(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129321
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】バッチ式基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
H05H1/46 M
H05H1/46 R
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028260
(22)【出願日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0028149
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509123895
【氏名又は名称】ユ-ジーン テクノロジー カンパニー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ ジョンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム チャンドル
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084AA13
2G084BB02
2G084BB03
2G084BB05
2G084BB11
2G084BB23
2G084BB26
2G084BB27
2G084CC03
2G084CC05
2G084CC08
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD12
2G084DD22
2G084DD25
2G084FF20
2G084FF32
2G084HH02
2G084HH05
2G084HH19
2G084HH28
2G084HH42
2G084HH43
2G084HH44
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、複数本の電極によりプラズマを形成して基板に対する処理工程を行うバッチ式基板処理装置に関する。
【解決手段】前記バッチ式基板処理装置は、反応チューブと、複数本の電極と、電極保護部と、を備え、前記複数本の電極は、互いに離間する第1乃至第2の電源供給電極と、前記第1の電源供給電極と前記第2の電源供給電極とにそれぞれ対応して、前記第1の電源供給電極と前記第2の電源供給電極との間に配設される第1乃至第2の接地電極と、を備え、前記電極保護部は、前記第1乃至第2の電源供給電極がそれぞれ嵌入される内部空間を有する複数本の第1の電極保護管と、前記第1乃至第2の接地電極がそれぞれ嵌入される内部空間を有する複数本の第2の電極保護管と、互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との上端部同士をそれぞれ継ぐ複数のブリッジ部と、を有していてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板が収容される処理空間を提供する反応チューブと、
前記反応チューブの長手方向に沿って延び、前記反応チューブの周方向に沿って配置される複数本の電極と、
前記複数本の電極を保護する電極保護部と、を備え、
前記複数本の電極は、
互いに離間する第1乃至第2の電源供給電極と、
前記第1の電源供給電極と前記第2の電源供給電極にそれぞれ対応して、前記第1の電源供給電極と前記第2の電源供給電極との間に配設される第1乃至第2の接地電極と、
を有し、
前記電極保護部は、
上端が閉塞しかつ下端が開口し、前記第1乃至第2の電源供給電極がそれぞれ嵌入される内部空間を有する複数本の第1の電極保護管と、
上端が閉塞しかつ下端が開口し、前記第1乃至第2の接地電極がそれぞれ嵌入される内部空間を有する複数本の第2の電極保護管と、
互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との上端部同士をそれぞれ継ぐ複数のブリッジ部と、
を有する、バッチ式基板処理装置。
【請求項2】
前記第1の接地電極は、前記第1の電源供給電極から離間し、
前記第2の接地電極は、前記第2の電源供給電極から離間し、
前記複数本の電極は、前記第1の電源供給電極と前記第1の接地電極との間の離間空間、及び前記第2の電源供給電極と前記第2の接地電極との間の離間空間に容量結合プラズマ(CCP)を形成する、請求項1に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項3】
前記第1乃至第2の接地電極は、互いに離間する、請求項2に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項4】
前記第1乃至第2の接地電極間の離間距離は、前記第1の電源供給電極と前記第1の接地電極との間の離間距離、及び前記第2の電源供給電極と前記第2の接地電極との間の離間距離以下である、請求項3に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項5】
前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とは、前記ブリッジ部により継がれて連通され、
前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との内に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部と、
前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とから前記冷却ガスを排出して前記冷却ガスの流れを形成する冷却ガス排出部と、をさらに備える、請求項1に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項6】
前記冷却ガス供給部は、前記複数本の第2の電極保護管とそれぞれ接続され、
前記冷却ガス排出部は、前記複数本の第1の電極保護管とそれぞれ接続される、請求項5に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項7】
前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とのうちの一方の電極保護管に接続され、前記一方の電極保護管と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの供給される流込口が形成されるガス供給シールキャップと、
前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とのうちの他方の電極保護管に接続され、前記他方の電極保護管と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの排出される排気口が形成されるガス排出シールキャップと、をさらに備える、請求項5に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項8】
前記冷却ガスは、不活性ガスを含む、請求項5に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項9】
高周波電源を供給する高周波電源部と、
前記高周波電源部と前記第1乃至第2の電源供給電極との間に配設され、前記高周波電源部から供給される高周波電源を分配して、前記第1乃至第2の電源供給電極のそれぞれに与える電力分配部と、をさらに備える、請求項1に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項10】
前記電力分配部は、前記高周波電源が前記第1乃至第2の電源供給電極のそれぞれに分配される分配点と前記第1乃至第2の電源供給電極のうちの少なくとも一方との間に配設される可変キャパシターを備える、請求項9に記載のバッチ式基板処理装置。
【請求項11】
前記第1乃至第2の電源供給電極のそれぞれに供給される高周波電源を選択的に調節する制御部をさらに備える、請求項1に記載のバッチ式基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッチ式基板処理装置に係り、さらに詳しくは、複数本の電極によりプラズマを形成して基板に対する処理工程を行うバッチ式基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板処理装置は、処理空間内に処理しようとする基板を位置させた後、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition;CVD)法または原子層蒸着(Atomic Layer Deposition;ALD)法などを用いて処理空間内に注入された工程ガスに含まれている反応粒子を基板の上に蒸着する装置である。こような基板処理装置としては、一枚の基板に対して処理工程が行える枚葉式(Single Wafer Type)基板処理装置と、複数枚の基板に対して同時に処理工程が行えるバッチ式(Batch Type)基板処理装置と、が挙げられる。
【0003】
バッチ式基板処理装置は、複数本の電極に高周波電源を供給してプラズマ(plasma)を生成することにより、複数本の電極の周りに注入される工程ガスを励起させて得た活性種(radical)を基板に供給して処理工程を行うことができる。このとき、プラズマにより生成されたイオン(ion)が複数本の電極に向かって加速されて衝突して、複数本の電極に損傷が生じてしまうことがある。
【0004】
また、複数本の電極に高周波電源が供給されてプラズマを生成して、複数本の電極に発熱が起こることがある。このような発熱による複数本の電極の昇温により複数本の電極の抵抗を高めて、複数本の電極の電圧(Voltage)が高まるために、プラズマにより生成されるイオンのエネルギー(energy)が増えてしまうことがある。なお、高エネルギーを有するイオンが複数本の電極に強く衝突するために、複数本の電極にさらに損傷を負ってしまうこともある。特に、処理空間を取り囲むホットウォール(Hot wall)タイプの加熱手段(または、ヒーター)により処理空間を加熱する場合には、複数本の電極の温度がさらに上がってしまい、さらに深刻な問題になる。
【0005】
この理由から、複数本の電極の損傷を防ぎながら、複数本の電極及びその周りの温度を下げられる構成が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1145538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電極保護部を介してプラズマの形成のための複数本の電極を保護するバッチ式基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るバッチ式基板処理装置は、複数枚の基板が収容される処理空間を提供する反応チューブと、前記反応チューブの長手方向に沿って延び、前記反応チューブの周方向に沿って配置される複数本の電極と、前記複数本の電極を保護する電極保護部と、を備え、前記複数本の電極は、互いに離間する第1乃至第2の電源供給電極と、前記第1の電源供給電極と前記第2の電源供給電極とにそれぞれ対応して、前記第1の電源供給電極と前記第2の電源供給電極との間に配設される第1乃至第2の接地電極と、を備え、前記電極保護部は、上端が閉塞しかつ下端が開口しかつ前記第1乃至第2の電源供給電極がそれぞれ嵌入される内部空間を有する複数本の第1の電極保護管と、上端が閉塞しかつ下端が開口しかつ前記第1乃至第2の接地電極がそれぞれ嵌入される内部空間を有する複数本の第2の電極保護管と、互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との上端部同士をそれぞれ継ぐ複数のブリッジ部と、を備えていてもよい。
【0009】
前記第1の接地電極は、前記第1の電源供給電極から離間し、前記第2の接地電極は、前記第2の電源供給電極から離間し、前記複数本の電極は、前記第1の電源供給電極と前記第1の接地電極との間の離間空間、及び前記第2の電源供給電極と前記第2の接地電極との間の離間空間に容量結合プラズマ(CCP)を形成してもよい。
【0010】
前記第1乃至第2の接地電極は、互いに離間してもよい。
【0011】
前記第1乃至第2の接地電極間の離間距離は、前記第1の電源供給電極と前記第1の接地電極との間の離間距離、及び前記第2の電源供給電極と前記第2の接地電極との間の離間距離以下であってもよい。
【0012】
前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とは、前記ブリッジ部により継がれて連通され、前記バッチ式基板処理装置は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との間に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部と、前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とから前記冷却ガスを排出して前記冷却ガスの流れを形成する冷却ガス排出部と、をさらに備えていてもよい。
【0013】
前記冷却ガス供給部は、前記複数本の第2の電極保護管とそれぞれ接続され、前記冷却ガス排出部は、前記複数本の第1の電極保護管とそれぞれ接続されてもよい。
【0014】
前記バッチ式基板処理装置は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とのうちの一方の電極保護管に接続され、前記一方の電極保護管と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの供給される流込口が形成されるガス供給シールキャップと、前記互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とのうちの他方の電極保護管に接続され、前記他方の電極保護管と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの排出される排気口が形成されるガス排出シールキャップと、をさらに備えていてもよい。
【0015】
前記冷却ガスは、不活性ガスを含んでいてもよい。
【0016】
前記バッチ式基板処理装置は、高周波電源を供給する高周波電源部と、前記高周波電源部と前記第1乃至第2の電源供給電極との間に配設され、前記高周波電源部から供給される高周波電源を分配して、前記第1乃至第2の電源供給電極のそれぞれに与える電力分配部と、をさらに備えていてもよい。
【0017】
前記電力分配部は、前記高周波電源が前記第1乃至第2の電源供給電極のそれぞれに分配される分配点と前記第1乃至第2の電源供給電極のうちの少なくとも一方との間に配設される可変キャパシターを備えていてもよい。
【0018】
前記バッチ式基板処理装置は、前記第1乃至第2の電源供給電極のそれぞれに供給される高周波電源を選択的に調節する制御部をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態に係るバッチ式基板処理装置は、電極保護部を介して複数本の電極を電気的に絶縁させるとともに、プラズマ(plasma)雰囲気に晒される複数本の電極をプラズマから保護することができ、プラズマにより生じ得る汚染またはパーティクル(particle)から複数本の電極を安全に保護することができる。また、複数のブリッジ部を介して互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との上端部同士をそれぞれ継いで電極保護部を構成することにより、互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との間の間隔を一定に保持して第1の電源供給電極と第1の接地電極との間の間隔及び第2の電源供給電極と第2の接地電極との間の間隔を等間隔に保持することができる。これにより、第1の電源供給電極と第1の接地電極との間の離間空間及び第2の電源供給電極と第2の接地電極との間の離間空間が同一の体積を有するようにして、複数のプラズマ発生空間同士の間におけるプラズマ密度を均一にすることができる。
【0020】
また、ブリッジ部を介して互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とを連通させることにより、冷却ガス供給部を介して互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との内に冷却ガスを供給しながら、冷却ガス排出部を介した冷却ガスの流れを形成することができる。これにより、プラズマを生成しながら発熱が起こる第1乃至第2の電源供給電極と第1乃至第2の接地電極とを効果的に冷却させることができる。
【0021】
さらに、互いに離間する第1乃至第2の電源供給電極の間に第1乃至第2の接地電極を配設して、第1乃至第2の電源供給電極のそれぞれに対応する第1乃至第2の接地電極を配設することにより、接地電極を共通で用いることに起因して接地電極に2倍の電場(Electric Field)が導かれてしまうことを防ぐことができる。これにより、電場に比例して増加するプラズマポテンシャル(potential)に起因して生じるプラズマダメージ(plasma damage)を抑止もしくは防止することができ、複数本の電極及び/又は電極保護部の寿命を延ばすことができる。一方、第1乃至第2の電源供給電極を用いて印加される電圧を低めることにより、スパッターリング効果を低減することができ、高いプラズマ密度及びラジカル(radical)を用いて工程時間を短縮することもできる。
【0022】
これらに加えて、電力分配部を介して一つの高周波電源部から供給される高周波電源を分配して第1乃至第2の電源供給電極に与えることにより、第1の電源供給電極と第1の接地電極との間の離間空間、及び第2の電源供給電極と第2の接地電極との間の離間空間に均一なプラズマが形成されるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバッチ式基板処理装置を示す概略断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る複数本の電極の本数に応じて接地電極に導かれる電圧の波形を説明するための概念図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電極保護部の冷却ガスの流れを説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明を説明するに当たって、同じ構成要素に対しては同じ参照符号を付し、図面は、本発明の実施形態を正確に説明するために大きさが部分的に誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係るバッチ式基板処理装置を示す概略断面図である。
【0026】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッチ式基板処理装置100は、複数枚の基板10が収容される処理空間111を提供する反応チューブ110と、反応チューブ110の長手方向に沿って延び、前記反応チューブ110の周方向に沿って配置される複数本の電極121,122と、前記複数本の電極121,122を保護する電極保護部130と、を備えていてもよい。
【0027】
反応チューブ110は、上部が閉塞し下部が開口した円筒状に石英またはセラミックスなどの耐熱性材料から形成されてもよく、内部に複数枚の基板10が収容されて処理される処理空間111を提供することができる。反応チューブ110の処理空間111は、複数枚の基板10が反応チューブ110の長手方向に積み重ねられた基板ボートを収容し、実際に処理工程(例えば、蒸着工程)が行われる空間である。
【0028】
ここで、前記基板ボートは、基板10を支持するための構成要素であって、複数枚の基板10が前記反応チューブ110の長手方向(すなわち、上下方向)に積載されるように形成されてもよく、複数枚の基板10がそれぞれ別々に処理される単位処理空間を複数形成してもよい。
【0029】
複数本の電極121,122は、前記反応チューブ110の長手方向に沿って延びてもよく、反応チューブ110の周方向に沿って配置されてもよい。例えば、複数本の電極121,122は、前記反応チューブ110の長手方向に沿って延びる棒(bar)状であってもよく、互いに並ぶように(または、平行に)配置されてもよく、反応チューブ110の周方向に沿って配置されてもよい。
【0030】
ここで、複数本の電極121,122は、互いに離間する第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと、前記第1の電源供給電極121aと前記第2の電源供給電極121bにそれぞれ対応して前記第1の電源供給電極121aと前記第2の電源供給電極121bとの間に配設される第1乃至第2の接地電極122a,122bと、を備えていてもよい。第1乃至第2の電源供給電極121a,121bは互いに離間してもよく、高周波電源(または、RF電源)がそれぞれ供給され(または、加えられ)てもよい。
【0031】
第1乃至第2の接地電極122a,122bは、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bとにそれぞれ対応して第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bとの間に配設されてもよく、接地(ground)されてもよい。このとき、第1乃至第2の接地電極122a,122bは、それぞれで接地されてもよく、共通で接地されてもよい。例えば、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bとが離間して設けられた空間に第1乃至第2の接地電極122a,122bが配設されてもよい。このとき、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに対応する各接地電極122a,122bが、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bにそれぞれ対向して配設されてもよい。このことから、それぞれ対応して対をなす電源供給電極121と接地電極122との間にプラズマ(plasma)を形成することができる。
【0032】
第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに高周波電源(または、高周波電力)が供給されれば、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間においてプラズマが生じることができる。すなわち、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bとは4電極構造を有していてもよく、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに高周波電源をそれぞれ分けて供給してもよい。このことから、プラズマを生じさせるのに必要とされる高周波電源または所望の量のラジカル(radical)を得るための高周波電源を減少させて、高い高周波電源による第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bの損傷及び/又はパーティクル(particle)の発生を防ぐことができる。
【0033】
詳しくは、本発明でのように、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bとが4電極構造を有する場合、工程ガスが分解されるプラズマの発生や所望の量のラジカルを得る上で必要とされる高周波電源を、必要とする高周波電源の半分または大幅に減少させることができる。これにより、高い高周波電源により反応チューブ110など(例えば、前記反応チューブ、隔壁、電極保護部など)に損傷が生じてしまうという不都合を防ぐことができ、反応チューブ110などの損傷に起因してパーティクルが生じてしまうという不都合をも防ぐことができる。例えば、十分なエネルギーにて工程ガスを分解するのに必要とされる電源が100Wである場合、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bの間に第1乃至第2の接地電極122a,122bが配設された4電極構造を有することになると、100Wよりも低い50Wの電源を第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに分けて供給することができるので、たとえプラズマの発生に必要とされる電源よりも低い電源を供給するとしても、最終的に100Wの電源を供給したときと同じ量のラジカルを得ることができる。なお、それぞれの電源供給電極121に50Wの低い電源が分けて供給されるので、高い電源に起因するパーティクルの発生なしに工程ガスをなお一層効果的に分解することができる。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態に係る複数本の電極の本数に応じて接地電極に導かれる電圧の波形を説明するための概念図であって、
図2の(a)は、4電極構造を示し、
図2の(b)は、3電極構造を示す。
【0035】
図2を参照すると、
図2の(a)の4電極構造と
図2の(b)の3電極構造構造において、接地電極に導かれる電圧の波形が異なっていることを確認することができる。
【0036】
詳しく述べると、
図2の(b)に示すように、3電極構造においては、二本の電源供給電極121a,121bに同一の高周波電源が同時に供給される場合に、共通の接地電極122に、第1の電源供給電極121aに印加された電圧と第2の電源供給電極121bに印加された電圧とが合成(または、併合)された2倍の電圧が導かれてしまう。すなわち、共通の接地電極122を用いる3電極構造においては、第1の電源供給電極121aに印加された電圧と第2の電源供給電極121bに印加された電圧とが同一の位相差を有することになって、二本の電源供給電極121a,121bよりも高い電場が接地電極122に誘起されてしまう。なお、これに伴う不所望の高い電場に起因して電場に比例するプラズマポテンシャル(potential)が増加してしまい、プラズマダメージ(Plasma Damage)が生じてしまう。特に、2倍の電圧が導かれる接地電極122の周りの第2の電極保護管132、隔壁125、反応チューブ110などにプラズマダメージが生じて損傷を負ってしまう虞がある。
【0037】
これに対し、
図2の(a)に示すように、本発明の4電極構造においては、3電極構造において接地電極122に導かれる電圧の半分のレベルに相当する電圧(すなわち、第1の電源供給電極121aと第2の電源供給電極121bに印加された各電圧と同一の電圧)を、第1乃至第2の接地電極122a,122bに導くことができる。これにより、プラズマの生成(Turn on)とプラズマの維持の際に高い電圧に起因する高い電場により引き起こされるプラズマダメージを抑止もしくは防止することができる。すなわち、第1の電源供給電極121aに印加された電圧により、第1の接地電極122aに第1の電源供給電極121aに印加された電圧と同一の電圧を導くことができる。なお、第2の電源供給電極121bに印加された電圧により、第2の接地電極122bに第2の電源供給電極121bに印加された電圧と同一の電圧を導くことができる。
【0038】
また、3電極構造の場合には、三本の電極の間に互いに干渉を引き起こすことが懸念されるものの、4電極構造の場合には、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとが対をなし、第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとが対をなして、近い距離のそれぞれ対応する電極同士のみが作用しつつ、遠い距離の対応しない電極にはほとんど影響を及ぼさないようになり得る。なお、対応しない電源供給電極121a,121bと接地電極122a,122bとの間の干渉の影響はほとんどない。参考までに、電磁気場及び電気回路の原理から考えると、電源供給電極121は、最も近い接地電極122と働き合うことになる。
【0039】
例えば、複数本の電極121,122は、隔壁125により処理空間111と画成される放電空間とに配置されてもよく、複数本の電極121,122と隔壁125とによりプラズマ形成部120が構成されることができる。プラズマ形成部120は、複数本の電極121,122を用いてプラズマを形成することができ、ガス供給管170から供給された工程ガスをプラズマにより分解して反応チューブ110内の処理空間111に与えることができる。ここで、プラズマ形成部120は、反応チューブ110の長手方向に沿って延びる隔壁125により処理空間111と画成される前記放電空間を有していてもよい。このとき、プラズマ形成部120は、反応チューブ110の長手方向に沿って延びて反応チューブ110の周方向に配置される複数本の電極121,122により前記放電空間にプラズマを形成することができる。
【0040】
プラズマ形成部120の前記放電空間は、プラズマが形成される空間であり、隔壁125により処理空間111と画成され得る。このため、プラズマ形成部120は、ガス供給管170から供給される前記工程ガスを前記放電空間においてプラズマを用いて分解し、分解された前記工程ガス中のラジカルのみを処理空間111に与えることができる。
【0041】
ここで、隔壁125は、反応チューブ110の長手方向に沿って延びてもよく、反応チューブ110の内側に配置されてもよく、反応チューブ110の外側に配置されてもよい。例えば、隔壁125は、
図1に示すように、反応チューブ110の内側に配置されて反応チューブ110の内壁と前記放電空間を形成することができ、反応チューブ110の内壁(または、内面)に接続される複数の副側壁部と前記複数の副側壁部の間の主側壁部を備えていてもよい。前記複数の副側壁部は、反応チューブ110の内壁から反応チューブ110の内側に向かって突出し(または、延び)て、互いに離間して並ぶように配置されてもよい。なお、前記主側壁部は、反応チューブ110の内壁から離間して前記複数の副側壁部の間に配置されてもよい。このとき、前記複数の副側壁部と前記主側壁部は、いずれも反応チューブ110の内壁に沿って反応チューブ110の長手方向に延びてもよい。但し、隔壁125は、処理空間111と画成される前記放電空間が提供可能な形状である限り、
図1に示す形状に何ら限定されるものではなく、種々の形状を呈していてもよい。
【0042】
別の実施形態を挙げると、隔壁125は、反応チューブ110の外側に配置されて反応チューブ110の外壁と前記放電空間を形成してもよく、反応チューブ110の外側面(または、外壁)に接続される複数の副側壁部と前記複数の副側壁部の間の主側壁部を備えていてもよい。前記複数の副側壁部は、反応チューブ110の外壁から反応チューブ110の外側に向かって突出して、互いに離間して並ぶように配置されてもよい。なお、前記主側壁部は、反応チューブ110の外壁から離間して前記複数の副側壁部の間に配置されてもよい。
【0043】
一方、前記主側壁部を反応チューブ110よりも小さいまたは大きな直径を有するチューブ状に構成して、反応チューブ110の側壁と前記主側壁部との間(すなわち、前記反応チューブの内壁と前記主側壁部との間、または前記反応チューブの外壁と前記主側壁部との間)に前記放電空間を形成してもよい。
【0044】
プラズマ形成部120は、隔壁125により処理空間111と画成された前記放電空間にプラズマを形成することにより、ガス供給管170から供給される前記工程ガスが反応チューブ110の内側に直接的に供給されて処理空間111において分解されるわけではなく、処理空間111と分離された空間である前記放電空間において分解された後に処理空間111に供給され得る。処理空間111の内壁には、処理空間111を取り囲むホットウォール(Hot wall)タイプの加熱手段(または、ヒーター)により基板10だけではなく、処理空間111の内壁(または、内部の壁面)まで温度が高くなって、前記工程ガスが蒸着されながら不所望の薄膜が形成されてしまう虞がある。このような処理空間111の内壁に形成(または、蒸着)された薄膜は、プラズマによる電場(electric field)または磁場(magnetic field)などによりパーティクルとして剥がれ落ちながら、基板10に対する処理工程の最中に汚染物質として働く虞がある。このため、プラズマ形成部120は、隔壁125を介して処理空間111と画成された前記放電空間においてプラズマを形成することにより、処理空間111に前記工程ガスを直接に供給して処理空間111においてプラズマを形成する場合にプラズマによる電場または磁場により処理空間111の内壁に形成された薄膜がパーティクルとして剥がれ落ちてしまうという不都合を防ぐことができる。
【0045】
電極保護部130は、複数本の電極121,122を保護することができ、複数本の電極121,122のそれぞれの少なくとも一部を取り囲んで複数本の電極121,122をそれぞれ保護することができる。例えば、電極保護部130は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bとのそれぞれの少なくとも一部を取り囲むことができ、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bとをそれぞれ保護することができる。
【0046】
図3は、本発明の一実施形態に係る電極保護部の冷却ガスの流れを説明するための概念図である。
【0047】
図3を参照すると、電極保護部130は、上端が閉塞されかつ下端が開口しかつ前記第1乃至第2の電源供給電極121a,121bがそれぞれ嵌入される内部空間を有する複数本の第1の電極保護管131と、上端が閉塞されかつ下端が開口しかつ前記第1及び第2の接地電極122a,122bがそれぞれ嵌入される内部空間を有する複数本の第2の電極保護管132と、互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との上端部同士をそれぞれ継ぐ複数のブリッジ部133と、を備えていてもよい。複数本の第1の電極保護管131は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bにそれぞれ配設されてもよく、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれの外部の周面を取り囲むことができ、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれを保護することができる。ここで、複数本の第1の電極保護管131は、上端が閉塞されかつ下端が開口してもよく、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bがそれぞれ嵌入可能な内部空間を有し、下端の開口部を介して上部の方向に第1乃至第2の電源供給電極121a,121bがそれぞれ嵌入されることができる。このことから、複数本の第1の電極保護管131は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bをそれぞれ保護することができる。
【0048】
複数本の第2の電極保護管132は、第1乃至第2の接地電極122a,122bにそれぞれ配設されてもよく、第1乃至第2の接地電極122a,122bのそれぞれの外部の周面を取り囲むことができ、第1乃至第2の接地電極122a,122bのそれぞれを保護することができる。ここで、複数本の第2の電極保護管132は、上端が閉塞されかつ下端が開口してもよく、第1乃至第2の接地電極122a,122bがそれぞれ嵌入可能な内部空間を有し、下端の開口部を介して上部の方向に第1乃至第2の接地電極122a,122bがそれぞれ嵌入されることができる。このことから、複数本の第2の電極保護管132は、第1乃至第2の接地電極122a,122bをそれぞれ保護することができる。
【0049】
例えば、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとのそれぞれは、上部から下部にわたって第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132により包み込まれた状態で保護されてもよく、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとは、軟性を有する編組線からなることが好ましい。
【0050】
一般に、高周波電源の使用に伴う電気伝導は、電流が表面に沿って流れる表皮効果(Skin Effect)が生じてしまう(または、電流が流れる深さである金属の浸透深さ(Skin Depth)に影響を受けてしまう)虞がある。第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとに網目状の網目電極を用いる場合には、空いた空間が占める面積が広いため、少ない表面積による大きな抵抗により高周波電源の供給に効率的ではないという不都合が存在する。なお、基板10に対する処理工程は、高温と低温とにおいて繰り返し行われることになり、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとが網目状を呈する場合には、変化する温度に応じて網目電極の形状が不規則的に変化して形状保持の側面からも不利になる。なお、変化する形状に応じて抵抗が異なってくるため、高周波電源の供給に際して不均一なプラズマが生じてしまうという不都合がある。
【0051】
これらの不都合を防ぐために、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとは、第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132の内部に嵌入されるだけではなく、空いた空間を最小化させて、柔軟性を有する編組タイプに(編組線から)形成されてもよい。例えば、空いた空間をさらに減らすために、それぞれの電極の表面に金属をコーティングする方法をさらに利用してもよい。さらに、フレキシブルな編組タイプの第1及び第2の電源供給電極121a,121bと接地電極122とを、前記放電空間の内部において反応チューブ110の長手方向に延びて固定された状態に保持するために、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとのそれぞれの両端が動かないように固定・支持するばね部(図示せず)をさらに備えていてもよい。前記ばね部により、フレキシブルな第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとは、それぞれ前記反応チューブ110の長手方向に固定されて細長い棒状に保持されることが可能になる。
【0052】
第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とは、第1及び第2の電源供給電極121a,121bの外部と第1及び第2の接地電極122a,122bの外部とをそれぞれ取り囲むことにより、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとをそれぞれ電気的に絶縁させるとともに、プラズマ雰囲気に晒される第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとをプラズマから保護することができる。このことから、プラズマにより生じ得る汚染またはパーティクルから第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとを安全に保護することができる。このとき、第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とは、石英またはセラミックスなどの耐熱性材料から作製されてもよく、反応チューブ110と一体に作製されてもよい。
【0053】
複数のブリッジ部133は、互いに向かい合う(または、相対向する)第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との上端部同士をそれぞれ継ぐことができ、第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との間の間隔を保持することができる。これにより、互いに働き合ってプラズマを形成する電源供給電極121と接地電極122との間の間隔を一定に保持することができ、対応する電源供給電極121と接地電極122との対(または、ペア)ごとに等間隔を有することができる。ここで、互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とは、互いに働き合って両者間の隙間の空間にプラズマを形成する電源供給電極121と接地電極122とがそれぞれ嵌入される電極保護管131、132のことをいい、電源供給電極121が最も近い接地電極122と働いて両者間の隙間の空間にプラズマを形成することができる。なお、前記上端部とは、上方(または、上部)の端の前記上端(頂端)を含む上方(または、上側)の部分のことをいい、必ずしも上方の頂端の部分のみを意味することはない。すなわち、第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とは、前記上端部、中端部及び下端部に区分されてもよく、前記下端部は、下方(または、下部)の端の前記下端(底端)を含む下方(または、下側)の部分のことをいい、前記中端部は、前記上端部と前記下端部との間の中間部分を意味する。
【0054】
前記放電空間の内に均一なプラズマ密度を得るためには、前記電源供給電極121と接地電極122との間の離間空間ごとに同一の体積(または、面積)を有さなければならない。また、前記電源供給電極121と接地電極122との間の離間空間に同一の強さのプラズマ(または、プラズマポテンシャル)を形成して、前記電源供給電極121と接地電極122との間の離間空間(または、前記プラズマ発生空間)同士の間におけるプラズマ密度を均一にすることが必要である。このために、ブリッジ部133により前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とを継いで、第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との間の間隔を保持することができる。これにより、互いに働き合って両者間の隙間の空間にプラズマを形成する電源供給電極121と接地電極122との間の間隔を一定に保持することができ、前記電源供給電極121と接地電極122との間の離間空間ごとに同一の体積を有するようにして、複数のプラズマ発生空間同士の間におけるプラズマ密度を均一にすることができる。
【0055】
例えば、第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とは、長尺状のものであってもよく、前記下端(部)のみが支持されてもよく、このような場合に、第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132が揺れたり傾いたりする虞がある。しかしながら、ブリッジ部133が第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との前記上端部同士を継いで、第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132が揺れたり傾いたりすることを効果的に防ぐことができる。すなわち、ブリッジ部133が前記中端部及び/又は前記下端部の間(のみ)を継ぐことになると、互いに継がれていない第1の電極保護管131及び第2の電極保護管132の前記上端部が揺れてしまう虞があり、撓んだり傾いたりする虞がある。しかしながら、第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との前記下端(部)が支持され、第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との前記上端部同士がブリッジ部133を介して継がれて固定されることにより、前記上端部の揺れ、撓み及び/又は傾きを防げるとともに、第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とが全体的に揺れたり傾いたりすることを防ぐことができる。
【0056】
第1の接地電極122aは、第1の電源供給電極121aから離間してもよく、第2の接地電極122bは、第2の電源供給電極121bから離間してもよい。第1の接地電極122aは、第1の電源供給電極121aから離間して配設されてもよく、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとが互いに離間してプラズマ発生空間を提供することができる。なお、第2の接地電極122bは、第2の電源供給電極121bから離間して配設されてもよく、第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとが互いに離間してプラズマ発生空間を提供することができる。このことから、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bとは、複数のプラズマ発生空間を形成することができる。
【0057】
そして、複数本の電極121,122は、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間に容量結合プラズマ(Capacitively Coupled Plasma:CCP)を形成することができる。すなわち、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれにそれぞれ高周波電源を供給することにより、互いに向かい合う(または、対応する)電源供給電極121と接地電極122との間の離間空間に生成される電場(Electric Field)により容量結合プラズマ(CCP)が発生することができる。
【0058】
ここで、互いに離間している(または、分離されている)電源供給電極121と接地電極122との間の離間空間に形成される電場により生じる電子加速にてエネルギーを得てプラズマが形成される容量結合プラズマ(CCP)方式とは異なり、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)方式は、互いに繋がり合ったアンテナに流れる電流において形成された磁場が経時的に変わるとき、磁場の周りに形成される電場からプラズマが形成されるものであって、一般に、誘導結合プラズマ(ICP)方式においては、E-modeによりプラズマが生じ、H-modeに切り替わりながら高密度のプラズマを形成することになる。誘導結合プラズマ(ICP)方式は、プラズマ密度若しくは印加電力に応じてE-modeとH-modeとに分けられるが、プラズマ密度の低いE-modeからプラズマが保持される高い密度を有するH-modeへのモードの切り替えを行うためには、高いパワーを誘起しなければならない。なお、入力電力が大きくなってしまうと、パーティクルと高い電子の温度とに伴う反応に与らない多数のラジカルが生成されて、良質の膜質が得られ難いという不都合と、アンテナにより形成される電場に伴い均一なプラズマを生じさせ難いという不都合が生じる。
【0059】
しかしながら、本発明においては、前記電源供給電極121と接地電極122との間の離間空間(すなわち、プラズマ発生空間)のそれぞれに容量結合プラズマ(CCP)をそれぞれ形成するため、誘導結合プラズマ(ICP)のようにモードの切り換えを行うために高いパワーを誘起することが不要である。このことから、パーティクルの生成の防止及び低い電子の温度に伴い反応に与る多数のラジカルの生成により良質の膜質を得る上でなお一層効果的である。
【0060】
また、第1乃至第2の接地電極122a,122bは互いに離間してもよく、物理的に分離されてもよい。ここで、「離間」または「分離」という言い回しは、一体ではないという意味であり、相互間の距離は非常に狭くてもよく、0よりも大きければよい。
【0061】
第1乃至第2の接地電極122a,122bが互いに離間せずにくっついてしまうと、第1乃至第2の接地電極122a,122bの間に互いに干渉を引き起こしてしまう虞があり、第1乃至第2の接地電極122a,122bが対応しない電源供給電極121b、121aと干渉して働いてしまう虞もある。例えば、第1の電源供給電極121aに印加された電圧と第2の電源供給電極121bに印加された電圧とが、第1の接地電極122aと第2の接地電極122bとにおいて(すなわち、前記第1乃至第2の接地電極において)合成されて、第1の接地電極122aと第2の接地電極122bとに略2倍の電圧が導かれてしまう虞がある。このような場合、高い電場に起因して電場に比例するプラズマポテンシャルが増加してしまい、プラズマダメージが生じてしまう虞があり、2倍の電圧が導かれる第1乃至第2の接地電極122a,122bの周りの第2の電極保護管132、隔壁125、反応チューブ110などにプラズマダメージが生じて損傷を負ってしまう虞がある。ここで、4電極構造の場合には、3電極構造の場合よりも接地電極122a,122bの総体積が増加するので、3電極構造よりは低い電圧が第1乃至第2の接地電極122a,122bに導かれることはできる。
【0062】
しかしながら、第1乃至第2の接地電極122a,122bが互いに離間すれば、第1乃至第2の接地電極122a,122bの間に互いに干渉を引き起こすことを抑止若しくは防止することができ、第1乃至第2の接地電極122a,122bが対応しない電源供給電極121a,121bと干渉を引き起こすことを抑止もしくは防止することもできる。すなわち、第1乃至第2の接地電極122a,122bの間にも干渉が生ぜず、第1乃至第2の接地電極122a,122bに対応しない電源供給電極121a,121bの干渉がないので、第1の電源供給電極121aに印加された電圧により第1の接地電極122aのみに第1の電源供給電極121aに印加された電圧と同一の電圧が導かれることができる。なお、第2の電源供給電極121bに印加された電圧により第2の接地電極122bのみに第2の電源供給電極121bに印加された電圧と同一の電圧が導かれることができる。これにより、プラズマの生成とプラズマの維持の際に高い電圧に起因する高い電場により引き起こされるプラズマダメージを完璧に抑止もしくは防止することができる。
【0063】
このとき、第1乃至第2の接地電極122a,122bの間の離間距離は、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間距離、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間距離以下であってもよい。第1乃至第2の接地電極122a,122bの間の離間距離が第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間距離、または第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間距離よりも大きくなってしまうと、第1乃至第2の接地電極122a,122bの間の空間に相対的に低いプラズマ密度が形成されてしまい、前記放電空間内のプラズマ密度及び/又はラジカル密度を均一に形成することができなくなる。これに起因して、プラズマ形成部120の吹付口ごとに供給されるラジカルの量が異なってきてしまう虞があり、複数枚の基板10の間に処理(または、蒸着)のバラツキが生じてしまう。なお、バッチ式基板処理装置100の構造からみて、前記放電空間の幅(または、前記プラズマ形成部の幅)が制限せざるを得ない。これに起因して、第1乃至第2の接地電極122a,122bの間の離間距離が大きくなってしまうと、プラズマ発生空間である前記電源供給電極121と接地電極122との間の離間空間が相対的に狭まってしまい、その結果、工程ガスを効果的に分解することができず、効果的にラジカルを得ることができなくなる。
【0064】
このため、第1乃至第2の接地電極122a,122bの間の離間距離を前記電源供給電極121と接地電極122との間の離間距離以下にしてもよく、第1乃至第2の接地電極122a,122bの間の干渉及び対応しない電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bとの間の干渉を防げるとともに、工程ガスを効果的に分解して効果的にラジカルを得ることができる。なお、前記放電空間内のプラズマ密度及び/又はラジカル密度を均一に形成することができる。このことから、複数枚の基板10の間に処理のバラツキが生じてしまうことを防いで、複数枚の基板10の間の処理(または、蒸着)の均一度を高めることができる。
【0065】
そして、本発明に係るバッチ式基板処理装置100は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との内に冷却ガスを供給する冷却ガス供給部41と、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とから前記冷却ガスを排出して前記冷却ガスの流れを形成する冷却ガス排出部42と、をさらに備えていてもよい。
【0066】
冷却ガス供給部41は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132との内に冷却ガスを供給することができ、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とにそれぞれ配置される電源供給電極121と接地電極122とを冷却させることができる。第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに高周波電源が供給されてプラズマを生成しながら発熱が起こってしまう虞がある。このような発熱による第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bとの昇温により、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bの(金属)抵抗を増加させてしまう虞がある。これに起因して、電圧(V)=電流(I)×抵抗(R)という数式により(誘導)電圧(Voltage)が増加するが故に、プラズマにより生成されるイオン(ion)のエネルギーが増加してしまう虞がある。このとき、高いエネルギーを有するイオンが複数本の第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132の表面に強く衝突するが故に、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132の損傷及び/又は石英などの第1の電極保護管131及び第2の電極保護管132をなす素材(または、材料)に含有されている金属成分などのパーティクルが生じてしまう虞がある。このようにして生じたパーティクルは、反応チューブ110内において汚染物質として働く虞があり、薄膜の(金属)汚染といった不都合を引き起こす虞がある。例えば、半導体素子の製造工程の最中に生じる汚染物粒子(または、パーティクル)は、素子の歩留まり率と非常に密接な関連性があり、特に、薄膜工程の最中に生じる(金属)汚染物粒子は、電流を導通させて電流の漏れを生じさせる。これに起因して、素子の誤動作を引き起こすだけではなく、製品の歩留まり率に致命的な悪影響を及ぼす虞がある。
【0067】
したがって、本発明においては、冷却ガス供給部41を介して複数本の第1の電極保護管131と複数本の第2の電極保護管132との内に前記冷却ガスを供給して、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bとを冷却させることにより、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとの昇温を防止若しくは抑止することができる。これにより、プラズマにより生成されるイオンのエネルギーが高くなってしまうことを防ぐことができ、イオンの高いエネルギーによる複数本の第1の電極保護管131及び/又は第2の電極保護管132の表面におけるイオンの衝突を防いで、(金属)汚染への影響性を排除することができる。
【0068】
また、基板10の処理工程は、600℃以上の高温下で行われる可能性があり、ニッケル(Ni)などの金属からなる第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとが600℃以上の高温下で酸化されてしまう虞がある。これにより、冷却ガス供給部41を介して複数本の第1の電極保護管131と複数本の第2の電極保護管132との内に保護ガスとしての前記冷却ガスを供給して、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとの酸化を防ぐこともでき、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとの寿命をも延ばすことができる。
【0069】
例えば、前記冷却ガスは、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの一方の電極保護管131または132に供給されてもよく、ブリッジ部133を経て(または、前記ブリッジ部を介して)、他方の電極保護管132または131に流れていくことができる。このとき、二対の前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの一方の第1の電極保護管131に前記冷却ガスが供給される場合には、他方の第1の電極保護管131にも前記冷却ガスが供給されてもよく、一方の第2の電極保護管132に前記冷却ガスが供給される場合には、他方の第2の電極保護管132にも前記冷却ガスが供給されてもよい。すなわち、前記冷却ガスは、二対の前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とにおいて、両方の第1の電極保護管131に供給されてもよく、両方の第2の電極保護管132に供給されてもよい。ここで、冷却ガス供給部41は、前記冷却ガスの流量(または、供給量)を測定する流量計(図示せず)を備えていてもよく、流量計(図示せず)を用いて前記冷却ガスの流量を測定して前記冷却ガスの供給量(または、流量)を調節することができる。このとき、冷却ガス供給部41は、1.5リットル(l)以上の前記冷却ガスを供給することができ、1.5slm(Standard Liter per Minute;標準のリットル/分)以上の流量にて前記冷却ガスを供給することができる。
【0070】
冷却ガス排出部42は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132から前記冷却ガスを排出することができ、このことから、前記冷却ガスの流れを形成することができる。例えば、冷却ガス供給部41は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの一方の電極保護管131または132に接続されてもよく、冷却ガス排出部42は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうち、冷却ガス供給部41が接続されていない残りの(または、残りの他方の)電極保護管132または131に接続されてもよい。すなわち、冷却ガス排出部42は、前記残りの電極保護管132または131に接続されて、前記一方の電極保護管131または132に供給された前記冷却ガスを排出することができ、前記一方の電極保護管131または132に供給されて、ブリッジ部133を介して前記残りの電極保護管132または131に流れてきた前記冷却ガスを排出することができる。
【0071】
本発明においては、冷却ガス供給部41、ブリッジ部133及び冷却ガス排出部42を介して前記一方の電極保護管131または132、ブリッジ部133、前記残りの電極保護管132または131を通過する前記冷却ガスの流路を形成してもよい。これにより、前記冷却ガスが前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とに効果的に流れて、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとを効果的に冷却させることができ、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとの酸化を効果的に防ぐことができる。
【0072】
従来の3電極構造において、複数本の第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とをブリッジ部133にて継ぐことになると、複数本の第1の電極保護管131のそれぞれに流れる前記冷却ガスの流量と、第2の電極保護管132に流れる前記冷却ガスの流量とが異なって来ざるを得ない。このような互いに異なる流量により前記冷却ガスの流れが円滑にならない虞があり、電源供給電極121と接地電極122の酸化を効果的に防ぐことができなくなる。なお、第1の電極保護管131内と第2の電極保護管132内との互いに異なる前記冷却ガスの流量に起因してプラズマの形成にも影響が与えられてしまうことが懸念され、工程ガスの効果的な分解が行われない虞もある。
【0073】
しかしながら、本発明においては、各ブリッジ部133が一本の第1の電極保護管131と一本の第2の電極保護管132とを継ぐことから、前記一方の電極保護管131または132には冷却ガス供給部41を接続し、前記他方の電極保護管132または131には冷却ガス排出部42を接続することにより、前記一方の電極保護管131または132、ブリッジ部133、前記他方の電極保護管132または131を通過する前記冷却ガスの流れが円滑になる。これにより、各電源供給電極121と接地電極122の酸化を効果的に防ぐことができ、前記冷却ガスがプラズマの形成に影響を与えないことから、工程ガスの効果的な分解が行われるようにすることができる。
【0074】
ここで、冷却ガス供給部41は、複数本の第2の電極保護管132とそれぞれ接続されてもよく、冷却ガス排出部42は、複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続されてもよい。冷却ガス供給部41が複数本の第2の電極保護管132にそれぞれ接続されて第1乃至第2の接地電極122a,122bがそれぞれ配置(または、嵌入)された複数本の第2の電極保護管132のそれぞれに一番最初に冷たい前記冷却ガスを供給することにより、別の電極保護管(すなわち、前記第1の電極保護管)を経ていないため冷たい状態の前記冷却ガスに第1乃至第2の接地電極122a,122bを効果的に冷却させることができる。
【0075】
第1の接地電極122aと第2の接地電極122bは、両者間の離間距離が短いが故に、第1乃至第2の接地電極122a,122bのそれぞれから発せられる熱が輻射及び/又は対流などにより干渉してしまう虞がある。これに起因して、第1の電源供給電極121a及び/又は第2の電源供給電極121bよりも、第1及び第2の接地電極122a,122bの方の発熱温度が相対的に高い可能性があり、同一の温度の前記冷却ガスを用いて、第1の電源供給電極121a及び/又は第2の電源供給電極121bよりも、相対的に第1及び第2の接地電極122a,122bの方の冷却が上手く行われない虞がある。
【0076】
したがって、第1乃至第2の接地電極122a,122bがそれぞれ配置された複数本の第2の電極保護管132のそれぞれに一番最初に冷たい前記冷却ガスを供給することができ、前記冷却ガスが冷たい状態で第1及び第2の接地電極122a,122bとそれぞれ接触することにより、第1及び第2の接地電極122a,122bのそれぞれと前記冷却ガスとの間に大きな温度差が生じて第1及び第2の接地電極122a,122bのそれぞれと前記冷却ガスとの間において盛んな(または、効果的な)熱交換が行われることが可能になる。これにより、相対的に発熱温度が高いか、あるいは、冷却が上手く行われない第1及び第2の接地電極122a,122bが効果的に冷却されることが可能になる。
【0077】
逆に、冷却ガス供給部41が複数本の第1の電極保護管131にそれぞれ接続されて、第1及び第2の電源供給電極121a,121bがそれぞれ配置された各第1の電極保護管131から前記冷却ガスを供給する場合には、前記冷却ガスが各第1の電極保護管131を通る間に第1及び第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれとそれぞれ熱交換しながら暖められることになる。これに起因して、暖められた前記冷却ガスと第1及び第2の接地電極122a,122bとの間の温度差が微小となって(または、減って)、相対的に発熱温度が高い、あるいは、冷却が上手く行われない第1及び第2の接地電極122a,122bの冷却がほとんど行われなくなる(または、非効果的になる)虞がある。
【0078】
冷却ガス排出部42は、複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続されてもよく、複数本の第2の電極保護管132のそれぞれにそれぞれ供給されて第1及び第2の接地電極122a,122bのそれぞれを冷却させた前記冷却ガスを(複数の)ブリッジ部133を介して各第1の電極保護管131に移動させる(または、流れ込ませる)ことができ、複数本の第1の電極保護管131のそれぞれにそれぞれ流れ込んだ前記冷却ガスにて第1及び第2の電源供給電極121a,121bをそれぞれ冷却させた後に前記冷却ガスを排出することができる。これにより、冷却ガス供給部41を介して前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの第2の電極保護管132に供給されて(各)ブリッジ部133を通過して前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの第1の電極保護管131を経た後に冷却ガス排出部42に排出される前記冷却ガスの流れを形成することができる。
【0079】
ここで、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの第2の電極保護管132に供給された前記冷却ガスは、相対的に発熱温度が高い、あるいは、冷却が上手く行われない接地電極122を冷却させた後に、ブリッジ部133を介して第1の電極保護管131に移動することができる。このとき、前記冷却ガスは、たとえ接地電極122との熱交換により暖められるとしても、電源供給電極121の温度よりも低い温度を有することができ、電源供給電極121を冷却させることができる。ここで、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bは、第1乃至第2の接地電極122a,122bよりも発熱温度が低くてもよい。これに起因して、第1乃至第2の接地電極122a,122bのそれぞれとの熱交換により暖められた前記冷却ガスでも第1及び第2の電源供給電極121a,121bを十分に冷却させることができる。
【0080】
一方、冷却ガス排出部42は、複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続される排気ラインを備えていてもよい。排気ラインは、複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続されてもよく、複数本の第2の電極保護管132にそれぞれ供給されて第1及び第2の接地電極122a,122bをそれぞれ冷却させ、ブリッジ部133を介して各第1の電極保護管131に移動した後に、第1の電源供給電極121aまたは第2の電源供給電極121bを冷却させた前記冷却ガスが排出されてもよい。このとき、前記排気ラインが接続されて前記冷却ガスが排出される個所(例えば、排気口)が、前記冷却ガスが供給される個所(例えば、流込口)よりも広く(または、多く)てもよい。これにより、前記冷却ガスが円滑に排出されることが可能になり、前記冷却ガスの供給に伴い、前記冷却ガスの流れが円滑に行われることが可能になる。
【0081】
また、前記排気ラインは、ポンピングポートに接続される第1の排気ラインと、前記第1の排気ラインから分岐される第2の排気ラインと、を備えていてもよい。第1の排気ラインは、ポンピングポート(pumping port)に接続されてもよく、前記排気ラインの少なくとも一部(例えば、前記第1の排気ライン)に排気圧(または、排気圧力)を形成することができ、複数本の第1の電極保護管131から前記冷却ガスを円滑に排出することができる。
【0082】
例えば、前記第1の排気ラインは、前記ポンピングポートに接続された真空ポンプ(vacuum pump)と接続されてもよく、各接地電極122及び電源供給電極121との熱交換により暖められた前記冷却ガスを速やかに排出することができ、各接地電極122と電源供給電極121を急速に冷却させて各接地電極122と電源供給電極121の冷却効率を高めることができる。
【0083】
第2の排気ラインは、前記第1の排気ラインから分岐されてもよく、前記真空ポンプなどを介した人為的な排気圧力の形成なしに前記冷却ガスを大気に排気することができる。
【0084】
このとき、冷却ガス排出部42は、前記排気ラインの内径を調節する直径調節部材(図示せず)をさらに備えていてもよい。直径調節部材(図示せず)は、前記排気ラインの内径を調節することができ、少なくとも前記第1の排気ラインの内径を調節することができる。複数本の第1の電極保護管131及び複数本の第2の電極保護管132は、石英などから作製されて真空圧(または、負圧)により割れてしまう虞があるため、複数本の第1の電極保護管131内と複数本の第2の電極保護管132内とを適正な(内部)圧力(例えば、大気圧レベル)に保持することが好ましい。前記直径調節部材(図示せず)なしに前記真空ポンプを介して前記排気ラインに排気圧力を形成する場合には、複数本の第1の電極保護管131内と複数本の第2の電極保護管132内とにあまりにも低過ぎる(内部)圧力(または、真空圧)が形成されて、複数本の第1の電極保護管131及び/又は複数本の第2の電極保護管132が割れてしまう虞がある。これにより、前記直径調節部材(図示せず)を介して前記排気ラインのうちの少なくとも前記第1の排気ラインの内径を縮径させて(または、調節して)、たとえ前記真空ポンプを介して前記排気ラインに排気圧力を形成するとしても、複数本の第1の電極保護管131内と複数本の第2の電極保護管132内とを適正な(内部)圧力に保持することができる。
【0085】
例えば、前記直径調節部材(図示せず)は、オリフィス(orifice)を備えていてもよく、1/4インチ(in)の前記第1の排気ラインにオリフィスを嵌入して、各接地電極122と電源供給電極121とを冷却させた前記冷却ガスが前記真空ポンプに一定に排出されるようにすることができる。ここで、前記オリフィスは、穴の開いた薄い板であって、圧力降下及び流れの制限の目的で用いることができ、安定的な排気圧力にて前記冷却ガスを排出するのに役立てることができる。
【0086】
また、本発明のバッチ式基板処理装置100は、各接地電極122と電源供給電極121とを冷却させた前記冷却ガスの排出量を調節するために、前記排気ラインに配設されるニードル(Needle)弁(図示せず)をさらに備えていてもよい。ニードル弁(図示せず)は、前記排気ラインに配設されてもよく、微小な流量を調節することができる。ここで、前記ニードル弁(図示せず)は、手動で超微小な流量を制御することができて、真空排気及び/又は大気排気(または、熱排気)を行う上で排気量を調節することができる。
【0087】
ここで、冷却ガス排出部42は、前記第1の排気ラインに配設される第1の弁(図示せず)と、前記第2の排気ラインに配設される第2の弁(図示せず)と、をさらに備えていてもよい。第1の弁(図示せず)は、前記第1の排気ラインに配設されてもよく、前記第1の弁(図示せず)が開かれる場合に前記第1の排気ラインを介した排気が行われることができ、真空排気が行われることができる。
【0088】
第2の弁(図示せず)は、前記第2の排気ラインに配設されてもよく、前記第2の弁(図示せず)が開かれる場合に前記第2の排気ラインを介した排気が行われることができ、大気排気が行われることができる。
【0089】
例えば、前記第1の弁(図示せず)と前記第2の弁(図示せず)とは、第1の電源供給電極121aが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインと、第2の電源供給電極121bが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインとの合流点の後(または、後端)に配設(または、配備)されてもよい。このことから、前記第1の弁(図示せず)と前記第2の弁(図示せず)の開閉に伴い、前記合流点から真空排気と大気排気が分岐されることが可能になる。
【0090】
このとき、前記第1の弁(図示せず)は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bへの電源の供給時に開かれてもよく、前記第2の弁(図示せず)は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bへの電源の未供給時に開かれてもよい。すなわち、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに(高周波)電源が供給されてプラズマを生成する場合に、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bと第1乃至第2の接地電極122a,122bに発熱が起こることになるため、前記第1の弁(図示せず)を開いて前記排気ラインの排気圧力を形成することで、各接地電極122と電源供給電極121を急速に冷却させて第1及び第2の接地電極122a,122bと第1及び第2の電源供給電極121a,121bの冷却効率を高めることができる。これに対し、プラズマの生成が不要であるため第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに電源が供給されない場合には、前記第2の弁(図示せず)を開いて各接地電極122と電源供給電極121との熱交換により暖められた前記冷却ガスを大気排気してもよい。ここで、前記第1の弁(図示せず)を開く場合には前記第2の弁(図示せず)を閉じ(または、閉弁し)てもよく、前記第2の弁(図示せず)を開く場合には前記第1の弁(図示せず)を閉じてもよい。
【0091】
前記排気ラインは、前記冷却ガスの流量1slm当たりに0.15mbar以上の排気圧力が形成されてもよく、詳しくは、前記冷却ガスの流量1slm当たりに0.15~20mbar以上の排気圧力が形成されてもよい。第1の電源供給電極121a、第2の電源供給電極121b、第1の接地電極122a、または第2の接地電極122bの弛み(または、傾き)現象により、各電極121または122と電極保護管131または132との間の間隔が一定にならず、その結果、前記冷却ガスの流れが妨げられてしまう虞があり、これは、第1及び第2の電源供給電極121a,121b並びに/又は第1及び第2の接地電極122a,122bの冷却効率を低下させる要因として働く虞がある。
【0092】
このため、前記排気ラインは、前記冷却ガスの流量1slm当たりに0.15mbar以上の排気圧力を形成することができ、このような場合には、第1の電源供給電極121a、第2の電源供給電極121b、第1の接地電極122a、または第2の接地電極122bの弛み現象を抑止もしくは防止して、各電極121または122と電極保護管131または132との間の間隔を同一のレベルに保持することができる。なお、たとえ各電極121または122と電極保護管131または132との間の間隔が一定ではないとしても、各第1の電極保護管131及び第2の電極保護管132に(ほぼ)一定の(または、同一のレベルの)流量の前記冷却ガスが流れることができて、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bの冷却効率が均等になる。
【0093】
このとき、前記排気ラインに前記冷却ガスの流量1slm当たりに20mbarを超える排気圧力を形成してしまうと、前記冷却ガスがあまりにも速く流れてしまう結果、第1の電源供給電極121a、第2の電源供給電極121b、第1の接地電極122a、及び/又は第2の接地電極122bとの熱交換が十分に行われなくなる。これに起因して、むしろ第1及び第2の電源供給電極121a,121b並びに/又は第1及び第2の接地電極122a,122bの冷却効率が低下してしまう虞がある。
【0094】
そして、第1の電源供給電極121aが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインと、第2の電源供給電極121bが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインとの排気圧力をそれぞれ調節(または、制御)してもよい。第1の電源供給電極121aが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインと、第2の電源供給電極121bが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインとの排気圧力をそれぞれ調節することにより、複数本の第1の電極保護管131に及び/又は複数本の第2の電極保護管132に(ほぼ)一定の流量の前記冷却ガスが流れるようにすることができる。このとき、複数本の第1の電極保護管131のそれぞれの流量を測定して、第1の電源供給電極121aが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインと、第2の電源供給電極121bが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインとの排気圧力をそれぞれ調節してもよい。なお、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとのそれぞれの温度などに応じて、適切な冷却を行うために、複数本の第1の電極保護管131と複数本の第2の電極保護管132とのそれぞれの流量が異なってくるように、第1の電源供給電極121aが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインと、第2の電源供給電極121bが配置された第1の電極保護管131に接続された前記排気ラインとの排気圧力をそれぞれ調節してもよい。
【0095】
複数のブリッジ部133は、複数本の第1の電極保護管131及び複数本の第2の電極保護管132の内径よりも小さな内径を有していてもよい。複数のブリッジ部133が、複数本の第1の電極保護管131及び複数本の第2の電極保護管132の内径よりも小さな内径を有する場合には、各第2の電極保護管132の内に前記冷却ガスが十分に満たされた後、各第1の電極保護管131に振り分けられて流れることができ、各第2の電極保護管132の内に前記冷却ガスが十分に満たされることにより、各接地電極122の酸化を効果的に防ぐことができる。
【0096】
逆に、複数のブリッジ部133が、複数本の第1の電極保護管131及び/又は複数本の第2の電極保護管132の内径以上の内径を有する場合には、第2の電極保護管132の内に供給された前記冷却ガスが第2の電極保護管132の内に(十分に)満たされないうちに、複数のブリッジ部133に流れ出てしまう虞があり、前記冷却ガスが第1の電源供給電極121a、第2の電源供給電極121b、第1の接地電極122a、及び/又は第2の接地電極122bの表面の全体に行き渡らなくなり、その結果、酸化防止の効果が低下してしまう虞がある。なお、熱交換が行われない部分が生じて冷却効率が低下するだけではなく、第1の電源供給電極121a、第2の電源供給電極121b、第1の接地電極122a、及び/又は第2の接地電極122bに位置ごとの温度のバラツキが生じて、第1の電源供給電極121a、第2の電源供給電極121b、第1の接地電極122a、及び/又は第2の接地電極122bに損傷を負ったり、プラズマ放電(または、生成)性能にも影響を及ぼしたりしてしまう虞がある。
【0097】
したがって、本発明においては、複数のブリッジ部133の内径を、複数本の第1の電極保護管131及び複数本の第2の電極保護管132の内径よりも小さくして、これらの不都合を解消することができる。
【0098】
ここで、前記冷却ガスは、不活性ガスを含んでいてもよく、前記不活性ガスは、窒素(N2)、アルゴン(Ar)などであってもよい。複数本の第1の電極保護管131と複数本の第2の電極保護管132との内に窒素(N2)などの不活性ガスを供給することにより、複数本の第1の電極保護管131と複数本の第2の電極保護管132との内に酸素(O2)が流れ込んだり停滞したりすることを防ぐことができ、第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとが酸素(O2)と反応して酸化されてしまうことを防ぐことができる。
【0099】
冷却ガス供給部41は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bへの電源の未供給時に、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bへの電源の供給時よりもさらに少ない流量の前記冷却ガスを供給することができる。第1及び第2の電源供給電極121a,121bと第1及び第2の接地電極122a,122bとには、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに電源を供給してプラズマを生成する場合にしか発熱が起こらなくなる。このため、プラズマの生成(または、放電)をしないように第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに電源を供給しない場合には、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bの電源供給時の流量(例えば、10slm)よりもさらに少ない流量(例えば、3slm)の前記冷却ガスを供給することができ、通常の大気排気として排出して省エネルギー化を図ることができる。
【0100】
本発明に係るバッチ式基板処理装置100は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの一方の電極保護管132または131に接続され、前記一方の電極保護管132または131と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスが供給される流込口141aが形成されるガス供給シールキャップ141と、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの他方の電極保護管131または132に接続され、前記他方の電極保護管131または132と連通される内部空間の側壁に前記冷却ガスの排出される排気口142aが形成されるガス排出シールキャップ142と、をさらに備えていてもよい。
【0101】
ガス供給シールキャップ141は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの一方の電極保護管132または131に接続されてもよく、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121の少なくとも一部が嵌入(または、収容)されるように前記一方の電極保護管132または131と連通される内部空間を有していてもよい。なお、ガス供給シールキャップ141は、前記一方の電極保護管132または131と連通される内部空間の側壁に半径方向に前記冷却ガスの供給される流込口141aが形成されてもよい。すなわち、流込口141aは、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121の延長方向と垂直な方向に形成されてもよい。
【0102】
例えば、ガス供給シールキャップ141は、前記一方の電極保護管132または131の下端に接続されてもよく、前記一方の電極保護管132または131とガス供給シールキャップ141との間には、Oリングなどの第1のシール部材135が介在されてもよい。なお、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121の下端(または、後端)は、ガス供給シールキャップ141を貫通して引き出されてもよく、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121は、ガス供給シールキャップ141の内部空間に収容される他の部分よりも拡幅された突出部が形成されてもよく、ガス供給シールキャップ141の下端部(例えば、後端部)の段付部に跨ってもよい。ここで、前記突出部は、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121それ自体が突出するように形成されてもよく、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121に同一の素材または異なる素材を継ぎ足して形成してもよい。このとき、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121の前記突出部とガス供給シールキャップ141の下端部の段付部との間には、Oリングなどの第2のシール部材145が介在されてもよい。これにより、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121が安定的に支持されて、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121の弛み現象を防止もしくは抑止することができ、前記一方の電極保護管132または131の下端が密閉されることが可能になる。
【0103】
ガス排出シールキャップ142は、前記互いに向かい合う第1の電極保護管131と第2の電極保護管132とのうちの他方の電極保護管131または132に接続されてもよく、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122の少なくとも一部が嵌入されるように、前記他方の電極保護管131または132と連通される内部空間を有していてもよい。なお、ガス排出シールキャップ142は、前記他方の電極保護管131または132と連通される内部空間の側壁に半径方向に前記冷却ガスの排出される排気口142aが形成されてもよい。すなわち、排気口142aは、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122の延長方向と垂直な方向に形成されてもよい。
【0104】
例えば、ガス排出シールキャップ142は、前記他方の電極保護管131または132の下端に接続されてもよく、前記他方の電極保護管131または132とガス排出シールキャップ142との間には、第1のシール部材135が介在されてもよい。また、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122の下端は、ガス排出シールキャップ142を貫通して引き出されてもよく、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122は、ガス排出シールキャップ142の内部空間に収容される他の部分よりも拡幅された突出部が形成されてもよく、ガス排出シールキャップ142の下端部の段付部に跨ってもよい。ここで、前記突出部は、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122それ自体が突出するように形成されてもよく、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122に同一の素材または異なる素材を継ぎ足して形成してもよい。このとき、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122の前記突出部とガス排出シールキャップ142の下端部の段付部との間には、第2のシール部材145が介在されてもよい。これにより、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122が安定的に支持されて、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122の弛み現象を防止もしくは抑止することができ、前記他方の電極保護管131または132の下端が密閉されることが可能になる。
【0105】
一方、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121の延長方向と垂直な方向に形成された流込口141aを介して、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121の側面に向かって前記冷却ガスを供給することにより、前記冷却ガスが前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121の側面に乗って速やかにかつ効果的に行き渡ることができる。また、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121の表面に接して前記冷却ガスが流れることになって、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121と前記冷却ガスとの間の熱交換が効果的に行われることが可能になる。なお、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122の延長方向と垂直な方向に形成された排気口142aを介しては、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122の側面に乗って速やかにかつ効果的に前記冷却ガスの流れを形成することにより、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122の表面に接して前記冷却ガスが流れることになって、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122と前記冷却ガスとの間の熱交換が効果的に行われることが可能になる。
【0106】
また、ガス供給シールキャップ141の流込口141aとガス排出シールキャップ142の排気口142aとは、(延長)方向、(形成)位置、大きさ(または、直径)及び/又は本数が異なっていてもよい。
【0107】
例えば、ガス供給シールキャップ141の流込口141aとガス排出シールキャップ142の排気口142aとは、(延長)方向が反対となって対称状に配設されることにより、
図3に示すように、円滑な前記冷却ガスの流れを形成することができる。
【0108】
さらに、ガス供給シールキャップ141の流込口141aとガス排出シールキャップ142の排気口142aとは、互いに対称状に反対側に形成されて(または、位置して)もよい。例えば、ガス供給シールキャップ141の流込口141aは、ガス排出シールキャップ142に面する側(または、前記どちらか一方の電極保護管が前記残りの他方の電極保護管に面する側)の反対側に位置してもよい。なお、ガス排出シールキャップ142の排気口142aは、ガス供給シールキャップ141に面する側(または、前記残りの他方の電極保護管が前記どちらか一方の電極保護管に面する側)の反対側に位置してもよい。
【0109】
ガス供給シールキャップ141の流込口141aがガス排出シールキャップ142に面する側(または、前記どちらか一方の電極保護管が前記ブリッジ部に接続された側)に位置する場合には、前記冷却ガスが前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121のガス供給シールキャップ141の流込口141aと対向する側面に乗って流れてブリッジ部133に直ちに抜け出ることにより、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121のガス供給シールキャップ141の流込口141aと対向する側面の反対の側面は冷却が上手く行われない虞がある。さらに、ガス排出シールキャップ142の排気口142aがガス供給シールキャップ141に面する側(または、前記残りの他方の電極保護管が前記ブリッジ部に接続された側)に位置する場合には、ブリッジ部133に行き渡った前記冷却ガスが前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122のガス排出シールキャップ142の排気口142aと対向する側面に乗って流れてガス排出シールキャップ142の排気口142aに直ちに抜け出ることにより、前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122のガス排出シールキャップ142の排気口142aと対向する側面の反対の側面は冷却が上手く行われない虞がある。
【0110】
しかしながら、ガス供給シールキャップ141の流込口141aがガス排出シールキャップ142に面する側の反対側に位置し、ガス排出シールキャップ142の排気口142aがガス供給シールキャップ141に面する側の反対側に位置する場合には、前記一方の電極保護管132または131に嵌入される電極122または121と前記他方の電極保護管131または132に嵌入される電極121または122の全体を効果的に冷却させることができる。
【0111】
また、ガス排出シールキャップ142の排気口142aを介して前記冷却ガスが効果的に排出されて円滑な前記冷却ガスの流れが形成できるように、ガス排出シールキャップ142には、ガス供給シールキャップ141の流込口141aよりも大きな大きさ及び/又は多い本数の排気口142aが形成されてもよい。
【0112】
ここで、冷却ガス供給部41が複数本の第2の電極保護管132とそれぞれ接続され、冷却ガス排出部42が複数本の第1の電極保護管131とそれぞれ接続される場合には、ガス供給シールキャップ141が複数本の第2の電極保護管132にそれぞれ接続(または、配設)されてもよく、ガス排出シールキャップ142が複数本の第1の電極保護管131にそれぞれ接続されてもよい。
【0113】
さらに、ガス供給シールキャップ141とガス排出シールキャップ142、及び第1のシール部材135と第2のシール部材145は、熱による歪みを除去するために難燃性の材質から作製されてもよい。
【0114】
本発明に係るバッチ式基板処理装置100は、高周波電源を供給する高周波電源部150と、高周波電源部150と第1乃至第2の電源供給電極121a,121bとの間に配設され、高周波電源部150から供給される高周波電源を分配して第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに与える電力分配部155と、をさらに備えていてもよい。
【0115】
高周波電源部150は、高周波電源(power)を供給することができ、供給された高周波電源は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに加えられて(または、供給されて)もよい。電源供給電極121に前記高周波電源(または、電力)が供給されれば、電源供給電極121と接地電極122との間に電場(または、磁場)が生成されることができ、このようにして生成された電場により容量結合プラズマ(CCP)が発生することができる。
【0116】
第1乃至第2の電源供給電極121a,121bにそれぞれ高周波電源を供給する場合(例えば、前記第1乃至第2の電源供給電極の間に前記第1乃至第2の接地電極が位置する4電極構造)には、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに前記高周波電源がそれぞれ分けて供給されてもよい。これにより、プラズマを形成(または、生成)する上で必要とされる電力または所望の量のラジカルを得るための電力を減少させることができ、一本の電源供給電極121に高い高周波電源(または、電力)を供給する場合に比べてパーティクルの発生が低減もしくは防止されることが可能になる。なお、一本の電源供給電極121と一本の接地電極122によりプラズマを形成する場合よりも多くの(または、広い)空間(または、領域)にプラズマを形成することができて、なお一層効果的に工程ガスを分解することができる。
【0117】
例えば、高周波電源部150は、4~40MHzの範囲において選択される周波数を有する高周波電源を第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給することができる。前記高周波電源の周波数が40MHzよりも大きくなると、電源供給電極121を二本有する4電極構造の場合であっても、全体的なインピーダンス(Zn)の虚数部(Zn′)が低すぎてプラズマの点火に不都合が生じる。これに対し、前記高周波電源の周波数が4MHzよりも小さくなると、全体的なインピーダンス(Zn)の虚数部(Zn′)が大き過ぎて、たとえ電源供給電極121の本数が増えるとしても、最小限の全体的なインピーダンス(Zn)の虚数部(Zn′)を成し遂げることができなくなる。すなわち、反応チューブ110の周り(長さ)は、基板10の大きさ(または、周り)に応じて決められ、反応チューブ110の周りに沿って最大限の電源供給電極121の本数が決められるが、電源供給電極121の本数を増やせる限界により、たとえ電源供給電極121の本数を増やして全体的なインピーダンス(Zn)の虚数部(Zn′)を減らすとしても、最小限の全体的なインピーダンス(Zn)の虚数部(Zn′)にまで減らすことはできなくなる。
【0118】
したがって、高周波電源部150は、4~40MHzの範囲において選択される周波数を有する高周波電源を第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給することができる。なお、電源供給電極121の本数が増えるにつれて、前記プラズマ発生空間が多くなるので、前記放電空間内のプラズマの均一度のためには、すべての前記プラズマ発生空間に同一の(または、一定のレベルの)プラズマ密度が与えられなければならず、このために、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに同一の(または、誤差範囲±10%の)周波数の高周波電源を供給することができる。
【0119】
例えば、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bの間に第1乃至第2の接地電極122a,122bが位置する4電極構造の場合には、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに約27MHz(または、27.12MHz)の周波数を有する高周波電源が供給されてもよい。
【0120】
電力分配部155は、高周波電源部150と第1乃至第2の電源供給電極121a,121bとの間に配設されてもよく、高周波電源部150から供給される高周波電源を分配して第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに提供することができる。ここで、電力分配部155は、電力分配器(power splitter)であってもよく、高周波電源部150と第1乃至第2の電源供給電極121a,121bとの間に配設されて、高周波電源部150から供給(または、出力)される前記高周波電源を分配することができ、分配された前記高周波電源が第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに提供されることができる。このような場合、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに同一の電源(または、電圧)が供給されることにより、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間に均一なプラズマが形成されることができる。
【0121】
複数の高周波電源部150を介して第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれにそれぞれ高周波電源を供給することもできるが、複数の高周波電源部150同士の間の性能差により第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに互いに異なる電源が供給される可能性がある。これにより、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間にプラズマ密度が互いに異なる不均一なプラズマが形成されてしまう虞がある。なお、複数の高周波電源部150を介して第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれにそれぞれ高周波電源を供給してプラズマを放電してしまうと、前記高周波電源が低いインピーダンスに起因してすべてがプラズマの形成された側に集中することにより、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間に対してバランスよくプラズマを生成することができず、プラズマを生成する電源供給電極121と接地電極122に電気的な損傷(Damage)が生じ易い。
【0122】
しかしながら、一つの高周波電源部150から供給される前記高周波電源を、電力分配部155を介して分配して第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに提供すれば、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに同一の電源を供給することができ、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間に均一なプラズマが形成されるようにすることができる。
【0123】
一方、色々な(外部)要因により第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間の間におけるプラズマの形成がばらついてしまう虞もあり、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間にそれぞれ形成されるプラズマ密度が互いにばらついてしまう虞がある。特に、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのうちの少なくとも一本が隔壁125の外側に配置される場合には、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び/又は第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間に隔壁125が位置することがあるため、隔壁125による干渉により第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間の間におけるプラズマ密度のバラツキがなお一層激しくなる虞がある。このような場合には、電力分配部155を介して第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに提供される高周波電源(または、電力)の大きさまたは比率を調節して、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに提供することができる。このことから、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間に均一なプラズマが形成されるようにすることもできる。
【0124】
また、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間にそれぞれ形成されるプラズマ密度が互いにばらついていない場合(または、均一である場合)には、一つの高周波電源部150から出力された高周波電源を均等に分配して第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給することもできる。ここで、高周波電源部150は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bにパルス(pulse)状のRF電力を印加することもでき、パルスの幅(width)とデューティ比(duty ratio)を調節して供給することができる。
【0125】
ここで、電力分配部155は、前記高周波電源が第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに分配される分配点と第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのうちの少なくとも一方121aまたは121bとの間に配設される可変キャパシター(図示せず)を備えていてもよい。可変キャパシター(図示せず)は、高周波電源部150が第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに分配される分配点と第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのうちの少なくとも一本121aまたは121bとの間に配設されてもよく、静電容量(または、蓄電容量)を変化させて高周波電源部150から供給された高周波電源の大きさまたは比率を調節してもよい。
【0126】
例えば、前記可変キャパシター(図示せず)は、電力分配部155に一つ配設されてもよく、前記分配点と第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのうちの一方の電源供給電極121aまたは121bとの間には固定キャパシター(図示せず)を配設し、前記分配点と第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのうちの他方の電源供給電極121bまたは121aとの間には前記可変キャパシター(図示せず)を配設してもよい。このことから、前記一方の電源供給電極121aまたは121bと接地電極122aまたは122bとの間の離間空間に形成されたプラズマ密度に応じて前記可変キャパシター(図示せず)を調節して、前記他方の電源供給電極121bまたは121aと接地電極122bまたは122aとの間の離間空間に形成されたプラズマ密度を調整することができる。このとき、前記他方の電源供給電極121bまたは121aと接地電極122bまたは122aとの間の離間空間に形成されたプラズマ密度は、前記一方の電源供給電極121aまたは121bと接地電極122aまたは122bとの間の離間空間に形成されたプラズマ密度に等しくなるように調整してもよい。
【0127】
一方、前記可変キャパシター(図示せず)は、複数から構成されてもよく、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに対応してそれぞれ配置されてもよく、複数の前記可変キャパシター(図示せず)は、高周波電源部150から供給された高周波電源が分配される前記分配点と第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれとの間にそれぞれ接続(または、配設)されてもよい。ここで、複数の前記可変キャパシター(図示せず)は、電気的に接続された高周波電源部150から供給された高周波電源の大きさまたは比率を調節することができる。
【0128】
本発明においては、前記可変キャパシター(図示せず)を前記分配点の後端に(または、後に)配設して、前記分配点と第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのうちの少なくとも一本121aまたは121bとの間に配設することにより、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間のプラズマ密度を調節(または、調整)することができる。
【0129】
本発明に係るバッチ式基板処理装置100は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給される高周波電源を選択的に調節する制御部160をさらに備えていてもよい。
【0130】
制御部160は、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給される高周波電源を選択的に調節することができ、放電電流、放電電圧、位相などの前記プラズマの状態に応じて、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給される高周波電源を選択的に調節することができる。このとき、制御部160は、電力分配部155に接続されて前記可変キャパシター(図示せず)を調節することにより、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給される高周波電源の大きさまたは比率を調節することができる。
【0131】
例えば、本発明のバッチ式基板処理装置100は、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間のそれぞれのプラズマ密度を測定するプラズマ測定部(図示せず)をさらに備えていてもよく、制御部160は、プラズマ測定部(図示せず)において測定した前記プラズマ密度に応じて、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給される高周波電源を調節することができる。
【0132】
プラズマ測定部(図示せず)は、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間のそれぞれのプラズマ密度を測定することができ、放電電流、放電電圧、位相などの放電特性値を測定してプラズマ密度を測定することができる。例えば、プラズマ測定部(図示せず)は、探針棒を備えていてもよい。探針棒を第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間にそれぞれ配設して、前記探針棒により第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間に形成されるプラズマの放電特性値を測定することができる。このことから、前記プラズマ密度を計測(または、測定)することができる。
【0133】
制御部160は、プラズマ測定部(図示せず)において測定した前記プラズマ密度を受け渡されて前記測定した前記プラズマ密度に応じて、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給される高周波電源を調節することができ、電力分配部155に接続されてもよく、前記可変キャパシター(図示せず)を調節して第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給される高周波電源の大きさまたは比率を調節することができる。例えば、前記可変キャパシター(図示せず)を介して高周波電源の大きさまたは比率を調節できるように、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間にそれぞれ前記探針棒が配設されてもよい。このとき、前記探針棒により第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間、及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間に形成されるプラズマの放電特性値(例えば、放電電流、放電電圧、位相など)及び/又はプラズマ密度を測定して、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給される高周波電源の大きさまたは比率を調節することができる。
【0134】
本発明においては、第1乃至第2の電源供給電極121a,121bのそれぞれに供給される高周波電源の大きさまたは比率を制御して、基板10の処理工程に必要とされるラジカルの蒸着を均一に可変・調節することができるので、プラズマ密度の分布がばらついてしまうという不都合を解消することができる。
【0135】
本発明のバッチ式基板処理装置100は、複数枚の基板10を処理する工程に必要とされる工程ガスを供給するガス供給管170と、反応チューブ110内を排気する排気部180と、をさらに備えていてもよい。
【0136】
ガス供給管170は、複数枚の基板10を処理する工程に必要とされる前記工程ガスを供給することができ、プラズマ形成部120を介して反応チューブ110の内に供給することができ、前記放電空間に前記工程ガスを吐き出す(または、吹き付ける)吐出口171を備えていてもよい。このとき、プラズマ形成部120は、前記反応チューブ110の長手方向に並べられて、前記プラズマにより分解された前記工程ガス中のラジカルを処理空間111に供給する複数の吹付口を備えていてもよい。例えば、複数の吹付口は、隔壁125に形成されてもよく、前記ラジカルを処理空間111に供給することができる。
【0137】
ここで、ガス供給管170は複数から構成されて、反応チューブ110の中心軸Cから前記放電空間の中央に向かって延びる半径方向C-C′の両側に対称状に配置されてもよい。このとき、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aの対及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bの対もまた、前記放電空間の中央に向かって延びる半径方向C-C′の両側に対称状に配置されてもよい。複数本のガス供給管170が前記放電空間の中央に向かって延びる半径方向C-C′を中心として対称状に配置される場合には、前記工程ガスが前記放電空間の両側の空間(または、領域)に一様に供給されることができ、前記工程ガスが前記放電空間内において効果的に行き渡ることができる。これに加えて、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aの対及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bの対が前記放電空間の中央に向かって延びる半径方向C-C′の両側に対称状に配置されることにより、第1の電源供給電極121aと第1の接地電極122aとの間の離間空間及び第2の電源供給電極121bと第2の接地電極122bとの間の離間空間に一様に前記工程ガスを供給することができる。これにより、前記放電空間の両側の空間のプラズマ均一度が高くなることができ、プラズマ形成部120に形成されて処理空間111にラジカルを供給する前記複数の吹付口同士の間に供給(または、通過)されるラジカルの量が均一になる。
【0138】
排気部180は、反応チューブ110内を排気することができ、プラズマ形成部120と互いに対向するように配置されてもよい。排気部180は、処理空間111の内に配置されて、処理空間111内の工程残渣を外部に排気する役割を果たすことができる。排気部180は、前記反応チューブ110の長手方向(または、上下方向)に延びる排気ノズル、前記排気ノズルに接続される排気ライン及び排気ポンプから構成されてもよい。前記排気ノズルは、プラズマ形成部120の吹付口と対向していてもよく、前記基板ボートの単位処理空間にそれぞれ対応付けられて上下方向に並べられた複数本の排気孔を備えていてもよい。
【0139】
このため、プラズマ形成部120の吹付口と排気部180の排気孔とが互いに対応付けられて、基板10が積載される前記反応チューブ110の長手方向と交わる基板10の表面と平行な方向に同一線の上に位置することにより、前記吹付口から吹き付けられるラジカルが前記排気孔に流れ込みながら、層流(Laminar Flow)を形成することができる。これにより、前記吹付口から吹き付けられるラジカルが基板10の上部面に一様に供給されることが可能になる。
【0140】
ここで、前記工程ガスは、一種以上のガスを含んでいてもよく、ソースガス及び前記ソースガスと反応して薄膜物質を形成する反応ガスを含んでいてもよい。例えば、基板10の上に蒸着されるべき薄膜物質がシリコン窒化物である場合、前記ソースガスは、ジクロロシラン(SiH2Cl2、略称:DCS)などのシリコンを含有するガスを含んでいてもよく、反応ガスは、NH3、N2O、NOなどの窒素を含有するガスを含んでいてもよい。
【0141】
一方、本発明のバッチ式基板処理装置100は、複数枚の基板10を加熱するために反応チューブ110を取り囲む前記加熱手段をさらに備えていてもよい。なお、前記基板ボートは、処理工程の均一性のために前記基板ボートの下部に接続された回転手段により回転されてもよい。
【0142】
さらに、前記RF電源は、パルス(pulse)状のRF電力を印加してもよい。パルス状のRF電力は、4MHz~40MHz(または、1kHz~10kHz)のパルス周波数領域帯においてパルスの幅とデューティ比(duty ratio)とが調節されてもよい。前記デューティ比とは、オン周期とオフ周期との比のことをいう。パルス状のRF電力を第1乃至第2の電源供給電極121a,121bに印加すれば、プラズマが周期的にオン/オフになることができ、プラズマがパルス状に生じることができる。これにより、処理工程の最中に第1乃至第2の電源供給電極121a,121b、第1乃至第2の接地電極122a,122b、及び隔壁125に損傷を負わせ、パーティクルを生じさせるイオンの密度は下げられるのに対し、ラジカルの密度は一定に保持することができる。したがって、処理工程の効率を保持しつつも、プラズマにより第1乃至第2の電源供給電極121a,121b、第1乃至第2の接地電極122a,122b、及び隔壁125に損傷を負い、パーティクルが生じてしまうことを低減もしくは防止することができる。
【0143】
このように、本発明においては、電極保護部を介して複数の電極を電気的に絶縁させるとともに、プラズマ雰囲気に晒される複数の電極をプラズマから保護することができ、プラズマにより生じ得る汚染またはパーティクルから複数の電極を安全に保護することができる。また、互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との上端部同士をそれぞれ継いで電極保護部を構成することにより、互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との間の間隔を一定に保持して第1の電源供給電極と第1の接地電極との間の間隔、及び第2の電源供給電極と第2の接地電極との間の間隔を等間隔に保持することができ、第1の電源供給電極と第1の接地電極との間の離間空間、及び第2の電源供給電極と第2の接地電極との間の離間空間が同一の体積を有するようにして、複数のプラズマ発生空間同士の間におけるプラズマ密度を均一にすることができる。また、ブリッジ部を介して互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管とを連通させることにより、冷却ガス供給部を介して互いに向かい合う第1の電極保護管と第2の電極保護管との内に冷却ガスを供給しながら、冷却ガス排出部を介した冷却ガスの流れを形成することができ、これにより、プラズマを生成しながら発熱が起こる第1乃至第2の電源供給電極と第1乃至第2の接地電極とを効果的に冷却させることができる。さらに、互いに離間する第1乃至第2の電源供給電極の間に第1乃至第2の接地電極を配設して、第1乃至第2の電源供給電極のそれぞれに対応する第1乃至第2の接地電極を配設することにより、接地電極を共通で用いることに起因して接地電極に2倍の電場が導かれてしまうことを防ぐことができ、これにより、電場に比例して増加するプラズマポテンシャルに起因して生じるプラズマダメージを抑止もしくは防止することができ、複数本の電極及び電極保護部の寿命を延ばすことができる。一方、第1乃至第2の電源供給電極を用いて印加される電圧を低めることにより、スパッターリング効果を低減することができ、高いプラズマ密度及びラジカルを用いて工程時間を短縮することもできる。これらに加えて、電力分配部を介して一つの高周波電源部から供給される高周波電源を分配して第1乃至第2の電源供給電極に与えることにより、第1の電源供給電極と第1の接地電極との間の離間空間、及び第2の電源供給電極と第2の接地電極との間の離間空間に均一なプラズマが形成されるようにすることができる。
【0144】
以上、本発明の好適な実施形態について図示して説明したが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形が行え、且つ、均等な他の実施形態が採用可能であるということが理解できる筈である。よって、本発明の技術的な保護範囲は、次の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0145】
10:基板
41:冷却ガス供給部
42:冷却ガス排出部
100:バッチ式基板処理装置
110:反応チューブ
111:処理空間
120:プラズマ形成部
121:電源供給電極
121a:第1の電源供給電極
121b:第2の電源供給電極
122:接地電極
122a:第1の接地電極
122b:第2の接地電極
125:隔壁
130:電極保護部
131:第1の電極保護管
132:第2の電極保護管
133:ブリッジ部
135:第1のシール部材
141:ガス供給シールキャップ
141a:流込口
142:ガス排出シールキャップ
142a:排気口
145:第2のシール部材
150:高周波電源部
155:電力分配部
160:制御部
170:ガス供給管
171:吐出口
180:排気部