(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129375
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】D-プシコース結晶およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C07H 3/02 20060101AFI20230907BHJP
A23L 33/125 20160101ALN20230907BHJP
A23L 27/30 20160101ALN20230907BHJP
A23L 27/00 20160101ALN20230907BHJP
【FI】
C07H3/02
A23L33/125
A23L27/30 Z
A23L27/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023031976
(22)【出願日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202210213217.5
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521424024
【氏名又は名称】ヘナン・ジョンダ・ヘンユアン・バイオテクノロジー・ストック・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HENAN ZHONGDA HENGYUAN BIOTECHNOLOGY STOCK CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】EAST OF JINGER ROAD, NORTH OF WEIER ROAD, LINYING INDUSTRIAL PARK, LUOHE CITY, HENAN, CHINA, 462600
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】サンイン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】リンジェン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ジヘン・ジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤンジュン・ウェン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B047
4C057
【Fターム(参考)】
4B018MD28
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF04
4B018MF14
4B047LB08
4B047LG22
4B047LP01
4B047LP20
4C057AA14
4C057BB02
(57)【要約】
【課題】本発明は、D-プシコース結晶およびその調製方法を提供する。
【解決手段】本方法は、D-プシコース溶液に種晶を加え、均一に撹拌すること、得られた溶液に対して、50~30℃の温度範囲にわたって勾配冷却結晶化と定温結晶化とを交互に行うことによる結晶化を行うこと、前記溶液の温度が30℃になると前記結晶化を停止すること、および結晶を遠心分離により分離し、水で洗浄し、乾燥し、D-プシコース結晶を得ること、を含む。蒸発結晶化ではなく、有機溶媒支援結晶化や超音波処理、勾配冷却によるコントロール可能な結晶化、定温結晶化および他の技術手段が、採用される。得られたD-プシコース結晶の純度は98.5%以上であり、前記結晶の80重量%以上が20~40メッシュの範囲の粒度を有し、一回の結晶化当たりの収率は70%以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
D-プシコース結晶を調製する方法であって、
D-プシコース溶液に種晶を加え、均一に撹拌すること、
得られた溶液に対して、50~30℃の温度範囲にわたって勾配冷却結晶化と定温結晶化とを交互に行うことによる結晶化を行うこと、
前記溶液の温度が30℃になると前記結晶化を停止すること、および
結晶を遠心分離により分離し、水で洗浄し、乾燥し、D-プシコース結晶を得ること、
を含み、
ここで、前記D-プシコース溶液が、重量パーセントで83%(w/w)以上の濃度を有し、D-プシコースの純度が95%(w/w)以上であり、前記溶液が、50~60℃の温度に維持され;
前記種晶が、80~100メッシュの範囲の粒度を有するD-プシコース種晶であり、前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.01~1%の量で添加され;
前記種晶が添加された後、前記溶液が、150~200rpmの速度で20~30秒間攪拌され;
前記勾配冷却結晶化が、0.02~0.2℃/時間の速度での勾配冷却により、前記種晶を添加した前記D-プシコース溶液を、50℃の温度で攪拌することを含み、
前記定温結晶化が、45~47℃の範囲、42~43℃の範囲、40~41℃の範囲、および38~39℃の範囲からの任意の温度である定温で、前記D-プシコース溶液を8~15時間それぞれ撹拌することを含み;
前記遠心分離による分離が、4000~5000rpmで20~30分間遠心分離することを含み、そして前記乾燥が、水分含有量が0.05%未満になるまで40~50℃の流動床で乾燥することを含み;かつ
調製プロセスの際、1回の結晶化当たりのD-プシコース結晶の収率が、70%以上である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法により調製される、D-プシコース結晶。
【請求項3】
前記D-プシコース結晶の純度が98.5%以上であり、前記結晶の80重量%以上が、20~40メッシュの範囲の粒度を有する、請求項2に記載のD-プシコース結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年3月4日に出願された中国特許出願第202210213217.5号の優先権を主張するものであり、この出願は、本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、D-プシコース調製プロセスの技術分野に関し、特にD-プシコース結晶に関するものであり、工業生産に使用するのに適したD-プシコース結晶の調製方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
D-プシコースはヘキソース、ケトースの一種で、D-フルクトースがC-3位でエピマー化することによって形成される重要な希少糖であり、小麦、ズイナ属の植物、ビート糖蜜、サトウキビ糖蜜および自然界に存在する他の物質において主に見出される。また、フルクトースは加熱すると異性化して非酵素反応によりD-プシコースを生成するため、焼いた食品、ソース、蒸らしたコーヒー、高温で長時間処理したジュースなど、砂糖を含みかつ加熱処理された食品には、D-プシコースがいくらか含まれているものもある。D-プシコースは、甘味がスクロースの70%でありながら、カロリーはスクロースの0.3%に過ぎず、味およびボリューム感もスクロースと同様である。プシコースはグルコースと違い、腸から吸収された後、体内でほとんど代謝されないため、エネルギーを産生せず、腸内細菌によってほとんど発酵も利用もされないため、効率的にエネルギー摂取量が削減される。また、D-プシコースは、血糖値を調整する機能、脂肪および体重を減少させる機能、2型糖尿病およびその合併症を予防および治療する機能を、有している。このD-プシコースの特性は、D-プシコースが代替甘味料として機能することを可能にする、最も顕著な利点である。さらに、D-プシコースは、タンパク質またはアミノ酸とメイラード反応を起こし得る。反応生成物は、他のD-ケトース(D-タゴース(tagose)、ソルボース、およびフルクトースなど)に比べ、ゲル化性、起泡性、乳化安定性、および耐酸化性に優れており、食品の食感、風味、および味を向上させることができる。
【0004】
現在、D-プシコース結晶を得る方法としては、有機溶媒支援結晶化、蒸発結晶化、原料の補充による結晶化、加熱と冷却の繰り返しによる結晶化などが挙げられる。有機溶媒支援結晶化は、エタノールおよびアセトンなどの有機溶媒と、それに対応する特別な設備とが必要であり、そのことで製造コストが大幅に上昇し、安全な製造にはつながらない。D-プシコース溶液の濃縮は低温で行う必要があるため、蒸発結晶化は高い真空度を必要とし、装置への要求も高く、よって生産および操作には不向きである。原料の補充による結晶化は、結晶成長を促進するが、製造が煩雑で操作性が悪く、収率が低く、コストが高いという問題がある。さらに、加熱と冷却の繰り返しによる結晶化では、得られる結晶の粒度が小さく、収率が低い。
【0005】
市販されているD-プシコース製品は、主に液状製品と粉末状の固形製品である。低カロリー甘味料であるD-プシコースの粉末固形物は、多量に添加すると凝集しやすく、すぐに溶けにくいため、製品の適用範囲が限定される。この問題は、D-プシコース結晶の粒子が大きいとうまく回避でき、また粒子が大きいと母液からの分離も容易になる。これまで公開された特許技術の中で、より大きな結晶粒子を実現できるものはほとんどない。大きな粒子を有するD-プシコース結晶は、公開されている蒸発結晶化によって製造できるが、より高いレベルの真空度が必要である。冷却結晶化プロセスでは、蒸発結晶化の補助によってのみ、大きな粒子を得ることができる。また、蒸発結晶化で得られる粒子に比べて一般的に小さく、収率が低い。さらに、冷却により結晶化するプロセスにおいても、結晶化プロセスにおいて超音波で処理するステップがある。結晶粒は大きくなるが、実際の製造プロセスでの操作性が悪く、設備コストが高く、量産化が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、勾配冷却による結晶化と定温結晶化とを交互に行う結晶化を含む結晶化プロセスを経て、D-プシコース結晶を調製する方法を提供することを目的とする。本発明は、先行技術に存在する装置および製造条件に対する要求が高いという欠点を、効果的に解決する。
【0007】
本発明の結晶化方法は、単純かつ効率的であり、ステップが単純化され、操作性が高く、設備および生産環境に対する要求が低く、調製された結晶の粒度が大きく、収率も高いため、経済的利益が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、D-プシコース結晶の調製方法を提供する。本方法は、具体的には以下のステップ:
D-プシコース溶液に種晶を加え、均一になるまで撹拌するステップ、
得られた溶液に対して、50~30℃の温度範囲にわたって勾配冷却結晶化と定温結晶化とを交互に行うことによる結晶化を行うステップ、
前記溶液の温度が30℃になると前記結晶化を停止するステップ、
結晶を遠心分離により分離し、水で洗浄し、乾燥し、D-プシコース結晶を得るステップ、
を含む。
【0009】
1つの好ましい実施形態において、前記D-プシコース溶液は、重量パーセントで83%(w/w)以上の濃度を有し、D-プシコースの純度が95%(w/w)以上であり、前記溶液は、50~60℃の温度に維持される。好ましくは、前記D-プシコース溶液は、D-プシコース-3エピメラーゼによりフルクトースに触媒作用を及ぼし、D-プシコースとフルクトースとの混合溶液を得た後、分離、精製、濃縮を行うことにより得られ、溶液中のD-プシコースの乾燥重量基準で、濃度は83%以上(w/w)、純度は95%以上(w/w)である。
【0010】
1つの好ましい実施形態において、前記種晶は、80~100メッシュの範囲の粒度を有するD-プシコース種晶であり、前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.01~1%の量で、好ましくは、前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.02~0.7%の量で、より好ましくは、前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.03%、0.05%、0.08%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、および0.6%の量で、添加される。
【0011】
本発明の結晶化プロセスでは、粒度が80~100メッシュの種晶が使用され、好適には多すぎない量で添加される。種晶の添加量が多すぎると、種晶数が多くなり、最終的な結晶粒度に影響を与え、定温結晶化プロセスの結晶化効果に悪影響を及ぼし、結晶形が小さくなる。したがって、添加量は、前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で、最も好ましくは0.1%未満である。
【0012】
1つの好ましい実施形態において、均一になるまで攪拌するステップは、具体的には、前記種晶が添加された後、150~200rpmの速度で20~30秒間攪拌することを含む。
【0013】
先行技術では、一般に、種晶を添加した後に粒成長ステップが加えられる。このステップをスキップするために、本発明者は、多くの実験により、D-プシコース結晶が、定温粒成長プロセスを経ずにゆっくりと成長することが促進され得ることを見出し、結晶化時間を効果的に短縮するために、種晶を、添加後に高速で攪拌することによりD-プシコース中に分散させ、次いで、0.02℃~0.2℃の勾配で冷却すると、温度降下が小さな範囲にコントロールされ、初期結晶化温度が50~60℃にコントロールされ、D-プシコース溶液が低過飽和度に維持され、複数の定温結晶化ステップが組み合わされる。
【0014】
1つの好ましい実施形態において、勾配冷却による結晶化のステップは、具体的には、前記種晶を添加した前記D-プシコース溶液を50℃の温度で攪拌し、0.02~0.2℃/時間の速度での勾配冷却を経ることを含む。好ましくは、冷却速度は、0.03~0.18℃/時間、攪拌速度は、10~100rpmである。より好ましくは、冷却速度は、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.12、0.15、0.16℃/時間であり、攪拌速度は、20、30、40、50、60、70、80、および90rpmである。
【0015】
本発明では、0.02~0.2℃の速度で勾配冷却するプロセスにより低い過飽和度が維持され、小さな結晶核の形成確率が下がり、結晶の成長が促進される。10~100rpmの速度で攪拌することで、大きな結晶形が攪拌棒によって破壊される可能性が低くなる。さらに、攪拌速度が低いため、D-プシコース溶液の結晶化が促進される。しかし、結晶化ステップにおいて攪拌しないと、結晶化速度が大幅に低下し、結晶形が安定しない。
【0016】
1つの好ましい実施形態において、定温結晶化のステップは、具体的には45~47℃の範囲、42~43℃の範囲、40~41℃の範囲、および38~39℃の範囲からの任意の温度である定温で、前記D-プシコース溶液を8~15時間それぞれ撹拌することを含む。好ましくは、一定温度での攪拌を8.0~15.0時間継続し、攪拌速度は10~100rpmである。より好ましくは、一定温度での攪拌が、12時間継続され、攪拌速度は、20、30、40、50、60、70、80、および90rpmである。
【0017】
本発明では、各定温液晶化段階が結晶を完成させるために機能することで、結晶が概ね均一な大きさを有するようになり、結晶粒度が効果的に大きくなり、微小結晶の形成の問題が緩和され、最終的に、大きな結晶形と中央の結晶サイズ分布とを有するD-プシコース結晶を得ることができるようになる。本発明における4つの温度域の選択は、以下の基準に基づいて行われる。本結晶化プロセスでは、結晶化初期の低域での勾配冷却により、D-プシコース溶液の過飽和度が低いことを保証し、上記温度範囲での定温結晶化により、ゆっくりと結晶が成長するため、勾配冷却プロセスでの小さな結晶核の発生が、ある程度回避される。比較試験により、上記4つの温度範囲では、結晶を完全なものにする効果がより顕著であり、結晶化プロセスで得られる粒度および純度は、他の温度範囲で得られるものよりも優れていることが見出される。
【0018】
1つの好ましい実施形態において、前記遠心分離による分離は、4000~5000rpmで20~30分間遠心分離することを含み、そして前記乾燥は、水分含有量が0.05%未満になるまで40~50℃の流動床で乾燥することを含む。
【0019】
1つの好ましい実施形態において、調製プロセスの際、1回の結晶化当たりのD-プシコース結晶の収率は、70%以上である。
【0020】
本発明はさらに、上記のような方法により調製されるD-プシコース結晶を提供することを、目的とする。前記D-プシコース結晶の純度は98.5%以上であることが、検出された。前記結晶の80重量%は、20~40メッシュの範囲の粒度を有する。
【0021】
関連技術と比較して、本発明のD-プシコース結晶およびその調製方法は、以下の利点を有する:
1.本発明では、蒸発結晶化、有機溶媒支援結晶化、超音波処理の代わりに、勾配冷却によるコントロール可能な結晶化、定温結晶化、および他の技術的手段が、使用される。このため、本発明は、設備要件が低く、プロセスが単純でエネルギー消費が少なく、調製コストが低く、実際の生産に便利で、特に大規模工業生産および処理に適している。さらに、高純度で粒度の大きな結晶を得ることができるため、製品の応用範囲が限定されるという問題が解決され、応用性が高い;
2.本発明では、簡略化され最適化された方法で調製されたD-プシコース結晶は、大きな粒子、高純度、小さな粒度分布、その他の顕著な利点を有し、これにより、大きな粒子のD-プシコース生成物は、広い応用範囲と高いコスト優位性とを有するようになる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
特に指定されない限り、実施例で使用される技術は当業者に周知の従来技術であり、使用される原料は全て市販品である。
【0023】
特に示されない限り、本発明で使用される様々な原料、試薬、機器、装置は、いずれも市販されているか、または既存の方法により調製され得る。
【0024】
本発明において、結晶化装置、攪拌機、流動床、および乾燥装置は、所定の条件を満たせば、当業者が利用できる装置であり、装置の変更や調整を行う必要はない。
【0025】
本発明において、収率は、以下の式により算出される:収率(%)=(乾燥したD-プシコース結晶の重量/結晶化前のD-プシコース溶液中のD-プシコースの重量)×100%。
【0026】
本発明では、結晶粒度分布率は、結晶の質量分率、すなわち、全結晶質量に対する、あるサイズ範囲内の結晶質量の割合によって、算出される。
【0027】
実施例1:
D-プシコース結晶の調製方法は、具体的には以下のステップを含む。
【0028】
D-プシコース溶液にD-プシコース種晶を添加し、ここで、D-プシコース溶液の濃度は83重量%、D-プシコースの純度は98.0%、D-プシコース種晶の粒度は80メッシュ、D-プシコース種晶の添加量は前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.1%であった。種晶を加えた後、溶液を150rpmで20秒間攪拌した。
【0029】
D-プシコース溶液の温度を50℃から45.2℃まで0.2℃/時間の速度で下げ、続いて45.2℃で11時間定温結晶化を行った。
【0030】
45.2℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を42℃まで下げ、続いて42℃で12時間定温結晶化を行った。
【0031】
42℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を40.6℃まで下げ、続いて40.6℃で12時間定温結晶化を行った。
【0032】
40.6℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を38.4℃まで下げ、続いて38.4℃で12時間定温結晶化を行った。
【0033】
38.4℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を30℃まで下げ、続いて結晶化を停止させた。結晶化の全プロセスにおいて、攪拌速度は50rpmにコントロールされた。
【0034】
結晶化後、溶液を4000rpmで20分間遠心分離した。結晶を回収し、純水で2~3回洗浄した後、45℃の流動床で含水率0.05%未満になるまで乾燥させた。結晶をふるいにかけ、生成物の純度をHPLCにより検出した。純度が99.8%(w/w)であり82%の粒子が20~40メッシュの範囲のサイズを有するD-プシコース生成物が得られ、結晶化プロセスの収率は72%であった。詳細な粒度分布率を表1に示す。
【表1】
【0035】
実施例2:
D-プシコース結晶の調製方法は、具体的には以下のステップを含む。
【0036】
D-プシコース溶液にD-プシコース種晶を添加し、ここで、D-プシコース溶液の濃度は84重量%、D-プシコースの純度は98.0%、D-プシコース種晶の粒度は100メッシュ、D-プシコース種晶の添加量は前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.3%であった。種晶を加えた後、溶液を150rpmで20秒間攪拌した。
【0037】
D-プシコース溶液の温度を50℃から45.9℃まで0.1℃/時間の速度で下げ、続いて45.9℃で12時間定温結晶化を行った。
【0038】
45.9℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を42℃まで下げ、続いて42℃で12時間定温結晶化を行った。
【0039】
42℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を40.6℃まで下げ、続いて40.6℃で12時間定温結晶化を行った。
【0040】
40.6℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を38.4℃まで下げ、続いて38.4℃で12時間定温結晶化を行った。
【0041】
38.4℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を30℃まで下げ、続いて結晶化を停止させた。結晶化の全プロセスにおいて、攪拌速度は50rpmにコントロールされた。
【0042】
結晶化後、溶液を4000rpmで20分間遠心分離した。結晶を回収し、純水で2~3回洗浄した後、45℃の流動床で含水率0.05%未満になるまで乾燥させた。結晶をふるいにかけ、生成物の純度をHPLCにより検出した。純度が99.4%(w/w)であり80.5%の粒子が20~40メッシュのサイズを有するD-プシコース生成物が得られ、結晶化の収率は71.2%であった。詳細な粒度分布率を表2に示す。
【表2】
【0043】
実施例3:
D-プシコース結晶の調製方法は、具体的には以下のステップを含む。
【0044】
D-プシコース溶液にD-プシコース種晶を添加し、ここで、D-プシコース溶液の濃度は84重量%、D-プシコースの純度は98.0%、D-プシコース種晶の粒度は80メッシュ、D-プシコース種晶の添加量は前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.1%であった。種晶を加えた後、溶液を150rpmで20秒間攪拌した。
【0045】
D-プシコース溶液の温度を50℃から45.2℃まで0.2℃/時間の速度で下げ、続いて45.2℃で11時間定温結晶化を行った。
【0046】
45.2℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を42.4℃まで下げ、続いて42.4℃で10時間定温結晶化を行った。
【0047】
42.4℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を40.6℃まで下げ、続いて40.6℃で12時間定温結晶化を行った。
【0048】
40.6℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を38.4℃まで下げ、続いて38.4℃で12時間定温結晶化を行った。
【0049】
38.4℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を30℃まで下げ、続いて結晶化を停止させた。結晶化の全プロセスにおいて、攪拌速度は50rpmにコントロールされた。
【0050】
結晶化後、溶液を4000rpmで20分間遠心分離した。結晶を回収し、純水で2~3回洗浄した後、45℃の流動床で含水率0.05%未満になるまで乾燥させた。結晶をふるいにかけ、生成物の純度をHPLCにより検出した。純度が99.6%(w/w)であり81.3%の粒子が20~40メッシュのサイズを有するD-プシコース生成物が得られ、結晶化の収率は70.9%であった。詳細な粒度分布率を表3に示す。
【表3】
【0051】
実施例4:
D-プシコース結晶の調製方法は、具体的には以下のステップを含む。
【0052】
D-プシコース溶液にD-プシコース種晶を添加し、ここで、D-プシコース溶液の濃度は84重量%、D-プシコースの純度は98.0%、D-プシコース種晶の粒度は80メッシュ、D-プシコース種晶の添加量は前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.1%であった。種晶を加えた後、溶液を150rpmで20秒間攪拌した。
【0053】
D-プシコース溶液の温度を50℃から45.2℃まで0.2℃/時間の速度で下げ、続いて45.2℃で11時間定温結晶化を行った。
【0054】
45.2℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を42℃まで下げ、続いて42℃で12時間定温結晶化を行った。
【0055】
42℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を40.2℃まで下げ、続いて40.2℃で12時間定温結晶化を行った。
【0056】
40.2℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を38.4℃まで下げ、続いて38.4℃で12時間定温結晶化を行った。
【0057】
38.4℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を30℃まで下げ、続いて結晶化を停止させた。全プロセスにおいて、攪拌速度は50rpmにコントロールされた。
【0058】
結晶化後、溶液を4000rpmで20分間遠心分離した。結晶を回収し、純水で2~3回洗浄した後、45℃の流動床で含水率0.05%未満になるまで乾燥させた。結晶をふるいにかけ、生成物の純度をHPLCにより検出した。純度が99.8%(w/w)であり80.6%の粒子が20~40メッシュのサイズを有するD-プシコース生成物が得られ、結晶化の収率は71%であった。詳細な粒度分布率を表4に示す。
【表4】
【0059】
実施例5:
D-プシコース結晶の調製方法は、具体的には以下のステップを含む。
【0060】
D-プシコース溶液にD-プシコース種晶を添加し、ここで、D-プシコース溶液の濃度は84重量%、D-プシコースの純度は98.0%、D-プシコース種晶の粒度は80メッシュ、D-プシコース種晶の添加量は前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.1%であった。種晶を加えた後、溶液を150rpmで20秒間攪拌した。
【0061】
D-プシコース溶液の温度を50℃から45.2℃まで0.2℃/時間の速度で下げ、続いて45.2℃で11時間定温結晶化を行った。
【0062】
45.2℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を42℃まで下げ、続いて42℃で12時間定温結晶化を行った。
【0063】
42℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を40.6℃まで下げ、続いて40.6℃で12時間定温結晶化を行った。
【0064】
40.6℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を38.8℃まで下げ、続いて38.8℃で12時間定温結晶化を行った。
【0065】
38.8℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を30℃まで下げ、続いて結晶化を停止させた。全プロセスにおいて、攪拌速度は50rpmにコントロールされた。
【0066】
結晶化後、溶液を4000rpmで20分間遠心分離した。結晶を回収し、純水で2~3回洗浄した後、45℃の流動床で含水率0.05%未満になるまで乾燥させた。結晶をふるいにかけ、生成物の純度をHPLCにより検出した。純度が99.5%(w/w)であり80.9%の粒子が20~40メッシュのサイズを有するD-プシコース生成物が得られ、結晶化の収率は71.5%であった。詳細な粒度分布率を表5に示す。
【表5】
【0067】
実施例6:
D-プシコース結晶の調製方法は、具体的には以下のステップを含む。
【0068】
D-プシコース溶液にD-プシコース種晶を添加し、ここで、D-プシコース溶液の濃度は83重量%、D-プシコースの純度は98.0%、D-プシコース種晶の粒度は80メッシュ、D-プシコース種晶の添加量は前記D-プシコース溶液の乾燥重量基準で0.08%であった。種晶を加えた後、溶液を150rpmで20秒間攪拌した。
【0069】
D-プシコース溶液の温度を50℃から45.2℃まで0.2℃/時間の速度で下げ、続いて45.2℃で11時間定温結晶化を行った。
【0070】
45.2℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を42℃まで下げ、続いて42℃で12時間定温結晶化を行った。
【0071】
42℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を40.6℃まで下げ、続いて40.6℃で12時間定温結晶化を行った。
【0072】
40.6℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を38.4℃まで下げ、続いて38.4℃で12時間定温結晶化を行った。
【0073】
38.4℃での定温結晶化の後、0.2℃/時間の速度で温度を30℃まで下げ、続いて結晶化を停止させた。結晶化の全プロセスにおいて、攪拌速度は50rpmにコントロールされた。
【0074】
結晶化後、溶液を4000rpmで20分間遠心分離した。結晶を回収し、純水で2~3回洗浄した後、45℃の流動床で含水率0.05%未満になるまで乾燥させた。結晶をふるいにかけ、生成物の純度をHPLCにより検出した。純度が99.6%(w/w)であり81.2%の粒子が20~40メッシュのサイズを有するD-プシコース生成物が得られ、結晶化プロセスの収率は71.4%であった。詳細な粒度分布率を表6に示す。
【表6】
【0075】
比較例1
45.2℃で11時間の定温結晶化、42℃で12時間の定温結晶化、40.6℃で12時間の定温結晶化、38.4℃で12時間の定温結晶化を省いた以外は実施例1記載の方法に従って、D-プシコース結晶を調製した。すなわち、D-プシコース溶液を50℃から0.2℃/時間の速度で冷却し、30℃まで温度を下げた後に、結晶化を停止させた。その他のステップは、実施例1と同じであった。純度が99.3%(w/w)であり20.4%の粒子が20~40メッシュのサイズを有するD-プシコース生成物が得られ、結晶化の収率は72%であった。詳細な粒度分布率を表7に示す。
【表7】
【0076】
比較例2
添加するD-プシコース種晶の粒度を60メッシュとした以外は実施例1記載の方法に従って、D-プシコース結晶を調製した。その他のステップは、実施例1と同じであった。純度が98.7%(w/w)であり40.2%の粒子が20~40メッシュのサイズを有するD-プシコース生成物が得られ、結晶化の収率は68.9%であった。詳細な粒度分布率を表8に示す。
【表8】
【0077】
比較例3
添加するD-プシコース種晶の粒度を150メッシュとした以外は実施例1記載の方法に従って、D-プシコース結晶を調製した。その他のステップは、実施例1と同じであった。純度が98.4%(w/w)であり38.5%の粒子が20~40メッシュのサイズを有するD-プシコース生成物が得られ、結晶化の収率は71.2%であった。詳細な粒度分布率を表9に示す。
【表9】
【0078】
比較例4
結晶化の全プロセスにおいて攪拌速度を150rpmにコントロールした以外は実施例1に記載の方法に従って、D-プシコースを調製した。その他のステップは、実施例1と同じであった。純度が99.2%(w/w)であり36.7%の粒子が20~40メッシュのサイズを有するD-プシコース生成物、が得られ、結晶化の収率は70.8%であった。詳細な粒度分布率を表10に示す。
【表10】
【0079】
本発明の特定の例示的な実施形態に関する前述の説明は、例証的かつ例示的なものであり、これらの説明は、本発明を開示された特定の形態に限定することを意図するものではない。明らかに、上記の教示に従って、様々な変更および変形が可能である。例示的な実施形態の選択および説明は、当業者が本発明の様々な例示的な実施形態、ならびに様々なオプションおよび変更を実現および利用できるように、本発明の特定の原理および実際の応用を説明することを意図している。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物によって限定される。
【外国語明細書】