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特開2023-129728トリシクロ-DNAヌクレオシド前駆体およびそれを調製するためのプロセス
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  • 特開-トリシクロ-DNAヌクレオシド前駆体およびそれを調製するためのプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129728
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】トリシクロ-DNAヌクレオシド前駆体およびそれを調製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/02 20060101AFI20230907BHJP
   C07H 15/04 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
C07H15/02
C07H15/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124881
(22)【出願日】2023-07-31
(62)【分割の表示】P 2020539237の分割
【原出願日】2019-01-17
(31)【優先権主張番号】62/619,297
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519102277
【氏名又は名称】シンセナ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブラニスラヴ ドゥゴヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】レト ベルトリーニ
(57)【要約】
【課題】トリシクロ-DNAヌクレオシド前駆体およびそれを調製するためのプロセスを提供すること。
【解決手段】本発明は、tc-DNAヌクレオシド前駆体を調製するためのプロセス、得られるtc-DNAヌクレオシド、およびそのようなtc-DNAヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドに関する。本発明の実施形態では、前記プロセスは、カルベン前駆体の使用を含む。一つの実施形態では、本発明は、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)または式(VI)のtc-DNAヌクレオシド前駆体を調製するためのプロセスを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、トリシクロ-デオキシリボ核酸(tc-DNA)ヌクレオシド前駆体化合物、およびオリゴマーのためのビルディングブロックとしてそのような化合物を調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アンチセンス技術は、特異的な遺伝子産物の発現を減少させるための有効な手段であり、したがって、治療、診断および研究の用途において有用であり得る。一般に、アンチセンス技術の背後にある原理は、アンチセンスオリゴマー化合物(ヌクレオチドまたはそのアナログの配列)が標的の核酸にハイブリダイズし、転写および/または翻訳などの遺伝子発現の活性または機能をモジュレートすることである。
【0003】
アンチセンスオリゴマー化合物は、化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドから調製されてもよく、これは、治療方針に応じて、さまざまな異なる構造の変形形態を含み得る。例えば、トリシクロ-デオキシリボ核酸(tc-DNA)は、立体配座的に制限されたDNAアナログである。
【0004】
本分野において、tc-DNA含有アンチセンスオリゴヌクレオチドに基づく治療のためのビルディングブロックとして使用され得るtc-DNAヌクレオシド前駆体のバルク調製を可能にするプロセスについての必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
一つの実施形態では、本発明は、式I、式II、式III、式IV、式Vまたは式VI:
【化1】
のtc-DNAヌクレオシド前駆体を調製するためのプロセスを含み、
式中、Xは、アルコキシであり得;
およびTは、それぞれORであり得、ここで、Rは、Hまたはヒドロキシル保
護基であり、
、q、q、qおよびqは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C2~6アルケニル、置換C2~6アルキニル、および-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され;
およびzは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、O-C2~6アルケニル、O-C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C1~6アルコキシ、置換O-C2~6アルケニルおよび置換O-C2~6アルキニルハロゲンからなる群から選択され得る。
【0006】
一つの実施形態では、本発明は、式VII、式VIIIまたは式IXのtc-DNAヌクレオシド前駆体:
【化2】
を調製するためのプロセスを含む。
【0007】
一つの実施形態では、本発明は、式I~IXのいずれか1つのtc-DNAヌクレオシド前駆体を調製する方法を含み、前記方法は、
a.カルベン調製温度でカルベン前駆体を調製するステップ;
b.シクロプロパン化温度で前記カルベン前駆体に式X、式XIまたは式XIIの化合物:
【化3】
を添加するステップ;および
c.式I~IXのうちの1つの前記tc-DNAヌクレオシド前駆体を提供するステップを含み、式中、Yは、アルコキシであり得;
およびTは、それぞれORであり得、ここで、Rは、Hまたはヒドロキシル保護基であり得、
、qおよびqは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C2~6アルケニル、置換C2~6アルキニル、および-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され得;
およびzは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、O-C2~6アルケニル、O-C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C1~6アルコキシ、置換O-C2~6アルケニルおよび置換O-C2~6アルキニルハロゲ
ンからなる群から選択され得る。
【0008】
一つの実施形態では、本発明は、式I~IXのいずれか1つのtc-DNAヌクレオシド前駆体を調製する方法を含み、前記方法は、
a.カルベン調製温度でカルベン前駆体を調製するステップ;
b.式X、式XIまたは式XIIの化合物:
【化4】
の溶液を調製するステップ;
c.シクロプロパン化温度で前記カルベン前駆体に式X、式XIまたは式XIIの前記化合物の前記溶液を添加するステップ;および
d.式I~IXのうちの1つの前記tc-DNAヌクレオシド前駆体を提供するステップを含み、式中、Yは、アルコキシであり得;
およびTは、それぞれORであり得、ここで、Rは、Hまたはヒドロキシル保護基であり得、
、qおよびqは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C2~6アルケニル、置換C2~6アルキニル、および-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択され得る)からなる群から選択され得;
およびzは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、O-C2~6アルケニル、O-C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C1~6アルコキシ、置換O-C2~6アルケニルおよび置換O-C2~6アルキニルハロゲンからなる群から選択され得る。
【0009】
一つの実施形態では、カルベン前駆体を調製するステップは、ルイス酸触媒(例えば、ZnEt)およびRを溶媒中で合わせることを含んでいてもよい。一部の実施形態では、Rは、CH、CH-C1~6アルキル、CH-C2~6アルケニル、CH-C2~6アルキニル、置換CH-C1~6アルキル、置換CH-C2~6アルケニル、置換CH-C2~6アルキニルおよびCH-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され得る。一部の実施形態では、Rはアルキルである。一部の実施形態では、RはCHである。
【0010】
一部の実施形態では、カルベン前駆体を調製するステップは、ルイス酸触媒(例えば、ZnEt)およびRの混合物にカルベン添加物を添加するステップを含み、ここで、カルベン添加物は、置換または無置換のアルキルアルコール、カルボン酸およびホスフェートからなる群から選択される。
【0011】
一部の実施形態では、カルベン前駆体を調製するステップは、カルベン添加物およびRの混合物にルイス酸触媒(例えば、ZnEt)を添加するステップを含み、カルベン添加物は、置換または無置換のアルキルアルコール、カルボン酸およびホスフェートからなる群から選択される。
【0012】
一部の実施形態では、カルベン前駆体を調製するステップは、ルイス酸触媒(例えば、ZnEt)およびカルベン添加物の混合物にRを添加するステップを含み、カルベン添加物は、置換または無置換のアルキルアルコール、カルボン酸およびホスフェートからなる群から選択される。
【0013】
一部の実施形態では、カルベン前駆体を調製するステップは、カルベン添加物にルイス酸触媒(例えば、ZnEt)およびRを添加するステップを含み、カルベン添加物は、置換または無置換のアルキルアルコール、カルボン酸およびホスフェートからなる群から選択される。
【0014】
一部の実施形態では、カルベン前駆体を調製するステップは、ルイス酸触媒(例えば、ZnEt)、Rおよびカルベン添加物を合わせるステップを含み、カルベン添加物は、置換または無置換のアルキルアルコール、カルボン酸およびホスフェートからなる群から選択される。
【0015】
一部の実施形態では、カルベン添加物は、脂肪族アルコール(例えば、置換もしくは無置換のアルキルアルコール)、芳香族アルコール(例えば、置換もしくは無置換のフェノール)、置換もしくは無置換のカルボン酸(例えば、トリクロロ酢酸)、または置換もしくは無置換のホスフェート(例えば、(アルキル-O)P(O)OHまたは(アリール-O)P(O)OH)であってもよい。一部の実施形態では、カルベン添加物は、式QCCOHの置換カルボン酸であってもよく、ここで、各Qは、独立して、H、Cl、BrおよびFからなる群から選択され得る。一部の実施形態では、カルベン添加物は、式QCCOHの置換カルボン酸であってもよく、ここで、QCは、CCl、CHCl、CHClまたはCFと定義され得る。一部の実施形態では、カルベン添加物は、式QCCHOHの置換アルキルアルコールであってもよく、ここで、各Qは、独立して、H、Cl、BrおよびFからなる群から選択され得る。一部の実施形態では、カルベン添加物は、式QCCHOHの置換カルボン酸であってもよく、ここで、QCは、CCl、CHCl、CHClまたはCFと定義され得る。一部の実施形態では、カルベン添加物は、トリクロロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、トリクロロフェノールまたは(n-BuO)P(O)OHであってもよい。
【0016】
一部の実施形態では、カルベン前駆体は、QCCOZnRI、QCCHOZnRI、(n-BuO)P(O)OZnRI、(アルキル-O)P(O)OZnRI、(アリール-O)P(O)OZnRIまたは2,4,6-ClOZnRIであり、ここで、各Qは、独立して、H、Cl、BrおよびFからなる群から選択され、Rは、CH、CH-C1~6アルキル、CH-C2~6アルケニル、CH-C2~6アルキニル、置換CH-C1~6アルキル、置換CH-C2~6アルケニル、置換CH-C2~6アルキニルおよびCH-(CH-C(O)-R(ここで、nは0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択される。
【0017】
一部の実施形態では、カルベン前駆体は、CClCOZnRI、CFCHOZnRI、(n-BuO)P(O)OZnRIまたは2,4,6-ClOZnRIである。
【0018】
一部の実施形態では、カルベン前駆体は、CClCOZnCHI、CFCHOZnCHI、(n-BuO)P(O)OZnCHIまたは2,4,6-ClOZnCHIである。
【0019】
一つの実施形態では、本発明は、本明細書に記載される方法により調製されるtc-DNAヌクレオシド前駆体を含む。
【0020】
一つの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるtc-DNAヌクレオシド前駆体から調製されるtc-DNAヌクレオシドを含む。
【0021】
一つの実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるtc-DNAヌクレオシドを含むtc-DNA含有オリゴヌクレオチドを含む。
【0022】
本発明の前述の概要および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読んだ場合に、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、D-マンノースからビシクロ糖中間体10への合成経路を説明する。合成経路において使用される試薬および条件は以下の通りである:(a)MeC(OMe)(4.4当量)、TsOH(0.003当量)、50℃、1時間;(b)AcO(2当量)、ピリジン、室温、16時間;(c)64%のAcOH水溶液、55℃、4時間;(d)HC(OMe)(5当量)、還流、1時間;(e)AcO(7.4当量)、130℃、3時間;(f)MeOH、t-BuOK(0.4当量)、室温、D-マンノースから46%;(g)NaH(1.7当量)、DMSO(3当量)、BrCHP(Ph)(2当量)、THF、65℃、4時間、収率60%;(h)グラブスI(0.005当量)、CHCl、室温、16時間、収率97%;(i)10%Pd/C、H、MeOH、室温、16時間、収率97%;および(j)PCC(1.7当量)、CHCl、室温、16時間、収率85%。D-マンノースからの10ステップ全体の収率20%。
【0024】
図2図2は、D-リボースからビシクロ糖中間体10への代替の合成経路を説明する。合成経路において使用される試薬および条件は以下の通りである:(a)Br(1.04当量)、NaHCO(2当量)、HO、0~5℃、粗製物;(b)DMP、アセトン、HSO(触媒量)、Amberlyst、室温、(結晶化、2ステップ全体の収率67%);(c)NaIO(1.05当量)、NaOH(1.1当量)、0℃、BaCl(粗製物、収率78%);(d)iPrOH、PPTS(0.02当量)、還流(クロマトグラフィー、収率63%);(e)LiCH(O)P(OMe)(1.1当量)、THF、-78℃から室温(粗製物、収率およそ60%);および(f)10%Pd/C、H、EtOAc、室温(クロマトグラフィー、収率95%)。D-リボースからの6ステップ全体の収率16%。
【0025】
図3図3は、中間体10からアルコール中間体15への合成経路を説明する。合成経路において使用される試薬および条件は以下の通りである:(a)(EtO)P(O)CHCOEt(1当量)、THF、0℃から室温、収率88%;(b)MCPBA(2.2当量)、CHCl、0から40℃、18時間;(c)LiAlH(1.5当量)、THF、0℃から室温、1時間(クロマトグラフィー、収率86%);(d)IBX、THF/DMSO、室温、2.5時間、収率91%;および(e)MeOH、Amberlite IR-120(H)、室温で16時間、次いで60℃で2時間(クロマトグラフィー、収率77%)。
【0026】
図4図4は、tert-ブチルジメチルシリルエノールエーテル中間体17への合成経路を説明する。合成経路において使用される試薬および条件は以下の通りである:(a)TCCA(0.35当量)、TEMPO(0.007当量)、AcONa(3当量)、CHCl、アセトン、-15から0℃、1時間;および(b)TBDMSCl(1.4当量)、DBU(1.6当量)、KI(0.1当量)、THF、室温、2時間。あるいは、合成経路において使用される試薬および条件は、(a)DMP、CHCl、室温;および(b)(1)LDA、-65℃、次いで(2)TBDMSCl、THF、-65℃から0℃であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の所属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で使用される見出しは、単に便宜上の理由のためであり、本発明の態様および実施形態のいずれかの開示を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書において参照されるすべての特許および刊行物は、それらの全体が参照により組み込まれる。
定義
【0028】
「オリゴマー化合物」という用語は、本明細書で使用される場合、ヌクレオシド間連結基によって連結された好ましくは8個またはそれを超えるモノマーサブユニットを含む化合物を指し、前記8個またはそれを超えるモノマーサブユニットの少なくとも2個は、トリシクロ-デオキシリボ核酸(tc-DNA)ヌクレオシドである。
【0029】
「モノマーサブユニット」という用語は、本明細書で使用される場合、α-D-リボヌクレオシド、β-D-リボヌクレオシド、α-D-2’-デオキシリボヌクレオシド、β-D-2’-デオキシリボヌクレオシド、天然に存在するヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、ここでは、特に、トリシクロ-デオキシリボ核酸(tc-DNA)ヌクレオシドおよび2’-修飾リボ核酸(2’-修飾-RNA)ヌクレオシド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオシド、ペプチド核酸(PNA)ヌクレオシド、2’-デオキシ2’-フルオロ-アラビノヌクレオシド、ヘキシトール核酸(HNA)ヌクレオシド;ならびにホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)ヌクレオシド、ヌクレオシドのミメティック、天然に存在するヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、ここでは、特に、トリシクロ-デオキシリボ核酸(tc-DNA)ヌクレオチドおよび2’-修飾リボ核酸(2’-修飾-RNA)ヌクレオチド、およびヌクレオチドのミメティックなどのモノマーサブユニットを含み、典型的かつ好ましくは、これらを指す、オリゴマー合成に適したすべての様式のモノマーユニットを含むことを意味する。典型的かつ好ましくは、「モノマーサブユニット」という用語は、本明細書で使用される場合、天然に存在するヌクレオシドおよび修飾ヌクレオシドを指し、ここでは、特に、リボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド、トリシクロ-デオキシリボ核酸(tc-DNA)ヌクレオシド、2’-修飾リボ核酸(2’-修飾-RNA)ヌクレオシド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオシド、ペプチド核酸(PNA)ヌクレオシド、2’-デオキシ2’-フルオロ-アラビノヌクレオシド、ヘキシトール核酸(HNA)ヌクレオシドおよびホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)ヌクレオシドを指し、ならびに天然に存在するヌクレオチドおよび修飾ヌクレオチドを指し、ここでは、特に、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、トリシクロ-デオキシリボ核酸(tc-DNA)ヌクレオチド、2’-修飾リボ核酸(2’-修飾-RNA)ヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)ヌクレオチド、2’-デオキシ2’-フルオロ-アラビノヌクレオチド、ヘキシトール核酸(HNA)ヌクレオチドおよびホスホロジアミデートモルホリノ(PMO)ヌクレオチドを指す。さらに好ましくは、「モノマーサブユニット」という用語は、本明細書で使用される場合、修飾ヌクレオチドを指し、ここでは、特に、トリシクロ-デオキシリボ核酸(tc-DNA)ヌクレオチドおよび2’-修飾リボ核酸(2’-修飾-RNA)ヌクレオチドを指す。
【0030】
「アルキルホスフェート部分」という用語は、本明細書で使用される場合、C3~32
アルキル-O-P(O)(OH)-O-の基を指し、前記C3~32アルキルは、独立して、本明細書において定義されるC3~32アルキルから選択される。
【0031】
「アルキルホスホネート部分」という用語は、本明細書で使用される場合、C1~32アルキル-O-P(O)-O-の基を指し、前記C1~32アルキルは、独立して、本明細書において定義されるC1~32アルキルから選択される。
【0032】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、不飽和を含有せず、1~32個の炭素原子を有する、炭素原子および水素原子のみからなる直鎖または分枝鎖の炭化水素ラジカルを指し(例えば、(C1~32)アルキルまたはC1~32アルキル)、これは、単結合によって分子の残部に結合していてもよく、または典型的には、結合する。本明細書に出現するときはいつでも、「1~32」などの数値範囲は、所与の範囲内のそれぞれの整数を指す。例えば、「1~32個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などからなり、最大で32個の炭素原子を含み得ることを意味するが、この定義は、数値範囲が具体的に指定されていない「アルキル」という用語の存在を網羅することも意図する。典型的なアルキル基としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピルと互換可能に使用される;本明細書においてiPrまたはPriとして、互換可能に略される)、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル(1,1-ジメチルエチルまたはtert-ブチルと互換可能に使用される)、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、セプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられる。本明細書において特に他に明記されない限り、アルキル基は、独立して、アルケニル、アルコキシ、カルボキシ基(-COOH)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヒドロキシル、ホスフェート基(-OP(O)(OH)O-)、ホスホネート基(-OP(O)O-)、ハロゲン、好ましくは、ヨウ素、またはカルボキシ基で必要に応じて置換されているフェニル基(-C)である、1個またはそれより多くの置換基によって必要に応じて置換されている。好ましくは、「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義される無置換アルキルを指す。
【0033】
「アルキレン」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義されるアルキルに由来する、直鎖または分枝鎖の炭化水素のビラジカルを指し、前記アルキルの1個の水素が切断されて、前記アルキレンの2番目のラジカルが生成する。アルキレンの例は、実例として、-CH-、-CH-CH-、-CH(CH)-、-CH-CH-CH-、-CH(CH)-CH-または-CH(CHCH)-である。
【0034】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの二重結合を含有し、2~32個の炭素原子を有する、炭素原子および水素原子のみからなる直鎖または分枝鎖の炭化水素ラジカル基を指し(すなわち、(C2~32)アルケニルまたはC2~32アルケニル)、これは、単結合によって分子の残部に結合していてもよく、または典型的には、結合する。本明細書に出現するときはいつでも、「2~32」などの数値範囲は、所与の範囲内のそれぞれの整数を指し、例えば、「2~32個の炭素原子」は、アルケニル基が、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子などからなり、最大で32個の炭素原子を含み得ることを意味する。典型的なアルケニル基としては、限定されるものではないが、エテニル(すなわち、ビニル)、プロパ-1-エニル(すなわち、アリル)、ブタ-1-エニル、ペンタ-1-エニルおよびペンタ-1,4-ジエニルが挙げられる。適用可能な場合、例えば置換されている場合はいつでも、それぞれの二重結合は、(E)-または(Z)-配置のいずれかであり得る。したがって、アルケニルは、該当する場合、前記二重結合のそれぞれは、その(E)-配置、その(Z)-配置、および任意の比率でのそれらの混合物のいずれかを含み得る。本明細書において特に他に明記さ
れない限り、アルケニル基は、独立して、アルケニル、アルコキシ、カルボキシ基(-COOH)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヒドロキシル、ホスフェート基(-OP(O)(OH)O-)、ホスホネート基(-OP(O)O-)、ハロゲン、好ましくは、ヨウ素、またはカルボキシ基で必要に応じて置換されているフェニル基(-C)である、1個またはそれより多くの置換基によって必要に応じて置換されている。好ましくは、「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義される無置換アルケニルを指す。
【0035】
「アルケニレン」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義されるアルケニルに由来する、直鎖または分枝鎖の炭化水素のビラジカルを指し、前記アルケニルの1個の水素が切断されて、前記アルケニレンの2番目のラジカルが生成する。
【0036】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含有し、2~10個の炭素原子を有する、炭素原子および水素原子のみからなる直鎖または分枝鎖の炭化水素ラジカル基を指す(すなわち、(C2~32)アルキニルまたはC2~32アルキニル)。本明細書に出現するときはいつでも、「2~32」などの数値範囲は、所与の範囲内のそれぞれの整数を指し、例えば、「2~32個の炭素原子」は、アルキニル基が、2個の炭素原子、3個の炭素原子などからなり、最大で32個の炭素原子を含み得ることを意味する。典型的なアルキニル基としては、限定されるものではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられる。本明細書において特に他に明記されない限り、アルキニル基は、独立して、アルケニル、カルボキシ基(-COOH)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ホスフェート基(-OP(O)(OH)O-)、ホスホネート基(-OP(O)O-)、ハロゲン、好ましくは、ヨウ素、またはカルボキシ基で必要に応じて置換されているフェニル基(-C)である、1個またはそれより多くの置換基によって必要に応じて置換されている。好ましくは、「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義される無置換アルキニルを指す。
【0037】
「アルキニレン」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義されるアルキニルに由来する、直鎖または分枝鎖の炭化水素のビラジカルを指し、前記アルキニルの1個の水素が切断されて、前記アルキニレンの2番目のラジカルが生成する。
【0038】
「アルコキシ」という用語は、酸素を通じて親構造に結合した、1~32個の炭素原子の、直鎖、分枝配置およびこれらの組合せを含む、-O-アルキルの基を指す。例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシおよびシクロヘキシルオキシが挙げられる。「低級アルコキシ」は、1~6個の炭素を含有するアルコキシ基を指し、また、(C1~6)アルコキシまたはO-C1~6アルキルとも称される。
【0039】
「置換アルコキシ」という用語は、アルキルの構成要素が置換されているアルコキシ(すなわち、-O-(置換アルキル))を指す。本明細書において特に他に明記されない限り、アルコキシ基のアルキル部分は、独立して、アルケニル、カルボキシ基(-COOH)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ホスフェート基(-OP(O)(OH)O-)、ホスホネート基(-OP(O)O-)、ハロゲン、好ましくは、ヨウ素、またはカルボキシ基で必要に応じて置換されているフェニル基(-C)である、1個またはそれより多くの置換基によって必要に応じて置換されている。
【0040】
「アシル」という用語は、(アルキル)-C(O)-、(アリール)-C(O)-、(ヘテロアリール)-C(O)-および(ヘテロアルキル)-C(O)-の基を指し、この基は、カルボニル官能基を通じて親構造に結合している。本明細書において特に他に明記されない限り、アシル基のアルキル、アリールまたはヘテロアリール部分は、独立して、
アルケニル、カルボキシ基(-COOH)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ホスフェート基(-OP(O)(OH)O-)、ホスホネート基(-OP(O)O-)、ハロゲン、好ましくは、ヨウ素、またはカルボキシ基で必要に応じて置換されているフェニル基(-C)である、1個またはそれより多くの置換基によって必要に応じて置換されている。
【0041】
本明細書において特に他に明記されない限り、「アミノ」または「アミン」という用語は、-N(Rラジカル基を指し、各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。-N(R基が水素以外に2個のR置換基を有する場合、これらは、窒素原子と組み合わされて、4員環、5員環、6員環または7員環を形成することができる。例えば、-N(Rは、限定されるものではないが、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意図する。本明細書において特に他に明記されない限り、アミノ基またはアミン基は、独立して、アルケニル、カルボキシ基(-COOH)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ホスフェート基(-OP(O)(OH)O-)、ホスホネート基(-OP(O)O-)、ハロゲン、好ましくは、ヨウ素、またはカルボキシ基で必要に応じて置換されているフェニル基(-C)である、1個またはそれより多くの置換基によって必要に応じて置換されている。
【0042】
「芳香族」または「アリール」または「Ar」という用語は、炭素環式の(例えば、フェニル、フルオレニルおよびナフチル)、共役パイ電子系を有する少なくとも1つの環を有する、6~10個の環原子を有する芳香族ラジカル(例えば、C~C10芳香族またはC~C10アリール)を指す。置換ベンゼン誘導体から形成され、環原子に自由原子価を有する二価のラジカルは、置換フェニレンラジカルと命名される。自由原子価の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって末尾が「-イル」と命名される、一価の多環式の炭化水素ラジカルに由来する二価のラジカルは、対応する一価のラジカルの名称に「-イデン(idene)」を付加することによって命名され、例えば、2個の結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと称される。本明細書に出現するときはいつでも、「6~10」などの数値範囲は、所与の範囲内のそれぞれの整数を指し、例えば、「6~10個の環原子」は、アリール基が、6個の環原子、7個の環原子などからなり、最大で10個の環原子を含み得ることを意味する。この用語は、単環式または縮合環の多環式(すなわち、環原子の隣接するペアを共有する環)の基を含む。
【0043】
「アラルキル」または「アリールアルキル」という用語は、アリールおよびアルキルが本明細書に開示され、アリールおよびアルキルのそれぞれについての適切な置換基として記載された1個またはそれより多くの置換基によって必要に応じて置換されている、(アリール)アルキル-ラジカルを指す。
【0044】
「カルボキシル」または「カルボキシ(carboxylic)」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、-(C=O)OHラジカルを指す。
【0045】
「シクロアルキル」という用語は、炭素および水素のみを含有し、飽和または部分的に不飽和であり得る、単環式または多環式のラジカルを指す。シクロアルキル基は、3~10個の環原子を有する基(すなわち、(C3~10)シクロアルキルまたはC3~10シクロアルキル)を含む。本明細書に出現するときはいつでも、「3~10」などの数値範囲は、所与の範囲内のそれぞれの整数を指し、例えば、「3~10個の炭素原子」は、シクロアルキル基が、3個の炭素原子などからなり、最大で10個の炭素原子を含み得ることを意味する。シクロアルキル基の実例としては、限定されるものではないが、以下の部分:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシ
ル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニルなどが挙げられる。
【0046】
「フルオロアルキル」という用語は、上記に定義される1個またはそれより多くのフルオロラジカルによって置換された、上記に定義されるアルキルラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどを指す。フルオロアルキルラジカルのアルキル部は、アルキル基について上記に定義されたように、必要に応じて置換され得る。
【0047】
「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、好ましくは、ヨウ素を指す。好ましい実施形態では、ハロゲン置換基はヨウ素である。
【0048】
「ヘテロアルキル」および「ヘテロアルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リンまたはこれらの組合せから選択される1個またはそれより多くの骨格鎖原子を有する必要に応じて置換されているアルキルおよびアルケニルラジカルを指す。合計の鎖長を指す、数値範囲が与えられてもよく、例えば、C~Cヘテロアルキルは、この例では4個の原子長である。
【0049】
「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」または「HetAr」という用語は、窒素、酸素および硫黄から選択される1個またはそれより多くの環ヘテロ原子を含む、5~18員芳香族ラジカル(例えば、C~C13ヘテロアリール)を指し、これは、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であってもよい。本明細書に出現するときはいつでも、「5~18」などの数値範囲は、所与の範囲内のそれぞれの整数を指し、例えば、「5~18個の環原子」は、ヘテロアリール基が、5個の環原子、6個の環原子などからなり、最大で18個の環原子を含み得ることを意味する。自由原子価の原子からの1個の水素原子の除去によって末尾が「-イル」と命名される、一価のヘテロアリールラジカルに由来する二価のラジカルは、対応する一価のラジカルの名称に「-イデン(idene)」を付加することによって命名され、例えば、2個の結合点を有するピリジル基は、ピリジリデンである。
【0050】
「立体異性体」という用語は、同一の化学構成を有するが、空間における原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
【0051】
「ジアステレオマー」は、化合物が互いに鏡像ではない、2個またはそれよりも多くの不斉中心(centers of chirality)を有する立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性、ならびに化学的および生物学的反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動およびクロマトグラフィーなどの高分解能の分析手順下で分離され得る。
【0052】
「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0053】
本明細書において使用される立体化学の定義および慣習は、一般に、S.P. Parker編、McRaw-Hiff Dictionary of Chemical Terms(1984年)、McGraw-Hill Book Company、New York;ならびにEliel, E.およびWilen, S.、「Stereochemistry of Organic Compounds」、John Wiley & Sons, Inc.、New York、1994年に従う。
【0054】
化学式中の()、(#)および(§)の記号は、i)結合点、ii)ラジカル、および/またはiii)非共有電子を指定する。
【0055】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)」という用語は、本明細書で使用される場合、相補的ヌクレオチド配列を有するプレmRNAまたはmRNAと相互作用および/またはハイブリダイズすることによって遺伝子発現を改変する能力がある、オリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物を指す。
【0056】
「保護基」という用語は、本明細書で使用される場合、化学反応を別の未保護の反応部位で選択的に行うことができるように、多官能性化合物の1つまたはそれより多くの反応部位を選択的にブロックし、次いで、その基を、選択的反応が完了した後に容易に除去または脱保護することができる基を意味することを意図する。さまざまな保護基は、例えば、Protecting Groups in Organic Synthesis、T. W. Greeneおよび P. G. M. Wuts、第3版、John Wiley & Sons、New York、1999年に開示されている。
【0057】
本明細書において互換可能に使用される「アミノのための保護基」、「アミノ基のための保護基」または「アミノ保護基」という用語は、当技術分野において周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP. G. M. Wuts、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999年)、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis、P. G. M. Wuts、第5版、John Wiley & Sons(20
14年)ならびにCurrent Protocols in Nucleic Acid Chemistry、S. L. Beaucageら編、2012年6月、ここでは特に第2章に詳細に記載されているものを含む。本発明のための適切な「アミノ保護基」としては、メチルカルバメート、エチルカルバメート、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9-(2-スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、2,7-ジ-t-ブチル-[9-(10,10-ジオキソ-10,10,10,10-テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD-Tmoc)、4-メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2-フェニルエチルカルバメート(hZ)、1,1-ジメチル-2,2-ジブロモエチルカルバメート(DB-t-BOC)、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、ベンジルカルバメート(Cbz)、p-メトキシベンジルカルバメート(Moz)および2,4,6-トリメチルベンジルカルバメート、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMTr);ならびにホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミドが挙げられ、典型的かつ好ましくは、独立して、出現する毎に、これらから選択される。
【0058】
本明細書において互換可能に使用される「ヒドロキシルのための保護基」、「ヒドロキシル基のための保護基」または「ヒドロキシル保護基」という用語は、当技術分野において周知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis、T. W. GreeneおよびP.
G. M. Wuts、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999年);Greene's
Protective Groups in Organic Synthesis、P. G. M. Wuts、第5版、John Wiley & Sons(2014年)ならびにCurrent Protocols in Nucleic Acid Chemistry、S. L. Beaucageら編、2012年6月、ここでは特に第2章に詳細に記載されているものを含む。ある特定の実施形態では、本発明の「ヒドロキシル保護基」としては、アセチル、ベンゾイル、ベンジル、β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル、[ビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル](DMTr)、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル](MMT)、p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(THF)、トリチル(トリフェニルメチル、Tr)、t-ブチルジフェニルシリルエーテル(TBDPS)、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)およびトリイソプ
ロピルシリル(TIPS)エーテルなどのシリルエーテル;メチルエーテル、エトキシエチルエーテル(EE)が挙げられ、典型的かつ好ましくは、独立して、出現する毎に、これらから選択される。
【0059】
本発明の「ヒドロキシル保護基」の好ましい例としては、アセチル、t-ブチル、t-ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエチル、p-クロロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、ベンゾイル、p-フェニルベンゾイル、2,6-ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p-ニトロベンジル、トリフェニルメチル(トリチル)、4,4’-ジメトキシトリチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、ベンゾイルホルメート、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、9-フルオレニルメチルカーボネート、メシレート、トシレート、トリフレート、4-モノメトキシトリチル(MMTr)、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)および4,4’,4’’-トリメトキシトリチル(TMTr)、2-シアノエチル(CEまたはCne)、2-(トリメチルシリル)エチル(TSE)、2-(2-ニトロフェニル)エチル、2-(4-シアノフェニル)エチル、2-(4-ニトロフェニル)エチル(NPE)、2-(4-ニトロフェニルスルホニル)エチル、3,5-ジクロロフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2-(2-ニトロフェニル)エチル、ブチルチオカルボニル、4,4’,4’’-トリス(ベンゾイルオキシ)トリチル、ジフェニルカルバモイル、レブリニル、2-(ジブロモメチル)ベンゾイル(Dbmb)、2-(イソプロピルチオメトキシメチル)ベンゾイル(Ptmt)、9-フェニルキサンテン-9-イル(ピキシル(pixyl))または9-(p-メトキシフェニル)
キサンチン-9-イル(MOX)が挙げられ、独立して、出現する毎に、これらから選択される。
【0060】
「核酸塩基」という用語は、本明細書で使用される場合、Bxと略され、修飾されていないか、または天然に存在する核酸塩基だけでなく、修飾されたか、または天然に存在しない核酸塩基、およびこれらの合成ミメティックを指す。核酸塩基は、核酸の複素環式塩基に水素結合する能力がある、1個またはそれより多くの原子または原子の群を含有する、任意の複素環式塩基である。
【0061】
典型的かつ好ましい核酸塩基の例は、プリン塩基またはピリミジン塩基であり、好ましくは、前記プリン塩基は、プリンまたは置換プリンであり、前記ピリミジン塩基は、ピリミジンまたは置換ピリミジンである。より好ましくは、核酸塩基は、(i)アデニン(A)、(ii)シトシン(C)、(iii)5-メチルシトシン(MeC)、(iv)グアニン(G)、(v)ウラシル(U)、もしくは(vi)5-メチルウラシル(MeU)、または(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)もしくは(vi)の誘導体である。「(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)または(vi)の誘導体」および「核酸塩基誘導体」という用語は、本明細書において互換可能に使用される。(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)または(vi)の誘導体および核酸塩基誘導体は、それぞれ、当業者に公知であり、例えば、Sharma V. K.ら、Med. Chem. Commun.、2014年、5巻、1454~1471頁に記載されており、限定されるものではないが、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチルアデニン、2-プロピルアデニンなどのアルキルアデニン、6-メチルグアニン、2-プロピルグアニンなどのアルキルグアニン、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシル、5-ハロシトシン、5-プロピニル(-C=C-CH)ウラシル、5-プロピニル(-C=C-CH)シトシンなどのアルキニルピリミジン塩基、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、シュード
ウラシル(pseudo-uracil)、4-チオウラシル;8-ハロ-、8-アミノ-、8-チオ
ール-、8-チオアルキル-、8-ヒドロキシル-アデニンまたはグアニンなどの8-置換プリン塩基、5-ハロ-、特に、5-ブロモ-、5-トリフルオロメチル-ウラシルまたは-シトシンなどの5-置換ピリミジン塩基;7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノ-アデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン、疎水性塩基、無差別塩基(promiscuous base)、サイズ拡張塩基、またはフッ化塩
基が挙げられる。ある特定の実施形態では、核酸塩基としては、限定されるものではないが、1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン、1,3-ジアザフェノチアジン-2-オンまたは9-(2-アミノエトキシ)-1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン(G-clamp)などの三環式ピリミジンが挙げられる。「核酸塩基誘導体」という用語はまた、プリン塩基またはピリミジン塩基が、他の複素環、例えば、7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジンまたは2-ピリドンによって置き換えられたものも含む。本発明のさらなる核酸塩基としては、限定されるものではないが、当業者に公知のもの(例えば、米国特許第3,687,808号:Swayzeら、The Medicinal Chemistry of Oligonucleotides, in Antisense a Drug Technology、第6章、143~182頁(Crooke, S.T.編、2008年);The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering、Kroschwitz, J.I.編、John Wiley & Sons、1990年、858~859頁;Englischら、Angewandte Chemie, International Edition、1991年、30巻(6号)、613~623頁;Sanghvi, Y.S.、Antisense Research and Applications、Crooke, S.T.およびLebleu, B.編、CRC Press、1993
年、273~302頁)が挙げられる。「核酸塩基誘導体」という用語はまた、プリン塩基またはピリミジン塩基が、本発明のスペーサーに相当する部分、特に、前記オリゴマー化合物、好ましくは、前記オリゴヌクレオチドの内部の前記1つまたはそれより多くの脂質部分を連結するための部分で置換されたものを含む。スペーサーに相当する前記部分の特定の連結は、当業者に公知である。好ましい核酸塩基誘導体としては、メチル化された、アデニン、グアニン、ウラシルおよびシトシン、ならびに核酸塩基誘導体、好ましくは、(i)、(ii)、(iii)または(iv)の核酸塩基誘導体が挙げられ、それぞれのアミノ基、好ましくは、環外のアミノ基は、アシル保護基またはジアルキルホルムアミジノ、好ましくは、ジメチルホルムアミジノ(DMF)によって保護され、2-フルオロウラシル、2-フルオロシトシン、5-ブロモウラシル、5-ヨードウラシル、2,6-ジアミノプリン、アザシトシンなどの核酸塩基誘導体、ならびにシュードイソシトシンおよびシュードウラシルなどのピリミジンアナログがさらに挙げられる。修飾核酸塩基の調製は、当技術分野において公知であり、米国特許第3,687,808号;米国特許第4,845,205号;米国特許第5,130,302号;米国特許第5,134,066号;米国特許第5,175,273号;米国特許第5,367,066号;米国特許第5,432,272号;米国特許第5,457,187号;米国特許第5,459,255号;米国特許第5,484,908号;米国特許第5,502,177号;米国特許第5,525,711号;米国特許第5,552,540号;米国特許第5,587,469号;米国特許第5,594,121号;米国特許第5,596,091号;米国特許第5,614,617号;米国特許第5,645,985号;米国特許第5,750,692号;米国特許第5,830,653号;米国特許第5,763,588号;米国特許第6,005,096号;および米国特許第5,681,941号に記載されている。
【0062】
「ヌクレオシド間連結基」という用語は、本明細書で使用される場合、連結、好ましくは、前記トリシクロ-デオキシリボ核酸(tc-DNA)ヌクレオシドが、さらなるtc-DNAヌクレオシド、tc-DNAヌクレオシド以外のヌクレオシド、ペプチド、タンパク質を含む非ヌクレオシドのいずれかとさらに連結することが可能な、当技術分野において公知の任意の連結基を指す。このような可能な連結基を教示する代表的な特許は、限定されるものではないが、米国特許第5,034,506号;米国特許第5,166,3
15号;米国特許第5,185,444号;米国特許第5,214,134号;米国特許第5,216,141号;米国特許第5,235,033号;米国特許第5,264,562号;米国特許第5,264,564号;米国特許第5,405,938号;米国特許第5,434,257号;米国特許第5,466,677号;米国特許第5,470,967号;米国特許第5,489,677号;米国特許第5,541,307号;米国特許第5,561,225号;米国特許第5,596,086号;米国特許第5,602,240号;米国特許第5,608,046号;米国特許第5,610,289号;米国特許第5,618,704号;米国特許第5,623,070号;米国特許第5,663,312号;米国特許第5,633,360号;米国特許第5,677,437号;米国特許第5,677,439号;米国特許第5,646,269号および米国特許第5,792,608号である。したがって、「ヌクレオシド間連結基」という用語は、リン連結基および非リン連結基を含む。非リン連結基は、リン原子を含有せず、非リン連結基の例としては、それぞれ互いに独立して、シアノ、ニトロ、ハロゲンで必要に応じて置換されている、アルキル、アリール、好ましくは、フェニル、ベンジルまたはベンゾイル、シクロアルキル、アルキレンアリール、アルキレンジアリール、アルコキシ、アルコキシアルキレン、アルキルスルホニル、アルキン、エーテル;カルボキシル、アミド、アミン、アミノ、イミン、チオール、スルフィド、スルホキシド、スルホン、スルファメート、スルホネート、スルホンアミド、シロキサンまたはこれらの混合物が挙げられ、典型的かつ好ましくは、これらから選択される。典型的かつ好ましくは、前記ヌクレオシド間連結基は、リン連結基であり、前記リン連結基は、PIIIまたはPの原子価状態のリン原子を含む部分を指す。さらに好ましくは、前記ヌクレオシド間連結基は、リン連結基である。再びさらに好ましくは、前記ヌクレオシド間連結基は、ホスホジエステル連結基、ホスホトリエステル連結基、ホスホロチオエート連結基、ホスホロジチオエート連結基、ホスホネート連結基、好ましくは、H-ホスホネート連結基またはメチルホスホネート連結基;ホスホノチオエート連結基、好ましくは、H-ホスホノチオエート連結基、メチルホスホノチオエート連結基;ホスフィネート連結基、ホスホルチオアミデート連結、ホスホルアミデート連結基またはホスファイト連結基から選択される。別の非常に好ましい実施形態では、前記ヌクレオシド間連結基は、ホスホジエステル連結基、ホスホトリエステル連結基、ホスホロチオエート連結基またはホスホネート連結基から選択され、ホスホネートは、好ましくは、H-ホスホネート連結基またはメチルホスホネート連結基である。
【0063】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオシド」という用語は、前記核酸塩基と共有結合によって連結している、核酸塩基および糖を含む化合物を指す。さらに、「ヌクレオシド」という用語は、天然または化学的オリゴマー合成を使用してオリゴマーに組み込むことができる、天然に存在するヌクレオシドもしくは修飾ヌクレオシド、またはヌクレオシドミメティックのすべての様式を含むことを意味する。典型的かつ好ましくは、「ヌクレオシド」という用語は、本明細書で使用される場合、天然に存在するヌクレオシド、修飾ヌクレオシドまたはヌクレオシドミメティックを指す。「修飾ヌクレオシド」という用語は、当業者に公知の、本明細書に記載されるヌクレオシドの糖および/または核酸塩基に行われる修飾を含むことを意図する。「ヌクレオシドミメティック」という用語は、糖および核酸塩基を置き換えるために使用されるそれらの構造を含むことを意図する。ヌクレオシドミメティックの例としては、核酸塩基がフェノキサジン部分(例えば、9-(2-アミノエトキシ)-1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン基)で置き換えられ、糖部分がシクロヘキセニルまたはビシクロ[3.1.0]ヘキシル部分で置き換えられたヌクレオシドが挙げられる。「ヌクレオシド」という用語はまた、修飾の組合せ、例えば、2以上の核酸塩基の修飾、2以上の糖の修飾、または少なくとも1つの核酸塩基および少なくとも1つの糖の修飾を含む。
【0064】
ヌクレオシドの糖としては、限定されるものではないが、単環式、二環式または三環式の環系、好ましくは、三環式もしくは二環式の系、または単環式のリボースもしくはデオ
キシリボース(de(s)oxyribose)が挙げられる。糖の修飾としては、限定されるものではないが、修飾された立体化学配置、少なくとも1つの基の置換、または少なくとも1つの基の欠失がさらに挙げられる。修飾された糖は、典型的かつ好ましくは、RNAおよびDNA中に天然に存在するリボシル部分(すなわち、フラノシル部分)の修飾バージョン、例えば、二環式糖、テトラヒドロピラン、2’-修飾糖、3’-修飾糖、4’-修飾糖、5’-修飾糖または4’-置換糖である。適切な糖修飾の例は、当業者に公知であり、限定されるものではないが、2’、3’および/または4’置換ヌクレオシド(例えば、4’-S-修飾ヌクレオシド);2’-O-アルキルまたは2’-O-(置換)アルキル、例えば、2’-O-メチル,2’-O-(2-シアノエチル)、2’-O-(2-メトキシ)エチル(2’-MOE)、2’-O-(2-チオメチル)エチルなどの2’-O-修飾RNAヌクレオチド残基;2’-O-(ハロアルコキシ)メチル、例えば、2’-O-(2-クロロエトキシ)メチル(MCEM)、2’-O-(2,2-ジクロロエトキシ)メチル(DCEM);2’-O-アルコキシカルボニル、例えば、2’-O-[2-(メトキシカルボニル)エチル](MOCE)、2’-O-[2-(N-メチルカルバモイル)エチル](MCE)、2’-O-[2-(N,N-ジメチルカルバモイル))エチル](DMCE)、特に、2’-O-メチル修飾または2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE);あるいはモルホリノ(PMO)、カチオン性モルホリノ(PMOPlus)などの他の修飾糖部分、またはPMO-Xなどの修飾モルホリノ基が挙げられる。「PMO-X」という用語は、3’-蛍光タグ、3’クエンチャー(例えば、3’-カルボキシフルオレセイン、3’-Gene Tools Blue、3’-リサミン、3’-ダブシル)のような少なくとも1つの3’または5’末端修飾、3’-親和性タグおよび化学連結のための官能基(例えば、3’-ビオチン、3’-第1級アミン、3’-ジスルフィドアミド、3’-ピリジルジチオ)、5’末端修飾(5’-第1級アミン、5’-ダブシル)、3’-アジド、3’-アルキン、5’-アジド、5’-アルキン、あるいは国際公開第2011/150408号および米国特許出願公開第2012/0065169号に開示されたものを含む、修飾モルホリノ基を指す。
【0065】
「二環式糖部分」は、2個の相互接続された環系、例えば、糖部分が、2’-O-CH(アルキル)-4’または2’-O-CH2-4’基、ロックド核酸(LNA)、キシロ-LNA、アルファ-L-LNA、ベータ-D-LNA、cEt(2’-O,4’-C拘束エチル)LNA、cMOEt(2’-O,4’-C拘束メトキシエチル)LNA、エチレン架橋核酸(ENA)、ヘキシトール核酸(HNA)、フッ化HNA(F-HNA)、ピラノシル-RNA(p-RNA)または3’-デオキシピラノシル-DNA(p-DNA)を有する二環式ヌクレオシドを含む。
【0066】
好ましい実施形態では、オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドである。「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、ヌクレオシド間連結基によってそれぞれ互いに連結された少なくとも2個のヌクレオシドを含む化合物を指す。したがって、「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、ヌクレオシド間連結基によって連結された少なくとも2個のヌクレオシドを含むオリゴマー化合物を含み、典型的かつ好ましくは、これらを指し、前記少なくとも2個のヌクレオシドは、独立して、天然に存在するヌクレオシド、修飾ヌクレオシドまたはヌクレオシドミメティックから選択される。
【0067】
オリゴマー化合物は、一本鎖または二本鎖であり得る。一実施形態では、オリゴマー化合物は、二本鎖(すなわち、二重鎖)である。好ましい実施形態では、オリゴマー化合物は、一本鎖である。
【0068】
「’末端」という用語は、オリゴマー化合物の末端(end)または末端(terminus)を指し、整数(3’、5など)は、オリゴマー化合物のヌクレオシドに含まれる
糖の炭素原子を示す。「5’末端基」または「3’末端基」という用語は、本明細書で使用される場合、それぞれ、5’末端または3’末端に位置する基を指す。
【0069】
本明細書において互換可能に使用される「天然」または「天然に存在する」という用語は、天然起源である化合物を指す。
【0070】
「相補的」という用語は、相補的なヌクレオシドまたはヌクレオチドの間の従来のワトソン・クリック塩基対形成または他の非伝統的な種類の対形成(例えば、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン水素結合)のいずれかによって、別の核酸分子と水素結合(複数可)を形成することができる核酸分子を指す。「相補的」(または「特異的にハイブリダイズ可能な」)は、オリゴマー化合物およびプレmRNAまたはmRNA標的の間に安定で特異的な結合が生じるような、十分な程度の相補性または正確な対形成を示す用語である。核酸分子は、特異的にハイブリダイズ可能な標的の核酸配列と100%の相補性を必要としないことは、当技術分野において理解されている。すなわち、2つまたはそれよりも多くの核酸分子は、完全に相補的でなくてよい。相補性は、第2の核酸分子と水素結合を形成することができる核酸分子中の連続した残基のパーセンテージによって示され得る。例えば、第1の核酸分子が、10個のヌクレオチドを有し、第2の核酸分子が、10個のヌクレオチドを有する場合、したがって、第1および第2の核酸分子の間の5、6、7、8、9または10個のヌクレオチドの塩基の対形成は、それぞれ、50%、60%、70%、80%、90%および100%の相補性を表す。「完璧に」または「完全に」相補的な核酸分子とは、第1の核酸分子中のすべての連続した残基が、第2の核酸分子中の同じ数の連続した残基と水素結合するものを意味し、いずれかの核酸分子の両方が、同じ数のヌクレオチドを有するか(すなわち、同じ長さを有する)、2つの分子は異なる長さを有する。
【0071】
「エクソンスキッピング」という用語は、1つまたはそれより多くの相補的アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー化合物を有するプレmRNA内のスプライスドナー部位および/またはスプライスアクセプター部位の標的化による、プレmRNAスプライシングの改変を指す。1つまたはそれより多くのスプライスドナー部位もしくはスプライスアクセプター部位、またはスプライシングの定義に関与するエクソンもしくはイントロン内の任意の他の部位へのスプライソソームのアクセスをブロックすることによって、オリゴヌクレオチドは、スプライシング反応を防ぐことができ、完全にプロセシングされたmRNAからのエクソンの欠失を引き起こすことができる。エクソンスキッピングは、プレmRNAの成熟プロセスの間に、核中で達成される。エクソンスキッピングは、プレmRNA内のスプライスドナー配列に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用することによって、標的のエクソンのスプライシングに関与する重要な配列のマスキングを含む。例えば、本明細書において提供される前記オリゴマー化合物を含む本発明の組成物は、ジストロフィンのプレmRNA内のイントロン/エクソンの接合部でスプライス部位をマスキングすることにより、エクソンスキッピングのために適切に用いられ得、それによって、成熟mRNAへのプレmRNAのプロセシングの間に変異体エクソンの欠失が促進される。
【0072】
「エクソンインクルージョン」という用語は、エクソンまたはイントロンのスプライシングエンハンサーをブロックし、対応するスプライシングリプレッサーをブロックし、および/または好ましくない二次構造を破壊し、スプライソソームによるエクソンのより効率的な認識およびエクソン発現の回復をもたらすための、標的のプレmRNAへのアンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基対合などのオリゴヌクレオチド媒介プロセスを指す。
【0073】
「in vivo」という用語は、対象の身体内で起こる事象を指す。
【0074】
「in vitro」という用語は、対象の身体の外で起こる事象を指す。in vitroアッセイは、生細胞または死細胞が用いられる細胞に基づくアッセイを包含し、また、無傷細胞を用いない無細胞アッセイも包含し得る。
【0075】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、限定されないが、疾患の処置を含む、意図する適用をもたらすのに十分な、本明細書に記載の化合物または化合物の組合せの量を指す。治療有効量は、意図する適用(in vitroまたはin vivo)、またはヒト対象および処置される疾患の状態(例えば、対象の体重、年齢および性別)、疾患の状態の重症度、投与の様式などに応じて変更され得、これは、当業者によって容易に決定することができる。この用語はまた、標的細胞における特定の応答(例えば、血小板粘着および/または細胞遊走の減少)を誘導する用量にも適用される。特定の用量は、選択される特定の化合物、従うべき投薬レジメン、化合物が他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、それが投与される組織、および化合物が運ばれる身体の送達系に応じて変更される。
【0076】
本明細書において使用される用語としての「治療効果」は、ヒト対象における治療利益および/または予防的利益を包含する。予防的効果は、疾患もしくは状態の出現を遅延させるか、または除去すること、疾患もしくは状態の症状の開始を遅延させるか、または除去すること、疾患もしくは状態の進行を遅らせ、停止させ、または回復させること、あるいはこれらの任意の組合せを含む。
【0077】
「薬学的に許容される塩」という用語は、当技術分野において公知の、さまざまな有機および無機の対イオンに由来する塩を指す。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸が挙げられる。塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸およびサリチル酸が挙げられる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガンおよびアルミニウムが挙げられる。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、第1級、第2級および第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂が挙げられる。具体例としては、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンが挙げられる。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウムの塩から選択され、好ましくは、前記薬学的に許容される塩はナトリウム塩である。
【0078】
典型的にかつ好ましくは、P(III)またはP(V)に結合しており、典型的にかつ好ましくは、前記1つまたはそれより多くの脂質部分のB基の一部として前記1つまたはそれより多くの脂質部分中に存在し、あるいは前記スペーサー中に存在し、あるいは典型的にかつ好ましくは、ホスホロチオエートまたはホスホロジエステルから選択される前記ヌクレオシド間連結基の一部として、本発明の前記オリゴマー化合物、好ましくは、本発明の前記オリゴヌクレオチド中に存在する、ヒドロキシル基(OH)またはチオール基(SH)の場合では、前記のヒドロキシル基(OH)またはチオール基(SH)のそれぞれは、互いに独立して、前記OH基として、またはO-アニオンおよび薬学的に許容されるカチオンなどのそのイオン状態で、あるいは前記SH基として、またはS-アニオンおよび薬学的に許容されるカチオンなどのそのイオン状態で存在することができる。さらに、本発明の組成物における前述の状況の間の任意の組合せおよび任意の平衡の状態が含まれ
、特に、(=O)、(=S)、別のOH基またはSH基などの前記P(III)またはP(V)上の酸素または硫黄含有基をさらに考慮に入れると、これは、当業者に公知である。便宜上、本発明の態様および実施形態では、典型的には、前述の状況の1つのみが記載される。例として、本発明の好ましいスペーサーは、#-NH-C2~12アルキレン-OP(O)(SH)-§として本明細書に示される。示されるように、限定されるものではないが、水素が酸素に位置するスペーサー、したがって、#-NH-C2~12アルキレン-OP(OH)(S)-§およびその薬学的に許容される塩のすべてが本明細書に含まれる。
【0079】
したがって、典型的にかつ好ましくは、P(III)またはP(V)に結合しており、典型的にかつ好ましくは、前記1つまたはそれより多くの脂質部分のB基の一部として、前記1つまたはそれより多くの脂質部分中に存在し、あるいは前記スペーサー中に存在し、あるいは典型的にかつ好ましくは、ホスホロチオエートまたはホスホロジエステルから選択される、前記ヌクレオシド間連結基の一部として、本発明の前記オリゴマー化合物、好ましくは、本発明の前記オリゴヌクレオチド中に存在する、ヒドロキシル基(OH)およびまたはチオール基(SH)の文脈における薬学的に許容される塩は、前記OH基または前記SH基のうちの1個またはそれより多くが、互いに独立して、前記OH基として、またはO-アニオンおよびその薬学的に許容されるカチオンなどのそのイオン状態で、あるいは前記SH基として、またはS-アニオンおよび薬学的に許容されるカチオンなどのそのイオン状態で存在し、典型的にかつ好ましくは、前記薬学的に許容されるカチオンが、プロトン化トリメチルアミン、プロトン化ジエチルアミン、プロトン化メチルアミン、アンモニウム、ナトリウムまたはカリウムから選択され、さらに好ましくは前記薬学的に許容されるカチオンがナトリウムである、本発明の組成物を指す。
【0080】
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、ならびに不活性成分を含むことを意図する。活性医薬成分のためのこのような薬学的に許容される担体または薬学的に許容される賦形剤の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の薬学的に許容される担体または薬学的に許容される賦形剤が、活性医薬成分と適合しない場合を除き、本発明の治療組成物における使用を企図する。他の薬物などの追加の活性医薬成分も記載の組成物および方法に組み込むことができる。
【0081】
他に明記しない限り、本明細書に示される化学構造は、1つまたはそれより多くの同位体が富化された原子が存在するという点でのみ異なる化合物を含むことを意図する。例えば、1つもしくはそれより多くの水素原子が、重水素もしくは三重水素によって置き換えられた化合物、または1つもしくはそれより多くの炭素原子が、13Cもしくは14Cが富化された炭素によって置き換えられた化合物は、本発明の範囲内である。
【0082】
「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子が空間に配置される方法においてのみ異なる異性体、すなわち、異なる立体化学配置を有する異性体である。「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である、一対の立体異性体である。一対のエナンチオマーの1:1の混合物は、「ラセミ」混合物である。「(±)」の用語は、適切な場合には、ラセミ混合物を指定するために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、Cahn-Ingold-PrelogのR-Sシステムにより特定される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各キラル炭素での立体化学は、(R)または(S)のいずれかにより特定することができる。その絶対配置が不明である分割された化合物は、それらが、ナトリウムD線の波長で、平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)に応じて(+)または(-)に指定することができる。本明細書に記載される化合物のある特定の化合物は、1つまたはそれより多くの不
斉中心を含有し、そのため、絶対立体化学に関して(R)または(S)と定義され得る、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性形態を生じ得る。本発明の化学的実体(chemical entities)、医薬組成物および方法は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態、および中間体の混合物を含む、すべてのこのような可能性のある異性体を含むことを意図する。光学活性な(R)および(S)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製することができ、あるいは従来の技術を使用して分割することができる。本明細書に記載される化合物が、オレフィン二重結合または幾何学的非対称の他の中心を含有する場合、および他に特定されていない限り、化合物はEおよびZの両方の幾何異性体を含むことを意図する。
【0083】
「エナンチオマー純度」とは、本明細書で使用される場合、他のエナンチオマーに対する特定のエナンチオマーの存在の、パーセンテージとして表わされる相対量を指す。例えば、(R)または(S)-異性体の立体配置を有する可能性があり得る化合物がラセミ混合物として存在する場合、(R)または(S)-異性体のいずれかに関して、エナンチオマー純度は約50%である。ある化合物が、一方の異性体形態が、他方より優勢な、例えば、80%の(S)-異性体および20%の(R)-異性体を有する場合、(S)-異性体形態に関する化合物のエナンチオマー純度は、80%である。化合物のエナンチオマー純度は、限定されないが、キラル担体を使用するクロマトグラフィー、偏光の回転の旋光計での測定、キラルシフト試薬(限定されないが、キラル錯体を含有するランタニド、もしくはPirkle試薬を含む)を使用する核磁気共鳴分光法、またはMosher酸などのキラル化合物を使用する化合物の誘導体化と、続くクロマトグラフィーもしくは核磁気共鳴分光法を含む、当技術分野において公知のいくつかの方法で決定することができる。
【0084】
好ましい実施形態では、エナンチオマー富化された組成物は、単位質量あたりの治療的有用性に関して、ラセミ混合物のその組成物が有する効力よりも高い効力を有する。エナンチオマーは、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者に公知の方法によって、混合物から単離することができ、または好ましいエナンチオマーは、不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacques, et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions, Wiley Interscience, New York (1981);E. L. Eliel, Stereochemistry of Carbon Compounds, McGraw-Hill, New York (1962);およびE. L. Eliel and S. H. Wilen, Stereochemistry of Organic Compounds, Wiley-Interscience, New York (1994)を参照の
こと。
【0085】
「エナンチオマー富化された」および「非ラセミ」という用語は、本明細書で使用される場合、一方のエナンチオマーの重量パーセントが、ラセミ組成の対照混合物中の該一方のエナンチオマーの量を超える(例えば、重量で1:1よりも大きい)組成を指す。例えば、(S)-エナンチオマーのエナンチオマー富化された調製物は、(R)-エナンチオマーと比べて、50重量%を超える、例えば、少なくとも75重量%、または例えば、少なくとも80重量%の(S)-エナンチオマーを有する化合物の調製物を意味する。一部の実施形態では、富化は、80重量%を著しく超えることができ、これは、「実質的にエナンチオマー富化された」または「実質的に非ラセミ」調製物を提供することができ、それは、他方のエナンチオマーと比べて、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも90重量%、または例えば、少なくとも95重量%の一方のエナンチオマーを有する組成の調製物を指す。「エナンチオマー的に純粋」または「実質的にエナンチオマー的に純粋」という用語は、少なくとも98%の単一のエナンチオマー、および2%未満の逆のエナンチオマーを含む組成を指す。
【0086】
「部分」とは、分子の特定のセグメントまたは官能基を指す。化学的部分は、多くの場
合、分子に組み込まれているか、または分子に付加している化学的実体と認められる。
【0087】
「互変異性体」は、互変異性化によって相互変換する構造的に異なる異性体である。「互変異性化」は、異性化の一形態であり、酸塩基化学のサブセットと考えられるプロトトロピー互変異性化またはプロトン移動互変異性化を含む。「プロトトロピー互変異性化」または「プロトン移動互変異性化」は、結合次数の変化、多くの場合、単結合と隣接する二重結合との交換と同時に起こるプロトンの移動を含む。互変異性化が可能である場合(例えば溶液中)、互変異性体の化学平衡に達することができる。互変異性化の例はケト-エノール互変異性化である。ケト-エノール互変異性化の具体例は、ペンタン-2,4-ジオンおよび4-ヒドロキシペンタ-3-エン-2-オン互変異性体の相互変換である。互変異性化の別の例はフェノール-ケト互変異性化である。フェノール-ケト互変異性化の具体例は、ピリジン-4-オールおよびピリジン-4(1H)-オン互変異性体の相互変換である。
【0088】
本明細書においてより具体的に定義されない限り、「置換された(substituted)」とは、言及された基が、例えば、アシル、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、炭水化物、カーボネート、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、エステル、チオカルボニル、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、オキソ、パーハロアルキル、パーフルオロアルキル、ホスフェート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、尿素ならびに一置換および二置換アミノ基を含むアミノ、ならびにこれらの保護された誘導体から個々に独立して選択される、1つもしくはそれより多くの追加の基、ラジカルまたは部分と結合し得ることを意味する。置換基それら自体が置換されていてもよく、例えば、シクロアルキル置換基は、それ自体が、その環炭素の1つまたは複数にハライド置換基を有していてもよい。「必要に応じて置換された」という用語は、特定の基、ラジカルまたは部分による必要に応じた置換を意味する。
【0089】
本発明の化合物は、例えば、該化合物の、多形、疑似多形、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形(無水物を含む)、配座多形およびアモルファス形態、ならびにこれらの混合物を含む、化合物の結晶形態およびアモルファス形態も含む。「結晶形態」および「多形」は、特定の結晶形態またはアモルファス形態に言及しない限り、例えば、多形、疑似多形、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形(無水物を含む)、配座多形およびアモルファス形態、ならびにそれらの混合物を含む、化合物のすべての結晶形態およびアモルファス形態を含むことを意図する。
【0090】
範囲が、例えば、分子量もしくは化学式などの物理的または化学的特性を記載するために本明細書において使用される場合、範囲およびそれにおける特定の実施形態のすべての組合せおよび下位の組合せを含むことを意図する。数値または数値範囲を指す場合の「約」という用語の使用は、言及される数値または数値範囲が、実験の変動内(または統計学的な実験誤差内)の近似値であることを意味し、したがって、数値または数値範囲は変わり得る。変動は、典型的には、指定の数値(stated number)または数値範囲の0%~15%、0%~10%、0%~5%である。
tc-DNAヌクレオシド前駆体
【0091】
一つの実施形態では、本発明は、式I、式II、式III、式IV、式Vまたは式VIのtc-DNAヌクレオシド前駆体:
【化5】
[式中、Xは、アルコキシであり得;
およびTは、それぞれORであり得、ここで、Rは、Hまたはヒドロキシル保護基であり;
、q、q、qおよびqは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C2~6アルケニル、置換C2~6アルキニル、および-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され;
は、ヒドロキシル保護基であり得;
およびzは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、O-C2~6アルケニル、O-C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C1~6アルコキシ、置換O-C2~6アルケニルおよび置換O-C2~6アルキニルハロゲンからなる群から選択される]
を調製するためのプロセスを含む。
【0092】
一部の実施形態では、TはORであり、Rはヒドロキシル保護基である。一部の実施形態では、各ヒドロキシル保護基は、アセチル、t-ブチル、t-ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエチル、p-クロロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、ベンゾイル、p-フェニルベンゾイル、2,6-ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p-ニトロベンジル、トリフェニルメチル(トリチル)、4,4’-ジメトキシトリチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、ベンゾイルホルメート、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、9-フルオレニルメチルカーボネート、メシレート、トシレート、トリフレート、4-モノメトキシトリチル(MMTr)、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr)および4,4’,4’’-トリメトキシトリチル(TMTr)、2-シアノエチル(CEまたはCne)、2-(トリメチルシリル)エチル(TSE)、2-(2-ニトロフェニル)エチル、2-(4-シアノフェニル)エチル、2-(4-ニトロフェニル)エチル(NPE)、2-(4-ニトロフェニルスルホニル)エチル、3,5-ジクロロフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2-(2-ニトロフェニル)エチル、ブチルチオカルボニル、4,4’,4’’-トリス(ベンゾイルオキシ)トリチル、ジフェニルカルバモイル、レブリニル、2-(ジブロモメチル)ベンゾイル(Dbmb)、2-(
イソプロピルチオメトキシメチル)ベンゾイル(Ptmt)、9-フェニルキサンテン-9-イル(ピキシル(pixyl))および9-(p-メトキシフェニル)キサンチン-9-
イル(MOX)からなる群から独立して選択される。一部の実施形態では、ヒドロキシル保護基はTBDMSである。
【0093】
一部の実施形態では、q、q、q、qおよび/またはqは水素である。
【0094】
一部の実施形態では、zおよび/zは水素である。
【0095】
一部の実施形態では、TはORであり、RはHである。一部の実施形態では、Tはヒドロキシである。
【0096】
一部の実施形態では、XはORであり、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。一部の実施形態では、Rはメチルである。一部の実施形態では、Xはメトキシである。
【0097】
一部の実施形態では、RはTBDMSである。
【0098】
一つの実施形態では、本発明は、式VII、式VIIIまたは式IXのtc-DNAヌクレオシド前駆体:
【化6】
を調製するためのプロセスを含む。
【0099】
式I~IXのtc-DNAヌクレオシド前駆体は、tc-DNAヌクレオシドの製造において使用することができ、これは、核酸塩基を含み、アンチセンスオリゴヌクレオチド療法の製造において有用である。
tc-DNAヌクレオシド前駆体の調製
【0100】
一つの実施形態では、本明細書に記載されるtc-DNAヌクレオシド前駆体(例えば、式I~IXの化合物)は、以下のプロセスの1つまたは複数により調製することができる。
【0101】
一つの実施形態では、本発明は、式I~IXのいずれか1つのtc-DNAヌクレオシド前駆体を調製する方法を含み、前記方法は、
a.カルベン調製温度でカルベン前駆体を調製するステップ;
b.シクロプロパン化温度で前記カルベン前駆体に式X、式XIまたは式XIIの化合物:
【化7】
を添加するステップ;および
c.式I~IXのうちの1つの前記tc-DNAヌクレオシド前駆体を提供するステップを含み、式中、Yは、アルコキシであり;
およびTは、それぞれORであり得、ここで、Rは、Hまたはヒドロキシル保護基であり、
、qおよびqは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C2~6アルケニル、置換C2~6アルキニル、および-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され;
およびzは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、O-C2~6アルケニル、O-C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C1~6アルコキシ、置換O-C2~6アルケニルおよび置換O-C2~6アルキニルハロゲンからなる群から選択される。
【0102】
一つの実施形態では、本発明は、式I~IXのいずれか1つのtc-DNAヌクレオシド前駆体を調製する方法を含み、前記方法は、
a.カルベン調製温度でカルベン前駆体を調製するステップ;
b.式X、式XIまたは式XIIの化合物:
【化8】
の溶液を調製するステップ;
c.シクロプロパン化温度で前記カルベン前駆体に式X、式XIまたは式XIIの前記化合物の前記溶液を添加するステップ;および
d.式I~IXのうちの1つの前記tc-DNAヌクレオシド前駆体を提供するステップを含み、式中、Yは、アルコキシであり;
およびTは、それぞれORであり得、ここで、Rは、Hまたはヒドロキシル保護基であり、
、qおよびqは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C2~6アルケニル、置換C2~6アルキニル、および-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32
ルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され;
およびzは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、O-C2~6アルケニル、O-C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C1~6アルコキシ、置換O-C2~6アルケニルおよび置換O-C2~6アルキニルハロゲンからなる群から選択される。
【0103】
一つの実施形態では、方法は、式X、式XIまたは式XIIの化合物およびカルベン前駆体の混合物にルイス酸触媒を添加するステップを含んでもよい。一部の実施形態では、ルイス酸触媒は、EtAlCl、EtZn、ZnI、ZnCl、ZnBr、Ti(OiPr)、MeAlCl、TMSOTf、TiCl、およびこれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0104】
一つの実施形態では、カルベン前駆体を調製するステップは、ルイス酸触媒(例えば、EtZn)およびRを溶媒中で合わせることを含んでもよい。一部の実施形態では、Rは、CH、CH-C1~6アルキル、CH-C2~6アルケニル、CH-C2~6アルキニル、置換CH-C1~6アルキル、置換CH-C2~6アルケニル、置換CH-C2~6アルキニルおよびCH-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され得る。一部の実施形態では、Rはアルキルである。一部の実施形態では、RはCHである。
【0105】
一部の実施形態では、カルベン前駆体を調製するステップは、カルベン添加物、ルイス酸触媒(例えば、ZnEt)およびRを任意の順序で合わせることを含んでいてもよい。一部の実施形態では、カルベン前駆体を調製するステップは、ルイス酸触媒(例えば、ZnEt)およびRの混合物にカルベン添加物を添加することを含んでいてもよい。
【0106】
一部の実施形態では、カルベン添加物は、脂肪族アルコール(例えば、置換もしくは無置換のアルキルアルコール)、芳香族アルコール(例えば、置換もしくは無置換のフェノール)、置換もしくは無置換のカルボン酸(例えば、トリクロロ酢酸)、または置換もしくは無置換のホスフェート(例えば、(アルキル-O)P(O)OHまたは(アリール-O)P(O)OH)であってもよい。一部の実施形態では、カルベン添加物は、式QCCOHの置換カルボン酸であってもよく、ここで、各Qは、独立して、H、Cl、BrおよびFからなる群から選択され得る。一部の実施形態では、カルベン添加物は、式QCCOHの置換カルボン酸であってもよく、ここで、QCは、CCl、CHCl、CHClまたはCFと定義され得る。一部の実施形態では、カルベン添加物は、式QCCHOHの置換アルキルアルコールであってもよく、ここで、各Qは、独立して、H、Cl、BrおよびFからなる群から選択され得る。一部の実施形態では、カルベン添加物は、式QCCHOHの置換カルボン酸であってもよく、ここで、QCは、CCl、CHCl、CHClまたはCFと定義され得る。一部の実施形態では、カルベン添加物は、トリクロロ酢酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、トリクロロフェノールまたは(n-BuO)P(O)OHであってもよい。
【0107】
一部の実施形態では、溶媒は、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン(CHCl)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(CHCN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)またはこれらの組合せを含んでいてもよい。一部の実施形態では、溶媒は、ジクロロメタン、DMEまたはこれらの組合せである。一部の実施形態では、溶媒は極性の非プロトン性溶媒であってもよい。一部の実施形態では、極性の非プロトン性溶媒は、ジクロロメタン(CHCl)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(CHCN)、ジメチルホルムアミド(
DMF)、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)またはこれらの組合せを含んでいてもよい。
【0108】
一部の実施形態では、カルベン前駆体は、QCCOZnRI、QCCHOZnRI、(n-BuO)P(O)OZnRI、(アルキル-O)P(O)OZnRI、(アリール-O)P(O)OZnRIまたは2,4,6-ClOZnRIであり、ここで、各Qは、独立して、H、Cl、BrおよびFからなる群から選択され得る。一部の実施形態では、カルベン前駆体は、QCCOZnRI、QCCHOZnRI、(n-BuO)P(O)OZnRI、(アルキル-O)P(O)OZnRI、(アリール-O)P(O)OZnRIまたは2,4,6-ClOZnRIであり、ここで、QCは、CCl、CHCl、CHClまたはCFと定義され得る。一部の実施形態では、カルベン前駆体は、CClCOZnRI、CFCHOZnRI、(n-BuO)P(O)OZnRIまたは2,4,6-ClOZnRIである。一部の実施形態では、カルベン前駆体は、CClCOZnCHI、CFCHOZnCHI、(n-BuO)P(O)OZnCHIまたは2,4,6-ClOZnCHIである。
【0109】
一部の実施形態では、式X、式XIまたは式XIIの化合物の溶液を調製するステップは、式X、式XIまたは式XIIの化合物にZnEtを添加することを含んでいてもよい。
【0110】
一部の実施形態では、カルベン調製温度は、約-80℃~約0℃の範囲から選択される温度であってもよい。一部の実施形態では、カルベン調製温度は、約-80℃~約0℃であってもよい。一部の実施形態では、カルベン調製温度は、-80℃、-79℃、-78℃、-77℃、-76℃、-75℃、-74℃、-73℃、-72℃、-71℃、-70℃、-69℃、-68℃、-67℃、-66℃、-65℃、-64℃、-63℃、-62℃、-61℃、-60℃、-59℃、-58℃、-57℃、-56℃、-55℃、-54℃、-53℃、-52℃、-51℃、-50℃、-49℃、-48℃、-47℃、-46℃、-45℃、-44℃、-43℃、-42℃、-41℃、-40℃、-39℃、-38℃、-37℃、-36℃、-35℃、-34℃、-33℃、-32℃、-31℃、-30℃、-29℃、-28℃、-27℃、-26℃、-25℃、-24℃、-23℃、-22℃、-21℃、-20℃、-19℃、-18℃、-17℃、-16℃、-15℃、-14℃、-13℃、-12℃、-11℃、-10℃、-9℃、-8℃、-7℃、-6℃、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、-0℃より高くてもよい。一部の実施形態では、カルベン調製温度は、-80℃、-79℃、-78℃、-77℃、-76℃、-75℃、-74℃、-73℃、-72℃、-71℃、-70℃、-69℃、-68℃、-67℃、-66℃、-65℃、-64℃、-63℃、-62℃、-61℃、-60℃、-59℃、-58℃、-57℃、-56℃、-55℃、-54℃、-53℃、-52℃、-51℃、-50℃、-49℃、-48℃、-47℃、-46℃、-45℃、-44℃、-43℃、-42℃、-41℃、-40℃、-39℃、-38℃、-37℃、-36℃、-35℃、-34℃、-33℃、-32℃、-31℃、-30℃、-29℃、-28℃、-27℃、-26℃、-25℃、-24℃、-23℃、-22℃、-21℃、-20℃、-19℃、-18℃、-17℃、-16℃、-15℃、-14℃、-13℃、-12℃、-11℃、-10℃、-9℃、-8℃、-7℃、-6℃、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、-0℃より低くてもよい。一部の実施形態では、カルベン調製温度は、約-80℃、約-79℃、約-78℃、約-77℃、約-76℃、約-75℃、約-74℃、約-73℃、約-72℃、約-71℃、約-70℃、約-69℃、約-68℃、約-67℃、約-66℃、約-65℃、約-64℃、約-63℃、約-62℃、約-61℃、約-60℃、約-59℃、約-58℃、約-57℃、約-56℃、約-55℃、約-54℃、約-53℃、約-52℃、約-51℃、約-50℃、約-49℃、約-48℃、約-47℃、約-4
6℃、約-45℃、約-44℃、約-43℃、約-42℃、約-41℃、約-40℃、約-39℃、約-38℃、約-37℃、約-36℃、約-35℃、約-34℃、約-33℃、約-32℃、約-31℃、約-30℃、約-29℃、約-28℃、約-27℃、約-26℃、約-25℃、約-24℃、約-23℃、約-22℃、約-21℃、約-20℃、約-19℃、約-18℃、約-17℃、約-16℃、約-15℃、約-14℃、約-13℃、約-12℃、約-11℃、約-10℃、約-9℃、約-8℃、約-7℃、約-6℃、約-5℃、約-4℃、約-3℃、約-2℃、約-1℃、約-0℃であってもよい。
【0111】
一部の実施形態では、カルベン調製温度は、第1のカルベン調製温度および第2のカルベン調製温度を含んでいてもよく、反応の温度は、第1のカルベン調製温度で始まり、第2のカルベン調製温度まで上昇し、ここで、第1のカルベン調製温度は、第2のカルベン調製温度よりも低い。しかしながら、一部の実施形態では、反応の温度は、第1のカルベン調製温度で始まり、第2のカルベン調製温度まで下げられ、ここで、第1のカルベン調製温度は、第2のカルベン調製温度よりも高い。
【0112】
一部の実施形態では、シクロプロパン化の温度は、約-30℃~約室温(すなわち、25℃)の範囲から選択される温度であってもよい。一部の実施形態では、シクロプロパン化の温度は、約-30℃~約室温(すなわち、25℃)であってもよい。一部の実施形態では、シクロプロパン化の温度は、-30℃、-29℃、-28℃、-27℃、-26℃、-25℃、-24℃、-23℃、-22℃、-21℃、-20℃、-19℃、-18℃、-17℃、-16℃、-15℃、-14℃、-13℃、-12℃、-11℃、-10℃、-9℃、-8℃、-7℃、-6℃、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、-0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃または30℃より高くてもよい。一部の実施形態では、シクロプロパン化の温度は、-30℃、-29℃、-28℃、-27℃、-26℃、-25℃、-24℃、-23℃、-22℃、-21℃、-20℃、-19℃、-18℃、-17℃、-16℃、-15℃、-14℃、-13℃、-12℃、-11℃、-10℃、-9℃、-8℃、-7℃、-6℃、-5℃、-4℃、-3℃、-2℃、-1℃、-0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃または30℃より低くてもよい。一部の実施形態では、シクロプロパン化の温度は、約-30℃、約-29℃、約-28℃、約-27℃、約-26℃、約-25℃、約-24℃、約-23℃、約-22℃、約-21℃、約-20℃、約-19℃、約-18℃、約-17℃、約-16℃、約-15℃、約-14℃、約-13℃、約-12℃、約-11℃、約-10℃、約-9℃、約-8℃、約-7℃、約-6℃、約-5℃、約-4℃、約-3℃、約-2℃、約-1℃、約-0℃、約1℃、約2℃、約3℃、約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃または約30℃であってもよい。
【0113】
一部の実施形態では、シクロプロパン化の温度は、第1のシクロプロパン化の温度および第2のシクロプロパン化の温度を含んでいてもよく、反応の温度は、第1のシクロプロパン化の温度で始まり、第2のシクロプロパン化の温度まで上昇し、ここで、第1のシクロプロパン化の温度は、第2のシクロプロパン化の温度よりも低い。しかしながら、一部の実施形態では、反応の温度は、第1のシクロプロパン化の温度で始まり、第2のシクロプロパン化の温度まで下げられ、ここで、第1のシクロプロパン化の温度は、第2のシクロプロパン化の温度よりも高い。
【0114】
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、カルベン前駆体は、式X、式XIまたは式XIIの化合物に、式X、式XIまたは式XIIの化合物に対して約1.0~約10モル当量のカルベン前駆体の量で添加される。
【0115】
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、カルベン前駆体は、式X、式XIまたは式XIIの化合物に、式X、式XIまたは式XIIの化合物に対して、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、6、7、8、9または10モル当量未満のカルベン前駆体の量で添加される。
【0116】
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、カルベン前駆体は、式X、式XIまたは式XIIの化合物に、式X、式XIまたは式XIIの化合物に対して、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、6、7、8、9または10モル当量を超えるカルベン前駆体の量で添加される。
【0117】
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、カルベン前駆体は、式X、式XIまたは式XIIの化合物に、式X、式XIまたは式XIIの化合物に対して、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3.0、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、約3.9、約4.0、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5、約6、約7、約8、約9または約10モル当量のカルベン前駆体の量で添加される。
tc-DNAヌクレオシド前駆体から調製されるtc-DNAヌクレオシド
【0118】
一つの実施形態では、tc-DNAヌクレオシドは、本明細書に記載されるtc-DNAヌクレオシド前駆体から調製され得る。
【0119】
一つの実施形態では、本発明は、式I~IXのtc-DNAヌクレオシド前駆体のうちの1つまたは複数から、式XIII、式XIVまたは式XVの化合物:
【化9】
(式中、Bxは核酸塩基であり;
およびTの一方は、ヌクレオシド間連結基であり、TおよびTの他方は、OR、OR10、5’末端基、3’末端基またはヌクレオシド間連結基であり(ここで、Rは、Hまたはヒドロキシル保護基であり、R10は、リン部分である)であり;
、q10、q11、q12およびq13は、それぞれ独立して、水素(H)、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C2~6アルケニル、置換C2~6アルキニル、および-(CH-C(O)-R11(ここで、nは、0~6であり、R11は、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され;
およびzは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、O-C2~6アルケニル、O-C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C1~6アルコキシ、置換O-C2~6アルケニルおよび置換O-C2~6アルキニルからなる群から選択される)
を調製する方法を含む。
【0120】
一つの実施形態では、本明細書に記載されるtc-DNAヌクレオシドは、式XIII、式XIVまたは式XVの化合物(式中、Bxは、チミン、アデニン、グアニンおよびシトシンからなる群から選択される)を含む。一つの実施形態では、本明細書に記載されるtc-DNAヌクレオシドは、式XIII、式XIVまたは式XVの化合物(式中、Bxは、修飾塩基である)を含む。一つの実施形態では、本明細書に記載されるtc-DNAヌクレオシドは、式XIII、式XIVまたは式XVの化合物(式中、Bxは、5-メチルシトシン、5-ブロモウラシル、イノシンおよび2,6-ジアミノプリンからなる群から選択される修飾塩基である)を含む。
【0121】
一つの実施形態では、本発明は、式XIII、式XIV、式XVのtc-DNAヌクレオシドのうちの1つもしくは複数、またはその薬学的に許容される塩を含む、tc-DNAヌクレオシド含有オリゴマー化合物を含む。
【0122】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書において示され、記載されているが、このような実施形態は、例としてのみ提供され、本発明の範囲を他の方法で制限することを意図するものではない。本発明の記載の実施形態に対するさまざまな代替を、本発明の実施において用いることができる。
【実施例0123】
本明細書に包含される実施形態は、ここで、以下の実施例を参照して説明される。これらの例は、例示のみを目的として提供されており、本明細書に包含される開示は、これらの実施例に限定されると決して解釈されるべきではなく、むしろ本明細書に提供される教示の結果として明らかになる任意かつすべての変形形態を包含すると解釈されるべきである。
実施例1 - ビシクロ糖前駆体の調製
【0124】
中間体10を、D-マンノースから出発して、図1に示される合成経路により調製することができる。
実施例2 - ビシクロ糖前駆体の調製
【0125】
中間体10を、D-リボースから出発して、図2に示される代替の合成経路により調製することができる。
実施例3 - tert-ブチルジメチルシリルエノールエーテル中間体の調製
【0126】
シリルエノールエーテル17を、中間体10から、図3および4に示される合成経路により調製することができる。
実施例4 - 添加物の非存在下でCHおよびEtZnから調製されたカルベノイドを用いる化合物17のシクロプロパン化
【0127】
以下のスキームにより、化合物17を、実施例4~7において説明されるシクロプロパン化条件を使用して、tc-DNAヌクレオシド前駆体18に変換した。
【化10】
【0128】
1.07gの精製α-アノマー(3.736mmol)の17を、37mlの乾燥CHClに溶解させ、0℃(氷)に冷却した。その後、22.3ml(22.3mmol、6当量)のヘキサン中の1.0MのEtZn(Aldrich)を滴下添加し、Ar下、0℃で30分間撹拌した。次いで、3.02ml(37.2mmol、10当量)のCHを、同じ温度で15分にわたって滴下添加し、0℃でさらに2時間撹拌した。その後、冷却浴を外し、混合物を周囲温度でさらに21時間撹拌した。TLCは、相当量の未反応のα-17を示した。これを、EtOAcの添加によって希釈し、50mLの飽和NHCl水でクエンチした。抽出の後処理により、1.79gの粗製物を得、これを、シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製して、0.43g(39%)の化合物18、ならびに0.49gの化合物17および18の混合物(およそ20:80)を得た。
実施例5 - CHおよび活性化されたZnから調製されたカルベンを用いる化合物17のシクロプロパン化
【0129】
AgOAc(60mg)を濃AcOH(60ml)に70℃で溶解させ、Zn(10g;およそ0.5mmの粒径、0.1MのHClで直ちに腐食させ、HOおよびEtOHで洗浄し、室温/0.01Torrで15分間乾燥した)を一度に添加した。混合物を、1分間撹拌し、デカントし、AcOH(40ml)および乾燥EtO(3×40ml)
で洗浄した。今の暗灰色のAg-Znカップルを、無水EtO中のAgウール上で保管した。EtO(11ml)中のAg-Znカップル(6.3g、96.4mmol)に、CH(8.41g、31.4mmol)をシリンジにより添加し、混合物を、Ar下、室温で1時間撹拌した。乾燥EtO(11ml)中の17(1.5g、5.23mmol、両方のアノマーの混合物)の溶液を、カルベン溶液に滴下添加した。10分以内に、混合物を、Ar下で3時間還流した。次いで、灰色の懸濁液を0℃に冷却し、EtO(30ml)で希釈した後、ピリジン(6.6ml)を0℃で滴下添加した。白色の沈殿物をセライトで濾別し、濾液を、飽和NaHCO(2×50ml)で洗浄し、水相をEtO(50ml)で抽出した。合わせた有機相を、乾燥し(MgSO)、蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル(50g)、EtO/ヘキサン1:1)によって精製し、無色油状物として、908mg(58%)の化合物18を2:1の比(α/β;H-NMR)で得た。
実施例4 - CHおよびEtZnおよび(n-BuO)P(O)OHから調製された安定なカルベノイドを用いる化合物17のシクロプロパン化
(n-BuO)P(O)OZnCHI溶液の調製
【0130】
-10℃(ドライアイス/アセトン)の8mlのトルエンに、トルエン中1.0Mのジエチル亜鉛(Acros)の2.4ml(2.4mmol)を滴下添加した。その後、5mlのトルエンで希釈された0.5ml(0.53g、2.44mmol)の97%の(n-BuO)P(O)OH(Aldrich)をゆっくりと滴下添加した。混合物を、Ar下、-10℃で20分間撹拌した。次いで、0.20ml(0.65g、2.44mmol)のCH(Alfa Aesar)を滴下添加し、Ar下、-10℃で30分間撹拌した。澄明溶液を冷凍庫で保管した。
【0131】
粗製の未精製化合物17を反応溶媒に溶解させ、上記手順により調製されたカルベノイド(n-BuO)P(O)OZnCHIの溶液と室温で混合した。混合物を、表1において与えられる時間にわたって撹拌し、続いて、抽出による水性後処理を実施した。示される場合、収率はFCの後である。
【0132】
表1において与えられた例は、非現実的に長い反応時間および過剰のカルベノイドが反応の終了のために必要であることを実証する。
【0133】
【表1】
実施例5 - さまざまな溶媒中でCHおよびEtZnおよび(n-BuO)P(O)OHから調製された安定なカルベノイドを用いる化合物17のシクロプロパン化
(n-BuO)P(O)OZnCHI溶液の調製
【0134】
カルベノイドを上記手順により調製し、トルエンを、示されたCHClに置き換えた。トルエン中1.0Mのジエチル亜鉛(Acros)をすべての実験で使用した。
【0135】
粗製の未精製化合物17を反応溶媒に溶解させ、上記手順により調製されたカルベノイド(n-BuO)P(O)OZnCHIの溶液と室温で混合した。混合物を、0~10℃で、表2において与えられる時間にわたって撹拌し、続いて、抽出による水性後処理を実施した。17/18の比を、粗製物の1H NMRから評価した。
【0136】
表2において与えられた例は、17の変換であるシクロプロパン化のための溶媒の範囲が、溶媒にかかわらず不十分であったことを実証する。
【0137】
【表2】
実施例6 - さまざまな溶媒中でCHおよびEtZnおよび(n-BuO)P(O)OHから調製された安定なカルベノイドを用いる化合物17のシクロプロパン化
(n-BuO)P(O)OZnCHI溶液の調製
【0138】
ジエチル亜鉛(トルエン中1.5M、14.0ml、20.95mmol)(Acros)を、22.8mlのCHCl中の4.3mlの(n-BuO)P(O)OH(4.54g、20.95mmol、97%、Aldrich)の溶液に、-20℃(ドライアイス/アセトン)で30分の間、滴下添加した。混合物を、Ar下、-20℃で30分間撹拌した。次いで、1.69ml(5.61g、20.95mmol)のCH(Alfa Aesar)を滴下添加し、Ar下、-20℃で30分間撹拌した。澄明溶液を冷凍庫で保管した。
【0139】
粗製の未精製化合物17(0.272g、0.70mmol)を反応溶媒に溶解させ、表3に示すルイス酸を0℃(氷浴)で添加した。混合物を、同じ温度で15分間撹拌した。次いで、上記手順により調製されたカルベノイド(n-BuO)P(O)OZnCHIの溶液を同じ温度で添加した。混合物を、0~10℃で、表3において与えられる時
間にわたって撹拌し、続いて、抽出による水性後処理を実施した。17/18の比を、粗製物の1H NMRから評価した。
【0140】
表3に示された例は、ルイス酸存在下での化合物17のシクロプロパン化の促進を示す。
【0141】
【表3】
(実施例7)
tc-DNAヌクレオシド前駆体の調製
【0142】
【表4-1】
【表4-2】
(n-BuO)P(O)OZnCHI溶液の調製
【0143】
-20℃(ドライアイス/アセトン)の22.8mlのCHClに、トルエン中1.5Mのジエチル亜鉛(Acros)の14.0ml(20.95mmol)を滴下添加した。その後、4.28ml(4.54g、20.95mmol)の97%の(n-BuO)P(O)OH(Aldrich)をゆっくりと滴下添加した。混合物を、Ar下、-20℃で30分間撹拌した。次いで、1.69ml(5.62g、20.95mmol)のCH(Reagent Plus、99%、Aldrich)を滴下添加し、Ar下、-15℃で30分間撹拌した。澄明溶液を冷凍庫で保管した。
実験5 - 2.1モル当量のカルベンおよび0.5当量のルイス酸を用いる化合物17のシクロプロパン化
【0144】
181mgの精製α-アノマーおよび174mgのβ-アノマー(355mg、1.239mmol)の17を、0.7mlのCHClに溶解させ、-10℃(ドライアイス)に冷却した。その後、トルエン中1.5MのEtZn(Acros)の826μl(1.239mmol、1当量)を滴下添加し、Ar下、-10℃で10分間撹拌した。次いで、5.312ml(2.602mmol、2.1当量)の(n-BuO)P(O)OZnCHI溶液を滴下添加し、-10℃でさらに10分間撹拌した。その後、トルエン中25重量%の塩化ジエチルアルミニウム溶液(Aldrich)の336μl(298.5mg、0.619mmol、50モル%)をゆっくりと滴下添加した。混合物を-10℃で2時間撹拌し、次いで、浴中でゆっくりと室温に温めた。混合物を合計で21時間撹拌した。
実験6 - 3モル当量のカルベンおよび0.5当量のルイス酸を用いる化合物17のシクロプロパン化
【0145】
精製α-アノマー(106mg)およびβ-アノマー(105mg)(211mg、0.737mmol)の17を、0.5mlのCHClに溶解させ、-10℃に冷却した。その後、トルエン中1.5MのEtZnの491μl(0.737mmol、1当量)を滴下添加し、-10℃で10分間撹拌した。次いで、4.51ml(2.211m
mol、3当量)の(n-BuO)P(O)OZnCHI溶液を滴下添加し、-10℃でさらに10分間撹拌した。その後、トルエン中25重量%の塩化ジエチルアルミニウム溶液の201μl(0.369mmol、50モル%)をゆっくりと滴下添加した。混合物を、Ar下、-10℃で2時間、次いで室温で22時間、撹拌した。混合物を、4mlの飽和NHCl溶液でクエンチし、MTBE中に入れ、30mlの飽和NaCl溶液で洗浄した。水相を2×20mlのMTBEで抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、短時間、高真空で乾燥した。得られた黄色がかった油状物を、3:1のヘキサン/EtOAcを用いて、20gのシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。225mg(約0.749mmol、102%)の1:1のジアステレオマー混合物の化合物18が得られ、31P-NMRによれば、黄色がかった油状物の形態中に「ジブチルホスフェート」が混入していた。
【0146】
H-q-NMR(24.4mgの生成物、24.9mgのジメチルテレフタレート、2mlのCDCH):白色の沈殿物を有する不透明な溶液→150μlのピリジンの添加後、白色の沈殿物を有する澄明な溶液を形成する。
実験7 - 2.2モル当量のカルベンおよび0.5当量のルイス酸を用いる化合物17のシクロプロパン化
【0147】
精製α-アノマー(117mg)およびβ-アノマー(100mg)(217mg、0.758mmol)の17を、0.5mlのCHClに溶解させ、-10℃に冷却した。その後、トルエン中1.5MのEtZnの505μl(0.758mmol、1当量)を滴下添加し、-10℃で10分間撹拌した。次いで、3.40ml(1.668mmol、2.2当量)の(n-BuO)P(O)OZnCHI溶液を滴下添加し、-10℃でさらに10分間撹拌した。その後、トルエン中25重量%の塩化ジエチルアルミニウム溶液の412μl(0.758mmol、1当量)をゆっくりと滴下添加した。混合物を、Ar下、-10℃で2時間、次いで室温で19時間、撹拌した。
実験9 - 3モル当量のカルベンおよび0.5当量のルイス酸を用いる化合物17のシクロプロパン化
【0148】
211mg(0.737mmol)の精製α-アノマーの17を、0.5mlのCHClに溶解させ、-10℃に冷却した。その後、トルエン中1.5MのEtZnの491μl(0.737mmol、1当量)を滴下添加し、-10℃で10分間撹拌した。次いで、6.01ml(2.211mmol、3当量)の(n-BuO)P(O)OZnCHI溶液を滴下添加し、-10℃でさらに10分間撹拌した。その後、トルエン中25重量%の塩化ジエチルアルミニウム溶液の201μl(0.369mmol、50モル%)をゆっくりと滴下添加した。混合物を、Ar下、-10℃で2時間、次いで室温で23時間、撹拌した(→黄色がかった溶液)。202mg(約0.672mmol、91%)の化合物18のαアノマーが得られ、31P-NMRによれば、黄色がかった油状物の形態中に「ジブチルホスフェート」が混入していた。
【0149】
H-q-NMR(37.38mgの生成物、37.24mgのジメチルテレフタレート、1mlのCDCl
【0150】
Zn塩の調製:158mgの混入した化合物18、2mlのCHCNおよび200μl(2.47mmol)のピリジンを合わせた。混合物を、室温で1時間、そして0℃で1時間、撹拌した。沈殿物を、セライトを用いて濾別し、冷CHCNで洗浄し、濾液を濃縮し(ピリジンとトルエンを共蒸発)、高真空下、終夜乾燥した。146mgの化合物18が得られた。
実施例8 - tc-DNAヌクレオシド前駆体の調製
【0151】
トルエン中1.5MのEtZn溶液(51.49ml、77.24mmol、5当量;Acros)を、乾燥CHCl(19.17ml)に-20℃で7分間にわたって滴下添加した。その後、97%のジブチルホスフェート(12.63ml、61.79mmol、4当量;Aldrich)を12分の時間にわたって滴下添加した(発熱反応、温度が-20℃から-10℃に上昇する)。30分間撹拌した後、ジヨードメタン(4.98ml、61.79mmol、4当量;Aldrich、99%)を3分間にわたって滴下添加し、混合物を-20℃でさらに30分間撹拌した。次に、乾燥CHCl(10.51ml)中の粗製物17(5.0g、純度88.5%、15.45mmol、1当量)の溶液を滴下添加した(発熱反応、温度が-20℃から-10℃に上昇する)。-20℃で15分間撹拌した後、EtAlCl(トルエン中の25重量%溶液、4.20ml、7.72mmol、0.5当量;Aldrich)を添加した。反応混合物を-10℃で2時間撹拌した。その後、冷却浴を外し、混合物を自然に室温まで昇温させ、その温度で22時間撹拌した。その後、これを、ヘキサン(400ml)で希釈し、0.2MのHCl水(2×400ml)で洗浄した。合わせた水相をヘキサン(300ml)で再抽出した。その後、合わせた有機相を0.2MのNaOH水(2×400ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させて、5.09gのTC-003(24:76の比の2つのアノマーの混合物;H-q-NMRによる純度73.5%、収率81%)を暗黄色の粘性液体として得た。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
tc-DNAヌクレオシド前駆体を調製する方法であって、前記方法は、
a.カルベン調製温度でカルベン前駆体を調製するステップ;
b.シクロプロパン化温度で前記カルベン前駆体に式X、式XIまたは式XIIの化合物:
【化11】

を添加するステップ;および
c.式I~IXのうちの1つの前記tc-DNAヌクレオシド前駆体を提供するステップを含み、式中、Yは、アルコキシであり;
およびTは、それぞれORであり、ここで、各Rは、Hまたはヒドロキシル保護基であり、
、qおよびqは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C2~6アルケニル、置換C2~6アルキニル、および-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され;
およびzは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、O-C2~6アルケニル、O-C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C1~6アルコキシ、置換O-C2~6アルケニルおよび置換O-C2~6アルキニルハロゲンからなる群から選択される、
方法。
(項目2)
tc-DNAヌクレオシド前駆体を調製する方法であって、前記方法は、
a.カルベン調製温度でカルベン前駆体を調製するステップ;
b.式X、式XIまたは式XIIの化合物:
【化12】

の溶液を調製するステップ;
c.シクロプロパン化温度で前記カルベン前駆体を式X、式XIまたは式XIIの前記化合物の前記溶液に添加するステップ;および
d.式I~IXのうちの1つの前記tc-DNAヌクレオシド前駆体を提供するステップを含み、式中、Yは、アルコキシであり;
およびTは、それぞれORであり、ここで、Rは、Hまたはヒドロキシル保護基であり、
、qおよびqは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C2~6アルケニル、置換C2~6アルキニル、および-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択され;
およびzは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C1~6アルコキシル、O-C2~6アルケニル、O-C2~6アルキニル、置換C1~6アルキル、置換C1~6アルコキシ、置換O-C2~6アルケニルおよび置換O-C2~6アルキニルハロゲンからなる群から選択される、
方法。
(項目3)
式X、式XIまたは式XIIの前記化合物および前記カルベン前駆体の前記混合物にルイス酸触媒を添加するステップを含む、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
前記カルベン前駆体を調製するステップが、ルイス酸触媒およびRを溶媒中で合わせる工程を含み、ここで、Rは、CH、CH-C1~6アルキル、CH-C2~6アルケニル、CH-C2~6アルキニル、置換CH-C1~6アルキル、置換CH-C2~6アルケニル、置換CH-C2~6アルキニルおよびCH-(CH-C(O)-R(ここで、nは、0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択される、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記溶媒が、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン(CHCl)、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(CHCN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)またはこれらの組合せを含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記カルベン前駆体を調製するステップが、ルイス酸触媒およびRの前記混合物にカルベン添加物を添加するステップを含み、ここで、前記カルベン添加物が、置換または無置換のアルキルアルコール、カルボン酸およびホスフェートからなる群から選択される、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記カルベン前駆体が、QCCOZnRI、QCCHOZnRI、(n-BuO)P(O)OZnRI、(アルキル-O)P(O)OZnRI、(アリール-O)P(O)OZnRIまたは2,4,6-ClOZnRIであり、ここで、各Qは、独立して、H、Cl、BrおよびFからなる群から選択され、Rは、CH、CH-C1~6アルキル、CH-C2~6アルケニル、CH-C2~6アルキニル、置換CH-C1~6アルキル、置換CH-C2~6アルケニル、置換CH-C2~6アルキニルおよびCH-(CH-C(O)-R(ここで、nは0~6であり、Rは、OH、NH、O-C1~32アルキルおよびNH-C1~32アルキルからなる群から選択される)からなる群から選択される、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記カルベン前駆体が、CClCOZnCHI、CFCHOZnCHI、(n-BuO)P(O)OZnCHIまたは2,4,6-ClOZnCHIである、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
項目1~8のいずれか一項に記載の方法により調製されるtc-DNAヌクレオシド前駆体。
(項目10)
項目9に記載のtc-DNA前駆体から調製されるtc-DNAヌクレオシド。
(項目11)
項目10に記載のtc-DNAヌクレオシドを含むtc-DNA含有オリゴヌクレオチド。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】