(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012967
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ドアホールシール構造
(51)【国際特許分類】
B60R 13/08 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
B60R13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116773
(22)【出願日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000175766
【氏名又は名称】三恵技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】高山 克海
(72)【発明者】
【氏名】中島 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】神宮 直樹
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA02
3D023BA08
3D023BC01
3D023BD03
3D023BE02
3D023BE06
3D023BE36
(57)【要約】
【課題】ホールシール材に起因する異音の発生を防止することができると共に、製造効率の向上、製造コストの低減を図ることができる。
【解決手段】発泡樹脂から構成される発泡本体部6と、未発泡樹脂で構成される外周リップ部7との同一成形材であるホールシール材5を有し、ホールシール材5がインナーパネル4の開口部41を閉塞するように配置され、発泡本体部6がインナーパネル4に機械的に固定され、外周リップ部7の先端部721がホールシール材5の周縁となる位置に配設され、外周リップ部7の先端部721がインナーパネル4の外周部43に弾性付勢で押し当てられて当接状態が維持されるドアホールシール構造。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂から構成される発泡本体部と、未発泡樹脂で構成される外周リップ部との同一成形材であるホールシール材を有し、
前記ホールシール材が自動車用ドアのインナーパネルの開口部を閉塞するように配置され、
前記発泡本体部が前記インナーパネルに機械的に固定され、
前記外周リップ部の先端部が前記ホールシール材の周縁となる位置に配設され、
前記外周リップ部の前記先端部が前記インナーパネルの前記開口部の外周部に弾性付勢で押し当てられて当接状態が維持されていることを特徴とするドアホールシール構造。
【請求項2】
前記外周リップ部の先端部が玉縁状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のドアホールシール構造。
【請求項3】
前記発泡本体部の外周に未発泡樹脂で構成される未発泡立壁部が形成され、
前記外周リップ部が、前記発泡本体部の厚み方向に延びる起立壁と、前記起立壁から前記インナーパネル側に向かって外側に傾斜して形成されたリップ縁と、前記未発泡立壁部と前記起立壁とを断面視略H形状となるように連結する未発泡樹脂で構成された架橋部とから構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のドアホールシール構造。
【請求項4】
前記架橋部が、前記発泡本体部の厚み方向における前記未発泡立壁部の中央よりも前記インナーパネル側に寄った位置に形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のドアホールシール構造。
【請求項5】
前記発泡本体部を前記インナーパネルの前記開口部側に引き寄せる力が加わるようにして、前記発泡本体部が前記インナーパネルの前記開口部の周縁に掛止固定されていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のドアホールシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアのインナーパネルの開口部をシールするドアホールシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ドアのインナーパネルとアウターパネルとの間の空間には、スピーカ装置やドアロック装置等の各種部品が設けられ、これらの各種部品の取り付け作業用にインナーパネルには開口部が形成されている。そして、この開口部は、特許文献1、2のようなドアホールシール構造で閉塞される。
【0003】
特許文献1、2のドアホールシール構造では、発泡材で形成されたシート状のシール本体と、シール本体に積層して固着された合成樹脂フィルムでホールシール材が構成され、インナーパネルの開口部の周縁部に合成樹脂フィルムの周縁部をブチルシール剤で接着して、ホールシール材で開口部を閉塞するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-2094号公報
【特許文献2】特開2018-58402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような発泡材のシート状のシール本体と、シール本体に積層して固着された合成樹脂フィルムで構成されるホールシール材をインナーパネルの開口部の周縁部に接着する構造では、開口部の周辺において合成樹脂フィルムが振動することにより、異音(ビビリ音)が発生するという問題がある。更に、この構造では、ブチルシール剤を容易に変形する合成樹脂フィルムに塗布して接着する作業を行う必要があるため、製造効率に劣り、製造コストが高くなるという問題もある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、ホールシール材に起因する異音の発生を防止することができると共に、製造効率の向上、製造コストの低減を図ることができるドアホールシール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のドアホールシール構造は、発泡樹脂から構成される発泡本体部と、未発泡樹脂で構成される外周リップ部との同一成形材であるホールシール材を有し、前記ホールシール材が自動車用ドアのインナーパネルの開口部を閉塞するように配置され、前記発泡本体部が前記インナーパネルに機械的に固定され、前記外周リップ部の先端部が前記ホールシール材の周縁となる位置に配設され、前記外周リップ部の前記先端部が前記インナーパネルの前記開口部の外周部に弾性付勢で押し当てられて当接状態が維持されていることを特徴とする。尚、ここで「機械的に固定」とは、例えば掛止固定、ボルト締め、ねじ止め、カシメ固定、圧入固定等の力学的作用による固定を意味し、接着のような化学的固定は含まれない。
これによれば、インナーパネルの開口部の外周部にはホールシール材の外周リップ部の先端部が弾性付勢で押し当てられ、隙間を生ずることなく常に面圧がかかる状態となり、外部からの振動の加振力を超える圧力で外周リップ部の先端部をインナーパネルの外周部に押し付けて振動を抑え込み、外力に起因する異音(ビビリ音)或いはがたつきの発生を防止することができる。更に、インナーパネルの開口部の周辺において接着された合成樹脂フィルムが振動して異音が発生するようなことが無く、ホールシール材に起因する異音の発生を防止することができる。そして、高音域とロードノイズ等の低音域の双方に対して防音効果、遮音効果を発揮することができる。また、ブチルシール剤を容易に変形する合成樹脂フィルムに塗布して接着するような作業が不要であることから、製造効率の向上、製造コストの低減を図ることができる。また、外周リップ部の先端部をインナーパネルの開口部の外周部に弾性付勢で押し当てて当接状態を維持することにより、ホールシール材の外周部とインナーパネルの開口部の外周部との接着をせずとも、ホールシール材の外周部とインナーパネルの開口部の外周部とのシール性、防水性を確保することができる。
【0008】
本発明のドアホールシール構造は、前記外周リップ部の先端部が玉縁状に形成されていることを特徴とする。
これによれば、外周リップ部の先端部を玉縁状とすることにより、外周リップ部の先端部の強度を高め、破損を防止することができる。更に、外周リップ部の先端部とインナーパネルの開口部の外周部との当接による接触面積を増加させることができ、この接触面積の増加により、外周リップ部の先端部の押付力を増加させ、異音或いはがたつきの発生をより確実に防止することができる。また、この接触面積の増加により、ホールシール材の外周部とインナーパネルの開口部の外周部とのシール性、防水性をより一層高めることができる。
【0009】
本発明のドアホールシール構造は、前記発泡本体部の外周に未発泡樹脂で構成される未発泡立壁部が形成され、前記外周リップ部が、前記発泡本体部の厚み方向に延びる起立壁と、前記起立壁から前記インナーパネル側に向かって外側に傾斜して形成されたリップ縁と、前記未発泡立壁部と前記起立壁とを断面視略H形状となるように連結する未発泡樹脂で構成された架橋部とから構成されていることを特徴とする。
これによれば、未発泡樹脂で構成される未発泡立壁部と起立壁と架橋部で構成される断面視略H形状により、外周リップ部或いはホールシール材の外周部の強度を高めることができる。更に、この断面視略H形状により、外周リップ部の弾力性を高め、外周リップ部の先端部がインナーパネルの開口部の外周部に弾性付勢で押し当てられる弾性力、面圧をより高めることができる。従って、より確実に異音の発生防止、シール性や防水性の確保の効果を得ることができる。
【0010】
本発明のドアホールシール構造は、前記架橋部が、前記発泡本体部の厚み方向における前記未発泡立壁部の中央よりも前記インナーパネル側に寄った位置に形成されていることを特徴とする。
これによれば、架橋部を未発泡立壁部の中央よりもインナーパネル側に寄った位置に形成することにより、外周リップ部の弾力性をより一層高め、外周リップ部の先端部がインナーパネルの開口部の外周部に弾性付勢で押し当てられる弾性力、面圧をより一層高めることができる。
【0011】
本発明のドアホールシール構造は、前記発泡本体部を前記インナーパネルの前記開口部側に引き寄せる力が加わるようにして、前記発泡本体部が前記インナーパネルの前記開口部の周縁に掛止固定されていることを特徴とする。
これによれば、発泡本体部をインナーパネルの周縁に掛止固定することにより、ホールシール材をインナーパネルに簡単に固定することができる。また、発泡本体部をインナーパネルの開口部側に引き寄せる力が加わるようにして掛止固定することにより、外周リップ部の先端部がインナーパネルの開口部の外周部に弾性付勢で押し当てられる弾性力、面圧をより高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のドアホールシール構造によれば、ホールシール材に起因する異音の発生や外力に起因する異音の発生を防止することができると共に、製造効率の向上、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による実施形態のドアホールシール構造を有する自動車用ドアの正面図。
【
図2】本発明による実施形態のドアホールシール構造の断面図。
【
図3】(a)は
図2のA部拡大図、(b)は
図2のB部拡大図。
【
図4】(a)は掛止具係合穴と掛止具による掛止固定を説明する斜視説明図、(b)は掛止フックによる掛止固定を説明する斜視説明図。
【
図5】(a)~(c)は実施形態のドアホールシール構造におけるホールシール材の製造工程を説明する工程説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態のドアホールシール構造〕
本発明による実施形態のドアホールシール構造は、
図1~
図3に示すように、自動車用ドア1でアウターパネル2とドアトリム3との間に配置されるインナーパネル4に設けられるものであり、発泡樹脂から構成される発泡本体部6と、未発泡樹脂で構成される外周リップ部7との同一成形材であるホールシール材5から構成される。
【0015】
ホールシール材5の発泡本体部6は、発泡コア層61と、発泡コア層61の外側に形成されたスキン層62とで構成される。また、発泡本体部6の外周には、立壁部63が形成され、立壁部63の外寄りは未発泡樹脂で構成される未発泡立壁部631になっている。立壁部63は、周溝になっているコアバック痕溝64の外側に周設されている。
【0016】
外周リップ部7は、発泡本体部6の厚み方向に延びる起立壁71と、起立壁71からインナーパネル4側に向かって外側に傾斜して形成されたリップ縁72と、未発泡立壁部631と起立壁71とを断面視略H形状となるように連結する未発泡樹脂で構成された架橋部73とから構成されている。図示例のリップ縁72は、起立壁71の端部から略弧状に湾曲して傾斜するように形成されており、その先端部721はホールシール材5の周縁となる位置に配設され、玉縁状に形成されている。また、図示例の架橋部73は、発泡本体部6の厚み方向における未発泡立壁部631の中央よりもインナーパネル4側に寄った位置に形成されて、未発泡立壁部631と起立壁71とに架設されている。
【0017】
本実施形態における発泡本体部6のインナーパネル4側の面には、略U字形状に突出する部分で構成される掛止具係合穴65と、外側に爪を向けて形成されている掛止フック66がそれぞれ所定の複数個所に設けられ、発泡本体部6のスキン層62の一部として一体形成されている。掛止具係合穴65には別部材の掛止具8が挿入されて係着される。
【0018】
そして、ホールシール材5は、インナーパネル4の開口部41を閉塞するように配置され、発泡本体部6がインナーパネル4に機械的に固定される。本実施形態では、掛止フック66がインナーパネル4の開口部41の周縁42の内側に引っ掛けられ、掛止具係合穴65に係着される掛止具8の先端フック81がインナーパネル4の開口部41の周縁42の内側に引っ掛けられて掛止固定されている(
図2~
図4参照)。即ち、発泡本体部6をインナーパネル4の開口部41側に引き寄せる力が加わるようにして、発泡本体部6がインナーパネル4の開口部41の周縁42に掛止固定されている。
【0019】
インナーパネル4に掛止固定で機械的に固定されたホールシール材5の外周リップ部7の先端部721は、インナーパネル4の開口部41の外周部43に弾性付勢で押し当てられ、当接状態が維持される。図示例では、略垂直方向に延びる周縁42から外側に向かって車室側に略弧状に湾曲するように傾斜して形成されたインナーパネル4の開口部41の外周部43に、玉縁状の先端部721が弾性付勢で押し当てられて当接状態が維持されている。
【0020】
本実施形態ドアホールシール構造で用いられるホールシール材5を製造する際には、例えば
図5(a)に示すように、外周リップ部7と、立壁部63と、立壁部63で囲まれ且つ立壁部63の高さより厚みが薄い基板に対応する形状の空洞で構成されるキャビティ90を、固定金型91、92と可動金型93とで区画して形成する。発泡性溶融樹脂の成形時には可動金型93は図示の太線二点鎖線矢印の方向に後退するようになっており、立壁部63の形状の空洞における可動金型93の後退する側の面には固定金型92が配置され、立壁部63の形状の空洞の内側面には可動金型93の側面が配置される。
【0021】
次いで、
図5(b)に示すように、図示省略する発泡性溶融樹脂の注入路からキャビティ90に発泡性溶融樹脂MRを注入し、充填する。この発泡性溶融樹脂には自動車用ドア1のホールシール材5に適用可能な適宜の材料を用いることが可能であり、例えばPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)等のオレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)やPC(ポリカーボネート)とABSとの混合樹脂など非晶質樹脂、オレフィン系等の熱可塑エラストマーや、又はEPDM(エチレンプロピエンジエンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)等の合成ゴム等を用いると良好である。尚、本実施形態では、掛止具係合穴65を構成する略U字形部分の形状に対応する隙間911と、掛止フック66の形状に対応する隙間912が固定金型91に設けられており、隙間911、912にも発泡性溶融樹脂MRが充填される。掛止具係合穴65に相当する部位には、固定金型91内で進退自在或いは固定金型91に外付けで着脱自在な金属棒材が設置され、発泡性溶融樹脂MRの注入、充填時には金属棒材で塞がれて、掛止具係合穴65に対応する形状が形成されるようになっている。
【0022】
その後、
図5(c)に示すように、図示の太線矢印の方向に可動金型93をコアバックして発泡性溶融樹脂MRを発泡させ、発泡本体部6と外周リップ部7から構成されるホールシール材5が形成される。この際、本実施形態では、形成されたホールシール材5に、掛止具係合穴65を構成する略U字形部分と、掛止フック66も併せて形成される。
【0023】
本実施形態のドアホールシール構造によれば、インナーパネル4の開口部41の外周部43にはホールシール材5の外周リップ部7の先端部721が弾性付勢で押し当てられ、外周部43と先端部721との間に隙間を生ずることなく常に面圧がかかる状態となり、外部からの振動の加振力を超える圧力で外周リップ部7の先端部721をインナーパネル4の外周部43に押し付けて振動を抑え込み、外力に起因する異音(ビビリ音)或いはがたつきの発生を防止することができる。更に、インナーパネル4の開口部41の周辺において接着された合成樹脂フィルムが振動して異音が発生するようなことが無く、ホールシール材5に起因する異音の発生を防止することもできる。そして、高音域とロードノイズ等の低音域の双方に対して防音効果、遮音効果を発揮することができる。
【0024】
また、本実施形態のドアホールシール構造では、ブチルシール剤を容易に変形する合成樹脂フィルムに塗布してインナーパネルに接着するような作業が不要であることから、製造効率の向上、製造コストの低減を図ることができる。また、外周リップ部7の先端部721をインナーパネル4の開口部41の外周部43に弾性付勢で押し当てて当接状態を維持することにより、ホールシール材5の外周部とインナーパネル4の開口部41の外周部43との接着をせずとも、ホールシール材5の外周部とインナーパネル4の開口部41の外周部43とのシール性、防水性を確保することができる。
【0025】
また、外周リップ部7の先端部721を玉縁状とすることにより、外周リップ部7の先端部721の強度を高め、破損を防止することができる。更に、外周リップ部7の先端部721とインナーパネル4の開口部41の外周部43との当接による接触面積を増加させることができ、この接触面積の増加により、外周リップ部7の先端部721の押付力を増加させ、異音或いはがたつきの発生をより確実に防止することができる。また、この接触面積の増加により、ホールシール材5の外周部とインナーパネル4の開口部41の外周部43とのシール性、防水性をより一層高めることができる。
【0026】
また、未発泡樹脂で構成される未発泡立壁部631と起立壁71と架橋部73で構成される断面視略H形状により、外周リップ部7或いはホールシール材5の外周部の強度を高めることができる。更に、この断面視略H形状により、外周リップ部7の弾力性を高め、外周リップ部7の先端部721がインナーパネル4の開口部41の外周部43に弾性付勢で押し当てられる弾性力、面圧をより高めることができる。従って、より確実に異音の発生防止、シール性や防水性の確保の効果を得ることができる。
【0027】
また、架橋部73を未発泡立壁部631の中央よりもインナーパネル4側に寄った位置に形成することにより、外周リップ部7の弾力性をより一層高め、外周リップ部7の先端部721がインナーパネル4の開口部41の外周部43に弾性付勢で押し当てられる弾性力、面圧をより一層高めることができる。
【0028】
また、発泡本体部6をインナーパネル4の周縁42に掛止固定することにより、ホールシール材5をインナーパネル4に簡単に固定することができる。また、発泡本体部6をインナーパネル4の開口部41側に引き寄せる力が加わるようにして掛止固定することにより、外周リップ部7の先端部721がインナーパネル4の開口部41の外周部43に弾性付勢で押し当てられる弾性力、面圧をより高めることができる。
【0029】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
【0030】
例えば上記実施形態のドアホールシール構造では、発泡本体部6をインナーパネル4に掛止固定する構成としたが、本発明のドアホールシール構造には、掛止固定以外にも、発泡本体部をインナーパネルに機械的に固定する適宜の構成が含まれる。ここで「機械的に固定」とは、例えば掛止固定、ボルト締め、ねじ止め、カシメ固定、圧入固定等の力学的作用による固定を意味し、接着のような化学的固定は含まれない。
【0031】
また、上記実施形態における外周リップ部7の先端部721の形状は玉縁状に形成したが、外周リップ部の先端部の形状を玉縁状以外の形状にしたものも本発明に含まれる。また、本発明における外周リップ部の形状も本発明の趣旨の範囲内で適宜であり、上記実施形態の断面視略H形状に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、自動車用ドアのインナーパネルの開口部を閉塞する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…自動車用ドア 2…アウターパネル 3…ドアトリム 4…インナーパネル 41…開口部 42…周縁 43…外周部 5…ホールシール材 6…発泡本体部 61…発泡コア層 62…スキン層 63…立壁部 631…未発泡立壁部 64…コアバック痕溝 65…掛止具係合穴 66…掛止フック 7…外周リップ部 71…起立壁 72…リップ縁 721…先端部 73…架橋部 8…掛止具 81…先端フック 90…キャビティ 91…固定金型 911、912…隙間 92…固定金型 93…可動金型 MR…発泡性溶融樹脂