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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129834
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】フェンス
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/20 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
E04H17/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034119
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】500075597
【氏名又は名称】株式会社 日本育児
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石迫 壮馬
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142DD01
2E142DD09
2E142HH01
2E142HH12
2E142HH25
(57)【要約】
【課題】
床面と天井の間にしっかりと固定でき、構造が単純なフェンス支柱を備えたフェンスを提供する。
【解決手段】
本願の一態様に係るフェンスは、フェンス支柱が固定ポールと可動ポールを接続する接続機構を有しており、接続機構は、固定ポールに固定されるとともに可動ポールを上下方向に移動可能に保持する筒部材と、水平方向に延びる回動軸まわりに第1角度位置と第2角度位置の間を回動するように筒部材に取り付けられたレバー部材と、を含む。レバー部材は、筒部材の内側に位置し、レバー部材が第1角度位置から第2角度位置に向かって回動したときに可動ポールの端面に接触して押圧するカム部と、カム部と連結しており、少なくとも一部が筒部材よりも外側に位置する操作部と、を含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェンス本体と、
前記フェンス本体を支持するフェンス支柱と、を備え、
前記フェンス支柱は、
床面に接する床面接触部と、
天井に接する天井接触部と、
前記床面接触部及び前記天井接触部の一方から上下方向に延びる固定ポールと、
前記床面接触部及び前記天井接触部の他方から上下方向に延びる可動ポールと、
前記固定ポールと前記可動ポールを接続する接続機構と、を有し、
前記接続機構は、前記固定ポールに固定されるとともに前記可動ポールを上下方向に移動可能に保持する筒部材と、水平方向に延びる回動軸まわりに第1角度位置と第2角度位置の間を回動するように前記筒部材に取り付けられたレバー部材と、を含み、
前記レバー部材は、前記筒部材の内側に位置し、前記レバー部材が前記第1角度位置から前記第2角度位置に向かって回動したときに前記可動ポールの端面に接触して押圧するカム部と、前記カム部と連結しており、少なくとも一部が前記筒部材よりも外側に位置する操作部と、を含んでいる、フェンス。
【請求項2】
前記レバー部材は、前記第1角度位置から前記第2角度位置に向かって回動するとき、前記第2角度位置の手前の第3角度位置を通過し、
前記回動軸から前記カム部と前記可動ポールの端面が接触する部分までの上下方向距離は、前記レバー部材が前記第1角度位置にあるときよりも前記第2角度位置にあるときの方が大きく、前記レバー部材が前記第2角度位置にあるときよりも前記第3角度位置にあるときの方が大きい、請求項1に記載のフェンス。
【請求項3】
前記筒部材の内周面及び前記可動ポールの前記筒部材に保持される部分の外周面のうち一方には上下方向に延びる案内溝が形成されており、他方には前記案内溝に挿入される突起部が形成されている、請求項1又は2に記載のフェンス。
【請求項4】
前記筒部材の内周面と前記可動ポールの前記筒部材に保持される部分の外周面とは、互いに対応する断面多角形の形状を有している、請求項1又は2に記載のフェンス。
【請求項5】
前記回動軸は、前記筒部材の軸心よりも外側に位置している、請求項1乃至4のうちいずれか一の項に記載のフェンス。
【請求項6】
前記操作部は、前記レバー部材が前記第2角度位置にあるとき、前記筒部材に対して平行になるように形成されている、請求項1乃至5のうちいずれか一の項に記載のフェンス。
【請求項7】
前記筒部材は円筒状であり、前記操作部は、前記レバー部材が前記第2角度位置にあるとき、前記筒部材の外周面に沿って湾曲する形状を有している、請求項6に記載のフェンス。
【請求項8】
前記フェンス支柱は、前記固定ポール及び前記可動ポールの一方又は両方の長さを任意に設定できる長さ設定機構をさらに有している、請求項1乃至7のうちいずれか一の項に記載のフェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、屋内に設置するフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
屋内で着脱可能に設置されるフェンスは、フェンス本体を支持するための機構を備えている。例えば、フェンス本体の高さが高い場合、フェンス本体は床面と天井の間に突っ張るように固定されたフェンス支柱によって支持される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3211884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなフェンス支柱は、床面と天井を強い力で押しにくく、床面と天井の間にしっかりと固定することは容易ではない。また、故障の発生や製造コストの増加を抑制するためには、フェンス支柱の構造は単純であることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、床面と天井の間にしっかりと固定でき、構造が単純なフェンス支柱を備えたフェンスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るフェンスは、フェンス本体と、前記フェンス本体を支持するフェンス支柱と、を備え、前記フェンス支柱は、床面に接する床面接触部と、天井に接する天井接触部と、前記床面接触部及び前記天井接触部の一方から上下方向に延びる固定ポールと、前記床面接触部及び前記天井接触部の他方から上下方向に延びる可動ポールと、前記固定ポールと前記可動ポールを接続する接続機構と、を有し、前記接続機構は、前記固定ポールに固定されるとともに前記可動ポールを上下方向に移動可能に保持する筒部材と、水平方向に延びる回動軸まわりに第1角度位置と第2角度位置の間を回動するように前記筒部材に取り付けられたレバー部材と、を含み、前記レバー部材は、前記筒部材の内側に位置し、前記レバー部材が前記第1角度位置から前記第2角度位置に向かって回動したときに前記可動ポールの端面に接触して押圧するカム部と、前記カム部と連結しており、少なくとも一部が前記筒部材よりも外側に位置する操作部と、を含んでいる。
【0007】
この構成によれば、使用者が操作部を操作して、レバー部材を第1角度位置から第2角度位置に回動させることにより、可動ポールが筒部材に対して移動し、フェンス支柱が上下方向に伸びる。その結果、フェンス支柱は床面と天井を強い力で押すことができ、フェンス支柱を床面と天井の間にしっかりと固定することができる。また、上記の構成では、フェンス支柱を少ない部品で形成でき、フェンス支柱を非常に単純な構造とするこができる。
【0008】
また、上記のフェンスにおいて、前記レバー部材は、前記第1角度位置から前記第2角度位置に向かって回動するとき、前記第2角度位置の手前の第3角度位置を通過し、前記回動軸から前記カム部と前記可動ポールの端面が接触する部分までの上下方向距離は、前記レバー部材が前記第1角度位置にあるときよりも前記第2角度位置にあるときの方が大きく、前記レバー部材が前記第2角度位置にあるときよりも前記第3角度位置にあるときの方が大きい。
【0009】
この構成によれば、レバー部材を第2角度位置から第3角度位置に回動させるためには、可動ポールを回動軸から離れる方向に移動させる必要がある。ところが、フェンス支柱が床面と天井の間に固定されているときは、可動ポールには回動軸に向かう方向の力がかかる。そのため、レバー部材が第2角度位置にある状態が維持される。つまり、上記のフェンス支柱は、一旦固定されると外れにくい。
【0010】
また、上記のフェンスにおいて、前記筒部材の内周面及び前記可動ポールの前記筒部材に保持される部分の外周面のうち一方には上下方向に延びる案内溝が形成されており、他方には前記案内溝に挿入される突起部が形成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、筒部材に対して可動ポールが移動する際に、突起部が案内溝に案内されるため、可動ポールは回転することなく上下方向に沿って移動する。そのため、フェンス支柱を床面と天井の間にしっかりと固定することができる。
【0012】
また、上記のフェンスにおいて、前記筒部材の内周面と前記可動ポールの前記筒部材に保持される部分の外周面とは、互いに対応する断面多角形の形状を有していてもよい。
【0013】
この構成であっても、筒部材に対して可動ポールが移動する際に、可動ポールは回転することなく上下方向に沿って移動する。そのため、フェンス支柱を床面と天井の間にしっかりと固定することができる。
【0014】
また、上記のフェンスにおいて、前記回動軸は、前記筒部材の軸心よりも外側に位置していてもよい。
【0015】
この構成によれば、回動軸が筒部材の軸心上に位置している場合に比べて、回動軸からカム部の端部までの距離を大きくすることができる。その結果、カム部は可動ポールの端面を強く押圧することができ、フェンス支柱を床面と天井の間にしっかりと固定することができる。
【0016】
上記のフェンスにおいて、前記操作部は、前記レバー部材が前記第2角度位置にあるとき、前記筒部材に対して平行になるように形成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、レバー部材が第2角度位置にあるとき、操作部が邪魔になりにくい。
【0018】
上記のフェンスにおいて、前記筒部材は円筒状であり、前記操作部は、前記レバー部材が前記第2角度位置にあるとき、前記筒部材の外周面に沿って湾曲する形状を有していてもよい。
【0019】
この構成によれば、レバー部材が第2角度位置にあるとき、操作部が一層邪魔になりにくい。
【0020】
上記のフェンスにおいて、前記フェンス支柱は、前記固定ポール及び前記可動ポールの一方又は両方の長さを任意に設定できる長さ設定機構をさらに有していてもよい。
【0021】
この構成によれば、使用者は、固定ポール及び可動ポールの一方又は両方をできるだけ長くした状態で、レバー部材を第2角度位置から第1角度位置に回動させることにより、フェンス支柱を床面と天井の間にしっかりと固定することができる。
【発明の効果】
【0022】
上記の構成によれば、床面と天井の間にしっかりと固定でき、構造が単純なフェンス支柱を備えたフェンスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、フェンスの正面図である。
図2図2は、レバー部材が第1角度位置にあるときの接続機構の拡大図である。
図3図3は、図2の(a)におけるIII-III矢視断面図である。
図4図4は、図2の(a)におけるIV-IV矢視断面図である。
図5図5は、レバー部材が第3角度位置にあるときの接続機構の拡大図である。
図6図6は、レバー部材が第2角度位置にあるときの接続機構の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(フェンスの概要)
以下、本発明の実施形態に係るフェンス100について説明する。はじめにフェンス100の概要について説明する。図1は、フェンス100の正面図である。本実施形態に係るフェンス100は、屋内で着脱可能に設置できるように構成されている。図1に示すように、本実施形態に係るフェンス100は、フェンス本体10と、フェンス支柱20と、を備えている。
【0025】
フェンス本体10は、左右一対の開閉扉11を有している。いずれの開閉扉11もフェンス本体10の幅方向(図1の紙面左右方向)外側にあたる部分がフェンス支柱20に回動可能に支持されている。また、2つの開閉扉11のうちの一方には連結具12が設けられており、他方には被連結具13が設けられている。この被連結具13を連結具12に連結することにより、2つの開閉扉11は閉じられた状態が維持される。
【0026】
なお、本実施形態のフェンス本体10は、格子状に形成されている。だだし、フェンス本体10の形状はこれに限定されない。例えば、フェンス本体10は平板であってもよく、メッシュ材料で形成されていてもよい。また、本実施形態のフェンス本体10は、開閉できるように構成されているが、開閉できないように構成されていてもよい。フェンス本体10の高さは特に限定されないが、例えば180cm以上である。
【0027】
フェンス支柱20は、フェンス本体10を支持する部分である。本実施形態におけるフェンス支柱20は、フェンス本体10の幅方向両側に位置している。なお、フェンス本体10の幅方向両側に位置する2つのフェンス支柱20は、同じ構成を有している。フェンス支柱20は、上下方向に延びており、床面101と天井102の間に固定されている。より具体的には、フェンス支柱20は、床面101と天井102の間で突っ張るようにして固定されている。
【0028】
(フェンス支柱)
続いて、フェンス支柱20について詳しく説明する。図1に示すように、フェンス支柱20は、床面接触部21と、天井接触部22と、固定ポール23と、可動ポール24と、長さ設定機構25と、接続機構26と、を有している。
【0029】
ここで、図2は接続機構26の拡大図である。また、図2の(a)は接続機構26の側面断面図であって、図2の(b)は接続機構26の正面図である。
【0030】
図1に示すように、床面接触部21は、フェンス支柱20の下端部分に位置しており、床面101に接する。本実施形態では、床面接触部21の床面101に接触する接触面の中心とフェンス支柱20の軸心63(図2の(a)参照)が一致している。ただし、接触面の中心とフェンス支柱20の軸心63はずれていてもよい。例えば、床面接触部21がL字状の形状を有しており、接触面を含む部分が、フェンス支柱20の軸心63からフェンス100の幅方向内側に向かって延びていてもよい。
【0031】
天井接触部22は、フェンス支柱20の上端部分に位置しており、天井102に接する。本実施形態では、天井接触部22の天井102に接触する接触面の中心とフェンス支柱20の軸心63が一致している。ただし、接触面の中心とフェンス支柱20の軸心63はずれていてもよい。例えば、天井接触部22がL字状の形状を有しており、接触面を含む部分が、フェンス支柱20の軸心63からフェンス100の幅方向内側に向かって延びていてもよい。
【0032】
固定ポール23は、床面接触部21から上方に向かって延びており、下端部分が床面接触部21に連結されている。図2の(a)に示すように、固定ポール23は、円管状の固定ポール本体31と、固定ポール23の上端部分に位置する固定ポール挿入部32とを有している。固定ポール挿入部32は、後述する接続機構26の筒部材60に挿入されている。なお、固定ポール23は角柱状などであってもよい。
【0033】
可動ポール24は、天井接触部22から下方に向かって延びており、上端部分が天井接触部22に連結されている。図2の(a)に示すように、可動ポール24は、円管状の可動ポール本体41と、可動ポール24の下端部分に位置する可動ポール挿入部42とを有している。可動ポール挿入部42は、後述する接続機構26の筒部材60に挿入されている。なお、可動ポール24は角柱状などであってもよい。
【0034】
また、図1に示すように、可動ポール24は、外筒部43と、内筒部44と、を有している。内筒部44の外径は外筒部43の内径よりも小さく、内筒部44の一部は外筒部43の内部に挿入されている。これにより、内筒部44は外筒部43の内部において、外筒部43に対して軸方向(上下方向)に沿って移動することができる。外筒部43に対する内筒部44の位置を変化させることで、可動ポール24の長さを調整することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、内筒部44が天井接触部22に固定されているが、外筒部43が天井接触部22に固定されていてもよい。また、固定ポール23と可動ポール24の位置関係は、本実施形態の位置関係と逆であってもよい。つまり、固定ポール23が天井接触部22から下方に向かって延びており、可動ポール24が床面接触部21から上方に向かって延びていてもよい。
【0036】
長さ設定機構25は、可動ポール24の長さを任意に設定する機構である。具体的には、設定機構25は、使用者が設定部51を操作することで、外筒部43に対する内筒部44の移動を制限する。使用者は、外筒部43に対する内筒部44の相対位置を変化させ、可動ポール24を任意の長さに調整した状態で、設定部51を操作して外筒部43に対する内筒部44の移動を制限する。これにより、可動ポール24を任意の長さに設定することができる。
【0037】
なお、上述した外筒部43に対する内筒部44の移動を制限する手法は特に限定されないが、公知の手法を用いることができる。例えば、外筒部43の内径を小さくすることで内筒部44を締め付けて内筒部44の移動を制限してもよく、内筒部44に設けた被係止部に外筒部43に設けた係止部を係止させることで内筒部44の移動を制限してもよい。
【0038】
なお、本実施形態のフェンス支柱20では、可動ポール24の長さのみを任意に設定できるが、固定ポール23の長さと可動ポール24の長さの両方を任意に設定できるようにしてもよく、固定ポール23の長さのみを任意に設定できるようにしてもよい。また、長さ設定機構25(設定部51)の高さ位置は特に限定されないが、例えば床面101から110~160cm程度の高さ位置であってもよい。
【0039】
接続機構26は、固定ポール23と可動ポール24を接続する機構である。接続機構26の高さ位置は特に限定されないが、例えば床面101から80~100cm程度の高さ位置であってもよい。接続機構26の詳細は以下で説明する。
【0040】
(接続機構)
続いて、接続機構26を詳細に説明する。図2に示すように、本実施形態の接続機構26は、筒部材60と、レバー部材70と、を含んでいる。
【0041】
<筒部材>
筒部材60は、上端及び下端が開口する筒状の部材である。本実施形態の筒部材60は、円筒状の形状を有している。また、図2の(b)に示すように、筒部材60の上下方向中央部分には、上下方向に延びる開口部61が形成されている。
【0042】
図3は、図2の(a)におけるIII-III矢視断面図である。図3に示すように、筒部材60の下方部分には、内周面に固定溝62が形成されている。本実施形態では、4つの固定溝62が筒部材60の内周面に形成されている。各固定溝62は、筒部材60の軸心63を中心として周方向に90度の間隔をおいて形成されている。各固定溝62は、筒部材60の下端から上方に向かって上下方向に沿って延びており、所定の長さを有している。
【0043】
また、筒部材60に挿入される固定ポール挿入部32には、固定溝62に対応する周方向位置に突起部33が形成されている。この突起部33を固定溝62に挿入した状態で、固定ポール挿入部32を筒部材60に挿入すると、突起部33が固定溝62の端部に達したところで固定ポール挿入部32は停止する。これにより、筒部材60は、固定ポール23に固定される。
【0044】
ただし、筒部材60を固定ポール23に固定する構造はこれに限定されない。例えば、筒部材60の内周面に雌ねじを形成するとともに、固定ポール挿入部32の外周面に雄ねじを形成し、固定ポール23を筒部材60に締結することで、筒部材60を固定ポール23に固定してもよい。また、筒部材60に固定ポール挿入部32を圧入することで、筒部材60を固定ポール23に固定してもよい。
【0045】
図4は、図2の(a)におけるIV-IV矢視断面図である。図4に示すように、筒部材60の上方部分には、内周面に案内溝64が形成されている。本実施形態では、4つの案内溝64が筒部材60の内周面に形成されている。各案内溝64は、筒部材60の軸心63を中心として周方向に90度の間隔をおいて形成されている。また、各案内溝64は、筒部材60の上端から下方に向かって上下方向に沿って延びており、所定の長さを有している。また、本実施形態では4つの案内溝64が筒部材60の内周面に形成されているが、案内溝64の数は限定されない。例えば、1つの案内溝64が筒部材60の内周面に形成されていてもよい。
【0046】
さらに、筒部材60に挿入される可動ポール挿入部42には、案内溝64に対応する周方向位置に突起部45が形成されている。この突起部45が案内溝64に挿入された状態においては、可動ポール挿入部42(可動ポール24)は中心軸まわりの回転が制限される一方、上下方向に沿う移動は許容される。したがって、筒部材60は、可動ポール24を上下方向に移動可能に保持することができる。
【0047】
上記のとおり、本実施形態では、筒部材60の内周面に案内溝64が形成され、可動ポール挿入部42の外周面に突起部45が形成されている。ただし、筒部材60の内周面に突起部45が形成され、可動ポール挿入部42の外周面に案内溝64が形成されていてもよい。この場合であっても、筒部材60は、可動ポール24を上下方向に移動可能に保持することができる。
【0048】
さらに、筒部材60の内周面と可動ポール挿入部42の外周面とは、互いに対応する断面多角形の形状を有していてもよい。例えば、筒部材60の内周面と可動ポール挿入部42の外周面が、いずれも四角形であってもよい。この場合であっても、筒部材60は、可動ポール24を上下方向に移動可能に保持することができる。
【0049】
<レバー部材>
レバー部材70は、支持部材80を介して筒部材60に取り付けられている。本実施形態の支持部材80は、筒部材60内で水平方向に延びており、レバー部材70を回動可能に支持する。そのため、レバー部材70は、支持部材80の軸心に一致する回動軸81まわりに回動する。なお、支持部材80は、筒部材60を貫通する円柱状の部材で形成されるが、筒部材60を貫通するボルトで形成してもよい。また、レバー部材70と支持部材80が一体に形成されており、支持部材80が筒部材60に回動可能に支持されていてもよい。
【0050】
ここで、図5及び図6は、図2と同様に接続機構26の拡大図である。また、図5の(a)及び図6の(a)は接続機構26の側面断面図であって、図5の(b)及び図6の(b)は接続機構26の正面図である。ただし、図2はレバー部材70が第1角度位置にあるときを示しているのに対し、図5はレバー部材70が第3角度位置にあるときを示しており、図6はレバー部材70が第2角度位置にあるときを示している。
【0051】
本実施形態では、レバー部材70は、図2に示すような「第1角度位置」と、図6に示すような「第2角度位置」との間で回動する。ただし、レバー部材70が第1角度位置から第2角度位置に向かって回動するとき、レバー部材70は図5に示すような「第3角度位置」を通過する。なお、回動軸81を中心としたときの第2角度位置と第3角度位置との角度差は、例えば5度から30度である。
【0052】
図2に示すように、レバー部材70は、カム部71と、操作部72と、を含んでいる。
【0053】
カム部71は、筒部材60の内側に位置しており、可動ポール24の端面(下端面)に接触している。カム部71の形状は特に限定されないが、本実施形態のカム部71は回動軸81が延びる方向から見て卵型の形状を有している。また、支持部材80は、カム部71を貫通している。レバー部材70が第1角度位置(図2に示す位置)から第3角度位置(図5に示す位置)を通過して第2角度位置(図6に示す位置)に向かって回動したとき、カム部71は可動ポール24の端面に接触して当該端面を上方に押圧する。これにより、可動ポール24は、筒部材60に対して上方に移動する。
【0054】
ここで、図2に示すように、レバー部材70が第1角度位置にあるときの回動軸81からカム部71と可動ポール24の端面が接触する部分までの上下方向距離を「第1距離D1」とする。同様に、図6に示すように、レバー部材70が第2角度位置にあるときの回動軸81からカム部71と可動ポール24の端面が接触する部分までの上下方向距離を「第2距離D2」とする。また、図5に示すように、レバー部材70が第3角度位置にあるときの回動軸81からカム部71と可動ポール24の端面が接触する部分までの上下方向距離を「第3距離D3」とする。そうすると、第1距離D1よりも第2距離D2の方が大きく、第2距離D2よりも第3距離D3の方が大きい。
【0055】
そのため、レバー部材70が第1角度位置(図2)から第3角度位置(図5)に向かって回動すると、この回動に伴って可動ポール24が筒部材60に対して上方に移動する(図5の太矢印参照)。そして、レバー部材70が第3角度位置(図5)から第2角度位置(図6)に向かってさらに回動すると、この回動に伴って可動ポール24が筒部材60に対して下方にわずかに移動することになる(図6の太矢印参照)。
【0056】
なお、図2に示すように、レバー部材70が第1角度位置にあるとき、カム部71と可動ポール24の端面が接触する部分は回動軸81よりも操作部72(開口部61)から遠い。また、図6に示すように、レバー部材70が第2角度位置にあるとき、カム部71と可動ポール24の端面が接触する部分は回動軸81よりも操作部72(開口部61)に近い。さらに、図5に示すように、レバー部材70が第3角度位置にあるとき、カム部71と可動ポール24の端面が接触する部分は回動軸81上に位置している。
【0057】
また、本実施形態の回動軸81は、筒部材60の軸心63よりも外側に位置している。つまり、回動軸81は、筒部材60の軸心63よりも開口部61寄りに位置している。そのため、本実施形態によれば、回動軸81が筒部材60の軸心63上に位置している場合に比べて、回動軸81からカム部71の端部までの最大距離を大きくすることができる。その結果、カム部71は可動ポール24の端面を強く押圧することができる。
【0058】
操作部72は、使用者に操作される部分であって、カム部71と連結している。本実施形態では、操作部72は接続部73を介してカム部71と連結している。レバー部材70は開口部61を貫通しており、操作部72は筒部材60よりも外側に位置している。なお、操作部72は、少なくとも一部が筒部材60よりも外側に位置していればよい。本実施形態では、レバー部材70が第1角度位置(図2に示す位置)にあるとき、操作部72は略水平に沿って延びている。
【0059】
一方、レバー部材70が第2角度位置(図6に示す位置)にあるとき、操作部72は略垂直に沿って延びている。つまり、操作部72は、筒部材60に対して平行に延びている。さらに、本実施形態の操作部72は板状であり、操作部72が延びる方向から見て湾曲している(図2の(b)参照)。より詳細には、レバー部材70が第2角度位置にあるとき、操作部72は筒部材60の外周面に沿って湾曲する形状を有している。そのため、レバー部材70が第2角度位置にあるとき、操作部72が水平方向へ突出するのを抑制することができる。その結果、操作部72は、開閉扉11を開閉する際に開閉扉11に引っ掛かりにくく、使用者がフェンス100の近くを通行する際に使用者に引っ掛かりにくい。つまり、操作部72が邪魔になりにくい。
【0060】
また、図6に示すように、レバー部材70が第2角度位置にあるとき、操作部72の先端部分は外側に向かって屈曲するような形状を有している。つまり、操作部72の先端部分は、筒部材60の外周面から離れている。そのため、レバー部材70を第2角度位置から第1角度位置に戻すときなどに、使用者は第2角度位置にあるレバー部材70の操作部72を容易につかんで操作することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、1つの筒部材60に1つのレバー部材70が取り付けられている。ただし、筒部材60の断面の外径又は一辺が大きいような場合(可動ポール24の断面の外径又は一辺が大きいような場合)などには、1つの筒部材60に複数のレバー部材70が取り付けられていてもよい。
【0062】
(設置方法及び作用効果)
続いて、本実施形態に係るフェンス100の設置方法と作用効果について説明する。フェンス100を設置する場合、使用者は、まずレバー部材70を第1角度位置に位置させる。その状態で、床面接触部21が床面101に接触し、天井接触部22が天井102に接触するように、長さ設定機構25によって可動ポール24の長さ(つまり、フェンス支柱20)の長さを設定する。その後、使用者は、操作部72を操作して、レバー部材70を第1角度位置から第3角度位置を通過して第2角度位置に向かって回動させる。これにより、可動ポール24は押し上げられ、フェンス支柱20は床面101と天井102に押し付けられる。その結果、フェンス支柱20は、床面101と天井102の間に突っ張るようにして固定される。このようにしてフェンス支柱20を固定することで、フェンス100は設置される。
【0063】
本実施形態では、レバー部材70を用いてフェンス支柱20を床面101と天井102に強い力で押しつけることができるため、フェンス支柱20を床面101と天井102の間にしっかりと固定することができる。また、本実施形態ではフェンス支柱20を少ない部品で形成することができ、フェンス支柱20を非常に単純な構成とすることができる。よって、本実施形態によれば、床面101と天井102の間にしっかりと固定でき、構造が単純なフェンス支柱20を備えたフェンス100を提供することができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、回動軸81からカム部71と可動ポール24の端面が接触する部分までの上下方向距離は、レバー部材70が第2角度位置にあるときよりも第3角度位置にあるときの方が大きい(第2距離D2よりも第3距離D3の方が大きい)。そのため、フェンス支柱20の固定を解除するために、レバー部材70を第2角度位置から第3角度位置に回動させるには、可動ポール24を回動軸81から「離れる方向」に移動させる必要がある。ところが、フェンス支柱20が床面101と天井102の間に固定されているときは、可動ポール24には回動軸81に「向かう方向」の力がかかるため、レバー部材70が第2角度位置にある状態が維持される。つまり、本実施形態のフェンス支柱20は、一旦固定されると外れにくい。
【符号の説明】
【0065】
10 フェンス本体
20 フェンス支柱
21 床面接触部
22 天井接触部
23 固定ポール
24 可動ポール
25 長さ設定機構
26 接続機構
45 突起部
51 設定部
60 筒部材
63 軸心
64 案内溝
70 レバー部材
71 カム部
72 操作部
81 回動軸
100 フェンス
101 床面
102 天井
図1
図2
図3
図4
図5
図6