(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129343
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】架橋トリフェニルアミン化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、及び有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
C07D 513/06 20060101AFI20230907BHJP
C07D 498/06 20060101ALI20230907BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20230907BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230907BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230907BHJP
H10K 85/10 20230101ALI20230907BHJP
【FI】
C07D513/06 CSP
C07D498/06
C07D519/00
C09K11/06 690
H10K50/15
H10K85/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023030984
(22)【出願日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2022032283
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506158197
【氏名又は名称】公立大学法人 滋賀県立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100193725
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(72)【発明者】
【氏名】平野 雅也
(72)【発明者】
【氏名】野村 真太朗
(72)【発明者】
【氏名】松本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真一郎
【テーマコード(参考)】
3K107
4C072
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB04
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD71
3K107DD79
4C072AA02
4C072AA06
4C072BB03
4C072BB08
4C072CC01
4C072CC11
4C072CC16
4C072EE07
4C072EE17
4C072FF07
4C072GG01
4C072HH02
4C072HH05
4C072HH07
4C072HH08
4C072MM10
4C072UU05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薄膜の安定性、エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の低下防止、駆動電圧の上昇防止、長時間駆動の耐久性改善等を達成し得る架橋トリフェニルアミン化合物、並びに該架橋トリフェニルアミン化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、及び有機エレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】例えば、下記反応式の生成物で示される架橋トリフェニルアミン化合物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)または下記式(2)で示される架橋トリフェニルアミン化合物。
【化1】
【化2】
(式(1)及び式(2)中、
Lは、
炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、もしくはナフタレニレン基、または単結合を表す。
A
1は、下記式(3)で表される基であり、R
5~R
13のうちn個はLと結合する結合手である。
A
2~A
3は、各々独立して、下記式(3)で表される基であり、R
5~R
13のうち1つはLと結合する結合手である。
【化3】
式(3)中、
Xは、
2価の酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、またはスルホニル基を表す。
R
1~R
4は、各々独立して、
(x-i)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、または、(x-ii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基を表す。前記芳香族炭化水素基は、単環もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環からなる基である。R
1とR
2は、互いに連結して環を形成していてもよく、また、R
3とR
4も互いに連結して環を形成していてもよい。
R
5~R
13は、各々独立して、
水素原子、重水素原子、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、またはシアノ基を表す。
式(1)中、
Bは、
(b-i)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、
(b-ii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、
(b-iii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、シアノ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基、
(b-iv)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基、
(b-v)前記(b-iii)の芳香族炭化水素基と前記(b-iv)のヘテロ芳香族基が単結合により組み合わされた基、または
(b-vi)下記式(4)で表される基である。前記(b-iii)の芳香族炭化水素基と前記(b-iv)のヘテロ芳香族基は、それぞれ、単環もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環からなる基である。
【化4】
式(4)中、
Ar
1及びAr
2は、各々独立して、
(Ar-i)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基、
(Ar-ii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基、または
(Ar-iii)前記(Ar-i)の芳香族炭化水素基と前記(Ar-ii)のヘテロ芳香族基が単結合により組み合わされた基を表す。前記(Ar-i)の芳香族炭化水素基と前記(Ar-ii)のヘテロ芳香族基は、それぞれ、単環もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環からなる基である。
式(1)中、
nは、
1または2を表し、
nが2のとき、2つのLまたはBは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記式(3)中のR1~R4が、各々独立して
メチル基、またはフェニル基で表される、請求項1に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
【請求項3】
前記式(1)または前記式(2)中、Lが、メチル基を一つ以上有していてもよい、フェニレン基、もしくはビフェニレン基、または単結合である、請求項1に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
【請求項4】
前記式(3)中、R6、R7、R9、R10、R12及びR13が水素であり、R5、R8及びR11のいずれかが、Lと結合する結合手である、請求項1に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
【請求項5】
前記式(3)中、R6~R13が水素であり、R5がLと結合する結合手である、請求項4に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
【請求項6】
前記式(2)中、A2とA3が同一である、請求項1に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
【請求項7】
前記式(1)中、Bが、メチル基、メトキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよいフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフタレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、またはジベンゾチエニル基を有する、請求項1に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
【請求項8】
前記式(1)中のBが下記式(4)で表される基である場合、前記式(4)中、Ar1及びAr2が、各々独立して、メチル基、メトキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよいフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフタレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、またはジベンゾチエニル基を有する、請求項1に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の架橋トリフェニルアミン化合物を含有する、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項10】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が、有機エレクトロルミネッセンス素子用正孔輸送材料である、請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項11】
請求項1~8のいずれかに記載の架橋トリフェニルアミン化合物を含有する、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、架橋トリフェニルアミン化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、及び有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、有機薄膜を1対の電極で狭持した面発光型素子であり、薄型軽量、高視野角、高速応答性といった特徴を有し、各種表示素子へ応用されている。有機EL素子とは、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子が発光層で再結合する際に発する光を利用した素子であり、その構造は陽極と陰極の間に陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を積層した多層積層型である。
有機薄膜の性質としては、真空蒸着によりアモルファス膜として形成させることが、透明性、加工性、長期間駆動の耐久性の観点から重要である。結晶性が高い材料を用いる場合には、薄膜形成時や経時によって膜質が不均一となり、有機EL素子の耐久性に問題が生じてしまう。
ところで従来から、架橋トリフェニルアミン化合物の合成について研究されており(例えば、非特許文献1参照)、また、架橋トリフェニルアミン化合物は、発光材料としての使用が検討されていた。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第112851702号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Organic Letter,2020年,22巻,734頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機エレクトロルミネッセンスディスプレイにおいては、発光効率特性、駆動電圧特性、長時間駆動特性等について優れた材料の開発が望まれている。
しかしながら、非特許文献1や特許文献1で開示された架橋トリフェニルアミン化合物では、上記の特性を十分に実現したものと言い難く、さらなる改善が求められている。
本開示の解決しようとする課題は、薄膜の安定性、エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の低下防止、駆動電圧の上昇防止、長時間駆動の耐久性改善等を達成し得る架橋トリフェニルアミン化合物、並びに該架橋トリフェニルアミン化合物を用いた有機EL素子用材料、及び有機EL素子の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、有機EL素子の正孔輸送層として、特定の架橋トリフェニルアミン化合物を用いることで、薄膜の安定性、並びに該有機EL素子の発光効率特性、駆動電圧特性、及び長時間駆動特性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は特許請求の範囲の記載の通りであり、また、本開示の要旨は以下の通りである。
[1]下記式(1)または下記式(2)で示される架橋トリフェニルアミン化合物。
【化1】
【化2】
(式(1)及び式(2)中、
Lは、
炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、もしくはナフタレニレン基、または単結合を表す。
A
1は、下記式(3)で表される基であり、R
5~R
13のうちn個はLと結合する結合手である。
A
2~A
3は、各々独立して、下記式(3)で表される基であり、R
5~R
13のうち1つはLと結合する結合手である。
【化3】
式(3)中、
Xは、
2価の酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、またはスルホニル基を表す。
R
1~R
4は、各々独立して、
(x-i)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、または、(x-ii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基を表す。前記芳香族炭化水素基は、単環もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環からなる基である。R
1とR
2は、互いに連結して環を形成していてもよく、また、R
3とR
4も互いに連結して環を形成していてもよい。
R
5~R
13は、各々独立して、
水素原子、重水素原子、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、またはシアノ基を表す。
式(1)中、
Bは、
(b-i)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、
(b-ii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、
(b-iii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、シアノ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基、
(b-iv)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基、
(b-v)前記(b-iii)の芳香族炭化水素基と前記(b-iv)のヘテロ芳香族基が単結合により組み合わされた基、または
(b-vi)下記式(4)で表される基である。前記(b-iii)の芳香族炭化水素基と前記(b-iv)のヘテロ芳香族基は、それぞれ、単環もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環からなる基である。
【化4】
式(4)中、
Ar
1及びAr
2は、各々独立して、
(Ar-i)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基、
(Ar-ii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基、または
(Ar-iii)前記(Ar-i)の芳香族炭化水素基と前記(Ar-ii)のヘテロ芳香族基が単結合により組み合わされた基を表す。前記(Ar-i)の芳香族炭化水素基と前記(Ar-ii)のヘテロ芳香族基は、それぞれ、単環もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環からなる基である。
式(1)中、
nは、
1または2を表し、
nが2のとき、2つのLまたはBは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
[2]前記式(3)中のR
1~R
4が、各々独立して
メチル基、またはフェニル基で表される、[1]に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
[3]前記式(1)または前記式(2)中、Lが、メチル基を一つ以上有していてもよい、フェニレン基、もしくはビフェニレン基、または単結合である、[1]または[2]に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
[4]前記式(3)中、R
6、R
7、R
9、R
10、R
12及びR
13が水素であり、R
5、R
8及びR
11のいずれかが、Lと結合する結合手である、[1]から[3]のいずれかに記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
[5]前記式(3)中、R
6~R
13が水素であり、R
5がLと結合する結合手である、[4]に記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
[6]前記式(2)中、A
2とA
3が同一である、[1]から[5]のいずれかに記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
[7]前記式(1)中、Bが、メチル基、メトキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよいフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフタレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、またはジベンゾチエニル基を有する、[1]から[5]のいずれかに記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
[8]前記式(1)中のBが下記式(4)で表される基である場合、前記式(4)中、Ar
1及びAr
2が、各々独立して、メチル基、メトキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよいフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフタレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、またはジベンゾチエニル基を有する、[1]から[5]、及び[7]のいずれかに記載の架橋トリフェニルアミン化合物。
[9][1]から[8]のいずれかに記載の架橋トリフェニルアミン化合物を含有する、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
[10]前記有機エレクトロルミネッセンス素子用材料が、有機エレクトロルミネッセンス素子用正孔輸送材料である、[9]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
[11][1]から[8]のいずれかに記載の架橋トリフェニルアミン化合物を含有する、有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、薄膜の安定性、エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の低下防止、駆動電圧の上昇防止、長時間駆動の耐久性改善等を達成し得る架橋トリフェニルアミン化合物、並びに該架橋トリフェニルアミン化合物を用いた有機EL素子用材料、及び有機EL素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一態様にかかる有機EL素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一態様にかかる架橋トリフェニルアミン化合物、該架橋トリフェニルアミン化合物を用いた有機EL素子用材料、及び有機EL素子について詳細に説明する。
【0011】
<架橋トリフェニルアミン化合物>
本開示の一態様にかかる架橋トリフェニルアミン化合物は、下記式(1)、又は下記式(2)で表される。
【0012】
【0013】
式(1)及び式(2)中、
Lは、
炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよいフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、もしくはナフタレニレン基、または単結合を表す。
A1は、下記式(3)で表される基であり、R5~R13のうちn個はLと結合する結合手である。
A2~A3は、各々独立して、下記式(3)で表される基であり、R5~R13のうち1つはLと結合する結合手である。
【0014】
【0015】
式(3)中、
Xは、
2価の酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、またはスルホニル基を表す。
R1~R4は、各々独立して、
(x-i)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、または、(x-ii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基を表す。前記芳香族炭化水素基は、単環もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環からなる基である。R1とR2は、互いに連結して環を形成していてもよく、また、R3とR4も互いに連結して環を形成していてもよい。
R5~R13は、各々独立して、
水素原子、重水素原子、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、またはシアノ基を表す。
【0016】
式(1)中、
Bは、
(b-i)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、
(b-ii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、
(b-iii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、シアノ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基、
(b-iv)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基、
(b-v)前記(b-iii)の芳香族炭化水素基と前記(b-iv)のヘテロ芳香族基が単結合により組み合わされた基、または
(b-vi)下記式(4)で表される基である。前記(b-iii)の芳香族炭化水素基と前記(b-iv)のヘテロ芳香族基は、それぞれ、単環もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環からなる基である。
【0017】
【0018】
式(4)中、
Ar1及びAr2は、各々独立して、
(Ar-i)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基、
(Ar-ii)炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基、または
(Ar-iii)前記(Ar-i)の芳香族炭化水素基と前記(Ar-ii)のヘテロ芳香族基が単結合により組み合わされた基を表す。前記(Ar-i)の芳香族炭化水素基と前記(Ar-ii)のヘテロ芳香族基は、それぞれ、単環もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環からなる基である。
【0019】
式(1)中、
nは、
1または2を表し、
nが2のとき、2つのLまたはBは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0020】
L、R1~R13、B、Ar1、およびAr2中の炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、またはシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0021】
L、R5~R13、B、Ar1、およびAr2中の炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、またはヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
R1~R4、B、Ar1、およびAr2中の炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基としては、単環、もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環のいずれの態様であってもよい。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフタレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、アントリル基、テトラセニル基、クリセニル基、ペリレニル基、及びペンタセニル基等が挙げられる。例えば、これらの基のいずれかを有していることが好ましい。また、これらの基にベンゼン、ナフタレン、及びフェナントレンからなる群より選ばれる1つ以上が縮合した縮合環も好ましく用いられ得る。
【0023】
B、Ar1、およびAr2中の炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基としては、単環、もしくは縮合環、またはこれらの環から選ばれるいずれかの環が連結した連結環のいずれの態様であってもよい。ヘテロ芳香族基としては、例えば、ピロリル基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、及びチアントレニル基が挙げられる。例えば、これらの基のいずれかを有していることが好ましい。また、これらの基にベンゼン、ナフタレン、及びフェナントレンからなる群より選ばれる1つ以上が縮合した縮合環も好ましく用いられ得る。
【0024】
B、Ar1、またはAr2が、芳香族炭化水素基あるいはヘテロ芳香族基を有する場合、芳香族炭化水素基あるいはヘテロ芳香族基のいずれか一方のみを含む態様だけでなく、芳香族炭化水素基とヘテロ芳香族基の両方が含まれる態様であってもよい。つまり、B、Ar1、またはAr2は、芳香族炭化水素基とヘテロ芳香族基とが単結合により組み合わされた連結基であってもよい。
【0025】
R1~R4、Ar1、およびAr2中の、炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基や炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基は、置換基を有していてもよい。これらが置換基を有する場合、芳香族炭化水素基やヘテロ芳香族基はそれぞれ炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていることが好ましい。このとき、置換基の数については特に限定されない。
また、B中の、炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。これらが置換基を有する場合、芳香族炭化水素基はそれぞれ炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、シアノ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていることが好ましい。このとき、置換基の数については特に限定されない。さらに、B中の、炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基は、置換基を有していてもよい。これらが置換基を有する場合、ヘテロ芳香族基はそれぞれ炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルキル基、炭素原子数1~6の直鎖、分岐、もしくは環状のアルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換されていることが好ましい。このとき、置換基の数については特に限定されない。
【0026】
R1~R4中の、置換されていてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基や、B、Ar1、およびAr2中の、置換されていてもよい炭素原子数6~25の芳香族炭化水素基、置換されていてもよい炭素原子数3~25のヘテロ芳香族基、または該芳香族炭化水素基と該ヘテロ芳香族基とを組み合わせてなる連結基の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、以下の各基が挙げられる。
フェニル基、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基、4-ビフェニル基、3-ビフェニル基、2-ビフェニル基、2-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,5’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,6’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-2’-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-2’-イル基、m-ターフェニル-4’-イル基、m-ターフェニル-5’-イル基、o-ターフェニル-2-イル基、o-ターフェニル-3-イル基、o-ターフェニル-4-イル基、o-ターフェニル-3’-イル基、o-ターフェニル-4’-イル基、1-ナフタレニル基、2-ナフタレニル基、2-メチルナフタレン-1-イル基、4-メチルナフタレン-1-イル基、6-メチルナフタレン-2-イル基、4-(1-ナフタレニル)フェニル基、4-(2-ナフタレニル)フェニル基、3-(1-ナフタレニル)フェニル基、3-(2-ナフタレニル)フェニル基、3-メチル-4-(1-ナフタレニル)フェニル基、3-メチル-4-(2-ナフタレニル)フェニル基、4-(1-ナフタレニル)ビフェニル基、4-(2-ナフタレニル)ビフェニル基、3-(1-ナフタレニル)ビフェニル基、3-(2-ナフタレニル)ビフェニル基、4-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、4-フェニルナフタレン-1-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、6-フェニルナフタレン-2-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、2-フルオレニル基、9,9-ジメチル-2-フルオレニル基、9,9-ジフェニル-2-フルオレニル基、9,9-ジフェニル-4-フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレン-2-イル基、9,9’-スピロビフルオレン-4-イル基、4-(9,9’-スピロビフルオレン-4-イル)フェニル基、3-(9,9’-スピロビフルオレン-4-イル)フェニル基、4-(9,9’-スピロビフルオレン-4-イル)ビフェニル基、3-(9,9’-スピロビフルオレン-4-イル)ビフェニル基、4-(9,9’-ジフェニルフルオレン-4-イル)フェニル基、3-(9,9’-ジフェニルフルオレン-4-イル)フェニル基、4-(9,9’-ジフェニルフルオレン-4-イル)ビフェニル基、3-(9,9’-ジフェニルフルオレン-4-イル)ビフェニル基、3-(1-トリフェニレニル)ビフェニル基、9-フェナントリル基、2-フェナントリル基、4-(9-フェナントリル)フェニル基、3-(9-フェナントリル)フェニル基、4-(9-フェナントリル)ビフェニル基、3-(1-ナフタレニル)ビフェニル基、3-(9-フェナントリル)ビフェニル基、1-トリフェニレニル基、2-トリフェニレニル基、3-トリフェニレニル基、4-トリフェニレニル基、4-(1-トリフェニレニル)フェニル基、3-(1-トリフェニレニル)フェニル基、4-(1-トリフェニレニル)ビフェニル基、3-(1-トリフェニレニル)ビフェニル基、3-(1-トリフェニレニル)ビフェニル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-2-イル基、3-フルオランテニル基、8-フルオランテニル基、1-イミダゾリル基、2-フェニル-1-イミダゾリル基、2-フェニル-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2,3,4-トリフェニル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフタレニル)-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフタレニル)-3,4-ジフェニル-1-イミダゾリル基、1-メチル-2-イミダゾリル基、1-エチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジビフェニリル-2-イミダゾリル基、1-メチル-3-ピラゾリル基、1-フェニル-3-ピラゾリル基、1-メチル-4-ピラゾリル基、1-フェニル-4-ピラゾリル基、1-メチル-5-ピラゾリル基、1-フェニル-5-ピラゾリル基、2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基、3-イソチアゾリル基、4-イソチアゾリル基、5-イソチアゾリル基、2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基、2-ピリジル基、3-メチル-2-ピリジル基、4-メチル-2-ピリジル基、5-メチル-2-ピリジル基、6-メチル-2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-メチル-3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピリミジル基、2,2’-ビピリジン-3-イル基、2,2’-ビピリジン-4-イル基、2,2’-ビピリジン-5-イル基、2,3’-ビピリジン-3-イル基、2,3’-ビピリジン-4-イル基、2,3’-ビピリジン-5-イル基、5-ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、1-ベンゾイミダゾリル基、2-メチル-1-ベンゾイミダゾリル基、2-フェニル-1-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-3-インダゾリル基、1-フェニル-3-インダゾリル基、2-ベンゾチアゾリル基、4-ベンゾチアゾリル基、5-ベンゾチアゾリル基、6-ベンゾチアゾリル基、7-ベンゾチアゾリル基、3-ベンゾイソチアゾリル基、4-ベンゾイソチアゾリル基、5-ベンゾイソチアゾリル基、6-ベンゾイソチアゾリル基、7-ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル基、2-ベンゾオキサゾリル基、4-ベンゾオキサゾリル基、5-ベンゾオキサゾリル基、6-ベンゾオキサゾリル基、7-ベンゾオキサゾリル基、3-ベンゾイソオキサゾリル基、4-ベンゾイソオキサゾリル基、5-ベンゾイソオキサゾリル基、6-ベンゾイソオキサゾリル基、7-ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-4-イル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-5-イル基、2-キノリル基、3-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、1-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、2-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1,10-フェナントロリン-3-イル基、1,10-フェナントロリン-5-イル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-ベンゾチエニル基、3-ベンゾチエニル基、2-ジベンゾチエニル基、4-ジベンゾチエニル基、2-フラニル基、3-フラニル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基、カルバゾール-9-イル基、9-メチルカルバゾール-2-イル基、9-メチルカルバゾール-3-イル基、9-メチルカルバゾール-4-イル基、9-フェニルカルバゾール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-3-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-2-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-3-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-4-イル基、2-(9-カルバゾリル)フェニル基、3-(9-カルバゾリル)フェニル基、4-(9-カルバゾリル)フェニル基、2-(9-カルバゾリル)ビフェニル基、3-(9-カルバゾリル)ビフェニル基、4-(9-カルバゾリル)ビフェニル基、2-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)フェニル基、3-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)フェニル基、4-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)フェニル基、2-チアントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、9-アントリル基、2-アントリル基、10-フェニルフェノチアジン-3-イル基、10-フェニルフェノチアジン-2-イル基、10-フェニルフェノキサジン-3-イル基、10-フェニルフェノキサジン-2-イル基、1-メチルインドール-2-イル基、1-フェニルインドール-2-イル基、1-メチルインドール-2-イル基、1-フェニルインドール-2-イル基、4-(2-ピリジル)フェニル基、4-(3-ピリジル)フェニル基、4-(4-ピリジル)フェニル基、3-(2-ピリジル)フェニル基、3-(3-ピリジル)フェニル基、3-(4-ピリジル)フェニル基、4-(2-フェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-フェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2,3,4-トリフェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチル-4,5-ジフェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、3-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(3,5-ジフェニルトリアジン-1-イル)フェニル基、4-(2-チエニル)フェニル基、4-(2-フラニル)フェニル基、5-フェニルチオフェン-2-イル基、5-フェニルフラン-2-イル基、4-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、4-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルフラン-2-
イル)フェニル基、4-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、4-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ベンゾチエニル)ビフェニル基、3-(3-ベンゾチエニル)ビフェニル基、4-(2-ジベンゾチエニル)ビフェニル基、4-(4-ジベンゾチエニル)ビフェニル基、3-(2-ジベンゾチエニル)ビフェニル基、3-(4-ジベンゾチエニル)ビフェニル基、4-(2-ジベンゾフラニル)ビフェニル基、4-(4-ジベンゾフラニル)ビフェニル基、3-(2-ジベンゾフラニル)ビフェニル基、3-(4-ジベンゾフラニル)ビフェニル基、5-フェニルピリジン-2-イル基、4-フェニルピリジン-2-イル基、5-フェニルピリジン-3-イル基等を例示することができる。
【0027】
上記式(1)または上記式(2)中、Lは、メチル基を一つ以上有していてもよい、フェニレン基、もしくはビフェニレン基、または単結合であることが好ましく、さらに、正孔輸送能力を高めるために、フェニレン基、もしくは単結合であることがより好ましい。
【0028】
上記式(3)中のR1~R4は、正孔輸送性が高く駆動電圧の低減が可能であることから、各々独立して、メチル基またはフェニル基であることが好ましい。
【0029】
上記式(3)中、R5~R13は、駆動電圧を下げることが可能であるため、R6、R7、R9、R10、R12及びR13が水素であり、R5、R8及びR11のいずれかが、Lと結合する結合手であることが好ましい。
上記式(3)中、R5~R13は、駆動電圧を下げることが可能であるため、R6~13が水素であり、R5がLと結合する結合手であることがさらに好ましい。
【0030】
上記式(2)中、A2およびA3は、正孔輸送能力を上げるため、同一の構造であることが望ましい。
【0031】
上記式(1)中、Bは、正孔輸送性が高く、駆動電圧の低減が可能であることから、各々独立して、
(i)フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフタレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、もしくはジベンゾチエニル基、または、
(ii)上記(i)で示される基が、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を有していることが好ましく、中でも、上記(i)で示される基が、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、重水素原子からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換された基を有していることがより好ましく、メチル基、メトキシ基、重水素原子からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換された基を有していることがさらに好ましい。
また、上記式(1)中、Bは、正孔輸送性が高く、駆動電圧の低減が可能であることから、各々独立して、(iii)上記式(4)で表される基を有していることが好ましい。
【0032】
上記式(1)中のBが上記式(4)で表される基である場合、上記式(4)中、Ar1及びAr2は、各々独立して、
(i)フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフタレニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、アントリル基、ピレニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、もしくはジベンゾチエニル基、または、
(ii)上記(i)で示される基が、アルキル基、アルコキシ基、及び重水素原子からなる群より選ばれる置換基を有していることが好ましく、中でも、上記(i)で示される基が、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、重水素原子からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換された基を有していることがより好ましく、メチル基、メトキシ基、重水素原子からなる群より選ばれる1つ以上の基で置換された基を有していることがさらに好ましい。
上記式(4)中、Ar1及びAr2のより具体的な例示としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、重水素化フェニル基、ビフェニリル基、メチルビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフタレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、9,9-ジメチルフルオレニル基、9,9-ジフェニルフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、アントリル基、ピレニル基、カルバゾリル基、9-カルバゾリルフェニル基、ジベンゾフラニル基、またはジベンゾチエニル基等が挙げられる。
【0033】
[架橋トリフェニルアミン化合物の具体例]
本開示の一態様にかかる架橋トリフェニルアミン化合物について、以下に(F001)~(F216)、(G001)~(G216)、(H001)~(F033)の化合物を例示するが、本開示はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
<有機エレクトロルミネッセンス素子用材料>
架橋トリフェニルアミン化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用である。架橋トリフェニルアミン化合物は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子用正孔輸送材料として、正孔輸送層の形成に好適に使用することができる。架橋トリフェニルアミン化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、薄膜の安定性、エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の低下防止、駆動電圧の上昇防止、長時間駆動の耐久性改善を達成し得る有機エレクトロルミネッセンス素子を作製することができる。
【0070】
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
以下、上記式(1)または(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に有機エレクトロルミネッセンス素子と称することがある)について説明する。
【0071】
本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、式(1)または式(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物を含有する。
【0072】
有機エレクトロルミネッセンス素子の構成については特に限定されるものではないが、例えば、以下に示す(i)~(v)の構成が挙げられる。
(i):陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(ii):陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(iii): 陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/陰極
(iv): 陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/電子輸送層/陰極
(v):陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0073】
式(1)または式(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の横電流の抑制に優れる点で、上記の正孔注入層、及び/又は正孔輸送層、及び/又は電子阻止層に含まれることが好ましい。また、式(1)または式(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光特性、駆動電圧、寿命に優れる点で、正孔注入層、及び正孔輸送層に含まれることがより好ましい。
【0074】
以下、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子を、上記(v)の構成を例に挙げて、
図1を参照しながらより詳細に説明する。
【0075】
なお、
図1に示す有機エレクトロルミネッセンス素子は、いわゆるボトムエミッション型の素子構成を有するものであるが、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子はボトムエミッション型の素子構成に限定されるものではない。すなわち、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、トップエミッション型など、他の公知の素子構成であってもよい。
【0076】
図1は、本開示の一態様にかかる架橋トリフェニルアミン化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。
【0077】
有機エレクトロルミネッセンス素子100は、基板1、陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、電子阻止層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、及び陰極9をこの順で備える。ただし、これらの層のうちの一部の層が省略されていてもよく、また逆に他の層が追加されていてもよい。例えば、発光層6と電子輸送層7との間に正孔阻止層が設けられていてもよく、電子阻止層5が省略され、正孔輸送層4上に発光層6が直接設けられていてもよい。また、例えば正孔輸送層4の機能と電子阻止層5の機能とを単一の層で併せ持つ正孔輸送・電子阻止層のような、複数の層が有する機能を併せ持った単一の層を、当該複数の層の代わりに備えた構成であってもよい。さらに、例えば単層の電子輸送層7が、複数層からなっていてもよい。
【0078】
以下においては、正孔注入層3及び正孔輸送層4が式(1)または式(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子100について説明する。
【0079】
[基板1]
基板1としては特に限定はなく、例えばガラス板、石英板、プラスチック板などが挙げられる。
基板1としては、例えば、ガラス板、石英板、プラスチック板、プラスチックフィルムなどが挙げられる。これらの中でも、ガラス板、石英板、光透過性プラスチックフィルムが好ましい。
【0080】
光透過性プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルムが挙げられる。
【0081】
なお、基板1側から発光が取り出される構成の場合、基板1は光の波長に対して透明である。
【0082】
[陽極2]
基板1上(正孔注入層3側)には陽極2が設けられている。
陽極の材料としては、仕事関数の大きい(例えば4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が挙げられる。陽極の材料の具体例としては、Auなどの金属;CuI、酸化インジウム-スズ(ITO;Indium Tin Oxide)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
発光が陽極を通過して取り出される構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、陽極は当該発光を通すか又は実質的に通す導電性透明材料で形成される。
【0083】
[正孔注入層3]
陽極2と後述する正孔輸送層4との間には、正孔注入層3が設けられている。
正孔注入層3は、正孔注入性の層として機能する。正孔注入層3を陽極2と発光層6との間に介在させることによって、正孔がより低い電界で発光層6に注入される。
正孔注入層の材料は、有機物、無機物のいずれであってもよい。
正孔注入層の材料の具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物などが挙げられる。これらの中でも、有機エレクトロルミネッセンス素子の性能がよい点で、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物が好ましく、特に芳香族第三級アミン化合物が好ましい。
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の具体例としては、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(m-トリル)-〔1,1’-ビフェニル〕-4,4’-ジアミン(TPD)、2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N-トリ(p-トリル)アミン、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン、3-メトキシ-4’-N,N-ジフェニルアミノスチルベンゼン、N-フェニルカルバゾール、4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、4,4’,4’’-トリス〔N-(m-トリル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などが挙げられる。
また、p型-Si、p型-SiCなどの無機化合物も正孔注入層の材料の一例として挙げることができる。
【0084】
また、正孔注入層3は電子アクセプター性のp-型ドーパントをさらに含むことができる。この場合、p-型ドーパントは、正孔注入層3の0.5~20質量%含まれることができる。p-型ド-パントは有機エレクトロルミネッセンス素子に使用されるものであれば制限はなく、一例として、下記の化学式で表される化合物を使用することができる:
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
[正孔輸送層4]
正孔注入層3と後述する電子阻止層5との間には、正孔輸送層4が設けられている。
正孔輸送層4は正孔注入層3上に形成されて、正孔の移動度を改善して有機発光素子の電力効率を改善する役割を果たす層を意味する。
正孔輸送物質としては、陽極から正孔を円滑な注入を受けて発光層に移すことができる物質であって、正孔に対する移動性の大きい物質が適合する。
正孔注入層3または正孔輸送層4の少なくとも1層は、前述したとおり、長時間駆動の耐久性や電流効率の観点から、上記式(1)または式(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物を含むことが好ましい。
また、正孔注入層3及び正孔輸送層4のいずれもが、上記式(1)または式(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物を含むことがより好ましい。
正孔輸送層4は、一種又は二種以上の材料からなる単構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0089】
[電子阻止層5]
正孔輸送層4と後述する発光層6との間には、電子阻止層5が設けられている。
電子阻止層5は、発光層内に電子を閉じ込める層として機能する。すなわち、陰極から注入され、電子注入層8及び/又は電子輸送層7より発光層6に輸送された電子は、発光層6と電子阻止層5との界面に存在するエネルギー障壁により、正孔注入層3及び/又は正孔輸送層4に漏れることが抑制される。その結果、電子が発光層内の界面に累積され、発光効率が向上する等の効果をもたらし、発光性能の優れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。
また、電子阻止層5は、陽極2より注入された正孔を発光層6に伝達する機能も有し、この電子阻止層5を正孔輸送層4と発光層6の間に介在させることによって、より低い電界で多くの正孔が発光層6に注入される。
電子阻止層の材料は、有機物、無機物のいずれであってもよい。
電子阻止層の材料の具体例としては、上記の正孔注入層と同様に、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物などが挙げられる。これらの中でも、有機エレクトロルミネッセンス素子の性能がよい点で、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物が好ましく、特に芳香族第三級アミン化合物が好ましい。
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の具体例としては、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(m-トリル)-〔1,1’-ビフェニル〕-4,4’-ジアミン(TPD)、2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N-トリ(p-トリル)アミン、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン、3-メトキシ-4’-N,N-ジフェニルアミノスチルベンゼン、N-フェニルカルバゾール、4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、4,4’,4’’-トリス〔N-(m-トリル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などが挙げられるがこれらにのみ限定されない。
電子阻止層5は、一種又は二種以上の材料からなる単構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
電子阻止層5には、上記式(1)または式(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物を用いることもできる。
【0090】
[発光層6]
電子阻止層5と後述する電子輸送層7との間には、発光層6が設けられている。
発光層の材料としては、燐光発光材料、蛍光発光材料、熱活性化遅延蛍光発光材料が挙げられる。発光層では電子・正孔対が再結合し、その結果として発光が生じる。
【0091】
発光層は、単一の低分子材料又は単一のポリマー材料からなっていてもよいが、より一般的には、ゲスト化合物でドーピングされたホスト材料からなっている。発光は主としてドーパントから生じ、任意の色を有することができる。
【0092】
ホスト材料としては、例えば、ビフェニリル基、フルオレニル基、トリフェニルシリル基、カルバゾール基、ピレニル基、アントリル基を有する化合物が挙げられる。より具体的には、4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-1,1’-ビフェニル(DPVBi)、4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)1,1’-ビフェニル(BCzVBi)、2-ターシャリーブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(TBADN)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(ADN)、4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル(CBP)、4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)-2,2’-ジメチルビフェニル(CDBP)、2-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-9-[4-(4-フェニルフェニルキナゾリン-2-イル)カルバゾール、9,10-ビス(ビフェニル)アントラセン等が挙げられるが、これらにのみ限定されない。
【0093】
蛍光ドーパントとしては、例えば、アントラセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム、チアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、カルボスチリル化合物、ホウ素化合物、環状アミン化合物等が挙げられるが、これらにのみ限定されない。
また、蛍光ドーパントはこれらから選ばれる2種以上を組み合わせたものであってもよい。
【0094】
燐光ドーパントとしては、例えば、イリジウム、白金、パラジウム、オスミウム等の遷移金属の有機金属錯体が挙げられるが、これらにのみ限定されない。
【0095】
蛍光ドーパント、燐光ドーパントの具体例としては、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム)、DPAVBi(4,4’-ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ビフェニル)、ペリレン、ビス[2-(4-n-ヘキシルフェニル)キノリン](アセチルアセトナート)イリジウム(III)、Ir(PPy)3(トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III))、及びFIrPic(ビス(3,5-ジフルオロ-2-(2-ピリジル)フェニル-(2-カルボキシピリジル)イリジウム(III)))等が挙げられるが、これらにのみ限定されない。
【0096】
また、発光材料は発光層6のみに含有されることに限定されるものではない。例えば、発光材料は、発光層6に隣接した層(電子阻止層5、又は電子輸送層7)が含有していてもよい。これによってさらに有機エレクトロルミネッセンス素子100の発光効率を高めることができる。
【0097】
発光層6は、一種又は二種以上の材料からなる単層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0098】
[電子輸送層7]
発光層6と後述する電子注入層8との間には、電子輸送層7が設けられている。
電子輸送層7は、陰極9より注入された電子を発光層に伝達する機能を有する。電子輸送層7を陰極9と発光層6との間に介在させることによって、電子がより低い電界で発光層6に注入される。
【0099】
電子輸送層の材料の具体例としては、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム誘導体、イミダゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ホスホール誘導体、シロール誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体等などが挙げられる。これらの中でも、有機エレクトロルミネッセンス素子の性能がよい点で、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体が好ましい。
【0100】
また、電子輸送層7は、上記で示した材料に加えてさらに従来公知の電子輸送材料から選ばれる1種以上を含んでいてもよい。
従来公知の電子輸送性材料としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、遷移金属化合物、亜鉛族元素化合物、土類金属化合物等が挙げられる。アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、遷移金属化合物、亜鉛族元素化合物、土類金属化合物等としては、例えば、8-ヒドロキシキノリナートリチウム(Liq)、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)-1-ナフトラートアルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)-2-ナフトラートガリウム等のキレート型アリールオキシド等が挙げられる。また、Yb、Li,Caなどの無機化合物であってもよい。
【0101】
電子輸送層7は、一種又は二種以上の材料からなる単層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0102】
[電子注入層8]
電子輸送層7と後述する陰極9との間には、電子注入層8が設けられている。
電子注入層8は、陰極より注入された電子を発光層6に伝達する機能を有する。電子注入層を陰極9と発光層6との間に介在させることによって、電子がより低い電界で発光層6に注入される。
【0103】
電子注入層の材料としては、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等の有機化合物が挙げられる。
また、電子注入層の材料としては、SiO2、AlO、SiN、SiON、AlON、GeO、LiO、LiON、TiO、TiON、TaO、TaON、TaN、LiF、C、Ybなどの各種酸化物、フッ化物、窒化物、酸化窒化物等の無機化合物も挙げられる。
【0104】
[陰極9]
電子注入層8上には陰極9が設けられている。
陽極2を通過した発光のみが取り出される構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、陰極9は任意の導電性材料から形成することができる。
陰極の材料としては、例えば、仕事関数の小さい金属(以下、電子注入性金属とも称する)、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。ここで、仕事関数の小さい金属とは、例えば、4eV以下の金属である。
【0105】
陰極の材料の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好ましい。
【0106】
[各層の形成方法]
以上説明した、電極(陽極、陰極)を除く各層は、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett method)法などの公知の方法によって薄膜化することにより、形成することができる。各層の材料は、それ単独で用いてもよく、必要に応じて結着樹脂などの材料、溶剤と共に用いてもよい。
【0107】
このようにして形成された各層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm~5μmの範囲である。
【0108】
陽極2及び陰極9は、電極材料を蒸着やスパッタリングなどの方法によって薄膜化することにより、形成することができる。蒸着やスパッタリングの際に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよく、蒸着やスパッタリングなどによって薄膜を形成した後、フォトリソグラフィー等で所望の形状のパターンを形成してもよい。
【0109】
陽極2及び陰極9の膜厚は、1μm以下であることが好ましく、10nm以上200nm以下であることがより好ましい。
【0110】
本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像をスクリーン等に投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
【0111】
動画再生用の表示装置として本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子を使用する場合、駆動方式としては、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式であってもよく、アクティブマトリクス方式であってもよい。また、異なる発光色を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
【0112】
[架橋トリフェニルアミン化合物の製造法]
上記式(1)または式(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物の製造方法について説明する。
上記式(1)または式(2)で表される架橋トリフェニルアミン化合物は、例えば下記の経路により合成することができるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
【0114】
上記の反応は、式(5)または(8)で表されるハロゲン化合物と、式(6)または(7)で表される有機金属化合物をパラジウム触媒および塩基存在下に反応させる方法であり、一般的なパラジウム触媒を用いるクロスカップリング反応の反応条件を適用することができる。
式中、A1、A2、A3、B、およびLの定義は、それぞれ、式(1)および式(2)におけるA1、A2、A3、B、およびLの定義と同じである;
Y1およびY2はハロゲン原子を表す;
Y1およびY2で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示することができ、クロスカップリング反応の収率がよい点で、塩素原子または臭素原子が好ましい。
Z1およびZ2は、金属原子を有する置換基であり、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、マグネシウムハロゲン基、有機亜鉛基、ケイ素基またはリチウム基などを表す。
前述のクロスカップリング反応に用いるパラジウム触媒としては、例えば、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等のパラジウム塩が挙げられる。さらに、π-アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム等の錯化合物;およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム等の第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体;が挙げられる。これらはパラジウム塩または錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。
第三級ホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリシクロへキシルホスフィン、tert-ブチルジフェニルホスフィン、9,9-ジメチル-4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2-(ジフェニルホスフィノ)-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、2-(ジシクロへキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2-フリル)ホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリス(2,5-キシリル)ホスフィン、(±)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル、2-ジシクロへキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等が挙げられる。
前述のクロスカップリング反応は、反応の終了後に再結晶、カラムクロマトグラフィー、昇華精製、分取HPLCなどの一般的な精製処理を必要に応じて適宜組み合わせることによって、目的物を得ることができる。
また、前記式(3)で表される架橋トリフェニルアミン化合物は、例えば下記の経路により合成することができるが、これらに限定されるものではない。
【0115】
【0116】
式中、R1~R13およびXの定義は、それぞれ、式(3)におけるR1~R13およびXの定義と同じである;Rは、原料が入手しやすく反応性が高い点で、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0117】
工程(1) 式(9)の化合物に、縮合剤を用いて反応を行い式(10のエステル化合物を得る。
工程(2) 工程1で得られたエステルと、式(11で表される2級アミンとをパラジウム触媒や銅触媒を用いてBuchWald-Hartwigアミノ化を行い、式(12)で表される3級アミン化合物を得る。
工程(3) 工程2で得られた式式(12)の化合物と有機マグネシウム試薬を反応させ、式式(13)で表されるアルコール化合物を得る。
工程(4) 工程3で得られた式(13)の化合物を、酸存在下の条件などで架橋化反応を行い、式(3)の架橋トリフェニルアミン化合物を得る。
【実施例0118】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定して解釈されるものではない。
【0119】
[1H-NMR測定]
1H-NMRスペクトルの測定には、Bruker ASCEND 400(400MHz;BRUKER製)を用いた。1H-NMRスペクトルは、重クロロホルム(CDCl3)を測定溶媒とし、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて測定した。
【0120】
[FDMS(Field Desorption Mass Spectroscopy)測定]
FDMS測定は、日立製作所製 M-80Bを用いて行った。
【0121】
(合成例1)(2-ヨードイソフタル酸ジメチルの合成)
【0122】
【0123】
窒素気流化、200mLの三口フラスコに、2-ヨードイソフタル酸 5.26g(18.0mmol)およびSOCl2(40mL)を添加し24時間還流撹拌した。減圧濃縮により過剰のSOCl2を除去し、2-ヨードベンゼン-1,3-ジカルボニルジクロリドの白色個体を得た。メタノール(200mL)に希釈し15時間還流撹拌した。減圧濃縮によりメタノールの除去を行うことで2-ヨードイソフタル酸ジメチル5.72g(17.9mmol)の薄茶色オイルを得た(収率100%)。
化合物の同定は、1H-NMR測定により行った。
【0124】
1H-NMR(CDCl3);3.96(6H,s),7.45(1H,t,J=7.7Hz),7.63(2H,d,J=7.7Hz)
【0125】
(合成例2)(2-(10H-フェノチアジン-10-イル)イソフタル酸ジメチルの合成)
【0126】
【0127】
窒素気流下、100mLの三口フラスコに、2-ヨードイソフタル酸ジメチル 3.4g(93mmol)、フェノチアジン 1.6g(141mmol)、銅 0.23g(3.6mmol)、ヨウ化銅 0.17g(0.89mmol)およびジブチルエーテル 60mLを添加し150℃で48時間撹拌した。室温まで放冷後、トルエンを40mL添加し不溶固体をセライトを用いたろ過により除去した。ろ液を減圧濃縮により留去し、得られた固体をカラムクロマトグラフィー(SiO2,酢酸エチル:トルエン)により単離精製をすることで2-(10H-フェノチアジン-10-イル)イソフタル酸ジメチル 1.7g(4.4mmol)の薄黄色固体を得た(収率:55%)。
化合物の同定は、1H-NMR測定により行った。
【0128】
1H-NMR(CDCl3);8.22(2H,d,J=7.8Hz),7.67(1H,t,J=7.8Hz),6.91(2H,dd,J=1.8&7.1Hz),6.76(2H,td,J=1.8&7.1Hz),6.72(2H,td,J=1.8&7.1Hz),5.85(2H,dd,J=1.8&7.1Hz),3.74(6H,s)
【0129】
(合成例3)(2,2’-(2-(10H-フェノチアジン-10-イル)-1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2-オール)の合成)
【0130】
【0131】
窒素気流下、100mLの三口フラスコに、2-(10H―フェノチアジン-10-イル)イソフタル酸ジメチル 3.0g(7.7mmol)をトルエン 200mLに溶かした。メチルマグネシウムブロミドのTHF溶液(3molL-1,40mL,120mL)を滴下漏斗より添加し、15時間還流撹拌をした。室温まで放冷後、水を加えて有機層を分液し、水層をトルエンで抽出し、得られた全有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水させた。減圧濃縮により溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(SiO2,酢酸エチル:トルエン)により単離精製をすることで2,2’-(2-(10H-フェノチアジン-10-イル)-1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2-オール) 2.5g(6.3mmol)の黄色固体を得た(収率:83%)。 化合物の同定は、1H-NMR測定により行った。
【0132】
1H-NMR(DMSO-d6,二つの軸不斉体);8.33,8.01,7.84(2H,3d,J=7.7Hz),7.70,7.47(1H,2t,J=7.7Hz),6.85-6.64(6H,m),5.76,5.73(2H,2d,J=8.4Hz),5.25,4.70(2H,2s),2.41,1.40(12H,2s)
【0133】
(合成例4)(8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジンの合成)
【0134】
【0135】
窒素気流下、100mLの三口フラスコに、2,2’-(2-(10H-フェノチアジン-10-イル)-1,3-フェニレン)ビス(プロパン-2-オール) 1.7g(4.2mmol)をH3PO4 20mL(85w%)に懸濁させ、4時間撹拌をした。1規定の水酸化ナトリウム水溶液 300mLを添加し有機層を分離し、水層はトルエンで抽出した。得られた全有機層を硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮を行った。カラムクロマトグラフィー(Al2O3,ヘキサン:トルエン)により単離精製をすることで8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン 1.0g(2.9mmol)の黄色固体を得た(収率:62%)。 化合物の同定は、1H-NMR測定により行った。
【0136】
1H-NMR(CDCl3);8.49(1H,dd,J=1.8&7.6Hz),8.23(1H,dd,J=1.8&7.6Hz),7.85(1H,dd,J=1.8&7.6Hz),7.42(1H,t,J=7.6Hz),7.29(1H,dd,J=1.8&7.6Hz),7.25(1H,dd,J=1.8&7.8Hz),7.18(1H,t,J=7.6Hz),7.07(1H,t,J=7.6Hz),6.88(1H,dd,J=1.8,7.6Hz),1.67(12H,s)
【0137】
(合成例5)(10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジンの合成)
【0138】
【0139】
窒素気流下、200mL三口クラスコでNBS 0.68mg(3.8mmol)をクロロホルム 60mLに溶かした溶液を調製し、別の100mLの三口フラスコに、8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン 1.0g(2.8mmol)をクロロホルム 60mLに溶かした液に添加し、50℃で2時間撹拌した。室温まで放冷後、水を加えて有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 60mLで3回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水後、減圧濃縮により溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(Al2O3,トルエン)により単離精製をすることで10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン 1.2g(2.4mmol)の黄色固体を得た(収率:89%)。 化合物の同定は、1H-NMR測定により行った。
【0140】
1H-NMR(CDCl3);7.39(2H,s),7.13(2H,dd,J=1.9&7.8Hz),6.91(2H,t,J=7.8Hz),6.78(2H,dd,J=1.9&7.8Hz),1.55(12H,s)
【0141】
(合成例6)(10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキサジンの合成)
【0142】
【0143】
窒素気流下、200mL三口クラスコでNBS 0.68mg(3.8mmol)をクロロホルム 60mLに溶かした溶液を調製し、別の100mLの三口フラスコに、合成例1-4と同様の合成手順により得られた8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキサジン 1.0g(3.0mmol)をクロロホルム 60mLに溶かした液に添加し、50℃で2時間撹拌した。室温まで放冷後、水を加えて有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 60mLで3回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水後、減圧濃縮により溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(Al2O3,トルエン)により単離精製をすることで10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキサジン 1.0g(2.5mmol)の黄色固体を得た(収率:85%)。 化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0144】
FDMS:417
【0145】
(実施例1)10-([1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-5’-イル)-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン F105の合成)
【0146】
【0147】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン 1.1g(2.6mmol)、[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-5’-イルボロン酸 0.72g(2.6mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(26μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、12時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで化合物(F105)の白色固体 1.1g(1.9mmol)を単離した(収率71%)。F105は減圧下、240℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0148】
FDMS:567
【0149】
(実施例2)8,8,12,12-テトラメチル-10-(3-(ナフタレン-2-イル)フェニル)-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン F112の合成)
【0150】
【0151】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン 1.0g(2.4mmol)、(3-(ナフタレン-2-イル)フェニル)ボロン酸 0.71g(2.4mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(26μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、10時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 0.76g(1.4mmol)を単離した(収率60%)。F112は、減圧下、240℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0152】
FDMS:591
【0153】
(実施例3)10-(4-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)フェニル)-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン F128の合成)
【0154】
【0155】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン 1.0g(2.4mmol)、(4-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)フェニル)ボロン酸 0.75g(2.4mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、10時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.2g(1.9mmol)を単離した(収率80%)。F128は減圧下、250℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0156】
FDMS:607
【0157】
(実施例4)10-(9,9’-スピロビ[フルオレン]-2-イル)-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン F136の合成)
【0158】
【0159】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン 1.0g(2.4mmol)、9,9’-スピロビ[フルオレン]-2-イルボロン酸 0.86g(2.4mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、及び1,4―ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、10時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.1g(1.6mmol)を単離した(収率68%)。F136は減圧下、230℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0160】
FDMS:653
【0161】
(実施例5)10-(4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン F154の合成)
【0162】
【0163】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン 1.0g(2.4mmol)、(4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)ボロン酸 0.69g(2.4mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、10時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.1g(1.8mmol)を単離した(収率77%)。F154は減圧下、250℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0164】
FDMS:580
【0165】
(実施例6)10-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン F157の合成)
【0166】
【0167】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン 1.5g(3.6mmol)、ジベンゾ[b,d]フラン-4-イルボロン酸 0.76g(3.6mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、10時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.0g(2.0mmol)を単離した(収率55%)。F157は減圧下、210℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0168】
FDMS:502
【0169】
(実施例7)N,N-ジフェニル-4-(8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン-10-イル)アニリン F171の合成)
【0170】
【0171】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン 1.1g(2.6mmol)、(4-(ジフェニルアミノ)フェニル)ボロン酸 0.75g(2.6mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、13時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.2g(2.1mmol)を単離した(収率80%)。F171は減圧下、260℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0172】
FDMS:658
【0173】
(実施例8)(8,8,12,12-テトラメチル-N-フェニル-N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン-10-アミン F178の合成)
【0174】
【0175】
窒素気流下、100mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン 1.4g(3.3mmol)、N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン 1.1g(3.3mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 0.39g(4.0mmol)、キシレン 20mL、酢酸パラジウム 7.5mg(33μmol)及びトリ(tert-ブチル)ホスフィンの25重量%キシレン溶液 81mg(0.10mmol)を添加し140℃で22時間撹拌した。室温まで放冷後、純水を22mL添加し攪拌した。次いで、水層と有機層を分液し、さらに有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.4g(2.1mmol)を単離した(収率62%)。F178は減圧下、250℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0176】
FDMS:67
【0177】
(実施例9)(10-(ビフェニル-2-イル)-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン G097の合成)
【0178】
【0179】
窒素気流下、100mL三口クラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン 0.40g(0.92mmol)、2-ビフェニルボロン酸 0.27g(1.4mmol)、リン酸三カリウム 0.39g(1.8mmol)、SPhos-Pd-G2 33mg(46μmol)、1,4-ジオキサン 40mLおよび水 10mLを加え18時間還流撹拌した。室温まで放冷後、有機層を分離し、水層はトルエンで抽出した。得られた全有機層を硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮を行った。カラムクロマトグラフィー(SiO2,ジクロロメタン:ヘキサン)により精製した後、得られた固体をジクロロメタン/エタノール溶媒系から再結晶させることでG097 355mg(0.70mmol)を単離した(収率76%)。G097は、減圧下、210℃で昇華を行った。 化合物の同定は、1H-NMR測定により行った。
【0180】
1H-NMR(CDCl3);7.53-7.51(1H,m),7.47-7.41(4H,m),7.23(1H,d,J=7.2Hz),7.18-7.16(3H,m),7.11-7.08(4H,m)6.88(2H,t,J=7.6Hz),6.75(2H,dd,J=1.8&7.6Hz)1.36(12H,s)
【0181】
(実施例10)(10-(フルオランテン-3-イル)-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン G140の合成)
【0182】
【0183】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン 1.1g(2.5mmol)、フルオランテン-3-イルボロン酸 0.62g(2.5mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、15時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.1g(1.9mmol)を単離した(収率75%)。G140は減圧下、230℃で昇華した。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0184】
FDMS:555
【0185】
(実施例11)(8,8,12,12-テトラメチル-10-(トリフェニレン-1-イル)-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン G142の合成)
【0186】
【0187】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン 1.1g(2.5mmol)、トリフェニレン-1-イルボロン酸 0.68g(2.5mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、20時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.0g(1.7mmol)を単離した(収率69%)。G142は減圧下、230℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0188】
FDMS:581
【0189】
(実施例12)(8,8,12,12-テトラメチル-10-(9-フェニル-9H-カルバゾール-4-イル)-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン G149の合成)
【0190】
【0191】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン 1.1g(2.5mmol)、(9-フェニル-9H-カルバゾール-4-イル)ボロン酸 0.73g(2.5mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 2.0mL(4molar, 8.0mmol)を滴下し、10時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.2g(2.0mmol)を単離した(収率80%)。G149は減圧下、230℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0192】
FDMS:596
【0193】
(実施例13)(N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-8,8,12,12-テトラメチル-N-(フェナントレン-9-イル)-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン-10-アミン G176の合成)
【0194】
【0195】
窒素気流下、100mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン 1.4g(3.2mmol)、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)フェナントレン-9-アミン 1.1g(3.2mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 0.37g(3.9mmol)、キシレン 20mL、酢酸パラジウム 7.2mg(32μmol)及びトリ(tert-ブチル)ホスフィンの25重量%キシレン溶液 78mg(97μmol)を添加し140℃で22時間撹拌した。室温まで放冷後、純水を22mL添加し攪拌した。次いで、水層と有機層を分液し、さらに有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 1.7g(2.4mmol)を単離した(収率74%)。G176は減圧下、260℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0196】
FDMS:698
【0197】
(実施例14)(1,3-ビス(8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン-10-イル)ベンゼン H12の合成)
【0198】
【0199】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノキザジン 1.1g(2.6mmol)、1,3-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン 0.43g(1.3mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 3.0mL(4molar, 12.0mmol)を滴下し、10時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 0.61g(0.82mmol)を単離した(収率62%)。H12は減圧下、300℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0200】
FDMS:752
【0201】
(実施例15)(1,4-ビス(8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン-10-イル)ベンゼン H14の合成)
【0202】
【0203】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、10-ブロモ-8,8,12,12-テトラメチル-8,12-ジヒドロベンゾ[9,1]キノリジノ[3,4,5,6,7-klmn]フェノチアジン 1.1g(2.5mmol)、1,4-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン 0.42g(1.3mmol)、SPhos-Pd-G2 17mg(24μmol)、及び1,4-ジオキサン 10mLを添加し60℃で撹拌した。4Mリン酸三カリウム水溶液 3.0mL(4molar, 12.0mmol)を滴下し、10時間還流撹拌した。室温まで放冷後、分液漏斗に移し、トルエンで有機層を抽出した。次いで、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、少量のシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーを行い、高極性成分を除去した。次いで、減圧下にて溶媒を留去し、得られた固体をトルエンとブタノールの混合溶媒で再結晶を行うことで白色固体 0.83g(1.1mmol)を単離した(収率84%)。H14は減圧下、310℃で昇華を行った。
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0204】
FDMS:784
【0205】
(実施例16)(化合物(F105)の薄膜安定性の評価)
真空蒸着槽内にガラス基板を導入し、1.0×10-4Paまで減圧した。
実施例1で得られた化合物(F105)を0.2nm/秒の速度で(140)nm成膜し薄膜安定性を評価するための膜を形成した。
ガラス基板上に形成した化合物(F105)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0206】
(実施例17)
実施例16と同様の方法で(F112)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(F112)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0207】
(実施例18)
実施例16と同様の方法で(F128)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(F128)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0208】
(実施例19)
実施例16と同様の方法で(F136)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(F136)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0209】
(実施例20)
実施例16と同様の方法で(F154)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(F154)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0210】
(実施例21)
実施例16と同様の方法で(F157)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(F157)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0211】
(実施例22)
実施例16と同様の方法で(F171)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(F171)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0212】
(実施例23)
実施例16と同様の方法で(F178)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(F178)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0213】
(実施例24)
実施例16と同様の方法で(G097)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(G097)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0214】
(実施例25)
実施例16と同様の方法で(G140)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(G140)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0215】
(実施例26)
実施例16と同様の方法で(G142)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(G142)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0216】
(実施例27)
実施例16と同様の方法で(G149)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(G149)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0217】
(実施例28)
実施例16と同様の方法で(G176)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(G176)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0218】
(実施例29)
実施例16と同様の方法で(H12)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(H12)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0219】
(実施例30)
実施例16と同様の方法で(H14)の薄膜を成膜し膜安定性の評価を行った。
ガラス基板上に形成した化合物(H14)の薄膜は、室温下で1ヶ月放置しても、白濁(結晶化)しなかった。
【0220】
(比較例1)(化合物(a)の薄膜安定性の評価)
非特許文献1に従い公知である化合物(a)(下記式(a)で示される化合物)を合成した。実施例2と同様の方法で化合物(a)の薄膜をガラス基板上に形成した。
ガラス基板上に形成した化合物(a)の薄膜は、室温下で一日後には白濁(結晶化)した。
【0221】
【0222】
(実施例31)(化合物(F105)の素子評価)
(基板、陽極の用意)
陽極をその表面に備えた基板として、2mm幅の酸化インジウム-スズ(ITO)膜(膜厚110nm)がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用意した。ついで、この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。
【0223】
(真空蒸着の準備)
洗浄後の表面処理が施された基板上に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、各層を積層形成した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10-4Paまで減圧した。そして、以下の順で、各層の成膜条件に従ってそれぞれ作製した。なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜した。
【0224】
(正孔注入層の作製)
実施例1で得られたF105と1,2,3-トリス[(4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)メチレン]シクロプロパンとを99:1(質量比)の割合で10nm成膜し、正孔注入を作製した。成膜速度は0.1nm/秒の速度であった。
【0225】
(正孔輸送層の作製)
実施例1で得られたF105を0.2nm/秒の速度で85nm成膜し、正孔輸送層を作製した。
【0226】
(電子阻止層の作製)
昇華精製したN,N-ジ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-3’-(9H-カルバゾール-9-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-アミンを0.15nm/秒の速度で5nm成膜し、電子阻止層を作製した。
【0227】
(陰極の作製)
最後に、基板上のITOストライプ(陽極)と直交するようにメタルマスクを配し、陰極を成膜した。陰極は、銀を60nmで成膜した。銀の成膜速度は0.2nm/秒であった。
【0228】
以上によりホールオンリー素子を作製した。なお、それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(DEKTAK、Bruker社製)で測定した。
【0229】
さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと成膜基板(素子)とを、UV硬化型エポキシ樹脂(モレスコ社製)を用いて行った。
【0230】
このように作製した素子に0.1mA/cm2の電流を印加し、駆動電圧を測定した。結果を表1に示す。
【0231】
(実施例32~45)
化合物(F105)の代わりに、化合物(F112)~(H14)を用いた以外は、実施例31と同じ方法でホールオンリー素子を作製した。実施例31と同じ方法で測定した電圧の値を表1に示した。
【0232】
(比較例2)(化合物(a)の素子評価)
化合物(F105)の代わりに、化合物(a)を用いた以外は、実施例31と同じ方法でホールオンリー素子を作製した。実施例31と同じ方法で測定した電圧の値を表1に示した。
【0233】
(比較例3)(化合物(b)の素子評価)
化合物(F105)の代わりに、化合物(b)(下記式(b)で示される化合物)を用いた以外は、実施例31と同じ方法でホールオンリー素子を作製した。実施例31と同じ方法で測定した電圧の値を表1に示した。
【0234】
【0235】
【0236】
[有機エレクトロルミネッセンス素子の実施例]
有機エレクトロルミネッセンス素子の作製と使用した化合物の構造式およびその略称を以下に示す。
【0237】
【0238】
(実施例46)(化合物(G097)の素子評価)
2mm幅の酸化インジウム-スズ(ITO)膜(膜厚110nm)がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用意した。ついで、この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10-4Paまで減圧した。そして、以下の順で、各層の成膜条件に従ってそれぞれ作製した。
【0239】
(正孔注入層の作製)
化合物(G097)と1,2,3-トリス[(4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)メチレン]シクロプロパンとを99:1(質量比)の割合で10nm成膜し、正孔注入層を作製した。
【0240】
(正孔輸送層の作製)
化合物(G097)を0.2nm/秒の速度で100nm成膜し、正孔輸送層を作製した。
【0241】
(電子阻止層の作製)
EBLを0.15nm/秒の速度で5nm成膜し、電子阻止層を作製した。
【0242】
(発光層の作製)
HOSTとDOPANTとを95:5(質量比)の割合で20nm成膜し、発光層を作製した。成膜速度は0.18nm/秒であった。
【0243】
(電子輸送層の作製)
HBLを0.05nm/秒の速度で6nm成膜し、第一電子輸送層を作製した。
【0244】
(電子注入層の作製)
ETLおよびLiqを50:50(質量比)の割合で25nm成膜し、第二電子輸送層を作製した。成膜速度は0.15nm/秒であった。
【0245】
(陰極の作製)
最後に、基板上のITOストライプと直交するようにメタルマスクを配し、陰極を成膜した。陰極は、イッテルビウムと銀/マグネシウム(質量比9/1)と銀とを、この順番で、それぞれ2nm、12nmと90nmとで成膜し、3層構造とした。イッテルビウムの成膜速度は0.02nm/秒、銀/マグネシウムの成膜速度は0.5nm/秒、銀の成膜速度は成膜速度0.2nm/秒であった。
【0246】
以上により、発光面積が4mm2の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0247】
さらに、この素子を酸素および水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと成膜基板(素子)とを、UV硬化型エポキシ樹脂(モレスコ社製)を用いて行った。
【0248】
このように作製した素子に10mA/cm2の電流を印加し、電圧及び発光効率を測定した。結果を表2に示す。
【0249】
(比較例4)(化合物(a)の素子評価)
化合物(G097)の代わりに化合物(a)を用いた以外は、実施例46と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。結果を表2に示す。
【0250】
(比較例5)(化合物(b)の素子評価)
化合物(G097)の代わりに化合物(b)を用いた以外は、実施例46と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。結果を表2に示す。
【0251】
【0252】
本開示の一態様にかかる架橋トリフェニルアミン化合物を用いれば、薄膜の安定性、エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の低下防止、駆動電圧の上昇防止、長時間駆動の耐久性改善等を達成し得る有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。