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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129838
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】配線カバー及びその取付方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230912BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H02G3/04 018
H02G3/04 062
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034123
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000221580
【氏名又は名称】東都積水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】代田 聡
【テーマコード(参考)】
3H024
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB02
3H024AC03
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB01
5G357DC03
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE03
5G357DE08
(57)【要約】
【課題】既設の配線を動かすことなく、また、壁面の状態に関係なく簡単且つ確実に取り付けることができる配線カバー及びその取付方法を提供すること。
【解決手段】壁面Wに沿って配索された配線10を跨いで壁面Wに所定の間隔で取り付けられるチャンネル状の複数のベース部材2と、複数のベース部材2同士を連結するガイドバー3と、複数のベース部材2に被篏されるチャンネル状のカバー部材4とを含んで配線カバー1を構成する。また、配線カバー1の組付方法は、1つのベース部材2を、配線10を跨いで壁面Wに取り付けた後、該ベース部材2にガイドバー3を取り付け、該ガイドバー3に沿って次のベース部材2をスライドさせて所定の位置で該ベース部材2を壁面Wに取り付ける作業を繰り返して複数のベース部材2を所定の間隔で壁面Wに取り付け、複数のベース部材2にカバー部材4を被篏する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に沿って配索された配線を跨いで前記壁面に所定の間隔で取り付けられるチャンネル状の複数のベース部材と、
複数の前記ベース部材同士を連結するガイドバーと、
複数の前記ベース部材に被篏されるチャンネル状のカバー部材と、
を含んで構成される配線カバーを構成した壁面に沿って配索された配線を部分的に覆うように前記壁面に所定の間隔で固定されるチャンネル状の複数のベース部材と、
複数の前記ベース部材同士を連結するガイドバーと、
複数の前記ベース部材に被篏されるチャンネル状のカバー部材と、
を含んで構成されることを特徴とする配線カバー。
【請求項2】
前記ベース部材の内面に支柱を内側に向かって一体に突設し、該支柱の先端に取付プレートを一体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の配線カバー。
【請求項3】
前記ベース部材に前記ガイドバーが篏合する篏合溝を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の配線カバー。
【請求項4】
前記ベース部材は、硬質樹脂で構成され、前記カバー部材は、軟質樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の配線カバー。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の配線カバーの取付方法であって、
1つの前記ベース部材を、前記配線を跨いで前記壁面に取り付けた後、該ベース部材に前記ガイドバーを取り付け、該ガイドバーに沿って次の前記ベース部材をスライドさせて所定の位置で該ベース部材を前記壁面に取り付ける作業を繰り返して複数のベース部材を所定の間隔で前記壁面に取り付け、複数の前記ベース部材に前記カバー部材を被篏することを特徴とする配線カバーの取付方法。
【請求項6】
前記ベース部材を、前記支柱の先端に形成された前記取付けプレートに挿通する鋲によって前記壁面に取り付けることを特徴とする請求項5に記載の配線カバーの取付方法。
【請求項7】
前記ガイドバーを、前記ベース部材に形成された前記篏合溝に嵌め込んで該ベース部材に取り付けることを特徴とする請求項5または6に記載の配線カバーの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面などに沿って配索された配線を覆ってこれを保護するための配線カバーと該配線カバーの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
壁面や床面(以下、「壁面」と総称する)に沿って配索された電力線や信号線などの配線を覆ってこれを保護するための種々の配線カバーが今までに提案されている。例えば、特許文献1には、断面視略コ形の外チャンネルと内チャンネルとを被篏して構成される配線カバーが提案されており、配線は、この配線カバーの外チャンネルと内チャンネルによって形成される断面矩形の配線ダクト内に通されて保護される。
【0003】
また、特許文献2には、基板の一端縁に薄肉部を介して回動自在にカバーを接続し、基板とカバーとを一体に形成してなる配線カバーが提案されている。この配線カバーによれば、当該配線カバーの壁面などへの取り付けは、基板取付具によって取り付けると同時にカバーも取り付けられるため、その取付作業が大幅に簡略化される。
【0004】
さらに、特許文献3には、矩形ダクト状の配線カバーの固定が不要な配線カバー接続具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-030623号公報
【特許文献2】特開平8-205362号公報
【特許文献3】特開2015-130716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2において提案された配線カバーと特許文献3において提案された配線カバー接続具によって接続される配線カバーおいては、既設の配線の下(配線と壁面との間)に配線カバーの本体(内チャンネルや基板)を設置し、この本体の上からカバー(外チャンネル)を被せる構成が採用されているため、本体の壁面への固定が容易ではないという問題がある。
【0007】
また、配線カバーの本体を接着剤や両面テープによって壁面に取り付けているため、該本体の接着力は、壁面の状態に左右され、例えば、壁面の凹凸が大きい場合には十分な接着力が得られないために最悪の場合には本体が壁面から外れてしまうという問題もある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、既設の配線を動かすことなく、また、壁面の状態に関係なく簡単且つ確実に取り付けることができる配線カバー及びその取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、壁面に沿って配索された配線を跨いで前記壁面に所定の間隔で取り付けられるチャンネル状の複数のベース部材と、複数の前記ベース部材同士を連結するガイドバーと、複数の前記ベース部材に被篏されるチャンネル状のカバー部材とを含んで配線カバーを構成したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記配線カバーの取付方法として、1つの前記ベース部材を、前記配線を跨いで前記壁面に取り付けた後、該ベース部材に前記ガイドバーを取り付け、該ガイドバーに沿って次の前記ベース部材をスライドさせて所定の位置で該ベース部材を前記壁面に取り付ける作業を繰り返して複数のベース部材を所定の間隔で前記壁面に取り付け、複数の前記ベース部材に前記カバー部材を被篏することを特徴とする。
【0011】
本発明方法によって壁面に取り付けられる本発明に係る配線カバーによれば、壁面に沿って配索された既設の配線の下(配線と壁面との間)に配線カバーの一部を設置する必要がないため、配線カバーの壁面への取り付けを作業性良く簡単に行うことができる。
【0012】
また、配線カバーの壁面への取り付けは、接着剤や両面テープなどを用いることなく、複数のベース部材を鋲などの締結具によって壁面に取り付けることによってなされるため、壁面の状態に左右されることなく配線カバーを壁面に確実に取り付けることができる。
【0013】
したがって、本発明に係る配線カバーによれば、既設の配線を動かすことなく、また、壁面の状態に関係なく配線カバーを壁面に簡単且つ確実に取り付けることができるという効果が得られる。
【0014】
ここで、前記ベース部材の内面に支柱を内側に向かって一体に突設し、該支柱の先端に取付プレートを一体に形成し、該取付プレートに挿通する締結具によって該ベース部材が前記壁面に取り付けられるようにすることが望ましい。
【0015】
上記構成によれば、ベース部材を鋲などの締結具を用いて壁面にワンタッチで簡単に取り付けることができる。
【0016】
また、前記ガイドバーは、前記ベース部材に形成された篏合溝に嵌め込まれて該ベース部材に取り付けられるようにしても良い。
【0017】
上記構成によれば、複数のベース部材がガイドバーによってガイドされて所定の位置に正確に位置決めされて壁面に取り付けられる。
【0018】
ここで、前記ベース部材と前記ガイドバーは、硬質樹脂で構成され、前記カバー部材は、軟質樹脂で構成されていることが望ましい。このような構成を採用することによって、配線カバーに高い取付性と耐久性及び意匠性を確保することができる。その他の態様として、
前記ベース部材と前記ガイドバー及び前記カバー部を全て軟質樹脂または硬質樹脂で構成することも考えられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、既設の配線を動かすことなく、また、壁面の状態に関係なく配線カバーを壁面に簡単且つ確実に取り付けることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る配線カバーの分解斜視図である。
図2】本発明に係る配線カバーのベース部材の斜視図である。
図3】本発明に係る配線カバーのベース部材の側面図である。
図4】本発明に係る配線カバーのカバー部材の部分斜視図である。
図5】(a)~(e)は本発明に係る配線カバーの取付方法をその工程順に示す斜視図である。
図6】本発明に係る配線カバーのベース部材の壁面への取付状態を示す縦断面図である。
図7】本発明に係る配線カバーの壁面への取付状態を示す縦断面図である。
図8図7のA部拡大詳細図である。
図9】硬度の異なるカバー部材とベース部材との間の左右端における隙間の検証結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
[配線カバーの構成]
図1は本発明に係る配線カバーの分解斜視図、図2は同配線カバーのベース部材の斜視図、図3は同ベース部材の側面図、図4は同配線カバーのカバー部材の部分斜視図であり、本発明に係る配線カバー1は、図1に示すように、チャンネル状の複数のベース部材2と、これらのベース部材2同士を連結するガイドバー3と、複数のベース部材2に被篏されるチャンネル状のカバー部材4と、該カバー部材4の両端開口部を塞ぐキャップ5とで構成されている。
【0023】
上記ベース部材2は、図2及び図3に示すように、樹脂による射出成形によってチャンネル状に形成された部材であって、ウェブ部2Aの内面には、丸棒状の支柱6が内側(図2及び図3の左側)に向かって直角且つ一体に突設されている。そして、この支柱6の先端には、矩形板状の取付プレート7が直角且つ一体に形成されており、この取付プレート7の中心部には円孔7aが形成されている(図2参照)。なお、図2に示すように、取付プレートは7、ベース部材2の幅方向外側に突出するように形成されている。
【0024】
また、ベース部材2のウェブ部2Aの端縁から内側に向かって直角に屈曲する一対(図2及び図3において上下)のフランジ部2Bの外面の幅方向中央部には、断面矩形の篏合溝2aが幅方向(図3の紙面垂直方向)に沿ってそれぞれ形成されている。さらに、ベース部材2の一対のフランジ部2Bの各端部(自由端部)は、互いに対向するように内側に向かって直角に折り曲げられており、これらの折り曲げられた部分の外端部には、切り欠き状の係合溝2bが幅方向に沿ってそれぞれ形成されている。
【0025】
図1に示すガイドバー3は、樹脂の射出成形または押出成形によって構成された角棒状の部材であって、図1に示す例では、上下一対のガイドバー3が3つのベース部材2に形成された上下の篏合溝2a(図2及び図3参照)にそれぞれ篏合してこれらのベース部材2を適当な間隔で互いに連結している。
【0026】
また、カバー部材4は、樹脂による射出成形または押出成形によって断面コの字状に形成されたチャンネル状部材であって、図4に示すように、ウェブ部4Aの上下端から内側に向かって直角に折り曲げられた上下のフランジ部4Bの端縁には、互いに対向するように上下に向かって突出する係合突起4aがそれぞれ一体に突設されている。
【0027】
さらに、図1に示す一対のキャップ5は、樹脂にて一体成形された部材であって、各キャップ5には、配線10(図5図7参照)を通すための上下2つの矩形の切り欠き5aがそれぞれ形成されている。
【0028】
ここで、本実施の形態では、ベース部材2とガイドバー3は、硬質樹脂、具体的には硬度(ショア硬さ)が70~90の硬質塩化ビニルまたはオレフィン系樹脂によって構成されており、カバー部材4は、軟質樹脂または軟質樹脂の塩化ビニルまたはオレフィン系樹脂によって構成されている。なお、オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0029】
[配線カバーの取付方法]
次に、以上のように構成された配線カバー1の壁面Wへの取付方法を図5図8に基づいて以下に説明する。
【0030】
図5(a)~(e)は本発明に係る配線カバーの取付方法をその工程順に示す斜視図、図6は同配線カバーのベース部材の壁面への取付状態を示す縦断面図、図7は同配線カバーの壁面への取付状態を示す縦断面図、図8図7のA部拡大詳細図である。
【0031】
以下の説明においては、図5に示すように、壁面Wに沿って配索された2本の配線10を本発明に係る配線カバー1によって覆って保護する場合を例として挙げる。
【0032】
先ず、図5(a)に示すように、1つのベース部材2を、2本の配線10を跨ぐようにして壁面Wに取り付ける。具体的には、ベース部材2の取付プレート7が壁面Wに当たる向きに当該ベース部材2を壁面Wに押し当て、取付プレート7に形成された円孔7aに締結具である鋲8を通して該鋲8を壁面Wに打ち込むことによって、ベース部材2を壁面W
に取り付ける。
【0033】
次に、図5(b)に示すように、上下2本のガイドバー3を図示矢印方向に移動させてその先端部をベース部材2の篏合溝2aにそれぞれ嵌め込む。そして、その状態から、図5(c)に示すように、最初に壁面Wに取り付けられたベース部材2の上下の篏合溝2aに嵌め込まれた上下のガイドバー3に次のベース部材2の上下の篏合溝2aを嵌め込み、この状態で次のベース部材2を矢印方向にスライドさせて所定の位置に位置決めする。そして、次のベース部材2を鋲8によって前記と同様に壁面Wに取り付ける。このような作業を3つ目のベース部材2に対しても行い、図5(d)に示すように、3つのベース部材2を同じ高さ位置にて左右方向に所定の間隔で壁面Wに取り付ける。
【0034】
そして、図5(d)に示す状態において、壁面Wに取り付けられた3つのベース部材2にカバー部材4を手前側から嵌め込んで被せると、図8に詳細に示すように、カバー部材4の上下の係合突起4aが3つのベース部材2の上下の係合溝2bにそれぞれ係合し、図5(e)及び図7に示すように、壁面Wに沿って配索された2本の配線10がカバー部材4によって覆われて保護される。そして、最後にキャップ5をカバー部材4の左右端部に図5(d)の矢印方向から被せて該カバー部材4の左右の開口部を塞げば、図5(e)に示すように、配線カバー1の一連の取付作業が終了する。
【0035】
以上のような手順によって取り付けられる配線カバー1によれば、壁面Wに沿って配索された既設の配線10の下(配線10と壁面Wとの間)に配線カバー1の一部を設置する必要がないため、配線カバー1の壁面Wへの取り付けを作業性良く簡単に行うことができる。
【0036】
また、配線カバー1の壁面Wへの取り付けは、接着剤や両面テープなどを用いることなく、複数のベース部材2を鋲8によって壁面Wに取り付けることによってなされるため、壁面Wの状態に左右されることなく配線カバー1を壁面Wに確実に取り付けることができる。
【0037】
したがって、本発明に係る配線カバー1によれば、既設の配線10を動かすことなく、また、壁面Wの状態に関係なく配線カバー1を壁面Wに簡単且つ確実に取り付けることができるという効果が得られる。
【0038】
なお、以上は、説明の便宜上、3つのベース部材2を壁面Wに取り付ける場合を例として説明したが、ベース部材2の数は複数であれば任意である。また、以上の実施の形態では、ベース部材2の壁面Wへの取り付けに用いる締結具として鋲8を用いたが、これに代えてネジなどを用いても良い。但し、石膏ボードなどの壁面Wの傷付きを防ぐためには、締結具として鋲8を用いることが望ましい。
【0039】
[配線カバーの評価]
次に、配線カバー1を構成するベース部材2とガイドバー3及びカバー部材4の材質の組み合わせを変えた場合を実施例1,2,3、ベース部材2のみを用いた場合を比較例1、カバー部材4のみを用いた場合を比較例2とした。
【0040】
以下、実施例1~3及び比較例1,2について表1を参照しながらそれぞれ説明する。
(実施例1)
実施例1は、ベース部材(部品A)とガイドバー(部品B)を硬質塩化ビニルで構成し、カバー部材(部品C)を軟質塩化ビニルで構成して壁に配置した。
(実施例2)
実施例2は、ベース部材(部品A)とガイドバー(部品B)及びカバー部材(部品C)を全て軟質塩化ビニルで構成して壁に配置した。
(実施例3)
実施例3は、ベース部材(部品A)とガイドバー(部品B)及びカバー部材(部品C)を全て硬質塩化ビニルで構成して壁に配置した。
<比較例1>
比較例1は、ベース部材(部品A)が硬質塩化ビニルで構成され、ガイドバー(部品B)とカバー部材(部品C)を設けない構成で壁に配置した。
<比較例2>
比較例2は、ベース部材(部品A)とガイドバー(部品B)が無く、硬質塩化ビニルで構成されたカバー部材(部品C)のみで配線カバーを構成して壁に配置した。
【0041】
[配線カバーの評価]
以下に実施例1~3及び比較例1~2のサンプルの取付性と耐久性及び意匠性に対する評価を表1に示す。なお、表1においては、ベース部材2を「部品A」、ガイドバー3を部品「B」、カバー部材4を部品「C」と表示している。
【0042】
(取付性試験)
本発明において、各部品を壁に配置した際の各部品同士の篏合や、作業時に各部品を持って取り付ける際の取り付け易さを確認した結果を表1に示す。
〇:部品同士の篏合がスムーズに行え、且つ、取り付け易い
△:部品同士の篏合がスムーズに行えた、または取り付け易い
×:部品同士の篏合がスムーズに行えず、且つ、取り付けにくい
【0043】
(耐久性試験)
壁に配置後の実施例1~3及び比較例1~2の各サンプルのウェブ部2Aの丸棒状の支柱6に対応する位置に対して垂直方向に、デジタルフォースゲージ(アイコーエンジニアリング社製、MODEL-RZ-100)に012Bの先端部品を装着して押し当てて100Nの外部衝撃を加えた際の壊れ易さ、外れ易さを確認した結果を表1に示す。
〇:壁から外れることなく、且つ、壊れることもない
△:壁から外れる、または部品が若干歪む
×:壁から外れて壊れる
【0044】
(意匠性試験)
目視した際に外観的に美観を有するか否かを評価した結果を表1に示す。
〇:配線が見えない
△:配線は見えないが、鋲が見える
×:配線が見える
【0045】
(総合評価)
取付性、耐久性及び意匠性の試験結果について、総合評価基準を以下に示す。その結果を表1に示す。
◎:△と×が0個
〇:△が1個、×が0個
△:△が2個以上、×が0個
×:×が1個以上
【0046】
【表1】
【0047】
次に、ベース部材2とガイドバー3を硬質樹脂で構成し、カバー部材4を硬度(ショア硬度)が50、70、80、90の軟質樹脂で構成したときの該カバー部材4とベース部材2との左右端における篏合隙間を検証した結果を図9及び表2に示す。
【0048】
図9は硬度の異なるカバー部材とベース部材との間の左右端における隙間の検証結果を示す図、表2は図9に示す隙間の検証結果に対する評価を示すものであり、隙間の検証は下記の条件で行った。
【0049】
サンプルとして用いたベース部材2とガイドバー3及びカバー部材4の長さを共に200mmとし、ベース部材2とカバー部材3が篏合したときのカバー部材4の追従性を、該カバー部材4とベース部材2の左右端における隙間を、ピンゲージを用いて計測することによって検証した。検証結果は、図9に示すように以下の通りである。
【0050】
1)カバー部材の硬度が50である場合:
ベース部材とカバー部材との間の左端における隙間は、0(隙間なし)、右端における隙間は上が0.3mm以下、下が0.4mmである。
【0051】
2)カバー部材の硬度が70である場合:
ベース部材とカバー部材との間の左端における隙間は、上が0.3mm、右端における隙間は上下共に0.3mm以下である。
【0052】
3)カバー部材の硬度が80である場合:
ベース部材とカバー部材との間の左端における隙間は、0(隙間なし)、右端における隙間は上が0.3mm以下である。
【0053】
4)カバー部材の硬度が90である場合:
ベース部材とカバー部材との間の左端における隙間は、下が0.4mm、右端における隙間は上が0.5mmである。
【0054】
以上の結果に基づいてカバー部材の追従性を評価すると図11に示す結果となる。なお、表2における「◎」は優、「〇」は良、「△」は可、「×」は不可であり、隙間が0.3mm以下は微小値であるために問題なしと判断した。
【0055】
【表2】
【0056】
図9に示す評価結果から、カバー部材の硬度が80である場合に隙間が最も小さく、硬度が70である場合にはやや隙間が見られるが、問題なしと評価することができる。また、カバー部材を軟質樹脂で構成した場合には、該カバー部材のベース部材に対する追従性は、総じて良好で問題なしを判断することができる。
【0057】
なお、以上は壁面Wに沿って配索された配線10を保護するための配線カバー1について説明したが、本発明は、壁面W以外の例えば床面に沿って配索された配線を保護するための配線カバーもその適用対象に含むものである。
【0058】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
1 配線カバー
2 ベース部材
2A ベース部材のウェブ部
2B ベース部材のフランジ部
2a ベース部材の篏合溝
2b ベース部材の係合溝
3 ガイドバー
4 カバー部材
4A カバー部材のウェブ部
4B カバー部材のフランジ部
4a カバー部材の係合突起
5 キャップ
6 支柱
7 取付プレート
7a 取付プレートの円孔
8 鋲(締結具)
10 配線
W 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9