(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129731
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】低減された表面刺激および改善された治療深さのための磁気刺激コイルおよび強磁性コンポーネント
(51)【国際特許分類】
A61N 2/04 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
A61N2/04
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124924
(22)【出願日】2023-07-31
(62)【分割の表示】P 2021165507の分割
【原出願日】2015-01-14
(31)【優先権主張番号】14/155,445
(32)【優先日】2014-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510244798
【氏名又は名称】ニューロネティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケネス マルク ギロン
(72)【発明者】
【氏名】マーク エドワード リール
(72)【発明者】
【氏名】イアン マクスウェル シップウェイ
(57)【要約】
【課題】TMSデバイスは、治療コイルおよび強磁性コンポーネントを含むことが可能であり、強磁性コンポーネントは、治療コイルのうちの対応するものの近位に配設されるように構成されている。
【解決手段】TMSデバイスの治療コイルおよび強磁性コンポーネントは、治療コイル単独によって発生させられる磁場のものとは異なる1または複数の性質を示す磁場を協働的に発生させることが可能である。たとえば、磁場は、被験者の脳の中への透過深度を実質的に維持しながら、より低い誘導される電気的な刺激強度を脳神経の中に示すことが可能である。別の例では、磁場は、誘導される電気的な刺激強度を脳神経の中に実質的に維持しながら、被験者の脳の中への増加した透過深度を示すことが可能である。TMSデバイスは、たとえば、被験者の解剖学的構造に対して(たとえば、被験者の頭部の形状に対して)、調節可能および/または再構成可能であるように構成され得る。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を治療または診断するためのシステムであって、
第1の刺激コイル、第2の刺激コイル、第3の刺激コイル、および第4の刺激コイルであって、円形である、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルと、
前記第1及び第2の刺激コイル内に部分的に受け入れるように構成された第1の強磁性コンポーネントと、前記第3及び第4の刺激コイル内に部分的に受け入れるように構成された第2の強磁性コンポーネントと、
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルと電気的に通信する制御回路であって、前記制御回路は、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルに電流を供給して、被験者の標的解剖学的構造に磁場を生成するように構成される、前記制御回路と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルは、互いに同一平面であり、
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルは、前記被験者に対して横断面上に配置されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルが前記被験者に対して配向されるとき、前記生成された磁場は、前記被験者の前記脳の第1および第2の半球の両方に同時に存在するように分布する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1および第2の強磁性コンポーネントはそれぞれ、アーチ形状を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の強磁性コンポーネントは、前記第1の刺激コイルを支持するように構成された第1の端部および前記第2の刺激コイルを支持するように構成された第2の端部を画定し、
前記第2の強磁性コンポーネントは、前記第3の刺激コイルを支持するように構成された第1の端部および前記第4の刺激コイルを支持するように構成された第2の端部を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルがクローバーパターンで配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイル、ならびに前記第1および第2の強磁性コンポーネントは、前記磁場を生成するように作動されるとき、前記磁場が、前記被験者の前記脳の上部領域内の隣接する刺激コイルのそれぞれの中心の間に位置する1つまたは複数の領域において、前記被験者の前記脳の他の領域よりも高い強度を示すように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の強磁性コンポーネントは、前記第1および第2の刺激コイルへの取り付けを可能にするように構成され、前記第2の強磁性コンポーネントは、前記第3および第4の刺激コイルへの取り付けを可能にするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1および第2の強磁性コンポーネントを互いに対して支持するように構成されたブリッジ部材をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ブリッジ部材は、前記第1の強磁性コンポーネントに取り付けられた第1の部分と、前記第2の強磁性コンポーネントに取り付けられた第2の部分とを含み、前記ブリッジ部材の前記第1および第2の部分は、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルの前記相対位置を調整するために互いにスライドするように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ブリッジ部材は、前記第1の強磁性コンポーネントに取り付けられた第1の部分と、前記第2の強磁性コンポーネントに取り付けられた第2の部分とを含み、前記第1および前記第2の部分は、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルの前記相対位置を調整するために互いに対して角度を付けて移動可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
同じ電流で駆動されるとき、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルによって生成される前記磁場は、前記第1および第2の強磁性コンポーネントを含まない場合よりも、前記第1および第2の強磁性コンポーネントを含む場合の方が強い、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
患者を治療または診断するためのシステムであって、
第1の刺激コイルと、第2の刺激コイルと、第3の刺激コイルと、および第4の刺激コイルとであって、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルが円形であり、前記刺激コイルがクローバーパターンで配置されている、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルと、
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルと電気的に通信する制御回路は、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルに電流を供給して、被験者の標的解剖学的構造内に磁場を生成するように構成された制御回路と、
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルによって生成される前記磁場が、前記強磁性コンポーネントを含まない同じ電流レベルで生成される磁場よりも強いように、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルの効率を高めるように構成される強磁性コンポーネントと、
を備えるシステム。
【請求項14】
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルは、互いに同一平面であり、
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルは、前記被験者に対して横断面上に配置されるように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルが前記被験者に対して配向されるとき、前記生成された磁場は、前記被験者の前記脳の第1および第2の半球の両方に同時に存在するように分布する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記強磁性コンポーネントは、アーチ形状を画定する、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルがクローバーパターンで配置される、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1および第2の強磁性コンポーネントを互いに対して支持するように構成されたブリッジ部材をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記ブリッジ部材は、前記第1の強磁性コンポーネントに取り付けられた第1の部分と、前記第2の強磁性コンポーネントに取り付けられた第2の部分とを含み、前記ブリッジ部材の前記第1および第2の部分は、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルの前記相対位置を調整するために互いにスライドするように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ブリッジ部材は、前記第1の強磁性コンポーネントに取り付けられた第1の部分と、前記第2の強磁性コンポーネントに取り付けられた第2の部分とを含み、前記ブリッジ部材の前記第1および第2の部分は、前記第1、第2、第3、および第4の刺激コイルの前記相対位置を調整するために互いにスライドするように構成される、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年1月15日に出願された米国特許出願第14/155,445号明細書の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
多数の医学的な病気が、人間の被験者の身体の罹患部分に対して磁場を適用することにより、治療および/または診断され得る。ニューロンおよび筋細胞は、生物学的な回路の形態であり、それは、電気信号を運搬し、磁気刺激に応答する。変化する磁場が身体の一部分に適用されるとき、ニューロンが、脱分極させられ、刺激され得る。刺激されたニューロンに関連付けられる筋肉は、ニューロンが通常の原因によって発火(firing)しているかのように収縮することが可能である。
【0003】
神経細胞またはニューロンは、たとえば、経頭蓋磁気刺激(TMS)を介して経皮的になど、多数の方式で刺激され得る。TMSは、典型的に、急速に変化する(たとえば、パルス状の)磁場を使用し、皮膚を切るもしくは突き通す必要なく、または、電極を適用する必要なく、神経細胞の中に電流を誘導する。神経の中の膜電位が、その通常の環境レベルに対して閾値電圧(たとえば、神経のタイプ、および、取り囲む組織の局所的なpHに応じて、おおよそ-90ミリボルト)を上回って上昇するときには、神経は、「発火する」と言われる。
【0004】
磁気刺激は、神経学的組織から主に構成されている脳の領域を刺激する際に効果的であることが証明された。特に関心のある1つのエリアは、鬱病の治療である。反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、伝統的な方法には応答しない人間の被験者に対してかなりの抗鬱効果を有するということが示された。典型的なrTMS治療は、たとえば前頭前皮質などの、被験者の脳のエリアに対して、反復的に非侵襲性の様式で、準けいれん刺激を適用することを含むことが可能である。そのような治療は、皮質ニューロン膜の脱分極を引き起こすことが可能である。膜は、たとえば、急速に変化する磁場によって発生させられ得る1V/cmを超過する小さい電場の誘導によって、脱分極させられ得る。
【0005】
典型的なTMS治療装置は、パルス状の磁場を発生させ、パルス状の磁場は、電気的に敏感な細胞(たとえば、神経細胞またはニューロン)の中に電流を誘導する。これらの誘導電流は、典型的に、身体の中に完全な回路を形成し、身体を通るゼロ電流の経路が生成されるようになっている。TMS治療装置によって誘導される電流は、典型的に、おおよそこの経路の途中でゼロへ降下する。この電流の降下のレートは、たとえば、幅広い表面積にわたってTMS装置によって発生させられる電流密度を分散することによって、遅らせることができる。しかし、このアプローチを用いることは、リターン電流を集中させる可能性があり、それは、望ましくない副作用(たとえば、被験者の脳のターゲットとされていない領域の刺激)のより高い発生率につながる可能性がある。
【0006】
典型的なTMS治療装置は、1または複数の導電性の刺激コイルを含むことが可能である。そのようなコイルは、単一の層で構成され得(たとえば、巻かれている)、コイルが、刺激されることとなる組織の可能な限り近くに配設され得るようになっている。そのようなコイルは、頭蓋骨に対して望ましい深さにおいて、脳組織を刺激することができる可能性がある。しかし、典型的にそのようなコイルによって発生させられる1または複数の磁場は、望ましくない高いレベルの(たとえば、頭蓋骨の表面の近くの神経の)表面刺激を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,824,324号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で説明されているように、例示的なTMSデバイスは、1または複数の治療コイルおよび1または複数の強磁性コンポーネントを含むことが可能であり、1または複数の強磁性コンポーネントは、1または複数の治療コイルのうちの対応するものの近位に配設されるように構成されている。それぞれのTMSデバイスの1または複数の治療コイルおよび強磁性コンポーネントは、1または複数の治療コイル単独によって発生させられる磁場のものとは異なる1または複数の性質を示す磁場を協働的に発生させることが可能である。
【0009】
本明細書で説明されている例示的なTMSデバイスのうちの1つなどのような、例示的なTMSデバイスが、1または複数の強磁性コンポーネントなしで動作させられる場合には、例示的なTMSデバイスによって発生させられる第1の磁場は、たとえば、刺激された組織の対応する第1の体積の中のさまざまな場所における可変の電気的な刺激強度、(たとえば、被験者の脳の中への)第1の透過深度、および、第1の電場集束性を含み得る、性質を示すことが可能である。可変の電気的な刺激強度は、たとえば、被験者の外側表面に近い、被験者の中または上の第1の場所において(たとえば、被験者の頭皮の表面において、脳神経の近位に)、第1の電気的な刺激強度を含み、また、第1の場所から内向きに間隔を置いて配置されている、被験者の中の第2の場所において(たとえば、被験者の脳の中で)、第2の電気的な刺激強度を含むことが可能である。第1の磁場は、磁場強度の第1の勾配を示すことが可能であり、磁場強度の第1の勾配は、第1および第2の場所において、第1の磁場によって誘導されるそれぞれの電界強度の比率を表すことが可能である。
【0010】
例示的なTMSデバイスが、対応する1または複数の治療コイルに取り付けられている1または複数の強磁性コンポーネントとともに動作させられるときには、治療コイルおよび強磁性コンポーネントは、第2の磁場を協働的に発生させることが可能であり、第2の磁場は、第1の磁場のものとは異なり得る性質を示すことが可能であり、それは、たとえば、刺激された組織の対応する第2の体積の中のさまざまな場所における、可変の電気的な刺激強度、第2の透過深度、および第2の電場集束性を含むことが可能である。可変の電気的な刺激強度は、たとえば、被験者の脳の中の第1の場所において、第3の電気的な刺激強度を含み、被験者の脳の中の第2の場所において、第4の電気的な刺激強度を含むことが可能である。第2の磁場は、磁場強度の第2の勾配を示すことが可能であり、磁場強度の第2の勾配は、第1および第2の場所において、第2の磁場によって誘導されるそれぞれの電界強度の比率を表すことが可能である。
【0011】
TMSデバイスが、対応する1または複数の治療コイルに取り付けられている1または複数の強磁性コンポーネントとともに動作させられるときには、1または複数の強磁性コンポーネントおよび1または複数の治療コイルの協働的動作が、磁場強度の第2の勾配が磁場強度の第1の勾配とは異なることを引き起こすように、1または複数の強磁性コンポーネントは構成され得る。たとえば、磁場強度の第1の勾配よりも磁場強度の第2の勾配が小さくなるように、1または複数の強磁性コンポーネントは構成され得る。
【0012】
TMSの例示的なデバイスが、対応する1または複数の治療コイルに取り付けられている1または複数の強磁性コンポーネントとともに動作させられるときには、例示的なTMSデバイスによって発生させられる第2の磁場の透過深度は、効果的に維持され得、または、第1の磁場のものに対して改善させられ得(たとえば、増加させられる)、また、第2の磁場によって引き起こされる表面電気的な刺激強度は、効果的に維持され得、または、第1の磁場のものに対して低減させられ得る。
【0013】
たとえば、第1の場所において第2の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第3の電気的な刺激強度)は、同じ場所において第1の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第1の電気的な刺激強度)よりも低くなっていることが可能であり、一方、第2の場所において第2の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第4の電気的な刺激強度)は、同じ場所において第1の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第2の電気的な刺激強度)と事実上同じであることが可能である。
【0014】
別の例では、第1の場所において第2の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第3の電気的な刺激強度)は、同じ場所において第1の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第1の電気的な刺激強度)と事実上同じであることが可能である。第2の場所において第2の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第4の電気的な刺激強度)は、同じ場所において第1の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第2の電気的な刺激強度)よりも大きくなっていることが可能である。
【0015】
TMSデバイスが1または複数の強磁性コンポーネントを含む場合には、(たとえば、TMS治療の間に)TMSデバイスによって使用されるエネルギーの量が低減させられ得る。これは、TMSデバイスの1または複数の治療コイルの中の温度上昇を緩和することが可能である。
【0016】
例示的なTMSデバイスは、たとえば、被験者の解剖学的構造にしたがって、TMS治療が適用されることとなる1または複数の場所に適合するように(たとえば、被験者の頭部に適合するように)、調節可能および/または再構成可能であるように構成され得る
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】例示的な経頭蓋磁気刺激(TMS)デバイスを示す図である。
【
図1B】
図1AのTMSデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図2A】別の例示的なTMSデバイスを示す図である。
【
図2B】
図2AのTMSデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図3A】別の例示的なTMSデバイスを示す図である。
【
図3B】
図3AのTMSデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図4A】別の例示的なTMSデバイスを示す図である。
【
図4B】
図4AのTMSデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図5A】別の例示的なTMSデバイスを示す図である。
【
図5B】
図5AのTMSデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図6A】別の例示的なTMSデバイスを示す図である。
【
図6B】
図6AのTMSデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図6C】
図6Aおよび
図6Bに示されている例示的なTMSデバイスによって誘導され得る電界電流の例示的な分配を示す図である。
【
図6D】
図6Aおよび
図6Bに示されている例示的なTMSデバイスによって誘導され得る電界電流の別の例示的な分配を示す図である。
【
図7A】別の例示的なTMSデバイスを示す図である。
【
図7B】
図7AのTMSデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図7C】
図7Aおよび
図7Bに示されている例示的なTMSデバイスによって誘導され得る電界電流の例示的な分配を示す図である。
【
図7D】
図7Aおよび
図7Bに示されている例示的なTMSデバイスによって誘導され得る電界電流の別の例示的な分配を示す図である。
【
図8A】別の例示的なTMSデバイスを示す図である。
【
図8B】
図8AのTMSデバイスのコンポーネントを示す図である。
【
図9】例示的な調節可能なTMSデバイスを示す図である。
【
図10】別の例示的な調節可能なTMSデバイスを示す図である。
【
図11】例示的な調節可能なTMSデバイスによって誘導され得る電界電流の例示的な分配を示しており、誘導される電界は、サドルポイント(saddle point)を示していることを示す図である。
【
図12】別の例示的なTMSデバイスを示す図である。
【
図13】例示的なTMSシステムを示す簡略化されたブロック図である。
【
図14】例示的なTMS治療プロセスのフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1Aおよび
図1Bは、人間の被験者50および例示的な経頭蓋磁気刺激(TMS)デバイス100を示しており、経頭蓋磁気刺激(TMS)デバイス100は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。
【0019】
示されているように、TMSデバイス100は、治療コイル110および強磁性コンポーネント130を含む。TMSデバイス100は、たとえば、
図1Aに示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者50の頭部52の近位に配設され得る。
【0020】
治療コイル110は、複数のワインディング112などのような、1または複数のワインディング112を含むことが可能である。示されているように、治療コイル110は、6つのワインディング112a~112fを含む複数のワインディング112を有している。治療コイル110は、より多くのまたはより少ないワインディング112を含むことが可能であるということが認識されるべきである。
【0021】
治療コイル110は、モノリシックのピースの材料から製作され得る。たとえば、所定の長さの材料(たとえば、ワイヤー)が、複数のワインディング112を画定するように連続的に巻かれ得る。ワインディング112(たとえば、ワインディング112a~112fのうちの1つまたは複数)は、別々に製作され、互いに対して支持され、たとえば、1または複数の取り付け部材(図示せず)を使用して互いに対して取り付けられ得る。別々に製作された複数のワインディング112が、たとえば、ワインディング112のそれぞれのものを相互接続する1または複数の導電性の取り付け部材を使用して、互いに電気的な通信状態に置くことができる。
【0022】
ワインディング112は、たとえば、図示されている半楕円形の形状など、任意の適切な形状を画定することが可能である。示されているように、それぞれのワインディング112は、円弧形状の前方セグメント114と、対向する円弧形状の後方セグメント116と、対向する側部セグメント118とを画定しており、前方セグメント114は、被験者の頭部52の前方部の近位に配設され得、後方セグメント116は、被験者の頭部52の後方部の近位に配設され得、側部セグメント118は、前方および後方セグメント114、116の対応する端部をそれぞれ接続し、被験者の頭部52の対応する側部に沿って配設され得る。側部セグメント118は、実質的に真っ直ぐであることが可能である(たとえば、真っ直ぐであるか、または、わずかに湾曲している)。前方セグメント、後方セグメント、および/または側部セグメント114、116、118は、被験者の頭部52の対応する部分に適合するように構成され得る。示されているように、それぞれのワインディング112の後方セグメント116は、対応する前方セグメント114よりも長く、それぞれのワインディング112が、後方セグメント116から前方セグメント114に向かう方向に沿ってテーパーが付けられるようになっている。
【0023】
それぞれのワインディング112は、たとえば、ワインディング112の周囲部によって画定されるような、および、ワインディング112を通る中心軸線に沿って測定されるような、それぞれの長さを画定することが可能である。複数のワインディング112のそれぞれのものは、同じ長さまたは異なる長さを有することが可能である。それぞれのワインディング112は、その長さに沿って(たとえば、その中心軸線に対して垂直に)、円形などのような任意の適切な断面を画定することが可能である。ワインディング112a~112fのうちの1つまたは複数を含む治療コイル110は、銅などのような、適切な電気伝導性を示す任意の材料から作製され得る。
【0024】
ワインディング112のそれぞれのものは、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。図示されているワインディング112a~112fは、互いに対して実質的に同じ形状を有しているが、最上部ワインディング112aから最下部ワインディング112fへ順次増加する長さを示している。別の言い方をすれば、ワインディング112aは、第1の長さを有することが可能であり、ワインディング112bは、ワインディング112aのそれと同じまたは類似のプロファイルを画定することが可能であり、また、第1の長さよりも長い第2の長さを有することが可能であり、ワインディング112cは、ワインディング112aおよび112bのそれと同じまたは類似のプロファイルを画定することが可能であり、また、第2の長さよりも長い第3の長さを有することが可能である、などである。最上部ワインディング112aは、複数のワインディング112のうちの最も内側のワインディングと称され得、最下部ワインディング112fは、複数のワインディング112のうちの最も外側のワインディングと称され得る。
【0025】
ワインディング112a~112fは、ワインディングからワインディングへの(たとえば、隣接するワインディング112同士の間の)スペーシングが均一なままであるかまたは変化するように構成され得る。たとえば、ワインディング112a~112fの間のスペーシングは、ワインディング112a~112fのそれぞれの長さ、形状、位置決めなどによって画定され得る。示されているように、治療コイル110のワインディング112a~112fは、被験者の頭部52を通って延在する軸線A1に中心を合わせられている。軸線A1は、たとえば、垂直方向(たとえば、頭尾方向)に沿って延在することが可能であり、また、被験者の頭部52の中のポイント(point)(たとえば、内側に位置付けされているポイント)を通過することが可能である。
【0026】
治療コイル110は、被験者の頭部52の領域に適合するコイル幾何学形状を画定するように構成され得る。たとえば、ワインディング112a~112fのうちの2つ以上が、互いから垂直方向に間隔を置いて配置され得、治療コイル110のコイル幾何学形状が、被験者の頭部52に対して凹形になることができるようになっている。示されているように、治療コイル110は、被験者の頭部52の一部分を取り巻く凹形のバンド形状のコイル幾何学形状を画定している。
【0027】
TMSデバイス100は、強磁性コンポーネント130を含むことが可能である。強磁性コンポーネント130は、治療コイル110によって発生させられる磁場の1または複数の性質を変化させるように構成され得る。示されているように、強磁性コンポーネント130は、治療コイル110の近位に位置付けされ得る。強磁性コンポーネント130は、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0028】
強磁性コンポーネント130は、たとえば、図示されている半楕円形のバンド形状など、任意の適切な形状を画定することが可能である。示されているように、強磁性コンポーネント130は、上側端部131および対向する下側端部133を画定しており、下側端部133は、上側端部131から間隔を置いて配置されている。強磁性コンポーネント130は、前方セクション132と、対向する後方セクション134と、対向する側部セクション136とを画定しており、前方セクション132は、被験者の頭部52の前方部の近位に配設され得、後方セクション134は、被験者の頭部52の後方部の近位に配設され得、側部セクション136は、前方セクション132から後方セクション134へ延在している。側部セクション136は、被験者の頭部52の対応する側部に沿って配設され得る。
【0029】
強磁性コンポーネント130は、内側表面137を画定することが可能であり、内側表面137は、被験者の頭部52に面しており、また、治療コイル110aの対応する部分に、および/または、被験者の頭部52の対応する部分に、少なくとも部分的に適合するように構成されている。たとえば、前方セクション132、後方セクション134、および側部セクション136によって画定されるように、内側表面137は、被験者の頭部52の対応する部分のものと実質的に同様の(たとえば、わずかにそれよりも大きい)プロポーションを備える形状を画定することが可能である。
【0030】
強磁性コンポーネント130は、治療コイル110を少なくとも部分的に受け入れるように構成され得、強磁性コンポーネント130が、治療コイル110の一部分の近位に位置決めされるようになっている。たとえば、強磁性コンポーネント130は、凹部138を画定することが可能であり、凹部138は、強磁性コンポーネント130の内側表面137の中へ延在しており、また、治療コイル110の少なくとも一部分を受け入れるように構成されている。凹部138は、複数のワインディング112のうちの1つまたは複数を受け入れるように構成され得る。治療コイル110が、たとえば、
図1Aに示されているように、凹部138の中に配設されているとき、強磁性コンポーネント130は、複数のワインディング112のそれぞれの部分を少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。たとえば、凹部138を画定する前方セクション132、後方セクション134、および側部セクション136の一部分は、1または複数の対応するワインディング112と同様の(たとえば、それと事実上同じ)形状を画定することが可能である。
【0031】
強磁性コンポーネント130は、1または複数の開口部を画定することが可能であり、1または複数の開口部は、被験者の頭部52の対応する部分を露出させ、たとえば、TMS治療の間の冷却を促進させることが可能である。示されているように、強磁性コンポーネント130は、それを通って延在する開口部139を画定している。図示されている開口部139は、強磁性コンポーネント130の上側端部131に位置付けされている。強磁性コンポーネント130は、より多くのまたはより少ない開口部を画定するように構成され得るということが認識されるべきである。たとえば、強磁性コンポーネント130は、それを通る複数の開口部を画定するように構成され得、または、それを通る開口部なしで構成され得る(たとえば、ドーム状の形状で構成されている)。
【0032】
TMSデバイス100は、治療コイル110および強磁性コンポーネント130が互いに対して支持されるように構成され得る。たとえば、TMSデバイス100は、強磁性コンポーネント130が(たとえば、凹部138の中に)治療コイル110を支持するように構成され得る。治療コイル110および強磁性コンポーネント130のうちの一方または両方は、1または複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、1または複数の相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント130に対する治療コイル110の取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されている。1または複数の取り付け部材は、(たとえば、
図1Aおよび
図1Bに示されている構成において、)治療コイル110および強磁性コンポーネント130が互いに対して固定して支持されるように構成され得る。1または複数の取り付け部材は、治療コイル110および強磁性コンポーネント130が互いに対して移動可能である(たとえば、再位置決めが可能である)ように構成され得る。
【0033】
治療コイル110が強磁性コンポーネント130によって支持されているときには(たとえば、強磁性コンポーネント130に取り付けられているときには)、治療コイル110は、たとえば、誘電体を使用して、強磁性コンポーネント130から電気的に隔離され得る。示されているように、誘電体は、空気であることが可能であり、また、治療コイル110が強磁性コンポーネント130に取り付けられているときには(たとえば、凹部138の中に配設されているときには)、複数のワインディング112が強磁性コンポーネント130の内側表面137から間隔を置いて配置され得る。治療コイル110は、任意の適切な電気的に隔離する材料(たとえば、誘電体)から作製され得る1または複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント130に取り付けられ得る。
図1Aに示されているように、治療コイル110が強磁性コンポーネント130の凹部138の中に配設されているときには、治療コイル110は、強磁性コンポーネント130によって少なくとも部分的に囲まれ得る。
【0034】
たとえば、
図1Aに示されているように被験者50に対して構成および配向されるようなTMSデバイス100は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させることができ、それは、被験者の脳の中に相対的に分配された強度のバンド形状の領域において、被験者の脳の上側部分におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。TMSデバイス100が、示されているように、被験者50に対して配向させられているときには、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。
【0035】
TMSデバイス100が
図1Aに示されているように配向されているときには、治療コイル110は、誘導電流リターン経路を画定することが可能であり、誘導電流リターン経路は、被験者の頭部52の近くにある。これは、リターン電流の駆動を支援することが可能であり、また、TMSデバイス100の効率を改善することが可能である。
【0036】
TMSデバイス100は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス100は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0037】
図2Aおよび
図2Bは、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス200を示しており、TMSデバイス200は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。
【0038】
示されているように、TMSデバイス200は、治療コイル210および強磁性コンポーネント230を含む。TMSデバイス200は、たとえば、
図2Aに示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者50の頭部52の近位に配設され得る。
【0039】
治療コイル210は、複数のワインディング212などのような、1または複数のワインディング212を含むことが可能である。示されているように、治療コイル210は、7つのワインディング212a~212gを含む複数のワインディング212を有している。治療コイル210は、より多くのまたはより少ないワインディング212を含むことが可能であるということが認識されるべきである。
【0040】
治療コイル210は、モノリシックのピースの材料から製作され得る。たとえば、所定の長さの材料(たとえば、ワイヤー)が、複数のワインディング212を画定するように連続的に巻かれ得る。ワインディング212(たとえば、ワインディング212a~212gのうちの1つまたは複数)は、別々に製作され、互いに対して支持され、たとえば、1または複数の取り付け部材(図示せず)を使用して互いに対して取り付けられ得る。別々に製作された複数のワインディング212が、たとえば、ワインディング212のそれぞれのものを相互接続する1または複数の導電性の取り付け部材を使用して、互いに電気的な通信状態に置くことができる。
【0041】
ワインディング212は、たとえば、図示されている円形および/または半楕円形の形状など、任意の適切な形状を画定することが可能である。示されているように、ワインディング212aは、円形形状を有しており、ワインディング212b~212gのそれぞれは、円弧形状の前方セグメント214と、対向する円弧形状の後方セグメント216と、対向する側部セグメント218とを画定しており、前方セグメント214は、被験者の頭部52の前方部の近位に配設され得、後方セグメント216は、被験者の頭部52の後方部の近位に配設され得、側部セグメント218は、前方および後方セグメント214、216の対応する端部をそれぞれ接続し、被験者の頭部52の対応する側部に沿って配設され得る。側部セグメント218は、実質的に真っ直ぐであることが可能である(たとえば、真っ直ぐであるか、または、わずかに湾曲している)。前方セグメント、後方セグメント、および/または側部セグメント214、216、218は、被験者の頭部52の対応する部分に適合するように構成され得る。示されているように、ワインディング212b~212gのそれぞれの後方セグメント216は、対応する前方セグメント214よりも長く、ワインディング212b~212gのそれぞれが、後方セグメント216から前方セグメント214に向かう方向に沿ってテーパーが付けられるようになっている。
【0042】
それぞれのワインディング212は、たとえば、ワインディング212の周囲部によって画定されるような、および、ワインディング212を通る中心軸線に沿って測定されるような、それぞれの長さを画定することが可能である。複数のワインディング212のそれぞれのものは、同じ長さまたは異なる長さを有することが可能である。それぞれのワインディング212は、その長さに沿って(たとえば、その中心軸線に対して垂直に)、円形などのような任意の適切な断面を画定することが可能である。ワインディング212a~212gのうちの1つまたは複数を含む治療コイル210は、銅などのような、適切な電気伝導性を示す任意の材料から作製され得る。
【0043】
ワインディング212のそれぞれのものは、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。示されているように、最上部ワインディング212aは、ワインディング212b~212gとは異なる円形形状を有している。ワインディング212aは、ワインディング212b~212gよりも短い長さを有している。ワインディング212b~212gは、互いに対して実質的に同じ形状を有しているが、ワインディング212bから最下部ワインディング212gへ順次増加する長さを示している。別の言い方をすれば、ワインディング212bは、第1の長さを有することが可能であり、ワインディング212cは、ワインディング212bのものと同じまたは類似のプロファイルを画定することが可能であり、また、第1の長さよりも長い第2の長さを有することが可能であり、ワインディング212dは、ワインディング212bおよび212cのものと同じまたは類似のプロファイルを画定することが可能であり、また、第2の長さよりも長い第3の長さを有することが可能である、などである。最上部ワインディング212aは、複数のワインディング212のうちの最も内側のワインディングと称され得、最下部ワインディング212gは、複数のワインディング212のうちの最も外側のワインディングと称され得る。
【0044】
ワインディング212a~112gは、ワインディングからワインディングへの(たとえば、隣接するワインディング212同士の間の)スペーシングが均一なままであるかまたは変化するように構成され得る。たとえば、ワインディング212a~212gの間のスペーシングは、ワインディング212a~212gのそれぞれの長さ、形状、位置決めなどによって画定され得る。示されているように、ワインディング212a~212gは、それぞれの軸線A2~A8に中心を合わせられることができ、それぞれの軸線A2~A8は、被験者の頭部52を通って延在しており、また、互いに対して角度的にオフセットされており、ワインディング212のそれぞれの前方セグメント214が、それぞれの後方セグメント216よりもすぐ近くに間隔を置いて配置され得るようになっている。別の言い方をすれば、ワインディング212a~212gは、被験者の頭部52の背面部において、被験者の頭部52の前方部におけるよりも、互いからさらに間隔を離して配置され得る。軸線A2~A8は、被験者の頭部52の中の共通のポイントP1(たとえば、内側に位置付けされているポイント)を通過することが可能である。軸線A2~A8のうちの隣接するもの同士の間のそれぞれの角度的なオフセットは、同じであるかまたは異なることが可能である。
【0045】
治療コイル210は、被験者の頭部52の領域に適合するコイル幾何学形状を画定するように構成され得る。たとえば、ワインディング212a~212gのうちの2つ以上が、互いから垂直方向に間隔を置いて配置され得、治療コイル210のコイル幾何学形状が、被験者の頭部52に対して凹形になることができるようになっている。示されているように、治療コイル210は、被験者の頭部52の上側領域を取り巻く卵形のドーム形状のコイル幾何学形状を画定している。
【0046】
TMSデバイス200は、強磁性コンポーネント230を含むことが可能である。強磁性コンポーネント230は、治療コイル210によって発生させられる磁場の1または複数の性質を変化させるように構成され得る。示されているように、強磁性コンポーネント230は、治療コイル210の近位に位置付けされ得る。強磁性コンポーネント230は、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0047】
強磁性コンポーネント230は、たとえば、図示されている卵形のドーム形状など、任意の適切な形状を画定することが可能である。強磁性コンポーネント230は、被験者の頭部52の対応する部分に少なくとも部分的に適合するように形状決めされている内部体積を画定することが可能である。強磁性コンポーネント230の内部体積は、被験者の頭部52の対応する部分のものと実質的に同様の(たとえば、わずかにそれよりも大きい)プロポーションを有することが可能である。強磁性コンポーネント230は、内側表面(図示せず)を画定することが可能であり、内側表面は、被験者の頭部52に面しており、また、治療コイル210aの対応する部分に、および/または、被験者の頭部52の対応する部分に、少なくとも部分的に適合するように構成されている。内側表面は、強磁性コンポーネント230の内部体積を画定することが可能である。
【0048】
強磁性コンポーネント230は、治療コイル210を少なくとも部分的に受け入れるように構成され得、強磁性コンポーネント230が、治療コイル210の一部分の近位に位置決めされるようになっている。たとえば、強磁性コンポーネント230は、凹部(図示せず)を画定することが可能であり、凹部は、強磁性コンポーネント230の内側表面の中へ延在している。凹部は、複数のワインディング212のうちの1つまたは複数を受け入れるように構成され得る。治療コイル210が、たとえば、
図2Aに示されているように、凹部の中に配設されているとき、強磁性コンポーネント230は、複数のワインディング212のそれぞれの部分を少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。たとえば、凹部を画定する強磁性コンポーネント230の一部分は、1または複数の対応するワインディング212と同様の(たとえば、それと事実上同じ)形状を有することが可能である。
【0049】
TMSデバイス200は、治療コイル210および強磁性コンポーネント230が互いに対して支持されるように構成され得る。たとえば、TMSデバイス200は、強磁性コンポーネント230が(たとえば、凹部の中に)治療コイル210を支持するように構成され得る。治療コイル210および強磁性コンポーネント230のうちの一方または両方は、1または複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、1または複数の相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント230に対する治療コイル210の取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されている。1または複数の取り付け部材は、(たとえば、
図2Aおよび
図2Bに示されている構成において、)治療コイル210および強磁性コンポーネント230が互いに対して固定して支持されるように構成され得る。1または複数の取り付け部材は、治療コイル210および強磁性コンポーネント230が互いに対して移動可能である(たとえば、再位置決め可能である)ように構成され得る。
【0050】
治療コイル210が強磁性コンポーネント230によって支持されているときには(たとえば、強磁性コンポーネント230に取り付けられているときには)、治療コイル210は、たとえば、誘電体を使用して、強磁性コンポーネント230から電気的に隔離され得る。誘電体は、空気であることが可能であり、また、治療コイル210が強磁性コンポーネント230に取り付けられているときには、複数のワインディング212が強磁性コンポーネント230の内側表面から間隔を置いて配置され得る。治療コイル210は、任意の適切な電気的に隔離する材料(たとえば、誘電体)から作製され得る1または複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント230に取り付けられ得る。
図2Aに示されているように、治療コイル210が強磁性コンポーネント230の中に受け入れられているときには、治療コイル210は、強磁性コンポーネント230によって少なくとも部分的に囲まれ得る。
【0051】
たとえば、
図2Aに示されているように被験者に対して構成および配向されるようなTMSデバイス200は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、たとえば、TMSデバイス200が
図2Aおよび
図2Bに示されているように被験者に対して位置決めされている場合には、被験者の脳の前頭部領域において、被験者の脳の背部領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。TMSデバイス200が、示されているように、被験者50に対して配向させられているときには、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。
【0052】
TMSデバイス200が
図2Aに示されているように配向されているときには、治療コイル210は、電流リターン経路を画定することが可能であり、電流リターン経路は、被験者の頭部52の近くにある。これは、リターン電流の駆動を支援することが可能であり、また、TMSデバイス200の効率を改善することが可能である。図示されている治療コイル210は、TMSデバイス200によって発生させられる誘導リターン電流を広げ、たとえば、被験者の頭部52の中にリターン電流を分散することが可能である。誘導リターン電流を分散することは、被験者の脳のターゲットとされていない領域の刺激などのような、TMS治療の副作用を低減させることが可能である。たとえば、治療コイル210は、リターン電流を移動させ、リターン電流に対する被験者の脳の頭頂葉の露出を低減させることが可能である。これは、たとえば、リターン電流の大半が後頭葉の中へ移動させられるように、または、リターン電流の大半が頭頂葉および後頭葉にわたって広げられるように、治療コイル210を構成させることによって、達成され得る。
【0053】
TMSデバイス200は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス200は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0054】
図3Aおよび
図3Bは、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス300を示しており、TMSデバイス300は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。
【0055】
示されているように、TMSデバイス300は、第1の治療コイル310a、第2の治療コイル310b、第1の強磁性コンポーネント330a、および、第2の強磁性コンポーネント330bを含む。TMSデバイス300は、たとえば、
図3Aに示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者50の頭部52の近位に配設され得る。
【0056】
第1および第2の治療コイル310a、310bは、それぞれの複数のワインディング312などのような、1または複数のワインディング312をそれぞれ含むことが可能である。第1および第2の治療コイル310a、310bは、同じまたは異なる数のワインディング312を含むことが可能である。示されているように、第1の治療コイル310aは、5つのワインディング312a~312eを含む第1の複数のワインディング312を含む、第2の治療コイル310bは、5つのワインディング312f~312jを含む第2の複数のワインディング312を含む。第1および第2の治療コイル310a、310bのうちの一方または両方は、より多くのまたはより少ないワインディング312を含むことが可能であり、および/または、同じまたは異なる幾何学形状、半径方向のスペーシングなどを有するワインディング312を含むことが可能であるということが認識されるべきである。
【0057】
第1および第2の治療コイル310a、310bのうちの一方または両方は、それぞれのモノリシックのピースの材料から製作され得る。たとえば、第1の長さの材料(たとえば、金属ストリップ)が、第1の治療コイル310aに対応する第1の複数のワインディング312を画定するように、連続的に巻かれ得、第2の長さの材料(たとえば、金属ストリップ)が、第2の治療コイル310bに対応する第2の複数のワインディング312を画定するように、連続的に巻かれ得る。ワインディング312(たとえば、ワインディング312a~312jのうちの1つまたは複数)は、別々に製作され、互いに対して支持され、たとえば、1または複数の取り付け部材(図示せず)を使用して互いに対して取り付けられ得る。別々に製作された複数のワインディング312が、たとえば、複数のワインディング312のそれぞれのものを相互接続する1または複数の導電性の取り付け部材を使用して、互いに電気的な通信状態に置くことができる。
【0058】
それぞれのワインディング312は、たとえば、ワインディング312の周囲部によって画定されるような、および、ワインディング312を通る中心軸線に沿って測定されるような、それぞれの長さを画定することが可能である。第1のおよび/または第2の複数のワインディング312のそれぞれのものは、同じ長さまたは異なる長さを有することが可能である。それぞれのワインディング312は、その長さに沿って(たとえば、その中心軸線に対して垂直に)、長方形などのような任意の適切な断面を画定することが可能である。ワインディング312a~312eおよび312f~312jのうちの1つまたは複数をそれぞれ含む、第1および第2の治療コイル310a、310bのうちの一方または両方は、銅などのような、適切な電気伝導性を示す任意の材料から作製され得る。
【0059】
ワインディング312は、たとえば、図示されている円形形状など、任意の適切な形状を画定することが可能である。ワインディング312のそれぞれのものは、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。示されているように、第1の治療コイル310aのワインディング312a~312eは、互いに対して実質的に同じ円形形状を有しているが、最上部ワインディング312aから最下部ワインディング312eへ順次増加する長さを示している。最上部ワインディング312aは、第1の治療コイル310aの最も内側のワインディングと称され得、最下部ワインディング312eは、第1の治療コイル310aの最も外側のワインディングと称され得る。第2の治療コイル310bは、第1の治療コイル310aと同じに構築され得、ワインディング312f~312jが、最上部ワインディング312fから最下部ワインディング312jへ順次増加する長さを示すようになっている。最上部ワインディング312fは、第2の治療コイル310bの最も内側のワインディングと称され得、最下部ワインディング312jは、第2の治療コイル310bの最も外側のワインディングと称され得る。
【0060】
第1の治療コイル310aのワインディング312a~312e、および/または、第2の治療コイル310bのワインディング312f~312jは、ワインディングからワインディングへの(たとえば、隣接するワインディング312同士の間の)スペーシングが均一なままであるかまたは変化するように構成され得る。たとえば、ワインディング312a~312eの間のスペーシング、および/または、ワインディング312f~312jの間のスペーシングは、ワインディング312a~312jのそれぞれの長さ、形状、位置決めなどによって画定され得る。示されているように、第1の治療コイル310aのワインディング312a~312eは、被験者の頭部52を通って延在する軸線A9に中心を合わせられている。第2の治療コイル310bのワインディング312f~312jは、被験者の頭部52を通って延在する軸線A10に中心を合わせられており、軸線A10は、第1の軸線A9に対して角度的にオフセットされている。軸線A9およびA10は、被験者の頭部52の中の共通のポイントP2(たとえば、内側に位置付けされているポイント)を通過することが可能である。
【0061】
第1および第2の治療コイル310a、310bのうちの一方または両方は、被験者の頭部52のそれぞれの領域に適合するコイル幾何学形状を画定するように構成され得る。たとえば、第1の治療コイル310aのワインディング312a~312eのうちの2つ以上が、互いから垂直方向に間隔を置いて配置され得、第1の治療コイル310aのコイル幾何学形状が、被験者の頭部52に対して凹形になることができるようになっている。第2の治療コイル310bのワインディング312f~312jのうちの2つ以上が、互いから垂直方向に間隔を置いて配置され得、第2の治療コイル310bのコイル幾何学形状が、被験者の頭部52に対して凹形になることができるようになっている。示されているように、第1および第2の治療コイル310a、310bは、被験者の頭部52のそれぞれの部分を取り巻くそれぞれの凹形の受け皿形状のコイル幾何学形状を画定している。
【0062】
TMSデバイス300は、第1の治療コイル310aに対応する第1の強磁性コンポーネント330aと、第2の治療コイル310bに対応する第2の強磁性コンポーネント330bとを含むことが可能である。第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bは、第1および第2の治療コイル310a、310bによって発生させられる磁場の1または複数の性質を変化させるように構成され得る。示されているように、第1の強磁性コンポーネント330aは、第1の治療コイル310aの近位に位置付けされ得、第2の強磁性コンポーネント330bは、第2の治療コイル310bの近位に位置付けされ得る。第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bは、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0063】
第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bは、任意の適切な形状を画定することが可能であり、また、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。示されているように、第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bは、受け皿状の形状を有している。第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bのうちの一方または両方は、それぞれの内側表面(図示せず)を画定することが可能であり、それぞれの内側表面は、被験者の頭部52に面しており、また、第1および第2の治療コイル310a、310bの対応する部分に、および/または、被験者の頭部52の対応する部分に、それぞれ少なくとも部分的に適合するように構成され得る。
【0064】
第1の強磁性コンポーネント330aは、第1の治療コイル310aを少なくとも部分的に受け入れるように構成され得、第1の強磁性コンポーネント330aが、第1の治療コイル310aの一部分の近位に位置決めされるようになっている。たとえば、第1の強磁性コンポーネント330aの内側表面は、ワインディング312a~312eのうちの1つまたは複数を受け入れるように構成され得る。第2の強磁性コンポーネント330bは、第2の治療コイル310bを少なくとも部分的に受け入れるように構成され得、第2の強磁性コンポーネント330bが、第2の治療コイル310bの一部分の近位に位置決めされるようになっている。たとえば、第2の強磁性コンポーネント330bの内側表面は、ワインディング312f~312jのうちの1つまたは複数を受け入れるように構成され得る。
【0065】
第1の治療コイル310aが、たとえば、
図3Aに示されているように、第1の強磁性コンポーネント330aの内側表面の近位に配設されているときには、第1の強磁性コンポーネント330aは、第1の複数のワインディング312のそれぞれの部分を少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。第2の治療コイル310bが、たとえば、
図3Aに示されているように、第2の強磁性コンポーネント330bの内側表面の近位に配設されているときには、第2の強磁性コンポーネント330bは、第2の複数のワインディング312のそれぞれの部分を少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。第1のおよび/または第2の強磁性コンポーネント330a、330bのそれぞれの部分は、1または複数の対応するワインディング312と同様の(たとえば、それと事実上同じ)形状を有することが可能である。
【0066】
TMSデバイス300は、第1の治療コイル310aおよび第1の強磁性コンポーネント330aが互いに対して支持されるように、および、第2の治療コイル310bおよび第2の強磁性コンポーネント330bが互いに対して支持されるように、構成され得る。たとえば、TMSデバイス300は、第1の強磁性コンポーネント330aが(たとえば、第1の強磁性コンポーネント330aの内側表面において)第1の治療コイル310aを支持するように、および、第2の強磁性コンポーネント330bが(たとえば、第2の強磁性コンポーネント330bの内側表面において)第2の治療コイル310bを支持するように、構成され得る。第1の治療コイル310aおよび第1の強磁性コンポーネント330aは、1または複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、1または複数の相補的な取り付け部材は、第1の強磁性コンポーネント330aに対する第1の治療コイル310aの取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されており、第2の治療コイル310bおよび第2の強磁性コンポーネント330bは、1または複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、1または複数の相補的な取り付け部材は、第2の強磁性コンポーネント330bに対する第2の治療コイル310bの取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されている。
【0067】
第1の治療コイル310aが第1の強磁性コンポーネント330aによって支持されているときには(たとえば、第1の強磁性コンポーネント330aに取り付けられているときには)、第1の治療コイル310aは、たとえば、誘電体を使用して、第1の強磁性コンポーネント330aから電気的に隔離され得る。誘電体は、空気であることが可能であり、また、第1の治療コイル310aが第1の強磁性コンポーネント330a(たとえば、第1の強磁性コンポーネント330aの内側表面)に取り付けられているときには、第1の複数のワインディング312が第1の強磁性コンポーネント330aの内側表面から間隔を置いて配置され得る。第1の治療コイル310aは、任意の適切な電気的に隔離する材料(たとえば、誘電体)から作製され得る1または複数の取り付け部材を使用して、第1の強磁性コンポーネント330aに取り付けられ得る。
図3Aに示されているように、第1の治療コイル310aが第1の強磁性コンポーネント330aの中に受け入れられているときには、第1の治療コイル310aは、第1の強磁性コンポーネント330aによって少なくとも部分的に囲まれ得る。
【0068】
第2の治療コイル310bが第2の強磁性コンポーネント330bによって支持されているときには(たとえば、第2の強磁性コンポーネント330bに取り付けられているときには)、第2の治療コイル310bは、たとえば、誘電体を使用して、第2の強磁性コンポーネント330bから電気的に隔離され得る。誘電体は、空気であることが可能であり、また、第2の治療コイル310bが第2の強磁性コンポーネント330b(たとえば、第2の強磁性コンポーネント330bの内側表面)に取り付けられているときには、第2の複数のワインディング312が第2の強磁性コンポーネント330bの内側表面から間隔を置いて配置され得る。第2の治療コイル310bは、任意の適切な電気的に隔離する材料(たとえば、誘電体)から作製され得る1または複数の取り付け部材を使用して、第2の強磁性コンポーネント330bに取り付けられ得る。
図3Aに示されているように、第2の治療コイル310bが第2の強磁性コンポーネント330bの中に受け入れられているときには、第2の治療コイル310bは、第2の強磁性コンポーネント330bによって少なくとも部分的に囲まれ得る。
【0069】
第1の強磁性コンポーネント330aは、1または複数の開口部332を画定することが可能であり、1または複数の開口部332は、被験者の頭部52の対応する部分を露出させ、たとえば、TMS治療の間の冷却を促進させることが可能である。第2の強磁性コンポーネント330bは、1または複数の開口部332を画定することが可能であり、1または複数の開口部332は、被験者の頭部52の対応する部分を露出させ、たとえば、TMS治療の間の冷却を促進させることが可能である。示されているように、第1の強磁性コンポーネント330aは、その上側端部において、それを通って延在する開口部332を画定しており、第2の強磁性コンポーネント330bは、その上側端部において、それを通って延在する開口部332を画定している。第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bのうちの一方または両方は、より多くのまたはより少ない開口部を画定するように構成され得るということが認識されるべきである。たとえば、第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bのうちの一方または両方は、それを通る複数の開口部を画定するように構成され得、または、それを通る開口部なしで構成され得る。
【0070】
第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bは、互いに対して支持され得る。たとえば、ブリッジ部材(図示せず)が、第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bを互いに対して支持するために使用され得る。そのようなブリッジ部材は、たとえば、第1の強磁性コンポーネント330aに(たとえば、取り外し可能に)取り付けられる第1の端部と、第2の強磁性コンポーネント330bに(たとえば、取り外し可能に)取り付けられる対向する第2の端部とを有することが可能である。ブリッジ部材は、TMSデバイス300の調節を可能にし、たとえば、被験者の頭部52に対する第1のおよび/または第2の治療コイル310a、310bの位置決めを調節するように構成され得る。ブリッジ部材の第1の端部は、固定してまたは移動可能に(たとえば、回転可能に)第1の強磁性コンポーネント330aに取り付けられ得る。ブリッジ部材の第2の端部は、固定してまたは移動可能に(たとえば、回転可能に)第2の強磁性コンポーネント330bに取り付けられ得る。
【0071】
ブリッジ部材は、第1の端部と第2の端部との間で調節可能であるように構成され得る。たとえば、ブリッジ部材は、第1の強磁性コンポーネント330aに取り付けられている第1の部分と、第2の強磁性コンポーネント330bに取り付けられている第2の部分とを含むことが可能である。ブリッジ部材の第1および第2の部分は、互いを通り過ぎてスライドするように構成され得、ブリッジ部材の第1および第2の部分を互いに対してスライドさせることによって、TMSデバイス300が(たとえば、被験者解剖学的構造に対して)調節され得るようになっている。ブリッジ部材は、(たとえば、ピボットまたはジョイントの周りに)互いに対して角度的に移動可能な第1および第2の部分を含むことが可能であり、TMSデバイス300が(たとえば、被験者解剖学的構造に対して)調節され得るようになっている。
【0072】
たとえば、
図3Aに示されているように被験者に対して構成および配向されるようなTMSデバイス300は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、第1の治療コイル310aと第2の治療コイル310bとの間に位置付けされている領域において、たとえば、被験者の脳の上側領域において、被験者の脳の他の領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。TMSデバイス300が、示されているように、被験者50に対して配向させられているときには、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。
【0073】
TMSデバイス300は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス300は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0074】
第1および第2の治療コイル310a、310bの中の電流分配は、同じであるかまたは異なることが可能である。たとえば、第1または第2の治療コイル310a、310bのうちの1つに送達される電流が、(たとえば、より長いワインディング312、より大きいワインディング密度などを介して)より大きいエリアにわたって広げられる場合には、TMSデバイス300によって発生させられる磁場の1または複数の性質(たとえば、集束性、透過深度など)が変更され得る。
【0075】
追加的に、TMSデバイス300によって発生させられる磁場の1または複数の性質は、(たとえば、調節可能なブリッジング部材を使用して)第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bの互いに対するスペーシングを調節することによって変更され得る。たとえば、第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bが、互いに対してより近くに(たとえば、被験者の頭部の上部に対してより近くに)移動させられる場合には、TMSデバイス300によって発生させられる結果として生じる磁場は、より大きい集束性を示すことが可能であり、また、減少した透過深度を示すことが可能である。第1および第2の強磁性コンポーネント330a、330bが、互いに対してより遠くへ(たとえば、被験者の頭部の上部から離れるように)移動させられる場合には、TMSデバイス300によって発生させられる結果として生じる磁場は、より小さい集束性を示すことが可能であり、また、増加した透過深度を示すことが可能である。そのうえ、第1および/または第2の治療コイル310a、310bのそれぞれのワインディング312の1または複数の間の半径方向のスペーシングが増加させられる場合には、TMSデバイス300によって発生させられる結果として生じる磁場は、増加した透過深度を示すことが可能である。
【0076】
図4Aおよび
図4Bは、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス400を示しており、TMSデバイス400は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。
【0077】
示されているように、TMSデバイス400は、第1の治療コイル410a、第2の治療コイル410b、第1の強磁性コンポーネント430a、および、第2の強磁性コンポーネント430bを含む。TMSデバイス400は、たとえば、
図4Aに示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者50の頭部52の近位に配設され得る。
【0078】
第1および第2の治療コイル410a、410bは、それぞれの複数のワインディング412などのような、1または複数のワインディング412をそれぞれ含むことが可能である。第1および第2の治療コイル410a、410bは、同じまたは異なる数のワインディング412を含むことが可能である。示されているように、第1の治療コイル410aは、5つのワインディング412a~412eを含む第1の複数のワインディング412を含む、第2の治療コイル410bは、5つのワインディング412f~412jを含む第2の複数のワインディング412を含む。第1および第2の治療コイル410a、410bのうちの一方または両方は、より多くのまたはより少ないワインディング412を含むことが可能であり、および/または、同じまたは異なる幾何学形状、半径方向のスペーシングなどを有するワインディング412を含むことが可能であるということが認識されるべきである。
【0079】
第1および第2の治療コイル410a、410bのうちの一方または両方は、それぞれのモノリシックのピースの材料から製作され得る。たとえば、第1の長さの材料(たとえば、金属ストリップ)が、第1の治療コイル410aに対応する第1の複数のワインディング412を画定するように、連続的に巻かれ得、第2の長さの材料(たとえば、金属ストリップ)が、第2の治療コイル410bに対応する第2の複数のワインディング412を画定するように、連続的に巻かれ得る。ワインディング412(たとえば、ワインディング412a~412jのうちの1つまたは複数)は、別々に製作され、互いに対して支持され、たとえば、1または複数の取り付け部材(図示せず)を使用して互いに対して取り付けられ得る。別々に製作された複数のワインディング412が、たとえば、複数のワインディング412のそれぞれのものを相互接続する1または複数の導電性の取り付け部材を使用して、互いに電気的な通信状態に置くことができる。
【0080】
それぞれのワインディング412は、たとえば、ワインディング412の周囲部によって画定されるような、および、ワインディング412を通る中心軸線に沿って測定されるような、それぞれの長さを画定することが可能である。第1のおよび/または第2の複数のワインディング412のそれぞれのものは、同じ長さまたは異なる長さを有することが可能である。それぞれのワインディング412は、その長さに沿って(たとえば、その中心軸線に対して垂直に)、長方形などのような任意の適切な断面を画定することが可能である。ワインディング412a~412eおよび412f~412jのうちの1つまたは複数をそれぞれ含む、第1および第2の治療コイル410a、410bのうちの一方または両方は、銅などのような、適切な電気伝導性を示す任意の材料から作製され得る。
【0081】
ワインディング412は、たとえば、図示されている円形形状など、任意の適切な形状を画定することが可能である。ワインディング412のそれぞれのものは、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。示されているように、第1の治療コイル410aのワインディング412a~412eは、互いに対して実質的に同じ円形形状を有しているが、最上部ワインディング412aから最下部ワインディング412eへ順次増加する長さを示している。最上部ワインディング412aは、第1の治療コイル410aの最も内側のワインディングと称され得、最下部ワインディング412eは、第1の治療コイル410aの最も外側のワインディングと称され得る。第2の治療コイル410bは、第1の治療コイル410aと同じに構築され得、ワインディング412f~412jが、最上部ワインディング412fから最下部ワインディング412jへ順次増加する長さを示すようになっている。最上部ワインディング412fは、第2の治療コイル410bの最も内側のワインディングと称され得、最下部ワインディング412jは、第2の治療コイル410bの最も外側のワインディングと称され得る。
【0082】
第1の治療コイル410aのワインディング412a~412e、および/または、第2の治療コイル410bのワインディング412f~412jは、ワインディングからワインディングへの(たとえば、隣接するワインディング412同士の間の)スペーシングが均一なままであるかまたは変化するように構成され得る。たとえば、ワインディング412a~412eの間のスペーシング、および/または、ワインディング412f~412jの間のスペーシングは、ワインディング412a~412jのそれぞれの長さ、形状、位置決めなどによって画定され得る。示されているように、第1の治療コイル410aのワインディング412a~412eは、被験者の頭部52を通って延在するそれぞれの軸線A11~A15に中心を合わせられ得、それぞれの軸線A11~A15は、互いに対して角度的にオフセットされており、ワインディング412a~412eが、第1の治療コイル410aの1つの側部において、最も近くに間隔を置いて配置され得るようになっており、また、第1の治療コイル410aの対向する側部において、互いから最も遠くに離れて間隔を置いて配置され得るようになっている。第2の治療コイル410bのワインディング412f~412jは、被験者の頭部52を通って延在するそれぞれの軸線A16~A20に中心を合わせられ得、それぞれの軸線A16~A20は、互いに対して角度的にオフセットされており、ワインディング412f~412jが、第2の治療コイル410bの1つの側部において、最も近くに間隔を置いて配置され得るようになっており、また、第2の治療コイル410bの対向する側部において、互いから最も遠くに離れて間隔を置いて配置され得るようになっている。
【0083】
軸線A11~A20は、被験者の頭部52の中の共通のポイントP3(たとえば、内側に位置付けされているポイント)を通過することが可能である。軸線A11~15のうちの隣接するもの同士の間のそれぞれの角度的なオフセットは、同じであるかまたは異なることが可能であり、軸線A16~A20のうちの隣接するもの同士の間のそれぞれの角度的なオフセットは、同じであるかまたは異なることが可能である。軸線A11~15のうちの隣接するもの同士の間のそれぞれの角度的なオフセットは、軸線A16~20のうちの隣接するもの同士の間のそれぞれの角度的なオフセットに対応することが可能である。
【0084】
第1および第2の治療コイル410a、410bのうちの一方または両方は、被験者の頭部52のそれぞれの領域に適合するコイル幾何学形状を画定するように構成され得る。たとえば、第1の治療コイル410aのワインディング412a~412eのうちの2つ以上が、互いから垂直方向に間隔を置いて配置され得、第1の治療コイル410aのコイル幾何学形状が、被験者の頭部52に対して凹形になることができるようになっている。第2の治療コイル410bのワインディング412f~412jのうちの2つ以上が、互いから垂直方向に間隔を置いて配置され得、第2の治療コイル410bのコイル幾何学形状が、被験者の頭部52に対して凹形になることができるようになっている。示されているように、第1および第2の治療コイル410a、410bは、被験者の頭部52のそれぞれの部分を取り巻くそれぞれの凹形の受け皿形状のコイル幾何学形状を画定している。
【0085】
TMSデバイス400は、第1の治療コイル410aに対応する第1の強磁性コンポーネント430aと、第2の治療コイル410bに対応する第2の強磁性コンポーネント430bとを含むことが可能である。第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bは、第1および第2の治療コイル410a、410bによって発生させられる磁場の1または複数の性質を変化させるように構成され得る。示されているように、第1の強磁性コンポーネント430aは、第1の治療コイル410aの近位に位置付けされ得、第2の強磁性コンポーネント430bは、第2の治療コイル410bの近位に位置付けされ得る。第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bは、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0086】
第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bは、任意の適切な形状を画定することが可能であり、また、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。示されているように、第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bは、受け皿状の形状を有している。第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bのうちの一方または両方は、それぞれの内側表面(図示せず)を画定することが可能であり、それぞれの内側表面は、被験者の頭部52に面しており、また、第1および第2の治療コイル410a、410bの対応する部分に、および/または、被験者の頭部52の対応する部分に、それぞれ少なくとも部分的に適合するように構成され得る。
【0087】
第1の強磁性コンポーネント430aは、第1の治療コイル410aを少なくとも部分的に受け入れるように構成され得、第1の強磁性コンポーネント430aが、第1の治療コイル410aの一部分の近位に位置決めされるようになっている。たとえば、第1の強磁性コンポーネント430aの内側表面は、ワインディング412a~412eのうちの1つまたは複数を受け入れるように構成され得る。第2の強磁性コンポーネント430bは、第2の治療コイル410bを少なくとも部分的に受け入れるように構成され得、第2の強磁性コンポーネント430bが、第2の治療コイル410bの一部分の近位に位置決めされるようになっている。たとえば、第2の強磁性コンポーネント430bの内側表面は、ワインディング412f~412jのうちの1つまたは複数を受け入れるように構成され得る。
【0088】
第1の治療コイル410aが、たとえば、
図4Aに示されているように、第1の強磁性コンポーネント430aの内側表面の近位に配設されているときには、第1の強磁性コンポーネント430aは、第1の複数のワインディング412のそれぞれの部分を少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。第2の治療コイル410bが、たとえば、
図4Aに示されているように、第2の強磁性コンポーネント430bの内側表面の近位に配設されているときには、第2の強磁性コンポーネント430bは、第2の複数のワインディング412のそれぞれの部分を少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。第1のおよび/または第2の強磁性コンポーネント430a、430bのそれぞれの部分は、1または複数の対応するワインディング412と同様の(たとえば、それと事実上同じ)形状を有することが可能である。
【0089】
TMSデバイス400は、第1の治療コイル410aおよび第1の強磁性コンポーネント430aが互いに対して支持されるように、および、第2の治療コイル410bおよび第2の強磁性コンポーネント430bが互いに対して支持されるように、構成され得る。たとえば、TMSデバイス400は、第1の強磁性コンポーネント430aが(たとえば、第1の強磁性コンポーネント430aの内側表面において)第1の治療コイル410aを支持するように、および、第2の強磁性コンポーネント430bが(たとえば、第2の強磁性コンポーネント430bの内側表面において)第2の治療コイル410bを支持するように、構成され得る。第1の治療コイル410aおよび第1の強磁性コンポーネント430aは、1または複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、1または複数の相補的な取り付け部材は、第1の強磁性コンポーネント430aに対する第1の治療コイル410aの取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されており、第2の治療コイル410bおよび第2の強磁性コンポーネント430bは、1または複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、1または複数の相補的な取り付け部材は、第2の強磁性コンポーネント430bに対する第2の治療コイル410bの取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されている。
【0090】
第1の治療コイル410aが第1の強磁性コンポーネント430aによって支持されているときには(たとえば、第1の強磁性コンポーネント430aに取り付けられているときには)、第1の治療コイル410aは、たとえば、誘電体を使用して、第1の強磁性コンポーネント430aから電気的に隔離され得る。誘電体は、空気であることが可能であり、また、第1の治療コイル410aが第1の強磁性コンポーネント430a(たとえば、第1の強磁性コンポーネント430aの内側表面)に取り付けられているときには、第1の複数のワインディング412が第1の強磁性コンポーネント430aの内側表面から間隔を置いて配置され得る。第1の治療コイル410aは、任意の適切な電気的に隔離する材料(たとえば、誘電体)から作製され得る1または複数の取り付け部材を使用して、第1の強磁性コンポーネント430aに取り付けられ得る。
図4Aに示されているように、第1の治療コイル410aが第1の強磁性コンポーネント430aの中に受け入れられているときには、第1の治療コイル410aは、第1の強磁性コンポーネント430aによって少なくとも部分的に囲まれ得る。
【0091】
第2の治療コイル410bが第2の強磁性コンポーネント430bによって支持されているときには(たとえば、第2の強磁性コンポーネント430bに取り付けられているときには)、第2の治療コイル410bは、たとえば、誘電体を使用して、第2の強磁性コンポーネント430bから電気的に隔離され得る。誘電体は、空気であることが可能であり、また、第2の治療コイル410bが第2の強磁性コンポーネント430b(たとえば、第2の強磁性コンポーネント430bの内側表面)に取り付けられているときには、第2の複数のワインディング412が第2の強磁性コンポーネント430bの内側表面から間隔を置いて配置され得る。第2の治療コイル410bは、任意の適切な電気的に隔離する材料(たとえば、誘電体)から作製され得る1または複数の取り付け部材を使用して、第2の強磁性コンポーネント430bに取り付けられ得る。
図4Aに示されているように、第2の治療コイル410bが第2の強磁性コンポーネント430bの中に受け入れられているときには、第2の治療コイル410bは、第2の強磁性コンポーネント430bによって少なくとも部分的に囲まれ得る。
【0092】
第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bは、互いに対して支持され得る。たとえば、ブリッジ部材(図示せず)が、第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bを互いに対して支持するために使用され得る。そのようなブリッジ部材は、たとえば、第1の強磁性コンポーネント430aに(たとえば、取り外し可能に)取り付けられる第1の端部と、第2の強磁性コンポーネント430bに(たとえば、取り外し可能に)取り付けられる対向する第2の端部とを有することが可能である。ブリッジ部材は、TMSデバイス400の調節を可能にし、たとえば、被験者の頭部52に対する第1のおよび/または第2の治療コイル410a、410bの位置決めを調節するように構成され得る。ブリッジ部材の第1の端部は、固定してまたは移動可能に(たとえば、回転可能に)第1の強磁性コンポーネント430aに取り付けられ得る。ブリッジ部材の第2の端部は、固定してまたは移動可能に(たとえば、回転可能に)第2の強磁性コンポーネント430bに取り付けられ得る。
【0093】
ブリッジ部材は、第1の端部と第2の端部との間で調節可能であり得る。たとえば、ブリッジ部材は、第1の強磁性コンポーネント430aに取り付けられている第1の部分と、第2の強磁性コンポーネント430bに取り付けられている第2の部分とを含むことが可能である。ブリッジ部材の第1および第2の部分は、互いを通り過ぎてスライドするように構成され得、ブリッジ部材の第1および第2の部分を互いに対してスライドさせることによって、TMSデバイス400が(たとえば、被験者解剖学的構造に対して)調節され得るようになっている。ブリッジ部材は、(たとえば、ピボットまたはジョイントの周りに)互いに対して角度的に移動可能な第1および第2の部分を含むことが可能であり、TMSデバイス400が(たとえば、被験者解剖学的構造に対して)調節され得るようになっている。
【0094】
たとえば、
図4Aに示されているように被験者に対して構成および配向されるようなTMSデバイス400は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、第1の治療コイル410aと第2の治療コイル410bとの間に位置付けされている領域において、たとえば、被験者の脳の上側領域において、被験者の脳の他の領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。TMSデバイス400が、示されているように、被験者50に対して配向させられているときには、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。
【0095】
TMSデバイス400が
図4Aに示されているように配向されているときには、第1および第2の治療コイル410a、410bは、電流リターン経路を画定することが可能であり、電流リターン経路は、被験者の頭部52の近くにある。これは、リターン電流の駆動を支援することが可能であり、また、TMSデバイス400の効率を改善することが可能である。図示されている第1および第2の治療コイル410a、410bは、TMSデバイス400によって発生させられる誘導リターン電流を広げ、たとえば、被験者の頭部52の中にリターン電流を分散することが可能である。誘導リターン電流を分散することは、被験者の脳のターゲットとされていない領域の刺激などのような、TMS治療の副作用を低減させることが可能である。
【0096】
TMSデバイス400は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス400は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0097】
第1および第2の治療コイル410a、410bの中の電流分配は、同じであるかまたは異なることが可能である。たとえば、第1または第2の治療コイル410a、410bのうちの1つに送達される電流が、(たとえば、より長いワインディング412、より大きいワインディング密度などを介して)より大きいエリアにわたって広げられる場合には、TMSデバイス400によって発生させられる磁場の1または複数の性質(たとえば、集束性、透過深度など)が変更され得る。
【0098】
追加的に、TMSデバイス400によって発生させられる磁場の1または複数の性質は、(たとえば、調節可能なブリッジング部材を使用して)第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bの互いに対するスペーシングを調節することによって変更され得る。たとえば、第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bが、互いに対してより近くに(たとえば、被験者の頭部の上部に対してより近くに)移動させられる場合には、TMSデバイス400によって発生させられる結果として生じる磁場は、より大きい集束性を示すことが可能であり、また、減少した透過深度を示すことが可能である。第1および第2の強磁性コンポーネント430a、430bが、互いに対してより遠くへ(たとえば、被験者の頭部の上部から離れるように)移動させられる場合には、TMSデバイス400によって発生させられる結果として生じる磁場は、より小さい集束性を示すことが可能であり、また、増加した透過深度を示すことが可能である。そのうえ、第1および/または第2の治療コイル410a、410bのそれぞれのワインディング412の1または複数の間の半径方向のスペーシングが増加させられる場合には、TMSデバイス400によって発生させられる結果として生じる磁場は、増加した透過深度を示すことが可能である。
【0099】
図5Aおよび
図5Bは、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス500を示しており、TMSデバイス500は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。
【0100】
示されているように、TMSデバイス500は、第1の治療コイル510a、第2の治療コイル510b、第3の治療コイル510c、第4の治療コイル510d、第1の強磁性コンポーネント530a、および、第2の強磁性コンポーネント530bを含む。TMSデバイス500は、たとえば、
図5Aに示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者50の頭部52の近位に配設され得る。
【0101】
第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dは、それぞれの複数のワインディング512などのような、1または複数のワインディング512をそれぞれ含むことが可能である。第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dは、同じまたは異なる数のワインディング512を含むことが可能である。示されているように、第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dは、単一のワインディング512をそれぞれ含む。それぞれのワインディング512は、単一のターンの材料から製作され得る。ワインディング512のうちの1つまたは複数、たとえば、ワインディング512のそれぞれは、複数のターンの材料(たとえば、ワインディングの周囲の周りに何度も巻き付けられた1ピースのワイヤー)から製作され得る。第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dのうちの1つまたは複数は、2つ以上のワインディング512、たとえば、複数のワインディング512を含むことが可能であるということが認識されるべきである。
【0102】
ワインディング512は、任意の適切な形状を画定することが可能である。ワインディング512のそれぞれのものは、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。示されているように、それぞれのワインディング512は、実質的に同じ円形形状を画定している。それぞれのワインディング512は、たとえば、ワインディング512の周囲部によって画定されるような、および、ワインディング412を通る中心軸線に沿って測定されるような、それぞれの長さを画定することが可能である。第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dのそれぞれのワインディング512は、同じ長さまたは異なる長さを有することが可能である。示されているように、第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dのワインディング512は、同じ長さを有している。それぞれのワインディング512は、その長さに沿って(たとえば、その中心軸線に対して垂直に)、長方形などのような任意の適切な断面を画定することが可能である。ワインディング512は、銅などのような、適切な電気伝導性を示す任意の材料から作製され得る。
【0103】
第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dは、被験者の頭部52に対して配向され得る。第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dは、互いに対して同じにまたは異なって配向され得る。示されているように、第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dは、被験者50に対して実質的に横断方向の平面の上で、互いに対して同一平面上にある構成で配向されている。
【0104】
TMSデバイス500は、第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dのうちの1つまたは複数が互いに対して異なって配向されている状態で構成され得るということが認識されるべきである。第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dは、被験者の頭部52の領域に適合するために、互いに対して異なって配向され得る(たとえば、それぞれの幾何学的中心の周りに回転させられる)。たとえば、TMSデバイス500は、第2および第3の治療コイル510b、510cがそれらのそれぞれの幾何学的中心の周りに90度回転させられた状態で構成され得、第2および第3の治療コイル510b、510cが、第1および第4の治療コイル510a、510dがその中に配向される平面に対して垂直の平面の中に配向されるようになっている。
【0105】
TMSデバイス500は、第1および第2の治療コイル510a、510bに対応する第1の強磁性コンポーネント530aと、第3および第4の治療コイル510c、510dに対応する第2の強磁性コンポーネント530bとを含むことが可能である。第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bは、第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dによって発生させられる磁場の1または複数の性質を変化させるように構成され得る。示されているように、第1の強磁性コンポーネント530aは、第1および第2の治療コイル510a、510bの近位に位置付けされ得、第2の強磁性コンポーネント530bは、第3および第4の治療コイル510c、510dの近位に位置付けされ得る。第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bは、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0106】
第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bは、任意の適切な形状を画定することが可能であり、また、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。示されているように、第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bは、実質的に同じアーチを形成した円筒形状を有している。第1の強磁性コンポーネント530aは、第1の治療コイル510aを支持するように構成されている第1の端部と、第2の治療コイル510bを支持するように構成されている対向する第2の端部とを画定することが可能である。第2の強磁性コンポーネント530bは、第1の治療コイル510aを支持するように構成されている第1の端部と、第2の治療コイル510bを支持するように構成されている対向する第2の端部とを画定することが可能である。
【0107】
第1の強磁性コンポーネント530aは、第1および第2の治療コイル510a、510bを支持するように構成され得、第1の強磁性コンポーネント530aが、第1および第2の治療コイル510a、510bの近位に位置決めされるようになっている。たとえば、第1の治療コイル510aは、第1の強磁性コンポーネント530aの第1の端部に取り付けられ得(たとえば、第1の強磁性コンポーネント530aの第1の端部の周りに巻き付けられている)、第2の治療コイル510bは、第1の強磁性コンポーネント530aの第2の端部に取り付けられ得る(たとえば、第1の強磁性コンポーネント530aの第2の端部の周りに巻き付けられている)。第2の強磁性コンポーネント530bは、第3および第4の治療コイル510c、510dを支持するように構成され得、第2の強磁性コンポーネント530bが、第3および第4の治療コイル510c、510dの近位に位置決めされるようになっている。たとえば、第3の治療コイル510cは、第2の強磁性コンポーネント530bの第1の端部に取り付けられ得(たとえば、第2の強磁性コンポーネント530bの第1の端部の周りに巻き付けられている)、第4の治療コイル510dは、第2の強磁性コンポーネント530bの第2の端部に取り付けられ得る(たとえば、第2の強磁性コンポーネント530bの第2の端部の周りに巻き付けられている)。
【0108】
第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bのうちの一方または両方は、第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dのうちの1または複数のそれぞれの部分を少なくとも部分的に囲むように構成され得るということが認識されるべきである。たとえば、第1の強磁性コンポーネント530aの第1の端部は、第1の治療コイル510aを少なくとも部分的に受け入れるように構成された表面を画定することが可能であり、第1の強磁性コンポーネント530aの第2の端部は、第2の治療コイル510bを少なくとも部分的に受け入れるように構成された表面を画定することが可能であり、第2の強磁性コンポーネント530bの第1の端部は、第3の治療コイル510cを少なくとも部分的に受け入れるように構成された表面を画定することが可能であり、および/または、第2の強磁性コンポーネント530bの第2の端部は、第4の治療コイル510dを少なくとも部分的に受け入れるように構成された表面を画定することが可能である。第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510d、ならびに、第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bは、それぞれの相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、それぞれの相補的な取り付け部材は、第1の強磁性コンポーネント530aに対する第1および第2の治療コイル510a、510bの取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)、ならびに、第2の強磁性コンポーネント530bに対する第3および第4の治療コイル510c、510dの取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されている。
【0109】
第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bは、互いに対して支持され得る。たとえば、ブリッジ部材(図示せず)が、第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bを互いに対して支持するために使用され得る。そのようなブリッジ部材は、たとえば、第1の強磁性コンポーネント530aに(たとえば、取り外し可能に)取り付けられる第1の端部と、第2の強磁性コンポーネント530bに(たとえば、取り外し可能に)取り付けられる対向する第2の端部とを有することが可能である。ブリッジ部材は、TMSデバイス500の調節を可能にし、たとえば、被験者の頭部52に対する第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dの位置決めを調節するように構成され得る。ブリッジ部材の第1の端部は、固定してまたは移動可能に(たとえば、回転可能に)第1の強磁性コンポーネント530aに取り付けられ得る。ブリッジ部材の第2の端部は、固定してまたは移動可能に(たとえば、回転可能に)第2の強磁性コンポーネント530bに取り付けられ得る。
【0110】
ブリッジ部材は、第1の端部と第2の端部との間で調節可能であり得る。たとえば、ブリッジ部材は、第1の強磁性コンポーネント530aに取り付けられている第1の部分と、第2の強磁性コンポーネント530bに取り付けられている第2の部分とを含むことが可能である。ブリッジ部材の第1および第2の部分は、互いを通り過ぎてスライドするように構成され得、ブリッジ部材の第1および第2の部分を互いに対してスライドさせることによって、TMSデバイス500が(たとえば、被験者解剖学的構造に対して)調節され得るようになっている。ブリッジ部材は、(たとえば、ピボットまたはジョイントの周りに)互いに対して角度的に移動可能な第1および第2の部分を含むことが可能であり、TMSデバイス500が(たとえば、被験者解剖学的構造に対して)調節され得るようになっている。
【0111】
TMSデバイス500は、治療コイルおよび強磁性コンポーネントの図示されている構成に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、TMSデバイス500は、より多くのもしくはより少ない治療コイル、および/または、より多くのもしくはより少ない強磁性コンポーネントを含むことが可能である。たとえば、TMSデバイス500は、第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dのそれぞれに関連付けられる(たとえば、第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dのそれぞれに取り付けられている)単一の強磁性コンポーネントを含むことが可能である。別の例では、TMSデバイスは、3つ、5つ、6つ、7つ、または、それ以上の治療コイル、および、1または複数の対応する強磁性コンポーネントを含むことが可能である。TMSデバイス500のそのような例の治療コイルは、任意の適切な構成で配向され得る。
【0112】
たとえば、
図5Aに示されているように被験者に対して構成および配向されるようなTMSデバイス500は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、510dのうちの隣接するもののそれぞれの中心の間に位置付けされている1または複数の領域において、被験者の脳の上側領域において、被験者の脳の他の領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。たとえば、より大きい磁場強度の第1の領域が、互いに対して最も近くにある第1および第2の治療コイル510a、510bのそれぞれの部分の間に示され得る。より大きい磁場強度の第2の領域が、互いに対して最も近くにある第2および第4の治療コイル510b、510dのそれぞれの部分の間に示され得る。より大きい磁場強度の第3の領域が、互いに対して最も近くにある第4および第3の治療コイル510d、510cのそれぞれの部分の間に示され得る。より大きい磁場強度の第4の領域が、互いに対して最も近くにある第3および第1の治療コイル510c、510aのそれぞれの部分の間に示され得る。
【0113】
第1、第2、第3、および第4の治療コイル510a、510b、510c、および510dは、強力な勾配を示す電場を誘導することが可能である。この勾配は、対向する治療コイル(たとえば、第1および第2の治療コイル510a、510b、または、第1および第3の治療コイル510a、510c)の上で反対方向に強力であることが可能である。誘導電場のこの性質は、急速に変化する電流密度における刺激に対してより敏感である可能性がある、被験者の脳の中の神経細胞(たとえば、末梢ニューロン)をより良好に真っ直ぐに刺激することができる磁場を結果として生じさせることが可能である。TMSデバイス500が、示されているように、被験者50に対して配向させられているときには、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。
【0114】
第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bは、(たとえば、第1および第2の強磁性コンポーネント530a、530bなしに、むき出しになった治療コイル510a~510dを使用し、磁場を発生させることとは対照的に、)TMSデバイス500の治療コイル510a~510dのエネルギー効率を改善することが可能である。
【0115】
TMSデバイス500は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス500は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0116】
TMSデバイス500によって発生させられる磁場の1または複数の性質は、第1の、第2の、第3の、または第4の治療コイル510a、510b、510c、510dのうちの1または複数のサイズを調節することによって変更され得る。たとえば、治療コイル510a~510dのうちの1または複数のそれぞれのサイズ(たとえば、直径、コイル密度など)を変更させることによって、TMSデバイス500によって発生させられる磁場は、被験者の脳の特定の部分(たとえば、ゾーン)をターゲットにするように変化させられ得る。治療コイル510a~510dのうちの1または複数のそれぞれのサイズを調節することは、被験者の脳の中の異なるそれぞれの場所において異なる強度を示す磁場をTMSデバイス500が生成することを引き起こすことが可能である。これは、たとえば、真っ直ぐである可能性がある(たとえば、湾曲していない)末梢神経の治療に関して、有用であるという可能性がある。
【0117】
図6Aおよび
図6Bは、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス600を示しており、TMSデバイス600は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。
【0118】
示されているように、TMSデバイス600は、治療コイル610および強磁性コンポーネント630を含む。TMSデバイス600は、たとえば、
図6Aに示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者50の頭部52の近位に配設され得る。
【0119】
治療コイル610は、複数のワインディング612などのような、1または複数のワインディング612を含むことが可能である。示されているように、治療コイル610は、4つのワインディング612a~612dを含む複数のワインディング612を有している。治療コイル610は、より多くのまたはより少ないワインディング612を含むことが可能であるということが認識されるべきである。
【0120】
治療コイル610は、モノリシックのピースの材料から製作され得る。たとえば、所定の長さの材料(たとえば、ワイヤー)が、複数のワインディング612を画定するように連続的に巻かれ得る。ワインディング612(たとえば、ワインディング612a~612dのうちの1つまたは複数)は、別々に製作され、互いに対して支持され、たとえば、1または複数の取り付け部材(図示せず)を使用して互いに対して取り付けられ得る。別々に製作された複数のワインディング612が、たとえば、ワインディング612のそれぞれのものを相互接続する1または複数の導電性の取り付け部材を使用して、互いに電気的な通信状態に置くことができる。
【0121】
ワインディング612は、治療コイル610のそれぞれの部分を画定するように構成され得る。たとえば、図示されている治療コイル610のワインディング612a~612dは、治療コイル610のベース部分614、および、治療コイル610の突出部分616を画定するように構成されている。ベース部分614は、被験者の頭部52の解剖学的構造に実質的に適合するように構成され得る。示されているように、ベース部分614は、被験者の頭部52の前頭部領域に実質的に適合するように構成されている凹形形状を画定している。ベース部分614は、治療の間に被験者の頭部52に接触するように、または治療の間に被験者の頭部52から(たとえば、わずかな距離だけ)間隔を置いて配置されるように、構成され得る。突出部分616は、治療コイル610のリターン部分として構成され得る。示されているように、治療コイル610の突出部分616は、ベース部分614に対して角度的にオフセットされており、ベース部分614から離れる方向に、および、被験者の頭部52から離れる方向に、ベース部分614から外向きに延在している。治療コイル610は、ベース部分614および/または突出部分616の図示されている構成に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、突出部分616は、湾曲していることが可能である(たとえば、被験者の頭部52の背面部に少なくとも部分的に適合する)。治療コイル610のそのような構成は、TMSデバイス600の効率を低減させることが可能である。
【0122】
示されているように、それぞれのワインディング612は、円弧形状の前方セグメント618と、対向する円弧形状の側部セグメント620と、複数の真っ直ぐな後方セグメント622とを画定しており、円弧形状の前方セグメント618は、被験者の頭部52の前方部の近位に配設され得、円弧形状の側部セグメント620は、被験者の頭部52の対応する側部に沿って配設され得、複数の真っ直ぐな後方セグメント622は、互いに接続されており、側部セグメント620に相互接続している。前方および/または側部セグメント618、620は、被験者の頭部52の対応する部分に適合するように構成され得る。図示されている治療コイル610のベース部分614は、ワインディング612のそれぞれの前方セグメントおよび側部セグメント618、620によって画定されており、治療コイル610の突出部分616は、複数の後方セグメント622によって画定されている。
【0123】
それぞれのワインディング612は、たとえば、ワインディング612の周囲部によって画定されるような、および、ワインディング612を通る中心軸線に沿って測定されるような、それぞれの長さを画定することが可能である。複数のワインディング612のそれぞれのものは、同じ長さまたは異なる長さを有することが可能である。それぞれのワインディング612は、その長さに沿って(たとえば、その中心軸線に対して垂直に)、円形などのような任意の適切な断面を画定することが可能である。ワインディング612a~612dのうちの1つまたは複数を含む治療コイル610は、銅などのような、適切な電気伝導性を示す任意の材料から作製され得る。
【0124】
ワインディング612のそれぞれのものは、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。図示されているワインディング612a~612dは、互いに対して同様の形状を有しており、互いに対して少なくとも部分的に入れ子にされ得る。ワインディング612aは、複数のワインディング612のうちの最も内側のワインディングと称され得、ワインディング612dは、複数のワインディング612のうちの最も外側のワインディングと称され得る。
【0125】
ワインディング612a~612dは、ワインディングからワインディングへの(たとえば、隣接するワインディング612同士の間の)スペーシングが均一なままであるかまたは変化するように構成され得る。たとえば、ワインディング612a~612dの間のスペーシングは、ワインディング612a~612dのそれぞれの長さ、形状、位置決めなどによって画定され得る。示されているように、互いからのワインディング612のスペーシングは、セグメントによって変化し、前方セグメント618は、側部セグメント620および後方セグメント622が互いから間隔を離して配置されているよりも、互いから遠くへ間隔を離して配置されるようになっている。
【0126】
治療コイル610は、被験者の頭部52の領域に適合するコイル幾何学形状を画定するように構成され得る。たとえば、ワインディング612a~612dのうちの2つ以上が、互いから垂直方向に間隔を置いて配置され得、治療コイル610のコイル幾何学形状が、被験者の頭部52に対して凹形になることができるようになっている。示されているように、治療コイル610のベース部分614は、被験者の頭部52の一部分を囲む凹形のバンド形状のコイル幾何学形状を画定している。
【0127】
TMSデバイス600は、強磁性コンポーネント630を含むことが可能である。強磁性コンポーネント630は、治療コイル610によって発生させられる磁場の1または複数の性質を変化させるように構成され得る。示されているように、強磁性コンポーネント630は、治療コイル610の近位に配設され得る(たとえば、治療コイル610の近くに位置付けされている)。強磁性コンポーネント630は、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0128】
強磁性コンポーネント630は、たとえば、図示されている環状のセミトロイダルの形状など、任意の適切な形状を画定することが可能である。強磁性コンポーネント630は、内側表面632を画定することが可能であり、内側表面632は、被験者の頭部52に面しており、また、治療コイル610の対応する部分に、および/または、被験者の頭部52の対応する部分に、少なくとも部分的に適合するように構成されている。内側表面632は、被験者の頭部52の対応する部分のものと実質的に同様の(たとえば、わずかにそれよりも大きい)プロポーションを備える形状を画定することが可能である。
【0129】
強磁性コンポーネント630は、治療コイル610を少なくとも部分的に受け入れるように構成され得、強磁性コンポーネント630が、治療コイル610の一部分の近位に位置決めされるようになっている。強磁性コンポーネントは、ベース部分614などのような、治療コイル610の一部分を部分的に囲むことが可能である。強磁性コンポーネント630は、凹部(図示せず)を画定することが可能であり、凹部は、強磁性コンポーネント630の内側表面632の中へ延在しており、また、治療コイル610の少なくとも一部分を受け入れるように構成されている。凹部は、複数のワインディング612のうちの1つまたは複数を受け入れるように構成され得る。治療コイル610が、凹部の中に配設されているとき、強磁性コンポーネント630は、複数のワインディング612のそれぞれの部分を少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。凹部を画定する強磁性コンポーネント630の部分は、1または複数の対応するワインディング612と同様の(たとえば、それと事実上同じ)形状を有することが可能である。
【0130】
強磁性コンポーネント630は、1または複数の開口部を画定することが可能であり、1または複数の開口部は、被験者の頭部52の対応する部分を露出させ、たとえば、TMS治療の間の冷却を促進させることが可能である。示されているように、強磁性コンポーネント630は、それを通って延在する開口部634を画定している。図示されている開口部634は、強磁性コンポーネント630の上側端部に位置付けされている。示されているように、開口部634は、治療コイル610の突出部分616が開口部634の中に配設され得るように構成されている。強磁性コンポーネント630は、より多くのまたはより少ない開口部を画定するように構成され得るということが認識されるべきである。たとえば、強磁性コンポーネント630は、それを通る複数の開口部を画定するように構成され得、または、それを通る開口部なしで構成され得る(たとえば、ドーム状の形状で構成されている)。
【0131】
TMSデバイス600は、治療コイル610および強磁性コンポーネント630が互いに対して支持されるように構成され得る。たとえば、TMSデバイス600は、強磁性コンポーネント630が(たとえば、凹部の中に)治療コイル610を支持するように構成され得る。治療コイル610および強磁性コンポーネント630のうちの一方または両方は、相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント630に対する治療コイル610の取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されている。
【0132】
治療コイル610が強磁性コンポーネント630によって支持されているときには(たとえば、強磁性コンポーネント630に取り付けられているときには)、治療コイル610は、たとえば、誘電体を使用して、強磁性コンポーネント630から電気的に隔離され得る。示されているように、誘電体は、空気であることが可能であり、また、治療コイル610が強磁性コンポーネント630に取り付けられているときには(たとえば、凹部の中に配設されているときには)、複数のワインディング612が強磁性コンポーネント630の内側表面632から間隔を置いて配置され得る。治療コイル610は、任意の適切な電気的に隔離する材料(たとえば、誘電体)から作製され得る1または複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント630に取り付けられ得る。
【0133】
治療コイル610および強磁性コンポーネント630が、組み立てられた構成で、互いに対して支持されているとき、たとえば、
図6Aに示されているように、治療コイル610の突出部分616は、強磁性コンポーネント630の中の開口部634を通って突出することが可能であり、また、被験者の頭部52から離れるように、および、強磁性コンポーネント630から離れるように延在することが可能である。治療コイル610および強磁性コンポーネント630が、組み立てられた構成で、互いに対して支持されているとき、治療コイル610、たとえば、ベース部分614、および、突出部分616の少なくとも一部分が、強磁性コンポーネント630によって少なくとも部分的に囲まれ得る。
【0134】
TMSデバイス600が被験者50に対して配向されているとき、たとえば、
図6Aに示されているように、強磁性コンポーネント630(たとえば、内側表面632)が、被験者の頭部52の外側表面の近くに位置決めされ得る。たとえば、強磁性コンポーネント630は、被験者の頭部52の一部分を取り巻くことが可能であり、強磁性コンポーネント630が、治療コイル610の少なくとも一部分(たとえば、ベース部分614)を囲むようになっている。強磁性コンポーネント630は、内側表面632が被験者の頭部52の対応する部分に実質的に適合するように構成され得る。強磁性コンポーネント630の一部分は、治療コイル610の1または複数の部分を越えて延在することが可能である。たとえば、強磁性コンポーネント630は、(たとえば、被験者50に対して横断方向の平面の中で)所定の半径を画定することが可能であり、強磁性コンポーネントが、治療コイル610のベース部分614および突出部分616のうちの一方または両方を越えて延在するようになっている。
【0135】
たとえば、
図6Aに示されているように被験者に対して構成および配向されるようなTMSデバイス600は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、被験者の脳の対向する側部の前頭部領域において、被験者の脳の他の領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。TMSデバイス600が、示されているように、被験者50に対して配向させられているときには、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。強磁性コンポーネント630の図示されている構成は、被験者の頭部の表面に対して垂直の距離の関数として、よりゆっくりとした電場刺激の低減を示すことが可能である。
【0136】
TMSデバイス600が
図6Aに示されているように配向されているとき、強磁性コンポーネント630は、たとえば、被験者の頭部52の中にリターン電流を分散することによって、TMSデバイス600によって発生させられる誘導リターン電流の広がりに貢献することが可能である。誘導リターン電流を分散することは、被験者の脳のターゲットとされていない領域の刺激などのような、TMS治療の副作用を低減させることが可能である。これは、治療コイル610および/またはTMSデバイス600の効率を改善することが可能である。
【0137】
図6Cは、TMSデバイス600が強磁性コンポーネント630なしに動作させられるときの、被験者(たとえば、被験者50)の脳60の組織の中の例示的な電流分配を示している。たとえば、強磁性コンポーネント630が除去されている状態で、TMSデバイス600は、治療コイル610が被験者の脳60の中に磁場を発生させるように動作させられ得る。磁場は、被験者の脳60の組織のターゲットとされている体積の中に、電流を誘導することが可能である。刺激された脳組織のこのターゲットとされている体積は、刺激体積と称され得る。TMSデバイス600が、たとえばTMS治療の間に動作させられるとき、刺激体積は、異なるレベルの誘導電流を示す1または複数の領域(たとえば、領域61、62、および63を含む)を含むことが可能である。領域61の中の誘導電流は、領域62および63の中の誘導電流よりも大きいことが可能である。領域62の中の誘導電流は、領域63の中の誘導電流よりも大きいことが可能である。磁場は、被験者の脳60の1または複数の領域(たとえば、領域64および65を含む)の中にリターン電流を誘導することが可能である。領域65の中の誘導リターン電流は、領域64の中の誘導リターン電流よりも大きいことが可能である。
【0138】
図6Dは、TMSデバイス600が強磁性コンポーネント630とともに動作させられるときの、被験者(たとえば、被験者50)の脳60の組織の中の例示的な電流分配を示している。たとえば、TMSデバイス600は、治療コイル610および強磁性コンポーネント630が、協働して、被験者の脳60の中に磁場を発生させるように動作させられ得る。磁場は、被験者の脳60のターゲットとされている刺激体積の中に、電流を誘導することが可能である。TMSデバイス600が、たとえばTMS治療の間に動作させられるとき、刺激体積は、異なるレベルの誘導電流を示す1または複数の領域(たとえば、領域61’、62’、および63’を含む)を含むことが可能である。領域61’の中の誘導電流は、領域62’および63’の中の誘導電流よりも大きいことが可能である。領域62’の中の誘導電流は、領域63’の中の誘導電流よりも大きいことが可能である。磁場は、被験者の脳60の1または複数の領域(たとえば、領域64’および65’を含む)の中にリターン電流を誘導することが可能である。領域65’の中の誘導リターン電流は、領域64’の中の誘導リターン電流よりも大きいことが可能である。
【0139】
TMSデバイス600は、強磁性コンポーネント630とともに動作させられるときに、誘導リターン電流を分散することが可能である。たとえば、示されているように、領域64’および65’は、TMSデバイス600が強磁性コンポーネント630なしで動作させられるときに誘導される、対応する領域64および65よりも大きいことが可能である。誘導リターン電流を分散することは、ターゲットとされている刺激体積の外側の脳60の1または複数の領域の中の電流密度を低減させることが可能であり、それは、ターゲットとされている刺激体積の外側のTMS治療投与量を低減させることが可能である。強磁性コンポーネント630は、たとえば、ターゲットとされている刺激体積の中の磁場の透過深度を低減させることなく、TMSデバイス600の効率を改善することが可能である。
【0140】
TMSデバイス600は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス600は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0141】
図7Aおよび
図7Bは、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス700を示しており、TMSデバイス700は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。
【0142】
示されているように、TMSデバイス700は、治療コイル710および強磁性コンポーネント730を含む。TMSデバイス700は、たとえば、
図7Aに示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者50の頭部52の近位に配設され得る。
【0143】
治療コイル710は、複数のワインディング712などのような、1または複数のワインディング712を含むことが可能である。示されているように、治療コイル710は、7つのワインディング712a~712gを含む複数のワインディング712を有している。治療コイル710は、より多くのまたはより少ないワインディング712を含むことが可能であるということが認識されるべきである。
【0144】
治療コイル710は、モノリシックのピースの材料から製作され得る。たとえば、所定の長さの材料(たとえば、ワイヤー)が、複数のワインディング712を画定するように連続的に巻かれ得る。ワインディング712(たとえば、ワインディング712a~712gのうちの1つまたは複数)は、別々に製作され、互いに対して支持され、たとえば、1または複数の取り付け部材(図示せず)を使用して互いに対して取り付けられ得る。別々に製作された複数のワインディング712が、たとえば、ワインディング712のそれぞれのものを相互接続する1または複数の導電性の取り付け部材を使用して、互いに電気的な通信状態に置くことができる。
【0145】
ワインディング712は、治療コイル710のそれぞれの部分を画定するように構成され得る。たとえば、図示されている治療コイル710のワインディング712a~712gは、治療コイル710のベース部分714、および、治療コイル710の突出部分716を画定するように構成されている。ベース部分714は、被験者の頭部52の解剖学的構造に実質的に適合するように構成され得る。示されているように、ベース部分714は、被験者の頭部52に実質的に適合するように構成されている凹形形状を画定している。ベース部分714は、治療の間に被験者の頭部52に接触するように、または治療の間に被験者の頭部52から(たとえば、わずかな距離だけ)間隔を置いて配置されるように、構成され得る。突出部分716は、治療コイル710のリターン部分として構成され得る。示されているように、治療コイル710の突出部分716は、ベース部分714に対して角度的にオフセットされており、ベース部分714から離れる方向に、および、被験者の頭部52から離れる方向に、ベース部分714から外向きに延在している。治療コイル710は、ベース部分714および/または突出部分716の図示されている構成に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、突出部分716は、湾曲していることが可能である(たとえば、被験者の頭部52の背面部に少なくとも部分的に適合する)。治療コイル710のそのような構成は、TMSデバイス700の効率を低減させることが可能である。
【0146】
示されているように、それぞれのワインディング712は、円弧形状の前方セグメント718と、対向する円弧形状の側部セグメント720と、複数の真っ直ぐな後方セグメント722とを画定しており、円弧形状の前方セグメント718は、被験者の頭部52の前方部の近位に配設され得、円弧形状の側部セグメント720は、被験者の頭部52の対応する側部に沿って配設され得、複数の真っ直ぐな後方セグメント722は、互いに接続されており、側部セグメント720に相互接続している。前方および/または側部セグメント718、720は、被験者の頭部52の対応する部分に適合するように構成され得る。図示されている治療コイル710のベース部分714は、ワインディング712のそれぞれの前方セグメントおよび側部セグメント718、720によって画定されており、治療コイル710の突出部分716は、複数の後方セグメント722によって画定されている。
【0147】
それぞれのワインディング712は、たとえば、ワインディング712の周囲部によって画定されるような、および、ワインディング712を通る中心軸線に沿って測定されるような、それぞれの長さを画定することが可能である。複数のワインディング712のそれぞれのものは、同じ長さまたは異なる長さを有することが可能である。それぞれのワインディング712は、その長さに沿って(たとえば、その中心軸線に対して垂直に)、円形などのような任意の適切な断面を画定することが可能である。ワインディング712a~712dのうちの1つまたは複数を含む治療コイル710は、銅などのような、適切な電気伝導性を示す任意の材料から作製され得る。
【0148】
ワインディング712のそれぞれのものは、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。図示されているワインディング712a~712dは、互いに対して同様の形状を有しており、互いに対して少なくとも部分的に入れ子にされ得る。図示されているワインディング712e~712gは、互いに対して同様の形状を有しており、互いに対して少なくとも部分的に入れ子にされ得る。
【0149】
ワインディング712a~712gは、ワインディングからワインディングへの(たとえば、隣接するワインディング712同士の間の)スペーシングが均一なままであるかまたは変化するように構成され得る。たとえば、ワインディング712a~712gの間のスペーシングは、ワインディング712a~712gのそれぞれの長さ、形状、位置決めなどによって画定され得る。示されているように、互いからのワインディング712のスペーシングは、セグメントによって変化している。ワインディング712a~712dに関して、前方セグメント718は、側部セグメント720が互いから間隔を離して配置されているよりも、互いに近くに間隔を置いて配置されている。ワインディング712e~712gに関して、前方セグメント718は、側部セグメント720が互いから間隔を離して配置されているよりも、互いから遠くへ間隔を離して配置されている。後方セグメント722のスペーシングは、ワインディングごとに異なることが可能である。
【0150】
治療コイル710は、被験者の頭部52の領域に適合するコイル幾何学形状を画定するように構成され得る。たとえば、ワインディング712a~712gのうちの2つ以上が、互いから垂直方向に間隔を置いて配置され得、治療コイル710のコイル幾何学形状が、被験者の頭部52に対して凹形になることができるようになっている。示されているように、治療コイル710のベース部分714は、被験者の頭部52の一部分を囲む凹形の半ドーム形状のコイル幾何学形状を画定している。
【0151】
TMSデバイス700は、強磁性コンポーネント730を含むことが可能である。強磁性コンポーネント730は、治療コイル710によって発生させられる磁場の1または複数の性質を変化させるように構成され得る。示されているように、強磁性コンポーネント730は、治療コイル710の近位に位置付けされ得る。強磁性コンポーネント730は、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0152】
強磁性コンポーネント730は、たとえば、図示されている環状の半ドーム形状など、任意の適切な形状を画定することが可能である。強磁性コンポーネント730は、内側表面(図示せず)を画定することが可能であり、内側表面は、被験者の頭部52に面しており、また、治療コイル710の対応する部分に、および/または、被験者の頭部52の対応する部分に、少なくとも部分的に適合するように構成されている。内側表面は、被験者の頭部52の対応する部分のものと実質的に同様の(たとえば、わずかにそれよりも大きい)プロポーションを備える形状を画定することが可能である。
【0153】
強磁性コンポーネント730は、治療コイル710を少なくとも部分的に受け入れるように構成され得、強磁性コンポーネント730が、治療コイル710の一部分の近位に位置決めされるようになっている。強磁性コンポーネントは、ベース部分614などのような、治療コイル610の一部分を部分的に囲むことが可能である。強磁性コンポーネント730は、凹部(図示せず)を画定することが可能であり、凹部は、強磁性コンポーネント730の内側表面の中へ延在しており、また、治療コイル710の少なくとも一部分を受け入れるように構成されている。凹部は、複数のワインディング712のうちの1つまたは複数を受け入れるように構成され得る。治療コイル710が、凹部の中に配設されているとき、強磁性コンポーネント730は、複数のワインディング712のそれぞれの部分(たとえば、治療コイル710のベース部分714)を少なくとも部分的に取り囲むことが可能である。凹部を画定する強磁性コンポーネント730の部分は、1または複数の対応するワインディング712と同様の(たとえば、それと事実上同じ)形状を有することが可能である。
【0154】
強磁性コンポーネント730は、被験者の頭部52の1または複数の部分を露出させるように構成され、たとえば、TMS治療の間の冷却を促進させることが可能である。示されているように、強磁性コンポーネント730は、溝部732を画定しており、溝部732は、その上側端部の近くで、強磁性コンポーネント730の縁部の中へ延在している。溝部732は、図示されている場所に限定されないということが認識されるべきである。そのうえ、強磁性コンポーネント730は、たとえば、(たとえば同じサイズまたは異なるサイズを有する)複数の溝部があるか、または、溝部がまったくないなど、より多くのまたはより少ない溝部を画定するように構成され得る。強磁性コンポーネント730は、(たとえば、1または複数の溝部に加えて、または、1または複数の溝部の代わりに、)それを通って延在する1または複数の開口部を画定するように構成され得るということがさらに認識されるべきである。たとえば、強磁性コンポーネント730は、それを通って延在する複数の開口部を画定するように構成され得る。
【0155】
TMSデバイス700は、治療コイル710および強磁性コンポーネント730が互いに対して支持されるように構成され得る。たとえば、TMSデバイス700は、強磁性コンポーネント730が(たとえば、凹部の中に)治療コイル710を支持するように構成され得る。治療コイル710および強磁性コンポーネント730のうちの一方または両方は、相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント730に対する治療コイル710の取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されている。
【0156】
治療コイル710が強磁性コンポーネント730によって支持されているときには(たとえば、強磁性コンポーネント730に取り付けられているときには)、治療コイル710は、たとえば、誘電体を使用して、強磁性コンポーネント730から電気的に隔離され得る。示されているように、誘電体は、空気であることが可能であり、また、治療コイル710が強磁性コンポーネント730に取り付けられているときには(たとえば、凹部の中に配設されているときには)、複数のワインディング712が強磁性コンポーネント730の内側表面から間隔を置いて配置され得る。治療コイル710は、任意の適切な電気的に隔離する材料(たとえば、誘電体)から作製され得る1または複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント730に取り付けられ得る。
【0157】
治療コイル710および強磁性コンポーネント730が、組み立てられた構成で、互いに対して支持されているとき、たとえば、
図7Aに示されているように、治療コイル710の突出部分716は、強磁性コンポーネント730を越えて突出することが可能であり、また、被験者の頭部52から離れるように、および、強磁性コンポーネント730から離れるように延在することが可能である。治療コイル710および強磁性コンポーネント730が、組み立てられた構成で、互いに対して支持されているとき、治療コイル710、たとえば、ベース部分714、および、突出部分716の少なくとも一部分が、強磁性コンポーネント730によって少なくとも部分的に囲まれ得る。
【0158】
TMSデバイス700が被験者50に対して配向されているとき、たとえば、
図7Aに示されているように、強磁性コンポーネント730が、被験者の頭部52の外側表面の近くに位置決めされ得る。強磁性コンポーネントは、被験者の頭部52の近くに(たとえば、ベース部分714の上方に)配設されている治療コイル710の1または複数の部分の上方に配設され得る。強磁性コンポーネント730は、たとえば、突出部分716に向かって、治療コイル710のベース部分714から離れるように延在することが可能である。強磁性コンポーネント730は、強磁性コンポーネント730の少なくとも一部分が治療コイル710の1または複数の部分を越えて延在するように構成され得るということが認識されるべきである。たとえば、強磁性コンポーネント730は、強磁性コンポーネント730の一部分が治療コイル710の突出部分716を越えて上向きに延在するように構成され得る。
【0159】
たとえば、
図7Aに示されているように被験者に対して構成および配向されるようなTMSデバイス700は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、被験者の脳の前頭部領域において、被験者の脳の背部領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。TMSデバイス700が、示されているように、被験者50に対して配向させられているときには、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。強磁性コンポーネント730の図示されている構成は、(たとえば、強磁性コンポーネント630を使用して、TMSデバイス600によって示される性質と比較して、)TMSデバイス700が、透過深度を維持または改善しながら、増加したエネルギー効率を示すことを可能にすることができる。
【0160】
TMSデバイス700が
図7Aに示されているように配向されているとき、強磁性コンポーネント730は、逆誘導電流の電流濃度の再分配に貢献し、たとえば、被験者の頭部52の中に誘導電流を再分配することが可能である。強磁性コンポーネント730の図示されている構成は、被験者の頭部の表面に対して垂直の距離の関数として、よりゆっくりとした電場刺激の低減を示すことが可能である。TMSデバイス700は、被験者の頭部の表面に対して垂直の距離の関数として、より良好に電場刺激を維持することが可能である。
【0161】
図7Cは、TMSデバイス700が強磁性コンポーネント730なしに動作させられるときの、被験者(たとえば、被験者50)の脳70の組織の中の例示的な電流分配を示している。たとえば、強磁性コンポーネント730が除去されている状態で、TMSデバイス700は、治療コイル710が被験者の脳70の中に磁場を発生させるように動作させられ得る。磁場は、被験者の脳70の組織のターゲットとされている体積の中に、電流を誘導することが可能である。刺激された脳組織のこのターゲットとされている体積は、刺激体積と称され得る。TMSデバイス700が、たとえばTMS治療の間に動作させられるとき、刺激体積は、異なるレベルの誘導電流を示す1または複数の領域(たとえば、領域71、72、および73を含む)を含むことが可能である。領域71の中の誘導電流は、領域72および73の中の誘導電流よりも大きいことが可能である。領域72の中の誘導電流は、領域73の中の誘導電流よりも大きいことが可能である。磁場は、被験者の脳70の1または複数の領域(たとえば、領域74および75を含む)の中にリターン電流を誘導することが可能である。領域75の中の誘導リターン電流は、領域74の中の誘導リターン電流よりも大きいことが可能である。
【0162】
図7Dは、TMSデバイス700が強磁性コンポーネント730とともに動作させられるときの、被験者(たとえば、被験者50)の脳70の組織の中の例示的な電流分配を示している。たとえば、TMSデバイス700は、治療コイル710および強磁性コンポーネント730が、協働して、被験者の脳70の中に磁場を発生させるように動作させられ得る。磁場は、被験者の脳70のターゲットとされている刺激体積の中に、電流を誘導することが可能である。TMSデバイス700が、たとえばTMS治療の間に動作させられるとき、刺激体積は、異なるレベルの誘導電流を示す1または複数の領域(たとえば、領域71’、72’、および73’を含む)を含むことが可能である。領域71’の中の誘導電流は、領域72’および73’の中の誘導電流よりも大きいことが可能である。領域72’の中の誘導電流は、領域73’の中の誘導電流よりも大きいことが可能である。磁場は、被験者の脳70の1または複数の領域(たとえば、領域74’および75’を含む)の中にリターン電流を誘導することが可能である。領域75’の中の誘導リターン電流は、領域74’の中の誘導リターン電流よりも大きいことが可能である。
【0163】
TMSデバイス700は、強磁性コンポーネント730とともに動作させられるときに、誘導リターン電流を再分配する(たとえば、誘導リターン電流の体積を変位させる、再配向させる、変化させるなど)ことが可能である。たとえば、示されているように、領域74’および75’が、たとえば、TMSデバイス700が強磁性コンポーネント730なしで動作させられるときに誘導される、治療コイル710の突出部分716に対して、ターゲットとされている刺激体積からより多くへ変位させられ得る。誘導リターン電流を再分配することは、ターゲットとされている刺激体積の外側の脳70の1または複数の領域の中の電流密度を低減させることが可能であり、それは、ターゲットとされている刺激体積の外側のTMS治療投与量を低減させることが可能である。
【0164】
TMSデバイス700が
図7Aに示されているように配向されているとき、強磁性コンポーネント730は、たとえば、ターゲットとされている刺激体積の中の磁場の透過深度を低減させることなく、治療コイル710および/またはTMSデバイス700の効率を改善することが可能である。示されているように、強磁性コンポーネント730は、治療コイル710のベース部分714を越えて延在することが可能である。この構成は、被験者の頭部52の中のリターン誘導電流を移動させることが可能である。誘導リターン電流を移動させることは、被験者の脳のターゲットとされていない領域の刺激などのような、TMS治療の副作用を低減させることが可能である。
【0165】
TMSデバイス700は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス700は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0166】
図8Aおよび
図8Bは、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス800を示しており、TMSデバイス800は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。
【0167】
示されているように、TMSデバイス800は、治療コイル810および強磁性コンポーネント830を含む。TMSデバイス800は、たとえば、
図8Aに示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者50の頭部52の近位に配設され得る。
【0168】
治療コイル810は、複数のワインディング812などのような、1または複数のワインディング812を含むことが可能である。示されているように、治療コイル810は、7つのワインディング812a~812gを含む、複数のワインディング812を有している。治療コイル810は、より多くのまたはより少ないワインディング812を含むことが可能であるということが認識されるべきである。
【0169】
治療コイル810は、モノリシックのピースの材料から製作され得る。たとえば、所定の長さの材料(たとえば、ワイヤー)が、複数のワインディング812を画定するように連続的に巻かれ得る。ワインディング812(たとえば、ワインディング812a~812gのうちの1つまたは複数)は、別々に製作され、互いに対して支持され、たとえば、1または複数の取り付け部材(図示せず)を使用して互いに対して取り付けられ得る。別々に製作された複数のワインディング812が、たとえば、ワインディング812のそれぞれのものを相互接続する1または複数の導電性の取り付け部材を使用して、互いに電気的な通信状態に置くことができる。
【0170】
ワインディング812は、治療コイル810のそれぞれの部分を画定するように構成され得る。たとえば、図示されている治療コイル810のワインディング812a~812gは、治療コイル810のベース部分814、および、治療コイル810の突出部分816を画定するように構成されている。ベース部分814は、被験者の頭部52の解剖学的構造に実質的に適合するように構成され得る。示されているように、ベース部分814は、被験者の頭部52に実質的に適合するように構成されている凹形形状を画定している。ベース部分814は、治療の間に被験者の頭部52に接触するように、または治療の間に被験者の頭部52から(たとえば、わずかな距離だけ)間隔を置いて配置されるように、構成され得る。突出部分816は、治療コイル810のリターン部分として構成され得る。示されているように、図示されている治療コイル810の突出部分816は、ベース部分814に対して角度的にオフセットされており、ベース部分814から離れる方向に、および、被験者の頭部52から離れる方向に、ベース部分814から外向きに延在している。治療コイル810は、ベース部分814および/または突出部分816の図示されている構成に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、突出部分816は、湾曲していることが可能である(たとえば、被験者の頭部52の背面部に少なくとも部分的に適合する)。治療コイル810のそのような構成は、TMSデバイス800の効率を低減させることが可能である。
【0171】
示されているように、それぞれのワインディング812は、円弧形状の前方セグメント818と、対向する円弧形状の側部セグメント820と、複数の真っ直ぐな後方セグメント822とを画定しており、円弧形状の前方セグメント818は、被験者の頭部52の前方部の近位に配設され得、円弧形状の側部セグメント820は、被験者の頭部52の対応する側部に沿って配設され得、複数の真っ直ぐな後方セグメント822は、互いに接続されており、側部セグメント820に相互接続している。前方および/または側部セグメント818、820は、被験者の頭部52の対応する部分に適合するように構成され得る。図示されている治療コイル810のベース部分814は、ワインディング812のそれぞれの前方セグメントおよび側部セグメント818、820によって画定されており、治療コイル810の突出部分816は、複数の後方セグメント822によって画定されている。
【0172】
それぞれのワインディング812は、たとえば、ワインディング812の周囲部によって画定されるような、および、ワインディング812を通る中心軸線に沿って測定されるような、それぞれの長さを画定することが可能である。複数のワインディング812のそれぞれのものは、同じ長さまたは異なる長さを有することが可能である。それぞれのワインディング812は、その長さに沿って(たとえば、その中心軸線に対して垂直に)、円形などのような任意の適切な断面を画定することが可能である。ワインディング812a~812dのうちの1つまたは複数を含む治療コイル810は、銅などのような、適切な電気伝導性を示す任意の材料から作製され得る。
【0173】
ワインディング812のそれぞれのものは、同じ形状または異なる形状を有することが可能である。図示されているワインディング812a~812dは、互いに対して同様の形状を有しており、互いに対して少なくとも部分的に入れ子にされ得る。図示されているワインディング812e~812gは、互いに対して同様の形状を有しており、互いに対して少なくとも部分的に入れ子にされ得る。
【0174】
ワインディング812a~812gは、ワインディングからワインディングへの(たとえば、隣接するワインディング812同士の間の)スペーシングが均一なままであるかまたは変化するように構成され得る。たとえば、ワインディング812a~812gの間のスペーシングは、ワインディング812a~812gのそれぞれの長さ、形状、位置決めなどによって画定され得る。示されているように、互いからのワインディング812のスペーシングは、セグメントによって変化している。ワインディング812a~812dに関して、前方セグメント818は、側部セグメント820が互いから間隔を離して配置されているよりも、互いに近くに間隔を置いて配置されている。ワインディング812e~812gに関して、前方セグメント818は、側部セグメント820が互いから間隔を離して配置されているよりも、互いから遠くへ間隔を離して配置されている。後方セグメント822同士の間のスペーシングは、1つのワインディングから別のワインディングへ異なることが可能である。
【0175】
治療コイル810は、被験者の頭部52の領域に適合するコイル幾何学形状を画定するように構成され得る。たとえば、ワインディング812a~812gのうちの2つ以上が、互いから垂直方向に間隔を置いて配置され得、治療コイル810のコイル幾何学形状が、被験者の頭部52に対して凹形になることができるようになっている。示されているように、治療コイル810のベース部分814は、被験者の頭部52の一部分を囲む凹形の半ドーム形状のコイル幾何学形状を画定している。
【0176】
TMSデバイス800は、強磁性コンポーネント830を含むことが可能である。強磁性コンポーネント830は、治療コイル810によって発生させられる磁場の1または複数の性質を変化させるように構成され得る。強磁性コンポーネント830は、治療コイル810の少なくとも一部分の近位に配設され得る(たとえば、治療コイル810の少なくとも一部分の近くに位置付けされている)。示されているように、強磁性コンポーネント830は、ベース部分814の一部(たとえば、ベース部分814のエリア)を部分的に囲むように、治療コイル810のベース部分814の近位に配設され得る。強磁性コンポーネント830は、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0177】
強磁性コンポーネント830は、治療コイル810の一部分を少なくとも部分的に囲むように構成され得る。示されているように、強磁性コンポーネント830は、治療コイル810の突出部分816を少なくとも部分的に囲むように構成されている。強磁性コンポーネントは、たとえば、図示されている円弧形状など、任意の適切な形状を画定することが可能である。示されているように、強磁性コンポーネント830は、第1の端部832と、第1の端部832から間隔を置いて配置されている対向する第2の端部834と、第1の端部832から第2の端部834へ延在する円弧形状の中間セクション836とを画定している。
【0178】
強磁性コンポーネント830は、第1および第2の端部832、834が治療コイル810の突出部分816の対向する側部に配設されるように構成され得る。たとえば、強磁性コンポーネント830の第1の端部832は、治療コイル810の突出部分816の第1の前方を向いている側部の場所に配設されるように構成され得、強磁性コンポーネント830の第2の端部834は、治療コイル810の突出部分816の第2の後方を向いている側部の場所に配設されるように構成され得る。
【0179】
強磁性コンポーネント830は、治療コイル810の突出部分816を少なくとも部分的に囲むように構成され得る。たとえば、強磁性コンポーネント830の中間セクション836は、突出部分816を少なくとも部分的に囲む円弧を画定することが可能である。示されているように、中間部分836によって画定されている円弧は、治療コイル810の突出部分816を少なくとも部分的に囲むループを画定している。
【0180】
強磁性コンポーネント830は、図示されている構成、たとえば、上向きに、突出部分の上側端部の上に延在する、図示されている中間セクション836に限定されず、強磁性コンポーネント830の幾何学形状は、治療コイル810に対して異なって構成され得るということが認識されるべきである。たとえば、強磁性コンポーネント830は、第2の端部834が治療の間に被験者の頭部の背面部の近くに位置付けされ得るように構成され得、中間セクション836は、被験者の頭部の幾何学形状に少なくとも部分的に適合するように構成され得る。そのような構成では、中間セクション836は、治療コイル810のベース部分814の上に、突出部分816によって画定される開口部を通って延在することが可能である。強磁性コンポーネント830のそのような構成は、TMSデバイス800が、(たとえば、治療コイル830の図示されている構成と比較して)治療コイル810に送達される1または複数の電流レベルによって誘導される対応する電場の増加を示すことを可能にすることができる。別の例では、強磁性コンポーネントは、たとえば、突出部分816の上側端部の周りに延在することによって、突出部分816の対向する側部のいずれかの周りに延在することによって、または、それらの任意の組み合わせによって、突出部分816の一方の側部から他方の側部へ延在するように構成され得る。
【0181】
強磁性コンポーネント830は、治療コイル810の少なくとも一部分(たとえば、治療コイル810の突出部分816)を異なって囲むように構成され得るということがさらに認識されるべきである。たとえば、強磁性コンポーネントは、突出部分816の一方の側部から他方の側部へ延在する第1の端部832と第2の端部834との間に、複数の実質的に真っ直ぐな(たとえば、真っ直ぐであるか、または、わずかに湾曲している)中間セクションを画定することが可能である。
【0182】
示されているように、強磁性コンポーネント830の第1の端部832は、治療コイル810のベース部分814の一部分を部分的に囲むように、治療コイル810のベース部分814の一部分の近くに配設されている。第1の端部832は、(示されているように)実質的に平坦な表面を画定することが可能であり、または、治療コイル810のベース部分814の対応する部分に適合するように構成され得る。強磁性コンポーネント830の第2の端部834は、治療コイル810の突出部分816の一部分を部分的に囲むように、治療コイル810の突出部分816の一部分の近くに配設されている。第2の端部834は、(示されているように)実質的に平坦な表面を画定することが可能であり、または、治療コイル810の突出部分816の対応する部分に適合するように構成され得る。強磁性コンポーネント830は、第1および第2の端部832、834の図示されている構成に限定されないということ、ならびに、強磁性コンポーネント830は、治療コイル810に対して任意の他の適切な場所に、第1および第2の端部832、834のうちの一方または両方とともに構成され得るということが認識されるべきである。
【0183】
TMSデバイス800は、治療コイル810および強磁性コンポーネント830が互いに対して支持されるように構成され得る。たとえば、TMSデバイス800は、強磁性コンポーネント830が治療コイル810を支持するように構成され得る。治療コイル810および強磁性コンポーネント830のうちの一方または両方は、相補的な取り付け部材(図示せず)を含むことが可能であり、相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント830に対する治療コイル810の取り付け(たとえば、取り外し可能な取り付け)を可能にするように構成されている。たとえば、強磁性コンポーネント830の第1および第2の端部832、834は、取り付け部材を含むことが可能であり、取り付け部材は、治療コイル810のベース部分814および突出部分816によってそれぞれ支持されている相補的な取り付け部材に固着されるように構成されている。
【0184】
治療コイル810が強磁性コンポーネント830によって支持されているときには(たとえば、強磁性コンポーネント830に取り付けられているときには)、治療コイル810は、たとえば、誘電体を使用して、強磁性コンポーネント830から電気的に隔離され得る。示されているように、誘電体は、空気であることが可能であり、また、治療コイル810が強磁性コンポーネント830に取り付けられているときには、複数のワインディング812が強磁性コンポーネント730から間隔を置いて配置され得る。治療コイル810は、任意の適切な電気的に隔離する材料(たとえば、誘電体)から作製され得る1または複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント830に取り付けられ得る。
【0185】
治療コイル810および強磁性コンポーネント830が、組み立てられた構成で、互いに対して支持されているとき、たとえば、
図8Aに示されているように、治療コイル810の突出部分816は、強磁性コンポーネント830によって画定されるループの中に配設され得る。治療コイル810および強磁性コンポーネント830が、組み立てられた構成で、互いに対して支持されているとき、治療コイル810、たとえば、ベース部分814および突出部分816のそれぞれの部分は、強磁性コンポーネント830によって少なくとも部分的に囲まれ得る。
【0186】
たとえば、
図8Aに示されているように被験者に対して構成および配向されるようなTMSデバイス800は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、被験者の脳の前頭部領域において、被験者の脳の背部領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。TMSデバイス800が、示されているように、被験者50に対して配向させられているときには、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。
【0187】
TMSデバイス800は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス800は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0188】
経頭蓋磁気刺激(TMS)デバイスは、たとえば、被験者の解剖学的構造に対して、調節可能および/または再構成可能であるように構成され得る。たとえば、TMSデバイスは、TMS治療が適用されることとなる場所(たとえば、被験者の上、被験者の中、または、被験者の近く)に適合するように調節および/または再構成されるように構成され得る。TMSデバイスを調節および/または再構成することは、治療の間にTMSデバイスによって発生させられる磁場によって示される1または複数の性質を変更することが可能である(たとえば、磁場の刺激体積、被験者の解剖学的構造の中の磁場の分配、磁場の透過深度、磁場の集束性、または、被験者の解剖学的構造に対する磁場の場所など)。たとえば、TMSデバイスを調節および/または再構成することは、TMSデバイスによって発生させられる磁場が、被験者の脳の中の特有の神経構造(たとえば、眼窩前頭皮質、背外側前頭前皮質(DLPFC)、補足運動野(SMA)、聴覚皮質などのうちの1つまたは複数)をターゲットにするように、(たとえば、体積によって)分配および/または形状決めされることを可能にすることができる。
【0189】
図9は、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス900を示しており、TMSデバイス900は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。TMSデバイス900は、被験者50の解剖学的構造に対して調節可能および/または再構成可能であるように構成され得る。示されているように、TMSデバイス900は、複数の治療コイル910および強磁性コンポーネント930を含む。TMSデバイス900は、たとえば、
図9に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部52の近位に配設され得る。
【0190】
TMSデバイス900は、たとえば、被験者の頭部52の解剖学的構造に対して調節可能であるように構成され得る。たとえば、TMSデバイス900の強磁性コンポーネント930は、調節可能であるように構成され得る。強磁性コンポーネント930は、複数のピースを含むことが可能である。強磁性コンポーネント930の1または複数のピースは、強磁性コンポーネント930の1または複数の他のピースに対して調節可能であるように構成され得る。たとえば、図示されている強磁性コンポーネント930は、第1のピース940および第2のピース950を含む。第1および第2のピース940、950は、互いに対して調節可能である(たとえば、枢動可能に調節可能である)ように構成されている。強磁性コンポーネント930(たとえば、第1および第2のピース940、950)は、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0191】
強磁性コンポーネント930の第1のピース940は、自由端部942と、拘束された端部944と、中間セクション946とを画定しており、拘束された端部944は、自由端部942から間隔を置いて配置されており、また、第2のピース950に取り付けられており、中間セクション946は、自由端部942から拘束された端部944へ延在している。強磁性コンポーネント930の第2のピース950は、自由端部952と、拘束された端部954と、中間セクション956とを画定しており、拘束された端部954は、自由端部952から間隔を置いて配置されており、また、第1のピース940に取り付けられており、中間セクション956は、自由端部952から拘束された端部954へ延在している。示されているように、第1および第2のピース940、950の中間セクション946、956は、それぞれのアーチを形成した形状を画定している。中間セクション946、956は、強磁性コンポーネント930の円弧形状を画定することが可能である。
【0192】
強磁性コンポーネント930の第1および第2のピース940、950は、互いに対して調節可能であるように構成され得る。示されているように、第1および第2のピース940、950のそれぞれの拘束された端部944、954は、ジョイント960において一緒に接合されている。ジョイント960は、互いに対する第1および第2のピース940、950の調節において、1または複数の自由度を可能にするように構成され得る。示されているように、ジョイント960は、1つの自由度で調節を可能にするように構成されており、第1および第2のピース940、950が、ジョイント960の周りで互いに対して枢動させられ得るようになっている。図示するために、第1および第2のピース940、950は、ジョイント960の周りに枢動させられ得、それぞれの自由端部942、952が、よりすぐ近くに持っていかれるように、または、(たとえば、冠状面の中で)互いから遠くへ離れるように移動させられるようになっている。強磁性コンポーネント930は、図示されている自由度を介する調節に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、強磁性コンポーネント930は、(たとえば、横断方向の平面の中で)異なる単一の自由度で調節可能であるように構成され得、または、(たとえば、冠状面および横断方向の平面の両方の中で)複数の自由度で調節可能であるように構成され得る。
【0193】
示されているように、第1および第2のピース940、950は、(たとえば、自由端部942、952および拘束された端部944、954によってそれぞれ画定されるように)おおよそ同じ長さを有しており、ジョイント960が、実質的に、強磁性コンポーネント930の中間点に位置付けされるようになっている(たとえば、第1のピース940の自由端部942および第2のピース950の自由端部952から等距離にある)。強磁性コンポーネント930は、ジョイント960の図示されている場所に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、ジョイント960は、強磁性コンポーネント930に沿って位置付けされ得る(たとえば、第1および第2のピース940、950は、異なるそれぞれの長さを画定するようになっている)。
【0194】
強磁性コンポーネント930の形状は、第1および第2のピース940、950を調節することによって変化させられ得る。これは、強磁性コンポーネント930が被験者の頭部52の解剖学的構造に(たとえば、被験者の頭部52の形状に)より良好に適合することを可能にすることができる。被験者解剖学的構造より良好にフィットするように強磁性コンポーネント930を調節することは、TMSデバイス900の効率を改善することが可能である。第1および第2のピース940、950を調節することは、互いに対する治療コイル910のそれぞれのものの配向(たとえば、位置および/またはスペーシング)を変化させることが可能である。強磁性コンポーネント930の形状(たとえば、円弧形状)を変化させること、および、それによって、治療コイル910のうちの1または複数の配向を変化させることは、(たとえば、被験者の頭部52の中に)TMSデバイス900によって発生させられる磁場の1または複数の性質を変更することが可能である。たとえば、強磁性コンポーネント930の第1および第2のピース940、950のうちの一方または両方を調節することは、TMSデバイス900がさまざまな頭部タイプ(たとえば、頭部形状、サイズなど)にわたって効率を維持することを可能にすることができる。TMSデバイス900は、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、調節可能および/または再構成可能であるように構成され得る。
【0195】
調節可能なおよび/または再構成可能なTMSデバイス900は、調節可能な強磁性コンポーネント930の図示されている構成に限定されないということが認識されるべきである。強磁性コンポーネント930は、異なって調節可能であるように構成され得る。たとえば、強磁性コンポーネント930は、3つ以上のピースを含むように構成され得、3つ以上のピースは、3つ以上の調節可能なジョイントにおいて一緒に接合され得、強磁性コンポーネント930が複数の場所において調節可能であるようになっている。1または複数の調節可能なジョイントのそれぞれは、1または複数の自由度での調節を可能にするように構成され得る。強磁性コンポーネント930は、モノリシックおよび調節可能であることが可能である。たとえば、強磁性コンポーネント930は、(たとえば、被験者の頭部52に対する)調節可能性を可能にする可撓性の強磁性コンポーネントを(たとえば、製作の間に)画定するように構成され得る。
【0196】
図示されている調節可能なTMSデバイス900は、4つの治療コイル910を含む複数の治療コイル910を有している。それぞれの治療コイル910は、1または複数のワインディング(たとえば、複数のワインディング)によって画定され得、1または複数のワインディングは、たとえば、それぞれの場所において、強磁性コンポーネント930の外側表面の周りに(たとえば、直接的に強磁性コンポーネント930の上に、または、強磁性コンポーネント930に固着されている中間媒体の上に)、1回または複数回、導電性の材料(たとえば、銅ワイヤー)を巻き付けることによって製作され得る。治療コイル910は、それぞれのワインディング密度を画定することが可能であり、それぞれのワインディング密度は、互いに同じであるか、または異なっている。
【0197】
示されているように、第1および第2のピース940、950のそれぞれは、2つの治療コイル910を支持している。治療コイル910は、(たとえば、第1のピース940の自由端部942および第2のピース950の自由端部952によって画定されるような)強磁性コンポーネント930の長さに沿って、互いから間隔を離して配置され得る(たとえば、互いから実質的に等しい間隔を置いて配置されている)。追加的に、図示されているTMSデバイス900は、第1のピース940の治療コイル910のそれぞれの取り付け場所が、強磁性コンポーネント930の中間点に対して、第2のピース950の治療コイル910のそれぞれの取り付け場所をミラー対称に映すように構成されている。図示されている治療コイル910は、強磁性コンポーネント930に沿ってそれぞれの位置に固定されており、同じワインディング密度を有している。調節可能なTMSデバイス900は、治療コイル910の図示されている構成に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、TMSデバイス900は、強磁性コンポーネント930に沿って任意の適切な場所において、より多くのまたはより少ない治療コイル910とともに構成され得る。
【0198】
調節可能なTMSデバイス900は、1または複数の治療コイル910が強磁性コンポーネント930に対して調節可能であるように構成され得る。たとえば、TMSデバイス900は、治療コイル910のうちの1つまたは複数が、強磁性コンポーネント930の第1および/または第2のピース940、950に沿って再位置決め可能であり得る(たとえば、第1および第2のピース940、950の自由端部942、952の間で再位置決め可能である)ように構成され得る。調節可能な治療コイル910は、(たとえば、2つの対向する位置の間で)自由に調節可能であり得、または、(たとえば、互いから間隔を離して配置されている所定の位置の間で)インクリメンタルに調節可能であり得る。
【0199】
調節可能なTMSデバイス900は、除去可能な治療コイル910とともに構成され得る。たとえば、TMSデバイス900は、治療コイル910のうちの1つまたは複数が強磁性コンポーネント930から除去可能であるように構成され得る。この構成は、TMSデバイス900が治療コイル910に対して再構成されることを可能にすることができる。たとえば、TMSデバイス900の構成は、1または複数の治療コイル910を置換することによって変化させられ得る。図示するために、第1のワインディング密度を有する第1の治療コイルが、強磁性コンポーネント930から除去され、異なる(たとえば、より高いまたはより低い)ワインディング密度を有する第2の治療コイル910と交換され得る。強磁性コンポーネント930は、複数のマーキングなどのような、1または複数のマーキングを含むことが可能であり、それは、1または複数の治療コイル910に関する所定の設置位置に対応することが可能である。
【0200】
たとえば、
図9に示されているように被験者に対して構成および配向されるような調節可能なTMSデバイス900は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、被験者の上側領域において、被験者の脳の他の領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。より大きい強度の領域は、(たとえば、自由端部942、952によって画定されるように)強磁性コンポーネント930に沿って中間点の近くで、たとえば、ジョイント960の下方で、被験者の脳の中に位置付けされ得る。TMSデバイス900が、示されているように被験者50に対して配向されているときに、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。
【0201】
TMSデバイス900は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス900は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0202】
TMSデバイス900によって発生させられる磁場の1または複数の性質は、強磁性コンポーネント930を調節することによって変更され得る。強磁性コンポーネント930を調節することは、治療コイル910のそれぞれのものの間の1または複数のギャップを拡大または縮小することが可能である。たとえば、自由端部942、952が互いに向かって移動させられるように(たとえば、被験者の頭部のより近くへ移動させられ、被験者の頭部と第1および第2のピース940、950のうちの一方または両方との間のそれぞれのスペースが低減されるようになっている)、強磁性コンポーネント930が調節される場合には、TMSデバイス900によって発生させられる結果として生じる磁場は、より大きい集束性を示すことが可能であり、また、減少した透過深度を示すことが可能である。自由端部942、952が互いから離れるように(たとえば、被験者の頭部からより遠くへ移動させられ、被験者の頭部と第1および第2のピース940、950のうちの一方または両方との間のそれぞれのスペースが増加されるようになっている)、強磁性コンポーネント930が調節される場合には、TMSデバイス900によって発生させられる結果として生じる磁場は、より小さい集束性を示すことが可能であり、また、増加した透過深度を示すことが可能である。
【0203】
強磁性コンポーネント930を調節することは、磁場によって誘導される(たとえば、TMSデバイス900によって発生させられる)電場がサドルポイントを開発することを引き起こすことが可能である。サドルポイントは、治療コイル910のそれぞれのものの間のギャップが拡大または縮小されるように強磁性コンポーネント930を調節することから結果として生じることが可能である。たとえば、そのようなギャップは、ジョイント960の最も近くの2つの治療コイル910の間で画定され得、その治療コイル910は、第1および第2のピース940、950によってそれぞれ支持されている。そのようなサドルポイントは、ジョイント960の近くの場所において、強磁性コンポーネント930の下で開発することが可能である。TMSデバイス900によって誘導される電場の中のサドルポイントの存在は、被験者解剖学的構造に対して(たとえば、TMS治療の間の被験者の頭部に対して)TMSデバイス900を配向させることを可能にすることができ、刺激されることとなる場所の上に位置付けされている表面場所を刺激することを回避するようになっており、および/または、被験者解剖学的構造の敏感な領域(たとえば、被験者の上の敏感な表面場所)の下方の組織の刺激を可能にすることができる。ピーク誘導電場は、関心の場所の上方(たとえば、直接的に上方)ではないが、表面にあるままであることが可能である。同様の伝導性を備える近隣の組織は、より高い電流密度を受け入れることが可能である。
【0204】
強磁性コンポーネント930を調節することは、TMSデバイス900と被験者の頭部52との間の空気ギャップを低減させることが可能であり、それは、TMSデバイス900の効率を増加させる(たとえば、最大化する)ことが可能である。強磁性コンポーネント930を調節することは、被験者の解剖学的構造の一部分(たとえば、被験者の頭部の表面)の上に、より低い電場の局所ゾーンの生成を可能にすることができる。これは、被験者の敏感な表面場所の下方の刺激を可能にすることができる。ピーク誘導電場は、関心の場所の上方(たとえば、直接的に上方)ではないが、表面にあるままであることが可能である。同様の伝導性を備える近隣の組織は、より高い電流密度を受け入れることが可能である。
【0205】
図10は、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス1000を示しており、TMSデバイス1000は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。TMSデバイス1000は、被験者50の解剖学的構造に対して調節可能および/または再構成可能であるように構成され得る。示されているように、TMSデバイス1000は、複数の治療コイル1010および強磁性コンポーネント1030を含む。TMSデバイス1000は、たとえば、
図10に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部52の近位に配設され得る。
【0206】
TMSデバイス1000は、たとえば、被験者の頭部52の解剖学的構造に対して調節可能であるように構成され得る。たとえば、TMSデバイス1000の強磁性コンポーネント1030は、調節可能であるように構成され得る。示されているように、強磁性コンポーネント1030は、第1の端部1032から対向する第2の端部1034へ延在する円弧形状を画定している。図示されている強磁性コンポーネント1030は、互いに対して取り外し可能に取り付けられているように構成される複数のピース1036を含む。強磁性コンポーネント1030は、たとえば、ピース1036を追加または除去することによって調節され得る。示されているように、複数のピース1036は、強磁性コンポーネント1030のそれぞれの第1から第6のセグメント1040、1050、1060、1070、1080、および1090(すなわち、1040~1090)を画定している。強磁性コンポーネント1030のピース1036(たとえば、第1から第6のセグメント1040~1090)は、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0207】
第1のセグメント1040は、第1の端部1042および対向する第2の端部1044を画定しており、第1の端部1042は、強磁性コンポーネント1030の図示されている構成の第1の端部1032も画定している。第2から第5のセグメント1050~1080は、第1および第2の端部1052および1054、1062および1064、1072および1074、ならびに、1082および1084を画定している。第6のセグメント1090は、第1の端部1092および対向する第2の端部1044を画定しており、第2の端部1044は、強磁性コンポーネント1030の図示されている構成の第2の端部1034も画定している。第1から第6のセグメント1040~1090は、(たとえば、対応する第1および第2の端部によって画定されるように)それぞれの長さを画定することが可能であり、それは、互いに同じであるか、または異なっている。示されているように、第2および第5のセグメント1050、1080は、おおよそ同じ長さを有しており、第3および第4のセグメント1060、1070は、おおよそ同じ長さを有しており、第1および第6のセグメント1040、1090は、おおよそ同じ長さを有している。第2および第5のセグメント1050、1080は、第1および第6のセグメント1040、1090よりも短く、第1および第6のセグメント1040、1090は、第3および第4のセグメント1060、1070よりも短い。
【0208】
第1から第6のセグメント1040~1090の1または複数のそれぞれの第1および第2の端部(たとえば、それぞれのピース1036のそれぞれの第1および第2の端部)は、対応する第1および第2の端部表面(図示せず)を画定することが可能であり、第1および第2の端部表面は、互いに対して角度的にオフセットされ得る。たとえば、図示されているセグメントの第1および第2の端部表面は、角度的にオフセットされており、それぞれのセグメントが、テーパーが付けられている先端を切り取られたくさび形状を画定するようになっており、それは、被験者の頭部52に近接するにつれて縮小している。セグメントのうちの1つまたは複数は、互いに対して異なって角度付けされている(たとえば、互いに平行である)第1および第2の端部表面を画定することが可能である。
【0209】
第1から第6のセグメント1040~1090は、互いに取り外し可能に取り付けられるように構成され得る。たとえば、それぞれのセグメントの第1および第2の端部のうちの一方または両方は、取り付け構造体(図示せず)を画定することが可能である。セグメントの取り付け構造体は、互いに取り外し可能に係合し、たとえば、組み立てられた構成で強磁性コンポーネント1030を固着するように構成され得る。
図10に示されている強磁性コンポーネント1030の例示的な組み立てられた構成では、第1のセグメント1040の第2の端部1044が、第2のセグメント1050の第1の端部1052に取り外し可能に取り付けられており、第2のセグメント1050の第2の端部1054が、第3のセグメント1060の第1の端部1062に取り外し可能に取り付けられており、第3のセグメント1060の第2の端部1064が、第4のセグメント1070の第1の端部1072に取り外し可能に取り付けられており、第4のセグメント1070の第2の端部1074が、第5のセグメント1080の第1の端部1082に取り外し可能に取り付けられており、第5のセグメント1080の第2の端部1084が、第6のセグメント1090の第1の端部1092に取り外し可能に取り付けられている。示されているように、第1から第6のセグメント1040~1090(すなわち、複数のピース1036)が互いに取り外し可能に取り付けられているとき、強磁性コンポーネント1030は、円弧形状を画定している。
【0210】
強磁性コンポーネント1030の形状は、ピース1036を追加または除去することによって変化させられ得る。これは、強磁性コンポーネント1030が被験者の頭部52の解剖学的構造に(たとえば、被験者の頭部52の形状に)より良好に適合することを可能にすることができる。被験者解剖学的構造より良好にフィットするように強磁性コンポーネント1030を調節することは、TMSデバイス1000の効率を改善することが可能である。たとえば、1または複数のセグメントが、除去および/または交換され、強磁性コンポーネント1030の構成を変化させ、すなわち、強磁性コンポーネント1030を再構成させることが可能である。例示的な図示では、第2および第5のセグメント1050、1080が、強磁性コンポーネント1030から除去され得る(たとえば、切り離される)。第2および第5のセグメント1050、1080が除去されている状態で、第1のセグメント1040の第2の端部1044が、第3のセグメント1060の第1の端部1062に取り外し可能に取り付けられ得、第4のセグメント1070の第2の端部1074が、第6のセグメント1090の第1の端部1092に取り外し可能に取り付けられ得、強磁性コンポーネント1030が異なる構成で組み立てられるようになっている。強磁性コンポーネント1030を再構成する別の例示的な図示では、1または複数のセグメントが除去され、1または複数の除去されたセグメントとは異なる性質を有するそれぞれのセグメントと交換され得る。そのような異なる性質は、たとえば、セグメントの長さ、第1および第2の端部表面の角度的なオフセット、セグメントに取り付けられている治療コイル1010の相違、または、治療コイル1010の欠如のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。
【0211】
強磁性コンポーネント1030の1または複数のピース1036(たとえば、セグメント)を除去すること、追加すること、および/または交換することは、互いに対する治療コイル1010のそれぞれのものの配向(たとえば、位置および/またはスペーシング)を変化させることが可能である。強磁性コンポーネント1030の形状(たとえば、円弧形状)を変化させること、および、それによって、治療コイル1010のうちの1または複数の配向を変化させることは、(たとえば、被験者の頭部52の中に)TMSデバイス1000によって発生させられる磁場の1または複数の性質を変更することが可能である。たとえば、強磁性コンポーネント1030の1または複数のピース1036を除去すること、追加すること、および/または交換することは、TMSデバイス1000がさまざまな頭部タイプ(たとえば、頭部形状、サイズなど)にわたって効率を維持することを可能にすることができる。TMSデバイス1000は、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、調節可能および/または再構成可能であるように構成され得る。
【0212】
図示されている調節可能なTMSデバイス1000は、4つの治療コイル1010を含む複数の治療コイル1010を有している。治療コイル1010は、強磁性コンポーネント1030のそれぞれのピース1036(たとえば、セグメント)に取り付けられ得る。それぞれの治療コイル1010は、1または複数のワインディング(たとえば、複数のワインディング)によって画定され得、1または複数のワインディングは、たとえば、強磁性コンポーネント1030のセグメントのそれぞれのものの外側表面の周りに(たとえば、直接的にセグメントの上に、または、セグメントに固着されている中間媒体の上に)、1回または複数回、導電性の材料(たとえば、銅ワイヤー)を巻き付けることによって製作され得る。治療コイル1010は、それぞれのワインディング密度を画定することが可能であり、それぞれのワインディング密度は、互いに同じであるか、または異なっている。
【0213】
強磁性コンポーネント1030は、それぞれのピース1036(たとえば、それぞれのセグメント)が、何も含まないように、1つの治療コイル1010を含むように、または、より多くの治療コイル1010を含むように、構成され得る。示されているように、第1、第3、第4、および第6のセグメント1040、1060、1070、および1090のそれぞれは、治療コイル1010のそれぞれのものを支持している。治療コイル1010は、第1、第3、第4、および第6のセグメント1040、1060、1070、および1090に沿って、それぞれの場所に取り付けられ得、治療コイル1010が、強磁性コンポーネント1030に沿って、互いから等しい間隔を置いて配置されるようになっている。図示されている治療コイル1010は、第1、第3、第4、および第6のセグメント1040、1060、1070、および1090に沿ってそれぞれの位置に固定されており、同じワインディング密度を有している。調節可能なTMSデバイス1000は、治療コイル1010の図示されている構成に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、TMSデバイス1000は、強磁性コンポーネント1030に沿って任意の適切な場所において、より多くのまたはより少ない治療コイル1010とともに構成され得る(たとえば、1または複数のセグメントが2つ以上の治療コイル1010を含むようになっている)。
【0214】
調節可能なTMSデバイス1000は、1または複数の治療コイル1010が強磁性コンポーネント1030に対して調節可能であるように構成され得る。たとえば、TMSデバイス1000は、治療コイル1010のうちの1つまたは複数が、強磁性コンポーネント1030の対応するセグメントに沿って再位置決め可能であり得るように構成され得る。調節可能な治療コイル1010は、(たとえば、セグメントに沿って2つの対向する位置の間で)自由に調節可能であり得、または、(たとえば、セグメントに沿って、互いから間隔を離して配置されている所定の位置の間で)インクリメンタルに調節可能であり得る。
【0215】
調節可能なTMSデバイス1000は、治療コイル1010に対して再構成され得る。たとえば、TMSデバイス1000の構成は、治療コイル1010を含む1または複数のセグメントを除去することによって、および、異なる治療コイル1010を有する1または複数のセグメントとそれらを交換することによって、変化させられ得る。図示するために、第1のワインディング密度を備える第1の治療コイルを有するセグメントが、強磁性コンポーネント1030から除去され、異なる(たとえば、より高いまたはより低い)ワインディング密度を備える治療コイル1010を有するセグメントと交換され得る。強磁性コンポーネント1030の1または複数のセグメントは、複数のマーキングなどのような、1または複数のそれぞれのマーキングを含むことが可能であり、それは、1または複数の治療コイル1010に関する所定の設置位置に対応することが可能である。
【0216】
たとえば、
図10に示されているように被験者に対して構成および配向されるような調節可能なTMSデバイス1000は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、被験者の上側領域において、被験者の脳の他の領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。より大きい強度の領域は、(たとえば、第1および第2の端部1032、1034によって画定されるように)強磁性コンポーネント1030に沿って中間点の近くで、被験者の脳の中に位置付けされ得る。TMSデバイス1000が、示されているように被験者50に対して配向されているときに、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。
【0217】
TMSデバイス1000は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス1000は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0218】
TMSデバイス1000によって発生させられる磁場の1または複数の性質は、強磁性コンポーネント1030を調節することによって変更され得る。たとえば、強磁性コンポーネント1030の1または複数のピース1036を追加または除去することは、強磁性コンポーネント1030の1または複数の部分と被験者の頭部との間のそれぞれのスペースを変化させることが可能である。例示的な図示では、1または複数のピース1036が、強磁性コンポーネント1030に追加され、または、強磁性コンポーネント1030から除去され、第1および第2の端部1032、1034が、互いに向けて(たとえば、被験者の頭部のより近くへ)移動させられるようになっている場合には、TMSデバイス1000によって発生させられる結果として生じる磁場は、より大きい集束性を示すことが可能であり、また、減少した透過深度を示すことが可能である。別の例示的な図示では、1または複数のピース1036が、強磁性コンポーネント1030に追加され、または、強磁性コンポーネント1030から除去され、第1および第2の端部1032、1034が、互いから離れるように(たとえば、被験者の頭部からより遠くへ)移動させられるようになっている場合には、TMSデバイス1000によって発生させられる結果として生じる磁場は、より小さい集束性を示すことが可能であり、また、増加した透過深度を示すことが可能である。
【0219】
1または複数のピース1036を強磁性コンポーネント1030に追加すること、または、1または複数のピース1036をから強磁性コンポーネント1030除去することは、TMSデバイス1000によって発生させられる磁場が、より収束した状態になるか、または、より拡散した状態になることを引き起こすことが可能であり、刺激された組織の体積および/またはエリアが、(たとえば、脳の1または複数の特有の領域をターゲットにするように)調節され得るようになっている。(たとえば、1または複数のピース1036を追加または除去することによって、)強磁性コンポーネント1030を調節することは、TMSデバイス1000と被験者の頭部52との間の空気ギャップを低減させることが可能であり、それは、TMSデバイス1000の効率を増加させる(たとえば、最大化する)ことが可能である。
【0220】
強磁性コンポーネント1030を調節することは、被験者の解剖学的構造の一部分(たとえば、被験者の頭部の表面)の上に、より低い電場の局所ゾーンの生成を可能にすることができる。たとえば、(たとえば、1または複数のピース1036を追加または除去することによって)強磁性コンポーネント1030を調節することは、磁場によって誘導される(たとえば、TMSデバイス1000によって発生させられる)電場がサドルポイントを開発することを引き起こすことが可能である。サドルポイントは、治療コイル1010のそれぞれのものの間のギャップが拡大または縮小されるように強磁性コンポーネント1030を調節することから結果として生じることが可能である。たとえば、そのようなギャップは、第3のセグメント1060によって支持されている治療コイル1010と第4のセグメント1070によって支持されている治療コイル1010との間に画定され得る。そのようなサドルポイントは、第3のセグメント1060の第2の端部1064と第4のセグメント1070の第1の端部1072との間のインターフェースの近くの場所において、強磁性コンポーネント1030の下で開発することが可能である。TMSデバイス1000によって誘導される電場の中のサドルポイントの存在は、被験者解剖学的構造に対して(たとえば、TMS治療の間の被験者の頭部に対して)TMSデバイス1000を配向させることを可能にすることができ、刺激されることとなる場所の上に位置付けされている表面場所を刺激することを回避するようになっており、および/または、被験者解剖学的構造の敏感な領域(たとえば、被験者の上の敏感な表面場所)の下方の組織の刺激を可能にすることができる。ピーク誘導電場は、関心の場所の上方(たとえば、直接的に上方)ではないが、表面にあるままであることが可能である。同様の伝導性を備える近隣の組織は、より高い電流密度を受け入れることが可能である。
【0221】
調節可能なおよび/または再構成可能なTMSデバイス900および1000の調節可能性特徴は、相互に排他的なものではないということ、および、調節可能なおよび/または再構成可能なTMSデバイスは、TMSデバイス900および1000の両方からの特徴を含むように構成され得るということが認識されるべきである。たとえば、TMSデバイスは、(たとえば、
図9に示されているように)互いに対して調節可能であるように互いに接合されている1または複数のピースを含むことが可能であり、また、(たとえば、
図10に示されているように)互いに取り外し可能に取り付けられるように構成される1または複数のピース(たとえば、セグメント)を追加的に含むことが可能である。そのような構成を備えるTMSデバイスは、たとえば、本明細書で説明されている技術の組み合わせを使用して、(たとえば、被験者の頭部などのような、被験者の解剖学的構造に対して)調節および/または再構成され得る。
【0222】
図11は、例示的なTMSデバイス1100によって誘導され得る電界電流の例示的な分配を示している。TMSデバイス1100は、TMSデバイス900、TMSデバイス1000、または、別の調節可能なTMSデバイスなどのような、調節可能なTMSデバイスであることが可能である。調節可能なTMSデバイス1100は、1または複数の治療コイル1110(たとえば、複数の治療コイル1110)および強磁性コンポーネント1130を含むことが可能である。強磁性コンポーネント1130は、調節可能であるように構成され得る。たとえば、強磁性コンポーネント1130は、第1および第2のピース1140および1150を含むことが可能であり、第1および第2のピース1140および1150は、ジョイント1160の周りで互いに対して調節可能である。
【0223】
TMSデバイス1100は、治療コイル1110および強磁性コンポーネント1130が、人間の被験者(たとえば、TMS患者)のターゲットの解剖学的構造(たとえば、脳80)の中に、協働して磁場を発生させるように、動作させられ得る。磁場は、被験者の脳80のターゲットとされている刺激体積の中に電流を誘導することが可能である。TMSデバイス1100が、たとえばTMS治療の間に動作させられるとき、刺激体積は、異なるレベルの誘導電流(たとえば、領域81、82、および83)および/または誘導リターン電流(たとえば、領域84および85)を示す1または複数の領域を含むことが可能である。
【0224】
強磁性コンポーネント1130を調節することは、磁場によって誘導される(たとえば、TMSデバイス1100によって発生させられる)電場がサドルポイント(たとえば、サドルポイント86)を開発することを引き起こすことが可能である。強磁性コンポーネント1130は、治療コイル1110のそれぞれのものの間のギャップが拡大または縮小されるように調節され得る。たとえば、ギャップ1170は、ジョイント1160の最も近くの2つの治療コイル1110の間で画定され得、その治療コイル1110は、第1および第2のピース1140、1150によってそれぞれ支持されている。示されているように、サドルポイント86は、ジョイント1160の近位において、強磁性コンポーネント1130の下で開発することが可能である。サドルポイント86は、TMS治療の間に(たとえば、被験者の頭部に対して)TMSデバイス100を配向させることを可能にすることができ、刺激されることとなる場所の上に位置付けされている表面場所を刺激することを回避するようになっており、および/または、被験者解剖学的構造の敏感な領域(たとえば、被験者の上の敏感な表面場所)の下方の組織の刺激を可能にすることができる。
【0225】
図12は、人間の被験者50および例示的なTMSデバイス1200を示しており、例示的なTMSデバイス1200は、被験者50のターゲットの解剖学的構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者50は、たとえば、TMS患者であることが可能である。被験者50のターゲットの解剖学的構造は、たとえば、被験者50の脳組織であることが可能である。
【0226】
示されているように、TMSデバイス1200は、治療コイル1210および強磁性コンポーネント1230を含む。TMSデバイス1200は、TMS治療、たとえば、
図12に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部52の近位に配設され得る。
【0227】
強磁性コンポーネント1230は、治療コイル1210が被験者解剖学的構造の1または複数の場所から(たとえば、被験者の頭部52の上側表面から)距離Dだけ間隔を離して配置されるように構成され得、治療コイル1210から被験者50への熱伝達が制御されるようになっている。たとえば、治療コイル1210から被験者の頭部への熱伝達が、被験者の頭部52の皮膚温度が所定の閾値を超えることを引き起こさないように、距離Dが決定され得る。
【0228】
強磁性コンポーネント1230は、任意の適切な形状を画定することが可能である。示されているように、強磁性コンポーネント1230は、長方形の上側部分1231を含むことが可能であり、長方形の上側部分1231は、第1の端部1232と、第1の端部1232から間隔を置いて配置された対向する第2の端部1233と、第1の端部1232と第2の端部1233との間に延在する中間部分とを画定している。強磁性コンポーネントは、1または複数のレッグ部分1234を含むことが可能であり、1または複数のレッグ部分1234は、上側部分1231から下向きに延在することが可能である。示されているように、強磁性コンポーネント1230は、2つのレッグ部分1234を含む。それぞれのレッグ部分は、上側部分1231によって支持されている上側端部と、対向する自由端部1235とを画定している。レッグ部分1234の第1のものは、上側部分1231の第1の端部1232から下向きに延在しており、レッグ部分1234の第2のものは、上側部分1231の第2の端部1233から下向きに延在している。レッグ部分1234は、被験者解剖学的構造に少なくとも部分的に適合するように構成され得る。たとえば、図示されているレッグ部分の自由端部1235は、被験者の頭部52の形状に少なくとも部分的に適合する角度付けされている。
【0229】
強磁性コンポーネント1230は、1または複数の治療コイル1210を支持するように構成され得る。示されているように、強磁性コンポーネント1230の中間部分は、治療コイル1210を支持するように構成されている。強磁性コンポーネント1230は、別々のピース(たとえば、上側部分1231およびレッグ部分1234)から組み立てられ得、または、モノリシックであることが可能である。強磁性コンポーネント1230、または、その1または複数の部分は、粉末の強磁性の鉄粒子などのような、適切な強磁性の特性を示す任意の材料から作製され得る。
【0230】
TMSデバイス1200は、1または複数の治療コイル1210を含むことが可能である。図示されているTMSデバイス1200は、単一の治療コイル1210を含む。治療コイル1210は、1または複数のワインディング(たとえば、複数のワインディング)によって画定され得る。示されているように、ワインディングは、それぞれの場所において、強磁性コンポーネント1230の外側表面の周りに(たとえば、直接的に強磁性コンポーネント1230の上に、または、強磁性コンポーネント1230に固着されている中間媒体の上に)、1回または複数回、導電性の材料(たとえば、銅ワイヤー)を巻き付けることによって製作され得る。別の例では、1または複数のワインディングは、強磁性コンポーネント1230の中に埋め込まれ得る。ワインディングは、1または複数のターンを含むことが可能であり、また、同じまたは異なる幾何学形状を有することが可能である。TMSデバイス1200は、図示されている治療コイル構成に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、TMSデバイス1200は、強磁性コンポーネント1230に沿って任意の適切な場所において、より多くの治療コイル1210とともに構成され得る。
【0231】
TMSデバイス1200は、調節可能であるように構成され得、距離Dが構成可能であり得るようになっている。たとえば、1または複数のレッグ部分1234は、調節可能であるように構成され得、レッグ部分1234のそれぞれの自由端部1235が、上側部分1231のより近くに、または、上側部分1231からより遠くへ、移動させられ得るようになっている。そのような再構成可能なレッグ部分1234は、(たとえば、2つの対向する位置の間で)自由に調節可能であるように構成され得、または、(たとえば、互いから間隔を離して配置されている所定の位置の間で)インクリメンタルに調節可能であり得る。レッグ部分1234は、手動の長さ調節、自動の長さ調節、または、それらの組み合わせのために構成され得る。TMSデバイス1200は、TMS治療の準備のために、および/または、TMS治療の間に、調節可能および/または再構成可能であるように構成され得る。
【0232】
たとえば、
図12に示されているように被験者に対して構成および配向されるような調節可能なTMSデバイス1200は、被験者の脳の中に磁場の発生を引き起こすように動作させられ得、それは、被験者の上側領域において、被験者の脳の他の領域におけるよりも大きい強度を示すことが可能である。TMSデバイス1200が、示されているように被験者50に対して配向されているときに、磁場は、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に常在するように分配され得る。
【0233】
TMSデバイス1200は、被験者に対して(たとえば、被験者50の頭部52に対して)、図示されている配向に限定されないということ、および、TMSデバイス1200は、被験者に対して異なって配向され得、より大きい強度を示す磁場の一部分が、被験者の解剖学的構造の異なる場所(たとえば、被験者の脳の中の異なる場所)に局所化されるようになっているということが認識されるべきである。
【0234】
治療コイル1210と被験者の頭部52との間の距離Dを変更することによって(たとえば、レッグ部分1234の長さを調節することによって)、強磁性コンポーネント1230を調節することは、治療コイル1210から被験者の頭部52へ伝達される熱の量の制御を可能にすることができる。たとえば、レッグ部分1234のうちの一方または両方が、長くされるか、または短くされ得、治療コイル1210から被験者の頭部への熱伝達が、被験者の頭部52の皮膚温度が所定の閾値を超えることを引き起こさないようになっている。
【0235】
TMSデバイスの強磁性コンポーネントは、任意の適切な技法および/または材料を使用して製作され得る。たとえば、本明細書で図示および説明されている強磁性コンポーネント(たとえば、強磁性コンポーネント130、230、330aおよび330b、430aおよび430b、530aおよび530b、630、730、830、930、1030、1130、ならびに1230)のうちの1つまたは複数は、分配された空気ギャップ構造を含むように製作され得る。そのような分配された空気ギャップ構造は、たとえば、絶縁材料のマトリックスの中に粉末の強磁性の粒子(たとえば、鉄粒子)を分散させることによって生成させられ得る。TMSデバイスの強磁性コンポーネントを製造するための例示的なプロセスでは、粉末の中の個々の強磁性の粒子が、たとえばフェノール樹脂またはエポキシ樹脂などの結合材料と混合させられ得る。強磁性の粉末および結合混合物は、(たとえば、プレスプロセスによって)強磁性コンポーネントの所望の形状へと形成され得る。形成された強磁性コンポーネントは、強磁性コンポーネントの材料を硬化させるために、加熱プロセス(たとえば、ベーキングプロセス)を受けることができる。結果として生じる強磁性コンポーネントは、分配されたギャップ構造を示すことが可能である。この例示的な製作プロセスは、共有されている特許文献1にさらに詳細に説明されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0236】
TMSデバイスT(たとえば、TMSデバイス100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、または1200のいずれか)の1または複数のコンポーネントは、(たとえば、TMS治療の前に、および/または、TMS治療の間に)TMSデバイスの動作に関連付けられる温度を制御するように構成され得る。たとえば、TMSデバイスの強磁性コンポーネントは、アクティブ冷却、パッシブ冷却、または、それらの組み合わせのために構成され得る。たとえば、強磁性コンポーネントは、ヒートシンク、開口部(たとえば、孔部)、冷却フィンなどのような、1または複数のアクティブまたはパッシブ熱伝達構造体とともに構成され得る。そのような構造体は、たとえば、対流冷却、伝導冷却(たとえば、流体冷却)、および電荷キャリア輸送などを可能にすることができる。そのような構造体は、センサー(たとえば、温度センサー)を装備することが可能である。強磁性コンポーネントは、電気的におよび/または熱的に絶縁するように構成され得る。別の例では、TMSデバイスの1または複数の治療コイルは、アクティブ冷却、パッシブ冷却、または、それらの組み合わせのために構成され得る。たとえば、TMSデバイスの1または複数の治療コイルは、ヒートシンク、冷却フィンなどのような、1または複数のアクティブまたはパッシブ熱伝達構造体とともに構成され得る。そのような構造体は、センサー(たとえば、温度センサー)を装備することが可能である。
【0237】
図13は、人間の被験者(たとえば、TMS患者)にTMS治療を適用するために使用され得る例示的なTMSシステム1300を示す簡略化されたブロック図である。TMSシステム1300は、TMSデバイス1302を含む。TMSシステム1300の例示的な実装形態において、本明細書で説明されている例示的なTMSデバイスのうちの1つが(たとえば、TMSデバイス100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、または1200のいずれか)、TMSデバイス1102として実装され得る。TMSシステム1300は、制御回路1304をさらに含み、制御回路1304は、TMSデバイス1302と電気的に通信している(たとえば、TMSデバイス1302に電気的に接続されている)。TMSシステム1300は、電源1306をさらに含み、電源1306は、制御回路1304と電気的に通信している(たとえば、制御回路1304に電気的に接続されている)。電源1306は、たとえば、交流電流(AC)電源または直流電流(DC)電源であることが可能である。電源1306は、ワイヤード電源(たとえば、住宅電源もしくは商用電源)またはポータブル電源(たとえば、バッテリー、コンデンサー、もしくは、他のエネルギーストレージデバイス)であることが可能である。
【0238】
TMSシステム1300は、位置決め装置(図示せず)を含むことが可能であり、位置決め装置は、TMSデバイス1302、制御回路1304、および電源1306のうちの1つまたは複数を支持するように構成されている。位置決め装置は、たとえば、被験者の治療場所の近位での(たとえば、被験者の脳の近位での)TMSデバイス1302のしっかりした(たとえば、安定化した)調節可能な位置決めを可能にするように構成され得る。位置決め装置は、たとえば、操作可能な再位置決め可能なアームであることが可能であり、TMSデバイス1302がそれに取り付けられ得る(たとえば、除去可能に装着される)。そのような再位置決め可能なアームは、(たとえば、TMS治療技術者による)手動の調節および/または(たとえば、モーター付きのロボットアームのような)電子的な調節のために構成され得る。電子的に調節可能なアーム(たとえば、ロボットアーム)は、たとえば、一連のTMS治療の間に観察されたフィードバックに基づいて、自動の再位置決めのために構成され得る。
【0239】
制御回路1304は、電源1306からTMSデバイス1302へ(たとえば、TMSデバイス1302の1または複数の治療コイルへ)、電流のパルスを送達するように構成され得る。たとえば、制御回路1304は、スイッチを開けることおよび/または閉じることにしたがって、電流のパルスをTMSデバイス1302に送達するスイッチとして動作することが可能である。TMSデバイス1302が、(たとえば、TMSデバイス300、400、500、900、1000、または1100にしたがって、)2つ以上の治療コイルを含む場合には、制御回路1304は、同時に、または、所定のシーケンスにしたがって(たとえば、シーケンシャルに、ランダムに、および、特定の順序でなど)、異なる治療コイルにパルスを発するように構成され得る。そのような構成では、それぞれの治療コイルにパルスで送達される電流の量は、同じであるかまたは異なっていることが可能である。
【0240】
電流のパルスは、TMSデバイス1302が、たとえばTMSシステム1300から治療を受けている被験者の中に、変化する磁場を発生させることを引き起こすことが可能である。たとえば、制御回路1304は、TMSデバイス1302の1または複数の治療コイル(たとえば、TMSデバイス100がTMSデバイス1302として実装されている場合には、治療コイル110)と電気的に通信する(たとえば、TMSデバイス1302の1または複数の治療コイルに電気的に接続されている)ことが可能である。制御回路1304からTMSデバイス1302へ送達される電流のパルスは、1または複数の治療コイルを励磁することが可能であり、それは、1または複数の治療コイルが、変化する磁場を被験者の中に発生させることを引き起こすことが可能である。
【0241】
TMSデバイス1302が1または複数の強磁性コンポーネントなしで動作させられる場合には(たとえば、1または複数の強磁性コンポーネントが、TMSデバイス1302から除去されるか、または、そうでなければ、TMSデバイス1302から省略される場合には)、TMSデバイス1302の1または複数の治療コイルは、被験者のターゲットの解剖学的構造の中に(たとえば、被験者の脳の中に)、第1の磁場を発生させることが可能である。第1の磁場は、第1のセットの性質を示すことが可能であり、それは、たとえば、刺激されるターゲットの解剖学的構造の中の組織の体積(たとえば、第1の刺激体積)、効果的なTMS治療が実現される被験者の中の透過深度(たとえば、効果的な透過深度)、被験者の中にさまざまなレベルの電界強度を誘導することができる(たとえば、被験者の頭部の外側表面の近くの電気的な刺激強度レベルが、その透過深度における電気的な刺激強度レベルから変化するようになっている)さまざまなレベルの磁場強度、および、第1の磁場に関連付けられる被験者の中の電場集束性などである。ターゲットの解剖学的構造が被験者の脳組織である例では、刺激体積は、たとえば、皮質刺激の閾値を上回る磁場の中に、皮質組織の領域(たとえば、3次元の体積)を含むことが可能である。
【0242】
TMSデバイス1302が1または複数の強磁性コンポーネントなしに動作させられる構成は、空芯治療コイル構成と称され得る。TMSデバイス1302がそのような構成で動作させられるときには、TMSデバイス1302によって発生させられる第1の磁場は、たとえば、刺激された組織の対応する第1の体積の中のさまざまな場所における可変の誘導される電気的な刺激強度、(たとえば、被験者の脳の中への)第1の透過深度、および、第1の電場集束性を含み得る、性質(たとえば、第1の性質)を示すことが可能である。可変の誘導される電気的な刺激強度は、たとえば、被験者の外側表面に近い、被験者の中または上の第1の場所において(たとえば、被験者の頭皮の表面において、脳神経の近位に)、第1の電気的な刺激強度を含み、また、(たとえば、第1の場所に対して、被験者解剖学的構造の中のより大きい深さにおいて、)第1の場所から内向きに間隔を置いて配置されている、被験者の中の第2の場所において(たとえば、被験者の脳の中で)、第2の電気的な刺激強度を含むことが可能である。第2の場所は、たとえば、磁場の効果的な透過深度に近いことが可能である。ターゲットの解剖学的構造が被験者の脳組織である例では、第1の磁場が、被験者の脳の中に分配され得、第1の磁場によって刺激される脳組織の体積が、被験者の脳の第1および第2の半球の両方の中に同時に存在するようになっている。
【0243】
第1の磁場の強度は、被験者解剖学的構造(たとえば、ターゲットの解剖学的構造)の中の2つの場所の間で勾配(たとえば、第1の勾配)を示すことが可能である。第1の磁場の強度は、たとえば、第1の磁場の磁束密度Bを表すことが可能である。磁場強度の第1の勾配は、被験者解剖学的構造の2つの選択された場所において、第1の磁場によって誘導されるそれぞれの電界強度の比率を表すことが可能である。ターゲットの解剖学的構造が被験者の脳組織である例では、磁場強度の第1の勾配は、被験者の頭部の外側表面の近くの(たとえば、第1の場所における)ピークdB/dt(磁場強度の時間変化率) 対 被験者の脳の中の適当な参照ポイントにおける(たとえば、第2の場所における)ピークdB/dtを表すことが可能である。
【0244】
TMSデバイス1302が、対応する1または複数の治療コイルに取り付けられている1または複数の強磁性コンポーネントとともに動作させられるときには、治療コイルおよび強磁性コンポーネントは、第2の磁場を発生させるように協働して動作することが可能であり、第2の磁場は、第1の磁場によって示される性質とは異なり得る性質(たとえば、第2の性質)を示すことが可能である。そのような性質は、たとえば、第2の磁場によって刺激される対応する組織の体積(たとえば、第1の刺激体積と同じかまたは異なり得る第2の刺激体積)の中のさまざまな場所における、可変の誘導される電気的な刺激強度、(たとえば、被験者の脳の中への)第2の透過深度、および第2の電場集束性を含むことが可能である。可変の誘導される電気的な刺激強度は、たとえば、第1の場所において、第1の電気的な刺激強度とは異なり得る第3の電気的な刺激強度を含み、第2の場所において、第2の電気的な刺激強度とは異なり得る第4の電気的な刺激強度を含むことが可能である。
【0245】
第2の磁場の強度は、被験者解剖学的構造(たとえば、ターゲットの解剖学的構造)の中の2つの場所の間で勾配(たとえば、第2の勾配)を示すことが可能である。第2の磁場の強度は、たとえば、第2の磁場の磁束密度Bを表すことが可能である。磁場強度の第2の勾配は、被験者解剖学的構造の2つの選択された場所において、第2の磁場によって誘導されるそれぞれの電界強度の比率を表すことが可能である。ターゲットの解剖学的構造が被験者の脳組織である例では、磁場強度の第2の勾配は、被験者の頭部の外側表面の近くの(たとえば、第1の場所における)ピークdB/dt(磁場強度の時間変化率) 対 被験者の脳の中の適当な参照ポイントにおける(たとえば、第2の場所における)ピークdB/dtを表すことが可能である。
【0246】
TMSデバイス1302が、対応する1または複数の治療コイルに取り付けられている1または複数の強磁性コンポーネントとともに動作させられるときには、1または複数の強磁性コンポーネントおよび1または複数の治療コイルの協働的動作が、第2の磁場の磁場強度の勾配(たとえば、第2の勾配)が第1の磁場の磁場強度の勾配(たとえば、第1の勾配)とは異なることを引き起こすように、1または複数の強磁性コンポーネントは構成され得る。たとえば、磁場強度の第1の勾配よりも磁場強度の第2の勾配が小さくなるように(たとえば、同じ2つの場所でそれぞれ測定されるときに、第1の勾配が第2の勾配よりも急となるように)、1または複数の強磁性コンポーネントは構成され得る。
【0247】
図示するために、空芯治療コイル構成でのTMSデバイス1302の動作と比較して、1または複数の強磁性コンポーネントおよび1または複数の治療コイルの協働的動作が、TMSデバイス1302によって発生させられる第2の磁場の透過深度が第1の磁場の透過深度に対して効果的に維持されることを引き起こすように(たとえば、第2の透過深度が第1の透過深度よりも浅くならないように)、1または複数の強磁性コンポーネントは構成され得、一方、第2の磁場によって引き起こされる(たとえば、脳神経の近くの)表面電気的な刺激強度は、第1の磁場によって引き起こされる表面電気的な刺激強度に対して低減させられ得る。たとえば、第1の場所において第2の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第3の電気的な刺激強度)は、同じ場所において第1の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第1の電気的な刺激強度)よりも低くなっていることが可能である。第2の場所において第2の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第4の電気的な刺激強度)は、同じ場所において第1の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第2の電気的な刺激強度)と事実上同じであることが可能である。(たとえば、誘導電場の局所的な表面低減を生成させることによって、)TMSデバイスによって発生させられる磁場の表面刺激を低減させることは、電気的な刺激に敏感であり得る1または複数の表面場所の近位に(たとえば、被験者の頭部の上に)、TMS治療が適用されることを可能にすることができる。
【0248】
別の例では、空芯治療コイル構成でのTMSデバイス1302の動作と比較して、1または複数の強磁性コンポーネントおよび1または複数の治療コイルの協働的動作が、第2の磁場によって引き起こされる(たとえば、脳神経の近くの)表面電気的な刺激強度が第1の磁場によって引き起こされる表面電気的な刺激強度に対して効果的に維持されることを引き起こすように、1または複数の強磁性コンポーネントは構成され得、一方、TMSデバイス1302によって発生させられる第2の磁場の透過深度は、第1の磁場の透過深度に対して増加させられる(たとえば、第2の透過深度が、第1の透過深度よりも深くなるようになっている)。たとえば、第1の場所において第2の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第3の電気的な刺激強度)は、同じ場所において第1の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第1の電気的な刺激強度)と事実上同じであることが可能である。第2の場所において第2の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第4の電気的な刺激強度)は、同じ場所において第1の磁場によって示される電気的な刺激強度(たとえば、第2の電気的な刺激強度)よりも大きくなっていることが可能である。効果的な透過深度を増加させながら、TMSデバイスによって発生させられる磁場の表面刺激を維持することは、TMS治療の効率を強化することが可能である。
【0249】
ターゲットの解剖学的構造が被験者の脳組織である例では、第2の磁場が、被験者の脳の中で分配され得、第2の磁場によって刺激される脳組織の体積が、被験者の脳の第1の半球および第2の半球の両方の中に同時に存在するようになっている。たとえば、第2の磁場は、被験者の脳の中の脳組織の第2の体積を刺激することが可能であり、それは、第1の磁場によって刺激される第1の体積と実質的に一致している(たとえば、第1および第2の刺激体積が少なくとも部分的に互いに重なり合うようになっている)。第1および第2の磁場は、脳組織の体積を刺激することが可能であり、それは、たとえば、おおよそ250立方ミリメートル(250mm3)から375立方ミリメートル(375mm3)の範囲にあり、たとえば、おおよそ275立方ミリメートル(275mm3)から355立方ミリメートル(350mm3)の範囲にあり、たとえば、おおよそ300立方ミリメートル(300mm3)の体積などである。
【0250】
第1および第2の磁場によってそれぞれ誘導される第1および第2の電場のそれぞれの集束性は、事実上同じであることが可能である。たとえば、第2の磁場は、第1の磁場によって示される第1の電界集束性と比較してわずかに低減される第2の電界集束性を示すことが可能である。
【0251】
TMSデバイス1302が、対応する1または複数の治療コイルに取り付けられている1または複数の強磁性コンポーネントとともに動作させられるときには、たとえば、TMSデバイス1302が(たとえば、空芯治療コイル構成にしたがって)1または複数の強磁性コンポーネントなしで動作させられるときの、TMSデバイス1302と被験者の頭部との間のスペーシングと比較して、強磁性コンポーネントは、TMSデバイス1302が治療の間に被験者の頭部からより遠くへ間隔を置いて配置されることを可能にすることができる。これは、治療コイルによって示される温度上昇から、TMS治療を受けている被験者を保護することが可能である。TMSデバイスが1または複数の強磁性コンポーネントを含む場合には、(たとえば、TMS治療の間に)TMSデバイスによって使用されるエネルギーの量が低減させられ得る。これは、TMSデバイスの1または複数の治療コイルの中の温度上昇を緩和することが可能である。
【0252】
制御回路1304は、変化する磁場を発生させるように、TMSデバイス1302にパルスを発するように構成され得る。たとえば、制御回路1304は、所定のパルス持続時間にしたがって、電流のパルスをTMSデバイス1302に送達するように構成され得る。パルス持続時間は、たとえば、TMSデバイス1302によって発生させられる磁場が示すこととなるターゲットの解剖学的構造の中への(たとえば、被験者の脳の中への)所望の透過深度にしたがって決定され得る。
【0253】
TMSシステム1300の例示的な実装形態では、制御回路1304は、パルス持続時間にしたがって、電流のパルスをTMSデバイス1302に送達するように構成され得、パルス持続時間は、おおよそ150マイクロ秒(150μs)から250マイクロ秒(250μs)の範囲にあり、たとえば、おおよそ190マイクロ秒(190μs)から210マイクロ秒(210μs)の範囲にあり、たとえば、おおよそ200マイクロ秒(200μs)のパルス持続時間である。この範囲内のパルス持続時間は、TMSデバイス1302によって発生させられる磁場が、おおよそ2.8センチメートル(2.8cm)から5.5センチメートル(3.5cm)の透過深度、たとえば、おおよそ5センチメートル(5cm)(たとえば、少なくとも5cm)の透過深度を示すことを引き起こすことが可能である。たとえば、本明細書で説明されているTMSデバイスのうちの1つ(たとえば、TMSデバイス100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、または1200のいずれか)がTMSデバイス1302として実装され、説明されているパルス持続時間にしたがって、制御回路1304によってパルスを発せられるときに、この透過深度が実現され得る。
【0254】
図14は、例示的なTMS治療プロセス1400のフローダイアグラムである。TMS治療プロセス1400は、本明細書で説明されている例示的なTMSデバイスのうちの1つ(たとえば、TMSデバイス100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、または1200のいずれか)などのような、TMSデバイスを使用して実施され得る。
【0255】
1402において、TMSデバイスは、TMS治療プロセス1400における使用に関して選択され得る。TMSデバイスは、(たとえば、TMSデバイス100、200、300、400、500、600、700、800、および1200にしたがって、)静的な構成を有することが可能であり、または、(たとえば、TMSデバイス900、1000にしたがって、)調節可能なおよび/もしくは再構成可能な構成を有することが可能である(また、TMSデバイス300、400、および1100の調節可能な構成を有することが可能である)。選択されるTMSデバイスが静的な構成を有する場合には、治療プロセス1400は、1408へ進むことが可能である。選択されるTMSデバイスが、調節可能なおよび/または再構成可能な構成を有する場合には、治療プロセス1400は、1404へ進むことが可能である。
【0256】
1404において、TMSデバイスに関する所望の治療構成が決定され得る。この決定は、所望の治療場所における被験者の解剖学的構造に基づいて行われ得る。たとえば、決定は、被験者の頭部のサイズ、および、治療されることとなる被験者の脳の一部分のうちの1つまたは複数にしたがって行われ得る。
【0257】
1406において、TMSデバイスは、決定された治療構成にしたがって、調節および/または再構成され得る。たとえば、TMSデバイス900が、治療プロセス1400のためのTMSデバイスとして選択される場合には、強磁性コンポーネント930は、たとえば、第1および第2のピース940、950を調節することによって調節され得る。別の例では、TMSデバイス1000が、治療プロセス1400のためのTMSデバイスとして選択される場合には、強磁性コンポーネント1030は、1または複数のピース1036(たとえば、第1から第6のセグメント1040~1090のうちの1つまたは複数)を除去および/または交換することによって再構成され得る。TMSデバイスが、決定された治療構成にしたがって調節および/または再構成されたときには、治療プロセス1400は、1408へ進むことが可能である。
【0258】
1408において、TMSデバイスは、被験者の上の所望の治療場所に近接して(たとえば、被験者の頭部の近位に)位置決めされ得る。たとえば、TMSデバイスが位置決め装置に装着される場合には、位置決め装置は、TMSデバイスの1または複数の治療コイルが被験者の頭部の上の皮膚場所の近くに配設されるように、動作させられ得る。
【0259】
1410において、TMSデバイスは、被験者の中に(たとえば、被験者の頭部の中に)磁場を発生させるように動作させられ得る。たとえば、TMSデバイスと電気的に通信する制御回路は、電流のパルスをTMSデバイスに送達するように動作させられ得る。1412において、TMSデバイスによって発生させられる磁場が、被験者の解剖学的構造の1または複数の部分(たとえば、被験者の脳の1または複数の部分)を刺激するために使用され得る。例では、被験者の脳の1または複数の部分は、1または複数の刺激サイクルにしたがって刺激され得、それぞれの刺激サイクルは、5秒の休眠期間がその後に続く5秒の刺激を含む。刺激は、たとえば、おおよそ15ヘルツ(15Hz)の周波数レートで実施され得る。
【0260】
治療プロセス1400は、被験者の運動閾値場所を決定するためにTMSデバイスを使用することを含むことが可能である。TMSデバイスは、運動閾値場所プロシージャーの間に局所化が必要とされないように構成され得る。たとえば、TMSデバイス(たとえば、TMSデバイス100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、または1200のいずれか)は、被験者の脳の中に磁場を発生させるように構成され得、それは、運動閾値場所を包含する被験者の脳のストリップ形状の領域を(たとえば、前後方向に)刺激する。運動閾値場所は、TMSデバイスの局所化を使用して決定され得る。たとえば、TMSデバイスは、位置決めの指示が観察されるまで(たとえば、被験者の親指が動きまたはけいれんし、運動閾値場所を示すまで)、被験者の頭部のエリアの上に移動させられ得る。運動閾値場所は、たとえば、おおよそ1(1)Hzの刺激周波数レートを使用して決定され得る。運動閾値場所から、TMSデバイスは、被験者の上の所望の治療場所へ移動させられ得る。例では、所望の治療場所は、決定された運動閾値場所から前方におおよそ5センチメートル(5cm)であることが可能である。
【0261】
本明細書で説明されている例示的なTMSデバイス(たとえば、TMSデバイス100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、または1200のいずれか)などのような、TMSデバイスは、たとえば、鬱病、失禁、および体重管理の問題など、多数の病気または障害を治療するために使用され得る。そのような治療は、たとえば、例示的なTMS治療プロセス1400にしたがって例示的なTMSデバイスを使用して、被験者に適用され得る。例示的なTMSデバイスは、他の病気または障害を治療するために使用され得る。たとえば、TMSデバイスは、筋肉のリハビリテーションにおいて使用され得る。TMSデバイスは、末梢神経系障害の治療において使用され得る。
【0262】
例示的なTMSデバイスは、以下の治療状況のうちの1つまたは複数において使用され得る。それは、大鬱病性障害、てんかん、統合失調症、パーキンソン病、トゥレット症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、肥満、双極性障害および/または躁病、不安障害(たとえば、広場恐怖症を伴うおよび伴わないパニック障害、社会不安障害、急性ストレス障害、全般性不安障害)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、疼痛(たとえば、片頭痛、三叉神経痛)、慢性の疼痛性障害(たとえば、糖尿病性ニューロパシーに起因する疼痛、帯状疱疹後神経痛)、突発性疼痛性障害(たとえば、線維筋痛、局所筋筋膜性疼痛症候群)、脳卒中に続くリハビリテーション(神経可塑性誘導)、耳鳴り、統合を促進させるために移植されたニューロンの刺激、物質関連障害(たとえば、アルコール、コカイン、アンフェタミン、カフェイン、ニコチン、大麻などに関する依存症診断、乱用診断、および/または離脱症状診断)、脊髄損傷および再生および/またはリハビリテーション、頭部損傷、睡眠遮断の逆転、原発性睡眠障害(たとえば、原発性不眠症、原発性過眠症、または概日リズム睡眠障害)、認識促進、認知症、月経前不快気分障害(PMS)、薬物送達システム(たとえば、薬物に対する細胞膜透過性を変化させる)、タンパク質合成の誘導(たとえば、転写および翻訳の誘導)、吃音、失語症、嚥下障害、本態性振戦、ならびに摂食障害(たとえば、過食症、拒食症、無茶食い)を含む。
【0263】
例示的なTMSデバイスは、治療用途以外の使用に関して用いられ得るということが認識されるべきである。たとえば、例示的なTMSデバイスは、被験者の中の1または複数の病気の診断を実施するために、(たとえば、例示的なTMS治療プロセス1400にしたがって)使用され得る。図示するために、例示的なTMSデバイスは、薬物または他の療法に対する被験者の反応を診断するために使用され得、および/または、そのような療法の有効性を定量化するために使用され得る。たとえば、製剤は、中枢神経系の性能に対して効果(たとえば、直接的な効果または二次的な効果)を有するということが公知であり得る。そのような効果は、たとえば、TMSを提供することによって、および、誘発電位、運動反応、伝導速度、または他の反応のうちの1つまたは複数を観察することによって、例示的なTMSデバイスを使用して観察され得る。1または複数のそのような反応の中で観察される変化が使用され、たとえば、製剤の性能を定量化し、または、製剤の最適な投与を決定することが可能である。
【0264】
例示的なTMSデバイスは、たとえば、神経学的反応を観察することによって、被験者の中の1または複数の病理の診断を実施するために、(たとえば、例示的なTMS治療プロセス1400にしたがって)使用され得る。そのような病理は、それに限定されないが、変性疾患、外傷の程度、疾患の進行、全身欠乏症、および先天異常を含むことが可能である。図示するために、例示的なTMSデバイスは、たとえば、易感染症の運動機能、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、MS、糖尿病性ニューロパシー、慢性の脱髄性ニューロパシー、急性の脱髄性ニューロパシー、てんかん、ビタミンB12欠乏症(たとえば、悪性貧血)、ビタミンE欠乏症、神経サルコイドーシス、耳鳴り、および脳卒中の診断において使用され得る。例示的なTMSデバイスは、そのような病理に関して、治療の有効性を評価するために使用され得る。たとえば、TMSデバイスは、たとえば、抗けいれん剤、アルツハイマーの薬剤、抗精神病薬剤、鎮痛剤、抗不安性薬剤、催眠剤(鎮静剤)、(中枢性)鎮痛薬、ADHD薬剤、または麻酔薬などの、製剤の効果を査定および/または測定するために使用され得る。
【0265】
本明細書で説明されている例示的なTMSデバイス(たとえば、TMSデバイス100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、または1200のいずれか)は、それらの図示されている構成に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、例示的なTMSデバイスの第1のものからの1または複数のコンポーネントは、例示的なTMSデバイスの第2のもの中に実装され得る。例示的な図示では、TMSデバイス200の強磁性コンポーネント230と同様に構成されている強磁性コンポーネントが、TMSデバイス100の強磁性コンポーネント130の代わりに置き換えられ得る。別の例示的な図示では、TMSデバイス400の第1および第2の治療コイル410a、410bのうちの一方または両方は、TMSデバイス300の対応する第1および/または第2の治療コイル310a、310bの代わりに置き換えられ得る。当業者は、例示的なTMSデバイスのこれらの構成および他の異なる構成が、本開示の範囲および精神から逸脱することなく実装され得るということを認識することとなる。