(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129548
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】センタリングさせて血管の閉塞部を横断するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119809
(22)【出願日】2023-07-24
(62)【分割の表示】P 2019547091の分割
【原出願日】2018-02-28
(31)【優先権主張番号】62/465,108
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/905,491
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515251698
【氏名又は名称】アンジオセイフ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マリク タチペリ
(57)【要約】
【課題】好適なセンタリングさせて血管の閉塞部を横断するためのデバイスおよび方法を提供すること。
【解決手段】閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテルは、遠位端と、近位端と、中心通路とを有する、カテーテル本体を含む。回転可能な駆動シャフトは、中心通路を通って延在し、遠位端と、近位端と、中心管腔とを有する。切断先端は、回転可能な駆動シャフトの遠位端上に搭載され、回転されると、閉塞材料を通して切断するように構成される。複数の螺旋状または他の板ばねが、カテーテルが慢性完全閉塞を通して前進されるにつれて、カテーテルのセンタリングを維持し、かつ通路を形成するために、カテーテル本体の遠位部分を中心として円周方向に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年2月28日に出願された米国仮出願第62/465,108号(代理人管理番号46306-705.101)および2018年2月26日に出願された米国出願第15/905,491号(代理人管理番号46306-705.201)の利益を主張するものであり、これらの全体の開示は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
慢性完全閉塞(CTO)は、血管を通した殆どまたは全ての血流を遮断させる、血管の病変である。CTOは、冠状動脈、頸動脈、腸骨動脈および静脈、大腿動脈および静脈、および膝窩動脈および静脈を含む、殆どの血管のいずれかで生じ得る。通常、CTO病変は、数ヶ月~数年の過程にわたって発現するであろう。本慢性病理に起因して、通常は、組織に血液を供給するための側副血管の出現に関して、十分な時間量が存在するであろう。しかしながら、これらの側副血管は、多くの場合、器官を活動状態に保つために十分な血流を提供すること、および、それらの適切な機能を支援することをし損ねる。
【0003】
長年にわたって、CTOの治療のために、多くのカテーテルが、提案されている。本明細書において特に興味深いものとして、本明細書における発明者によって発明された、第US9,060,806号が、あるカテーテルを説明する。カテーテルは、モータ駆動または他の回転可能な遠位カッタと、複数の側方に展開可能なセンタリング要素とを有する。非常に効果的であるが、本設計上のセンタリング要素は、ある硬質の病変を横断するとき、センタリングを維持することが常時可能ではなく、モータ駆動または他の回転可能な遠位カッタもまた、いくつかの状況下で制御することが困難であり得る。
【0004】
これらの理由から、閉塞部を治療し、かつガイドワイヤ、介入デバイス、およびカテーテルの設置のための経路を生成するために、血管の閉塞部または血管内に形成される他の塞栓部を横断するための改良されたデバイスおよび方法を提供することが、望ましくあるであろう。特に、本デバイスの前進に対する高度な制御および低減された抵抗を伴う、閉塞部を通したセンタリングされた通路を作成するために、薄型デバイスを提供することが、好ましくあるであろう。そのようなデバイスは、生産するために比較的に安価であり、かつ使用するために比較的に単純であるべきである。これらの目的の少なくともいくつかは、本明細書において下記に説明される発明によって達成されるであろう。
【0005】
(2.背景技術の説明)
第US9,060,806号が、上記に説明されている。以下の特許および公開文書、すなわち、第US6599304号、第US7763012号、第US8021330号、第US8062316号、第US8241315号、第US8361094号、第US8556926号、第US2002/0128677号、第US2005/0038462号、第US2005/0171572号、第US2005/0216044号、第US2006/0074442号、第US2007/0083193号、第US2008/0281323号、第US2009/0270714号、第US2010/0082051号、第US2010/0168557号、第US2011/0022045号、第US2012/0253186号、第US2012/0283565号、および第US2014/0277009もまた、着目に値する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9,060,806号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の側面では、本発明は、閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテルを提供する。カテーテルは、遠位端と、近位端と、それを通した中心通路とを有する、管状カテーテル本体を備える。回転可能な駆動シャフトは、管状カテーテル本体の中心通路を通って延在し、遠位端と、近位端と、それを通した中心管腔とを有する。切断先端が、回転可能な駆動シャフトの遠位端上に搭載され、切断先端は、回転されると、プラーク、石灰化プラーク、血餅、血栓、および同等物等の閉塞材料を通して切断するように構成される。切断先端は、回転可能な駆動シャフトの中心管腔と隣接する、通路を有する。下記に詳細に説明されるように、隣接する通路および管腔は、閉塞部が横断され、閉塞部を通してセンタリングされた通路が作成された後、ガイドワイヤの設置を可能にする。
【0008】
本発明の横断カテーテルは、切断先端が血管の閉塞を通した通路を作成するように回転されるにつれて、カテーテルの遠位領域を正確にセンタリングさせる、特有のセンタリング機構を有する。センタリング機構は、それが、閉塞材料を通して押動されることを可能にし、血管壁に係合し、外傷を最小限にさせるための大きい円周方向表面積をもたらす、薄い「横断」外形(円周方向幅)を有するため、特に有益である。より具体的には、センタリング機構は、管状カテーテル本体の遠位領域を中心として円周方向に配置される、複数の板ばね、通常は、下記により詳細に説明されるような螺旋状の板ばねを備える。板ばねは、それらが、カテーテルが標的血管内の閉塞部近傍の場所まで前進された後、展開され得るように、半径方向に拘束される構成から、半径方向に拡張される構成に弾性的に自己拡張するように適合される。各板ばねは、(1)管状カテーテル本体を血管の管腔内で中心に整合させるように、血管の壁領域に傷つけないように係合するように構成される、幅広い外側面と、(2)カテーテルが遠位に前進されるにつれて、閉塞部を穿通するように構成される、狭小な遠位縁とを有する。具体的な実施例では、板ばねは、板ばねが最初にシリンダの一部であり、かつシリンダから半径方向に広げることによって展開し、螺旋状のパターンで半径方向に外向きに延在し、血管壁に係合するように、管状要素から切断される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、切断先端は、手動の機構によって回転され、治療する医師が、カテーテル含有部を前進させながら、先端の切断作用を手動制御することを可能にするであろう。特に、医師は、切断先端の進行を透視下で観察することが可能であり、触感フィードバックと組み合わせられると、医師は、前進レートおよび切断先端の回転レートを手動で制御し、カテーテルを最適に前進させ、閉塞部を通した所望される中心通路を作成することができる。便宜的には、切断先端は、カテーテルの近位端においてハンドル内に設置される、ホイールまたはスピンドルによって、手動で駆動されてもよい。
【0010】
カテーテルの寸法は、概して、長さが120cm~150cm、直径が5Fr~7Fr(1フレンチ(Fr)は、0.33mmに等しい)であり、具体的な寸法は、カテーテルの意図された使用に依存する。例えば、冠状動脈の治療を対象としたカテーテルは、典型的には、130cm~150cmの範囲内の長さおよび約5Fr~7Frの直径を有するであろう。周辺デバイスに関して、管状カテーテル本体は、典型的には、120cm~140cmの範囲内の長さおよび5Fr~7Frの範囲内の直径を有するであろう。
【0011】
切断先端は、種々の構成を有してもよい。特に、望ましいものは、切断先端の遠位端から遠位方向に延在する、少なくとも1つの切断ループ、多くの場合、2つの切断ループを含む、切断先端である。冠状動脈用途に関して、単一の切断ループが、切断先端を通した通路と軸方向に整合される、ガイドワイヤポートから半径方向にオフセットされてもよい、または2つの切断ループが、ガイドワイヤポートの対向側上に対称的に配置されてもよい。周辺用途に関して、切断ループは、切断先端上にセンタリングされてもよく、切断先端を通した通路は、傾斜されるか、または切断先端の中心軸から半径方向にオフセットされ、ガイドワイヤを切断ループから離れるように指向するであろう、または切断ループの対が、冠状設計と同様に、切断先端上に対称的に位置付けられてもよい。
【0012】
本発明の別の側面では、複数の螺旋状または他の板ばねはそれぞれ、管状カテーテル本体に取り付けられる基部を伴う、Ω形状と、管状カテーテル本体から離れるように半径方向に延在する、ループ部分とを有してもよい。他の場合では、複数の螺旋状の板ばねは、3つの螺旋状の板ばねから成るであろう。そのような場合、3つの螺旋状の板ばねは、通常、円周方向に120°だけ離間されるであろう。便宜的には、螺旋状の板ばねは、弾性材料、通常は、弾性金属、より通常は、ニッケル/チタン合金(例えば、Nitinol(R)合金)等の超弾性金属から形成される、管状ブランクをレーザ切断または別様にパターン化することによって加工されてもよい。
【0013】
本発明の第2の側面では、閉塞された血管を中心で横断するための方法は、血管内の閉塞部を通してカテーテルを前進させることを含む。切断先端が、カテーテルが前進されるにつれて、閉塞材料を通した通路を切断または摩滅させるように、カテーテルの遠位端上で、回転または回転状態で振動される。切断手技の間にカテーテルをセンタリングさせるために、複数の螺旋状または他の板ばねが、管状カテーテル本体の遠位部分から展開または広げられる。板ばねのそれぞれの上の幅広い外側面が、血管の壁領域に傷つけないように係合し、血管の管腔内でカテーテル本体の遠位領域を中心に整合する一方、板ばねのそれぞれの狭小な遠位縁は、カテーテルが前進され、典型的には、プラークまたは血栓を圧縮および/または切断し、切断先端によって最初に形成される通路を拡大するにつれて、閉塞部を通して穿通する。
【0014】
本方法の具体的な実施形態では、切断先端は、典型的には、カテーテルの近位端に取り付けられる、ハンドル上のシリンダまたはホイールを回転させることによって、手動で振動または回転される。複数の螺旋状の板ばねを広げることは、典型的には、それらが、典型的には、閉塞部を通して切断先端を前進させることに先立って、螺旋状の板ばねをカテーテルとして拘束する、シースまたはガイドカテーテルからカテーテルの遠位部分を前進させることによって、弾性的に自己拡張し得るように、半径方向の拘束から螺旋状の板ばねを解放することを含む。
【0015】
さらに具体的な実施形態では、センタリングカテーテルは、カテーテルによって作成される通路を通してガイドワイヤを設置するために使用されてもよい。例えば、カテーテルは、最初の設置のために、ガイドワイヤを担持し、かつ随意に、それを利用してもよい。そのガイドワイヤはまた、閉塞部を横断してカテーテルを前進させることを補助するために使用されることができる。カテーテルが閉塞部を横断した後、ガイドワイヤは、さらなる介入および/または診断デバイスの前進のために、閉塞部を通して定位置に残されてもよい。しかしながら、他の事例では、センタリングカテーテルは、閉塞部まで、但し、それを通るほどではない程度に前進され、ガイドワイヤおよび他のデバイスを閉塞部の中に前進させるためのプラットフォームとして使用されることができ、センタリングカテーテルは、ツールを閉塞部の中心の中および/またはそれを通して前進させるための優れたプラットフォームを提供することができる。なおも他の場合では、第2のガイドワイヤが、異なる特性を伴うガイドワイヤが必要とされるとき、最初の設置ガイドワイヤと交換されてもよい。
【0016】
いくつかの事例では、カテーテルは、センタリングされた状態のままであるが、ガイドワイヤまたは他のツールが、含有物の遠位面を通して前進かつ穿通されることができる。遠位面の穿通の後、切断カテーテルは、次いで、前進されることができる。さらに他の実施形態では、カテーテルは、閉塞部の近位面が接近されるまで、切断先端を使用して前進されることができる。しかしながら、閉塞部の近位面を通して切断する前は、ガイドワイヤが、センタリングカテーテルから展開され、閉塞部の遠位面を通過されることができる。本発明の切断およびセンタリングカテーテルは、したがって、カテーテルと閉塞部の中心整合を要求するかまたはそれから恩恵を得る、多種多様な具体的なプロトコルに関して有用である。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテルであって、
管状カテーテル本体であって、前記管状カテーテル本体は、遠位端と、近位端と、それを通した中心通路とを有する、管状カテーテル本体と、
回転可能な駆動シャフトであって、前記回転可能な駆動シャフトは、前記管状カテーテル本体の中心通路を通って延在し、かつ、遠位端と、近位端と、それを通した中心管腔とを有する、回転可能な駆動シャフトと、
切断先端であって、前記切断先端は、前記回転可能な駆動シャフトの遠位端上に搭載され、かつ、回転されると閉塞材料を通して切断するように構成され、前記切断先端は、前記回転可能な駆動シャフトの中心管腔と隣接する通路を有する、切断先端と、
複数の板ばねであって、前記複数の板ばねは、前記管状カテーテル本体の遠位部分を中心として円周方向に配置され、かつ、半径方向に拘束される構成から半径方向に拡張される構成に弾性的に自己拡張するように適合され、各板ばねは、(1)前記管状カテーテル本体を前記血管の管腔内で中心に整合させるように、前記血管の壁領域に対して傷つけないように係合するように構成される幅広い外側面と、(2)前記カテーテルが遠位に前進されるにつれて、閉塞部を穿通するように構成される狭小な遠位縁とを有する、複数の板ばねと、
前記管状カテーテル本体の近位端におけるハンドルと
を備える、カテーテル。
(項目2)
前記板ばねは、螺旋状のパターンで自己拡張するように構成される、項目1に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目3)
管状カテーテル本体は、120cm~150cmの範囲内の長さおよび5Fr~7Frの直径を有する、項目1に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目4)
前記回転可能な駆動シャフトに取り付けられる手動の回転デバイスをさらに備える、項目1に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目5)
前記手動の回転デバイスは、前記ハンドル内に回転シリンダを備える、項目3に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目6)
前記切断先端は、前記切断先端の遠位端から遠位方向に延在する少なくとも1つの切断ループを含む、項目1に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目7)
前記切断先端の遠位端から遠位方向に延在する前記少なくとも1つの切断ループは、前記切断先端内の前記通路から半径方向にオフセットされる、項目6に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目8)
前記切断先端内の前記通路は、前記回転可能な駆動シャフトの中心軸と整合され、前記少なくとも1つの切断ループは、前記中心軸から半径方向にオフセットされる、項目6に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目9)
前記少なくとも1つの切断ループは、回転可能な駆動部の中心軸と整合され、前記切断先端内の前記通路は、前記中心軸から半径方向にオフセットされる、項目6に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目10)
前記少なくとも1つの切断ループは、前記回転可能な駆動部の中心軸と整合され、前記切断先端内の前記通路は、前記中心軸から半径方向にオフセットされる、項目6に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目11)
前記切断先端は、前記切断先端の遠位端から遠位方向に延在する少なくとも2つの切断ループを含む、項目6に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目12)
前記切断先端は、溝付きの遠位表面を有する、項目1に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目13)
前記複数の板ばねはそれぞれ、前記管状カテーテル本体に取り付けられる基部を伴うΩ形状の外形と、前記管状カテーテル本体から離れるように半径方向に延在するループ部分とを有する、項目1に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目14)
前記複数の板ばねは、3つの板ばねから成る、項目1に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目15)
3つの螺旋状の板ばねは、円周方向に120°だけ離間される、項目14に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目16)
前記回転可能な駆動シャフトは、前記切断先端および前記管状カテーテル本体が、相互に対して軸方向に再度位置付けられ得るように、前記管状カテーテル本体に対して軸方向に平行移動可能である、項目1に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目17)
前記ハンドルおよび前記回転可能な駆動シャフトに対して前記管状カテーテル本体を選択的に再度位置付けるための前記ハンドル上の親指摺動部をさらに備える、項目16に記載の閉塞された血管を中心で横断するためのカテーテル。
(項目18)
閉塞された血管を中心で横断するための方法であって、前記カテーテルは、
前記血管内の閉塞部を通してカテーテルを前進させることと、
前記カテーテルが前進されるにつれて、閉塞材料を通して切断するように、前記カテーテルの遠位端上に搭載される切断先端を回転させるかまたは回転状態で振動させることと
を含み、
複数の板ばねが、(1)前記カテーテルが前進されるにつれて、前記血管の管腔内で前記カテーテルを中心に整合するために、前記血管の壁領域に対して各板ばねの幅広い外側面を傷つけないように係合させ、(2)前記カテーテルが前進されるにつれて、前記閉塞部を通した通路を生成するために、前記閉塞部を通して各螺旋状の板ばね上の狭小な遠位縁を穿通するように、側方に外向きに展開する、方法。
(項目19)
前記切断先端を回転させるかまたは回転状態で振動させることは、前記先端を手動で回転させるかまたは回転状態で振動させることを含む、項目18に記載の閉塞された血管を中心で横断するための方法。
(項目20)
前記先端を手動で回転させるかまたは回転状態で振動させることは、前記カテーテルの近位端に取り付けられるハンドル上のシリンダを回転させるかまたは回転状態で振動させることを含む、項目19に記載の閉塞された血管を中心で横断するための方法。
(項目21)
前記板ばねは、螺旋状の板ばねを備え、前記螺旋状の板ばねは、それらが弾性的に自己拡張するように、半径方向の拘束から前記板ばねを解放した後、前記カテーテルの遠位部分から自己展開する、項目18に記載の閉塞された血管を中心で横断するための方法。
(項目22)
半径方向の拘束から前記板ばねを解放することは、前記カテーテルの遠位端を誘導カテーテルの遠位端を越えて前進させることを含む、項目21に記載の閉塞された血管を中心で横断するための方法。
(項目23)
前記ガイドワイヤを前記血管管腔内に残すように、前記カテーテルおよび前記切断先端の中心通路内に配置されるガイドワイヤにわたって、前記カテーテルおよび前記切断先端を引抜することをさらに含む、項目18に記載の閉塞された血管を中心で横断するための方法。
(項目24)
前記カテーテルおよび前記切断先端は、前記ガイドワイヤを完全に前記閉塞部を通して定位置に残すように、後退されることに先立って、完全に閉塞部を通して前進されている、項目23に記載の閉塞された血管を中心で横断するための方法。
(項目25)
前記カテーテルおよび前記切断先端は、後退されることに先立って、部分的に閉塞部を通して前進されており、さらに、前記閉塞部の残りの部分を通して前記ガイドワイヤを前進させることを含む、項目23に記載の閉塞された血管を中心で横断するための方法。
(項目26)
前記カテーテルおよび前記切断先端は、後退されることに先立って、閉塞部の近位面まで前進されており、さらに、前記閉塞部を通して前記ガイドワイヤを前進させることを含む、項目23に記載の閉塞された血管を中心で横断するための方法。
【0017】
参照による引用
本明細書に言及される全ての公開文書、特許、および特許出願は、各個々の公開文書、特許、および特許出願が、参照することによって組み込まれることが具体的かつ個別に示されるのと同程度に本明細書中に参照することによって組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の新規の特徴は、添付される請求項において具体的に記載される。本発明の特徴および利点のより深い理解が、本発明の原理が利用される、例証的実施形態を記載する以下の発明を実施するための形態と、以下の付随の図面とを参照することによって得られるであろう。
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の原理に従って構成される、センタリングさせて血管の塞栓部を横断するためのカテーテルの第1の実施形態を図示する。
【0020】
【
図2】
図2は、半径方向に拡張される構成におけるセンタリングケージを伴って示される、
図1のセンタリングさせて血管の閉塞部を横断するためのカテーテルの遠位部分の長手方向断面図である。
【0021】
【
図3A】
図3Aは、半径方向に拘束される構成におけるセンタリングケージを伴って示される、
図1のセンタリングさせて血管の閉塞部を横断するためのカテーテルの遠位部分の代替図である。
【0022】
【
図3B】
図3Bは、特に、末梢血管系における閉塞の治療を対象としたタイプの、本発明の原理に従って構成される、センタリングさせて血管の閉塞部を横断するためのカテーテルの代替実施形態の遠位部分を図示する。
【0023】
【
図4】
図4は、2つの切断ループと、溝付きの遠位切断表面とを伴う、代替切断先端を図示する。
【0024】
【
図5】
図5は、半径方向に拘束される構成におけるセンタリングケージを伴って示される、
図1のセンタリングさせて血管の閉塞部を横断するためのカテーテルの遠位部分の正面図である。
【0025】
【
図6】
図6は、半径方向に拡張される構成におけるセンタリングケージを伴って示される、
図1のセンタリングさせて血管の閉塞部を横断するためのカテーテルの遠位部分の正面図である。
【0026】
【
図7】
図7は、
図1のセンタリングさせて血管の閉塞部を横断するためのカテーテルの近位ハンドルの部分的断面図である。
【0027】
【
図8】
図8は、
図7の線8-8に沿って得られる、
図7の近位ハンドルの遠位端の詳細断面図である。
【0028】
【
図9】
図9A-9Cは、センタリングさせて血管の閉塞部を横断し、その後、ガイドワイヤを作成された経路を通して前進させるための、
図1のカテーテルの使用を図示する。
【0029】
【
図10】
図10は、蛇行性の血管系を通したカテーテルの前進を促進するために、センタリングケージに対して遠位に前進され得る切断先端を有する、本発明のセンタリングさせて横断するカテーテルの代替実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、
図1を参照すると、センタリングさせて血管の閉塞部を横断するためのカテーテル10は、遠位端部12と、その上に近位ハンドル16を有する近位端14とを有する、カテーテル本体を備える。回転可能な切断先端18は、遠位端部12の遠位先端に位置し、下記により詳細に説明されるように回転され得る単一の切断ループ20を含む。センタリングケージ22は、カテーテル10がそれを通して前進されるにつれて、血管の管腔内の遠位端部12のセンタリングを維持するように、遠位端部12に外接する。特に、センタリングケージ22は、複数の(図示されるように3つの)平面の、通常は、螺旋状の板ばね24を含む。螺旋状のばねは、好ましくは、円筒管26を切断または別様にパターン化することによって形成され、管全体は、次いで、カテーテル10の遠位端部12に固着されてもよい。円筒管26は、典型的には、Nitinolまたは他の弾性金属から形成され、個々の螺旋状のばね24が、送達シース、誘導カテーテル、または同等物等の半径方向の拘束がない状態でそれらの半径方向に拡張される構成になるように、ヒートセットされるであろう。
【0031】
ここで、また
図2および3Aを参照すると、カテーテル10は、外側シャフト30と、内側駆動シャフト32とを含む。内側駆動シャフト32は、外側シャフトの管腔通路内に同心円状に配置され、下記により詳細に説明されるであろうように、その中で回転可能である。内側駆動シャフト32はまた、ガイドワイヤGWを収容し、かつ注入、吸引、および他の介入ツールの前進等の他の目的のために構成される、管腔34を有する。
【0032】
切断先端18は、内側駆動シャフトの管腔34と整合されかつ隣接する中心通路36を有する。中心通路36は、それを通してガイドワイヤまたは他の要素、ツール、または構成要素が前進され得る、遠位開口部38を有する。切断先端18は、内側駆動シャフトの回転が切断先端18および切断ループ20の回転をもたらすであろうように、内側駆動シャフト32の遠位端に固定して取り付けられる。外側シャフト30の中心管腔通路内に内側駆動シャフト32を保持するための、保定リング40が、提供される。
【0033】
切断先端18の中心通路36は、典型的には、内側駆動シャフトの管腔34と軸方向に整合されるであろうが、
図3Bに示されるような末梢使用を対象としたもの等の他の実施形態では、切断先端118が、遠位開口部138が切断ループ120から離れるようにガイドワイヤを偏向させるように、傾斜されるかまたはその縦軸に対してオフセットされる通路136を有する、中心に整合される切断ループを有するであろう。
図3Bに示される全ての他の構成要素および付番は、前述の図内のものと同じである。
【0034】
ここで、
図4を参照すると、本発明によるカテーテル100が、典型的には、ポートを中心として対称的に配置されている、遠位ガイドワイヤポート112の両側に配置される、切断ループの対20aおよび20bを伴う代替切断先端118設計を有してもよい。加えて、複数の縦溝154が、切断先端118の遠位表面内に形成され、カテーテルが前進されるにつれて、先端が回転または回転状態で振動されるにつれて、プラークまたは血餅を通して切断することを促進してもよい。センタリングケージ122は、カテーテルが前進されるにつれて、半径方向に外向きに展開され、脈管壁に係合すると平面128を有する、複数の螺旋状または他の板ばね124を伴って形成されてもよい。センタリングケージ12は、前述に説明されるケージ22に類似しているが、ケージ124は、血管系、特に、冠状血管系の蛇行性の領域を通した前進を促進するようなより短い長さを有してもよい。外側シャフト130および内側駆動シャフト132は、外側シャフト30および内側駆動シャフト32に関して前述に説明される構成に類似するかまたはそれと同じである、構成を有してもよい。
【0035】
ここで、
図5および6を参照すると、半径方向に拘束されると、螺旋状のセンタリングばね24は、概して、
図5に示されるように、円筒管26によって画定されるエンベロープ内に圧潰されるであろう。拘束から解放されると、対照的に、3つの螺旋状のセンタリングばね24a、24b、および24cはそれぞれ、半径方向に開放し、破線で示される有効径を有する、平面28を画定するであろう。螺旋状のセンタリングばねのそれぞれによって画定される特定の輪郭および平面は、センタリングケージ22の加工の間にNitinolまたは他の形状記憶金属のヒートセットによって決定されることができる。また、
図6に観察されるように、螺旋状のセンタリングばね24のそれぞれの前縁は、センタリングばねが、押動に対する低減された抵抗を伴って、閉塞材料を通して前進されることを可能にする、非常に薄型外形を有する。
【0036】
ハンドル16は、
図7および8に最良に図示されている。ハンドル16は、カテーテル本体の外側シャフト30の近位端に取り付けられている先端42を有する。外側シャフトは、外側シャフトが、ハンドルに対して回転することを防止されるであろうように、固定して取り付けられる。対照的に、内側駆動シャフト32は、ハンドル16内に回転可能に搭載され、ハンドルに対するホイールまたはスピンドルの手動の回転を可能にする、ホイールまたはスピンドル44に取り付けられる。ホイールまたはスピンドル44の回転は、ひいては、内側駆動シャフト32を回転させ、これは、ひいては、遠位カッタ18および切断ループ20を回転させるであろう。内側駆動シャフト32の近位端(ホイールまたはスピンドル44に近接して位置する)は、軸受けコネクタ48を通過し、ハンドルの近位端でルアー取付具50につながる遷移管46内で受容される。ルアーおよび遷移管は、ハンドル内に回転状態で固定され、内側駆動シャフト32の近位端および遷移管46の遠位端は、軸受けコネクタ内に回転シールを形成するであろう。ガイドワイヤおよび他の介入要素が、それらが、カテーテルの遠位先端まで、かつ切断先端18の遠位開口部38を通して外に前進され得るように、内側駆動シャフト32のルアー50および管腔を通して導入され得ることを理解されたい。
【0037】
ここで、
図9A-9Dを参照すると、センタリングさせて閉塞部を横断するためのカテーテル10は、図示されるように、慢性完全閉塞部CTOを通して血管BV内に前進されてもよい。カテーテル10の遠位端部12は、切断ループ20が慢性完全閉塞部CTOの近位表面の直ぐ近位に置かれるように、最初に前進される。ユーザは、次いで、切断先端18および切断ループ20を手動で回転させながら、カテーテルを前進させ、閉塞部の近位面を通して穿通させ、かつそれを通る中心通路を作成し始める。センタリングケージ22の螺旋状のセンタリングばね24は、カテーテルが前進されるにつれて、血管の内壁に係合し、カテーテルの遠位領域12のセンタリングを維持する。前述に説明されるように、ばねの平面は、傷つけないように脈管壁に係合する一方、各ばねの狭い幅は、センタリングケージが、低減される抵抗を伴って閉塞材料を通過することを可能にする。カテーテルは、ユーザが切断先端を手動で回転させ、かつ透視下で進行を観察するにつれて、徐々に前進されることができる。本手技は、カテーテルの遠位先端が、
図9Cに示されるような閉塞部の遠位面を通過すると、完了され得る。カテーテルが
図9Cに示される位置に到達した後、ガイドワイヤGWが、設置されてもよく、カテーテル10が、除去され、および/または他の介入手技が、実施されてもよい。
【0038】
ここで、
図10を参照すると、
図4に図示される切断先端118を有するカテーテル100はさらに、センタリングケージ122に対する切断先端の軸方向の前進および後退を可能にするように修正されてもよい。特に、親指摺動部160が、ハンドル114の壁内のスロット164内に位置付けられる、好ましくは、ホイール144に対して遠位に位置してもよい。親指摺動部は、矢印162によって示されるように、親指摺動部を軸方向に摺動することによって、外側部材およびその遠位に取り付けられるセンタリングケージ122が、典型的には、矢印164によって示されるように、内側部材132および切断先端118に対して3cm~4cmの範囲にわたって軸方向に前進かつ後退され得るように、外側部材130に結合される。内側部材シャフトの遠位区画および取り付けられた切断先端118を結合解除するための能力は、カテーテルを冠状血管系等の蛇行性の血管系を通して前進させるときに有意な利点であり、切断先端および遠位内側部材シャフトは、血管系内の緊密および/または狭小な曲線を過ぎるように最初に前進され、センタリングケージ122は、その後、内側部材シャフトにわたって同軸に別個に前進されてもよい。
【0039】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に図示かつ説明されているが、そのような実施形態が、実施例としてのみ提供されることが、当業者に明白となるであろう。多数の変形例、変更、および代用が、ここで、本発明から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。本明細書に説明される本発明の実施形態への種々の代替物が、本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造が、それによって網羅されることが意図される。
【外国語明細書】