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特開2023-129290分析方法、分析システム、分析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129290
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】分析方法、分析システム、分析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20230907BHJP
【FI】
G06Q20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020065
(22)【出願日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2022031690
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】522082436
【氏名又は名称】株式会社バンカブル
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】村松 聖一
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB15
(57)【要約】
【課題】
投資金額と売上情報からその投資効果を好適に分析すること。
【解決手段】
投資金額の支払いに用いられる支払手段に関する支払手段情報および顧客情報の入力を受け付け、記憶部DBに格納する登録受付工程と、前記支払手段情報を、前記顧客情報に対応付ける支払手段付与工程と、前記支払手段による支払履歴に基づき前記投資金額を含む投資情報を取得する投資情報取得工程と、売上金額を含む売上情報を取得する売上情報取得工程と、前記投資金額および前記売上金額に基づき投資効果の分析値を算出する分析工程と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投資金額に対する投資効果を分析するための分析方法であって、
投資金額の支払いに用いられる支払手段に関する支払手段情報および顧客情報の入力を受け付け、記憶部に格納する登録受付工程と、
前記支払手段情報を、前記顧客情報に対応付ける支払手段付与工程と、
前記支払手段による支払履歴に基づき前記投資金額を含む投資情報を取得する投資情報取得工程と、
売上金額を含む売上情報を取得する売上情報取得工程と、
前記投資金額および前記売上金額に基づき投資効果の分析値を算出する分析工程と、を備える分析方法。
【請求項2】
前記支払手段は、第1支払手段と、前記第1支払手段に基づき発行される第2支払手段と、を有し、
前記第2支払手段を含む支払手段情報を、顧客情報に基づき特定される顧客に通知する通知工程を備える、請求項1に記載の分析方法。
【請求項3】
前記第1支払手段は、クレジットカードの親カード番号であり、
前記第2支払手段は、クレジットカードの子カード番号である、請求項2に記載の分析方法。
【請求項4】
前記売上情報取得工程は、顧客情報に対応付けられたECサービスを介して売上情報を取得する、請求項1に記載の分析方法。
【請求項5】
前記投資金額は、前記ECサービスを介して販売される販売品に関する広告費を含む、請求項4に記載の分析方法。
【請求項6】
顧客生涯売上の予測値および投資金額の予測値に基づき投資効果の予測値を算出し、前記投資効果の予測値が所定値未満か否かを判断する審査工程を備える、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の分析方法。
【請求項7】
前記分析工程は、前記投資効果の分析値および前記投資効果の予測値に基づく分析結果を出力する、請求項6に記載の分析方法。
【請求項8】
前記顧客情報は、希望与信金額を含み、
前記審査工程は、前記顧客情報と、前記希望与信金額に基づく与信レベルに対応するチャートデータと、に基づいて、前記希望与信金額の審査処理を実行する、請求項6に記載の分析方法。
【請求項9】
前記チャートデータは、希望与信金額、投資効果の予測値、投資効果の分析値、預金残高から選択される少なくとも1以上の項目に閾値を設定した与信判定チャートを有する、請求項8に記載の分析方法。
【請求項10】
支払手段情報に含まれるエラー項目を検出し、検出結果を通知するエラー検出工程を更に備える、請求項1に記載の分析方法。
【請求項11】
前記エラー検出工程は、検出結果に基づくエラー通知を支払手段情報に対応付けられた顧客情報により特定される顧客に対して通知し、
検出結果に基づく完了通知を運営者に対して通知する、請求項10に記載の分析方法。
【請求項12】
投資金額に対する投資効果を分析するための分析システムであって、
登録受付部と、支払手段付与部と、投資情報取得部と、売上情報取得部と、分析部と、を備え、
前記登録受付部は、投資金額の支払いに用いられる支払手段に関する支払手段情報および顧客情報の入力を受け付け、記憶部に格納し、
前記支払手段付与部は、前記支払手段情報を、前記顧客情報に対応付け、
前記投資情報取得部は、前記支払手段による支払履歴に基づき前記投資金額を含む投資情報を取得し、
前記売上情報取得部は、売上金額を含む売上情報を取得し、
前記分析部は、前記投資金額および前記売上金額に基づき投資効果の分析値を算出する、分析システム。
【請求項13】
投資金額に対する投資効果を分析するための分析プログラムであって、
登録受付部と、支払手段付与部と、投資情報取得部と、売上情報取得部と、分析部と、としてコンピュータを機能させ、
前記登録受付部は、投資金額の支払いに用いられる支払手段に関する支払手段情報および顧客情報の入力を受け付け、記憶部に格納し、
前記支払手段付与部は、前記支払手段情報を、前記顧客情報に対応付け、
前記投資情報取得部は、前記支払手段による支払履歴に基づき前記投資金額を含む投資情報を取得し、
前記売上情報取得部は、売上金額を含む売上情報を取得し、
前記分析部は、前記投資金額および前記売上金額に基づき投資効果の分析値を算出する、分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析方法、分析システムおよび、分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品/サービスを提供する事業者は、その販売にあたって運転資金を調達する必要がある。事業者は、資金調達の手段として金融機関からの与信を受けることが一般的であるが、どの程度の与信を受けるべきか、希望する与信金額で審査を通過することができるか、などの判断が難しいという課題であった。
【0003】
また、与信する金融機関は、適切に事業者の状況を把握したうえで与信することが求められ、その判断は簡単なものではなかった。そのため、審査が長期化し、事業者が事業を開始できるまでに時間がかかるなどの問題があった。また、適切な与信金額での与信を継続するためには、売上の変化などを参照しながら判断する必要があった。
【0004】
上述したような課題に鑑みて特許文献1では、融資条件を判定する融資判定装置と、前記融資判定装置に対し融資を希望する店舗の信用情報を提供する信用情報生成装置と含む融資システムであって、前記信用情報生成装置は、店舗運営の実績データを記憶した記憶手段と、所定期間内の前記実績データに基づいて、店舗のスコアデータを生成するスコアデータ生成手段と、前記スコアデータに基づいて、店舗の信用情報を生成する信用情報生成手段と、を有し、前記融資判定装置は、前記店舗の信用情報を取得する信用情報取得手段と、前記店舗の信用情報に基づいて、店舗に対する融資条件を判定する融資条件判定手段とを有する融資システム等を開示している。これによって、精度よく、事業者の融資条件を算出するための評価を行えることが開示されている。
【0005】
また、従来、与信金額が実際にどのように利用されたかを、金融機関が把握することはできないという問題があった。
【0006】
費用の使い道を把握する手段としてクレジットカードの利用明細を参照することを開示する特許文献2のような技術が知られている。特許文献2では、法人カードを親カードとし、その子カードを従業員が使用する際に、利用内容や上限額を設定することで、それぞれの従業員が子カードを用いて決済したものについて会計処理を容易に行うことができるシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開第2014-182572号公報
【特許文献2】特開第2002-352167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1にかかる発明は、店舗運営の実績データを用いることでそのスコアを算出し、適切な融資金額を決定するというものである。ここで、実績データは売上などを含むことが開示されているが、継続的に融資を行う際には、融資金額と売上額との関係性を分析することが好ましいといえるが、そのような開示はなく改善の余地があった。
【0009】
特許文献2では、法人などの組織内部でカード利用明細を会計処理に活用することを開示するものの、与信の評価や分析に活用するような具体的な方法などの開示はなかった。
【0010】
本発明は、係る実状に鑑みてなされたものであり、投資情報と売上情報からその投資効果を好適に分析するための分析方法、分析システム、分析プログラムを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は、投資金額に対する投資効果を分析するための分析方法であって、投資金額の支払いに用いられる支払手段に関する支払手段情報および顧客情報の入力を受け付け、記憶部に格納する登録受付工程と、前記支払手段情報を、前記顧客情報に対応付ける支払手段付与工程と、前記支払手段による支払履歴に基づき前記投資金額を含む投資情報を取得する投資情報取得工程と、売上金額を含む売上情報を取得する売上情報取得工程と、前記投資金額および前記売上金額に基づき投資効果の分析値を算出する分析工程と、を備える。
【0012】
また、本発明は、投資金額に対する投資効果を分析するための分析システムであって、登録受付部と、支払手段付与部と、投資情報取得部と、売上情報取得部と、分析部と、を備え、前記登録受付部は、投資金額の支払いに用いられる支払手段に関する支払手段情報および顧客情報の入力を受け付け、記憶部に格納し、前記支払手段付与部は、前記支払手段情報を、前記顧客情報に対応付け、前記投資情報取得部は、前記支払手段による支払履歴に基づき前記投資金額を含む投資情報を取得し、前記売上情報取得部は、売上金額を含む売上情報を取得し、前記分析部は、前記投資金額および前記売上金額に基づき投資効果の分析値を算出する。
【0013】
また、本発明は、投資金額に対する投資効果を分析するための分析プログラムであって、登録受付部と、支払手段付与部と、投資情報取得部と、売上情報取得部と、分析部と、としてコンピュータを機能させ、前記登録受付部は、投資金額の支払いに用いられる支払手段に関する支払手段情報および顧客情報の入力を受け付け、記憶部に格納し、前記支払手段付与部は、前記支払手段情報を、前記顧客情報に対応付け、前記投資情報取得部は、前記支払手段による支払履歴に基づき前記投資金額を含む投資情報を取得し、前記売上情報取得部は、売上金額を含む売上情報を取得し、前記分析部は、前記投資金額および前記売上金額に基づき投資効果の分析値を算出する。
【0014】
このような構成とすることで、支払手段による支払履歴に基づき正確な投資金額を取得することができ、その投資金額に対する投資効果を好適に分析することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記支払手段は、第1支払手段と、第1支払手段に基づき発行される第2支払手段と、を有し、前記第2支払手段を含む支払手段情報を、顧客情報に基づく顧客に通知する通知工程を備える。
本発明の好ましい形態では、前記第1支払手段は、クレジットカードの親カード番号であり、前記第2支払手段は、クレジットカードの子カード番号である。
【0016】
このような構成とすることで、第2支払手段を顧客に通知することで、顧客による第2支払手段を用いた支払履歴から正確な投資金額を取得することができる。また、第2支払手段による支払いによって、与信と投資を同時に行うことができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記売上情報取得工程は、顧客情報に対応付けられたECサービスを介して売上情報を取得する。
このような構成とすることで、ECサービスを介して正確かつ容易に売上金額を取得し、投資効果を分析することができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記投資金額は、前記ECサービスを介して販売される販売品に関する広告費を含む。
このような構成とすることで、ECサービスによる販売品に対する広告投資金額と、当該ECサービスにおける販売品の売上金額と、を取得でき、より好適な投資効果を分析することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、顧客生涯売上の予測値および投資金額の予測値に基づき投資効果の予測値を算出し、前記投資効果の予測値が所定値未満か否かを判断する審査工程を備える。
このような構成とすることで、投資効果の予測値を算出することで、顧客の投資や売上の状況を精度よく把握し、審査を迅速かつ好適に実施することができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記分析工程は、前記投資効果の分析値および前記投資効果の予測値に基づく分析結果を出力する。
このような構成とすることで、投資効果の最初の予測値と、投資効果の現在の分析値と、に基づく分析結果を出力することで、最初の予測との相違がないか分析することができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記顧客情報は、希望与信金額を含み、前記審査工程は、前記顧客情報と、前記希望与信金額に基づく与信レベルに対応するチャートデータと、に基づいて、前記希望与信金額の審査処理を実行する。
本発明の好ましい形態では、前記チャートデータは、希望与信金額、投資効果の予測値、投資効果の分析値、預金残高から選択される少なくとも1以上の項目に閾値を設定した与信判定チャートを有する。
このような構成とすることで、希望与信金額に応じて顧客の与信審査を効率的に実現することができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、支払手段情報に含まれるエラー項目を検出し、検出結果を通知するエラー検出工程を更に備える。
本発明の好ましい形態では、前記エラー検出工程は、検出結果に基づくエラー通知を支払手段情報に対応付けられた顧客情報により特定される顧客に対して通知し、検出結果に基づく完了通知を運営者に対して通知する。
このような構成とすることで、支払手段のエラーに関連する検出および通知を行い、支払手段の意図しない停止を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、投資金額と売上情報からその投資効果を好適に分析するための分析方法、分析システム、分析プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態における、分析システムのブロック図を示す。
図2】本発明の実施形態における、分析装置のハードウェア構成図を示す。
図3】本発明の実施形態における、分析方法のフローチャートを示す。
図4】本発明の実施形態における、第1支払手段の管理画面の画面表示例を示す。
図5】本発明の実施形態における、第2支払手段の管理画面の画面表示例を示す。
図6】本発明の実施形態における、分析画面の画面表示例を示す。
図7】本発明の実施形態における、審査工程のフローチャートを示す。
図8】本発明の実施形態における、チャートデータの概要図を示す。
図9】本発明の実施形態における、エラー検出工程のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に関する分析システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0026】
本実施形態では、分析装置、顧客端末、運営者端末、金融機関システムおよびECサービス提供システムを含む分析システムの構成および動作等について説明するが、同様の構成の分析方法、分析プログラム、分析プログラムを記録する記録媒体等も、同様の作用効果を奏することができる。当該プログラム記録媒体を用いれば、コンピュータに分析プログラムをインストールすることができる。ここで、当該プログラム記録媒体は、例えば、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0027】
分析システムの各機能構成部と、分析方法の各工程とは対応し、同様の作用効果を奏する。分析システムおよび分析プログラムのそれぞれにおける各機能構成部は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置により実現される。分析方法の各工程は、演算装置により各機能構成部が処理を実行することで実現される。
【0028】
本実施形態において、顧客は、商品またはサービスを含む販売品を販売する事業者を示す。また、顧客は、分析システムの運営者より与信を受け、投資を行う事業者である。事業者は、法人、個人事業主、団体、組織などであってよく、その態様により限定されない。
【0029】
本実施形態において、運営者とは、分析システムの運営者である。また、運営者は、支払手段を顧客に付与することで、投資金額を与信するとともに、その支払手段による支払履歴を用いた投資効果の分析結果を提供する。
【0030】
図1は、分析システム1のシステム構成図を示す。分析システム1は、図1に示すように、投資効果の分析に係る処理を実行する分析装置2と、顧客により操作される顧客端末3と、運営者により操作される運営者端末4と、支払手段を発行する発行会社により提供される発行システム5と、EC(Electric Commerce)サイトなどを含むECサービスを提供するECサービス提供システム6と、データベースとしての記憶部DBと、を備え、これらは通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。図1において、顧客端末3、発行システム5、ECサービス提供システム6は、それぞれ1つのみ示したが、これらは複数存在してもよい。記憶部DBは、分析装置2の内部または外部に設置され、分析装置2とデータ通信可能に構成されてもよい。
【0031】
分析装置2は、サーバ装置などのコンピュータ装置を利用することができる。分析装置2は、機能構成要素として、各種情報の登録を受け付ける登録受付部21と、顧客に与信するための審査に係る処理を実行する審査部22と、顧客情報に支払手段情報を対応付ける支払手段付与部23と、投資情報を取得する投資情報取得部24と、売上情報を取得する売上情報取得部25と、投資情報を監視する監視部26と、投資効果を分析するための分析部27と、各種画面表示などの表示処理を実行する表示処理部28と、を備える。
【0032】
分析装置2は、複数のコンピュータ装置により構成され、複数のコンピュータ装置の全体において上述した機能構成要素(21-28)が実現されてもよい。また、顧客端末3が機能構成要素(21-28)の一部を備えてもよく、分析システム1の全体において、機能構成要素(21-28)が実現される構成であってもよい。なお、監視部26は、省略されてもよく、また、外部システム(例えば、発行システム5)が備える構成としてもよい。
【0033】
顧客端末3は、スマートフォン端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどの端末装置を利用することができる。顧客端末3は、機能構成要素として、顧客によるデータ入力を受け付ける入力受付部と、分析装置2から取得される処理結果に基づき画面表示や音声出力として出力する出力部と、通信ネットワークNWを介したデータ通信の制御を行う通信処理部と、などを備える。
【0034】
運営者端末4は、スマートフォン端末、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどの端末装置を利用することができる。顧客端末3は、機能構成要素として、データ入力のための入力受付部と、データ出力のための出力部と、通信制御のための通信処理部と、等を備える。
【0035】
発行システム5は、クレジットカードを含む支払手段を発行するカード会社などにおいて設置される1または複数のコンピュータ装置により構成される。支払手段は、例えば、クレジットカード、デビットカード、電子マネーなどであってよい。本実施形態において、発行システム5は、分析システム1の運営者に対して支払手段の発行手続を行い、支払手段を発行する。また、発行システム5は、支払手段による支払履歴を提供する。本実施形態において、支払手段は、カード会社により発行されるクレジットカードである例を説明する。
【0036】
ECサービス提供システム6は、ECサイト運営会社などに設置される1または複数のコンピュータ装置により構成される。ECサービス提供システム6は、情報送信要求を取得すると、顧客の売上情報を含む応答を出力する。
【0037】
図2は、分析装置2のハードウェア構成図を示す。分析装置2は、図2に示すように、ハードウェア構成要素として、CPUなどによる演算装置201と、RAM(Random Access Memory)などによる作業用メモリとしての主記憶装置202と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどによる補助記憶装置203と、外部の装置と通信するための通信装置204と、などを備え、各構成部はバスインターフェイスにより接続されている。補助記憶装置203は、OS(Operating System)と、OSと協働してその機能を発揮する分析プログラムと、各種情報などを格納している。分析装置2は、分析プログラムが演算装置201により実行されることで、上述した機能構成要素(21―28)を実現することができる。
【0038】
顧客端末3は、ハードウェア構成要素として、CPUなどの演算装置と、RAMなどの主記憶装置と、HDDなどの補助記憶装置と、通信装置と、タッチパネル、マウス、キーボード等の入力インターフェイスとしての入力装置と、ディスプレイ等による画面表示出力やスピーカー等による音声出力を行う出力インターフェイスとしての出力装置と、を備え、各構成部はバスインターフェイスにより接続されている。顧客端末3は、ウェブブラウザ等を介して分析システム1にアクセスすることで、分析装置2に対して情報送信可能であり、また、分析装置2による処理結果を分析装置2より取得することができる。なお、顧客端末3は、アプリケーションプログラムを補助記憶装置に格納し、当該プログラムを演算装置で実行することで、分析装置2との情報通信を実現する構成であってもよい。
【0039】
以下、図3図6を参酌しながら、分析システム1を用いた分析方法の実施形態を説明する。
【0040】
図3は、分析システム1を用いた分析方法の流れを示すフローチャートを示す。以下、分析システム1により実現される各工程S11―S18について詳細を説明する。
【0041】
<登録受付工程>
登録受付工程は、顧客情報登録受付工程と、支払手段登録受付工程と、を有する。
【0042】
<顧客情報登録受付工程>
登録受付部21は、顧客端末3を介して顧客情報の入力を受け付け、記憶部DBに格納する(工程S11)。顧客情報は、顧客基本情報と、顧客詳細情報と、を含む。顧客基本情報は、顧客IDと、法人名(顧客名)、法人住所、代表者氏名、メールアドレス、などを含む。また、顧客情報は、顧客による希望与信金額、投資目的などを更に含んでもよい。
【0043】
顧客詳細情報は、販売品の売上金額、販売品の購入者別の購入金額、購入者による初回購入日から最終購入日までの期間である継続期間、定期購入を行う定期購入者の数である定期購入者数(CV)、定期購入を行わない非定期購入者数に対する定期購入者数の割合である引き上がり率、顧客獲得単価(CPA)、などを含む。なお、定期購入とは、同顧客の販売品を定期的に購入することであり、購入する販売品は毎回異なってもよい。定期購入の頻度、定期購入の数量は、購入者ごと、販売品ごとに異なるものであってよく、購入金額と購入回数から1購入者の購入金額の総額を算出できる情報であれば限定されない。例えば、継続期間は、購入回数として入力されてもよい。
【0044】
顧客詳細情報は、顧客が販売品の販売に用いるECサービスとの連携により取得できる顧客の販売に関する情報であり、上述したものに限定されない。顧客詳細情報の一部は、顧客端末3の入力フォームなどを介して入力を受け付けてもよい。登録受付部21は、EC連携されると、連携されたECサービス提供システム6を介して顧客詳細情報の入力を受け付けることができる。顧客詳細情報は、連携されたECサービスを特定するEC連携情報を更に有することが好ましい。EC連携情報は、後に売上情報取得部25がECサービスを介して売上情報を取得する際に同様に用いられる。
【0045】
<支払手段登録受付工程>
登録受付部21は、発行システム5を介して発行される支払手段に関する支払手段情報を記憶部DBに格納する。本実施形態において、支払手段は、クレジットカードであり、親子カードとして発行される。親子カードは、親カードの親カード番号と、子カードの子カード番号がそれぞれ発行される。1の親カードに対して、複数の子カードが発行可能である。親カードおよび子カードは、それぞれ利用限度額が設定される。運営者は、親カードおよび子カードの名義人であって、子カードを顧客に対して通知することで、利用限度額を与信額として与信することができる。顧客は子カードの利用限度額内で、自由に投資することが可能である。分析装置2は、発行システム5を介して親カードおよび子カードの支払履歴を取得することで、顧客の利用金額(投資金額)を投資情報として取得し、運営者端末4において表示することができる。
【0046】
本実施形態において、親カードを第1支払手段とし、子カードを第2支払手段として定義する。なお、上記のような親子関係により発行され管理される支払手段であれば、その態様はクレジットカードに限定されない。
【0047】
<審査工程>
審査部22は、顧客情報に基づき審査処理を実行する(工程S12)。審査処理は、顧客に与信する投資金額を判断するための投資効果の予測値を算出する処理を含む。投資効果の予測値は、運営者端末4において表示可能であって、当該顧客に与信するか、与信するならどの程度の与信金額(利用限度額)とするか、などの判断支援に用いられる。審査部22は、運営者端末4を介して当該顧客に対する上述の判断結果の入力を受け付けると、続く工程S13に進む。利用限度額を含む判断結果は、顧客情報に対応付けて記憶部DBに格納される。
【0048】
審査部22は、顧客詳細情報に含まれる売上情報から顧客生涯売上の予測値、および、顧客獲得コストの予測値に基づき投資効果の予測値を算出する。審査部22は、算出した投資効果の予測値が所定値未満か否かを判断する。表示処理部28は、その判断結果を顧客端末3および/または運営者端末4に表示可能に構成される。
【0049】
審査部22は、予め記憶部DBに格納される所定値の判断に用いる所定値データを参照し、判断処理を実行する。所定値は、段階的に複数設定されてもよく、それぞれの値に応じた判断処理を実行できる。例えば、それぞれの所定値に応じた適切な与信金額を設定することで、判断処理により好ましい与信金額が判断結果として出力できる。
【0050】
本実施形態における投資効果の予測値は、「投資効果の予測値=顧客生涯売上÷顧客獲得コスト」という計算式により算出される。顧客生涯売上とは、販売事業者が顧客から将来的に見込まれる売上金額を示す。本実施形態における顧客生涯売上は、「顧客生涯売上=CV×購入金額×継続期間」または「顧客生涯売上=CV×引上がり率×購入金額×継続期間」という計算式により算出される。ここで、継続期間は、購入回数であってもよい。なお、顧客生涯売上は、購入者別に算出され、それを集計した結果を用いる。本実施形態における顧客獲得コストの予測値は、「投資金額の予測値=CV×CPA」という計算式により算出される。
【0051】
投資効果の予測値は、現段階における顧客獲得コスト(投資金額)に対する顧客生涯売上(将来売上金額)がどの程度かを示す指標であって、この予測値が高い程、与信リスクは低いと判断できる。なお、投資効果の予測値は、上述した値に限定されるものではなく、例えば、ROAS(Return On Advertising Spend)などが用いられてもよい。また、予測値の算出に用いられる各種情報が、EC連携により取得される場合、フォーム入力の場合と比較して予測値に上方補正を行ってもよい。
【0052】
<支払手段付与工程>
支払手段付与部23は、運営者端末4を介して、投資金額の支払いに用いられる支払手段に関する支払手段情報を、顧客情報に対応付けて記憶部DBに格納することで、顧客に支払手段を付与する(工程S13)。支払手段情報は、第1支払手段を含む親カード情報、第2支払手段を含む子カード情報、および、それら支払手段による支払履歴などを有する。
【0053】
支払手段付与部23は、顧客情報に基づき対応する顧客端末3に対して対応付けされた第2支払手段を含む支払手段情報を通知する(工程S14)。これによって、顧客は、通知された支払手段情報に含まれる子カードを用いて、投資費用の支払いを行うことができる。例えば、顧客が広告投資する場合、子カードを用いて広告掲載費を支払うと、その支払履歴および請求は、発行システム5から分析装置2および/または運営者端末4に対して通知される。
【0054】
図4および図5は、運営者端末4に表示される支払手段情報に関する管理画面の画面表示例を示す。支払手段付与部33は、各種管理画面を介して発行された支払手段の管理、および、支払手段情報と顧客情報の対応づけに関する指示入力を受け付けることで、顧客情報に支払手段情報を付与する。
【0055】
図4(a)は、第1支払手段を管理するための親カード情報管理画面W10の画面表示例を示す。親カード情報管理画面W10は、新規の親カード情報を登録するための登録ボタンW11と、親カード情報を検索するための検索部W12と、登録されている親カード情報を表示する親カード表示部W13と、を有する。親カード情報は、カード名、有効期限、利用限度額、登録子カード数、子カード限度総額、登録日、を含む。
【0056】
登録ボタンW11は、押下されると、親カード情報の入力画面に遷移させる。親カード情報は、当該入力画面を介して各種情報入力を受け付け、新規登録される。検索部W12は、少なくとも1以上の親カード情報の入力を受け付け、当該親カード情報に基づく検索結果を親カード表示部W13に表示させる。親カード表示部W13は、親カード情報を表示し、詳細ボタンを押下されることで、親カード情報の詳細を表示する親カード詳細画面W20に遷移させる。
【0057】
図4(b)は、親カード情報の詳細を示す親カード詳細画面W20の画面表示例を示す。親カード詳細画面W20は、親カード情報の詳細を表示する詳細表示部W21と、当該親カードに対応し登録されている子カード情報を表示する子カード表示部W22と、を有する。子カード情報は、子カード番号、顧客ID、顧客名、対応する親カード名、有効期限、利用限度額、を含む。
【0058】
詳細表示部W21は、編集ボタンを備え、編集ボタンが押下されると編集画面に遷移させる。親カード情報は、編集画面を介して各種情報を編集可能に構成される。子カード表示部W22は、顧客情報に含まれる顧客名と、当該顧客に付与されている子カードの対応関係を確認可能に構成される。
【0059】
図5(a)は、第2支払手段を管理するための子カード情報管理画面W30の画面表示例を示す。子カード情報管理画面W30は、登録されている子カード情報を検索するための検索部W31と、登録されている子カード情報を表示する子カード表示部W32と、を有する。
【0060】
検索部W31は、停止した子カードを検索に含めるか、有効期限切れの子カードを検索に含めるか、などについて指示入力を受け付け可能であり、指示入力結果に応じて子カード情報を検索する。子カード表示部W32は、検索された子カード情報を表示し、詳細ボタンを押下されることで、子カード情報の詳細を表示する子カード詳細画面に遷移させる。
【0061】
図5(b)は、顧客情報に対応付ける子カード情報を登録する子カード登録画面W40の画面表示例を示す。子カード登録画面W40は、顧客情報画面(図示せず)において顧客名を指定することで表示される。支払手段付与部33は、子カード登録画面W40を介して入力される子カード情報と、顧客情報を対応付けて記憶部DBに格納することができる。
【0062】
子カード登録画面W40は、顧客情報に対応付ける子カード情報の入力を受け付ける子カード情報入力部W41と、入力された子カード情報を顧客情報に対応付けて登録する際に押下される登録ボタンW42と、を備える。子カード情報入力部W41は、子カード番号、親カード名、利用限度額、有効期限、登録日を含む子カード情報の入力を受け付ける。子カード情報入力部W41は、入力された親カード名に基づき親カード情報を表示可能である。子カード情報入力部W41は、当該親カード情報に対応する子カード情報に基づき入力されてもよい。
【0063】
通知工程において、支払手段付与部33は、上述したような各種管理画面を用いて、顧客に付与する子カード情報を登録し、当該子カード情報を顧客端末3に通知する(工程S14)。なお、子カード情報は、郵送などで顧客に通知されてもよい。
【0064】
<投資情報取得工程>
発行システム5は、支払手段により支払われた金額に関する支払履歴を提供する。支払履歴は、例えば、クレジットカードの利用明細として提供される。投資情報取得部34は、発行システム5を介して提供された支払履歴を、支払手段情報に紐づけて記憶部DBに格納する。投資情報取得部24は、支払手段による支払履歴に基づき投資金額を含む投資情報を取得し、顧客情報に対応付けて格納する(工程S15)。
【0065】
投資情報は、投資情報ID、投資日時、顧客ID、顧客名、子カード番号、投資金額、投資対象などを含む。投資対象とは、投資金額の支払先を示す。投資情報は、月別などの所定期間で集計された期間別の投資金額の総額などを含んでもよい。また、投資対象の種別に応じて集計されてもよい。投資対象の種別は、例えば、広告費、開発費、材料費、設備費、賃料、などが挙げられる。
【0066】
本実施形態では、投資金額は、EC連携されたECサービスを介して販売される販売品に関する広告費であることが好ましい。販売品の購入者は、販売品に関するWEB広告から当該販売品の販売ページに誘導され、それによって売上の増加が見込め、投資効果分析において好ましい。
【0067】
<監視工程>
監視部26は、投資情報に含まれる投資対象に対する検出処理を実行する(工程S16)。監視部26は、予め設定された投資目的と、投資情報の投資対象と、が一致するか否かを検出する。監視部26は、例えば、投資目的と、それに対応する投資対象と、の対応関係を示す検出用テーブルデータを有する。例えば、投資目的が広告費であれば、投資対象として広告代理店や広告掲載先などを特定できる情報(名称、業種コードなど)が、検出用テーブルデータとして記憶部DBに格納される。
【0068】
監視部26は、検出用テーブルデータを参照し、投資情報が投資目的に一致しない投資対象を検出した場合、警告を出力することができる。警告は、運営者端末4において受信可能である。運営者端末4は、警告された投資対象を含む投資情報を表示し、必要に応じて顧客端末3に対して警告を通知することができる。
【0069】
監視部26は、投資目的に一致しない投資対象を含む投資情報を検出した場合、後の分析部27の分析処理の対象から除外するため、当該投資情報に除外フラグを付与してもよい。
【0070】
監視工程は、投資目的に一致しない投資情報が含まれることによって、後の分析部27による分析結果の精度が低下することを抑制する目的で設けられる。また、投資目的から外れた子カードの利用を監視することで、不正利用を抑制することを目的とする。
【0071】
<売上情報取得工程>
売上情報取得部25は、売上金額を含む売上情報を取得し、顧客情報に対応付けて記憶部DBに格納する(工程S17)。売上情報は、売上情報ID、売上日時、顧客ID、顧客名、売上金額などを含む。なお、広告経由での売上情報は、区別されてもよい。また、売上情報は、販売した販売品の情報を含んでもよい。売上情報は、所定期間で集計され、期間別の売上金額の総額などを含んでもよい。
【0072】
売上情報取得部25は、工程S11においてEC連携情報が登録される場合、ECサービス提供システム6を介して提供される売上情報を取得することができる。また、売上情報取得部25は、ECサービス提供システム6を介して顧客端末3に提供される売上情報を取得する構成であってもよい。
【0073】
売上情報取得部25は、顧客のPOSシステムを介して売上情報を取得する構成であってもよい。売上情報は、顧客端末3を介して売上金額などの入力を受け付ける構成であってもよい。売上情報取得部25は、EC連携情報が登録された売上情報と、EC連携情報が登録されていない売上情報を、区別して記憶部DBに格納することができる。
【0074】
上述した工程S17は、工程S15の前に実行されてもよく、図3に示す順序に限定されない。また、工程S16は、省略されてもよい。
【0075】
<分析工程>
分析部27は、投資情報および売上情報に基づき投資効果の分析値を算出する(工程S18)。本実施形態において、投資効果の分析値は、所定期間における売上金額を投資金額により除算することで算出されるが、算出方法はこれに限定されない。分析値は、例えば、投資効果の予測値と同様の算出方法を採用し、「投資効果の分析値=顧客生涯売上÷顧客獲得コスト」で算出された値としてもよい。ここで、顧客生涯売上や顧客獲得コストは、投資により更新される投資情報や売上情報を反映する。表示処理部28は、分析部27による分析処理の結果を分析画面W50として表示処理することで、顧客端末3に提示する。
【0076】
図6は、顧客端末3に表示される分析画面W50の画面表示例を示す。分析画面W50は、表形式による分析結果W51、グラフ形式による分析結果W52、当初投資効果の予測値W53、連携情報表示部W54を有する。分析結果W51は、月別の投資金額、売上金額、投資効果の分析値をそれぞれ表形式で表示する。投資金額が広告費である場合、投資効果の分析値は、ROASとして示される。分析結果W52は、月別などの期間を横軸とし、金額および投資効果の分析値(比率)を縦軸として、投資金額、売上金額、投資効果の分析値をそれぞれグラフ表示する。このように期間別の結果を比較表示することで、投資に対する効果が可視化され、投資金額の見直しなどの判断を好適に支援することができる。
【0077】
分析画面W50は、更に、当初の投資効果の予測値W53と、現在の投資効果の分析値と、を比較可能に分析結果として表示することができる。なお、投資効果の予測値に対する投資効果の分析値の比率を算出し、分析結果としてもよい。これによって、当初の値と現在の値に差分がないか容易に判断でき、その結果に応じて投資金額の見直しなどの判断を好適に支援することができる。
【0078】
連携情報表示部W34は、顧客が投資金額の返済に使用する連携口座における連携口座残高、残りのサポート可能金額、現時点の当月の投資利用金額、現時点の当月の売上金額、などを表示する。連携口座は、当月の投資金額について翌月以降に分割請求などされた金額について、当該連携口座から支払する際に用いられる。
【0079】
上述したように、分析システム1を用いた分析方法によると、従来可視化が困難であった投資金額を支払履歴から精度よく取得することができ、当該投資金額に対する効果に関する好適な分析結果を提供することができる。また、子カードを利用した金額分のみを容易に請求することができる。また、支払履歴を運営者側が取得できるため、不正利用を抑止することができる。
【0080】
本実施形態において、顧客詳細情報は、更に、決済代行サービスや銀行サービスなど外部連携サービスとの連携により取得できる顧客の経営状況を示す情報を含むことができる。ここで、顧客詳細情報は、連携された外部連携サービスを特定する外部連携情報を更に有する。分析装置2は、外部連携情報により特定される決済代行サービスによる入金データを取得し、間接的な売上金額として売上情報に含めることができる。また、分析装置2は、外部連携情報により特定される銀行サービスによる銀行情報を取得し、記憶部DBに格納することができる。銀行情報は、顧客の保有する預金口座の預金残高などを含む。なお、外部連携サービスは、顧客の売上金額や、預金額などを提供するものであれば上述したものに限定されない。
【0081】
顧客詳細情報は、顧客の過去の投資実績を含んでもよい。投資実績は、投資期間、投資金額、投資効果の分析値または予測値などを示す。投資実績は、例えば、投資対象が広告費であれば、外部連携サービスである広告代理店等により提供される広告代理サービスより取得されてもよい。
【0082】
登録受付部21は、上述した顧客詳細情報の登録指示を更に受け付け、顧客情報と対応付けて記憶部DBに格納する。ここで、取得された売上情報、銀行情報、投資実績などを含む顧客詳細情報を用いることで、審査工程における審査処理の精度を高めることができる。
【0083】
審査工程は、登録時の与信金額に関する第1審査工程と、与信金額の変更に関する第2審査工程と、に分類される。第2審査工程は、顧客による与信金額の変更リクエストを受け付けることで実行されるか、定期的に自動で実行されてもよい。
【0084】
<第1審査工程>
図7(a)は、第1審査工程の処理フローチャートを示す。審査部22は、希望与信金額と、顧客詳細情報と、に基づき、第1審査処理を実行する。第1審査処理は、希望与信金額に関する与信の可否を判定する処理を含み、与信金額を決定するための処理を含む。
【0085】
審査部22は、顧客情報を取得する(S21)。ここで、顧客情報は、希望与信金額と、顧客詳細情報と、を含む。また、審査部22は、取得した顧客情報に基づき投資効果の予測値または分析値を算出する。
【0086】
審査部22は、希望与信金額を含む顧客情報と、チャートデータと、に基づき、第1審査処理を実行する(S22)。チャートデータは、希望与信金額に基づき判定される与信レベルに応じて異なる与信判定チャートを定義したデータである。与信判定チャートは、顧客情報に含まれる各情報に閾値を定義したチャートである。本実施形態において、閾値を定義する顧客情報は、希望与信金額、投資効果の予測値/分析値および、銀行情報の預金残高であるが、顧客の経営状況を示す値であれば、これに限定されない。
【0087】
与信レベルは、希望与信金額に応じて、複数のレベルが設定されている。本実施形態において、与信レベルは5段階であって、与信レベル5から与信レベル1になるにつれて大きい希望与信金額となり、審査の通過基準が高く設定される。なお、レベルの段階は、5段階に限定されない。
【0088】
第1審査処理は、希望与信金額を与信するか否かの判定処理を含む。また、第1審査処理は、与信金額の算定処理を含んでもよい。与信金額は、運営者端末4を介して変更指示を受け付けることで、変更されてもよい。審査部22は、判定結果が与信可の場合、与信決定指示を受け付けることで、与信金額を顧客情報に関連付けて記憶部DBに格納する(S23)。審査部22は、判定結果が与信不可の場合、希望与信金額を減額する変更指示や、連帯保証を条件として受け付けることで、与信を許可してもよい。
【0089】
<第2審査工程>
図7(b)は、第2審査工程の処理フローチャートを示す。
審査部22は、希望与信金額と、顧客情報と、に基づき、第2審査処理を実行する。第2審査処理は、与信レベルを算定する処理を含む。また、第2審査処理は、与信金額の変更を決定するための処理を含む。
【0090】
審査部22は、顧客情報に関するチェック処理を実行する(S31)。顧客情報チェック処理は、所定期間毎に実行されるか、運営者端末4を介したチェック指示を受け付けることで実行される。
【0091】
S31において、審査部22は、顧客情報に含まれる売上情報と、投資効果の分析値と、銀行情報と、から選択される1以上の情報に基づき、チェック処理を実行する。ここで、売上情報は、売上情報取得部25により取得される売上情報を含む。投資効果の分析値は、売上情報および投資情報に基づき算出される分析値を含む。銀行情報は、登録された預金口座の預金残高を含む。
【0092】
審査部22は、与信金額の変更に関する変更依頼を取得する(S32)。変更依頼は、希望与信金額を含み、顧客端末3より送信される。また、変更依頼は、顧客情報チェック処理のチェック結果を含み、運営者端末4より送信される。審査部22は、チェック結果に応じて、変更依頼を自動生成してもよい。
【0093】
審査部22は、変更依頼の有無を判定し、変更依頼がない場合(S33でNO)、処理を完了する。審査部22は、変更依頼がある場合(S33でYES)、S34に進み処理を行う。
【0094】
審査部22は、希望与信金額を含む顧客情報と、チャートデータと、に基づき、第2審査処理を実行する(S34)。第2審査処理は、希望与信金額を与信するか否かの判定処理を含む。また、第2審査処理は、与信金額の算定処理を含んでもよい。与信金額は、運営者端末4を介して変更指示を受け付けることで、変更されてもよい。審査部22は、判定結果が与信可の場合、決定指示を受け付けることで、与信金額を顧客情報に関連付けて記憶部DBに格納する(S35)。審査部22は、判定結果が与信不可の場合、希望与信金額を減額する変更指示や、連帯保証を条件として受け付けることで、与信を許可してもよい。
【0095】
審査部22は、与信レベルに対応するチャートデータに基づき、第1審査処理および第2審査処理を実行する。チャートデータは、与信レベルに応じて異なる審査フローを定義したデータである。チャートデータは、例えば、与信レベルに応じて、希望与信金額、売上情報、銀行情報、投資効果の予測値/分析値にそれぞれ異なる閾値を設定されている。審査部22は、チャートデータに設定されるそれぞれの閾値に応じて希望与信金額を与信するか否かを、自動的に判定処理することができる。
【0096】
図8は、チャートデータの概要図を示す。チャートデータは、例えば、与信レベル4において、与信判定チャートF11~F13を有し、与信レベル3において、与信判定チャートF21~F23を有する。与信判定チャートF11、F21は、希望与信金額判定処理を行うチャートであり、与信レベルに応じた希望与信金額の閾値が設定される。希望与信金額判定処理を行う与信判定チャートF11、F21は、与信レベルが1に近づくほど、高い金額が設定される。例えば、与信判定チャートF11で希望与信金額が100万円以下、与信判定チャートF21で希望与信金額が500万円以下、などのように希望与信金額の閾値が設定され、条件を満たす場合(YES)、続く投資効果判定処理を行う与信判定チャートF12、F22に進む。なお、閾値は、任意の金額を設定可能である。
【0097】
与信判定チャートF12、F22は、与信レベルに応じた投資効果の予測値または分析値の閾値が設定される。投資効果の予測値または分析値は、広告等の投資効果を示す指標であって、例えば、1.0であれば広告等の投資効果と売上が一致し、1.0より大きければ投資効果がプラスであり、1.0未満であれば投資効果がマイナスであることを示す。投資効果の予測値/分析値の閾値は、例えば、1.0以上の任意の値を設定可能であり、それぞれの与信レベルにおいて別の値であってもよいし、同じ値であってもよい。与信判定チャートF12、F22などは、顧客の投資効果の予測値/分析値が条件を満たす否かに応じて、続く銀行情報判定処理を行う与信判定チャートF13A、F13B、F23A、F23Bにそれぞれ分岐する。なお、顧客の投資効果の予測値/分析値が条件を満たさない場合(NO)、与信不可とするチャートとしてもよい。
【0098】
与信判定チャートF13A、F13B、F23A、F23Bは、与信レベル、投資効果の予測値/分析値の判定結果に応じた銀行情報に基づく預金残高の閾値などが設定される。預金残高の閾値は、利用限度額以上、与信金額以上などとして金額が設定されるか、具体的な金額として500万円以上などの金額が設定されてもよい。預金残高は、例えば、直近月の預金残高、所定期間の預金残高の平均などを用いることができる。
【0099】
与信判定チャートF13A、F13B、F23A、F23Bにおいて預金残高が条件を
満たす場合(YES)、希望与信金額が与信可能と判定され、与信金額が決定する。与信判定チャートF13A、F13B、F23A、F23Bにおいて預金残高が条件を満たさない場合(NO)、希望与信金額が与信不可と判定される。与信不可の場合、希望与信金額を減額する変更指示を受け付け、再度第1審査処理または第2審査処理を実行してもよい。また、顧客情報の総合判断の結果、与信可の判断を行うことができてもよい。
【0100】
本実施形態において、与信レベル1、与信レベル5など、一部の与信レベルは、異なる判定基準を設定されてもよい。例えば、与信レベル1は、希望与信金額が高額となるため、総合判断を必須とする。例えば、与信レベル5は、売上情報、預金残高などが所定値以上となることで与信可とする。また、投資期間や投資効果が所定未満である場合、与信レベルは、一律で5とすることができる。
【0101】
<エラー検出工程>
本実施形態において、エラー検出工程は、支払手段情報に発生し得るエラー項目を検出することで、支払手段が停止するリスクを排除することができる。
【0102】
本実施形態において、分析装置2は、更に機能構成要素として、エラー検出部29を備える。図9は、エラー検出工程の処理フローチャートを示す。
【0103】
エラー検出部29は、支払手段情報を取得する(S41)。本実施形態において、支払手段情報は、親カード情報および子カード情報を含む。支払手段情報は、顧客ID、顧客名、利用限度額、支払手段に対応するカード番号および、当該支払手段の親子関係にあるカード番号、有効期限、利用制限の有無、期間別の利用額、現在の残枠額、などを含む。
【0104】
本実施形態において、支払手段情報は、発行システム5により提供されるオーソリデータに基づき生成される。オーソリデータは、支払手段による支払履歴に関するデータであって、支払手段による支払要求毎に発行される。オーソリデータは、支払要求IDをキーとして、親カード番号、子カード番号、有効期限、請求金額、利用日、利用店ID、支払要求の承認状態などを有する。承認状態は、支払手段の利用に問題がなければ「承認」となり、有効期限切れや利用額超過などの問題が生じれば「未承認」等となる。支払手段情報の利用額は、オーソリデータの承認状態が承認である請求金額に基づき生成される。支払手段情報は、対応するカード番号を有するオーソリデータを紐づけられている。
【0105】
エラー検出部29は、支払手段情報に基づきエラー項目検出処理を実行する(S42)。エラー項目検出処理は、支払手段情報および/またはオーソリデータに含まれる項目を対象とする。本実施形態において、エラー項目は、支払手段の有効期限、失効、利用額超過、使途外利用から選択される少なくとも1以上を含む。
【0106】
エラー検出部29は、有効期限と、現在の日付と、に基づき有効期限と失効に関するエラー項目を検出する。例えば、現在の日付が、有効期限まで所定期間(例えば1カ月など)内となると、有効期限のエラー項目が検出される。また、現在の日付が、有効期限を過ぎると、失効のエラー項目が検出される。
エラー検出部29は、利用限度額と、利用額と、に基づき利用額超過に関するエラー項目を検出する。例えば、利用限度額および利用額は、月別の利用限度額が設定され、現在の利用額が利用限度額に近づいた場合、または、当月の利用額が利用限度額を超過すると、利用額超過のエラー項目が検出される。当月利用額は、日別などの所定期間で更新される。
エラー検出部29は、投資目的と、投資対象と、に基づき使途外利用に関するエラー項目を検出する。使途外利用に関するエラー項目は、監視部26より取得されてもよい。
【0107】
エラー検出部29は、エラー項目を検出した場合(S43でYES)、検出結果に基づきエラー通知を出力する(S44)。エラー検出部29は、生成したエラー通知を、支払手段情報に対応付けられた顧客情報により特定される顧客端末3に送信する。エラー検出部29は、検出されたエラー項目の種別に応じて異なるエラー通知を生成してもよい。
【0108】
エラー検出部29は、完了通知を出力することで、エラー検出工程の処理を完了する(S45)。エラー検出部29は、エラー検出処理の結果に基づき完了通知を生成する。エラー検出処理の結果は、エラーの検出件数、エラーの対象となった支払手段などを含む。エラー検出部29は、生成した完了通知を、運営者端末4に対して送信する。完了通知は、個別または全部の支払手段情報の検出結果を含む。
【0109】
エラー検出部29は、エラーが検出された支払手段情報のリストを生成する。生成されたリストは、運営者端末4を介して表示可能に構成されている。リストは、完了通知にファイルとして付与されるか、完了通知に当該リストへのアクセス情報を付与することで、運営者によって取得される。エラー要因が解消された支払手段情報は、エラー解消済みとして更新操作される。エラーに対する更新操作は、運営者端末4を介して指示入力によって実行される。
【符号の説明】
【0110】
1 分析システム
2 分析装置
21 登録受付部
22 審査部
23 支払手段付与部
24 投資情報取得部
25 売上情報取得部
26 監視部
27 分析部
28 表示処理部
29 エラー検出部
201 演算装置
202 主記憶装置
203 補助記憶装置
204 通信装置
3 顧客端末
4 運営者端末
5 発行システム
6 ECサービス提供システム
DB 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9