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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129791
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 41/02 20060101AFI20230912BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20230912BHJP
   A47J 41/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
A47J41/02 104B
B65D47/08 220
B65D47/08 230
A47J41/00 304B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034058
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】井川 雅章
【テーマコード(参考)】
3E084
4B002
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084AA22
3E084AA39
3E084AB01
3E084BA02
3E084CB03
3E084CC03
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA07
3E084FB01
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB06
3E084HA07
3E084HB05
3E084HC03
3E084HC10
3E084HD02
3E084JA20
3E084LB02
3E084LD01
4B002AA02
4B002BA07
4B002BA15
4B002BA60
4B002CA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】飲料容器において、接着剤を使用することなく、中空の蓋パッキンを、蓋体に固定できる構造を提供する。
【解決手段】この飲料容器は、容器本体10と、栓ユニット20とを備える。栓ユニット20は、容器本体10の上部の開口を覆う。栓ユニット20は、栓本体21、蓋体23、蓋パッキン25、および固定部材26を有する。栓本体21は、飲み口215を有する。蓋体23は、飲み口215を覆う閉位置と、飲み口215を開く開位置との間で移動可能である。蓋パッキン25は、蓋体23が閉位置のときに、飲み口215に密着する。固定部材26は、蓋パッキン25に固定される。また、固定部材26は、蓋体23に係合する爪部262を有する。このように、蓋パッキン25に固定部材26を固定し、固定部材26の爪部262を蓋体23に係合させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に飲料を貯留する飲料容器であって、
有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の上部の開口を覆う栓ユニットと、
を備え、
前記栓ユニットは、
飲み口を有する栓本体と、
前記飲み口を覆う閉位置と、前記飲み口を開く開位置との間で移動可能な蓋体と、
前記蓋体が前記閉位置のときに、前記飲み口に密着する中空の蓋パッキンと、
前記蓋パッキンを固定する固定部材と、
を有し、
前記固定部材は、前記蓋体に係合する爪部を有する、飲料容器。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料容器であって、
前記固定部材は、前記蓋パッキンの内面に固定される、飲料容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の飲料容器であって、
前記蓋パッキンの上端部は、前記蓋体に設けられた孔に挿入される、飲料容器。
【請求項4】
請求項1に記載の飲料容器であって、
前記固定部材は、前記蓋パッキンの外面に固定される、飲料容器。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の飲料容器であって、
前記栓ユニットは、
前記蓋パッキンの内部に配置され、前記蓋体が前記閉位置のときに、前記飲み口に密着した前記蓋パッキンの内面が当接する当接部
をさらに有する、飲料容器。
【請求項6】
請求項5に記載の飲料容器であって、
前記当接部は、前記蓋パッキンの中心線に沿って延びる円筒状である、飲料容器。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の飲料容器であって、
前記固定部材が、前記当接部を有する、飲料容器。
【請求項8】
請求項5または請求項6に記載の飲料容器であって、
前記蓋体が、前記当接部を有する、飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に飲料を貯留する飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステンレスボトルなどと呼ばれる飲料容器が知られている。飲料容器は、有底筒状の容器本体と、容器本体の上部の開口を覆う栓ユニットとを有する。従来の飲料容器については、例えば、特許文献1や特許文献2等に記載されている。
【0003】
特許文献1の飲料容器は、ボタンを押すことにより蓋を開放する、いわゆるワンタッチオープンタイプの飲料容器である。特許文献2の飲料容器は、蓋を回転させることにより、容器本体から蓋を取り外す、いわゆるスクリュータイプの飲料容器である。これらの飲料容器では、蓋の下面に、パッキンが取り付けられる。パッキンは、蓋を閉じたときに、飲み口を封止する。また、パッキンは、蓋から取り外して、洗浄することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-241461号公報
【特許文献2】特開2019-198392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、蓋からパッキンを取り外して洗浄する手間を省くために、蓋に対してパッキンを、ユーザが容易に取り外せないように、固定することが求められている。そのためには、例えば、蓋に対してパッキンを、接着剤で固定することが考えられる。しかしながら、特許文献1のような中空のパッキンを接着剤で固定すると、パッキンの内側の空間に接着剤が充填される。そうすると、パッキンを内側へ向けて変形させることが困難となる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、飲料容器において、接着剤を使用することなく、中空の蓋パッキンを、蓋体に固定できる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の飲料容器は、内部に飲料を貯留する飲料容器であって、有底筒状の容器本体と、前記容器本体の上部の開口を覆う栓ユニットと、を備え、前記栓ユニットは、飲み口を有する栓本体と、前記飲み口を覆う閉位置と、前記飲み口を開く開位置との間で移動可能な蓋体と、前記蓋体が前記閉位置のときに、前記飲み口に密着する中空の蓋パッキンと、前記蓋パッキンに固定された固定部材と、を有し、前記固定部材は、前記蓋体に係合する爪部を有する。
【0008】
本発明によれば、蓋パッキンに固定部材を固定し、固定部材の爪部を蓋体に係合させる。これにより、接着剤を使用することなく、中空の蓋パッキンを、蓋体に固定できる。
【0009】
前記固定部材は、例えば、前記蓋パッキンの内面に固定される。このようにすれば、蓋パッキンの外側に固定部材が露出せず、衛生的になる。
【0010】
前記蓋パッキンの上端部は、前記蓋体に設けられた孔に挿入されることが好ましい。このようにすれば、蓋パッキンの上端部が広がらないため、蓋パッキンの形状が過度に崩れることを抑制できる。したがって、蓋パッキンによるシール性能を向上させることができる。
【0011】
また、前記固定部材は、前記蓋パッキンの外面に固定されてもよい。このようにすれば、蓋パッキンの外面の一部が、固定部材に覆われる。これにより、蓋パッキンの外面が汚れることを抑制できる。また、蓋パッキンの上端部が広がらないため、蓋パッキンの形状が過度に崩れることを抑制できる。したがって、蓋パッキンによるシール性能を向上させることができる。
【0012】
また、前記栓ユニットは、前記蓋パッキンの内部に配置され、前記蓋体が前記閉位置のときに、前記飲み口に密着した前記蓋パッキンの内面が当接する当接部をさらに有することが好ましい。当接部により、蓋パッキンの変形量を抑えることができる。すなわち、蓋パッキンが飲み口に接触してから、変形を完了するまでの移動量が小さくなる。これにより、蓋体を閉じるときの操作性を向上させることができる。
【0013】
また、前記当接部は、前記蓋パッキンの中心線に沿って延びる円筒状であることが好ましい。これにより、当接部の下端の全周に、蓋パッキンの内面を、均等に当接させることができる。
【0014】
また、前記当接部は、前記蓋パッキンの中心線に沿って移動可能としてもよい。これにより、飲料容器内の圧力を調整できる。
【0015】
また、前記栓ユニットは、前記中心線に沿う前記当接部の可動範囲を調節する操作部材を有していてもよい。飲料容器内の圧力が外気圧よりも高くなっている状況で、蓋体を開く前に、操作部材を操作することにより、当接部を飲み口から離れる方向へ移動させることができる。これにより、飲料容器内の圧力を軽減してから、蓋体を開くことができる。
【0016】
また、前記固定部材が、前記当接部を有していてもよい。このようにすれば、固定部材とは別の部品として、当接部を設ける必要がない。これにより、栓ユニットの部品点数を低減できる。
【0017】
また、前記蓋体が、前記当接部を有していてもよい。これにより、蓋体とは別の部品として、当接部を設ける必要がない。これにより、栓ユニットの部品点数を低減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蓋パッキンに固定部材を固定し、固定部材の爪部を蓋体に係合させる。これにより、接着剤を使用することなく、中空の蓋パッキンを、蓋体に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】飲料容器の正面図である。
図2】飲料容器の縦断面図である。
図3】飲料容器の上部付近の部分縦断面図である。
図4】第1変形例に係る飲料容器の上部付近の部分縦断面図である。
図5】第2変形例に係る飲料容器の縦断面図である。
図6】第3変形例に係る飲料容器の上部付近の部分縦断面図である。
図7】第4変形例に係る飲料容器の上部付近の部分縦断面図である。
図8】第5変形例に係る飲料容器の上部付近の部分縦断面図である。
図9図7におけるB-B線断面図である。
図10】第2発明の一形態に係る飲料容器の上部付近の部分縦断面図である。
図11】第2発明の他の形態に係る飲料容器の上部付近の部分縦断面図である。
図12】第2発明の他の形態に係る飲料容器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
<1.飲料容器の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る飲料容器1の正面図である。図2は、飲料容器1の縦断面図(図1におけるA-A線断面図)である。この飲料容器1は、お茶やミネラルウォーターなどの飲料(液体)を内部に貯留可能なボトル(水筒)である。飲料容器1のユーザは、飲料が貯留された飲料容器1を持ち運び、必要に応じて、飲料容器1の後述する蓋体23を開けて中の飲料を飲むことができる。図1および図2に示すように、飲料容器1は、容器本体10と栓ユニット20とを備える。
【0022】
容器本体10は、飲料を内部に貯留する本体部品である。容器本体10の材料には、例えば、ステンレス鋼が用いられる。容器本体10は、有底筒状の外形を有する。すなわち、容器本体10は、円板状の底部11と、底部11の縁から上方へ向けて延びる筒状の側壁部12と、を有する。底部11および側壁部12は、それぞれ、二重構造となっており、内面と外面との間に真空層を有する。これにより、容器本体10の内部に貯留された飲料を保温または保冷することができる。
【0023】
側壁部12は、胴部121、肩部122、および首部123を有する。胴部121は、底部11の縁から上方へ向けて延びる、円筒状の部分である。肩部122は、胴部121の上端部から、上方かつ内側へ向けて延びる、略円錐状の部分である。首部123は、肩部122の上端部から上方へ向けて延びる、略円筒状の部分である。首部123の径は、胴部121の径よりも、小さい。また、首部123の外周面には、雄ねじ124が形成されている。
【0024】
栓ユニット20は、容器本体10の上部の開口を覆うユニットである。栓ユニット20は、容器本体10に対して、着脱可能となっている。飲料容器1のユーザは、容器本体10に栓ユニット20を取り付けた状態で、飲料容器1を持ち運ぶ。また、飲料容器1のユーザは、飲料を補充するときや、飲料容器1を洗うときには、容器本体10から栓ユニット20を取り外す。
【0025】
図3は、飲料容器1の上部付近の部分縦断面図である。図1図3に示すように、本実施形態の栓ユニット20は、栓本体21、栓パッキン22、蓋体23、開栓ボタン24、蓋パッキン25、および固定部材26を有する。栓本体21、蓋体23、開栓ボタン24、および固定部材26は、それぞれ、弾性変形しにくい合成樹脂により形成されている。
【0026】
栓本体21は、容器本体10に固定される部分である。本実施形態の栓本体21は、第1栓部材211と第2栓部材212の2部品で構成されている。第1栓部材211と第2栓部材212とは、互いに固定されて、一体化されている。なお、栓本体21は、1部品で構成されていてもよい。
【0027】
第1栓部材211は、首部123の周囲を覆う。第1栓部材211の内周面には、雌ねじ213が形成されている。栓本体21は、この雌ねじ213を、上述した雄ねじ124に螺合させることにより、容器本体10に取り付けられる。第2栓部材212は、第1栓部材211の中央に設けられた開口に、嵌め込まれている。第2栓部材212は、飲み口215を有する。飲み口215は、第2栓部材212を上下方向に貫通する貫通孔である。
【0028】
栓パッキン22は、リング状のシール部材である。栓パッキン22は、弾性変形可能なエラストマー等の弾性部材により形成される。栓パッキン22は、容器本体10と栓本体21との間に介在する。より詳述すると、栓パッキン22は、第2栓部材212の下端部の外周部に嵌着する。あるいは、栓パッキン22は、第2栓部材212の下端部の外周部に、接着剤で固定される。容器本体10に栓ユニット20が取り付けられると、首部123の内周面に、栓パッキン22が密着する。これにより、容器本体10の内部に貯留された飲料が、容器本体10と栓本体21との間を通って外部へ漏れ出すことが、防止される。
【0029】
蓋体23は、飲み口215を開閉するための部材である。蓋体23は、飲み口215を覆う閉位置(図1図3に示した位置)と、飲み口215を開く開位置との間で、栓本体21に設けられたヒンジ216を中心として回動する。また、蓋体23は、ヒンジ216に設けられた第1ばね217の弾性力により、開位置側へ向けて常に付勢されている。
【0030】
開栓ボタン24は、蓋体23を開くためのボタンである。開栓ボタン24は、上端部にフック241を有する。蓋体23が閉位置に配置された状態において、フック241は、蓋体23の前端部に設けられた凹部に係合する。これにより、蓋体23が閉位置に維持される。
【0031】
また、開栓ボタン24は、左右方向に延びる揺動軸240を中心として、回動可能となっている。蓋体23が閉鎖されているときには、開栓ボタン24の内側に配置された第2ばね242の弾性力により、開栓ボタン24が、蓋体23と係合する姿勢(図1図3の姿勢)に維持される。ただし、ユーザが開栓ボタン24の下部を押すと、開栓ボタン24の姿勢が傾斜することによって、蓋体23の凹部からフック241が外れる。これにより、蓋体23が、閉位置から開位置へ回動する。
【0032】
蓋パッキン25は、後述する固定部材26を介して、蓋体23に固定されたシール部材である。蓋パッキン25は、弾性変形可能なエラストマーやシリコーン等の弾性部材により形成される。図3に示すように、蓋パッキン25は、上円筒部251と、ドーム状部252とを有する。上円筒部251は、蓋パッキン25の中心線Lに沿って延びる、円筒状の部分である。ドーム状部252は、上円筒部251の下側に位置し、下方へ向けて膨らんだ半球状の部分である。蓋パッキン25は、中空であるため、ドーム状部252は、内側へ向けて変形可能である。
【0033】
蓋体23が閉位置に配置されると、蓋パッキン25は、飲み口215に密着する。より詳述すると、ドーム状部252の表面が、弾性変形しつつ、飲み口215の縁に密着する。これにより、飲み口215が封止される。したがって、蓋体23を閉鎖して飲料容器1を持ち運ぶときに、容器本体10内に貯留された飲料が、飲み口215から外部へ漏れ出すことが、防止される。
【0034】
固定部材26は、蓋パッキン25を蓋体23に固定するための部材である。図3に示すように、固定部材26は、フランジ部261、爪部262、および当接部263を有する。フランジ部261および当接部263は、蓋パッキン25の内部に配置される。蓋パッキン25は。上円筒部251とドーム状部252との間に、段差253を有する。フランジ部261の外周部は、当該段差253の下面に係合する。これにより、蓋パッキン25に対して固定部材26が固定される。
【0035】
爪部262は、蓋体23に係合する部分である。本実施形態では、固定部材26に、爪部262が複数設けられている。この複数の爪部262は、固定部材26の上端に位置する。複数の爪部262は、それぞれ、蓋パッキン25の中心線Lから離れる方向に突出する。一方、蓋体23は、円形の孔231を有する。孔231は、蓋体23を上下方向に貫通する。複数の爪部262は、当該孔231の縁の上面に係合する。これにより、蓋体23に対して固定部材26が下向きに移動することが防止される。
【0036】
また、蓋パッキン25の段差253の上面は、蓋体23の孔231の縁の下面に接触する。これにより、蓋体23に対して蓋パッキン25が上向きに移動することが防止される。その結果、蓋パッキン25および固定部材26が、蓋体23に対して固定される。
【0037】
当接部263は、蓋パッキン25のドーム状部252が変形したときに、ドーム状部252の内面に当接する部分である。当接部263は、フランジ部261の下面から、下方へ向けて突出する。当接部263の形状は、蓋パッキン25の中心線Lに沿った円筒状である。上述の通り、蓋体23が閉位置に配置されると、蓋パッキン25は、飲み口215に密着することにより、内側へ向けて変形する。このとき、ドーム状部252の内面は、当接部263に当接する。これにより、ドーム状部252の過度な変形が抑制される。
【0038】
以上のように、この飲料容器1では、蓋パッキン25に固定部材26を固定し、固定部材26の爪部262を、蓋体23に係合させる。これにより、接着剤を使用することなく、中空の蓋パッキン25を、蓋体23に固定できる。蓋体23と蓋パッキン25との間に、接着剤が充填される構造ではないため、蓋パッキン25の内部に空洞を維持できる。したがって、蓋パッキン25のドーム状部252を、内側へ向けて良好に変形させつつ、飲み口215に密着させることができる。したがって、飲み口215をしっかりと封止できる。
【0039】
特に、本実施形態の構造では、固定部材26の一部分が、蓋パッキン25の内部に配置される。そして、固定部材26が、蓋パッキン25の内面に固定される。このようにすれば、蓋パッキン25の外側に固定部材26が露出しなくなり、固定部材26が汚れないため、衛生的である。また、蓋パッキン25の外面の美観を向上させることができる。また、蓋パッキン25および固定部材26を、全体として小型化できる。
【0040】
また、本実施形態の構造では、蓋パッキン25の上端部が、蓋体23に設けられた孔231に挿入される。このため、蓋パッキン25の上端部が外側に広がらない。したがって、蓋パッキン25が飲み口215に密着したときに、蓋パッキン25の形状が、過度に崩れることを抑制できる。これにより、蓋パッキン25による飲み口215のシール性能を、より向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態の構造では、蓋パッキン25の内部に、当接部263が配置されている。そして、蓋体23が閉位置のときに、飲み口215に密着したドーム状部252の内面が、当接部263に当接する。このようにすれば、ドーム状部252が飲み口215に接触してから、変形を完了するまでの移動量を小さくすることができる。したがって、ユーザが、蓋体23を閉位置に押し込んで閉め切るときの操作性を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態の構造では、当接部263の形状が、蓋パッキン25の中心線Lに沿って延びる円筒状となっている。このような形状にすれば、飲み口215に密着したドーム状部252の内面が、当接部263の下端部の全周に、均等に当接する。これにより、蓋パッキン25による飲み口215のシール性能を、より向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態の構造では、蓋パッキン25を蓋体23に固定するための固定部材26に、当接部263が設けられている。このようにすれば、固定部材26とは別の部品として、当接部263を設ける必要がない。これにより、栓ユニット20の部品点数を低減できる。
【0044】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。以下では、種々の変形例について、上記実施形態との相違点を中心に説明する。
【0045】
<2-1.第1変形例>
図4は、第1変形例に係る飲料容器1の上部付近の部分縦断面図である。この第1変形例は、固定部材26が、蓋パッキン25の内部ではなく、蓋パッキン25の外部に配置される点が、上記の実施形態と異なる。
【0046】
図4の例では、蓋パッキン25の外周面に、円環状の凹部254が設けられている。凹部254は、上円筒部251とドーム状部252との間に位置する。一方、固定部材26は、下端部に、内側へ向けて突出する環状凸部264を有する。そして、当該環状凸部264が、蓋パッキン25の凹部254に係合する。これにより、蓋パッキン25に対して固定部材26が固定される。
【0047】
また、図4の例では、蓋体23が、下面から下方へ向けて突出する突出部232を有する。一方、固定部材26は、内周面から内側へ向けて突出する爪部262を有する。爪部262は、蓋パッキン25の上円筒部251に設けられた貫通孔と、蓋体23の突出部232に設けられた貫通孔とを通って、突出部232に係合する。これにより、蓋パッキン25および固定部材26が、蓋体23に対して固定される。
【0048】
このように、図4の例では、固定部材26が、蓋パッキン25の外面に固定される。このようにすれば、蓋パッキン25の外面の一部が、固定部材26に覆われる。これにより、蓋パッキン25の外面が汚れることを抑制できる利点がある。また、蓋パッキン25の上端部が外側に広がらない。したがって、蓋パッキン25が飲み口215に密着したときに、蓋パッキン25の形状が、過度に崩れることが抑制される点においても利点がある。これにより、蓋パッキン25による飲み口215のシール性能を、より向上させることができる。
【0049】
<2-2.第2変形例>
図5は、第2変形例に係る飲料容器1の縦断面図である。上記の実施形態の飲料容器1は、ヒンジ216を中心として蓋体23を回動させる、いわゆるワンタッチオープンタイプの飲料容器であったのに対し、この第2変形例の飲料容器1は、蓋体23を回転させることにより、栓本体21から蓋体23を分離する、いわゆるスクリュータイプの飲料容器である点が異なる。
【0050】
図5の例では、容器本体10に固定された栓本体21に対して、蓋体23が着脱可能となっている。蓋体23は、筒状の締結部233を有する。締結部233は、蓋体23の下面から、下方へ向けて突出する。締結部233の内周面には、雌ねじ234が形成されている。一方、栓本体21の外周面には、雄ねじ218が形成されている。
【0051】
栓本体21に蓋体23を取り付けるときには、栓本体21の雄ねじ218に対して、蓋体23の雌ねじ234を、上面視において時計回りに螺合させる。これにより、蓋体23が、飲み口215を覆う閉位置(図5の位置)に配置される。また、栓本体21の雄ねじ218に対して、蓋体23の雌ねじ234を、上面視において反時計回りに回転させると、栓本体21から蓋体23が取り外される。すなわち、蓋体23が、飲み口215を開く開位置に配置される。
【0052】
蓋パッキン25は、固定部材26を介して、蓋体23の下面に固定されている。蓋体23が閉位置に配置されると、蓋パッキン25は、飲み口215に密着する。これにより、飲み口215が封止される。
【0053】
上記の実施形態と同様に、固定部材26は、蓋パッキン25の内面に固定されている。また、固定部材26の上端に設けられた爪部262が、蓋体23に係合されている。このように、スクリュータイプの飲料容器1においても、蓋パッキン25に固定部材26を固定し、固定部材26の爪部262を蓋体23に係合させることで、接着剤を使用することなく、中空の蓋パッキン25を、蓋体23に固定することができる。
【0054】
また、上記の実施形態と同様に、図5の固定部材26も、当接部263を有する。当接部263は、蓋パッキン25の内部に配置されている。蓋体23が閉位置のときには、飲み口215に密着した蓋パッキン25の内面が、当接部263に当接する。したがって、蓋パッキン25が飲み口215に接触してから、変形を完了するまでの移動量を小さくすることができる。これにより、ユーザが、蓋体23を閉じるときの操作性を向上させることができる。
【0055】
<2-3.第3変形例>
図6は、第3変形例に係る飲料容器1の上部付近の部分縦断面図である。この第3変形例は、蓋パッキン25および固定部材26の構造は、上記の第1変形例と同一である。ただし、上記の第1変形例では、蓋パッキン25の内部に、当接部263が設けられていないのに対し、第3変形例では、蓋パッキン25の内部に、当接部263が設けられている点が異なる。
【0056】
図6の例では、蓋体23が、当接部263を有する。当接部263は、突出部232の下面から、下方へ向けて突出する。当接部263の形状は、蓋パッキン25の中心線Lに沿った円筒状である。蓋体23が閉位置に配置されると、蓋パッキン25は、飲み口215に密着することにより、内側へ向けて変形する。このとき、ドーム状部252の内面は、当接部263に当接する。これにより、ドーム状部252の過度な変形が抑制される。
【0057】
このように、図6の構造では、蓋体23に当接部263が設けられている。このようにすれば、蓋体23とは別の部品として、当接部263を設ける必要がない。これにより、栓ユニット20の部品点数を低減できる。
【0058】
<2-4.第4変形例>
図7および図8は、第4変形例に係る飲料容器1の上部付近の部分縦断面図である。図9は、図7におけるB-B線断面図である。この第4変形例は、蓋パッキン25および固定部材26の構造は、上記の第1変形例および第3変形例と同一である。ただし、第4変形例では、蓋パッキン25の内部に、可動式の当接部263が設けられている点が、第1変形例および第3変形例と異なる。
【0059】
図7図9の例では、当接部263が、固定部材26や蓋体23とは別の、独立した部品として設けられている。当接部263は、蓋パッキン25および固定部材26の内側において、蓋パッキン25の中心線Lに沿って、移動可能となっている。
【0060】
また、図7図9の例では、栓ユニット20が、操作部材27を有する。操作部材27は、蓋体23に取り付けられている。また、操作部材27は、図7に示す第1位置と、図8に示す第2位置との間で、前後方向に移動可能となっている。また、当接部263の上端部には、前後方向に延びるレール265が設けられている。操作部材27は、下端部をレール265に接触させながら、前後方向に移動する。
【0061】
レール264の上面の高さは、前方から後方へ向かうにつれて、徐々に低下する。このため、操作部材27の位置を、第1位置と第2位置との間で切り替えることにより、当接部263の上下方向(蓋パッキン25の中心線Lに沿う方向)の可動範囲を調節できる。
【0062】
飲料容器1のユーザは、図7のように、操作部材27を第1位置に配置した状態で、蓋体23を閉鎖する。飲料容器1内の圧力は、飲料の蒸発等によって、外気圧よりも高圧となる場合がある。この状態で、蓋体23を開くと、高圧の気体や水滴が、飲み口215から噴き出す場合がある。そこで、この飲料容器1では、蓋体23を開く前に、図8のように、操作部材27を、第1位置から第2位置へ切り替える。そうすると、当接部263の上下方向の可動範囲が大きくなる。したがって、飲料容器1内の圧力により、蓋パッキン25が押され、当接部263が上方(飲み口215から離れる方向)へ移動する。これにより、飲み口215と蓋パッキン25との間に隙間ができ、容器本体10内の気体が、飲み口215から排出される。
【0063】
このように、図7図9の構造では、蓋体23を開く前に、操作部材27を操作することにより、容器本体10内の気体の一部を排出できる。したがって、容器本体10内の圧力を軽減してから、蓋体23を開くことができる。
【0064】
<2-5.他の変形例>
上記の実施形態では、蓋パッキン25の内部に固定部材26が配置され、かつ、固定部材26が当接部263を有していた。しかしながら、蓋パッキン25の内部に固定部材26が配置される構造において、蓋パッキン25の内部に、固定部材26とは別の部材として、当接部263が設けられていてもよい。また、蓋パッキン25の内部に固定部材26が配置される構造において、当接部263が設けられていなくてもよい。
【0065】
また、上記の実施形態では、当接部263の形状が、円筒状であった。しかしながら、当接部263の形状は、多角形の筒状や、円柱状などの、他の形状であってもよい。
【0066】
また、上記の実施形態の飲料容器1は、栓本体21に対して蓋体23を、ヒンジ216を中心として回動させることにより、飲み口215を開くものであった。しかしながら、飲料容器1は、栓本体21に対して蓋体23を取り外すことにより、飲み口215を開くものであってもよい。
【0067】
また、飲料容器の細部の形状については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【0068】
<3.他の観点の発明>
なお、「蓋パッキンの変形量を抑えて、蓋体を閉じるときの操作性を向上させること」を第1の課題として設定すれば、「固定部材」を必須要件とせず、それに代えて、「当接部」を必須要件とする発明(以下「第2発明」と称する)を、上記の実施形態、第2変形例、第3変形例、および第4変形例から抽出することができる。当該第2発明は、例えば、
「内部に飲料を貯留する飲料容器であって、
有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の上部の開口を覆う栓ユニットと、
を備え、
前記栓ユニットは、
飲み口を有する栓本体と、
前記飲み口を覆う閉位置と、前記飲み口を開く開位置との間で移動可能な蓋体と、
前記蓋体が前記閉位置のときに、前記飲み口に密着する中空の蓋パッキンと、
前記蓋パッキンの内部に配置され、前記蓋体が前記閉位置のときに、前記飲み口に密着した前記蓋パッキンの内面が当接する当接部と、
を有する、飲料容器。」
となる。
【0069】
この第2発明によれば、当接部により、蓋パッキンの変形量を抑えることができる。すなわち、蓋パッキンが飲み口に接触してから、変形を完了するまでの移動量が小さくなる。これにより、蓋体を閉じるときの操作性を向上させることができる。この第2発明に、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、組み合わせることも可能である。
【0070】
図10は、第2発明の一形態に係る飲料容器1の上部付近の部分縦断面図である。図10の例では、栓ユニット20が、固定部材26を有していない。蓋パッキン25は、蓋体23に対して、着脱可能となっている。また、図10の栓ユニット20は、蓋パッキン25の内部に、当接部263を有する。当接部263の形状は、蓋パッキン25の中心線Lに沿った円筒状である。当接部263の上端部は、蓋体23の下面に固定されている。
【0071】
蓋体23が閉位置に配置されると、蓋パッキン25は、飲み口215に密着することにより、内側へ向けて変形する。このとき、蓋パッキン25の内面が、当接部263の下端部に当接する。これにより、蓋パッキン25が飲み口215に接触してから、変形を完了するまでの移動量を小さくすることができる。したがって、ユーザが、蓋体23を閉位置に押し込んで閉め切るときの操作性を向上させることができる。
【0072】
図11は、第2発明の他の形態に係る飲料容器1の上部付近の部分縦断面図である。図11の例は、図10の構造に、上述した第4変形例の構造を組み合わせたものである。図10と同様に、図11の栓ユニット20も、固定部材26を有していない。また、図11の栓ユニット20は、蓋パッキン25の内部に、当接部263を有する。ただし、図11の当接部263は、蓋パッキン25の内側において、蓋パッキン25の中心線Lに沿って移動可能となっている。
【0073】
また、図11の例では、栓ユニット20が、第4変形例と同様の操作部材27を有する。この操作部材27の位置を切り替えることによって、中心線Lに沿う当接部263の可動範囲を調節することができる。このため、飲料容器内1の圧力が外気圧よりも高くなっている場合、蓋体23を開く前に、操作部材27を操作することにより、当接部263を飲み口215から離れる方向へ移動させることができる。これにより、飲料容器1内の圧力を軽減してから、蓋体23を開くことができる。
【0074】
図12は、第2発明の他の形態に係る飲料容器1の縦断面図である。図12の例は、上述した第2変形例と同様の、スクリュータイプの飲料容器である。ただし、第2変形例では、栓ユニット20が固定部材26を有していたのに対し、図12の例では、栓ユニット20が、固定部材26を有していない。蓋パッキン25は、蓋体23に対して、着脱可能となっている。また、図12の栓ユニット20は、蓋パッキン25の内部に、当接部263を有する。このため、上述した図10の例と同様に、蓋体23を閉じるときに、蓋パッキン25の変形量を抑えることができる。これにより、蓋体23を閉じるときの操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 飲料容器
10 容器本体
20 栓ユニット
21 栓本体
22 栓パッキン
23 蓋体
24 開栓ボタン
25 蓋パッキン
26 固定部材
27 操作部材
215 飲み口
231 孔
262 爪部
263 当接部
L 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12