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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129552
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】針及びカテーテルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20230907BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M5/158 500Z
A61M25/06 580
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120084
(22)【出願日】2023-07-24
(62)【分割の表示】P 2020505793の分割
【原出願日】2018-08-03
(31)【優先権主張番号】62/541,158
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーン レイ アイザックソン
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン フィンチ ハーディング
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー オブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ リー ソンデレッガー
(57)【要約】
【課題】皮膚および静脈に効果的に穴を開けることができる一方で、静脈の損傷または損傷のリスクを減らす。
【解決手段】針であって、基端および末端と、第1長手方向側面および前記第1長手方向側面の反対側の第2長手方向側面とを備えた本体を有し、前記末端は、前記第1長手方向側面と前記第2長手方向側面との間に延びる第1ベベルを有していて前記第2長手方向側面で末端先端を画定しており、前記針の前記第2長手方向側面が、前記針とカテーテルとの間の血液フラッシュバック通路を画定するノッチを有し、前記ノッチが前記第1ベベルの反対側に配向されている、針である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針であって、
基端および末端と、第1長手方向側面および前記第1長手方向側面の反対側の第2長手方向側面とを備えた本体を有し、前記末端は、前記第1長手方向側面と前記第2長手方向側面との間に延びる第1ベベルを有していて前記第2長手方向側面で末端先端を画定しており、
前記針の前記第2長手方向側面が、前記針とカテーテルとの間の血液フラッシュバック通路を画定するノッチを有し、前記ノッチが前記第1ベベルの反対側に配向されている、針。
【請求項2】
前記針は、前記針の外周面と前記第1ベベルによって形成された複数の切断エッジとの間に延びる湾曲した末端部分を有し、前記複数の切断エッジは、前記針の外周面に対して半径方向内向きに間隔を空けられている、請求項1に記載の針。
【請求項3】
カテーテルと針を備えたカテーテルアセンブリであって、前記針は、基端、末端、第1長手方向側面および前記第1長手方向側面と反対の第2長手方向側面を備えた本体を有し、前記末端が、前記第1長手方向側面と前記第2長手方向側面との間に延びる第1ベベルを有していて、前記第2長手方向側面で前記第2長手方向側面から外向きに向いていて前記第1長手方向側面上の前記第1ベベルにある末端先端を画定し、前記第1長手方向側面が、前記針のルーメンと前記カテーテルとの間の血液フラッシュバック通路を画定するノッチを有し、前記ノッチが前記第1ベベルの反対側に配向され、ガイドワイヤが前記針を通って延びている、カテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記針は、前記第1ベベルに収束する第2逆ベベルおよび第3逆ベベルを有していて、前記第1ベベル、前記第2逆ベベル、および第3逆ベベルの間に切断エッジを形成し、前記第2逆ベベルおよび第3逆ベベルが収束して前記末端先端から前記針の外周面へ前記第1ベベルの反対方向に延びる切断エッジを形成している、請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記本体が、前記針の外周面から前記第2逆ベベルと前記第3逆ベベルとの間で前記切断エッジまで延びる湾曲した末端部分を有し、前記切断エッジが前記外周面から半径方向内向きに間隔を空けている、請求項4に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針、カテーテル挿入装置、および針を患者に導入する方法の分野にあり、針は、静脈または動脈への挿入を支援して、静脈または動脈の内面を通過または損傷することによって引き起こされる静脈または動脈の刺し貫き(transfix)の発生を低減する形状および構成を備えた先端を有する。本発明はまた、患者に針を導入する方法にも向けられていて、患者に薬物または薬剤を送達するために、静脈内へのカテーテル装置の挿入および位置付けの、改善された容易性を有する。一実施形態において、本発明はカテーテル挿入装置に向けられていて、これは、導入針およびカテーテルの適切な配置の繰り返し試行の必要性を低減および最小化しながら、患者へのカテーテル挿入の効率を改善する方式で操作されることが可能である。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
カテーテルは、一般に、非経口栄養、IV補液、および鎮痛薬および抗生物質の投与に使用される。カテーテルは、滅菌技術を使用してベッド脇で挿入され得、数週間その場に留置されることがある。挿入(静脈穿刺)は、頭蓋静脈、脳底静脈、または上腕静脈の肘前窩の上および下で行われる。カテーテルの先端が静脈に挿入され、カテーテルの全長まで進めることができる。
【0003】
最初の試行でIVカテーテルを挿入して適切に配置するには、通常、一部の医療者が所有していないレベルのスキルが必要である。最初の試みでのカテーテルと静脈内の挿入デバイスの正確な配置は、静脈および/または周囲組織への損傷の発生率を減らすための大きな利点である。カテーテルと挿入針の適切な配置は、患者の不快感と痛みを最小限に抑えるだけでなく、静脈へ損傷または損害を減らすために重要である。静脈カテーテルの挿入および留置中に静脈に生じた損傷は、凝固および血栓症の加速を引き起こす可能性がある。
【0004】
特定のカテーテルのいくつかの利点は、実験室/再開のための反復静脈穿刺の頻度の減少、カテーテル関連感染の発生率の減少、インプラント/留置期間の延長、臨床アウトカムの改善、患者満足度および関連するコストの削減である。カテーテルの先端を小さな静脈と比較して上腕の大きな直径の静脈に配置すると、薬物送達療法と血液希釈が改善される。カテーテルは、一般的にPICCアプリケーションなどのCVカテーテルで行われる、より高い流量でのコントラクトメディアの注入に使用できる。
【0005】
特定の従来のカテーテル装置は、針が静脈にアクセスした後、針のルーメンを通って静脈内に進められる一体型ガイドワイヤを含むことができる。しばしば超音波プローブまたはイメージングデバイスが使用され、針を所望の位置に位置付ける。カテーテルは次にガイドワイヤを越えて静脈に進められる。針とガイドワイヤは次に取り外されて、静脈内の所定の位置に留置するカテーテルから分離される。
【0006】
挿入針または他の挿入装置は、典型的には、患者の痛みを最小限に抑えるために、最小限の抵抗で患者の皮膚および静脈を刺すための鋭い先端を必要とする。挿入針は、一般に穿刺される皮膚の表面および静脈の長手方向寸法に対して鋭角な傾斜角度で配置され、皮膚および静脈の壁の貫通を可能にする。挿入針の先端が静脈の壁を穿刺した後、挿入の角度が下げられ、カテーテルを静脈内に適切に配置するのに十分な距離だけ針とカテーテルを静脈にスライドできるようにする。挿入の最初の急角度は、針または挿入デバイスの鋭い先端が侵入点と反対の位置で静脈の壁の内面を突き刺すか、または損傷させる結果となり得る。
【0007】
従来の装置は意図された用途に一般に適しているが、薬物または薬剤を送達するための針またはカニューレの貫通を制御するための装置を導入する改良された装置および方法への必要性が常に存在する。特に、皮膚および静脈に効果的に穴を開けることができる一方で、静脈の損傷または損傷のリスクを減らすことができる挿入装置への必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2015/161294号
【特許文献2】米国特許第2017/0043134号
【発明の概要】
【0009】
本発明は、静脈の壁を通る導入針の刺し貫きのリスクを低減した、ガイドワイヤおよび/またはカテーテルを挿入するための針および方法と、患者の選択された位置へのIVカテーテルの配置のための装置とに向けられている。本発明は、特に、カテーテルのための針を皮膚の表面に対して選択された位置および角度に配向させ、カテーテルまたはガイドワイヤを患者の静脈または動脈に挿入して配置する方法に向けられている。針は、プロセス中に静脈を損傷、刺し貫き、または傷つけるリスクを低減した状態で、カテーテルまたはガイドワイヤを選択した場所に配置することができる。針は、患者にガイドワイヤを挿入するために、IVカテーテルまたはPICCカテーテルなどのカテーテルを進めるためのガイドワイヤとともに使用できる。
【0010】
本発明の特徴は、患者の静脈に針を導入する方法を提供することであり、針は、カテーテルの挿入中に皮膚および静脈を穿刺するのに有効な構成および配向を有し、刺し貫きにより引き起こされる静脈の内表面の穿刺及び損傷のリスクを低減又は最小化する。本発明の針は、静脈への挿入中に皮膚の表面および静脈の長手方向寸法に対してある角度で針を配置するのを支援するように構成および配向され、針の鋭い先端によって引き起こされる可能性のある静脈の内面を損傷するリスクを低減する。
【0011】
本発明の1つの特徴は、挿入中の静脈または動脈への損傷または損害の発生を低減しながら、皮膚および静脈または動脈を貫通する構成を有する鋭い先端を備えた末端を有する針を提供することである。針は、患者に液体を導入するためのカニューレであるか、またはカテーテルのための挿入針として使用できる。針は中実の針であるか、またはルーメンを含むことができる。針がカテーテルまたはガイドワイヤ用の挿入針である実施形態では、針が開口部または溝を含んで、針が静脈または動脈を貫通するときに血液のフラッシュバックを提供することができる。
【0012】
本発明の方法は、針を静脈内に導入し、針は、皮膚を貫通し、患者の静脈または動脈を貫通するための鋭い点を備えた末端先端を含み、刺し貫き、貫通、または静脈または動脈の内面の損傷のリスクを最小限にする配向で導入する。針は、針の軌道が、挿入後の針の角度が静脈または動脈の長手方向に対してより低い角度へ平坦化することを促進するような構成を有する。
【0013】
患者への不快感を最小限に抑えて皮膚および静脈または動脈を貫通し、静脈または動脈にカテーテルを効果的に配置できる構成の末端先端を有するカテーテル挿入装置を導入する方法も提供される。末端先端は、適切な角度で静脈または動脈を容易に貫通することができ、末端先端と、鋭い先端による貫通点の反対の位置での静脈または動脈の内面との接触が、回避される。
【0014】
一実施形態における針は、基端および末端を備えた長手方向寸法を有する本体を含む。一実施形態における本体は、中実または中空であり得る実質的にシリンダ形状を有して針を通るルーメンまたは通路であり得る。本体は、第1長手方向側面と、第1長手方向側面の反対側の第2長手方向側面とを有する。第2長手方向側面は、末端先端に向かって収束するベベル面を有する。一実施形態では、針は、患者の皮膚の表面に対して傾斜した角度に配向され、そこでベベル面は患者の皮膚の表面に向いていて、ベベル面が静脈の長手方向寸法に対して針の実質的に前方への動きを促進する角度で、患者に導入される。
【0015】
一実施形態では、本発明の挿入針は、静脈または動脈を貫通するように構成された末端先端を含み、末端先端は、貫通点とは反対の静脈の反対の壁に向いて配向された湾曲した面を有する。針は、鋭い末端先端よりも湾曲した表面と静脈または動脈の内面との接触が生じるように配向された湾曲した面で患者の体内に挿入され、挿入の間に静脈または動脈の内面への損傷または貫通を低減する。湾曲した表面は、針の角度の平坦化を促進して、静脈または動脈の長手方向寸法に実質的に平行な方向に針を挿入するのを助ける。
【0016】
本発明の様々な態様および特徴は、挿入針などの針を患者に導入する方法を提供することにより達成され、針の末端は、末端先端に向かって収束する傾斜またはベベル面を有する。針は、ベベル面が患者の皮膚の表面を向くように患者に挿入され、静脈への挿入時にベベル面は針の進入点とは反対の位置で静脈の壁に向くようになっていて、ベベル面と静脈の内面との接触が針の末端先端による挿入中の静脈への刺し貫きまたは損傷を低減するようになっている。
【0017】
本発明の特徴は、カテーテルを患者の静脈に導入する方法によってさらに提供され、導入針は、基端および末端、第1長手方向側面および前記第1長手方向側面の反対の第2長手方向側面を備えた長手方向寸法の本体を有する。第2長手方向側面は、末端先端に収束するベベル面を備えた末端を有する。カテーテルが静脈への挿入のために導入針に配置される。導入針およびカテーテルは、挿入中にベベル面が皮膚および静脈に向かい静脈の長手方向寸法に対して第1傾斜角度で、皮膚および静脈を穿刺する。針の末端先端は、末端先端が静脈の内面および血管の末端に接触しないように、およびカテーテルが静脈のルーメン内に配置されるように、ベベル面が入口の地点の反対の位置で静脈の内面に向く状態で、静脈に導入される。カテーテルは次に針の末端先端を越えて前方に進み、静脈内に配置される。他の実施形態において、ガイドワイヤは、針のルーメンを通して進めることができる。
【0018】
様々な実施形態の好ましいまたは任意の特徴のそれぞれは、他の特徴と組み合わせてもよく、1つまたは複数の特定の特徴と組み合わせて説明された特徴は、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせてもよいことが理解されよう。
【0019】
本発明のこれらおよび他の特徴は、本発明の様々な実施形態を開示した図面と併せて、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0020】
以下は図面の簡単な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、標準的な針およびカテーテルの側面斜視図であり、ベベル面が患者と離れた方向を向いた状態で患者の皮膚を穿刺する針を示している。
図2図2は、挿入ステップ中に静脈内に部分的に位置付けられた静脈とカテーテルの末端を貫通する図1の針の側面図である。
図3図3は、静脈の内面を穿刺する鋭い末端先端を示す側面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態における、患者への針の貫通前の針の配向と針の角度を示す側面図である。
図5図5は、患者への針の貫通の配向と初期角度を示す側面図である。
図6図6は、静脈内で前方へ移動する本発明の針とカテーテルを示す側面図である。
図7図7は、静脈内に位置付けられた針およびカテーテルの側面図である。
図8図8は、針の端部を越えて進むカテーテルを示す図7の針の側面図である。
図9図9は、針のフラッシュバックノッチを示す針およびカテーテルの斜視図である。
図10図10は、患者にカテーテルを導入するためのカテーテルアセンブリの斜視図である。
図11図11は、図10のカテーテルアセンブリの分解図である。
図12図12は、カテーテルアセンブリの部分横断面図である。
図13図13は、フラッシュバック機能を示すカテーテルアセンブリの斜視図である。
図14図14は、針の先端の形状および患者への挿入の配向を示す別の実施形態の針の側面図である。そして
図15図15は、図14の針と患者への挿入中の針の配向の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
カテーテル挿入針またはガイドワイヤなどの針が、患者にカテーテルを配置して患者に薬物または他の物質を送達するために提供される。本明細書では、用語「針」および「カニューレ」は、ここでは対象の注射部位に挿入するための鋭いまたは斜めの端部を有し得る部材を指すために互換的に使用することができる。一実施形態では、針は細い中空管状部材であり得る。他の実施形態では、針は中実部材であり得る。ここで使用される場合、「末端」方向は患者および注射部位に向かう方向であり、「基端」方向はその反対方向である。「軸方向」とは、針または他の部材の長手方向軸に沿ってまたは平行であることを意味し、「半径方向」は軸方向に垂直な方向である。
【0023】
本発明は、患者に物質を導入するために単独で使用できる、またはカテーテルを患者の静脈または動脈へ挿入および配置するためにカテーテルと共に使用できる、針、カニューレまたはガイドワイヤを患者に導入するための方法および装置に関する。例示された実施形態では、針は、患者の静脈内にカテーテルを配置するためにカテーテルとともに使用されるが、針はカテーテルとの使用に限定されない。針は、静脈または動脈が穿刺されたとき、物質を送達しフラッシュバックを提供するためのルーメンを含むことができる。他の実施形態では、針は、フラッシュバック機能を備えたまたは備えていない中実体であり得る。さらなる実施形態において、装置はカテーテルを患者に導入するためのガイドワイヤとともに使用され得る。以下の説明において、針は、一般に患者の選択された場所にカテーテルまたはガイドワイヤを配置するのに適した中空または中実の部材をいう。
【0024】
図面を参照すると、図1および図2に示される針10は、第1長手方向側面40および第2長手方向側面42を備えた針本体12と、基端16および末端18の間に延びるルーメン14とを有する。ベベル20は、本体12の長手方向寸法に対して傾斜角度で主面を提供するように形成され、針本体12の第1長手方向側面40の末端で本体の外縁から、針本体12の直径を横切って、針本体の第2長手方向側面42に延びている。示される実施形態では、単一のベベル面20が形成されていて鋭い末端先端22に収束しており、そこでベベル面20は第1長手方向側面40から外向きに向いている。ベベル面20は、針の長手方向軸に対して約12°-22°および通常は約15-17°の傾斜角度で形成され得る。鋭い末端先端22が図示の実施形態において第2長手方向側面42に形成されている。ベベル面20は、図示のように実質的に平坦か、凸面または凹面であり得る。代替的な実施形態では、第2逆ベベル面と第3逆ベベル面がベベル面20の反対側に形成され得る。逆ベベル面は互いに傾斜して形成され、ベベル面20で収束して鋭い末端先端を形成することができる。血液フラッシュバックを提供するためのノッチ24または他の開口部は、ベベル面20の反対側の針本体の壁に提供され、ベベル面20が皮膚および静脈の表面に向いているとき、挿入中のフラッシュバックの改善された視認性を提供する。
【0025】
針10は、一般にカテーテルアセンブリ112と共に使用され、血液フラッシュバック機能を含んでいて針の末端が静脈内に配置されていることの表示を提供する。フラッシュバック機能が図9に示されていて、ルーメンが、ベベル面20から針10を通って、針とカテーテルの間で、血液が針およびカテーテルの挿入中に施術者により視覚化され得る場所および/または装置まで、延びている。フラッシュバック機能は、図9に示す針の側壁に開口部110を形成するノッチとすることができ、血液が針を出てカテーテル28と針の間を通過できるようにし、そこで血液が医療者に視覚化されて針の末端先端22が静脈26のルーメン32に入ったことの示唆を提供し得る。カテーテルは、カテーテルの末端が針の末端の周りの115で絞られていて、隙間または通路113が絞り端部115の基部に形成されてノッチを通過する血液を受容し、そこで血液が医療者に見えるように構成されている。示された実施形態では、ノッチ110は、ベベル面20の反対側の針の長手方向側面に形成され、カテーテルの配置および挿入中に針のベベルが患者の皮膚の表面に向くように配向されたときにフラッシュバックの視認性を改善している。
【0026】
カテーテルアセンブリ112は、図10~13に示されるように、導入針として機能する針10、カテーテルハブ114、および針ハブ116を含む。針10は、カテーテルハブ114を通って延在する鋭い末端18を有することができる。血液フラッシュバック機能を有するカテーテルハブアセンブリの例は、国際公開第2015/161294号に開示されており、その全体が参照によりここに組み込まれる。柔軟なカテーテル28は、カテーテルハブ114の末端から延びており、カテーテル28を貫通する針10を備えている。最初に、針10が患者の静脈に挿入される。カテーテル28は、カテーテルハブ上のタブによって針10に沿って、針10に続いて静脈に押し込まれる。カテーテル28を挿入した後、針10は、患者の静脈およびカテーテルハブ114から取り外され、カテーテル28を患者に残す。針10は、カテーテルから引き抜かれた後に廃棄される。
【0027】
カテーテルハブ114は、末端、基端、および外面を有する。末端はカテーテル開口部を含み、基端はルアーコネクタと連結するための突起を備えたルアーコネクタ開口部を含む。図12に示される通路117は、カテーテルハブ114を通る流体の通過を可能にする。カテーテルハブ114の第1長手方向側面118の外面は、患者への挿入中にカテーテルハブ114を手動で操作するための親指または指タブなどの1つ以上の突起120を含む。突起は、医療者が使用中にカテーテルアセンブリ112を保持および操作するのを支援する親指タブであり得る。図示の実施形態の第1長手方向側面118と反対の第2長手方向側面122は、突起、タブなどの干渉なしに使用中に患者の皮膚に容易に横たわるように実質的に平坦である。カテーテルハブ114は、カテーテルハブを通る流体の流れが使用者によって観察されるように透明または半透明のポリマー材料から作られてもよく、または不透明な材料から作られてもよい。図示の実施形態では、針10の第1長手方向側面40がカテーテルハブ112の第2長手方向側面122から外向きに向いた状態で針10が配向され、カテーテルハブ112の使用中に平坦なベベル20が第2長手方向側面122から外向きに向くようになっている。鋭い末端先端22は、カテーテルハブ112の第1長手方向側面118および突起120と整列している。
【0028】
可撓性カテーテル28は、カテーテル開口部を通って延びていてカテーテルハブ114に固定されている。前スリット弾性セプタム124が通路に配置されていて液密シールを形成し、可撓性カテーテル28へのまたはからの流体を選択的に受け入れる。セプタムは、可撓性カテーテル28を通る流体の流れを選択的に許可または遮断する。
【0029】
セプタム124は、セプタム124の外周に複数の軸方向流路126を含む。流路126は、セプタム124が開かれていないときにカテーテルハブの前部のセプタム124の空間基端に血液が入って空気が逃げることができるような、適切な幅および深さを有する。同時に、流路126は、一定期間血液がセプタムを通過するのを防ぐのに十分な大きさである。カテーテル28が最初に患者に挿入され、導入針10が取り外されると、セプタム124は、血液が通路を通って末端から流出するのを防ぐ。セプタム124は、例えばシリコンゴムなどの弾性材料で作られている。他の弾性材料が使用されてもよく、非弾性材料が必要に応じてセプタム124に組み込まれてもよい。
【0030】
アクチュエータ128は、通路内に位置付けられていて、セプタム124のスリットに係合して開くように通路内で軸方向に移動可能である。アクチュエータは、実質的に管状の部材であり、セプタム124がアクチュエータ128によって開かれたときまたは貫通されたとき、流体がアクチュエータ128を通っておよびセプタム124を通って流れることを可能にする内部通路を有する。
【0031】
図13は、カテーテルアセンブリ112内の血液フラッシュバック機能の例示的な実施形態を示す。フラッシュバックは、針先の静脈への進入を確認する血液の可視性である。図13に示される参照符号130によって示される一次フラッシュバックは、血液が中空針10の開いた末端に移動し、針先端近くの針10のノッチまたは開口部から出て、針10とカテーテル28の内側との間の内部環状空間を通って上昇するときに、カテーテル58を通して見られる。二次フラッシュバック132は、血液が針10の背部から出て針ハブ/グリップ134内のフラッシュチャンバに入るときに、血液制御部材を形成する針ハブ/グリップ134内に見られる。空気は、多孔質膜またはマイクロ溝によって針ハブ/グリップ132の後ろにあるプラグによって排気される。三次フラッシュバック136は、一次フラッシュバックからの血液がカテーテルハブに流れ込んで血液制御セプタムで止まるとき、カテーテルハブ114内に見える。バネクリップまたは他のブロッキング部材のような、図13に示される安全機構138は、針の端部を捕捉して偶発的な針刺しおよび針の再使用を防止するために提供される。安全機構および針保護部材の例は、米国特許公開第2017/0043134号明細書に開示されており、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【0032】
図示の実施形態では、カテーテル28は、カテーテルアセンブリ112内の針本体12に配置され、針本体12の末端に配置されたカテーテル28の末端30を備えている。針本体12の末端は、針が静脈を突き刺してカテーテルを静脈のルーメンに配置できるようにする距離、カテーテルから延びている。図13に示されるようなガイドワイヤ102は、アセンブリ112と共に使用して、患者の静脈内にカテーテルを配置する間に針を通過させることができる。
【0033】
図1~3は、針10およびカテーテル28を患者の静脈26に挿入する方法を示し、針10のベベル20は、参照符号50で一般に示される皮膚の表面に対して一般的に上方向に患者から離れて向くように配向されている。図1に示すように、針12およびカテーテル28は、皮膚の表面および静脈26または動脈の長手方向寸法に対して第1傾斜角度で配置され、静脈を向いた鋭い末端先端22と、皮膚50の表面から離れた上方向に静脈から離れて向いたベベル面20を備えている。針10は、図2に示すように静脈26の長手方向寸法に対して第1傾斜角度で静脈26を穿刺するために実質的に直線方向に進められ、そこで末端先端22は静脈26のルーメン32に配置されている。図2に示すように、末端先端22がルーメン32に配置され、ベベル面20が静脈26の遠い側34の内面から離れて向いているとき、カテーテル28の末端30が静脈26のルーメン32に完全に収容される前に、末端先端22は静脈26の遠い側34で静脈の表面に接触する。
【0034】
フラッシュバック機能を備えたときの図2に示す位置にある針10およびカテーテル28は、カテーテル28が針の端から容易にスライドできないときの、静脈26内の針10およびカテーテル28の適切な位置付けの不正確表示を提供する。図2に示されるように、末端先端22は、静脈26を損傷し外傷または血栓症を引き起こし得る静脈26の遠い側34に接触し得る。さらに、カテーテル28の末端の上部は、静脈26のルーメン32内に配置されていないため、針10からカテーテル28をスライドさせる試みは、カテーテル28の末端が挿入および貫通部位の静脈26の壁の外面に直接接触することにより妨げられるようになっている。カテーテル28と静脈26の壁の外面との干渉が、カテーテル28のねじりおよび/または針10から静脈26のルーメン32内にスライドしにくくなること、および患者への不快感を与える可能性がある。示される実施形態では、血液フラッシュバック機能は、針10のルーメン14によって提供され、これは、カテーテル28の末端が静脈26のルーメン32に完全に収容される前に、血液を視覚化できる点まである量の血液を運ぶことができる。カテーテルの端全体が静脈または動脈に配置される前の時期尚早のフラッシュバックは、静脈内のカテーテル位置の不正確表示を医療者に提供する。時期尚早のフラッシュバックは、カテーテル28が静脈26のルーメンに適切に進められるところでカテーテルが静脈26のルーメンに配置されているという不適切指示を与える。
【0035】
図3に示すように、針10およびカテーテル28をさらに進めると、末端先端22が、穿刺部位とは反対側の静脈26の遠い側34で静脈26の内面を突き刺すまたは損傷する可能性がある。カテーテル28は、静脈26の内面に押し付けられて、静脈26内にカテーテル28の末端30を適切に配置し、そこで末端端部34が静脈26内に完全に配置される。図3に示す位置において、カテーテル28は針10の端部から容易にスライドせず、貫通部位とは反対側の静脈26の内面の遠い側34の壁に対して力を加える。加えて、針の角度は、カテーテルを鋭い末端先端22の周りで曲げる必要があり、そこで鋭い末端先端22はカテーテル28の内面への剥ぎ取りおよび損傷を引き起こす可能性があり、及び/又は針10から静脈へのカテーテル28のスライド移動を妨げる可能性がある。
【0036】
図4~8は、信頼性を高め、静脈の刺し貫きや誤ったフラッシュバック表示の機会を減らして、静脈内の不適切な配置のリスクを減らす、針およびカテーテルを静脈に導入する方法の一実施形態を示す。図4に示されるように、針10およびカテーテル28は、皮膚および静脈26の表面に対して配向されていて、静脈26および皮膚50の表面に向かって下方に向いたベベル20を備える。一実施形態では、針は18から22ゲージであり、ベベル面のベベル角度は約10°から20°である。他の実施形態では、針は約12°から15°のベベル角度を有することができる。針10は、図5に示す位置に配向することにより静脈26に導入され、そこで末端18の先端22が静脈26に接触し、ベベル20が静脈26の上面または外面に向く。挿入力は、皮膚の表面および静脈の長手方向寸法に対して第1傾斜角度で、矢印36の方向で針10およびカテーテル28に加えられ、図5に示すように皮膚および静脈26の表面を穿刺する。一実施形態では、挿入力は、針の長手方向寸法に対して直線方向に加えられる。ベベル面20は、静脈26の長手方向寸法に対して傾斜していて、医療者による針およびカテーテルの挿入方向に対して針10が静脈の実質的に前方の長手方向にスライドするのを支援する。挿入力およびベベル20は、図6および図7に示すように、静脈26に形成された入口33でスリットまたはカットを通る実質的に前方の長手方向にスライドするベベルによって針の角度の平坦化を促進する。示された実施形態では、最初の穿刺時の静脈の外面および皮膚の表面に対するベベル面の配向は、約55°から65°、典型的には約60°の角度で傾斜して配向された針の長手方向軸によって、傾斜角度にあり、皮膚の表面に対して皮膚および静脈の穿孔を提供する。図6に示すように先端22が静脈を突き通すと、ベベル角度は、静脈の長手方向寸法に対する針およびベベル面の傾斜角度の変化を促進する。静脈の貫通後、針の角度は、静脈の長手方向寸法に対して約25°~35°、典型的には約30°に減少する。
【0037】
図7を参照すると、針10およびカテーテル28を更に進めることにより、針10およびカテーテル28が静脈26を貫通し、カテーテル28のベベル20および末端30が、末端先端が侵入点から末端側で静脈を突き刺したり固定したりするリスクを低減した状態で、静脈26のルーメン32内に完全に位置付けられる。図7に示されるように、末端先端18およびベベル20は、入口点で静脈26の壁を貫通することができ、挿入ステップ中に末端先端22が静脈26の末端側34を貫通することなく、ルーメン32内に完全に配置されることができ、その発生を低減し、針10による刺し貫きを防止する。ベベル20は、静脈の内面への損傷の発生を減少させながら、針の有効な配置で静脈26の内面におよびルーメン32内のカテーテル28の末端に、接触することができる。図7に示すように、カテーテル28の末端は静脈26のルーメン32内に完全にあるため、矢印38で示すような針10のルーメン14を通る血液フラッシュバックは、カテーテル28の末端が静脈26のルーメン32に適切に配置されていることを正確に示す。
【0038】
針10およびカテーテル28が静脈26のルーメン32内に配置されると、カテーテル28は前方方向に進められ、カテーテルを針から静脈26内にスライドさせ、従来の方法および静脈の長手方向寸法に対する針のベベル面の配向と比較して、抵抗および干渉を低減することができる。可撓性カテーテル28は、鋭い末端先端22を越えてスライドしたり曲がったりすることなく、最小限の抵抗でベベル20を越えてスライドして、剥ぎ取りまたはカテーテル28への損傷を回避することができる。示された実施形態では、針の該表面でベベル面の基端は鈍角を形成するため、カテーテルの内面は、ベベル面と針の外面との間の交差部を越えてスライドすることができ、カテーテルの内面を損傷しない。ベベル面は、先端22が静脈の長手方向寸法に対して角度をなす角度で配向されて、静脈の内面への損傷または損害を防止または最小化することができる。針10は次に通常の方法でカテーテル28から取り外され得る。
【0039】
図14および図15に示される別の実施形態では、針60は、基端および末端66を備えた長手方向のシリンダ状本体62を有する。末端66は、角度が約16~22°で切断された第1主ベベル68と、両側の2つの逆ベベル70を備え、それぞれのベベル間の3つの切断エッジによって形成される鋭い先端72を形成している。逆ベベル70は、第1ベベル68で収束して先端72を形成する。ベベル70は、第1ベベル68で鋭角で収束して、先端72から延びる角度のついた複数の切断エッジ74を形成する。複数の切断エッジ74は、互いに対して約75~85°の角度で形成されている。逆ベベル70は、互いに収束して傾斜した切断エッジ76を形成し、これは先端72から針本体の外面に向かう方向に延びており、ベベル66とは反対側で針本体の基端に向かっている。丸く湾曲した末端部分78は、本体62の外周面から切断エッジ76まで延びており、切断エッジ76が本体の外周面に対して半径方向内向きに間隔を空けられるようになっている。
【0040】
針60は、前述の実施形態と同様の方法でカテーテル82を支持する。針およびカテーテルを患者に挿入する方法は、ベベル68が患者の皮膚および静脈80の表面に向くように針60を配向させる。針は、末端部分の湾曲面78が図15に示すように静脈80の壁に接触するまで、切断エッジが静脈80を突き刺した状態で、実質的に直線方向に静脈に進める。湾曲面78は、静脈に接触し、さらに切断することなく静脈に形成された開口を通ってスライドする。切断エッジから半径方向外向きに間隔を置いて配置された曲面は、患者への不快感を軽減しながら、針先の静脈内へのスライド移動を促進する。カテーテル82は、次いでベベル68の端部を越えて静脈内にスライドする。他の実施形態では、ガイドワイヤを針と組み合わせて使用することができる。
【0041】
フラッシュバック機能の他の例は、針の外面上の実質的にV字形の溝または凹部を含む。一実施形態では、針の壁が波型にされて、針の軸方向通路内に延びる溝および突出部分を形成することができる。突出部分は、針の内径を減らす表面を形成して患者の皮膚および静脈への挿入中のコアリングの発生を減らすことができる。
【0042】
図示および説明された実施形態では、針はカテーテルと組み合わせて使用され、静脈を刺し、静脈へのカテーテルの挿入と位置付けを補完する位置または配向に針を配置して、凝血および/または血栓症を引き起こす可能性のある刺し貫きおよび静脈への損傷または損害を減少させて、カテーテルを静脈に配置する。他の実施形態において、針は、血液を引き込むかまたは流体を患者に導入するためのカテーテルなしで、単独で使用され得る。あるいは、針は、血液フラッシュバックを提供するための溝またはルーメンを備えたまたは備えていない中実のコアであってもよい。
【0043】
好ましい実施形態の上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明を限定するものと見なされるべきではない。本開示は、当業者が、本発明の範囲から逸脱することなく、記載された本発明の変形を実施できるようにすることを意図している。明細書および特許請求の範囲において、ここでの数値の制限は、「約」という修飾語によって制限されると理解され、同等の結果をもたらすわずかな逸脱は本発明の範囲内である。一実施形態または独立請求項に関連して開示される特徴または従属請求項の制限は、本発明の範囲から逸脱することなく、別の実施形態または異なる独立請求項と組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15