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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129394
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】電解槽の電力変換
(51)【国際特許分類】
   H02J 15/00 20060101AFI20230907BHJP
   C25B 15/02 20210101ALI20230907BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20230907BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230907BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
H02J15/00 G
C25B15/02
C25B1/04
C25B9/00 A
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023033412
(22)【出願日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】63/316,964
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514116578
【氏名又は名称】ブルーム エネルギー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピムスヴィースヴィ,プラサド
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,ラケッシュ
(72)【発明者】
【氏名】デプル,ソマ
【テーマコード(参考)】
4K021
5G066
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC09
4K021CA06
4K021DC03
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電力を異なる負荷に分配する柔軟な電気アーキテクチャを有する電力制御装置及び電力制御方法を提供する。
【解決手段】固体酸化物型電解槽(SOEC)スタック201と、スタック加熱器202と、空気加熱器203と、気化器204とを備える電気負荷を有する電解槽システム100であって、スタックへの電気エネルギー500は、SOECスタック201に供給され、スタック加熱器への電気エネルギー501は、スタック加熱器202に供給され、空気加熱器への電気エネルギー502は、空気加熱器203に供給され、気化器への電気エネルギー503は、気化器204に供給される。空気入力600は、周囲温度において空気加熱器203に供給され、加熱空気601は、SOECスタック201に供給され、液体の水602は、気化器204に供給され、蒸気(又は超加熱若しくは過熱された蒸気)603は、SOECスタック201に供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解槽の電力制御装置であって、
複数の電力源から電流を受け取ることと、
前記複数の電力源の第1のサブセットからの交流を整流することと、
前記複数の電力源の第2のサブセットからの直流を変換することと、
前記電力源の前記第1のサブセット及び前記第2のサブセットからエネルギーバスに電力を供給することと、
前記電解槽において、前記エネルギーバスからの電力を受け取ることと、
を行うように構成される、電力制御装置。
【請求項2】
前記複数の電力源の前記第1のサブセットは、電気グリッドを含む、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記電気グリッドは、ユーティリティグリッド、マイクログリッド、又はそれらの組合せである、請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記複数の電力源の前記第2のサブセットは、太陽光エネルギーシステム又はバッテリエネルギー貯蔵システムを含む、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項5】
第1のステージが前記エネルギーバスの前にあり、第2のステージが前記エネルギーバスによって供給を受ける、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記電解槽の異なる負荷要素は、利用可能な電力の低減に応答して、異なる優先順位を有する、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項7】
加熱器が、電解槽スタックよりも高い優先順位を有する、請求項6に記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記電解槽の負荷要素は、それぞれの負荷要素においてプログラミングされるドループ特性に従って優先順位付けされる、請求項6に記載の電力制御装置。
【請求項9】
スタック電力が、利用可能な電力の低減に応答して、ゼロまで低減される、請求項6に記載の電力制御装置。
【請求項10】
電解槽の電力制御方法であって、
複数の電力源から電流を受け取ることと、
前記複数の電力源の第1のサブセットからの交流を整流することと、
前記複数の電力源の第2のサブセットからの直流を変換することと、
前記電力源の前記第1のサブセット及び前記第2のサブセットからエネルギーバスに電力を供給することと、
前記電解槽において、前記エネルギーバスからの電力を受け取ることと、
を含む、電力制御方法。
【請求項11】
前記複数の電力源の前記第1のサブセットは、電気グリッドを含む、請求項10に記載の電力制御方法。
【請求項12】
前記電気グリッドは、ユーティリティグリッド、マイクログリッド、又はそれらの組合せである、請求項11に記載の電力制御方法。
【請求項13】
前記複数の電力源の前記第2のサブセットは、太陽光エネルギーシステム又はバッテリエネルギー貯蔵システムを含む、請求項10に記載の電力制御方法。
【請求項14】
第1のステージが前記エネルギーバスの前にあり、第2のステージが前記エネルギーバスによって供給を受ける、請求項10に記載の電力制御方法。
【請求項15】
前記電解槽の異なる負荷要素は、利用可能な電力の低減に応答して、異なる優先順位を有する、請求項10に記載の電力制御方法。
【請求項16】
加熱器が、電解槽スタックよりも高い優先順位を有する、請求項15に記載の電力制御方法。
【請求項17】
前記電解槽の負荷要素は、それぞれの負荷要素においてプログラミングされるドループ特性に従って優先順位付けされる、請求項15に記載の電力制御方法。
【請求項18】
スタック電力が、利用可能な電力の低減に応答して、ゼロまで低減される、請求項15に記載の電力制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権情報]
本願は、2022年3月4日に出願された米国仮特許出願第63/316,964号の利益を主張し、この米国仮特許出願は、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明の実施形態は、包括的には、電解槽システムに関し、より詳細には、電解槽システムの電力変換に関する。
【背景技術】
【0003】
電解槽は、水分子又は他の炭化水素燃料分子を分割することによって水素を生成するために、電気を消費する装置である。電解槽への入力電源は、メイングリッド(すなわち、ユーティリティグリッド)、マイクログリッド、又はその組合せのいずれかとすることができる。概して、マイクログリッドは、太陽光、風力、地熱、水力、貯蔵、従来型等の1つ以上の分散型電気リソース(DER)を備えるように構成することができる。メイングリッドは、複数の分散型電力リソースを備えることもできる。
【0004】
電力システム(EPS)は、メイングリッドであるかマイクログリッドであるかを問わず、EPSネットワークにおける総発生電力と総負荷電力との均衡が乱されることによって生じる様々な変動を受ける。そのような変動は、DER内に接続される再生可能エネルギー源によって発生する電力の間欠的性質に起因して増大していく。ネットワークにおける発電量が総負荷電力よりも大きくなると、電力システムの電圧及び/又は周波数が増大する。同様に、負荷電力の総量が発電よりも大きくなると、電力システムの電圧及び/又は周波数が低減する。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の実施形態は、関連技術の制限及び不都合点に起因する1つ以上の問題を実質的に排除する電解槽の電力変換に関する。
【0006】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の説明において記載され、その説明から部分的に明らかになるか、又は本発明の実施によって習得することができる。本発明の目的及び他の利点は、特に、添付図面と合わせて記載の説明及び本件の特許請求の範囲に示される構造によって実現及び達成される。
【0007】
これらの利点及び他の利点を達成するために、本発明の目的に従って、具現化及び広範に記載されるように、電解槽の電力変換は、複数の電力源から電流を受け取ることと、複数の電力源の第1のサブセットからの交流を整流することと、複数の電力源の第2のサブセットからの直流を変換することと、電力源の第1のサブセット及び第2のサブセットからの電力をエネルギーバスに供給することと、電解槽において、エネルギーバスからの電力を受け取ることとを行うように構成される、電解槽の電力制御装置を含む。
【0008】
以上の一般的な記載及び以下の詳細な記載はいずれも、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に係る本発明の更なる説明を与えることを意図するものであることが理解される。
【0009】
本発明の更なる理解をもたらすために含まれ、本明細書に援用されるとともに本明細書の一部をなす添付図面は、本発明の実施形態を例示するとともに、明細書と合わせて本発明の原理を説明する役目を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一例示の実施形態に係る、電気負荷を有する電解槽システムを示す図である。
図2図2は、本発明の一例示の実施形態に係る、複数のDC電源及び複数の負荷を有するシステムを示す図である。
図3図3は、本発明の一例示の実施形態に係る、異なる電源を伴う電解槽の第1のステージのアーキテクチャを有するシステムを示す図である。
図4図4は、本発明の一例示の実施形態に係る、異なる電源を伴う電解槽の第2のステージのアーキテクチャを有するシステムを示す図である。
図5図5は、本発明の一例示の実施形態に係る、2ステージ電力変換を有するシステムを示す図である。
図6図6は、DCバス電圧に基づくスタックDCDC及び加熱器DCDCの電力抑制を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、種々の実施形態を詳細に説明する。可能な限り、同じ参照符号は、図面全体を通して同じ又は同様の部分を指すのに使用する。特定の例及び実施態様に対する参照は、例示目的でなされ、本発明の実施形態又は特許請求の範囲の範囲を制限することは意図していない。
【0012】
電解槽は、電気エネルギー及び熱エネルギーを消費して、水分子を分割することによって水素を生成する装置である。電解槽によって必要とされる熱エネルギーは、電解槽の内部の電気エネルギーから生成することができる。代替的又は付加的に、熱エネルギーは、外部源から、典型的には、例えば他のプロセスの副生成物を通して供給することができる。熱エネルギーが電気エネルギーに由来する電解槽において、電解に必要とされる総電気エネルギーは、スタックに必要とされる電気エネルギーと、必要な熱エネルギーを生成するための電気エネルギーとの合計となる。
【0013】
1つ以上の電源を電気エネルギーのために使用することができる。電解槽への入力電源は、メイングリッド(すなわち、ユーティリティグリッド)、マイクログリッド、又はそれらの組合せのいずれかであり得る。概して、マイクログリッドは、太陽光、風力、地熱、水力、貯蔵(例えば、バッテリ)、従来型等の1つ以上の分散型電気リソース(DER)を備える。
【0014】
電力システム(EPS)は、メイングリッドであるかマイクログリッドであるかを問わず、EPSネットワークにおける総発生電力と総負荷電力との均衡が乱されることによって生じる様々な変動を受ける。そのような変動は、DER内に接続される再生可能エネルギー源によって発生する電力の間欠的性質に起因して増大していく。ネットワークにおける発電量が総負荷電力よりも大きくなると、電力システムの電圧及び/又は周波数が増大する。同様に、負荷電力の総量が発電よりも大きくなると、電力システムの電圧及び/又は周波数が低減する。加えて、マイクログリッドにおける分散型電源は、例えば、AC結合マイクログリッド若しくはDC結合マイクログリッド又はそれらの組合せのいずれかであり得る。
【0015】
したがって、本発明者らは、各現場におけるカスタマイズを必要とせずに、電力源及び負荷における変動を許容するのに十分な柔軟性があるアーキテクチャを開発した。様々な実施形態は、電解槽の電源に対する2ステージでの電力変換を実施する。ここで、電解槽プラントにおける水素生成率は、入力電源の条件に基づくとともに、その条件によって調整することができる。
【0016】
加えて、様々な実施形態は、異なる組合せの電気リソースを組み合わせ、その電力を、予め設定された優先レベルに従うことによって異なる負荷に分配する、柔軟な電気アーキテクチャを提供する。このアーキテクチャは、カスタマイズされた解決策を必要とせずに、異なる発電機リソース及び負荷の追加及び除去を可能にする。
【0017】
電解の電力要件
電解槽は、低温であるか高温であるかを問わず、電気エネルギー及び熱エネルギーの双方を利用して、水分子を分割する。
【0018】
低温電解槽は、電解セル自体を通じて、すなわち、セル内でのIR損失を通じて、化学反応に利用される熱エネルギーを発生させる。ここで、Iは電流であり、Rは抵抗である。したがって、いくつかの実施形態においては、スタックに別個の熱エネルギーは供給されない。一方、固体酸化物型電解槽(SOEC)等の高温電解槽は、スタックを必要とされる高温(例えば、750℃超)に保つために、追加の熱エネルギーを利用する。また、SOECは、典型的には、熱中性電圧よりもはるかに低いセル電圧によって動作を開始するため、SOEC内の吸熱反応を補償するのに追加の熱エネルギーが必要となる。この熱エネルギーは、吸熱反応を補償しながらスタックを高温に保ち、外部源からもたらすことができ、及び/又は、電気エネルギー及び加熱器、例えば、スタック加熱器及び空気加熱器によって発生させることができる。
【0019】
液体の水を入力とする低温電解槽とは異なり、高温電解槽SOECは、蒸気を入力として必要とする。これは、外部源から直接蒸気を得ることによって達成することができ、及び/又は、気化器等の水加熱器を使用することによって電解槽の内部で発生させることができる。
【0020】
水素生成量又は水素生成率は、電解槽スタックに供給される電気エネルギー(電力)の量に応じて決まる。スタックに供給される電力は、電解槽スタック電圧に、電解槽スタックに供給される電流を乗じたものに等しい。また、スタック電圧は、スタック電流並びに他の物理的及び化学的パラメーターの関数である。他の物理的及び化学的パラメーターは、通常動作中に一定に保たれることから、実施形態が導出するスタック電力は、単一の変数(すなわち、スタック電流)によって制御することができる。実施形態において、ブロワー、ファン、弁、監視機器等のバランスオブプラント構成要素をカバーするために、様々な電気化学システムが追加の電力を必要とする場合がある。
【0021】
図1は、本発明の一例示の実施形態に係る、電気負荷を有する電解槽システム100を示している。システム100は、一例示の固体酸化物型電解槽システムを示している。例示の電気負荷は、スタックをホットボックス内に必要とされる高温に保つ加熱器と、液体の水を蒸気に変換する加熱器と、スタックと、バランスオブプラントとを含む。
【0022】
図1に示されているように、システム100は、固体酸化物型電解槽スタック201と、スタック加熱器202と、空気加熱器203と、気化器204とを備える。スタックへの電気エネルギー500は、SOECスタック201に供給される。スタック加熱器への電気エネルギー501は、スタック加熱器202に供給される。空気加熱器への電気エネルギー502は、空気加熱器203に供給され、気化器への電気エネルギー503は、気化器204に供給される。空気入力600は、周囲温度において空気加熱器203に供給される。加熱空気601は、SOECスタック201に供給される。液体の水602は、気化器204に供給される。蒸気(又は超加熱若しくは過熱された蒸気)は、SOECスタック201に供給される。
【0023】
様々な実施形態において、アーキテクチャは、SOECスタック201を加熱状態に保つために、空気加熱器及び/又は水加熱器を伴って又は伴わずに電解槽をサポートするように構成される。電解槽は、任意選択で、電解槽の内部にスタック加熱器、空気加熱器、及び水加熱器のうちの1つ以上を使用することができる。代替的に、熱エネルギーが外部源から供給される場合、スタック加熱器、空気加熱器、及び水加熱器のうちの1つ以上を省いてもよい。
【0024】
加熱器制御
電解槽スタック(複数の場合もある)をホストするホットボックス内の温度制御を達成する複数の設計方法がある。そのような方法の1つは、加熱器のセットを使用して、放射によって直接スタックを加熱し、加熱器の第2のセットを使用して、空気を加熱し、その高温空気をスタックに送ることである。複数の加熱器を使用するこのタイプの制御は、ホットボックスにわたる精密な温度制御及び熱均一性を可能にする。
【0025】
加熱器によって発生する熱エネルギーは、IR又はV/Rに比例し、ここで、I及びVは、加熱器の電流及び電圧であり、Rは、加熱器要素の抵抗である。加熱器電力供給部の設計者は、加熱器電力を制御するパラメーター(すなわち、V又はI)を選択することができる。ここで、双方のパラメーターは等価である。本開示において、電圧制御がいくつかの例において記載されるが、実施形態はそれに限定されない。実施形態は、V及びIの双方の制御を含む。
【0026】
固定電圧から可変電圧を達成する1つの技法は、AC電圧を有する1つ以上のシリコン制御整流器(SCR)を使用することによるものである。これは、低電力用途に使用することができるが、特に軽い負荷でのフリッカー及び低い力率等、電気用途における可変AC電圧源に基づくSCRの使用には、いくつかの不都合点がある。別の不都合点は、AC供給部が通常はユーティリティグリッドであるため、生じ得る短絡電流が大量になることである。そのため、この生じ得る高い短絡により、短絡時にホットボックス内で危険なほど高いアークフラッシュエネルギーがもたらされ得る。
【0027】
図2は、本発明の一例示の実施形態に係る、複数のDC電源及び複数の負荷を有するシステム200を示している。システム200は、一例示の固体酸化物型電解槽システムを示している。ここで、加熱器の電力制御には、調整可能なDC電圧が供給される。図2に示されているように、システム200は、SOECスタック201に供給される調整可能な電流(0~Irated)を有するDC源110と、スタック加熱器202に供給される調整可能な電圧(0~Vrated)を有するDC源121と、空気加熱器203に供給される調整可能な電圧(0~Vrated)を有するDC源122と、気化器204に供給される調整可能な電圧(0~Vrated)を有するDC源123とを含む、複数のDC電源を備える。
【0028】
スタックへの電気エネルギー500は、SOECスタック201に供給される。スタック加熱器への電気エネルギー501は、スタック加熱器202に供給される。空気加熱器への電気エネルギー502は、空気加熱器203に供給され、気化器への電気エネルギー503は、気化器204に供給される。空気入力600は、周囲温度において空気加熱器203に供給される。加熱空気601は、SOECスタック201に供給される。液体の水602は、気化器204に供給される。蒸気(又は超加熱若しくは過熱された蒸気)は、SOECスタック201に供給される。
【0029】
スタック電力制御
SOECスタックに供給される電力、ひいては水素生成は、概して、スタックを通って流れるDC電流を制御することによって制御される。したがって、DC電力供給部が、いくつかの実施形態においてスタックに必要とされる。
【0030】
第1のステージの変換:電力源から電解槽プラント
電解槽プラントへの電力源は、1つ以上の供給源から得ることができる。ユーティリティグリッドが一般的な電源であるが、メイングリッドに電気的に結合することができる、バックアップエンジン発電機、太陽光、風力、エネルギー貯蔵(例えば、バッテリ)、地熱、水力等のいくつかの他の供給源がある。電力リソースは、グリッドに結合して、電解槽プラントに1つのAC入力を供給するACとすることができ、又は、電力リソースは、複数の異なるAC源又はDC源とすることができる。様々な実施形態において、DCバスが使用され、このDCバスには、全ての電源が、それぞれの電力コンバーターを通して電気的に接続することができる。
【0031】
図3は、本発明の一例示の実施形態に係る、異なる電源を有する電解槽の第1のステージのアーキテクチャを有するシステム300を示している。
【0032】
図3に示されているように、システム300は、ユーティリティに接続されるACDCコンバーター(整流器)700と、エンジン発電機に接続されるACDCコンバーター(整流器)701と、太陽光に接続される最大電力点追従(MPPT)を有するDCDCコンバーター702と、貯蔵システムに接続されるDCDCコンバーター703とを備える。
【0033】
ユーティリティからのAC入力710は、ユーティリティに接続されるACDCコンバーター(整流器)700に供給される。エンジン発電機からのAC入力711は、エンジン発電機に接続されるACDCコンバーター(整流器)701に供給される。太陽光パネルからのDC入力712は、太陽光に接続されるMPPTを有するDCDCコンバーター702に供給される。バッテリからのDC入力713は、貯蔵システムに接続されるDCDCコンバーター703に供給される。
【0034】
ユーティリティに接続されるACDCコンバーター(整流器)700は、ユーティリティ整流器からのDC出力540をDCバス550に供給する。エンジン発電機に接続されるACDCコンバーター(整流器)701は、発電機整流器からのDC出力541をDCバス550に供給する。太陽光に接続されるMPPTを有するDCDCコンバーター702は、太陽光DCDCからのDC出力542をDCバス550に供給する。貯蔵システムに接続されるDCDCコンバーター703は、貯蔵DCDCからのDC出力543をDCバス550に供給する。
【0035】
電源タイプに応じて、ACDCコンバーター(整流器)を通して又はDCDCコンバーターを通して、異なる電源を共通のバスに接続することができる。ユーティリティ及びエンジン発電機は、対応する整流器700、701をそれぞれ通してDCバス550に電力を供給するAC源である。太陽光及びバッテリ電源は、DCDCコンバーター702、703をそれぞれ通してDCバス550に電力を供給するDC源である。システムDCバス550に接続される整流器及びDCDCは、様々なDCドループ制御方法を使用して並列に動作する。例えば、様々なドループ制御方法が、2023年1月31日に出願された「GRID SUPPORTING ELECTROLYZER」と題する米国特許出願第18/162,060号に記載されており、この米国特許出願は、参照により本明細書に援用する。
【0036】
追加のコンバーターの出力がバス上の残りのコンバーターのDCドループ制御に追従する限り、動作中の任意の時点において、1つ以上の追加の電源を、インターフェースコンバーター(例えば、電源タイプに基づき整流器又はDCDC)を通してシステムDCバス550に電気的に結合することができる。同様に、電力リソースのうちのいくつかが一時的に又は長時間妨害された場合、残りのシステムの設計を調整することを必要としないことができる。
【0037】
第2のステージの変換:電解槽負荷から共通のDCバスへの接続
図4は、本発明の一例示の実施形態に係る、異なる電源を有する電解槽の第2のステージのアーキテクチャを有するシステム400を示している。
【0038】
図4に示されているように、異なる電解槽からの異なる負荷を有する電気アーキテクチャが、1つのDCバス550に接続される。電解槽の構成要素400.1~400.nは、例えば、セグメントDCDCへのDC入力551及び加熱器DCDCへのDC入力552によって、DCバス550に電気的に結合される。
【0039】
各負荷に必要とされる電圧及び電流は、互いに異なるとともにDCバス電圧とも異なることから、全ての負荷が、インターフェースDCDCコンバーターを通してDCバス550に接続される。DCDCコンバーターは、負荷要件に応じて、0~最大定格電圧の間で可変の電圧を供給し、又は0~最大定格電流の間で可変の電流を供給するように構成される。DCDCは、入力と出力との間にガルバニック絶縁も提供する。各それぞれの電解槽400.1~400.nにおける電解槽スタック201が接地されることから、ガソリン絶縁は、接地ループを回避するのに役立ち、電解槽スタックを通過する異なる回路からの高い障害電流を回避するのにも役立つ。
【0040】
図4に示されているように、1つのDCバス550にはN個の電解槽400.1~400.nが接続することができ、各それぞれの電解槽400.1~400.nは、1つ以上のスタックと、1つ以上のスタックDCDCコンバーターと、複数の加熱器(例えば、202、203、204、20x)と、その各個のDCDC12xとを有することができる。電力要件に応じて、複数のDCDCを1つの加熱器に接続してもよく、又は1つのDCDCを複数の加熱器に接続してもよい。
【0041】
さらに、このアーキテクチャは、電解槽400.1~400.nの除去又は追加をサポートするのに十分な電力がバス上にある限り、電解槽ユニットの除去又は追加を可能にする。さらに、このアーキテクチャは、熱エネルギーが発生する方法に応じて、加熱器20x及び加熱器電力供給部12xの除去又は追加をサポートする。
【0042】
2ステージの電力変換
図5は、本発明の一例示の実施形態に係る、2ステージ電力変換を有するシステム500を示している。図5の要素は、図1図4に関連して図示及び記載したものと同じである。
【0043】
負荷の優先順位付け
SOECホットボックス内の頻繁なディープサーマルサイクル(deep thermal cycles)は、SOECスタックの劣化を加速させるおそれがあり得る。ディープサーマルサイクルを回避するために、SOECは、電解槽が水素を生成していないときでも、可能な限り所定の高温に保たれる。
【0044】
図6は、DCバス電圧に基づくスタックDCDC100及び加熱器DCDC12xの電力抑制を示している。
【0045】
DCバス550上に利用可能な電力が十分にない場合、スタック電力及び水加熱器よりも加熱器に優先順位が与えられる。実施形態は、接続された負荷におけるドループ特性をプログラミングすることによって優先順位を促進する。DCバス550上の電圧が負荷-発生の不均衡に起因して降下すると、接続された電解槽におけるDCDC110は、点551においてその電圧を確定し、DCバス550の回復を補助するために、スタックへの電力を低減することができる。利用可能な電圧が依然として降下している場合、スタック電力500は、加熱器DCDC12xが動作を再開する前に、完全にゼロに低減することができる。
【0046】
他の電解槽製造者は、絶縁要件、力率の問題等のいくつかの固有の不都合点を有する単一ステージの変換を使用している。本明細書に記載のアーキテクチャは、上述の不都合点を解消し、システムの再設計を必要とせずに、異なる電源及び負荷を追加/除去するためのより大きな柔軟性を与える。
【0047】
当業者であれば、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本発明の電解槽の電力変換において、様々な変更及び変形を行うことができることが明らかとなろう。したがって、本発明は、本発明の変更及び変形が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にあるならば、それらを包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】