(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129845
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】エレベーター・ロボット連携システム
(51)【国際特許分類】
B66B 5/02 20060101AFI20230912BHJP
B66B 1/14 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B66B5/02 S
B66B1/14 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034134
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
【テーマコード(参考)】
3F304
3F502
【Fターム(参考)】
3F304CA11
3F304EA22
3F304EB05
3F502HC07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エレベーターの異常状態に応じて、自律移動ロボットに対して、降車や休止モードへの切り替え等の制御指令を送信して、円滑な自律移動ロボットの業務遂行、及びエレベーターの異常状態からの復旧作業を実施するシステムを提供する。
【解決手段】エレベーターの異常の発生及び異常の復旧を検出する異常・復旧検出部と、異常・復旧検出部から送信されるエレベーターの異常検出情報とエレベーターの運転状態情報から乗りかごが最寄り階に安全に着床可能かを判断する最寄り階停止検出部と、最寄り階停止検出部が乗りかごを最寄り階停止させた場合、ロボットのロボット制御部に対して乗りかごからの降車指令を送信する降車指示部と、異常・復旧検出部にてエレベーターの異常を検出し、エレベーターが運転休止状態となった場合、ロボットの制御モード変更部に対し休止モードへの切り替えを指令する休止モード指示・解除部とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを運ぶエレベーターのエレベーター・ロボット連携システムであって、
前記エレベーターの異常を検出したとき、乗りかごを最寄り階へ停止可能かどうか判定し、停止可能な場合は前記最寄り階へ移動、停止してドアを開くよう制御し、前記ロボットの降車指示を出力するエレベーター制御装置と、
前記エレベーター制御装置から前記ロボットの降車指示を受け取り、前記乗りかごに搭乗している前記ロボットのロボット制御部へ降車可能かどうか問合せ、降車可能という回答を得たときに前記ロボットに降車指示を送る連携サーバと、
前記連携サーバから降車指示を受け取ったとき、前記乗りかごから降車するように前記ロボットを制御する前記ロボット制御部を備える
ことを特徴とするエレベーター・ロボット連携システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーター・ロボット連携システムにおいて、
前記連携サーバは、前記乗りかごに搭乗している前記ロボットの前記ロボット制御部へ降車可能かどうか問合せ、降車不可という回答を得たときは前記ロボット制御部へ休止指示を送る
ことを特徴とするエレベーター・ロボット連携システム。
【請求項3】
請求項1に記載のエレベーター・ロボット連携システムにおいて、
前記エレベーター制御装置が前記エレベーターの異常を検出したとき、前記エレベーター制御装置は、前記乗りかごを前記最寄り階へ停止できないと判定されると前記連携サーバに前記ロボットの休止指示を出力し、
前記連携サーバは、前記乗りかごに搭乗している前記ロボットの前記ロボット制御部へ前記ロボットの休止指示を出力する
ことを特徴とするエレベーター・ロボット連携システム。
【請求項4】
請求項1に記載のエレベーター・ロボット連携システムにおいて、
前記エレベーターが復帰したとき、前記エレベーター制御装置は、前記連携サーバへ前記ロボットの搭乗指示を出力し、
前記連携サーバは、前記ロボット制御部へ前記ロボットの搭乗の指示を送る
ことを特徴とするエレベーター・ロボット連携システム。
【請求項5】
請求項3、又は4に記載のエレベーター・ロボット連携システムにおいて、
前記エレベーター制御装置は、前記エレベーターが復帰したとき、前記連携サーバへ前記ロボットの休止解除指示を送り、
前記連携サーバは、前記ロボット制御部へ前記ロボットの休止解除の指示を送る
ことを特徴とするエレベーター・ロボット連携システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの動作とロボットの動作を連携させる連携サーバを備えたエレベーター・ロボット連携システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビル等の建物内の清掃、荷物の運搬、建物利用者への道案内等の業務を行う自律移動体(以下、自律移動ロボットと称する)の実用化が進められている。ところで、ビルのように複数の階床が存在する建物において、上述の業務を行わせるには、自律移動ロボットがエレベーターを利用して移動することが不可欠となる。
【0003】
そして、自律移動ロボットとエレベーターの連携については、国際公開第2021/038806号(特許文献1)のように、異常の起こった移動支援装置を、自律移動ロボットで診断することで、保守員が無用に現地を訪問することを抑制できる移動支援装置の点検指示装置が提案されている。
【特許文献1】国際公開第2021/038806号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自律移動ロボットが乗りかごに乗車している状態で、エレベーターに異常が発生した場合においては、自律移動ロボットに対してエレベーターの異常を通知し、エレベーターの異常状態に応じて、自律移動ロボットの動作モードを切り替えることが必要である。しかしながら、上述した特許文献1に記載の移動支援装置は、異常が発生したエレベーターを、自律移動ロボットで診断するものであって、上述した課題に対応することはできない。
【0005】
人間の場合は、エレベーターに異常が発生し、運行が不可能であることを感覚的に認知する事が可能だが、自律移動ロボットの場合では、エレベーターの異常を認識するためには、自律移動ロボットに対してエレベーターの故障信号等の情報を直接与える必要がある。また、エレベーターに異常が発生した場合、自律移動ロボットは充電スタンドが設置された階へ移動することができず、最悪の場合では乗りかご内でバッテリ切れを起こし、自律移動ロボットのみならずエレベーターの復旧作業を阻害する原因になる可能性もある。
【0006】
本発明の目的は、エレベーターが異常状態となった場合、エレベーターの異常状態に応じて、自律移動ロボットに対して、降車モードや休止モードといった動作モードの切り替えの制御指令を送信して、円滑な自律移動ロボットの業務遂行、及びエレベーターの異常状態からの復旧作業を実施することが可能なエレベーター・ロボット連携システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エレベーターの異常を検出したとき、乗りかごを最寄り階へ停止可能かどうか判定し、停止可能な場合は最寄り階へ移動、停止してドアを開くよう制御し、ロボットの降車指示を出力するエレベーター制御装置と、エレベーター制御装置からロボットの降車指示を受け取り、乗りかごに搭乗しているロボットのロボット制御部へ降車可能かどうか問合せ、降車可能という回答を得たときにロボットに降車指示を送る連携サーバと、連携サーバから降車指示を受け取ったとき、乗りかごから降車するようにロボットを制御するロボット制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エレベーターが異常状態となった場合、エレベーターの異常状態に応じて、自律移動ロボットに対して、降車モードや休止モードといった動作モードの切り替えの制御指令を送信して、円滑な自律移動ロボットの業務遂行、及びエレベーターの異常状態からの復旧作業を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態になるエレベーター・ロボット連携システムの構成を示す構成図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるエレベーター・ロボット連携システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態におけるエレベーターに異常が発生した際のエレベーター・ロボット連携システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態におけるにおけるエレベーターが異常状態から復旧した際のエレベーター・ロボット連携システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0011】
図1は、本発明におけるエレベーター・ロボット連携システムの実施形態の構成を示している。
【0012】
図1において、自律移動ロボット1は、行先階床への要求を実行するロボット呼び作成手段4と、自律移動ロボット1の全体的な行動の制御を実行するロボット制御部6と、自律移動ロボット1の運転モード(動作モード)を変更する制御モード変更部7を備えている。
【0013】
ロボット呼び作成手段4は、エレベーターの乗りかごを指定階床へ呼び寄せ・走行させるロボット呼び指令を、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信手段によって、エレベーター・ロボット連携サーバ2を介してエレベーターの制御を行うエレベーター制御装置3へ送信する。ロボット呼び作成手段4は、乗りかごを呼び寄せる階床と行き先階床を示す情報であるロボット呼び階床情報5を記憶している。
【0014】
また、自律移動ロボット1は、少なくとも建物内の清掃、荷物の運搬、建物利用者への道案内等の自律移動ロボット1が備える各種機能を実行する平常稼働モードと、各種機能の実行を休止して電力消費の少ない待機状態とする休止モードを備えており、運転モードの切り替えは制御モード変更部7によって実行される。
【0015】
自立移動ロボット1は、エレベーター・ロボット連携サーバ2を介してエレベーター制御装置3と無線通信で接続されている。エレベーター・ロボット連携サーバ2は、少なくともロボット呼び送信部8と、乗降車指示・問い合わせ部9と、休止モード指示・解除部10を備えている。エレベーター・ロボット連携サーバ2は、エレベーター制御装置3に自立移動ロボット1からの要求を転送したり、エレベーターからの自立移動ロボット1の制御情報を受け取り、自律移動ロボット1に転送したりする機能を備えている。
【0016】
エレベーター制御装置3は、少なくともロボット呼び受信部11と、エレベーター制御部12と、最寄り階停止検出部13と、異常・復旧検出部14を備えている。ロボット呼び受信部11は、自律移動ロボット1のロボット呼び作成手段4から送信されるロボット呼び階床情報5を、エレベーター・ロボット連携サーバ2のロボット呼び送信部8を介して受信し、更にエレベーター制御部12へ送信する。
【0017】
エレベーター制御部12は、エレベーターの運転制御を行う制御ブロック部であり、ロボット呼びで作成された階床へ乗りかごを呼び寄せて走行させると共に、エレベーターの運転状態情報を最寄り階停止検出部13と、異常・復旧検出部14に送信する機能を備えている。
【0018】
異常・復旧検出部14は、エレベーター制御部12から送信されるエレベーターの運転状態情報から、エレベーターの異常の発生、及び異常の復旧を検出する。更に、発生したエレベーターの異常が、サービスを継続することが可能な軽微な異常か、或いはサービスの継続が不可能な重大な異常かを判断する機能を備えている。
【0019】
異常・復旧検出部14は、更にこれらの判断結果を最寄り階停止検出部13と、エレベーター・ロボット連携サーバ2の休止モード指示・解除部10へ送信する機能を備えている。例えば走行中の瞬間的な停電や、一時的なドア開閉による非常停止であった場合は軽微な異常と判断し、ブレーキの故障等による非常停止等の場合は重大な異常と判断する。
【0020】
最寄り階停止検出部13は、異常・復旧検出部14から送信されるエレベーターの異常検出情報と、エレベーター制御部12から送信されるエレベーターの運転状態情報から、乗りかごが最寄り階に安全に着床可能か否かを判断し、着床可能な場合は、乗りかごを最寄り階に停止させ、最寄り階に停止したことをエレベーター・ロボット連携サーバ2の乗降車指示・問い合わせ部9へ送信、通知する機能を備えている。
【0021】
また、異常状態がサービス継続不可能な重大な故障であった場合、乗りかごを最寄り階へ安全に走行させることが可能であれば、異常・復旧検出部14はエレベーター制御部12に対し、最寄り階着床後に運転休止を指令し、不可能であれば最寄り階停止することなく即時運転休止を指令する機能を備えている。
【0022】
上述したようにエレベーター・ロボット連携サーバ2は、自律移動ロボット1、及びエレベーター制御装置3とインターネットで接続されたロボット呼び送信部8と、乗降車指示・問い合わせ部9と、休止モード指示・解除部10を備えている。
【0023】
ロボット呼び送信部8は、自律移動ロボット1のロボット呼び作成手段4から送信されるロボット呼び指令を、エレベーター制御装置3のロボット呼び受信部11に転送する機能を備えている。
【0024】
また、乗降車指示・問い合わせ部9は、最寄り階停止検出部13が乗りかごを最寄り階に停止させた場合、自律移動ロボット1のロボット制御部6に対して、乗りかごからの降車指令を送信する機能を備えている。
【0025】
休止モード指示・解除部10は、乗りかごが最寄り階に停止するのが不可能でエレベーターが運転休止状態となった場合、自律移動ロボット1の制御モード変更部7に対して即時に休止モードへの切り替えを指令する機能を備えている。
【0026】
また、乗りかごが最寄り階から着床後にエレベーターが運転休止状態となった場合は、一定時間が経過した後も運転休止状態から復旧しないと、自律移動ロボット1の制御モード変更部7に対し休止モードへの切り替えを指令する機能を備えている。
【0027】
以上のような構成のエレベーター・ロボット連携システムにおいて、次に本実施形態にかかるエレベーター・ロボット連携システムの動作を
図2のフローチャートを使用して説明する。尚、このフローチャートは、本実施形態の考え方を説明するものであり、実際に使用される制御フローと必ずしも同じではない。
【0028】
≪ステップS101≫
ステップS101において、自律移動ロボット1が、ロボット呼び作成手段4にてロボット呼び指令を登録した場合(YES)は、ステップS102に移行する。一方、自律移動ロボット1が、ロボット呼び作成手段4にてロボット呼び指令を登録していない場合(NO)は、再びステップS101に戻り同じ判断を実行する。
【0029】
≪ステップS102≫
ステップS102において、自律移動ロボット1が、ロボット呼びにて作成した階床に乗りかごが到着して、乗りかごに乗車したか否かを判断する。この判断で乗車している場合(YES)は、ステップS103に移行し、自律移動ロボット1が乗りかごに乗車していない場合(NO)は、ステップS102の前に戻り同じ判断を実行する。
【0030】
≪ステップステップS103≫
ステップS103において、自律移動ロボット1が乗りかごに乗車しているので、ロボット呼びで作成した行先階へ向かって乗りかごが走行され、この走行過程でステップS104に移行する。
【0031】
≪ステップS104≫
ステップS104において、異常・復旧検出部14によってエレベーターに異常が発生したか否かを判断する。異常・復旧検出部14によってエレベーター制御部12から送信されるエレベーターの運転状態情報からエレベーターの異常の発生が検知され、エレベーターに異常が発生した場合(YES)は、ステップS201へ移行する。一方、エレベーターに異常が発生していない場合(NO)は、通常走行を継続してステップS105に移行する。
【0032】
≪ステップS105≫
ステップS105において、ロボット呼びで作成された行先階へ乗りかごが到着した場合(YES)は、処理を終了してエンドに抜ける。一方、ロボット呼びで作成された行先階へ乗りかごが到着していない場合(NO)は、再びステップS103の前に戻ってステップS103の処理を実行する。
【0033】
次にエレベーターに異常が発生した際のエレベーター・ロボット連携システムの動作を
図3のフローチャートを使用して説明する。この制御フローは、
図2のステップS104でのYES判断で実行されるものである。
【0034】
≪ステップS201≫
ステップS201において、最寄り階停止検出部13は、異常・復旧検出部14から送信されるエレベーターの異常検出情報と、エレベーター制御部12から送信されるエレベーターの運転状態情報から、乗りかごが最寄り階に安全に着床可能か否を判断する。最寄り階に着床できないと判断されるとステップS202に移行し、最寄り階に着床できると判断されるとステップS203に移行する。
【0035】
≪ステップS202≫
ステップS202において、最寄り階停止検出部13は、エレベーター・ロボット連携サーバ2の休止モード指示・解除部10に対して、自律移動ロボット1の休止指令を送信する。更に、休止モード指示・解除部10は、自律移動ロボット1の制御モード変更部7に対して自律移動ロボット1の休止指令を送信する。
【0036】
これによって、自律移動ロボット1は休止することになる。自律移動ロボット1が休止されると、バッテリからの電力の供給が抑制され、バッテリの消耗を少なくできる。そして、この状態からステップS301に移行する。ステップS301以降は、異常状態からの復旧の場合の処理であるので、これは
図4で説明する。
【0037】
≪ステップS203≫
ステップS203においては、エレベーター・ロボット連携サーバ2の乗降車指示・問い合わせ部9が、自律移動ロボット1のロボット制御部6に対して降車可能か否かの問い合わせを実行する。例えば、乗り場と乗りかごの床面に段差がある、自律移動ロボット1が転倒しているといった理由から、自律移動ロボット1が降車できない場合が想定されるためである。問い合せを行うとステップS204に移行する。
【0038】
≪ステップS204≫
ステップS204においては、自律移動ロボット1のロボット制御部6は、エレベーター・ロボット連携サーバ2からの問い合わせに対して、乗りかごから降車可能か否かを判断する。降車可能でない場合(NO)は、ステップS202に移行し、休止モード指示・解除部10は自律移動ロボット1の制御モード変更部7に対し休止モードへの切り替えを指令し、ステップS301に移行する。一方、降車可能の場合(YES)は、ステップS205に移行する。
【0039】
≪ステップS205≫
ステップS205において、乗りかごが最寄り階へ着床後、エレベーター・ロボット連携サーバ2の乗降車指示・問い合わせ部9が、自律移動ロボット1のロボット制御部6に対して降車指令を送信する。この処理が完了するとステップS206に移行する。
【0040】
≪ステップS206≫
ステップS206において、自律移動ロボット1の降車が完了したか否かを判断する。自律移動ロボット1の降車が完了した場合(図中YES)は、ステップS207に移行する。一方、自律移動ロボット1の降車が完了していない場合(図中NO)は、ステップS206の前に戻り同じ処理を実行する。
【0041】
≪ステップS207≫
ステップS207において、自律移動ロボット1のロボット制御部10は、自律移動ロボット1が降車したこと、及び降車した階床をエレベーター・ロボット連携サーバ2の乗降車指示・問い合わせ部9に送信する。
【0042】
更に、乗降車指示・問い合わせ部9は、
図1に示すスマートフォン15のロボット管理アプリ16に対して、エレベーターの異常によってロボットが途中で降車した階床をロボット管理者へ通知して、自律移動ロボット1の状況を管理者に通報する。この処理を実行するとステップS208に移行する。
【0043】
≪ステップS208≫
ステップS208において、最寄り階に着床後、異常・復旧検出部14によってサービスの継続が不可能と判断され、エレベーターの運転状態が休止状態へ移行したか否かを判断する。エレベーターの運転状態が休止状態へ移行した場合(YES)は、
図4のステップS301に移行する、
一方、サービスの継続が可能と判断され、エレベーターの運転状態が通常状態のままであった場合(NO)は、ステップS101に戻り、自律移動ロボット1は再度ロボット呼びを作成し、本来予定していた行先階へ向かう動作を実行する。
【0044】
次にエレベーターが異常状態から復旧した際のエレベーター・ロボット連携システムの動作を
図4のフローチャートを使用して説明する。この制御フローは、
図3のステップS202の実行後、及びステップS208のYES判断で実行されるものである。
【0045】
≪ステップS301≫
ステップS301において、異常・復旧検出部14によって、エレベーターが異常状態、及び休止状態から復旧したか否かを判断する。復旧を検出した場合(YES)は、ステップS302に移行し、復旧を検出しない場合はステップS304に移行する。
【0046】
≪ステップS302≫
ステップS302において、エレベーター・ロボット連携サーバ2の休止モード指示・解除部10は、自律移動ロボット1の制御モード変更部7に対して休止解除指令を送信することで、自律移動ロボット1の運転モードを平常稼働モードに切り替える。この処理が完了するとステップS303に移行する。
【0047】
≪ステップS303≫
ステップS303において、ステップS302の処理に続いて、エレベーターが復旧しているので、エレベーター・ロボット連携サーバ2の乗降車指示・問い合わせ部9が、自律移動ロボット1のロボット制御部6に対して再乗車を指示する。その後、ステップS101に戻り、自律移動ロボット1は再びロボット呼びを作成し、本来予定していた行先階へ向かう動作を実行する。
【0048】
≪ステップS304≫
ステップS301でエレベーターが異常状態、及び休止状態から復帰していないと判断されているので、ステップS304において、エレベーターが異常状態、及び休止状態となってから所定時間を経過したか否かを判断する。所定時間を経過した場合(YES)は、ステップS305に移行する。一方、所定時間を経過していない場合(NO)は、ステップS301の前に戻り、同じ処理を実行する。
【0049】
≪ステップS305≫
ステップS305において、自律移動ロボット1が降車した階床に充電スタンドがない階床か否かを判断する。そして、降車した階床が充電スタンドの無い階床であった場合(YES)は、ステップS306に移行する。一方、自律移動ロボット1が降車していない場合、或いは自律移動ロボット1が降車した階床が充電スタンドのある階床であった場合(NO)は、休止モードへの切り替えは指令せずに、ステップS301の前に戻り、同じ処理を実行する。
【0050】
≪ステップS306≫
ステップS306において、エレベーター・ロボット連携サーバ2の休止モード指示・解除部10は、自律移動ロボット1の制御モード変更部7に対し、休止モードへの切り替えを指令する。このように、自律移動ロボット1の運転モードを休止モードに切り替えることで、自律移動ロボット1が、充電スタンドが設置された階床へ移動することができず、バッテリ切れを起こすことを防ぐことができる。この処理を実行するとステップS307に移行する。
【0051】
≪ステップS307≫
ステップS307において、ステップS301と同様に異常・復旧検出部14によって、エレベーターが異常状態、及び休止状態から復帰したか否かを判断する。復帰を検出した場合(YES)は、ステップS302に移行し、復帰を検出しない場合はステップS307の前に戻り、同じ処理を実行する。
【0052】
ステップS307でエレベーターが異常状態、及び休止状態から復帰したことを異常・復旧検出部14が検出した場合(図中YES)は、ステップS302にて休止モード指示・解除部10は、自律移動ロボット1の制御モード変更部7に対し、休止解除指令を送信し、自律移動ロボット1の運転モードを平常稼働モードに切り替え後、ステップS303を実行した後にステップS101に戻る。そして、自律移動ロボット1は再びロボット呼びを作成し、本来予定していた行先階へ向かう動作を実行する。
【0053】
以上述べたように、本実施形態によれば、エレベーターの異常状態に応じてエレベーター・ロボット連携サーバが自律移動ロボットに対して、降車や休止モードへの切り替え等の制御指令を送信する。
【0054】
これによって、エレベーターが長時間に亘って使用不可になることにより、自律移動ロボットが、充電スタンドが設置された階床へ移動できずにバッテリ切れとなる現象を防ぐことができる。更に、円滑な自律移動ロボットの業務遂行、及びエレベーターの異常状態からの復旧作業を促すことが可能なエレベーターとロボットの連携システムを提供することができる。
【0055】
以上述べたように、本発明によれば、エレベーターの異常を検出したとき、乗りかごを最寄り階へ停止可能かどうか判定し、停止可能な場合は最寄り階へ移動、停止してドアを開くよう制御し、ロボットの降車指示を出力するエレベーター制御装置と、エレベーター制御装置からロボットの降車指示を受け取り、乗りかごに搭乗しているロボットのロボット制御部へ降車可能かどうか問合せ、降車可能という回答を得たときにロボットに降車指示を送る連携サーバと、連携サーバから降車指示を受け取ったとき、乗りかごから降車するようにロボットを制御するロボット制御部を備えることを特徴とする。
【0056】
これによれば、エレベーターが異常状態となった場合、エレベーターの異常状態に応じて、自律移動ロボットに対して、降車や休止モードへの切り替え等の制御指令を送信して、円滑な自律移動ロボットの業務遂行、及びエレベーターの異常状態からの復旧作業を実施することが可能となる。
【0057】
尚、本発明は上記したいくつかの実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。各実施例の構成について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…ロボット、2…エレベーター・ロボット連携サーバ、3…エレベーター制御装置、4…ロボット呼び作成手段、5…ロボット呼び階床情報、6…ロボット制御部、7…制御モード変更部、8…ロボット呼び送信部、9…降車指示部、10…休止モード指示・解除部、11…ロボット呼び受信部、12…エレベーター制御部、13…最寄り階停止検出部、14…異常・復旧検出部。