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特開2023-129478改善された電源コントローラを有するエアロゾル発生装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129478
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】改善された電源コントローラを有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20230907BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20230907BHJP
   A24F 40/60 20200101ALI20230907BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20230907BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/51
A24F40/60
A24F40/40
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115149
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2021503853の分割
【原出願日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】18185888.7
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェストリーニ パトリック チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィチ
(57)【要約】
【課題】改善された電源コントローラを有するエアロゾル発生装置を提供する。
【解決手段】空気吸込み口(28a)と、空気出口(28b)と、空気吸込み口と空気出口の間に延びる気流通路と、エアロゾル形成基体(26)を加熱するための発熱体(30)と、気流通路と連通しているセンサー組立品(50)と、センサー組立品に連結され、発熱体への電力供給を制御するように構成されたコントローラ(60)と、を備える、エアロゾル発生装置(10)。センサー組立品(60)は、気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成されている。発熱体(30)に供給される電力量は、センサー組立品(60)によって測定される流量および圧力レベル、所与の吸煙の開始と前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了との間の時間の長さ、および所与の吸煙の吸煙番号のうちの少なくとも一つに依存する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
空気吸込み口と、
空気出口と、
前記空気吸込み口と前記空気出口の間に延びる気流通路と、
エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体と、
前記気流通路と連通しているセンサー組立品であって、前記気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成されているセンサー組立品と、
前記センサー組立品に連結され、前記発熱体への電力供給を制御するように構成されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、前記センサー組立品からデータを受信し、ユーザーが前記エアロゾル発生装置で吸煙する時を決定し、各吸煙が開始される時間および各吸煙が終了する時間を記録するようにさらに構成されており、
所与の吸煙に対して前記発熱体に供給される電力量が、前記所与の吸煙の開始と前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了との間の時間の長さに依存しており、従って、
前記コントローラが、
所与の吸煙の開始と前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了との間の第一の時間の長さに対して、前記発熱体への第一の電力量の供給を引き起こすように、および、
所与の吸煙の開始と前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了との間の第二の時間の長さに対して、前記発熱体への第二の電力量の供給を引き起こすように構成されており、
前記第一の時間の長さが前記第二の時間の長さよりも大きく、前記第一の電力量が前記第二の電力量よりも大きい、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
コントローラが、前記所与の吸煙に対して供給される電力量を、前記所与の吸煙に先行する一回以上の吸煙の歴史的測定値に基づいて調整するようにさらに構成されている、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記コントローラが、前記センサー組立品から前記コントローラに送信されたデータ値が閾値を超えるかどうかを判定し、前記データ値が閾値を超えた場合、前記データ値が吸煙の開始を示すと判定するようにさらに構成されている、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記コントローラが、前記センサー組立品から前記コントローラに送信されたデータ値が閾値より下であるかどうかを判定し、前記データ値が前記閾値より下の場合、前記データ値が吸煙の終了を示すと判定するようにさらに構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記コントローラが、前記発熱体に供給される電力量を判定するためにルックアップテーブルを使用するようにさらに構成され、前記ルックアップテーブルが一組の電力値および一組の時間範囲を含み、前記ルックアップテーブルが、各電力値を対応する時間範囲と関連付ける、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
エアロゾル発生装置であって、
空気吸込み口と、
空気出口と、
前記空気吸込み口と前記空気出口の間に延びる気流通路と、
エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体と、
前記気流通路と連通しているセンサー組立品であって、前記気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成されているセンサー組立品と、
前記センサー組立品に連結され、前記発熱体への電力供給を制御するように構成されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、前記センサー組立品からデータを受信し、ユーザーが前記エアロゾル発生装置で吸煙するときを記録し、前記コントローラによって記録された各吸煙に吸煙番号を割り当てるようにさらに構成されており、
前記所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量が、前記所与の吸煙の吸煙番号に依存する、エアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記所与の吸煙が発生しているとき、前記所与の吸煙に割り当てられた前記吸煙番号が閾値を超える場合は前記発熱体に電力が供給されないように前記コントローラがさらに構成されている、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記コントローラが、所与の吸煙番号に対して前記発熱体に供給される電力量を判定するためにルックアップテーブルを使用するようにさらに構成され、前記ルックアップテーブルが一組の電力値および一組の吸煙番号を含み、前記ルックアップテーブルの各電力値が前記ルックアップテーブルの他の電力値とは異なり、前記ルックアップテーブルが、各出力値を前記一組の吸煙番号のうちの一つの吸煙番号と関連付ける、請求項6または請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記コントローラが、第一の吸煙番号に対して第一のレベルの電力を供給し、第二の吸煙番号に対して第二のレベルの電力を供給するように構成され、前記第一のレベルの電力が前記第二のレベルの電力より大きく、前記第一の吸煙番号が前記第二の吸煙番号よりも大きい、請求項6~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記吸煙番号をゼロにリセットするためのボタンをさらに備える、請求項6~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記装置が、特定の番号の吸煙が発生してから所定の時間が経過した後に前記吸煙番号がゼロにリセットされるように構成されている、請求項6~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記センサー組立品が、前記気流通路内に配置された少なくとも一つのセンサーを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記センサー組立品が、前記気流通路に沿って間隔を介した第一の圧力レベルセンサーおよび第二の圧力レベルセンサーを備える、請求項12に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記発熱体がメッシュを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、前記エアロゾル発生装置で使用するための少なくとも一つのエアロゾル発生物品またはカートリッジを備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。特に本発明は、エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体を有するエアロゾル発生装置に関する。本発明はまた、エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品またはカートリッジと組み合わせた、こうしたエアロゾル発生装置を含むエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの手持ち式エアロゾル発生装置では、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生させるために、電気的に作動する発熱体が使用されうる。発熱体は、コントローラによって制御されうる。特に、コントローラは、ユーザーがエアロゾル発生装置を吸うかまたは吸煙するときに、その吸煙に対してエアロゾルを提供できるように、発熱体への電力の供給を引き起こすように構成されてもよい。これを達成するために、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置内の気流を感知するセンサーを備えてもよい。感知された気流は、ユーザーが吸煙することによって生じる吸込みを示すことができ、従って、発熱体への電力の供給、およびその結果として吸煙に対するエアロゾルの送達を引き起こすために使用されうる。こうした装置は、吸煙駆動式装置として知られうる。
【0003】
こうした吸煙駆動式装置では、ユーザーがエアロゾル発生装置を吸煙するたびに、所定量の電力が発熱体に供給される。しかし、こうした手配は望ましくない効果をもたらしうる。例えば、所与の吸煙の強度が低い場合、装置の気流チャネルからすべての蒸気が排出されるわけではない場合がある。これは、装置の壁に液体の蓄積を引き起こす場合があり、これはその後の吸煙に対する装置の性能に影響を及ぼす可能性がある。また、こうした液体は、最終的にユーザーの口に移動しうる。所与の吸煙の強度が高い場合、発熱体に送達される電力が前記吸煙からの十分な量のエアロゾルの送達をもたらすのに十分大きくない可能性があるため、別の欠点が生じうる。
【0004】
従って、こうした欠点に悩まされないエアロゾル発生装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によれば、空気吸込み口と、空気出口と、空気吸込み口と空気出口の間に延びる気流通路と、エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体とを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。装置は、気流通路と連通するセンサー組立品であって、気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成されたセンサー組立品と、センサー組立品に連結され、発熱体への電力供給を制御するように構成されたコントローラとをさらに備え、発熱体に供給される電力量は、センサー組立品によって測定された流量および圧力レベルのうちの一方または両方に依存する。
【0006】
発熱体に供給される電力量が、センサー組立品によって測定される流量および圧力レベルのうちの一方または両方に依存するように手配することによって、ユーザーは改善された経験を得ることができることを、本発明者らは認識していた。特に、ユーザーは、受容するエアロゾルの量を制御する手段として、自身の吸煙強度を使用することができる。例えば、ユーザーが装置を強く吸煙する場合、コントローラは、ユーザーが装置を軽く吸煙する場合よりも大きな電力量が発熱体に供給されるように手配しうる。こうした手配では、強い吸煙に対してより多くのエアロゾルまたはより濃縮されたエアロゾルを送達することができ、軽い吸煙に対してより少ないエアロゾルまたは濃縮度が低いエアロゾルを送達することができる。これは、ユーザーが受容するエアロゾルの特性を制御するより直感的な方法をユーザーに提供することができる。
【0007】
代替的であるが有利でもある解決策は、所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量を、前記所与の吸煙の開始から前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了までの時間の長さに応じて、調整または制御することであることも、本発明者らは認識していた。
【0008】
従って、本発明の第二の態様によれば、空気吸込み口と、空気出口と、空気吸込み口と空気出口と間に延びる空気流通路と、エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体と、気流通路と連通するセンサー組立品であって、気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成されているセンサー組立品と、センサー組立品に連結され、発熱体への電力供給を制御するように構成されたコントローラと、を備えるエアロゾル発生装置であって、コントローラが、センサー組立品からデータを受信して、ユーザーがエアロゾル発生装置を吸煙する時を判定し、各吸煙が開始する時間および各吸煙が終了する時間を記録するようにさらに構成されていて、所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力の量が、前記所与の吸煙の開始から前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了までの時間の長さに依存するエアロゾル発生装置が提供されている。
【0009】
所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量を、前記所与の吸煙の開始から前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了までの時間の長さに依存するように手配することによって、エアロゾルの送達は、ユーザーの最近の経験に適応するように調整されうる。例えば、ユーザーの最後の吸煙から短い時間しか経過していない場合、ユーザーの次の吸煙に対して比較的低い電力量を供給することが望ましい場合がある。同様に、ユーザーの最後の吸煙から長い時間が経過している場合、ユーザーの次の吸煙に対して比較的高い量の電力を供給することが望ましい場合がある。
【0010】
またさらに代替的で有利でもある解決策は、ユーザーが既に何回吸煙したかに応じて、所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量を調整または制御することであることも、本発明者らは認識していた。
【0011】
従って、本発明の第三の態様によれば、空気吸込み口と、空気出口と、空気吸込み口と空気出口と間に延びる気流通路と、エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体と、気流通路と連通するセンサー組立品であって、気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成されているセンサー組立品と、センサー組立品に連結され、発熱体への電力供給を制御するように構成されたコントローラと、を備えるエアロゾル発生装置であって、コントローラが、センサー組立品からデータを受信して、ユーザーがエアロゾル発生装置を吸煙する時を記録し、コントローラによって記録された各吸煙に吸煙番号を割り当てるようにさらに構成され、所与の吸煙に対する発熱体への電力供給量が、前記所与の吸煙の吸煙番号に依存する、エアロゾル発生装置が提供されている。
【0012】
所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量が、前記所与の吸煙の吸煙番号に依存するように手配することによって、エアロゾルの送達が、ユーザーの以前の経験に適応するように調整されうる。例えば、従来の紙巻たばこにおいて、ニコチン送達のレベルは、ユーザーの最後の数回の吸煙では、ユーザーの最初の数回の吸煙よりも高い。従って、コントローラは、より高い吸煙番号に対しては、より低い吸煙番号に対して発熱体に供給されるレベルよりも高いレベルの電力が発熱体に供給されるように手配されうる。例えば、コントローラは、第一の吸煙番号に対して第一のレベルの電力、および第二の吸煙番号に対して第二のレベルの電力を供給するように構成されてもよい。第一のレベルの電力は、第二のレベルの電力よりも大きくてもよく、第一の吸煙番号は第二の吸煙番号より大きくてもよい。第一の吸煙番号は、4~8、または6~8であってもよい。
【0013】
これは、エアロゾル発生装置が従来の紙巻たばこの挙動により密接に従うのに役立ちうる。
【0014】
本発明の第一、第二および第三の態様の好ましい特徴は下記の通りである。
【0015】
一部の実施形態では、発熱体に供給される電力量は、センサー組立品によって測定される流量および圧力レベルのうちの一方または両方に依存する。従って、コントローラは、センサー組立品によって測定される値に応じて、発熱体に少なくとも二つの異なる電力レベルまたは電力量を供給することができるように構成されている。これは、ユーザーが、エアロゾル発生装置をどのように使用するかを選択するのに応じて、異なる感覚経験を得ることができることを意味する。
【0016】
従って、コントローラは、気流通路内の第一のレベルの流量および第一の圧力レベルのうちの一方または両方を測定するセンサー組立品に応答して、発熱体への第一の電力量の供給を引き起こし、気流通路内の第二のレベルの流量および第二の圧力レベルのうちの一方または両方を測定するセンサー組立品に応答して、発熱体への第二の電力量の供給を引き起こすように構成されることが好ましい。
【0017】
一部の実施形態では、第一の電力量は第二の電力量よりも大きい。一部の実施形態において、第一のレベルの流量は第二のレベルの流量よりも大きい。一部の実施形態において、第一の圧力レベルは第二の圧力レベルよりも大きい。従って、こうした実施形態では、ユーザーが自身の吸煙強度を増加させることを選択した場合、より高い流量および圧力レベルのうちの一方または両方が、気流通路内に作り出される。これは、センサー組立品によって測定され、測定データがコントローラに送信されうる。コントローラは次に、この測定データを使用して、その吸煙に対して増加した電力レベルが発熱体に供給されることを確実にすることができる。
【0018】
コントローラは、任意の所与の吸煙に対して任意の数の異なる電力レベルが発熱体に供給できるように構成されうる。例えば、コントローラは、所与の吸煙に対して発熱体に供給されるべき電力量を、前記所与の吸煙の開始時にセンサー組立品によって測定された値に基づいて計算するアルゴリズムを利用してもよい。コントローラは、所与の吸煙の間に一定のレベルの電力が発熱体に供給されるように構成されうる。
【0019】
コントローラおよびセンサー組立品は、流量および圧力レベルのうちの一方または両方が所与の吸煙の間に繰り返し測定され、発熱体に供給される電力量が繰り返し測定に依存するように構成されうる。こうした実施形態では、所与の吸煙の間に様々なレベルの電力が発熱体に供給されうる。例えば、流量および圧力レベルのうちの一方または両方は、所与の吸煙の持続時間内の設定時間間隔で測定されてもよく、流量および圧力レベルのうちの一方または両方が、任意の二つの隣接した測定点の間で変化する場合、発熱体に供給される電力量は、供給される電力レベルが流量および圧力レベルのうちの一方または両方の直近の測定値に基づいて調整される。こうした手配は、有利なことに、発熱体の性能、よってエアロゾル送達の動的調整を可能にすることができる。
【0020】
時間間隔の持続時間は少なくとも0.05ミリ秒であってもよく、少なくとも10ミリ秒であることが好ましく、少なくとも100ミリ秒であることがより好ましい。時間間隔の持続時間は300ミリ秒以下であってもよく、100ミリ秒以下であることが好ましく、10ミリ秒以下であることがより好ましい。
【0021】
一部の好ましい実施形態では、コントローラは、発熱体に供給される電力量を判定するためのルックアップテーブルを使用するように構成されている。ルックアップテーブルは、一組の電力値と、一組の流量パラメータおよび一組の圧力レベルパラメータのうちの一方または両方とを含んでもよく、ルックアップテーブルは、各電力値を対応する流量パラメータ、圧力レベルパラメータ、またはその両方と関連付ける。流量パラメータは単一の流量値であってもよく、または流量値の範囲であってもよい。圧力レベルパラメータは単一の圧力レベル値であってもよく、または圧力レベル値の範囲であってもよい。
【0022】
例として、センサー組立品が所与の吸煙の間に第一の流量を測定する場合、コントローラは、ルックアップテーブル中の流量値のどの範囲が前記第一の流量を包含するかを決定し、どの電力値が前記判定された流量値の範囲に対応するかを判定して、前記電力値の発熱体への供給を引き起こすことができる。
【0023】
本明細書に記載のルックアップテーブル(複数可)はそれぞれ、コントローラにアクセス可能なコンピュータ可読メモリに保存されうる。コンピュータ可読メモリは、エアロゾル発生装置内に提供されてもよい。コンピュータ可読メモリは、エアロゾル発生装置の外部に保存されてもよいが、例えば、無線通信リンクによって、エアロゾル発生装置にアクセスしてもよい。
【0024】
一部の実施形態では、発熱体に供給される電力量は、所与の吸煙の開始と前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了との間の時間の長さに依存する。
【0025】
例えば、コントローラが、所与の吸煙の開始と前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了との間に第一の長さの時間が存在すると判定した場合、コントローラは、発熱体への第一の電力量の供給を引き起こすように構成されているのに対して、コントローラが、所与の吸煙の開始と前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了との間に第二の長さの時間が存在すると判定した場合、コントローラは、発熱体への第二の電力量の供給を引き起こすように構成されている。こうした手配では、第一の時間の長さは第二の時間の長さとは異なっており、第一の電力量は第二の電力量とは異なる。こうした手配では、第一の時間の長さは第二の時間の長さよりも長く、第一の電力量は第二の電力量よりも大きいことが好ましい。換言すれば、コントローラは、吸煙間により長い時間が経過するとき、発熱体に増加した電力量を供給するよう手配するように構成されてもよい。
【0026】
所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量が、前記所与の吸煙の開始と前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了との間の時間の長さに依存する場合、コントローラは、前記所与の吸煙に対して供給される電力量を、前記所与の吸煙に先行する一回以上の吸煙の過去の測定値に基づいてさらに調整するよう構成されてもよい。過去の測定値は、第一の先行する吸煙と第二の先行する吸煙との間に経過した時間など、二つ以上の先行する吸煙の間に経過した時間を含んでもよい。過去の測定値は、現在の使用セッション中にエアロゾル発生装置によって送達されたニコチンの推定量または計算量を含んでもよい。
【0027】
コントローラは、数多くの方法で所与の吸煙に対する開始時間および終了時間を判定するように構成されてもよい。一例として、コントローラは、センサー組立品から受信したデータをモニターし、測定された流量および圧力レベルのうちの一方または両方が定常状態値または値の範囲から非定常状態値に急速に変化したために、吸煙が開始したと判定してもよい。流量の場合、これは、測定される流量値が、値が測定されないまたは低い値が測定されることから、より高い値が測定されることへと急速に変化するときであってもよい。従って、一部の実施形態では、コントローラは、測定された流量および圧力レベル値のうちの一方または両方が所定の閾値を超えて上昇したために吸煙が開始された、と判定するように構成されてもよい。測定値が所定の閾値を超えて上昇する時点が、吸煙の開始時間として定義されうる。
【0028】
従って、コントローラは、センサー組立品からコントローラに送信されたデータ値が閾値を超えるかどうかを判定するように構成され、データ値が閾値を超えた場合、前記データ値が吸煙の開始を示すと判定することが好ましい。
【0029】
同様に、コントローラは、測定された流量および圧力レベル値のうちの一方または両方が所定の閾値より下に低下したために吸煙が終了した、と判定するように構成されてもよい。測定値が所定の閾値より下に低下する時点が、吸煙の終了時間として定義されうる。所与の吸煙の開始時間と所与の吸煙の終了時間との間の時間の長さは、前記所与の吸煙の吸煙持続時間として定義されうる。
【0030】
従って、コントローラは、センサー組立品からコントローラに送信されたデータ値が閾値より下かどうかを判定し、データ値が閾値より下の場合、前記データ値が吸煙の終了を示すと判定するように構成されていることが好ましい。
【0031】
一部の好ましい実施形態では、コントローラは、発熱体に供給される電力量を判定するためのルックアップテーブルを使用するように構成され、ルックアップテーブルは、一組の電力値および一組の時間範囲を含み、ルックアップテーブルは、各電力値を対応する時間範囲と関連付ける。例として、コントローラが、所与の吸煙の開始と直前の吸煙の終了との間に第一の時間の長さが存在すると判定した場合、コントローラは、どの時間範囲が前記第一の時間の長さを包含するかを判定し、どの電力値が前記判定された時間範囲に対応するかを判定し、前記所与の吸煙に対して前記電力値の発熱体への供給を引き起こすことができる。
【0032】
一部の実施形態では、所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量は、前記所与の吸煙の吸煙番号に依存する。例えば、所与の吸煙が低い吸煙番号を有するとコントローラが判定した場合、コントローラは、発熱体への第一の電力量の供給を引き起こすように構成されている一方、所与の吸煙が高い吸煙番号を有するとコントローラが判定した場合、コントローラは、発熱体への第二の電力量の供給を引き起こすように構成されている。こうした手配では、第一の電力量は第二の電力量とは異なる。こうした手配では、第一の電力量は第二の電力量よりも低いことが好ましい。換言すれば、コントローラは、装置が従来の紙巻たばこの挙動により密接に従うことができるように、ユーザーが装置ですでに数回の吸煙をしたように見えるとき、発熱体に増加した電力量を供給するよう手配するように構成されてもよい。
【0033】
別の方法として、または追加的に、コントローラは、ユーザーが装置ですでに数回の吸煙をしたように見えるとき、発熱体により低い電力量を供給するよう手配するように構成されてよい。これは、ユーザーが後の吸入で受容するエアロゾルの量を減らすインセンティブがある場合に望ましい場合がある。
【0034】
一部の好ましい実施形態では、コントローラは、所与の吸煙が発生しているときに、前記所与の吸煙に割り当てられた吸煙番号が閾値を超える場合、発熱体に電力が供給されないように構成されている。これは、ユーザーがエアロゾル発生装置で行いうる吸煙回数を制限することが望まれる場合に有利でありうる。
【0035】
一部の実施形態では、エアロゾル発生装置には、吸煙番号をリセットするための手段が提供されてもよい。例えば、エアロゾル発生装置には、ユーザーが吸煙番号をゼロにリセットすることを可能にするボタンが提供されてもよい。別の方法としてまたは追加的に、エアロゾル発生装置は、特定の番号の吸煙が発生してから所定の時間が経過した後に、吸煙番号がゼロにリセットされるように構成されてもよい。例として、エアロゾル発生装置が、単一の使用セッション中に7回の吸煙のみができるように構成されている場合、エアロゾル発生装置は、第七の吸煙が発生してから10分後に吸煙番号がゼロにリセットされるように構成されうる。
【0036】
一部の好ましい実施形態では、コントローラは、所与の吸煙番号に対して発熱体に供給される電力量を判定するためのルックアップテーブルを使用するように構成され、ルックアップテーブルは、一組の電力値および一組の吸煙番号を含み、ルックアップテーブルは、各電力値を対応する吸煙番号と関連付ける。より具体的には、ルックアップテーブルは、一組の電力値および一組の吸煙番号を含んでもよく、ルックアップテーブルの各電力値はルックアップテーブルの他の電力値とは異なり、ルックアップテーブルは、各電力値を一組の吸煙番号のうちの一つの吸煙番号と関連付ける。例として、所与の吸煙が現在の使用セッションの第一の吸煙であるとコントローラが判定した場合、コントローラは、ルックアップテーブル中のどの電力値が第一の吸煙番号に対応するかを決定し、前記所与の吸煙に対して発熱体への前記電力値の供給を引き起こすことができる。しかし、所与の吸煙が現在の使用セッションの第六の吸煙であるとコントローラが判定した場合、コントローラは、ルックアップテーブル中のどの電力値が第六の吸煙番号に対応するかを決定し、前記所与の吸煙に対して発熱体への前記電力値の供給を引き起こすことができる。
【0037】
エアロゾル発生装置は、発熱体に電気的に接続可能な電源を備えてもよい。電源は、発熱体に交流電流を提供するように構成されていることが好ましい。電源は、装置のハウジング内に配置されてもよい。電源はDC電源であってもよい。電源は電池であってもよい。電池は、リチウム系の電池、例えばリチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池であってもよい。電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池であってもよい。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また数多くの充放電サイクルのために構成されてもよい。電源は所定の吸煙回数、または霧化組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0038】
コントローラは、電源から発熱体への電力供給を制御するように構成された制御回路を備えてもよい。制御回路はマイクロコントローラを備えてもよい。マイクロコントローラはプログラム可能なマイクロコントローラであることが好ましい。制御回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。制御回路は発熱体への電力供給を調節するように構成されうる。
【0039】
エアロゾル発生システムは、電力を制御回路に供給するように配設された第一の電源、および電力を発熱体に供給するように構成された第二の電源を備えてもよい。
【0040】
センサー組立品は、流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成された少なくとも一つのセンサーを備える。少なくとも一つのセンサーは、温度センサー、流れセンサー、および圧力レベルセンサーのうちの一つ以上を備えてもよい。
【0041】
センサー組立品は、気流通路と流体連通しており、気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成されている。従って、センサー組立品は、気流通路内に配置された少なくとも一つのセンサーを備えてもよい。別の方法として、または追加的に、センサー組立品は、気流通路から間隔を介しているが、気流通路と流体連通している少なくとも一つのセンサーを備えてもよい。
【0042】
一部の好ましい実施形態では、センサー組立品は、気流通路に沿って間隔を介した第一の圧力レベルセンサーおよび第二の圧力レベルセンサーを備える。こうした手配は、第一および第二の圧力レベルセンサーによってそれぞれ測定される圧力レベル間の差を分析することによって、気流通路内の流量の計算を可能にしうる。
【0043】
本発明の第四の態様によると、第一、第二および第三の態様のいずれか一つによるエアロゾル発生装置と、ある量の液体エアロゾル形成基体を含有する液体貯蔵部分を含むカートリッジとを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0044】
本発明の第五の態様によると、第一、第二および第三の態様のいずれか一つによるエアロゾル発生装置と、カートリッジとを含むエアロゾル発生システムが提供されていて、カートリッジは、ニコチン供与源を含む第一の区画と、酸供与源を含む第二の区画と、ニコチン供与源からのニコチンと酸供与源からの酸を気流と混合してエアロゾルを形成するための混合チャンバーとを備え、発熱体は混合チャンバーを加熱するように構成されている。
【0045】
本発明の第六の態様によると、第一、第二および第三の態様のいずれか一つによるエアロゾル発生装置と、ある量の液体エアロゾル形成基体を含有する液体貯蔵部分を含むカートリッジとを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0046】
機能モジュールが、装置の実施形態において、記載された方法(複数可)の様々な工程を実行するために言及される場合、これらのモジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの二つの組み合わせで実施されうることが理解されるであろう。ハードウェアで実施される場合、モジュールは、一つ以上のアプリケーション固有の集積回路など、一つ以上のハードウェアモジュールとして実施されてもよい。ソフトウェアで実施される場合、モジュールは、一つ以上のプロセッサ上で実行される一つ以上のコンピュータプログラムとして実施されてもよい。
【0047】
本発明の発熱体は電気的に作動し、電力の供給を受けるように構成されている。電気的に作動する発熱体は、数多くの異なる構成を有してもよい。例えば、発熱体は、コイルを備えてもよい。コイルは、液体エアロゾル発生基体を収容する貯蔵部分からコイルに隣接した場所へと液体を搬送するように構成された芯の周りに延びてもよい。搬送された液体を気化してエアロゾルを生成するために、コイル発熱体を使用することができる。
【0048】
発熱体は、実質的に平坦な、導電性かつ流体透過性の発熱体(メッシュなど)であることが好ましい。例えば、発熱体は、例えば相互に平行に配設された、フィラメントのアレイであってもよい。
【0049】
電気的に作動する発熱体は、磁性材料を含むことが好ましい。発熱体のための適切な磁性材料としては、フェライト、電磁鋼、およびパーマロイが挙げられる。
【0050】
本発明に関連して本明細書で使用される「空気吸込み口」という用語は、空気が通ってカートリッジまたはエアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の中に引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0051】
本発明に関連して本明細書で使用される「空気出口」という用語は、空気が通ってカートリッジまたはエアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分から外に引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0052】
本発明に関連して本明細書で使用される「近位」「遠位」「上流」および「下流」という用語は、カートリッジおよびエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。
【0053】
本発明に関連して本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの近位端と反対側の遠位端との間の方向を記述するために使用され、また「横断方向」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を記述するために使用される。
【0054】
本発明に関連して本明細書で使用される「長さ」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの近位端と反対側の遠位端との間の長軸方向軸に平行である、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の最大長軸方向寸法を記述するために使用される。
【0055】
本発明に関連して本明細書で使用される「高さ」および「幅」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの長軸方向軸と直角を成す、カートリッジまたはエアロゾル発生システムもしくはエアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の最大横断寸法を記述するために使用される。カートリッジまたはエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の高さと幅が同一ではない場合、「幅」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの長軸方向軸に対して直角を成す二つの横断寸法のうちのより大きい方を指すために使用される。
【0056】
本発明に関連して本明細書で使用される「細長い」という用語は、その幅および高さより大きい長さを有する構成要素または構成要素の部分を記述するために使用される。
【0057】
本発明に関連して本明細書で使用される「ニコチン」という用語は、ニコチン、ニコチン塩基、またはニコチン塩を記述するために使用される。第一の担体材料がニコチン塩基またはニコチン塩で含浸されている実施形態において、本明細書に列挙したニコチンの量は、それぞれニコチン塩基の量またはイオン化されたニコチンの量である。
【0058】
本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にする任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、システムの使用中に空気がシステムを通して引き出される方向に対して、ヒーター組立品、カートリッジ、またはエアロゾル発生システムの要素または要素の部分の相対位置を記述するために使用される。
【0059】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、ヒーター組立品、カートリッジ、またはエアロゾル発生システムの上流端と下流端の間の方向を記述するために使用され、「横断方向」という用語は、長軸方向と直交する方向を記述するために使用される。ヒーター組立品に関しては、「横断方向」という用語は、多孔性シート(複数可)の平面に平行な方向を指し、一方で「直交」という用語は、多孔性シート(複数可)の平面に直交する方向を指す。
【0060】
エアロゾル発生システムは、ユーザーがマウスピースを吸って口側端の開口を通してエアロゾルを引き出すことを可能にするように構成された手持ち式エアロゾル発生システムであってもよい。エアロゾル発生システムは従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。エアロゾル発生システムは約30mm~約150mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生システムは約5mm~約30mmの外径を有してもよい。
【0061】
本発明の一態様の特徴は、本発明のその他の態様にも適用されてもよい。特に、本発明は異なる態様に関して上述してきたが、こうした態様は必ずしも相互排他的ではなく、互いに組み合わせて適用してもよいことが理解されるであろう。例として、本発明の第一および第三の態様を互いに組み合わせて採用してもよい。この場合、コントローラは、任意の電力値制限を所与の吸煙に適用すべきかどうかを決定するために、所与の吸煙の吸煙番号を最初に決定するように構成されてもよい。しかしながら、次にコントローラはさらに、前記所与の吸煙全体を通して測定される流量および圧力レベルのうちの一方または両方に基づいて、前記所与の吸煙中に発熱体に供給される電力レベルを調整または制御するように構成されてもよい。より具体的には、コントローラが所与の吸煙の吸煙番号を決定すると、コントローラは、前記所与の吸煙に関連付けられた特定のルックアップテーブルによって定義される前記所与の吸煙に対する電力供給オプションを制限してもよい。特定のルックアップテーブルは、一組の電力値と、一組の流量パラメータおよび一組の圧力レベルパラメータのうちの一方または両方とを含んでもよく、ルックアップテーブル中で、各電力値は対応する流量パラメータ、圧力レベルパラメータ、またはその両方と関連付けられている。その他の吸煙番号については、個別のルックアップテーブルを使用することができ、それぞれが前記吸煙番号に対して提供された特定のパラメータを含む。
【0062】
本発明はまた、上述のエアロゾル発生装置によって実施されうる方法(複数可)に関する。従って、本発明の第七の態様によれば、エアロゾル発生装置を動作する方法が提供されており、方法は、エアロゾル発生装置の気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定することと、エアロゾル発生装置の発熱体への電力供給を制御することと、を含み、発熱体に供給される電力量は、センサー組立品によって測定される流量および圧力レベルのうちの一方または両方に依存する。
【0063】
本発明の第八の態様によれば、エアロゾル発生装置を動作する方法が提供されており、方法は、エアロゾル発生装置の気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定することと、流量および圧力レベルのうちの一方または両方に対して少なくとも一つの測定値を受信することと、少なくとも一つの測定値を分析し、ユーザーがエアロゾル発生装置を吸煙するときを判定し、各吸煙の開始時間およびの終了時間を記録することと、エアロゾル発生装置の発熱体への電力供給を制御することと、を含み、所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量は、前記所与の吸煙の開始と前記所与の吸煙の直前の吸煙の終了との間の時間の長さに依存する。
【0064】
本発明の第九の態様によれば、エアロゾル発生装置を動作する方法が提供されており、方法は、エアロゾル発生装置の気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定することと、流量および圧力レベルのうちの一方または両方に対して少なくとも一つの測定値を受信することと、少なくとも一つの測定値を分析し、ユーザーがエアロゾル発生装置を吸煙するときを記録することと、各記録された吸煙に吸煙番号を割り当てることと、エアロゾル発生装置の発熱体への電力供給を制御することと、を含み、所与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量は、前記所与の吸煙の吸煙番号に依存する。
【0065】
本開示はまた、コントローラおよびセンサー組立品に関して上述した好ましい機能に基づいて、本発明の第七、第八、および第九の態様のそれぞれに対する好ましい方法の工程を組み込む。例として、好ましい実施形態において、コントローラはさらに、発熱体に供給される電力量を判定するためのルックアップテーブルを使用するように構成されている。結果として、本開示はまた、発熱体に供給される電力量を決定するためのルックアップテーブルを使用する好ましい方法の工程を組み込む。
【0066】
ここで本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図を示す。
図2図2は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生装置で使用するためのコントローラのブロック図である。
図3A-3C】図3A~3Cは、図1および2のコントローラによって使用されるルックアップテーブルを示す。
【0068】
図1は、連結されて一緒になったカートリッジ20とエアロゾル発生装置40とを備えるエアロゾル発生システム10の概略図である。装置は、電池の形態である電源41と、電源41に連結された制御回路を含むコントローラ60とを備える。
【0069】
カートリッジ組立品20は、システム用のマウスピースを形成するハウジング22を備える。ハウジング内には液体エアロゾル形成基体26を保持する貯蔵容器24がある。毛細管本体27は、液体貯蔵容器24の開放端に隣接して配置されている。電気ヒーター30は毛細管本体27の外表面に隣接して提供されていて、これによって毛細管本体27は液体エアロゾル形成基体26を液体貯蔵容器26から電気ヒーター30に運ぶことができる。毛細管本体27および電気ヒーター30は共に、ヒーター組立品31の少なくとも一部を形成する。
【0070】
電気ヒーター30はまた、カートリッジ20の中の気流経路に隣接して配置されている。気流経路は、図1において湾曲した矢印で示されている。気流経路は、空気吸込み口28aからカートリッジハウジング22の中の口側端の開口部に形成された空気出口28bに延びる。
【0071】
図1に示す通り、カートリッジ20がエアロゾル発生装置40に連結されている時に、電気ヒーター30は電源41に電気的に連結されている。従って装置40は、液体エアロゾル形成基体を気化するために、カートリッジ20の中の電気ヒーター30に電力を供給するように機能する。気化されたエアロゾル形成基体はシステムを通る気流中に同伴され、気流はユーザーがカートリッジ20の口側端で吸煙することによってもたらされる。気化されたエアロゾル形成基体は気流中で冷めて、ユーザーの口の中に引き出される前にエアロゾルを形成する。
【0072】
圧力レベルセンサーを備えるセンサー組立品50は、気流経路に隣接したカートリッジ20中に配置される。センサー組立品50は、コントローラ60に連結され、圧力レベルセンサーからコントローラ60に測定データを送信するように構成されている。センサー組立品50は、カートリッジ20内に配置されているとして図1に示されているが、センサー組立品50は、代替的に装置20内に配置されてもよいことが理解されるであろう。
【0073】
図2は、本発明の第二の実施形態によるコントローラ260のブロック図である。コントローラは、センサー組立品50から測定データを受信するように構成された受信モジュール262と、発熱体30に供給される電力量を判定するように構成された判定モジュール264と、発熱体30への電力供給を開始するように構成された電力供給モジュール266とを含む。判定モジュール264は、クロック265、少なくとも一つのルックアップテーブル267、およびコンピュータ可読メモリ269に連結されている。例示的なルックアップテーブル267を図3A~3Cに示す。
【0074】
第一の例示的実施では、コントローラ260の受信モジュール262は、センサー組立品50から測定値を受信し、この測定値を判定モジュール264にリレーする。判定モジュール264は、図3Aの第一のルックアップテーブル267Aを使用して、第一のルックアップテーブル267A中のどの圧力範囲が測定値を包含するかを判定する。次いで、判定モジュールは、第一のルックアップテーブル267A中のどの電力値が前記圧力範囲に対応するかを判定する。次いで、電力供給モジュール266は、発熱体30へのこの電力レベルの供給を開始する。例えば、測定値が80パスカルである場合、発熱体には2ワットの電力レベルが供給され、測定値が180パスカルである場合、発熱体には4ワットの電力レベルが供給される。第一の例示的実施では、測定値は、100ミリ秒毎に、センサー組立品50からコントローラ260の受信モジュール262に送信されうる。発熱体に供給される電力量が連続的に調整できるように、測定値がコントローラ260で受信されるたびに、発熱体に対する電力レベルが計算される。
【0075】
第二の例示的実施では、コントローラ260の受信モジュール262はセンサー組立品50から測定値を繰り返し受信し、これらの測定値を判定モジュール264にリレーする。判定モジュール264は、受信した測定値を分析し、測定値がコンピュータ可読メモリ269に保存された第一の所定の閾値よりも上に上昇する時点、およびコンピュータ可読メモリ269に保存された第二の所定の閾値よりも下に上昇する時点を判定する。これが発生するたびに、判定モジュール264はクロック265を使用して各上昇および低下の時点を確立し、この時間的情報を、エアロゾル発生装置上で各吸煙が開始される時間およびエアロゾル発生装置上で各吸煙が終了する時間として、コンピュータ可読メモリ269に記録する。その後、判定モジュール264はこの記録されたデータを使用して、吸煙間の時間の長さを決定する。判定モジュール264は次に、この判定された時間の長さを、図3Bの第二のルックアップテーブル262Bの経過した時間範囲と比較して、現在の吸煙に対して発熱体30に供給されるべき電力レベル値を確立する。次いで、電力供給モジュール266は、発熱体30へのこの電力レベルの供給を開始する。
【0076】
第三の例示的実施では、コントローラ260の受信モジュール262は、センサー組立品50から測定値を繰り返し受信し、これらの測定値を判定モジュール264にリレーする。第二の実施と類似の方法で、判定モジュールは測定値を分析し、エアロゾル発生装置10上で吸煙が行われるときを確立する。しかしながら、第三の例示的実施では、判定モジュール264はさらに、エアロゾル発生装置10上で行われる各吸煙に吸煙番号を割り当てる。特に第三の実施では、測定値が第一の所定の閾値を超えて上昇することを判定モジュール264が検出すると、判定モジュール264は、装置上で新しい吸煙が行われていると判定する。次に、判定モジュール264は、現在の吸煙にn+1の吸煙番号を割り当てるが、ここで、nは装置上での最新の吸煙の吸煙番号である。次いで、判定モジュール264は、割り当てられた吸煙番号を、図3Cの第三のルックアップテーブルに含まれる吸煙番号と比較して、前記吸煙番号に対応する電力レベルを特定する。その後、電力供給モジュール266は、現在の吸煙間の使用のためにこの特定された電力レベルの発熱体30への供給を開始する。
【0077】
上述の考察から理解されるように、本開示はまた、以下の番号付きの項を含む。
1. エアロゾル発生装置であって、
空気吸込み口と、
空気出口と、
前記空気吸込み口と前記空気出口の間に延びる気流通路と、
エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体と、
前記気流通路と連通しているセンサー組立品であって、前記気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成されているセンサー組立品と、
前記センサー組立品に連結され、かつ前記発熱体への電力供給を制御するように構成されたコントローラであって、前記発熱体に供給される電力量が、前記センサー組立品によって測定される前記流量および前記圧力レベルのうちの一方または両方に依存するコントローラと、を備える、エアロゾル発生装置。
【0078】
2. 前記コントローラが、
前記気流通路内の第一のレベルの流量および第一の圧力レベルのうちの一方または両方を測定することに応答して、前記センサー組立品が前記発熱体への第一の電力量の供給を引き起こすように、および
前記気流通路内の第二のレベルの流量および第二の圧力レベルのうちの一方または両方を測定することに応答して、前記センサー組立品が前記発熱体への第二の電力量の供給を引き起こすように構成されている、項1に記載のエアロゾル発生装置。
【0079】
3. 所与の吸煙の持続時間内に設定時間間隔で、前記流量および前記圧力レベルのうちの一方または両方を繰り返し測定するように、前記センサー組立品が構成されていて、
前記流量および前記圧力レベルのうちの一方または両方が、任意の二つの隣接した測定点の間で変化した場合、前記電力量が前記流量および前記圧力レベルのうちの前記一方または両方の直近の測定値に基づくように、前記発熱体に供給される前記電力量を調整するように前記コントローラが構成されている、項1または項2に記載のエアロゾル発生装置。
【0080】
4. 前記コントローラが、前記発熱体に供給される電力量を判定するためのルックアップテーブルを使用するようにさらに構成され、前記ルックアップテーブルが、一組の電力値と、一組の流量パラメータおよび一組の圧力レベルパラメータのうちの一方または両方とを含み、前記ルックアップテーブルが、各電力値を、対応する流量パラメータ、圧力レベルパラメータ、または両方と関連付ける、項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
図1
図2
図3A-3C】
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
空気吸込み口と、
空気出口と、
前記空気吸込み口と前記空気出口の間に延びる気流通路と、
エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体と、
前記気流通路と連通しているセンサー組立品であって、前記気流通路内の流量および圧力レベルのうちの一方または両方を測定するように構成されているセンサー組立品と、
前記センサー組立品に連結され、前記発熱体への電力供給を制御するように構成されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、前記センサー組立品からデータを受信し、ユーザーが前記エアロゾル発生装置で吸煙するときを記録し、前記コントローラによって記録された各吸煙に吸煙番号を割り当てるようにさらに構成されており、
与の吸煙に対して発熱体に供給される電力量が、前記所与の吸煙の吸煙番号に依存
前記装置が、特定の番号の吸煙が発生してから所定の時間が経過した後に前記吸煙番号がゼロにリセットされるように構成されている、
エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記所与の吸煙が発生しているとき、前記所与の吸煙に割り当てられた前記吸煙番号が閾値を超える場合は前記発熱体に電力が供給されないように前記コントローラがさらに構成されている、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記コントローラが、所与の吸煙番号に対して前記発熱体に供給される電力量を判定するためにルックアップテーブルを使用するようにさらに構成され、前記ルックアップテーブルが一組の電力値および一組の吸煙番号を含み、前記ルックアップテーブルの各電力値が前記ルックアップテーブルの他の電力値とは異なり、前記ルックアップテーブルが、各出力値を前記一組の吸煙番号のうちの一つの吸煙番号と関連付ける、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記コントローラが、第一の吸煙番号に対して第一のレベルの電力を供給し、第二の吸煙番号に対して第二のレベルの電力を供給するように構成され、前記第一のレベルの電力が前記第二のレベルの電力より大きく、前記第一の吸煙番号が前記第二の吸煙番号よりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記吸煙番号をゼロにリセットするためのボタンをさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記センサー組立品が、前記気流通路内に配置された少なくとも一つのセンサーを備える、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記センサー組立品が、前記気流通路に沿って間隔を介した第一の圧力レベルセンサーおよび第二の圧力レベルセンサーを備える、請求項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記発熱体がメッシュを備える、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、前記エアロゾル発生装置で使用するための少なくとも一つのエアロゾル発生物品またはカートリッジを備える、エアロゾル発生システム。