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  • 特開-カテーテル 図1
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  • 特開-カテーテル 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129895
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20230912BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61M25/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034231
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 壮
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
4C267AA07
4C267AA28
4C267BB52
4C267CC09
4C267HH17
(57)【要約】
【課題】体腔を通してカテーテルを円滑に進行させることが可能なカテーテルの提供を目的とする。
【解決手段】カテーテル1は、径方向に拡縮可能であり、複数の素線wどうしが交差部111で交差するように網目状に編まれて形成されたチューブ状のメッシュ部材11と、メッシュ部材11の基端部に接続された中空シャフト21と、メッシュ部材11の先端部に接続された中空の先端チップ41と、先端部がメッシュ部材11の先端部および/または先端チップ41に接続され、基端が中空シャフト21の基端よりも基端側に位置するようにメッシュ部材11および中空シャフト21の内部を通って延びるコアワイヤ51と、を備え、素線の先端weが、交差部111以外の部位に位置している。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に拡縮可能であり、複数の素線どうしが交差部で交差するように網目状に編まれて形成されたチューブ状のメッシュ部材と、
前記メッシュ部材の基端部に接続された中空シャフトと、
前記メッシュ部材の先端部に接続された中空の先端チップと、
先端部が前記メッシュ部材の先端部および/または前記先端チップに接続され、基端が前記中空シャフトの基端よりも基端側に位置するように前記メッシュ部材および前記中空シャフトの内部を通って延びるコアワイヤと、を備え、
前記素線の先端が、前記交差部以外の部位に位置しているカテーテル。
【請求項2】
前記素線の先端が、前記メッシュ部材の径方向内側に向かって湾曲するように延設されている請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記メッシュ部材が縮径状態において、前記メッシュ部材の軸方向における前記素線の先端と前記交差部のうちの最先端に位置する交差部との距離が、前記最先端に位置する交差部とこの最先端の交差部に基端側で最も近接する交差部との距離の50%以上である請求項1または請求項2に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性完全閉塞(CTO:Chronic total occlusion)のような血管を閉塞する閉塞物を除去して血流を改善する医療器具として、例えば、CTOを貫通しながら向かってくるワイヤ(逆行性ガイドワイヤ)を捕獲する回収デバイス(カテーテル)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような回収デバイスは、拡張部を縮径した状態で閉塞病変部まで送達した後、メッシュ状の拡張部を拡張させながらワイヤを捕捉し、再び拡張部を収縮させる。このため、生体管腔内のワイヤを高い保持力で回収できる、という効果が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-72301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、拡張部を構成する複数の線材が束ねられた遠位部を筒状の連結部により連結するため、拡張部先端の外径が大きくなる傾向にある。他方、上述のような筒状の部材を用いないカテーテルにおいても、例えば、図6に示すように、素線どうしの重なりにより大きな段差ができることがある。このため、上述したような従来のカテーテルにおいては、メッシュ部材先端の外径が実質的に大きくなってしまい、複雑に湾曲した体腔の内壁に引っ掛かってメッシュ部材を閉塞部まで円滑に送達できない虞がある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、体腔を通してカテーテルを円滑に進行させることが可能なカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの態様は、
(1)径方向に拡縮可能であり、複数の素線どうしが交差部で交差するように網目状に編まれて形成されたチューブ状のメッシュ部材と、
前記メッシュ部材の基端部に接続された中空シャフトと、
前記メッシュ部材の先端部に接続された中空の先端チップと、
先端部が前記メッシュ部材の先端部および/または前記先端チップに接続され、基端が前記中空シャフトの基端よりも基端側に位置するように前記メッシュ部材および前記中空シャフトの内部を通って延びるコアワイヤと、を備え、
前記素線の先端が、前記交差部以外の部位に位置しているカテーテル、
(2)前記素線の先端が、前記メッシュ部材の径方向内側に向かって湾曲するように延設されている前記(1)に記載のカテーテル、並びに
(3)前記メッシュ部材が縮径状態において、前記メッシュ部材の軸方向における前記素線の先端と前記交差部のうちの最先端に位置する交差部との距離が、前記最先端に位置する交差部とこの最先端の交差部に基端側で最も近接する交差部との距離の50%以上である前記(1)または前記(2)に記載のカテーテル、である。
【0008】
なお、本明細書において、「先端側」とは、カテーテルの軸方向(長軸方向、長手方向)に沿う方向であって、中空シャフトに対してメッシュ部材が位置する方向を意味する。「基端側」とは、中空シャフトの軸方向に沿う方向であって、先端側と反対側の方向を意味する。「先端」または「先端部」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「基端」または「基端部」とは、任意の部材または部位における基端側の端部をそれぞれ指す。特に指定がない限り、「軸方向」とはカテーテルの軸方向を意味し、「径方向」とは上記「軸方向」に直交する方向を意味する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、体腔を通してカテーテルを円滑に進行させることが可能なカテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態の全体を示す概略的断面図であって、メッシュ部材が縮径している状態を示す図を示している。
図2図1のメッシュ部材が拡径している状態を示す概略的断面図である。
図3A】メッシュ部材の先端部を拡大して示す概略的断面図である。
図3B】メッシュ部材の先端部を拡大して示す概略的断面図である。
図3C】メッシュ部材の先端部を拡大して示す概略的断面図である。
図4】メッシュ部材の先端部の他の例を示す概略的断面図である。
図5】メッシュ部材の先端部の他の例を示す概略的断面図である。
図6】従来のメッシュ部材の先端部の一例を示す概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のカテーテルは、径方向に拡縮可能であり、複数の素線どうしが交差部で交差するように網目状に編まれて形成されたチューブ状のメッシュ部材と、上記メッシュ部材の基端部に接続された中空シャフトと、上記メッシュ部材の先端部に接続された中空の先端チップと、先端部が上記メッシュ部材の先端部および/または上記先端チップに接続され、基端が上記中空シャフトの基端よりも基端側に位置するように上記メッシュ部材および上記中空シャフトの内部を通って延びるコアワイヤと、を備え、上記素線の先端が、上記交差部以外の部位に位置している。
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。また、図面に示した各部の寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、必ずしも実際の寸法に対応するものではない。各図において、図示左側がカテーテルの先端側(遠位)、右側がカテーテルの基端側(近位、手元側)をそれぞれ示している。なお、図2はメッシュ部材が拡径している状態のカテーテルを、それ以外の図はメッシュ部材が縮径している状態のカテーテルを、それぞれ示している。
【0013】
図1図2は、一実施形態の全体を示す概略的断面図である。カテーテル1は、図1図2に示すように、概略的に、メッシュ部材11と、中空シャフト21と、先端チップ41と、コアワイヤ51と、誘導膜61と、コネクタ71とにより構成されている。
【0014】
メッシュ部材11は、径方向に拡縮可能であり、複数の素線どうしが交差部で交差するように網目状に編まれて形成されたチューブ状の部材である。メッシュ部材11は、具体的には、例えば、網目状(メッシュ状)に編組された素線wで構成されており、素線wどうしが変形することでメッシュ部材11の全体が径方向および軸方向に変形しながら拡縮する。素線wどうしは、交差部111で交差しながら網目状に広がっている。交差部111で囲まれた部位には開口11aが形成されている。開口11aの大きさは、メッシュ部材11の拡縮に従って変化する。メッシュ部材11が縮径状態では開口11aは閉じているかまたは相対的に小さく、メッシュ部材11が拡径状態では開口11aは相対的に大きく広がっている。なお、メッシュ部材11の拡縮は、後述するコアワイヤ51の進退により行うことができる。
【0015】
ここで、メッシュ部材11を構成する素線の先端weは、交差部111以外の部位に位置するように構成されている。素線の先端weは、交差部111以外の部位に位置すればいずれの箇所であってもよい。すなわち、素線の先端weは、最先端の交差部111Aの先端側における直近に位置していてもよく(図3A参照)、最先端の交差部111Aよりも先端側にて隣接する仮想的な交差部111Mの基端側における直近に位置していてもよい(図3B参照)。
【0016】
なお、これらの中では、図3Cに示すように、メッシュ部材11が縮径状態において、メッシュ部材11の軸方向における素線の先端weと交差部111のうちの最先端に位置する交差部111Aとの距離K1が、最先端に位置する交差部111Aとこの最先端の交差部111Aに基端側で最も近接(隣接)する交差部111B(隣接する交差部が複数ある場合は、それらのうちの交差部111Aに最も近接する交差部)との距離K2の50%以上であるのが好ましい。これにより、素線の先端weに、素線どうしの重なりにより大きな段差が生じるのをより確実に防ぐことができる。
【0017】
メッシュ部材11の素線の先端weは、図4に示すように、メッシュ部材11の径方向内側(カテーテルの中心軸側)に向かって湾曲するように延設されていてもよい。これにより、メッシュ部材11の先端の外径が実質的に大きくなるのを抑制することができ、メッシュ部材を閉塞部までより円滑に送達することができる。
【0018】
メッシュ部材11を構成する素線wの材料としては、例えば、SUS304などのステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金等の金属材料;ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテルエーテルケトンなどの樹脂材料等が挙げられる。これらの中では、強度および可撓性を向上させる観点から、金属材料であることが好ましい。なお、メッシュ部材11を構成する素線wは、1本であってもよく、複数本であってもよい。素線wが1本で構成される場合、例えば、メッシュ部材の先端部や基端部で折り返すことによりメッシュ部材を形成することができる。素線wが複数本で構成される場合、素線の材料は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0019】
中空シャフト21は、メッシュ部材11の基端部に接続されたシャフトである。中空シャフト21は、具体的には、例えば、先端から基端に亘って貫通する内腔21hを有している。内腔21hには、例えば、後述するコアワイヤや、ガイドワイヤ等が挿通される。
【0020】
本実施形態の中空シャフト21は、図1図2に示すように、先端側シャフト211と、基端側シャフト212と、開口部31とを有している。先端側シャフト211は、先端がメッシュ部材11の基端に接続された内腔211hを有するシャフトである。基端側シャフト212は、先端が先端側シャフト211の基端に接続された内腔212hを有するシャフトである。開口部31は、先端側シャフト211と基端側シャフト212との接続部に設けられた内腔21hとカテーテル1の外部とを連通する開口である。
【0021】
中空シャフト21を構成する材料としては、中空シャフト21が血管などの体腔内に挿通されることから、抗血栓性、生体適合性、および可撓性を有していることが好ましい。上記材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂材料等が挙げられる。
【0022】
メッシュ部材11と中空シャフト21との接合方法としては、例えば、メッシュ部材11の基端部を中空シャフト21の先端部に溶着等で埋設する方法等を採用することができる。
【0023】
先端チップ41は、メッシュ部材11の先端部に接続された中空の部材である。先端チップ41は、例えば、カテーテル1が体腔内を前進する際の抵抗を減らし、カテーテル1を円滑に進行させることができる。先端チップ41は、具体的には、例えば、順行性ガイドワイヤなどを相通するために、先端に開口41aを有する内腔41hを有している。先端チップ41の先端部は、先端側に向かって丸みを帯びた形状に形成することができる。
【0024】
先端チップ41を構成する材料としては、体腔等への衝撃を緩和できるように、柔軟性を有することが好ましい。また、メッシュ部材11の先端部と容易かつ確実に接合できるような材料で形成されていることも好ましい。好適な材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマーなどの樹脂材料等が挙げられる。
【0025】
先端チップ41の基端部はメッシュ部材11の先端部に接合することができる。先端チップ41とメッシュ部材11との接合方法としては、図3A図3Cに示すように、例えば、メッシュ部材11を構成する素線wの先端部を先端チップ41の基端部に埋設する方法等を採用することができる。埋設する場合、例えば、先端チップ41の基端部を溶融することでメッシュ部材11の先端部と接合してもよい。これにより、先端チップ41とメッシュ部材11とを強固に接合することができる。
【0026】
コアワイヤ51は、先端部がメッシュ部材11の先端部および/または先端チップ41に接続され、基端が中空シャフト21の基端よりも基端側に位置するようにメッシュ部材11および中空シャフト21の内部を通って延びる部材である。コアワイヤ51は、具体的には、例えば、先端部がメッシュ部材11の先端部に接合され、メッシュ部材11の内部(メッシュ部材11の内側の空間)、中空シャフト21(先端側シャフト211および基端側シャフト212)の内腔21h、および後述するコネクタ71の内腔71hを貫通し、コネクタ71の基端の開口71aから露出するように配置することができる。コアワイヤ51の基端を把持しながらコアワイヤ51を長軸方向に沿って進退することで、メッシュ部材11を拡縮することができる。
【0027】
コアワイヤ51を構成する材料としては、メッシュ部材11を確実に拡縮しかつコアワイヤ51自身の切断を防止する観点から、十分な剛性および引張強度を有していることが好ましい。このような材料としては、例えば、SUS304などのステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金などの金属材料等が挙げられる。
【0028】
コアワイヤ51と、先端チップ41および/またはメッシュ部材11との接合方法としては、例えば、コアワイヤ51の先端部を先端チップ41の基端部に溶着等で埋設する方法、および/またはコアワイヤ51の先端部とメッシュ部材11の先端部とを溶接する方法等を採用することができる。
【0029】
誘導膜61は、メッシュ部材に取り付けられ、先端が先端チップの基端と中空シャフトの先端との間に位置する薄膜状の部材である。誘導膜61は、具体的には、例えば、先端がメッシュ部材11の最大拡径部(メッシュ部材11が拡径したときに外径が最も大きくなる部位)に位置し、基端が中空シャフト21の先端に位置するように配置することができる。誘導膜61によれば、例えば、メッシュ部材11の開口11aを通して受け入れた逆行性ガイドワイヤを中空シャフト21の先端の開口に向かって円滑に導くことができる。
【0030】
誘導膜61を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。
【0031】
誘導膜61は、その全体に亘ってメッシュ部材に接合されていてもよく、その一部(例えば、誘導膜の先端部)のみメッシュ部材に接合されていてもよい。誘導膜61とメッシュ部材11とを接合する方法としては、例えば、誘導膜61を形成する材料を加熱溶融し、この溶融した材料中にメッシュ部材11を浸漬して素線どうしを架橋(開口を閉塞)する方法、漏斗状のフィルムの先端側の開口部外周をメッシュ部材に溶着する方法等を採用することができる。
【0032】
コネクタ71は、オペレータがカテーテル1を把持する部材である。このコネクタ71は、中空シャフト21の基端部に接続されており、内腔21hに連通する内腔71hと、内腔71hの基端に位置する開口71aとを有している。なお、コネクタ71の形態は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
【0033】
ここで、上述した内腔211hによりルーメンL1が形成される。また、内腔212hと内腔71hとによりルーメンL2が形成される。ルーメンL1には、例えば、順行性ガイドワイヤ、逆行性ガイドワイヤ、コアワイヤ51などが挿通される。ルーメンL1に挿通されたガイドワイヤ等は、開口部31を介して挿脱することができる。ルーメンL2には、例えば、コアワイヤ51などが挿通される。
【0034】
次に、カテーテル1の使用態様について説明する。ここでは、血管内の閉塞部を通過した逆行性ガイドワイヤを捕獲する手技について説明する。
【0035】
まず、順行性ガイドワイヤ(不図示)を血管内に挿入した後、血管に沿って閉塞部まで順行性ガイドワイヤを押し進める。順行性ガイドワイヤの先端が閉塞部の近位側に到達した後、順行性ガイドワイヤの基端を先端チップ41の開口41aに挿入する。次いで、順行性ガイドワイヤに沿ってカテーテル1を血管内の閉塞部まで押し進める。この際、メッシュ部材11は縮径した状態で血管内に挿入され、カテーテル1の先端が閉塞部に到達するまで縮径した状態を維持する。
【0036】
次に、順行性ガイドワイヤを体外に抜去した後、閉塞部を通過しながら向かって来る逆行性ガイドワイヤをカテーテル1で捕獲する。逆行性ガイドワイヤが向かってくる経路としては、例えば、閉塞部を囲繞する血管壁内の偽腔、閉塞部を貫通する貫通孔等が想定されるが、いずれの経路からの逆行性ガイドワイヤであってもよい。逆行性ガイドワイヤは、順行性ガイドワイヤの挿入前に閉塞部を通過させてもよく、順行性ガイドワイヤの挿入後に閉塞部を通過させてもよい。
【0037】
逆行性ガイドワイヤをカテーテル1で捕獲する際、メッシュ部材11を径方向外側に向かって拡径する。具体的には、コネクタ71の開口71aから露出しているコアワイヤ51の端部を基端側に向かって引っ張ることで、メッシュ部材11の先端を引き寄せながらメッシュ部材11を径方向外側に向かって拡径する。拡径に伴いメッシュ部材11の開口11aが大きく広がることで、開口11aを介して逆行性ガイドワイヤの先端部をメッシュ部材11の内側に容易に取り込むことができる。メッシュ部材11に取り込まれた逆行性ガイドワイヤは、ルーメンL1および開口部31を介して、その先端部が体外に引き出される。
【0038】
以上のように、カテーテル1は、上記構成であるので、メッシュ部材11の先端に大きな段差が生じるのを抑制することができ、体腔を通してカテーテル1を円滑に進行させることができる。
【0039】
なお、本開示は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態の構成のうちの一部を削除したり、他の構成に置換してもよく、上述した実施形態の構成に他の構成を追加等してもよい。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、メッシュ部材11を構成する素線wの先端部が先端チップ41の基端部に埋設されたカテーテル1について説明した。しかしながら、先端チップの基端部とメッシュ部材の先端部とは互いに固定されていればよい。メッシュ部材が樹脂材料で形成されている場合、例えば、先端チップの基端部とメッシュ部材の先端部とが互いに溶着されていてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、メッシュ部材11を構成する素線wの先端部が先端チップ41の基端部に埋設されたカテーテル1、すなわち、先端チップ41の基端の外径とメッシュ部材11の先端の外径とが略同一であるカテーテル1について説明した。しかしながら、径方向における先端チップとメッシュ部材との位置関係は問わない。例えば、メッシュ部材の先端部が先端チップの基端部を覆うように配置されていてもよい(先端チップの基端の外径<メッシュ部材の先端の外径)(図5参照)。
【0042】
また、上述した実施形態では、中空シャフト21が先端側シャフト211および基端側シャフト212を有し、それらの境界に開口部31を備えたカテーテル1について説明した。しかしながら、中空シャフトは、上述のような開口部を有さず、先端から基端に亘って貫通した1本の内腔のみを有する中空シャフト(OTWタイプのカテーテル)であってもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、誘導膜61を備えているカテーテル1について説明した。しかしながら、誘導膜を備えていないカテーテルであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 カテーテル
11 メッシュ部材
111,111A,111B,111M 交差部
21 中空シャフト
41 先端チップ
51 コアワイヤ
w 素線
we 素線の先端
K1,K2 距離
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6