(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129532
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】チェックアウトシステム、決済装置、入力処理装置および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20230907BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
G07G1/12 321K
G07G1/01 301E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118323
(22)【出願日】2023-07-20
(62)【分割の表示】P 2022127873の分割
【原出願日】2015-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】名村 伸也
(57)【要約】
【課題】入力処理装置が各決済装置の状態を監視するための情報分析機能を不要にする。
【解決手段】チェックアウトシステムは、入力処理装置と複数台の決済装置とをネットワークで接続してなる。入力処理装置は、商品販売に係るデータの入力を待ち受け、入力されたデータを基に、商品販売に対する決済情報を生成する。入力処理装置は、複数台の決済装置のうち設定された1台の決済装置に対し、前記ネットワークを介して前記決済情報を送信する。決済装置は、決済情報の決済処理が可能なとき、当該決済情報を記憶領域に格納する。決済情報の決済処理が不可能なとき、当該決済情報を他の決済装置に転送する。決済装置は、記憶領域に格納された決済情報の決済を処理する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力処理装置と複数台の決済装置とをネットワークで接続してなり、
前記入力処理装置は、
取引に係るデータの入力を待ち受け、入力されたデータを基に、前記取引に対する決済情報を生成する生成手段と、
前記複数台の決済装置のうち設定された1台の決済装置に対し、前記ネットワークを介して前記決済情報を送信する送信手段と、
を具備し、
前記各決済装置は、
前記ネットワークを介して伝送された前記決済情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が可能なとき、当該決済情報を記憶領域に格納する格納手段と、
前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が不可能なとき、当該決済情報を前記ネットワークで接続される他の決済装置に転送する転送手段と、
前記記憶領域に格納された前記決済情報の決済を処理する決済手段と、
を具備したことを特徴とするチェックアウトシステム。
【請求項2】
前記各決済装置は、
前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が可能なとき、前記入力処理装置に対して決済処理が可能であることを通知する通知手段、
をさらに具備し、
前記入力処理装置は、
前記決済処理が可能であることを通知した前記決済装置へと買物客を案内する報知を行う報知手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のチェックアウトシステム。
【請求項3】
取引に係るデータの入力を待ち受け、入力されたデータを基に、前記取引に対する決済情報を生成する生成手段、および、ネットワークを介して接続される複数台の決済装置のうち設定された1台の決済装置に対して前記決済情報を送信する送信手段を備えた入力処理装置とチェックアウトシステムを構成する決済装置であって、
前記ネットワークを介して伝送された前記決済情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が可能なとき、当該決済情報を記憶領域に格納する格納手段と、
前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が不可能なとき、当該決済情報を前記ネットワークで接続される他の決済装置に転送する転送手段と、
前記記憶領域に格納された前記決済情報の決済を処理する決済手段と、
を具備したことを特徴とする決済装置。
【請求項4】
前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が可能なとき、前記入力処理装置に対して決済処理が可能であることを通知する通知手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項3記載の決済装置。
【請求項5】
受信手段により受信した決済情報の決済処理が可能なとき、当該決済情報を記憶領域に格納する格納手段、前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が不可能なとき、当該決済情報をネットワークで接続される他の決済装置に転送する転送手段、前記記憶領域に格納された前記決済情報の決済を処理する決済手段、および、前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が可能なとき、決済処理が可能であることを通知する通知手段、を備えた複数台の決済装置とネットワークで接続されてチェックアウトシステムを構成する入力処理装置であって、
取引に係るデータの入力を待ち受け、入力されたデータを基に、前記取引に対する決済情報を生成する生成手段と、
前記複数台の決済装置のうち設定された1台の決済装置に対し、前記ネットワークを介して前記決済情報を送信する送信手段と、
前記決済処理が可能であることを通知した前記決済装置へと買物客を案内する報知を行う報知手段と、
を具備したことを特徴とする入力処理装置。
【請求項6】
取引に係るデータの入力を待ち受け、入力されたデータを基に、前記取引に対する決済情報を生成する生成手段、および、ネットワークを介して接続される複数台の決済装置のうち設定された1台の決済装置に対して前記決済情報を送信する送信手段を備えた入力処理装置とチェックアウトシステムを構成し、前記ネットワークを介して伝送された前記決済情報を受信する受信手段を備えた決済装置のコンピュータに、
前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が可能なとき、当該決済情報を記憶領域に格納する機能、
前記受信手段により受信した前記決済情報の決済処理が不可能なとき、当該決済情報を前記ネットワークで接続される他の決済装置に転送する機能、および、
前記記憶領域に格納された前記決済情報の決済を処理する機能、
を実現させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、チェックアウトシステムおよびこのシステムを構成する決済装置と入力処理装置、並びにコンピュータに前記決済装置としての機能を実現させるための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
量販店向けのチェックアウトシステムとして、商品データの入力処理装置と取引の決済装置とを分離したタイプがある。入力処理装置は、商品販売に係るデータの入力を待ち受ける。そして、操作者によってデータが入力されると、入力処理装置は、そのデータを基に決済情報を生成し、この決済情報を決済装置に送信する。決済装置は、決済情報に対する支払いデータの入力を待ち受ける。そして、操作者によって支払いデータが入力されると、決済装置は、決済情報と支払いデータとに基づいて決済を処理する。このような入力処理装置と決済装置とを分離したタイプのチェックアウトシステムは、入力処理装置を店員が操作し、決済装置を買物客が操作する、いわゆるセミセルフ方式を採用できる。
【0003】
セミセルフ方式を採用した場合、決済装置の操作に買物客が手間取ったために、その後の買物客が決済を待つという事態を極力なくしたい。そこで従来から、入力処理装置の台数よりも決済装置の台数を多くしている。この場合、入力処理装置が各決済装置の状態を監視し、空いている決済装置を自動的に選択して、その決済装置に決済情報を送信する形態と、各決済装置の状態を入力処理装置のディスプレイに表示し、店員が空いている決済装置を選択して、その決済装置に決済情報を送信する形態とがある。
【0004】
いずれの形態においても、入力処理装置が各決済装置の状態を監視するために、決済装置から状態情報(ステータス)を収集し分析する情報分析機能が入力処理装置に必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、入力処理装置が各決済装置の状態を監視するための情報分析機能を不要にできるチェックアウトシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、チェックアウトシステムは、生成手段および送信手段を備えた入力処理装置と、受信手段、格納手段、転送手段および決済手段を備えた複数台の決済装置とをネットワークで接続してなる。生成手段は、取引に係るデータの入力を待ち受け、入力されたデータを基に、取引に対する決済情報を生成する。送信手段は、複数台の決済装置のうち設定された1台の決済装置に対し、ネットワークを介して決済情報を送信する。受信手段は、ネットワークを介して伝送された決済情報を受信する。格納手段は、受信した決済情報の決済処理が可能なとき、当該決済情報を記憶領域に格納する。転送手段は、受信した決済情報の決済処理が不可能なとき、当該決済情報をネットワークで接続される他の決済装置に転送する。決済手段は、記憶領域に格納された決済情報の決済を処理する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態におけるチェックアウトシステムの模式図。
【
図2】本実施形態における商品登録装置および決済装置の要部回路構成を示すブロック図。
【
図3】商品登録装置のRAMに形成される主要なメモリ領域を示す模式図。
【
図4】決済装置のRAMに形成される主要なメモリ領域を示す模式図。
【
図5】商品登録装置のCPUが、制御プログラムにしたがって実行する制御処理の主要な手順を示す流れ図。
【
図6】商品登録装置のCPUが、制御プログラムにしたがって実行するメイン処理の主要な手順を示す流れ図。
【
図7】商品登録装置のタッチパネルに表示される登録画面の一例を示す模式図。
【
図8】商品登録装置のタッチパネルに表示される送信画面の一例を示す模式図。
【
図9】決済装置のCPUが、制御プログラムにしたがって実行するメイン処理の主要な手順を示す流れ図。
【
図10】決済装置のCPUが、制御プログラムにしたがって実行する受信割込み処理の主要な手順を示す流れ図。
【
図11】決済登録装置のタッチパネルに表示される決済画面の一例を示す模式図。
【
図12】商品登録装置のタッチパネルに表示される案内画面の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、入力処理装置が各決済装置の状態情報を収集する必要のないチェックアウトシステムの実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施形態は、量販店等の店舗に構築されたセミセルフ方式のチェックアウトシステムについて例示する。このシステムにおいては、入力処理装置の一態様である商品登録装置を店員が操作し、決済装置を買物客が操作する。
【0010】
図1は、本実施形態におけるチェックアウトシステム10の模式図である。チェックアウトシステム10は、複数台の商品登録装置11と、商品登録装置11よりも台数の多い決済装置12とを含む。商品登録装置11および決済装置12は、店舗のチェックアウトレーン毎に配置される。
【0011】
図1においては、2台の商品登録装置11と6台の決済装置12とを2つのチェックアウトレーンに配置した場合を示している。
図1においては、1つのチェックアウトレーンに対して1台の商品登録装置11と3台の決済装置12とが配置されている。チェックアウトシステム10が、商品登録装置11および決済装置12をそれぞれ何台含むかは任意である。また、チェックアウトレーンに配置される商品登録装置11と決済装置12との台数の比も任意である。
【0012】
商品登録装置11は、チェッカと呼ばれる役割を担った店員21が、その操作者となる。決済装置12は、店舗で販売される商品を購入する買物客22が、その操作者となる。なお、決済装置12は、店員21により操作される場合もある。
【0013】
商品登録装置11は、
図1においては、作業テーブル23に取り付けられる。作業テーブル23は、矩形の天板を有する。複数の作業テーブル23が、天板の長手方向がほぼ並行するように配置されることにより、買物客22用の通路(チェックアウトレーン)が形成される。
【0014】
商品登録装置11は、買上商品の登録処理、決済情報の生成、決済処理、ならびに決済情報の決済装置12への送信の各機能を備える。登録処理は、通路に進入してきた買物客22が持参した商品を買上商品として登録する処理である。決済処理は、商品の売買行為である取引を決済するための処理である。決済情報は、決済処理に必要となる情報である。
【0015】
決済装置12は、商品登録装置11から決済情報を受信した場合に、当該決済情報に基づく決済処理を行う。
【0016】
図2は、商品登録装置11および決済装置12の要部回路構成を示すブロック図である。商品登録装置11および決済装置12は、いずれもネットワークであるLAN(local area network)13に接続されている。ネットワークは、LAN13に代えて、インターネットや無線LANなどの別の通信網を用いることもできる。あるいは商品登録装置11と決済装置12との間でサーバを介して情報を授受する構成としてもよい。
【0017】
商品登録装置11は、CPU(central processing unit)11a、ROM(read-only memory)11b、RAM(random-access memory)11c、補助記憶ユニット11d、ドロワ開放ユニット11e、スキャナ11f、タッチパネル11g、プリンタ11h、カードリーダライタ11i、通信ユニット11jおよび伝送システム11kを含む。
【0018】
CPU11a、ROM11b、RAM11cおよび補助記憶ユニット11dは、伝送システム11kにより接続されてコンピュータを構成する。
CPU11aは、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU11aは、ROM11bおよびRAM11cに記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、商品登録装置11としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0019】
ROM11bは、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM11bは、上記オペレーティングシステムを記憶する。ROM11bは、上記ミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM11bは、CPU11aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
【0020】
RAM11cは、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM11cは、CPU11aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM11cは、CPU11aが各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0021】
補助記憶ユニット11dは、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット11dは、CPU11aが各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはCPU11aでの処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット11dとしては、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)、あるいはSSD(solid state drive)などを使用できる。
【0022】
ROM11bまたは補助記憶ユニット11dに記憶されるアプリケーションプログラムには、後述する制御処理に関して記述した制御プログラムを含む。商品登録装置11の譲渡は一般的に、制御プログラムがROM11bまたは補助記憶ユニット11dに記憶された状態にて行われる。しかし、制御プログラムがROM11bまたは補助記憶ユニット11dに記憶されない状態で、商品登録装置11が譲渡される場合もある。この場合には、制御プログラムは、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して譲渡される。あるいはネットワークを介して制御プログラムが譲渡され、この制御プログラムが上記の別途に譲渡された商品登録装置11の補助記憶ユニット11dに書き込まれてもよい。
【0023】
ドロワ開放ユニット11eは、貨幣を収容するためのドロワを自動的に開放する。 スキャナ11fは、商品の情報を読み取って、当該商品の商品コードを得る。スキャナ11fとしては、周知の種々のタイプのものをそのまま利用できる。スキャナ11fは、周知の種々のタイプうちの1つのみに対応していてもよいし、複数のタイプに対応していてもよい。すなわちスキャナ11fは、固定式またはハンディ式の2次元コードスキャナを含み得る。またスキャナ11fとしては、商品の画像から画像認識技術を利用して商品を識別するタイプのものを含み得る。
【0024】
タッチパネル11gは、表示デバイスおよびタッチセンサを含む。表示デバイスは、その表示画面を、GUI画面などの任意の画面とする。表示デバイスとしては、例えばカラーLCD等の周知のデバイスを利用できる。タッチセンサは、表示デバイスの表示面に重ねて配置されている。タッチセンサは、表示デバイスの表示面への操作者のタッチ位置を検出し、その位置情報をCPU11aへと送る。タッチセンサとしては、周知のデバイスを利用できる。
【0025】
プリンタ11hは、レシート用紙に対して各種の文字列や画像などを印刷することにより、レシートを発行する。この種のプリンタ11hとしては、例えばサーマルプリンタやドットインパクトプリンタなどを利用できる。
【0026】
カードリーダライタ11iは、カードに記録されたデータを読み取る機能と、上記カードへデータを書き込む機能とを有する。カードは、クレジットカード、デビットカード、電子マネーカード、プリペイドカードなどの決済用カードの他に、メンバーズカードやポイントカードなどと称される会員カードを含み得る。会員カードは、少なくともそのカードを所有する会員を識別するための情報を記録する。カードリーダライタ11iは、磁気式、接触式、あるいは非接触式のいずれのデバイスであってもよいし、また複数種のデバイスを含んでいてもよい。
【0027】
通信ユニット11jは、LAN13を介して接続される複数の決済装置12とデータ通信を行う。通信ユニット11jは、他の商品登録装置11とLAN13を介してデータ通信を行うこともできる。
【0028】
伝送システム11kは、CPU11a、ROM11b、RAM11c、補助記憶ユニット11d、ドロワ開放ユニット11e、スキャナ11f、タッチパネル11g、プリンタ11h、カードリーダライタ11iおよび通信ユニット11jの間で授受されるデータを伝送する。伝送システム11kは、システムバスなどの各種のバスと、これらのバスと各部とを接続する各種のインタフェース回路とを含む周知のものが利用できる。
【0029】
このような商品登録装置11のハードウェアとしては、例えば既存の対面販売方式に対応したPOS端末を利用することが可能である。
【0030】
決済装置12は、CPU12a、ROM12b、RAM12c、補助記憶ユニット12d、自動釣銭機12e、スキャナ12f、タッチパネル12g、プリンタ12h、カードリーダライタ12i、通信ユニット12jおよび伝送システム12kを含む。
【0031】
CPU12a、ROM12b、RAM12cおよび補助記憶ユニット12dは、伝送システム12kにより接続されてコンピュータを構成する。
【0032】
CPU12aは、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU12aは、ROM12bおよびRAM12cに記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、決済装置12としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0033】
ROM12bは、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM12bは、上記オペレーティングシステムを記憶する。ROM12bは、上記ミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM12bは、CPU12aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
【0034】
RAM12cは、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM12cは、CPU12aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM12cは、CPU12aが各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。
【0035】
補助記憶ユニット12dは、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット12dは、CPU12aが各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはCPU12aでの処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット12dとしては、例えばEEPROM、HDD、あるいはSSDなどを使用できる。
【0036】
ROM12bまたは補助記憶ユニット12dに記憶されるアプリケーションプログラムには、後述する制御処理に関して記述した制御プログラムを含む。決済装置12の譲渡は一般的に、制御プログラムがROM12bまたは補助記憶ユニット12dに記憶された状態にて行われる。しかし、制御プログラムがROM12bまたは補助記憶ユニット12dに記憶されない状態で、決済装置12が譲渡される場合もある。この場合には、制御プログラムは、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して譲渡される。あるいはネットワークを介して制御プログラムが譲渡され、この制御プログラムが上記の別途に譲渡された決済装置12の補助記憶ユニット12dに書き込まれてもよい。
【0037】
自動釣銭機12eは、投入される硬貨および紙幣を収受する。また自動釣銭機12eは、釣銭としての硬貨および紙幣を排出する。
【0038】
スキャナ12fは、商品の情報を読み取って、当該商品の商品コードを得る。スキャナ12fとしては、周知の種々のタイプのものをそのまま利用できる。スキャナ12fは、周知の種々のタイプうちの1つのみに対応していてもよいし、複数のタイプに対応していてもよい。すなわちスキャナ12fは、固定式またはハンディ式の2次元コードスキャナを含み得る。またスキャナ12fとしては、商品の画像から画像認識技術を利用して商品を識別するタイプのものを含み得る。
【0039】
タッチパネル12gは、表示デバイスおよびタッチセンサを含む。表示デバイスは、その画面を、GUI画面などの任意の画面とする。表示デバイスとしては、例えばカラーLCD等の周知のデバイスを利用できる。タッチセンサは、表示デバイスの表示面に重ねて配置されている。タッチセンサは、表示デバイスの表示面への操作者のタッチ位置を検出し、その位置情報をCPU12aへと送る。タッチセンサとしては、周知のデバイスを利用できる。
【0040】
プリンタ12hは、レシート用紙に対して各種の文字列や画像などを印刷することにより、レシートを発行する。この種のプリンタとしては、例えばサーマルプリンタやドットインパクトプリンタなどを利用できる。
【0041】
カードリーダライタ12iは、カードに記録されたデータを読み取る機能と、上記カードへデータを書き込む機能とを有する。カードは、クレジットカード、デビットカード、電子マネーカード、プリペイドカードなどの決済用カードの他に、メンバーズカードやポイントカードなどと称される会員カードを含み得る。会員カードは、少なくともそのカードを所有する会員を識別するための情報を記録する。カードリーダライタ12iは、磁気式、接触式、あるいは非接触式のいずれのデバイスであってもよいし、また複数種のデバイスを含んでいてもよい。
【0042】
通信ユニット12jは、LAN13を介して接続される複数の商品登録装置11とデータ通信を行う。通信ユニット12jは、他の決済装置12とLAN13を介してデータ通信を行うこともできる。
【0043】
伝送システム12kは、CPU12a、ROM12b、RAM12c、補助記憶ユニット12d、自動釣銭機12e、スキャナ12f、タッチパネル12g、プリンタ12h、カードリーダライタ12iおよび通信ユニット12jの間で授受されるデータを伝送する。伝送システム12kは、システムバスなどの各種のバスと、これらのバスと各部とを接続する各種のインタフェース回路とを含む周知のものが利用できる。
【0044】
このような決済装置12のハードウェアとしては、例えば既存のセルフ方式に対応したPOS端末を利用することが可能である。
【0045】
図3は、商品登録装置11のRAM11cに形成される主要なメモリ領域を示す模式図である。
図3において、メモリ領域31は、商品コード、商品名、単価、個数および金額の各データからなるレコードを複数格納する領域である。商品コードは、各商品を個々に識別するための固有のコードである。各商品には、例えばバーコードによって表される商品コードが付されている。商品名および単価は、同一レコードの商品コードによって特定される商品の名称および1点当たりの価格である。個数および金額は、同一レコードの商品コードによって特定される商品の販売データ、すなわち販売個数とその個数分の販売金額である。
【0046】
チェックアウトシステム10は、図示しないが、LAN13を介してデータベースサーバを接続する。このデータベースサーバには、各商品の商品コードに関連付けて、商品名、単価等の商品情報を設定するための商品データベースがある。商品登録装置11において、商品コードが取得されると、CPU11aは、その商品コードでデータベースサーバに商品情報を問い合わせる。この問合せを受けたデータベースサーバは、商品データベースにアクセスして、商品データベースから当該商品コードに関連付けられた商品情報を読出し、LAN13を介して商品登録装置11に通知する。商品登録装置11のCPU11aは、データベースサーバから通知された商品情報をメモリ領域31に格納する。以下では、メモリ領域31を登録商品テーブル31と称する。
【0047】
メモリ領域32は、合計個数と合計金額とを格納する領域である。合計個数は、登録商品テーブル31に格納された各レコードに示された個数の合計である。合計金額は、登録商品テーブル31に格納された各レコードに示された金額の合計である。以下では、メモリ領域32を合計テーブル32と称する。
【0048】
メモリ領域33は、決済情報の送信先となる決済装置12を特定するための送信先IDを格納する領域である。商品登録装置11は、買上商品の登録処理に基づいて生成された決済情報を、LAN13を介して決済装置12に送信する。このとき商品登録装置11は、予め設定された1台の決済装置12に対し、LAN13を介して決済情報を送信する。具体的には、商品登録装置11は、同じチェックアウトレーンに配置されている複数台(
図1では3台)の決済装置12の中から決定された1台の決済装置12に決済情報を送信する。すなわち、メモリ領域33には、この決定された1台の決済装置12を識別するためのIDが、送信先IDとして格納されている。
【0049】
図4は、決済装置12のRAM12cに形成される主要なメモリ領域を示す模式図である。
図4において、メモリ領域41は、商品登録装置11から受信した決済情報を一時的に格納する領域である。以下では、メモリ領域41を決済バッファ41と称する。
【0050】
メモリ領域42は、処理中フラグFの領域である。処理中フラグFは、決済情報に基づく決済処理を実行中か否かを識別する情報である。本実施形態において、処理中フラグFは、決済情報を実行中でないとき“0”にリセットされており、実行中になると“1”にセットされる。
【0051】
メモリ領域43は、決済情報の転送先となる他の決済装置12を特定するための転送先IDを格納する領域である。決済装置12は、決済バッファ41に格納された決済情報を基に決済処理を実行しているときには、別の決済情報を受信しても決済処理を行うことはできない。このとき決済装置12は、決済処理の途中で受信した決済情報を、他の決済装置12にLAN13を介して転送する。具体的には、決済装置12は、同じチェックアウトレーンに配置されている複数台(
図1では3台)の決済装置12の中から予め設定された他の1台の決済装置12に決済情報を転送する。すなわち、メモリ領域43には、この設定された他の1台の決済装置12を識別するためのIDが、転送先IDとして格納されている。
【0052】
なお、同じチェックアウトレーンに配置されている複数台の決済装置12の中で、決済情報が最後に転送される決済装置12においては、メモリ領域43に転送先IDが格納されていない。若しくは、転送先IDが未設定であることを示す情報が格納されている。また、メモリ領域43とは別の領域に、同じチェックアウトレーンに配置されている商品登録装置11の通信アドレスが格納されている。
【0053】
図5および
図6は、商品登録装置11のCPU11aが、制御プログラムにしたがって実行するメイン処理の主要な手順を示す流れ図である。
図7、
図8および
図12は、そのメイン処理によって商品登録装置11のタッチパネル11gに表示される種々の画面例を示す模式図である。
図9は、決済装置12のCPU12aが、制御プログラムにしたがって実行するメイン処理の主要な手順を示す流れ図であり、
図10は、同CPU12aが、同制御プログラムにしたがって実行する受信割込み処理の主要な手順を示す流れ図である。
図11は、メイン処理によって決済装置12のタッチパネル12gに表示される決済画面の一例を示す模式図である。以下、これらの図を用いて、チェックアウトシステム10の動作について説明する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0054】
はじめに、商品登録装置11の動作について説明する。
商品登録装置11が、買上商品の登録処理を行うモードで起動されると、CPU11aは、
図5の流れ図に示す手順の制御処理を開始する。先ずCPU11aは、登録商品テーブル31および合計テーブル32をクリアする(Act1)。次いでCPU11aは、タッチパネル11gの画面の一部に登録画面SC1(
図7を参照)を表示させる(Act2)。
【0055】
登録画面SC1は、登録商品テーブル31aおよび合計テーブル32aの内容を表し、登録処理の実施状況を店員21に確認させるものである。登録画面SC1の一例を
図7に示す。登録画面SC1は、表示エリアR1、R2を含む。表示エリアR1は、最も新しく買上登録がなされた商品に関する商品名、個数および単価と、その商品を登録した後の買上商品の合計個数および合計金額とを表示する。表示エリアR2は、登録画面SC1に示された商品よりも前に買上登録がなされた商品に関する商品名、個数、単価および金額のリストを表示する。
【0056】
なお、図示は省略するが、CPU11aは、タッチパネル11gの画面のうちの登録画面SC1とする領域外に、店員21が商品を指定するための商品ボタンや、小計ボタンなどの各種の機能ボタンを表示する。
【0057】
登録画面SC1が表示された状態で、店員21は、例えばスキャナ11fや商品ボタンを操作して、買物客22が買い上げる商品の商品コードを順次入力する。そして、全ての買上商品の商品コードを入力し終えると、店員21は、小計ボタンにタッチする。
【0058】
登録画面SC1を表示させたCPU11aは、買上登録すべき商品の商品コードが取得されるのを待ち受ける(Act3)。スキャナ11fまたは商品ボタンを介して入力された商品コードを取得すると(Act3にてYES)、CPU11aは、その商品コードに関連付けられて商品データベースに設定されている商品名、単価等の商品情報を検出する。またCPU11aは、この単価に販売個数を乗算して販売金額を算出する。そしてCPU11aは、商品コード、商品名、単価、販売個数および販売金額を含む商品販売データを1レコードとして、登録商品テーブル31aに登録する(Act4)。またCPU11aは、販売個数および販売金額を合計テーブル32aに加算する。そしてCPU11aは、登録商品テーブル31aおよび合計テーブル32aの内容に準じるように、登録画面SC1を更新する(Act5)。
【0059】
登録画面SC1を更新した後、CPU11aは、買上登録すべき商品の商品コードが取得されたか否かを確認する(Act6)。商品コードが取得されていない場合(Act6にてNO)、CPU11aは、小計ボタンがタッチされたか否かを確認する(Act7)。小計ボタンがタッチされていない場合(Act7にてNO)、CPU11aは、再び商品コードが取得されたか否かを確認する(Act6)。したがってCPU11aは、Act6およびAct7として、商品コードが取得されるか、小計ボタンがタッチされるのを待ち受ける。なおCPU11aは、ここでの待ち受けにおいて、他の操作が行われるなどの他の事象の発生を確認し、その発生事象に応じた処理に移行するようにしてもよい。
【0060】
Act6およびAct7の待ち受け状態において、商品コードが取得されると(Act6にてYES)、CPU11aは、Act4の処理に戻る。そしてCPU11aは、それ以降の処理を前述したのと同様に繰り返す。
【0061】
Act6およびAct7の待ち受け状態において、小計ボタンがタッチされたならば(Act7にてYES)、CPU11aは、この時点における登録商品テーブル31aおよび合計テーブル32aの内容に基づいて決済情報を生成する(Act8:生成手段)。そしてCPU11aは、タッチパネル11gの画面の一部に送信画面SC2(
図8を参照)を表示させる(Act9)。
【0062】
送信画面SC2の一例を
図8に示す。送信画面SC2は、表示エリアR3およびR4と、ボタンB1、B2、B3およびB4とを含む。表示エリアR3は、合計テーブル32aの合計個数および合計金額を表示する。表示エリアR4は、種々のメッセージを表示する。ボタンB1、B2は、合計金額に対して値引きを適用することを店員21が指定するためのものである。ボタンB3は、タッチパネル11gの画面の一部領域を登録画面SC1に戻すことを店員21が指定するためのものである。ボタンB4は、決済情報を決済装置12に送信することを店員21が指定するためのものである。以下の説明において、ボタンB3は戻るボタンB3と称し、ボタンB4は送信ボタンB4と称する。
【0063】
送信画面SC2を表示させると、CPU11aは、戻るボタンB3が操作されたか否かを確認する(Act10)。戻るボタンB3が操作されていない場合(Act10にてNO)、CPU11aは、送信ボタンB4が操作されたか否かを確認する(Act11)。送信ボタンB4が操作されていない場合(Act11にてNO)、CPU11aは、再び、戻るボタンB3が操作されたか否かを確認する(Act10)。したがってCPU11aは、Act10およびAct11として、戻るボタンB3または送信ボタンB4が操作されるのを待ち受ける。なおCPU11aは、ここでの待ち受け状態において、他の操作が行われるなどの他の事象の発生を確認し、その発生事象に応じた処理に移行するようにしてもよい。例えば、ボタンB1、B2のいずれかが店員21によりタッチされると、CPU11aは、決済情報に含まれる合計金額を、その後の店員21による指示に応じて変更する。
【0064】
Act10およびAct11の待ち受け状態において、戻るボタンB3が操作されると(Act10にてYES)、CPU11aは、タッチパネル11gの画面の一部領域を登録画面SC1に戻す(Act12)。その後、CPU11aは、Act6の処理に進み、以降の処理を前述と同様に繰り返す。
【0065】
Act10およびAct11の待ち受け状態において、送信ボタンB4が操作されると(Act11にてYES)、CPU11aは、
図6のAct13の処理に進む。すなわちCPU11aは、メモリ領域33に設定されている送信先IDを取得する(Act13)。そしてCPU11aは、この送信先IDで識別される1つの決済装置12に対し、Act8の処理で生成した決済情報を送信する(Act14:送信手段)。
【0066】
具体的にはCPU11aは、送信先IDで識別される1つの決済装置12に設定された通信アドレスを送信先アドレスとし、自らに設定された通信アドレスを送信元アドレスとして、決済情報をLAN13へと送信するように通信ユニット11jを制御する。これにより、決済情報がLAN13を介して送信先IDで識別される1つの決済装置12に対して送信される。このように送信先IDは、決済装置12に設定された通信アドレスと関連付けられている。あるいは送信先IDは、決済装置12に設定された通信アドレスそのものであってもよい。
【0067】
LAN13を介して送信された決済情報は、送信先アドレスが通信アドレスと一致する決済装置12にて受信される。決済情報を受信した決済装置12は、その決済情報の送信元アドレスを記憶することで、決済情報の送信元である商品登録装置11を特定できる。
【0068】
決済情報を送信した後、CPU11aは、決済装置12からの応答信号を待機する(Act15)。後述するが、決済情報を受信した決済装置12においては、商品登録装置11に対して受領応答信号を返す場合とエラー応答信号を返す場合とがある。CPU11aは、通信ユニット11jを介して応答信号を受信したならば(Act15にてYES)、その応答信号が受領応答なのかエラー応答なのかを識別する(Act16)。受領応答の場合(Act16にてYES)、CPU11aは、タッチパネル11gの画面の一部に案内画面SC4(
図12を参照)を表示させる(Act17:報知手段)。
【0069】
案内画面SC4は、決済情報の送信先である決済装置12を店員21に確認させるものである。案内画面SC4の一例を
図12に示す。案内画面SC4は、表示エリアR5とボタンB5とを含む。表示エリアR5は、合計テーブル32aの合計個数および合計金額とともに、メッセージを表示する。メッセージは、例えば「決済装置Bで決済してください」というように、決済情報の送信先である決済装置12を店員21に認識させるものである。なお、メッセージの内容は特に限定されるものではない。例えば「決済装置Bに送信しました」でもよいし、単に「決済装置B」もしくは「B」だけであってもよい。ボタンB5は、案内画面SC4を閉じることを店員21が指定するためのものである。このボタンB5が操作されると、CPU11aは、案内画面SC4を閉じて、1取引に対する情報処理を終了する。その後、CPU11は、Act1から処理を再開する。
【0070】
一方、応答信号が受領応答でなくエラー応答であった場合には(Act16にてNO)、CPU11aは、送信不可処理を実行する(Act18)。送信不可処理は、例えばAct14の処理で送信した決済情報が、同一のチェックアウトレーンに配置されている全ての決済装置12で格納処理されなかったことを店員21に報知する処理である。さらに、例えばその決済情報に対する決済処理を商品登録装置11で行うことを店員21に告知し、決済処理を実行することを含む。なお、送信不可処理は決済処理を商品登録装置11で実行するものに限定されるものではない。例えば、店舗のサービスカウンタに各チェックアウトレーン共有の決済装置を設置しておき、この決済装置に送信不可となった決済情報を、LAN13を介して送信するものであってもよい。
【0071】
送信不可処理が終了すると、CPU11aは、1取引に対する情報処理を終了する。その後、CPU11は、Act1から処理を再開する。
【0072】
決済装置12から受領応答信号があり、タッチパネル11gに表示された案内画面SC4を確認した店員21は、買物客22に対し、その案内画面SC4によって案内された決済装置12で決済を行うべき旨を告知する。この告知を受けた買物客22は、その決済装置12へと移動し、決済のための操作を行う。
【0073】
そこで次に、決済装置12の動作について説明する。
決済装置12が起動されると、CPU12aは、
図9の流れ図に示す手順のメイン処理を開始する。先ずCPU12aは、メモリ領域42の処理中フラグFを“0”に初期化する(Act21)。またCPU12aは、タッチパネル12gの画面を待機画面とする(Act22)。待機画面は、決済処理を行う状況にないことを表すものであり、どのような情報を表すかは任意であって良い。例えば待機画面は、決済処理を行うことができないことを表すメッセージを表すものや、スクリーンセーバーとして広告などを表す任意の画像を表示するものとすることが想定される。
【0074】
なお、Act21とAct22の処理手順は、
図9に示す手順に限定されるものではない。例えば先にAct22の処理を実行し、後からAct21の処理を実行してもよい。
【0075】
一方、メイン処理を開始したCPU12aは、このメイン処理と並行して
図10に示す受信割込み処理を実行可能である。受信割込み処理は、通信ユニット12jにて自らに設定された通信アドレスを送信先アドレスとする情報を受信すると開始される。
【0076】
受信割込み処理が開始されると、CPU12aは、先ず、その受信情報が決済情報であるか否かを識別する(Act31)。受信情報には、情報の種類を表す種別コードが含まれる。CPU12aは、この種別コードによって受信情報が決済情報であるか否かを識別する。受信情報が決済情報以外の場合(Act31にてNO)、CPU12aは、その受信情報の種別に応じた情報処理を実行する。
【0077】
受信情報が決済情報の場合(Act31にてYES)、CPU12aは、処理中フラグFを調べる(Act32)。ここで、処理中フラグFが“0”にリセットされている場合(Act32にてNO)、すなわち当該決済装置12で決済処理が実行されていないときには、CPU12aは、決済情報を受信したことをメイン処理に通知する(Act33)。
【0078】
一方、処理中フラグFが“1”にセットされている場合(Act32にてYES)、すなわち当該決済装置12で決済処理が実行されているときには、CPU12aは、メモリ領域43に転送先IDが格納されているか否かを確認する(Act34)。メモリ領域43に転送先IDが格納されていない場合(Act34にてNO)、CPU12aは、同じチェックアウトレーンに配置されている商品登録装置11に対してエラー応答信号を送信する(Act35)。
【0079】
具体的にはCPU12aは、商品登録装置11に設定された通信アドレスを送信先アドレスとし、自らに設定された通信アドレスを送信元アドレスとして、エラー応答信号をLAN13へと送信するように通信ユニット12jを制御する。これにより、エラー応答信号がLAN13を介して商品登録装置11に対して送信される。
【0080】
一方、メモリ領域43に転送先IDが格納されている場合には(Act34にてYES)、CPU12aは、そのメモリ領域43からその転送先IDを取得する(Act36)。そしてCPU12aは、この転送先IDで識別される他の1つの決済装置12に対し、決済情報を転送する(Act37:転送手段)。
【0081】
具体的にはCPU12aは、転送先IDで識別される1つの決済装置12に設定された通信アドレスを送信先アドレスとし、自らに設定された通信アドレスを送信元アドレスとして、LAN13を介して受信した決済情報をそのままLAN13へと送信するように通信ユニット12jを制御する。これにより、決済情報がLAN13を介して転送先IDで識別される1つの決済装置12に対して送信される。このように転送先IDは、決済装置12に設定された通信アドレスと関連付けられている。あるいは転送先IDは、決済装置12に設定された通信アドレスそのものであってもよい。
【0082】
図9の説明に戻る。
Act21およびAct22の処理を終了したCPU12aは、決済情報を受信するのを待ち受ける(Act23)。そして、受信割込み処理のAct33の処理により決済情報を受信したことの通知を受けると、CPU12aは、受信手段である通信ユニット12jにて受信された決済情報を決済バッファ41に格納する(Act24:格納手段)。また、CPU12aは、処理中フラグFを“1”にセットする(Act25)。
【0083】
なお、Act24とAct25の処理手順は、
図9に示す手順に限定されるものではない。例えば先にAct25の処理を実行し、後からAct24の処理を実行してもよい。
【0084】
Act24およびAct25の処理を終了したCPU12aは、同じチェックアウトレーンに配置されている商品登録装置11に対して受領応答信号を送信する(Act26:通知手段)。
【0085】
具体的にはCPU12aは、商品登録装置11に設定された通信アドレスを送信先アドレスとし、自らに設定された通信アドレスを送信元アドレスとして、受領応答信号をLAN13へと送信するように通信ユニット12jを制御する。これにより、受領応答信号がLAN13を介して商品登録装置11に対して送信される。
【0086】
その後、CPU12aは、タッチパネル12gの画面の一部に決済画面SC3(
図11を参照)を表示させる(Act27)。
【0087】
決済画面SC3の一例を
図11に示す。決済画面SC3は、表示エリアR6およびR7と、ボタンB6、B7およびB8とを含む。表示エリアR6は、決済装置12を操作する買物客22に対する操作ガイダンスを表示する。表示エリアR7は、決済バッファ41に格納されている決済情報に含まれる合計個数および合計金額を表示する。ボタンB6は、支払い方法が現金であることを買物客22が指定するためのものである。ボタンB7は、支払い方法が電子マネーであることを買物客22が指定するためのものである。ボタンB8は、店員21を呼び出すことを買物客22が指定するためのものである。以下の説明において、ボタンB6は現金ボタンB6と称し、ボタンB7は電子マネーボタンB7と称し、ボタンB8は店員呼出ボタンB8と称する。
【0088】
決済画面SC3を確認した買物客22は、現金で支払うのか電子マネーで支払うのかを決める。そして現金で支払う場合には、現金ボタンB6にタッチし、自動釣銭機12eに合計金額以上の現金を投入する。一方、電子マネーで支払う場合には、電子マネーボタンB7にタッチし、電子マネーカードのデータをカードリーダライタ12iに読み取らせる。
【0089】
決済画面SC3を表示させたCPU12aは、現金ボタンB6または電子マネーボタンB7がタッチされるのを待ち受ける(Act28:受付手段)。そして現金ボタンB6または電子マネーボタンB7がタッチされると、CPU12aは、そのタッチされたボタンによって選択された支払い方法による決済処理を実行する(Act29:決済手段)。すなわち、現金ボタンB6がタッチされた場合には、CPU12aは、現金支払いに対する決済処理を実行する。電子マネーボタンB7がタッチされた場合には、CPU12aは、電子マネー支払いに対する決済処理を実行する。これらの決済処理については、既存のセルフPOS端末において周知の事項であるので、ここでの説明は省略する。
【0090】
なお、決済方法は、現金または電子マネーに限定されるものではない。例えばクレジットカード、商品券などの金券等での決済方法についても、決済装置12は対応できるものである。
【0091】
決済処理が終了すると、CPU12aは、レシート発行処理を実行する(Act30)。すなわちCPU12aは、決済バッファ41に格納されている決済情報に基づいてレシートの印刷データを編集する。そしてCPU12aは、プリンタ12hを動作させて、レシートを発行させる。レシートが発行されると、CPU12aは、Act4の処理に戻る。そしてCPU12aは、それ以降の処理を前述したのと同様に繰り返す。
【0092】
このように本実施形態のチェックアウトシステム10においては、商品登録装置11にて店員21による買上商品の登録作業が終了して、店員21が送信画面SC2の送信ボタンB4にタッチすると、その買上商品の販売データを含む決済情報が、商品登録装置11と同じチェックアウトレーンに配置されている複数の決済装置12のうち、メモリ領域33に設定されている送信IDで識別される1つの決済装置12に送信される。
【0093】
ここで説明の便宜上、
図1に示すように、商品登録装置11と同じチェックアウトレーンに配置されている決済装置の台数を3台とし、各々を符号12-1,12-2,12-3で識別するものとする。また、商品登録装置11のメモリ領域33に格納されている送信先IDは、決済装置12-1を識別するものとする。この場合、決済情報は先ず、決済装置12-1に送信される。
【0094】
決済装置12-1において、決済処理が実行されていない場合、すなわち処理中フラグFが“0”にリセットされている場合には、決済情報が決済装置12-1の決済バッファ41に格納される。また、受領応答信号が決済装置12-1から商品登録装置11に対して送信される。その結果、商品登録装置11のタッチパネル11gには、決済情報の送信先が決済装置12-1であることを案内する案内画面SC4が表示される。そこで店員21は、買物客22に対して決済装置12-1で決済するように伝える。
【0095】
買物客22は、決済装置12-1に向かう。このとき、決済装置12-1のタッチパネル12gには決済画面SC3が表示されているので、買物客22は、現金、電子マネー等を利用して決済を行う。
【0096】
一方、決済装置12-1において、決済処理が実行されている場合、すなわち処理中フラグFが“1”にセットされている場合には、この決済装置12-1のメモリ領域43に転送先IDが格納されているか否かによって処理が分かれる。ここでは、転送先IDとして決済装置12-2を識別するものが格納されているとする。この場合、決済装置12-2のメモリ領域43には、転送先IDとして決済装置12-3を識別するものが格納されている。また、決済装置12-3のメモリ領域43には、転送先IDが格納されていない。
【0097】
決済装置12-1のメモリ領域43に決済装置12-2を識別する転送先IDが格納されているので、商品登録装置11から決済装置12-1に送信された決済情報は、LAN13を介して決済装置12-2に転送される。
【0098】
決済装置12-2において、決済処理が実行されていない場合、すなわち処理中フラグFが“0”にリセットされている場合には、決済情報が決済装置12-2の決済バッファ41に格納される。また、受領応答信号が決済装置12-2から商品登録装置11に対して送信される。その結果、商品登録装置11のタッチパネル11gには、決済情報の送信先が決済装置12-2であることを案内する案内画面SC4が表示される。そこで店員21は、買物客22に対して決済装置12-2で決済するように伝える。
【0099】
買物客22は、決済装置12-2に向かう。このとき、決済装置12-2のタッチパネル12gには決済画面SC3が表示されているので、買物客22は、現金、電子マネー等を利用して決済を行う。
【0100】
一方、決済装置12-2において、決済処理が実行されている場合、すなわち処理中フラグFが“1”にセットされている場合には、この決済装置12-2のメモリ領域43に転送先IDが格納されているか否かによって処理が分かれる。ここでは、メモリ領域43に決済装置12-3を識別する転送先IDが設定されているので、決済装置12-1から転送されてきた決済情報は、さらにLAN13を介して決済装置12-3に転送される。
【0101】
決済装置12-3において、決済処理が実行されていない場合、すなわち処理中フラグFが“0”にリセットされている場合には、決済情報が決済装置12-3の決済バッファ41に格納される。また、受領応答信号が決済装置12-3から商品登録装置11に対して送信される。その結果、商品登録装置11のタッチパネル11gには、決済情報の送信先が決済装置12-3であることを案内する案内画面SC4が表示される。そこで店員21は、買物客22に対して決済装置12-3で決済するように伝える。
【0102】
買物客22は、決済装置12-3に向かう。このとき、決済装置12-3のタッチパネル12gには決済画面SC3が表示されているので、買物客22は、現金、電子マネー等を利用して決済を行う。
【0103】
一方、決済装置12-3において、決済処理が実行されている場合、すなわち処理中フラグFが“1”にセットされている場合には、この決済装置12-3のメモリ領域43に転送先IDが格納されているか否かによって処理が分かれる。ここでは、メモリ領域43に転送先IDが格納されていないので、エラー応答信号が決済装置12-3から商品登録装置11に対して送信される。その結果、商品登録装置11では、送信不可処理が実行される。この送信不可処理により、例えば店員21は、商品登録装置11を操作して、買物客22の決済を処理する。
【0104】
このように本実施形態のチェックアウトシステム10によれば、商品登録装置11は、各決済装置12の状態如何に係らず、予め送信先として設定された1つの決済装置12に決済情報を送信する。したがって、商品登録装置11が各決済装置12の状態を監視するために、決済装置12から状態情報(ステータス)を収集し分析する情報分析機能が不要となる。
【0105】
商品登録装置11から1つの決済装置12に送信された決済情報は、その決済装置12で決済情報の決済処理が不可能なとき、予め転送先として設定された別の1つの決済装置12に転送される。したがって、商品登録装置11を操作する店員21が、空いている決済装置12を探す手間もなくなるので、店員21の作業効率を高めることができる。また、店員が誤って意図しない決済装置12へ決済情報を送信してしまうミスもなくなる。
【0106】
本実施形態において、商品登録装置11が決済情報を送信する決済装置12は、メモリ領域33に格納される送信先IDによって決定される。同様に、決済処理が不可能な決済装置12が決済情報を転送する別の決済装置12は、メモリ領域43に格納される転送先IDによって決定される。したがって、メモリ領域33および43にそれぞれ格納される送信先IDおよび転送先IDの設定如何によって、商品登録装置11が決済情報をどの決済装置12に優先的に送信し、また、どのようなルートで決済装置12の間を転送させるとかということを容易に設定しかつ変更できる利点がある。
【0107】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば前記実施形態では、決済装置12において決済処理を実行中か否かによって、受信した決済情報の決済処理が可能か否かを判定する場合を示した。決済処理が可能か否かの判定要素は、これに限定されるものではない。例えば、プリンタ12hのレシート用紙が無い等の決済に支障を来すエラーが発生していた場合においても、受信した決済情報の決済処理が不可能と判定できる。
【0108】
また前記実施形態では、1つのチェックアウトレーンを1単位とし、そのレーンに配置されている商品登録装置11が、同じレーンに配置されている1つの決済装置12に対して決済情報を送信する。そして、その決済装置12で決済処理が不可能なとき、その決済装置12が同じレーンに配置されている別の決済装置12に決済情報を転送する場合を示した。この点については、決済装置12のメモリ領域43に格納される転送先IDとして、例えば隣接するチェックアウトレーンに設置されている決済装置12を識別するものを含めてもよい。そうすることによって、同じレーンに配置されている決済装置12が全て塞がっている場合でも、隣接するレーンの決済装置12が空いていればその決済装置12で決済を行うことが可能となる。
【0109】
また前記実施形態では、決済情報が最後に転送される決済装置12においては、メモリ領域43に転送先IDが格納されない場合を示した。この点については、決済情報が最後に転送される決済装置12のメモリ領域43に、商品登録装置11のメモリ領域33に格納されている送信先IDを格納してもよい。こうすることにより、一時的に同じレーンに配置されている決済装置12が全て塞がってしまっても、一人の買物客の決済が終わった時点で、空いた決済装置12に買物客を案内できるようになる。
【0110】
また前記実施形態では、商品登録装置11において、案内画面SC4を店員21に対して表示する場合を示した。この点については、例えば、買物客に対する表示デバイスを商品登録装置11に接続し、この表示デバイスに案内画面SC4を表示することで、買物客22に対して案内をしてもよい。あるいは、音声合成手段等の報知手段を利用して、決済を行う決済装置22を音声により買物客21に知らせることも可能である。
【0111】
また前記実施形態では、商品の売買行為を取引として説明したが、取引は、商品の売買行為を伴わないものであってもよい。例えば、施設の利用料、貸出品のレンタル料などの役務(サービス)提供に対して料金が発生する取引についても、本発明のチェックアウトシステムは適用できるものである。
【0112】
この他、本発明に関していくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
10…チェックアウトシステム、11…商品登録装置、11a…CPU、11b…ROM、11c…RAM、11d…補助記憶ユニット、11e…ドロワ開放ユニット、11f…スキャナ、11g…タッチパネル、11h…プリンタ、11i…カードリーダライタ、11j…通信ユニット、11k…伝送システム、12…決済装置、12a…CPU、12b…ROM、12c…RAM、12d…補助記憶ユニット、12e…自動釣銭機、12f…スキャナ、12g…タッチパネル、12h…プリンタ、12i…カードリーダライタ、12j…通信ユニット、12k…伝送システム、31…登録商品テーブル、32…合計テーブル、33…送信先IDのメモリ領域、41…決済バッファ、42…処理中フラグのメモリ領域、43…転送先IDのメモリ領域。