接続のための銅ピラーを製造する(ステップD)。
【0039】
図1h~
図1oに示すように、可能な実施形態において、当該方法は、
多層積層構造の硬質板領域に機械的ドリル加工又はレーザドリル加工で「X」型穴を開けて層間導通用のビアホール10を形成するステップと、ビアホール10が完成された後、多層積層構造の表面に、後に電気めっきされる導通シード層11として薄い金属層を製造ステップとを含み、シード層11の製造方法は、
ビアホール10の後の多層積層構造をデスミア処理するステップと、
デスミア処理後の多層積層構造の板全体に対してSputter加工を行い、約1μmの金属Ti、0.8~4μm厚さの金属Cuをスパッタリングするステップと、
Sputter加工した多層フレキシブル板に対してPTHを行い、0.6~1μm程度の金属Cuを堆積するステップと、を含む。
【0040】
シード層11の製造が完了した後、第1の感光性めっき防止ドライフィルム12を板全体に貼り付け、パターン転写の方法により電気めっきで埋め込む必要のある穴を露出させ、続いて、電気めっきで穴を埋め込むことで、穴が平坦になるまで埋め込み、電気めっきで穴を埋め込んだ後、既存のものを基に、第2の感光性めっき防止ドライフィルム13を貼り付けてから、露光し、現像することで、銅ピラーを作る必要がある位置を露出させ、前のステップですでに現像したフレキシブル基板をプラズマ洗浄した後、銅ピラー電気めっきを行って、層間接続の銅ピラー層14を形成する。
【0041】
続いて、第1の感光性めっき防止ドライフィルム12及び第2の感光性めっき防止ドライフィルム13を剥がし、板全体にシード層をエッチングし、シード層は、チタン、銅、チタン銅又はチタンタングステン合金などを含み得、シード層は、堆積、無電解めっき又はスパッタリングの方法で製造できる。
【0042】
次に、第2の絶縁誘電体層15を圧着し、第2の絶縁誘電体層15を熱硬化した後、グラインディング又はプラズマエッチングの方法で第2の絶縁誘電体層15の一部を薄くして、銅ピラー層14を露出させ、その後の層間導通の製造を容易にする。
【0043】
次に、
図1pに示すように、多層積層構造の硬質板領域の両側に、銅ピラーに接続される第2の回路層を製造する(ステップE)。
【0044】
第2の回路層18は、パターン転写の方法で実現でき、例えば、一実施形態において、シード層の製造-フィルムの貼り付け-露光-現像-電気めっき-フィルム剥がし-シード層のエッチングを含む。
【0045】
ステップEは、ソルダーマスク層16及び表面処理層17を製造するステップをさらに含んでもよい。ここで、ソルダーマスク層16の製造方法は、ロールコート又はシルク印刷の方法であり、表面処理の方法は、ニッケル金、ニッケルパラジウム金、又はOSP(Organic Solderability Preservatives,プレフラックス)の電気めっきである。
【0046】
次に、
図1qに示すように、折り返し領域及びファンアウト領域の両側にある多層積層構造の誘電体材料を除去する(ステップF)。
【0047】
ステップFにおいて、機械的に深さを制御するルータ加工方法により、ルータが内層の高温耐性接着剤の位置に着いて、高温耐性接着剤とともに、取り除く必要のある誘電体層を引き剥がす。
【0048】
図1rに示すように、可能な実施形態において、ファンアウト領域については、フレキシブル誘電体層の第1の回路層から離れた側に、実際のニーズに応じて、補強シート19を貼り付けて剛性を高めることを選択することもできる。
【0049】
次に、ダイをパッケージングし、ファンアウト領域の一部又は全部を、折り返し領域を介して曲げた後、硬質板領域に積層設置し(ステップG)、
図2~
図5を参照されたい。
【0050】
本願の実施例は、上記の製造方法で製造されたパッケージ構造を提供し、前記パッケージ構造は、硬質板領域と、折り返し領域と、ファンアウト領域とを含む複数のパッケージユニットを含み、
パッケージ構造において、パッケージユニットの硬質板領域は積層設置され、ファンアウト領域の一部又は全部にはダイがパッケージングされ、ダイがパッケージングされているファンアウト領域の一部又は全部を、折り返し領域を介して曲げた後、硬質板領域に積層設置する。
【0051】
選択可能に、パッケージユニットは、フレキシブル材料で製造されたフレキシブル板であるフレキシブル誘電体層と、フレキシブル基板の片側に設置された第1の回路層とを含む。
【0052】
選択可能に、パッケージユニットは、フレキシブル材料で製造されたフレキシブル板であるフレキシブル誘電体層と、フレキシブル誘電体層の片側に設置された銅箔層とを含むフレキシブル銅張り積層板を含み、第1の回路層は銅箔層に位置する。
【0053】
選択可能に、パッケージユニットは、硬質板領域に、1つのダイ又は垂直に積層された複数のダイがパッケージングされている。
【0054】
選択可能に、パッケージユニットは、1つのダイ又は垂直に積層された複数のダイがパッケージングされている。
【0055】
選択可能に、パッケージ構造において、少なくとも2つのファンアウト領域は、硬質板領域に対する延在方向が異なる。
【0056】
選択可能に、パッケージ構造は、硬質板領域には積層方向に沿って延在する銅ピラーが設置されていて、かつ、硬質板領域の両側には、銅ピラーと連通する第2の回路層が設置されている。
【0057】
選択可能に、第2の回路層の外側にはソルダーマスク層及び表面処理層が設置されている。
【0058】
選択可能に、折り返し領域及びファンアウト領域において、フレキシブル誘電体層の第1の回路層から離れた側には補強シートが設置されている。
【0059】
選択可能に、折り返し領域及びファンアウト領域において、第1の回路層のフレキシブル誘電体層から離れた側に絶縁のためのカバーフィルムが設置されている。
【0060】
図2は、本願の実施例にて提供されるパッケージ構造の概略構造図であり、
図2に示すように、当該パッケージ構造において、ファンアウト領域300の一部にダイ(Die)20をパッケージングした後、折り返し領域200により折り返して、硬質板領域100に積層し、ファンアウト領域300のパッケージングする必要のない部分を保留する。
【0061】
図3は、本願の実施例にて提供される別のパッケージ構造の概略構造図であり、
図3に示すように、当該パッケージ構造において、ファンアウト領域300全体にダイ20をパッケージングした後、選択的に折り返し領域200により折り返して、硬質板領域100に積層する。
【0062】
図4は、本願の実施例にて提供される別のパッケージ構造の概略構造図であり、
図4に示すように、当該パッケージ構造において、ファンアウト領域300全体にダイ20をパッケージングした後、いずれも折り返し領域200により折り返して、硬質板領域100に積層する。そして、硬質板領域100及びファンアウト領域300は、いずれにも1つのダイ20がパッケージングされている。
【0063】
図5は、本願の実施例にて提供される別のパッケージ構造の概略構造図であり、
図5に示すように、当該パッケージ構造において、ファンアウト領域300全体にダイ20をパッケージングした後、いずれも折り返し領域200により折り返して、硬質板領域100に積層する。そして、硬質板領域100及びファンアウト領域300は、いずれにも2つのダイ20が積層パッケージングされている。
【0064】
しかし、本願の実施例にて提供されるパッケージ構造はこれに限定されず、例えば、パッケージング位置に複数の積層されたダイをパッケージングしてもよく、硬質板領域の2つの辺、3つの辺、4つの辺にファンアウトパッケージングを実施してもよい。
【0065】
本願の実施例にて提供されるパッケージ機構及び製造方法では、フレキシブル材料の特性を使用して、複数のX、Y平面がファンアウト相互接続するパッケージモジュールをフレキシブル材料に製造し、各モジュールを別々にパッケージングしてから、積層してパッケージングし、フレキシブル基板内に配線することにより、ダイとダイとの間、ダイと基板との間の相互接続を実現して、パッケージ体同士が互いに干渉しない、
【0066】
従来のPoPパッケージに比べ、反りによる電気的相互接続への影響を回避し、従来のMCPパッケージに比べ、パッケージングされたダイのサイズを限定しなく、ダイは、フローティング積層による信頼性のリスクがない。しかも、ファンアウト領域の一部を硬質板領域に垂直に積層することを実現できるとともに、具体的なニーズに応じてファンアウト領域の一部を保留することもでき、パッケージ形態がより柔軟で変わりやすい。
【0067】
また、フレキシブル材料特性により、複数のモジュールが多角度・多方位・多機能で自在に曲げることができ、より多くのダイのパッケージ集積を実現するとともに、X、Yの占有面積を小さくすることができる。
【0068】
なお、本願の実施例の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」等の用語によって示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、単に本願の説明を容易にし、説明を簡単にするために用いられるだけで、示される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され、動作しなければならないことを指示又は暗示することではなく、したがって、本願を限定するものとして理解されることはできない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」という用語は、説明のためにしか使用されず、相対的な重要性を明示または示唆すると理解することはできない。
【0069】
なお、本願の実施例の説明において、特に明確に規定し、限定しない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、着脱可能な接続であっても、一体的な接続であってもよく、機械的接続であっても、電気的接続であってもよく、直接接続であっても、中間媒体を介する間接的な接続であってもよく、2つの素子内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に基づいて、本願の実施例における上記の用語の具体的な意味を理解することができる。
【0070】
また、上述した本願の異なる実施形態に係る技術的特徴は、互に矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0071】
以上、図面に示した好適な実施形態を合わせて、本願の技術的解決手段を説明したが、当業者であれば、本願の保護範囲はこれらの具体的な実施形態に限定されないことを容易に理解できる。当業者は、本願の原理から逸脱しない前提で、関連する技術的特徴に対して同価変更又は置換を行うことができ、これらの変更又は置換を行った技術的解決手段は、いずれも本願の保護範囲内に入る。