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  • 特開-吹出口構造 図1
  • 特開-吹出口構造 図2
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  • 特開-吹出口構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012928
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】吹出口構造
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
F24F13/06 D
F24F13/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116694
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】新川 隆将
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080BB01
3L080BE04
(57)【要約】
【課題】電源の配線工事を必要としない吹出口構造を提供する。
【解決手段】吹出口装置10は、空調空気が供給されるチャンバー12と、チャンバー12から空調空気を吹き出す吹出口12Aと、チャンバー12の内部に設けられ空調空気により回転する風車38と、チャンバー12の内部に設けられ風車の回転により発電を行う発電機32と、吹出口12Aに設けられ発電機32で発電された電力により発熱する電気ヒータ22と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調空気が供給される吹出口本体と、
前記吹出口本体から空調空気を吹き出す吹出口と、
前記吹出口本体の内部に設けられ空調空気により回転する風車と、
前記吹出口本体の内部に設けられ前記風車の回転により発電を行う発電機と、
前記吹出口に設けられ前記発電機で発電された電力により発熱するヒータと、
を有する吹出口構造。
【請求項2】
前記吹出口から吹き出す前記空調空気の温度が予め設定された温度以上の場合に、前記ヒータへの通電を停止する感温スイッチを有する、
請求項1に記載の吹出口構造。
【請求項3】
前記感温スイッチは、バイメタルスイッチである、
請求項2に記載の吹出口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹出口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空調空気の吹出口として、吹出口の結露を抑制するために、ヒータ線を内蔵した吹出口が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
この吹出口は、ヒータ線に電源を接続して通電することで発熱させ、吹出口の結露を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-013328号公報
【特許文献2】特開2012-211742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の吹出口では、配電盤から吹出口に至る電源配線を施す電気工事を必要とし、改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、電源配線の電気工事を必要としない吹出口構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の吹出口構造は、空調空気が供給される吹出口本体と、前記吹出口本体から空調空気を吹き出す吹出口と、前記吹出口本体の内部に設けられ空調空気により回転する風車と、前記吹出口本体の内部に設けられ前記風車の回転により発電を行う発電機と、前記吹出口に設けられ前記発電機で発電された電力により発熱するヒータとを有する。
【0007】
請求項1に記載の吹出口構造では、吹出口本体の内部に風車と発電機を設けているので、空調空気が送風された際に風車が回転して発電機が発電をし、ヒータに電力を供給することができる。ヒータに電力が供給されることでヒータが発熱し、吹出口を温めることができる。
請求項1に記載の吹出口構造では、吹出口本体の内部に風車と発電機を設けて自己発電するので、商用電源を必要とせず、電源の配線工事が不要となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吹出口構造において、前記吹出口から吹き出す前記空調空気の温度が予め設定された温度以上の場合に、前記ヒータへの通電を停止する感温スイッチを有する。
【0009】
請求項2に記載の吹出口構造では、吹出口から吹き出す空調空気の温度が予め設定された温度以上の場合に、感温スイッチがヒータへの通電を停止する。
このため、吹出口から吹き出す空調空気の温度が予め設定された温度以上で、吹出口に結露の虞れがないときに、通電を停止することができる。これにより、ヒータを発熱させ続けることによる不具合、例えば、吹出口の部材の変形や、塗装の変色等を抑制することができる。
また、結露の虞がなく吹出口を昇温する必要がない場合、即ち、感温スイッチでヒータへの通電を停止した場合、発電機を駆動する力、言い換えれば、風車を回転させる力を通電時よりも必要としなくなる。そのため、空調空気によって風車を軽く回転させることができ、送風抵抗を小さくすることができる。
また、結露の虞がない場合に吹出口を昇温しないので、吹出口の昇温を長時間続けることによる吹出口の変形や変色を抑制することもできる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吹出口構造において、前記感温スイッチは、バイメタルスイッチである。
【0011】
請求項3に記載の吹出口構造では、電力を使用せず、バイメタルスイッチという簡単な構造でヒータへの通電をオンオフすることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明の吹出口構造によれば、電源配線の電気工事を必要としないという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る吹出口装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図2】(A)は発電ユニットを示す平面図であり、(B)は発電ユニットの構成を示す縦断面図である。
図3】第2の実施形態に係る吹出口装置を示す縦断面図である。
図4】第3の実施形態に係る吹出口装置の電気系を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1、及び図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係る吹出口構造を備えた吹出口装置10について説明する。
図1に示すように、本実施形態の吹出口装置10は、空調空気が供給される吹出口本体としての細長い矩形箱状のチャンバー12を備えている。本実施形態の吹出口装置10は、一例として、ブリーズラインタイプと呼ばれるものである。
【0015】
チャンバー12は、天井裏空間に配置される。チャンバー12の下部には、空調空気を室内に吹き出す吹出口12Aが設けられている。
【0016】
図1、及び図2に示すように、吹出口12Aは、長方形状とされた枠形状とされ、中央部分が開口している。
【0017】
図2に示すように、吹出口12Aは、天井板14に形成された開口部16に配置されている。吹出口12Aには、必要に応じて風向きを変更可能な複数の羽根12Bが設けられている。なお、羽根12Bは必要に応じて設ければよく、無くてもよい。吹出口12A、及び羽根12Bは、合成樹脂製でもよく、メッキや塗装がされた金属製であってもよい。
【0018】
図1に示すように、チャンバー12の側面には、図示しない空調機からの空調空気が送られるダクト18が接続される円孔を有した接続部20が設けられている。
【0019】
図2(B)に示すように、吹出口12Aには、吹出口12Aを加熱して昇温する電気ヒータ22が設けられている。本実施形態の吹出口12Aは、合成樹脂製であり、内部に電気ヒータ22を埋設しているが、電気ヒータ22は額縁表面に配置してもよい。電気ヒータ22は、吹出口12Aの全周に渡って設けられている。
【0020】
電気ヒータ22の形状は特に問わず、線状であってもよく、面状であってもよい。また、図2(B)に示す例では、羽根12Bに電気ヒータ22が設けられていないが、羽根12Bに電気ヒータ22を設けてもよい。
【0021】
図1に示すように、吹出口12Aには、コ字形状のフレーム24が一対設けられており、一方のフレーム24と他方のフレーム24とに2つの連結部材26が掛け渡されている。
【0022】
2つの連結部材26の間には、発電ユニット28が配置されている。発電ユニット28は、軸方向を鉛直方向とした円筒部材30を備えている。円筒部材30は、図示しないネジ等で連結部材26に固定されている。
【0023】
図2(A)、(B)に示すように、円筒部材30の内部には、回転軸32Aを下向き、かつ鉛直方向とした発電機32が配置されている。発電機32は、一例として円筒部材30の内周面に金具34を用いて支持されている。
【0024】
本実施形態の発電機32は、一例として円柱形状とされており、上端部に、空気抵抗低減用のコーン形状(先細り形状。円錐形状)のキャップ36が取り付けられている。
【0025】
発電機32の回転軸32Aには、風車38が取り付けられており、風車38が回転することで、発電機32は発電を行う。本実施形態の風車38は、プロペラ形状であるが、風を受けて回転するものであればその形状は特に問わない。また、発電機32は、直流発電を行うものであってもよく、交流発電を行うものであってもよい。
【0026】
ダクト18を介してチャンバー12内に空調空気が送り込まれると、該空調空気は、吹出口12Aから室内に吹き出されるが、該空調空気の通過経路中に発電ユニット28が設けられているため、空調空気が発電ユニット28を通過すると、風車38が回転して発電機32は発電を行う。
【0027】
図1に示すように、連結部材26には、チャンバー12内を通過して吹出口12Aから吹き出す空調空気の温度を測定する温度センサ42、及び制御装置44が設けられている。制御装置44は、配線46で温度センサ42と接続され、配線48で発電機32と接続され、配線50で電気ヒータ22と接続されている。
【0028】
温度センサ42は、チャンバー12内を流れて吹出口12Aから吹き出す空調空気の温度を検出する。温度センサ42で検出された空調温度の温度検出データは、配線46を介して制御装置44に送られる。
【0029】
制御装置44には、吹出口12Aに結露を生ずる条件の一例である結露温度T1が予め記憶されており、制御装置44は、予め記憶された結露温度T1と、温度センサ42で検出した空調空気の空調空気温度T2とを比較する。制御装置44は、空調空気温度T2が結露温度T1以下であると判断すると、電気ヒータ22に通電を行い、吹出口12Aを昇温させる制御を行う。なお、制御装置44は、発電機32で発電された電力を用いて作動する。
【0030】
図2(B)に示すように、吹出口12Aには、室内側から見える位置に、動作確認ランプ52が取り付けられている。制御装置44は、電気ヒータ22の動作時に、動作確認ランプ52に配線54を介して電力を供給して動作確認ランプ52を点灯させる。動作確認ランプ52には、一例としてLEDが用いられている。
【0031】
なお、この吹出口装置10は、長尺のボルト56の一端をナット58を用いてフレーム24に固定し、該ボルト56の他端を梁などに固定することで、梁等の構造物に固定することができる。
【0032】
(作用、効果)
本実施形態の吹出口装置10では、空調機が作動し、空調空気が吹出口12Aの開口部10aに向けて流れると、風車38が回転し、発電機32で発電が行われる。
【0033】
ここで、一例として、冷房時に、吹出口12Aを通過する空調空気の温度が室温よりも低く、吹出口12Aの温度が室温よりも低くなると、吹出口12Aが結露する場合がある。特に、夏場で室温、及び湿度が比較的高く、空調空気の温度が室温よりも低く、かつ室温と空調空気との温度差が大きい場合に、結露が生じ易くなる。
【0034】
しかし、本実施形態の吹出口装置10では、予め記憶しておいた結露温度T1よりも空調空気の温度が低い場合に、吹出口12Aを電気ヒータ22で昇温するので、吹出口12Aの温度と室温と温度差が小さくなり、吹出口12Aの結露を抑制することができる。
【0035】
なお、吹出口12Aの結露は、吹出口12Aの温度、室内の気温(室温)、室内の空気の湿度など諸条件が揃うことで生じるので、結露温度T1は、予め実験を行って設定することが好ましい。
【0036】
本実施形態の吹出口装置10では、空調空気が送風されている間は絶えず風車38が回り続けるので、空調空気が送風されている間は電気ヒータ22への電力供給が可能となっている。
【0037】
本実施形態の吹出口装置10は、空調空気を利用して自己発電するので、電源の配線工事を必要としないため、取付け工事の作業を軽減できる。なお、改修工事等で、電源線を持ってこれない場所においても、本実施形態の吹出口装置10は設置可能であり、電気ヒータ22による結露防止対策を取ることが可能となる。
【0038】
本実施形態の吹出口装置10は、商用電源を必要としないため、電気代を必要とせず、商用電源を必要とする従来技術対比で、維持費を低減することができる。
【0039】
なお、一例として、室温よりも高い温度の空調空気を送風する暖房時など、空調空気の温度が室温以上の場合には、吹出口12Aで結露を生じることはないので、電気ヒータ22で吹出口12Aを昇温させる必要はない。
【0040】
本実施形態では、吹出口12Aが結露しない条件、即ち、空調空気の温度が、予め設定した結露温度T1以上の場合に、制御装置44は電気ヒータ22への通電をさせないので、電気ヒータ22へ通電する場合に比較して、発電機32の回転軸32Aを回転させるためにエネルギーを必要とせず、風車38が軽く回転し、空調空気の通過抵抗を少なくすることができる(言い換えれば、発電機32を回すエネルギーが少なくなり、チャンバー内を通過する単位時間当たりの空調空気の通過量が増える。)。
【0041】
これにより、冷房時に比較して、吹出口12Aから室内へ吹き出される空調空気の吹き出し量が増え、効率的に室内の空調を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態の吹出口装置10では、結露の虞がない場合に吹出口を昇温しないので、吹出口の昇温を長時間続けることによる吹出口の変形や変色を抑制することもできる。
【0043】
本実施形態の吹出口装置10では、電気ヒータ22へ電力を送る際に、動作確認ランプ52が点灯するので、動作確認ランプ52の点灯により、発電機32で発電された電力で電気ヒータ22が発熱していることを、室内から確認することができる。
【0044】
本実施形態の吹出口装置10では、発電ユニット28が1個設けられていたがが、発電ユニット28は必要に応じて増設することができ、図1の実線、及び2点鎖線で示すように、発電ユニット28を2個設けてもよい。
【0045】
[第2の実施形態]
図3を用いて、本発明の第3の実施形態に係る吹出口装置60について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図3に示す本実施形態の吹出口装置60は、アネモタイプと呼ばれるものであり、発電部分以外の構成は、従来の一般的に知られている構造であるため、発電部分以外の構成は概略を説明する。
【0046】
吹出口装置60は、本実施形態の吹出口装置60は、天井裏に配置され、ダクト18から空調空気が供給される。
【0047】
吹出口装置60は、ダクト18が接続される一定径の円筒形状とされたダクト接続部62Aと、ダクト接続部62Aの下部に設けられて末広がり形状とされた外コーン62Bと、外コーン62Bの内側に設けられ、複数の羽根体からなる中コーン62Cとを含んで構成されている。なお、図示を省略するが、外コーン62B、及び中コーン62Cの羽根体の平面視形状は、四角形や円形の公知の形状である。
本実施形態の吹出口装置60では、円筒形状とされたダクト接続部62Aが吹出口本体に相当し、ダクト接続部62Aよりも下側部分が吹出口に相当している。
【0048】
ダクト接続部62Aの内部には、発電機32、温度センサ42、及び制御装置44が設けられている。発電機32は、金具(図示省略)などを用いてダクト接続部62Aに支持され、空調空気通過経路内に配置されている。また、温度センサ42、及び制御装置44は、一例としてダクト接続部62Aの内周面に設けられている。
【0049】
本実施形態の吹出口装置60では、電気ヒータ22が中コーン62Cに設けられている。
【0050】
本実施形態の吹出口装置60も第1の実施形態の吹出口装置10と同様に、予め記憶しておいた結露温度T1よりも空調空気の温度が低い場合に、中コーン62Cを電気ヒータ22で昇温するので、中コーン62Cの温度と室温と温度差が小さくなり、中コーン62Cの結露を抑制することができる。
【0051】
なお、電気ヒータ22は、中コーン62Cだけでなく、外コーン62Bに設けてもよい。
【0052】
[変形例]
図4を用いて、本発明の第1の実施形態に係る吹出口装置10の変形例について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0053】
図4には、本実施形態の吹出口装置10の電気回路が示されている。
本実施形態では、電気ヒータ22、発電機32、及び感温スイッチの一例としてのバイメタルスイッチ64が直列に設けられている。
バイメタルスイッチ64は、第1の実施形態と同様に連結部材26に設けることができるが、空調空気が通過する位置であれば、配置する位置は特に問わない。
【0054】
本実施形態では、空調空気の温度T2が、予め記憶しておいた結露温度T1以下となった場合にバイメタルスイッチ64がオンになり、電気ヒータ22に電力が供給され、吹出口12Aが電気ヒータ22で昇温される。
【0055】
本実施形態では、バイメタルスイッチ64という簡単な構造で電気ヒータ22への通電をオンオフすることができるため、吹出口装置10の装置構成が簡単になり、吹出口装置10を低コストで提供することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、感温スイッチとしてバイメタルスイッチ64を用いたが、感温スイッチとして、バイメタルを用いない他の構造のサーモスタットスイッチを用いることもできる。
【0057】
なお、本構造は、第2の実施形態のアネモタイプの吹出口装置60にも適用できる。
【0058】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
10 吹出口装置
12 チャンバー(吹出口本体)
12A 吹出口
22 ヒータ
32 発電機
38 風車
60 吹出口装置
62A ダクト接続部(吹出口本体)
62B 外コーン(吹出口)
62C 中コーン(吹出口)
64 バイメタルスイッチ(感温スイッチ)
図1
図2
図3
図4