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特開2023-129592情報処理装置、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129592
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/5375 20140101AFI20230907BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20230907BHJP
【FI】
A63F13/5375
A63F13/80 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120978
(22)【出願日】2023-07-25
(62)【分割の表示】P 2019131323の分割
【原出願日】2019-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】500033117
【氏名又は名称】株式会社MIXI
(72)【発明者】
【氏名】信夫 裕貴
(57)【要約】
【課題】趣向性に優れたパズルゲームを提供可能な情報処理装置を実現する。
【解決手段】ゲームを提供する情報処理装置であって、パズル要素制御部と、操作推奨対象決定部と、表示制御部を備え、前記パズル要素制御部は、仮想空間内に配置された複数のパズル要素について、所定の条件を満たす操作対象パズル要素をプレーヤの操作に基づいて制御し、前記操作推奨対象決定部は、前記複数のパズル要素について、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるパズル要素同士を連結するリンクを形成し、前記リンクにより構成される閉路を特定し、前記特定された閉路内のパズル要素の数が予め定められた第2閾値以上の場合に、当該パズル要素を前記プレーヤが操作するパズル要素の操作推奨対象として決定し、前記表示制御部は、前記操作推奨対象として決定されたパズル要素を前記プレーヤが識別可能な態様で表示させる、情報処理装置が提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームを提供する情報処理装置であって、パズル要素制御部と、操作推奨対象決定部と、表示制御部を備え、前記パズル要素制御部は、仮想空間内に配置された複数のパズル要素について、所定の条件を満たす操作対象パズル要素をプレーヤの操作に基づいて制御し、前記操作推奨対象決定部は、前記複数のパズル要素について、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるパズル要素同士を連結するリンクを形成し、前記リンクにより構成される閉路を特定し、前記特定された閉路内のパズル要素の数が予め定められた第2閾値以上の場合に、当該パズル要素を前記プレーヤが操作するパズル要素の操作推奨対象として決定し、前記表示制御部は、前記操作推奨対象として決定されたパズル要素を前記プレーヤが識別可能な態様で表示させる、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、前記パズル要素は、複数種類に分類されるための属性を備え、前記操作推奨対象決定部は、前記複数のパズル要素について、前記第1閾値以下の間隔にあり、且つ、同一の属性を備えるパズル要素同士を連結するリンクを形成する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置であって、前記操作推奨対象決定部は、前記リンクにより構成される閉路を特定する際に、前記リンクにより連結されたパズル要素の集合に、2以上の独立した閉路を分離し得る特定のパズル要素が含まれる場合に、当該特定のパズル要素により分離された集合ごとに前記閉路を特定する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、前記操作推奨対象決定部は、前記特定のパズル要素により分離された集合ごとに、前記特定された閉路内のパズル要素の数を算出する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、入力操作受付部を更に備え、前記入力操作受付部は、前記プレーヤによるパズル要素に対する操作を受け付け、前記パズル要素制御部は、前記表示制御部によって識別可能な態様で表示されたパズル要素が操作された場合に、識別可能な態様で表示されていないパズル要素が操作された場合に比べて、高い得点をプレーヤに付与する、情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータにゲームを提供させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、パズル要素制御ステップと、操作推奨対象決定ステップと、表示制御ステップを実行させ、前記パズル要素制御ステップでは、仮想空間内に配置された複数のパズル要素について、所定の条件を満たす操作対象パズル要素をプレーヤの操作に基づいて制御し、前記操作推奨対象決定ステップでは、前記複数のパズル要素について、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるパズル要素同士を連結するリンクを形成し、前記リンクにより構成される閉路を特定し、前記特定された閉路内のパズル要素の数が予め定められた第2閾値以上の場合に、当該パズル要素を前記プレーヤが操作するパズル要素の操作推奨対象として決定し、前記表示制御ステップでは、前記操作推奨対象として決定されたパズル要素を前記プレーヤが識別可能な態様で表示させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームなどのコンピュータプログラムと、それを実行可能な情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類のパズル要素が配置される仮想空間において、所定の条件を満たしたパズル要素を消滅させてプレーヤに得点を付与するパズルゲームが広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画面中央下部から射出したパズル要素を盤面に配置されたパズル要素群に衝突させ、互いに連結した同色または同形のパズル要素が所定個数以上の塊になったときに消滅させ、消滅させたパズル要素の数が得点になるパズルゲームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-197354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなパズルゲームでは、所定の条件を満たしたパズル要素をプレーヤが識別可能な態様で表示させる、いわゆるガイド表示が行われている。その一方で、ガイド表示を実現するためには、配置されるパズル要素が所定の条件を満たしているかを即時に判定する必要があるため、計算負荷が高くならないようにパズル要素の配置パターンを限定する必要が生じ、趣向性の観点で改善の余地があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、趣向性に優れたパズルゲームを提供可能な情報処理装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ゲームを提供する情報処理装置であって、パズル要素制御部と、操作推奨対象決定部と、表示制御部を備え、前記パズル要素制御部は、仮想空間内に配置された複数のパズル要素について、所定の条件を満たす操作対象パズル要素をプレーヤの操作に基づいて制御し、前記操作推奨対象決定部は、前記複数のパズル要素について、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるパズル要素同士を連結するリンクを形成し、前記リンクにより構成される閉路を特定し、前記特定された閉路内のパズル要素の数が予め定められた第2閾値以上の場合に、当該パズル要素を前記プレーヤが操作するパズル要素の操作推奨対象として決定し、前記表示制御部は、前記操作推奨対象として決定されたパズル要素を前記プレーヤが識別可能な態様で表示させる、情報処理装置が提供される。
【0008】
このような構成とすることにより、パズル要素の多様な配置を実現しつつ、所定の条件を満たしたパズル要素については、プレーヤに識別可能な態様で表示させることができるため、趣向性に優れたパズルゲームを提供することが可能となる。
【0009】
好ましくは、前記パズル要素は、複数種類に分類されるための属性を備え、前記操作推奨対象決定部は、前記複数のパズル要素について、前記第1閾値以下の間隔にあり、且つ、同一の属性を備えるパズル要素同士を連結するリンクを形成する。好ましくは、前記操作推奨対象決定部は、前記リンクにより構成される閉路を特定する際に、前記リンクにより連結されたパズル要素の集合に、2以上の独立した閉路を分離し得る特定のパズル要素が含まれる場合に、当該特定のパズル要素により分離された集合ごとに前記閉路を特定する。好ましくは、前記操作推奨対象決定部は、前記特定のパズル要素により分離された集合ごとに、前記特定された閉路内のパズル要素の数を算出する。好ましくは、入力操作受付部を更に備え、前記入力操作受付部は、前記プレーヤによるパズル要素に対する操作を受け付け、前記パズル要素制御部は、前記表示制御部によって識別可能な態様で表示されたパズル要素が操作された場合に、識別可能な態様で表示されていないパズル要素が操作された場合に比べて、高い得点をプレーヤに付与する。本発明の別の態様では、コンピュータにゲームを提供させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、パズル要素制御ステップと、操作推奨対象決定ステップと、表示制御ステップを実行させ、前記パズル要素制御ステップでは、仮想空間内に配置された複数のパズル要素について、所定の条件を満たす操作対象パズル要素をプレーヤの操作に基づいて制御し、前記操作推奨対象決定ステップでは、前記複数のパズル要素について、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるパズル要素同士を連結するリンクを形成し、前記リンクにより構成される閉路を特定し、前記特定された閉路内のパズル要素の数が予め定められた第2閾値以上の場合に、当該パズル要素を前記プレーヤが操作するパズル要素の操作推奨対象として決定し、前記表示制御ステップでは、前記操作推奨対象として決定されたパズル要素を前記プレーヤが識別可能な態様で表示させる、コンピュータプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報処理装置10のハードウェア構成図である。
図2】情報処理装置10の電気的構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置10の制御部24の機能ブロック図である。
図4図4Aは、タッチパネルディスプレイ14に表示される仮想空間1の一例を示す図である。図4Bは、タッチパネルディスプレイ14に表示される仮想空間1の他の例を示す図である。
図5】仮想空間1内のパズル要素Eの配置の一例を示す図である。
図6図5のパズル要素E間にリンクLを形成した図である。
図7】集合S内のパズル要素Eについての順序付けの例を示す図である。
図8】集合S内のパズル要素Eについての順序付けの例を示す図である。
図9】集合S内のパズル要素Eについての順序付けの例を示す図である。
図10】集合S内のパズル要素Eについての逆路G1~G3を決定した図である。
図11】集合S内のパズル要素を並び替えた図である。
図12】仮想空間1内のパズル要素Eの配置の他の例を示す図である。
図13図12のパズル要素E間にリンクLを形成した図である。
図14】集合S内のパズル要素Eについての順序付けの例を示す図である。
図15】集合S内のパズル要素Eを並び替えた図である。
図16】操作推奨対象決定部24bの処理の流れを説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴が独立に発明を構成する。
【0012】
(1.情報処理装置10のハードウェア構成)
本発明の実施形態におけるパズルゲームG(図4Aを参照)を提供可能な情報処理装置10について説明する。図1に示すように、情報処理装置10はいわゆるスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末として実現される。
【0013】
情報処理装置10の筐体12には、その正面12Aに、画像を表示する画像表示手段であるタッチパネルディスプレイ14が備えられる。タッチパネルディスプレイ14は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)及びタッチセンサを備える。タッチパネルディスプレイ14は、各種画像を表示し、タッチセンサは、指、スタイラス、又はペン等の指示体を用いて行われる各種入力操作を受け付ける。
【0014】
情報処理装置10の正面12Aには、さらに、音が入力されるマイクロフォン16、音を出力するスピーカ18、及び被写体を撮像するカメラ20が備えられる。カメラ20は、筐体12の正面12Aだけでなく筐体12の背面にも備えられる。また、筐体12の側面12Bには、情報処理装置10を起動又は停止させるための電源ボタンやスピーカ18が出力する音のボリューム調整ボタン等の操作ボタン22が備えられる。
【0015】
さらに、情報処理装置10の筐体12には、メモリカードが挿入されるスロットやUSB(Universal Serial Bus)端子等が備えられる。
【0016】
図2に示すように、情報処理装置10は、上記構成に加え、制御部24、記憶部26、通信部28を備える。
【0017】
制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)等であり、情報処理装置10の全体の動作を制御する。
【0018】
記憶部26は、例えば、RAM(Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリを備えており、制御部24による各種プログラムに基づく処理の実行時のワークエリア等として用いられる。
【0019】
記憶部26は、また、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備え、画像等の各種データ及び制御部24の処理に利用されるプログラム等を保存する。記憶部26に記憶されるプログラムは、例えば、情報処理装置10の基本的な機能を実現するためのOS(Operating System)、各種ハードウェア制御するためのドライバ、電子メールやウェブブラウジング、その他各種機能を実現するためのアプリケーションプログラム等である。また、記憶部26には、パズルゲームGを実行するためのプログラムが予め記憶されている。
【0020】
通信部28は、例えばNIC(Network Interface Controller)であり、携帯電話網等の通信網に接続する機能を有する。なお、通信部28は、NICに代えて又はNICと共に、無線LAN(Local Area Network)に接続する機能、無線WAN(Wide Area Network)に接続する機能、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離の無線通信、及び赤外線通信等を可能とする機能を有してもよい。
【0021】
これら制御部24、記憶部26、通信部28、タッチパネルディスプレイ14、マイクロフォン16、スピーカ18、カメラ20、及び操作ボタン22は、システムバス33を介して相互に電気的に接続されている。従って、制御部24は、記憶部26へのアクセス、タッチパネルディスプレイ14に対する画像の表示、ユーザ(パズルゲームGのプレイヤ)によるタッチパネルディスプレイ14や操作ボタン22に対する操作状態の把握、マイクロフォン16への音の入力、スピーカ18からの音の出力、カメラ20に対する制御、及び通信部28を介した各種通信網や他の情報処理装置へのアクセス等を行える。
【0022】
(2.制御部24の機能構成)
図3は、本実施形態に係る制御部24の機能ブロック図である。図3に示すように、制御部24は、パズル要素制御部24aと、操作推奨対象決定部24bと、表示制御部24cを備える。
【0023】
以下、図4Aおよび図4Bを参照し、本実施形態に係るパズルゲームGにおける制御部24の機能について説明する。図4Aおよび図4Bには、タッチパネルディスプレイ14上に表示される仮想空間1が示されている。仮想空間1内には、複数のパズル要素Eが配置されている。
【0024】
パズル要素Eは、複数種類に分類されるための属性を備える。本実施形態では、パズル要素Eは属性としての形状によって4種類に分類されている。具体的には、パズル要素Eは、三角形、四角形、丸形、星形のいずれかの形状を有する。
【0025】
パズル要素Eは、仮想空間1内を一方向に流動する。具体的には、ランダムに選出されたパズル要素Eが図4AにおけるA端側から仮想空間1内に進入し、仮想空間1内を矢印方向に流動し、B端側から退出するように構成されている。
【0026】
プレーヤは、入力操作受付部としてのタッチパネルディスプレイ14に対して、領域D1および領域D2に示すような互いに隣接した同じ形状のパズル要素Eを指でなぞる操作を行う。タッチパネルディスプレイ14がプレーヤの操作を受け付けると、パズル要素制御部24aは、プレーヤによってなぞられたパズル要素Eを消滅させるとともに、プレーヤに得点を付与する。
【0027】
たとえば、領域D1に示すような隣接する2つの同じ形状のパズル要素Eがなぞられると、パズル要素制御部24aは、プレーヤに10ポイントを付与する。また、領域D2に示すような隣接する4つの同じ形状のパズル要素Eがなぞられると、パズル要素制御部24aは、プレーヤに50ポイントを付与する。
【0028】
さらに、図4Bに示すように、同じ形状の4つ以上のパズル要素Eが、始点となるパズル要素Eから他のパズル要素Eを通って当該始点となるパズル要素Eに到達するような配置である場合(領域D3に相当)に、表示制御部24cは当該4つ以上のパズル要素Eをプレーヤが識別可能な態様で表示させる。本実施形態では、領域D3内の4つのパズル要素Eをつなげる線Kが表示される。
【0029】
ここでプレーヤが、線Kでつながれたパズル要素Eをなぞる操作をタッチパネルディスプレイ14に対して行うと、パズル要素制御部24aは、プレーヤによってなぞられたパズル要素Eを消滅させるとともに、プレーヤに高い得点(例えば100ポイント)を付与する。
【0030】
このように、本実施形態に係るパズルゲームGでは、線Kでつながれて表示されたパズル要素Eをなぞる場合に、線Kでつながれた表示がされていないパズル要素Eをなぞる場合よりも高い得点がプレーヤに付与される。このように、高い得点が付与されるパズル要素Eをプレーヤに識別させることにより、ゲームの難易度が不当に高くなることを防ぎ、ゲームの興趣が向上する。
【0031】
操作推奨対象決定部24bは、高い得点が付与される配置にあるパズル要素Eを、プレーヤが操作するパズル要素Eの操作推奨対象として決定する。操作推奨対象決定部24bの処理の詳細は後述する。
【0032】
上述した各機能構成は、制御部24として実装されたCPU(Central Processing Unit)が、プログラムを実行することによって各種機能を実現してもよいし、ハードウェアによって実現してもよい。
【0033】
プログラムを実行することで実現される場合、当該プログラムは、記憶部26に格納してもよく、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納してもよい。また、外部の記憶装置に格納されたプログラムを読み出し、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。また、ハードウェアによって実現する場合、ASIC、SOC、FPGA、またはDRPなどの種々の回路によって実現してもよい。
【0034】
(3.操作推奨対象決定部24bの処理の詳細)
図5図11を参照し、操作推奨対象決定部24bの処理の詳細を説明する。図5は、仮想空間1内のパズル要素Eの配置の一例を示す図である。以下の説明においては、説明の簡略のために、仮想空間1内に1つの属性(円形)のパズル要素Eのみを示している。
【0035】
操作推奨対象決定部24bは、図5に示すように仮想空間1内に配置されたパズル要素Eについて、仮想空間1内でのパズル要素Eの座標を取得する。当該座標の取得は、予め定められたタイミング(例えば、表示する画像を更新するフレームである60回/s)ごとに行われる。
【0036】
次に、図6に示すように、操作推奨対象決定部24bは、同じ属性(すなわち、本実施形態においては同じ形状)を備えるパズル要素について、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるパズル要素E同士を連結するリンクLを形成する。パズル要素E間の間隔は、パズル要素Eの仮想空間1内の座標から求めることができる。このようにすることで、リンクLによって連結されたパズル要素Eの集合Sが形成される。図6に示す例では、集合S内における8つのパズル要素がリンクLによって連結される。
【0037】
次に、図7に示すように、操作推奨対象決定部24bは、集合S内のパズル要素の任意の1つを、始点となる第1パズル要素E1として選出する。そして、当該選出された第1パズル要素E1に対してリンクLによって連結された任意のパズル要素Eを1つ選出し、第2パズル要素E2とする。
【0038】
図7に示す例では、パズル要素E1に対して左下に配置されたパズル要素が第2パズル要素E2として選出されている。ただし、パズル要素E1の右下に配置されたパズル要素Eaおよび右側に配置されたパズル要素Ebを、第2パズル要素E2として選出してもよい。
【0039】
次に、図8に示すように、操作推奨対象決定部24bは、第2パズル要素E2に対してリンクLによって連結されたパズル要素Eの中から、まだ選出されていないパズル要素を1つ選出し、第3パズル要素E3とする。図8に示す例では、第2パズル要素E2に連結されているパズル要素Eは、第1パズル要素E1およびパズル要素Eaである。よって、パズル要素Eaが第3パズル要素E3として選出される。
【0040】
このようにして、図9に示すように、操作推奨対象決定部24bは、集合S内における8つのパズル要素について、始点として選出されたパズル要素E1から、終点としてのパズル要素E8まで、実線矢印で示す経路に沿った順序付けを行う。以下において、パズル要素E1からパズル要素E8までの順序付けに沿ったリンクLの経路を順路といい、J1~J7として実線矢印で示す。なお、以下の説明では、順路における始点E1側を前方とし、終点E8側を後方とする。
【0041】
次に、図10に示すように、順路J1~J7以外のリンクLを、後方のパズル要素から前方のパズル要素への逆路として決定する。以下において、後方のパズル要素から前方のパズル要素への逆路をG1~G4として破線矢印で示す。
【0042】
図11は、集合Sにおける順路J1~J7を直線状に並び替え、さらに、逆路G1~G4の関係を反映した図である。次に、操作推奨対象決定部24bは、集合S内における独立した閉路を分離し得るパズル要素Eである分離点Esを特定する。分離点Esは、「自身の前方にパズル要素を備え、自身より後方のパズル要素を始点とした逆路が存在し、当該逆路が自身より前方に終点をもたないこと」という条件Fを満たすパズル要素Eとして特定できる。ここで、閉路とは、始点と終点が同一であって、始点から辿って同じリンクを通ることなく終点に戻ってくる経路を意味する。また、閉路が独立しているとは、2つ以上の閉路が2つ以上のパズル要素Eを共有していないことをいう。
【0043】
図11に示す例では、パズル要素E7を始点とした逆路G4はパズル要素E5を終点としており、パズル要素E6より後方のパズル要素を始点とした他の逆路は存在しない。よって、パズル要素E5は上記条件Fを満たしているため、集合Sにおける分離点Esとして特定される。
【0044】
分離点Esが特定されると、操作推奨対象決定部24bは、分離点Esを基準として集合Sを分離する。図11に示す例では、集合Sは、分離点Esであるパズル要素E5を基準として集合S1と集合S2に分離される。操作推奨対象決定部24bは、分離された集合ごとにリンクにより構成される閉路を特定し、閉路を構成するパズル要素の個数を算出する。
【0045】
集合S1においては、5つのパズル要素E1~E5によって複数の閉路が構成されている。操作推奨対象決定部24bは、集合S1における閉路内のパズル要素の数を5と算出し、予め定められた第2閾値(本実施形態では4)以上であるとして、集合S1における5つのパズル要素E1~E5をプレーヤが操作するパズル要素の操作推奨対象として決定する。
【0046】
一方、集合S2においては、3つのパズル要素E5~E7によって1つの閉路が構成されている。操作推奨対象決定部24bは、集合S2における閉路内のパズル要素Eの数を3と算出し、第2閾値である4未満であるとして、集合S2における3つのパズル要素E5~E7については、プレーヤが操作するパズル要素の操作推奨対象にはしない。
【0047】
図12図15を参照し、パズル要素Eの他の配置例について同様に説明する。操作推奨対象決定部24bは、図12に示す仮想空間1内にパズル要素Eについて、予め定められたタイミングごとに仮想空間1内でのパズル要素Eの座標を取得する。次に、図13に示すように、操作推奨対象決定部24bは、同じ属性を備えるパズル要素について、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるパズル要素同士を連結するリンクLを形成し、集合Sを決定する。
【0048】
次に、図14に示すように、操作推奨対象決定部24bは、集合S内のパズル要素Eについて、始点となるパズル要素E1から終点となるパズル要素E8までの順序付けを行う。図14に示す例では、始点として選出されたパズル要素E1から終点としてのパズル要素E8まで、実線矢印で示す順路J1~J7に沿って順序付けされている。ここで、パズル要素E3からは、パズル要素E4とパズル要素E5に枝分かれしている。操作推奨対象決定部24bは、さらに、後方のパズル要素から前方のパズル要素への逆路G1~G3を決定する。
【0049】
図15は、集合Sにおける順路J1~J7を直線状に並び替え、さらに、逆路G1~G3の関係を反映した図である。次に、操作推奨対象決定部24bは、集合S内における独立した閉路を分離し得るパズル要素である分離点Esを特定する。図15に示す例では、パズル要素E8を始点とした逆路G3はE6を終点としており、パズル要素E6より後方のパズル要素を始点とした他の逆路は存在しない。よって、パズル要素E6は条件Fを満たしているため、集合Sにおける分離点Esとして特定される。
【0050】
分離点Esが特定されると、操作推奨対象決定部24bは、分離点Esを基準として集合Sを分離する。図15に示す例では、集合Sは、パズル要素E6を基準として集合S1と集合S2に分離される。操作推奨対象決定部24bは、分離された集合ごとにリンクLにより構成される閉路を特定し、閉路を構成するパズル要素の個数を算出する。
【0051】
集合S1においては、5つのパズル要素E1~E5によって複数の閉路が構成されている。操作推奨対象決定部24bは、集合S1における閉路内のパズル要素の数を5と算出し、第2閾値である4以上であるとして、5つのパズル要素E1~E5をプレーヤが操作する操作推奨対象として決定する。
【0052】
一方、集合S2においては、3つのパズル要素E6~E8によって1つの閉路が構成されている。操作推奨対象決定部24bは、集合S2における閉路内のパズル要素の数を3と算出し、第2閾値である4未満であるとして、3つのパズル要素E6~E8については、プレーヤが操作する操作推奨対象としない。
【0053】
(4.操作推奨対象決定部24bの処理の流れ)
図16を参照し、上述した操作推奨対象決定部24bの処理の流れを説明する。ステップS100において、操作推奨対象決定部24bは、仮想空間1内の同じ属性のパズル要素Eを選定する。ステップS110において、操作推奨対象決定部24bは、選出したパズル要素Eについて、第1閾値以下の間隔にあるパズル要素同士を連結するリンクLを形成する。
【0054】
ステップS120において、操作推奨対象決定部24bは、リンクLによって形成されたパズル要素の集合Sに対して、集合S内でのパズル要素Eの順序付けを行う。ステップS130において、操作推奨対象決定部24bは、集合S内における逆路を決定する。
【0055】
ステップS140において、操作推奨対象決定部24bは、特定された逆路に基づいて、集合S内の独立した閉路を分離し得る分離点Esとしてのパズル要素Eを特定する。
【0056】
ステップS150において、操作推奨対象決定部24bは、集合Sに対して分離点Esによって分離された集合内における閉路を特定する。ステップS160において、操作推奨対象決定部24bは、特定された閉路を構成するパズル要素数を算出し、算出されたパズル要素数と予め定められた第2閾値とを比較する。ステップS170において、操作推奨対象決定部24bは、操作推奨対象のパズル要素を決定する。ステップS150~ステップS170は、分離された集合の数だけ繰り返される。
【0057】
以上のようにして、本実施形態における情報処理装置10は、パズル要素制御部24aと、操作推奨対象決定部24bと、表示制御部24cを備える。パズル要素制御部24aは、仮想空間1内に配置された複数のパズル要素Eについて、所定の条件を満たす操作対象パズル要素をプレーヤの操作に基づいて消滅させ、プレーヤに得点を付与する。
【0058】
操作推奨対象決定部24bは、複数のパズル要素Eについて、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるパズル要素同士を連結するリンクLを形成し、リンクLにより構成される閉路を特定し、特定された閉路内のパズル要素の数が第2閾値以上の場合に、当該パズル要素をプレーヤが操作するパズル要素の操作推奨対象として決定する。表示制御部24cは、操作推奨対象として決定されたパズル要素をプレーヤが識別可能な態様で表示させる。
【0059】
このような構成とすることにより、パズル要素の多様な配置を実現しつつ、所定の条件を満たしたパズル要素については、プレーヤに識別可能な態様で表示させることができるため、趣向性に優れたパズルゲームを提供することが可能となる。
(5.その他の実施形態)
【0060】
以上、本願発明における実施形態およびその変形例について説明したが、本開示の適用は上述の内容に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、情報処理装置10は、スマートフォンなどの携帯端末として実現されていたが、この例に限定されることはない。たとえば、家庭用のPCなどにソフトウェアをインストールすることにより、情報処理装置10を実現してもよい。この場合、プレーヤはPCが備えるマウスを操作することにより、仮想空間1内のパズル要素Eに対する操作を行うことができる。
【0061】
また、上記実施形態では、パズル要素Eは属性としての形状によって複数種類に分類されていたが、これに限定されるものではない。例えば、パズル要素Eの属性として、色を複数種類用意して、これによってパズル要素Eを分類してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、表示制御部24cは操作推奨対象として決定されたパズル要素Eを線Kでつないで表示していたが、この例に限定されることはない。たとえば、操作推奨対象として決定されたパズル要素Eを点滅させて表示させてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、第2閾値を4としていたが、この例に限定されることはない。たとえば、5以上の値を第2閾値としてもよい。また、第2閾値を3としてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、仮想空間1内をパズル要素が一方向に流動する態様となっているが、この例に限定されることはない。たとえば、パズル要素を下から積み上げるようにして配置するようなゲームでもよい。
【0065】
さらに、本発明は、上述の情報処理装置を実現させるためにコンピュータを機能させるプログラムとして実現することもできる。
【0066】
さらに、本発明は、上述のプログラムを格納する、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【0067】
本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 :仮想空間
10 :情報処理装置
12 :筐体
14 :タッチパネルディスプレイ(入力操作受付部)
16 :マイクロフォン
18 :スピーカ
20 :カメラ
22 :操作ボタン
24 :制御部
24a :パズル要素制御部
24b :操作推奨対象決定部
24c :表示制御部
26 :記憶部
28 :通信部
33 :システムバス
E :パズル要素
G :パズルゲーム
S :集合
図1
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【手続補正書】
【提出日】2023-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
仮想空間内に配置された複数のオブジェクトについて、所定の条件を満たす操作対象オブジェクトをプレーヤの操作に基づいて制御し、
前記複数のオブジェクトについて、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるオブジェクト同士を連結するリンクを形成し、
前記リンクにより構成される閉路を特定し、
前記特定された閉路内のオブジェクトの数が予め定められた第2閾値以上の場合に、当該オブジェクトを前記プレーヤが操作するオブジェクトの操作推奨対象として決定し、
前記操作推奨対象として決定されたオブジェクトを前記プレーヤが識別可能な態様で表示させる、
情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサが、仮想空間内に配置された複数のオブジェクトについて、所定の条件を満たす操作対象オブジェクトをプレーヤの操作に基づいて制御し、
プロセッサが、前記複数のオブジェクトについて、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるオブジェクト同士を連結するリンクを形成し、
プロセッサが、前記リンクにより構成される閉路を特定し、
プロセッサが、前記特定された閉路内のオブジェクトの数が予め定められた第2閾値以上の場合に、当該オブジェクトを前記プレーヤが操作するオブジェクトの操作推奨対象として決定し、
プロセッサが、前記操作推奨対象として決定されたオブジェクトを前記プレーヤが識別可能な態様で表示させる、
情報処理方法。
【請求項3】
プロセッサに、仮想空間内に配置された複数のオブジェクトについて、所定の条件を満たす操作対象オブジェクトをプレーヤの操作に基づいて制御させ、
プロセッサに、前記複数のオブジェクトについて、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるオブジェクト同士を連結するリンクを形成させ、
プロセッサに、前記リンクにより構成される閉路を特定させ、
プロセッサに、前記特定された閉路内のオブジェクトの数が予め定められた第2閾値以上の場合に、当該オブジェクトを前記プレーヤが操作するオブジェクトの操作推奨対象として決定させ、
プロセッサに、前記操作推奨対象として決定されたオブジェクトを前記プレーヤが識別可能な態様で表示させる、処理を実行させるプログラム。
【請求項4】
端末と、前記端末とネットワークを介して通信する情報処理装置とを含むシステムであって、
前記情報処理装置は、
仮想空間内に配置された複数のオブジェクトについて、所定の条件を満たす操作対象オブジェクトをプレーヤの操作に基づいて制御し、
前記複数のオブジェクトについて、予め定められた第1閾値以下の間隔にあるオブジェクト同士を連結するリンクを形成し、
前記リンクにより構成される閉路を特定し、
前記特定された閉路内のオブジェクトの数が予め定められた第2閾値以上の場合に、当該オブジェクトを前記プレーヤが操作するオブジェクトの操作推奨対象として決定し、
前記操作推奨対象として決定されたオブジェクトを前記プレーヤが識別可能な態様で前記端末に表示させる、
システム。