(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129267
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】慣性アセンブリを有する電力システム及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/30 20060101AFI20230907BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H02J3/30
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023011687
(22)【出願日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】17/653,588
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】スクリウタス、ジョン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】クウェイル、ポール、エー.
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB08
5G066JA01
5G066JB02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】慣性アセンブリを有する電力システム及びその動作方法を提供する。
【解決手段】電力システム(100)は、タービン(132)及びタービンシャフト(134)を含むタービンアセンブリ(104)と、発電機(114)及び発電機シャフト(116)を含む発電機アセンブリ(106)と、発電機シャフト(116)に結合されるフライホイール(144)を含む慣性アセンブリ(108)と、タービンシャフト(134)を発電機シャフト(116)に結合するためのクラッチアセンブリ(120)を備える。クラッチアセンブリ(120)は、タービンシャフト(134)が発電機シャフト(116)に結合されている閉状態と、タービンシャフト(134)が発電機シャフト(116)から切り離されている開状態との間で移行可能である。クラッチアセンブリ(120)が閉状態にあるときに発電モードで、開状態にあるときに同期調相機モードで動作可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力システム(100)であって、
タービン(132)とタービンシャフト(134)とを含むタービンアセンブリ(104)、
発電機(114)と発電機シャフト(116)とを含む発電機アセンブリ(106)、
前記発電機シャフト(116)に結合されるフライホイール(144)を含む慣性アセンブリ(108)、及び
前記タービンシャフト(134)を前記発電機シャフト(116)に結合するクラッチアセンブリ(120)であって、前記クラッチアセンブリ(120)は、前記タービンシャフト(134)が前記発電機シャフト(116)に結合される閉状態と、前記タービンシャフト(134)が前記発電機シャフト(116)から切り離される開状態との間で移行可能であり、前記電力システム(100)は、前記クラッチアセンブリ(120)が閉状態のときに発電モードで動作可能であり、前記クラッチアセンブリ(120)が開状態のときに同期調相機モードで動作可能である、クラッチアセンブリ(120)
を含む電力システム(100)。
【請求項2】
前記慣性アセンブリ(108)は、前記フライホイール(144)に結合されたフライホイールシャフト(146)と、前記発電機シャフト(116)とを更に含む、請求項1に記載の電力システム(100)。
【請求項3】
前記発電機シャフト(116)は、第1の端部(118)と、前記第1の端部(118)の反対側の第2の端部(122)とを含み、前記クラッチアセンブリ(120)は、前記第1の端部(118)において前記発電機シャフト(116)に結合され、前記フライホイールシャフト(146)は、前記第2の端部(122)において前記発電機シャフト(116)に結合されている、請求項2に記載の電力システム(100)。
【請求項4】
前記クラッチアセンブリ(120)は、第1のクラッチアセンブリ(120)であり、前記電力システム(100)は、前記フライホイールシャフト(146)を前記発電機シャフト(116)に結合するための第2のクラッチアセンブリ(124)を更に含む、請求項2に記載の電力システム(100)。
【請求項5】
前記第1のクラッチアセンブリ(120)及び前記第2のクラッチアセンブリ(124)と通信するように結合されたコントローラ(160)を更に含み、前記コントローラ(160)は、前記電力システム(100)を、標準慣性発電モード、高慣性発電モード、標準慣性同期調相機モード、及び高慣性同期調相機モードのうちの少なくとも3つのモードの間で切り替えるように、前記第1のクラッチアセンブリ(120)及び前記第2のクラッチアセンブリ(124)の状態を制御する、請求項4に記載の電力システム(100)。
【請求項6】
前記電力システム(100)は、前記標準慣性発電モードで動作する場合は第1の慣性定数を有し、前記高慣性発電モードで動作する場合は第2の慣性定数を有し、前記第2の慣性定数は、前記第1の慣性定数の少なくとも1.25倍の定数である、請求項5に記載の電力システム(100)。
【請求項7】
前記第2の慣性定数は、前記第1の慣性定数の2倍の定数である、請求項6に記載の電力システム(100)。
【請求項8】
前記タービンアセンブリ(104)は、前記タービンシャフト(134)に結合された駆動モータ(142)を更に含み、前記駆動モータ(142)は、前記タービンシャフト(134)が、前記発電機シャフト(116)の同期速度まで回転するように、前記タービンシャフト(134)を駆動して、前記電力システム(100)を前記同期調相機モードから前記発電モードに移行させる、請求項1に記載の電力システム(100)。
【請求項9】
前記電力システム(100)が前記同期調相機モードで動作しているとき、前記クラッチアセンブリ(120)は、前記電力システム(100)を前記同期調相機モードから前記発電モードに切り替えるために、前記開状態から前記閉状態に移行するように動作可能である、請求項1に記載の電力システム(100)。
【請求項10】
前記電力システム(100)は、前記発電機シャフト(116)の回転を減速させることなく、前記同期調相機モードから前記発電モードに切り替わるように構成される、請求項1に記載の電力システム(100)。
【請求項11】
前記クラッチアセンブリ(120)は、前記発電機シャフト(116)に結合された第1のステディ軸受(126)と、前記タービンシャフト(134)に結合された第2のステディ軸受(126)と、ロック可能なクラッチ(150)と、回転ギア(152)とを更に含む、請求項1に記載の電力システム(100)。
【請求項12】
前記発電機アセンブリ(106)は、
励磁システム(130)、及び
前記発電機シャフト(116)に結合された励磁リング(128)であって、前記励磁リング(128)は、前記励磁システム(130)から発生する電流を受け取るように構成されている、励磁リング(128)
を更に含む、請求項1に記載の電力システム(100)。
【請求項13】
電力システム(100)を動作させる方法であって、
クラッチアセンブリ(120)を閉状態に移行することによって、タービンアセンブリ(104)のタービンシャフト(134)を発電機アセンブリ(106)の発電機シャフト(116)に結合することであって、前記発電機シャフト(116)は慣性アセンブリ(108)のフライホイール(144)に結合されている、発電機アセンブリ(106)の発電機シャフト(116)に結合すること、
前記クラッチアセンブリ(120)が閉状態にある間に、前記電力システム(100)を発電モードで動作させること、
前記クラッチアセンブリ(120)を開いて開状態にし、前記タービンシャフト(134)を前記発電機シャフト(116)及び前記フライホイール(144)から切り離すこと、及び
前記クラッチアセンブリ(120)が開状態にある間に、前記電力システム(100)を同期調相機モードで動作させること
を含む、電力システム(100)を動作させる方法。
【請求項14】
前記電力システム(100)が前記同期調相機モードで動作している間に、前記クラッチアセンブリ(120)を閉じて前記タービンシャフト(134)を前記発電機シャフト(116)に結合し、前記電力システム(100)を前記発電モードに切り替えることを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記クラッチアセンブリ(120)を閉じる前に、前記タービンシャフト(134)に結合された駆動モータ(142)によって、前記タービンシャフト(134)の回転を駆動して、前記発電機シャフト(116)の回転速度に一致させることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電気伝送グリッドと共に使用する慣性アセンブリを有する電力システムに関し、より詳細には、異なる複数の慣性モードで動作可能である電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部の既知の電力システムは、発電機と、発電機のロータを回転させてグリッドに電力を供給するタービンとを有する電力発生装置を含む。少なくとも一部の他の既知の電力システムは、同期調相機を含んでいる。同期調相機を使用して、例えば、無効電力を発生又は吸収して系統電圧を調整し、短絡電流を提供し、無効電力過負荷能力を提供することによって、グリッドの条件を調整し、及び/又はグリッドに慣性を加えることができる。
【0003】
少なくとも一部の既知の電力発生装置では、タービンはロータシャフトに固定されており、タービンを発電機から容易に切り離すことはできない場合がある。このように、少なくとも一部の既知の発電システムは、グリッド上の別個の設備又はシステムとして提供される。例えば、単一のプラントが発電プラントとして機能し、グリッド上の全く別の設備が同期調相機の設備として機能する場合がある。更に、一般に、同期調相機システムと発電システムには、別々の発電機が必要である。同様に、少なくとも一部の既知の同期調相機は、フライホイールなどの慣性アセンブリを含むことがあるが、そのようなアセンブリは、一般に、切り離されることはない。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、電力システムが提供される。電力システムは、タービンとタービンシャフトとを含むタービンアセンブリ、発電機と発電機シャフトとを含む発電機アセンブリ、前記発電機シャフトに結合されるフライホイールを含む慣性アセンブリ、及び前記タービンシャフトを前記発電機シャフトに結合するクラッチアセンブリを含む。前記クラッチアセンブリは、前記タービンシャフトが前記発電機シャフトに結合される閉状態と、前記タービンシャフトが前記発電機シャフトから切り離される開状態との間で移行可能である。前記電力システムは、前記クラッチアセンブリが閉状態のときに発電モードで動作可能であり、前記クラッチアセンブリが開状態のときに同期調相機モードで動作可能である。
【0005】
別の態様では、電力システムを動作させる方法が提供される。本方法は、クラッチアセンブリを閉状態に移行することによって、タービンアセンブリのタービンシャフトを発電機アセンブリの発電機シャフトに結合することを含んでおり、前記発電機シャフトは慣性アセンブリのフライホイールに結合されている。本方法は、前記クラッチアセンブリが閉状態にある間に、前記電力システムを発電モードで動作させることを更に含む。本方法は、前記クラッチアセンブリを開いて開状態にし、前記タービンシャフトを前記発電機シャフト及び前記フライホイールから切り離すこと、及び前記クラッチアセンブリが開状態にある間に、前記電力システムを同期調相機モードで動作させることを更に含む。
【0006】
更に別の態様では、電力システムが提供される。電力システムは、タービン及びタービンシャフトを含むタービンアセンブリと、発電機及び発電機シャフトを含む発電機アセンブリであって、発電機シャフトは、第1の端部から反対側の第2の端部まで延びる、発電機アセンブリと、フライホイールシャフトに結合されたフライホイールを含む慣性アセンブリとを含む。電力システムは、タービンシャフトを発電機シャフトの第1の端部に結合するように動作可能な第1のクラッチアセンブリと、フライホイールシャフトを発電機シャフトの第2の端部に結合するように動作可能な第2のクラッチアセンブリを更に含む。電力システムは、第1のクラッチアセンブリが閉じているときは発電モードで、第1のクラッチアセンブリが開いているときは同期調相機モードで動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むと、よりよく理解される。図面全体にわたって類似の文字は類似の構成要素を表す。
【
図2】
図1の例示的な電力システムの別の概略図であり、第1の動作モードにおける電力システムを示す図である。
【
図3】
図1の電力システムの概略図であり、第2の動作モードにおける電力システムを示す図である。
【
図4】
図1の電力システムの概略図であり、第3の動作モードにおける電力システムを示す図である。
【
図5】
図1の電力システムの概略図であり、第4の動作モードにおける電力システムを示す図である。
【
図6】
図1~
図5の電源システムを制御するための動作表である。
【
図7】電力システム(
図1~
図5に示す電力システムなど)を動作させる方法の一例を示すフロー図である。
【0008】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される図面は、本開示の実施形態の特徴を説明することを意味するものである。これらの特徴は、本開示の1つ以上の実施形態を含む多種多様なシステムにおいて適用可能であると考えられる。そのため、図面は、本明細書に開示された実施形態の実施に必要な特徴であって、当業者によって知られている従来の全ての特徴を含むことを意味するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、いくつかの用語が参照されるが、これらの用語は以下の意味を持つように定義されるものとする。
【0010】
単数形の「1つ(a)」、「1つ(an)」、「この(the)」は、文脈から明らかに他のことを説明している場合を除き、複数の事項を含む。
【0011】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される「概ね」、「実質的に」、及び「およそ」などの近似を表す文言は、そのような文言で修飾された用語が、絶対的又は完全な程度ではなく、当業者によって認識されると考えられる近似の程度に対してのみ適用できることを示す。したがって、「およそ」、「約」、及び「実質的に」などの1つ以上の用語が修飾された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似を表す文言は、値を測定する機器の精度に依存することがある。発明の詳細な説明、並びに本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、範囲が限定されることがある。このような範囲は、文脈又は文言によって特段の指示がされていない限り、組み合わせる及び/又は交換することができ、その範囲に含まれるすべてのサブ範囲を含むことができる。更に、別段の指示がない限り、用語「第1の」、「第2の」などは、本明細書では単にラベルとして使用され、これらの用語が言及する要素に対して順序的要件、位置的要件、及び序列的要件を課すことを意図するものではない。更に、例えば「第2の」要素に言及することは、例えば「第1の」(即ち、より小さい番号が付けられた)要素、あるいは「第3の」(即ち、より大きい番号が付けられた)要素の存在を要求するものでもなく、排除するものでもない。本明細書において、用語「結合する」は、構成要素間で、機械的、熱的、電気的、及び/又は流体的な接続が直接的に行われる場合に限定されることはなく、複数の構成要素間で、機械的、熱的、電気的、及び/又は流体的な接続が間接的に行われる場合も含まれることに注意されたい。
【0012】
本明細書において、用語「プロセッサ」、「コンピュータ」、及び関連用語(例えば、「処理装置」、「コンピューティング装置」、及び「コントローラ」)は、当技術分野でコンピュータと呼ばれる集積回路だけに限定されることはなく、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、特定用途集積回路、及び/又は他のプログラマブル回路を広く指し、これらの用語は、本明細書で交換可能に使用されている。本明細書で説明する実施形態では、メモリとしては、コンピュータ読取り可能な媒体(ランダムアクセスメモリ(RAM)など)や、コンピュータ読取り可能な不揮発性媒体(フラッシュメモリなど)があるが、これらに限定されるものではない。あるいは、フロッピーディスク、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、光磁気ディスク(MOD)、及び/又はDVD(Digital Versatile Disc)も使用可能である。また、本明細書で説明する実施形態では、追加の入力チャネルとして、マウス及びキーボードなどのオペレータインターフェースに関連するコンピュータ周辺機器があるが、それだけに限定されるものではない。あるいは、他のコンピュータ周辺機器は、例えば、スキャナなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。更に、本明細書に記載の実施形態では、追加の出力チャネルとして、オペレータインターフェースモニタがあるが、それだけに限定されるものではない。
【0013】
本開示は、特定の用途のための例示的な実施形態で本明細書に記載されているが、本開示は、特定の用途のための例示的な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。本明細書で提供される教示を利用できる当業者は、その教示の範囲及び本開示が重要な有用性を有すると考えられる追加の分野で、追加の修正、適用、及び実施形態を認識する。
【0014】
本明細書に記載のシステムは、慣性アセンブリと、発電モードと同期調相機モードとの間で電力システムを移行させるように動作可能なクラッチアセンブリとを含む電力システムに関する。具体的には、例示的な実施形態では、電力システムは、タービンとタービンシャフトとを含むタービンアセンブリ、発電機と発電機シャフトとを含む発電機アセンブリ、及び前記発電機シャフトに結合されるフライホイールを含む慣性アセンブリを含む。タービンシャフトを発電機シャフトに結合するためのクラッチアセンブリも提供される。前記クラッチアセンブリ(120)は、前記タービンシャフト(134)が前記発電機シャフト(116)に結合される閉状態と、前記タービンシャフト(134)が前記発電機シャフト(116)から切り離される開状態との間で移行可能である。前記電力システム(100)は、前記クラッチアセンブリ(120)が閉状態のときに発電モードで動作可能であり、前記クラッチアセンブリ(120)が開状態のときに同期調相機モードで動作可能である。
【0015】
例示的な実施形態において、電力システムは、クラッチアセンブリを制御することによって、発電モード又は同期調相機モードで選択的に動作することができる。クラッチアセンブリは、電力システムが発電モードにあるときにタービンシャフトを発電機シャフトに結合し、タービンシャフトを発電機から切り離して電力システムを同期調相機モードで動作させるように制御することが可能である。更に、慣性アセンブリは、グリッドに与えられる慣性を増強することができる。このように、電力システムは、グリッドのニーズの変化に応じて、異なるモードで動作するように適応することができる。
【0016】
図1は、本開示による例示的な電力システム100の概略図である。例示的な実施形態では、電力システム100は発電所102を含んでおり、電力プラント102は、タービンアセンブリ104、発電機アセンブリ106、及び慣性アセンブリ108を含む。電力システム100は、グリッド支援装置、ハイブリッドフレックス発電所、フレックスHコンデンサ(flex H condenser)発電所、及び他の適切な発電所のうちのいずれか1つの名称で呼ばれることがある。電力システム100は、送電網110(本明細書では「グリッド」又は「電力グリッド」とも呼ばれる)に電気的に接続される。例示の実施形態では、電力システム100は、発電機アセンブリ106を起動するための静的起動システム112を更に含む。他の実施形態では、電力システム100は、静的始動システム112を含んでいない。
【0017】
発電機アセンブリ106は発電機114を含んでおり、発電機114は、発電機シャフト116に取り付けられたロータ(図示せず)であって、ステータ(図示せず)内に配置されたロータを有している。ロータは一定の磁場を発生し、ステータの巻線と相互作用する。巻線は、三相交流電圧のシステムから給電される。例示の実施形態では、発電機シャフト116は、第1のクラッチアセンブリ120に結合された第1の端部118と、第2のクラッチアセンブリ124に結合された第2の端部122との間に延在するシングルピースのシャフトである。発電機アセンブリ106は、更に、発電機シャフト116に結合された一対のステディ軸受126であって、発電機シャフト116の第1の端部118及び第2の端部122それぞれの近くに配置された一対のステディ軸受126を含む。スラスト軸受140は、発電機シャフト116の第1の端部118に近くにおいて、発電機シャフト116に結合されている。
【0018】
例示的な実施形態では、発電機アセンブリ106は、発電機シャフト116の第2の端部122の近くに配置された励磁リング128を更に含む。励起リング128は、励磁システム130から発生する励起電流を受け取るように構成されている。例示的な実施形態では、励磁リング128はスリップリングであり、正端子集電リング及び負端子集電リング(図示せず)を含むことができる。励磁システム130は、DC電力の生成に使用される励磁供給部を実現できる任意の適切な(例えば、市販の)励磁装置を含むことができる。他の実施形態では、励磁システム130及びリング128の代わりに、ブラシレス励磁器アセンブリ(図示せず)を使用することができる。例えば、小型の発電機では、励磁システム130及びリング128の代わりに、ブラシレス励磁機を使用することがある。このような一部の実施形態では、ブラシレス励磁機は、ACをDCに整流するダイオードを備えた小型ACオルタネータ、又は発電機シャフト116の第2の端部122の近くに配置された小型直流電気機械である。そのような一部の実施形態では、発電機114は、以下でより詳細に説明するように、フライホイールアセンブリ108及び/又はタービンアセンブリ104と組み合わせて、それぞれのモータ142、148によって起動することができる。
【0019】
タービンアセンブリ104は、タービン132とタービンシャフト134とを含む。例示的な実施形態では、タービン132は、タービンシャフト134を回転駆動するための燃焼器及び圧縮機(図示せず)も含むガスタービンである。本開示は、ガス動力タービンを含む火力発電所102を説明するが、本明細書で説明される概念は、火力発電所及び/又はガスタービンに限定されることはなく、異なる発電所又は発電装置(例えば、蒸気タービン、水力タービン、風力タービン、又は任意の適切な発電タービンなど)に代替的に組み込んでもよいことが理解される。タービン132が風力タービンである一部の実施形態では、風力タービンは、仮想慣性を生成するように制御されることもある。
【0020】
タービン132は、運転中にタービンシャフト134を回転駆動するように構成されている。ステディ軸受126は、タービン132と第1のクラッチアセンブリ120との間において、タービンシャフト134に結合される。タービンアセンブリ104は第1の駆動モータ142を更に含む。第1の駆動モータ142は、タービンシャフト134に結合されており、以下に更に詳細に説明されるように、タービンシャフト134を発電機シャフト116との同期速度まで駆動するように動作可能である。ステディ軸受126は、タービン132と第1の駆動モータ142との間において、タービンシャフト134に結合されている。他の実施形態では、スラスト軸受140がタービンシャフト134に結合されることがある。
【0021】
慣性アセンブリ108は、フライホイール144とフライホイールシャフト146とを含んでいる。フライホイールシャフト146は、フライホイールシャフト146の振動を制御するために、慣性アセンブリ108の一対のステディ軸受126に結合される。フライホイールシャフト146は、フライホイール144と回転するように、フライホイール144に更に結合されている。フライホイール144は、発電機アセンブリ106及びタービン132(接続されている場合)と連携して運動エネルギーを蓄積して回収するように構成される。フライホイール144は、フライホイールシャフト146に結合された任意の適切な回転質量(図示せず)を含むことができる。慣性アセンブリ108は、真空シール、フライホイール144を収容するための真空圧力ケーシング、1つ以上の冷却システム、及び/又は他の適切なサブアセンブリ(図示せず)のうちの1つ以上を更に含むことができる。慣性アセンブリ108は第2の駆動モータ148を更に含む。第2の駆動モータ148は、フライホイールシャフト146に結合されており、以下に更に詳細に説明されるように、フライホイールシャフト146を発電機シャフト116との同期速度まで駆動するように動作可能である。例示的な実施形態では、第1の駆動モータ142及び第2の駆動モータ148はそれぞれ、ポニーモータ及び可変速度ドライブ(図示せず)を含むが、他の実施形態では、任意の適切な駆動モータを使用することができる。他の実施形態では、慣性アセンブリ108及びタービンアセンブリ104のいずれか一方又は両方が、対応する駆動モータ142、148を含まない。
【0022】
第1のクラッチアセンブリ120は、発電機シャフト116をタービンシャフト134に選択的に結合するように動作可能である。第1のクラッチアセンブリ120は、一対のステディ軸受126、第1のロック可能なクラッチ150、及び第1のターニングギア152を含む。第1のターニングギア152は、タービン132と第1のロック可能なクラッチ150との間に配置される。第2のクラッチアセンブリ124は、フライホイールシャフト146を発電機シャフト116に選択的に結合するように動作可能である。例示的な実施形態では、第2のクラッチアセンブリ124は、第1のクラッチアセンブリ120と実質的に同じであるが、発電機アセンブリ106に対して鏡面関係にあることが異なっている。すなわち、第2のクラッチアセンブリ124は、一対のステディ軸受126、第2のロック可能なクラッチ154、及びフライホイール144と第2のロック可能なクラッチ154との間に位置する第2の回転ギア156を含んでいる。
【0023】
例示的な実施形態では、第1のクラッチアセンブリ120及び第2のクラッチアセンブリ124はそれぞれ、電力システム100の動作モードを変更するために、閉状態と開状態との間で選択的に移行可能である。特に、第1のクラッチアセンブリ120は、電力システム100を、発電モードにおける電力発生装置としてのシステム100の動作(本明細書では「電力モード」とも呼ばれる)と同期調相機モードにおける同期調相機としてのシステム100の動作(本明細書では「調相機モード」とも呼ばれる)との間で変更できるように動作可能である。第2のクラッチアセンブリ124は、電力システム100を、低慣性モード又は標準慣性モードと高慣性モードとの間で変更するように動作可能である。
【0024】
例示的な実施形態では、第1のクラッチアセンブリ120及び第2のクラッチアセンブリ124はそれぞれ、入力部及び出力部(図示せず)を含んでおり、開状態と閉状態との間で移行可能である。一部の実施形態において、入力部と出力部は、実質的に同じ速度で入力部と出力部を回転させることによって、クラッチアセンブリ120、124を閉じるように係合させることができる。例えば、出力部が入力部より速く回転している場合、クラッチは開いたままである。入力部と出力部が実質的に同じ速度になると、クラッチアセンブリ120,124は閉じ、速度が再び異なるまで閉じたままとなる。更に、例示の実施形態では、クラッチアセンブリ120、124は、ロック状態とロック解除状態の間で移行可能である。ロック解除状態では、入力部から出力部に電力を伝達することができるが、出力部から入力部に電力を伝達することはできない。ロックされると、クラッチアセンブリ120、124は、出力部から入力部に電力を伝達することができる。本明細書において、クラッチアセンブリ120、124を「閉じる」ことは、クラッチアセンブリを閉状態に移行させることと、クラッチアセンブリをロック状態に移行させることの両方を含むことができる。更に、クラッチアセンブリ120,124を「開く」ことは、クラッチアセンブリをロック解除状態に移行させることと、クラッチアセンブリを開状態に移行させることの両方を含むことができる。一部の実施形態では、第1のクラッチアセンブリ120の入力部はタービンシャフト134に結合され、第1のクラッチアセンブリ120の出力部は、発電機シャフト116に結合される。更に、そのような一部の実施形態では、第2のクラッチアセンブリ124の入力部は、発電機シャフト116に結合され、第2のクラッチアセンブリ124の出力部は、フライホイールシャフト146に結合される。他の実施形態では、クラッチアセンブリ120、124の入力部及び出力部は、電力システム100が本明細書に記載されるように機能することができる。
【0025】
図2~
図5は、異なる動作モードにおける電力システム100を示す。
図2~
図5に示された回転矢印は、図示された動作モードにおけるそれぞれのシャフト116,134,146の回転運動を示す。
【0026】
図2を参照すると、電力システム100は、標準慣性電力モード200である。特に、第1のクラッチアセンブリ120は閉状態にあり、タービンシャフト134は、発電機シャフト116を回転駆動するために発電機シャフト116に結合されている。このモード200では、発電機シャフト116及びタービンシャフト134はそれぞれ回転しており、フライホイールシャフト146は回転していない。発電モードで動作する場合、発電機114は、発電機シャフト116の回転及び発電機のロータとステータ(図示せず)との対応する電磁相互作用によって、電力グリッド110(
図1に示す)に電力を供給する。更に、
図2の実施例では、第2のクラッチアセンブリ124は開状態にあり、発電機シャフト116はフライホイールシャフト146から切り離され、(すなわち、フライホイール144により慣性が加えられることなく)標準慣性が提供される。
【0027】
図3を参照すると、電力システム100は、標準慣性調相機モード300にある。例示的な実施形態では、第1のクラッチアセンブリ120は開状態にあり、タービンシャフト134は発電機シャフト116から切り離されている。
図3の実施形態では、発電機114は、電力グリッド110の同期調相機として機能することができる。同期調相機モードで動作する場合、発電機114は、例えば、無効電力を生成する又は吸収することによって、電力伝送網(
図1に示す)の状態を調整することができる。例えば、再生可能な電力発電が多い期間には、電力システム100が電力を生成する必要性が減少し、代わりに、電力システム100を、電圧変動を低減してグリッド110の電圧を調整するために同期調相機モード300,500のいずれかのモードで運転すること、及び短絡支援を提供することが望ましい場合がある。更に、
図3の実施例では、第2のクラッチアセンブリ124は開状態にあり、発電機シャフト116はフライホイールシャフト146から切り離されている。モード300では、発電機シャフト116が回転しており、フライホイールシャフト146及びタービンシャフト134はそれぞれ回転していない。
【0028】
例示的な実施形態では、第2のクラッチアセンブリ124は、電力システム100の慣性レベルを変更するために選択的に制御可能である。例えば、第2のクラッチアセンブリ124が開状態にあるとき、
図2及び
図3に示すように、フライホイール146は発電機シャフト116から切り離され、電力システム100は標準慣性モードで動作可能である。
【0029】
図4を参照すると、電力システム100は、高慣性電力モード400にある。特に、
図4において、第1のクラッチアセンブリ120及び第2のクラッチアセンブリ124はそれぞれ閉状態にあり、電力システム100は発電モード及び高慣性モードにある。高慣性モードでは、フライホイールシャフト146は、発電機シャフト116に結合されており、発電機シャフト116の回転によって、フライホイールシャフト146が回転する(逆に、フライホイールシャフト146の回転によって、発電機シャフト116が回転する)。その結果、高慣性モードで動作する場合、電力システム100の慣性が増加する。モード400では、発電機シャフト116、フライホイールシャフト146、タービンシャフト134の各々が回転する。
【0030】
図5を参照すると、電力システム100は、高慣性調相機モード500である。特に、第1のクラッチアセンブリ120は開状態であり、第2のクラッチアセンブリ124は閉状態である。モード500では、発電機シャフト116及びフライホイールシャフト146がそれぞれ回転しており、タービンシャフト134は回転していない。
【0031】
標準慣性モードと高慣性モードとの間の電力システム100の慣性の変化は、電力システムの慣性定数Hの変化で表すことができる。慣性定数Hは式(1)に従って計算される。式(1)は以下の通りである。
式(1)
ここで、Hは慣性定数(メガワット秒/メガボルトアンペア(MWs/MVA))である。Jは、慣性モーメント(キログラム平方メートル(kgm2)での)に等しく、ωは、公称回転速度(ラジアン/秒)に等しく、VAbaseは、発電機114のMVA定格に等しい。一部の実施形態では、複数の発電モードのうちの1つのモードで動作するときの電力システム100の慣性定数Hは、電力システム100の構造や、電力タービンアセンブリ104に使用される燃料タイプに応じて、2MWs/MVA~10MWs/MVAの範囲とすることができる。
【0032】
例示的な実施形態では、発電所の運転について考えた場合、高慣性モードでは、標準慣性モードと比較して、電力システム100の慣性定数Hが、例えばフライホイール144の特性及び他の動作パラメータに応じて、少なくとも1.25倍、少なくとも1.5倍、又は少なくとも1.75倍に増加する場合がある。例示的な実施形態では、高慣性発電モード400で動作する場合(すなわち、フライホイール144を使用する場合)、慣性定数Hは、標準慣性発電モード200に対して2倍増加する。より具体的には、例示的な実施形態では、標準慣性発電モード200で動作する場合、電力システム100の慣性定数Hは約5MWs/MVAであり、これは、発電機114の2MWs/MVAとタービン132の3MWs/MVAの慣性定数に基づいている。更に、例示の実施形態では、フライホイール144の慣性定数Hは5MWs/MVAである。その結果、高慣性発電モード400で動作する場合、電力システム100の慣性定数Hは約10MWs/MVAである。言い換えれば、高慣性モードで動作することにより、電力システム100は、通常であれば2つの発電所が必要であると考えられる電力グリッド110に、同じ大きさの慣性を与えることができる。
【0033】
フライホイール144を使用すると、同期調相機の動作中に、慣性定数Hに更に大きな影響を与える可能性がある。例えば、例示的な実施形態では、標準慣性同期調相機モード300で動作する場合、電力システム100の慣性定数Hは、約1MWs/MVAと約2MWs/MVAとの間であり、これは、発電機114の特性に基づいている。高慣性同期調相機モード500で動作する場合、電力システム100の慣性定数Hは約5MWs/MVAと約10MWs/MVAとの間であり、より具体的には、例示の実施形態では、フライホイール144により提供される追加の5MWs/MVAによって7MWs/MVAとなる。その結果、高慣性調相機モード500で動作する場合、慣性定数Hは、標準慣性調相機モード300に対して、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍に増加する。例示的な実施形態では、高慣性調相機モード500で動作する場合、慣性定数Hは、標準慣性調相機モード300に対して、3.5倍に増加する。
【0034】
他の実施形態では、電力システム100は、第2のクラッチアセンブリ124を含まず、フライホイールシャフト146は、発電機シャフト116から選択的に切り離すように構成されていない。例えば、一部の実施形態では、フライホイールシャフト146及び発電機シャフト116は、単一のシャフトとすることができる。そのような実施形態では、フライホイール144は、システム100が発電動作モードであるか同期調相機動作モードであるかどうかにかかわらず動作し、システム100は低慣性動作モードに移行することはできない。
【0035】
例示的な実施形態では、電力システム100は、第1のクラッチアセンブリ120及び第2のクラッチアセンブリ124と通信可能に結合されたコントローラ160を更に含む。コントローラ160は、少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)と少なくとも1つのメモリ装置(図示せず)とを含むコンピュータシステムである。メモリ装置は、電力システム100の1つ以上のサブシステムを制御する動作を実行するために、プロセッサによってアクセスされる非一過性のコンピュータ可読媒体及びプログラムを含むことができる。例示的な実施形態では、コントローラ160は、第1のクラッチアセンブリ120、第2のクラッチアセンブリ124、第1の駆動モータ142、及び第2の駆動モータ148に通信可能に結合される。
【0036】
コントローラ160は、動作中に開状態と閉状態との間で移行するように、それぞれのクラッチアセンブリ120、124を選択的に制御する。一部の実施形態では、第1のクラッチアセンブリ120及び第2のクラッチアセンブリ124はそれぞれ、コントローラ160と通信可能に結合されたアクチュエータ(図示せず)であって、それぞれのクラッチアセンブリを開状態と閉状態との間で駆動するように構成されたアクチュエータを含む。
図2~
図5には示されていないが、コントローラ160は、電力システム100の制御可能な他のサブシステム(
図1に示す静的始動システム112及び励磁システム130など)にも通信可能に結合されていることが理解される。
【0037】
一部の実施形態では、コントローラ160は、1つ以上のトリガの条件が満たされていることに基づいて、電力システム100を異なる動作モード間で自動的に切り替えるように更に構成することができる。例えば、一部の実施形態において、コントローラ160は、電力グリッド条件(使用量、電圧変動、需要、価格など)を監視し、検出されたグリッド条件に基づいて電力システム100の所望の動作モードを決定するように構成されている。一実施例として、一部の実施形態では、コントローラ160は、検出されたグリッド条件に基づいて、パワーシステム100を、標準慣性電力モードから高慣性調相機モード500に自動的に切り替えることができる。更に、一部の実施形態では、コントローラ160は、一日の中で、再生可能エネルギーが多く発電される時間帯に基づいて、電力システム100の動作モードを自動的に切り替えてもよい。例えば、一部の実施形態において、コントローラ160は、電力システム100を、太陽エネルギー生産がピークとなる真昼に、発電モード200、400のうちの1つのモードから、同期調相機モード300、500のうちの1つのモードに自動的に切り替えてもよい。
【0038】
コントローラ160は、駆動モータ142,148を制御して、発電機114を停止させることなく電力システム100の動作モードを切り替えることができるように更に構成される。例えば、複数の同期調相機モードのうちの1つのモードで動作しているとき(例えば、
図3及び
図5に示されるモード)、発電モードに切り替えるために、第1の駆動モータ142は、タービンシャフト134を、発電機シャフト116の回転速度と実質的に一致する又は同期する回転速度まで駆動するように制御して、第1のクラッチアセンブリ120を閉じることができる。更に、第2の駆動モータ148は、複数の標準慣性モードのうちの1つのモードから複数の高慣性モードのうちの1つのモードに切り替えるとき(例えば、
図4及び5に示すモード)、フライホイールシャフト146に対して実質的に同じ方法で制御することができる。一部の実施形態では、コントローラ160は、遠隔処理施設又はグリッドオペレータ(図示せず)から命令を受信し、受信した命令に基づいて電力システム100を制御するように構成することもできる。
【0039】
図6は、発電所102の動作モードを変更する手順を決定するための表の一例を示す。特に、例示的な実施形態では、電力システム100は、電力システム100を停止することなく(すなわち、発電機シャフト116の回転を停止又は大幅に減速することなく)、異なる動作モード200~500(
図2~
図5に示す)の間で移行するように構成される。第1の表602は、発電所を、動作モード200-500のうちの1つの動作モードから動作モード200-500のうちの別の動作モードに変更するために使用される手順識別子を示す。第2の表604は、第1の表602で使用される手順識別子に関連する手順を説明するものである。
【0040】
第1の表602の第1行は、通常慣性電力モード200の動作から他の各モードに切り替える手順を示している。例示的な実施形態では、電力システム100は、第1のクラッチアセンブリ120を開くことによって、通常の慣性調相機モードに切り替えられる。例示的な実施形態では、電力システム100は、フライホイールシャフト146が第2のクラッチアセンブリ124と同期するように第2の駆動モータ148を動作させ、その後で第2クラッチアセンブリ124を閉じることによって、高慣性電力モード400に切り替えられる。例示的な実施形態では、電力システム100は、第1のクラッチアセンブリ120を開くこと、更に、フライホイールシャフト146が第2のクラッチアセンブリ124と同期するように第2の駆動モータ148を動作させ、その後で第2のクラッチアセンブリ124を閉じることによって、高慣性調相機モード500に切り替えられる。
【0041】
第1の表602の第2行は、通常慣性同期調相機モード300の動作から他の各モードへの切替えの手順を示している。例示的な実施形態では、電力システム100は、タービンシャフト134が第1のクラッチアセンブリ120と同期するように第1の駆動モータ142を動作させ、その後で第1のクラッチアセンブリ120を閉じることによって、通常の慣性発電所モード200に切り替えられる。例示の実施形態では、電力システム100は、フライホイールシャフト146が第2のクラッチアセンブリ124と同期するように第2の駆動モータ148を動作させ、その後で第2のクラッチアセンブリ124を閉じること、更に、タービンシャフト134が第1のクラッチアセンブリ120と同期するように第1の駆動モータ142を動作させ、その後で第1のクラッチアセンブリ120を閉じることによって、高慣性発電所モード400に切り替えられる。更に、例示的な実施形態では、電力システム100は、フライホイールシャフト146が第2のクラッチアセンブリ124と同期するように第2の駆動モータ148を動作させ、その後で第2のクラッチアセンブリ124を閉じることによって、高慣性調相機モード500に切り替えられる。
【0042】
第1の表602の第3行は、高慣性電力モード400の動作から他の各モードへの切替えの手順を示している。例示的な実施形態では、電力システム100は、第2のクラッチアセンブリ124を(例えば、
図2に示すように)開くことによって、通常慣性電力モード200に切り替えられる。例示的な実施形態では、電力システム100は、第1のクラッチアセンブリ120と第2のクラッチアセンブリ124の両方を開くことによって、通常慣性同期調相機モード300に切り替えられる。例示的な実施形態では、電力システム100は、第1のクラッチアセンブリ120を開くことによって、高慣性同期調相機モード500に切り替えられる。
【0043】
第1の表602の第4行は、高慣性調相機モード500の動作から他の各モードへの切替えの手順を示している。例示的な実施形態では、電力システム100は、第2のクラッチアセンブリ124を開くこと、更に、タービンシャフト134が第1のクラッチアセンブリ120と同期するように第1の駆動モータ142を動作させ、その後で第1クラッチアセンブリ120を閉じることによって、通常慣性発電所モード200に切り替えられる。例示的な実施形態では、電力システム100は、第2のクラッチアセンブリ124を開くことによって、通常慣性同期調相機モード300に切り替えられる。更に、例示的な実施形態では、電力システム100は、タービンシャフト134が第1のクラッチアセンブリ120と同期するように第1の駆動モータ142を動作させ、その後で第1のクラッチアセンブリ120を閉じることによって、高慣性発電所モード400に切り替えられる。
【0044】
代替の実施形態では、発電機シャフト116が回転しているとき、第1のクラッチアセンブリ120及び/又は第2のクラッチアセンブリ124は、発電機シャフト116の速度を低下することによって、発電機シャフト116に結合することができる。例えば、一部の実施形態では、手順Dは、代替的に、発電機シャフト116の速度を回転ギア速度まで低下させ、その後で第2のクラッチアセンブリ124を閉じることを含むことができる。同様に、手順Eは、代替的に、発電機シャフト116の速度をターニングギア速度まで低下させ、その後に第1のクラッチアセンブリ120を閉じることを含むことができる。
【0045】
更に、又は代替的に、発電所102は、発電機114の出力を低下し、クラッチアセンブリ120、124を上記のように調整することによって、上記のモードのうちのいずれか1つのモードに切り替えることができる。他の実施形態では、第1のクラッチアセンブリ120及び第2のクラッチアセンブリ124のうちの1つ以上のクラッチアセンブリが、ボルト式連結器(図示せず)を含むことができる。一部の実施形態では、クラッチアセンブリ120、124は、コントローラ160によって移行されるのではなく、ボルト式連結器を(例えば、オペレータによって)手動で連結/連結解除することにより移行される。更に、一部の実施形態では、コントローラ160は、慣性アセンブリ108、発電機アセンブリ106、タービンアセンブリ104のうちの少なくとも1つのアセンブリの追加サブシステムの動作を制御するように更に構成される。
【0046】
図7は、電力システムを運転する方法700の一例のフロー図である。例示的な実施形態では、方法700は、クラッチアセンブリ(例えば、クラッチアセンブリ120)を閉状態に移行することによって、タービンアセンブリのタービンシャフトを発電機アセンブリの発電機シャフトに結合すること(702)を含む。発電機シャフトは慣性アセンブリのフライホイールに結合されている。方法は、クラッチアセンブリが閉状態にある間に、電力システムを発電モードで動作させること(704)を更に含む。方法は更に、クラッチアセンブリを開いて開状態にし、タービンシャフトを発電機シャフト及びフライホイールから切り離すこと(706)を含む。方法は更に、クラッチアセンブリが開状態にある間に、電力システムを同期調相機モードで動作させること(708)を含む。
【0047】
上記の実施形態は、発電モードと同期調相機モードとの間で電力システムを移行させるように動作可能な慣性アセンブリ及びクラッチアセンブリを含む電力システムに関するものである。具体的には、例示的な実施形態において、電力システムは、タービン及びタービンシャフトを含むタービンアセンブリと、発電機及び発電機シャフトを含む発電機アセンブリと、発電機シャフトに結合されるフライホイールを含む慣性アセンブリとを含む。タービンシャフトを発電機シャフトに選択的に結合するためのクラッチアセンブリも提供される。クラッチアセンブリは、タービンシャフトが発電機シャフトに結合されている閉状態と、タービンシャフトが発電機シャフトから切り離されている開状態との間で移行可能である。電力システムは、クラッチアセンブリが閉状態にあるときは発電モードで動作可能であり、クラッチアセンブリが開状態にあるときは同期調相機モードで動作可能である。
【0048】
例示的な実施形態において、電力システムは、クラッチアセンブリを制御することによって、発電モード又は同期調相機モードで選択的に動作することができる。クラッチアセンブリは、電力システムが発電モードにあるときにタービンシャフトを発電機シャフトに結合し、タービンシャフトを発電機から切り離して電力システムを同期調相機モードで動作するように制御することが可能である。更に、慣性アセンブリは、グリッドに与えられる慣性を増強することが可能である。このように、電力システムは、グリッドのニーズの変化に応じて、異なるモードで動作するように適応することができる。
【0049】
更に、本明細書に記載のシステム及び方法の技術的効果の一部の例としては、(a)電力システムにおける電気グリッドのニーズに対応する機能を向上すること、(b)個別の専用の慣性ユニットを実装することを必要とせずに、電力システムの慣性を増強すること、(c)発電と同期調相機の機能を実現するための個別の設備の必要性を少なくする又は当該個別の設備の必要性を無くすことによって、運用コスト及び材料を削減すること、及び(d)電力システムの効率を向上すること、の少なくとも1つが含まれる。
【0050】
本開示のさらなる態様は、以下の実施形態によって提供される。
[実施形態1]
電力システムであって、タービンとタービンシャフトとを含むタービンアセンブリ、発電機と発電機シャフトとを含む発電機アセンブリ、前記発電機シャフトに結合されるフライホイールを含む慣性アセンブリ、及び前記タービンシャフトを前記発電機シャフトに結合するクラッチアセンブリであって、前記クラッチアセンブリは、前記タービンシャフトが前記発電機シャフトに結合される閉状態と、前記タービンシャフトが前記発電機シャフトから切り離される開状態との間で移行可能であり、前記電力システムは、前記クラッチアセンブリが閉状態のときに発電モードで動作可能であり、前記クラッチアセンブリが開状態のときに同期調相機モードで動作可能である、クラッチアセンブリを含む電力システム。
[実施形態2]
前記慣性アセンブリは、前記フライホイールに結合されたフライホイールシャフトと、前記発電機シャフトとを更に含む、実施形態1に記載の電力システム。
[実施形態3]
前記発電機シャフトは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部とを含み、前記クラッチアセンブリは、前記第1の端部において前記発電機シャフトに結合され、前記フライホイールシャフトは、前記第2の端部において前記発電機シャフトに結合されている、実施形態1又は2に記載の電力システム。
[実施形態4]
前記クラッチアセンブリは、第1のクラッチアセンブリであり、前記電力システムは、前記フライホイールシャフトを前記発電機シャフトに結合するための第2のクラッチアセンブリを更に含む、実施形態1~3のうちのいずれかの実施形態に記載の電力システム。
[実施形態5]
前記第1のクラッチアセンブリ及び前記第2のクラッチアセンブリと通信するように結合されたコントローラを更に含み、前記コントローラは、前記電力システムを、標準慣性発電モード、高慣性発電モード、標準慣性同期調相機モード、及び高慣性同期調相機モードのうちの少なくとも3つのモードの間で切り替えるように、前記第1のクラッチアセンブリ及び前記第2のクラッチアセンブリの状態を制御する、実施形態1~4のうちのいずれかの実施形態に記載の電力システム。
[実施形態6]
前記電力システムは、前記標準慣性発電モードで動作する場合は第1の慣性定数を有し、前記高慣性発電モードで動作する場合は第2の慣性定数を有し、前記第2の慣性定数は、前記第1の慣性定数の少なくとも1.25倍の定数である、実施形態1~5のうちのいずれかの実施形態に記載の電力システム。
[実施形態7]
前記第2の慣性定数は、前記第1の慣性定数の2倍の定数である、実施形態1~6のうちのいずれかの実施形態に記載の電力システム。
[実施形態8]
前記タービンアセンブリは、前記タービンシャフトに結合された駆動モータを更に含み、前記駆動モータは、前記タービンシャフトが、前記発電機シャフトの同期速度まで回転するように、前記タービンシャフトを駆動して、前記電力システムを前記同期調相機モードから前記発電モードに移行させる、実施形態1~7のうちのいずれかの実施形態に記載の電力システム。
[実施形態9]
前記電力システムが前記同期調相機モードで動作しているとき、前記クラッチアセンブリは、前記電力システムを前記同期調相機モードから前記発電モードに切り替えるために、前記開状態から前記閉状態に移行するように動作可能である、実施形態1~8のうちのいずれかの実施形態に記載の電力システム。
[実施形態10]
前記電力システムは、前記発電機シャフトの回転を減速させることなく、前記同期調相機モードから前記発電モードに切り替わるように構成される、実施形態1~9のうちのいずれかの実施形態に記載の電力システム。
[実施形態11]
前記クラッチアセンブリは、前記発電機シャフトに結合された第1のステディ軸受と、前記タービンシャフトに結合された第2のステディ軸受と、ロック可能なクラッチと、回転ギアとを更に含む、実施形態1~10のうちのいずれかの実施形態に記載の電力システム。
[実施形態12]
前記発電機アセンブリは、励磁システム、及び前記発電機シャフトに結合された励磁リングであって、前記励磁リングは、前記励磁システムから発生する電流を受け取るように構成されている、励磁リングを更に含む、実施形態1~11のうちのいずれかの実施形態に記載の電力システム。
[実施形態13]
電力システムを動作させる方法であって、クラッチアセンブリを閉状態に移行することによって、タービンアセンブリのタービンシャフトを発電機アセンブリの発電機シャフトに結合することであって、前記発電機シャフトは慣性アセンブリのフライホイールに結合されている、発電機アセンブリの発電機シャフトに結合すること、前記クラッチアセンブリが閉状態にある間に、前記電力システムを発電モードで動作させること、前記クラッチアセンブリを開いて開状態にし、前記タービンシャフトを前記発電機シャフト及び前記フライホイールから切り離すこと、及び前記クラッチアセンブリが開状態にある間に、前記電力システムを同期調相機モードで動作させることを含む、電力システムを動作させる方法。
[実施形態14]
前記電力システムが前記同期調相機モードで動作している間に、前記クラッチアセンブリを閉じて前記タービンシャフトを前記発電機シャフトに結合し、前記電力システムを前記発電モードに切り替えることを更に含む、実施形態13に記載の方法。
[実施形態15]
前記クラッチアセンブリを閉じる前に、前記タービンシャフトに結合された駆動モータによって、前記タービンシャフトの回転を駆動して、前記発電機シャフトの回転速度に一致させることを更に含む、実施形態13又は14に記載の方法。
[実施形態16]
前記慣性アセンブリは、前記フライホイールに結合されたフライホイールシャフトと、前記発電機シャフトとを更に含み、前記発電機シャフトは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部とを含み、前記クラッチアセンブリは、前記発電機シャフトを前記発電機シャフトの第1の端部において前記タービンシャフトに結合し、前記方法は、前記フライホイールシャフトを、前記第2の端部において前記発電機シャフトに結合することを含む、実施形態13~15のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
[実施形態17]
前記慣性アセンブリは、前記フライホイールに結合されたフライホイールシャフトと、前記発電機シャフトとを更に含み、前記クラッチアセンブリは、第1のクラッチアセンブリであり、前記方法は、前記フライホイールシャフトを第2のクラッチアセンブリによって前記発電機シャフトに結合することを更に含む、実施形態13~16のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
[実施形態18]
前記電力システムを、標準慣性発電モード、高慣性発電モード、標準慣性同期調相機モード、及び高慣性同期調相機モードのうちの少なくとも3つのモードの間で切り替えることを含む、実施形態13~17のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
[実施形態19]
前記電力システムは、前記標準慣性発電モードで動作する場合は第1の慣性定数を有し、前記高慣性発電モードで動作する場合は第2の慣性定数を有し、前記第2の慣性定数は、前記第1の慣性定数の少なくとも1.25倍の定数である、実施形態13~18のうちのいずれかの実施形態に記載の方法。
[実施形態20]
電力システムであって、タービンとタービンシャフトとを含むタービンアセンブリ、発電機と発電機シャフトとを含む発電機アセンブリであって、前記発電機シャフトは、第1の端部から、反対側の第2の端部まで延在する、発電機アセンブリ、前記発電機シャフトに結合されるフライホイールを含む慣性アセンブリ、前記タービンシャフトを前記発電機シャフトの第1の端部に結合するように動作可能な第1のクラッチアセンブリ、及び前記フライホイールシャフトを前記発電機シャフトの第2の端部に結合するように動作可能な第2のクラッチアセンブリを含み、前記電力システムは、前記第1のクラッチアセンブリが閉じているときに発電モードで動作可能であり、前記第1のクラッチアセンブリが開いているときに同期調相機モードで動作可能である、電力システム。
【0051】
上記の説明は例示的なものであることのみを意図しており、当業者は、開示された開示範囲から逸脱することなく、記載された実施形態を変更できることを認識する。本開示の範囲内の変更は、本開示を見直すことによって当業者には明らかであり、そのような変更は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0052】
電力システムの例示的な実施形態が詳細に上述されている。本明細書に記載のシステム及び方法は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、本方法のステップは、本明細書に記載の他のステップとは独立に且つ別々に利用することができる。例えば、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載のガスタービンエンジンの構成要素のクリーニングの実施に限定されるものではない。本開示の実施形態は、回転部品による発電を含む任意の用途において、実施及び利用することができる。
【0053】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴は、一部の図面に示され、他の図面には示されないことがあるが、これは単なる便宜のためである。更に、上記の説明における「一実施形態」への言及は、言及された特徴を組み込む追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。本開示の原理に従って、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて言及する及び/又は特許請求の範囲に記載することができる。
【0054】
本開示は、様々な特定の実施形態の観点から説明されてきたが、当業者は、本開示が、特許請求の範囲及び趣旨の中で変更できることを認識する。
【符号の説明】
【0055】
100 電力システム
104 タービンアセンブリ
106 発電機アセンブリ
108 慣性アセンブリ
114 フライホイール
116 発電機シャフト
118 第1の端部
120 クラッチアセンブリ
122 第2の端部
124 第2のクラッチアセンブリ
126 第1の中間軸受
128 励磁リング
130 励磁システム
132 タービン
134 タービンシャフト
142 駆動モータ
144 フライホイール
146 フライホイールシャフト
150 ロック可能クラッチ
152 回転ギア
160 コントローラ
【外国語明細書】