(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129820
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】根菜類収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 27/00 20060101AFI20230912BHJP
A01D 33/14 20060101ALI20230912BHJP
A01D 17/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
A01D27/00
A01D33/14
A01D17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034104
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA10
2B072BA02
2B072BA28
2B072BA30
2B072CA12
2B072CB06
(57)【要約】
【課題】収穫部を機体フレームに上下回動自在に設け、接地輪の圃場高さの検出により収穫部前側の掘取り高さを自動昇降制御する人参収穫機があるが、収穫部を機体フレームに上下回動させるアクチュエータとして油圧シリンダを用いており、自動昇降制御の作動感度が悪くて適切な収穫部の自動昇降制御が行い難く、また、旋回時に手動で収穫部を昇降させる際に高速で上下作動が行えず作業性に課題があった。そこで、適切な収穫部の自動昇降制御が行え、また、手動で収穫部を昇降させる際に高速で上下作動が行えて作業性の良い根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】収穫部Cを電動モータ23cにて伸縮作動する電動シリンダ23により上下動自在に機体フレーム1に設け、制御装置が作業高さセンサ28の圃場高さの検出に基づいて電動モータ23cを所定の回転数範囲内で回転数制御して作動させ収穫部Cの作業高さを自動昇降制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を走行させる走行部(A)と操縦部(B)と圃場から根菜類を収穫する収穫部(C)を装備した根菜類収穫機において、該収穫部(C)を電動モータ(23c)にて伸縮作動する電動シリンダ(23)により上下動自在に機体フレーム(1)に設け、制御装置が作業高さセンサ(28)の圃場高さの検出に基づいて電動モータ(23c)を所定の回転数範囲内で回転数制御して作動させ収穫部(C)の作業高さを自動昇降制御することを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
昇降操作レバー(13)の操作にて電動モータ(23c)を作動させて収穫部(C)を上下作動させる際には、制御装置が電動モータ(23c)を自動昇降制御時よりも早い回転速度で回転数制御して作動させることを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
昇降操作レバー(13)に設けた制御開始スイッチ(34)の操作にて収穫部(C)の自動昇降制御が開始し、昇降操作レバー(13)の操作による収穫部(C)の手動昇降操作を規制することを特徴とする請求項1または請求項2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
自動昇降制御が開始した後に、昇降操作レバー(13)が所定時間以上操作されると、自動昇降制御を解除し収穫部(C)の手動昇降操作が有効になることを特徴とする請求項3記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
自動昇降制御を入切りする自動作業高さ制御スイッチ(32)と作業部のクラッチを入切りする掘取りレバー(14)がクラッチを入りに操作されたことを検出する検出スイッチ(33)を設け、該自動作業高さ制御スイッチ(32)が入りに操作され且つ掘取りレバー(14)がクラッチを入りに操作されたことを検出スイッチ(33)が検出した時に、制御開始スイッチ(34)の操作にて収穫部(C)の自動昇降制御が開始することを特徴とする請求項3または請求項4記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
自動作業高さ制御スイッチ(32)の切り操作または掘取りレバー(14)のクラッチ切り操作を検出スイッチ(33)が検出した時に、収穫部(C)の自動昇降制御を解除することを特徴とする請求項5記載の根菜類収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植生する根菜類を収穫する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、収穫部を機体フレームに上下回動自在に設け、接地輪の圃場高さの検出により収穫部前側の掘取り高さを自動昇降制御する人参収穫機がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、収穫部を機体フレームに上下回動させるアクチュエータとして油圧シリンダを用いており、自動昇降制御の作動感度が悪くて適切な収穫部の自動昇降制御が行い難く、また、畝端での旋回時に手動で収穫部を昇降させる際には高速で上下作動が行えず作業性に課題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、適切な収穫部の自動昇降制御が行え、また、手動で収穫部を昇降させる際に高速で上下作動が行えて作業性の良い根菜類収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、機体を走行させる走行部Aと操縦部Bと圃場から根菜類を収穫する収穫部Cを装備した根菜類収穫機において、該収穫部Cを電動モータ23cにて伸縮作動する電動シリンダ23により上下動自在に機体フレーム1に設け、制御装置が作業高さセンサ28の圃場高さの検出に基づいて電動モータ23cを所定の回転数範囲内で回転数制御して作動させ収穫部Cの作業高さを自動昇降制御する根菜類収穫機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、収穫部Cを電動モータ23cにて伸縮作動する電動シリンダ23により上下動自在に機体フレーム1に設け、制御装置が作業高さセンサ28の圃場高さの検出に基づいて電動モータ23cを所定の回転数範囲内で回転数制御して作動させ収穫部Cの作業高さを自動昇降制御するので、作業に適した適切な収穫部Cの作業高さ自動昇降制御が行えて良好な収穫作業が行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、昇降操作レバー13の操作にて電動モータ23cを作動させて収穫部Cを上下作動させる際には、制御装置が電動モータ23cを自動昇降制御時よりも早い回転速度で回転数制御して作動させる請求項1記載の根菜類収穫機である。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、昇降操作レバー13の操作にて電動モータ23cを作動させて収穫部Cを上下作動させる際には、制御装置が電動モータ23cを自動昇降制御時よりも早い回転速度で回転数制御して作動させるので、畝端での旋回時に昇降操作レバー13を操作して手動で収穫部Cを昇降させる際には高速で上下作動が行えて作業性が良い。
【0010】
請求項3記載の発明は、昇降操作レバー13に設けた制御開始スイッチ34の操作にて収穫部Cの自動昇降制御が開始し、昇降操作レバー13の操作による収穫部Cの手動昇降操作を規制する請求項1または請求項2記載の根菜類収穫機である。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、昇降操作レバー13に設けた制御開始スイッチ34の操作にて収穫部Cの自動昇降制御が開始し、昇降操作レバー13の操作による収穫部Cの手動昇降操作を規制するので、昇降操作レバー13を把持したまま自動昇降制御を開始できて操作性が良く、また、自動昇降制御が開始した後は昇降操作レバー13の操作による収穫部Cの手動昇降操作が規制され、操縦者の身体が触れたりして昇降操作レバー13が誤操作されても作業高さは変更されないので、作業性が良い。
【0012】
請求項4記載の発明は、自動昇降制御が開始した後に、昇降操作レバー13が所定時間以上操作されると、自動昇降制御を解除し収穫部Cの手動昇降操作が有効になる請求項3記載の根菜類収穫機である。
【0013】
請求項5記載の発明は、自動昇降制御を入切りする自動作業高さ制御スイッチ32と作業部のクラッチを入切りする掘取りレバー14がクラッチを入りに操作されたことを検出する検出スイッチ33を設け、該自動作業高さ制御スイッチ32が入りに操作され且つ掘取りレバー14がクラッチを入りに操作されたことを検出スイッチ33が検出した時に、制御開始スイッチ34の操作にて収穫部Cの自動昇降制御が開始する請求項3または請求項4記載の根菜類収穫機である。
【0014】
請求項6記載の発明は、自動作業高さ制御スイッチ32の切り操作または掘取りレバー14のクラッチ切り操作を検出スイッチ33が検出した時に、収穫部Cの自動昇降制御を解除する請求項5記載の根菜類収穫機である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の人参収穫機の左側面図である。
【
図2】同上人参収穫機の要部を示す左側面図である。
【
図3】同上人参収穫機の人参収穫機の斜視図である。
【
図4】同上人参収穫機の電動シリンダ23部分の作用説明用の側断面図である。
【
図5】同上人参収穫機の引起しガイド31部分の作用説明用の斜視図である。
【
図6】同上人参収穫機の作業高さセンサ28部分の作用説明用の側面図である。
【
図7】同上人参収穫機の操縦パネル11の平面図である。
【
図8】同上人参収穫機の掘取りレバー14部分の作用説明用の側面図である。
【
図9】同上人参収穫機の昇降操作レバー13の作用説明用の側面図である。
【
図10】同上人参収穫機の人参の根部Nの映像をドットによる形状に変換した図である。
【
図11】同上人参収穫機の茎葉切断部Dの作用説明用の平面図である。
【
図12】同上人参収穫機の良品切断部41の作用説明用の斜視図である。
【
図13】同上人参収穫機の良品切断部41の他の実施形態を示す作用説明用の側断面図である。
【
図14】同上人参収穫機の良品切断部41の他の実施形態を示す作用説明用の要部平面図である。
【
図15】同上人参収穫機の選別搬送部E部分の作用説明用の側面図である。
【
図16】同上人参収穫機のバケット50の作用説明用の斜視図である。
【
図17】同上人参収穫機のバケット50の作用説明用の側面図である。
【
図18】同上人参収穫機の不良品収容部Gの他の実施形態を示す平面図である。
【
図19】同上人参収穫機の不良品収容部Gの他の実施形態を示す要部の側面図である。
【
図20】同上人参収穫機の不良品収容部Gの他の実施形態を示す要部の斜視図である。
【
図21】同上人参収穫機の他の実施形態を示す人参収穫機の平面図である。
【
図22】同上人参収穫機の他の実施形態を示す掘取りレバー14及びスロットルレバー15部分の作用説明用の側面図である。
【
図23】同上人参収穫機の他の実施形態を示す変速操作レバー12部分の作用説明用の側面図である。
【
図24】同上人参収穫機の他の実施形態を示す主変速レバー67部分の作用説明用の側面図である。
【
図25】同上人参収穫機の他の実施形態を示す左右サイドクラッチ69L,69R部分の作用説明用の正面図である。
【
図26】同上人参収穫機の他の実施形態を示す引抜搬送装置24前部の作用説明用の平面図である。
【
図27】同上人参収穫機の他の実施形態を示すタブレット端末65のタッチパネルを示す正面図である。
【
図28】同上人参収穫機の他の実施形態を示すタブレット端末65の外部コントローラ90を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態の一実施例として示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機を説明する。以下においては、機体の前進方向を基準に、前後、左右と謂う。
【0017】
<全体構成>
図1~
図3に示すように、人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部Kを切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Eと、該選別搬送部Eから排出される人参の収容部材を配置する収容部Fから構成される。
【0018】
<走行部A>
図1及び
図2に示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジンの動力が伝動されるミッションケース7から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト8,8に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0019】
<操縦部B>
図1及び
図2に示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム9を取り付け、該操縦部フレーム9には操縦座席10を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル11を取り付ける。
【0020】
そして、該操縦パネル11にHSTを操作して機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー12、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー13、作業部のクラッチを入切りする掘取りレバー14、エンジンの回転数を操作するスロットルレバー15及びミッションケース7内の歯車式変速装置を変速操作して走行速と中立と作業速と低速に切換える主変速レバー67を設ける。
【0021】
また、前記操縦部フレーム9の機体左右他側(機体右側)にエンジンを冷却するラジエータを保護すると共に冷却風を取り込むラジエータカバーを着脱自在に取り付けることにより。操縦部Bが構成される。
【0022】
上記構成により、変速操作レバー12や昇降操作レバー13のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0023】
<収穫部C>
図1及び
図2に示すように、左右引抜フレーム16,16の機体前側に左右従動プーリ17,17を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ18,18を装着し、該左右従動プーリ17,17と左右駆動プーリ18,18との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト19,19を巻き掛けると共に、複数のテンションローラによって該左右挟持搬送ベルト19,19を張圧し、左右挟持搬送ベルト19,19の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。
【0024】
そして、前記機体フレーム1の上方に機体左右方向の回動支点軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ18,18に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点を中心として上下回動自在に取り付ける。
【0025】
また、
図4に示すように、前記機体フレーム1と回動フレーム20の間にインバーター制御の電動シリンダ23を設け、該電動シリンダ23を自動作動制御または操縦部Bの昇降操作レバー13で操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成し、該電動シリンダ23の作動にて回動フレーム20を回動支点軸21で回動し、引抜搬送装置24前端部側の圃場面にする作業高さを変更する。
【0026】
電動シリンダ23は、機体フレーム1に基部が基部枢軸23aにて枢支され、先端が回動フレーム20に固定されたアーム20aの上端部に先端枢軸23bにて枢支されている。
【0027】
電動シリンダ23は、制御装置(CPU)にて回転数制御(インバーター)される電動モータ23cと該電動モータ23cの駆動ギヤ23dに噛合する従動ギヤ23eにより伸縮作動するロッド23fにて構成される。
【0028】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部Kを引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部Kを掬い上げる横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、引抜搬送装置24前端部側の圃場面からの作業高さを検出する作業高さセンサ28と、前記エンジンの駆動力で振動し圃場中の人参の左右の土を解す左右振動ソイラ29,29と、先端が圃場中に突入し人参の左右の茎葉部Kを分草する左右分草バー30,30を設ける。
【0029】
また、
図5に示すように、縦引起し装置25と横引起し装置26の先端部には、各々バネ材で形成された丸棒状の引起しガイド31,31の基部を固定し、引起しガイド31,31の先端が交差する状態で設けている。
【0030】
従って、左右の引起しガイド31,31は、圃場中の人参の左右から茎葉部Kを上方に適切に持ち上げ、左右挟持搬送ベルト19,19に人参の根部Nが挟持された時に、左右挟持搬送ベルト19,19よりも上方に茎葉部Kがあるようにして、後述の人参の根部Nの画像判定の際に茎葉部Kが邪魔にならず適切な画像判定が行える。
【0031】
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と縦引起し装置25と左右分草バー30,30と左右の引起しガイド31,31を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0032】
また、人参に左右振動ソイラ29,29等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0033】
そして、
図6に示すように、作業高さセンサ28は、左右引抜フレーム16,16に基部が固定されたセンサ支持フレーム16a下端部に機体左右方向の枢支軸28aに枢支された上下作動アーム28b先端に車輪軸28cにて遊転自在に設けたゲージ輪28dと上下作動アーム28b基部の枢支軸28aに設けた上下作動アーム28bの上下作動角度を検出するポテンショメーター(角度センサ)28eから構成される。
【0034】
なお、左右引抜フレーム16,16に基部が枢支されたスプリングダンパー28fの先端が車輪軸28cに枢支され、ゲージ輪28dは該スプリングダンパー28fにより圃場面に接地する方向に付勢され、圃場面に追従して回転する。
【0035】
また、センサ支持フレーム16aには、上下作動アーム28bに接当してゲージ輪28dの最上昇位置と最下降位置を規制する上下規制ストッパ16bが設けられている。
【0036】
ここで、
図2及び
図6~
図9に基づいて、引抜搬送装置24前端部側の圃場面にする作業高さ制御について説明する。
【0037】
操縦パネル11には、作業高さ制御を入切りする自動作業高さ制御スイッチ32が設けられている。自動作業高さ制御スイッチ32は、オルタネイトスイッチで入りにすると点灯し容易に判別できる。
【0038】
作業部のクラッチを入切りする掘取りレバー14には、クラッチを入りに操作したことを検出する掘取り入り検出スイッチ33が設けられている。
【0039】
収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー13には、自動作業高さ制御を開始する制御開始スイッチ34が設けられ、該制御開始スイッチ34を押すと入りになる。
【0040】
作業手順及び制御動作を説明すると、操縦座席10に着座した操縦者が機体を操縦して畝に植生している人参の位置に引抜搬送装置24前端部を位置させる。
【0041】
そして、自動作業高さ制御スイッチ32を押し操作して入りにし、掘取りレバー14をクラッチ入りに操作すると掘取り入り検出スイッチ33が入りになる。
【0042】
そして、昇降操作レバー13を操作して電動シリンダ23を作動させて引抜搬送装置24前端部の作業高さを適切な掘取り深さに調節する。
【0043】
そこで、引抜搬送装置24前端部の作業高さを適切な掘取り深さに調節した時に昇降操作レバー13の制御開始スイッチ34を押し操作して入りにすると、制御装置は作業高さセンサ28のポテンショメーター(角度センサ)28eが検出したその時の引抜搬送装置24前端部の作業高さを基準作業高さとし、該基準作業高さに高低許容値幅を付加した制御基準帯を設定する。
【0044】
そして、畝に植生している人参の条に沿って機体を前進させて人参の収穫作業を進めると、圃場面(畝面)に追従してゲージ輪28dが上下動してポテンショメーター(角度センサ)28eが圃場高さを制御装置に出力する。
【0045】
制御装置は、ポテンショメーター(角度センサ)28eが出力する圃場高さと制御基準帯を比較し、ポテンショメーター(角度センサ)28eが出力する圃場高さが制御基準帯を外れた場合には、電動シリンダ23を作動させて引抜搬送装置24前端部の作業高さを自動調節して、ポテンショメーター(角度センサ)28eが出力する圃場高さが制御基準帯に入るように引抜搬送装置24前端部の作業高さを自動調節する。
【0046】
即ち、ポテンショメーター(角度センサ)28eが出力する圃場高さが制御基準帯よりも高くなった場合は、電動シリンダ23を縮小して引抜搬送装置24前端部の作業高さを低くし、ポテンショメーター(角度センサ)28eが出力する圃場高さが制御基準帯よりも低くなった場合は、電動シリンダ23を伸長して引抜搬送装置24前端部の作業高さを高くして、引抜搬送装置24前端部の作業高さを自動調節する。
【0047】
そして、上記の自動制御時には、電動シリンダ23が制御装置にて回転数制御(インバーター)され、ポテンショメーター(角度センサ)28eが出力する圃場高さが制御基準帯から大きく外れるほど電動シリンダ23の伸縮作動が速くなる。よって、速やかな作業高さの自動制御が行える。
【0048】
また、上記の自動制御時に操縦者が昇降操作レバー13を上昇方向または下降方向に所定時間である4秒以上手動操作した場合、自動制御は解除されて昇降操作レバー13で作業高さを変更できる。換言すると、操縦者の手や身体が触れたりして昇降操作レバー13が上昇方向または下降方向に4秒未満誤操作されても、作業高さは変更されないので、作業性が良い。
【0049】
また、自動作業高さ制御スイッチ32を切りにするか、または、掘取りレバー14をクラッチ切りに操作して掘取り入り検出スイッチ33が切りになると、直ちに自動制御は、解除される。
【0050】
そして、自動制御が解除された状態では、電動シリンダ23が制御装置にて回転数制御(インバーター)されて、伸縮速度が最大になる。従って、畝の終端で機体を旋回させる為に掘取りレバー14をクラッチ切りに操作すると、自動制御が解除されて、昇降操作レバー13を上昇方向に手動操作して引抜搬送装置24を上昇させる時に電動シリンダ23が最大速度で伸長して速やかに引抜搬送装置24を上昇させることができ、また、機体旋回後に昇降操作レバー13を下降方向に手動操作して引抜搬送装置24を下降させる時に電動シリンダ23が最大速度で縮小して速やかに引抜搬送装置24を下降させることができ、作業性及び作業効率が良い。
【0051】
<茎葉切断部D>
図1及び
図2に示すように、引抜搬送装置24の上部下面側には、肩揃え具としての左右肩揃えバー35が設けられている。
【0052】
左右肩揃えバー35は、基部が引抜搬送装置24の左右引抜フレーム16,16に固定され後端が茎葉切断部D前部に向けて延びる杆体にて形成される。
【0053】
左右挟持搬送ベルト19,19にて茎葉部Kが挟持されて斜め後方に向けて搬送される人参の根部Nは、その上端部が左右肩揃えバー35に接当したまま茎葉切断部D前部に向けて搬送されるので、左右挟持搬送ベルト19,19に挟持された茎葉部Kが徐々に下方に引かれて茎葉切断部D前部に到達した時点で左右挟持搬送ベルト19,19下端から根部N上端までの距離が一定となり、茎葉部Kが左右挟持搬送ベルト19,19から茎葉切断部Dに引き継がれた時点で根部N上端の位置が一定高さに揃う。
【0054】
そして、左右肩揃えバー35の前後搬送方向中央位置には、搬送されてくる人参の根部Nを写す左右カメラ36が前方下方を向いて設けられ、左右カメラ36が写した根部Nの映像は制御装置に送られる。
【0055】
図10に示すように、制御装置は、根部Nの映像をドットによる形状に変換し、ドットで表示された形状の中で突起の数をカウントして形状の判断をし、突起の数が1の場合は良品、突起の数が2以上の人参は不良品と判断して記憶する(突起が2以上ある人参は、又割れなどの奇形な形状の人参である)。
【0056】
茎葉切断部Dは、下段に前側から前肩揃え部37、下部茎葉挟持搬送部38及び後肩揃え部39が設けられ、上段に上部茎葉挟持搬送部40が設けられている。
【0057】
前肩揃え部37と後肩揃え部39の間には、良品の人参の茎葉部K下端部を切断して根部Nを下方に落下させる良品切断部41が設けられ、後肩揃え部39の後方には、不良品の人参の茎葉部K下端部を切断して根部Nを下方に落下させる不良品切断部42が設けられている。
【0058】
図11及び
図12に示すように、前肩揃え部37は、対向する左右前肩揃えチェーン部37L,37Rにて構成されている。左右前肩揃えチェーン部37L,37Rは、各々前後に設けた駆動スプロケット37aと従動スプロケット37bに挟持チェーン37cが巻回されている。
【0059】
前記左右肩揃えバー35の後端は、この前肩揃え部37の左右前肩揃えチェーン部37L,37R前部下方に位置しており、人参の根部N上端の位置が一定高さに揃った状態で、人参の茎葉部Kが左右挟持搬送ベルト19,19から前肩揃え部37の左右前肩揃えチェーン部37L,37R前部に引き継がれる。
【0060】
そして、駆動スプロケット37aには回転数計測センサ37dが設けられており、制御装置は、駆動スプロケット37aのPCDと回転数から挟持チェーン37cの移動距離を算出する。
【0061】
後肩揃え部39は、対向する左右後肩揃えチェーン部39L,39Rにて構成されている。左右後肩揃えチェーン部39L,39Rは、各々前後に設けた駆動スプロケット39aと2つの従動スプロケット39bに挟持チェーン39cが巻回されている。
【0062】
下部茎葉挟持搬送部38は、対向する左右下部茎葉挟持ベルト部38L,38Rにて構成されている。左右下部茎葉挟持ベルト部38L,38Rは、各々前後に設けた駆動プーリ38aと従動プーリ38bと遊転プーリ38cに挟持ベルト38dが巻回されている。
【0063】
上部茎葉挟持搬送部40は、対向する左右上部茎葉挟持ベルト部40L,40Rにて構成されている。左右上部茎葉挟持ベルト部40L,40Rは、各々前後に設けた駆動プーリ40aと従動プーリ40bと遊転プーリ40cに挟持ベルト40dが巻回されている。
【0064】
下部茎葉挟持搬送部38及び上部茎葉挟持搬送部40は、前肩揃え部37の左右前肩揃えチェーン部37L,37R後部から人参の茎葉部Kを引き継いで挟持して後方に搬送する。なお、引抜搬送装置24の左右挟持搬送ベルト19,19にて挟持された人参の茎葉部Kは、前肩揃え部37及び下部茎葉挟持搬送部38及び上部茎葉挟持搬送部40にて挟持されて茎葉部Kが後方に搬送されるにつれて左右挟持搬送ベルト19,19から下方に抜けて離れる。
【0065】
図11及び
図12に示すように、良品切断部41は、アクチュエータであるステッピングモータ41aと該ステッピングモータ41aの駆動軸41bに固定された回動板41cと該回動板41cに上下調節装置41dを介して取り付けた切断刃としての固定刃41eで構成される。
【0066】
上下調節装置41dは、回動摘み部41fを回動させると内部の軸体41gが上下方向に移動調節されるネジ機構であり、軸体41gの上端部に固定刃41eが取り付けられており、回動摘み部41fを回動して固定刃41eを上下調節する。
【0067】
即ち、回動摘み部41fを回動して固定刃41eを上下調節することにより、人参の茎葉部Kの切断位置を上下に調節して、根部N上部に残る茎葉部Kを所望の長さにすることができる。
【0068】
ステッピングモータ41aは、制御装置により作動し、固定刃41eを前肩揃え部37の左右前肩揃えチェーン部37L,37R間の後方位置に回動した切断作用位置と左右前肩揃えチェーン部37L,37R間の後方位置から回動して退避した退避位置に切り換える。
【0069】
即ち、前記左右カメラ36が写した根部Nの映像から制御装置が良品と判断した人参の茎葉部Kが左右前肩揃えチェーン部37L,37Rに挟持され後方に搬送されて左右前肩揃えチェーン部37L,37R後端部に来ると、制御装置は、ステッピングモータ41aを作動させて固定刃41eを前肩揃え部37の左右前肩揃えチェーン部37L,37R間の後方位置に回動した切断作用位置にして、人参の茎葉部Kを切断し、良品の根部Nを下方に落下させて選別搬送部Eの左端部上に供給する。
【0070】
また、前記左右カメラ36が写した根部Nの映像から制御装置が不良品と判断した人参の茎葉部Kが左右前肩揃えチェーン部37L,37Rに挟持され後方に搬送されて左右前肩揃えチェーン部37L,37R後端部に来ると、制御装置は、ステッピングモータ41aを作動させて固定刃41eを前肩揃え部37の左右前肩揃えチェーン部37L,37R間の後方位置から回動して退避した退避位置にして、人参の茎葉部Kを下部茎葉挟持搬送部38及び上部茎葉挟持搬送部40にて後方にそのまま搬送する。そして、不良品と判断した人参の茎葉部Kは、後肩揃え部39の前部にて挟持され後方に搬送される。
【0071】
なお、制御装置は、駆動スプロケット37aに設けた回転数計測センサ37dが検出する駆動スプロケット37aの回転数と駆動スプロケット37aのPCDから挟持チェーン37cの移動距離を算出して、左右前肩揃えチェーン部37L,37Rに挟持され後方に搬送されて左右前肩揃えチェーン部37L,37R後端部に人参が来たことを判断して、ステッピングモータ41aを作動させて固定刃41eを切断作用位置または退避位置にする。
【0072】
また、
図13及び
図14は、良品切断部41の他の実施形態で第2実施例を示す。
【0073】
即ち、良品切断部41は、茎葉切断部Dのフレームに回動自在に枢支された回動軸41hの上下中途部に固定刃41eをスプライン41iにて係合させて上下移動自在に設け、固定刃41eの下方に回動軸41hの雄ネジ41jに螺合する雌ネジ41kを設けた回動摘み部41fの上部を連結して設けている。
【0074】
なお、回動摘み部41fの上部と固定刃41e下部の間には、スチールボール41pをバネにて付勢して設け、回動摘み部41fの回動にて雄ネジ41jと雌ネジ41kによる回動摘み部41fの上下移動に連携して固定刃41eが上下位置調節される際に、スチールボール41pが回動軸41hのスプライン41iの凸部を越えて回るので、回動摘み部41fを回動する時に作業者にクリック感を与えて操作感覚が良い。
【0075】
そして、回動軸41hの上端部に基部が固着された回動アーム41qの先端には、茎葉切断部Dのフレームに設けたソレノイドにて前後移動するロッド41rが連結されている。該ソレノイドは、前記ステッピングモータ41aと同様の機能を果たし、制御装置により作動してロッド41r及び回動アーム41qを介して回動軸41hを回動して、固定刃41eを前肩揃え部37の左右前肩揃えチェーン部37L,37R間の後方位置に回動した切断作用位置と左右前肩揃えチェーン部37L,37R間の後方位置から回動して退避した退避位置に切り換える。
【0076】
また、回動アーム41qの下方位置には、2カ所に近接センサ41sが設けられ、固定刃41eが切断作用位置と退避位置にあることを検出する。
【0077】
該近接センサ41sの検出にて、操縦パネル11に設けたモニタや報知ランプ等で固定刃41eが切断作用位置であるか退避位置であるかを表示すると良い。また、ソレノイドが作動したのに近接センサ41sが対応する位置に固定刃41eが回動していないことを検出した場合には、異常警報を発して収穫作業を停止するようにしても良い。
【0078】
なお、上記の第1実施例及び第2実施例の回動摘み部41fを回動して固定刃41eを上下調節する場合、固定刃41eの最上位置は、左右前肩揃えチェーン部37L,37Rに接当しないように規制されている。
【0079】
図1、
図2及び
図11に示すように、不良品切断部42は、後肩揃え部39の後方に配置され、対向する部位の刃が上下に重合する円板状の左右回転刃42L,42Rより構成され、該左右回転刃42L,42Rが各々左右電動モータ42aにて回転する。
【0080】
そして、左右回転刃42L,42Rの対向する上下に重合する刃部は、後肩揃え部39の対向する左右後肩揃えチェーン部39L,39R間の後方に位置し、左右後肩揃えチェーン部39L,39Rが挟持搬送してきた不良品の人参の茎葉部K下端部を切断して根部Nを下方に落下させて選別搬送部Eの左端部上に供給する。
【0081】
そして、人参の茎葉部Kは、下部茎葉挟持搬送部38及び上部茎葉挟持搬送部40にて後方に搬送され圃場に排出される。
【0082】
<選別搬送部E>
図1、
図2及び
図15に示すように、選別搬送部Eは、搬送装置としての選別作業用の選別搬送装置44と不良品を搬送する不良品搬送装置45より構成される。
【0083】
選別搬送装置44と不良品搬送装置45の左端部側は同じ基部チェーンコンベア46aで構成され、壁部46bにて選別搬送装置44と不良品搬送装置45に区分けされている。
【0084】
そして、機体左右中央部付近で選別搬送装置44の上下作動チェーンコンベア44aと不良品搬送装置45の不良品排出チェーンコンベア45aに分かれる。
【0085】
選別搬送装置44は、収穫部Cの引抜搬送装置24の後部下方から収穫作物を収容する収容部材であるフレコンバッグ47のある収容部Fに向けて機体左右方向に配置され、エンジンからの駆動力にて周回動する一定間隔の桟を備える基部チェーンコンベア46a及び上下作動チェーンコンベア44aにて構成されている。
【0086】
選別搬送装置44左端部の壁部46bにて区分けされた基部チェーンコンベア46a前側は、良品切断部41の下方に位置し、固定刃41eにて茎葉部Kが切断されて下方に落下する良品の人参の根部Nを受け機体右方に搬送する。そして、上下作動チェーンコンベア44aに引き継がれて良品の人参を右方の収容部Fに搬送する。
【0087】
また、選別搬送装置44の機体後方側に補助作業座席48が設けられており、該補助作業座席48に着座した作業者が選別搬送装置44にて送られてくる人参のなかから商品にならないもの(小さい人参や割れた人参)を取り出して、適正な商品価値のある人参のみを収容部Fに送るようにする。
【0088】
なお、補助作業座席48に着座した作業者は、取り出した商品にならない人参を後述の不良品用コンテナ49に入れる。
【0089】
不良品搬送装置45は、収穫部Cの引抜搬送装置24の後部下方から不良品の人参の根部Nを収容する不良品用コンテナ49のある不良品収容部Gに向けて機体左右方向に配置され、エンジンからの駆動力にて周回動する一定間隔の桟を備える基部チェーンコンベア46a及び不良品排出チェーンコンベア45aにて構成されている。
【0090】
不良品搬送装置45左端部の壁部46bにて区分けされた基部チェーンコンベア46a後側は、不良品切断部42の下方に位置し、左右回転刃42L,42Rにて茎葉部Kが切断されて下方に落下する不良品の人参の根部Nを受け機体右方に搬送する。そして、不良品排出チェーンコンベア45に引き継がれて不良品の人参を右方の不良品収容部Gに搬送する。
【0091】
<不良品収容部G>
図15~
図17に示すように、不良品収容部Gは、補助作業座席48の前側下方に配置され、左右壁50L,50Rと前壁50Fを有し底部に機体左右方向の枢軸で枢支されたローラコンベア50Bを設けたバケット50の前端底部を機体フレーム1に機体左右方向の枢支軸51にて上下回動自在に軸支し、底部中央部と機体フレーム1間にガスダンパ52を設けて構成される。
【0092】
ガスダンパ52は、バケット50に載置した不良品用コンテナ49に不良品の人参の根部Nが満杯になると、その重みで縮小する付勢力に設定している。
【0093】
従って、不良品搬送装置45の不良品排出チェーンコンベア45a右端部から放出される不良品の人参の根部Nが不良品収容部Gのバケット50上に載置された不良品用コンテナ49に収納される。
【0094】
そして、該不良品用コンテナ49が不良品の人参の根部Nで満杯になると、その重みでガスダンパ52が縮小し、バケット50は枢支軸51回りに後部が下降した傾斜状になり、バケット50上に載置された不良品用コンテナ49が機体後方に向けてローラコンベア50B上を滑落して、満杯になった不良品用コンテナ49は圃場に自動的に降ろされる。
【0095】
そして、補助作業座席48の右側後方には、基部が機体フレーム1に固定されて上方に延びる支持柱53を設け、該支持柱53に予備のフレコンバッグ47を吊り下げるフック53aと予備の不良品用コンテナ49を載置する予備コンテナ載置台53bが設けられている。
【0096】
従って、満杯になった不良品用コンテナ49が圃場に降ろされると、ガスダンパ52が伸長し、バケット50は枢支軸51回りに後部が上動して水平状に復帰するので、支持柱53の予備コンテナ載置台53bから予備の不良品用コンテナ49を取り出してバケット50上に載置して作業を続行する。
【0097】
図18~
図20は、不良品収容部Gの他の実施形態で第3実施例を示す。
【0098】
即ち、不良品収容部Gは、不良品排出チェーンコンベア45の右端部に機体左右方向に長い複数の不良品用コンテナ49を載置できる構成である。
【0099】
不良品収容部Gは、上端に滑り止めの凹凸を設けた機体左右方向に長い長方形の枠体54内の底部に機体前後方向の枢軸54aにて枢支されたローラコンベア55を設けて構成され、枠体54内に不良品用コンテナ49を載置してローラコンベア55上を機体左右方向に移動できる構成である。
【0100】
ローラコンベア55は、枠体54を前後方向に挿通して設けた枢軸54aと、該枢軸54aが枢支した円筒のローラ55aと、枢軸54aに螺合したナット54bにてローラ55a端部との距離を調節自在に設けた座金54cと、該座金54cとローラ55a端部間に設けた圧縮バネ55dから構成されるローラユニット55Uを機体左右方向に並列して設けている。
【0101】
各ローラユニット55Uは、ナット54bにて座金54cの位置を調節して圧縮バネ55dの付勢力にてローラ55aの回転が若干規制された状態とし、作業者がローラ55a上に足をおいても滑って転倒しないようにしている。なお、ローラ55a上に載置された不良品用コンテナ49は、機体左右方向に押されるとローラコンベア55上を左右方向に容易に移動できる。
【0102】
従って、不良品搬送装置45の不良品排出チェーンコンベア45a右端部から放出される不良品の人参の根部Nは、不良品収容部G左端上に載置された不良品用コンテナ49に収納される。
【0103】
そして、該不良品用コンテナ49が不良品の人参の根部Nで満杯になると、補助作業座席48に着座した作業者が該満杯になった不良品用コンテナ49を機体右方に押してローラコンベア55上を不良品収容部G右端まで移動させる。
【0104】
そして、支持柱53の予備コンテナ載置台53bから予備の不良品用コンテナ49を取り出して不良品収容部Gの左端に載置して作業を続行する。
【0105】
また、不良品収容部Gは、枠体54上端に滑り止めの凹凸が設けられ、各ローラユニット55Uがナット54bにて座金54cの位置を調節して圧縮バネ55dの付勢力にてローラ55aの回転が若干規制された状態としているので、作業者が不良品収容部G上を安全に移動できるステップとしても機能する。
【0106】
<収容部F>
図3、
図15及び
図18に示すように、収容部Fは、選別搬送装置44右端の下方に配置され、該選別搬送装置44の右端に設けた吊り下げハンガー56と、該吊り下げハンガー56に吊り下げられたフレコンバッグ47を載置する載置台57により構成されている。
【0107】
選別搬送装置44の上下作動チェーンコンベア44aは、左端基部から右端上部に向けて斜め上方に向かって設けられている。即ち、エンジンからの駆動力にて周回動して人参を斜め上方に搬送し、上端部から下方に放出する。
【0108】
また、上下作動チェーンコンベア44aの基部は、回動軸にて回動自在に設けられており、中途部には、機体フレーム1に基部が枢支された上下作動油圧シリンダ58のピストン先端が連結されている。
【0109】
即ち、該上下作動チェーンコンベア44aは、補助作業座席48に着座した作業者が踏み操作する上昇スイッチを踏み込み操作している間、上下作動油圧シリンダ58が伸長して回動軸回りに回動して上昇し、下降スイッチを踏み込み操作している間、上下作動油圧シリンダ58が縮小して回動軸回りに回動して下降する。
【0110】
吊り下げハンガー56は、上下作動チェーンコンベア44aの右端に設けられている。載置台57上方で、吊り下げハンガー56の4つのフック56aをフレコンバッグ47の上端縁部の係止孔に各々引っ掛けてフレコンバッグ47を吊下げ支持する。この時、上下作動チェーンコンベア44aは、吊下げたフレコンバッグ47の底が載置台57に受けられた状態となるような上昇位置とする。
【0111】
そして、選別搬送装置44の上下作動チェーンコンベア44aにて搬送された良品の人参の根部Nは、上下作動チェーンコンベア44a右端から下方に放出されて吊り下げハンガー56の4つのフック56aに吊り下げられたフレコンバッグ47の上部開口からフレコンバッグ47に収納される。
【0112】
<別実施形態>
【0113】
【0114】
図21に示すように、収穫部Cの引抜搬送装置24前部には畝に植生している収穫する人参の条を撮影するカメラ60aを設け、引抜搬送装置24前部の側方には左右振動ソイラ29,29の土中に突入している部位を撮影するカメラ60bを設けている。
【0115】
また、人参収穫機の前部、後部及び左右側部には、人感センサ61を設けている。
【0116】
また、支持柱53の上端には表示灯62を設け、制御装置が、作業中に緑色を点灯し、人感センサ61が人や障害物等を感知した時に黄色を点灯し、停車中(変速操作レバー12が中立、掘取りレバー14が切り)に赤色を点灯し、左右肩揃えバー35に設けた左右カメラ36が人参の根部Nの映像を撮って制御装置がその映像を受け取ると人参の本数をカウントしてフレコンバッグ47に収納できる収穫本数になると緑色を点滅して作業者に報知する。
【0117】
図22に示すように、掘取りレバー14を入切り操作する掘取り操作アクチュエータ63を設け、スロットルレバー15を操作するスロットル操作アクチュエータ64を設けて、タブレット端末65にて通信装置を介して掘取り操作アクチュエータ63及びスロットル操作アクチュエータ64を作動させて、掘取りレバー14及びスロットルレバー15を遠隔操作する。
【0118】
図23に示すように、HSTを操作して機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー12を操作する変速操作アクチュエータ65を設けて、タブレット端末65にて通信装置を介して変速操作アクチュエータ65を作動させて、変速操作レバー12を遠隔操作する。
【0119】
図24に示すように、ミッションケース7内の歯車式変速装置を変速操作して走行速と中立と作業速と低速に切換える主変速レバー67を操作する主変速操作アクチュエータ68を設けて、タブレット端末65にて通信装置を介して主変速操作アクチュエータ68を作動させて、主変速レバー67を遠隔操作する。
【0120】
図25に示すように、ミッションケース7内に左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を駆動回転する左右ドライブシャフト8,8の駆動を左右各別に入切りする左右サイドクラッチ69L,69Rを設け、該左右サイドクラッチ69L,69Rを入切り操作する左右サイドクラッチ操作アクチュエータ70L,70Rをタブレット端末65にて通信装置を介して作動させて、左右サイドクラッチ69L,69Rを遠隔操作する。
【0121】
また、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー13を操作する昇降操作アクチュエータを設けて、タブレット端末65にて通信装置を介して昇降操作アクチュエータを作動させて、昇降操作レバー13を遠隔操作する。
【0122】
図26に示すように、引抜搬送装置24前部の左右挟持搬送ベルト19,19間の引抜搬送経路Rに掘取って搬送中の人参の茎葉部Kを検出する収穫搬送人参検出センサ71を設け、掘取り作業中(制御装置が掘取りレバー14の入を認識)に該収穫搬送人参検出センサ71が人参の茎葉部Kを4秒以上検出しない場合、制御装置は、収穫している条の人参の収穫が終了したと判断して、昇降操作アクチュエータを作動させて昇降操作レバー13を上昇側に操作し収穫部Cを最上昇位置まで上昇させる。
【0123】
図27は、タブレット端末65のタッチパネルを示す。
【0124】
左上に掘取り操作アクチュエータ63を作動させて掘取りレバー14を入切りする掘取りレバーのアイコン入と切があり、タップしたアイコンが緑色になって作動状態が分かる。
【0125】
その下に変速操作アクチュエータ65を作動させて変速操作レバー12を操作する変速操作アイコン中立と前進側に徐々に増速するF1~F5と後進側に徐々に増速するR1~R3があり、タップしたアイコンが緑色になって作動状態が分かる。
【0126】
その下にスロットル操作アクチュエータ64を作動させてスロットルレバー15を操作するスロットルアイコンがあり、左端にスライドさせるとアイドリングになり、右側にスライドさせるほど高速となる。
【0127】
その下にエンジン温度の表示部と燃料残量表示部がある。
【0128】
最下側にカメラ1、カメラ2及びメータ表示のアイコンがあり、カメラ1をタップすると右中央部にカメラ60aが撮影する収穫部Cの引抜搬送装置24前方の畝に植生している収穫する人参の条の映像が表示され、カメラ2をタップすると右中央部にカメラ60bが撮影する左右振動ソイラ29,29が土中に突入している部位の映像が表示され、メータ表示をタップすると右中央部にエンジンの回転数やアワメータ等のメータが表示される。
【0129】
最上側には、機体の状態を表示する機体状態表示部80があり、掘取りレバーのアイコン入をタップすると作業中と表示され、変速操作アイコン中立をタップすると停車と表示され、掘取りレバーのアイコン切をタップすると収穫完了と表示され、人感センサ61が人や障害物等を感知すると障害物と表示される。
【0130】
図28は、タブレット端末65に外部コントローラ90を接続して人参収穫機を遠隔操作する例を示す。
【0131】
SELECTボタン91を押し操作すると、押す度に、移動モード,収穫モード,搬出モードに機体の状態モードを変更する。
【0132】
L1ボタン92を押し操作すると、押す度に、変速操作アクチュエータ65を作動させてHSTを減速する。R1ボタン93を押し操作すると、押す度に、変速操作アクチュエータ65を作動させてHSTを増速する。
【0133】
L2ボタン94を押し操作すると、押す度に、スロットル操作アクチュエータ64を作動させてエンジン回転数を下げる。R2ボタン95を押し操作すると、押す度に、スロットル操作アクチュエータ64を作動させてエンジン回転数を上げる。
【0134】
移動モード及び収穫モードで、□ボタン96を押し操作すると、掘取り操作アクチュエータ63を作動させて掘取りレバー14を切にし、△ボタン97を押し操作すると、掘取り操作アクチュエータ63を作動させて掘取りレバー14を入にする。
【0135】
移動モード及び収穫モードで、〇ボタン98を押し操作すると、押す度に、主変速操作アクチュエータ68を作動させて主変速レバー67を低速、中立、作業速、中立、走行速の順に操作し、×ボタン99を押し操作すると、押す度に、主変速操作アクチュエータ68を作動させて主変速レバー67を走行速、中立、作業速、中立、低速の順に操作する。
【0136】
移動モード及び収穫モードで、方向キー(十字ボタン)の上ボタン100を押し操作すると、昇降操作アクチュエータを作動させて昇降操作レバー13を上げに操作し、下ボタン101を押し操作すると、昇降操作アクチュエータを作動させて昇降操作レバー13を下げに操作する。
【0137】
移動モード及び収穫モードで、方向キー(十字ボタン)の左ボタン102を押し操作すると、左サイドクラッチ操作アクチュエータ70Lを作動させて左サイドクラッチ69Lを切り機体を左旋回させ、右ボタン103を押し操作すると、右サイドクラッチ操作アクチュエータ70Rを作動させて右サイドクラッチ69Rを切り機体を右旋回させる。
【0138】
収容部Fの吊り下げハンガー56は昇降及び左右移動自在にリフト装置にて移動し、該リフト装置により吊り下げハンガー56に吊り下げられたフレコンバッグ47は昇降及び左右移動自在である。
【0139】
搬出モードで、〇ボタン98を押し操作すると、上記リフト装置を上昇作動させる。
【0140】
搬出モードで、×ボタン99を押し操作すると、上記リフト装置を下降作動させる。
【0141】
搬出モードで、□ボタン96を押し操作すると、上記リフト装置を左作動させる。
【0142】
搬出モードで、△ボタン97を押し操作すると、上記リフト装置を右作動させる。
【符号の説明】
【0143】
1 機体フレーム
13 昇降操作レバー
14 掘取りレバー
23 電動シリンダ
23c 電動モータ
28 作業高さセンサ
32 自動作業高さ制御スイッチ
33 検出スイッチ
34 制御開始スイッチ
A 走行部
B 操縦部
C 収穫部