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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129809
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20230912BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20230912BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230912BHJP
   H01L 21/3213 20060101ALI20230912BHJP
   H01G 4/33 20060101ALI20230912BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01L21/88 Z
H01L21/90 B
H01L21/88 D
H01G4/33 102
H01G4/30 541
H01G4/30 547
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034091
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】四田 泰代
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
5F033
5F038
【Fターム(参考)】
5E001AF03
5E001AH07
5E001AJ03
5E082BC35
5E082EE05
5E082EE22
5E082EE37
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG22
5E082FG42
5F033GG01
5F033GG02
5F033GG03
5F033HH13
5F033HH18
5F033HH23
5F033HH28
5F033HH32
5F033HH33
5F033JJ01
5F033JJ13
5F033JJ18
5F033JJ23
5F033JJ28
5F033JJ32
5F033JJ33
5F033KK13
5F033KK18
5F033KK28
5F033KK32
5F033KK33
5F033KK34
5F033MM05
5F033NN03
5F033PP15
5F033PP19
5F033PP27
5F033QQ08
5F033QQ09
5F033QQ10
5F033QQ14
5F033QQ41
5F033QQ60
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033RR21
5F033RR22
5F033SS11
5F033UU04
5F033VV10
5F033WW01
5F033XX00
5F033XX21
5F038AC04
5F038AC05
5F038AC09
5F038AC15
5F038DF02
5F038EZ02
(57)【要約】
【課題】耐圧を改善することが可能なキャパシタを提供する。
【解決手段】キャパシタは、基板10と、前記基板上に設けられた第1電極14と、前記第1電極上に設けられた誘電体膜16と、前記誘電体膜上に設けられ、前記基板の上面の法線方向における上方からみた平面視において、外周53は前記第1電極の外周51より内側に位置する第2電極18と、前記平面視における前記第2電極の内側の領域50において前記第2電極に接触し、前記平面視における前記領域の外側において前記第1電極および前記誘電体膜から前記上方に離れ、前記平面視において外周54は前記第1電極の外周および前記誘電体膜の外周52より内側に位置する第3電極20と、前記第2電極および前記第3電極を覆い前記第2電極および前記第3電極に接触する保護膜22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた第1電極と、
前記第1電極上に設けられた誘電体膜と、
前記誘電体膜上に設けられ、前記基板の上面の法線方向における上方からみた平面視において、外周は前記第1電極の外周より内側に位置する第2電極と、
前記平面視における前記第2電極の内側の領域において前記第2電極に接触し、前記平面視における前記領域の外側において前記第1電極および前記誘電体膜から前記上方に離れ、前記平面視において外周は前記第1電極の外周および前記誘電体膜の外周より内側に位置する第3電極と、
前記第2電極および前記第3電極を覆い前記第2電極および前記第3電極に接触する保護膜と、
を備えるキャパシタ。
【請求項2】
前記第3電極の外周と前記第2電極の外周との前記平面視における距離は、前記誘電体膜の厚さの0.5倍以上である請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記第3電極の外周と前記第2電極の外周との前記平面視における距離は、前記基板の上面に平行な前記第3電極の下面の外周と前記第2電極の上面との前記基板の上面の面方向から見た高さの0.3倍以上である請求項1または請求項2に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記基板の上面に平行な前記第3電極の下面の外周と前記第2電極の上面との前記基板の上面の面方向からみた高さは、前記第3電極の外周と前記領域の外周との前記平面視における距離の0.5倍以上である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記第3電極上の前記保護膜の厚さと前記第2電極上の前記保護膜の厚さは同じである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記第3電極は、前記第2電極上に設けられたシード層と、前記シード層上に設けられためっき層とを備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のキャパシタ。
【請求項7】
基板上に第1電極を形成する工程と、
前記第1電極上に誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上に、前記基板の上面の法線方向における上方からみた平面視において、外周は前記第1電極の外周より内側に位置する第2電極を形成する工程と、
前記平面視における前記第2電極の内側の領域において前記第2電極に接触し、前記平面視における前記領域の外側において前記第1電極および前記誘電体膜から前記上方に離れ、前記平面視において外周は前記第1電極の外周および前記誘電体膜の外周より内側に位置する第3電極を形成する工程と、
前記平面視における前記第2電極の外周より外側における前記誘電体膜の上面が露出する状態において前記第3電極の上面に形成された不要層を除去する工程と、
前記不要層を除去する工程後に、前記第2電極および前記第3電極を覆い前記第2電極および前記第3電極に接触する保護膜を形成する工程と、
を含むキャパシタの製造方法。
【請求項8】
前記不要層を除去する工程は、前記平面視における前記第2電極の外周より外側における前記誘電体膜の上面が露出する状態において前記第3電極の上面にイオンまたは原子を照射する工程を含む請求項7に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記第3電極を形成する工程は、前記第2電極上に第1開口を有する第1マスク層を形成する工程と、前記第1開口の内面および前記第1マスク層上にシード層を形成する工程と、前記シード層上に前記第1開口より大きい第2開口を有する第2マスク層を形成する工程と、前記第2開口内にめっき層を形成する工程と、前記第2マスク層を除去する工程と、前記めっき層をマスクに前記シード層を除去する工程と、前記第1マスク層を除去する工程と、を含む請求項8に記載のキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に第1電極、誘電体膜および第2電極を積層したキャパシタが知られている。第2電極上に例えば配線として用いられる第3電極を形成することが知られている(例えば特許文献1)。第3電極は、第2電極の中央付近において第2電極に接触し、第2電極の外周付近において第2電極から上方に離れて設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-6620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キャパシタの耐圧が低くなることがある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みなされたものであり、耐圧を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、基板と、前記基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた誘電体膜と、前記誘電体膜上に設けられ、前記基板の上面の法線方向における上方からみた平面視において、外周は前記第1電極の外周より内側に位置する第2電極と、前記平面視における前記第2電極の内側の領域において前記第2電極に接触し、前記平面視における前記領域の外側において前記第1電極および前記誘電体膜から前記上方に離れ、前記平面視において外周は前記第1電極の外周および前記誘電体膜の外周より内側に位置する第3電極と、前記第2電極および前記第3電極を覆い前記第2電極および前記第3電極に接触する保護膜と、を備えるキャパシタである。
【0007】
本開示の一実施形態は、基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜上に、前記基板の上面の法線方向における上方からみた平面視において、外周は前記第1電極の外周より内側に位置する第2電極を形成する工程と、前記平面視における前記第2電極の内側の領域において前記第2電極に接触し、前記平面視における前記領域の外側において前記第1電極および前記誘電体膜から前記上方に離れ、前記平面視において外周は前記第1電極の外周および前記誘電体膜の外周より内側に位置する第3電極を形成する工程と、前記平面視における前記第2電極の外周より外側における前記誘電体膜の上面が露出する状態において前記第3電極の上面に形成された不要層を除去する工程と、前記不要層を除去する工程後に、前記第2電極および前記第3電極を覆い前記第2電極および前記第3電極に接触する保護膜を形成する工程と、を含むキャパシタの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、耐圧を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1に係るキャパシタの断面図である。
図2図2は、実施例1に係るキャパシタの平面図である。
図3A図3Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図3B図3Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図4A図4Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図4B図4Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図5A図5Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図5B図5Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図6A図6Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図6B図6Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図7A図7Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図7B図7Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図8図8は、実施例1に係るキャパシタの別を示す断面図である。
図9図9は、比較例1に係るキャパシタの断面図である。
図10図10は、比較例2に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図11A図11Aは、比較例3に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図11B図11Bは、比較例3に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図12図12は、実施例1におけるキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図13図13は、実施例1におけるキャパシタの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態は、基板と、前記基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた誘電体膜と、前記誘電体膜上に設けられ、前記基板の上面の法線方向における上方からみた平面視において、外周は前記第1電極の外周より内側に位置する第2電極と、前記平面視における前記第2電極の内側の領域において前記第2電極に接触し、前記平面視における前記領域の外側において前記第1電極および前記誘電体膜から前記上方に離れ、前記平面視において外周は前記第1電極の外周および前記誘電体膜の外周より内側に位置する第3電極と、前記第2電極および前記第3電極を覆い前記第2電極および前記第3電極に接触する保護膜と、を備えるキャパシタである。これにより、耐圧を改善できる。
(2)前記第3電極の外周と前記第2電極の外周との前記平面視における距離は、前記誘電体膜の厚さの0.5倍以上であることが好ましい。
(3)前記第3電極の外周と前記第2電極の外周との前記平面視における距離は、前記第3電極の外周における前記第3電極の下面と前記第2電極の上面との前記基板の上面の面方向から見た高さの0.3倍以上であることが好ましい。
(4)前記基板の上面に平行な前記第3電極の下面の外周と前記第2電極の上面との前記基板の上面の面方向からみた高さは、前記第3電極の外周と前記領域の外周との前記平面視における距離の0.5倍以上であることが好ましい。
(5)前記第3電極上の前記保護膜の厚さと前記第2電極上の前記保護膜の厚さは同じであることが好ましい。
(6)前記第3電極は、前記第2電極上に設けられたシード層と、前記シード層上に設けられためっき層とを備えることが好ましい。
(7)本開示の一実施形態は、基板上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極上に誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜上に、前記基板の上面の法線方向における上方からみた平面視において、外周は前記第1電極の外周より内側に位置する第2電極を形成する工程と、前記平面視における前記第2電極の内側の領域において前記第2電極に接触し、前記平面視における前記領域の外側において前記第1電極および前記誘電体膜から前記上方に離れ、前記平面視において外周は前記第1電極の外周および前記誘電体膜の外周より内側に位置する第3電極を形成する工程と、前記平面視における前記第2電極の外周より外側における前記誘電体膜の上面が露出する状態において前記第3電極の上面に形成された不要層を除去する工程と、前記不要層を除去する工程後に、前記第2電極および前記第3電極を覆い前記第2電極および前記第3電極に接触する保護膜を形成する工程と、を含むキャパシタの製造方法である。これにより、耐圧を改善できる。
(8)前記不要層を除去する工程は、前記平面視における前記第2電極の外周より外側における前記誘電体膜の上面が露出する状態において前記第3電極の上面にイオンまたは原子を照射する工程を含むことが好ましい。
(9)前記第3電極を形成する工程は、前記第2電極上に第1開口を有する第1マスク層を形成する工程と、前記第1開口の内面および前記第1マスク層上にシード層を形成する工程と、前記シード層上に前記第1開口より大きい第2開口を有する第2マスク層を形成する工程と、前記第2開口内にめっき層を形成する工程と、前記第2マスク層を除去する工程と、前記めっき層をマスクに前記シード層を除去する工程と、前記第1マスク層を除去する工程と、を含むことが好ましい。
【0011】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態にかかるキャパシタおよびその製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
[実施例1]
図1は、実施例1に係るキャパシタの断面図である。図2は、実施例1に係るキャパシタの平面図である。図1図2のA-A断面図である。図2では、第1電極14、第2電極18、第3電極20および領域50を主に図示している。基板10の上面の法線方向をZ方向、基板10の上面に平行な方向をX方向およびY方向とする。
【0013】
図1に示すように、基板10は、基板10aと基板10a上に設けられた半導体層10bを備えている。半導体層10bは例えばGaN系半導体層またはGaAs系半導体層である。半導体層10bがGaN系半導体層の場合、基板10は例えばSiC基板、サファイア基板、シリコン基板またはGaN基板であり、半導体層10bは、GaN、AlN、InNおよびこれらの混晶からなる層を含む。半導体層10bがGaAs系半導体層の場合、基板10aは例えばGaAs基板であり、半導体層10bは、GaAs、AlAs、InAsおよびこれらの混晶からなる層を含む。キャパシタが設けられた領域における半導体層10bはイオン注入等により不活性化されている。基板10上に半導体層10bを用いたトランジスタが設けられて、キャパシタとトランジスタとは同じ基板10上に集積化され、MMIC(Monolithic Microwave Itegrated Circuit)を形成していてもよい。基板10には半導体層10bが設けられておらず、基板10上にはトランジスタ等の能動素子が設けられていなくてもよい。
【0014】
基板10上に絶縁体膜12が設けられている。絶縁体膜12は、例えば窒化シリコン膜、酸化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜等の無機絶縁膜、ポリイミドまたはBCB(Benzocyclobutene)樹脂等の有機絶縁膜である。絶縁体膜12の厚さは例えば100nm~1200nmである。基板10上の絶縁体膜12上に第1電極14が設けられている。第1電極14上に誘電体膜16が設けられている。誘電体膜16上に第2電極18が設けられている。第1電極14、誘電体膜16および第2電極18により、MIM(Metal Insulator Metal)キャパシタ60が形成される。
【0015】
誘電体膜16を介した第1電極14と第2電極18との距離(すなわち誘電体膜16の厚さ)は製造誤差程度にほぼ均一である。Z方向(基板10の上面の法線方向)の上方からみた平面視において、第1電極14の外周51は第2電極18の外周53より外側に位置する。誘電体膜16の外周52は、第1電極14の外周51より外側に位置する。第1電極14および第2電極18は、例えば密着膜と密着膜上に設けられた低抵抗膜を含む金属膜である。密着膜は例えばTi膜、WSi膜、TiW膜、TiWN膜またはTiN膜である。低抵抗膜は、密着膜より抵抗率が低い材料からなり例えばAu膜である。密着膜の厚さは例えば3nm~300nmである。密着膜は設けられていなくてもよい。低抵抗膜の厚さは例えば50nm~400nmである。誘電体膜16は例えば窒化シリコン膜、酸化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜等の無機絶縁膜である。誘電率を高くする観点から誘電体膜16は窒化シリコン膜が好ましい。誘電体膜16の厚さは例えば50nm~400nmである。誘電体膜16の膜厚は、MIMキャパシタ60の容量値および耐圧等を考慮し設定される。
【0016】
第2電極18上に第3電極20が設けられている。第3電極20は、領域50において第2電極18と接触している。領域50の外周55は第2電極18の外周53の内側に位置する。領域50の外側において、第3電極20は第2電極18および誘電体膜16より上方に離れている。このように、第3電極20は、周縁に庇を有する。第3電極20の外周54は第2電極18の外周53の外側に位置する。第3電極20は、第2電極18側からシード層20aとシード層20a上に設けられためっき層20bとを備える。シード層20aは例えば密着膜と密着膜上に設けられた低抵抗膜を含む金属膜である。密着膜は例えばTi膜、WSi膜、TiW膜、TiWN膜またはTiN膜である。低抵抗膜は、密着膜より抵抗率が低い材料からなり例えばAu膜である。密着膜の厚さは例えば3nm~400nmである。密着膜は設けられていなくてもよい。低抵抗膜の厚さは例えば50nm~200nmである。めっき層20bは低抵抗膜と同じ材料からなる金属膜であり、例えばAu膜である。めっき層20bの厚さは例えば1μm~6μmである。
【0017】
誘電体膜16の上面、第2電極18の上面、および第3電極20を覆うように保護膜22が設けられている。保護膜22は、例えば窒化シリコン膜、酸化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜である。保護する機能の観点で、保護膜22は窒化シリコン膜を用いることが好ましい。保護膜22の厚さは例えば30nm~800nmである。
【0018】
図2に示すように、第1電極14はMIMキャパシタ60が設けられた領域より-Y側に大きく設けられている。MIMキャパシタ60の-Y側では、第1電極14の上面に電極21が設けられている。電極21は領域50aにおいて第2電極18に接触する。電極21は、第3電極20と同じシード層20aとめっき層20bを備え、第3電極20と同時に形成される。第2電極18に接触された第3電極20はMIMキャパシタ60が設けられた領域より+Y側に大きく設けられている。第3電極20および電極21はそれぞれ第2電極18および第1電極14を別の素子と電気的に接続する配線として機能する。
【0019】
第1電極14が-Y方向に引き出された領域および第3電極20が+Y方向に引き出された領域以外の領域において、第1電極14の外周51は第2電極18の外周53より外側に位置する。領域50の外周55は第2電極18の外周53より内側に位置する。第3電極20の外周54は第2電極18の外周53より外側に位置する。外周51と53との距離をL1、外周54と53との距離をL2、外周54と55との距離をL3とする。距離L1は例えば1μm~10μm、距離L2は例えば0.1μm~3μm、距離L3は例えば0.2μm~5μmである。図1において、第3電極20の下面の外周と第3電極20と第2電極18の上面とのX方向またはY方向(基板10の上面の面方向)から見た高さT1は、例えば0.05μm~1μmである。なお、第1電極14、誘電体膜16、第2電極18および第3電極20の側面が基板10の上面に対し垂直でない場合(例えば側面が傾斜しているまたは側面が曲線を含む場合)、外周51~54は、対応する側面のうち平面視における最も外側の位置に相当する。
【0020】
[実施例1の製造方法]
図3A図7Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。図3Aに示すように、基板10上に絶縁体膜12を形成する。絶縁体膜12上に第1電極14を形成する。第1電極14はスパッタリング法または真空蒸着法を用い形成する。図3Bに示すように、第1電極14上に開口41を有するマスク層40を形成する。マスク層40は例えばフォトレジストでありフォトリソグラフィ法を用い形成する。開口41の外周は第1電極14の外周51にほぼ一致する。マスク層40をマスクに開口41下の第1電極14をエッチングする。これにより、所望形状の第1電極14を形成する。その後、マスク層40を除去する。第1電極14は真空蒸着およびリフトオフ法を用い形成してもよい。
【0021】
図4Aに示すように、絶縁体膜12上に第1電極14を覆うように誘電体膜16を形成する。誘電体膜16は例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い形成する。図4Bに示すように、誘電体膜16上に開口43を有するマスク層42を形成する。開口43の下側の幅は上側の幅より大きい。マスク層42は例えばフォトレジストでありフォトリソグラフィ法を用い形成する。開口43の上側の外周が第2電極18の外周53にほぼ一致する。開口43内の誘電体膜16上およびマスク層42上に例えば真空蒸着法を用い金属膜を形成する。開口43内の金属膜は第2電極18となる。マスク層42を除去することでマスク層42上の金属膜がリフトオフされる。第1電極14、誘電体膜16および第2電極18からMIMキャパシタ60が形成される。
【0022】
図5Aに示すように、誘電体膜16および第2電極18上に開口45を有するマスク層44を形成する。マスク層44は例えばフォトレジストでありフォトリソグラフィ法を用い形成する。開口45の外周が領域50の外周55にほぼ一致する。図5Bに示すように、開口45の内面およびマスク層44上にシード層20aを形成する。シード層20aは例えばスパッタリング法を用い形成する。領域50においてシード層20aは第2電極18の上面に接触する。
【0023】
図6Aに示すように、シード層20a上に開口47を有するマスク層46を形成する。マスク層44は例えばフォトレジストでありフォトリソグラフィ法を用い形成する。開口47の外周が第3電極20の外周54にほぼ一致する。開口47内にめっき層20bを形成する。めっき層20bは、例えばシード層20aから電流を供給する電解めっき法を用い形成する。図6Bに示すように、マスク層46を除去する。マスク層46の除去には、酸素プラズマ処理および/または剥離液処理を用いる。めっき層20bをマスクにシード層20aを除去する。シード層20aは例えばアルゴンイオンをシード層20aに照射するイオンミリング法等のエッチング法を用い除去する。その後マスク層44を除去する。マスク層44の除去には、酸素プラズマ処理および/または剥離液処理を用いる。第3電極20の上面に不要層23が形成される。不要層23は、マスク層46、シード層20aおよびマスク層44の除去の工程において、第3電極20のめっき層20bの表面が酸化された酸化層または残留物である。
【0024】
図7Aに示すように、第3電極20の上面にイオン48を照射する。照射するイオン48は、例えばアルゴン等の第18元素のイオンである。イオンの照射には、例えばイオンミリング法を用いる。イオン48の代わりに原子を照射してもよい。これにより、第3電極20の上面の不要層23が除去される。第3電極20の庇の直下の領域56における誘電体膜16の上面には、イオン48は照射されない。領域56の外側の領域58における誘電体膜16の上面にイオン48が照射される。イオンまたは原子を照射する方法以外の方法を用い不要層23を除去してもよい。図7Bに示すように、誘電体膜16の上面、第2電極18の上面および第3電極20を覆う保護膜22を形成する。保護膜22は例えばCVD法を用い形成する。図7Aにおいて、第3電極20の上面に設けられた酸化層または残留物などの不要層23が除去されている。このため、第3電極20と保護膜22との密着性が向上する。以上により、実施例1に係るキャパシタが製造される
【0025】
図8は、実施例1に係るキャパシタの別を示す断面図である。図8に示すように、図7Bの後に保護膜22を覆うように絶縁体膜24を形成してもよい。絶縁体膜24は、例えばポリイミドまたはBCB樹脂等である。
【0026】
[比較例1]
図9は、比較例1に係るキャパシタの断面図である。比較例1では、第3電極20の外周54は第2電極18の外周53より内側に位置する。比較例1では、図7Aのような、第3電極20の上面にイオンを照射していない。第3電極20の上面には、不要層23が形成されている。不要層23が形成されると、第3電極20と保護膜22との密着性が低下する。このため、保護膜22が第3電極20から剥離する可能性がある。
【0027】
[比較例2の製造方法]
図10は、比較例2に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。図10に示すように、保護膜22を形成する前に誘電体膜16の上面が露出する状態において、第3電極20の上面にイオン48を照射する。これにより、不要層23が除去され、第3電極20と保護膜22との密着性が向上し保護膜22の剥離を抑制できる。しかし、イオン48が第2電極18の外側における誘電体膜16の上面の領域58に照射される。これにより、領域58において誘電体膜16が削れる。または、誘電体膜16にダメージが導入される。このように、第2電極18に接する領域58にダメージ等が導入されると、第1電極14と第2電極18との間に電圧を加えたときに、キャパシタの耐圧が低下する可能性がある。
【0028】
[比較例3の製造方法]
図11Aおよび図11Bは、比較例3に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。図11Aに示すように、誘電体膜16および第2電極18を覆うように絶縁体膜26を形成する。絶縁体膜26は例えば窒化シリコン膜である。第3電極20は絶縁体膜26の開口27において第2電極18と接触する。第3電極20の上面にイオン48を照射する工程において、イオン48は絶縁体膜26に照射される。これにより、誘電体膜16にイオン48が照射されず、誘電体膜16にダメージ等が導入されることが抑制できる。
【0029】
しかしながら、図11Bに示すように、絶縁体膜26に開口27を形成するためには、図5Aに相当する工程において、マスク層44をマスクに開口27を形成する。真空蒸着法を用い第2電極18を形成するときに第2電極18に蒸着材料の塊(スプラッシュ)等が飛散する。塊が剥がれると第2電極18のピンホール28となる。絶縁体膜26に開口27を形成するときに、絶縁体膜26をエッチングするエッチャントがピンホール28を介し誘電体膜16に至り、誘電体膜16にピンホールまたは凹みを形成する。誘電体膜16にピンホールまたは凹みが形成されるとMIMキャパシタ60の耐圧が低下してしまう。
【0030】
比較例1~3のように、保護膜22の剥離を抑制しようとすると、MIMキャパシタ60の耐圧が低下してしまう。実施例1では、平面視において、第3電極20の外周53は第1電極14の外周51および誘電体膜16の外周52より内側に位置する。第3電極20は、平面視における第2電極18の内側の領域50において第2電極18に接触し、平面視における領域50の外側において第1電極14および誘電体膜16から上方に離れている。このような構造において、平面視において、第3電極20の外周54が第2電極18の外周53より外側に位置する。図7Aのように、第2電極18の外周53より外側における誘電体膜16の上面が露出する状態において第3電極20の上面に形成された不要層23を除去する。不要層23を除去した後に、誘電体膜16上、第2電極18上および第3電極20に接触して覆う保護膜22を形成する。
【0031】
このようにして製造されたキャパシタは、平面視において、第3電極20の外周54が第2電極18の外周53より外側に位置する。保護膜22は、誘電体膜16上、第2電極18上および第3電極20に接触して覆う。これにより、図7Aのように、不要層23を除去するときに、第2電極18の外側における誘電体膜16の上面のうち第3電極20の直下の領域56は第3電極20の庇の陰となる。よって、イオン48は領域56に照射されない。領域56において誘電体膜16にダメージ等が導入されることを抑制でき、MIMキャパシタ60の耐圧の低下を抑制できる。なお、実施例1では、領域56の外側の領域58における誘電体膜16の上面にイオン48が照射される。領域58と第2電極18とは領域56を介し離れているため、誘電体膜16の上面にイオン48が照射されてもMIMキャパシタ60の耐圧はほとんど低下しない。
【0032】
図12は、実施例1におけるキャパシタの製造方法を示す拡大断面図であり、図7Aに相当する工程における拡大図である。図12に示すように、第3電極20の外周54と第2電極18の外周54との平面視における距離L2が短い場合、イオン48が照射される領域56のX方向の幅が狭くなり領域58が第2電極18に近くなる。これにより、矢印57のように、第2電極18から領域56、58および誘電体膜16を介し第1電極14に至る経路が短く、MIMキャパシタ60の耐圧が低下する可能性がある。この観点から距離L2は、誘電体膜16の厚さT2の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上がより好ましく、2倍以上がさらに好ましい。製造の観点から距離L2は誘電体膜16の厚さの10倍以下が好ましい。また、第2電極18と第3電極20との合わせ精度の観点から距離L2は0.2μm以上が好ましい。
【0033】
図13は、実施例1におけるキャパシタの製造方法を示す拡大断面図であり、図7Aに相当する工程における拡大図である。図13に示すように、第3電極20の外周54における第3電極20下面と第2電極18の上面とのX方向またはY方向からみた高さT1が大きい場合、第3電極20の庇の直下の領域56にイオン48aが回り込む可能性がある。イオン48aが回り込んだ領域59においては、領域58と同様に誘電体膜16にダメージ等が導入される。領域59が第2電極18に近い場合、MIMキャパシタ60の耐圧が低下する可能性がある。イオン48の領域56の回り込みは、高さT1が大きいと大きくなる。この観点から距離L2は高さT1の0.3倍以上が好ましく、0.5倍以上がより好ましく、1倍以上がさらに好ましい。製造の観点から距離L2は高さT1の3倍以下が好ましい。
【0034】
第3電極20の外周54が外側に位置しすぎると、保護膜22が第3電極20の庇下に回り込みにくくなる。この観点から、第3電極20の外周54と領域50の外周55との平面視における距離L3に対する高さT1は距離L2の0.5倍以上が好ましく、1倍以上がより好ましい。距離L2は例えば3μm以下が好ましい。製造の観点から距離L3は高さT1の3倍以下が好ましい。
【0035】
実施例1では、比較例3の図11Aのような絶縁体膜26が設けられていないため、第3電極20上の保護膜22の厚さと、第2電極18上および誘電体膜16上の保護膜22の厚さは略同じとなる。これにより、比較例3の図11Bのようなピンホール28に起因するキャパシタの耐圧の低下を抑制できる。
【0036】
図7Aのように、不要層23を除去する工程として、第2電極18の外周53より外側における誘電体膜16の上面が露出する状態において第3電極20の上面にイオンまたは原子を照射する。これにより、不要層23が除去される。イオンまたは原子の飛来する方向はほぼZ方向である。イオンまたは原子を照射するときの真空度が十分に高い場合にはイオンまたは原子はほぼ直進する。このため、領域56は第3電極20の庇の陰となり、領域56にイオンまたは原子が照射されにくい。よって、領域56の誘電体膜16が削れること、または誘電体膜16にダメージが導入されることを抑制できる。
【0037】
図5A図6Bにおける第3電極20の形成する工程において、図5Aのように、第2電極18上に開口45(第1開口)を有するマスク層44(第1マスク層)を形成する。図5Bのように、開口45の内面およびマスク層44上にシード層20aを形成する。図6Aのように、シード層20a上に開口45より大きい開口47(第2開口)を有するマスク層46(第2マスク層)を形成する。開口47内にめっき層を形成する。図6Bのように、マスク層46を除去し、めっき層20bをマスクにシード層20aを除去し、マスク層44を除去する。このように、第3電極20を形成すると、第2電極18の内側の領域50おいて第2電極18に接触し、領域50の外側において第1電極14および誘電体膜16から上方に離れる。また、第3電極20は、第2電極18上に設けられたシード層20aと、シード層20a上に設けられためっき層20bとを備える。さらに、マスク層46、シード層20aおよびマスク層44を除去する工程において、第3電極20の上面に不要層23が形成される。そこで、図7Aのようにイオンまたは原子を第3電極20に照射することで不要層23の除去を行うことが好ましい。
【0038】
実施例1では、不要層23の除去を行う工程において誘電体膜16に導入されるダメージ等に起因するキャパシタの耐圧低下について説明した。誘電体膜16のダメージ等は、不要層23を除去する工程以外の工程において導入されることもある。このような場合も誘電体膜16に導入されたダメージ等によりキャパシタの耐圧が低下することがある。図6Aから図7Bまでの工程において誘電体膜16にダメージ等が導入される場合、第3電極20の外周51を第2電極18の外周53より外側に設けることで、第2電極18に接する誘電体膜16の上面にダメージ等が導入されることを抑制でき、キャパシタの耐圧を改善できる。
【0039】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
10、10a 基板
10b 半導体層
12、24、26 絶縁体膜
14 第1電極
16 誘電体膜
18 第2電極
20 第3電極
20a シード層
20b めっき層
21 電極
22 保護膜
23 不要層
27 開口
28 ピンホール
40、42 マスク層
41、43 開口
44 マスク層(第1マスク層)
45 開口(第1開口)
46 マスク層(第2マスク層)
47 開口(第2開口)
48、48a イオン
50、56、58 領域
51~55 外周
57 矢印
60 キャパシタ

図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた第1電極と、
前記第1電極上に設けられた誘電体膜と、
前記誘電体膜上に設けられ、前記基板の上面の法線方向における上方からみた平面視において、外周は前記第1電極の外周より内側に位置する第2電極と、
前記平面視における前記第2電極の内側の領域において前記第2電極に接触し、前記平面視における前記領域の外側において前記第電極および前記誘電体膜から前記上方に離れ、前記平面視において外周は前記第1電極の外周および前記誘電体膜の外周より内側に位置する第3電極と、
前記第2電極および前記第3電極を覆い前記第2電極および前記第3電極に接触する保護膜と、
を備えるキャパシタ。
【請求項2】
前記第3電極の外周と前記第2電極の外周との前記平面視における距離は、前記誘電体膜の厚さの0.5倍以上である請求項1に記載のキャパシタ。
【請求項3】
前記第3電極の外周と前記第2電極の外周との前記平面視における距離は、前記基板の上面に平行な前記第3電極の下面の外周と前記第2電極の上面との前記基板の上面の面方向から見た高さの0.3倍以上である請求項1または請求項2に記載のキャパシタ。
【請求項4】
前記基板の上面に平行な前記第3電極の下面の外周と前記第2電極の上面との前記基板の上面の面方向からみた高さは、前記第3電極の外周と前記領域の外周との前記平面視における距離の0.5倍以上である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のキャパシタ。
【請求項5】
前記第3電極上の前記保護膜の厚さと前記第2電極上の前記保護膜の厚さは同じである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のキャパシタ。
【請求項6】
前記第3電極は、前記第2電極上に設けられたシード層と、前記シード層上に設けられためっき層とを備える請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のキャパシタ。
【請求項7】
基板上に第1電極を形成する工程と、
前記第1電極上に誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上に、前記基板の上面の法線方向における上方からみた平面視において、外周は前記第1電極の外周より内側に位置する第2電極を形成する工程と、
前記平面視における前記第2電極の内側の領域において前記第2電極に接触し、前記平面視における前記領域の外側において前記第電極および前記誘電体膜から前記上方に離れ、前記平面視において外周は前記第1電極の外周および前記誘電体膜の外周より内側に位置する第3電極を形成する工程と、
前記平面視における前記第2電極の外周より外側における前記誘電体膜の上面が露出する状態において前記第3電極の上面に形成された不要層を除去する工程と、
前記不要層を除去する工程後に、前記第2電極および前記第3電極を覆い前記第2電極および前記第3電極に接触する保護膜を形成する工程と、
を含むキャパシタの製造方法。
【請求項8】
前記不要層を除去する工程は、前記平面視における前記第2電極の外周より外側における前記誘電体膜の上面が露出する状態において前記第3電極の上面にイオンまたは原子を照射する工程を含む請求項7に記載のキャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記第3電極を形成する工程は、前記第2電極上に第1開口を有する第1マスク層を形成する工程と、前記第1開口の内面および前記第1マスク層上にシード層を形成する工程と、前記シード層上に前記第1開口より大きい第2開口を有する第2マスク層を形成する工程と、前記第2開口内にめっき層を形成する工程と、前記第2マスク層を除去する工程と、前記めっき層をマスクに前記シード層を除去する工程と、前記第1マスク層を除去する工程と、を含む請求項8に記載のキャパシタの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
図1図1は、実施例1に係るキャパシタの断面図である。
図2図2は、実施例1に係るキャパシタの平面図である。
図3A図3Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図3B図3Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図4A図4Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図4B図4Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図5A図5Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図5B図5Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図6A図6Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図6B図6Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図7A図7Aは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図7B図7Bは、実施例1に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図8図8は、実施例1に係るキャパシタの別の例を示す断面図である。
図9図9は、比較例1に係るキャパシタの断面図である。
図10図10は、比較例2に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図11A図11Aは、比較例3に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図11B図11Bは、比較例3に係るキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図12図12は、実施例1におけるキャパシタの製造方法を示す断面図である。
図13図13は、実施例1におけるキャパシタの製造方法を示す断面図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
図2に示すように、第1電極14はMIMキャパシタ60が設けられた領域より-Y側に大きく設けられている。MIMキャパシタ60の-Y側では、第1電極14の上面に電極21が設けられている。電極21は領域50aにおいて第1電極14に接触する。電極21は、第3電極20と同じシード層20aとめっき層20bを備え、第3電極20と同時に形成される。第2電極18に接触された第3電極20はMIMキャパシタ60が設けられた領域より+Y側に大きく設けられている。第3電極20および電極21はそれぞれ第2電極18および第1電極14を別の素子と電気的に接続する配線として機能する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
第1電極14が-Y方向に引き出された領域および第3電極20が+Y方向に引き出された領域以外の領域において、第1電極14の外周51は第2電極18の外周53より外側に位置する。領域50の外周55は第2電極18の外周53より内側に位置する。第3電極20の外周54は第2電極18の外周53より外側に位置する。外周51と53との距離をL1、外周54と53との距離をL2、外周54と55との距離をL3とする。距離L1は例えば1μm~10μm、距離L2は例えば0.1μm~3μm、距離L3は例えば0.2μm~5μmである。図1において、第3電極20の下面の外周第2電極18の上面とのX方向またはY方向(基板10の上面の面方向)から見た高さT1は、例えば0.05μm~1μmである。なお、第1電極14、誘電体膜16、第2電極18および第3電極20の側面が基板10の上面に対し垂直でない場合(例えば側面が傾斜しているまたは側面が曲線を含む場合)、外周51~54は、対応する側面のうち平面視における最も外側の位置に相当する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
図6Aに示すように、シード層20a上に開口47を有するマスク層46を形成する。マスク層46は例えばフォトレジストでありフォトリソグラフィ法を用い形成する。開口47の外周が第3電極20の外周54にほぼ一致する。開口47内にめっき層20bを形成する。めっき層20bは、例えばシード層20aから電流を供給する電解めっき法を用い形成する。図6Bに示すように、マスク層46を除去する。マスク層46の除去には、酸素プラズマ処理および/または剥離液処理を用いる。めっき層20bをマスクにシード層20aを除去する。シード層20aは例えばアルゴンイオンをシード層20aに照射するイオンミリング法等のエッチング法を用い除去する。その後マスク層44を除去する。マスク層44の除去には、酸素プラズマ処理および/または剥離液処理を用いる。第3電極20の上面に不要層23が形成される。不要層23は、マスク層46、シード層20aおよびマスク層44の除去の工程において、第3電極20のめっき層20bの表面が酸化された酸化層または残留物である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図8は、実施例1に係るキャパシタの別の例を示す断面図である。図8に示すように、図7Bの後に保護膜22を覆うように絶縁体膜24を形成してもよい。絶縁体膜24は、例えばポリイミドまたはBCB樹脂等である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
比較例1~3のように、保護膜22の剥離を抑制しようとすると、MIMキャパシタ60の耐圧が低下してしまう。実施例1では、平面視において、第3電極20の外周54は第1電極14の外周51および誘電体膜16の外周52より内側に位置する。第3電極20は、平面視における第2電極18の内側の領域50において第2電極18に接触し、平面視における領域50の外側において第2電極18および誘電体膜16から上方に離れている。このような構造において、平面視において、第3電極20の外周54が第2電極18の外周53より外側に位置する。図7Aのように、第2電極18の外周53より外側における誘電体膜16の上面が露出する状態において第3電極20の上面に形成された不要層23を除去する。不要層23を除去した後に、誘電体膜16上、第2電極18上および第3電極20に接触して覆う保護膜22を形成する。

【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図12は、実施例1におけるキャパシタの製造方法を示す拡大断面図であり、図7Aに相当する工程における拡大図である。図12に示すように、第3電極20の外周53と第2電極18の外周54との平面視における距離L2が短い場合、イオン48が照射されない領域56のX方向の幅が狭くなり領域58が第2電極18に近くなる。これにより、矢印57のように、第2電極18から領域56、58および誘電体膜16を介し第1電極14に至る経路が短く、MIMキャパシタ60の耐圧が低下する可能性がある。この観点から距離L2は、誘電体膜16の厚さT2の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上がより好ましく、2倍以上がさらに好ましい。製造の観点から距離L2は誘電体膜16の厚さの10倍以下が好ましい。また、第2電極18と第3電極20との合わせ精度の観点から距離L2は0.2μm以上が好ましい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
第3電極20の外周54が外側に位置しすぎると、保護膜22が第3電極20の庇下に回り込みにくくなる。この観点から、第3電極20の外周54と領域50の外周55との平面視におけるさT1は距離L3の0.5倍以上が好ましく、1倍以上がより好ましい。距離L3は例えば3μm以下が好ましい。製造の観点から高さT1は距離L3の3倍以下が好ましい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
図5A図6Bにおける第3電極20の形成する工程において、図5Aのように、第2電極18上に開口45(第1開口)を有するマスク層44(第1マスク層)を形成する。図5Bのように、開口45の内面およびマスク層44上にシード層20aを形成する。図6Aのように、シード層20a上に開口45より大きい開口47(第2開口)を有するマスク層46(第2マスク層)を形成する。開口47内にめっき層を形成する。図6Bのように、マスク層46を除去し、めっき層20bをマスクにシード層20aを除去し、マスク層44を除去する。このように、第3電極20を形成すると、第2電極18の内側の領域50おいて第2電極18に接触し、領域50の外側において第2電極18および誘電体膜16から上方に離れる。また、第3電極20は、第2電極18上に設けられたシード層20aと、シード層20a上に設けられためっき層20bとを備える。さらに、マスク層46、シード層20aおよびマスク層44を除去する工程において、第3電極20の上面に不要層23が形成される。そこで、図7Aのようにイオンまたは原子を第3電極20に照射することで不要層23の除去を行うことが好ましい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
実施例1では、不要層23の除去を行う工程において誘電体膜16に導入されるダメージ等に起因するキャパシタの耐圧低下について説明した。誘電体膜16のダメージ等は、不要層23を除去する工程以外の工程において導入されることもある。このような場合も誘電体膜16に導入されたダメージ等によりキャパシタの耐圧が低下することがある。図6Aから図7Bまでの工程において誘電体膜16にダメージ等が導入される場合、第3電極20の外周54を第2電極18の外周53より外側に設けることで、第2電極18に接する誘電体膜16の上面にダメージ等が導入されることを抑制でき、キャパシタの耐圧を改善できる。