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特開2023-129362マルチブロックポリオレフィンコポリマーをベースとする組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129362
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】マルチブロックポリオレフィンコポリマーをベースとする組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 297/00 20060101AFI20230907BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20230907BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20230907BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
C08F297/00
C08L23/06
C08L23/12
C08L53/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023031587
(22)【出願日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/268,822
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523064398
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・ネーデルラント・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ティアン
(72)【発明者】
【氏名】ビジェイ・メータル
(72)【発明者】
【氏名】ルイドン・ディン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4J002BB031
4J002BB122
4J002BB142
4J002BB152
4J002BP033
4J002GC00
4J002GG01
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GQ01
4J026HA15
4J026HA26
4J026HA42
4J026HB15
4J026HC16
4J026HC47
4J026HC50
4J026HE05
(57)【要約】
【課題】2種以上のポリオレフィンのブレンドの効果的な相溶化のための相溶化剤として使用されうるマルチブロックポリオレフィンコポリマーの必要性が存在する。該相溶化剤は、このようなブレンドの機械的性質及び加工性を増強する。
【解決手段】i)半結晶性ポリマーブロックと非晶質ポリマーブロックとの組み合わせ、又はii)少なくとも2つの非晶質ポリマーブロック、又はiii)少なくとも2つの半結晶性ポリマーブロックを含む、マルチブロックポリオレフィンコポリマー(MBPC)が開示される。半結晶性ポリマーブロックA及びCは、独立に、各ブロックA及びC中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの重量に基づいて80~97wt.%が1,4付加によって組み入れられた1,3-ブタジエンモノマーに由来する。非晶質ポリマーブロックBは、イソプレンモノマー、21~85wt.%が1,2付加によって組み入れられた1,3-ブタジエンモノマー、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する。MBPCは、互いに異なる2種以上のポリオレフィンのブレンドの相溶化のための相溶化剤として使用されうる。このようなポリオレフィンブレンドは、多様な物品を製造するための、改善した機械的性質及び加工性を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)、
[(A)(B)(C)r1X (2)、
(B)(B)q2(B) (3)、
[(B)(B)q2(B)X (4)、
(A)(C)(A) (5)及び
[(A)(C)(A)X (6)
(式中、
p、q、q2及びrは、それぞれ独立に、1以上であり、
p1、q1及びr1は、それぞれ独立に、0以上であり、
nは、2~10の範囲であり、
Xは、カップリング剤の残基であり、
各ブロックA及びCは、半結晶性ポリマーブロックであり、同一であり又は互いに異なり、独立に、各ブロックA及びC中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの重量に基づいて80~97wt.%が1,4付加によって組み入れられた1,3-ブタジエンモノマーに由来し、
各ブロックBは、イソプレンモノマー、21~85wt.%が1,2付加によって組み入れられた1,3-ブタジエンモノマー、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する非晶質ポリマーブロックである。)
から選択される少なくとも1つの式によって表されるマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項2】
15~200kg/molの分子量(M)及び1.0~3の多分散指数(PDI)を有する、請求項1に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項3】
15~200kg/molの絡み合い分子量(M)を有する、請求項1に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項4】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)及び[(A)(B)(C)r1X (2)
から選択される式によって表され、
前記非晶質ブロックBに対する前記半結晶性ブロックA及びCの重量比が、1:4~4:1の範囲である、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項5】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)及び[(A)(B)(C)r1X (2)
から選択される式によって表され、
各ブロックA及びCが、1,4付加によって組み入れられた1,3-ブタジエンモノマーを、各ブロックA及びC中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの重量に基づいて82~95wt.%含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項6】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)及び[(A)(B)(C)r1X (2)
から選択される式によって表され、
各ブロックA及びCが、1,2付加によって組み入れられた1,3-ブタジエンモノマーを、各ブロックA及びC中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの重量に基づいて3~20wt.%含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項7】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)及び[(A)(B)(C)r1X (2)
から選択される式によって表され、
各ブロックA及びCが、独立に、水素添加前に、各ブロックA及びCのmolに基づいて5~15mol%のビニル含有量を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項8】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)及び[(A)(B)(C)r1X (2)
から選択される式によって表され、
各ブロックA及びCが、独立に、ASTM F2625に準拠して示差走査熱量計(DSC)により測定して、20~70%の結晶度を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項9】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)及び[(A)(B)(C)r1X (2)
から選択される式によって表され、
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーの総重量に基づいて、前記ブロックAが35~60wt.%を構成し、前記ブロックBが35~60wt.%を構成し、前記ブロックCが5~30wt.%を構成する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項10】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)、
[(A)(B)(C)r1X (2)、
(B)(B)q2(B) (3)及び
[(B)(B)q2(B)X (4)
から選択される少なくとも1つの式によって表され、
前記ブロックBが、1,4付加によって組み入れられた1,3-ブタジエモノマーを、ブロックB中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの総重量に基づいて15~79wt.%含み、又は
前記ブロックBが、1,4付加によって組み入れられたイソプレンモノマーを、ブロックB中の重合したイソプレンモノマーの総重量に基づいて80~97wt.%含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項11】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)、
[(A)(B)(C)r1X (2)、
(B)(B)q2(B) (3)及び
[(B)(B)q2(B)X (4)
から選択される少なくとも1つの式によって表され、
前記ブロックBが、水素添加前に、ブロックBの総molに基づいて60~80mol%のビニル含有量を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項12】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)、
[(A)(B)(C)r1X (2)、
(B)(B)q2(B) (3)及び
[(B)(B)q2(B)X (4)
から選択される少なくとも1つの式によって表され、
前記ブロックBが、3,4付加によって組み入れられたイソプレンモノマーを、ブロックB中の重合したイソプレンモノマーの総重量に基づいて3~20wt.%含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項13】
前記マルチブロックポリオレフィンコポリマーが、
(A)(C)(A) (5)及び[(A)(C)(A)X (6)
から選択される式によって表され、
前記ブロックAの前記ブロックCに対する重量比が、5:95~95:5の範囲にある、
請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー。
【請求項14】
ポリオレフィンブレンドであって、該ポリオレフィンブレンドの総重量に基づいて、
(a)40~98.8wt.%の未加工及び/又はポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリエチレン、
(b)1~40wt.%の未加工及び/又はポストコンシューマーリサイクル(PCR)ポリプロピレン、及び
(c)0.2~20wt.%の請求項1~3のいずれか一項に記載のマルチブロックポリオレフィンコポリマー
を含む、ポリオレフィンブレンド。
【請求項15】
ポリエチレンが、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高分子量ポリエチレン(HMWPE)及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、ポリプロピレンが、ランダムエチレン及び/若しくはブテンコポリマーとのポリプロピレンのブレンド、又はエチレン-プロピレンのゴム状コポリマーとのエチレン-プロピレンの結晶性ランダムコポリマー、又はプロピレンとコモノマーとのコポリマーであって、該コモノマーが、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるコポリマーを含む、請求項14に記載のポリオレフィンブレンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチブロックポリオレフィンコポリマー(MBPC)組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン(PE)ポリマー及びポリプロピレン(PP)ポリマーは、世界中で豊富に生産され使用されている。PEの組成物とPPの組成物とは、独立に、それらの独自の特定の用途領域、例えばパッケージング、輸送、電子機器、家庭用品などを有する。しかしながら、ブレンドされた/合わされたPEとPPとが互いに非相溶性であり相分離をもたらすとき、これは、機械的性質が悪くなる。PEポリマーとPPポリマーを合わせて均質なブレンドを得ることは、それらの非相溶性に起因して困難である。加えて、再利用されるPEポリマーとPPポリマーとのブレンディングの課題は、未加工のPEとPPとを混合するのと同様である又はそれよりも複雑である。PEとPPとをブレンドすることを困難にするパラメーターのうちのいくつかには、分子量、多分散指数、融解及び結晶化挙動などに差があることが挙げられる。
【0003】
PEとPPとは、既知の相溶化剤、例えばエチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどを使用して相溶化されうる。しかしながら、このようなタイプの相溶化剤は効果的でなく、PE及び/又はPPを有する相互貫通構造体又は相分離へと至らせうる。その上、より高量の相溶化剤がPEとPPとのブレンドを相溶化させるのに必要とされ、依然として所望の機械的性質を達成することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、2種以上のポリオレフィンのブレンドの効果的な相溶化のための相溶化剤として使用されうるマルチブロックポリオレフィンコポリマーの必要性が存在する。該相溶化剤は、このようなブレンドの機械的性質及び加工性を増強する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
第1の態様において、本開示は、(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)、[(A)(B)(C)r1X (2)、(B)(B)q2(B) (3)、[(B)(B)q2(B)X (4)、(A)(C)(A) (5)及び[(A)(C)(A)X(6)から選択される少なくとも1つの式によって表されるマルチブロックポリオレフィンコポリマーに関する。各p、q、q2及びrは、独立に、1以上である。各p1、q1及びr1は、独立に、0以上である。nは2~10の範囲であり、Xはカップリング剤の残基である。各ブロックA及びCは、同一であり又は互いに異なり、独立に、各ブロックA及びC中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの重量に基づいて80~97wt.%が1,4付加によって組み入れられた1,3-ブタジエンモノマーに由来する、半結晶性ポリマーブロックである。各ブロックBは、イソプレンモノマー、21~85wt.%が1,2付加によって組み入れられた、1,3-ブタジエンモノマー、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する非晶質ポリマーブロックである。
【0006】
第2の態様において、マルチブロックポリオレフィンコポリマーは、15~200kg/molの分子量(M)及び1.0~3の多分散指数(PDI)を有する。
【0007】
第3の態様において、マルチブロックポリオレフィンコポリマーは、15~200kg/molの絡み合い分子量(M)を有する。
【0008】
第4の態様において、マルチブロックポリオレフィンコポリマーは、(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)及び[(A)(B)(C)r1X (2)から選択される式によって表される。非晶質ブロックBに対する半結晶性ブロックA及びCの、重量比は、1:4~4:1の範囲である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では以下の用語が使用される。
【0010】
「[A、B及びC等の群]から選択される」又は「[A、B及びC等の群]のうちのいずれか」は、群からの単一のメンバー、群からの1つ超のメンバー、又は群からのメンバーの組み合わせを意味する。例えば、「A、B及びCから選択される」は、例えば、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、並びにA及びB、A及びC、B及びC、又はA、B及びCのうちの全てを含む。
【0011】
「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」は、群からの、単一のメンバー、「X」のみ若しくは「Y」のみ若しくは「Z」のみ、又は1つ超のメンバー、例えば「X」及び「Y」、「X、Y及びZ」などを意味する。
【0012】
「相溶化剤」は、ポリマーブレンド中の界面活性を呈する巨大分子(又はポリマー)種を指す。通常、相溶化剤の鎖は、1つのブレンド成分と混和性の1つの構成ブロック、及び他のブレンド成分と混和性の第2のブロックを有する、ブロック状構造を有する。相溶化剤は、反応性であり、ポリマーと結合することができ、又は非反応性であり、ポリマーと混和性であるのみ(結合なし)である。
【0013】
「ビニル含有量」は、1,3-ブタジエンの場合に1,2付加を介して重合されて、又はイソプレンの場合に3,4付加を介して重合されて、非置換のオレフィン、又はポリマー主鎖に近接するビニル基をもたらす共役ジエンの含有量を指す。ビニル含有量は、核磁気共鳴分光法(NMR)によって測定されうる。
【0014】
「分子量」又はMは、ポリマーブロック又はブロックコポリマーの、kg/molにおけるスチレン当量分子量を指す。Mは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン較正標準を用いて測定され得、例えばASTM 5296-19に準拠して行われる。GPC検出器は、紫外検出器若しくは屈折率検出器、又はこれらの組み合わせとすることができる。クロマトグラフは、市販のポリスチレン分子量標準を用いて較正される。そのように較正された、GPCを用いて測定されるポリマーのMは、スチレン当量分子量又は見かけの分子量においてである。本明細書で表されるMは、GPCトレースのピークにおいて測定され、Mと示されるスチレン当量「ピーク分子量」と一般に称される。
【0015】
「絡み合い分子量」又はMは、回転レオメータを用いることによって算出され得、各サンプルの貯蔵弾性率及び損失弾性率は、150℃~230℃の温度、0.05~500rad/秒の角振動数及び0.5%の歪みの条件下、測定される。これらの値から、プラトー弾性率(G )が得られ、これは、近接する一時的絡み合い点同士間の分子量においてであると定義される。Mは、理論式(A):
Me=(pRT)/G (I)
(pは密度(kg/m)であり、Rは気体定数(8.3 14Pa・m/mol・K)であり、Tは絶対温度(K)である。)
に従って算出される。
【0016】
「多分散指数」又はPDIは、重量平均分子量(M)の、数平均分子量(M)に対する比を指し、時々また、分子量分布とも呼ばれる。PDIは、所与のポリマー中のポリマー鎖分子量の分布を示すのに使用される。
【0017】
「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」は、2種以上のポリマーの組成物を指す。ブレンドは、混和性又は非混和性とすることができ、1つ以上の相又は別々の相を有する。
【0018】
「半結晶性」は、ASTM F2625に準拠して示差走査熱量計(DSC)により決定して、一次転移又は結晶性融解点(T)を保有するポリマー又はポリマーブロックを指す。用語「半結晶性」は、用語「結晶性」と互換的に使用されうる。
【0019】
「非晶質」は、ASTM F2625に準拠して示差走査熱量計(DSC)により決定して、結晶性融解点を欠くポリマー又はポリマーブロックを指す。
【0020】
「多峰性」又は「二峰性」は、ポリマーのモダリティ、すなわち、その分子量の関数としての分子量画分のグラフであるその分子量分布曲線の形態、及び/又はポリマー画分の分子量の関数としてのコモノマー含有量のグラフであるそのコモノマー含有量分布曲線の形態を指す。
【0021】
本開示は、i)少なくとも1つの半結晶性ポリマーブロックと少なくとも1つの非晶質ポリマーブロックとの組み合わせ、又はii)少なくとも2つの非晶質ポリマーブロック、又はii)少なくとも2つの半結晶性ポリマーブロック、を有するマルチブロックポリオレフィンコポリマー(MBPC)に関する。MBPCは、2種以上の、互いに異なるポリオレフィンのブレンドの相溶化のための相溶化剤として使用されうる。このようなポリオレフィンブレンドは、改善した機械的性質及び加工性を有することが特徴付けられ、それを多様な用途における使用に好適にする。
【0022】
(マルチブロックポリオレフィンコポリマー(MBPC))
実施形態において、MBPCは、半結晶性ポリマーブロック、非晶質ポリマーブロック、又はこれらの組み合わせのうちのいずれかを含有し、(1)~(6):
(A)(B)(C)r1(B)q1(A)p1 (1)
[(A)(B)(C)r1X (2)
(B)(B)q2(B) (3)
[(B)(B)q2(B)X (4)
(A)(C)(A) (5)
[(A)(C)(A)X (6)
から選択される式を有する。上記式中、各p、q、q2及びrは、独立に、1以上である。各p1、q1及びr1は、独立に、0以上である。nは、2~10、又は1~8、又は2~5、又は2~4の範囲である。Xはカップリング剤の残基である。各ブロックA及びCは、半結晶性ポリマーブロックであり、同一であり又は互いに異なり、独立に、1,3-ブタジエンモノマーに由来する。各ブロックBは、非晶質ポリマーブロックであり、1,3-ブタジエン、イソプレン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーに由来する。1,3-ブタジエンモノマーは、独立に、1,4及び1,2付加の機序によって、ブロックA、B及びC中に組み入れられる。
【0023】
ブロックA、B及びCは、90%超、又は92%超、又は95%超、又は98%超、又は99%超、又は最大で100%の水素添加レベルまで水素添加される。
【0024】
実施形態において、上記式(1)及び(2)のMBPCは、以下の式(7)~(20b)に示される通り、複数のブロックA、B及びCを任意の順序で含有する。これらの式中、LLDPE-Aは、半結晶性直鎖状低密度ポリエチレンブロックAであり、LLDPE-Cは、半結晶性直鎖状低密度ポリエチレンブロックCであり、EPR-Bは、エチレン-プロピレンゴムブロックBであり、EBR-Bは、エチレン-1-ブテンコポリマーブロックBである。
(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)q1(LLDPE-A)p1 (7)
(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-A)p1(EBR-B)q1 (7a)
(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-C)r1(EBR-B)q1 (7b)
(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)q1(LLDPE-C)r1 (8)
(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A)p1(EPR-B)q1 (8a)
(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A)p1(EPR-B)q1 (8b)
[(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-C)r1X (9)
[(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)q1X (9a)
[(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)q1X (9b)
[(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-C)r1X (10)
[(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)q1X (10a)
[(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)q1X (10b)
[(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)X (11)
[(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-A)X (11a)
[(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-C)X (11b)
[(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)X (12)
[(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A)X (12a)
[(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-C)X (12b)
(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B) (13)
(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-A) (13a)
(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-C) (13b)
(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B) (14)
(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A) (14a)
(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-C) (14b)
(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-A) (15)
(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B) (15a)
(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B) (15b)
(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-A) (16)
(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B) (16a)
(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B) (16b)
(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B) (17)
(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-A) (17a)
(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-C) (17b)
(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B) (18)
(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A) (18a)
(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-C) (18b)
(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B) (19)
(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-A)(EBR-B)(LLDPE-A) (19a)
(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-C)(EBR-B)(LLDPE-C) (19b)
(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B) (20)
(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A)(EPR-B)(LLDPE-A) (20a)
(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-C)(EPR-B)(LLDPE-C) (20b)
上記式中、各p、q及びrは、それぞれ独立に、1以上である。各p1、q1及びr1は、独立に、0以上である。nは、2~10、又は1~8、又は2~5、又は2~4の範囲である。Xはカップリング剤の残基である。
【0025】
実施形態において、MBPCは、以下の(21)~(32)から選択される少なくとも1つの式を有する1つ超の非晶質ポリマーブロックを含有し、EPR-Bは、エチレン-プロピレンゴムブロックBであり、EBR-Bは、エチレン-1-ブテンコポリマーブロックBである。
(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B) (21)
(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2 (22)
(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2 (23)
(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B) (24)
(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B) (25)
(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2 (26)
[(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B)X (27)
[(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2X (28)
[(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2X (29)
[EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B)X (30)
[(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B)X (31)
[(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2(EBR-B)(EPR-B)q2X (32)
上記式中、q及びq2は、それぞれ独立に、1以上である。nは、2~10、又は1~8、又は2~5、又は2~4の範囲である。Xはカップリング剤の残基である。
【0026】
実施形態において、MBPCは、(33)~(44)から選択される少なくとも1つの式を有する、異なる結晶度パーセンテージ、例えば10~70%を有するブロックA及びCから本質的になる1つ超の半結晶性ポリマーブロックを含有する。
(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A) (33)
(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C) (34)
(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C) (35)
(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A) (36)
(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A) (37)
(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C) (38)
[(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A)X (39)
[(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C)X (40)
[(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C)X (41)
[(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A)X (42)
[(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A)X (43)
[(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C)(LLDPE-A)(LLDPE-C)X (44)
上記式中、各p及びrは、それぞれ独立に、1以上である。nは、2~10、又は1~8、又は2~5、又は2~4の範囲である。Xはカップリング剤の残基である。
【0027】
実施形態において、1,3-ブタジエンモノマーは、独立に、各ブロックA及びC中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの重量に基づいて、80~97wt.%、又は82~95wt.%、85~95wt.%、又は90~97wt.%、又は90wt.%超、又は92wt.%超1,4付加によってブロックA及びC中に組み入れられ、残りは1,2付加である。逆に、実施形態において、1,3-ブタジエンモノマーは、独立に、各ブロックA及びC中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの重量に基づいて、3~20wt.%、5~15wt.%、又は7~12wt.%、又は20wt.%未満、又は15wt.%未満、又は10wt.%未満1,2付加によってブロックA及びC中に組み入れられる。
【0028】
実施形態において、各ブロックA及びCは、独立に、水素添加前に、各ブロックA及びCのmolに基づいて、5~15、又は7~14、又は8~12mol%のビニル含有量を有する。
【0029】
実施形態において、重合した1,3-ブタジエンモノマーの1,4付加を有するブロックA及びCは、各ブロックA及びC中の重合した1,3-ブタジエンモノマーに基づいて、30~60wt.%、又は35~55wt.%、又は30wt.%超、又は40wt.%超cis-配置をもたらす。実施形態において、ポリマー鎖中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの1,4付加を有するブロックA及びCは、各ブロックA及びC中の重合した1,3-ブタジエンモノマーに基づいて、40~70wt.%、又は45~65wt.%、又は40wt.%超、又は50wt.%超trans-配置をもたらす。
【0030】
実施形態において、1,4付加(例えば80~97wt.%)及び残りの1,2付加(例えば3~20wt.%)によって組み入れられた重合した1,3-ブタジエンモノマーを含有するブロックA及びCは、エチレン単位及び1-ブテン単位のポリマーブロックの形成をもたらし、これは、水素添加の後、半結晶性直鎖状低密度ポリエチレンブロックA(LLDPE-A)及び/又は半結晶性直鎖状低密度ポリエチレンブロックC(LLDPE-C)を得ることができる。各LLDPE-A及びLLDPE-Cは、1,4付加によって組み入れられた重合した1,3-ブタジエンモノマーの量が同一でも又は異なってもよい。
【0031】
実施形態において、各ブロックA及びCは、独立に、ASTM F2625に準拠して示差走査熱量計(DSC)により測定して、20~70%、又は30~65%、又は40~60%、又は45~65%、又は35%超、又は40%超の結晶度を有する。
【0032】
実施形態において、ブロックBは、ブロックB中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの総重量に基づいて、21~85wt.%、又は25~80wt.%、又は30~80wt.%、又は25wt.%超、又は30wt.%超、1,2付加によって組み入れられた1,3-ブタジエンモノマーに由来し、残りは1,4付加による。逆に、実施形態において、1,3-ブタジエンモノマーは、ブロックB中の重合した1,3-ブタジエンモノマーの総重量に基づいて、15~79wt.%、又は30~75wt.%、40~79wt.%、又は50~79wt.%、又は40wt.%超、又は45wt.%超、1,4付加によってブロックB中に組み入れられる。
【0033】
実施形態において、ブロックBは、水素添加前に、ブロックBの総molに基づいて、60~80、又は65~80、又は70~80mol%のビニル含有量を有する。
【0034】
実施形態において、1,2付加(例えば21~85wt.%)及び1,4付加(例えば15~79wt.%)によって組み入れられた重合した1,3-ブタジエンモノマーを含有するブロックBは、それぞれエチレン単位及び1-ブテン単位のコポリマーブロックをもたらす。水素添加後のこのようなコポリマー単位は、非晶質エチレン-1-ブテンコポリマーブロックB(EBR-B)をもたらす。
【0035】
実施形態において、ブロックBは、ブロックB中の重合したイソプレンモノマーの総重量に基づいて、80~97wt.%、又は85~95wt.%、90~97wt.%、又は88~95wt.%、又は88wt.%超、又は90wt.%超、1,4付加によって組み入れられたイソプレンモノマーから由来し、残りは3,4付加である。逆に、実施形態において、ブロックBは、ブロックB中の重合したイソプレンモノマーの総重量に基づいて、3~20wt.%、5~15wt.%、又は7~12wt.%、又は20wt.%未満、又は15wt.%未満、又は10wt.%未満、3,4付加によって組み入れられた重合したイソプレンモノマーを含有する。
【0036】
実施形態において、MBPCは、触媒停止ステップに起因して、反応性末端基、例えばアルケン又は不飽和を更に含む。反応性末端基は、同じMBPCポリマー鎖について同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
実施形態において、ブロックBは、1,4付加と3,4付加との両方によって組み入れられた重合したイソプレンモノマーを含有する。次いで、このようなブロックは水素添加されて、アタクチックなペンテン単位のランダム分布を有する非晶質エチレン-プロピレンゴムブロックB(EPR-B)を得る。
【0038】
実施形態において、MBPCは、主鎖としてのブロックA及び/又はCを、グラフト鎖としてのブロックBと共に含有する、又は主鎖としてのブロックBを、グラフト鎖としてのブロックA及び/又はCと共に含有する、グラフトMBPCである。
【0039】
MBPCは、少なくとも1つのブロックA、B又はC上に少なくとも1つの官能基を有するように改質されうる。官能基の例としては、アミノ、ホスフィノ、エポキシド、無水物、シラン、アクリレート、ヒドロキシ、カルボン酸/塩、スルホン酸、ホスフェート、ホスフィンオキシド、リン酸、アルコキシド、ニトリル、チオエーテル、チオール、ケイ素又はホウ素含有化合物、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アリルコハク酸無水物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
ブロックA、B及びCを有する式についての実施形態において、MBPCの総重量に基づいて、ブロックAは、35~60wt.%、又は35~55wt.%、又は40~60wt.%、又は35wt.%超、又は45wt.%超を構成し、ブロックBは35~60wt.%、又は35~55wt.%、又は40~60wt.%、又は35wt.%超、又は45wt.%超を構成し、ブロックCは、5~30wt.%、又は10~30wt.%、又は5~25wt.%、5wt.%超、又は10wt.%超、又は20wt.%超を構成する。
【0041】
ブロックA、B及びCを有する式についての実施形態において、MBPCは、1:4~4:1、1:3~3:1、又は1:2~2:1の、半結晶性ポリマーブロックA及びCの、非晶質ブロックに対する重量比を有する。
【0042】
ブロックA及びCのみを有する式についての実施形態において、MBPCの総重量に基づいて、ブロックAは、5~95wt.%、又は10~85wt.%、又は20~70wt.%、又は30wt.%超、又は40wt.%超を構成し、ブロックCは、5~95wt.%、又は15~90wt.%、又は30~80wt.%、30wt.%超、又は40wt.%超を構成する。ブロックA及びCのみを有する式についての実施形態において、ブロックAのブロックCに対する重量比は、5:95~95:5、又は20:80~80:20、又は30:70~70:30、又は40:60~60:40の範囲である。
【0043】
実施形態において、MBPCは、15~200、又は20~150、又は20~100、又は15~80、又は15~80、又は20~40kg/mol、又は60kg/mol未満、又は50kg/mol未満の分子量(M)を有する。
【0044】
実施形態において、各ブロックA、B及びCは、独立に、5~80、又は10~70、又は15~60、又は5~40kg/molの分子量(M)を有する。
【0045】
実施形態において、MBPCは、15~200、又は20~150、又は20~100、又は15~80、又は15~80、又は20~40kg/mol、又は60kg/mol未満、又は50kg/mol未満の絡み合い分子量(M)を有する。
【0046】
実施形態において、各ブロックA、B及びCは、独立に、5~80kg/mol、又は7~70kg/mol、又は10~60kg/mol、又は5~40kg/mol、又は45kg/mol未満の絡み合い分子量(M)を有する。
【0047】
実施形態において、MBPCは、1.0~3、又は1.1~2.5、又は1.2~2.5、又は1.0~2.2、又は1.1~2.0、又は2.0未満の多分散指数(PDI)を有する。
【0048】
実施形態において、MBPCは、ASTM D1505-85に準拠して測定して、850~950、又は855~945、又は860~940、又は865~935、又は870~930kg/mの密度を有する。
【0049】
(MBPCの調製の方法)
MBPCは、開始剤/触媒の存在下、溶液中(溶媒中)で、モノマー及び開始剤を段階的に添加しながら、逐次の(又は連続の)、モノマーの重合により、続いて、得られたMBPCを、カップリング剤を用いてカップリングすることにより、最後に水素添加ステップにより、調製されうる。
【0050】
実施形態において、MBPCは、開始剤/触媒の存在下、逐次のリビングアニオン重合法により、続いて、得られたMBPCを、カップリング剤を用いてカップリングすることにより、最後に水素添加ステップにより、調製される。
【0051】
実施形態において、ブロックAは、最初に、1種以上の重合開始剤/触媒と1,3-ブタジエンモノマーとの間の反応における逐次重合において形成される。1,3-ブタジエンの重合は、大半が1,4付加を用いて所望の分子量へと継続される。1,3-ブタジエンモノマーのうちの実質的に全てが、Bブロックを有する実施形態について消費された後、イソプレンモノマー(又はコポリマー改質剤との組み合わせにおいて大半が1,2付加を有する1,3-ブタジエンモノマー)が注入されてブロックBを形成する。重合は、全てのモノマーが消費されるまでイソプレンモノマーについて継続される。その後、1,3-ブタジエンモノマーが、ブロックCの形成のために添加される。ブロックA及び/又はCとブロックBとのブロックコポリマーの形成後、それぞれのモノマーの更なる添加が、所望の複数の代替的ブロックコポリマーを得るために継続されうる。この時点において、カップリング剤は、カップリングされたポリマーの形成を引き起こすために、好適なカップリング剤の注入によって利用されうる。
【0052】
実施形態において、1つ超のブロックBを有するMBPC(例えば式3及び式4)は、一切の改質剤の添加なしで、当技術分野で既知の条件下、例えば80℃未満若しくは50℃未満の温度、又は周囲温度、又は0~35℃の温度などにおいて1,3-ブタジエンモノマーの重合を行うことによって調製されて、(1,3-ブタジエンの1,4付加によって)LLDPE型を有するいくつかの単位を得る。これは、好適な量における改質剤、例えばジエチルエーテルを添加し、ビニル含有量を増加させる(又は1,3-ブタジエンの1,2付加を低減する。)ことへと続く。重合反応は、しばらく継続し、改質剤は蒸発される。反応は、全ての1,3-ブタジエンモノマーを更に重合させ、MBPCを得るために継続する。
【0053】
実施形態において、1つ超のブロックBを有するMBPCは、1,3-ブタジエンの重合を行うことによって調製されて、LLDPEタイプを有するいくつかの単位を(1,3-ブタジエンの1,4付加によって)、50℃以下の温度、0℃、周囲温度などにおいて得、次いで、温度は更に15~30℃上昇されて、1,3-ブタジエンの1,4付加の速度を低下させる(逆に、1,3-ブタジエンの1,2付加の速度を上昇させる。)。温度は、重合が継続するように再度50℃未満に下げ戻される。任意選択的に、カップリング剤が、カップリングが起こるようにこのステップ中に組み入れられうる。任意選択的に、実施形態において、温度は、全ての1,3-ブタジエンモノマーが消費されてMBPCを得るまで、更に15~30℃上昇されうる。
【0054】
逐次重合のための方法の条件は、アニオン性重合に使用されるものと類似であり得、例えば、-30℃~180℃、又は10℃~150℃、又は30℃~120℃の温度である。重合反応は、不活性雰囲気において、例えば窒素において、又は約0.5~65バールの範囲内の圧力下で、温度、モノマーの濃度、各ブロックの分子量などを含めた要素に応じて、12時間未満、又は5分~5時間実施される。
【0055】
重合は、好適な量の溶媒、例えば、エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンシクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの存在において実施される。
【0056】
ポリマーの形成後、又は(所望の場合)カップリング反応後、重合反応混合物が水素添加前にポリマー開始剤と反応するように、任意選択的に、プロトン供与体停止剤、例えば水、二酸化炭素、水素、アルコール、フェノール、又は直鎖状飽和脂肪族モノカルボン酸若しくはジカルボン酸で処理される。
【0057】
実施形態において、改質剤は、重合の間に、ポリマー中のビニル含有量を所望のレベルに制御するのに使用される。改質剤は、重合の間、コモノマーの組み入れの有効性を改善させるように働く。例としては、極性改質剤、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテルなど、並びにキレート性極性改質剤、例えばジエトキシプロパン(DEP)、1,2-ジオキシ-エタン(ジオキソ)、1.2-ジメトキシ-エタン及びオルト-ジメトキシ-ベンゼン(ODMB)などが挙げられる。使用される改質剤の量は、改質剤のタイプに応じて、例えば、重合されることになるモノマーの総重量に基づいて0.5~20、又は1~15、又は1~10wt.%である。
【0058】
触媒/開始剤の例としては、有機モノアルカリ金属化合物「RM」(式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、又は4~8個の炭素原子を有するアリール基、例えばn-ブチル基であり、Mは、アルカリ金属、例えばアルキルリチウム化合物、s-ブチルリチウム、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、アミルリチウム、m-ジイソプロペニルベンゼンのジ-sec-ブチルリチウム付加物などである。)が挙げられる。
【0059】
触媒の例は、ピリジルアミドハフニウム、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物、ホモレプティック希土テトラメチルアルミネート、アリルコバルトホスフィン錯体、トリクロロビスホスフィノバナジウム錯体、アンサ-ネオジモセン、ビス(イミノ)ピリジン配位子を有するCoとFeとの錯体、4族から選択される遷移金属のメタロセン化合物を有するメタロセン触媒、有機亜鉛化合物、例えばジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジヘキシル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジベンジル亜鉛化合物などの存在下又は非存在下での遷移金属触媒から選択されうる。
【0060】
実施形態において、共触媒は、触媒との組み合わせにおいて使用される。共触媒は、B(C、有機アルミニウム、ホウ素化合物、[Z][B(C([Z]は、[(C1837N(Me)H]、[CN(Me)H]、[PhC]である。)、メチルアルミノキサン(MAO)などから選択されうるがこれらに限定されるものではない。
【0061】
実施形態において、開始剤/触媒は、重合されることになるモノマーの総重量に基づいて0.002~5、又は0.005~4.5、又は0.01~4、又は0.015~3.8、又は0.02~3.5wt.%使用される。
【0062】
カップリング剤の例は、ジビニルアレーン又はマルチビニルアレーン化合物;ジエポキシド又はマルチエポキシド;ジイソシアネート又はマルチイソシアネート;ジアルコキシシラン又はマルチアルコキシシラン;ジイミン又はマルチイミン;ジアルデヒド又はマルチアルデヒド;ジケトン又はマルチケトン;アルコキシスズ化合物;ジハライド又はマルチハライド、例えばケイ素ハライド及びハロシラン;一無水物、二無水物又はマルチ無水物;ジエステル又はマルチエステル、例えばモノアルコールのポリカルボン酸とのエステル;一価アルコールのジカルボン酸とのエステルであるジエステル;一塩基酸の多価アルコールとのエステルであるジエステル、例えばグリセロール;ジビニルベンゼン;ジクロロエタン;ジブロモブタン;カルボン酸のエステル;並びにこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0063】
実施形態におけるカップリング剤は、シラン化合物をベースとし、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルエトキシジプロポキシシラン、プロペニルエトキシジメトキシシラン、プロペニルエトキシジプロポキシシラン、テトラ-メトキシシラン(TMOS)、テトラ-エトキシシラン(TEOS)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、及びこれらの混合物である。
【0064】
ポリビニル化合物系カップリング剤の例としては、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリアミン、ポリアルデヒド、ポリハライド、ポリ無水物、ポリケトン、ポリポキシエステル、ポリエステル、及びこれらの混合物が挙げられる。カップリング剤は、エポキシ化植物油、例えばエポキシ化ダイズ油、アクリル化エポキシ化ダイズ油(AESO)、エポキシ化アマニ油、及びこれらの混合物をベースとすることができる。
【0065】
実施形態において、カップリング剤は、重合されることになるモノマーの総重量に基づいて、1~15、又は2~14、又は3~12、又は5~10wt.%使用される。
【0066】
実施形態において、ブロックA及びCの結晶化を促進するために核形成剤が添加される。核形成剤の例としては、マロン酸、ハロイサイト、ソルビトール、カルボキシレート核形成剤(NTC)、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、リン酸エステル金属塩、グラスファイバー、顔料、タルク、ロジン型核形成剤、ベンゼンスルホンアミド金属塩、トルエン-4-スルホンアミド金属塩、N-フェニル-4-ベンゼンスルホンアミド金属塩、N-フェニル-4-メチル-ベンゼンスルホンアミド金属塩及び1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン-1,1-ジオキシド金属塩、亜鉛グリセロレート、カルシウムグリセロレート、ヘキサヒドロフタル酸カルシウム、ヘキサヒドロフタル酸亜鉛、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0067】
実施形態において、核形成剤は、ブロックA及びCを形成するために、重合されることになるモノマーの総重量に基づいて0.1~5、又は0.2~4、又は0.5~3、又は1~3wt.%使用される。
【0068】
実施形態において、逐次重合の後、MBPCは、水素添加触媒の存在において、350℃未満、又は250℃未満、又は100℃未満、又は50℃超の温度にて、かつ1000psig未満、又は500~900psig、又は450psig超の水素圧力にて、水素添加される。
【0069】
水素添加反応は、重合反応のために使用されるのと同一の溶媒中又は異なる溶媒中で行われうる。実施形態において、重合ステップから得られたポリマー溶液は、水素添加前の溶液の総重量に基づいて5~50、又は10~40、又は5~30、又は10~35wt.%の溶媒中ポリマーの重量を有するように、水素添加前に溶液で希釈される。
【0070】
実施形態において、水素添加は、触媒改質剤の実質的に非存在下において、不飽和のうちの90%超が低減されるまで行われる。この時点で、触媒改質剤、例えばルイス塩基、弱有機酸、アルコール、アミンなどが添加され、水素添加が、1000psig、1100~2000psig、又は1200~1800psigの水素圧力下、100~200℃、又は175~225℃の温度にて継続される。水素添加ステップが完了すると、不飽和のうちの80%超、又は85%超、又は90%超、又は95%超、又は98%超、又は99%超が低減されている。
【0071】
水素添加ステップ後、水素添加触媒残渣及び改質剤は、抽出、沈殿、ろ過、蒸留、又は他の手段のうちのいずれかによって除去されうる。次いで、反応混合物は処理されて、溶媒を蒸散する、又はポリマーを蒸気及び/又は熱水を用いて凝固することによって、ポリマーが回収されうる。
【0072】
水素添加触媒の例としては、遷移金属触媒、例えばニッケル、コバルト、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、白金、他のVIIIb族(8~10族)金属、又はこれらの混合物が挙げられる。水素添加触媒は、不均一な触媒、担持されている不均一な触媒、及び均質な触媒のうちのいずれかとすることができる。実施形態において、水素添加触媒は、VIIIb族金属カルボキシレート又はアルコキシドを、元素の周期表のI-A族、II-A族及びIII-B族から選択される金属のアルキル又は水素化物と合わせることによって調製される。実施形態において、水素添加触媒は、8~10族金属化合物、例えばパラジウム、ニッケル、コバルト、アルミニウムアルキルなどから形成される。実施形態において、水素添加触媒は、VIII族金属カルボン酸塩を、他の金属アルキル、例えばn-ブチルリチウム及びsec-ブチルリチウムを含めたLiアルキル、又は金属水和物、例えば水素化リチウム及び水素化アルミニウムリチウムと反応させることによって形成される。
【0073】
アルミニウムアルキル化合物の例としては、式RAlX3-n(式中、Rは、C~C10又はC~Cの炭化水素基であり、Xは、水素又はR2であり、式中、R2はC~C10の炭化水素基であり、これはRとは異なり、nは1、2又は3である。)の有機アルミニウム化合物が挙げられる。実施形態において、アルミニウムアルキル化合物は、トリアルキルアルミニウム化合物である。実施形態において、アルミニウムアルキル化合物は、1:1~20:1、又は1:1~5:1、又は1:1~2:1の、アルミニウムのコバルトに対するモル比を有する。
【0074】
可溶性でありうるニッケル化合物又はコバルト化合物の例としては、カルボン酸ニッケル、例えばオクタン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、デカン酸ニッケル、アセチルアセトン酸ニッケル(nickel acetylacetanoate)、ナフテン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル;並びにカルボン酸コバルト、例えばステアリン酸コバルト、オクタン酸コバルト及びバーサチック酸コバルトが挙げられる。実施形態において、使用される水素添加触媒は、コバルト触媒とニッケル触媒との混合物、例えば、カルボン酸コバルトのカルボン酸ニッケルとの混合物である。実施形態において、コバルト触媒は、水素添加触媒中に存在する総金属のモルベースにおいて少なくとも10%、又は25~75%、又は少なくとも50%であるコバルトの量で使用される。
【0075】
(MBPCの性質)
実施形態において、MBPCは、ISO 1628/1に準拠して135℃にて測定して、2、dl/g超又は2.5dl/g超、又は3dl/g超、又は3~5dl/g、又は4dl/g超、又は7dl/g超、又は2~10dl/g、又は3~8dl/g、又は5~9dl/g、又は10dl/g未満の固有粘度を有する。
【0076】
実施形態において、MBPCは、ASTM D1238に準拠して190℃にて16kgの負荷を用いて測定して、2g/10分超、又は5g/10分超、又は8g/10分超、又は10g/10分超、又は2~60g/10分、又は5~55g/10分、又は8~50g/10分、又は5~45g/10分のメルトフローレートを有する。
【0077】
実施形態において、MBPCは、ISO 75Bに準拠して測定して、5℃超、又は10℃超、又は5~40℃、又は10~35℃、又は12~30℃、又は15~25℃の加熱たわみ温度(HDT)を有する。
【0078】
実施形態において、MBPCは、ISO 179-leAに準拠して23℃にて測定して、5~20、6~18、又は7~15、又は8~15kJ/mのシャルピーノッチ付き衝撃強度を有する。
【0079】
実施形態において、MBPCは、ASTM D882に準拠して測定して、1~10、又は1.5~9、又は2~8、又は2.5~7.5、又は3~7N/mmの引張強度を有する。
【0080】
実施形態において、MBPCは、ASTM D882に準拠して測定して、400~1200%、又は450~1100%、又は500~1000%、又は550~900%、又は600~850%の破断伸びを有する。
【0081】
実施形態において、MBPCは、ISO 178に準拠して23℃にて測定して、200~700、又は250~650、又は300~600MPaの曲げ弾性率を有する。
【0082】
実施形態において、MBPCは、ISO 527-2に準拠して測定して、500~2000、又は600~1800、又は700~1700、又は800~1600、又は900~1500MPaの引張弾性率を有する。
【0083】
実施形態において、MBPCは、80~140℃、又は85~130℃、又は90~125℃、又は100~120℃、又は110~115℃の融解温度(T)を有する。
【0084】
(最終使用用途)
MBPCは、多くの用途において使用され得、特に、互いに非相溶性である異なるポリオレフィンのブレンドを相溶化させる用途において使用されうる。実施形態において、MBPCは、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)とをブレンディングするのに使用される。ポリオレフィンは、未加工とすることができ、かつ/又はポストコンシューマーリサイクル(PCR)材料及び/若しくはポストインダストリアルリサイクル(PIR)材料とすることができる。
【0085】
実施形態において、MBPCは、任意選択的に、多種のポリオレフィンブレンドのための相溶化剤として知られるポリマーと合わされる。このような他の相溶化剤の例としては、エチレン-プロピレンゴム、エチレンとプロピレンとのコポリマー、又はC~C10アルファオレフィン、アイソタクティックポリプロピレン(iPP)とポリエチレン(PE)とのマルチブロックコポリマー、マルチモードポリエチレンコポリマー、オレフィンブロックコポリマー、ランダムポリプロピレンコポリマーマトリックス相とエラストマー相とを含むヘテロ相ランダムコポリマーなどが挙げられる。
【0086】
ブレンド中での使用のためのPEは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高分子量ポリエチレン(HMWPE)及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、並びにこれらの混合物のうちのいずれかとすることができる。
【0087】
PPは、プロピレンホモポリマーマトリックス(PP1)又はランダムコポリマーマトリックス(PP1)を含む、かつ、その中に、1種以上のエチレン又は高級アルファ-オレフィンコモノマーを有するプロピレンコポリマー成分(PP2)を分散させた、ヘテロ相ポリマー組成物とすることができる。実施形態において、ランダムコポリマーマトリックスは、プロピレンモノマー、並びにエチレン、C~Cアルファ-オレフィン、例えば1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-i-ペンテン、i-ヘキセン、1-ヘプテン又は1-オクテン、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のコモノマーを含む。実施形態において、PPは、ポリプロピレンが、ランダムエチレン及び/又はブテンコポリマーとのポリプロピレンのブレンドであり、又はゴム状コポリマーとのエチレン-プロピレンの結晶性ランダムコポリマーである。ポリプロピレンのコポリマーは、プロピレンの共重合性コモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、又は1種以上の共役又は非共役ジエンを含めて使用されうる。
【0088】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、少なくとも1種の添加剤を、ブレンドの総重量に基づいて、0~10wt.%、又は0.5~8wt.%、又は1~5wt.%、又は1wt.%超、又は10wt.%wt.%未満更に含む。添加剤の例としては、活性化剤、硬化性剤、安定剤、増粘剤、合着剤、滑剤、離型剤、抗微生物剤、界面活性剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、色変化pH指示薬、可塑剤、粘着付与剤、成膜添加剤、染料、顔料、UV安定剤、UV吸収剤、触媒、充填剤、他の樹脂、難燃剤、粘度改質剤、湿潤剤、脱気剤、強靭化剤、接着増強剤、熱安定剤、潤滑剤、流れ変更剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加工助剤、応力緩和添加剤、発泡剤、発泡体核形成剤、ウェルドライン強度向上剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
MPBCは、ポリオレフィンが未加工であっても再利用されていても、ポリオレフィンブレンド中のPE及び/又はPPの量、それぞれの量、及び/又は利用されるPE/PPの結晶度、並びに存在する場合は他の相溶化剤に応じて選択される。実施形態において、ポリエチレンは、ASTM F2625に準拠して示唆走査熱量計(DSC)により測定して、20~70%、又は25~65%、又は30~60%、又は35~55%、又は35%超、又は40%超、又は50%超の結晶度を有する。実施形態において、ポリプロピレンは、ASTM F2625に準拠して示唆走査熱量計(DSC)により測定して、20~70%、又は25~65%、又は30~60%、又は35~55%、又は35%超、又は40%超、又は50%超の結晶度を有する。
【0090】
最終使用用途、ポリオレフィンの源、及び使用されるポリオレフィン量に応じて、実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ポリオレフィンブレンドの総重量に基づいて、0.2~20、又は0.5~15、又は1~10、又は1~15、又は2~12wt.%のMBPCを含有する。実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ポリオレフィンブレンドの総重量に基づいて、(a)40~98.8wt.%のポリエチレン(未加工又はPCR)、(b)1~40wt.%のポリプロピレン(未加工又はPCR)、(c)0.2~20wt.%のMBPC、及び(d)最大で10wt.%の少なくとも1種の添加剤;或いは(a)55~89.5又は75~84.5wt.%のポリエチレン(未加工又はPCR)、(b)10~30又は15~30wt.%のポリプロピレン(未加工又はPCR)、(c)0.5~15、又は1~10wt.%のMBPC、及び(d)0~10wt.%の少なくとも1種の添加剤を含有する。
【0091】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ポリオレフィンブレンドの総重量に基づいて、0.2~15、又は0.5~10、又は1~10、又は0.5~5、又は1~5wt.%のMBPCを含み、残りは、ポリエチレンとポリプロピレンとの1:10~10:1、又は1:8~8:1、又は1:5~5:1の重量における組み合わせである。
【0092】
ポリオレフィンブレンドは、全ての成分を、最終使用物品/用途を形成する前に、当技術分野で既知の標準的方法及び装置、例えばドライブレンディング、化合などにより、任意の順序で又は同時に混合することによって調製されうる。物品は、射出ブロー成形、射出成形、押出ブロー成形、同時押出成形、鋳造フィルム押出、ブローフィルム押出、射出延伸ブロー成形、回転成形、熱成形、熱溶融、発泡体ブロー成形、引抜、カレンダリング、付加製造、又は他の既知の加工方法のうちのいずれかによって作製されうる。
【0093】
ポリオレフィン組成物から作製される物品の例としては、ボトル、容器、燃料タンク、ドラムなどが挙げられる。他の成形物品としては、家具、サイネージ、ホイール、玩具、ガーデニング製品などが挙げられる。ポリオレフィンブレンドは、多くの用途において使用され得、例えば、自動車物品用のパイピング用途、パッケージング用途、フィルム、ジオ膜、屋根用途、池の中敷き、キャップ及び蓋体、並びに多層ポリオレフィンシート又はフィルムのコア層、容器、家庭用物品、ボトル、キャップ、電力ケーブル中の絶縁層などが挙げられる。
【0094】
(ポリオレフィンブレンドの性質)
MBPCを含有するポリオレフィンブレンドは、MBPCなしのブレンドと比べて、改善した機械的性質、加工性、及びより良好な熱的性質を示す。
【0095】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D256に準拠して測定して、80~200、90~180、100~170、又は110~160、又は120~150、又は125~145J/mの、23℃でのノッチ付きアイゾッド衝撃強度を有する。
【0096】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D5391に準拠して30kV/mmにおいて測定して、40fS/m未満、又は35fS/m未満、又は30fS/m未満、又は25fS/m未満、又は0.1~30fS/m、又は1~25fS/mの導電性を有する。
【0097】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D790に準拠して測定して、0.3~1.8、又は0.35~1.7、又は0.4~1.6、又は0.5~1.5、又は0.6~1.4、又は0.7~1.3GPaの曲げ弾性率を有する。
【0098】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ISO 8256 method Aに準拠して2Jハンマー及び15gのクロスヘッドマスを備えたInstron CAEST9050衝撃振り子において測定して、0~100、又は15~90、又は20~80、又は25~70、又は30~65kJ/mの衝撃強度を有する。
【0099】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D638に準拠して測定して、15~40、又は16~38、又は17~35、又は18~32、又は20~30、又は21~29MPaの引張強度を有する。
【0100】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D638に準拠して測定して、300%超、又は350%超、又は400%超、又は430%超、又は450%超、又は480%超、又は500%超、又は520%超、又は550%超、又は580%、又は600%の、50mm/分での破断伸びを有する。
【0101】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D2240に準拠して測定して、40~80、又は45~75、又は50~70、又は55~65の硬度ショアDを有する。
【0102】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D1525に準拠して測定して80~150℃、又は85~145℃、又は90~140℃、又は95~135℃、又は100~130℃のビカー軟化点(10N)を有する。
【0103】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D648に準拠して測定して、40~90℃、又は45~85℃、又は50~80℃、又は55~75℃の加熱たわみ温度を有する。
【0104】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D1238に準拠して190℃にて16kg負荷を用いて測定して、0.1~40、又は1~30、又は2~25g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0105】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ISO 16790に準拠して190℃でのプラトー力(cN)として測定して、2cN超、又は3cN超、又は4cN超、又は5cN超、又は7cN超、又は10cN超、又は15cN超、又は1~40、又は5~30、又は8~25cNの融解強度を有する。
【0106】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、動的機械分析(DMA)により測定して、10-1-1未満、又は9-1-1未満、又は8-1-1未満、又は7-1-1未満、又は6-1-1未満、又は5-1-1未満、又は4-1-1未満の貯蔵弾性率(G’)を有する。
【0107】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、230℃での剪断歪み下、0.2~5、又は0.3~4.8、又は0.4~4.5、又は0.5~4、又は0.8~3.5の応力緩和G(t、γ)を有する。
【0108】
実施形態において、ポリオレフィンブレンドは、ASTM D 1693に準拠して測定して、50%不良率まで10時間超、又は50%不良率まで12時間超、又は15時間超、又は20時間超、又は30時間超、又は40時間超、又は50時間超の環境応力亀裂抵抗(ESCR)を有する。
【実施例0109】
以下の実施例は、非限定的であると意図する。
【0110】
(実施例1)
非水素添加テトラ-ブロックコポリマー(前駆体ポリマー)を、シクロヘキサン362.9kg(800lbs.)及び1,3-ブタジエンモノマー30.84kg(68lbs.)を反応容器に装入して調製した。45.36g(0.10lbs.)の、s-ブチルリチウムシクロヘキサン中およそ12wt.%溶液を添加して重合を開始した。1,3-ブタジエンモノマーの追加の14.51kg(32lbs.)を、反応温度を40C未満に維持するような速度において添加した。1,3-ブタジエンモノマーの完全な重合に続いて、イソプレン56.7kg(125lbs.)を添加して重合させ、ブタジエン-イソプレンブロック鎖(B-IP)をもたらした。逐次的に、1,3-ブタジエン45.36kg(100lbs.)及びイソプレン36.29kg(80lbs.)を、次いで、制御しながら系に添加して、40℃未満の系の温度を有するB-IP-B-IPのテトラ-ブロックを作製した。次いで、重合反応を、メタノール約4.536g(0.01lbs.)を添加して停止して、完全な停止を確実にした。溶液を二酸化炭素及び水と接触させて、塩基性の高いリチウム種を中和した。抗酸化剤(フェノール系抗酸化剤及びホスファイト安定剤)を添加し、その後、ポリマーを、蒸気を残っている水に接触させて回収した。次いで、得られたポリマーを水素添加して、MBPC-Iを得た。ポリマーをペレット化して、その後、周囲温度にて貯蔵する。
【0111】
(実施例2)
非水素添加ペンタ-ブロックコポリマー(前駆体ポリマー)を、シクロヘキサン362.9kg(800lbs.)及び1,3-ブタジエンモノマー30.84kg(68lbs.)を反応容器に装入して調製する。45.36g(0.10lbs.)の、s-ブチルリチウムのシクロヘキサン中およそ12wt.%溶液を添加して重合を開始した。1,3-ブタジエンモノマーの追加の14.51kg(32lbs.)を、反応温度を40℃未満に維持するような速度において添加した。1,3-ブタジエンモノマーの完全な重合に続いて、イソプレン56.7kg(125lbs.)を添加して重合させ、ブタジエン-イソプレンブロック鎖(B-IP)をもたらした。次いで、1,3-ブタジエン22.68kg(50lbs.)を制御しながら系に添加して、40℃未満の系の温度を有するB-IP-Bのトリ-ブロックを作製した。次いで、重合反応物を、ジメチルジメトキシルシラン(DMDMOS)とカップリングして、その後、メタノール約4.536g(0.01lbs.)を添加して完全な停止を確実にした。溶液を二酸化炭素及び水と接触させて、塩基性の高いリチウム種を中和した。抗酸化剤(フェノール系抗酸化剤及びホスファイト安定剤)を添加して、その後、ポリマーを、蒸気を残っている水と接触させて回収した。次いで、得られたポリマーを水素添加して、MBPC-IIを得た。ポリマーをペレット化して、その後、周囲温度にて貯蔵する。
【0112】
(実施例3~12)
融解点を、ASTM F2625に準拠して決定する。
【0113】
融解強度を、ISO 16790に記載されているように決定する。
【0114】
PCR HDPE1は、190℃、16kgの負荷を用いた0.20~0.80g/10分のメルトフロー指数(MFI)(ASTM D1238)、2000~6000MPaの弾性率(ASTM D638)、8~25mPaの引張降伏強度(ASTM D638)、10~30MPaのフロー強度(ASTM638)、30~80%の比変形(ASTM638)、60~100kgfの牽引力(ASTM638)及び55~65のショアD硬度(ASTM D2240)を有する、PCR高密度ポリエチレンである。
【0115】
PCR PP1は、16g/10分のメルトフロー(ASTM1238)、0.915の比重(ASTM D792)、0.580g/cmのバルク密度、1200MPa(23℃)の曲げ弾性率、1300MPa(23℃)の引張弾性率、27MPa(23℃)の引張降伏強度、40%(23℃)の破断点引張歪み、及び6.0kJ/m(23℃、タイプ1、エッジワイズ、ノッチA)のシャルピー衝撃強度を有する、PCRポリプロピレンである。
【0116】
ポリオレフィンブレンドを、MBPCとポリエチレン(PP)とポリプロピレンとを多様な量において乾燥ブレンディングして調製する。ポリオレフィンブレンドの詳細を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
MBPCを含有するポリオレフィンブレンドは、MBPCの添加なしのブレンド(実施例3及び実施例4)と比べて、23℃及び-20℃にて、改善したノッチ付きアイゾッド、加工に好適なメルトフローレート、及びブレンドの増強した曲げ弾性率を示すことが予想される。
【0119】
用語「含む(comprising)」及び「含めた(including)」を、本明細書において多用な態様を記載するのに使用してきたが、用語「から本質的になる」及び「からなる」は、本開示の、かつまた開示した、より特定の態様を付与するために、「含む(comprising)」及び「含めた(including)」の場所において使用することができる。
【外国語明細書】