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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129890
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/025 20060101AFI20230912BHJP
   F16L 19/065 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F16L19/025
F16L19/065
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034224
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 翔太
(72)【発明者】
【氏名】山本 竜平
【テーマコード(参考)】
3H014
【Fターム(参考)】
3H014CA01
3H014FA04
(57)【要約】
【課題】ブロック体に形成された流体通路と流体管路との間を確実に接続する。
【解決手段】管継手1は、流体通路12Aと雌ねじ穴12Cが設けられたブロック体12と、先端側に雄ねじ11Aが形成された流体管路11との間を接続する。管継手1は、内周側に流体管路11の雄ねじ11Aに螺合する雌ねじ部2Aが設けられたカラー2と、内周側に流体管路11が挿通される管路挿通孔4Aとカラー2が嵌合するカラー嵌合孔4Bとが同心状に形成され、外周側に雄ねじ部4Dが形成された締込み部材4とを備える。カラー2にはコレット部3が一体形成され、締込み部材4の雄ねじ部4Dをブロック体12の雌ねじ穴12Cに締込むことにより、コレット部3が縮径し、流体通路12Aに対する流体管路11の心出しが行われる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体通路が設けられ外側面に前記流体通路の開口端と同心状に雌ねじ穴が形成されたブロック体と、先端側に雄ねじが形成され内部を流体が流れる流体管路との間を接続する管継手において、
内周側に前記流体管路の前記雄ねじに螺合する雌ねじ部が設けられ、前記流体管路の先端に取付けられる円筒状のカラーと、
内周側に前記流体管路が挿通される管路挿通孔と前記カラーが嵌合するカラー嵌合孔とが同心状に形成されると共に外周側に雄ねじ部が形成され、前記雄ねじ部を前記ブロック体の前記雌ねじ穴に締込むことにより、前記カラーが取付けられた前記流体管路の先端を前記流体通路の開口端に当接させる締込み部材と、を備え、
前記カラーには、前記締込み部材の締込みに応じて縮径し前記ブロック体の前記流体通路に対する前記流体管路の心出しを行うコレット部が一体に設けられていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記締込み部材の内周側には、前記管路挿通孔と前記カラー嵌合孔との境界部に配置され、前記カラー嵌合孔から前記管路挿通孔に向けて徐々に縮径する凹状テーパ面が設けられ、
前記コレット部には、前記凹状テーパ面に面接触する凸状テーパ面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記コレット部には、前記カラーの軸方向に延び前記締込み部材の締込み量に応じて間隔が変化するスリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項4】
前記カラーの内周面には、軸方向の中間部を全周に亘って環状に切欠いた環状溝が形成され、
前記カラーの内周面は、前記環状溝を挟んで前記雌ねじ部と前記流体管路の外径寸法よりも大きな孔径を有する大径孔とに仕切られていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項5】
前記流体管路の前記雄ねじの方向と前記締込み部材の前記雄ねじ部の方向とは、互いに逆方向となる関係に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば水素ガス等の高圧な流体が流れる流体管路を、流体通路が形成されたブロック体に接続する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高圧な流体が流れる流体通路が内部に形成されたブロック体に対し、流体管路を接続する管継手が開示されている。この管継手は、流体管路の先端側に形成された雄ねじに螺合する円筒状のカラーと、内周側に前記流体管路と前記カラーとが挿通されると共に外周側に雄ねじ部が形成された円筒状の締込み部材とを備えている。そして、ブロック体に前記流体通路と同心状に形成された雌ねじ穴に、締込み部材の雄ねじ部を締込むことにより、ブロック体の流体通路と流体管路との間を接続することができる。
【0003】
また、他の従来技術による管継手として、締込み部材の内周側に凹状のテーパ面を形成すると共に、流体管路の外周側にカラーに隣接して凸状のテーパ面を有するコレットを追加した構造が知られている。この他の従来技術による管継手によれば、締込み部材を締込むときに、締込み部材のテーパ面にコレットのテーパ面が当接することにより、ブロック体の流体通路に対する流体管路の心出しを行い、ブロック体の流体通路と流体管路との接続を確実に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-357288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、他の従来技術による管継手は、流体管路の先端に取付けられるカラーと、カラーに隣接して流体管路の外周側に取付けられるコレットと、締込み部材との3部材によって構成されている。このため、締込み部材のテーパ面とコレットのテーパ面とが対向しない逆向きの状態で、コレットを流体管路に取付けてしまうといった誤組付けが生じ、ブロック体の流体通路と流体管路との間を確実に接続することができなくなるという問題がある。
【0006】
さらに、コレットには、ブロック体の雌ねじ穴に対する締込み部材の締込みに応じてテーパ面を縮径させるためのスリットが形成されている。コレットは、流体管路に取付けたときに流体管路の外周面に密着するのが望ましいため、通常、スリットの間隔は予め狭められている。このため、コレットを流体管路に取付けるときには、スリット内にマイナスドライバ等を差込んでスリットの間隔を広げる必要がある。この結果、流体管路に管継手を取付けるときの作業性が低下するという問題がある。
【0007】
本発明の一実施形態の目的は、ブロック体に形成された流体通路と流体管路との間を確実に接続することができるようにした管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、内部に流体通路が設けられ外側面に前記流体通路の開口端と同心状に雌ねじ穴が形成されたブロック体と、先端側に雄ねじが形成され内部を流体が流れる流体管路との間を接続する管継手において、内周側に前記流体管路の前記雄ねじに螺合する雌ねじ部が設けられ、前記流体管路の先端に取付けられる円筒状のカラーと、内周側に前記流体管路が挿通される管路挿通孔と前記カラーが嵌合するカラー嵌合孔とが同心状に形成されると共に外周側に雄ねじ部が形成され、前記雄ねじ部を前記ブロック体の前記雌ねじ穴に締込むことにより、前記カラーが取付けられた前記流体管路の先端を前記流体通路の開口端に当接させる締込み部材と、を備え、前記カラーには、前記締込み部材の締込みに応じて縮径し前記ブロック体の前記流体通路に対する前記流体管路の心出しを行うコレット部が一体に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、管継手は、ブロック体に形成された流体通路と流体管路との間を確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態による管継手を流体管路と共に示す分解斜視図である。
図2】ブロック体の流体通路に管継手を介して流体管路を接続した状態を示す断面図である。
図3】カラーを単体で示す断面図である。
図4】締込み部材を単体で示す断面図である。
図5】流体管路に締込み部材、カラーを取付ける状態を示す断面図である。
図6】流体管路に取付けたカラーに締込み部材を嵌合させる状態を示す断面図である。
図7】カラーと共に流体管路に組付けた締込み部材を、ブロック体の雌ねじ穴に螺合する状態を示す断面図である。
図8】締込み部材の雄ねじ部をブロック体の雌ねじ穴に締込む状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態による管継手について、添付図面に従って説明する。
【0012】
図1および図2において、管継手1は、例えば水素ディスペンサを構成する各種の機器類に流体管路11を接続するために用いられる。即ち、管継手1は、後述するカラー2と、締込み部材4とを含んで構成され、水素ディスペンサを構成する各種の機器類に取付けられたブロック体12と、流体管路11との間を接続している。
【0013】
ここで、水素ディスペンサは、高圧な水素ガスを貯留する蓄圧器、蓄圧器から吐出した水素ガスを車両の燃料タンク等に充填する充填ノズル、燃料タンク等に充填される水素ガスの流量を計測する計量機、蓄圧器から充填ノズルに供給される水素ガスの圧力を検出する圧力センサ等の各種の機器類(いずれも図示せず)を含んで構成されている。水素ディスペンサを構成する各種の機器類にはブロック体12が取付けられ、ブロック体12には、管継手1を介して流体管路11が接続されている。
【0014】
流体管路11は、高圧な水素ガスが流通するため、水素ガスの圧力に対応した肉厚な鋼管(パイプ)等を用いて形成されている。流体管路11の先端側の外周には、雄ねじ11Aが形成されている。流体管路11の先端には、テーパ状(円錐台状)の面取り部11Bが形成され、面取り部11Bは、ブロック体12の内部に形成された流体通路12Aの開口端12Eに当接(面接触)する。
【0015】
ブロック体12は、内部に流体通路12Aが形成された直方体のブロック状をなし、水素ディスペンサを構成する各種の機器類(流量計、圧力センサ等)に取付けられている。ブロック体12には、管継手1を介して流体管路11が接続され、流体管路11を流れる水素ガス(流体)は、流体通路12Aを通じて機器類に供給される。
【0016】
図7に示すように、ブロック体12の外側面12Bには、有底の雌ねじ穴12Cが形成され、雌ねじ穴12Cの穴底面12Dには、流体通路12Aが開口している。ブロック体12の雌ねじ穴12Cは、流体通路12Aと同心状に配置されている。流体通路12Aの一端は、雌ねじ穴12Cの穴底面12Dに開口する開口端12Eとなり、開口端12Eはテーパ状に凹陥している。流体通路12Aの開口端12Eのテーパ状の勾配は、流体管路11の先端に形成された面取り部11Bのテーパ状の勾配と等しく設定されている。
【0017】
次に、実施形態による管継手1について説明する。図1に示すように、管継手1は、カラー2と、締込み部材4とを含んで構成され、雄ねじ11Aが形成された流体管路11の先端に取付けられた状態で、ブロック体12の雌ねじ穴12Cに取付けられる。
【0018】
カラー2は、中空なパイプ体として形成されている。図3に示すように、カラー2の内周面には、雌ねじ部2Aと大径孔2Bとが同心状に形成されている。雌ねじ部2Aは、カラー2の軸方向(長さ方向)の一端2Cに開口し、大径孔2Bは、カラー2の軸方向の他端2Dに開口している。カラー2の他端2D側には、後述するコレット部3が一体形成されている。さらに、カラー2の内周面のうち軸方向の中間部には、後述する環状溝2Eが形成されている。
【0019】
カラー2の雌ねじ部2Aは、カラー2の一端2Cから環状溝2Eまでの範囲に形成され、流体管路11の雄ねじ11Aに螺合する。カラー2の大径孔2Bは、カラー2の他端2Dから環状溝2Eまでの範囲に形成され、流体管路11のうち雄ねじ11A以外の部位に嵌合する。ここで、大径孔2Bの孔径(内径寸法)φAは、図2に示す流体管路11の(雄ねじ11A以外の)外径寸法φBよりも僅かに大きく設定されている(φA>φB)。また、雌ねじ部2Aの谷の径φCは、大径孔2Bの孔径φAよりも小さく設定されている(φC<φA)。
【0020】
カラー2の環状溝2Eは、カラー2の軸方向の中間部に位置する内周面を全周に亘って環状に切欠くことにより形成されている。環状溝2Eの溝底の内径寸法φDは、大径孔2Bの孔径φAよりも大きく設定されている(φD>φA)。従って、カラー2の内周面は、環状溝2Eを挟んで一端2C側に位置する雌ねじ部2Aと、他端2D側に位置する大径孔2Bとに仕切られている。これにより、カラー2の内周面に雌ねじ部2Aを形成する範囲と、大径孔2Bを形成する範囲とが、環状溝2Eによって明確に分けられる構成となっている。
【0021】
コレット部3は、カラー2の他端2D側(大径孔2B側)に一体形成され、流体管路11の雄ねじ11A以外の部位を外周側から把持する。コレット部3は、カラー2の他端2Dと環状溝2Eとの間の領域に配置され、後述する締込み部材4の締込みに応じて縮径することにより、ブロック体12の流体通路12Aに対する流体管路11の心出しを行う。図1および図3に示すように、コレット部3の外周面には、カラー2の他端2Dに向けて徐々に縮径する凸状テーパ面3Aが設けられている。凸状テーパ面3Aとカラー2の軸心O1-O1とがなす角度は、角度αに設定されている。
【0022】
また、コレット部3には、カラー2の大径孔2Bを挟んで2本のスリット3Bが形成されている。これら2本のスリット3Bは、コレット部3の凸状テーパ面3Aを、カラー2の他端2Dから環状溝2Eに向けて直線状に切欠いた切欠溝として形成されている。2本のスリット3Bは、コレット部3の周方向に180°の間隔をもって配置されている。図5に示すように、スリット3Bは間隔(幅寸法)Eを有し、コレット部3の凸状テーパ面3Aが、後述する締込み部材4の凹状テーパ面4Cに押付けられることにより、スリット3Bの間隔Eは小さくなり、コレット部3は徐々に縮径するように変形する。ここで、2本のスリット3Bは、カラー2の他端2Dから環状溝2Eに向けて延在しており、カラー2のうち環状溝2Eの外周側は薄肉形状となっている。これにより、コレット部3が変形し易くなっている。
【0023】
締込み部材4は、流体管路11の先端に取付けられたカラー2の外周側に嵌合し、ブロック体12の雌ねじ穴12Cに締込まれる。図4に示すように、締込み部材4は、全体として段付き円筒状に形成され、締込み部材4の内周側には、管路挿通孔4Aとカラー嵌合孔4Bとが同心状に形成されている。管路挿通孔4Aは、流体管路11の外径寸法φBよりも大きな孔径を有し、流体管路11が挿通される。カラー嵌合孔4Bは、管路挿通孔4Aよりも大きな孔径を有し、カラー2の外周面が嵌合する。締込み部材4の内周面のうち管路挿通孔4Aとカラー嵌合孔4Bとの境界部には、凹状テーパ面4Cが形成されている。凹状テーパ面4Cは、カラー嵌合孔4Bから管路挿通孔4Aに向けて徐々に縮径している。凹状テーパ面4Cと締込み部材4の軸心O2-O2とがなす角度βは、カラー2のコレット部3に形成された凸状テーパ面3Aとカラー2の軸心O1-O1とがなす角度αと等しく設定されている。
【0024】
締込み部材4の外周側には、雄ねじ部4Dと工具係合部4Eとが隣接して設けられている。雄ねじ部4Dは、カラー嵌合孔4Bに対応する位置に形成され、ブロック体12の雌ねじ穴12Cに締込まれる。ここで、締込み部材4に形成された雄ねじ部4Dの方向と、流体管路11に形成された雄ねじ11Aの方向とは、互いに逆方向となる関係に設定されている。即ち、締込み部材4の雄ねじ部4Dが右ねじである場合には、流体管路11の雄ねじ11Aは左ねじとなり、締込み部材4の雄ねじ部4Dが左ねじである場合には、流体管路11の雄ねじ11Aは右ねじとなるように設定されている。実施形態では、締込み部材4の雄ねじ部4Dが右ねじ、流体管路11の雄ねじ11Aが左ねじに設定された場合について説明する。
【0025】
一方、工具係合部4Eは六角形状をなし、管路挿通孔4Aおよび凹状テーパ面4Cに対応する位置に形成されている。工具係合部4Eにスパナ等の工具を引っ掛けることにより、締込み部材4の雄ねじ部4Dを、強固にブロック体12の雌ねじ穴12Cに締込むことができる。
【0026】
実施形態による管継手1は、上述の如き構成を有するもので、以下、ブロック体12の内部に形成された流体通路12Aに、管継手1を介して流体管路11を接続する作業について、図5ないし図8を参照して説明する。
【0027】
まず、図5に示すように、流体管路11の先端側に、締込み部材4の管路挿通孔4Aおよびカラー嵌合孔4Bを挿通し、流体管路11の雄ねじ11A側にカラー嵌合孔4Bを配置する。次に、カラー2を、大径孔2B側から流体管路11の先端側に挿通する。このとき、大径孔2Bの孔径φAは、流体管路11の外径寸法φBよりも大きく設定されているので、カラー2は、流体管路11の先端側に形成された雄ねじ11Aを余裕をもって通過することができる。
【0028】
また、カラー2の大径孔2B側には、2本のスリット3Bを有するコレット部3が一体形成されている。このため、カラー2を流体管路11の先端側に挿通するだけで、カラー2に一体形成されたコレット部3の凸状テーパ面3Aを、締込み部材4の凹状テーパ面4Cに正対させることができる。従って、上述した他の従来技術のように、別部材からなるカラーとコレットとを流体管路の先端に別々に組付ける必要がなく、組付け作業の作業性を高めることができる。しかも、コレット部3の凸状テーパ面3Aを、確実に締込み部材4の凹状テーパ面4Cに正対させることができるので、上述した他の従来技術のように、カラーとは別部材からなるコレットを、テーパ面が逆向きになった状態で流体管路に取付けてしまうといった誤組付けを防止することができる。
【0029】
次に、図6に示すように、カラー2を左廻りに回転させ、左ねじに設定された雌ねじ部2Aを、流体管路11の雄ねじ11Aに螺合させる。そして、流体管路11の先端に形成された面取り部11Bを、カラー2の一端2Cから突出させる。その後、締込み部材4を流体管路11に沿ってカラー2側に移動させ、カラー2の外周側に締込み部材4のカラー嵌合孔4Bを嵌合させる。そして、締込み部材4の凹状テーパ面4Cを、カラー2のコレット部3に形成された凸状テーパ面3Aに当接(面接触)させる。
【0030】
この状態で、図7に示すように、締込み部材4の雄ねじ部4Dを、ブロック体12の雌ねじ穴12Cに螺合させ、スパナ等の工具を用いて締込み部材4を右廻りに回転させる。これにより、締込み部材4を、流体管路11およびカラー2と共にブロック体12に締込むことができる。この場合、締込み部材4の雄ねじ部4Dは右ねじに設定され、カラー2の雌ねじ部2Aは左ねじに設定されている。このため、締込み部材4をブロック体12に締込むときに、カラー2が締込み部材4に擦れて回転したとしても、左ねじに設定されたカラー2の雌ねじ部2Aは、緩みを生じることなく流体管路11の雄ねじ11Aに締込まれる。
【0031】
ここで、図8に示すように、締込み部材4の雄ねじ部4Dをブロック体12の雌ねじ穴12Cに締込むことにより、カラー2のコレット部3に形成された凸状テーパ面3Aは、締込み部材4の凹状テーパ面4Cに押付けられる。これにより、コレット部3に形成された2本のスリット3Bの間隔Eが小さくなり、コレット部3は、締込み部材4の締込み量に応じて徐々に縮径する。これにより、コレット部3に把持された流体管路11を、締込み部材4の軸心O2-O2に対して心出しすることができる。一方、締込み部材4の雄ねじ部4Dが締込まれるブロック体12の雌ねじ穴12Cは、流体通路12Aの開口端12Eと同心状に形成されている。この結果、締込み部材4をブロック体12に締込むことにより、ブロック体12の流体通路12Aに対する流体管路11の心出しを行うことができる。
【0032】
そして、図8に示す状態から、締込み部材4をさらにブロック体12に締込むことにより、流体管路11の先端に形成された面取り部11Bを、ブロック体12の流体通路12Aに形成された開口端12Eに当接させる。この場合、流体管路11の面取り部11Bは凸状のテーパ面として形成され、流体通路12Aの開口端12Eは、面取り部11Bと等しい勾配を有する凹陥状のテーパ面として形成されている。従って、流体管路11の先端の面取り部11Bを、流体通路12Aの開口端12Eに面接触(メタルタッチ)させることができる。この結果、ブロック体12の流体通路12Aと流体管路11との間を強固に接続することができ、流体通路12Aと流体管路11とを確実に連通させることができる。
【0033】
かくして、実施形態による管継手1は、内部に流体通路12Aが設けられ、外側面12Bに流体通路12Aの開口端12Eと同心状に雌ねじ穴12Cが形成されたブロック体12と、先端側に雄ねじ11Aが形成され内部を流体が流れる流体管路11との間を接続するもので、内周側に流体管路11の雄ねじ11Aに螺合する雌ねじ部2Aが設けられ、流体管路11の先端に取付けられる円筒状のカラー2と、内周側に流体管路11が挿通される管路挿通孔4Aとカラー2が嵌合するカラー嵌合孔4Bとが同心状に形成されると共に外周側に雄ねじ部4Dが形成され、雄ねじ部4Dをブロック体12の雌ねじ穴12Cに締込むことにより、カラー2が取付けられた流体管路11の先端を流体通路12Aの開口端12Eに当接させる締込み部材4と、を備え、カラー2には、締込み部材4の締込みに応じて縮径し、ブロック体12の流体通路12Aに対する流体管路11の心出しを行うコレット部3が一体に設けられている。
【0034】
この構成によれば、締込み部材4の管路挿通孔4Aを流体管路11に挿通した状態で、流体管路11の先端側にカラー2を挿通するだけで、カラー2に一体形成されたコレット部3を、締込み部材4に正対させることができる。従って、例えば別部材からなるカラーとコレットとを流体管路の先端に別々に組付ける場合に比較して、組付け作業の作業性を高めることができる。しかも、流体管路11の先端側にカラー2を挿通するだけで、コレット部3を締込み部材4に正対させることができるので、別部材からなるカラーとコレットとを流体管路に取付ける場合に比較して、カラーとコレットとの位置関係が逆になるような誤組付けを防止することができる。
【0035】
実施形態では、締込み部材4の内周側には、管路挿通孔4Aとカラー嵌合孔4Bとの境界部に配置され、カラー嵌合孔4Bから管路挿通孔4Aに向けて徐々に縮径する凹状テーパ面4Cが設けられ、コレット部3には、凹状テーパ面4Cに面接触する凸状テーパ面3Aが設けられている。この構成によれば、流体管路11の先端にカラー2および締込み部材4を組付けた状態で、流体管路11の先端を、締込み部材4に対して心出しすることができる。
【0036】
実施形態では、コレット部3には、カラー2の軸方向に延び、締込み部材4の締込み量に応じて間隔Eが変化するスリット3Bが設けられている。この構成によれば、締込み部材4の締込み量に応じてスリット3Bの間隔Eが小さくなることにより、コレット部3が徐々に縮径する。この結果、締込み部材4の締込みに応じて、コレット部3に把持された流体管路11を締込み部材4に対して心出しすることができる。
【0037】
実施形態では、カラー2の内周面には、軸方向の中間部を全周に亘って環状に切欠いた環状溝2Eが形成され、カラー2の内周面は、環状溝2Eを挟んで雌ねじ部2Aと、流体管路11の外径寸法φBよりも大きな孔径φAを有する大径孔2Bとに仕切られている。この構成によれば、カラー2の内周面に雌ねじ部2Aを形成する範囲と、大径孔2Bを形成する範囲とを、環状溝2Eによって明確に仕切ることができる。
【0038】
実施形態では、流体管路11の雄ねじ11Aの方向と締込み部材4の雄ねじ部4Dの方向とは、互いに逆方向となる関係に設定されている。この構成によれば、流体管路11の先端およびカラー2が組付けられた締込み部材4をブロック体12に締込むときに、カラー2が締込み部材4に擦れて回転したとしても、左ねじに設定されたカラー2の雌ねじ部2Aを、流体管路11の雄ねじ11Aに締込むことができる。この結果、コレット部3の凸状テーパ面3Aを、締込み部材4の凹状テーパ面4Cに押付けることができ、コレット部3に把持された流体管路11を、常に締込み部材4に対して心出しすることができる。
【0039】
なお、実施形態では、コレット部3に2本のスリット3Bを形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、1本または3本以上のスリットを形成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 管継手
2 カラー
2A 雌ねじ部
2B 大径孔
2E 環状溝
3 コレット部
3A 凸状テーパ面
3B スリット
4 締込み部材
4A 管路挿通孔
4B カラー嵌合孔
4C 凹状テーパ面
4D 雄ねじ部
11 流体管路
11A 雄ねじ
12 ブロック体
12A 流体通路
12B 外側面
12C 雌ねじ穴
12E 開口端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8