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特開2023-129334空気紡績装置および空気紡績装置の内部を表面処理するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129334
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】空気紡績装置および空気紡績装置の内部を表面処理するための方法
(51)【国際特許分類】
   D01H 1/115 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
D01H1/115 Z
D01H1/115 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023030761
(22)【出願日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】LU501576
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】521553287
【氏名又は名称】ザウラー インテリジェント テクノロジー エイ・ジー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Intelligent Technology AG
【住所又は居所原語表記】Textilstrasse 9, 9320 Arbon, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ザラ マイスナー
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカラン ゼスハヤー
(72)【発明者】
【氏名】カロリーネ ギュンター
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA19
4L056BD12
4L056BD13
4L056BG02
4L056BG12
4L056BG15
4L056BG42
4L056DA01
4L056EC79
4L056FB08
4L056FB12
4L056FC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】空気紡績装置の簡単かつ迅速な表面処理、特に洗浄および/または添加剤供給が可能となる方法を提案する。
【解決手段】空気紡績装置2および空気紡績装置の内部を表面処理するための方法であって、空気紡績装置は、空気紡績装置から紡績糸を導出するための出口17を備え、紡績コーン5を横断する糸引出し通路3と、紡績コーンを取り囲んでいる紡績ハウジング13と、圧縮空気を供給することができるノズル装置6とを有し、空気紡績装置の内部を表面処理するための方法および空気紡績装置を提供するために、空気紡績装置には、流体を出口側で糸引出し通路の出口の前方に供給するかまたは流体を糸引出し通路の出口内に導入するように構成された流体供給装置11aが設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気紡績装置(2)の内部を表面処理するための方法であって、
前記空気紡績装置(2)は、
- 前記空気紡績装置(2)から紡績糸を導出するための出口(17)を備えた、紡績コーン(5)を横断する糸引出し通路(3)と、
- 前記紡績コーン(5)から間隔を置いて配置されていて、前記紡績コーン(5)を取り囲んでいる紡績ハウジング(13)と、
- 前記紡績コーン(5)と前記紡績ハウジング(13)との間の包囲間隙(15)内で前記紡績コーン(5)の周りを流れる空気流を発生させるための、圧縮空気を供給することができるノズル装置(6)と
を有するものであり
紡績工程中または前記紡績工程の中断中において、
- 流体を出口側で前記出口(17)の前方に供給するかまたは前記出口(17)内に導入し、
- 前記ノズル装置(6)を用いて、前記包囲間隙(15)内で前記紡績コーン(5)の周りを流れる空気流を発生させる
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記流体を、前記糸引出し通路(3)の前方にもしくは前記糸引出し通路(3)内に供給する前に噴霧することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記流体を、前記糸引出し通路(3)の前記出口(17)に接続可能な供給管路(14)を介して前記糸引出し通路(3)内に導入することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記流体を、前記糸引出し通路(3)の前記出口(17)に隣接して終端する供給管路(14)を介して前記糸引出し通路(3)に供給することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項または複数項記載の方法。
【請求項5】
前記流体を、前記包囲間隙(15)に隣接する拡張室(19)と、前記拡張室(19)に接続された流出通路(20)とを介して導出することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項または複数項記載の方法。
【請求項6】
前記流体を、糸引出し方向(R)で前記糸引出し通路(3)の前記出口(17)に後置された糸準備ユニット(21)の領域に供給することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項または複数項記載の方法。
【請求項7】
前記流体の導入前または導入開始時に空気流を前記包囲間隙(15)内に発生させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項または複数項記載の方法。
【請求項8】
前記流体の導入が終了した後でも前記空気流を前記包囲間隙(15)内に少なくとも一時的に維持することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項または複数項記載の方法。
【請求項9】
空気紡績装置(2)であって、
- 前記空気紡績装置(2)から紡績糸を導出するための出口(17)を備えた、紡績コーン(5)を横断する糸引出し通路(3)と、
- 前記紡績コーン(5)から間隔を置いて配置されていて、前記紡績コーン(5)を取り囲んでいる紡績ハウジング(13)と、
- 前記紡績コーン(5)と前記紡績ハウジング(13)との間の包囲間隙(15)内で前記紡績コーン(5)の周りを流れる空気流を発生させるための、圧縮空気を供給することができるノズル装置(6)と
を備え、
流体を出口側で前記出口(17)の前方に供給するかまたは流体を前記出口(17)内に導入するように構成された流体供給装置(11a,11b,11c)を備えることを特徴とする、空気紡績装置(2)。
【請求項10】
前記流体供給装置は、前記糸引出し通路(3)の前記出口(17)に接続可能なかつ/または前記糸引出し通路(3)の前記出口(17)に隣接して配置可能な供給管路(14)を有することを特徴とする、請求項9記載の空気紡績装置(2)。
【請求項11】
前記流体供給装置(11a,11b,11c)は、前記流体を噴霧するように構成されていることを特徴とする、請求項9または10記載の空気紡績装置(2)。
【請求項12】
前記供給管路(14)は、糸準備ユニット(31)の、前記糸引出し通路(3)の前記出口(17)に糸走行方向で後置された糸案内通路に接続されていることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項または複数項記載の空気紡績装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気紡績装置および空気紡績装置の内部を表面処理するための方法であって、
- 糸引出し通路を有する紡績コーンであって、糸引出し通路は、空気紡績装置から紡績糸を導出するための出口を有する、紡績コーンと、
- 紡績コーンから間隔を置いて配置されていて、紡績コーンを取り囲んでいる紡績ハウジングと、
- 紡績コーンと紡績ハウジングとの間の包囲間隙内で紡績コーンの周りを流れる空気流を発生させるための、圧縮空気を供給することができるノズル装置と
を備える、空気紡績機および方法に関する。
【0002】
繊維産業では、繊維糸の製造に関連して、種々様々な方法および紡績装置が公知である。例えばリング精紡機および/またはオープンエンドロータ紡績機は、以前から広まっていて、さらに好適であることが判明している。さらに、特に合成の糸材料の処理に関連して、空気紡績装置も公知であり、これらの空気紡績装置の内部では、中空の紡績コーンの周りを流れる空気流を介して、前もって延伸されたスライバから糸が形成される。このとき、空気紡績装置の内部でスライバの外側繊維は、1つまたは複数の空気ノズルによって発生させられた回転流を用いて、紡績コーンと紡績ハウジングとの間の包囲間隙内で公知の形式で紡績コーンの周りに置かれ、スライバの芯繊維の周りに螺旋状に巻き付けられる。これによって、適切な強度特性を有する空気紡績された糸が形成され、この糸は、紡績コーンの中空室によって形成された糸引出し通路の出口を介して巻取り装置に搬送され、巻取り装置で、空気紡績された糸が巻き取られる。
【0003】
空気紡績法は、基本的に、複数の異なる材料から成る繊維によって実施することができ、この方法では、木綿および/または獣毛のような天然繊維と、ポリエステルのような合成繊維と、天然繊維と合成繊維とから成る混合繊維とを使用することができる。実際には、特に、ポリマー繊維、特にポリエステル製の繊維(PES)の紡績時には、ポリマー残留物、ポリエステル繊維断片および仕上げ剤(Avivage)が、空気紡績装置の表面に堆積することが多い。このような堆積物によって、空気紡績プロセスは著しく阻害され、紡績結果ひいては糸品質が著しく低下してしまうおそれがある。特に、空気紡績プロセス中には、空気紡績装置の表面と繊維との間で結果として生じる高められた摩擦に基づき糸切れを生じさせるおそれがある。さらに、空気紡績装置の空気ノズルおよびその他の部材が、堆積物によって閉塞してしまうおそれがあり、これによって、得られた糸は、より低い強度および品質を有することになる。また、可能な紡績領域もこのような堆積物によって不都合に制限されてしまう。
【0004】
このような欠陥を回避するためには、空気紡績装置を規則的な間隔を置いて洗浄する必要があり、そのためには、紡績プロセスの中断のみならず、空気紡績装置を開放することも必要であり、これによって、空気紡績装置の長い停止時間と、それに伴う製造中断とが発生する。
【0005】
こういったことを前提として、本発明の根底にある課題は、空気紡績装置を表面処理する、特に洗浄しかつ/または添加剤を供給するための方法および空気紡績装置を改良して、空気紡績装置の簡単かつ迅速な表面処理、特に洗浄および/または添加剤供給が可能となるようにすることである。
【0006】
本発明はこの課題を、請求項1の特徴を有する、空気紡績装置を表面処理する、特に洗浄しかつ/または添加剤を供給するための方法と、請求項9の特徴を有する空気紡績装置とによって解決する。本発明に係る方法の有利な改良形態は、従属請求項である請求項2~請求項8に記載されている。本発明に係る空気紡績装置の更なる構成は、従属請求項である請求項10~請求項12に述べられている。
【0007】
本発明に係る方法は、
空気紡績装置であって、
- 空気紡績装置から紡績糸を導出するための出口を備えた、紡績コーンを横断する糸引出し通路と、
- 特に同軸に、紡績コーンから間隔を置いて配置されていて、紡績コーンを取り囲んでいる紡績ハウジングと、
- 紡績コーンと紡績ハウジングとの間の包囲間隙内で紡績コーンの周りを流れる空気流を発生させるための、圧縮空気を供給することができるノズル装置と
を有する空気紡績装置に適している。
【0008】
糸引出し通路というのは、本発明の意味では、空気紡績された糸を紡績装置から引き出すかもしくは導出することができる通路を意味している。糸引出し通路は、好ましくは1つまたは複数の部分から成っていて、さらに好ましくは、紡績コーンに対して同軸に形成されていてよく、これによって、紡績コーンおよび空気紡績装置の設計における高められた自由度を得ることができる。
【0009】
紡績コーンは、好適な実施形態によれば、同様に1つまたは複数の部分から構成されていてよく、さらに好ましくは、糸引出し通路を少なくとも部分的にまたは完全に取り囲んでいてよい。例えば、紡績コーンは糸引出し通路に沿って、ひいては、糸走行方向および糸引出し方向に沿って、紡績コーンの、糸を収容するための入口開口が、同時に糸引出し通路の入口開口を形成するような延在長さを有していてよい。紡績コーンの、紡績コーンから糸を導出するための出口開口は、さらに好ましくは、糸引出し通路の出口を形成していてよい。それに対して、代替的な1つの実施形態では、紡績コーンの出口開口は、糸引出し通路の貫通開口に接続しており、糸引出し通路は、少なくとも2つの部分から、つまり、紡績コーンを横断する第1の糸引出し通路区分と、糸走行方向で紡績コーンに接続する第2の糸引出し通路区分とによって形成されている。第2の糸引出し通路区分は、さらに好ましくは、紡績ハウジングによって形成されていてよい。
【0010】
別の好適な実施形態によれば、糸引出し通路は糸走行方向に沿って線形に、特に軸方向で直線的に変向区分なしに構成されているか、または代替的には、引き出すべき糸を糸走行方向から変向させる少なくとも1つの変向区分を備えて構成されていてよい。糸走行方向は、入口開口と出口との間で延びる直線的な接続ラインに相当する。変向区分は、糸引出し通路の屈曲部または糸引出し通路内に突出している突出部であってよい。糸走行方向に沿って配置された1つまたは複数の変向区分を用いて、糸を、糸の特性に影響を及ぼすために変向させることができる。例えば変向区分の構成は、必要に合わせて糸の毛羽立ちに影響を及ぼすことができる。複数の変向区分を、例えば螺旋状に延びる糸引出し通路区分を形成するために設けることが望ましい場合には、引き出すべき糸に渦流を加えることができる。
【0011】
本発明によれば、紡績ハウジングは紡績コーンを取り囲んでいる。この構成は、紡績コーンを糸走行方向に沿って少なくとも半径方向で環状に取り囲む紡績ハウジングの構成を意味しており、紡績ハウジングは、通常の構成では、スライバを収容しかつ紡績コーンに供給するための、紡績コーンから間隔を置いて配置された入口を有している。紡績ハウジングは、好ましくは紡績コーンに対して同軸に配置されている。紡績ハウジングは、好ましくは出口を形成する貫通路を有していて、この貫通路に出口が配置されているか、またはこの貫通路を貫いて、例えば紡績コーンまたは糸引出し通路の、出口を含むセグメントが延在している。
【0012】
紡績ハウジングは、好適な実施形態によれば、1つの部分からまたは通常の構成では複数の部分から構成されていてよい。複数の部分から成る構成は、空気紡績装置の開放を好適に可能にし、これによって、紡績コーンへのアクセスを簡単に保証することができる。例えば複数の部分から形成された紡績ハウジングは、2つの紡績ハウジングセグメントを含んでいてよく、両方の紡績ハウジングセグメントは、互いに相対的に可動であり、一方の紡績ハウジングセグメントは、スライバを収容しかつ紡績コーンに供給するための入口を含んでいて、他方の紡績ハウジングセグメントは紡績コーンを支持している。
【0013】
基本的に紡績ハウジングは、好適な実施形態によれば、入口と、包囲間隙を含む内部に位置する渦流室と、渦流室に開口する好ましくは複数の渦流空気ノズルとを有していてよく、これらの渦流空気ノズルは、特に好ましくは少なくとも1つの空気供給管路に流体接続しており、空気紡績機の運転中に、空気供給管路によって準備された圧縮空気は、渦流空気ノズルを介して、渦流室もしくは包囲間隙内に流入する。1つもしくは複数の渦流空気ノズルは、公知の形式で、空気渦流を発生させるために、スライバを糸に空気紡績するための渦流室の内部に配置されている。渦流室は、糸走行方向に一致しているスライバの搬送方向に沿って入口に後置されている。
【0014】
本発明に係る方法は、紡績工程中または紡績工程の中断中において、
- 流体を出口側で出口の前方に供給するかまたは出口内に導入し、
- ノズル装置を用いて、包囲間隙内で紡績コーンの周りを流れる空気流を発生させる
ことを特徴としている。
【0015】
本発明に係る方法によれば、予め規定された紡績時間または運転時間またはこれに類する時間の経過後で、紡績工程中の規定のもしくは規定可能な時点で、または例えば糸切れまたは切断や、保守処置、パッケージ交換、電流/電圧故障、糸品質の検出された差異の結果による、計画通りのまたは計画されたものではない紡績工程中断中に、流体を出口側で糸引出し通路の出口の前方に供給するかまたは糸引出し通路の出口内に導入する。本発明の意味において、前方に供給するとは、糸引出し通路の外側で出口の前方の領域に流体を供給することを意味しており、この流体供給形態では、供給された流体を、糸引出し通路内に存在している負圧によって吸い込むことができる。糸引出し通路は、例として上述したように、糸走行方向で見て、紡績コーンの入口もしくは入口開口から空気紡績装置の出口にまで延在しており、この出口は、例えば中空の紡績コーンの開放した端部によって形成される。時間的に流体供給開始前、流体供給開始中または流体供給開始後に、好ましくは渦流空気ノズルを含む作動させられたノズル装置が、包囲間隙内で紡績コーンの周りを流れる空気流によって紡績圧を発生させ、この紡績圧によって、紡績コーンの入口ひいては糸引出し通路内に負圧が発生させられ、この負圧によって、出口側で出口の前方に供給されたかまたは出口内に導入された流体を空気紡績装置の入口側で紡績コーンから確実に導出することができることが保証される。紡績圧によって、流体は少なくとも紡績コーンの周囲表面にわたって包囲間隙を通して導かれることになり、これによって、糸引出し通路の内側表面と、空気紡績装置の、紡績コーンを形成する表面領域、さらに好ましくは、紡績コーンを取り囲む表面領域とへの確実な供給が達成される。
【0016】
したがって、好適な方法は、閉鎖された運転準備状態でも空気紡績装置に流体を確実に供給することを可能にし、これによって、空気紡績装置の表面を規定のように処理することができる。
【0017】
表面処理は、1つの好適な実施形態によれば洗浄であり、別の実施形態によれば添加剤供給であり、前者によって空気紡績装置の表面を、特に紡績中断中に、かつ後者によって糸の繊維および空気紡績装置の表面を、特に紡績工程中に、必要に応じて処理すること、もしくはこのような表面に添加剤を供給することができる。添加剤供給は、糸の繊維における付着時に、特に糸の後続の処理プロセスのために好適に作用する。さらに、添加剤供給は、空気紡績装置の表面に層またはフィルムを形成するために使用することができ、この層またはフィルムは、表面への堆積物ひいては生じ得る閉塞、および表面と繊維との間における摩擦作用を低減することができる。
【0018】
洗浄目的のかつ/または添加剤としての流体の供給は、空気紡績装置の時間のかかる開放または分解を省くことができ、これによって、特に、空気紡績装置の洗浄のために空気紡績装置の開放または分解が行われる従来技術に基づき公知の洗浄法に比べて、停止時間は著しく短くなる。さらに、これによって、特に構造空間を節減する代替的な形式で流体を供給することができる。それというのは、スライバ導入区分の範囲におけるまたは開放された空気紡績装置の範囲内への通常の流体供給から、いまや距離をおくことができるからである。つまり、糸走行方向もしくはスライバ供給方向で空気紡績装置に前置されたドラフト装置の出口ローラ対と、空気紡績装置との間の間隔を小さく保つことができ、これによって、ドラフト装置から空気紡績装置へのスライバのほぼ移行部のない供給を保証することができる。さらに、空気紡績装置の開放された領域内に添加剤を導入するための供給すべき手段を省くことができる。流体供給工程の間の間隔は、好ましくは自由に選択可能であり、特に、例えば短い洗浄時間または添加剤供給時間のように、表面処理時間が公知の方法に比べて短いことに基づき、相応の停止時間で、特により頻繁な表面処理、好ましくは洗浄または添加剤供給が、単独でまたは組み合わされて可能となり、これによって、高い製造確実性を保証することができる。
【0019】
流体の選択や、出口側で出口の前方に流体を供給する形式、および出口内に流体を導入する形式は、基本的に任意に行うことができ、例えば、流体を液体流として出口側で出口の前方に供給するかまたは出口内に導入することができる。本発明の好適な構成によれば、流体を、出口の前方に供給するかもしくは出口内に導入する前に噴霧することが特定されている。噴霧というのは、ガス、例えば空気中において液体をエーロゾルとして微細な粒子に分けることを意味している。流体をエーロゾルとして前方に供給するかもしくは導入することによって、表面処理のために必要な流体の量を最小にすることが可能になり、同時に空気紡績装置の処理すべき表面における流体の良好な分布を保証することができる。また、噴霧された流体、つまり、エーロゾルの好適な使用は、空気紡績装置の表面の特に迅速な乾燥を可能にし、これによって、空気紡績装置の停止時間を補足的に短縮することができる。
【0020】
流体を出口側で糸引出し通路の出口の前方に供給する構成もしくは流体を糸引出し通路の出口内に導入する構成もまた、同様に基本的には自由に選択可能である。本発明の好適な構成によれば、流体を、糸引出し通路の出口に接続可能な供給管路を介して糸引出し通路内に導入することが特定されている。
【0021】
本発明のこの好適な構成によれば、糸引出し通路内に流体を供給するために、流体を導く供給管路を糸引出し通路の出口に接続し、これによって、次いで、流体を液体流としてまたは噴霧された形態でエーロゾルとして糸引出し通路内に直接供給することが特定されている。本発明のこの好適な構成は、糸引出し通路内への流体の完全な供給を特に確実に保証し、これによって、流体が、空気紡績装置の周囲の領域に達することを同時に阻止することができる。供給管路は、好ましくは糸引出し通路の出口の構成に適合させられており、これによって、糸引出し通路内への流体の漏れのない導入を保証することができる。
【0022】
本発明の別の好適な構成によれば、流体を、糸引出し通路の出口に隣接して終端する供給管路を介して糸引出し通路に供給することが特定されている。本発明のこの好適な構成によれば、糸走行方向で空気紡績装置の外部で糸引出し通路の出口に隣接して、流体は糸引出し通路の出口の前方に供給され、このことは、例えば供給管路によって達成することができる。この供給管路の端部は、供給管路が紡績プロセス中に糸走路外に配置されていて、紡績工程中の空気紡績装置の運転に影響を及ぼさないように、糸引出し通路の出口に対して位置不変に配置されている。このとき、供給管路は、流出する流体が糸引出し通路の出口の前方に供給されるかもしくは糸引出し通路の出口に供給されるように方向付けられている。これによって、特に紡績工程の中断後に供給管路と空気紡績装置の出口との接続工程を省くことができ、これによって、停止時間を補足的に短縮することができる。
【0023】
本発明の別の好適な構成によれば、流体を、包囲間隙に糸走行方向に沿って隣接する拡張室と、空気紡績装置の、拡張室に接続された流出通路とを介して導出することが特定されている。ノズル装置によって発生させられた紡績圧に基づき、流体は、糸引出し通路の入口から紡績コーンと紡績ハウジングとの間の包囲間隙内に達し、ひいては、包囲間隙に隣接する拡張室内に達する。次いで、流体を、拡張室に流体を導くように接続された流出通路を介して、特に流体によって除去された堆積物および汚染物質と一緒に空気紡績装置から確実に導出することができる。流体は、次いで、例えばコントロールされて集められ、場合により後処理装置、例えば濾過装置および再利用装置に供給されてよい。
【0024】
本発明の別の好適な構成によれば、流体を、糸引出し方向で空気紡績装置の糸引出し通路の出口に続く糸準備ユニットの領域に供給することが特定されている。
【0025】
例えば供給されたスライバの裂断に基づき、または紡績された糸が糸クリアラによるコントロールされた切断によって切り離されたことに基づき、紡績プロセスが中断されると、紡績中断を解消するために役立つ後続の紡績開始工程では、まず既に紡績された、対応する巻取りパッケージに一般的に巻き取られた糸の糸端部を呼び戻し、空気紡績装置を通して、少なくとも紡績コーンの入口前またはドラフト装置の領域内にまで移送する必要がある。そのためには、糸準備ユニットを使用することが既に公知であり、この糸準備ユニットは、例えば糸変向ユニットと、この糸変向ユニットに配置された糸案内通路とを有しており、糸準備ユニットの内部で、巻取りパッケージ、例えば綾巻きパッケージから受け取った糸の撚りが解され、ルーズな繊維が除去され、空気紡績装置の糸案内通路の出口を介して、糸走行方向とは逆向きに紡績開始のために紡績コーンの前方に供給される。
【0026】
本発明の好適な改良形態によれば、流体を、紡績工程の中断中に、つまり、中断の開始と共にまたは時間的に開始後に、糸準備ユニットの内部、例えば糸案内通路内に供給し、次いで、この糸案内通路から流体を、紡績圧に基づき糸引出し通路の出口を介して空気紡績装置内に到達させることが特定されている。本発明のこの好適な構成は、空気紡績装置内への流体の特に均一かつ確実な供給を保証し、さらに、選択的に空気紡績装置に後置された糸準備ユニットもまた洗浄されて汚染物質が除去され、これによって、空気紡績装置と巻取りパッケージとの間の糸走路の領域における汚染物質の堆積が特に確実に除去され、選択的には、糸準備ユニットの表面に上述した層またはフィルムを付加的に設けることができる。
【0027】
包囲間隙内に空気流を発生させるノズル装置の作動による動圧の発生は、本発明の好適な構成によれば、時間的に流体の導入前または導入開始時に行われる。本発明のこの好適な構成は、流体の導入の時点で既に十分な動圧が存在していることを保証し、これによって、流体は、紡績コーンの入口を介して空気紡績装置内に確実に到達し、そこで空気紡績装置の表面を処理するために使用することができる。
【0028】
本発明の別の好適な構成によれば、時間的に流体の導入が終了した後でも空気流を包囲間隙内に少なくとも一時的に、つまり、規定された時間または規定可能な時間にわたって維持することが特定されている。本発明のこの好適な構成は、流体の導入が既に終了した後でもなお存在している空気流によって、処理された表面の乾燥が実施され、これによって、例えば特定の状況下で紡績プロセスに障害をもたらすおそれがある、例えば液滴またはこれに類するもののような液体残留物が、特に効果的に回避される。
【0029】
本発明の課題は、さらに、空気紡績装置であって、糸引出し通路を有している紡績コーンであって、糸引出し通路は、空気紡績装置から紡績糸を引き出すための出口を有する、紡績コーンと、特に同軸に、紡績コーンから間隔を置いて配置されていて、紡績コーンを取り囲んでいる紡績ハウジングと、紡績コーンと紡績ハウジングとの間の包囲間隙内で紡績コーンの周りを流れる空気流を発生させるための、圧縮空気を供給することができるノズル装置とを備える、空気紡績装置によって解決される。この空気紡績装置は、本発明によれば、流体を出口側で糸引出し通路の出口の前方に供給するかまたは流体を糸引出し通路の出口内に導入するように構成された流体供給装置を有する。
【0030】
空気紡績装置は、上述した実施形態のうちの1つの実施形態による構成を有していてよい。
【0031】
空気紡績装置は、特に少なくとも紡績工程中にまたは紡績工程の中断中、流体を糸引出し通路の出口の前方に供給するかまたは糸引出し通路の出口内に供給するために使用される流体供給装置を特徴とし、これによって、空気紡績装置の内部の表面処置を、空気紡績装置を前もって分解するかまたは開放することなしに行うことができる。流体供給装置は、好ましくは、この流体供給装置を介して、例えば適切なリザーバから搬送された流体を糸引出し通路の出口の前方に供給することができるように構成されており、次いで、流体は、ノズル装置の作動による紡績圧に基づき、糸引出し通路の出口を介して空気紡績装置内に達し、空気紡績装置の表面を処理する。このような構成の代わりに、空気紡績装置は、好ましくは、例えば適切なリザーバから搬送された流体を、糸引出し通路の出口内に導入するように構成されている。
【0032】
これによって、空気紡績装置は、空気紡績装置の内部の堆積物および汚染物質の除去を、空気紡績装置の開放または分解の必要なしに特に簡単かつ快適に行うことができ、これによって、空気紡績装置を洗浄するために要する空気紡績装置の停止時間を特に短くすることができる。このような効果の代わりに、表面に層またはフィルムを上述した形式で設けることができる。
【0033】
空気紡績装置は、好ましくは、上述した好適な実施形態のうちのいずれか1つの実施形態による方法を実施するように構成されている。
【0034】
流体を前方に供給するかまたは導入するための流体供給装置の構成は、基本的に自由に選択可能である。本発明の好適な構成によれば、流体供給装置は、糸引出し通路の出口に、特に液密に接続可能なかつ/または糸引出し通路の出口に隣接して配置可能な供給管路を有することが特定されている。本発明のこの好適な構成によれば、流体供給装置は、例えば流体リザーバに接続された供給管路を有していて、この供給管路の出口を介して流体は糸引出し通路の出口に供給される。そのために、供給管路は、好ましくは、供給管路を糸引出し通路に直接接続するように構成されていてもよいし、供給管路から流出する流体が糸引出し通路の出口内に確実に到達するように、糸引出し通路の出口に隣接して位置不変に配置されていてもよい。
【0035】
本発明の別の好適な構成によれば、流体供給装置は、流体を噴霧するように構成されていることが特定されている。本発明のこの好適な構成によれば、流体供給装置を用いて流体を糸引出し通路の出口の前方にエーロゾルとして供給するかもしくは糸引出し通路の出口内に導入することができ、これによって、空気紡績装置の内部における流体の特に良好な分布が、表面処理のために必要な流体を減少させながら達成される。
【0036】
本発明の別の好適な構成によれば、供給管路は、糸引出し通路の出口に糸走行方向で後置された糸準備ユニットに接続されている。本発明のこの好適な構成によれば、空気紡績装置内への流体の供給は、糸引出し通路に後置された糸準備ユニット内への流体の供給によって行われ、糸準備ユニットは、供給されたスライバの裂断に基づく、または紡績された糸の、糸クリアラのコントロールされた切断による切離しに基づく紡績プロセスの中断後に、対応する巻取りパッケージに一般的に巻き取られた糸端部を呼び戻して、空気紡績装置に供給するために働き、次いで、空気紡績装置の内部で紡績開始プロセスと後続の紡績工程とが行われる。
【0037】
流体は、使用目的に関連して相応に、空気紡績装置の内部の表面を洗浄する作用を有する洗浄流体であるか、または繊維特性もしくは糸特性に直接または間接的に、空気紡績装置の内部の表面との接触で必要に応じて影響を及ぼす作用を有する添加剤である。特に水または空気・水混合物または他の組成を有していてよいこのような洗浄流体の組成、および例えば欧州特許出願公開第2730695号明細書に基づき既に公知である添加剤の組成は、従来技術に基づき十分に知られており、本発明の対象ではないので、相応の組成についての詳細な記載は省略する。
【0038】
以下に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】空気紡績装置の第1の実施形態を、前置されたドラフト装置と共に示す概略図である。
図2】空気紡績装置の第2の実施形態を、前置されたドラフト装置と共に示す概略図である。
図3】空気紡績装置に糸走行方向で後置された糸準備ユニットの概略図である。
【0040】
図1には、空気紡績装置2の機能形式の一般的な理解のために、ドラフト装置1の原理構造が、後置された空気紡績装置2と共に示してある。スライバ源(図示せず)から引き出されたスライバ(図示せず)は、入口トップローラ26と入口ボトムローラ27とによって形成された入口ローラ対によって引き込まれる。次いで、スライバは、第2のドラフト装置トップローラ28および第2のドラフト装置ボトムローラ29と、第3のドラフト装置トップローラ24および第3のドラフト装置ボトムローラ25と、次いで、後続の出口トップローラ22と出口ボトムローラ23とから成る出口ローラ対との間で規定されて延伸される。延伸されたスライバは、次いで、スライバ導入ユニットの入口領域12と、後置されたノズル装置6とを介して空気紡績装置2内に達し、次いで、空気紡績装置2内で空気紡績装置2の紡績コーン5とノズル装置6とを使用して糸へと成形される。空気紡績装置2は、複数の部分から成る紡績ハウジング13を有していて、この紡績ハウジング13は、入口領域12とノズル装置6とを含む第1の紡績ハウジングセグメントと、紡績コーン5を有する第2の紡績ハウジングセグメントとを備えている。第1の紡績ハウジングセグメントと第2の紡績ハウジングセグメントとは、空気紡績装置2を開放するために、糸走路方向に沿って互いに相対的に運動するように構成されており、これによって、紡績コーン5は、空気紡績装置2もしくは紡績ハウジング13の開放された状態で露出されていて、紡績ハウジング13の外側からアクセス可能である。
【0041】
ノズル装置6はノズル7,8を有していて、両方のノズル7,8は、管路9を介して圧縮空気源10に接続されている。ノズル7,8から流出する空気は、渦動の空気流を発生させ、この空気流が、延伸されたスライバに加えられる。このとき、空気流は、紡績コーン5と、紡績コーン5に対して同軸に配置されていて、紡績コーン5を取り囲む紡績ハウジング13との間における包囲間隙15内で紡績コーン5の周りを流れ、これによって、延伸されたスライバに作用を加える。空気紡績装置2内でスライバの外側の巻付き繊維が、空気紡績装置2の内部において包囲間隙15内に存在する空気渦流に基づき、スライバの内側に位置している芯繊維に巻き付けられ、これによって、糸の所望の強度を保証する。このようにして形成された糸は、次いで、糸走行方向Rで紡績コーン5の入口4から紡績コーン5の出口17まで延在している糸引出し通路3の出口17を介して空気紡績装置2から引き出される。
【0042】
閉鎖された状態で空気紡績装置2の内部の表面を処理するために、図1に示した空気紡績装置2は、流体供給装置11aを有しており、この流体供給装置11aを用いて、例えば紡績工程中にまたは紡績中断時に流体、例えば洗浄液または添加剤が、供給管路14とノズル16とを介して、糸案内通路3の出口17の前方にエーロゾルとして供給される。空気紡績装置2内に流体を導入するために、時間的に出口17における流体の供給前または供給中にノズル装置6は作動させられ、これによって、空気紡績装置2の内部で紡績圧が発生し、この紡績圧によって、紡績コーン5と紡績ハウジング13との間の包囲間隙15内の回転する空気流に基づき、紡績コーン5の入口4に負圧が発生し、これによって、流体は出口17を介して糸案内通路3を通って紡績コーン5の入口に導かれ、さらにそこから拡張室19内に導かれる。流体は、この流れで、空気紡績装置2の内部の表面を処理するかもしくはこの表面に供給される。流体は、紡績圧に基づき拡張室19内にまで達し、この拡張室19から流体は、例えば表面から剥離された汚染物質と共に流出通路20を介して導出することができる。
【0043】
時間的に流体の導入の終了後にも行われるノズル装置6の作動は、空気紡績装置2の内部の、流体によって処理された表面を乾燥させる。
【0044】
図2には、空気紡績装置2の別の実施形態が示してあり、この空気紡績装置2は、図1に示した空気紡績装置2に対して次の点で異なっている。すなわち、図2に示した空気紡績装置2では、流体供給装置11bは、特にフレキシブルな供給管路14を有していて、この供給管路14の自由端部に接続要素18が配置されており、この接続要素18を用いて供給管路14を液密に糸引出し通路3の出口17に直接接続することができる。これによって、接続要素18を介して、流体、例えば洗浄液または添加剤を糸引出し通路3内に直接導入することができる。液密の配置形態のために、接続要素18は、この好適な実施例によれば、円錐形状を有しており、この円錐形状は、出口17内にまたは出口17に接して形成された、例えばシールリップの形態の円錐収容部と作用結合する。
【0045】
図3には、空気紡績装置2に任意に後置された糸変向ユニット30が概略的に示してあり、この糸変向ユニット30は、その出口33に接続された糸案内通路32を介して、糸準備ユニット31に接続されている。空気紡績装置2と、糸変向ユニット30と、糸案内通路32を備えた糸準備ユニット31とは、空気紡績機の紡績ユニット(図示せず)の構成部分である。空気紡績機では、紡績プロセス中に空気紡績装置2から進出する糸が巻き上げられて、巻取りパッケージ(図示せず)が形成される。
【0046】
通常の紡績工程中、空気紡績装置2で製造された糸は、空気紡績装置2から引き出され、糸変向ユニット30、糸案内通路32および糸準備ユニット31を介して巻取りパッケージに供給され、この巻取りパッケージに糸は巻き取られる。例えば糸切れに基づきまたは既に紡績された糸のコントロールされた切断に基づき、紡績が中断されると、紡績プロセスの再開前に、まず、紡績開始工程を実施する必要がある。紡績開始工程を実施するために、通常、既に完成した糸の、巻取りパッケージにある端部を、再び空気紡績装置2におけるスライバの領域に配置することが必要である。
【0047】
そのためには、通常、糸移送装置(図示せず)を用いて、既に製造された糸の糸端部を巻取りパッケージから呼び戻し、保持・解撚管34を備えて構成された、空気紡績装置2に糸走行方向Rで後置された糸準備ユニット31内に移送し、これによって、保持・解撚管34内で糸端部を、糸をクランプした状態で十分に解撚し、ルーズな繊維を除去することができる。そのために、保持・解撚管34には、糸走行方向Rで噴射ノズル(図示せず)が前置されており、この噴射ノズルを介して糸案内通路32に圧縮空気が供給可能であり、糸走行方向Rとは逆向きの空気渦流が、保持・解撚管34の領域で糸端部を解撚するために発生可能となる。解撚されて準備された糸は、糸案内通路32内に圧縮空気が存在している場合に、貫通路35を介して空気紡績装置2の出口17に確実に供給される。
【0048】
空気紡績装置2の出口17内に流体を導入するために、糸準備ユニット31の糸案内通路32は流体供給装置11cに接続されており、この流体供給装置11cを用いて流体、例えば洗浄液または添加剤は、供給管路14およびノズル16を介して、例えば噴霧された形態で糸準備ユニット31の糸案内通路32内に供給することができる。紡績工程の中断後に、糸案内通路32内に圧縮空気が存在していて、空気紡績装置2内に紡績圧が存在している場合には、糸案内通路32内に存在している圧縮空気流が流体を連行し、糸引出し通路3内に存在している負圧が、糸引出し通路3の出口17内に流体を導入する。これによって、上述したように、空気紡績装置2の内側の表面が処理される。
【符号の説明】
【0049】
1 ドラフト装置
2 空気紡績装置
3 糸引出し通路
4 紡績コーン入口
5 紡績コーン
6 ノズル装置
7 ノズル
8 ノズル
9 管路
10 圧縮空気源
11a,11b,11c 流体供給装置
12 入口領域
13 紡績ハウジング
14 供給管路
15 包囲間隙
16 ノズル
17 出口
18 接続要素
19 拡張室
20 流出通路
22 出口トップローラ
23 出口ボトムローラ
24 第3のドラフト装置トップローラ
25 第3のドラフト装置ボトムローラ
26 入口トップローラ
27 入口ボトムローラ
28 第2のドラフト装置トップローラ
29 第2のドラフト装置ボトムローラ
30 糸変向ユニット
31 糸準備ユニット
32 糸案内通路
33 出口
34 保持・解撚管
35 貫通路
R 糸走行方向
図1
図2
図3
【外国語明細書】