(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129566
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】取付部材、物品、およびシステム等
(51)【国際特許分類】
B60R 11/04 20060101AFI20230907BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20230907BHJP
B60R 1/04 20060101ALI20230907BHJP
B60R 1/12 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B60R11/04
B60R11/02 Z
B60R1/04 Z
B60R1/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120410
(22)【出願日】2023-07-25
(62)【分割の表示】P 2019072358の分割
【原出願日】2019-04-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載アドレス https://my.yupiteru.co.jp/upload/save_image/manual/pdf/LS300.pdf https://my.yupiteru.co.jp/upload/save_image/manual/pdf/GS103.pdf https://my.yupiteru.co.jp/upload/save_image/manual/pdf/A350Alpha.pdf https://my.yupiteru.co.jp/upload/save_image/manual/pdf/WR70.pdf (掲載日 平成31年3月15日) 掲載アドレス https://my.yupiteru.co.jp/upload/save_image/manual/pdf/Z100L.pdf (掲載日 平成31年3月29日)
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(71)【出願人】
【識別番号】508320239
【氏名又は名称】株式会社ユピテル鹿児島
(72)【発明者】
【氏名】豊辻 大士
(72)【発明者】
【氏名】今重 善宏
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
(57)【要約】
【課題】 物品を、例えばルームミラーの横という運転者にとって邪魔にならない位置に適切に配置するシステムを提供する。
【解決手段】 車両のルームミラー1にカメラ11を取り付けるための取付部材12であり、ルームミラーの背面側に取り付ける第1部位(ステー13)と、第1部位からルームミラーの長手方向に延びる第2部位(ブラケット14)と、第2部位に設けられたカメラを取り付ける取付部15を備える。取付部は、ボールジョイント機構を用いることで、カメラの向きを例えば運転者に向けることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両のルームミラーに所定の物品を取り付けるための取付部材であって、
前記ルームミラーの背面側に取り付ける第1部位と、
前記第1部位から延びている部分を有する第2部位と、
前記第2部位に設けられ前記所定の物品が取り付けられる取付部と、
を有し、
前記第2部位と、前記第1部位とのなす角を変更可能に構成された取付部材。
【請求項2】
前記第1部位と前記第2部位とが一体形成され、折り曲げ又は捻る構造により前記なす角を変更可能に構成された
請求項1に記載の取付部材。
【請求項3】
前記取付部は、前記第2部位と一体成形された平板状の部位を有する
請求項2に記載の取付部材。
【請求項4】
前記第1部位は、放射状の複数の切込みであって、前記ルームミラーの背面に対する接着強度を増すための複数の切込みが配置されている
請求項1から3のいずれか1項に記載の取付部材。
【請求項5】
前記複数の切込みは、略90°間隔で配置された第1の切込みと、隣接する前記第1の切込み同士の間にそれぞれ配置された第2の切込みと、を含む
請求項4に記載の取付部材。
【請求項6】
前記延びている部分の長手方向に交差する短手方向における寸法は、前記第1部位および前記取付部の前記短手方向における寸法よりも小さい
請求項1から5のいずれか1項に記載の取付部材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の取付部材と、
前記取付部材に取り付けられる前記所定の物品と、
を備え、
前記所定の物品の少なくとも一部が、前記ルームミラーの背面側に位置するように前記取付部材を構成した
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば取付部材、物品、およびシステム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載する物品の一つであるドライバーモニタリングシステムについて、特許文献1の段落[0046]には、「状態監視装置1は、ステアリングホイールSHが接続されるステアリングコラムSCの上部に設置され、ワイヤーハーネスWHを介して、他の車載装置OMに接続される。」と記載され、同[0045]には「状態監視装置1は、……いわゆるドライバーモニタリングシステムである」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライバーモニタリングシステムを構成する運転者を撮影するカメラは、ステアリングコラム上に設置されており、例えば計器類を見づらかったり、運転者の走行中の邪魔になったりするおそれがある。物品を邪魔にならない位置に適切に配置したいという課題がある。
【0005】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、この課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題も開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る取付部材を、物品を例えばルームミラーに取り付けるために用いる取付部材とした場合、例えば以下の通りにするとよい。(1)少なくとも車両のルームミラーに所定の物品を取り付けるための取付部材であって、前記ルームミラーの背面側に取り付ける第1部位と、前記第1部位から前記ルームミラーの長手方向に延びる部分を有する第2部位と、前記第2部位に設けられた前記所定の物品を取り付ける取付部とを有する。
【0007】
車両のルームミラーの長手方向の端部側の横や裏などに物品を位置させるように取り付けることができる。ルームミラーの上は十分な設置スペースがなく、ルームミラーの下は運転時の視界の邪魔になるが、ルームミラーの長手方向の端部側ではそのようなことがないで良い。第1部位は、例えば実施形態のステー等に対応するようにするとよい。第2部位は、例えば実施形態のブラケット、フレキシブルアーム等に対応するようにするとよい。取付部は例えばボールジョイント機構や、物品を嵌め込む平板に設けた係止突片等に対応するようにするとよい。背面側に取り付けるとは、第1部位の少なくとも一部がルームミラーの背面側に位置するように、第1部位がルームミラーに対して固定されることをいうとよい。第1部位と背面とが直接接触するように固定されるようにするとよいが、第1部位とルームミラーとの背面との間に、テープ、固定具またはその他の部材が介在するようにしてもよい。第1部位は、少なくともルームミラーの背面に対して固定されるようにするとよいが、これに加えて又は代えて、ルームミラーの上面および下面の少なくとも一方に固定されるようにしてもよい。
【0008】
(2)前記物品を前記ルームミラーのミラー面と異なる方向に向かせる手段を有するようにするとよい。このようにすると、例えば取付部材を用いて物品をルームミラーに取り付けた場合に、物品をルームミラーのミラー面と異なる面に向けるように配置できる。異なる方向に向かせる手段は、例えば、取付部材がルームミラーに取り付けられると、ユーザの調整なしに物品を当該異なる向きに向かせるような構成とするとよく、また、異なる方向に向かせる手段は、例えば物品の姿勢を変更できる構成とすると、物品をユーザの好みの姿勢としやすいのでなおよい。物品の向きは、例えば、物品の機能を発揮するために配置する方向、または当該物品の機能をユーザが利用できる方向とするとよい。このような物品の向きは、例えばカメラの場合には例えばレンズの向き等であり、例えばセンサの場合には例えばセンサの検出面等であり、補助ミラーの場合には例えばミラー面などとするとよい。
【0009】
(3)前記物品の姿勢を変更する姿勢変更機構を有すると良い。このようにすると、物品の姿勢を変え、物品の向きを変えることができるのでよい。姿勢変更機構は、例えば、ボールジョイント機構、板金の所定部位を折り曲げたり捻ったりする構造、およびフレキシブルアーム等により実現するとよい。
【0010】
(4)前記第1部位は、前記ルームミラーの異なる面に接続する第1接続部と第2接続部を有するとよい。このようにすると、異なる面に接続することで、取付部材とルームミラーとの接続強度が増す。第1接続部は例えば背面に接続し、第2接続部は例えば上面に接続するものとするとよい。接続は、物理的な接続をいい、取付部材とルームミラーとが直接接触するようにするとよいが、取付部材とルームミラーとの間に両面テープまたはその他の部材が介在するようにしてもよい。
【0011】
(5)前記第2部位と、前記第1部位とのなす角を変位させる変更機構を備えるとよい。このようにすると、例えば第1部位はルームミラーの背面に沿う方向に配置し、第2部位がルームミラーの背面とは異なる方向に位置させることができる。例えば、第2部位はミラー面と平行に位置させ、見ためを良くすることができる。なす角は、任意の方向における角度とするとよいが、例えば方位角、および仰俯角の少なくともいずれかを含むようにするとよい。または、なす角は、車両における前後方向、上下方向の一方または両方を含むようにするとよい。変更機構は、例えばステーの背面に取り付けた上下に延びる軸周りに回転させる構成、板金のステーを折り曲げ可能な構成、およびフレキシブルアーム等により実現するとよい。
【0012】
(6)前記物品と前記ルームミラーの間には、乗車領域から見て隙間を有し、その隙間を介して前記第2部位が見えるように構成し、前記第2部位の上下方向の長さが、前記乗車領域から見て前記ルームミラーと前記物品の間の部位を、前記第1部位側よりも細くするように構成するとよい。このようにすると、物品とルームミラーの間には、乗車領域から見て隙間があって、奥側の第2部位が見えるものであっても、その見える面積を小さくすることができる。乗車領域は、車両に乗車した人が存在する領域であり、例えば座席が設置された空間領域とするとよい。座席が設置された空間領域は、運転席に座る運転者が存在する空間領域とするとよいが、補助席また後部座席に座る人が存在する空間領域としてもよい。乗車領域から見ては、これらの座席に座る人が存在する空間領域の位置から見たことをいうが、これに限られず、ルームミラーの正面側、物品の正面側、第2部位の正面側、その他車両の乗員から見える側などとするとよい。
【0013】
(7)前記第1部位と、前記第2部位は別の部材からなり、前記第2部位は、前記第1部位の少なくとも一部を覆うように構成するとよい。このようにすると、第1部位の少なくとも一部が第2部位により隠れ、第1部位が見えにくくなるようにするとよい。このようにすると、第1部位が隠れるので良い。特に、第1部位がルームミラーに貼付け固定するような場合、その貼付けている部分の一部または全部が隠れるので良い。
【0014】
(8)前記第1部位と、前記第2部位は別の部材からなり、前記第2部位の少なくとも一部を曲げることが可能な部位で構成するとよい。このようにすると、曲げることが可能な部位を曲げることで、第2部位に取り付けられた物品の姿勢および位置の少なくとも一方を変更できる。曲げることが可能な部位は、例えば、フレキシブルアームまたはリンク(例えば、骨等とも称する)とジョイント(例えば関節等とも称する)を組み合わせたアームで構成するとよい。
【0015】
(9)前記第1部位は、前記ルームミラーの上面と下面にそれぞれ接触可能な上側抑え部材及び下側抑え部材と、それら上側抑え部材と下側抑え部材を取り付けるベース部材を有し、前記上側抑え部材と前記下側抑え部材は、相対的に接近離反移動可能に構成し、接近した状態で前記上側抑え部材と前記下側抑え部材の対向面同士で前記ルームミラーを挟み込んで保持し、前記上側抑え部材と前記下側抑え部材の少なくとも一方に、前記ベース部材との間で前記ルームミラーの前後を挟み込んで保持する前側抑え部材を設けるとよい。このようにすると、ルーミラーの上下と前後を挟み込むため、取付部材をルームミラーにしっかり取り付けることができ、例えば走行中の振動が加わったり、誤って触るなどして力が加わったりしても外れにくい。前側抑え部材は、実施形態では、例えば上側抑え部材の先端の下側に突出したガイド部に相当するとよい。
【0016】
(10)前記第1部位と、前記第2部位は、同一の板金から一体形成されるとよい。このようにすると、一体形成されていない場合に比べて構成が簡単になるのでよい。同一の板金から一体形成する構成は、例えば、ルームミラーへの取付部が、上下で分かれていて、先端側で連結されるようにしたり、例えば第2部位に細幅な部分を設け、そこで捻ることで取り付けた物品の角度、例えばカメラの仰角または俯角の角度を変えられるようにしたり、例えば、第2部位に、細幅な部分を設けずに、先端側の取付部をボールジョイントにして、取り付けた物品の向きを変えるなどの他、各種の構成をとれる。
【0017】
(11)車両のルームミラーの長手方向の端部側に所定の物品を取り付けるための取付機構であって、前記物品の姿勢を変更する姿勢変更機構を有するとよい。このようにすると、物品の姿勢を変更でき、ルームミラーのミラー面と異なる方向を向かせることができる。
【0018】
(12)(1)から(11)のいずれかに記載の取付部材と、その取付部材に取り付け可能な物品を備え、前記物品の少なくとも一部が、前記ルームミラーの背面側に位置するように前記取付部材を構成するとよい。このようにすると、ルームミラーの横に物品を配置すると、サンバイザーと干渉し、サンバイザーが使えないことがあるが、ミラーの奥側に配置すると、サンバイザーが使えるのでよい。前記物品の少なくとも一部は、運転者側から隠れるようにするとよい。隠れるのは、物品全体としてもよいが、物品の一部とするとよい。物品がルームミラーの真横の位置に存在しないように位置を調整する調整手段を備えると特によい。また、ルームミラーの背面側に位置させる構成としては、第1部位および第2部位の少なくともいずれかに、少なくとも2箇所で方向転換するための機構を設けるとよい。例えば2箇所にスリットを入れて曲げやすくしたり、フレキシブルアームとしたりするとよい。第1部位よりも第2部位がより背面側(例えば、車両前方側)に位置するようにするための機構を備えると特によい。
【0019】
(13)(1)から(11)のいずれかに記載の取付部材と、その取付部材に取り付け可能な物品を備え、前記物品のケース本体の背面に、前記取付部材に装着する第1取付部位を備え、前記ケース本体の第1取付部位と異なる位置に、前記車両の前記ルームミラーとは異なる部位に対して取り付ける別の取付部材に装着する第2取付部位を備えるとよい。このようにすると、物品をルームミラーに取り付けたり、ルームミラーと異なる場所に取り付けたりすることができるのでよい。第1取付部位と第2取り付け部位は、スライド溝に対応する。第1取付部位と異なる位置は、例えば異なる面とするとよい。
【0020】
(14)第1取付部位は、左右方向に延びるスライド溝を有し、第2取付部位は、前後方向に延びるスライド溝を有し、第1取付部位と第1取付部との接続強度を、第2取付部位と第2取付部との接続強度よりも弱くするとよい。このようにすると、第2取付部位側ではしっかりと固定でき、第1取付部位側では着脱が容易に行える。
【0021】
第1取付部位は、実施形態では、例えばルームミラー用で背面に設けるとよく、第2取付部位は例えばフロントガラス用で上面に設けるとよい。
【0022】
(15)前記取付部はボールジョイントであり、そのボールジョイントは、ボール部と、そのボール部を受けるソケット部と、そのソケット部の外周に装着されるナットを有し、前記ナットを締めると前記ボール部と前記ソケット部の嵌め合が強くなり、前記ナットを緩めると前記ボール部と前記ソケット部が離脱可能になり、前記ナットと前記ソケット部は、前記異なる場所への取り付けで共用するとよい。このようにすると、本システムは、例えばユーザの好み、車両の状況等に応じて物品をルームミラーに取り付ける態様と、ルームミラーと異なる場所に取り付ける態様をとるものであり、一つの物品を同時にルームミラーと、ルームミラーと異なる場所に取り付けることはない。このようなもののため、少ない部品点数で、上記の異なる態様をとることができる。取付部のうちのボール受けとナットが共用とは、例えばボール受けとナットを、物品の少なくとも2以上の異なる位置に取り付けられるとするとよい。
【0023】
(16)前記物品は、カメラであり、前記ルームミラーとは異なる部位は、前記車両のフロントガラスとすると良い。このようにすると、ルームミラーとフロントガラスのどちらにもカメラを取り付けられる。
【0024】
(17)前記カメラが撮像した画像に基づいて、前記車両の乗員の状態を検出し、前記乗員の状態に応じた情報を報知するとよい。ドライバーモニタリングシステム(DMS)を好ましく適用できる。このようにすると、ユーザの状態を検知し、乗員の状態に応じた情報を報知できる。報知は、カメラが行ってもいいし、レーダー探知機などの他の機器RD探知機が行ってもよい。乗員の状態は、例えば運転中の運転者のわき見、居眠りまたはその他の状態とするとよい。
【0025】
(18)前記カメラは、前記乗員の目よりも高い位置から前記乗員の顔または目を撮像する機能を備えると良い。このようにすると、日光が乗員の顔または目に当たった状態で撮像したことを原因とする、DMSの誤作動を抑制できる。
【0026】
(19)(1)から(11)のいずれかに記載の取付部材(以下、「第1取付部材」)に取り付け可能な物品であって、前記物品のケース本体の異なる面に、前記車両の異なる部位に対して取り付ける第2取付部材に接続する取付部を備え、その異なる面の内の一つは背面であり、その背面に設ける前記取付部が、前記第1取付部材に取り付けるようにするとよい。このようにすると、物品を車両内の異なる場所に設置することができる。
【0027】
上述した(1)から(19)の発明は、任意に組み合わせることができる。例えば(1)に示した発明の全部または一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。本願出願人は、これらの構成を含むものについても、補正・分割出願・意匠登録出願への変更出願等により特許権・意匠権等を取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0028】
例えばルームミラーの横という運転者にとって邪魔にならない位置に適切に物品を配置できる。
【0029】
また物品がドライバーモニタリングシステムを構成する運転者を撮影するカメラの場合、例えばステアリングコラム上に設置されると、例えば計器類を見づらかったり、運転者の走行中の邪魔になったりするおそれがある。また、カメラをダッシュボード上やステアリングコラムや上に配置した場合には、昼夜で光の照度差が大きく、誤作動の一因となることがある。これに対し、例えば、カメラを例えばルームミラーの横やフロントガラスの上方に配置すると、係る事態を生じない。また、所定の取付部材を用いることで、例えばルームミラーの横やフロントガラスの上方等に物品を適切に配置することができる。
【0030】
本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係るシステムの一例である物品をルームミラーの横に配置する実施 形態を示す斜視図である。
【
図2】(a)はその正面図であり、(b)はその背面図である。
【
図3】(a)はその平面図であり、(b)はその底面図である。
【
図4】
図3の状態からブラケットの図示を省略した図である。
【
図8】ボールジョイント機構のソケット部側を示す図である。
【
図9】本発明に係るシステムの一例である物品をフロントガラスに配置する実施形 態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0033】
[ルームミラーに物品を取り付ける取付部材の一実施形態の基本構成]
本発明に係る取付部材は所定の物品を所定の部位に取り付けるための部材である。以下、一例として取付部材を、カメラをルームミラーに取り付けるために用いる場合の一例を説明する。
図1~
図8は、車両のルームミラー1に取付けるシステム10の一実施形態を示している。車両は、車室内にルームミラーが設置された四輪の自動車である。このシステム10は、物品の一形態であるカメラ11と、そのカメラ11をルームミラー1に取付ける取付部材12を備える。
【0034】
ルームミラー1は、扁平で横に延びるように細長で前面が開口する筐体2と、筐体2の前面の開口する部位に装着するミラー3と、筐体2の背面側に連結される支持部材4等を備える。支持部材4の図示省略する他端側は、車両のフロントガラスや天井等の所定位置に取付けることで、ルームミラー1を車両の室内前側の前方所定位置に吊り下げ支持する。
【0035】
取付部材12は、例えばルームミラー1の筐体2の背面に取り付けるステー13と、そのステー13に一端側が取付けられ当該ステー13の取付位置からルームミラー1の長手方向に延びるブラケット14と、そのブラケット14の長手方向の他端側に配置されるカメラ11の取付部15を備える。ブラケット14は、例えばルームミラー1の長手方向に平行に延びることがあるようにするとよい。また、ブラケット14は、ルームミラー1の筐体2の背面2aの少なくとも一部に接触するようにするとよい。
【0036】
このようにすることで、カメラ11は、車両のルームミラー1の横、すなわち、長手方向の一方の端部の外側近傍に位置させた状態で取り付けられる。カメラ11を配置する一方の端部は、車両の乗車領域側から見た状態で右側にし、右ハンドルの車両において、運転席側にカメラ11を配置し、カメラ11から運転者までの距離を短くする。これにより、カメラ11の撮影エリア内に占める運転者の割合が大きくなり、運転者を高精度に綺麗に撮影可能となる。また、ルームミラー1の横にカメラ11を取り付けるので、カメラ11と運転者の車両の前後方向の距離を、車種にかかわらず短くすることが可能となり、上述した撮影エリア内に占める運転者の割合を大きくし、運転者を高精度に綺麗に撮影可能となるという効果が相乗的に発揮する。例えば、後述するようにカメラ11をフロントガラスに取り付ける場合、例えば、トラックなどのフロントガラスが90度に近い角度で配置されるタイプの車両や大型車両では、運転者とカメラ11の前後方向の距離が長くなる。これに対し、本実施形態のようにルームミラーの運転者側の横に配置すると、フロントガラスに取付ける場合に比べて運転者側に近づく。
【0037】
また、ルームミラー1にカメラ11を取付ける場合、上述した実施形態のようにルームミラー1の上側や下側でなく、横にするとよい。例えば、上側にはカメラを配置するの十分な設置スペースが確保できない車種があり、下側に配置するとルームミラー1から下側に突出しているのが目立ち、また、運転時の視界の邪魔になるおそれがあるからである。これに対し、ルームミラー1の横にカメラ11を配置すると、当該ルームミラー1は左右に細長なことも相まって、配置されたカメラ11が目立たずに自然に収まり、運転者の視界の邪魔にならないのでよい。
【0038】
[取付部材の一形態]
本実施形態の取付部材は、ルームミラーの背面に取り付ける第1部位と、第1部位からルームミラーの長手方向に延びる第2部位を、それぞれステー13と、ブラケット14の別部材で構成し、それらを連結して構成する一形態である。ステー13は、主に金属板から構成され、ルームミラー1の筐体2の背面2aに接続する第1接続部21と、その筐体2の上面2bに接続する第2接続部22と、それら第1接続部21と第2接続部22を繋ぐ細幅の繋ぎ部23を有する。第1接続部21と第2接続部22と繋ぎ部23は、一枚の金属板からなり、その金属板の適宜位置を折り曲げ等することで所望の形状に形成する。第1接続部21と第2接続部22は、一枚の金属板における同一面側がルームミラー1に接続する接続面となる。本形態では、第1接続部21と第2接続部22は、それぞれ両面テープ等の接着部材を用いてルームミラー1の筐体2の所定部位に貼付け固定する。貼付け固定は、接続することの一例である。
【0039】
図5等に示すように、第1接続部21は、外形が略矩形で比較的広い面積からなり、第2接続部22は第1接続部21に比べて細長な矩形状で比較的狭い面積からなる。繋ぎ部23の中間部位を湾曲させ両端の向き、すなわち、第1接続部21の接続面と第2接続部22の接続面のなす角が略90度になるように設定する。
【0040】
当該なす角が略90度になるように折り曲げることで、第1接続部21の接続面をルームミラー1の筐体2の背面2aに対向させると、第2接続部22の接続面は筐体2の上面2bに対向する。よって、ルームミラー1の筐体2の異なる面の一例である背面2aと上面2bに接着して接続することで、ステー13のルームミラー1に対する接続強度が増し、曲げモーメントにも強くなる。例えば本形態のように、ブラケット14を介して接続されるカメラ11の自重や、カメラ11の配置位置が筐体に貼付けられた第1接続部21の貼り付け位置より横に離れた位置にあって、本体の重さに加え回転モーメントにより例えばブラケット14が斜めになってステー13が剥がれる方向に付勢される。このように剥がれる方向に付勢され、例えば第1接続部21と筐体2の背面2aとの接続部分に上下方向や、その接続面内で回転しようとする方向に力が加わっても、第1接続部21と一体となる第2接続部22が筐体2の上面2bに接着一体化しているため、その第2接続部22が第1接続部21と筐体2の背面2aとの接続部位に加わる上下方向や回転方向に働く力に抗し、第1接続部21が剥がれるのを抑制する。本形態では、取付部材12のルームミラー1への取付位置、すなわちステー13の存在位置と、その取付部材12が保持する本体であるカメラ11の位置が離れているような構成において、適切にカメラを保持する。
【0041】
また、後述する変形例のように、ルームミラーに接続する第1接続部は、例えばルームミラーに対して上下から挟み込んで保持するようにしてもよいが、本実施形態によれば、上下で挟み込むものに比べ、筐体2の上下に突出・露出する部位・面積を小さくでき、目立たず、ビジュアル的に好ましい形態となる。
【0042】
第1接続部21は、格子状に配置される細幅の孔部21aを形成し、その孔部21aに沿って第1接続部21を部分的に折り曲げしやすくしている。縦方向或いは横方向に延びる孔部21aは、当該格子状の交点の部分では重なり、十字状の孔部21aとなる。さらに、横方向に延びる孔部21aは長くし、直接或いは縦方向に延びる孔部21aを介して第1接続部21の周縁に開口するように構成する。これにより、第1接続部21は、複数の小片21bに分割され、小片21bの単位で他とは異なる角度で折り曲げることができる。よって、第1接続部21は、湾曲した筐体2の背面2aに沿った形状に加工し、接続面における筐体2との接触面積を大きくし、接着強度を高くすることができる。
【0043】
本実施形態で言う第1接続部21における縦方向は、例えば第2接続部22と繋がる方向または繋ぎ部23の延びる方向と平行な方向で、例えば、第1接続部21をルームミラー1の筐体2の背面2aに取り付けた際に、ルームミラー1の上下方向に沿う方向とするとよい。また本実施形態で言う第1接続部21における横方向とは、例えば、第1接続部21をルームミラー1の筐体2の背面2aに取り付けた際に、ルームミラー1の左右方向に沿う方向とするとよい。
【0044】
第2接続部22は、格子状に細幅の孔部22aを形成し、その孔部21aに沿って第1接続部21を部分的に折り曲げしやすくしている。第2接続部22は、幅の狭いルームミラー1の筐体2の上面2bに接着するため、その筐体2の上面2bにあわせて細幅にしていることも相まって、各孔部22aは短めにしている。このようにすることで、筐体2の上面2bの形状に応じて長手方向に延びる中心線上の孔部22aを基準に折り曲げるバターンと、その中心線と直交する短手方向に延びる孔部22aを基準に折り曲げるパターンを取り得る。特に、後者の短手方向に延びる孔部22aを基準に折り曲げるパターンの場合、例えば、筐体2の上面2bが端に行くほど下がるように湾曲する形態であっても接触面積を大きくとれるのでよい。
【0045】
ルームミラー1の筐体2は、一般に上面2bよりも背面2aの方か湾曲が大きく、立体的・3次元的に曲がっているケースが多く、また、上面2bは前後方向の奥行きが短いこともあり、長手方向に同じ長さの区間における面積は、背面2aの方が大きい。そこで、本実施形態のように第1接続部21には、切り込みを入れ、小さい部位の小片21bの単位で曲げられるようにし、湾曲面等に対応可能にしている。一方、筐体2の上面2bは、左右方向には湾曲しているが、前後方向にはさほど曲がっていない形態のものが多いので、第2接続部22は大きな切り込みを設けず、全体としての剛性・強度アップを図ることを特徴とする。
【0046】
繋ぎ部23は、細幅にしているため、その存在が目立ち難くなり、視界の邪魔にならないのでよい。また、細幅にすることで、曲げ加工をしやすくなり、例えばルームミラー1の筐体2の背面2aから上面2bに連なる表面形状に合わせて曲げやすくなる。
【0047】
また、繋ぎ部23は、例えば第1接続部21から第2接続部22に延びる細長な帯状としているが、その左右両側縁の長さを異ならせるとよい。このように長さを異ならせると、例えば上述したように第1接続部21の接続面と、第2接続部22の接続面のなす角を略90度にし、例えば第1接続部21の接続面を垂直平面内に位置させると第2接続部22の接続面が水平平面内に位置するように構成した場合に、例えば
図3等に示すように、ルームミラー1の上方から見た平面視の状態で、第2接続部22の長辺と、第1接続部21の接続面、すなわち、上端縁が非平行な状態になる。これにより、例えばルームミラー1の筐体2の奥行きが、長手方向の中央から端部側に行くにつれて徐々に短くなり、背面2aが、当該平面視で傾斜するが、背面2aの表面自体の曲率は小さく平坦面となっているような場合に、第1接続部21の接続面を大きく折り曲げることなく、筐体2の背面2aに対して接触面積を大きくとることができるのでよい。
【0048】
第1接続部21の接続面と反対側の背面側には、ブラケット14との連結部30を備える。この連結部30は、ブラケット14の長手方向の一端側を所定角度範囲内で正逆回転可能に接続し、第1接続部21とブラケット14の車両における前後方向のなす角を変位可能な構成にする。このようにすると、例えば
図3等に示すように、ルームミラー1の筐体2の奥行きが、長手方向の中央から端部側に行くにつれて徐々に短くなり、当該平面視で傾斜するような構造の筐体2の背面2aにステー13の第1接続部21を接着し、当該第1接続部21をその背面2aに沿う方向に配置した状態で、ブラケット14がルームミラー1の背面2aとは異なる方向に位置させることができる。これにより、例えば、第1接続部21の筐体2に対する接着面積を広くして所望の接着強度・接続強度を保持しつつ、ブラケット14は、ミラー3の面と平行に位置させて見ためを良くすることができる。
【0049】
連結部30は、金属板からなる第1接続部21の所定部位に縦方向に所定の距離をおいた部位に、背面側に折り曲げて形成する第1突片24及び第2突片25と、それら第1突片24と第2突片25にそれぞれ設けた貫通孔を貫通するように装着する支持軸28を有する。第2突片25が第2接続部22および繋ぎ部23側に位置する。支持軸28は、例えば六角穴付のボルト等から構成するとよく、本形態では、当該ボルトを第1突片24側から挿入し、ボルトの頭部28aが第1突片24の外面側に位置し、ボルトのねじ部が第2突片25側に位置するようにセットする。第2突片25の内面すなわち第1突片24との対向面側には、固定用部材26を装着する。固定用部材26は、所定の肉厚を有し、第2突片25の貫通孔に対応する位置に雌ねじを備え、支持軸28を構成するボルトの雄ねじと噛み合うように構成する。また固定用部材26の第2突片25と非接触面には、円盤状の凸部26aを有し、その凸部26aの第1突片24と対向する表面には、円周方向に凹凸が交互に形成される第1係止部26bを備える。上述したように、ボルトからなる支持軸28は、第1突片24側から挿入し、その先端側を第2突片25の貫通孔に挿入し、当該ボルトの雄ねじを固定用部材26に設けた雌ねじに嵌め合わす。そして、第1突片24と第2突片25は、金属板を折り曲げて形成しているため、可撓性を有する。よって、例えば、上記の雄ねじと雌ねじが嵌め合った状態でボルトを締めると第1突片24と第2突片25との対向面間の距離が狭まり、ボルトを緩めると第1突片24と第2突片25との対向面間の距離が広がるように構成される。
【0050】
ブラケット14は、合成樹脂から形成する。
図6等に示すように、ブラケット14は、扁平で細長な概略矩形状のブラケット本体31を備える。ブラケット本体31の前後面の所定位置には、小さい凹部をマトリクス状に多数形成し、肉厚を薄くすると共に、隣接する凹部の間にリブを形成し、強度を確保する。さらに本実施形態では、前後面の一方の面に凹部・リブを形成した領域の反対側の他方の面は、平坦面に形成する。
【0051】
ブラケット本体31の前面側には、長手方向の一方の端部側にステー13の連結部30に回転可能に連結する連結部32を設け、他方の端部側にカメラ11を取り付ける取付部15を配置する。
【0052】
連結部32は、上下が開口する筒状体からなり、その貫通孔32aの内径は、支持軸28の外径より若干大きくする。連結部32の軸方向の長さは、第1突片24と固定用部材26の対向面間の距離とほぼ等しいか若干短くする。これにより、支持軸28を外した状態では、円筒状の連結部32は、第1突片24と固定用部材26の間に形成される空間内に収納配置される。そして、その状態で支持軸28を構成するボルトを第1突片24、固定用部材26、第2突片25に設けた貫通孔内を貫通するように挿入し、ボルトの雄ねじと固定用部材26の雌ねじを締結することで、連結部32は、支持軸28からの離脱を抑止され、ブラケット14がステー13に接続され、ブラケット14はその状態で支持軸28を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転するように構成される。
【0053】
連結部32の上面には、固定用部材26に設けた第1係止部26bと同様に、貫通孔32aの周りに、円周方向に凹凸が交互に形成される第2係止部32bを備える。これら第1係止部26bと第2係止部32bは、凹凸形状が符合しており、互いの凹と凸が嵌め合った状態では回転が抑止される。そして、支持軸28を構成するボルトを緩め、第1突片24と固定用部材26との間隔が長い状態では第1係止部26bと第2係止部32bの嵌め合いは無いかあるいは弱く、ブラケット本体31の回転を許容し、ボルトを締めて第1突片24と固定用部材26との間隔が短い状態では第1係止部26bと第2係止部32bとが嵌め合って回転が抑止される。これにより、ブラケット本体31を例えばルームミラー1のミラー面と平行など所望の角度位置に固定することができる。
【0054】
ブラケット本体31は、短手方向が装着時に上下方向に向き、長手方向が装着時に左右方向に向く。ブラケット本体31の短手方向の長さは、ルームミラー1への取付側・ステー13との連結側である一方の端部側が幅広で、カメラ11の取付側である他方の端部側が幅狭に構成する。ルームミラー1への取付側の幅広にした短手方向の長さは、ステー13の第1接続部21の縦方向の長さと等しいか、それ以上の長くする。そして、ブラケット14をステー13に連結した状態では、ブラケット14がステー13の第1接続部21に重なり、車両の前方側から見て覆い隠すように設定している。
【0055】
このようにすると、車外からフロントガラス越しにルームミラー1の背面や取付部材12を見た場合に、両面テープを用いて貼付けているステーの第1接続部21が見えないか、その大部分が隠れるので見た目が良く好ましい。ステー13の第1接続部21を貼付けていることを、隠したり、気がつかれにくくしたりすることができる。また、この第1接続部21に対向するブラケット本体31の領域では、後面側を平坦面に形成する。このようにすることで、車両の前方外側からルームミラー1や取付部材12を見た場合に、ステー13の第1接続部21を覆うのが例えば平坦面の板材のようになり、ルームミラー1の筐体2の背面2aに溶け込み違和感がないのでよい。
【0056】
ブラケット本体31の他方の端部側に設けたカメラ11を取り付ける取付部15は、本形態では、ボールジョイント機構を用いている。ボールジョイント機構を用いることで、カメラ11の向き、カメラ11の撮影領域の画角・視野角の向きを任意の方向に向かすことができる。カメラ11の向きは、例えばカメラ11に備えるレンズ40の向きとするとよい。後述するように、カメラ11のケース本体41の前面41aにレンズ40を配置し、前面41aの向きとレンズ40の向きを等しくしているため、ケース本体41の前面41aの向きを調整することで、カメラ11の向きを調整可能となる。
【0057】
この取付部材12を用いて物品であるカメラ11をルームミラー1に取り付けた場合に、カメラ11の向きをルームミラー1のミラー3が向く面、ミラー面の正面側でありミラー面と直交する方向と異なる方向に向けるように配置できる。このようにすると、ミラー3の向きと異なる方向を効果的・高精度に撮影することができる。
【0058】
ルームミラー1のミラー面は、例えば車両の真後ろを向くように設定されている状態において、カメラ11の向きを真後ろと異なる方向に向かせることができる。カメラ11の撮影領域、視野角の向きを真後ろと異なる方向に向かせることができる。異なる方向は、例えば、車両の室内の空間・床面を基準とした水平方向に傾斜させたり、上下方向に傾斜させたり、それらを組み合わせたりするとよく、特に斜め下方で斜め横方向に傾斜し、運転席・運転者が撮影領域に含む方向に向けるとよい。このようにすると、ルームミラー1は、例えば真後ろ等の車両後方が映るように設定した状態で、運転者を綺麗に撮影することができる。
【0059】
上述したようにブラケット本体31は、支持軸28を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転可能に構成され、ブラケット本体31をルームミラー1のミラー3と平行に配置する姿勢をとるとよい。このようにすると、ボールジョイント機構により姿勢・向きを変えるカメラ11の基準面がミラー3と平行になるのでよい。つまり、例えばブラケット本体31とカメラ11のケース本体を平行にすると、カメラ11のケース本体41の前面41aと、ミラーを平行に配置した姿勢を基準にカメラ11の向きを変更することができ、例えば、カメラ11の向きを上記の基準の位置から運転者側に向けることを容易に行うことができる。一方、例えばブラケット本体31が本実施形態のように回転できず、例えばルームミラー1の背面の傾斜角度と平行に配置されるような構成とすると、カメラの取付面も当該傾斜角度と平行になり、その取付面と平行にカメラを配置する基準姿勢では、そのカメラは運転者と反対側の車両の中央側を向くことになる。よって、運転者を撮影するためには、基準姿勢からより大きい角度で姿勢を変更する必要があるので好ましくない。例えばボールジョイント等の可変角度範囲内では対応できない事態を招くおそれもある。そしてルームミラーの背面の傾斜が大きくなるほど、上記の問題は顕著に表れるが、本実施形態のようにブラケット本体31を回転可能に構成すると、係る問題が発生しないのでよい。
【0060】
本実施形態では、ボールジョイント機構の取付部15と、支持軸28の2カ所でブラケット14とそれに接続する部材との相対位置を変位可能な構成としている。これにより、カメラ11の画角の方向の可動範囲が広くなる。そして、ブラケット本体31を支持軸28周りで回転することで、カメラ11の前後方向の位置を調整したり、ブラケット本体31をフロントガラス及びまたはルームミラーのミラー面と平行にしたりすることができる。
【0061】
取付部15は、ボールジョイント機構のように物品の姿勢を変更する姿勢変更機構を用いたため、物品であるカメラ11のケース本体41の姿勢を変えるスペースを確保するため、例えば
図2の正面図に示すように、乗車領域の一例であるルームミラー1の正面側から見た場合に、ルームミラー1とカメラ11の間に隙間が形成される。カメラ11の向きを変えること等から、隙間は例えば5mm以上を確保するとよい。そしてその隙間を介して奥側にあるブラケット14が見えるように構成される。本実施形態では、ブラケット本体31の短手方向の長さを、カメラ11の取付側である他方の端部側が幅狭に構成しており、その幅狭に形成した領域が、上記の隙間の部分を含むように構成する。このようにすると、例えば、ルームミラー1の正面側から見た場合に、その隙間を介して視認できるブラケット本体31の面積を小さくすることができ、ブラケット14の存在をなくしたり、小さくしたりすることができるのでよい。
【0062】
ブラケット本体31の後面は、上述した小さい凹部の部位を除き概略同一平面上に位置するようにし、前後方向の厚み・肉厚は、カメラ11を取り付ける他方の端部側を薄くするように構成する。そしてこの薄くした部分に、取付部15を設ける。これにより、ブラケット本体31のカメラ11に対向する面と、カメラ11のケース本体41の背面41bとの間に所定の空間が形成され、例えば、その空間内に指を挿入し、取付部15に対する操作が容易に行えるようになる。
【0063】
ブラケット本体31の他方の端部側には、取付部15のボールジョイント機構を構成するボールスタッド33を一体に形成する。また、ボールジョイント機構を構成するソケット部34は、別部材で構成する。このソケット部34は、例えば
図8等に示すようにカメラ11に装着するための板状のベース部材35と一体に形成する。ソケット部34は、円周方向に90度間隔で先端側からベース部材35側に向かって伸びる切込部34aを有し、隣接する切込部34a間の小片部分が可撓性を有する。また、ソケット部34の外周には雄ねじ部34bを設け、このソケット部34の外周に当該雄ねじ部34bに嵌め合うナット36を装着する。これにより、ボールスタッド33のボール部をソケット部34内に装着した状態でナット36を締め付ける前は、ソケット部34はボール部の周面に沿って所望の方向に回転しベース部材35の姿勢・位置を変位可能とし、ナット36を緩めるとその角度位置が固定される。
【0064】
ベース部材35は、一組の対辺に外側に突出するガイドレール部35aを備える。ガイドレール部35aが未形成の一組の対辺の一方から他方に向けて平行に2本の切込み部を設け、その2本の切込み部の間が可撓性のある爪片部35bとなる。爪片部35bは、他方の辺側で連結され、先端部35c側がフリーとなる片持ち支持状に構成され、その底面側に係止用凸部35dを備える。
【0065】
さらに本実施形態では、ナット36を緩めたり、必要に応じてソケット部34から取り外したりすることで、ソケット部34をボールスタッド33のボール部から離脱され、ソケット部34とボールスタッド33を分離可能としている。
【0066】
[カメラ]
カメラ11は、略矩形状のケース本体41を備え、そのケース本体41の前面41aにレンズ40が露出するように配置し、レンズ40の光軸が前面41aに直交するように構成する。これにより、前面41aの向きに正対する方向が、カメラ11の画角の中心となる。また、ケース本体41の内部には、撮影するための光学系や電子部品等のカメラ機能を実現するための機器等を内蔵する。さらに本実施形態では、カメラ11は、ドライバーモニタリングシステム(DMS)の機能の一部を構成するものである。DMSは、カメラ11が撮像した画像に基づいて、車両の乗員である運転者等の状態を検出し、運転者等の状態に応じた情報を報知するシステムであり、本実施形態では係るDMSの機能もケース本体41内に実装する。例えば、カメラ11で撮影した画像に基づいて運転者等の状態を検出する制御部や、検出した運転者等の状態に応じた情報を報知する機器としてのスピーカ等を備える。この実施形態では、DMSは、カメラ11の単独の装置として実現している。ケース本体41の背面41bに設けた孔部41cの裏側には当該スピーカが配置されており、当該孔部41cからDMS用の警報音声等が外部に出力される。
【0067】
カメラ11は、ケース本体41の背面41bに、ルームミラーに取り付ける上記の取付部材12の取付部15を装着する第1取付部位42を備える。この第1取付部位42は、横方向に延び一端が側縁に開口するスライド溝42aを備える。このスライド溝42a内に、ベース部材35を挿入する。スライド溝42aの一対の内側面には、ベース部材35のガイドレール部35aが符合するガイド溝部42bを有し、ベース部材35はガイドレール部35aとガイド溝部42bが符合させた状態で、スライド溝42a内を移動する。
【0068】
さらにスライド溝42aは、ケース本体41の一側縁から中央付近に延び、その中央付近の底面には、第1係止用凹部42cを有する。この第1係止用凹部42cは、ベース部材35の爪片部35bに設けた係止用凸部35dと符合する。さらにスライド溝42aの底面には、開口側端縁から第1係止用凹部42cに向けて底浅の凹溝42dが形成され、その凹溝42dと第1係止用凹部42cとの間に仕切壁42eを形成する。
【0069】
一方、ベース部材35の爪片部35bは片持ち支持されており、その支持された連結部位を中心に弾性変形可能である。そのため、ベース部材35をスライド溝42aの開口部位から挿入し、スライド溝42aの凹溝42dに沿って中央に向けて移動する。そして、第1係止用凹部42cが仕切壁42eに接触した状態でさらに奥に押し込むと、爪片部35bは弾性変形しながら第1係止用凹部42cが仕切壁42eを乗り越え、係止用凸部35dが第1係止用凹部42cと符合する。そして、係止用凸部35dと第1係止用凹部42cの嵌め合いにより、ベース部材35のスライド溝42aに沿った横方向の移動が抑止される。
【0070】
また、本形態では、第1係止用凹部42cの角度を調整し、係止用凸部35dとの噛み合いの力を弱くする。これにより、通常は噛み合った状態のままで固定されているが、ある程度の力を加えると係止用凸部35dと第1係止用凹部42cの嵌め合いが外れ、ベース部材35が仕切壁42eを乗り越えて凹溝42d側に移る。以後、爪片部35bは凹溝41dに沿って移動可能になり、ベース部材35はスライド溝42aから取り外し、カメラ11を取付部15から離脱することができる。
【0071】
さらに本実施形態では、ケース本体41は、背面41bと異なる部位に、車両のルームミラー1とは異なる部位に対して取り付ける別の第2取付部材50に装着する第2取付部位44を備える。このようにすると、カメラ11をルームミラー1に取り付けたり、ルームミラー1と異なる場所に取り付けたりすることができる。
【0072】
異なる部位は、本形態では例えばケース本体41の上面41eとし、異なる部位は例えばフロントガラスとするとよい。また、この第2取付部位44は、前後方向に延び一端が後縁側に開口するスライド溝44aを備える。このスライド溝44a内に、ベース部材35を挿入する。スライド溝44aの一対の内側面には、ベース部材35のガイドレール部35aが符合するガイド溝部44bを有し、ベース部材35はガイドレール部35aとガイド溝部44bが符合させた状態で、スライド溝44a内を移動する。
【0073】
さらにスライド溝44aは、手前の開口部側の底面に、第2係止用凹部44cを有する。この第2係止用凹部44cは、ベース部材35の爪片部35bに設けた係止用凸部35dと符合する。すなわち、爪片部35bは片持ち支持されており、その支持された連結部位を中心に弾性変形可能である。そのため、ベース部材35をスライド溝44aの開口部位から挿入すると、爪片部35bは、先端部35c側がスライド溝44aの奥面から持ち上がった状態となる。そしてベース部材35を奥まで進めると、係止用凸部35dが第2係止用凹部44cと符合し、爪片部35bは弾性力によりスライド溝44aの奥面に沿うように変位する。これにより、係止用凸部35dと第2係止用凹部44cの嵌め合いにより、ベース部材35のスライド溝44aに沿った横方向の移動が抑止される。
【0074】
また、本形態では、第2係止用凹部44cの角度を調整し、係止用凸部35dとの噛み合いの力を強くする。これによりベース部材35を第1取付部位42に装着した場合と相違し、スライド溝44aに沿ったスライド方向に力を加えても外れず第2係止用凹部44cと係止用凸部35dとの噛み合いが解除されないようにすることを特徴とする。そして、第2係止用凹部44cと係止用凸部35dとの噛み合いを解除するためには、爪片部35bの先端部35cを上方に持ち上げることで行い。このようにすることで、フロントガラスに取り付けた場合には、しっかり固定することができる。
【0075】
車両は上下運動が基本で、前後方向もあるが、左右方向は少ない。また、フロントガラス用のスライド溝は上面の前後方向に伸びるように形成するので、長くても本体の厚さよりも短くなるので、少し移動すると離脱して落ちてしまう。そこで、本形態では第2係止用凹部44cと係止用凸部35dとの結合力を強くし、スライド方向に付勢しても解除されないようにした。一方、通常走行時に左右方向に大きな力加わることが少なく、抜ける方向の力がほぼ発生しないルームミラー用は弱い結合でよい。またフロントガラス用のスライド溝42aは、カメラ11の背面41bに横方向に延びるように形成するので、フロントガラス用のスライド溝44aに比べると長くとれるので多少移動しても離脱はしない。よって、ルームミラー側はそれほど強固しなくてもよいとともに、爪片部35bの先端部35cを手で持ち上げるのは難しいので取り外しやすさを考慮して、似た結合構造をとりつつ異なる取り外し方式とした。つまり、外す方向・取り付ける相手により嵌め合いの強度を変えて取り外し方を変えるようにした。
【0076】
[フロントガラス取り付け用の取付部材]
カメラ11をフロントガラス等に取り付けるための第2取付部材50は、ルームミラー用と同様にボールジョイント機構を用いた。すなわち、フロントガラスに貼り付ける貼り付け面を有する平板状のベース部51と、そのベース部51から一対に起立形成するボールスタッド52と、そのボールスタッド52のボール部を装着するソケット部34と、ソケット部34の周囲に着脱自在に取り付けるナット36と、ソケット部34と一対に形成するベース部材35を有する。ベース部51はボールスタッド52の支柱に対して所定角度傾斜するように形成する。そして、ベース部51に両面接着テープ等の接着部材を貼り付け、その接着部材を介してフロントガラス等に貼り付け固定する。
【0077】
ナットとソケット部は、ルームミラーに取り付けるものと共用する。すなわち本システムは、例えばユーザの好み、車両の状況等に応じて物品をルームミラーに取り付ける態様と、ルームミラーと異なる場所に取り付ける態様をとるものであり、一つの物品を同時にルームミラーと、ルームミラーと異なる場所に取り付けることはない。このようなもののため、少ない部品点数で、上記の異なる態様をとることができる。
【0078】
[カメラ11の取付位置についての実施形態]
上述した実施形態等では、カメラ11は、所定の固定部材を用い、ルームミラー1やフロントガラスに固定する場合について説明した。フロントガラスに貼付ける場合、ルームミラー1と同様に天井付近等の上方に配置するとよい。具体的な取付構造は問わずカメラは、運転者等の乗員の目よりも高い位置から運転者等の顔または目を撮像するように構成するとよい。
【0079】
例えば、車内の各場所における晴れた日中と夜間でそれぞれ照度を測定すると、ダッシュボート上がその照度の差が大きくなり、ステアリングコラム上が次に照度の差が大きくなる。一方、車室内の上方空間であるルームミラー1の横と、フロントガラスの上方領域では昼夜の照度差が少なく、特に少し車内に奥まった位置にあるルームミラーの横が最も照度差が少ない。照度の差が大きいと、例えば、カメラで撮影した画像に基づき運転者等の状態を監視するDMSにおける精度が低下する可能性がある。そこで本形態のように、ルームミラー1やフロントガラス上方などのように日光が当たりにくい場所に配置するとよい。また、ルームミラー1の横や、フロントガラスの上方に配置すると、運転者の走行中の視界の邪魔にならず、見た目がスッキリとした配置となるのでよい。
【0080】
[ミラーに挟み込み固定する形態+アームに可撓性を有する部材]
図10は、取付構造の別の形態を示している。この形態では、ルームミラー1に接続する第1部位は、ルームミラー1の筐体2を挟み込んで固定する構造をとり、第2部位は可撓性のある部材を備えて構成する。
【0081】
第1部位は、筐体2の上面と下面にそれぞれ接触可能な上側抑え部材55及び下側抑え部材56と、それら上側抑え部材55と下側抑え部材56を取り付ける平板状の支持部材57を備える。上側抑え部材55と下側抑え部材56は、相対的に接近離反移動可能に構成し、接近した状態で上側抑え部材55と下側抑え部材56の対向面同士でルームミラー1の筐体2を上下から挟み込んで保持する。係る機能を実施するための構成の一例として、本形態では、下側抑え部材56の上面の一端側を起立した支持部材57の下面に対向させる。下側抑え部材56の幅方向の中央部には、その下面側から第1固定ねじ60を挿入し、その第1固定ねじ60の先端のねじ部を支持部材57に設けたねじ穴に挿入する。これにより、第1固定ねじ60を正逆回転することで、下側抑え部材56は昇降移動し、第1固定ねじ60の回転を停止した状態でその位置が決まる。さらに下側抑え部材56の上面の幅方向の左右両側にはガイドピン59を起立配置し、そのガイドピン59を支持部材57に設けたガイド孔内に挿入する。これにより、上述した第1固定ねじ60の操作に伴う昇降移動を安定してガイドする。この下側抑え部材56の昇降移動に伴い、下側抑え部材56と上側抑え部材55間の距離が変わり、対向面間でルームミラー1の筐体2を離脱しないように保持する。
【0082】
また、上側抑え部材55は、平板状でその先端が下方に垂下するガイド部58を有し、ガイド部58と反対側の端面を支持部材57の前面の上端に対向して配置する。そして、支持部材57の上側抑え部材55が対向する領域の幅方向の中央部には、その後面側から第2固定ねじ61を挿入し、その第2固定ねじ61の先端のねじ部を上側抑え部材55に設けたねじ穴に挿入する。これにより、第2固定ねじ61を正逆回転することで、上側抑え部材55は前後進移動し、第2固定ねじ61の回転を停止した状態でその位置が決まる。さらに支持部材57の前面の幅方向の左右両側にはガイドピン62を配置し、そのガイドピン62を上側抑え部材55に設けたガイド孔内に挿入する。これにより、上述した第2固定ねじ61の操作に伴う上側抑え部材55の前後進移動を安定してガイドする。そしてこの上側抑え部材55の昇降移動に伴い、上側抑え部材55のガイド部58と支持部材57の前面間の距離が変わり、その対向面間でルームミラー1の筐体2の前後を挟み込み、離脱しないように保持する。
【0083】
このようにルームミラー1の上下と前後を挟み込むため、取付部材をルームミラーにしっかりと取り付けることができ、例えば走行中の振動が加わったり、誤って触るなどして力が加わったりしても外れない。ルームミラーの形状に関係なく取り付けられる
また、この形態では、第1部位からルームミラー1の長手方向に延びる第2部位を、棒状のアーム部材65で形成する。アーム部材65は、両端近傍を折り曲げ、それぞれ同一方向を向くような形態としている。アーム部材65の一方の端部に設けた連結部66を、支持部材57の後面に連結する。また、アーム部材65の他方の端部には、物品であるカメラを取り付ける取付部15を設ける。この取付部15の先端には、上述した実施形態のボールジョイント機構のソケット部34に接続したベース部材35と同様の構造からなる部材を取り付ける。これにより、このベース部材35を、カメラ11の背面に設けたスライド溝42a内に挿入することで、ルームミラー1の横にカメラを配置することができる。
【0084】
そして、本形態では、アーム部材65の少なくとも一部を曲げることが可能な部材、例えば、フレキシブルアームで構成する。これにより、フレキシブルアームの部分は、任意の方向に曲げることができ、取付部15に取り付けたカメラ11の姿勢・向きを変えることができ、さらにフレキシブルアームは任意の方向に曲げることができるので、カメラ11の3次元空間内での位置も変更可能となる。フレキシブルアームは可撓性を有するアームであるが、例えば、リンク(例えば骨等とも称する)とジョイント(例えば関節等とも称する)を組み合わせたアームを採用するのもよい。フレキシブルアームを用いた構成とすると、任意の場所で任意の方向に曲げることができ、カメラ11の配置位置並びに姿勢・向きの自由度が高くなるのでより好ましい。
【0085】
また、本形態も上述した実施形態等と同様にルームミラー1の横に物品であるカメラを取り付けるものであり、運転者の目線と同じ高さやそれより上方に配置できる。さらに、フレキシブルアームを用いるのでもドライバーの好きな位置にカメラを配置することができる。
【0086】
また、フレキシブルアームは、アーム部材65の全体としてもよいが、例えば湾曲部のように急に曲げている部分は可撓性のない固定のものを用い、例えば、図示の直線部分をフレキシブルアームにするとよい。急角度・曲率で曲げるのは余り好ましくないとともに、固定したものを用いた方が正確な曲げ角度が出せるのでよい。
【0087】
一方、上述した実施形態では、アーム部材65のカメラを取り付ける側の他端は、90度曲げて前方を向くようにした状態でカメラの取付部15を設けたが、例えば、直線形状のままにしたアーム部材65の先端に取付部15を設けてもよい。すなわち、例えばフレキシブルアーム等のため、当初が直線状でその状態で取付部15にカメラを取り付けるとカメラ11が真横を向くような態様となっていても、フレキシブルアーム等を適宜に曲げることでカメラ11を適切な方向に向かせることができる。
【0088】
また、上述した形態では、上側抑え部材55と下側抑え部材56は、それぞれ固定ねじを用いて位置決めしてルームミラー1を挟み込み固定するようにしたが、いずれか一方或いは双方を例えばバネなどの弾性復元力を利用して挟み込むように構成してもよいが、固定ねじを用いた方がしっかり固定できるのでよい。
【0089】
また、この形態では、第1部位をルームミラー1の筐体2を挟み込んで固定する構造をとり、第2部位は可撓性のある部材、例えばフレキシブルアームを備えて構成するようにしたが、両者の構成を同時に実装しなくてもよく、一方を上述した実施形態や以下に示す形態と組み合わせてもよい。
【0090】
[金属板を用いた形態]
上述した各種の形態は、第1部位と第2部位を別部材で構成したが、例えば、同一の板金から一体形成して構成するとよい。そのように構成すると、構成が簡単に実現できるのでよい。
【0091】
*第1形態
図11は、同一の板金から一体形成した第1形態を示している。この第1形態では、ルームミラーへ取り付ける第1部位71が、上下で分かれた第1板部71aと第2板部71bが、一端側で連結されて構成される。第1板部71aは、長手方向の適宜の位置で上下から切込線部71cが形成され、その切込線部71cの部位で折り曲げやすくしている。本形態では、上下に分けた第1板部71aと第2板部71bは、一端の一箇所で連結されそれぞれ長手方向に延びるように配置したので、上側と下側を別々の角度で曲げることができる。よって例えば、ルームミラーの背面の曲面形状が、上側と下側の貼付ける部位で異なる場合には、それぞれを適宜折り曲げることで曲面に沿って貼付けることができ、接続強度を増すことができる。
【0092】
第2板部71bの他端側に第1部位71からルームミラーの長手方向に延びる第2部位72を設ける。第2部位72は、その先端側にカメラ11を固定する取付部73を備える。この取付部73は、例えば第2部位72の板金の部分に適宜に切込みを入れて差し込み部位を設け、その差し込み部位をカメラ11のケース本体の裏面に形成した溝に差し込み固定する構造をとる。このようにすると、簡単な構造で一枚の板金から第1部位71,第2部位72並びに取付部73を形成することができる。
【0093】
また、第2板部71bの比較的広い板部の取付部73を設けた側と反対側には、上下から切込みを入れて細幅のくびれ部74を設けている。そして、取付部73にカメラ11を取り付けた状態では、カメラ11のケース本体は、くびれ部74と重ならないような設定とする。これにより、例えばこのくびれ部74の部分を前後方向に折り曲げることで、例えば第2板部71bがルームミラー1の背面に沿って湾曲したり、所定角度で傾斜したりしても、第2部位72の面を第2板部71bの面と異なる方向を向かせ、ひいてはカメラ11を例えば運転者の方向に向かせることができる。また、くびれ部74の上下の長さを短くすると、例えばくびれ部74を中心にひねって例えば第2部位72の面ひいてはカメラ11の向きを斜め下向きに傾斜することができる。そして係る前後方向の折曲げと上下方向のひねりを適宜に組み合わせることで、簡単な構成を採りつつカメラ11の撮影領域を所望の箇所に設定できる。第1板部71aと第2板部71bとは、異なる曲げ角度にし、異なる方向に曲げることができ、ルームミラー1への取付面とは異なる方向にカメラを向けられる。
【0094】
一枚の平板だと、カメラの向きは、ルームミラーの背面の角度に沿った方向になり内側を向いてしまう。例えば上述したようにくびれ部74の部分を前後に折り曲げることで、カメラ11の向きを所望の方向に任せることができる。この場合に、ルームミラー1の背面の傾斜角度が急の場合、くびれ部74のみでカメラの向きの調整を行おうとすると、そのくびれ部74が大きく曲げることになるので好ましくない。係る場合には、第2板部71bの一部或いは全部をルームミラー1に貼付けず、適宜の方向に折り曲げることでくびれ部74における曲げ角度を小さくすることができるのでよい。
【0095】
また、本形態では、第1板部71aと第2板部71bを上下に分割したため、例えば、下側の第1板部71aはルームミラー1の背面の形状に沿って折り曲げて全体で接着し、上側の第2板部71bを例えば折り曲げずに平坦な真っ直ぐの態様をとることができる。この場合に、第2板部71bの一部或いは全部は固定に寄与せず、例えばミラーの表面と平行にする。このようにすると、第2板部71bの一部または全部を、第2部位と同様の機能を発揮する態様となる。よって、例えば上側の第2板部71bで独立して角度の調整ができ、しかも下側の第1板部71aではルームミラーの背面に沿うようにきちんと接着して固定できるので、強固な固定と自由な方向にカメラを向けることが両立できる
この形態では、
図10等に示す形態と同様に目線と同じ高さに取付けられる。また、取り付けが簡単に行え、部品数少なく初期投資は抑えられてコストも安くなる。また、ルームミラーの厚みや高さに依存しないのでよい。
【0096】
また上述したように、くびれ部74や第2板部71bを折り曲げることでカメラ11の向きを調整するようにしたが、角度調整範囲が不足する場合は、ボールジョイント機構等と組み合わせるとよい。
【0097】
*第2形態
図12は、同一の板金から一体形成して構成する第2形態を示している。この形態では、ルームミラー1へ貼付け固定するための第1部位75の形状を、第1形態に比べて切り込みが色々な方向から配置するようにした。この形態では、切込みを放射状に配置し、これにより、例えばルームミラー1へ背面が球面のようになっていても、しっかりと貼付けることができ、接着強度が増す。
【0098】
また、ルームミラー1の長手方向に延びる第2部位76は、第1部位75に繋がる第1要素76aと、その第1要素76aに連なりカメラ11の背面を受ける第2要素76bを有し、第1要素76aと第2要素76bの連結部位76cを上下から切込みを入れて細幅にしている。これにより、この細幅な連結部位76cの部分で捻ることで取り付けたカメラの仰角の角度を変更調整可能となる。
【0099】
第2要素76bの先端側に、カメラ11を固定する取付部78を備える。この取付部78は、例えば第2要素76bの板金の部分に適宜に切込みを入れて差し込み部位を設け、その差し込み部位をカメラ11のケース本体の裏面に形成した溝に差し込み固定する構造をとる。
【0100】
本形態では好ましく連結部位76cの配置位置は、カメラ11側に寄せることを特徴とする。カメラ11を取り付けた場合に、カメラ11の側面付近にこの細幅の連結部位76cが配置するようにするとよい。このようにすると、例えば第1部位75をルームミラーの中央よりに貼付けても、連結部位76cがルームミラー1の裏側に隠れることを可及的に抑制でき、カメラ11の角度調整が可能となる。
【0101】
*第3形態
図13は、同一の板金から一体形成して構成する第3形態を示している。この形態では、第2形態と同様にルームミラー1へ貼付け固定するための第1部位75の形状を、放射状に切込みを配置することで、例えばルームミラー1へ背面が球面のようになっていても、しっかりと貼付けることができようにしている。
【0102】
そしてこの形態では、ルームミラー1の長手方向に延びる第2部位77は、第1部位75に繋がる第1要素77aと、その第1要素77aに連なる第2要素77bを有し、第1要素77aと第2要素77bの連結部位77cは、第2形態と相違し細幅にしないことを特徴とする。これにより、連結部位77cではある程度の強度が確保され、連結部位77cで捻られないようにした。但し、連結部位77cの中間地点に上下に孔部77dを形成し、前後方向には曲げられるようにした。これにより、例えば、第1部位75がルームミラー1の背面に沿ってミラー面に対して傾斜する場合に、連結部位77cで所定角度に折り曲げることで、例えば第2要素77bをミラー面と平行に配置することができる。
【0103】
本形態では、第2部位77の第2要素77bには、カメラを取り付ける取付部15を装着する。この取付部15は、カメラの仰角の角度の調整を行うボールジョイント機構から構成する。すなわち、ボールジョイント機構は、上述した各種の実施形態と同様に、ボールスタッド33と、ソケット部34と、ナット36を備える。ソケット部34にはベース部材35が一体に形成され、そのベース部材35を介してカメラ11に装着する。そして、この形態では、ボールスタッド33のベース部33aは、両面テープ等の接着部材79を用いて第2要素77bに接着固定する。
【0104】
*第4形態
図14は、同一の板金から一体形成して構成する第4形態を示している。この形態では、第3形態と同様にルームミラー1へ貼付け固定するための第1部位75の形状を、放射状に切込みを配置し、例えばルームミラー1へ背面が球面のようになっていても、しっかりと貼付けることができように構成する。
【0105】
そして、ルームミラー1の長手方向に延びる第2部位77は、第1部位75に繋がる第1要素77aと、その第1要素77aに連なる第2要素77bを有し、第1要素77aと第2要素77bの連結部位77cは、第2形態と相違し細幅にしないことを特徴とする。これにより、連結部位77cではある程度の強度が確保され、連結部位77cで捻られないようにした。但し、連結部位77cの中間地点に上下に孔部77dを形成し、前後方向には曲げられるようにした。これにより、例えば、第1部位75がルームミラー1の背面に沿ってミラー面に対して傾斜する場合に、連結部位77cで所定角度に折り曲げることで、例えば第2要素77bをミラー面と平行に配置することができる。
【0106】
本形態では、第2部位77の第2要素77bには、カメラを取り付ける取付部15を装着する。この取付部15は、カメラの仰角の角度の調整を行うボールジョイント機構から構成する。すなわち、ボールジョイント機構は、上述した各種の実施形態と同様に、ボールスタッド33と、ソケット部34と、ナット36を備える。ソケット部34にはベース部材35が一体に形成され、そのベース部材35を介してカメラ11に装着する。そして、この形態では、ボールスタッド33は、爪嵌合を利用して固定する。すなわち、例えば第2要素77bの外周縁に爪部77eを一体に形成する。そして、ボールスタッド33のベース部33aは、第2要素77bを収納する底浅の箱形からなり、ベース部33aの側壁に爪部77eを挿入する孔部33bを備える。これにより、第2要素77bをベース部33a内に配置しつつ、爪部77eを孔部33bに嵌め込むことでボールスタッド33を第2要素77bに連結する。そして、本形態では、爪部77eは第2要素77bの上辺と下辺にそれぞれ2箇所ずつ爪部77eを形成し、しっかりと固定する。
【0107】
*第5形態
図15は、同一の板金から一体形成して構成する第5形態を示している。この形態では、第3形態等と同様にルームミラー1へ貼付け固定するための第1部位75の形状を、放射状に切込みを配置し、例えばルームミラー1へ背面が球面のようになっていても、しっかりと貼付けることができように構成する。
【0108】
そして、ルームミラー1の長手方向に延びる第2部位77は、第1部位75に繋がる第1要素77aと、その第1要素77aに連なる第2要素77bを有し、第1要素77aと第2要素77bの連結部位77cは、第2形態と相違し細幅にしないことを特徴とする。これにより、連結部位77cではある程度の強度が確保され、連結部位77cで捻られないようにした。但し、連結部位77cの中間地点に上下に孔部77dを形成し、前後方向には曲げられるようにした。これにより、例えば、第1部位75がルームミラー1の背面に沿ってミラー面に対して傾斜する場合に、連結部位77cで所定角度に折り曲げることで、例えば第2要素77bをミラー面と平行に配置することができる。
【0109】
本形態では、第2部位77の第2要素77bには、カメラを取り付ける取付部15を装着する。具体的は、第2要素77bは環状に形成し、この第2要素77bの前側にボールスタッド33を配置するとともにボールスタッド33のベース部33aに設けた雄ねじ部33cを第2要素77b内に挿入し、後側に突出させる。そして、その雄ねじ部33cを、第2要素77bの後側に配置したナット部80で締結する。これにより、ボールスタッド33とナット部80で第2要素77bを挟み込んだ状態で締め付けて固定するのでよりしっかり固定できる。
【0110】
*第6形態
図16は、同一の板金から一体形成して構成する第6形態を示している。この形態では、第5形態等と同様にルームミラー1へ貼付け固定するための第1部位75の形状を、放射状に切込みを配置し、例えばルームミラー1へ背面が球面のようになっていても、しっかりと貼付けることができように構成する。
【0111】
そして、ルームミラー1の長手方向に延びる第2部位77は、第1部位75に繋がる第1要素77aと、その第1要素77aに連なる第2要素77bを有し、第1要素77aと第2要素77bの連結部位77cは、第2形態と相違し細幅にしないことを特徴とする。これにより、連結部位77cではある程度の強度が確保され、連結部位77cで捻られないようにした。但し、連結部位77cの中間地点に上下に孔部77dを形成し、前後方向には曲げられるようにした。これにより、例えば、第1部位75がルームミラー1の背面に沿ってミラー面に対して傾斜する場合に、連結部位77cで所定角度に折り曲げることで、例えば第2要素77bをミラー面と平行に配置することができる。
【0112】
本形態では、第2部位77の第2要素77bには、カメラを取り付ける取付部15を装着する。具体的は、第2要素77bは環状に形成する。そして、ボールジョイントを構成するボール部85を挿入するラバー性のソケット部83を、第2要素77bの後側に配置すると共に、ソケット部83を第2要素77bの環状部分を挿入し前方に突出させる。この状態で、第2要素77bの後側に配置するナット部82と、第2要素77bの前側に配置するホルダー部84で、ソケット部83及び第2要素77bを挟み込みながらナット部82の雌ねじとソケット部83の雄ねじを嵌め合わして固定する。ボール部85はラバー性のソケット部83内に装着し、接触面に発生する摩擦力で止まる。そして力を加えると角度が変わるので、角度調整が容易に行える。
【0113】
[ルームミラーの背面側に配置する形態]
取付部材は、カメラ11がルームミラー1の真横の位置に存在しように位置を調整する調整手段を備えるようにするとよい。
図17は、この一実施形態を示している。
図17に示す取付部材100は、第1部位101と、第2部位102とを含む。第1部位101は、ルームミラー1の背面に接続される部位である。第2部位102は、ルームミラー1の背面から離れる方向に延びる部分を含む。第2部位102は、第1部分1021と、第2部分1022とを含む。第1部分1021は、第1部位101に連結され、ルームミラー1の背面にほぼ垂直方向に延びる。第2部分1022は、第1部分1021に連結され、ルームミラー1の長手方向に延びる。第2部位102は、第2部分1022が、ルームミラー1の長手方向に成分を有する方向であり、かつルームミラー1の背面2aから離れる方向に延びるように折り曲げられている。第2部分1022のうち、第1部分1021寄りの一部の領域は、ルームミラー1の背面側に位置する。カメラ11は、取付部材100の第2部位102、より具体的には第2部分1022に取り付けられている。カメラ11の少なくとも一部は、ルームミラー1の背面側に位置し、運転席に座る運転者90側から見て隠れるように構成した。上述した各形態のようにカメラ11をルームミラー1の横に配置すると、サンバイザー91と干渉し、サンバイザーが使えない事態を招くことがある。これに対し、本形態のように、カメラ11をルームミラー1の奥側に配置すると、サンバイザー91の可動範囲内にカメラ11が存在せずサンバイザー91が使えるので好ましい。
【0114】
以上の第2部位102は、カメラ11の撮像する範囲に少なくとも運転者90の眼または顔が含まれるように構成されている。カメラ11は、ルームミラー1の運転席側の一端よりもさらに横方向の空間を介して、運転者90を撮像する。撮像する範囲には、ルームミラー1が映り込まないようにするとよいが、一部にルームミラー1が映り込むようにしてもよい。カメラ11のうちの運転者90側から隠れる部分は、カメラ11の全体としてもよいが、カメラ11の一部とするとよい。
【0115】
このように、カメラ11をルームミラー1の背面側に位置させるため、取付部材の少なくとも一方に、2箇所で方向転換するための機構を設けるとよい。機構は、例えば、2箇所にスリットを入れて曲げやすくする機構とするとよい。例えば、第2部分1022と第1部分821とのなす角が変化し得るように、第2部位102が折り曲げ可能になっているとよい、また、方向転換するための機構は、フレキシブルアームとしてもよい。第1部位よりも第2部位がより背面側(例えば、車両前方側)とするための機構を備えると特によい。
【0116】
また、このように一部を隠すことで、カメラ11が運転者の視界に入りにくくなり、視界に入る面積が小さくなるのでよい。カメラ11の画角の境界ラインが、ルームミラー1の端に入らないか、少なくとも検知に使うエリアにルームミラー1が映り込まないような向きにするとよい。
【0117】
図17(b)に示すように、カメラ11のレンズ40を、ケース本体41の中央から右側の運転者側に偏心させるとよい。この例では、レンズ40は、第2部分1022の第1部分1021と連結する一端よりも反対側の端部に近い位置に配置されている。このようにすると、カメラ11のケース本体41を、より多くの面積をルームミラー1の裏側に配置し隠すことができる。運転者にとってカメラ11が視覚に入りにくいことが望ましいので、その存在を隠したり、目立たさなくしたりすることができる。
【0118】
[ルームミラーを見たことを検知した場合、トリガ記録する機能]
例えばルームミラーの横にカメラを取り付けたシステムにおいて、例えばカメラ11で撮影した画像に基づきルームミラーを見たか否かを判定し、ルームミラーを見たと検出された場合には、それをトリガに前方映像、運転者映像等をイベント記録する機能を備えるとよい。
【0119】
例えばルームミラーを見たかが裁判で争われるケースがあると思われる。このようなケースにおいてルームミラーを見た時点を容易に特定できるのでよい。ルームミラーを見たこと、見たことをトリガに各種の記録を行うとよい。ルームミラーを見たか否かの判定は、例えば、「視線を向けた」、「視線+顔を向けた」こと等に基づき行うとよい。
【0120】
本形態では、ルームミラーの横にカメラを配置するので、例えば顔の向きや、視線の方向がカメラに正対したことを検知することでルームミラーを見たことを検知できる。例えばカメラをダッシュボード上等に設置した場合には、ルームミラーの位置を設定し、運転者がどの方向を向いたらルームミラーを見たと判断するようになり複雑であり精度も悪いが、本形態では係る問題を生じないのでよい。
【0121】
また単にルームミラーを見たことを検知した日時を特定可能に記録しておき、再生ソフトで映像を再生する際に、その日時を検索したり、再生中に当該検知があった旨をその日時の映像を再生しているタイミングで表示するようにしてもよい。
【0122】
[取り付け位置設定機能]
本形態では、カメラの取り付け位置を設定し、警報範囲を設定された取り付け位置によって変更する機能を備えるとよい。例えば、取り付け位置がルームミラーか、フロントガラス上部か、ステアリングコラム上か、ダッシュボード上かなど、取り付け可能位置がどこかの設定機能を設ける。そして設定された位置に応じて、脇見等の警報範囲を変更する機能を備えるとよい。
【0123】
市販のDMSソフトなどは、運転者の正面やや下側のステアリングコラム等の上に設置することを前提として、そのしきい値等を設定している。そうすると、例えばルームミラーのように運転者の左上位置になると、下方向と右方向についてはしきい値が低すぎて頻繁に警告が出る一方、上方向と左方向についてはしきい値が高すぎて警告すべき状況で警告がでにくいという課題があるがこれを解決できる。
【0124】
例えば、ルームミラー取り付けと、ステアリングコラム取り付けを選択できるスイッチを設ける。係るスイッチは、ソフトで設定するようなものでもよいがハードとするとよい。ルームミラー取り付けが選択されているとき、ステアリングコラム取り付けを選択されているときよりも、右方向と下方向のしきい値を高く変更し、左方向と上方向のしきい値を低く変更する。
【0125】
ダッシュボード上、ステアリングコラム等、運転者の正面に配置した場合には、右を向く/左を向くの角度のしきい値を同じにするが、例えばルームミラーに取り付ける場合やピラーに取り付ける場合には運転者を斜めから撮影するため、顔の向きを回転したと判断する際のしきい値を左右で変えるとよい。さらに、このしきい値の設定を取り付け位置設定機能による設定に連動して行う。
【0126】
[夜間については脇見の判定基準を昼間の判定基準より厳しくする機能]
夜間については脇見の判定基準を昼間の判定基準より厳しくするとよい。夜間は周りの景色が暗くて見えにくく、前方車両のテールランプを見て運転することが多く頭の向きや視線の動きが昼間に比べて小さい。また赤外LEDの照明の範囲も限定される。このように、夜間は余り横を見ないので、例えば少しでも傾くと警報を鳴らすようにするとよい。このようにすると、夜間でも昼間でも精度よく、的確に脇見等を判定できる。
【0127】
例えば昼間の脇見警告が左右10度を超えた範囲に頭が向いたときになされるものとすると、例えば夜間は左右8度を超えた範囲に頭が向いたときに行うとよい。昼夜の切替は、例えば周囲の明るさに応じて変更するようにしてもよいし、時刻に応じて変更するようにしてもよい。ヘッドライトのON/OFFに基づくと簡単でよい。また、連続的に変化させるようにしてもよいし、段階的に変化させるようにしてもよい。
【0128】
[他の機器との連動機能]
例えばカメラがDMSの機能を有する場合、他の機器と連携するとよい。他の機器との連携は、例えば報知は、カメラ11が行ってもいいし、レーダー探知機やカーナビゲーションシステム等の連携する機器が行ってもよい。本形態では、ユーザの状態を検知し、乗員の状態に応じた情報を報知できるのでよい。特に、レーダー探知機やカーナビゲーションシステム等の表示部を備える機器が行うようにすると、視覚を用いた報知を行うことができ、しかも、それらの機器は、運転者が運転中に表示部を確認できる位置に設置されているので、報知内容を容易に確認できるのでよい。
【0129】
[物品の変形例]
上述した各種の形態では、物品がカメラである場合の例を示したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、人を検知するセンサや、例えばルームミラーと粉となる方向を見るための補助ミラー等がある。また、ルームミラーの近くに設けたいが、ルームミラーと異なる方向を向かせたい物品等に適用するとよい。
【0130】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例等を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、願書に添付した特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。本願出願人は、そのような箇所・組み合わせについて、補正・分割出願・意匠登録出願への変更出願等により権利を取得する意思を有する。
【0131】
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。
【0132】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらの構成の発明についても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【符号の説明】
【0133】
1 :ルームミラー
2 :筐体
3 :ミラー
10 :システム
11 :カメラ
12 :取付部材
13 :ステー
14 :ブラケット
15 :取付部
21 :第1接続部
22 :第2接続部
31 :ブラケット本体
40 :レンズ
41 :ケース本体