(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129261
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】シートベルトリトラクタの取付け構造
(51)【国際特許分類】
B60R 22/34 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
B60R22/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009431
(22)【出願日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2022031966
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 悠人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 博幸
(72)【発明者】
【氏名】別井 健治
(72)【発明者】
【氏名】柳 海成
(72)【発明者】
【氏名】中澤 孝典
(72)【発明者】
【氏名】古野 秀和
(72)【発明者】
【氏名】上林 貴
(72)【発明者】
【氏名】春田 茂実
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018GA01
(57)【要約】
【課題】簡素な機構により車両側突時にシートベルトリトラクタとリトラクタブラケットとの固定部が破損することを防止して車室内への侵入量を抑制でき、さらに、振動特性を満足することができるシートベルトリトラクタの取付け構造を提供する。
【解決手段】シートベルトリトラクタ10をセンターピラー40に固定するためのリトラクタブラケット30は、シートベルトリトラクタ10のリトラクタフレーム(本体カバー)11に固定される固定部31と、センターピラー40に締結固定される締結部33と、固定部31と締結部33を接続する湾曲部32とを有する。湾曲部32は、固定部31からシートベルトリトラクタ10を囲うように折り曲げられて、湾曲部32の頂部まで延在する部分32fと、前記頂部から折り返されて締結部33に向けて延在する部分32sと、を有し、略U字形である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトリトラクタをリトラクタブラケットを介して車両本体に固定するシートベルトリトラクタの取付け構造であって、
前記リトラクタブラケットは、前記シートベルトリトラクタのリトラクタフレームに固定される固定部と、前記車両本体に締結固定される締結部と、前記固定部と前記締結部を接続する湾曲部と、を有し、
前記湾曲部は、前記固定部から前記シートベルトリトラクタを囲う方向に折り曲げられて、前記湾曲部の頂部まで延在する部分と、前記頂部から折り返されて前記締結部に向けて延在する部分と、を有し、略U字形であり、
前記締結部は、幅方向両側に折り曲げ形成された一対のフランジ部と、長手方向に沿って突出して形成されたビード部との少なくとも一方を有する、
シートベルトリトラクタの取付け構造。
【請求項2】
前記リトラクタブラケットの前記固定部は、前記リトラクタフレームの背板部に加締めピンにより固定される、請求項1に記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
【請求項3】
前記フランジ部は、前記湾曲部の湾曲方向と反対方向に折り曲げ形成される、請求項1に記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
【請求項4】
前記湾曲部には、シートベルトを挿通するためのベルト挿通孔が形成される、請求項1に記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
【請求項5】
前記シートベルトリトラクタ及び前記リトラクタブラケットの湾曲部は、前記車両本体のセンターピラーに形成された凹部内に配置される、請求項1に記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
【請求項6】
前記締結部は、前記湾曲部との境界部分から前記湾曲部の延在方向に対して傾斜して延びる締結板部を有する、請求項1に記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
【請求項7】
前記リトラクタフレームと前記車両本体との間には、前記シートベルトリトラクタの振動を吸収可能な制振材が配置される、請求項1に記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
【請求項8】
前記シートベルトリトラクタのサイドカバーには、吸音材が配置される、請求項1に記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルトリトラクタの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の衝突時や急減速時に、シートベルトにより乗員を拘束して保護するシートベルトリトラクタは、該シートベルトリトラクタに固定されたリトラクタブラケットを介してセンターピラーなどの車体に固定されている。特許文献1に記載の車両の側部車体構造は、シートベルトリトラクタを、ピラー部の車室内側に配置し、上端部をピラーインナアッパに固定し、下端部をピラーインナロアに支持されたアンカーブラケットに固定し、さらに該アンカーブラケットをピラー部の内部空間を車体上下方向に仕切る仕切部材に固定して、シートベルトリトラクタの支持強度の向上を図っている。また、特許文献2に記載のエネルギ吸収機構を備えるシートベルト装置は、板状のリトラクタブラケットに少なくとも1つの屈曲部を設け、車両衝突時に該屈曲部が変形することで衝突のエネルギを吸収するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-138445号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/90107号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両の側部車体構造では、シートベルトリトラクタは、上端部及び下端部がピラーインナアッパ及びアンカーブラケットによって締結固定されるため、側突が生じた際の衝撃が締結固定部分に直接伝達されると、当該締結固定部分が外れたり、破断してしまう可能性がある。
【0005】
特許文献2に記載のエネルギ吸収機構では、シートベルトリトラクタの車体への具体的な取り付け状態が記載されておらず、特に、センターピラーに形成された凹部内に配置する構造に適用し難いという課題がある。また、リトラクタブラケットに屈曲部がある場合、リトラクタブラケットが変形しやすいため、振動特性の低下が懸念される。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な機構により車両側突時にシートベルトリトラクタとリトラクタブラケットとの固定部が破損することを防止して車室内への侵入量を抑制でき、さらに、振動特性を満足することができるシートベルトリトラクタの取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
[1] シートベルトリトラクタをリトラクタブラケットを介して車両本体に固定するシートベルトリトラクタの取付け構造であって、
前記リトラクタブラケットは、前記シートベルトリトラクタのリトラクタフレームに固定される固定部と、前記車両本体に締結固定される締結部と、前記固定部と前記締結部を接続する湾曲部と、を有し、
前記湾曲部は、前記固定部から前記シートベルトリトラクタを囲う方向に折り曲げられて、前記湾曲部の頂部まで延在する部分と、前記頂部から折り返されて前記締結部に向けて延在する部分と、を有し、略U字形であり、
前記締結部は、幅方向両側に折り曲げ形成された一対のフランジ部と、長手方向に沿って突出して形成されたビード部との少なくとも一方を有する、
シートベルトリトラクタの取付け構造。
[2] 前記リトラクタブラケットの前記固定部は、前記リトラクタフレームの背板部に加締めピンにより固定される、[1]に記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
[3] 前記フランジ部は、前記湾曲部の湾曲方向と反対方向に折り曲げ形成される、[1]または[2]に記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
[4] 前記湾曲部には、シートベルトを挿通するためのベルト挿通孔が形成される、[1]~[3]のいずれかに記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
[5] 前記シートベルトリトラクタ及び前記リトラクタブラケットの湾曲部は、前記車両本体のセンターピラーに形成された凹部内に配置される、[1]~[4]のいずれかに記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
[6] 前記締結部は、前記湾曲部との境界部分から前記湾曲部の延在方向に対して傾斜して延びる締結板部を有する、[1]~[5]のいずれかに記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
[7] 前記リトラクタフレームと前記車両本体との間には、前記シートベルトリトラクタの振動を吸収可能な制振材が配置される、[1]~[6]のいずれかに記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
[8] 前記シートベルトリトラクタのサイドカバーには、吸音材が配置される、請求項[1]~[7]のいずれかに記載のシートベルトリトラクタの取付け構造。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシートベルトリトラクタの取付け構造によれば、リトラクタブラケットが湾曲部を有することで、簡素な機構により車両側突時にシートベルトリトラクタとリトラクタブラケットとの固定部が破損することを防止して車室内への侵入量を抑制することができる。さらに、締結部は、幅方向両側に一対のフランジ部と、長手方向に沿ったビード部との少なくとも一方を有することで、湾曲部を有するリトラクタブラケットであっても、振動特性を満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシートベルトリトラクタがリトラクタブラケットを介してセンターピラーに取付けられた状態を、ピラートリムを取り外して車室内側から見た斜視図である。
【
図2】締結ボルト及び加締めピンと共に示すリトラクタブラケットの斜視図である。
【
図3】(a)は、リトラクタブラケットの正面図であり、(b)は、リトラクタブラケットの側面図である。
【
図4】本発明のリトラクタブラケットが使用された場合と、標準的なリトラクタブラケットが使用された場合の異音試験を行うための試験装置を示す図である。
【
図5】(a)~(c)は、本発明のリトラクタブラケットが使用された場合と、標準的なリトラクタブラケットが使用された場合の異音試験結果を示すグラフである。
【
図6】制振材がシートベルトリトラクタとピラートリムの間に配設された状態を示す側面図である。
【
図7】センサカバーに吸音材が取付けられたシートベルトリトラクタの側面図である。
【
図8】本発明の変形例に係るリトラクタブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るシートベルトリトラクタの取付け構造を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のシートベルトリトラクタの取付け構造は、シートベルトリトラクタ10が、リトラクタブラケット30を介して車両本体の一部を構成するセンターピラー(Bピラー)40に固定されている。なお、シートベルトリトラクタ10及びリトラクタブラケット30の一部は、センターピラー40に形成された凹部41内に収納されている。
【0012】
センターピラー40は、車両外側の面を構成する断面略台形の図示しないアウターピラーと、アウターピラーの車両内側に配置されたインナーピラー43と、アウターピラーとインナーピラー43との間に設けられたリンフォース42と、インナーピラー43のさらに車両内側に配置された、樹脂などで形成されたピラートリム45(
図6参照)とを備える。
【0013】
上述した凹部41は、インナーピラー43の開口部43aの車室外側に位置した、リンフォース42を車両外側方向に凹ませることで形成されており、シートベルトリトラクタ10は、リンフォース42の凹部41とピラートリム45で囲まれる。シートベルトはピラートリム45に形成された開口(図示せず)から車室内に引き出される。
【0014】
シートベルトリトラクタ10は、シートベルトを引き出し可能に巻き取るとともに、例えば、衝突などによる車両の急減速時にシートベルトをロックして乗員を保護する。シートベルトリトラクタ10は、シートベルトが巻き掛けられるスピンドル(図示せず)を支持するリトラクタフレーム11を有する。シートベルトリトラクタ10は、リトラクタフレーム11の背板部12の上端部をリトラクタブラケット30を介してセンターピラー40の上部に取り付け、背板部12の下端部を、センターピラー40の下部に接合されているアンカーブラケット46にボルト15で締結することで、センターピラー40に固定されている。したがって、背板部12の下端部は、ボルト15が挿通するボルト挿通孔(図示せず)を有する。さらに、シートベルトリトラクタ10には、車体に作用する加速度を検知するためのセンサを収容するセンサカバー13や、シートベルトを巻き戻すための巻き取りばねを覆うサイドカバー14等がリトラクタフレーム11の側方に設けられている。
【0015】
図2及び
図3も参照して、リトラクタブラケット30は、鋼板製の板状部材を折り曲げることで形成されており、リトラクタフレーム11の背板部12の上端部に固定される固定部31と、センターピラー40に締結固定される締結部33と、固定部31と締結部33を接続する湾曲部32と、を有する。
【0016】
固定部31は、略矩形の平板状に形成されており、リトラクタフレーム11の背板部12の上端部と重ね合わされ、固定部31の挿通孔31aに挿通された複数(本実施形態では2本)の加締めピン16によりリトラクタフレーム11に加締め固定される。
【0017】
湾曲部32は、固定部31の上端からシートベルトリトラクタ10を囲う方向、即ち、車幅方向外側に折り曲げられて、湾曲部32の頂部32aまで延在する部分32fと、頂部32aから折り返されて締結部33に向けて延在、即ち、車幅方向内側に延在する部分32sと、を有し、略U字形に形成されている。湾曲部32には、固定部31の上端から湾曲部32の頂部32aまでの部分32fにシートベルトを挿通するためのベルト挿通孔が形成され、ベルト挿通孔には、シートベルトが引き出される際にシートベルトの損傷を防止すると共に、引出し抵抗を低減させるための、例えば樹脂で成形されたシートベルトガイド部材34が取り付けられている。湾曲部32は、側突時に湾曲部32が変形することで衝突のエネルギを吸収するエネルギ吸収機構として作用する。
【0018】
締結部33は、湾曲部32から連続して形成されており、締結ボルト17を挿通するためのボルト挿通孔35aが設けられる平板状の締結板部35と、締結板部35の幅方向両側で略90°折り曲げられた一対のフランジ部36と、を有して、断面略コの字形に形成されている。
【0019】
締結部33は、締結板部35のボルト挿通孔35aに挿通された締結ボルト17が、凹部41よりも上方のインナーピラー43の部分に接合されたナット(図示せず)に螺合することで、インナーピラー43に締結される。なお、本実施形態では、締結板部35は、ナットの位置、即ち、センターピラー40への取り付け部の位置に応じて、湾曲部32との境界部分から湾曲部32の延在方向に対して傾斜して延びている。
【0020】
また、締結部33は、締結板部35の幅方向両側で、その長さ方向に亘って一対のフランジ部36を形成することで、締結部33の剛性が高められ、湾曲部32を有するリトラクタブラケット30における走行時の振動特性を満足することができる。なお、本実施形態では、フランジ部36の長さは、締結板部35の長さの2/3以上としている。
【0021】
一対のフランジ部36は、湾曲部32の湾曲方向、即ち、湾曲部32の頂部32aが突出する方向と逆方向(車幅方向内側)に折り曲げられている。これにより、リトラクタブラケット30の締結部33をセンターピラー40に取り付けるとき、一対のフランジ部36とセンターピラー40との干渉が防止される。
【0022】
また、締結部33の上端部には、車幅方向外側に向けて折り曲げ形成されたフック部37が設けられており、フック部37は、凹部41の上方に形成されたインナーピラー43のフック係合孔44(
図1参照)に係合する。
【0023】
したがって、複数の加締めピン16によりリトラクタブラケット30がリトラクタフレーム11に加締め固定されたシートベルトリトラクタ10は、リトラクタブラケット30のフック部37をフック係合孔44に係合すると共に、シートベルトリトラクタ10を凹部41内に収納してシートベルトリトラクタ10を概略位置決めする。その後、シートベルトリトラクタ10のリトラクタフレーム11の下端部が、インナーピラー43に固定されているアンカーブラケット46にボルト15で固定され、また、ボルト17により締結部33がインナーピラー43に固定される。これにより、シートベルトリトラクタ10は、上下2か所でセンターピラー40に固定される。
【0024】
このように、シートベルトリトラクタ10は、リトラクタブラケット30を介してセンターピラー40に固定されているので、側突によりセンターピラー40が車室内側に変形すると、
図1に矢印で示すように、その衝撃力はリトラクタブラケット30を介してシートベルトリトラクタ10に伝達され、リトラクタブラケット30とシートベルトリトラクタ10を接続する加締めピン16にも伝達される。
【0025】
しかしながら、加締めピン16に伝達される衝撃エネルギは、リトラクタブラケット30の湾曲部32が変形することで吸収され、リトラクタブラケット30とシートベルトリトラクタ10とを連結する加締めピン16に作用する力が大幅に低減する。これにより、加締めピン16の破断が防止され、シートベルトリトラクタ10などの車室内への侵入量を抑制することができる。
【0026】
また、締結部33は、締結板部35の幅方向両端部に一対のフランジ部36を形成することで、締結部33の剛性が高められ、湾曲部32を有するリトラクタブラケット30における走行時の振動特性を満足することができる。
【0027】
ここで、湾曲部及びフランジ部を有する本発明のリトラクタブラケット30と、湾曲部及びフランジ部を有しない従来の標準的なリトラクタブラケットとを用いた場合について、騒音試験を行った。
【0028】
試験方法は、
図4に示すように、シートベルトリトラクタ10を実車と同様に配置し、加振器100によって、シートベルトリトラクタ10の基準軸で3軸方向(X,Y,Z方向)に振動周波数10Hz~60Hz、加速度0.7G、60秒でスイープし、その時の騒音をシートベルトリトラクタから100mm離して設置した騒音計101で測定した。なお、本発明に係るリトラクタブラケットの試験は、X,Y,Z方向のそれぞれについて3回行った。
【0029】
図5は、本発明に係るリトラクタブラケット30の3回の試験結果、従来の標準的なリトラクタブラケットの試験結果(複数回の試験結果の平均値)、及び判定基準値(95dB)を示す。
【0030】
図5に示すように、本発明に係るリトラクタブラケット30の3回の試験結果は、X,Y,Z方向振動のいずれにおいても、判定基準値(95dB)以下であり、また、従来のリトラクタブラケットの試験結果と比較しても同等以下であり、問題のないレベルであった。また、試験の全期間にわたって、きしみ音やカタカタ音などの異音は確認されず、良好な結果であった。
【0031】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
例えば、
図6に示す変形例のように、シートベルトリトラクタ10とピラートリム45との間にシートベルトリトラクタ10の振動を吸収可能な制振材51を設けてもよい。これにより、シートベルトリトラクタ10に作用する振動が制振材51により吸収されるので、シートベルトリトラクタ10とリトラクタブラケット30との締結部における走行時の振動特性をより向上することができる。
【0032】
また、
図7に示す他の変形例のように、シートベルトリトラクタ10のセンサカバー13に、吸音材56を貼り付けてシートベルトリトラクタ10の作動音を吸収するようにしてもよい。吸音材56としては、ブチルゴム製のシートなどが好適である。
【0033】
また、
図8に示す他の変形例のように、リトラクタブラケット30aは、締結部33が一対のフランジ部を有する代わりに、平板状の締結板部35の幅方向中間部に、長手方向に沿って締結板部35の表面から突出して形成されたビード部38を有するようにしてもよい。したがって、ビード部38によって、締結部33の剛性が高められ、湾曲部32を有するリトラクタブラケット30における走行時の振動特性を満足するようにしてもよい。
なお、本発明のリトラクタブラケットは、締結部33が一対のフランジ部36とビード部38の両方を有する構成として、より剛性の高い締結部33としてもよい。
【0034】
さらに、上記の説明では、シートベルトリトラクタがセンターピラー(Bピラー)に取付けられているとして説明したが、センターピラーに限定されず、他のピラーや車体フレームに取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0035】
10 シートベルトリトラクタ
11 リトラクタフレーム
16 加締めピン
30 リトラクタブラケット
31 固定部
32 湾曲部
33 締結部
34 シートベルトガイド部材
36 フランジ部
40 センターピラー(車両本体)
41 凹部
45 ピラートリム(車両本体)
51 制振材
56 吸音材