(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129656
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】研磨カセット
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A63F7/02 346A
A63F7/02 351A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122318
(22)【出願日】2023-07-27
(62)【分割の表示】P 2019086401の分割
【原出願日】2019-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000146663
【氏名又は名称】株式会社新興製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅原 基博
(57)【要約】
【課題】巻取手段により研磨材が研磨カセット内で捕捉されることを防止した研磨カセットを提供する。
【解決手段】研磨カセットは、研磨材を研磨領域に送る研磨材送り手段を有する。その研磨材送り手段は、研磨材を介在させて噛み合う第1ギヤローラと第2ギヤローラとを有する。第1ギヤローラは、第1軸に取り付けられ、第1軸の軸方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第1ギヤを有する。第2ギヤローラは、第2軸に取り付けられ、第2軸の軸方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第2ギヤを有する。隣り合う第1ギヤ同士の間に、第1軸と第2軸の中心を結ぶ直線から第1ギヤの回転方向と同方向および逆方向に存在する複数の歯に亘ってその歯底よりも内側に円弧状に連なるガイド面を有する第1ガイド部材が設けられている。隣り合う第2ギヤ同士の間に、第1軸と第2軸の中心を結ぶ直線から第2ギヤの回転方向と同方向および逆方向に存在する複数の歯に亘ってその歯底よりも内側に円弧状に連なるガイド面を有する第2ガイド部材が設けられている。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に備えられ、遊技に用いられる球を帯状の研磨材により研磨するための研磨カセットであって、
前記研磨材を研磨領域に送る研磨材送り手段を有し、
前記研磨材送り手段は、第1軸を回転軸とする第1ギヤローラと、前記第1軸と平行な第2軸を回転軸とし、前記第1ギヤローラと前記研磨材を介在させて噛み合う第2ギヤローラとを有し、
前記第1ギヤローラは、前記第1軸に取り付けられ、前記第1軸の軸方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第1ギヤを有し、
前記第2ギヤローラは、前記第2軸に取り付けられ、前記第2軸の軸方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第2ギヤを有し、
隣り合う前記第1ギヤ同士の間に、前記第1軸の中心と前記第2軸の中心とを結ぶ直線から前記第1ギヤの回転方向と同方向および逆方向に存在する複数の歯に亘ってその歯底よりも内側に円弧状に連なるガイド面を有する第1ガイド部材が設けられ、
隣り合う前記第2ギヤ同士の間に、前記第1軸の中心と前記第2軸の中心とを結ぶ直線から前記第2ギヤの回転方向と同方向および逆方向に存在する複数の歯に亘ってその歯底よりも内側に円弧状に連なるガイド面を有する第2ガイド部材が設けられていることを特徴とする研磨カセット。
【請求項2】
請求項1に記載の研磨カセットにおいて、
前記第1ガイド部材は、前記第1軸を中心とする、前記第1ギヤローラの前記第2ギヤローラと反対側の外面に近接する円弧面に沿って前記第1軸の軸方向に延びる第1カバー部材に設けられ、前記第1ガイド部材は、中央に前記第1軸を挿通させる孔を有する円板で形成され、前記第2ガイド部材は、前記第2軸を中心とする、前記第2ギヤローラの前記第1ギヤローラと反対側の外面に近接する円弧面に沿って前記第2軸の軸方向に延びる第2カバー部材に設けられ、前記第2ガイド部材は、中央に前記第2軸を挿通させる孔を有する円板で形成されていることを特徴とする研磨カセット。
【請求項3】
請求項2に記載の研磨カセットにおいて、
前記第1カバー部材は、前記第1軸を中心とする、前記第1ギヤローラの前記第2ギヤローラと反対側の外面に近接する円弧面に沿って前記第1軸の軸方向に延びる包囲部と、その包囲部の両端部から前記第2ギヤローラと反対方向に延びる遮蔽部とを有し、
前記第2カバー部材は、前記第2軸を中心とする、前記第2ギヤローラの前記第1ギヤローラと反対側の外面に近接する円弧面に沿って前記第2軸の軸方向に延びる包囲部と、その包囲部の両端部から前記第1ギヤローラと反対方向に延びる遮蔽部とを有することを特徴とする研磨カセット。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の研磨カセットにおいて、
前記第1ギヤローラは、前記第1カバー部材の前記各第1ガイド部材の間および上下に前記第1ギヤを、各ギヤの孔が前記各第1ガイド部材の孔と連通するように配置し、それらの連通する孔に前記第1軸を挿通し、前記各ギヤにその軸方向に直交するように設けてある孔と前記第1軸にその軸方向に直交するように設けてある孔とにそれぞれピンを貫通させることにより、前記各ギヤを第1軸に固着して構成され、
前記第2ギヤローラは、前記第2カバー部材の前記各第2ガイド部材の間および上下に前記第2ギヤを、各ギヤの孔が前記各第2ガイド部材の孔と連通するように配置し、それらの連通する孔に前記第2軸を挿通し、前記各ギヤにその軸方向に直交するように設けてある孔と前記第2軸にその軸方向に直交するように設けてある孔とにそれぞれピンを貫通させることにより、前記各ギヤを第2軸に固着して構成されていることを特徴とする研磨カセット。
【請求項5】
請求項1、2または3に記載の研磨カセットにおいて、
前記第1ギヤローラの第1軸および前記第2ギヤローラの第2軸にそれぞれDカットなどの異形軸を用いるとともに、各ギヤの孔を前記第1軸および前記第2軸の断面形状と等しいD形などの異形孔としてあることを特徴とする研磨カセット。
【請求項6】
請求項1、2または3に記載の研磨カセットにおいて、
前記第1ギヤローラと前記第2ギヤローラの一方は、当該ギヤローラの前記カバー部材の前記各ガイド部材の間および上下に前記ギヤを、各ギヤの孔が前記各ガイド部材の孔と連通するように配置し、それらの連通する孔に前記軸を挿通し、前記各ギヤにその軸方向に直交するように設けてある孔と前記軸にその軸方向に直交するように設けてある孔とにそれぞれピンを貫通させることにより、前記各ギヤを前記軸に固着して構成され、
前記第1ギヤローラと前記第2ギヤローラの他方は、当該ギヤローラの軸にDカットなどの異形軸を用いるとともに、各ギヤの孔を前記軸の断面形状と等しいD形などの異形孔としてあることを特徴とする研磨カセット。
【請求項7】
請求項4または5に記載の研磨カセットにおいて、前記第1軸および前記第2軸の少なくとも一方の少なくとも一端部にその軸方向に直交する方向に貫通する孔を設け、前記第1ギヤおよび第2ギヤのうち少なくとも最も下側のギヤおよび/または最も上側のギヤに軸方向に直交する方向に貫通する孔を設け、前記軸の孔とギヤの孔にピンを貫通してあることを特徴とする研磨カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機において用いられる研磨装置の研磨カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機には、遊技者が遊技球 (以下、球という。)を発射装置によって遊技領域に発射した球が遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に入ると、所定数の球を賞球として遊技者に払い出すものがある。
【0003】
遊技機の球には、遊技者が触れるため、あるいは、遊技機の内部を通過する間に、汚れが付着する。この汚れは、球の外観を損ねたり、遊技機内で球を詰まらせるなどの原因となる虞があるため、遊技機の球の移送経路に球を研磨する研磨装置が備えられている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の遊技機では、移送される球に帯状の研磨材を押し当てて研磨する。
【0004】
そして、研磨装置の中には、研磨材の研磨性能を維持するため、研磨装置に長い帯状で環状の研磨材を収容した研磨カセットを取外し可能に組み込み、その研磨カセットの中に設けられた巻取手段により研磨材を研磨カセットの外側に引き出し、移送される球と当接される研磨領域を通過した研磨材を再び研磨カセット内に引き戻すことにより、球に当接する研磨材の部分を変更するものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-185165号公報
【特許文献2】特開2014-144294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示の研磨カセットに備えられている巻取手段は、以下のような構成を有する。すなわち、巻取手段は、第1軸を回転軸とする第1歯車と、その第1軸と平行な第2軸を回転軸とし、第1歯車と研磨材を介して噛み合う第2歯車とを有する。第1歯車は、第1軸に取り付けられ、第1軸の軸方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第1歯車部を有し、第2歯車は、第2軸に取り付けられ、第2軸の軸方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第2歯車部を有する。隣り合う第1歯車部同士の間には、第1歯車部の外周側から内周側に向かって突出する第1爪状部が設けられ、隣り合う第2歯車部同士の間には、第2歯車部の外周側から内周側に向かって突出する第2爪状部が設けられ、第1爪状部にはU字状の第1凹部が設けられ、第1軸は第1凹部内に挿通され、第2爪状部にはU字状の第2凹部が設けられ、第2軸は第2凹部内に挿通されている。
【0007】
上記のように、隣り合う第1歯車部同士の間には、第1歯車部の外周側から内周側に向かって突出し、かつ、U字状の第1凹部が設けられた第1爪状部が設けられ、隣り合う第2歯車部同士の間には、第2歯車部の外周側から内周側に向かって突出し、かつ、U字状の第2凹部が設けられた第2爪状部が設けられているため、第1歯車と第2歯車の間を移送される研磨材が第1爪状部および/または第2爪状部に捕捉される虞がある。すなわち、研磨材が研磨カセット内で捕捉されて、移送不能となる虞がある。
【0008】
研磨材が研磨カセット内で捕捉されると、研磨材の研磨性能が発揮されなくなる。また、研磨カセット内で捕捉された研磨材の捕捉状態を解除するには、遊技機を開放して研磨カセットを遊技機の外に取り出し、その研磨カセットの第1歯車と第2歯車を離間させることが必要である。したがって、捕捉状態の解除作業は容易でないばかりでなく、長時間を要するため、遊技者に大きい迷惑をかける恐れがあり、軽視できない問題である。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、研磨材が研磨カセット内で捕捉されることを防止した研磨カセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、遊技機Aに備えられ、遊技に用いられる球を帯状の研磨材203により研磨するための研磨カセット200であって、次の点を特徴とする。
研磨材203を研磨領域に送る研磨材送り手段(上記巻取手段に相当)207を有し、研磨材送り手段207は、第1軸208aを回転軸とする第1ギヤローラ208と、第1軸208aと平行な第2軸209aを回転軸とし、第1ギヤローラ208と研磨材203を介在させて噛み合う第2ギヤローラ209とを有する。
第1ギヤローラ208は、第1軸208aに取り付けられ、第1軸の軸方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第1ギヤ208bを有し、第2ギヤローラ209は、第2軸209aに取り付けられ、第2軸の軸方向に沿って間隔を開けて配置された複数の第2ギヤ209bを有する。
隣り合う第1ギヤ208b同士の間に、第1軸208aの中心と第2軸209aの中心とを結ぶ直線から第1ギヤ208bの回転方向と同方向および逆方向に存在する複数の歯に亘ってその歯底よりも内側に円弧状に連なるガイド面fを有する第1ガイド部材212が設けられ、隣り合う第2ギヤ209b同士の間に、第1軸208aの中心と第2軸209aの中心とを結ぶ直線から第2ギヤ209bの回転方向と同方向および逆方向に存在する複数の歯に亘ってその歯底よりも内側に円弧状に連なるガイド面fを有する第2ガイド部材213が設けられている。
上記の構成によれば、第1ガイド部材212と第2ガイド部材213はいずれも複数の歯に亘ってその歯底よりも内側に円弧状に連なるガイド面fを有するので、第1ギヤローラ208と第2ギヤローラ209の間を送られる研磨材203が捕捉されることが防止される。
【0011】
本発明の他の実施の形態においては、第1ガイド部材212は、第1軸208aを中心とする、第1ギヤローラ208の第2ギヤローラ209と反対側の外面に近接する円弧面に沿って第1軸208aの軸方向に延びる第1カバー部材214に設けられ、その第1ガイド部材212は、中央に第1軸208aを挿通させる孔hを有する円板で形成されている。また、第2ガイド部材213は、第2軸209aを中心とする、第2ギヤローラ209の第1ギヤローラ208と反対側の外面に近接する円弧面に沿って第2軸209aの軸方向に延びる第2カバー部材215に設けられ、その第2ガイド部材213は、中央に第2軸209aを挿通させる孔hを有する円板で形成されている。
上記構成により、第1ギヤローラ208と第1ガイド部材212、第2ギヤローラ209と第2ガイド部材213は、予め組み合わせた状態で研磨カセット200に取付けることができるので、組み立て作業が容易である。
【0012】
上記第1カバー部材214は、第1軸208aを中心とする、第1ギヤローラ208の第2ギヤローラ209と反対側の外面に近接する円弧面に沿って第1軸208aの軸方向に延びる包囲部214aと、その包囲部214aの両端部から第2ギヤローラ209と反対方向に延びる遮蔽部214bとを有し、上記第2カバー部材215は、第2軸209aを中心とする、第2ギヤローラ209の第1ギヤローラ208と反対側の外面に近接する円弧面に沿って第2軸209aの軸方向に延びる包囲部215aと、その包囲部215aの両端部から第1ギヤローラ208と反対方向に延びる遮蔽部215bとを有することが好ましい。
上記構成により、第1ギヤローラ208と第2ギヤローラ209の間を送られる研磨材203が捕捉されることがより良く防止される。
【0013】
本発明のさらに他の実施の形態においては、第1ギヤローラ208は、第1カバー部材214の各第1ガイド部材212の間および上下に第1ギヤ208bを、各ギヤの孔Hが各第1ガイド部材212の孔hと連通するように配置し、それらの連通する孔H,hに第1軸208aを挿通し、各ギヤ208bにその軸方向に直交するように設けてある孔h1と第1軸208にその軸方向に直交するように設けてある孔h2とにそれぞれピンpを貫通させることにより、前記各ギヤを第1軸に固着して構成され、第2ギヤローラ209は、第2カバー部材215の各第2ガイド部材213の間および上下に第2ギヤ209bを、各ギヤの孔Hが各第2ガイド部材213の孔hと連通するように配置し、それらの連通する孔に第2軸209bを挿通し、前記各ギヤにその軸方向に直交するように設けてある孔h1と前記第2軸209aにその軸方向に直交するように設けてある孔h2とにそれぞれピンpを貫通させることにより、各ギヤ209bを第2軸209aに固着して構成されている。
【0014】
本発明のさらに他の実施の形態においては、第1ギヤローラ208’の第1軸208a’および図示されていない第2ギヤローラ209’の第2軸209a’にそれぞれ断面形状がDなどの異形軸を用いるとともに、各ギヤの孔H’を第1軸208a’および第2軸209a’の断面形状と等しい異形孔としてある。
【0015】
本発明のさらに他の実施の形態においては、前記第1ギヤローラと前記第2ギヤローラの一方は、当該ギヤローラの前記カバー部材の前記各ガイド部材の間および上下に前記ギヤを、各ギヤの孔が前記各ガイド部材の孔と連通するように配置し、それらの連通する孔に前記軸を挿通し、前記各ギヤにその軸方向に直交するように設けてある孔と前記軸にその軸方向に直交するように設けてある孔とにそれぞれピンを貫通させることにより、前記各ギヤを前記軸に固着して構成され、前記第1ギヤローラと前記第2ギヤローラの他方は、当該ギヤローラの軸にDカットなどの異形軸を用いるとともに、各ギヤの孔を前記軸の断面形状と等しいD形などの異形孔としてある。
【0016】
本発明のさらに他の実施の形態においては、前記第1軸および前記第2軸の少なくとも一方の少なくとも一端部にその軸方向に直交する方向に貫通する孔を設け、前記第1ギヤおよび第2ギヤのうち少なくとも最も下側のギヤおよび/または最も上側のギヤに軸方向に直交する方向に貫通する孔を設け、前記軸の孔とギヤの孔にピンを貫通してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、研磨材が研磨カセット内で捕捉されることを防止した研磨カセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】研磨カセットを収容している研磨装置の正面図である。
【
図4】
図2の研磨装置から研磨カセットを取り外して搬送ユニットのみを示す斜視図である。
【
図6】球搬送手段の横断面図であり、(a)は
図5のX-X方向を見た図、(b)は
図3のY-Y方向を見た図である。
【
図7】研磨材を除去した状態の研磨カセットを示す図面であり、(a)は正面側から見た斜視図、(b)は背面図、(c)は(b)の底面図である。
【
図8】研磨カセットの上箱を取り外した状態の平面図である。
【
図10】
図2の研磨装置における球の搬送経路と研磨材の位置関係を説明する斜視図である。
【
図11】
図10の研磨装置における球の搬送方向と研磨材の移動方向の関係を示す斜視図である。
【
図12】研磨材送り手段の第1実施例の斜視図である。
【
図14】
図13の分解状態から部品を組み立てる一過程を示す図である。
【
図16】研磨材送り手段の第2実施例を説明する図である。
【
図17】研磨材送り手段のカセット本体に対する取付構造を例示する図である。
【
図18】ギヤローラにおける軸のギヤからの脱落を防止する構造を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
[遊技機]
図1においては、遊技機Aの遊技盤1から入賞口2および外れ球回収口3に入った球は、遊技機Aの球回収路4を経て、下部タンク5に一旦貯められた後、研磨装置Bの球入口129に流入し、研磨装置B内で研磨された球は、研磨装置Bの球出口132から排出され、揚送手段6により上部タンク7に揚送されて貯留される。その一部は補給菅8を下降し、補給制御部9により保留される。球貸し機10が遊技者により操作されると、補給制御部9が所定数の球を球発射装置11に補給する。球発射装置11が操作されると、球が遊技盤1の遊技領域に発射される。
なお、実際に研磨装置Bが搭載される位置や向きなどは、遊技機の構成に合わせて設定される。
【0021】
[研磨装置]
続いて、研磨装置Bについて詳細に説明する。研磨装置Bは、
図2および
図3に示すように、搬送ユニット100と研磨カセット200とから成っている。
【0022】
[搬送ユニット]
搬送ユニット100は、
図4および
図5に示すように、遊技者側である正面側に開口する筐体110を有する。その筐体110の中に、一方側下部から他方側上部まで連続する球搬送手段120が設けられている。その搬送手段120の手前側(正面側)に、研磨カセット200を嵌合して固定することができる研磨カセット収容空間111が形成されている。
【0023】
搬送手段120は、主たる構成要素として、搬送ガイド121と、スクリュー122と、そのスクリュー122の回転駆動部であるモータ123(
図5参照)と、スクリュー122の回転を検知するための回転検知センサ124とを有する。搬送ガイド121とスクリュー122とモータ123とでスクリューコンベアを構成している。
【0024】
搬送ガイド121は、横断面形状がコ字形または円弧状の縦長部材で形成され、研磨カセット収容空間111の一方側下部から他方側上部まで斜めに連続する状態で筐体110に固定されている。また、搬送ガイド121は、正面側に軸方向に連続する開口を有する。その開口は、球Cの直径よりもわずかに小さな幅を有するとともに、
図6に示すように、開口を形成する互いに対向する端縁121a,121bは平行に蛇行されている。
【0025】
スクリュー122は、筐体110の内面に固着された左右の支持部材112に取付けられた軸受(図示省略)により搬送ガイド121の中心に回転軸122aを合致させた状態で回転可能に支持されている。そして、搬送ガイド121はスクリュー122を同心円状に包囲しており、搬送ガイド121の開口の蛇行端縁とスクリュー122との間にスクリュー122の軸方向に連続して蛇行する球通路Pが形成されている。スクリュー122は、螺旋状の外周面が搬送ガイド121の内面に近接する外径を有し、スクリュー122の回転軸122aの外周面と搬送ガイド121の内面との間の間隔は球Cの直径よりも僅かに小さく、スクリュー122のピッチは球Cの直径よりも僅かに大きく設定されている。
【0026】
モータ123は、筐体110の背面の
図4においては右側に突設されたケース113内に取り付けられ、そのモータ123の回転力が減速と伝動を兼ねるギア列125a,125b,125cを介してスクリュー122に伝達される。
【0027】
筐体110の中には、後述される研磨カセット200の研磨材送り手段を駆動するための第2駆動手段であるモータ135が取付けられている。
図4,5の136は、そのモータ135の回転軸に固着されたギヤである。モータ135は研磨カセット200に取付けられても良い。
【0028】
搬送ガイド121の一端側部分(
図5においては右端側部分)には、
図6(a)に示すように、第1連絡路128の下端部が接続されている。第1連絡路128の上端部は筐体110の上面壁において外側に開口されている球入口129と接続されている。これにより、球入口129から入る球Cは第1連絡路128の中を流下して球通路Pの一端部に進入する。
【0029】
搬送ガイド121の他端側部分(
図5においては左端側部分)にも、第2連絡路130の上端部が接続されている。第2連絡路130の下端部131は筐体110の側面壁側に曲げられ、その先端が筐体110の側面壁において外側に開口されている球出口132と接続されている。これにより、球通路Pを通過する球Cは第2連絡路130の中を通って球出口132から排出される。
【0030】
球入口129には、
図1の下部タンク5の球供給管5aの下端部が結合される。球出口132には、
図1の遊技装置Aの揚送手段6の下端が結合される。
【0031】
モータ123とギア列125a~125cとで、球搬送手段120のスクリュー122を所定方向に回転させる駆動手段(第1駆動手段)が構成されている。スクリュー122は球が斜めの球通路Pの下端部から上端部まで搬送されるように回転される。
【0032】
回転検知センサ124は、図示を省略されているが、一例として、筐体110に取付けられた既知の光電センサと、スクリュー122の回転軸の下方延長部分に固着されたエンコーダとで構成されている。この回転検知センサ124は、動作確認のために用いられるが、必要であれば、スクリュー122の回転角度に基づいて球出口132から排出される球数を計数させることも可能である。球数を計数するための球数計数センサは、他の構成のものでよいし、別の位置に設けても良い。また、回転検知センサ124からの信号は、この研磨装置Bの稼働を止める制御を行うために用いられる。
【0033】
そして、上記搬送ユニット100は、筐体110の研磨カセット収容空間111を遊技機Aの正面方向に向けた状態で遊技機内に収容され、筐体110の開口面の四隅に一体に形成された取付片133においてねじ止め等の固着手段により所定の位置に着脱可能に取付けられる。したがって、研磨装置Bは、遊技機Aに対して容易に取付けることができる。
【0034】
[研磨カセット]
一方、研磨カセット200は、
図7、8、9に示すように、密閉された略横長箱状に形成されたカセット本体201を有し、そのカセット本体201の研磨材収容空間202に無端帯状の研磨材203が蛇行状に詰めて収容されている。研磨材203は、蛇腹状から平面状を経て再び蛇腹状に繰り返し変形可能な研磨材料、例えば、長尺帯状の研磨布等で構成されている。
【0035】
研磨材203は、後述される研磨材送り手段207によりカセット本体201の正面壁(搬送ユニット100の筐体110の研磨カセット収容空間111と対面する面の壁)204の一方側端部(
図8,9においては右側端部)に形成されている縦スリットからなる研磨材出口205から外側に引き出され、カセット本体201の正面壁204の外側面に沿って正面壁204の他方側端部(
図8,9においては左側端部)まで正面壁204を覆うように延長され、その正面壁204の他方側端部に形成されている縦スリットからなる研磨材入口206から再び研磨材収容空間202内に引き込まれる。すなわち、研磨材203はカセット本体201の正面側に露出され、垂直に緊張した状態を正面壁204により維持されている。研磨材203のカセット本体201の正面側に露出されている一定の面積を有する長方形部分203aが、後述されるように球の研磨領域PFを提供する。
【0036】
研磨材収容空間202内には、研磨材203を所定方向に送る研磨材送り手段207が設けられている。研磨材送り手段207は、研磨材入口206の内側において回転軸を垂直にしたギヤピッチが等しい2本のギヤローラ208,209を、一方のギヤローラ(第1ギヤローラ)208は固定の位置で、他方のギヤローラ(第2ギヤローラ)209は第1ギヤローラ208に接近可能に付勢した状態で、それぞれ回転自在に、かつ、互いにギヤが噛み合うように設けられている。第1ギヤローラ208の軸は、カセット本体201の底面壁210bを貫通して下方に延長され、その延長部に外部から回転力を受けるためのギヤ211が固着されている。そして、研磨材203は2本のギヤローラ208,209の間を通され、付勢されている第2ギヤローラ209により研磨材203に永久変形が生じない程度の力でギヤローラ208,209の間に挟圧されている。
【0037】
図12~
図15に基づいて、研磨材送り手段207の第1実施例をさらに詳しく説明する。
図12は
図9の研磨材送り手段207の2本のギヤローラ208,209を離間して示す斜視図、
図13は
図12の研磨材送り手段207の部品を分解した状態の斜視図、
図14図および
図15は、
図13の分解状態から部品を順次組み立てる過程を示す図である。
【0038】
第1ギヤローラ208は、中心の回転軸208a(第1軸)と、その回転軸208aの軸方向に沿って間隔をもって配設された複数のギヤ208b(第1ギヤ)をと有する。第2ギヤローラ209は、回転軸209a(第2軸)と、その回転軸209aの軸方向に沿って間隔をもって配設された複数のギヤ209b(第2ギヤ)とを有する。そして、隣り合う第1ギヤ208b同士の間に、回転軸208aの中心と回転軸209aの中心とを結ぶ直線から第1ギヤ208bの回転方向と同方向および逆方向に存在する複数の歯に亘ってその歯底よりも内側に円弧状に連なるガイド面fを有する第1ガイド部材212が設けられている。また、隣り合う第2ギヤ209b同士の間に、回転軸208aの中心と回転軸209aの中心とを結ぶ直線から第2ギヤ209bの回転方向と同方向および逆方向に存在する複数の歯に亘ってその歯底よりも内側に円弧状に連なるガイド面fを有する第2ガイド部材213が設けられている。
【0039】
図12~
図15に示すように、第1ギヤローラ208の第1ガイド部材212は、研磨材203の第1ギヤローラ208への巻き込みを防止するための第1カバー部材214の湾曲内面にギヤ208b間の隙間と等間隔で配設されている。第2ギヤローラ209の第2ガイド部材213は、研磨材203の第2ギヤローラ209への巻き込みを防止するための第2カバー部材215の湾曲内面にギヤ209b間の隙間と等間隔で配設されている。
【0040】
第1ギヤローラ208は、次のように構成されている。第1カバー部材214の各第1ガイド部材212の間および上下に第1ギヤ208bを、各ギヤ208bの孔Hが各第1ガイド部材212の孔hと連通するように配置し(
図14参照)、それらの連通する孔H,hに第1軸208aを挿通し(
図15参照)、各ギヤ208bにその軸方向に直交するように設けてある孔h1と第1軸208aにその軸方向に直交するように設けてある孔h2とにそれぞれピンpを貫通させる(
図15参照)ことにより、各ギヤ208bを第1軸208aに固着して、第1ギヤローラ208が構成されている(
図12参照)。
第2ギヤローラ209も、上記第1ギヤローラ208と同様に構成されている。
【0041】
上述のような第1ギヤローラ208に第1ガイド部材212を、および第2ギヤローラ209に第2ガイド部材213を備えた構成により、第1、第2ギヤローラ208,209の間を送られる研磨材203の巻き込みを確実に防止することができる。
【0042】
各ギヤローラ208,209の軸208a,208bとギヤ209a,209bとが相対回転しないように固定するには、次の二つの構造を採用することができる。
図12~
図14に示す第1実施例においては、第1軸208aおよび第2軸209aが丸棒であり、ギヤ208bおよび209bに第1軸208aおよび第2軸209aをそれぞれ挿入した後、それぞれギヤ208bと第1軸208aの連通する孔h1,h2およびギヤ209bと第2軸209aの連通する孔h1,h2にそれぞれピンpを貫通させて相互に固定している。
【0043】
図16に示す第2実施例では、第1ギヤローラ208’の第1軸208a’に断面形状がDなどの異形軸を用いるとともに、各ギヤ208b’の孔H’を第1軸208a’の断面形状と等しい異形孔としてある。図示されていない第2ギヤローラ209’の第2軸209a’およびギヤ209b’の孔も、同様の異形軸と異形孔としてある。
【0044】
なお、ギヤと軸の固定が確保されるならば、他の異形軸と孔の組み合わせでも構わない。また、丸棒型軸の途中から一部がDカットなど異形加工されたものでも構わない。
【0045】
このように第1ギヤローラ208’の第1軸208a’を異形軸とし、ギヤ208b’の孔(H’)を異形孔とすることにより、各隣り合うギヤ208b’同士の間に第1ガイド部材212が存在するように整列し(
図16(b))、これらの整列されたギヤ208b’と第1ガイド部材212の孔(h)に第1軸208aを貫通するだけで(
図14(c))、第1軸208a’とギヤ208b’との相対回転を阻止することができる。
図14には示されていない第2ギヤローラ209’についても同様である。
したがって、第2実施例の場合は、各軸208a、209aおよび各ギヤ208b、209bにピン挿通孔(h1,h2)を形成し、それらの孔(h1,h2)にピンpを挿通する第1実施例と異なり、部品加工と組み立ての時間を短縮できる利点がある。
【0046】
第3実施例として、
図12~
図15に示されているように、第1ギヤローラ208と第2ギヤローラ209の一方は、当該ギヤローラのカバー部材(214または215)の各ガイド部材(212または213)の間およびその上下にギヤ(208bまたは209b)を、各ギヤの孔Hが各ガイド部材の孔hと連通するように配置し、それらの連通する孔H,hに丸棒型の軸(208aまたは209a)を挿通し、各ギヤにその軸方向に直交するように設けてある孔h1と、その軸にその軸方向に直交するように設けてある孔h2とにそれぞれピンpを貫通させることにより、各ギヤ(208bまたは209b)を軸(208aまたは209a)に固着して構成してもよい。また、第1ギヤローラ208と第2ギヤローラ209の他方は、
図16に示されているように、当該ギヤローラの軸208a’に異形軸を用いるとともに、各ギヤの孔H’を軸208a’の断面形状と等しい異形孔として、その異形孔に異形軸を挿入することにより各ギヤと軸を固定してもよい。
【0047】
研磨材送り手段207の2本のギヤローラ208,209は、その軸208a、209aまたは208a’、 209a’がカセット本体201の上面壁210aと下面壁210bに回転可能に支持される。
軸とギヤとの結合態様が
図12~
図15に示された第1実施例である場合、すなわち、軸208a,209aとギヤ208b,209bとがこれらに貫通されたピンpにより結合されている場合は、
図17の(a)に示されているように、各ギヤローラ208,209の軸208a、209aをそれぞれカセット本体201の上面壁210aと下面壁210bに設けられた孔221a,221b;222a,222bに挿入するだけで、軸208a,209aがギヤ208b,209bから下方に脱落することなく、保持される。
したがって、第1実施例の場合は、研磨材送り手段207のカセット本体への組み込みが容易にできる。
図17の(a)において、227は下面壁210bに設けられ、孔221bの下方に延びるボスであり、ギヤ211が設けられた軸208aを安定的に保持する。
【0048】
なお、第1実施例の場合、軸208a,209aがギヤ208b,209bから下方に脱落することを防止するには、ギヤ208b,209bの全てにh1を設け、軸208a,209aに全ての孔h1に対応するピン挿通孔h2を設ける必要はなく、一番下側のギヤの孔h1と軸208a,209aの一番下側のピン挿通孔h2とにピンpを貫通するだけでも良い。
【0049】
これに対して、軸とギヤとの結合態様が
図16に示された第2実施例である場合、すなわち、軸208a’が異形軸であり、ギヤ208b’の孔H’が異形孔である場合は、
図17(a)のようにカセット本体201の上面壁210aと下面壁210bに設けられた孔221a,221b;222a,222b に軸208a’を挿入すると、その軸208a’は孔221a,221b;222a,222b から脱落する虞がある。
そこで、軸とギヤとの結合態様がギヤの異形孔に異形軸を挿入するものである場合は、軸がギヤの孔から脱落しないように、軸を
図17の(b)または(c)に例示する保持構造を採用することが望ましい。
【0050】
図17の(b)の保持構造は、軸208a’,209a’の上端面および下端面の中央から上下方向に延長する径小部208c,209cを形成し、それぞれの径小部208c,209cをカセット本体201の上面壁210aと下面壁210bに設けられた孔223a,223b;224a,224bに回転可能に挿入してある。この孔223a,223b;224a,224bの径は、軸208a’,209a’の径よりも小さく、径小部208c,209cの径よりも大きい。
これにより、軸208a’,209a’がギヤ208b’, 209b’から抜脱することが防止されている。
【0051】
図17の(c)は、軸208a’,209a’がギヤ208b’,209b’から抜脱するのを防止するもう一つの保持構造の例を示す。この例では、ギヤ211が取付けられているギヤローラ208’の軸208a’の上端部をカセット本体201の上面壁210aに設けてある凹部225aに回転可能に嵌合し、
図17の(b)と同様に、ギヤローラ208’の軸208a’の下端部に設けた径小部208cをカセット本体201の下面壁210bに設けられた、径が軸208a’の径よりも小さく、径小部208cの径よりも大きい孔225bに回転可能に貫通し、他のギヤローラ209’の軸209aの上端部および下端部をカセット本体201の上面壁210aおよび下面壁210bに設けられた凹部226a,226bに回転可能に嵌合されている。
この例においても、軸208a’,209a’のギヤ208b’,209b’からの抜脱が防止されている。
なお、
図17の(b)または(c)に
図17の(a)の227に相当するボスを設けても良い。
【0052】
軸とギヤとの結合態様が
図16に示された第2実施例である場合、軸208a’がギヤ208b’から下方に脱落することを防止するには、
図18に示すように、軸208a’の少なくとも一端部にピン挿通孔h2を設けるとともに、少なくとも下端部のギヤ208b’に孔h1を設け、孔h1とピン挿通孔h2とを連通させて、それらの孔h1, h2にピンpを貫通させればよい。
【0053】
軸208a’の両端部にピン挿通孔h2が設けてある場合は、ギヤローラを組み立てるときに、軸208a’の上下を選ばずに組み立て作業を行うことができる。
【0054】
カセット本体201は、
図7に示すように、高さ方向のほぼ中間位置で上下の箱体201a、201bに二分割して構成されている。なお、箱体の分割構造は必ずしも等分に限らず、器と蓋の形態でもよい。
図8,9は、
図7の上下の箱体を境界面で分離し、研磨材203およびギヤローラ208,209をその境界面において切断して示す図である。上下の箱体201a、201bをその開口面の周縁を突き合わせ、両箱体201a、201bの周縁の四隅に形成してある舌片においてねじ231等により結合することにより、
図7に示すような単一体に形成されている。通常の作業としては、単一体として入れ替えができるため、メンテナンスが容易である。そして、二つに分けた状態で、研磨材収容空間202の研磨材203の交換(新品やクリーニング再生品に加えて研磨布の裏面側の利用を含む。)が可能になる。したがって、研磨材および研磨カセットのリサイクル性に優れる。
【0055】
搬送ユニット100の筐体110の中間に形成されている研磨カセット収容空間111は、研磨カセット200のカセット本体201の背面形状とほぼ同一の背面形状を有する。したがって、研磨カセット200は、
図10に示すように、搬送ユニット100の研磨カセット収容空間111に緊密に嵌合することができる。搬送ユニット100の筐体110には、研磨カセット収容空間111の所定の位置に嵌合された研磨カセット200を捕捉して固定する周知のキャッチ手段134が設けられている。
【0056】
研磨カセット200を搬送ユニット100の研磨カセット収容空間111に嵌合して固定すると、搬送ユニット100の搬送ガイド121とスクリュー122により形成されている斜めの球通路Pが研磨カセット200のカセット本体201の外側に露出されている研磨材203に近接する。この場合、球通路Pが研磨材203に近接する範囲は、球通路Pを搬送される球が研磨材に接触する研磨領域PFとなるが、その研磨領域PFは
図11に鎖線で示すように、研磨材203のカセット本体外側に露出されている長方形部分203aの対角線に近い位置の斜め帯状の範囲であって、上端は長方形部分203aの上辺203bよりも低い位置に存在し、下端は長方部分203aの下辺203cよりも高い位置に存在するように、長方形部分203aの寸法および球通路Pの傾斜角度が設定されている。
【0057】
また、研磨カセット200を搬送ユニット100の研磨カセット収容空間111に嵌合したときは、研磨材移動手段のギヤ211が搬送ユニット100に設けられた第2駆動手段のギヤ225と噛み合う。
【0058】
[稼働時の作用および効果]
続いて、稼働時の作用を説明する。第1駆動手段および第2駆動手段が稼働されると、スクリュー122が所定方向に回転されて、
図10,11に塗り潰された太い線で示すように、筐体110の球入口129から第1連絡路128を経て球通路Pの始端に流下した球は、球通路Pを斜め上方に搬送されるとともに、研磨カセット200の外側に露出されている研磨材203は球Cの搬送方向と逆方向の水平方向に移動される。すなわち、研磨材が研磨領域PFにおいて水平方向に移動されるのに対して、球Cは研磨領域PFにおいて研磨材の移動方向と逆方向の斜め上方に搬送され、その間に球Cが研磨材203に接触して研磨される。
【0059】
球通路Pの終端まで搬送された球Cは、第2連絡路130を経て球出口132から搬送ユニット100の外側に排出される。
【0060】
そして、球は研磨領域において研磨材の移動方向と逆方向の斜め上方に搬送されるので、研磨材との接触距離を長く取ることができるため、研磨効率が向上する。また、球通路Pは若干蛇行しているので、球の球面全体が満遍なく研磨材に接触されるので、一層効率良く研磨される。また、球の研磨材に対する接触範囲は研磨材の上端と下端を避けた範囲に限定されているので、球がとくに研磨材の下端に接触して捲り上げることが無い。さらに、球は斜め上方に搬送されるので、研磨材が幅方向中間位置において捩られることも抑制されている。
【0061】
上記の実施の形態においては、
図11に示されるように、球が研磨材の移動方向に対して逆方向の斜め上方に搬送されるようにしたが、他の実施の形態として、球が研磨材の移動方向に対して逆方向の斜め下方に搬送されるようにしてもよいし、球が研磨材の移動方向に対して順方向の斜め上方または斜め下方に搬送されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
B 研磨装置
100 搬送ユニット
200 研磨カセット
207 研磨材送り手段
208 第1ギヤローラ
208a 第1軸
208b 第1ギヤ
208a’ 第1軸(異形軸)
209 第2ギヤローラ
209a 第2軸
209b 第2ギヤ
h1,h2 ピン挿通孔
H ギヤの孔
212 第1ガイド部材
213 第2ガイド部材
214 第1カバー部材
214a 包囲部
214b 遮蔽部
215 第2カバー部材
215a 包囲部
215b 遮蔽部