(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129846
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/50 20230101AFI20230912BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230912BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230912BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20230912BHJP
H04N 23/51 20230101ALI20230912BHJP
【FI】
H04N5/225 100
G03B17/02
G03B15/00 V
G03B30/00
H04N5/225 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034136
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 優太
【テーマコード(参考)】
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H100BB11
2H100CC07
2H100EE03
5C122DA14
5C122EA54
5C122FB17
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE14
5C122GE18
(57)【要約】
【課題】安価な構成で小型化を実現することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、ハウジング2と、撮像素子16とコネクタ軸Pに沿って延びるコネクタ21とが実装される回路基板20と、回路基板20をハウジング2に固定するネジ42とを備える。ハウジング2は、コネクタ21が嵌合するコネクタ嵌合部9と、ネジ孔81が形成された固定ボス80と、収容部8の内部に延びるストッパボス82とを有する。回路基板20は、コネクタ軸Pを中心とする円に沿った方向でハウジング2のストッパボス82を挟み込む1対の規制面26を有する回転規制部25と、ネジ42の軸部42Aとの間に隙間を形成しつつ、ネジ42の頭部42Bと係合する孔24A及び切欠き24Bとを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
撮像素子とコネクタ軸に沿って延びるコネクタとが実装される回路基板と
を備え、
前記ハウジングは、
少なくとも前記回路基板を収容する収容部と、
前記コネクタが嵌合するコネクタ嵌合部と、
前記回路基板が固定される固定基部と、
前記収容部の内部に延びるストッパボスと
を有し、
前記回路基板は、前記コネクタ軸を中心とする円に沿った方向で前記ハウジングの前記ストッパボスを挟み込む1対の規制面を有する回転規制部を有する、
撮像装置。
【請求項2】
前記ハウジングの前記ストッパボスは、
前記回路基板の前記1対の規制面の間に位置する先端部と、
前記先端部よりも外形が大きい基部と
を含む、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ハウジングの前記ストッパボスの前記基部の前記円に沿った幅は、前記回路基板の前記1対の規制面の間の距離よりも大きい、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記回路基板が前記ハウジングに固定された状態では、前記回路基板は、前記ハウジングの前記固定基部に当接し、前記ハウジングの前記ストッパボスの前記基部から離間するように構成される、請求項2又は3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記回転規制部は、前記1対の規制面の間に位置する前記ストッパボスよりも前記コネクタ軸に近い位置で前記1対の規制面の間を接続する接続面をさらに有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記回路基板の前記回転規制部は、前記撮像素子を挟んで前記コネクタ軸の反対側に形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記回路基板を前記ハウジングの前記固定基部に固定する固定具であって、
前記ハウジングの前記固定基部に形成された固定孔に挿入される軸部と、
前記回路基板に係合する頭部と
を有する固定具をさらに備え、
前記回路基板は、前記固定具の前記軸部との間に隙間を形成しつつ、前記固定具の前記頭部と係合する係合固定部をさらに有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係り、特に撮像素子及びコネクタが実装される回路基板を含む撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像素子が実装される回路基板をハウジングの内部に収容したカメラが知られている。このようなカメラにおいては、撮像素子をレンズの光軸に対して正確に調心した状態で回路基板をハウジングに固定する必要がある。この場合において、撮像素子からの信号を外部に出力するためのコネクタを撮像素子と同一の回路基板に実装すると、回路基板に対するコネクタの実装位置にバラツキが生じ、コネクタの位置がハウジングに対してずれることがある。このような状態でコネクタをハウジングに嵌合させると、コネクタと回路基板との間の半田付け部に大きな負荷が作用して、コネクタが破損してしまうことがある。
【0003】
このような観点から、撮像素子とコネクタとを異なる回路基板に実装し、これらの回路基板の間をフレキシブルプリント基板で接続した撮像装置も考えられている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような構成の撮像装置では、2枚の回路基板に加えてフレキシブルプリント基板が必要となるため、撮像装置の製造コストが高くなってしまう。また、ハウジングの内部に2枚の回路基板とフレキシブルプリント基板を収容する空間が必要となるため、撮像装置を小型化することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、安価な構成で小型化を実現することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、安価な構成で小型化を実現することができる撮像装置が提供される。この撮像装置は、ハウジングと、撮像素子とコネクタ軸に沿って延びるコネクタとが実装される回路基板とを備える。上記ハウジングは、少なくとも上記回路基板を収容する収容部と、上記コネクタが嵌合するコネクタ嵌合部と、上記回路基板が固定される固定基部と、上記収容部の内部に延びるストッパボスとを有する。上記回路基板は、上記コネクタ軸を中心とする円に沿った方向で上記ハウジングの上記ストッパボスを挟み込む1対の規制面を有する回転規制部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における撮像装置を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す撮像装置の回路基板を示す正面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す撮像装置のハウジングの内部に回路基板を収容した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る撮像装置の実施形態について
図1から
図8を参照して詳細に説明する。
図1から
図8において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図8においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態における撮像装置を示す斜視図である。本実施形態における撮像装置1は、例えば、自動車の運転者の状態(注意力の低下や居眠りの兆候など)をモニタリングするドライバモニタリングシステム(DMS)において用いられる撮像装置であるものとして説明するが、本発明に係る撮像装置は他の用途にも用いることが可能であることは言うまでもない。
【0010】
図1に示すように、この撮像装置1は、直方体状のハウジング2と、ハウジング2の前方に取り付けられるカバー部材3とを含んでいる。
図1では理解を容易にするためにカバー部材3の図示を省略している。ハウジング2の内部には、例えば近赤外光を出射する光源として2つのLED(発光ダイオード)10と、内部に少なくとも1つのレンズ12を保持するレンズ鏡筒14とが収容されている。本実施形態では、便宜的に、
図1における+Z方向を「前」又は「前方」といい、-Z方向を「後」又は「後方」ということとする。
【0011】
図2は前方分解斜視図、
図3は後方分解斜視図である。
図2及び
図3に示すように、カバー部材3は-Z方向に延び、Y方向に弾性変形可能な複数の係合片31を有しており、それぞれの係合片31には矩形状の係合孔32が形成されている。ハウジング2には、カバー部材3の係合片31に対応して複数の爪部5が形成されており、この爪部5をカバー部材3の係合片31の係合孔32に係合させることで、カバー部材3がハウジング2に取り付けられる。
【0012】
撮像装置1は、撮像素子16及びLED10が実装される回路基板20と、板状の部材を折り曲げて形成されるシールド部材30とを含んでいる。回路基板20は、全体としてX方向に延びており、回路基板20の後面にはコネクタ軸Pに沿って延びるコネクタ21が実装されている。回路基板20は、後述するように固定具としてのネジ42によってハウジング2に固定される。それぞれのネジ42は、ネジ山が形成された軸部42Aと、軸部42Aよりも径の大きな頭部42Bとを有している。
【0013】
撮像素子16は、レンズ鏡筒14のレンズ12を通過した光が結像する面に配置されており、レンズ12を通過した光を受光するように構成されている。回路基板20には、ネジ41が挿通される挿通孔22が形成されている。回路基板20の挿通孔22にネジ41を挿通してこのネジ41をレンズ鏡筒14に形成されたネジ孔17に螺合させることによりレンズ鏡筒14が回路基板20に固定される。
【0014】
カバー部材3は、LED10から発される光を透過する材料から形成される。本実施形態では、LED10から近赤外光を出射し、撮像素子16では近赤外光の画像を取得するため、撮像素子16で得られる画像に対する可視光の影響を低減するためにカバー部材3として可視光波長域の光をカットする可視光カットフィルタを用いることができる。
【0015】
シールド部材30は、XY平面に沿って延びる板状部71と、板状部71の周縁部から+Z方向に向かって延びる側片72とを有している。板状部71には、上述した回路基板20から延びるコネクタ21を挿通させるための挿通孔73が形成されている。シールド部材30は、導電性を有する材料(例えば銅やアルミニウム、ニッケルなどの金属)から形成されていることが好ましい。
【0016】
図3に示すように、回路基板20の裏面には、導電性を有する材料(例えば銅やアルミニウム、ニッケルなどの金属)で形成されるバネ部材60が取り付けられている。このバネ部材60は、回路基板20に実装されている電気部品及びコネクタ21のグランド部と電気的に接続されている。このバネ部材60は、略S字状に湾曲した断面を有しており、Z方向に弾性変形可能となっている。このバネ部材60がシールド部材30の板状部71に弾性的に接触し、回路基板20のグランド部とシールド部材30の板状部71とが互いに電気的に接続される。これにより、バネ部材60及びシールド部材30を回路基板20のグランド部と等電位にすることができ、バネ部材60及びシールド部材30に電磁シールド効果が生じる。この結果、ハウジング2内部の収容空間に収容されている回路基板20上の撮像素子16及びLED10やその他の電子部品を電磁ノイズから効果的に保護することができる。本実施形態では、シールド部材30は、板状部71の周縁部から回路基板20に向かって(+Z方向に)延びる側片72を有しているため、これらの側片72で囲まれた領域についても電磁ノイズから保護することができる。
【0017】
また、本実施形態では、弾性変形可能なバネ部材60により回路基板20とシールド部材30の板状部71との間を接続しているため、製造誤差により回路基板20とシールド部材30の板状部71との間の距離が多少変化しても、バネ部材60が弾性変形することで、回路基板20とシールド部材30の板状部71との間をより確実に接続することができる。
【0018】
図4Aは、ハウジング2を示す正面図、
図4Bは、
図4AのA-A線断面図である。
図4A及び
図4Bに示すように、ハウジング2は、例えば撮像装置1を自動車の車体に取り付けるための取付部7と、回路基板20及びシールド部材30を内部に収容する収容部8とを有している。収容部8は、XY平面に沿って延びる矩形板状の基部8Aと、基部8Aの周縁から+Z方向に延びる側壁8Bとを有している。
【0019】
また、ハウジング2は、収容部8の基部8Aから後方(-Z方向)に延びる円筒状のコネクタ接続部4と、収容部8の基部8Aから前方(+Z方向)に延びる4つの固定ボス80(固定基部)と1つのストッパボス82とを有している。コネクタ接続部4の内部には、上述した回路基板20のコネクタ21が挿入及び収容される。このコネクタ接続部4は、回路基板20のコネクタ21の外径と略同一の内径を有するコネクタ嵌合部9を含んでいる。それぞれの固定ボス80の中央にはネジ孔81(固定孔)が形成されている。ストッパボス82は、基部83と、基部83よりも径が小さい先端部84とを含んでいる。
【0020】
図5は、回路基板20を示す正面図である。
図5に示すように、回路基板20の対角部には円形の孔24Aが形成されており、回路基板20のX方向に延びる縁部20Aには円弧状の切欠き24Bが形成されている。これらの孔24Aと切欠き24Bは、ハウジング2の固定ボス80のネジ孔81に対応して形成されており、回路基板20の孔24A及び切欠き24Bにネジ42の軸部42A(
図2及び
図3参照)を挿通し、この軸部42Aをハウジング2の固定ボス80のネジ孔81に螺合させることで、ネジ42の頭部42Bを回路基板20に係合させて回路基板20をハウジング2に固定することができる。
【0021】
また、
図5に示すように、回路基板20のY方向に延びる縁部のうちコネクタ軸Pから遠い側の縁部20Bには、回転規制部25がU字状の切欠きとして形成されている。この回転規制部25は、Y方向において対向する1対の規制面26と、1対の規制面26の間を接続する湾曲した接続面27とを有している。回路基板20をハウジング2に固定した際には、この回転規制部25の切欠きの内部にハウジング2のストッパボス82が位置するようになっている。
【0022】
図6は、
図1に示す撮像装置1を
図4AのA-A線に沿って切断したときの断面図である。
図6に示すように、ハウジング2のコネクタ接続部4には、回路基板20のコネクタ21が挿入され、このコネクタ21がコネクタ嵌合部9に嵌合するようになっている。ハウジング2のコネクタ接続部4には、ハウジング2の後方から相手方コネクタ(図示せず)を接続できるようになっている。このコネクタ接続部4においてコネクタ21と相手方コネクタが接続されることで、撮像素子16で得られた信号が外部に出力され、また、外部からLED10に制御信号が入力されるようになっている。このような構成により、LED10から光(照明光)を出射して撮影対象物(例えば運転者)を照明しつつ、この光により照明された撮影対象物を撮像素子16によって撮像することができる。
【0023】
図7は、ハウジング2の収容部8の内部に回路基板20を収容した状態を示す正面図である。
図7に示すように、回路基板20の孔24Aの内径及び切欠き24Bの大きさは、それぞれハウジング2の固定ボス80のネジ孔81の内径よりも大きくなっている。すなわち、回路基板20の孔24Aの内径及び切欠き24Bの大きさは、回路基板20をハウジング2に固定するネジ42の軸部42Aの外径よりも大きくなっている。これにより、回路基板20をネジ42でハウジング2に固定する際に、ネジ42の軸部42Aと回路基板20との間に隙間が形成されるため、この隙間の範囲内で回路基板20の位置を調整できるようになっている。一方で、回路基板20をネジ42に係合させるために、回路基板20の孔24Aの内径及び切欠き24Bの大きさはネジ42の頭部42Bの外径よりも小さくなっている。このように、本実施形態における回路基板20の孔24A及び切欠き24Bは、固定具としてのネジ42の軸部42Aとの間に隙間を形成しつつ、ネジ42の頭部42Bと係合する係合固定部として機能する。
【0024】
図7に示すように、回路基板20の回転規制部25における1対の規制面26は、いずれもハウジング2のストッパボス82に当接している。換言すれば、回路基板20の回転規制部25の規制面26は、コネクタ軸Pを中心とする円に沿った方向(図示の例では略Y方向)でハウジング2のストッパボス82を挟み込むようになっている。このように、回路基板20の回転規制部25の規制面26によってハウジング2のストッパボス82を挟み込むことによって、回路基板20がコネクタ軸P周りに回転することが規制される。
【0025】
一方、回路基板20の回転規制部25の接続面27は、規制面26の間に位置するストッパボス82から-X方向側に向かって延びており、ストッパボス82よりもコネクタ軸Pに近い位置で規制面26の間を接続している。このように、回転規制部25の接続面27とストッパボス82との間には隙間が形成されており、この隙間の範囲内で回路基板20の位置を調整できるようになっている。
【0026】
本実施形態では、回路基板20に実装されるコネクタ21をハウジング2のコネクタ嵌合部9に嵌合させた際に、ハウジング2のストッパボス82を回路基板20の回転規制部25の規制面26の間に挟み込むことで、回路基板20のコネクタ軸P周りの回転を規制することができる。また、回路基板20に対するコネクタ21の実装位置にずれがあっても、回路基板20は回転規制部25の規制面26に沿った方向に移動可能であるため、位置のずれにより生じる大きな負荷がコネクタに作用することを防止することができる。さらに、回路基板20の孔24A及び切欠き24Bとネジ42の軸部42Aとの間に形成される隙間によってこのようなコネクタ21の実装位置のずれを吸収することができるため、位置のずれにより生じる大きな負荷がコネクタ21に作用することをより効果的に防止することができ、コネクタ21の破損を防止することができる。特に、本実施形態の構成によれば、フレキシブルプリント基板や複数枚の回路基板を必要とせず、1枚の回路基板20だけで足りるため、従来の撮像装置よりも安価でコンパクトな構成によりコネクタ21の破損を防止することができる。
【0027】
本実施形態では、回路基板20の回転規制部25は、
図5に示すように、撮像素子16を挟んでコネクタ軸Pの反対側に配置されているので、コネクタ軸Pと回転規制部25との間の距離を長くすることができる。このため、回転規制部25によって回路基板20の回転をより精度良く規制することができる。なお、このような回転規制部25の位置は図示のものに限られるものではない。
【0028】
ここで、
図8に示すように、ハウジング2のストッパボス82の先端部84のY方向に沿った幅は、回路基板20の対向する規制面26の間の距離と略同一になっているが、ストッパボス82の基部83のY方向に沿った幅は、回路基板20の対向する規制面26の間の距離よりも大きくなっている。このような構成により、ストッパボス82を成型する際の抜き勾配を基部83において確保しつつ、先端部84を精度高く形成することができる。
【0029】
また、回路基板20がハウジング2に固定された状態では、
図8に示すように、回路基板20がハウジング2の固定ボス80の+Z方向側の面に当接し、ストッパボス82の基部83の+Z方向側の面からは離間している。このように構成することで、回路基板20をハウジング2に固定している力がハウジング2の固定ボス80に作用し、ストッパボス82の基部83に作用することを防止することができるので、ストッパボス82が破損することを防止することができる。
【0030】
本実施形態では、本実施形態における回路基板20の孔24A及び切欠き24Bは、固定具としてのネジ42の軸部42Aとの間に隙間を形成しつつ、ネジ42の頭部42Bと係合する係合固定部を円形の孔24Aと円弧状の切欠き24Bとで構成しているが、係合固定部を孔又は切欠きのどちらかのみで構成してもよい。なお、係合固定部を切欠きで構成すれば、孔で構成する場合に比べて、係合固定部によって回路基板20の実装面積が減少することを抑制することができる。
【0031】
本実施形態では、回路基板20をハウジング2に固定する固定具としてネジ42を使用しているが、ネジ以外の固定具を用いることもできる。例えば、固定具として頭部と軸部を有するピンを用い、固定ボス80の固定孔81にピンの軸部を圧入して回路基板20をハウジング2に固定してもよい。また、このような固定具によって回路基板20を固定する位置及び数も図示のものに限られるものではない。あるいは、接着材を用いて回路基板20をハウジング2に固定してもよいし、ハウジング2とカバー部材3との間に回路基板20を挟み込むことによって回路基板20をハウジング2に固定してもよい。
【0032】
また、本実施形態では、ハウジング2の収容部8の基部8Aから延びる固定ボス80を回路基板20が固定される固定基部として用いているが、これに限られるものではない。例えば、収容部8の基部8Aを固定基部として用いてもよいし、ハウジング2とカバー部材3との間に回路基板20を挟み込むことによって回路基板20をハウジング2に固定する場合には、ハウジング2の収容部8の前縁部を固定基部として用いてもよい。
【0033】
図示した実施形態では、ハウジング2のストッパボス82が収容部8の基部8Aから前方(+Z方向)に向かって延びているが、ストッパボス82は、例えば収容部8の側壁8Bから収容部8の内部に向かってX方向又はY方向に延びていてもよい。
【0034】
以上述べたように、本発明の一態様によれば、安価な構成で小型化を実現することができる撮像装置が提供される。この撮像装置は、ハウジングと、撮像素子とコネクタ軸に沿って延びるコネクタとが実装される回路基板とを備える。上記ハウジングは、少なくとも上記回路基板を収容する収容部と、上記コネクタが嵌合するコネクタ嵌合部と、上記回路基板が固定される固定基部と、上記収容部の内部に延びるストッパボスとを有する。上記回路基板は、上記コネクタ軸を中心とする円に沿った方向で上記ハウジングの上記ストッパボスを挟み込む1対の規制面を有する回転規制部を有する。
【0035】
このような構成によれば、回路基板に実装されるコネクタをハウジングのコネクタ嵌合部に嵌合させた際に、ハウジングのストッパボスを回路基板の回転規制部の規制面の間に挟み込むことで、回路基板のコネクタ軸周りの回転を規制することができる。また、回路基板に対するコネクタの実装位置にずれがあっても、回路基板は回転規制部の規制面に沿った方向に移動可能であるため、位置のずれにより生じる大きな負荷がコネクタに作用することを防止することができ、コネクタの破損を防止することができる。特に、フレキシブルプリント基板や複数枚の回路基板を必要とせず、1枚の回路基板で足りるため、従来の撮像装置よりも安価でコンパクトな構成によりコネクタの破損を防止することができる。
【0036】
上記ハウジングの上記ストッパボスは、上記回路基板の上記1対の規制面の間に位置する先端部と、上記先端部よりも外形が大きい基部とを含んでいてもよい。この場合において、上記ハウジングの上記ストッパボスの上記基部の上記円に沿った幅は、上記回路基板の上記1対の規制面の間の距離よりも大きくてもよい。このような構成により、ストッパボスを成型する際の抜き勾配を基部において確保しつつ、先端部を精度高く形成することができる。
【0037】
上記回路基板が上記ハウジングに固定された状態では、上記回路基板は、上記ハウジングの上記固定基部に当接し、上記ハウジングの上記ストッパボスの上記基部から離間するように構成されていてもよい。この場合には、回路基板をハウジングに固定している力がハウジングの固定基部に作用し、ストッパボスの基部に作用することを抑制することができるので、ストッパボスが破壊されることを防止することができる。
【0038】
上記回転規制部は、上記1対の規制面の間に位置する上記ストッパボスよりも上記コネクタ軸に近い位置で上記1対の規制面の間を接続する接続面をさらに有していてもよい。これにより、回転規制部の接続面とストッパボスの間に隙間が形成されるため、この隙間によりコネクタの実装位置のずれを吸収することができる。
【0039】
上記回路基板の上記回転規制部は、上記撮像素子を挟んで上記コネクタ軸の反対側に形成されていることが好ましい。このように、撮像素子を挟んでコネクタ軸の反対側に回路基板の回転規制部を配置することで、コネクタ軸と回転規制部との間の距離を長くすることができるので、回転規制部によって回路基板の回転をより精度良く規制することができる。
【0040】
上記撮像装置は、上記回路基板を上記ハウジングの上記固定基部に固定する固定具をさらに有していてもよい。上記固定具は、上記ハウジングの上記固定基部に形成された固定孔に挿入される軸部と、上記回路基板に係合する頭部とを有していてもよい。この場合において、上記回路基板は、上記固定具の上記軸部との間に隙間を形成しつつ、上記固定具の上記頭部と係合する係合固定部をさらに有することが好ましい。この場合には、回路基板に対するコネクタの実装位置にずれがあっても、係合固定部と固定具の軸部との間に形成される隙間によってコネクタの実装位置のずれを吸収することができるため、位置のずれにより生じる大きな負荷がコネクタに作用することをより効果的に防止することができる。
【0041】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 撮像装置
2 ハウジング
3 カバー部材
4 コネクタ接続部
8 収容部
8A 基部
8B 側壁
9 コネクタ嵌合部
10 LED
12 レンズ
14 レンズ鏡筒
16 撮像素子
20 回路基板
21 コネクタ
24A 孔(係合固定部)
24B 切欠き(係合固定部)
25 回転規制部
26 規制面
27 接続面
30 シールド部材
42 ネジ(固定具)
42A 軸部
42B 頭部
80 固定ボス(固定基部)
81 ネジ孔(固定孔)
82 ストッパボス
83 基部
84 先端部
P コネクタ軸