(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129783
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】基板
(51)【国際特許分類】
G01R 27/28 20060101AFI20230912BHJP
H01P 5/08 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G01R27/28 Z
H01P5/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034040
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜地 健次
【テーマコード(参考)】
2G028
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028CG20
2G028FK09
2G028HN09
2G028MS02
(57)【要約】
【課題】DUTの周波数特性測定の正確性向上に資する基板を提供する。
【解決手段】基板(SUB10)は、第1面(SF1)を有する第1基板と、前記第1基板の厚さ方向から見て、前記第1面よりも面積が小さい第2面(SF2)と、前記第1面よりも面積が小さく前記第2面に対向する第3面(SF3)と、を有する第2基板と、を備える。前記第1基板は、前記第1面上に形成された第1信号ライン(L1)及び第2信号ライン(L2)を有する。前記第2基板は、前記第2面上に形成され、前記第1信号ラインに接触可能な第1導電部(C1)と、前記第2信号ラインに接触可能な第2導電部(C2)と、前記第3面上に形成された第3導電部(C3)及び第4導電部(C4)と、前記第1導電部と前記第3導電部とを導通させる第1導通部(C11)と、前記第2導電部と前記第4導電部とを導通させる第2導通部(C12)と、を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する第1基板と、
前記第1基板の厚さ方向から見て、前記第1面よりも面積が小さい第2面と、前記第1面よりも面積が小さく前記第2面に対向する第3面と、を有する第2基板と、
を備え、
前記第1基板は、前記第1面上に形成された第1信号ライン及び第2信号ラインを有し、
前記第2基板は、前記第2面上に形成され、前記第1信号ラインに接触可能な第1導電部と、前記第2信号ラインに接触可能な第2導電部と、前記第3面上に形成された第3導電部及び第4導電部と、前記第1導電部と前記第3導電部とを導通させる第1導通部と、前記第2導電部と前記第4導電部とを導通させる第2導通部と、を有する、基板。
【請求項2】
前記第2基板は、前記第2面から突出する第1突起、第2突起、及び第3突起を有し、
前記第1突起は前記第1導電部であり、
前記第2突起は前記第2導電部である、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記第3突起は導電部材であり、
前記第2基板は、前記第3面上に形成される第5導電部と、前記第3突起と前記第5導電部とを導通させる第3導通部と、をさらに有する、請求項2に記載の基板。
【請求項4】
前記第1基板は、前記第1面上に形成されるグランドパターンをさらに有し、
前記第3突起は、前記グランドパターンに接触可能である、請求項3に記載の基板。
【請求項5】
前記第1基板は、前記第1面から凹む凹部を有し、
前記第1信号ライン及び前記第2信号ラインは、前記第1面及び前記凹部に形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板。
【請求項6】
前記第1基板は、前記第1面から突出する凸部を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、基板に関する。
【背景技術】
【0002】
DUTの周波数特性は、ベクトル・ネットワークアナライザ等の周波数特性測定装置によって測定される。従来の一般的な測定手法では、まずはケーブル端面で非特許文献1に記載されているSOLT(Short-Open-Load-Thru)校正が実施される。そして、DUTの代わりにShortさせた基板、DUTの代わりにOpenにした基板、DUTの代わりに負荷(Load)が実装された基板、DUTが実装されたサンプル基板からDUTが実装された部分を除去したThru基板を順次ケーブル間に取り付けて、SOLT校正が実施される。その後、DUTが実装されたサンプル基板のSパラメータの測定結果から、DUTのみのSパラメータが抽出される。これにより、純粋なDUTの周波数特性を得ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】市川古都美、市川裕一著,「高周波回路設計のためのSパラメータ詳解」,第5版,CQ出版社,2020年1月1日,p.14-143
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の一般的な測定手法は、4種類の校正用基板を必要とするので、校正用基板に多大なコストがかかるともに、校正作業に時間がかかるという課題を有する。
【0005】
また、DUTの周波数特性測定において複数の基板を用いる場合、基板の個体差が測定の誤差要因になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されている基板は、第1面を有する第1基板と、前記第1基板の厚さ方向から見て、前記第1面よりも面積が小さい第2面と、前記第1面よりも面積が小さく前記第2面に対向する第3面と、を有する第2基板と、を備える。前記第1基板は、前記第1面上に形成された第1信号ライン及び第2信号ラインを有する。前記第2基板は、前記第2面上に形成され、前記第1信号ラインに接触可能な第1導電部と、前記第2信号ラインに接触可能な第2導電部と、前記第3面上に形成された第3導電部及び第4導電部と、前記第1導電部と前記第3導電部とを導通させる第1導通部と、前記第2導電部と前記第4導電部とを導通させる第2導通部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本明細書中に開示されている発明によれば、DUTの周波数特性測定の正確性向上に資する基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る周波数特性測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1測定基板の概略構造を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第2測定基板の概略構造を示す模式図である。
【
図4】
図4は、抽出部の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1フィクスチャのSパラメータを模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第2フィクスチャのSパラメータを模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第2測定基板のSパラメータを模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、DUTの第2基板への実装例を示す図である。
【
図12】
図12は、DUTの第2基板への他の実装例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態に係る周波数特定測定装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す一実施形態に係る周波数特性測定装置10(以下、「周波数特性測定装置10」と略す)は、ベクトル・ネットワークアナライザである。
【0010】
周波数特性測定装置10は、第1ポート1と、第2ポート2と、校正部3と、測定部4と、抽出部5と、を備える。
【0011】
第1ポート1は、第1同軸ケーブルCX1の一端E11が接続可能に構成される。第2ポート2は、第2同軸ケーブルCX2の一端E21が接続可能に構成される。
【0012】
校正部3は、ケーブル端面でSOLT校正を行うように構成される。具体的には、第1ポート1に第1同軸ケーブルCX1の一端E11が接続され、第2ポート2に第2同軸ケーブルCX2の一端E21が接続された状態で、校正部3は、第1同軸ケーブルCX1の他端E12の端面及び第2同軸ケーブルCX2の他端E22の端面それぞれでSOLT校正を行うように構成される。ケーブル端面におけるSOLT校正は、例えば非特許文献1等に開示されている周知技術であるため、ここでは詳細な説明を省略する。校正部3は、校正結果を測定部4に提供する。
【0013】
測定部4は、Sパラメータを測定する。測定部4は、第1測定部としても機能し、第2測定部としても機能する。
【0014】
第1測定部は、校正部3によるSOLT校正の後、DUTが実装された第1測定基板SUB1(
図2参照)のSパラメータを測定するように構成される。つまり、第1測定部が測定を実行するときには、第1測定基板SUB1が第1同軸ケーブルCX1及び第2同軸ケーブルCX2を介して周波数特性測定装置10に接続される。
【0015】
第2測定部は、校正部3によるSOLT校正の後、第1測定基板SUB1からDUTが実装された部分を除去した構造である第2測定基板SUB2(
図3参照)のSパラメータを測定するように構成される。つまり、第2測定部が測定を実行するときには、第2測定基板SUB2が第1同軸ケーブルCX1及び第2同軸ケーブルCX2を介して周波数特性測定装置10に接続される。
【0016】
図2は第1測定基板SUB1の概略構造を示す模式図である。
図3は第2測定基板SUB2の概略構造を示す模式図である。第1測定基板SUB1は、DUTが実装された部分P1と、第1フィクスチャP2と、第2フィクスチャP3と、を有する。第2測定基板SUB2は、第1フィクスチャP2と、第2フィクスチャP3と、を有する。第2測定基板SUB2において、第1フィクスチャP2及び第2フィクスチャP3は、第2測定基板SUB2を仮想的に中央で2分割して得ることができる。
【0017】
第1フィクスチャP2は、第1同軸ケーブルCX1の他端E12に接続可能な第1コネクタCN1を有する。第1コネクタCN1は、第1フィクスチャP2の左端部に設けられる。第2フィクスチャP3は、第2同軸ケーブルCX1の他端E22に接続可能な第2コネクタCN2を有する。第2コネクタCN2は、第2フィクスチャP3の右端部に設けられる。なお、第1フィクスチャP2と第2フィクスチャP3とは互いに左右対称の構造である。しかしながら、第1フィクスチャP2と第2フィクスチャP3とは互いに完全に左右対称の構造でなく、若干の製造ばらつきを有していてもよい。
【0018】
抽出部5は、第1測定部の測定結果及び第2測定部の測定結果をベクトル演算することによって、DUTのSパラメータを抽出するように構成される。抽出部5の抽出結果は、例えば周波数特性測定装置10に対して装脱着可能な可搬型記憶媒体に記憶してもよく、周波数特性測定装置10に設けられる表示部に表示してもよく、周波数特性測定装置10の外部に通信によって出力してもよい。
【0019】
抽出部5は、例えばマイクロコンピュータ等のコンピュータに、第1測定部の測定結果及び前記第2測定部の測定結果を処理するためのコンピュータプログラムをインストールし、当該コンピュータプログラムを実行することによって実現することができる。本実施形態では、抽出部5は周波数特性測定装置10に内蔵されているが、周波数特性測定装置10の外部に設けられるコンピュータを抽出部5として機能させてもよい。
【0020】
図4は、抽出部5の動作例を示すフローチャートである。抽出部5は、まず始めに第1測定部の測定結果を取得する(ステップS10)。次に、抽出部5は、第2測定部の測定結果を取得する(ステップS20)。なお、本実施形態とは異なり、ステップS20を先に実行し、その後ステップS10を実行してもよく、ステップS10及びステップS20を並行して実行してもよい。
【0021】
第1測定部の測定結果及び第2測定部の測定結果を取得した後、抽出部5は、第1測定部の測定結果及び第2測定部の測定結果をベクトル演算することによって、DUTのSパラメータを抽出し(ステップS30)、フロー動作を終了する。
【0022】
次に、ステップS30の処理の詳細について説明する。
図5は第1フィクスチャP2のSパラメータを模式的に示す図である。
図6は第2フィクスチャP3のSパラメータを模式的に示す図である。
図7は第2測定基板SUB2のSパラメータを模式的に示す図である。
【0023】
第1フィクスチャP2と第2フィクスチャP3との左右対称性から、抽出部5は、S21A=S12B、S12A=S21Bとする。また、抽出部5は、第1フィクスチャP2及び第2フィクスチャP3それぞれの第2測定基板端面での反射を、第2測定基板SUB2の端面での反射以下とみなし、第1フィクスチャP2及び第2フィクスチャP3それぞれの仮想分割面での反射を、第2測定基板SUB2の端面での反射以下とみなさない。なお、「第1フィクスチャP2及び第2フィクスチャP3それぞれの第2測定基板端面での反射を、第2測定基板SUB2の端面での反射以下とみなす」とは、測定範囲の周波数域において概ね又は完全に、第1フィクスチャP2及び第2フィクスチャP3それぞれの第2測定基板端面での反射を第2測定基板SUB2の端面での反射以下とみなせればよい。すなわち、測定範囲の周波数域において、部分的に、第1フィクスチャP2及び第2フィクスチャP3それぞれの第2測定基板端面での反射が第2測定基板SUB2の端面での反射より高くなる場合を排除するものではない。そして、抽出部5は、第2測定部の測定結果から第1フィクスチャP2のSパラメータ及び第2フィクスチャP3のSパラメータを求める。具体的には、第1フィクスチャP2のSパラメータ及び第2フィクスチャP3のSパラメータは以下のようになる。
(1)S11A(第1フィクスチャP2の第2測定基板端面での反射を示すSパラメータ)の振幅は、測定範囲の全周波数域に渡って単一の第1固定値
(2)S11Aの位相は、測定範囲の全周波数域に渡ってゼロ
(3)S22A=(S22C-S11A)/S12C
(4)S21A=(1-S11B2×S21C)0.5
(5)S12A=(1-S22A2×S12C)0.5
(6)S11B=(S11C-S11A)/S21C
(7)S22B(第2フィクスチャP3の第2測定基板端面での反射を示すSパラメータ)の振幅は、測定範囲の全周波数域に渡って単一の第1固定値
(8)S22Bの位相は、測定範囲の全周波数域に渡ってゼロ
(9)S21B=S12A
(10)S12B=S21A
【0024】
抽出部5は、第1測定部の測定結果から、第1フィクスチャP2のSパラメータ及び第2フィクスチャP3のSパラメータをベクトル演算により差し引いて、DUTのみのSパラメータを求める。
【0025】
周波数特性測定装置10を用いた測定では、DUTの代わりにShortさせた基板、DUTの代わりにOpenにした基板、DUTの代わりに負荷(Load)が実装された基板が不要である。従って、周波数特性測定装置10は、低コストで簡便にDUTの周波数特性を測定することができる。
【0026】
第1フィクスチャP2のSパラメータS11Aが低反射を示す値であるとすると、DUTが高透過特性を有する場合、第1測定基板SUB1のSパラメータS11は第2フィクスチャP3のSパラメータS11Bでほぼ決まることになり、逆にDUTが高反射特性を有する場合、第1測定基板SUB1のSパラメータS11はDUTのSパラメータS11でほぼ決まることになる。DUTが高透過特性である場合、DUTが高反射特性を有する場合という極端な2つの場合について説明したが、それ以外の場合でも、第1測定基板SUB1のSパラメータS11は、第2フィクスチャP3のSパラメータS11BとDUTのSパラメータS11とでほぼ決まることになる。
【0027】
同様に、第2フィクスチャP3のSパラメータS22Bが低反射を示す値であるとすると、DUTが高透過特性を有する場合、第1測定基板SUB1のSパラメータS22は第1フィクスチャP2のSパラメータS22Aでほぼ決まることになり、逆にDUTが高反射特性を有する場合、第1測定基板SUB1のSパラメータS22はDUTのSパラメータS22でほぼ決まることになる。DUTが高透過特性である場合、DUTが高反射特性を有する場合という極端な2つの場合について説明したが、それ以外の場合でも、第1測定基板SUB1のSパラメータS22は、第1フィクスチャP2のSパラメータS22AとDUTのSパラメータS22とでほぼ決まることになる。
【0028】
つまり、抽出部5は、第1フィクスチャP2及び第2フィクスチャP3それぞれの第2測定基板端面での反射を、測定範囲の全周波数域に渡って所定レベル以下であるとみなすことは、合理的である。
【0029】
周波数特性測定装置10と同様に、DUTの代わりにShortさせた基板、DUTの代わりにOpenにした基板、DUTの代わりに負荷(Load)が実装された基板が不要である測定装置が、“Design criteria of automatic fixture removal(AFR) for asymmetric fixture dembeddinng”(IEEE Conference Paper,p.654-p.659,August 2014)に開示されている。しかしながら、“Design criteria of automatic fixture removal(AFR) for asymmetric fixture dembeddinng”(IEEE Conference Paper,p.654-p.659,August 2014)のFig.2に記載されている第1フィクスチャと第2フィクスチャとの仮想的な分割は、第2測定基板SUB2のケーブルが接続される2つの端面間距離が測定範囲の最も低い周波数の逆数の2倍以上でなければ適切に実行できないと推察される。一方、周波数特性測定装置10では、上記(1)~(10)の各Sパラメータを求めるのに、第2測定基板SUB2のケーブルが接続される2つの端面間距離が測定範囲の最も低い周波数の逆数の2倍以上である必要はない。したがって、第2測定基板SUB2の小型化及び低コスト化を図る観点から、第2測定基板SUB2のケーブルが接続される2つの端面間距離が測定範囲の最も低い周波数の逆数の2倍未満にすることが好ましい。
【0030】
上述した実施形態では、抽出部5は、第1フィクスチャP2の透過特性と第2フィクスチャP3の透過特性とが対称であるとみなしたが、抽出部5は、第1フィクスチャP2の透過特性と第2フィクスチャP3の透過特性とが対称であるとみなさなくてもよい。抽出部5は、第1フィクスチャP2の透過特性と第2フィクスチャP3の透過特性とが対称であるとみなさない場合、上記(9)が下記(9)’に変わり、上記(10)が下記(10)’に変わる。
(9)’S21B=(1-S11B2×S21C)0.5
(10)’S12B=(1-S22A2×S12C)0.5
【0031】
上述した測定では、第1測定基板SUB1と第2測定基板SUB2との個体差が測定の誤差要因になる。そこで、第1測定基板SUB1と第2測定基板SUB2との個体差の低減を図るために、第1測定基板SUB1及び第2測定基板SUB2を、
図8に示す基板SUB10に第1コネクタCN1及び第2コネクタCN2を取り付けたものにすることが好ましい。
【0032】
基板SUB10は、第1基板SUB11と、第1基板SUB11より小さい第2基板SUB12と、を有する。
【0033】
第1基板SUB11及び第2基板SUB12はそれぞれ略直方体形状である。より詳細には、第1基板SUB11及び第2基板SUB12はそれぞれ略平板形状である。
【0034】
第1信号ラインL1、第2信号ラインL2、及びグランドパターンGP1は、第1基板SUB11の上面SF1に形成される。第1信号ラインL1及び第2信号ラインL2は、ラインの幅方向において一対のグランドパターンGP1に挟まれている。つまり、第1基板SUB11は、マイクロストリップライン基板である。第1信号ラインL1、第2信号ラインL2、及びグランドパターンGP1は、例えば金属薄膜等によって構成される。第1基板SUB11の基材は、絶縁材料である。
【0035】
図9に示す通り、第1信号ラインL1と第2信号ラインL2とは互いに分離している。つまり、第1基板SUB11単体の状態では、第1信号ラインL1と第2信号ラインL2とは電気的に接続されていない。
【0036】
次に、
図10~
図14を参照して、第2基板SUB12について説明する。
図10~
図14それぞれにおいて、上から順に第2基板SUB12の斜視図、第2基板SUB12の上面図、第2基板SUB12の底面図、及び第2基板SUB12の正面図が描写されている。
【0037】
図10は、第2基板SUB12の一例を示す図である。
図11は、DUT100の第2基板SUB12への実装例を示す図である。
図12は、DUT100の第2基板SUB12への他の実装例を示す図である。
図13は、第2基板SUB12の他の例を示す図である。
図14は、第2基板SUB12の更に他の例を示す図である。
【0038】
第2基板SUB12は、下面SF2から突出する第1~第3突起PR1~PR3を有する。第2基板SUB12は、第1~第3突起PR1~PR3の3箇所で第1基板SUB11と接触する。3箇所で1つの平面が決まるため、第2基板SUB12と第1基板SUB11との接触が安定する。ただし、突起の数は3つに限定されない。例えば突起の突出量ばらつきを小さくできれば、突起の数が4つ以上であっても第2基板SUB12と第1基板SUB11との接触を安定させることができる。
【0039】
第1~第3突起PR1~PR3それぞれは略半球形状である。これにより、第1~第3突起PR1~PR3それぞれと第1基板SUB11との接触が点接触になり、第2基板SUB12と第1基板SUB11との接触がより一層安定する。
【0040】
なお、第1~第3突起PR1~PR3それぞれの形状を略半球形状以外の形状にして第1~第3突起PR1~PR3それぞれと第1基板SUB11との接触が点接触になるようにしてもよい。例えば第1~第3突起PR1~PR3それぞれの形状を略円錐形状にしてもよい。
【0041】
第1突起PR1は、第1信号ラインL1に接触可能な第1導電部C1である。第2突起PR2は、第2信号ラインL2に接触可能な第2導電部C2である。第3突起PR3は、グランドパターンに接触可能な導電部材である。
【0042】
第2基板SUB12は、第3導電部C3と、第4導電部C4と、第5導電部C5と、を下面SF2に対向する上面SF3に有する。
【0043】
第2基板SUB12は、第1導電部C1と第3導電部C3とを導通させる第1導通部C11を有する。第2基板SUB12は、第2導電部C2と第4導電部C4とを導通させる第2導通部C12を有する。第2基板SUB12は、第3突起PR3と第5導電部C5とを導通させる第3導通部C13を有する。第1~第3導通部C11~C13それぞれは、例えばコンタクトホールである。
【0044】
上述した基板SUB10は、複数種類の第2基板SUB12を交換することで、基板SUB10の大部分を占める第1基板SUB11を共通して使用することができる。したがって、基板SUB10は、個体差を小さくすることができる。そして、基板SUB10の個体差を小さくすることで、DUTの周波数特性測定の正確性を向上させることができる。
【0045】
例えば、
図10に示すように第3~第5導電部C3~C5が互い分離している第2基板SUB12を第1基板SUB11に載せた場合、基板SUB10は、「Openにした基板」として利用することができる。
【0046】
例えば、
図11又は
図12に示すように第3~第5導電部C3~C5が互い分離しておりDUT100を実装している第2基板SUB12を第1基板SUB11に載せた場合、基板SUB10は、上述した「第1測定基板SUB1」として利用することができる。
【0047】
なお、
図11では、DUT100は、ワイヤボンディングによって第2基板SUB12に接続されている。また、
図12では、DUT100は、はんだ付けによって第2基板SUB12に接続されている。
【0048】
例えば、
図13に示すように第3導電部C3と第4導電部C4とが連結されており第3導電部C3及び第4導電部C4と第5導電部C5とが互い分離している第2基板SUB12を第1基板SUB11に載せた場合、基板SUB10は、上述した「第2測定基板SUB2」として利用することができる。
【0049】
例えば、
図14に示すように第3~第5導電部C3~C5が連結されている第2基板SUB12を第1基板SUB11に載せた場合、基板SUB10は、「Shortさせた基板」として利用することができる。
【0050】
また、
図13に示す第2基板SUB12において、DUTが第3導電部C3及び第4導電部C4と第5導電部C5とを跨ぐようにDUTを実装してシャント・スルーを実現することもできる。
【0051】
また、
図10に示す第2基板SUB12において、DUTが第3導電部C3と第4導電部C4とを跨ぐようにDUTを実装してシリーズ・スルーを実現することもできる。シリーズ・スルーとして用いる場合には、第5導電部C5及び第3導通部C13を無くした構成にし、第3突起PR3を絶縁部材にすることもできる。
【0052】
基板SUB10では、第1基板SUB11に対して第2基板SUB12を上から押し付けて、第1基板SUB11と第2基板SUB12との間の電気的接続を良好にする必要がある。
【0053】
第1基板SUB11に対して第2基板SUB12を上から押し付ける手法は特に限定されない。例えば、第1基板SUB11及び第2基板SUB12が絶縁性のバンドで巻かれてもよい。また例えば、専用治具によって第1基板SUB11に対して第2基板SUB12が固定されてもよい。また例えば、
図15に示すように第2基板SUB12の四隅に貫通孔TH1~TH4が設けられ、4つのネジ穴が第1基板SUB11に設けられ、貫通孔TH1~TH4を貫通する4本のボルトによって第2基板SUB12が第1基板SUB11にねじ止めされてもよい。
【0054】
基板SUB10では、第2基板SUB12が第1基板SUB11の所定の位置に搭載される必要がある。つまり、基板SUB10では、第1基板SUB11に対する第2基板SUB12の位置決めが必要となる。第1基板SUB11に対する第2基板SUB12の位置決めは容易であることが好ましい。
【0055】
図16は、第1基板SUB11の変形例を示す図である。
図16に示す第1基板SUB11は、上面SF1から凹む凹部CON1を有する。第1信号ラインL1は上面SF1及び凹部CON1に形成される。第2信号ラインL2は上面SF1及び凹部CON2に形成される。
図16中の点線は、上述した所定の位置の外縁を示している。凹部CON1の外縁は、上述した所定の位置の外縁を囲んでいる。
【0056】
凹部CON1を第2基板SUB12のガイドとして利用することで、第1基板SUB11に対する第2基板SUB12の位置決めが容易になる。
【0057】
図17は、第1基板SUB11の他の変形例を示す図である。
図17に示す第1基板SUB11は、上面SF1から突出する4個の凸部CON2を有する。
図17中の点線は、上述した所定の位置の外縁を示している。4個の凸部CON2は、上述した所定の位置の外縁を囲んでいる。
【0058】
4個の凸部CON2を第2基板SUB12のガイドとして利用することで、第1基板SUB11に対する第2基板SUB12の位置決めが容易になる。なお、凸部CON2の個数は4個に限定されない。例えば、1個の環状の凸部CON2が第1基板SUB11の上面SF1に形成されてもよく、3個以下又は5個以上の凸部CON2が第1基板SUB11の上面SF1に形成されてもよい。
【0059】
上述した通り、基板SUB10では、第2基板SUB12は交換されるが、第1基板SUB11は交換しない。したがって、第1基板SUB11に対して第1コネクタCN1及び第2コネクタCN2の装脱着を繰り返す必要がなくなる。
【0060】
そこで、第1基板SUB11に対して第1コネクタCN1及び第2コネクタCN2をはんだ付け等によって強固に固定することが好ましい。これにより、第1コネクタCN1及び第2コネクタCN2を第1基板SUB11に取り付けるときの残留応力による第1基板SUB11の反り、温度特性評価時の熱応力による第1基板SUB11の反りなどで、第1コネクタCN1及び第2コネクタCN2と第1基板SUB11との接続が不安定となることを抑制することができる。
【0061】
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本明細書に開示されている発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0062】
以上説明した基板(SUB10)は、第1面(SF1)を有する第1基板と、前記第1基板の厚さ方向から見て、前記第1面よりも面積が小さい第2面(SF2)と、前記第1面よりも面積が小さく前記第2面に対向する第3面(SF3)と、を有する第2基板と、を備え、前記第1基板は、前記第1面上に形成された第1信号ライン(L1)及び第2信号ライン(L2)を有し、前記第2基板は、前記第2面上に形成され、前記第1信号ラインに接触可能な第1導電部(C1)と、前記第2信号ラインに接触可能な第2導電部(C2)と、前記第3面上に形成された第3導電部(C3)及び第4導電部(C4)と、前記第1導電部と前記第3導電部とを導通させる第1導通部(C11)と、前記第2導電部と前記第4導電部とを導通させる第2導通部(C12)と、を有する構成(第1の構成)である。
【0063】
上記第1の構成の基板は、複数種類の第2基板を交換することで、基板の大部分を占める第1基板を共通して使用することができる。したがって、上記第1の構成の基板は、個体差を小さくすることができる。そして、基板の個体差を小さくすることで、DUTの周波数特性測定の正確性を向上させることができる。
【0064】
上記第1の構成の基板において、前記第2基板は、前記第2面から突出する第1突起(PR1)、第2突起(PR3)、及び第3突起(PR3)を有し、前記第1突起は前記第1導電部であり、前記第2突起は前記第2導電部である構成(第2の構成)であってもよい。
【0065】
上記第2の構成の基板では、第2基板が、第1突起、第2突起、及び第3突起の3箇所で第1基板と接触する。3箇所で1つの平面が決まるため、第2基板と第1基板との接触が安定する。
【0066】
上記第2の構成の基板において、前記第3突起は導電部材であり、前記第2基板は、前記第3面上に形成される第5導電部(C5)と、前記第3突起と前記第5導電部とを導通させる第3導通部(C13)と、をさらに有する構成(第3の構成)であってもよい。
【0067】
上記第3の構成の基板は、第2基板にDUTを実装する場合に、第1基板の第1面に形成される第1信号ライン及び第2信号ライン以外の部分とDUTとを電気的に接続することが可能になる。
【0068】
上記第3の構成の基板において、前記第1基板は、前記第1基板は、前記第1面上に形成されるグランドパターン(GP1)をさらに有し、前記第3突起は、前記グランドパターンに接触可能である構成(第4の構成)であってもよい。
【0069】
上記第4の構成の基板は、第2基板にDUTを実装する場合に、グランド電圧をDUTに供給することができる。
【0070】
上記第1~4いずれかの構成の基板において、前記第1基板は、前記第1面から凹む凹部(CON1)を有し、前記第1信号ラインは前記第1面及び前記凹部に形成され、前記第2信号ラインは前記第1面及び前記凹部に形成される構成(第5構成)であってもよい。
【0071】
上記第5の構成の基板は、凹部を第2基板のガイドとして利用することで、第2基板の位置決めが容易になる。
【0072】
上記第1~4いずれかの構成の基板において、前記第1基板は、前記第1面から突出する凸部(CON2)を有する構成(第6構成)であってもよい。
【0073】
上記第6の構成の基板は、凸部を第2基板のガイドとして利用することで、第2基板の位置決めが容易になる。
【符号の説明】
【0074】
1 第1ポート
2 第2ポート
3 校正部
4 測定部
5 抽出部
10 一実施形態に係る周波数特定測定装置
100 DUT
C1~C5 第1~第5導電部
C11~C13 第1~第5導通部
CN1 第1コネクタ
CN2 第2コネクタ
CON1 凹部
CON2 凸部
CX1 第1同軸ケーブル
CX2 第2同軸ケーブル
E11 第1同軸ケーブルの一端
E12 第1同軸ケーブルの他端
E21 第2同軸ケーブルの一端
E22 第2同軸ケーブルの他端
GP1 グランドパターン
L1、L2 第1、第2信号ライン
P1 DUTが実装された部分
P2 第1フィクスチャ
P3 第2フィクスチャ
PR1~PR3 第1~第3突起
SF1 第1基板の上面
SF2 第2基板の下面
SF3 第2基板の上面
SUB1 第1測定基板
SUB2 第2測定基板
SUB10 基板
SUB11 第1基板
SUB12 第2基板
TH1~TH4 貫通孔