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特開2023-129358光集積回路及びそれを含む光電子システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129358
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】光集積回路及びそれを含む光電子システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20230907BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20230907BHJP
   G02B 6/126 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/42
G02B6/126
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023031530
(22)【出願日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】22160056.2
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520052259
【氏名又は名称】エフェクト フォトニクス ベーハー
【氏名又は名称原語表記】EFFECT Photonics B.V.
【住所又は居所原語表記】Kastanjelaan 400 5616 LZ Eindhoven Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ニアル パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コーエン ティム
(72)【発明者】
【氏名】クライン エミル
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AA14
2H137AB12
2H137BA01
2H137BA35
2H137BA53
2H137BB02
2H137BB12
2H137BC50
2H147AA02
2H147AB05
2H147AB21
2H147AC01
2H147AC02
2H147AC04
2H147BA15
2H147BB02
2H147BD15
2H147BD16
2H147BE22
2H147CA22
2H147CA23
2H147CB02
2H147EA12A
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改善されたチップ収率を可能にするInPベースの偏波スプリッタ及びInPベースの偏波回転子を含む光集積回路PICを提供する。
【解決手段】少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置(2、3、4)、InPベースの偏波処理ユニット、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナ(9、11)、少なくとも2つの光受信器(5、7)、及び複数の半導体ベースの光導波路を含むPIC1に関する。複数の半導体ベースの光導波路は、第1のファイバ対チップ結合位置2を第1の光スプリッタコンバイナ9を介して第1の光受信器5と、第2のファイバ対チップ結合位置3を、InPベースの偏波処理ユニット及び少なくとも2つの光スプリッタ-コンバイナ(9、11)を介して少なくとも2つの光受信器(5、7)と、第3のファイバ対チップ結合位置4を第2の光スプリッタコンバイナ11を介して第2の光受信器7と光学的に接続するように構成及び配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置(2、3、4)と、
InPベースの偏波処理ユニットと、
少なくとも2つの光スプリッタコンバイナ(9、11)と、
少なくとも2つの光受信器(5、7)と、
複数の半導体ベースの光導波路(19a~19k)と
を含み、
前記複数の半導体ベースの光導波路は、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第1のファイバ対チップ結合位置(2)を、前記少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の第1の光スプリッタコンバイナ(9)を介して前記少なくとも2つの光受信器の内の第1の光受信器(5)と、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第2のファイバ対チップ結合位置(3)を、前記InPベースの偏波処理ユニット及び前記少なくとも2つの光スプリッタコンバイナ(9、11)を介して前記少なくとも2つの光受信器(5、7)と、並びに
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第3のファイバ対チップ結合位置(4)を、前記少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の第2の光スプリッタコンバイナ(11)を介して前記少なくとも2つの光受信器の内の第2の光受信器(7)と
光学的に接続するように構成及び配置される、
光集積回路PIC(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの光受信器の内の前記第1の光受信器(5)は第1の光入力ポート(6)を有し、
前記少なくとも2つの光受信器の内の前記第2の光受信器(7)は第2の光入力ポート(8)を有し、
前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)は、
少なくとも第1の光インターフェース(10a)及び第2の光インターフェース(10b)を備えた第1の端部(9a)と、
少なくとも第3の光インターフェース(10c)を備えた第2の端部(9b)と
を有し、
前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)は、
少なくとも第4の光インターフェース(12a)及び第5の光インターフェース(12b)を備えた第3の端部(11a)と、
少なくとも第6の光インターフェース(12c)を備えた第4の端部(11b)と
を有し、
前記InPベースの偏波処理ユニットは、第3の光入力ポート(14a)、第1の光出力ポート(14b)、及び第2の光出力ポート(14c)を有する、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス(13)を含み、
前記複数の半導体ベースの光導波路は、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の前記第1のファイバ対チップ結合位置(2)を前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)の前記第1の光インターフェース(10a)と光学的に接続するように配置された第1の半導体ベースの光導波路(19a)と、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の前記第2のファイバ対チップ結合位置(3)を前記結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス(13)の前記第3の光入力ポート(14a)と光学的に接続するように配置された第2の半導体ベースの光導波路(19b)と、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の前記第3のファイバ対チップ結合位置(4)を前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)の前記第4の光インターフェース(12a)と光学的に接続するように配置された第3の半導体ベースの光導波路(19c)と、
前記結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス(13)の前記第1の光出力ポート(14b)を前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)の前記第2の光インターフェース(10b)と光学的に接続するように配置された第4の半導体ベースの光導波路(19d)と、
前記結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス(13)の前記第2の光出力ポート(14c)を前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)の前記第5の光インターフェース(12b)と光学的に接続するように配置された第5の半導体ベースの光導波路(19e)と、
前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)の前記第3の光インターフェース(10c)を前記第1の光受信器(5)の前記第1の光入力ポート(6)と光学的に接続するように配置された第6の半導体ベースの光導波路(19f)と、
前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)の前記第6の光インターフェース(12c)を前記第2の光受信器(7)の前記第2の光入力ポート(8)と光学的に接続するように配置された第7の半導体ベースの光導波路(19g)と
を含む、
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの光受信器の内の前記第1の光受信器(5)は第1の光入力ポート(6)を有し、
前記少なくとも2つの光受信器の内の前記第2の光受信器(7)は第2の光入力ポート(8)を有し、
前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)は、
少なくとも第1の光インターフェース(10a)及び第2の光インターフェース(10b)を備えた第1の端部(9a)と、
少なくとも第3の光インターフェース(10c)を備えた第2の端部(9b)と
を有し、
前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)は、
少なくとも第4の光インターフェース(12a)及び第5の光インターフェース(12b)を備えた第3の端部(11a)と、
少なくとも第6の光インターフェース(12c)を備えた第4の端部(11b)と
を有し、
前記InPベースの偏波処理ユニットは、
第4の光入力ポート(16a)、第3の光出力ポート(16b)、及び第4の光出力ポート(16c)を有するInPベースの偏波スプリッタ(15)と、
第5の光入力ポート(18a)及び第5の光出力ポート(18b)を有するInPベースの偏波回転子(17)と
を含み、
前記複数の半導体ベースの光導波路は、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の前記第1のファイバ対チップ結合位置(2)を前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)の前記第1の光インターフェース(10a)と光学的に接続するように配置された第1の半導体ベースの光導波路(19a)と、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の前記第2のファイバ対チップ結合位置(3)を前記InPベースの偏波スプリッタ(15)の前記第4の光入力ポート(16a)と光学的に接続するように配置された第2の半導体ベースの光導波路(19b)と、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の前記第3のファイバ対チップ結合位置(4)を前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)の前記第4の光インターフェース(12a)と光学的に接続するように配置された第3の半導体ベースの光導波路(19c)と、
前記InPベースの偏波スプリッタ(15)の前記第3の光出力ポート(16b)を前記InPベースの偏波回転子(17)の前記第5の光入力ポート(18a)と光学的に接続するように配置された第4の半導体ベースの光導波路(19d)と、
前記InPベースの偏波スプリッタ(15)の前記第4の光出力ポート(16c)を前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)の前記第5の光インターフェース(12b)と光学的に接続するように配置された第5の半導体ベースの光導波路(19e)と、
前記InPベースの偏波回転子(17)の前記第5の光出力ポート(18b)を前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)の前記第2の光インターフェース(10b)と光学的に接続するように配置された第6の半導体ベースの光導波路(19f)と、
前記第1のスプリッタコンバイナ(9)の前記第3の光インターフェース(10c)を前記第1の光受信器(5)の前記第1の光入力ポート(6)と光学的に接続するように配置された第7の半導体ベースの光導波路(19g)と、
前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)の前記第6の光インターフェース(12c)を前記第2の光受信器(7)の前記第2の光入力ポート(8)と光学的に接続するように配置された第8の半導体ベースの光導波路(19h)と
を含む、
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの光受信器の内の前記第1の光受信器(5)は第1の光入力ポート(6)を有し、
前記少なくとも2つの光受信器の内の前記第2の光受信器(7)は第2の光入力ポート(8)を有し、
前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)は、
少なくとも第1の光インターフェース(10a)及び第2の光インターフェース(10b)を備えた第1の端部(9a)と、
少なくとも第3の光インターフェース(10c)を備えた第2の端部(9b)と
を有し、
前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)は、
少なくとも第4の光インターフェース(12a)及び第5の光インターフェース(12b)を備えた第3の端部(11a)と、
少なくとも第6の光インターフェース(12c)を備えた第4の端部(11b)と
を有し、
前記InPベースの偏波処理ユニットは、
第4の光入力ポート(16a)、第3の光出力ポート(16b)、及び第4の光出力ポート(16c)を有するInPベースの偏波スプリッタ(15)と、
第5の光入力ポート(18a)及び第5の光出力ポート(18b)を有するInPベースの偏波回転子(17)と
を含み、
前記複数の半導体ベースの光導波路は、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の前記第1のファイバ対チップ結合位置(2)を前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)の前記第1の光インターフェース(10a)と光学的に接続するように配置された第1の半導体ベースの光導波路(19a)と、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の前記第2のファイバ対チップ結合位置(3)を前記InPベースの偏波スプリッタ(15)の前記第4の光入力ポート(16a)と光学的に接続するように配置された第2の半導体ベースの光導波路(19b)と、
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の前記第3のファイバ対チップ結合位置(4)を前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)の前記第4の光インターフェース(12a)と光学的に接続するように配置された第3の半導体ベースの光導波路(19c)と、
前記InPベースの偏波スプリッタ(15)の前記第3の光出力ポート(16b)を前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)の前記第2の光インターフェース(10b)と光学的に接続するように配置された第4の半導体ベースの光導波路(19d)と、
前記InPベースの偏波スプリッタ(15)の前記第4の光出力ポート(16c)を前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)の前記第5の光インターフェース(12b)と光学的に接続するように配置された第5の半導体ベースの光導波路(19e)と、
前記第1の光スプリッタコンバイナ(9)の前記第3の光インターフェース(10c)を前記InPベースの偏波回転子(17)の前記第5の光入力ポート(18a)と光学的に接続するように配置された第6の半導体ベースの光導波路(19f)と、
前記InPベースの偏波回転子(17)の前記第5の光出力ポート(18b)を前記第1の光受信器(5)の前記第1の光入力ポート(6)と光学的に接続するように配置された第7の半導体ベースの光導波路(19g)と、
前記第2の光スプリッタコンバイナ(11)の前記第6の光インターフェース(12c)を前記第2の光受信器(7)の前記第2の光入力ポート(8)と光学的に接続するように配置された第8の半導体ベースの光導波路(19h)と
を含む、
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの光受信器(5、7)は、
コヒーレント光受信器であり、又は
振幅変調を使用して符号化された光信号から情報を復元するように構成される
請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項6】
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の少なくとも前記第1のファイバ対チップ結合位置(2)及び前記第3のファイバ対チップ結合位置(4)は、20μm~1000μmの範囲、好ましくは250μm~500μmの範囲の距離Dで離れて配置される、請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項7】
前記少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置(2、3、4)は、前記PIC(1)の同じファセット(20)に配置される、請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項8】
前記少なくとも2つの光スプリッタコンバイナ(9、11)の内の少なくとも1つは、熱的に調整可能な光スプリッタコンバイナ又は電気光学的に調整可能な光スプリッタコンバイナである、請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項9】
前記少なくとも2つの光スプリッタコンバイナ(9、11)の内の少なくとも1つは、マルチモード干渉ベース、MMIベースのカプラである、請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項10】
前記MMIベースのカプラは、熱的に調整可能なMMIベースのカプラ又は電気光学的に調整可能なMMIベースのカプラである、請求項9に記載のPIC(1)。
【請求項11】
前記MMIベースのカプラは、非対称MMIベースのカプラであるように構成及び配置される、請求項9に記載のPIC(1)。
【請求項12】
前記MMIベースのカプラは、非対称MMIベースのカプラであるように構成及び配置される、請求項10に記載のPIC(1)。
【請求項13】
前記第1のファイバ対チップ結合位置(2)にある前記第1の半導体ベースの光導波路(19a)、前記第2のファイバ対チップ結合位置(3)にある前記第2の半導体ベースの光導波路(19b)、及び前記第3のファイバ対チップ結合位置(4)にある前記第3の半導体ベースの光導波路(19c)の内の少なくとも1つは、テーパ部分(21)を備える、請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの光受信器(5、7)、前記少なくとも2つの光スプリッタコンバイナ(9、11)、及び前記複数の半導体ベースの光導波路(19a~19h)の内の少なくとも1つは、InPベースの半導体材料を含む、請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項15】
前記PIC(1)は、ハイブリッドPIC又はInPベースのモノリシックPICである、請求項1に記載のPIC(1)。
【請求項16】
請求項1に記載のPIC(1)を含む光電子システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、限定的ではないが、電気通信用途、光検出及び測距(LIDAR)又はセンサ用途に使用され得る光集積回路(PIC)に関する。本発明は更に、該PICを含む光電子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、限定的ではないが、光電気通信用途、LIDAR、又はセンサ用途の分野に適用され得るPICは、好ましくは可能な限り小さいフットプリントを有する単一のダイ上に集積された光学及び/又は電気機能の数が増加しているため、益々複雑になっている。
【0003】
益々複雑なPICの例は、コヒーレント受信に使用され得るPICである。コヒーレント伝送には、振幅及び位相を変調することによって2つの光キャリア上の情報を符号化することが含まれることが知られている。2つの偏波、すなわち横磁気(TM)及び横電気(TE)は、例えば、光ファイバ又は集積光導波路によって形成され得る同じ光経路に沿って光キャリアが伝播する際に、該光キャリアが相互に干渉するのを防ぐために一般的に使用される。符号化された情報を復元するには、受信した光信号のTMモードとTEモードとを分離する必要がある。光受信器は、コヒーレント受信器として構成されている場合、又は振幅変調を含む変調形式が使用されている場合、受信した光信号のTMモードとTEモードとを分離し得る。
【0004】
PIC、特に光電気通信用途の最も用途の広いテクノロジプラットフォームは、InPベースの半導体材料を含むウェーハを使用する。InPベースの技術は、例えば、光生成及び/又は光吸収光学デバイス等の能動コンポーネントと、例えば、光ガイド及び/又は光スイッチング光学デバイス等の受動コンポーネントとの両方を単一のダイ上の1つのPICにモノリシックに集積することを可能にする。
【0005】
殆どのInPベースのPICは、量子井戸の閉じ込められた性質に起因して、TEモードの処理に最適化されることが知られている。それ故、例えば、コヒーレント受信の場合、TMモードとTEモードとを分割し、続いてTMモードをTEモードに回転又は変換することが一般的な慣行である。TMモードとTEモードとを分割するために偏波スプリッタデバイスが一般に使用され、TMモードをTEモードに続いて回転又は変換するために偏波回転子デバイスが一般に使用される。
【0006】
非常に複雑なPIC、特にInPベースの偏波スプリッタとInPベースの偏波回転子との内の少なくとも1つを含むPICの既知の欠点は、前述のコンポーネントの製造の複雑さと感度とが高いこと、及びCMOSレベルのプロセス制御がInPベースのプラットフォームでまだ広く利用されていないという事実のため、適切なチップ歩留まりを達成することが非常に難しいことである。それ故、PICの改良された設計により改善されたチップ収率を可能にするInPベースの偏波スプリッタ及びInPベースの偏波回転子を含むPICを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、当技術分野で知られているInPベースの偏波スプリッタ及びInPベースの偏波回転子を含むPICに関連する上述の及び/又は他の欠点の少なくとも1つを先回りして回避し、又は少なくとも低減する、例えば、限定的ではないが、電気通信用途、LIDAR、又はセンサ用途に使用され得るInPベースの偏波スプリッタとInPベースの偏波回転子とを含むPICを提供することである。
【0008】
また、例えば、限定的ではないが、発明に従ったPICを含む電気通信用途、LIDAR、又はセンサ用途に使用され得る光電子システムを提供することも本発明の目的である。
【0009】
本発明の態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の機構は、請求項に明示的に記載されているだけでなく、必要に応じて独立請求項の機構と組み合わされ得る。更に、全ての機構は、技術的に同等の他の機構に置き換えることができる。
【0010】
上述の目的の少なくとも1つは、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置と、
InPベースの偏波処理ユニットと、
少なくとも2つの光スプリッタコンバイナと、
少なくとも2つの光受信器と、
複数の半導体ベースの光導波路と
を含み、
複数の半導体ベースの光導波路は、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第1のファイバ対チップ結合位置を、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の第1の光スプリッタコンバイナを介して少なくとも2つの光受信器の内の第1の光受信器と、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第2のファイバ対チップ結合位置を、InPベースの偏波処理ユニット及び少なくとも2つの光スプリッタコンバイナを介して少なくとも2つの光受信器と、並びに
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第3のファイバ対チップ結合位置を、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の第2の光スプリッタコンバイナを介して少なくとも2つの光受信器の内の第2の光受信器と
光学的に接続するように構成及び配置される
PICによって達成される。
【0011】
発明に従ったPICの上で定義した実施形態は、オンチップInPベースの偏波処理ユニットを回避し、代わりにオフチップ偏波処理コンポーネント及び/又はシステムを使用することを可能にする改善された設計を有する。オフチップ偏波処理コンポーネント及び/又はシステムは、少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第1のファイバ対チップ結合位置及び/又は第3のファイバ対チップ結合位置でPICと光学的に接続され得る。発明に従ったPICとオフチップ偏波処理コンポーネント及び/又はシステムとの互換性は、PICのオンチップInPベースの偏波処理ユニットが規格外の偏波処理性能、すなわち、所望の規格にない偏波処理性能を有する場合に利点があり得る。その結果、オンチップInPベースの偏波処理ユニットの規格外の性能に起因してPICを廃棄しなければならない代わりに、本発明に従ったPICは、オフチップ偏波処理コンポーネント及び/又はシステムを使用するモジュール又は光電子システムに依然として適用され得る。それ故、発明に従ったPICの改善された設計の結果として、改善されたチップ歩留まりを達成することができる。
【0012】
発明に従ったPICの上で定義された実施形態の様々な例示的な使用事例を想定することができる。第1の例示的な使用事例に従えば、発明に従ったPICのオンチップ偏波処理能力は、半導体ベースの光導波路を介してオンチップInPベースの偏波処理ユニットと光学的に接続された少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第2のファイバ対チップ結合位置を介してTMモードとTEモードとの両方を含む光放射をPICに発射することによって完全に使用され得る。まず、オンチップInPベースの偏波処理ユニットは、受信した光放射のTMモードとTEモードとを分離する。次に、オンチップInPベースの偏波処理ユニットは、変換されたTEモードを得るためにTMモードを回転させる。続いて、TEモード及び変換されたTEモードは、複数の半導体ベースの光導波路の内の半導体ベースの光導波路を介して、少なくとも2つの光受信器の異なる光受信器にガイドされ得る。上に説明した第1の例示的な使用事例は、発明に従ったPICによって提供される、最低のコスト、最低の性能であるが、完全にオンチップの偏波処理ソリューションを表す。
【0013】
発明に従ったPICの第3の例示的な使用事例に従えば、オンチップ偏波スプリッタの性能が規格外である場合、オンチップInPベースの偏波処理ユニットの偏波スプリッタは回避され得る。オンチップ偏波スプリッタは、少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第1のファイバ対チップ結合位置を介して、オフチップ偏波スプリッタによってTEモードから分離されたTMモードを含む光放射をPICに発射することによって、及び少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第3のファイバ対チップ結合位置を介して、TEモードを含む光放射をPICに発射することによって回避され得る。TMモードは、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の第1の光スプリッタコンバイナと、複数の半導体ベースの光導波路の内の半導体ベースの光導波路とを介して、オンチップInPベースの偏波処理ユニットの偏波回転子にガイドされ得る。オンチップInPベースの偏波処理ユニットの偏波回転子は、変換されたTEモードを得るためにTMモードを回転させ得る。続いて、変換されたTEモードは、複数の半導体ベースの光導波路の内の半導体ベースの光導波路を介して、少なくとも2つの光受信器の内の第1の光受信器にガイドされ得る。第3のファイバ対チップ結合位置を介してPICに発射されるTEモードは、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の第2の光スプリッタコンバイナと、複数の半導体ベースの光導波路の内の半導体ベースの光導波路とを介して、少なくとも2つの光受信器の内の第2の光受信器にガイドされ得る。発明に従ったPICによって提供される、上に説明した完全にオンチップの偏波処理ソリューションと比較して、第3の例示的な使用事例は、発明に従ったPICによって提供されるより高コスト、より高性能なハイブリッド偏波処理ソリューションを表す。
【0014】
発明に従ったPICの第2の例示的な使用事例に従えば、オンチップ偏波スプリッタ及びオンチップ偏波回転子の両方の性能が規格外である場合、オンチップInPベースの偏波処理ユニットは完全に回避され得る。その場合、偏波分割と偏波回転とは、オフチップに配置されたコンポーネント及び/又はシステムによって完全に実施される。オフチップで分離及び変換されたTEモードは、少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第1のファイバ対チップ結合位置を介してPICに発射され得、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の第1の光スプリッタコンバイナと、複数の半導体ベースの光導波路の内の半導体ベースの光導波路とを介して、少なくとも2つの光受信器の内の第1の光受信器にガイドされ得る。オフチップで分離されたTEモードは、少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第3のファイバ対チップ結合位置を介してPICに発射され得、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の第2の光スプリッタコンバイナと、複数の半導体ベースの光導波路の内の半導体ベースの光導波路とを介して、少なくとも2つの光受信器の内の第2の光受信器にガイドされ得る。発明に従ったPICによって提供される上に説明した完全にオンチップの及びハイブリッドの偏波処理ソリューションと比較して、第2の例示的な使用事例は、発明に従ったPICによって提供される最高のコスト、最高の性能の完全にオフチップの偏波処理ソリューションを表す。
【0015】
当業者は、任意の適切な数の3つ以上のファイバ対チップ結合位置、任意の適切な数の1つ以上のInPベースの偏波処理ユニット、任意の適切な数の2つ以上の光スプリッタコンバイナ、任意の適切な数の2つ以上の光受信器、及び任意の適切な数の半導体ベースの光導波路をPICに対する具体的な要件に応じて想定し得ることを理解するであろう。
【0016】
発明に従ったPICの一実施形態では、
少なくとも2つの光受信器の内の第1の光受信器は第1の光入力ポートを有し、
少なくとも2つの光受信器の内の第2の光受信器は第2の光入力ポートを有し、
第1の光スプリッタコンバイナは、
少なくとも第1の光インターフェース及び第2の光インターフェースを備えた第1の端部と、
少なくとも第3の光インターフェースを備えた第2の端部と
を有し、
第2の光スプリッタコンバイナは、
少なくとも第4の光インターフェース及び第5の光インターフェースを備えた第3の端部と、
少なくとも第6の光インターフェースを備えた第4の端部と
を有し、
InPベースの偏波処理ユニットは、第3の光入力ポート、第1の光出力ポート、及び第2の光出力ポートを有する、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイスを含み、
複数の半導体ベースの光導波路は、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第1のファイバ対チップ結合位置を第1の光スプリッタコンバイナの第1の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第1の半導体ベースの光導波路と、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第2のファイバ対チップ結合位置を、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイスの第3の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第2の半導体ベースの光導波路と、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第3のファイバ対チップ結合位置を第2の光スプリッタコンバイナの第4の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第3の半導体ベースの光導波路と、
結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイスの第1の光出力ポートを第1の光スプリッタコンバイナの第2の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第4の半導体ベースの光導波路と、
結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイスの第2の光出力ポートを第2の光スプリッタコンバイナの第5の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第5の半導体ベースの光導波路と、
第1の光スプリッタコンバイナの第3の光インターフェースを第1の光受信器の第1の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第6の半導体ベースの光導波路と、
第2の光スプリッタコンバイナの第6の光インターフェースを第2の光受信器の第2の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第7の半導体ベースの光導波路と
を含む。
【0017】
発明に従ったPICの上で定義した実施形態は、上に説明した第1及び第2の例示的な使用事例に従って動作し得る。一方で、第1の光スプリッタコンバイナは、オンチップInPベースの偏波処理ユニットの結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイスと第1の光受信器との間に配置され、他方で、第2の光スプリッタコンバイナは、オンチップInPベースの偏波処理ユニットの結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイスと第2の光受信器との間に配置されるため、ハイブリッド偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第3の例示的な使用事例に従ってPICの上で定義した実施形態を動作させることは可能ではない。
【0018】
当業者は、任意の適切な数の3つ以上のファイバ対チップ結合位置、任意の適切な数の1つ以上の結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス、任意の適切な数の2つ以上の光スプリッタコンバイナ、任意の適切な数の2つ以上の光受信器、及び任意の適切な数の半導体ベースの光導波路をPICに対する具体的な要件に応じて想定し得ることを理解するであろう。
【0019】
発明に従ったPICの一実施形態では、
少なくとも2つの光受信器の内の第1の光受信器は第1の光入力ポートを有し、
少なくとも2つの光受信器の内の第2の光受信器は第2の光入力ポートを有し、
第1の光スプリッタコンバイナは、
少なくとも第1の光インターフェース及び第2の光インターフェースを備えた第1の端部と、
少なくとも第3の光インターフェースを備えた第2の端部と
を有し、
第2の光スプリッタコンバイナは、
少なくとも第4の光インターフェース及び第5の光インターフェースを備えた第3の端部と、
少なくとも第6の光インターフェースを備えた第4の端部と
を有し、
InPベースの偏波処理ユニットは、
第4の光入力ポート、第3の光出力ポート、及び第4の光出力ポートを有するInPベースの偏波スプリッタと、
第5の光入力ポート及び第5の光出力ポートを有するInPベースの偏波回転子と
を含み、
複数の半導体ベースの光導波路は、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第1のファイバ対チップ結合位置を第1の光スプリッタコンバイナの第1の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第1の半導体ベースの光導波路と、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第2のファイバ対チップ結合位置をInPベースの偏波スプリッタの第4の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第2の半導体ベースの光導波路と、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第3のファイバ対チップ結合位置を第2の光スプリッタコンバイナの第4の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第3の半導体ベースの光導波路と、
InPベースの偏波スプリッタの第3の光出力ポートをInPベースの偏波回転子の第5の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第4の半導体ベースの光導波路と、
InPベースの偏波スプリッタの第4の光出力ポートを第2の光スプリッタコンバイナの第5の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第5の半導体ベースの光導波路と、
InPベースの偏波回転子の第5の光出力ポートを第1の光スプリッタコンバイナの第2の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第6の半導体ベースの光導波路と、
第1のスプリッタコンバイナの第3の光インターフェースを第1の光受信器の第1の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第7の半導体ベースの光導波路と、
第2の光スプリッタコンバイナの第6の光インターフェースを第2の光受信器の第2の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第8の半導体ベースの光導波路と
を含む。
【0020】
発明に従ったPICの上で定義した実施形態は、上に説明した第1及び第2の例示的な使用事例に従って動作し得る。第1の光スプリッタコンバイナは、オンチップInPベースの偏波処理ユニットのInPベースの偏波回転子と第1の光受信器との間に配置されるため、ハイブリッド偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第3の例示的な使用事例に従ってPICの上で定義した実施形態を動作させることは可能ではない。
【0021】
当業者は、適切な数の3つ以上の任意のファイバ対チップ結合位置、任意の適切な数の1つ以上のInPベースの偏波スプリッタ、任意の適切な数の1つ以上の偏波回転子、任意の適切な数の2つ以上の光スプリッタコンバイナ、任意の適切な数の2つ以上の光受信器、及び任意の適切な数の半導体ベースの光導波路をPICに対する具体的な要件に応じて想定し得ることを理解するであろう。
【0022】
発明に従ったPICの一実施形態では、
少なくとも2つの光受信器の内の第1の光受信器は第1の光入力ポートを有し、
少なくとも2つの光受信器の内の第2の光受信器は第2の光入力ポートを有し、
第1の光スプリッタコンバイナは、
少なくとも第1の光インターフェース及び第2の光インターフェースを備えた第1の端部と、
少なくとも第3の光インターフェースを備えた第2の端部と
を有し、
第2の光スプリッタコンバイナは、
少なくとも第4の光インターフェース及び第5の光インターフェースを備えた第3の端部と、
少なくとも第6の光インターフェースを備えた第4の端部と
を有し、
InPベースの偏波処理ユニットは、
第4の光入力ポート、第3の光出力ポート、及び第4の光出力ポートを有するInPベースの偏波スプリッタと、
第5の光入力ポート及び第5の光出力ポートを有するInPベースの偏波回転子と
を含み、
複数の半導体ベースの光導波路は、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第1のファイバ対チップ結合位置を第1の光スプリッタコンバイナの第1の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第1の半導体ベースの光導波路と、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第2のファイバ対チップ結合位置をInPベースの偏波スプリッタの第4の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第2の半導体ベースの光導波路と、
少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の第3のファイバ対チップ結合位置を第2の光スプリッタコンバイナの第4の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第3の半導体ベースの光導波路と、
InPベースの偏波スプリッタの第3の光出力ポートを第1の光スプリッタコンバイナの第2の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第4の半導体ベースの光導波路と、
InPベースの偏波スプリッタの第4の光出力ポートを第2の光スプリッタコンバイナの第5の光インターフェースと光学的に接続するように配置された第5の半導体ベースの光導波路と、
第1の光スプリッタコンバイナの第3の光インターフェースをInPベースの偏波回転子の第5の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第6の半導体ベースの光導波路と、
InPベースの偏波回転子の第5の光出力ポートを第1の光受信器の第1の光入力ポートと光学的に接続するように配置された第7の半導体ベースの光導波路と、
第2の光スプリッタコンバイナの第6の光インターフェースを第2の光受信器の第2の光入力ポートに光学的に接続するように配置された第8の半導体ベースの光導波路と
を含む。
【0023】
本発明に従ったPICの上で定義した実施形態は、上に説明した第1及び第3の例示的な使用事例に従って動作し得る。オンチップのInPベースの偏波処理ユニットのInPベースの偏波回転子は、第1の光スプリッタコンバイナと第1の光受信器との間に配置されるため、完全にオフチップの偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第2の例示的な使用事例に従ってPICの上で定義した実施形態を動作させることは可能ではない。それ故、偏波スプリッタのみが完全にオフチップで実施され得る。
【0024】
当業者は、任意の適切な数の3つ以上のファイバ対チップ結合位置、任意の適切な数の1つ以上のInPベースの偏波スプリッタ、任意の適切な数の1つ以上の偏波回転子、適切な数の2つ以上の光スプリッタコンバイナ、適切な数の2つ以上の光受信器、及び適切な数の半導体ベースの光導波路をPICに対する具体的な要件に応じて想定し得ることを理解するであろう。
【0025】
発明に従ったPICの一実施形態では、少なくとも2つの光受信器は、コヒーレント光受信器であり、又は振幅変調を使用して符号化された光信号から情報を復元するように構成される。振幅変調を使用する適切な変調形式の例は、オンオフキーイング(OOK)である。
【0026】
発明に従ったPICの一実施形態では、少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置の内の少なくとも第1のファイバ対チップ結合位置及び第3のファイバ対チップ結合位置は、20μm~1000μmの範囲、好ましくは250μm~500μmの範囲の距離を置いて配置される。当業者は、上述の範囲内の第1のファイバ対チップ結合位置と第3のファイバ対チップ結合位置との間の距離が、ファイバアレイ又はファイバブロックを使用して光ファイバを少なくとも第1のファイバ対チップ結合位置と第3のファイバ対チップ結合位置とに同時に結合することを可能にすることを理解するであろう。このことは、発明に従ったPICの使い易さの向上に寄与し得る。
【0027】
発明に従ったPICの一実施形態では、少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置がPICの同じファセットに配置される。このことは、発明に従ったPICの使い易さの向上にも寄与し得る。
【0028】
発明に従ったPICの一実施形態では、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の少なくとも1つは、熱的に調整可能な光スプリッタコンバイナ又は電気光学的に調整可能な光スプリッタコンバイナである。当業者は、熱的に調整可能な又は電気光学的に調整可能なスプリッタコンバイナを使用して、所与の導波路経路の結合効率を積極的に最適化できることを理解するであろう。
【0029】
発明に従ったPICの一実施形態では、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナの内の少なくとも1つは、マルチモード干渉ベースのMMIベースのカプラである。MMIベースのカプラの個別の端部は、任意の適切な数の光インターフェースを有し得る。それ故、MMIベースのカプラは、任意の適切なn×m MMIベースのカプラ、例えば1×2 MMIベースのカプラ又は2×2 MMIベースのカプラとして実装され得る。1×2 MMIベースのカプラを適用する利点は、PICが提供するオンチップとオフチップとの両方の偏波処理ソリューションに同等の優先度を与えることである。このことは、これらのソリューションの何れかで基本的な3dBの損失が発生することを意味する。2×2 MMIベースのカプラを適用する利点は、例えば、半導体光増幅器(SOA)及び/又は追加の偏波回転子等の追加のコンポーネントをPICに追加できることである。前述の追加コンポーネントは、例えば、光ファイバ及びファイバ対チップ結合位置の位置合わせの改善、及び少なくともPICのInPベースの偏波処理コンポーネントの特性評価の内の少なくとも1つを可能にするために使用され得る。
【0030】
発明に従ったPICの一実施形態では、MMIベースのカプラは、熱的に調整可能なMMIベースのカプラ又は電気光学的に調整可能なMMIベースのカプラである。上記と同様に、熱的に調整可能なMMIベースのカプラ又は電気光学的に調整可能なMMIベースのカプラを使用して、所与の導波路経路の結合効率を積極的に最適化できることは理解されるであろう。
【0031】
発明に従ったPICの一実施形態では、MMIベースのカプラは、非対称MMIベースのカプラであるように構成及び配置される。非対称MMIベースのカプラ、例えば、85%:15%を適用する利点は、MMIベースのカプラが光学的に接続される導波路経路の内の1つを優先できることであり得る。
【0032】
発明に従ったPICの一実施形態では、第1のファイバ対チップ結合位置にある第1の半導体ベースの光導波路、第2のファイバ対チップ結合位置にある第2の半導体ベースの光導波路、及び第3のファイバ対チップ結合位置にある第3の半導体ベースの光導波路の内の少なくとも1つはテーパ部分を備える。テーパ部分は、発明に従ったPICの個別の半導体ベースの光導波路と個別のファイバ対チップ結合位置にある個別の光ファイバとの間の光インターフェースにおける結合効率を改善するために光放射のスポットサイズ変換を可能にするように構成及び配置され得る。
【0033】
発明に従ったPICの一実施形態では、少なくとも2つの光受信器、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナ、及び複数の半導体ベースの光導波路の内の少なくとも1つは、InPベースの半導体材料を含む。
【0034】
発明に従ったPICの一実施形態では、PICは、ハイブリッドPIC又はInPベースのモノリシックPICである。ハイブリッドPICは、シリコンフォトニクスのドメインだけでなく、III-Vフォトニクスのドメインにも本発明の利点を適用することを可能にする。ハイブリッドPICは、III-V族半導体材料、例えば、InPベースの半導体材料を含むフォトニックコンポーネントと、IV族半導体材料、例えばSiベースの半導体材料を含むフォトニックコンポーネントとを単一のダイ上に含み得る。発明に従ったハイブリッドPICの利点は、例えば、誤動作又は故障の場合にフォトニックコンポーネントを交換できることであり得る。InPベースのモノリシックPICの利点は、例えば、光生成及び/又は光吸収光学デバイス等の能動コンポーネントと、例えば、光ガイド及び/又は光スイッチング光学デバイス等の受動コンポーネントとの両方を単一のダイの同じ半導体基板上に集積できることである。その結果、InPベースのモノリシックPICの製造は、通常異なる基板上に各々製造される能動及び受動光電子デバイスのハイブリッド相互接続のためのアセンブリ手順を必要とするハイブリッドPICのアセンブリよりも煩雑でないことがあり、それ故コストも低くなり得る。また、InPベースのモノリシックPICは、該PICの総フットプリントをハイブリッドPICの総フットプリントよりも小さくすることを可能にし得る。
【0035】
発明の別の態様に従えば、発明に従ったPICを含む光電子システムが提供される。光電子システムは、例えば、限定的ではないが、電気通信用途、LIDAR、又はセンサ用途に使用され得る。光電子システムは、受信器、送受信器、コヒーレント受信器、及びコヒーレント送受信器の内の1つであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
発明の更なる特徴及び利点は、本発明に従ったPIC、及びそうしたPICを含む光電子システムの例示的で非限定的な実施形態の説明から明らかになるであろう。
【0037】
当業者は、PIC及び光電子システムの説明する実施形態が本質的に単なる例示であり、決して保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解するであろう。当業者は、本発明の保護範囲から逸脱することなく、PIC及び光電子システムの代替及び同等の実施形態を考え、実践に移すことができることを理解するであろう。
【0038】
添付の図面シートの図が参照されるであろう。図は本質的に概略的であり、それ故、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。更に、同一の参照番号は、同一又は類似の部品を示す。
【0039】
添付の図面シートにおいて、
【0040】
図1】第1の例示的な使用事例に従って動作する、本発明に従ったPICの第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図2】第2の例示的な使用事例に従って動作する、本発明に従ったPICの第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図3】第1の例示的な使用事例に従って動作する、本発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図4】第2の例示的な使用事例に従って動作する、本発明に従ったPICの第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図5】第1の例示的な使用事例に従って動作する、本発明に従ったPICの第3の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図6】第3の例示的な使用事例に従って動作する、本発明に従ったPICの第3の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図7】第4の例示的な使用事例に従って動作する、本発明に従ったPICの第3の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図8】第1の例示的な使用事例に従って動作する、本発明に従ったPICの第4の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
図9】本発明に従ったPICを含む光電子システムの第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明に従ったPIC1の第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。PIC1は、3つのファイバ対チップ結合位置2、3、4、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス13の形態のInPベースの偏波処理ユニット、2つの光スプリッタコンバイナ9、11、2つの光受信器5、7、並びに複数の光学的に相互接続する半導体ベースの光導波路19a~19gを含む。第1の半導体ベースの光導波路19aは、第1のファイバ対チップ結合位置2を、第1の光スプリッタコンバイナ9の第1の端部9aにある第1の光インターフェース10aと光学的に接続するように配置される。第2の半導体ベースの光導波路19bは、第2のファイバ対チップ結合位置3を、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス13の第3の光入力ポート14aと光学的に接続するように配置される。第3の半導体ベースの光導波路19cは、第3のファイバ対チップ結合位置4を、第2の光スプリッタコンバイナ11の第3の端部11aにある第4の光インターフェース12aと光学的に接続するように配置される。第4の半導体ベースの光導波路19dは、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス13の第1の光出力ポート14bを、第1の光スプリッタコンバイナ9の第1の端部9aにある第2の光インターフェース10bと光学的に接続するように配置される。第5の半導体ベースの光導波路19eは、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス13の第2の光出力ポート14cを、第2の光スプリッタコンバイナ11の第3の端部11aにある第5の光インターフェース12bと光学的に接続するように配置される。第6の半導体ベースの光導波路19fは、第1の光スプリッタコンバイナ9の第2の端部9bにある第3の光インターフェース10cを第1の光受信器5の第1の光入力ポート6と光学的に接続するように配置される。第7の半導体ベースの光導波路19gは、第2の光スプリッタコンバイナ11の第4の端部11bにある第6の光インターフェース12cを、第2の光受信器7の第2の光入力ポート8と光学的に接続するように配置される。
【0042】
図1は、完全にオンチップの偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第1の例示的な使用事例に従って、第1の光ファイバ22aが第2のファイバ対チップ結合位置3でPIC1と光学的に接続されることを示している。第1の例示的な使用事例に従えば、第1の光ファイバ22aは、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス13の第3の光入力ポート14aと光学的に接続された第2の半導体ベースの光導波路19bに発射されたTMモードとTEモードとの両方を含む光放射をガイドする。結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス13は、まず、受信された光放射のTMモードとTEモードとを分離し、次に、変換されたTEモードを得るために、分離されたTMモードを回転させるように構成される。続いて、変換されたTEモードは、第4の半導体ベースの光導波路19d、第1の光スプリッタコンバイナ9、及び第6の半導体ベースの光導波路19fを介して、第1の光受信器5にガイドされる。分離されたTEモードは、第5の半導体ベースの光導波路19e、第2の光スプリッタコンバイナ11、第7の半導体ベースの光導波路19gを介して第2の光受信器7にガイドされる。
【0043】
図2は、完全にオフチップの偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第2の例示的な使用事例に従って動作するPIC1の第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。図2は、第2の光ファイバ22bが第1のファイバ対チップ結合位置2でPIC1と光学的に接続され、第3の光ファイバ22cが第3のファイバ対チップ結合位置4でPIC1と光学的に接続されることを示す。第2の例示的な使用事例に従えば、第2の光ファイバ22bは、第1の半導体ベースの光導波路19aに発射され、第1の半導体ベースの光導波路19a、第1の光スプリッタコンバイナ9、及び第6の半導体ベースの光導波路19fを介して第1の光受信器5にガイドされたオフチップの分離された変換されたTEモードを含む光放射をガイドする。第2の例示的な使用事例に従えば、第3の光ファイバ22cは、第3の半導体ベースの光導波路19cに発射され、第3の半導体のベース光導波路19c、第2の光スプリッタコンバイナ11、及び第7の半導体ベース光導波路19gを介して第2の光受信器7にガイドされたオフチップの分離されたTEモードを含む光放射をガイドする。
【0044】
一方では、第1の光スプリッタコンバイナ9は、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス13と第1の光受信器5との間に配置され、他方では、第2の光スプリッタコンバイナ11は、結合されたInPベースの偏波スプリッタ及び回転子デバイス13と第2の光受信器7との間に配置されるため、図1及び図2に示したPIC1の実施形態は、ハイブリッド偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第3の例示的な使用事例に従って動作することができないことは明らかであろう。
【0045】
図1図8は、第1のファイバ対チップ結合位置2及び第3のファイバ対チップ結合位置4が距離Dだけ離れて配置されることを示している。上述のように、距離Dは20μm~1000μmの範囲、好ましくは250μm~500μmの範囲であり得る。こうして、第2の光ファイバ22bを第1のファイバ対チップ結合位置2に、及び第3の光ファイバ22cを第3のファイバ対チップ結合位置4に同時に結合することは、ファイバレイ又はファイバブロック23を使用して達成し得る(図2図4図6を参照)。上述のように、このことは、発明に従ったPIC1の使い易さの向上に寄与し得る。
【0046】
図1図8はまた、3つのファイバ対チップ結合位置2、3、4がPIC1の同じファセット20に配置されることも示している。このことは、PIC1の使い易さの向上にも寄与し得る。
【0047】
図1図8に示すPIC1の実施形態における光スプリッタコンバイナ9、11は、MMIベースのカプラの概略的表現である。本発明に従って、任意の適切なタイプの光スプリッタコンバイナを使用され得ることは理解されるであろう。図1図7は、光スプリッタコンバイナ9、11を実装するために1×2 MMIベースのカプラが使用されることを示す一方、図8は、光スプリッタコンバイナ9、11を実装するために2×2 MMIベースのカプラが使用されることを示す。上述のように、1×2 MMIベースのカプラを適用する利点は、PIC1によって提供されるオンチップ及びオフチップの偏波処理ソリューションの両方に同等の優先度を与えることである。このことは、基本的な3dBの損失がこれらのソリューションの何れかに対して発生することを意味する。2×2 MMIベースのカプラを適用する利点については、図8に関連して説明する。
【0048】
図1図8に示すPIC1の実施形態における光受信器5、7は、コヒーレント光受信器として実装され得、又は振幅変調を使用して符号化された光信号から情報を復元するように構成された通常の光受信器として実装され得る。上述のように、振幅変調を使用する適切な変調形式の例は、オンオフキーイング(OOK)である。
【0049】
図3は、本発明に従ったPIC1の第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。PIC1は、3つのファイバ対チップ結合位置2、3、4、InPベースの偏波スプリッタ15及びInPベースの偏波回転子17を含むInPベースの偏波処理ユニット、2つの光スプリッタコンバイナ9、11、2つの光受信器5、7、並びに複数の光学的に相互接続する半導体ベースの光導波路19a~19hを含む。第1の半導体ベースの光導波路19aは、第1のファイバ対チップ結合位置2を、第1の光スプリッタコンバイナ9の第1の端部9aにある第1の光インターフェース10aと光学的に接続するように配置される。第2の半導体ベースの光導波路19bは、第2のファイバ対チップ結合位置3をInPベースの偏波スプリッタ15の第4の光入力ポート16aと光学的に接続するように配置される。第3の半導体ベースの光導波路19cは、第3のファイバ対チップ結合位置を、第2の光スプリッタコンバイナ11の第3の端部11aにある第4の光インターフェース12aと光学的に接続するように配置される。第4の半導体ベースの光導波路19dは、InPベースの偏波スプリッタ15の第3の光出力ポート16bをInPベースの偏波回転子17の第5の光入力ポート18aと光学的に接続するように配置される。第5の半導体ベースの光導波路19eは、InPベースの偏波スプリッタ15の第4の光出力ポート16cを、第2の光スプリッタコンバイナ11の第3の端部11aにある第5の光インターフェース12bと光学的に接続するように配置される。第6の半導体ベースの光導波路19fは、InPベースの偏波回転子17の第5の光出力ポート18bを、第1の光スプリッタコンバイナ9の第1の端部9aにある第2の光インターフェース10bと光学的に接続するように配置される。第7の半導体ベースの光導波路19gは、第1のスプリッタコンバイナ9の第2の端部9bにある第3の光インターフェース10cを、第1の光受信器5の第1の光入力ポート6と光学的に接続するように配置される。第8の半導体ベースの光導波路19hは、第2の光スプリッタコンバイナ11の第4の端部11bにある第6の光インターフェース12cを、第2の光受信器7の第2の光入力ポート8と光学的に接続するように配置される。
【0050】
図3は、完全にオンチップの偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第1の例示的な使用事例に従って、第1の光ファイバ22aが第2のファイバ対チップ結合位置3でPIC1と光学的に接続されることを示している。第1の例示的な使用事例に従えば、第1の光ファイバ22aは、InPの偏波スプリッタ15の第4の光入力ポート16aと光学的に接続された第2の半導体ベースの光導波路19bに発射されたTMモードとTEモードとの両方を含む光放射をガイドする。InPベースの偏波スプリッタ15は、受信した光放射のTMモードとTEモードとを分離するように構成される。分離されたTMモードは、第4半導体ベースの光導波路19dを介してInPベースの偏波回転子17にガイドされる。InPベースの偏波回転子17は、変換されたTEモードを得るために、分離されたTMモードを回転させるように構成される。続いて、変換されたTEモードは、第6の半導体ベースの光導波路19f、第1の光スプリッタコンバイナ9、及び第7の半導体ベースの光導波路19gを介して第1の光受信器5にガイドされる。分離されたTEモードは、第5の半導体ベースの光導波路19e、第2の光スプリッタコンバイナ11、及び第8の半導体ベースの光導波路19hを介して第2の光受信器7にガイドされる。
【0051】
図4は、完全にオフチップの偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第2の例示的使用事例に従って動作するPIC1の第2の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。図4は、第2の光ファイバ22bが第1のファイバ対チップ結合位置2でPIC1と光学的に接続され、第3の光ファイバ22cがファイバアレイ又はファイバブロック23を使用して第3のファイバ対チップ結合位置4でPIC1と光学的に接続されることを示す。第2の例示的な使用事例に従えば、第2の光ファイバ22bは、第1の半導体ベースの光導波路19aに発射され、第1の半導体ベースの光導波路19a、第1の光スプリッタコンバイナ9、及び第7の半導体ベースの光導波路19gを介して第1の光受信器5にガイドされたオフチップの分離され変換されたTEモードを含む光放射をガイドする。第2の例示的な使用事例に従えば、第3の光ファイバ22cは、第3の半導体ベースの光導波路19cに発射され、第3の半導体ベースの光導波路19c、第2の光スプリッタコンバイナ11、及び第8の半導体ベース光導波路19hを介して第2の光受信器7にガイドされたオフチップの分離されたTEモードを含む光放射をガイドする。
【0052】
第1の光スプリッタコンバイナ9はInPベースの偏波回転子17と第1の光受信器5との間に配置されているため、図3及び図4に示したPIC1の実施形態は、ハイブリッド偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第3の例示的な使用事例に従って動作できないことは明らかであろう。
【0053】
図5は、本発明に従ったPIC1の第3の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。PIC1は、3つのファイバ対チップ結合位置2、3、4、InPベースの偏波スプリッタ15及びInPベースの偏波回転子17を含むInPベースの偏波処理ユニット、2つの光スプリッタコンバイナ9、11、2つの光受信器5、7、並びに複数の光学的に相互接続する半導体ベースの光導波路19a~19hを含む。第1の半導体ベースの光導波路19aは、第1のファイバ対チップ結合位置2を第1の光スプリッタコンバイナ9の第1の端部9aにある第1の光インターフェース10aと光学的に接続するように配置される。第2の半導体ベースの光導波路19bは、第2のファイバ対チップ結合位置3をInPベースの偏波スプリッタ15の第4の光入力ポート16aと光学的に接続するように配置される。第3の半導体ベースの光導波路19cは、第3のファイバ対チップ結合位置4を第2の光スプリッタコンバイナ11の第3の端部11aにある第4の光インターフェース12aと光学的に接続するように配置される。第4の半導体ベースの光導波路19dは、InPベースの偏波スプリッタ15の第3の光出力ポート16bを、第1の光スプリッタコンバイナ9の第1の端部9aにある第2の光インターフェース10bと光学的に接続するように配置される。第5の半導体ベースの光導波路19eは、InPベースの偏波スプリッタ15の第4の光出力ポート16cを、第2の光スプリッタコンバイナ11の第3の端部11aにある第5の光インターフェース12bと光学的に接続するように配置される。第6の半導体ベースの光導波路19fは、第1の光スプリッタコンバイナ9の第2の端部9bにある第3の光インターフェース10cを、InPベースの偏波回転子17の第5の光入力ポート18aと光学的に接続するように配置される。第7の半導体ベースの光導波路19gは、InPベースの偏波回転子17の第5の光出力ポート18bを第1の光受信器5の第1の光入力ポート6と光学的に接続するように配置される。第8の半導体ベースの光導波路19hは、第2の光スプリッタコンバイナ11の第4の端部11bにある第6の光インターフェース12cを、第2の光受信器7の第2の光入力ポート8と光学的に接続するように配置される。
【0054】
図5は、完全にオンチップの偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第1の例示的な使用事例に従って、第1の光ファイバ22aが第2のファイバ対チップ結合位置3でPIC1と光学的に接続されることを示している。第1の例示的な使用事例に従えば、第1の光ファイバ22aは、InPベースの偏波スプリッタ15の第4の光入力ポート16aと光学的に接続された第2の半導体ベースの光導波路19bに発射されるTMモードとTEモードとの両方を含む光放射をガイドする。InPベースの偏波スプリッタ15は、受信した光放射のTMモードとTEモードとを分離するように構成される。分離されたTMモードは、第4の半導体ベースの光導波路19d、第1の光スプリッタコンバイナ9、及び第6の半導体ベースの光導波路19fを介してInPベースの偏波回転子17にガイドされる。InPベースの偏波回転子17は、変換されたTEモードを得るために、分離されたTMモードを回転させるように構成される。続いて、変換されたTEモードは、第7の半導体ベースの光導波路19gを介して第1の光受信器5にガイドされる。分離されたTEモードは、第5の半導体ベースの光導波路19e、第2の光スプリッタコンバイナ11、及び第8の半導体ベースの光導波路19hを介して第2の光受信器7にガイドされる。
【0055】
図6は、ハイブリッド偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第3の例示的な使用事例に従って動作するPIC1の第3の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。図6は、第2の光ファイバ22bが第1のファイバ対チップ結合位置2でPIC1と光学的に接続され、第3の光ファイバ22cがファイバアレイ又はファイバブロック23を使用して第3のファイバ対チップ結合位置4でPIC1と光学的に接続されることを示す。第3の例示的な使用事例に従えば、第2の光ファイバ22bは、第1の半導体ベースの光導波路19aに発射され、第1の半導体ベースの光導波路19a、第1の光スプリッタコンバイナ9、及び第6の半導体ベースの光導波路19fを介してInPベースの偏波回転子17にガイドされたオフチップの分離されたTMモードを含む光放射をガイドする。InPベースの偏波回転子17は、変換されたTEモードを得るために、分離されたTMモードを回転させるように構成される。続いて、変換されたTEモードは、第7の半導体ベースの光導波路19gを介して第1の光受信器5にガイドされる。第3の例示的な使用事例に従えば、第3の光ファイバ22cは、第3の半導体ベースの光導波路19cに発射され、第3の半導体ベース光導波路19c、第2の光スプリッタコンバイナ11、及び第8の半導体ベースの光導波路19hを介して第2の光受信器7にガイドされたオフチップの分離されたTEモードを含む光放射をガイドする。
【0056】
InPベースの偏波回転子17は、第1の光スプリッタコンバイナ9と第1の光受信器5との間に配置されるため、図5及び図6に示したPIC1の実施形態は、完全にオフチップの偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第2の例示的な使用事例に従って動作できないことは明らかであろう。それ故、偏波分離のみを完全にオフチップで実施され得る。
【0057】
図7は、単一の偏波処理ソリューションを提供する第4の例示的な使用事例に従って動作するPIC1の第3の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。電話プロセッサ等の様々な製品を創出するための組み立て中の程度の変化をその後抑制する単一の完全に機能的なチップを設計する大規模な電子チッププロバイダが採用する一般的な慣行と同様に、本発明に従ったPIC1は、例えば、InPベースの偏波スプリッタ15に関連する光挿入損失を被ることなく、単一の偏波モードで使用され得る。
【0058】
図7は、第3の光ファイバ22cが第3のファイバ対チップ結合位置4でPIC1と光学的に接続されることを示している。第4の例示的な使用事例に従えば、第3の光ファイバ22cは、第3の半導体ベースの光導波路19cに発射され、第3の半導体ベースの光導波路19c、第2の光スプリッタコンバイナ11、及び第8の半導体ベースの光導波路19hを介して第2の光受信器7にガイドされたTEモードのみを含む光放射をガイドする。図1図4及び図8に示すPIC1の実施形態が、上で定義された第4の例示的な使用事例に従って動作することもできることは理解されるであろう。
【0059】
量子井戸の閉じ込められた性質に起因してTEモードを処理するために一般的に最適化された、光受信器、光スプリッタコンバイナ、及び半導体ベースの光導波路の内の少なくとも1つ等のInPベースのコンポーネントを含むPICの文脈では、光放射がTMモードのみを含む第5の例示的な使用事例はありそうにない。しかしながら、InPベースのコンポーネントを含まないPICは、そうした第5の例示的な使用事例に従って動作し得る。
【0060】
図8は、本発明に従ったPIC1の第4の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。PIC1は、3つのファイバ対チップ結合位置2、3、4、InPベースの偏波スプリッタ15、InPベースの偏波回転子17、及び追加のInPベースの偏波回転子24を含むInPベースの偏波処理ユニット、2つの光スプリッタコンバイナ9、11、2つの半導体光増幅器(SOA)26、28、2つの光受信器5、7、並びに複数の光学的に相互接続する半導体ベースの光導波路19a~19kを含む。第1の半導体ベースの光導波路19aは、第1のファイバ対チップ結合位置2を、第1の光スプリッタコンバイナ9の第1の端部9aにある第1の光インターフェース10aと光学的に接続するように配置される。第2の半導体ベースの光導波路19bは、第2のファイバ対チップ結合位置3をInPベースの偏波スプリッタ15の第4の光入力ポート16aと光学的に接続するように配置される。第2の半導体ベースの光導波路19bは、第2のファイバ対チップ結合位置3に配置されたテーパ部分21を備える。テーパ部分21は、第2の半導体ベースの光導波路19bと、第2のファイバ対チップ結合位置3にある第1の光ファイバ22aとの間の光インターフェースにおける結合効率を改善するために、光放射のスポットサイズ変換を可能にするように構成及び配置され得る。PICの他の例示的な実施形態に従えば、第1の半導体ベースの光導波路19a、第2の半導体ベースの光導波路19b、第3の半導体ベースの光導波路19cの何れか1つにテーパ部分を備えることができることは理解されるであろう。第3の半導体ベースの光導波路19cは、第3のファイバ対チップ結合位置4を第2の光スプリッタコンバイナ11の第3の端部11aにある第4の光インターフェース12aと光学的に接続するように配置される。第4の半導体ベースの光導波路19dは、InPベースの偏波スプリッタ15の第3の光出力ポート16bを、第1の光スプリッタコンバイナ9の第1の端部9aにある第2の光インターフェース10bと光学的に接続するように配置される。第5の半導体ベースの光導波路19eは、InPベースの偏波スプリッタ15の第4の光出力ポート16cを、第2の光スプリッタコンバイナ11の第3の端部11aにある第5の光インターフェース12bと光学的に接続するように配置される。第6の半導体ベースの光導波路19fは、第1の光スプリッタコンバイナ9の第2の端部9bにある第3の光インターフェース10cをInPベースの偏波回転子17の第5の光入力ポート18aと光学的に接続するように配置される。第7の半導体ベースの光導波路19gは、InPベースの偏波回転子17の第5の光出力ポート18bを第1の光受信器5の第1の光入力ポート6と光学的に接続するように配置される。第8の半導体ベースの光導波路19hは、第2の光スプリッタコンバイナ11の第4の端部11bにある第6の光インターフェース12cを第2の光受信器7の第2の光入力ポート8と光学的に接続するように配置される。第9の半導体ベースの光導波路19iは、第1の光スプリッタコンバイナ9の第2の端部9bにある第4の光インターフェース10dを、追加のInPベースの偏波回転子24の第6の光入力ポート25aと光学的に接続するように配置される。第10の半導体ベースの光導波路19jは、追加のInPベースの偏波回転子24の第6の光出力ポート25bを第1のSOA26の第7の光入力ポート27と光学的に接続するように配置される。第11の半導体ベースの光導波路19kは、第2の光スプリッタコンバイナ11の第4の端部11bにある第7の光インターフェース12dを第2のSOA28の第8の光入力ポート29と光学的に接続するように配置される。
【0061】
図8は、完全にオンチップの偏波処理ソリューションを提供する上に説明した第1の例示的な使用事例に従って、第1の光ファイバ22aが第2のファイバ対チップ結合位置3でPIC1と光学的に接続されることを示している。第1の例示的な使用事例に従えば、第1の光ファイバ22aは、InPベースの偏波スプリッタ15の第4の光入力ポート16aと光学的に接続された第2の半導体ベースの光導波路19bに発射されたTMモードとTEモードとの両方を含む光放射をガイドする。InPベースの偏波スプリッタ15は、受信した光放射のTMモードとTEモードとを分離するように構成される。分離されたTMモードは、第4の半導体ベースの光導波路19d、第1の光スプリッタコンバイナ9、及び第6の半導体ベースの光導波路19fを介してInPベースの偏波回転子17にガイドされる。InPベースの偏波回転子17は、変換されたTEモードを得るために、分離されたTMモードを回転させるように構成される。続いて、変換されたTEモードは、第7の半導体ベースの光導波路19gを介して第1の光受信器5にガイドされる。分離されたTEモードは、第5半導体ベースの光導波路19e、第2の光スプリッタコンバイナ11、及び第8の半導体ベースの光導波路19hを介して第2の光受信器7にガイドされる。
【0062】
第1の光スプリッタコンバイナ9及び第2の光スプリッタコンバイナ11は、2×2 MMIベースのカプラの概略的表現である。第1の光スプリッタコンバイナ9及び第2の光スプリッタコンバイナ11を2×2 MMIベースのカプラとして実装することは、図1図7に示したPICの実施形態と比較して、PIC1に追加のコンポーネント、すなわち、追加のInPベースの偏波回転子24、第1のSOA26、及び第2のSOAを追加することを可能にする。前述の追加のコンポーネントは、例えば、PICの少なくともInPベースの偏波処理コンポーネントの特性評価、及び光ファイバとファイバ対チップ結合位置との位置合わせの改善の内の少なくとも1つを可能にするために使用され得る。光ファイバをファイバ間結合位置に光学的に結合することは、困難で時間のかかるプロセスであり得る。第1のSOA26及び第2のSOA28を順方向バイアスすることは、PIC1のファセット20でファイバ対チップ結合位置2、3、4から自然放出が放出される結果として光放射をもたらすであろう。同様に、第1のSOA26及び第2のSOA28の少なくとも1つを逆バイアスすることによって、PIC1の少なくともInPベースの偏波処理コンポーネントのオンチップの特性評価を可能にし得るオンチップの光パワー監視が達成され得る。
【0063】
図9は、本発明に従ったPIC1を含む光電子システム100の第1の例示的で非限定的な実施形態の概略上面図を示す。光電子システム100は、例えば、限定的に、電気通信用途、LIDAR、又はセンサ用途に使用され得る。光電子システム100は、例えば、受信器、送受信器、コヒーレント受信器、及びコヒーレント送受信器の内の1つであり得る。
【0064】
本発明は、少なくとも3つのファイバ対チップ結合位置2、3、4、InPベースの偏波処理ユニット、少なくとも2つの光スプリッタコンバイナ9、11、少なくとも2つの光受信器5、7、及び複数の半導体ベースの光導波路を含むPIC1に関するものとして要約され得る。複数の半導体ベースの光導波路は、第1のファイバ対チップ結合位置2を、第1の光スプリッタコンバイナ9を介して第1の光受信器5と、第2のファイバ対チップ結合位置3をInPベースの偏波処理ユニット及び少なくとも2つの光スプリッタコンバイナ9、11を介して少なくとも2つの光受信器5、7と、並びに第3のファイバ対チップ結合位置4を第2の光スプリッタコンバイナ11を介して第2の光受信器7と光学的に接続するように構成及び配置される。発明は、該PIC1を含む光電子システム100にも関する。
【0065】
当業者には、本発明の範囲が前述の例に限定されず、添付の特許請求の範囲により定義されるような本発明の範囲から逸脱することなくその幾つかの修正及び変更が可能であることは明らかであろう。特に、発明の様々な態様の特定の機構の組み合わせがなされ得る。発明の一態様は、発明の別の態様に関連して説明した機構を追加することによって、更に有利に強化され得る。本発明は、図及び説明において詳細に例証及び説明されてきたが、そうした例証及び説明は、例証又は例示のみを目的とし、限定的ではないとみなされるべきである。
【0066】
本発明は、開示した実施形態に限定されない。開示した実施形態に対する変形は、図面、説明、及び添付の特許請求の範囲を精査することにより、請求された発明を実践する当業者によって理解され得、実行され得る。特許請求の範囲において、“含む”という言葉は他のステップ又は要素を除外せず、不定冠詞“a”又は“an”は複数を除外しない。幾つかの手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲の参照番号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】